勇者「魔王一家がラブラブすぎてヤバイ」(521)

勇者「ここか…ついに来たぞ」

勇者「(魔王を倒すことを考え続けて18年、ついに宿敵の魔王にたどり着いた!)」

勇者「(俺がどれだけこの時を待ちわびたか…)」

勇者「(毎日が修行の日々、娯楽はなんかは切り捨てひたすら己を磨いてきた)」

勇者「(友人が恋人を連れていたときは少しは羨ましいとは思ったが、宿敵を討つため…その思いは捨て去った!)」

勇者「(魔王、俺はお前のために生きてきたんだ…俺の全てを懸けて、貴様を討つ!)」

勇者「…いくぞ!」

ガチャン!

勇者「魔王!お前を…っ」

魔王「妻がかわいすぎて勇者なんかどうでもいい」
魔王「妻がかわいすぎて勇者なんかどうでもいい」 - SSまとめ速報
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これの修正+続きみたいなかんじ

勇者「…ぎゃあああああああ!!」

魔王「おお、これはこれは勇者ではないか」

勇者「な、ななななな…」

勇者「何をしてるんだ貴様ああああ!」

魔王「何って…見て分からぬか?」











魔王「受胎の儀式だ…っ」パンパン

妻「あんっ!…そ、そこ…いいのおおっ!」

勇者「目がああああ!目が腐るううううう!!」

魔王「ここか?ここがいいのか…っ」ズチュズチュ

妻「あああん!…っ…いいっ、気持ちいいっ!!」ビクンビクン

勇者「俺にそんなの見せるなあああああ!」

勇者「ああああああああああああ!!!」

妻「…」

魔王「…はぁ」

勇者「おっひょひるわのいかなああああああああ!!」

魔王「…すまん、一旦中止で」

妻「そうね…」

勇者「はぁ…はぁ…や、やっと終わったか」

魔王「しばらくこれを着ていてくれ」スッ

妻「あっ、ありがとう…」

魔王「…勇者よ、儀式の邪魔をするでない」

勇者「じゃ、邪魔だとぉ…」

勇者「俺が来たのに、お前らこそ何をしているんだ!」

魔王「急に来て怒鳴り散らかして何を言うか…」

魔王「来るならあらかじめ言って欲しかったな」

勇者「い、いや違うじゃん!普通俺がくるの待ってるだろ!」

魔王「何故?」

勇者「お、俺はお前の宿敵だぞ!待ってなきゃおかしいだろ!」

勇者「来てみたら子作り真っ最中って…それっておかしいだろおおおお!!」

妻「勇者さんごめんなさい、今日は私から誘ったの…」

勇者「あ、い、いえ…こちらこそ」

勇者「…って、お前が誘ったのかよおおおおおおおお!!」

魔王「妻が謝ることではない、こやつが無礼なだけだ」

妻「そうかしら…」

魔王「ああ」

妻「でも勇者さん、私…どうしても男の子が欲しいんです」

勇者「あっ、そ、そうなんですか…」

魔王「我には子どもが4人いるんだがな、みな女の子なのだ」

魔王「我はそれでもいいのだが…」

妻「でも、あなたと私の息子よ?きっとあなた似のかっこいい子だわ♪」

魔王「いや、妻似の美男子かもしれんぞ」

妻「あなた…」

魔王「妻…」

勇者「…おええええええ!!!!」ビチャビチャ

妻「きゃっ!」

魔王「これ、汚いではないか…」

魔王「…使いの者よ、勇者に水を与えよ!」

「はっ!」サッ

勇者「はぁ…はぁ…こ、これはいかん」

「どうぞ、水分補給を」スッ

勇者「あっ、ありがとうございます…」

「私は吐瀉物を片付けます」フキフキ

勇者「何から何まですいません…」

「いえいえ」

魔王「まったく…醜い顔が更に醜くなるぞ」

勇者「ぶ、ブサイクで悪かったな!」

魔王「そこまで言ってなかろう」

勇者「く、くそぉ…自分の顔が整ってるからと見下しやがって…」

魔王「…妻よ、我は人間から見てもカッコいいのか?」

妻「さぁ…?」

妻「でも…私たちも人間も見た目が違うのは角と尻尾があるかないかというだけで、そんなに差はないんじゃないかしら?」

魔王「ふむ…そうか」

妻「ふふっ、人間からみてもやっぱりカッコいいのね」

魔王「やっぱり…?」

妻「そうよ、あなた昔から私たち魔族の間でもカッコいいって有名だったじゃない」

妻「私にはもったいくらいに…」

魔王「…そんなことはない」

妻「えっ…?」

魔王「勇者よ、貴様に頼みがある!」

勇者「ま、魔王の頼みなんか聞くわけねえだろ!」

魔王「まあそう言うな」

魔王「…妻よ、服を脱いで立つのだ」

勇者「はっ?」

妻「え、ええ…」スッ

スル スルッ ハラリ

勇者「っ!?」

魔王「どうだ勇者よ、我が妻は」

勇者「ど、どうって…」

妻「ち、ちょっと恥ずかしいわ…」カァァ

勇者「(…綺麗な顔立ち、艶のある長くきれいな黒髪、信じられないくらいのスタイルのよさ)」

勇者「(に、人間にもこんなやついねえぞ…)」ゴクリ

妻「ゆ、勇者さん…どうでしょうか?」

勇者「…はっ!」

勇者「ま、まあそこそこじゃねえのか?」

魔王「…ふん、性器をいきり勃たせておいてそこそこか」

勇者「うぐっ…」ビンビン

魔王「…人間からも魅力的に見えるのだ、もっと自信を持て」

魔王「我の女は、お前以外に絶対にありえんのだからな」

妻「あなた…」

勇者「あばばばばばばば」

魔王「さっきから騒がしいな…」

勇者「…おい待てよ」

魔王「なんだ」

勇者「こんなの卑怯だぞ!」

魔王「なんのことだ」

勇者「魔王だからって、魔族の女選びたい放題なんだろ!?」

勇者「どうせその人も世界中のどっかから誘拐してきて嫁にしたんだろ!」

魔王「誘拐などしていないのだが…」

勇者「じゃあどこから連れてきたんだよ!」

魔王「妻は生まれたときからずっと近くにいたな」

勇者「…は?」

妻「私たち、実は幼馴染なんです」

勇者「…お、幼馴染属性ああああああああああああ!!」

勇者「羨ましいいいいいいいい!!!」

魔王「なんだこいつは…」

勇者「俺の村なんて男だらけだったのに…」

勇者「チクショオオオオオ!!!」

妻「懐かしいわねぇ…」

勇者「なんだよ、無理やり嫁にしたんじゃないのかよ…」

勇者「幼馴染とかふざけんなよ…」

妻「無理やりなんて…私から告白したんですよ?」

妻「私、昔から魔王くんにゾッコンでしたから…」ポッ

勇者「」ガンガンガンガン

魔王「お、おい!いきなり床に頭を打ちつけてどうしたのだ!」

魔王「使いの者よ、勇者を止めろ!」

「自傷行為はお止めください!」ガシッ

勇者「放せ、放せよおおおお!!うわあああああああああ!!」ジタバタ

魔王「ふぅ…いきなり叫んだり一体なんなのだ…」

勇者「俺、何のために生きてきたんだろ…」

魔王「我を倒すためだろ?」

勇者「そうだけど…そうだけどよぉ」

「パパー!」

勇者「えっ!?」

魔王「げっ…」

妻「あら、出てきちゃったの?」

勇者「だ、誰だ…?」

妻「あ、うちの三女です…」

勇者「ほあっ!?」

三女「おじさんこんにちは!」ニコッ

勇者「お、おじさん…まだ18だよ…」

勇者「(…い、いや、それにしてもなんてかわいらしいんだ)」

勇者「(親がどっちも美形だと、こんなかわいい子が生まれてくるのかよ…)」

勇者「(ふひひ…魔王倒したらこの子はお持ち帰りだなグフフ)」ハァハァ

三女「ねえねえ、なんで二人とも裸なの?」

魔王「ぱ、パパたち儀式の途中だったから…」

魔王「出てきちゃダメだろ、三女ちゃん」ナデナデ

三女「儀式ってなあに?」

妻「そ、それは三女が大きくなったら教えてあげるからね?」

三女「…うん、わかった!」

妻「ふふっ、いい子ね」

勇者「(かわいい…嫁にしてえ)」

「こらー!勝手に行っちゃダメだろ!」

三女「あっ、お姉ちゃん!」

勇者「お姉ちゃん!?」

妻「この子は次女です」

勇者「あっ、そうですか…」

勇者「(うわぁ、お姉ちゃんもかわええ…)」

次女「…何この人間」

魔王「一応勇者だ」

勇者「一応じゃねえよ!」

次女「…ふーん、こんな冴えないやつが勇者なんだ」

勇者「っ…」

勇者「(な、なんだ…お姉ちゃんはキツい性格なのか?)」

次女「…」ゴオオオオ

勇者「(…ん、この魔力!)」

次女「くらえ、炎魔法!!!」

勇者「なにっ!…くっ」

ザッ! バアン!

