俺には誰にも言えない秘密がある。
提督「―――ってことで、天龍、龍田と電と雷と響と時雨と一緒に
遠征に行って欲しいんだけど、大丈夫かな?」
天龍「オウ!任せとけって!弾薬でもボーキでもなんでも拾ってきてやるよ!」
絶対に知られたくない秘密がある。
提督「あ、そうそう。一週間位前だったんだけど、今日の遠征ルートで深海棲艦が出たって報告が
別の鎮守府であったんだよね。まぁだいぶ前だから多分大丈夫だけど、一応気をつけてね。もし出会っても逃げていいから」
天龍「おいおい俺を誰だと思ってんだ?俺がいるのにどうにかなるわけ無いだろ?
例えばったり敵艦と遭遇しようが、その時はソイツ等の首を手土産にしてやるよ」フンスッ
提督「……そう。じゃ、お気をつけて」
天龍「へいへーい♪」ヒラヒラ
ガチャン
俺はこの鎮守府で建造されてから、ずっと秘密を抱え続けている。
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コツコツ
[天龍・龍田の部屋]ガチャン
俺の秘密、それは……
天龍「…………ッ」
天龍「無理だああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」ぶわっ
天龍「無理だ!無理だ!!無理だ!!!俺なんかが『遠征』なんて重大な任務出来る訳が無い!」
天龍「絶対失敗する!絶対事故る!ましてや俺みたいなヘボ軽巡艦娘が
深海棲艦に会ったら沈められちまう!絶対に死んじまう!」ガタガタガタガタガタガタガ
現存する『天龍』の中でもブッチギリの臆病者だということだ。
遠征はもちろんの事、戦闘、演習、改修、等々。
俺は自分に自身が持てず、すぐにマイナス思考で考えちまう。
天龍「提督も提督だよ!なんで俺を毎回遠征に行かせるんだよ!
俺より優秀な軽巡なんていくらでもいるじゃねぇかよ!神通とか!多摩とかさぁ!」
人前では他の『天龍』と同じように身の程知らずで、自信家で、戦闘好きっぽく振舞いこそするものの、
いつだって俺の中には不安と恐怖が渦巻いている。
天龍「今まで上手くいってたのはまぐれだったんだ!今度こそ失敗する!見損なわれる!」
天龍「皆に役立たずだってバレちまう!最初は慰めてくれるかもしれねぇけどそこからスランプに陥って
失敗続きでいつか白い目で見られるんだ!あいつはもう終わったんだって言われるんだ!」
天龍「嫌だぁ!行きたくねぇよぉ!」
バサッ
俺はベットの中に潜り込んで縮こまる。一人の時は、ベッドの中が一番安心できる場所だからだ。
天龍「でも行かなきゃ命令に背くってことだよなぁ……。畜生、行くしかねぇのかよぉ……」ブルブルブルブル
天龍「あぁそうか、俺、今日死ぬんだ」ピタッ
天龍「……遺言書かなきゃ」バサッ
ガサゴソ
シーツに身をくるんだままベットから出て、机の引き出しから紙とペンを取り出す。
俺は何時でも遺書が書けるように、普段から紙とペンを持ち歩いている。
海の上だろうがトイレの中だろうがすぐにかけるように、服の中にだって忍ばせている。
天龍「えぇっと……ま、まず龍田だよな……」
俺より先に着任していた最愛の妹である龍田には、いつも迷惑をかけてきた。
だから俺は遺書を書くときは必ず龍田に伝えたい事から書き始める。
天龍「こ……『この度は』……」カキカキ
ガチャ
誰かが部屋に入ってきた。
ヤバイ。
遺書書いてるとこなんか他の艦娘に見られたら俺の本性がバレちま!
龍田「……天龍ちゃん?」
龍田だった。俺の妹。俺が唯一本性を曝け出せる相手。
バサッ
天龍「龍田ぁ!」
龍田「きゃっ!?」
ドサッ
部屋に龍田が入るやいなや、俺はシーツを捨てて龍田をベットに押し倒す。
天龍「龍田龍田龍田龍田龍田~~~~~~~!!」むぎゅうううう!
