城島「ぐっさん、高垣楓ちゃんって知っとる?」 (105)


・モバマスとTOKIOのSSです

・高垣楓さんが出ます



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1443005777


~都内某所

山口「なんだよ、いきなり」

城島「高垣楓ちゃん、知らん?」

山口「知ってるよ、346の」

城島「かわええよな」

山口「そうだね。まぁアイドルだし……彼女がどうかしたの?」

城島「髪の毛すごいやん」

山口「うん」

城島「あそこで納豆作れるんちゃうかなって」

山口「うん?」


城島「いや、あそこで納豆作れんかなって思てな」

山口「聞き直したわけじゃないって。考えるのは全然いいんだけどさ、それを俺に伝えてどうしようっていうの」

城島「僕だけそんな事思ってるって、なんかアレやん」

山口「もう十分酷いから。俺がそうだねって言うと思ったの?」

城島「付き合い長いし」

山口「そういう問題?」

城島「納豆好きやろ?」

山口「好きだけど、人様の頭で納豆作りたいなんて考えた事ないよ」

城島「はぁ……がっかりやわ……」

山口「こっちの台詞だよ」


長瀬「なんの話してるんすか」

山口「長瀬……リーダーがついにボケたみたいだから、一発ぶん殴ってやって」

長瀬「え、リーダーどうしたんすか! なんか悩みあるならちゃんと言ってくださいよ! 肩! 肩揉みましょうか!」

山口「なんでお前もボケてんだよ」

城島「いや、ボケてへんしめっちゃ真剣な話やで。見てみ、僕の目。真面目の極みやろ」

長瀬「……めっちゃ濁ってますね。リーダー疲れてます?」

城島「まぁ四十も半ばになればなかなか疲れがな……いや、ちゃうって。目付きや、目付き」

長瀬「……老犬っすね」


山口「そういうのは次番組のウッチャンにやってもらおうよ」

城島「いやいや、僕らと彼女がやるからおもろいやん。一応、僕らもアイドルで、彼女もアイドル。アイドルの二乗やで?」

長瀬「めっちゃ強そう!」

山口「俺らアイドルらしいことしばらくしてないけどな」

城島「それは言わん約束や」


城島「なんや、聞いた話やと高垣ちゃんも関西出身みたいやねん。ギャグが好きって言ってたし」

長瀬「まるでリーダーじゃないっすか」

山口「それ、俺らがすげぇ疲れるやつじゃん」

城島「関西人やからおもろいってわけやないけど、普段歌ってる姿とはちゃう彼女が見れるんやないかなぁ」

山口「だからと言って髪の毛で納豆を作るって考えに至るのがおかしいだろ」

長瀬「俺もそれすげぇ思ってました! 家でめっちゃ納豆混ぜてるときにテレビで見て……納豆作れるんじゃねぇ? って!」

城島「長瀬もそう思ってたか。そう考えるのは自然やんな」

山口「お前らよそ様のアイドルなんだと思ってんの?」





モバP(※以下表記P)「……というわけで、今日はよろしくお願いします」

楓「よろしくお願いします」

城島「いやぁ、なんでも言ってみるもんやな~よろしくお願いします」

山口「……」

城島「山口、人が挨拶してんやからちゃんと返さな失礼やろ」

山口「あ、あぁ、よろしく……」