次女「…へえ、今のかわすのか」

勇者「はぁ…はぁ…」

勇者「(マジかよ、子どもがこんな威力の魔法を…)」

勇者「(間違いない、こいつは魔王の娘だ…)」

魔王「…こら」ポカ

次女「いてっ」

魔王「不意討ちなどダメではないか」

次女「だってぇ…」

魔王「だってぇ、ではない」

魔王「魔法はなるべく使うなと言ったであろう」

次女「…はーい」シュン

妻「ま、まあまあ…次女も反省してるみたいだしいいじゃない」

妻「今日は勇者さんも来てるんだし…ね?」

魔王「…そうだな」

妻「ほっ…次女、三女を連れて部屋に戻っていなさい」

次女「おっけー」

魔王「…さて、待たせたな勇者よ」

勇者「…」

魔王「どうしたのだ?」

勇者「なんか、もうどうでも良くなってきたわ」

勇者「俺、帰ります…」

魔王「そうか、気をつけて帰るのだぞ」

勇者「か、勘違いすんじゃねえ!今日は帰るだけだ!」

勇者「また近いうちに貴様を倒すために戻ってくるからな!」

魔王「ほう、楽しみに待っているぞ」

勇者「首を洗って待っていろよ魔王!」

勇者「さらばだ!」ガチャ

バタン!

魔王「…行ったか」

妻「そうね…」

魔王「…妻ぁ」ダキッ

妻「あら、うふふ」ギュッ

魔王「妻はかわいいなぁ…」

妻「そう言ってくれると嬉しいわ」

魔王「そういえば勇者のやつまた来ると言っていたな」

魔王「そのときは菓子でももてなしてやるか」

妻「ふふっ、そうね」

魔王「…さて、さっきの続きを」スッ

妻「待ってあなた…私、やり残したことがあるの」

魔王「やり残したこと?」

妻「ええ、そうよ」

妻「…」









勇者「ったく…なんだよあいつ、あんなもん見せつけやがって」

勇者「なーにが美人な妻とかわいい娘たちだよ…」

勇者「…はぁ」

勇者「(いいなぁ、俺にもあんな家族がいたら…)」

ビリ…

勇者「おっ、もうすぐ出口だな」

勇者「…はぁ、これからどうすっかな」

ビリビリ…バチッ

勇者「むっ…!」バッ

勇者「…んっ、気のせいか」








バチバチバチバチバチィ!

勇者「っ…ぐわああああああ!!!」

勇者「あがっ…っ…」バタン

勇者「(こ、これは、雷魔法…!)」

勇者「(くそっ、完全に油断、した…)」

コツコツ

勇者「(…誰か、くる!)」

コツコツ

勇者「(誰だ…っ)」












妻「また会ったわね、勇者さん」

勇者「お、おま…え…は」

妻「うふふ、私の魔法をまともに受けてまだ生きてるなんて…」

妻「流石は、勇者といったところね」

勇者「(くそっ…体が痺れて、動けねえ…)」

妻「私の夫を殺しにきて、ただで帰すと思ってるのかしらぁ?」

勇者「ぐっ…」

妻「…許さないわよ」

妻「私が命より大切な、私が世界で一番愛してる魔王くんを殺す…ですって?」

妻「うふ…うふひひっ…あはははははははは!!!」

勇者「(な、なんだこの女…)」

妻「あはは…はぁ…」

妻「…殺す」

勇者「なっ…」

妻「殺す殺す殺す殺す殺す殺す…殺す!」

妻「絶対に殺す、殺してやる!!!」ガッ

勇者「あがっ…!」

勇者「(く、首がっ…)」

妻「死ね!死ねえええええ!!!」ギチギチィ

勇者「かっ…あがっ…!」

妻「私がどれだけ彼を愛しているか、お前なんかに分かるものかあああ!!!」グググッ

勇者「っ…」

妻「ずっと、ずっと好きだったのよ!!!やっと夢が叶ったのよおおおおおおおお!!」

妻「それをお前みたいな人間にいいいいい!!!!」

妻「魔王くんを傷つける奴は全員殺してやるううううううう!!!」ギギギィ

勇者「…」

妻「はぁ…はぁ…死んだ…?」

妻「は、ははっ…やったわ…」

妻「あはっ、あはは…殺したわ、殺してやったわ!!」

勇者「」

妻「うふふっ…」ガシッ

妻「このゴミ、魔物の餌にでもしようかしら」

妻「…あっ、魔王くん待たせてるんだったわ」

妻「早く処理しないとね…」

妻「…あっ」

妻「いひひ…」ブン

バァン!

妻「顔面、ぐちゃぐちゃにしてあげるわ!」ガンガンガン

妻「さっき、あなた自分でしてたものねええ!!」ガンガンガンガン

勇者「」ドロドロ

妻「…あら、すんなりぐちゃぐちゃになっちゃったわ」

妻「醜い顔が分からなくなったわよ、良かったわね♪」ブン

ズザザ

妻「…もう、血だらけになっちゃったわ」

妻「シャワー浴びてから、また魔王くんに愛してもらおうかしら」

妻「…」

妻「さようなら…ふふっ、愚かな勇者さん」

妻「…あははははは!!!ヒャハハハハハハ!!!!」










勇者「…」

【半年後】

妻「お腹の子もだいぶ大きくなってきたわね」ナデナデ

魔王「ああ、そうだな」

妻「早く産まれないかしら…」

魔王「きっと、妻に似ていい子に育つだろうな」

妻「ふふっ、だといいわね…」

バタン!

