勇者「……はぁ」魔王「こんばんわ」(66)


王「知っての通り、我々と魔王軍は現在交戦中である」

勇者「はい」

王「そこで今回、ヤツらとの交渉で代表者を決めて戦わせるというものになった」

王「勇者よ……、我々の命、そなたに預けよう」

勇者「承知しました。命に代えても、必ず魔王を――」





大魔王「……というわけでだな、大量虐殺を行うような非生産的な行動はやめようと決めたのだ」

魔王「なるほど、それで代表者を決めて」

大魔王「左様、勝利した方がヤツらの領地を奪える。比較的平和にだ。頼んだぞ」

魔王「承知。必ずや勝利してみましょう――」


勇者「場所は1ヶ月後に迷いの森、それまでは両軍で監視をする、か……」

僧侶「ええ、そのようですね」

魔法「あーあ、タイマンってのがなぁ、一人でやれんの?勇者」

勇者「やれるさ、やるしかないんだ」

戦士「ガハハッ!そうだな!オイ、ちょっと手合わせでもするか?」

勇者「そうだな……頼むよ!」

戦士「よしきた!」

魔法「脳筋は単純だねぇ……」

僧侶「いつもの光景ですね……」



魔王「というわけだ」

竜人「大変でございますね」

斬鬼「ギヒッ、おもしれェ!!勝てよな、大将」

呪術「必勝祈願の呪いでもかけておきましょうか?」

魔王「呪いではなく、祝福系の魔法はないのか?」

呪術「あるわけないでしょう」キリッ

竜人「魔王様を殺す気ですか……」

呪術「やだなぁ、冗談ですよ。勝利を祈っておきます」

魔王「うーむ、複雑だ……」



――決戦3日前――

迷いの森周辺


勇者「あっという間に時間は過ぎていきました」

勇者「うーん、テントで寝るのも久々だな。決戦は3日後、はぁ……気が重い」

勇者「寝て起きて、寝て起きて、寝て起きたら決戦……緊張するなぁ」

魔王「こんばんわ」

勇者「はい、こんばんわ」

魔王「魔王です。よろしく」

勇者「よろしくーって、えぇええええええええ!」

魔王「うるせえええええええええええええ!」

勇者「す、すみません……」

魔王「いえ、いきなり尋ねたこちらも悪いです、すみませんでした」




勇者「……いきなりのエンカウントでビックリしています」

魔王「バトルではないですよ、安心してください」

勇者「ほぅ……。して魔王さん、どうしてこちらに?」

魔王「実は、少しお話したい事がありまして」

勇者「はい、なんでしょう」

魔王「今回の決闘ですが……どうお考えですか?」

勇者「……正直、気が乗りません」

魔王「どうしてでしょうか?」

勇者「実は――」



魔王「なるほど……ここで決着をつけても、戦争は終わらないような気がすると」

勇者「はい、正直、茶番というか……根本的な解決にはならないように思います」

魔王「ふむ、実は私も同じようなことを考えていたのです」

勇者「魔王さんもですか」

魔王「ええ、人間と魔物は今まで長い間、戦争していますが、ここ最近は戦力が拮抗していますね」

勇者「そうですね」

魔王「おかしいと思いませんでしたか?今まで、何度もピンチな時があったでしょう。しかし、その度に人間達は盛り返した」

勇者「……」

魔王「敗北必至の状況から勝利をしたことが今まで何度あったでしょうか?」

勇者「まさか……」

魔王「ええ、仕組まれています」

勇者「仕組まれて……」

魔王「わざと殺さず、わざと奪わず、わざと滅ぼさないのです」

勇者「一体何故!どうしてですか!?」



魔王「遊んでいるのですよ」

勇者「え……?」

魔王「我々を取り仕切っている大魔王は、人間達を使って、ただただ遊んでいるだけなのです」

勇者「そんな!俺達をなんだと思っているんだ!」

魔王「お願いです。私だけでは大魔王は倒せません。共に戦っていただけないでしょうか」

勇者「!? どういうことですか?」

魔王「むやみやたらにな遊びに付き合わされる身になってください。正直、我々もうんざりしているのです」

魔王「……出来る事なら、静かに暮らしたい。そう考えているものも多数いるんです」