P「まさかTOKIOさんからオファーをいただけるなんて思ってもいませんでしたよ。うちの高垣もよくこの番組を見てて……」


長瀬「すげぇ! 本物のアイドルだ!」

楓「今日はよろしくお願いします」

長瀬「こっ、こちらこそよろしくお願いします!」

松岡「よろしくお願いします……お前、何緊張してんだよ」

長瀬「いや、目の前にアイドルがいたら緊張するでしょ!」

松岡「俺らは何もんだよ」

長瀬「開拓者」

松岡「なんだよ、そのかっこよさは。全く迷わずに言った言葉がそれかよ」

長瀬「だって島で橋作ったり、石拾ったり……」

松岡「いやいや、それ以前に俺らの職業はなんだよ」

長瀬「……の、農家?」

松岡「アイドルかミュージシャンだよ! スッと出てこいよ!」


楓「ふふ……テレビで見るより面白そうな現場ですね」

長瀬「太一君も来ればよかったのに」

松岡「スケジュールが合わなかったんだからしょうがないよ」

長瀬「またすぽると?」

楓「あれ、もう出てないですよね?」

長瀬「えっ、すぽると終わっちゃったの!?」

松岡「めんどくせぇ」

城島「なんや早速盛り上がっとるなぁ。ならここで一発、僕のウェルカムギャグで



 ザ!鉄腕!DASH!!

《高垣楓の髪で納豆は作れるか!?》


山口「ひっでぇタイトル」

長瀬「テンション上がりますね!」

楓「うまくいくかわかりませんけど、納豆のように粘り強くいきましょう。ネバーギブアップの精神で」

城島「おっ、最初から飛ばすなぁ~僕も負けてられんな!」

松岡「なに、これダジャレ大会なの?」

山口「うん。いちいち反応してたら絶対進まないから、俺たちだけでも頑張ろう」

城島「とりあえず改めて趣旨説明とかはいらんよな」

松岡「正直なんなんだって、理解が出来てないけどね。読んで字のごとく、でしょ?」

城島「それ以上でもそれ以下でもないで」


山口「ほんっとうに今更だけど、高垣さん大丈夫なの?」

楓「大丈夫……とは?」

山口「こっちからオファーしといてこんな事言うのはおかしいけどさ。高垣さんの髪の毛で納豆を作る、だよ? 誰が聞いてもおかしいって思うでしょ」

城島「ぐっさん、ここでやめるって……高垣ちゃんかえっで(帰って)しもたらどないするんや」

長瀬「……」

松岡「……」

楓「……ふふっ」

山口「ちょっと真面目な話だから、リーダーは黙ってて」

城島「はい……」


山口「俺自身もここに参加してるっていうのがよくわかってないし、何より高垣さんはこんなわけのわからない企画に自分の身を使うんだよ? しかも芸人でもやらないような事を……」

楓「……私は、なるべく来た仕事を断らないようにしているんです。もちろんその中には私のイメージに合うもの、合わないものがありますけど……
  どういう形であれ、ファンの人に届けたいんです。私の色々な姿を。テレビでしか私を見る事が出来ない人だっていると思います。
  ライブに来たくても来れない人もいるでしょう。私のファン、全員と一緒に歩んでいきたいんです。このアイドルという険しい道を。
  だから今回のオファーもすぐお返事させてもらいました。プロデューサーもやりましょう、なんて鼻息荒く言ってましたよ」