魔王「む、誰だ!」










勇者「俺だよ、勇者だよ!」

妻「な、なんですって!?」

魔王「おお、久しぶりではないか」

勇者「ふっ、また会ったな魔王」

妻「な、なぜあなたが生きているの!」

妻「あのとき、確かに殺したはずよ…」

勇者「ああ、そうだな…」

勇者「けど、首を絞められたくらいじゃ俺は死なないんだよ」

勇者「だって勇者だから!」

妻「はぁ?何を言って…」

魔王「…仮死状態だ」

妻「えっ?」

魔王「自分の魔力を限界まで凝縮し、一時的に死んだように見せかけたのだろう」

魔王「妻から顔面を破壊されたと聞いたのだが、回復魔法を使ったようだな」

勇者「あいにく俺は魔法が苦手だ、だから傷の修復に半年もかけちまった…」

勇者「あと、修復するときに鼻を少し高くしたぜ」

勇者「これでもうブサイクじゃないだろ!」

魔王「ほう…どおりで」

魔王「…だが、我に比べればまだまだ醜いぞ勇者よ」

勇者「お前と比べんなよおおおおおおおお!!」

妻「…殺す」

勇者「えっ」

妻「ふふっ、次はバラバラにして殺すわ」ゴオオオオ

魔王「妻よ、止めておけ」

魔王「お腹の子に影響が出るであろう」

妻「…そうね」シュウウ

勇者「ほっ…」

妻「子どもを産んだらあなたを殺すわ、覚えておきなさい」

勇者「恐すぎるわ」

妻「…絶対に殺す、切り刻んで殺す」

勇者「ふっ、そんな綺麗な顔してやることはえげつないな」

勇者「雷魔法使って動けなくしたところで首を締めて殺し、怪力で地面に何度も叩きつけて顔面を破壊…とな」

魔王「うむ、勇者を殺してくると言ってきたときの目が本気だったからな」

魔王「てっきり死んだと思っていたぞ」

勇者「はい、僕もこれは死んだなと思ってました」

魔王「はっはっはっ、そうかそうか」

魔王「…使いの者よ、菓子をもって参れ!」

「どうぞ、勇者様」スッ

勇者「えっ、もらっていいのか?」

魔王「ああ、受け取るがいい」

勇者「わざわざすまねえな」

妻「…それ、毒入りよ」

勇者「えっ」

妻「さあ、早く食べなさい」

魔王「妻よ、嘘はよくないぞ」

勇者「…何だ嘘かよ」

妻「…ふんっ」

勇者「…むっ!」

「くらえ、氷魔法!!」

ガギガギガギガギィ

勇者「うおわあああっ!」サッ

次女「ちぇ、外しちゃった」

魔王「…次女」

次女「あっ」

魔王「あれだけ魔法を使うなと言ったではないか」

次女「だって、この人間見たら攻撃したくなっちゃうもん…」

勇者「…うん、君は立派に魔王の血を引き継いでるな」

次女「黙れ人間!ブサイクのくせに私に話しかけるな!」

勇者「えっ、ヒドくない?」

「お姉ちゃーん!」

勇者「はっ…こ、この声は!」

三女「あっ、おじさんこんにちは!」

勇者「でへへえ、三女ちゃんこんにちはぁぁ!」

次女「うわ、きもちわるっ」

妻「三女、魔法は使えるようになったの?」

三女「うん、一つだけつかえるようになったよ!」

妻「そう、えらいわね」ナデナデ

三女「えへへ」ニコニコ

勇者「天使や…」

三女「ねえねえ、つかってみてもいい?」

妻「…あなた」

魔王「んん…今日だけだぞ」

三女「わーい、やったー!」

勇者「(俺の奥さんにしなきゃ)」

三女「おじさん、あいてしてくれる?」

勇者「お、いいぞ!」

勇者「(ふへへ、魔法覚えたてかぁ…)」

勇者「(三女ちゃんの初めての相手が俺…ぐふふ)」

三女「いっくよー!」

勇者「(わざと大げさに食らってあげるか…)」









三女「…超怪力魔法X!」バリバリバリバリ

勇者「えっ」

ドゴオォオォオオオ!!!!

勇者「」メキメキメキィ!

ドガガガガガガガガ バァァァァン!

魔王「…死んだな」

次女「壁突き抜けていったじゃん、これ死んだでしょ」

妻「もう三女ったら…魔王一族しか使えないX魔法に最上位の怪力魔法を掛け合わせてそれを全て自分の力に変換して心臓ぶち抜くなんて凄いじゃない」

三女「っ…」バタン

三女「すぅ…すぅ…」

魔王「ふふっ、寝てしまったか」

妻「初めてでこれだけ出来れば上出来よ、三女」

次女「流石、私の妹だな!」





勇者「コヒュー…コヒュー…」

勇者「(これ、骨何十本持っていかれたんだ…)」

勇者「(臓器もほとんど機能してない、ぐちゃぐちゃだ…)」

勇者「(とっさに防御魔法使ってこれか…へへっ、流石はX魔法だぜ…)」

勇者「(こんなの、回復が追い付くわけがない…)」

勇者「ごはっ…!」

勇者「(これは、マジで死んだな…)」

勇者「…」

「…きて」

勇者「…えっ?」

「起きて、起きて」

勇者「…うわああああ!!!」

「あ、起きた」

勇者「あれ、あれっ…」

勇者「(傷口が…完璧に塞がってる)」

「あなた、大ケガしてたから治しといてあげたよ」

勇者「あ、ありがとう…」

勇者「…ん?」

勇者「君の顔、どこかで見たことが…」

魔王「このような顔か?」

勇者「そうそうこんな…って」

勇者「ま、魔王!?」

魔王「目覚めたか勇者よ」

勇者「えっ…えっ?」

魔王「貴様は地獄から戻ってこられたのだ、感謝したまえ」

勇者「なんで俺が地獄行きなんだよ…」

勇者「いや、それよりこの子は…」

魔王「ああ、うちの長女だ」

勇者「や、やっぱりそうだったか…」

長女「はじめまして、勇者さん」

長女「こうして会うのは初めてね」

勇者「(…おいおい、長女ちゃんが群を抜いて美少女じゃねえか)」

勇者「(いや、他の姉妹もある程度成長すればこうなるのか…)」

妻「…そのまま地獄に落ちれば良かったのに」

勇者「うわ、いたのかよ…」

妻「何言ってるの、殺すわよ」

勇者「まあ、お前の娘さんには命を救われたよ」

勇者「ふっ、どっかの極悪女とは大違いだぜ…」

妻「…早く殺したいわ、この死に損ない」

長女「ごめん…私、治すべきじゃなかったのかな…」シュン

妻「あっ、ち、違うの!長女は悪くないのよ!」

妻「だ、だからそんなに落ち込まないで…ね?」

長女「うん…」

妻「勇者さん、命を救ってもらった長女に感謝しなさい!」

勇者「ありがとう…本当にありがとう…」

長女「っ…」パァァ

長女「はい、どういたしまして」ニコッ

勇者「しかし、あの絶望的状態からの完治…」

勇者「一体、どれだけ高度な回復魔法を…」

魔王「うむ、うちの長女は魔法が得意なのだ」

魔王「勇者よ、ここに来るまでに数々の魔物を倒したであろう?」

勇者「あ、ああ…」

魔王「あれ、長女が遠隔回復魔法で全部治したから今も平和に生きてるぞ」

勇者「え、遠隔…だと」

魔王「うむ」

勇者「ど、どれだけここから離れてたと思うんだよ…」

長女「私の魔法範囲は地球全体だよ」

勇者「」

妻「凄いでしょ?うちの娘」

妻「その気になればあなたの村なんて今すぐ粉々にできるわよ」

魔王「流石は妻の娘だな」

妻「ううん、あなたの娘だからよ」

魔王「妻…」

妻「あなた…」

魔王「…んっ」

妻「んっ…そんな短いキスじゃいやだわ…」

妻「もっと、舌を絡ませた濃厚な…」

魔王「ああ、分かっている」グイッ

妻「あっ…」ドキドキ

勇者「目がああああああああ!!!目が痛いいいいいい!!!」

長女「勇者さんの前でいきなりなにしてるの…」

勇者「視界に入るなあああああああああ!!!」

次女「そんなに見たくないのか?」

勇者「ああああああああ…えっ?」

次女「じゃあ…見えなくしてやるよ!」ブン

ゴリゴリ グジャア

ブシャアアアアア!