勇者「……あ、ありがとうございます。でも本当に良いのですか?反乱のような形になりますが」

魔王「構いません。信頼出来る仲間を数人連れて来てください、決戦前日に……大魔王を倒しましょう」

勇者「わかりました」

魔王「貴方が話のわかる勇者さんで良かった……本来なら、ここで斬られていてもおかしくなかったのですから」ニコッ



勇者「――というわけなんだ」

魔法「すっごい話ね、それ」

戦士「オウオウ!いいじゃねぇか!」

僧侶「神よ……これもお導きなのでしょうか?」

魔法「信じられるの?その魔王さんは」

勇者「そうだね、僕は……信じてみようと思った」

勇者「テントに来てくれた時、本当に無防備で、すぐに殺すことが出来るぐらいだったんだ」

勇者「死を賭して来てくれたんだ、僕は、信じたいよ」

戦士「なるほどな!ガハハッ!いいじゃねぇか、俺も信じよう!」

僧侶「私もついていきます。回復役がいないと大変でしょう」

魔法「はぁ……、じゃあアタシも行くよ。大魔王ってんだし、強いんだろ?」

勇者「みんな、ありがとう……!!」




魔王「というわけで、作戦の決行は2日後だ」

竜人「かしこまりました」

呪術「わくわくしますね!!楽しみです!!」

斬鬼「ギヒヒッ!ついに大魔王様を斬れるのか……胸アツッ」

魔王「順調に作戦は進んでいる……大魔王……もうすぐだ……」

呪術「祝福の呪いをかけましょうか?」

魔王「あるのか?」

呪術「……それ!ルカナン!」

*魔王には効果がないようだ!

魔王「やっぱりないのかよ!」



*竜人の守備力は下がった

竜人「ぐおーっ!守備力がぁ!」

*斬鬼には効果がないようだ!

斬鬼「お前、守備力系の呪文きくのか」ニタァ

*斬鬼のこうげき 痛恨の一撃!

竜人「ぎゃぁああああああ!!!!111」

呪術「ほいっ、バギクロス!」

竜人「ごわわああああああああああ!!!!11」

斬鬼「ヌグッ いってェなァ……」

魔王「むうっ、いい加減にしろ!」

呪・斬「テヘペロ☆」

竜人「……」ピクピク

魔王(かわいそうなヤツ……)

――決戦前日――


勇者「魔王さん」

魔王「信じて頂いてありがとうございます」

斬鬼「コイツ等が勇者の仲間ねェ……うおっガタイいいなっお前!」

戦士「ガハハッ!なんだぁ、でっけぇ包丁持ってんじゃん!」

呪術「よろしくお願いします」

魔法「こちらこそ」

呪術「あの……良ければお近づきの呪いでもどうでしょうか?」

魔法「バシルーラ」

*呪術には効果がないようだ!

呪術「じょ、冗談ですよう……(あぶねーっ あぶねーっ)

竜人「よろ……しく……」

僧侶「なんでこの方だけもうボロボロなんですか……?ベホマ!」

*竜人の体力が全回復した!

*竜人が仲間になりたそうにこちらを見ている!

――大魔王城――


魔王「準備はよろしいでしょうか?」

魔法「割と良い城よねぇ」

魔王「無駄に広いんですよ、あ、皆さん、能力アップ系の魔法使っておいてくださいね」

僧侶「え?でも戦闘が始まらないと積めないんじゃ」

呪術「ヤだなぁ、僕らと一緒にいる時点で、戦 闘 中ですよ☆」

竜人「能力ダウン系の呪いはいりませんからね」

僧侶「なるほど、スクルト!ピオリム!」

魔法「バイキルト!」

僧侶「魔王さん達もこちらへ」

魔王「ありがとうございます」

斬鬼「ギヒヒッ!腕が鳴るねェ!」

戦士「そうだな!ボコボコにしてやるぜ!」

――大魔王の間――


大魔王「魔王よ……貴様……」

魔王「お察しの通り、謀反ですよ」

魔王「貴方のやり方は間違っている!潔く、ここで散るがいい」

勇者「平和の為、覚悟してください……!」

大魔王「愚かな、真実を知らぬものどもよ……勇者。話を聞けい」

呪術「問答、無用ってね!ベギラゴン!!」

大魔王「ぐぅ!貴様ぁ!」

竜人「大魔王様は本体・右腕・左腕のパーツに分かれて判定があります」

竜人「まずは能力ダウン系の呪文をかけてくる、やっかいな左腕を狙いましょう!」

戦士「あいよぉ!」

大魔王「ぐぉぉ……聞く耳を持たぬか……」

*大魔王右腕はメラゾーマを唱えた!

