一夏「ラウラ・ボーダフォン?」(23)


「違う!ラウラ・ボーデヴィッヒだ!」

一夏「おいおい、そんなムキになるなよ」

「だいたいあんなものとこのラウラを
 一緒にしてもらっては困るぞ、嫁よ」

一夏「携帯電話なのによく喋るなぁ…」

「ふふん、なんといってもドイツの
 最新式の会話アプリだからな!」

一夏「ふ~ん…」

「あっ!こら、アプリを閉じ―」


「―たらダメだぞ、嫁よ」

一夏「ん?続きからなのか?」

「続き?一体なんのことだ?さっきから
 時間は…ん?一時間経っている?
 嫁!これは一体どういうことだ!?」

一夏「いや、ご飯食べてただけだよ」

「そうか、ならしかたないな」

一夏「あ、これ音声入力なんだな」

「む、会話アプリだからな。もちろん
 文字を入力しての会話もできるぞ!」


一夏「ふ~ん…じゃあせっかくだし
   入力してみようかな…えーと…」

『おはよう』

「おはよう…と返したいところだが
 今は昼だからこんにちは、
 ではないのか?」

一夏「はは、だけど"おはよう"ってのは
   どこでも使える挨拶なんだぜ?」

「なんと。さすがは私の嫁だな!」


一夏「う~ん…」

「む?どうした?嫁よ」

一夏「その"嫁"っていうのはなんだ?」

「ああ、なんだそんなことか。どうやら
 日本では 気に入った相手の事を"嫁"と
 呼ぶらしいじゃないか。私は私を
 選んでくれた嫁が気に入ったのだ!」

一夏「そうか。でもなぁ…」

「む?」

一夏「嫁、というのは正しくは男の妻、
 つまり女性の方が嫁になることなんだ」

「なに!クラリッサから集めた情報は
 嘘だというのか!?」


一夏「ある意味、間違ってはいないけど…
   ん?クラリッサ?」

「ああ。説明していなかったな。
 クラリッサとは私が情報を集めるための
 ツールの名称だ。覚えておくといい」

一夏「ツールねぇ。あ、嫁の話は―」

「お互いに相手が嫁だというのだろう?
 どこに問題があるというのだ?」

一夏「……」

「……」

一夏「…まぁ、いっか」

「うむ」


一夏「さて、どうしようかな…ん?」

「む、クラリッサからの新しい情報だな」

一夏「あぁ、この変なマークは
   更新が来た時の記号なのか」

「な、なにっ!嫁となる相手にはその
 姿を相手に見せなくてはならないだと!」

一夏「え、姿あるの?」

「う、うむ…クラリッサが私の姿を
 画像で送るから受信してくれとのことだ」

一夏「…ん。来たみたいだな」


一夏「ぶはぁっ?!」

「よ、嫁?!一体どうしたというのだ!?」

一夏「銀髪ツインテのビキニに…
 さらにもう一枚はスク水ニーソの
 ポニーテールが来るとは…」

「日本の男児はこれが喜ぶとクラリッサが
 情報を集めてくれたからな!」

一夏「ラ、ラウラ…」

「どうした嫁よ」

一夏「すごく、似合っているぞ!」

「なっ……!」

一夏「しかもこれ!すげーかわいい!」

「か、かかかか可愛い!?」


一夏「ああ!正直、携帯だからと
   馬鹿にしていたけど!ラウラ、
   おまえってかわいかったんだな!」

「そ、そうか」

一夏「ん?どうした?なんか熱いぞ
   オーバーヒートでもしたか?」

「な、なななななんでもにゃいぞ!」

一夏「噛んだ…最新科学なのに…」

「そ、そういう機能だ!」

一夏「ふ~ん…」

「ク、クラリッサもそう言っているぞ!」


一夏「あっ…そういえば」

「む?」

一夏「まだ文字入力を一回しか
   していなかったな」

「そうだな。嫁、私は寂しいぞ!」

一夏「わかったわかった。ほら、今から
   入力してやるから静かにしなさい」

「うむ」

一夏「さて、しかし何を入力…あ!
   ラウラ、これは単語を一つだけ
   入力しても会話は成り立つのか?」

「む、それはあまり好ましくはないが
 嫁の頼みとあらば単語に関する私の
 知識あるいは感想ぐらいは言うぞ!」

一夏「なるほど…じゃあ…」

『犬』


「犬か。あれは良いものだ。なんと
 いってもあの強さとかわいさを備えた
 ものは他にないだろう。小型犬は
 抱くのにちょうど良い。またドイツの
 特殊訓練犬は普段はあんなに速くて
 強いくせに餌の時間になると律儀に
 姿勢をよくして早く餌をくれと言わん
 ばかりのあの瞳と…」

一夏「ま、待て!」

「む?」

一夏「ちょっと長すぎやしないか?」

「気のせいだろう。さ、嫁!早く文字を!」

一夏「わかったから落ち着けって」

「むー…」


少し落ちます。

今日の夕方にまた書きに来ますので

ついでに宣伝

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携帯用のurlしかわからない('a`)


喧嘩しちゃやだよ(´・ω・`)



一夏「その…なんていうか物事はだな」

「む?」

一夏「長過ぎるのはダメだと思うんだ」

「ならば"犬"に対する答えは
 "かわいい!""強い!"でいいのか?」

一夏「いや、短すぎてもダメだ」

「難しいことを言うな、嫁」

一夏「それも会話の一つだよ」

「むむ…」

一夏「それじゃあ次に行こうか」

「うむ」


一夏「それじゃあ次も単語で…」

「待て、嫁よ」

一夏「なんだ?」

「せっかくだから会話がしたい」

一夏「なに言っているんだ。会話なら
   さっきからやっているじゃないか」

「違う。そうじゃない。入力でだ」

一夏「入力?」

「そうだ。単語を入れてそれに対する
 何かを言う。それではまるで私は
 ちょっとした辞書のようではないか」

一夏「携帯電話なのに」

「嫁よ、私は会話のためのアプリだ」

一夏「知ってるよ」

「うむ、わかればよろしい」


一夏「でも会話なら、この音声入力の
   ほうが便利じゃないか」

「そうだな」

一夏「あ、でも…」

「どうした?」

一夏「こういう恥ずかしい言葉なら
   文字入力が役立つかもな」

「?」

『大好きだよ』

「なっ…ななななななにを!?」

『愛してる』

「よ、嫁!これ以上は…!」

『結婚してくれ』

「…なっ…ぁぅ…」

一夏「ん?フリーズしてしまった?
   例えばの話でこういうのはどうかな
   と意見を聞きたかったのになぁ」


一夏「ラウラー?」

「……」

一夏「…ラウラ・ボーデヴィッヒさーん?」

「嫁に名前を初めて呼ばれた気がした!」

一夏「うわっ…びっくりした…名前って
   …フルネームで呼んだだけだぞ?」

「うむ。そこはかとなく嬉しいぞ」

一夏「そんなもんかー」

「そんなものだ」

一夏「ま、これからもよろしくな?」

「うむ!明日はもっと会話するぞ、嫁よ!」


一応、これで終わりです

ネタがあればまた夜にでも書きます。

ありがとうございました

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