勇者「」バタン

長女「えっ…」

次女「あっ、目玉取ろうとしたら脳みそまで突き破っちまった」

魔王「…死んだな」

妻「次女、今度好きなもの買ってあげるわね」

次女「本当!?ママ大好きぃ!」

長女「な、なにやってるの次女!」

次女「えっ…」

長女「っ…」パシンッ

次女「っ…!い、痛い…お姉ちゃんなんで…」

長女「なんで、じゃないでしょ!」

長女「命を粗末にしないで!この人だって生きてるんだよ!」

魔王「いや、今死んだぞ」

次女「ご、ごめ…お姉ちゃんごめんなさい…」ウルウル

妻「ど、どうしたの二人とも…お願いだから喧嘩しないで…」オロオロ

長女「…私の方こそ叩いてごめん」

次女「ふぇ…グスッ…ふぇぇ」ポロポロ

妻「ああっ…な、泣かないで!」

妻「あ、あなた!一体どうしたら…」

魔王「…とりあえず蘇生しとくか」ブォオオオ

長女「私の回復魔法はギリギリの命を繋ぎ止める魔法なの…死んじゃったらもうダメなんだよ?」

次女「ごめんなさい…ごめんなさい!」ポロポロ

妻「やだぁ…私のかわいい娘たちで喧嘩なんてしないで…」

魔王「あれ、蘇生魔法なんて初めて使ったな…死んだやつ蘇らせていいのか?」

魔王「…ま、勇者だしいいか」

長女「だから命は粗末にしたらいけないの、いいね?」

次女「うん…グスッ…分かった」

長女「うん、いい子ね」ナデナデ

次女「グスッ…えへへ…」

妻「ほっ…よ、良かった…やっぱり家族は仲良くしなくちゃね」

勇者「ん…うんん」

長女「…えっ」

勇者「俺は一体どうなって…」

長女「な、なんで生きてるの!?」

魔王「我が魔法を使ったのだ」

長女「お、お父さん!?」

魔王「そうだ」

長女「死んだ人が蘇る魔法なんて…私、知らない」

魔法「うむ、今作ったからな」

長女「すごい…すごいよお父さん!」

魔王「お、おう…そうであるか」テレッ

妻「…」ムッ

長女「今度の魔法議会で発表しようよ!」

魔王「いや…蘇生なんて禁忌を簡単に犯していいものなのか…」

長女「あっ、そうだよね…」

長女「ごめん、私舞い上がっちゃって…」

勇者「そ、蘇生魔法…だと…」

勇者「…」

勇者「(ヤバい、ヤバすぎる…なんだこの一家は…)」

勇者「(幼きながら最高位の超魔法を使える三女、桁外れの力を持つ次女、50m使えれば上出来とされる魔法範囲が地球全体の長女)」

勇者「(そして、魔族を超えた力を持ち、超魔法を使う妻に…蘇生魔法をその場で作り出す魔王…)」

勇者「(俺なんて、全く足元にも及ばない…実力が違いすぎる)」

勇者「(…ダメだ、こいつらを本気にさせれば間違いなく人間は絶滅する)」

魔王「何をすねているのだ?」

妻「な、なんでもないわよ」プイッ

次女「お姉ちゃん、今日も魔法教えてよ!」

長女「ダメ、今日は私なりに蘇生魔法の研究するんだから」

次女「え~、お姉ちゃんのケチ」プクゥ

魔王「何をすねているのだ~?」モミモミ

妻「やぁぁ、おっぱい揉んじゃダメよぉ…」

妻「赤ちゃんのミルク、漏れちゃうじゃない…♪」

三女「スピー…スピー…」

勇者「…ふっ」

勇者「(このままが一番、平和なのかもな)」

次女「…あれ、お前」

勇者「ん?」

次女「なんか、かっこよくなってね?」

勇者「えっ」

長女「うん、目がぱっちり二重になってるね」

勇者「う、嘘だろ!?」

魔王「ふっふっ、蘇生させたときに我がイケメンにしといてやったぞ」

勇者「か、鏡をくれ!」

長女「ん~…」ゴソゴソ

長女「はい、どうぞ」スッ

勇者「おう、ありがとう!」

勇者「…おおっ、おおおっ!」

勇者「俺、カッコいい…」キラッ

次女「うわ…」

長女「ナルシストって本当きもちわるい…」

勇者「ねえ、ひどくない?」

妻「魔王くんにはまだまだ及ばないわね」

魔王「妻…」

妻「あなた…好きよ」

魔王「我も愛しているぞ…」

勇者「うわああああああああ!!!いやあああああああああ!!」

妻「あっ、そうだわ!四女にミルクあげなくちゃ」

勇者「えっ、四女?」

魔王「我の一番下の子だ」

勇者「へえ、見てみたいな」

魔王「おお、見てみるか?」

勇者「見たい見たい!」

魔王「良かろう、こちらだ」





魔王「すまぬ、今妻がミルクをあげているのだ」

魔王「少しばかり待っていてくれ」

勇者「お、おう…」

妻「いっぱい飲んで、大きくなるのよ…」

勇者「…おっぱいでっけぇ」

妻「見るな、殺すぞ」ギロッ

勇者「は、はぃぃ!」

次女「お前本当にキモいな」

勇者「うぅ…巨乳は見ちゃうよ次女ちゃん」

次女「次女ちゃんって言うな人間!」

次女「さっきはお姉ちゃんのもジロジロ見てたし…パパ以外の男ってキモっ」

長女「えっ…勇者さん最低…」ヒキッ

勇者「ねえ、泣いていい?」

魔王「はっはっはっ、我はキモくないのか」

次女「ぱ、パパはカッコいいから好き…」カァァ

勇者「(あらかわいい)」

妻「ふふっ、今日もたくさん飲んだわね」ナデナデ

妻「今度は、たくさんおねんねしましょうね…」スッ

長女「…あっ、ミルクあげ終わったみたい」

勇者「おっ、どれどれ」ズイッ

四女「にぃ…」

勇者「おほっ、かわええ」

長女「あっ、だ、ダメ!四女に近づいちゃ…!」

勇者「えっ」

四女「…ガアアアッ!!!」

ズオオオオオ ドガアアアン!

勇者「」バタン

魔王「…死んだな」

長女「だ、だから言ったのに…四女は口から消滅魔法を吐き出すときがあるから…」

次女「うははははっ!頭ぶっ飛んだぞ!人間デュラハンだあはははは!!」

長女「…次女」

次女「あっ、ごめんなさい…」

長女「お父さん、お願い」

魔王「うむ、任せろ」ブォオオオ

勇者「…ふぅ、死ぬかと思ったぜ」

魔王「普通に死んだぞ」

勇者「それにしても伝説の魔法と言われる消滅魔法を使うなんて、末恐ろしいな」

妻「そのまま死ねばよかったのに…」

勇者「ねえもう本当に恐いから」

ここまで前回の修正
ここから続き書いていきます

魔王「勇者よ、今日は夕食を食べていくがよい」

勇者「えっ、いいのか?」

魔王「ああ、いつの間にか夜になっていたからな」

魔王「今日はご馳走するぞ」

勇者「へへっ、じゃあご馳走になろうかな」

妻「…うちのシェフ、勇者さんのだけ猛毒入れちゃうかもしれないわね」

勇者「えっ」

妻「それでもいいのならどうぞ」ニコッ

魔王「入れるわけないだろ」

妻「…」シュン

勇者「ぷっ、だっせぇ」

妻「…絶対殺す、次は炎魔法で殺す」

勇者「殺せてなかったじゃん、ばーか」

妻「っ…!」

ゴゴガゴガガ バキバキバキィ!

勇者「…やべえ、なんだこの魔力」

妻「コロス…コロス…」ドゴゴゴゴゴ

魔王「勇者よ、妻を煽るのはやめろ」

魔王「我もちょっと恐いから」

三女「ふぇ…ママこわいよぉ…」ビクビク

妻「!?」シュウウウ

妻「…ああっ、三女ごめんね!こ、恐がらせるつもりはなかったのよ?」

三女「ママぁ…」ギュッ

妻「よしよし、もうママは恐くないわよぉ」ナデナデ

三女「…ほんと?」

妻「ほらっ、恐いママはもうどこかにいったでしょ?」ニコニコ

三女「うんっ!」

妻「…ほっ」

次女「…げっ、こいつおしっこ漏らしてやがる!」

勇者「」ガクガクブルブル ジワァ

長女「うわぁ、だっさ…」

魔王「勇者よ、それでいいのか…」

勇者「もういっそ殺してください」

勇者「な、なんだこの料理は…」

魔王「どうした、気に召さなかったか?」

勇者「…す、すげえええええええ!!」

勇者「肉、魚、野菜…その他もろもろ全部揃ってるじゃねえか!」

次女「もぐもぐ…それ普通だろ」

勇者「普通じゃねえ!旅の途中で俺がどれだけ食い物に困ったと思って…」

魔王「大変であったな…」

勇者「お前のせいだろ」

魔王「何はともあれ、気に入ってくれたようで良かったぞ」

魔王「さあ、たくさん召し上がってくれ」

勇者「お、おう!それじゃこの肉から食べようかな!」

勇者「…これはどんな牛のステーキなんだ?かなり霜降っててすげえいい肉だな!」

妻「牛じゃないわ、ドラゴンよ」

勇者「…へっ?」

長女「ドラゴンだね」

勇者「えっ」

勇者「ど、ドラゴン…世界の果てに住んでいるあの伝説の魔物の?」

魔王「ああ、」

勇者「(さっきから感じていた超魔力はこの肉からだったのか…)」ゴクリ

ステーキ「」ビズァアァラカラビアア

勇者「(俺の魔力よりはるかに巨大な魔力がステーキに宿るってどういうことだよ…)」

勇者「…こんなのどっから仕入れてんだよお前ら」

魔王「ん、見てみるか?」ブオォン

勇者「は?」

魔王「転送魔法X!」シュビン

勇者「なっ!」シュビン

長女「もぐもぐ…」

三女「…あれ、パパは?」

妻「すぐ戻ってくるわよ」

次女「これやっぱりうめえな」

勇者「」

ドラゴン「ゴアアアアアア!!!」

ドラゴン「ラァアァアガアアア!!」

ゴロゴロゴロ ビカアァァア!

竜王「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛グギヤラケラカハキラァ!!!」

魔王「巣だ」

勇者「巣だ、じゃねえよ」ガクガク

勇者「何してくれてんだよお前…」ガクガクブルブル ジワァ

魔王「ドラゴンだぞ」

勇者「見りゃ分かるよ…デカすぎだよ…」ドバアアア!

魔王「勇者よ、トイレは済ませておいてくれ…」

勇者「今絶賛排泄中なんだ、邪魔しないでくれ」ドバババババ

魔王「やつらは魔力ではなく臭いで察知するのだ、そんなにドバドバ出されると…」

ズダアアアァアン!