魔法「させないよ、マホカンタ!」

*メラゾーマを跳ね返した!

魔法「もいっちょ喰らいな! メラゾーマ!」

*大魔王右腕を倒した

大魔王「ぐおおおおおおっ!」

大魔王「貴様らぁぁぁあああああ!!」

*大魔王はイオナズンを唱えた

*イオナズンを跳ね返した!

大魔王「ぎゃああああああっ!?」

僧侶「お忘れですか?張ってますよ、マホカンタ」

勇者「はぁああ!」

*勇者のギガスラッシュ!

*大魔王と大魔王左腕に大ダメージ!

竜人「スゥゥゥーッ」

*竜人ははげしいほのおをはいた

魔王「これは熱そうだな、どれ、冷やしてやろう」

*魔王はマヒャドを唱えた

僧侶「風があると、より冷たと感じるんですよ」

*僧侶はバギクロスを唱えた

大魔王「ぐおおっ おおおおおおおっ!!」

魔王「勇者さん!いまです!!」

魔法「勇者!」

僧侶「勇者様!」

戦士「やっちまいな!」

呪術「ルカニ」

*大魔王には効果がなかった!

斬鬼「ゲヒヒッ!やるねェ」

竜人「我々の、勝ちです」

勇者「ウオオオォォォ!!」

*勇者はアルテマソードをはなった

勇者「終わりだぁぁぁああああ!」

大魔王「ぁ"――」

*大魔王をたおした

勇者「これで……終わった……」

竜人「お疲れ様です」

魔法「なんだか、あっけなかったわね」

呪術「結果フルボッコでした」

戦士「ガハハッ!やってやったぜ!」

斬鬼「ギヒヒッ!今夜は飲もうぜ!なぁ戦士!」

僧侶「これで平和に……」

魔王「本当にありがとうございます」

魔王「これで、これでようやく平和に――」











魔王「 な る と 思 っ た の か ? 」

竜人「え"っ……」

*魔王は竜人を背中から斬り裂いた!

勇者「なっ、何を!?」

竜人「ガッ ヒュッ ハッ ヒュゥー」

僧侶「大変……、回復を―― 魔王「させんよ」

*魔王はマダンテを唱えた

魔王「消・死・飛・べ」





…………………………


…………………


………

――????――


勇者「……ガ、ァア――」

勇者「ギギ、痛ゥ」

勇者「ゴゴバ……」

勇者(喉がやられているのか……声が思うように出ない)

勇者(あの時、何が起こった……?)

勇者(僕が……大魔王を倒してから……)

勇者(クソッ、思い出せない……)

勇者(とりあえず、ここに居続けるのは危険だ……移動しよう……)



*saveしますか?

→ はい
  いいえ



*saveしました



「おきなさい。おきなさい、わたしのかわいい****や……」

母「今日はとても大切な日。****がお城に行く日だったでしょう」

母「この日の為に、お前を勇敢な男の子として育てたつもりです」

母「さあ、顔を洗って、お城へ行ってらっしゃい!」




――城内――


王「よくぞ来た、勇敢なる戦士、****よ!」

王「くっくっく」

王「まぁ、そう硬くならずとも良い」

王「楽にして良いぞ」

王「そなたには、我々の置かれている状況を簡単に話しておこう」

王「5年前、大魔王軍と我々の軍の代表者とで一騎打ちの決戦を行うという話は覚えておるか?」

王「そして、我々の代表者が土壇場で逃げ去った、あの日の事を――」

――5年前のあの日――


勇者「ハッ ハ ハァ ガ ヒッ ハ グ……」ズリズリ

勇者(クソ、目が霞む、力が入らない、思うように身体も動かない、……ああ、何がなんだかわからない)

勇者(……なんて、ははっ笑えるよな、何がなんだかわからないだと?)