城島「……立派や」

長瀬「グスッ……」

松岡「……なんでお前泣いてんだよ」

長瀬「いや、だって……俺らと一回り近くも違うのに、すげぇかっこいい事言ってさ……俺、もう感動しちゃって……あとでサインください」

松岡「ただのファンかよ! そういうのは裏でな」

楓「Tシャツに書けばいいですか?」

長瀬「あ、智也君へって書いてください」

松岡「2人とも聞けよ!」


山口「あー……なんか、ごめん。うん。高垣さんがそう言うなら、俺も腹括ってやるよ」

城島「ぐっさんも納得したようやし、じゃあ早速行こか」

楓「どこに行くんですか?」

松岡「……まぁ、連れて来られた場所で大体わかるけどさ」

城島「僕らの基本やんか。まず作り方を習うんわ」

長瀬「高垣さん、両目の色が違う! めっちゃかっこいい!」

松岡「今更かよ」

長瀬「えっと、なんだったっけ……お……お、オッドジョブだ!」

山口「それは007のシルクハット投げる人だな」

松岡「オッドアイ、な」


城島「全然話が進まんやん」

山口「しょうがないよ。あんまりこういう番組じゃ見ない人だし、テンション上がってんだって」

城島「確かにな~なんたってトップアイドルやからなぁ」

松岡「俺らも一応紅白とか出たりしてるし、トップアイドルって言っちゃっていいんじゃないの?」

山口「最近本業がわかんなくなってきてな」

松岡「あにぃ、船舶免許とか取っちゃってるしね」

城島「僕もクレーン動かせるしなぁ」

長瀬「みんな何やってんすか! 早く行きましょうよ!」

楓「置いていっちゃいますよ?」

山口「はいはい。すっかり打ち解けちゃってるな」

城島「太一おらんし、楓ちゃんメンバーでええんちゃう?」

松岡「今さらっと下の名前で呼んだな」





~茨城県水戸市

山口「納豆展示館……へぇ、さすが本場って感じだなぁ」

城島「僕らが作るのは藁納豆やからな」

長瀬「わら納豆……? 食べたら笑っちゃうんすか」

松岡「ちげぇよ。藁だよ、藁。昔、縄とか作ったろ?」

長瀬「そっちか!」

楓「わらっちゃいますね、藁だけに。ふふ……」

城島「なんや、今日、僕空気やな」


☆藁納豆の作り方

・藁を用意する(藁についた納豆菌を利用して発酵させる)

・一晩水に浸した大豆を煮る・蒸す(家庭でやる場合は圧力鍋を使用)

・藁を殺菌するために煮込む(新鮮な藁は普通に手に入らないので)

・藁苞を作る(水分を吸った藁は異常に硬いので注意)

・作った藁苞に大豆を詰め、40度前後を維持出来る場所で8~12時間発酵させる

・一晩熟成させて(多分)完成!