ドラゴン「ガルルルルァ…」

魔王「こんなかんじになっちゃうのだ」

勇者「め、目の前に…ドラゴンが…妻さんのおっぱいよりデカいよ…」フラフラ

勇者「」バタン

魔王「妻の乳よりはデカいな、遥かに」

ドラゴン「オオオア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」ゴゴゴゴゴ

魔王「…土産に一匹持って帰るか」ジラァ







長女「…あ、帰ってくるよ」

シュビン ドガアアアアン!

魔王「ふぅ、ただいま」

勇者「」チーン

ドラゴン「」チーン

次女「おかえりー…って人間気絶してるじゃん」

長女「ドラゴン持って帰ってきたんだね」

魔王「ああ、戦闘は避けられなくなったからな」

妻「…あっ、あなたその傷!」

魔王「うむ、どうやら側近クラスのドラゴンだったみたいでな」

魔王「少々手こずってしまった」

長女「あっ、すぐに治…」

妻「だ、大丈夫なの?どこか他にケガしてない?」ガタッ

魔王「大したことはない、心配するな」

妻「ああかわいそうに…後でそのドラゴン八つ裂きにするわね」

魔王「それはシェフの仕事だぞ」

妻「あなた…あんまり無茶しないで、お願い…」ギュッ

魔王「…すまない、心配かけたな」

前回は適当なエンディングだったので今回はちゃんと書きます
なので終わり方は違うかもしれません

妻「昔っから無茶ばかりするんだから…」

魔王「うむ、申し訳ない…」

妻「…でもね、大好きだから許すの」

魔王「妻…」

妻「すき…愛してるわ、あなた」ギュウウ

魔王「我もだ…」

長女「(…ふふっ、しばらくケガはそのままにしとこっ)」









勇者「…のおおおおおお!!!」ガバッ

勇者「イチャイチャを感じる…感じるぞおおおおおおお!!」

魔王「…」

妻「…チッ」

勇者「あれっ、俺はいつの間に戻ってきたんだ!?」

勇者「…うわあああああ!!!なんでドラゴンがここにいいいい!?」

長女「はぁ…台無し」

次女「空気読めよ人間…」

勇者「えっ、みんなヒドい」

三女「おじさんおきた!」

勇者「はぁぁぁん!!君だけが僕の天使だよぉぉぉぉ!!!」

長女「…なんでこんな気持ち悪いの」

三女「おじさんいぇーい!」ハイタッチ

勇者「おっ、いぇー…」スッ

パァン!!

勇者「!?」

ブチブチィィィッ ズザザザザ

勇者「…腕、とれた?」

ブシャアアアアア

勇者「腕がああああああああ!!!俺の腕がああああ!!」

三女「あっ、まほうつかっちゃった…」

勇者「痛いいいいい!!!!死ぬうううう!!」ゴロゴロゴロ

妻「いい子ね、ママ三女のこと大好きよ」ナデナデ

三女「えへへ…」ポワー

長女「なにやってるの三女…」

長女「…超回復魔法!」ブオォン

勇者「いたああああ…っ!?」

ニョキニョキニョキィ!

勇者「う、うわあああああ!!腕が生えてきたああああああ!!!」

長女「勇者さん驚きすぎだよ…」

勇者「はっ…はっ…」ペタッ ペタッ

勇者「も、元通りだ…完全に元通りになってる!」

魔王「戻らなかったら回復魔法じゃないだろ」

勇者「し、信じられない!なんて回復速度なんだ!」

長女「ま、まあ超魔法ですから…」

勇者「…長女ちゃん!」ガシッ

長女「ひいっ!」ビクッ

勇者「君、本当にすごいよ!ありがとう!」

長女「あっ、ああっ…あああ!」プルプル

次女「おい人間!パパ以外の男がお姉ちゃんに触ると…」

勇者「へっ?」

長女「…い、いやあああああああああ!!!」ビリビリィ

勇者「なっ…!あばばばばばばばば!!!」バチバチバチバチィ

長女「や、やだ…やだあああ!!」ダッ

長女「お母さああああああああん!!!!」ダキッ

妻「よしよし…恐かったわね」ナデナデ

長女「お母さん…おかあさぁん!」ギュウウ

妻「ああ、かわいそうに…こんなに怯えて…」

妻「…勇者さん、うちの娘を恐がらせて生きて帰れると思わないでね」

妻「あなただけは絶対に殺すわ…」

勇者「さ、先に言ってくれよ…」プシュウウウ

魔王「はっはっはっ、丸焦げだな勇者よ」

次女「すぐ勘違いするよな、男って」

勇者「か、勘違いなんかしてない…俺はただ感謝しただけで…」プスプス

次女「まったく、これだから童貞は…」

勇者「それ関係ないだろ…」

魔王「次女も処女だろ」

次女「ぱ、パパ!?」カァァ

次女「そ、そういうことは言わなくていいの!」ポカポカ

魔王「はっはっはっ」

勇者「…ぷっ、人の言えねえじゃねえか」

次女「っ…」カチン

次女「…」プルプル

魔王「勇者よ…」

勇者「すまん、冗談のつも…」

次女「…ち、超雷魔法!!!」ドドドドド

勇者「…待って、それ死ぬやつじゃ」

次女「わああああああああ!!!」ズドオオオ

勇者「…ふっ、またビリビリか」

勇者「あばばばばばばばばばばば!!!!」バチバチバチバチィ

魔王「…死んだな」






勇者「いやぁ、さっきはヒドい目にあった」

勇者「しかし魔王のやつ、まさか泊まりの部屋まで用意してくれてるとは…」

勇者「んっ?この部屋かな…」ガチャ





妻「グッポ…ジュッポ…ジュボッジュボッ」

妻「ズルルルルルルッ…」

魔王「はぁ…はぁ…いいぞ、妻よ」

妻「あなたの…んっ…ほいひい…♪」ジュルジュル

妻「ぷはぁ…いつでも出していいわよ…全部受け止めるからぁ…」シコシコ

魔王「ううっ…妻よ、そろそろ…」

妻「はぁ…はぁ…出ちゃうのね…」

妻「私を何回も孕ませたあなたの素敵な子種汁…私の口に全部注いでっ」

魔王「はぁ…はぁ…うくっ!」ビュルルビュル

妻「んんんんんっ!!!」ビクビクッ




勇者「…」バタン

勇者「あいつらどんだけ盛ってんだよ…」

勇者「おいおい、それより俺の部屋はどこだ…」

勇者「…ここか?」ガチャ




三女「あっ、おじさんだ!」

次女「げっ…何しに来たんだよ人間…」

勇者「おおっ、ここは君たちの部屋だったのか」

次女「早くででけよ!」プンスカ

勇者「分かってる、分かってるよ!」

三女「あ、まっておじさん!」

勇者「えっ」

三女「これ、わたしがつくったんだよ!おじさんにあげるね!」

勇者「い、いいの!?」

三女「はい、どうぞ!」スッ

勇者「いやぁ、嬉しいなぁ…うおっ」

勇者「い、意外と重いね…ははっ」

三女「えー、そうかなあ?」

勇者「…ところで三女ちゃん、これなに?」

勇者「なんか箱みたいだけど…」

三女「うん!それはね、対人間毛根撃滅魔法装置だよ!」

勇者「…は?」

三女「だから、 対人間毛根撃滅魔法装置だよ!」

勇者「…ヤバい」

ピピピー ガガガガガ シュン!

ファサア…

勇者「…えっ」

三女「あははははは!!おじさんのあたまぴかぴかだぁ!」

次女「うひゃはひゃはひゃひゃひゃ!!!なんだよその頭あはははははは!」

勇者「マジかよおい…」ピカーン!

三女「よいしょ、よいしょっ」

次女「ははははっ!はぁ…どうした次女、人間の髪の毛なんか集めて」

三女「これをこうやってたばねて…えいっ!」

勇者「ふがっ!」ズボッ

三女「じゃーん、はなげおじさんのかんせい!」

次女「…だーっはっはっはっはっ!!!!!!」

次女「はらっ…腹痛いっ、あはははははは!」

勇者「…」バタン

三女「あっ、おじさんばいばーい!」

次女「わーっはっはっはっ!!!!!!」ダンダンダンダン




勇者「死にたい」

勇者「…」キュッ キュッ

勇者「とほほっ…ツルツルだ…」ピカーン

勇者「俺の部屋…どこ…」

勇者「はぁ…ここか」ガチャ




長女「…あれ、勇者さん?」

勇者「あっ、長女ちゃん…」

長女「ど、どうしたのそれ!」

勇者「あ、ああこれね…」ピカーン

長女「次女と三女でしょ!もうあの子たちったら…」

長女「勇者さん、ちょっときて!」

勇者「お、おう」

長女「うーん、見事に毛根だけ死んでるね…」

長女「これでいけるかな…」ブォオン

フッサアアアアア!