勇者(そんなわけないじゃないか、わかっているよ)

勇者(魔王に、やられたんだ)

勇者(そんなこと、わかってる、よ……)ドサリ

勇者「ァ"――」

勇者(もう、駄目だ……)

??「……息が…ったの……ぶ…い……だな」

勇者(……だれだ?)

??「く……良い事…思いつ…いた」

??「…ーラ」

*最果ての街へ移動した

衛兵「なんだ貴様?ん、オイ、この人ボロボロじゃないか!」

勇者「……」

??「手当てしてやれ」ドサッ

衛兵「こりゃひどい傷だ!中に運ぶのを手伝ってくれ!!」

??「ルーラ」

*??はその場から立ち去った

衛兵「な!?ちょ、オイ!くっ、誰か!誰か来てくれー!!」




…………………………


…………………


………

――5年前のあの日から7日後――


勇者「……ぅ、ん」

少女「! もしもし、聞こえますか!?」

勇者「……あ、は、い。聞こえ、ます」

少女「良かった!」

勇者「ここは……どこでしょうか?」

少女「最果ての街ですよ、ここはその宿屋。良かった、もう7日も目を覚まさなかったんですよ!」

勇者「7日も……」

少女「しばらく安静にしていてください。すぐに温かい食べ物を持ってきますね」

勇者(……生きている。夢じゃない)

勇者(他の皆は……どうしたんだろう……)

少女「お待たせしました、こちらに置いておきますね、食べられますか?」

勇者「ありがとうございます。大丈夫です、いただきます」

少女「良かった、食べ終わった容器はこちらに置いといてください」

少女「元気そうですが無理をしてはいけませんよ、安静にしておいてください」

少女「決して動き回ってはいけません」

勇者「わかりました」

少女「それと、最後に勇者様が持っていた持ち物は全てこちらに置いてありますので」

勇者「ありがとうございます」

少女「それでは、お大事に。少し出かけて来ますね」

*少女は部屋から出ていった

勇者(持ち物を確認してみるか)ガサゴソ

勇者(装備品をいくつか失ったようだ……鎧はまぁいいとして、剣を失ったのは痛いな)ガサゴソ

勇者(そういえば、あの少女、どうして僕が勇者だと知っていたんだろう……?)ヒラリ

勇者(ん?紙?)

勇者(!!!)

*勇者一行を発見した者に10000g

*更に、殺して連れて来た者には30000g

*勇者は大罪人である 決戦を目前にして敵前逃亡を行った

*断じて許してはならぬ あるまじき行為である

勇者「その仲間も同罪である」

勇者「以下に人相書きを記す」

勇者「……王より」

勇者(……)

勇者(……逃げなきゃな)

勇者(そういうことか……名も知らぬ少女さん、ありがとうございます)

勇者「……今日で勇者は終わりだね……僕は……」

勇者「僕は、これから……」











罪人「 た だ の 罪 人 だ 」

*勇者は罪人になった

――城内――


王「――その後、その代表者は見つかっておらん」

王「死んだのかどうかもわからん」

王「もし見つける事が出来れば、教えてはくれぬか?」

王「殺す必要はないのでな」

王「……」

王「少し話が長くなってしまったな」

王「それでは、だ」

王「****、いや、勇者よ……、我々の命、そなたに預けよう」

王「行けい!勇者よ!!まずはルイーダの酒場へ行き、仲間を集めるのじゃ!」

王「必ずや……魔王を倒して参れ!」




王「……頼んだぞ」


*saveしますか?

→ はい
  いいえ


*saveしました



――城下町――

「ふぅ、堅苦しかったぁ」

「ていうか王様から、行け勇者よ!、とか言われたけど、僕……」





「商人なんだけどなぁ……」





…………………………


…………………


………

商人「まっ、堅苦しいことを考えても仕方がないよね」

商人「大司祭様の神託によって選ばれたらしいけど……うーん、間違いじゃないのかな」

商人「でも何にせよ、これで外の世界が見られるんだもん、結果オーライオーライ!」

商人「ルイーダの酒場へ!レッツゴー!!」

――ルイーダの酒場――

店主「いらっしゃーい!待ってましたよ」

商人「待ってたってどういうこと?」

店主「王様からお伺いしてましたよ!」

店主「精鋭を集めておきました!」

店主「カモォーン!」パチン

*店主は仲間を呼んだ!