松岡「へー、これが藁納豆の作り方なんだ」

楓「意外と自分でも出来るんじゃないかって思いますね」

山口「でも今回は高垣さんの髪の中でってことだろ? 納豆菌を増やせるから藁を使うんであって、髪の毛じゃどうにもならないよ。藁も一緒にぶち込むか?」

松岡「半日も40度を髪の中でキープ出来るかっていうのも難しいな」

楓「途端に前途多難……ですね。ふふ」


長瀬「すげぇ! 本当に藁に入ったやつが売ってる!」

城島「これものすご大粒ですね。うわっ、大豆の甘みがすごい」

山口「……あっちは納豆堪能してんな」

楓「あ、でもこれ本当においしいですよ」

松岡「……うん、強いんだけど優しいね、味が」

長瀬「塩でもいけるって店員さん言ってましたよ」

楓「お酒と一緒に食べたい……」

山口「お前ら納豆食いに来た観光客か」





城島「作戦会議や」

山口「このままじゃ企画倒れになりかねん。そもそも無理があったな」

楓「せっかく食べるものなんですから、なっとうくう(納得)出来るものを作りたいですよね。ふふっ」

城島「うっわ~先に言われてしもた」

松岡「今日は特に緊張感ねぇなー」

長瀬「納豆うまい」モグモグ


城島「藁の代わりに楓ちゃんの髪っていうのがまずあかんな」

山口「企画の根本を揺るがす発言だぞ、それ」

楓「頑張れば納豆菌くらい出せそうな気もしますけど……」

松岡「やばいな、トップアイドル」

楓「ライトがくらいと(暗いと)きには私自身が輝きますし」

城島「それが言葉通りの意味やったら、僕らはトップどころかアイドルですらないんかもしれん」

松岡「事務所の予定表に島って書かれるアイドルはいねーよな」


山口「なんかいい方法はないもんかな……」

長瀬「あっ、男子ごはんやってる! 太一君出てるよ!」バシバシ

松岡「痛いしうるさいよ。どうしちゃったの、長瀬。今日はいつにも増してゴリラなんだけど」

城島「楓ちゃんが来てくれてテンション上がっとんや。今日くらいは大目に見たってもええやん」

山口「納豆料理って……示し合わせたようなタイミングだな」

長瀬「ケンタロウさん、いつ復帰出来るんだろうなー」

松岡「一時期は植物状態だったらしいし、無事なだけよかったよ」


山口「小さい藁苞を作って、大豆を詰めた部分だけ髪の中に入れるようにするか?」

楓「なんだかオシャレですね」

城島「それできちんと発酵するんやろうかなぁ……」

楓「やっぱり納豆菌出せるようにするしかないですね」

城島「納豆作るんがこんなに難しいなんてなぁ」

長瀬「へー、納豆ってヨーグルトみたいにタネがあれば作れるんだなー」

城島「そりゃ菌やからな」

山口「……菌、か」


松岡「あ、思い出した」

楓「どうしました?」

松岡「以前、吉川さんから納豆の作り方教えてもらったなって」

城島「サウナで?」

松岡「いや、あれは俺、倒れてたから」

山口「シゲちゃん、余計な茶々入れないで」

松岡「なんか市販で納豆菌があるみたいでさ。それを大豆に混ぜて作るってやつなんだけど」

楓「まんまカスピ海ヨーグルトですね」

城島「うーん。それじゃあ出来て当たり前やんなぁ」


松岡「まだ続きがあるんだけどさ、なんか市販の納豆がいくらかあればいいらしいんだよ」

山口「ほう」

城島「まぁ納豆なんやから納豆菌あるわな」

松岡「蒸した大豆に入れて混ぜるんだったかな。とりあえずそんなんで出来るらしいんだよ」

楓「とりあえず蒸すのはだいず(大事)みたいですね。大豆だけに」

城島「また言われた!」

長瀬「納豆オムレツ超うまそう!」


☆市販の納豆を使った手作り納豆の作り方

・市販の納豆はにおい控えめ「ではない」ものを用意する

・一晩水に浸した大豆を蒸す・煮る(固さは任意)

・その大豆に納豆を入れて混ぜる(300gの大豆に対して市販の納豆は1/4)

・容器に入れて40度前後を維持出来る場所で8~12時間(場合によっては24時間)発酵させる

※発酵には酸素が必要なので完全密閉はしないこと

・一晩熟成させて(多分)完成!