長女「…よし!とりあえずいけたね」メモメモ

勇者「お、おおっ!」フサフサ

勇者「うわああん、俺の髪だぁ」ダバアア

長女「…」メモメモ

勇者「…長女ちゃん、何書いてるの?」

長女「うん、髪の毛生やす魔法なんて初めて使ったからメモ取ってるの」

長女「発動条件と結果、使用した魔力…いろいろ要素があるから」

勇者「ほぇ~」

長女「それにしても、ちょっと伸ばしすぎちゃったね」

勇者「…確かに」フサフサフサ

長女「量減らすね…炎魔法!」

勇者「えっ!?そんなもの使ったら…!」

チリチリチリ

勇者「…え?」

長女「髪の毛をちょっとずつ燃やしてるの、ハサミを使うより楽に髪を整えられるんだよ」

勇者「へえ、すげえな…」チリチリ

長女「…よし、こんなもんかな」

長女「次は…風魔法!」ヒョオオ

勇者「うおおおっ」

長女「燃やした髪を風魔法で集めるね」ヒョオオ

勇者「す、すげぇ…」

長女「よし、集め終わったね」

長女「…鼻から出てるのも集めておくね」ヒョオオ

勇者「ふががががっ」

長女「これで全部かな」

長女「…消滅魔法!」ゴォオオオ

ポンッ

長女「はい、おしまい」

勇者「い、今…消滅魔法使った…?」

長女「うん、使ったよ」

勇者「…伝説の魔法を、あんなあっさり」

長女「…はい、鏡」スッ

長女「どう仕上がったか確認してね」

勇者「おおっ、ありがとう」

勇者「…あれ、前と違うな」

長女「あー…うん」

長女「勝手に私好みにしちゃった…嫌なら元に戻すけど」

勇者「ぜ、全然嫌じゃない!カッコいいなぁ、この髪型…」

長女「ふふっ、それならよかった」

今日はここまで

長女「…ねぇ、勇者さん」

勇者「ん?」

長女「さっきは、その…ごめんなさい」ペコッ

勇者「…ああ、あれね」

長女「私、年の近い男の子がすごい苦手で…」

長女「急に触られると、恥ずかしくて攻撃しちゃうの…」

勇者「ふっ、全然大丈夫さ」

勇者「人間誰しも苦手なものはある、それをしてしまった俺が悪いんだ」

魔王「人間ではなく魔族だぞ」

勇者「だから長女ちゃんが謝ることはないよ」

長女「勇者さん…」

勇者「…って、魔王!?」

魔王「勇者よ、部屋にいないから探したぞ」

勇者「魔王がいるということは、まさか…」

妻「ふふっ、長女の部屋で何してたのかしら」

勇者「」

妻「勇者さん、寝たらもう終わりだと思いなさい」

妻「寝てる間に殺すわ…ふふっ」

魔王「我に抱きついてないと暗いところにいけないだろ」

妻「…」カァァ

勇者「(なんだ、暗いところが恐いのか)」

勇者「(極悪女もかわいいところあるじゃねえか)」

魔王「妻よ、何だったら我も着いていくが…」

妻「い、いいのよ!あなたの睡眠を削ってまですることじゃないから!」

魔王「うむ、そうであるか」

勇者「…なぁ、魔王」

魔王「なんだ」

勇者「長女ちゃんって何で男が苦手なんだ?」

長女「えっ、それは…」

妻「本当に馬鹿ね、魔王くんがそんなこと…」

魔王「引きこもりだからだぞ」

妻「言うに決まってるわよね…」

勇者「えっ、引きこもり…?」

長女「べ、別に引きこもりじゃないよ!」

魔王「何を言っている、引きこもりではないか」

魔王「最後に魔王城を出たのはいつだ?」

長女「うぐっ…6年前だけど…」

魔王「それ引きこもりだぞ」

勇者「引きこもりだな…」

長女「違うもん…引きこもりじゃないもん…」

妻「で、でも6年なんて全然引きこもりじゃないわよ!」

妻「そ、それに長女は外に出なくてもいろいろ出来るんだし…ね?」

長女「…そうだよね?」

妻「そ、そうよ!だから長女が気にするようなことじゃないわ!」

勇者「(…前から思ってたけど、こいつ自分の夫と娘にめちゃくちゃ甘いな)」

勇者「(俺に対しては悪魔みたいなやつだけど)」

魔王「(悪魔ではなく魔王の妻だぞ)」

勇者「(心を読むな、話しかけるな)」

長女「というわけで、私は引きこもりじゃありません!」フンスッ

妻「ほっ…」

勇者「でも、引きこもりと男嫌いに何の関係が…」

妻「引きこもりじゃないって言ってるでしょ…?」ガシッ

勇者「嘘です」

妻「…ふんっ、本当に失礼ね」パッ

勇者「(…死ぬかと思った)」ガタガタ

魔王「男嫌い…うむ、恐らく我以外の男と関わらなかったから接し方が分からないのだろう」

魔王「この家は我以外に男はいない…使いの者も全員女だからな」

勇者「ほう…そうだったのか」

長女「…」

魔王「長女よ、そんなので将来嫁にいけるのか…」

長女「別に、結婚なんてしたくないし…」

魔王「はぁ…」

魔王「勇者よ、これが我の一番の悩みなのだ」

魔王「一歩も外に出ず、毎日魔法の研究に明け暮れる日々…」

魔王「親友どころか、友達も一人としていないのだ…」

長女「…」ウルウル

妻「…そこまで言わなくてもいいじゃない」ボソッ

魔王「ん?」

妻「なんで、なんでそこまで言うのよ!!!」

妻「長女だって、好きでやってるわけじゃないのに!!」

魔王「魔法の研究は好きでやってるだろ」

妻「働かなくても、外に出なくてもいいでしょ!!私がずっと養っていくんだから!」

魔王「妻よ、それでいいのか…」

勇者「(前言撤回…こいつ甘いんじゃなくて、叱れないただのダメ親だ)」

魔王「長女が楽しそうに友と遊ぶ姿、最近見たことあるか?」

妻「っ…」

魔王「昔はあんな楽しそうに遊んでいたのを、もう忘れたのか」

妻「そんなの…グスッ…覚えてるわよぉ…」

長女「お母さん…」

妻「でも、長女がしたくないことはさせなくていいじゃない…」

魔王「それはダメだろ」

妻「グスッ…魔王くんが、私たちのかわいい娘に酷いこと言うなんて…耐えられない…」

妻「この子が、どれだけ愛し合って生まれてきたと思ってるのよぉ…」

魔王「妻…」

妻「お願い…グスッ…私の前で娘を傷つけるようなこと言わないで…」

妻「愛する人と、愛し合ってできた子が言い争うなんて…私、頭おかしくなっちゃうわ…」ギュッ

魔王「妻よ、すまなかった…」ギュウウ

妻「あっ…」

魔王「愛しているぞ、妻よ」

妻「私もよ、あなた…んっ」

魔王「んっ…」

勇者「あっ、結局こうなるんですね」

魔王「(…勇者よ、聞こえるか?)」

勇者「(なんだ、聞こえてるぞ)」

魔王「(こんなかんじで、我は本当に困っているのだ…)」

勇者「(ああ、そうみたいだな)」

魔王「(このまま男の子が生まれなかったら、長女が次期魔王だというのに…)」

魔王「(妻が娘に少々甘くてな…我がその分、子どもたちには厳しくしつけているのだ)」

勇者「(お前、普通にいい親だな)」

魔王「(好きだ、愛している…)」

勇者「(なんでだよ)」

魔王「(…おっとすまぬ、妻に向けている感情を乗せてしまった)」

勇者「(あっそうですか)」

魔王「(妻がずっと側にいるから、あまり強くは娘たちに言えないのだがな)」

勇者「(ふーん…デレデレな嫁を持つと大変だな)」

魔王「(…勇者よ、頼みがあるのだ)」

勇者「(なんだよ)」

魔王「(これから貴様に衣食住の全てを提供する…だから)」

魔王「(長女を更正させてほしいのだ)」

勇者「…」



「はい、どういたしまして」

「ど、どうしたのそれ!」

「私、年の近い男の子がすごい苦手で…」