龍田「天龍ちゃん……」
俺は龍田の胸に顔をうずめて抱きしめると、龍田は優しく頭を撫でくれる。
龍田「どうしたの?また遺書書こうとしてたでしょ~?」
天龍「ううう……だってぇ……」グスッ
龍田は俺の臆病な性格を知っている。知った上で受け入れて、いつも励ましてくれる。
俺がこれまで他人の前では強がれていられたのも、全ては龍田のお陰だ。
龍田「……そっかぁ。今日遠征行くんだねぇ~」
天龍「うん。でも、俺自身なくて……もし予想外の事態が起こっちまったら絶対対処なんか出来ねぇよぉ」
龍田「大丈夫、大丈夫~今日も上手く行くよ~」
天龍「でも深海棲艦に会っちまったら今度こそ死んじまうよぉ!生きて帰れても俺がビビリだってバレちまうよぉ!」
龍田「だーいじょ~ぶ」ぎゅっ
天龍「ぁぅっ」
龍田はそっと抱きしめてくれる。背中を撫でて、優しく語り掛けてくれる。
俺はこれに弱い。
龍田「天龍ちゃんは皆の期待に答えられる子だよ~。やれば出来る子だもん」
天龍「そうかなぁ……」
龍田「そうだよ~。私はちゃ~んと天龍ちゃんの事見てきたもん。
天龍ちゃんは自分で思ってる程弱くないんだよ~。大丈夫大丈夫~」
天龍「……分かった。俺、頑張る。……ギュッてしていい?」
龍田「いいよ~」
天龍「ありがと。俺、龍田の匂い嗅いでると安心する」ギュッ
龍田「私もだよ~」ぎゅっ
龍田は柔らかくて、温かくて、ほっとする。
この瞬間が、俺は一番大好きだ……。
~~~~
ザザーン!
天龍(艤装良し、刀良し、弾薬良し、燃料良し、服装良し、髪型良し、眼帯良し、呼吸良し、脈拍良し、視界良し、遺書良し……)ブツブツブツブツ
天龍「ッしゃあ!オメェら行くぞ!しっかり天龍様について来ねーと置いてくぞオラー!」ザパーン!!
龍田電雷響時雨「「「「「ハーイ!」」」」」
実際のところ、天龍は自身を過小評価してはいるものの、よほど無茶な事でもない限り与えられた任務は必ず成功している。
それでも、彼女は些細な事で自信を無くしてしまうため、その成功は偶然だとかまぐれだったなどと思い込んでしまう。
しかし、やはり彼女の実力は確かにあるもので、
天龍「燃料みーっけ!」ザバァ
雷「お~!相変わらずすごいわね。天龍さんって!」
電「ほとんど天龍さんが資材を見つけてるのです」
響「(『目敏いよね』とか言ったら龍田に怒られそうだからとりあえず)ハラショー……」
時雨「ねぇ響、今の間は何?」
龍田(頑張ってる天龍ちゃん可愛いなぁ~)
~~~~~
天龍「よーし。これくらいで良いだろ。オーイお前らー!そろそろ帰るぞ~!」
龍田電雷響時雨「「「「「ハーイ!」」」」」
ザザーン
■■『…………』
天龍(やったやった上手くいった♪)
龍田の言った通りだった。
俺はやれば出来る子だった。
今日の遠征は大成功だ。提督だってきっと満足してくれる。
天龍「♪~~♪~♪~」
電「天龍さんがご機嫌なのです!」
雷「珍しいわよねぇいつも『戦いてぇ~』とか『撃ちまくりてぇ』とか文句言ってるのに」
時雨「なんだかんだ言ってもちゃんと任務はこなすよね。きっと心の底には
艦娘としての誇りっていうのがしっかりとあるんだろうね~」
龍田(うきうきしてる天龍ちゃん可ぁ~愛い~♪)
響「…………?」
―――……ヒュルルルル
響「!? 電危ない!」
電「え?」
天龍「んあ?」
響が突然叫んだ。俺が振り向いた瞬間、
電「あっ!?」
響が電を横に突き飛ばして、
ズドーーーーン!!
響が、爆撃された。
雷「響ィーーーー!」
電「嫌ああああああああ!?」
天龍「……え?」
何が起こった?
今、響が……
時雨「敵の艦載機だ!10時の方向に空母ヲ級を確認!」
時雨が何か言っている。
電「響ちゃん!響ちゃーん!」
雷「電ダメ!響はもう……」
手を伸ばす電を雷が抑えている。
響が艤装を炎上させている。
黒煙を上げながら、響の体が沈んでいく。
海の中へ
海に……
龍田「天龍ちゃん!敵が来てる!」
天龍「え?……あ……」
時雨「まずい……ヲ級以外にも戦艦ルが一隻!イ級も2隻来てる!」
天龍「う、あ……」
時雨「天龍?」
天龍「……だ」
龍田「天龍ちゃん?」
天龍「俺のせいだ……」
龍田「え?」
天龍「どうしよう……俺のせいで響が!」
時雨「天龍落ち着いて!敵がすぐそこまで来てる!」
天龍「やっちまった……俺がミスったせいで!」
時雨(なんてことだ……ショックで天龍が混乱してる!?)
時雨「…………」
カチッ
僕には誰にも言えない秘密がある。
ドウンッ!