城島「これならいけそうやん」

山口「ここへさらに藁苞を使えば確実に出来んじゃないか」

松岡「発酵させる環境はどうすんのよ」

楓「あ、それならいい案があります」

長瀬「トップアイドルって体温も自由自在なの?」

楓「さすがに私も人間なので」


楓「プロデューサー、プロデューサー」チョイチョイ

P「ん?」

楓「耳を貸してください。こしょこしょ……」

P「うん……うん……あー、なるほどな。わかった」

楓「ふふ……これで根回しはオッケーです」

山口「じゃあ発酵は高垣さんに任せるとして、早速藁苞と納豆の素を作るか」

長瀬「松岡君、今度納豆チャーハン作ってよ」

松岡「暇な時いくらでも作ってやるから。ほら、行くぞ」





~調理場

城島「不安やなぁ」

長瀬「何が?」

城島「長瀬が相方っていうのが」

長瀬「でも俺、最近料理の練習してますよ」

城島「知っとるけど……まぁ、調理という調理もないし、大丈夫やんな。女の子もおることやし」

楓「ちなみに私もあまり。食べるのは得意なんですが」

城島「……なんとかなるやろ」


・一晩水に浸した大豆を蒸す・煮る

楓「こんなに大きくなるものなんですね」

城島「それを指で押すと潰れるくらい煮るんや。それくらいは出来るやろ?」

長瀬「包丁を使う時に猫の手が出来るんすから余裕ですよ!」

楓「にゃーんてね。ふふ……」

城島「不安や」


・その大豆に納豆を入れて混ぜる

楓「ホクホクですね」

長瀬「うまそう」

城島「お湯を捨てたそこに納豆を入れて、熱いうちにしっかりかき混ぜてな」

長瀬「ビール飲みたくなってきた」

楓「ノンアルコールならちょっとくらい……」

城島「君ら、仕事中やで」

長瀬「リーダーは何してんすか」

城島「藁苞だけで本当に納豆が出来るんかやってみようかなって。それ用の大豆を準備してんのや」

楓「うまくいかなかったらいちだいず(一大事)ですからね」


~別の調理場

松岡「これどっから採ってきたの?」

山口「農家の人に分けてもらったのと、そこらへんに自生してた枯れ草」

松岡「そこらへんのって」

山口「イネ科の草に毒なんてないから、しっかり煮沸すればいけるでしょ」

松岡「そういうもんかねぇ」


・藁を殺菌するために煮込む

松岡「うっわ、茶色!」

山口「においもすごいな……農作業中よりワイルドな香りが鼻にくるわ」

松岡「換気しようぜ、換気」ガラッ

山口「屋内でやるもんじゃないな」

松岡「2、3回くらい煮た方がいいよね?」

山口「そうしないと草の苦味が消えないだろうからな」

松岡「了解」

山口「……しかしなんだな」

松岡「どしたの?」

山口「タオルを頭に巻いた男2人が鍋を前に草を煮るって」

松岡「地味というか、異常な絵だよね」

山口「今更だけどな」


・藁苞を作る

松岡「これカッターとか普通のハサミじゃ無理っぽくない?」

山口「大丈夫。持ってきてるから」

松岡「金切鋏? あにぃの?」

山口「マイハサミ」シャキーン

松岡「さすがに笑うでしょ」

山口「やっぱりいい道具を使わないとな」

松岡「俺らアイドルって名乗っていいのか不安になってきた」


~大豆組の調理場

松岡「ヘイ、お待ち」

城島「おー、お疲れさん」

山口「そっちは出来た?」

長瀬「準備オッケー!」

城島「楓ちゃん待ってる間に藁苞に詰めよか」


・藁苞に大豆を詰める

山口「この小さめなのが高垣さん用」

城島「小さい言うても30cmくらいはあるなぁ」

松岡「両端しばって中央に空間作らないといけないからね」

長瀬「これ縦にして顔の横につけたらゲッター3だよ」

松岡「ふふ、お前、もっと視聴者にわかりやすいやつ選べよ」


山口「詰めるのは適当でいいの?」

城島「ちゃんと納豆が藁に埋まるようにやったらええんちゃうかな」

松岡「うっし、やるか」

長瀬「俺、デカいやつに詰めたい」

城島「じゃあ僕は楓ちゃん用のやるわ」

松岡「さっきあにぃと話してたんだけどさ」

長瀬「どしたの」

松岡「今日はいつもになく地味な絵面だなって」

山口「高垣さんいなかったらひどいよ。4人のおっさんが納豆食って、藁煮て、豆詰めてるんだから」