「勇者さん!」



勇者「(…ああ、任せてくれ)」

勇者「(絶対に長女ちゃんを幸せにするよ)」

魔王「(そこまでしろとは言ってないぞ)」

魔王「(…だが、いい返事だ)」

妻「魔王くん、早くベットに行こうよぉ…♪」ギュウウ

妻「恋人のときみたいに、いっぱいイチャイチャしよ…?」

勇者「(恋人のときみたいに…って、お前らいっつもイチャイチャしてるじゃねえかふざけんな)」

魔王「(妻が甘えん坊モードになってしまったな、我はもう寝る)」

魔王「(長女のこと、よろしく頼んだぞ勇者よ)」

勇者「(任せろ、超アウトドアガールにしてやるよ)」

魔王「(そこまでしろとは言ってないぞ)」

魔王「…」

魔王「長女、勇者…おやすみ」

妻「長女、おやすみなさい」

長女「うん、おやすみ」

長女「…」

妻「ねえねえ、チューしながら部屋まで戻りましょ?」

魔王「いいぞ…んっ」




勇者「馬鹿かよあいつら…」

長女「…がっかりしたでしょ、勇者さん」

勇者「えっ?」

長女「お父さんの言う通り、私引きこもりなんだ…」

長女「私、お母さんのこと泣かせちゃった…」

勇者「長女ちゃん…」

長女「…私ね、自慢じゃないけど昔すごいモテたんだ」

勇者「まあ、長女ちゃんくらいかわいかったらモテただろうね」

長女「けど、そのせいで周りの女の子からすごい嫌われてて」

長女「…いじめられてたの」

勇者「なっ…!」

勇者「魔王の娘いじめるなんて、どんな神経してんだ…」

長女「いじめって言っても…無視されたり、仲間外れにされたりってだけだったんだけどね」

長女「私弱いから、全部逃げてきちゃった…」

長女「本当に…グスッ…弱いから」

長女「恐いの、外が恐い…あれから6年も経ってるのに…」

長女「グスッ…もう、嫌…」

勇者「…そんな事情があるなら親に相談すれば」

長女「お母さんの性格、知ってるでしょ」

勇者「あっ…」

長女「みんな、確実に殺されちゃうよ…」

勇者「…確かに」

長女「お父さんだけに言っても、お父さんの性格じゃ絶対お母さんに伝わるだろうし…」

勇者「…」


ーーー
ーーーーー

長女『お父さん、私実はいじめられてて…』

魔王『なんだと!?』

長女『あっ、お母さんには絶対言わないで!』

魔王『うむ、分かった!』

魔王『妻よ、長女がいじめられてるらしいぞ!』

妻『殺すゥゥゥゥゥゥ!!!!』ゴガガガガガガガ

ーーーーー
ーーー


勇者「…ダメだな」

長女「でしょ?」

勇者「(あの極悪女のことだ、殺す以上のことをしでかすかもしれん)」ゴクリ

勇者「(これは絶対に極悪女と魔王に言ってはダメだ…)」

長女「ちょっと無視されたくらいで6年も引きこもるなんて、本当に弱いよね」

長女「こんな…こんな弱い魔王の娘なんて、魔王一族の恥だよ…」

勇者「魔法範囲が地球全体の超魔法使える時点で魔王一族としては歴代最強だろ…」

長女「…ううん、歴代最強は間違いなくお父さんだよ」

長女「今後、お父さんを超える魔族と人間は一生現れないと断言できるくらいに」

勇者「えっ、あのアホが歴代最強?」

長女「お父さんのことアホなんて言わないでよ…」シュン

勇者「おっと、すまんすまん…」

勇者「…それで、なんでアイツが歴代最強だと?」

長女「うん、もともと魔王一族は他の魔族より多少強い魔力を持っているくらいだったの」

長女「だから、勇者が現れれば負けることもあったし、もちろん勝つこともあった」

長女「魔族、人間、魔物…この三勢力が常に争っていたの」

勇者「…ん?魔物は魔族の手下ではなかったか?」

長女「そう…お父さんの登場でこのバランスは崩れ去った」

長女「桁外れの魔力を持って生まれた天才こそお父さんだったの」

長女「お父さんは8歳のときに魔物を大量虐殺したの」

勇者「た、大量虐殺…アイツが…」

長女「理由はお母さんにケガさせた魔物がいたかららしいわ」

勇者「…それだけ?」

長女「そうだよ、その種族はもう絶滅していないからね」

勇者「ケガさせたくらいで、その種族もろとも消したのか…」

長女「12歳のときには魔王一族を絶滅させたわ」

勇者「は?」

長女「親兄弟はもちろん、魔王の血が流れている魔族は全員殺した」

勇者「り、理由を聞いてもよろしいか?」

長女「お父さんが余りにも強すぎるから、一族でお父さんを殺す計画を立てたからだよ」

長女「そうしたら無事返り討ちにあったというわけ」

勇者「」

長女「その後は…18歳でX魔法の完成、20歳で魔物制圧、22歳で魔族婚活パーティーの開催ぐらいね」

勇者「おい最後」

長女「ちなみに私はお母さんが16歳のときに生まれたんだよ」

勇者「…あれ、そういえば長女ちゃん何歳?」

長女「15歳だよ」

勇者「へえ…俺と3歳違いか」

長女「えっ、知らなかったの?」

勇者「あ、はい」

長女「…まあ、そういうことだから」

長女「魔王一族は私たち家族だけ、他にはもういない」

長女「今はお父さんが家族で一番強い、つまり歴代最強というわけだよ」

勇者「歴代…というより、新魔王一族ではアイツが初代なのか」

長女「うん、そうだね」

長女「ただ、旧魔王一族なんか生きてたとしても弱すぎて三女にすら敵わないよ」

勇者「(一応やつらも強かったらしいんだが…)」

長女「…ていう話をお母さんがいっぱいしてた」

勇者「まあそうだろうな」

長女「お母さん、お酒飲んで酔うとお父さんの昔話ばっかりするからね」

長女「お父さんは昔話はあまりしたくないらしいんだけど、お母さんがかわいいから気にしないらしいよ」

勇者「なんだその理由」

長女「…勇者さんも大変だね」

勇者「ん?」

長女「お父さんが当主のときに勇者に選ばれるなんて…」

勇者「あ、ああ…」

長女「けど、お父さんは他の魔王と違って必要以上に侵略しないから結構平和かもね」

勇者「ははっ、そうかも…」

長女「…勇者さんは一人でここまできたの?」

勇者「ああ、そうだぜ」

長女「仲間とかは…」

勇者「いない、一人で旅してたよ」

長女「へえ、勇者さんすごいじゃん!」

勇者「…仲間、欲しかったな」

長女「えっ…」

勇者「夜とか心細くなっちまうよ、特に食べるものないときとか…」

勇者「けど、修行のときからずっと一人だったから…一人で、全部…」

勇者「…一人って寂しいよな」

長女「勇者…さん?」

勇者「ずっと一人で悩んで…誰にも助けを求められなくて…」

勇者「弱いのに、よく今まで我慢したな…」

長女「…」

勇者「…心配すんな、俺に任せてくれ」

長女「えっ…」

勇者「君には助けてもらってばかりだ、君がいなきゃ俺は死んでいた」

勇者「だから、もう一人で悩まないでくれ…これから君は、一人じゃない!」

勇者「俺が側にいる、絶対に君を一人にしない!」

勇者「今度は俺が助ける番だぜ、長女ちゃん!」

長女「っ…」ドキッ

勇者「…」

勇者「(な、なに言ってんだ俺くっせえええええええええええ!!)」

勇者「(恥ずかしすぎだよ、カッコつけつぎたよ…こんなの絶対黒歴史だよ…)」

勇者「…」チラッ

長女「かっ…かか」カァァ

勇者「かかか?」






長女「っ…か、雷魔法おおおおおお!!!」ビリビリィ

勇者「ま、またかよおおおお!!あばばばばばばばば!!!!!!」バチバチバチバチィ!