*賢者が現れた 武闘家が現れた 盗賊が現れた

店主「それでは仲良くしてくださいね、それでは!」

商人「ちょ」

商人(……ええぇー、選択権なしなの?)

商人「えーと、はじめまして、商人です」

賢者「こちらこそよろしくお願いします。賢者です」

武闘家「……」ペコリ

盗賊「盗賊です、よろしゅうね」

商人(賢者さん85点、武闘家さん10点、盗賊さん55点)

商人(……職業から見ても賢者さんが常識人っぽいよね)

商人「これからよろしくお願いします。良かったら皆さんのことを知りたいので、少しお話をしませんか?」

賢者「そうですね、でも時間がもったいないので、訓練をしながらにしませんか?」

商人「訓練?」

賢者「ええ、そうですよ」ニッコリ

盗賊「とりあえず外に出ましょか」

武闘家「……」

賢者「商人さん、現在のレベルはいくつですか?」

商人「1です」

賢者「我々のレベルは99です」

商人(な、なんだってー!!)

賢者「私と盗賊は前魔王討伐ptの生き残りです」

盗賊「2年程前、新しい勇者様と一緒に魔王と戦ったのですが……」

武闘家「……」

商人「聞かせてよ、その時の話――」



賢者「5年前のことからお話しします」

――5年前、当時の勇者が魔王と決戦する直前で逃げ出した事は覚えていらっしゃいますか?

