勇者「っしゃあ!神託を受けた気がするぜ!!」 (17)

謁見の間

勇者「生まれて初めて城に呼ばれたけど、何の用だ!?大臣さん」

大臣「口を慎め、下賎な輩が…陛下、ご説明を」

国王「ワシ、お前、マル齧り」

勇者「そうか!魔王討伐の依頼か!一っ走り行ってくるぜ!」

大臣「待て、貴様一人では不安だ。城の地下格闘場で人材を集めるのだ」

勇者「おう!」

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地下格闘場

勇者「てな訳で宜しくな、魔法使い!」

魔法使い「はい!骨身を惜しんで頑張ります!」

勇者「その意気だ!」

魔物の砦

勇者「長い旅だったが、ついに辿り着いたぜ!四天王の城!!」

魔法使い「王都を出てから苦節15分…まるで昨日のように思い出されますね」

「おしゃべりはそこまでだ!」

勇者「お前は…!近所の産婆さんに似ている気がする…!!」

魔法使い「貴様…!俺の故郷の隣町の畑を焼き払った、水の四天王だな!?」

水「いかにも!貴様ら、人の城に土足で上がりこんで無事に帰れると思うなよ?」

勇者「はっ!スリッパに履き替えりゃいいんだな!?」

魔法使い「勇者さん、ここは俺に任せて下さい…こいつだけは俺の手で倒さないと気が済まないんです」

勇者「意味不明だが分かったぜ!」

魔法使い「ありがとうございます…行くぞ!水の四天王!」

水「来い!」

魔法使い「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、残、念!あ、言い間違え…」ドグチャア

ミートソース「」

勇者「うおおお!魔法使い!!貴様よくも!!」

水「いやどう見ても自滅…」

勇者「問答無用!!」ザン

水「話せば分かる」ドサ

勇者「勝利はいつも虚しい…」



勇者「っしゃあ!魔法の杖売って金ができたし、傭兵買うぞ!」

「人の命に価値はあるものだろうか?」

勇者「あってもなくてもどうでもいいぜ!おっさん誰だ?」

「一介の神の下僕だ。罪の浄化とは何かを模索しながら、君と同じ場所に向かう者だ」

勇者「神父か」

「神を信じている訳ではない…求道者というのが適切なところだろう」

勇者「そうか!どうせなら一緒に行こうぜ?」

求道者「それでは、暫くの間だが、ともに良き戦友でいようではないか」

魔物の砦

勇者「っしゃあ!辿り着いたぜ風の四天王の城!!」

求道者「世界には多種の宗教が偏在し、どれもが正統とは呼び難い」

風「やあやあ我こそは…!」ドギューン

オブジェ「」

求道者「だが、神の概念は、心の中に厳として存在する」

勇者「名乗る前に敵が勝手に死んだぜ!」

求道者「なれば、その形を見つけようとする意志こそ、真の意味での信仰心ではあるまいか?」

魔王城

勇者「他国の勇者が残りの四天王潰してたぜ!」

「魔王陛下の元へは通さぬ!」

求道者「これまでの怪物とは何か違うものを感じるな……」

勇者「まあ魔王城の門番だしな」

門番「そして貴様らの死神でもある」

求道者「ここで私たちが殺せば、この種が生き延びる確率は減少するか」ドギューン

キン

門番「その武器の仕組みは見切った!銃口と引き金に注意を絞れば防げぬものではない!」

勇者「武器?どれのことだ?」

求道者「デザートイーグル50AEを初見で見切るか…」

門番「死ね!」ザン

求道者「ぐ…………ふ……くくく」ドギューン ドギューン ドギューン

門番「がは!ぬかったわ…」ドサ

勇者「おい大丈夫か!?」

求道者「千の書をひもとき、万の語を尽くすよりも、刹那の迷いなき判断が世界を正しく導くのだ……」

勇者「傷は深いぞ!とっとと死ね!」

求道者「生きろ……その意志のある限り……屈するな……君なら、真実を、その手に……」ガク

勇者「畜生!魔王め、この身を鬼に食わせてでも鉄槌を下してやる!!」

魔王城

執務室

勇者「引き返そうと思った矢先、他国の勇者と合流できたぜ!」

勇者B「仲間を失うとは不運だったね。彼の代わりは俺と女騎士が務めるよ」

勇者「恩に着るぜ!」

女騎士「早くも代行業務が発生したわ。側近かしら」

側近「うん」

勇者B「増援を呼ばれると面倒だ。ここで倒すぞ!」

側近「返り討ちに…」

ドギューン ドギューン カチン カチン カチン

肉塊「「」」

勇者「意外と使いにくいな、求道者の武器。もういらねえ」ポイ

勇者「この先に多分魔王がいる。お前はどうする?」

女騎士「ここに残るわ。彼を失って辛いし靴紐も解けたし」

勇者「おう、じゃあ一人で行ってくるぜ!そいつの無念はこの手で晴らしてやるよ」

女騎士「しっかりね」

勇者「お互いにな!」

玉座の間

勇者「結局来たのか」

女騎士「20分掛けて靴紐結んでたら割と気が紛れたから」

勇者「後悔するなよ?」

女騎士「今更でしょ?」

勇者「それもそうか!っしゃあ!行くぜ!!」バタン

魔王「開幕早々秘奥義発動!サイクロン・エッジ!!」

勇者「おっと!」グイ

女騎士「ぐぶ!!」ザシュ ザシュ ザシュ ザシュ ザシュ

肉片「」

魔王「まさか生き延びるとは!」

勇者「女騎士!くそ!人の命を何だと思ってんだ魔王!!」

魔王「ふん、人間など所詮…」

勇者「うるせえ!!」ザン

魔王「ごふぁ!」ドサ

勇者「人類の勝利の代償はあまりに重かった…それを抱えて俺は生きていくんだ…」

謁見の間

勇者「よ!お久しぶり!魔王倒してきたぜ!」

大臣「ご苦労。そしてもう用済みだ」

勇者「どういうことだ!?」

国王「おんあにちまりしえいそわか」

勇者「初めから俺は生贄だっただと!?ふざけんな!」

大臣「安心しろ。魔王戦の傷が悪化して殉職した、悲劇の英雄として祀ってやろう」

勇者「黙れ!魔法使いの、求道者の…そして女騎士の無念!その身に刻め!!」ザン

大臣「アウチ!」ドサ

国王「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」

勇者「討伐の褒美にチロルチョコくれるって!?っしゃあ!さっすが王様!話が分かるぜ!」

国王「南無阿弥陀仏」

勇者「そうと決まれば早速凱旋だ!ありがとよ!!」

おわり

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