松岡「DASHでも許されるか、許されざるか、ギリギリのラインだよね」

城島「ホンマやなぁ。楓ちゃんは今回の女神やで」

長瀬「納豆の女神」

松岡「お前、ファンに怒られろ」


山口「世紀末歌姫とか呼ばれてるんでしょ?」

長瀬「何それ、すげぇかっこいい」

城島「ぐっさんなんか東京から来た漁師(たまにミュージシャン)やで」

松岡「それもそれでいいけどね。逆に」

長瀬「俺はなんて呼ばれてんのかなぁ」

山口「ゴリラだろ」

城島「ゴリラやろうなぁ」

松岡「ゴリラ以外あんの?」

長瀬「そっか、ゴリラかぁ」

松岡「それでいいのかよ」


山口「とか言ってる内に出来たな」

城島「じゃあこっちはタオルに包んで」

松岡「普通に作る方はどうする?」

城島「毛布なりに包んで涼しくない場所に放置とかかなぁ」

長瀬「機械の裏とか暑いんじゃない?」

山口「局のどこかに置いてもらうか」

楓「お待たせしました」

城島「お疲れ。こっちの準備は万端やで」

楓「こちらもいつでも大丈夫です」


城島「よし、じゃあやるでー」

楓「緊張しますね……」

山口「なんつー絵だ」

松岡「美人に藁苞構える40半ばのおっさんとか通報ものだぞ」

長瀬「DASH島で漂流物開ける時くらいドキドキしてきた……」

城島「……えいやっ!」

ズボッ


山口「……」

松岡「……」

長瀬「……」

楓「……刺さりましたね」

城島「手、離しても落ちんな」

山口「どういう原理だ」

長瀬「すげぇ! これが世紀末歌姫の力か!」

楓「今、納豆菌、すごい出してます」

松岡「やべぇな」


楓「この状態で40度キープですね」

山口「それが一番の問題だと思うんだけどな」

楓「秘密兵器がいますので」

ガチャッ

茜「こんにちは!!!」

松岡「うおっ、うるせ」

茜「プロデューサーに呼ばれて来ました!!!」

城島「君、小さいのに声大きいなぁ」

茜「初めまして! 日野茜です!!」

長瀬「俺より声でかい」


楓「秘密兵器の茜ちゃんです」

茜「よくわかりませんけど秘密兵器です!!」

山口「本人がよくわかってないみたいなんだけど大丈夫?」

楓「えぇ、茜ちゃんは私の近くにいてくれればいいだけですから」

茜「大丈夫です! 楓さんの事は私に任せてください!!!」

城島「頼もしい熱い言葉やなぁ」

山口「それじゃ半日後に回収して、その24時間後にどうなるか」

長瀬「今日からお腹空かせて待ってよう」

松岡「どんだけ楽しみにしてんだよ」





~半日後

国分「久しぶりに呼ばれたと思ったら、俺の仕事回収係? まぁいいんだけどさー」

コンコン

国分「TOKIOの国分です。高垣さんから納豆を回収しに来ましたー」

「はーい」

ガチャッ

茜「お疲れ様です!!」

楓「ご苦労様です」

国分「初めまして、国分太一です。うわっ、本当に藁苞が刺さってる」

楓「意外としっくりきちゃってます」

国分「寝る時もそのままで?」

楓「頭が固定されて結構寝やすかったですよ」

茜「まったく動いていなかったのでちょっと心配しました!」

国分「適応力すごい」


楓「あ、早速回収しますか?」

国分「そうですね。では、失礼して……」

ズルッ

国分「すんなり抜けた……あっ、納豆っぽいにおいがする!」

茜「楓さんのいいにおいもします!」

楓「刺さってる時も普通に納豆のにおいが漂ってきましたし、1日置いたあとが楽しみですね」

国分「いや、これいいな。藁の香りが余計雰囲気出してる」

茜「においだけでご飯が進みそうです!」

国分「では、無事回収したので、また24時間後。完成をお楽しみに!」





~24時間後……

城島「24時間、待ったね」

山口「途中経過すら見てないからね。本当に開けてみるまで出来ているのかわからない」

長瀬「でもご飯は用意しちゃってるんで、何が何でも食べないと」

松岡「最悪、豆で白米食えばいいって」

国分「あと納豆と組み合わせ用にキムチとか置いてあるし大丈夫でしょ」

茜「ご飯大好きなので楽しみです!」

楓(お酒飲みたい……)