あの時、魔王は勝負の仕切り直しを要求してきました。

勝負にすらなっていない、意地を見せてみろ、と。

その準備期間として5年間、魔王軍は戦闘を仕掛けないというものでした。

――……王がそのお触れを出された。

――渋い声してるんですね、武闘家さん。

――そうなんですよー、たまに聞けるんですよね。

――こほん、話を続けます。

王様は逃げ出した当時の勇者を賞金首として周知。

そして新たな勇者を募りました。

国中から勇敢な者たちを集め、そして神託によって、勇者を選びました。

勇者は非常に勇敢な女性で、勇者と私、そして旅先で出会った盗賊と少し変わった魔法使いは順調に魔王城を目指していきました。

――後から、その少し変わった魔法使いは遊び人ということがわかったんですよね。

――ええ、最後の魔王戦の直前にわかったのですが、彼は非常に強力な魔法が使える遊び人でした。

まったく……、『魔王戦で皆さんが緊張で堅くならないように』って。困ったものです。

私たちが魔王城を目指していた理由は、魔王の暗殺。

暗殺、というより、不意打ちですね。王様よりそのような命が下っていたのです。

決戦の前に倒してしまえ、と。

葛藤はありましたが、私たちは魔王城へ辿り着き、立ちはだかる魔物たちを切り捨てて行きました。

魔王の間に行き着いた頃、私たちは3人になっていました。

勇者、盗賊、そして私。

遊び人は、後ろから追いかけてくる魔物を寄せ付けないようにと、一つ前のフロアに残りました。

魔王は笑いながら立ち上がると言い放ちました。

ようこそ、待っていた、と。

その言葉の意味するところはわかりませんでしたが、とてつもない悪意だけは確かに感じました。

まずは盗賊が襲い掛かり、それに合わせるように勇者が。

3対1という状況ながらも、私たちは苦戦を強いられました。

圧倒的な魔力、規格外の戦闘力。

死を身近に感じるやり取りの中、その時が来ました。

勇者が、笑ったのです。

この場に、およそ似つかわしくない、満面の笑顔。

次の瞬間、私と盗賊は魔王城の外に吹き飛ばされていました。

バシルーラ。

勇者によってルイーダの酒場に飛ばされた私と盗賊はすぐにルーラを唱え、魔王城へ向かいました。

魔王城に着いた私たちでしたが、既に魔王城には幾多の魔物が集まっていました。

とてもではありませんが、2人では太刀打ちできるものではなく……。

お恥ずかしい話ですが、私たちは再び……ルイーダの酒場へと、逃げ帰りました。

――次は私が説明しますね。

逃げ帰った私たちは途方に暮れました。

失敗した、という絶望感と喪失感。

しばらく私たちは立ち直ることが出来なかったのです。

でも、いつまでも悲しんでいるわけにはいきません。

王様へそのことを伝え、次の手を考えようとしたのです。

が、その時、事件は起こっていました。

今まで沈黙を守っていた魔王軍が動き始めていたのです。

魔王軍がいつ攻めて来てもいいように、常日頃から用意をしていた各拠点も心のどこかでは甘えていたのでしょう。

まだ大丈夫だ。まだ攻め込んではこないと。

相手は魔王なのに。

結果、領土のほとんどは魔物たちに蹂躙され、壊滅状態となってしまったのです。

何故こんなにも容易く拠点が落とされてしまったのかは、わかりません。

いきなり、大爆発が起こったと、皆口を揃えて言うのです。

それから私と賢者は各拠点を回り、生存者の救出を行っていました。

その途中、同じく救出活動を行っていた武闘家さんと出会い、パーティを組んだという次第です。

――ん?

……うーむ、わかったわかった、俺の番なんだな。

あまり話すのは得意ではないのでな……許せ。

俺はもともと王付きの親衛隊の一員だった。

魔王軍が動いたと聞き、俺は真っ先に除隊を申し出た。

……親衛隊は王のみの警護、また、王の命無しでは動けんからな。

腕に自身があったが故に、一人で飛び出して行ったよ。

人々の救出活動をする為、昼夜を問わず駆け回り、魔物と戦っている最中に賢者と盗賊に出会ったというわけさ。

一人では限界も感じてたしな、ちょうど良かった。

……共にパーティを組ませて貰い、様々な戦場を回ってみたが、仲間とは良いものだ。

1の力が、仲間と力を合わせることにより3にも4にもなる。

不思議なものだ……。

そんな俺たちが、共通して考えていることがあった。

神託の元、選ばれた勇者の存在だ。

………


…………………


…………………………



商人「それが、僕ってわけなんだ」

賢者「はい」

賢者(まぁ厳密に言えば違うのですが……)