雷「何!?」
電「え?」
龍田「これは……煙幕?」
絶対に知られちゃいけない秘密がある。
雷「ちょ、ちょっと何これ!周りが見えなくなってくる!!」
電「雷ちゃん!」
雷「電!手放しちゃダメよ!龍田さんもほら!」
龍田「天龍ちゃん!」ザザァ!
雷「ちょっと!……そうだ時雨!時雨は!?」
僕は今の鎮守府に着任した時から、ずっとその秘密を抱えている。
雷「あれ?……時雨?どこ行っちゃったの時雨ーーー!?」
ヲ級「?……!?……!!」
空母ヲ級は混乱していた。
艦載機によって艦娘を発見し、奇襲を仕掛け、見事駆逐艦娘一隻を撃沈させたものの、
突如爆発するように発生した謎の『霧』によって艦娘はおろか、味方をも見失ってしまった。
『テレパシー』を送ってみるものの、返答なし。
無視されているというよりは、まるでノイズが掛かって繋がらないような感覚だった。
そのせいで艦載機に発進を伝達することも出来ない。
このテレパシーによる仲間との交信を妨害されるなど今までに無かった。
人類はおろか、最前線で戦う艦娘にすら、テレパシーが仕えるという情報が知られた事自体そもそも無いのだ。
妨害など、出来るはずが無い。
では一体何故テレパシーが繋がらないのか……。
時雨「『ジャミングミスト』」
ヲ級「!?」
背後を振り向くと、ほとんど白く染まってしまった霧の中に一人の駆逐艦娘が佇んでいた。
時雨「深海棲艦が同族とのコミュニケーションとして用いられる『テレパシー』を妨害し、
同時に、空母等が操る艦載機を無力化するナノマシンを散布したんだ。これで君はもう何も出来ない」
ヲ級「…………?」
こいつは一体何を言ってるんだ?ヲ級は僅かに首を傾げる。
僕の秘密……それは
時雨「訳が分からない?良いんだよそれで。この時代の君達には到底知り得ない情報だからね」
時雨「……ごめんね」
時雨「本当なら君を……君達を保護して元に戻してあげなきゃならないんだけど、
この時代にはそれを可能にするだけの技術はまだ無いし、あったとしても、この時代に
『装置』を作るわけにはいかないんだ。歴史が狂っちゃうからね」
時雨「そういう意味では響にも謝らないとダメだよね。本当は『レーダー』で艦載機が狙ってる事は
分かってたのに、この時代の『時雨』にはそこまでの索敵能力が無いって理由で、分かってても僕は
無視したんだ」
時雨「本当、嫌になるよ。自分が生まれた時代よりずっと昔の時代で過ごすっていうのはさ」
僕、駆逐艦時雨は『未来人』だということだ。
とある任務で、僕は23世紀の未来から、21世紀のこの時代にやってきたのだ。
時雨「あぁ、なんでこんな事君に教えるのかって?」
時雨「冥土の土産……かな?」スチャ
僕はヲ級に向かって拳銃を構える。
勿論、この時代の拳銃ではなく、23世紀の技術によって作られた拳銃なんだけど。
時雨「じゃあね……本当にごめん」
了っす。
ちなみに最初に建造して出てきてくれたのは神通さんでした。かわいい。
ワイ「この天龍はおもろいやんけ!読んだろ!」
ワオ「ファッ!?未来人ってなんや!?」
あれ~おかしいなぁ~そこまでウケるネタだったかなと首傾げて
スレ開いて見てみりゃなんてこった。
最後の方間違えて没ネタ投下してたよ。リメイクしてた奴投下してたのに……。
ごめんだけど>>11からの未来人時雨のくだりは無しで。
次投下するときは>>10の続きからになります。
ちなみにリメイクも全体的にキャラ崩壊してるから注意。
天龍がビビリだけど他の奴等も大概キャラ崩壊してるよ~ってノリのSSだから
まぁカオスにはなるよ。
ワイ「なんや間違いなんか…」
ワオ「ファッ!?間違いってなんやねん!?」
まさか23世紀でこんな事になるとは思わなかった。
まぁ「23世紀はねーわ」って自分でも思ったから没ったんだけど。
なんか多分このまま続けても荒れそうなんで依頼出しますわ。
ごめんね。せっかく色々書き込んでくれたのに。
今度はこんな間抜け晒さないようにする。
貴重な時間をありがとうね (・ω・)b
マジで?他あるなら教えて。
サンキュー。
センス磨くわ(・ω<)b
俺頭悪いしコミュ力低くて他人への気遣いの無さとか察しの悪さは自覚してる。
だから『ヒント』なんて書かれても逆に分からん。
ここがダメだってんなら、率直にそう書いてくれた方が身に染みる。
なるほど。ありがとう。
ありがとう。気を付けるよ。
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