城島「じゃあ、開けるで……」


 緊張の瞬間

   果たして納豆は完成しているのか


ガサッ

山口「……おぉ」

長瀬「すげぇ、納豆みたいだ」

松岡「納豆作ってんだから納豆以外になんないだろ」

国分「表面がちゃんと白いね」

楓「粘り気はどうなんでしょう?」

茜「お箸をどうぞ!」


城島「おっ、すごい粘り気や!」

山口「香りがすごいな。普段食べてるものよりかなり強い」

国分「見た目は合格ときたら次は味だね」

松岡「誰からいく?」

城島「ここは作った本人やろ」

楓「……私ですか? ならお先に……茜ちゃん、ご飯はあとで貰うから」

長瀬「早くほかほかご飯にのせてかっこみたい」

茜「わかります! あのなんとも言えない香りがまた……!」


 粘り気、香りは十分

   なら味は……


楓「いただきます」

パクッ

モグモグ

山口「……どう?」

楓「……これは」

城島「これは?」


楓「間違いなく、これは納豆です」

楓「おいしいです。自分の髪の中で発酵したかと思うと、それも調味料になりますね」

城島「じゃあ僕らもいただこうか」

茜「みなさん、ご飯をどうぞ!!」

長瀬「おかわりもあるぞ!!」


山口「あー、なるほど。すごい納豆してる」

国分「味がとにかく濃厚だよね。少し草の風味があるのがまたいいねー」

松岡「料理の材料に使うよりは納豆そのものを楽しむってものかな」

城島「お酒飲みたい言うのもわかるわー。日本酒あたりが合いそうやね」

山口「ただ納豆苦手な人は無理だろうね。そんな人が自分で作ろうなんて考えないか」

長瀬「うめぇ!!!」ガツガツ

茜「ボンバー!!!」ガツガツ


国分「これスタンダードに刻みネギと卵黄って食べ方が一番かもなー」

松岡「キムチにごま油垂らしてみたけど、それでもしっかり納豆してるよ。強いわ、こいつ」

楓「がんばらねーば、ねーばねばぎぶあっぷ……」

城島「粘らんかと思ったけど想像以上に糸引くなぁ」

山口「普通に作ったやつも味に変わりはないね」

楓「プロデューサーもどうですか? 私で作った納豆ですよ」

城島「これは大成功って言ってええんやないかな」

山口「だね」



 結論

 高垣楓の髪で納豆は作れた!





凛「お疲れ様でー……」ビクッ

楓「凛ちゃん。お疲れ様」

凛「お、お疲れ様です……」

楓「どうかした?」

凛「いや、あの……楓さんの髪に……」

楓「これ? 藁苞」

凛「なんでそんなものを……」


楓「今、サインを書いてるんだけどね」

凛「はい……」

楓「なんだか集中出来るの」

凛「……はぁ」

楓「わらわらとやる気が満ち満ちてくるの。藁だけに」

凛「そう、なんですか……」

楓「凛ちゃんもいつかわかる時が来るわ」

凛(わかりたくない……)


凛「……そういえば、バラエティに初めて出たんですよね」

楓「えぇ。とても楽しくて、面白い現場だったからまた出たいかなって」

凛「なんで今更出ようと?」

楓「……私は歌のお仕事も、バラエティも、ドラマも、そこには差なんてないと思うの。どれも同じくらい大事なもの。
  今まで出なかったのは単にオファーがなかっただけで、私としては来る仕事を選り好みせず、
  なんでも挑戦したいって、プロデューサーにお願いしてるの(以下略)」

凛「楓さん……」ジーン

楓「ファンの方と一緒に歩んで行きたいもの」

凛「そう……そうだね……うん」

ガチャッ


P「おー、凛、いたいた。オファー来てんだけどさ、ちょっと確認しようと思って」

凛「……プロデューサー。やるよ、私」

P「え、即決? マジか、ならすぐ先方に連絡するわ! まだ先の話になるんだけど、宮川大輔さんと一緒に水戸市で行われる納豆早食い世界大会に参加な!」

凛「うん……!」



凛「……えっ」

楓「Never say never、ねばねばー……ふふ」


おわり

納豆イチゴパスタが出ないだけで世界はこんなにも平和なんだと思った


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