盗賊「さーて、これからですが、はいコレ」

商人「これって、毒針?」

*商人は毒針を装備した

賢者「はぐれメタルを倒してもらいます」ニコリ

商人「え?」

賢者「ルーラ!」

――はぐりんの洞窟――


盗賊「おおっいるいるっ!大量だね!」

賢者「はぐれメタルの繁殖地です、偶然見つけました」

賢者「私達がここで暴れれば、この繁殖地から、はぐれメタルはいなくなるでしょう」

賢者「ですが、構いません。商人さんのレベル上げの為、散って貰いましょう」

商人「うーん」

*はぐれメタルが現れた

商人「まぁやりますか!」



…………………………


…………………


………


商人「どひぃー、つかれたぁー」

賢者「お疲れ様です、相当レベルも上がりましたね」

商人「おかげさまでレベル65になりました」

盗賊「おつかれさま」

賢者「さて」

賢者「それでは冒険を始めましょうか」

武闘家「……行こう」

盗賊「腕が鳴るね」

商人「……そういうこと」

商人「拠点を取り戻すんだね」

賢者「はい、そのとおりです」

賢者「気づいているかもしれませんが、ルーラは使えません」

盗賊「各拠点に術者を受け入れてくれる者がいないとルーラで飛ぶことはできないんだよね」

賢者「そうです。私が今飛べるのは先ほどまでいた城、魔王城、そしてここ、はぐりんの洞窟のみです」

賢者「はぐりんの洞窟については……今日まででしょう。皆殺しにしてしまいましたから」

賢者「そして魔王城、ここは何故ルーラが適応できるのかはわかりません」

盗賊「……」

賢者「ただ、いつでも飛ぶことができます」

武闘家「……返り討ちにあうだろうがな」

商人「今、魔王城にいきなり行っても意味がないよ」

商人「現在、僕達の状況は最悪だよね」

商人「魔王によって滅ぼされた拠点の人々を受け入れたあのお城には、人々が溢れかえってる」

商人「近々、深刻な食糧問題が起こるはずだよ」

武闘家「……俺が城にいた頃、城の備蓄は十分にあった」

武闘家「……しかし、まぁ時間の問題だろう。最短で2年といったところか」

武闘家「……状況は刻一刻と悪くなっている最中だしな」

賢者「拠点を取り戻し、土地を取り戻し、物流を正常化し、人々の安全を取り戻す」

盗賊「そして、魔王を倒す!」

武闘家「……」

商人「絵が見えてきたよ、その為の僕なんだね」

賢者「その通りです」

賢者「あなたは勇者ではありません、その資格もない、ただの商人です」

賢者「覚えていますか?5年前、勇者を募った際、あなたもそこにいましたよね」

賢者「神託によって選定されるその時、あなたは周りの人々を巻き込んで商売をしていましたね」

商人「そうだったかな……よく覚えてないよ」

賢者「あのピリピリした雰囲気の中、あなたの周りだけは笑顔がありました」

賢者「それで、私があなたを次の勇者に押しました」

商人「僕を外に連れ出す為だね」

賢者「そうです、あなたには勇者として人々に勇気を与え、そして拠点の復興に力を注いで欲しいのです」

盗賊「更に、勇者としての発言なら人々を導きやすいからね」

盗賊「その肩書きは商人としての才能をより引き出すものだと思うよ」

商人「おいしい餌まで与えて貰ってなんだけど……もし断ったら?」

賢者「あなたを殺すまでです」

賢者「私たちの手足にならない 勇 者 なんていらない」

盗賊(私の、だろうが……)ギリッ

武闘家「……」

商人(クレイジー!前言撤回、賢者さん5点、武闘家さん80点、盗賊さん55点)

商人(目が真剣すぎるよ賢者さん……)


商人(こ の 人 は 信 用 で き な い な )


商人「冗談だよ、僕も商人としての地位を築きたいし、利害は一致してる」ニコリ

商人「これからもよろしくね」

賢者「ええ、よろしくお願いします、商人さん」ニコリ

商人(賢者 lv99 女性 狂っているが実力者 少しの油断もできない人)

盗賊「これから厳しくなるよー、がんばろうね」

商人(盗賊 lv99 女性 冒険慣れしている常識人 手の内を見せてくれない間は、信用は出来ないが信頼は出来るだろう)

武闘家「……共に戦おう」

商人(武闘家 lv99 男性 寡黙な元王付の親衛隊 信用出来る 自己開示が少ないのが唯一のネック)

商人「まずは最初の城に戻ろうか」

賢者「そうですね、ルーラ」

商人(そして僕 商人 lv65 男性 勇者の肩書きを持つ 成り行きもあり、拠点の復興と魔王討伐が当面の目標)

商人(……ってところか。今は少し様子見だなー、目的がわからない相手と一緒にいるのは気を使うし)

商人(焦る必要はないよね、ゆっくり攻略していこうっと)

――最初の城――


盗賊「んーと、確かアッチの方向に拠点があったはず」

賢者「そうでしたね、では向かいましょうか」

商人「行きましょう、元々は騎士達が治めていた国があったはずです」




――魔王城――


魔王「ほぅ……なるほど、新しい勇者が選ばれたと」

??「はい、その通りです」

魔王「今度の勇者はどんなのなんだ?」

??「至って普通の青年に見えました」

魔王「ふむ……なるほど」

魔王「なら、お前、ちょっと行って遊んで来い」

??「私が、でしょうか?」

魔王「そうだ、新しい勇者がどんなものか試して来い」

魔王「わかっているな?失望させないでおくれよ、遊び人くん」

遊び人「……はい、かしこまりました」

魔王「私は報告を待つ事にするよ、内容が薄かったら最後に残った城も滅ぼすからな」

魔王「魔王じきじきに皆殺しにしてやるよ」

遊び人「……」ギリッ

遊び人「行って参ります」



魔王(さて、遊び人がどんな報告をするのか……少し楽しみだな)

魔王(少しは楽しませてくれよ、新しい勇者様とやら)

――廃墟と化した城――


商人「見事に朽ち果ててますね」

盗賊「アーンド、獣の巣になってるね」

賢者「物の数ではないでしょう、倒していきましょう」

武闘家「……とはいえ、消耗戦になる、頭を叩くぞ」



――廃城 3f――


商人「はぐれメタルとの闘いは決して無駄ではなかった」

賢者「当然です、はぐれメタルほど素早く硬い生物は少ないですから」

賢者「その動きに慣れている商人さんは、思っているほど弱くはありませんよ」

盗賊「話はそこまでかな、お待ちかねのボス戦が近いみたいよ」

武闘家「……」

トロルキング「グオオオォォォォオオオオ!!!!」

賢者「来ます!」

商人「大丈夫、動きは見えて……え?」

商人(誰かが物陰にいる?)

盗賊(二段構え!でも、でもアイツは!!)

*トロルキングの攻撃 しかし賢者は身をかわした

賢者(単調な攻撃……あたるわけもない)

賢者(私一人でも殺れる相手……このままメラゾーマで打ち抜く!)

遊び人「させませんよ、マホトーン」

*遊び人はマホトーンを唱えた 賢者は魔法を封印された

賢者「!!」

盗賊「やっぱり!遊び人!生きてたんだね」

盗賊「いや、生かされてるって言った方がいいかな?」

遊び人「察しが良くて助かります、今は魔王軍の一味です」

遊び人「賢者、盗賊、貴女達の驚く姿が見たかったのですが……」

遊び人「もしかして、想定の範囲内でしたか?くくっ」

賢者「ルーラで魔王城に飛べる時点で可能性の一つに入っていました」

遊び人「賢者、相変わらず素早いですね、元武闘家の貴女は魔法が使えずとも十分脅威だ」

遊び人「それじゃ――ブッ飛んでくれよ」

*トロルキングの攻撃 しかし賢者は身をかわした

遊び人「バシルーラ」

賢者「くっ!」

*賢者は吹き飛ばされた

武闘家「……」

*武闘家のこうげき 改心の一撃 トロルキングにダメージを与えた

トロルキング「グオオオオォォォォ!!」

遊び人「きみにも退場願おうかな」

武闘家「……チッ」

*トロルキングの攻撃 武闘家は身をかわした

遊び人「バシルーラ」

*しかし武闘家には効果がなかった

遊び人「あらら、ズラされたか」

*盗賊の攻撃 トロルキングにダメージを与えた

*商人の攻撃 遊び人は身をかわした

遊び人「へぇー、なるほど、俺を攻撃してくるかい」

商人「貴方が頭っぽいからね」

盗賊「遊び人、アンタには山ほど聞きたい事があんのよ!」

盗賊「この木偶の坊倒すまで待ってなさい!」

武闘家「……」

遊び人「やれやれ、めんどくっせーな」

遊び人(2対2の状況を作りたかったが……ま、いいか)

*遊び人は仲間を呼んだ!

遊び人「くっくっ、今な、君たちの後ろの通路に控えている魔物を呼んだよ」

遊び人「誰かが対応しないと、まずいんじゃねーのか?」

盗賊「……遊び人、アンタねぇ――」

魔物たち「げるぐるああああぁぁぁぁ!!」

武闘家「……ふん」

盗賊「アタシが後ろを抑える!武闘家、商人、前は頼んだよ!」

商人「でもっ、数が多い!」

武闘家「……まずはそのデカブツを倒してやる」

盗賊「大丈夫」

盗賊「ベギラゴン」

*激しい炎が壁となり敵を燃やす尽くす!

盗賊「アタシは魔法使いをかじってたことがある、時間ならいくらでも稼げるよ」

遊び人「だよね、そこの武闘家はトロルちゃんに任せるとして、俺は勇者様と対峙すっかなぁ」

商人「……後ろは大丈夫、か」

商人(察するに、元勇者パーティーの遊び人、『協力な魔法が使える』だったね、今は魔王軍の一味)

商人(気をつけるポイントはカウンターアタック、タイミングを合わせて魔法を放ってくる相手だ)

商人(賢者さんの二の舞にならないように気をつけなくちゃ……この状況で僕が欠けるのは、マズイ)

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