ガチャ

次女「お姉ちゃーん、一緒に…って」

勇者「」プシュウウ

次女「なんで黒焦げの人間がここにいんだ?」

次女「…あっ、髪の毛生えてるじゃん!お姉ちゃん治したでしょ!」プンスカ

長女「はぁ…はぁ…」

長女「な、なんなの…これ…」ドキドキ

次女「お姉ちゃん…?」

長女「っ…なに、これぇ…」ドキドキ

今日はここまで





勇者「ふぁあぁあ…」

次女「でっけぇ口開けてんじゃねえよ人間」

勇者「次女ちゃん、眠たいよ僕…」

次女「次女ちゃんって言うなハゲ!」

次女「ごちゃごちゃ言ってないで朝食食えよ!」

勇者「えっ、ひどい」

妻「はい、あなた」スッ

妻「あーん」

魔王「あーん」パクッ

妻「はぁぁ、今日も素敵よ…」ウットリ

魔王「もぐもぐ…おいひい」

妻「きゃーっ!!魔王くんかわいいっ!」ダキッ

勇者「…正直慣れました」

長女「」チラッ

勇者「…ん?」

長女「あっ…」カァァ

長女「」プイッ

勇者「えっ」

勇者「(…き、嫌われた?)」

勇者「(ま、まずい…昨日のやつがくさすぎたか…)」

勇者「(こんなんじゃ、更正するどころじゃない)」

勇者「(まず、長女ちゃんとの距離を縮めるところからだな…)」

魔王「(昨日何を言ったのだ)」

勇者「(ああ、俺が長女ちゃんに…)」



勇者「…ってうおおおおおおい!!!」ガタッ

妻「食事中に何を叫んでるの、殺すわよ」

三女「おじさんどうしたのー?」

勇者「な、なんでもないんだあはは…」

魔王「(なんだこいつ)」

勇者「(お前が急に話しかけるからだろ!)」

魔王「(おお、それはすまなかったな)」

勇者「(びっくりするからやめてください)」

勇者「(…ていうかお前の嫁、さっきから何やってんだよ)」

妻「あなたぁ、すきすきすき♪」ギュウ

妻「ちゅー、ちゅー!」グイグイ

魔王「(いつもこんなかんじだ)」

勇者「(子どもの前でよくそんなことできるな…)」

魔王「(…ふむ、使いの者の前だからだろう)」

勇者「(えっ?)」

魔王「(もちろん我に甘えたいのもあるのだろう)」

魔王「(しかし使いの者は全員女、恐らく本能的に威嚇しているのだ)」

魔王「(このオスは私の物だ…とな)」

勇者「(なるほどな…)」

魔王「(まあ、使いの者の前ではそう大したことはない)」

魔王「(貴様は知らないかもしれんが、二人きりのときはこんなものではないぞ)」

勇者「(お前大変だな)」

魔王「(ふっ、大変などではない…我は妻を死ぬほど愛してるからな)」

魔王「(初恋をなめるなよ)」

勇者「(知らねえよ)」

魔王「(…ところで、長女と何かあったのか?)」

勇者「(うっ…)」

勇者「(な、なんでもねえよ)」

魔王「(ふむ、そうか…)」

魔王「(さっきから長女が勇者を見つめているのだが、我の気のせいだろうか…)」

勇者「えっ?」チラッ

長女「っ…!」バッ

勇者「…?」

魔王「(殺すぞ)」

勇者「(なんでだよ)」

魔王「(貴様らは付き合いたてのカップルか)」

勇者「(そ、そんなんじゃねえよ!)」カァァ

魔王「(ふっ、昔は妻も初々しくかわいらしい反応をしていたものだ)」

魔王「(魔法装置から我の着替えを見ながらよく自慰をしていたな…)」

魔王「(我が気づいていたとも知らずに…ふふっ)」

勇者「(初々しいに謝れ)」

魔王「(…勇者よ、大丈夫なのか?)」

勇者「(何が?)」

魔王「(長女がちゃんと更正できるか我は不安で…)」

勇者「(お前も不安になったりするんだな)」

勇者「(ちゃんと親してるじゃねえか)」

魔王「(当然だ、我がどれだけ長女を大切に思っていると…)」

魔王「(勇者、貴様には期待しているぞ)」

魔王「(我の…我の大事な、命より大切な娘なのだ)」

勇者「(ふっ…あの魔王が期待、か)」

勇者「(…心配すんな、俺が守ってやる)」

魔王「(そんなこと頼んでないぞ)」

今日はここまで





勇者「さて、どうしたものか…」

魔王『勇者よ、我は南の方の視察に行ってくる』

魔王『妻、次女、三女は連れていく』

魔王『四女は使いの者に面倒を見させる』

魔王『長女のことは、頼んだぞ』

勇者「…とか言って、魔王はどっか行ったしな」

勇者「(なんて考えてる間に長女ちゃんの部屋の前に来ちゃったよ)」

勇者「(…まずは距離を縮めるところから)」コンコン

「はーい」

勇者「長女ちゃん、勇者だけど入っていいかな?」

「ええっ!?ゆ、勇者さん!?」

「ちょっと待ってて!入ってきちゃダメだよ!!」

勇者「ああ、分かった」

勇者「(…あれ、今忙しかったのかな)」

ガンゴンガンガン ベコン

勇者「な、何やってんだ長女ちゃん…」

ガチャ

長女「えへへ…待たせてごめんね、勇者さん」

勇者「いや、こっちこそ急に来てごめんな」

長女「…いいの、勇者さんが来るの待ってたから」ボソッ

勇者「えっ?」

長女「あっ、ううん…どうぞあがって!」

勇者「お邪魔しまー…あれ?」

勇者「(長女ちゃんの部屋、こんなに片付いてたっけ?)」

勇者「(昨日はもっとごちゃごちゃしてたような…)」

長女「ん、どうかした?」

勇者「いや、なんでもないんだ!」

長女「勇者さん、ここ座って」スッ

勇者「あっ、はい」ストン

長女「はぁ…」

勇者「…」

長女「…」

勇者「(…なんだこれ)」

長女「…」チラッ

勇者「…ん?」

長女「あっ…えへへ」カァァ

勇者「っ…」

勇者「(近くで見ると、本当にかわいい…)」

長女「勇者さん、今日は何しに…?」

勇者「あっ、ああ…そうだな」

勇者「(やべえ、考えてなかった…)」

勇者「(君との距離を縮めるためにきた!とか言ったら絶対引かれるよな…」

長女「えっ…」

勇者「…あっ」

勇者「(や、やべええええええ!!声に出ちゃってたよおおおおおお!!)」

勇者「(魔王、俺ダメだったよ…)」

長女「そ、そうなんだ…」

勇者「違うんだ!これは…」

長女「き、昨日…私の側にいるって言ってくれたもんね…」

長女「えへへ、うれしいな…」カァァ

勇者「(…あれ、いけるんじゃね?)」

勇者「(こうなったらもうヤケだ、いくしかねえ!)」

勇者「そ、そうさ!俺は君だけの勇者だからね!」

勇者「側にいないと、君というお姫様を守るナイトとして失格なんだよ!」キラン

勇者「(…はい死んだー、僕のこと殺してもいいですよ妻さん)」

長女「お姫様…私が、勇者さんの…」

長女「わぁぁ…」ドキドキ

勇者「…あれ?」

勇者「(おかしい、なぜ罵倒と魔法が飛んでこない…)」

長女「うれしい…私、そういうのに憧れてて…」

勇者「(…なんてことだ、長女ちゃんがこんなに乙女だったとは)」

勇者「(女の子と触れあったことなんてほとんどないから分からんが、これはいわゆる)」

勇者「(ちょろい、ということなんじゃないのか…?)」

長女「勇者さん…」カァァ

勇者「(こんなちょろくて大丈夫なのか…いや、大丈夫ではないだろう)」

勇者「(俺がこの子を守らねば…)」

長女「それで、距離を縮めるって何をするつもりできたの…?」

勇者「そ、そうだなぁ…」

勇者「(いかん、全く考えてなかった…)」

長女「…」

勇者「(なんだよその私すごい期待してるよみたいな顔は…)」

勇者「(…せっかく今いい感じなんだ、ここで間違えれば何もかもおしまいだ)」ゴクリ

勇者「その、長女ちゃ…」

長女「えっちなこと、とか?」カァァ

勇者「…は?」

長女「私、いいよ…勇者さんなら」ウルウル

勇者「(…う、うわああああああああ!!!!この子完全に雰囲気に呑まれちゃってるよおおおおおお!!!)」

勇者「(しかもえっちなことってなんだよおおおおおお!!童貞の俺を殺す気かあああああ!!!!)」

長女「初めてだから恐いけど、私も本当はそういうの興味があって…」

長女「ずっと側にいてくれる勇者さんなら…」スッ

勇者「えっ、ちょ、ちょっと長女ちゃん!」

長女「っ…」プルプル

ギュッ

勇者「長女、ちゃん…」

長女「ゆ、勇者さんの手…触れるよ?」

長女「だって、あなたは特別だから…」

勇者「(長女ちゃんが俺の手を握ってる…これ、すごい進歩じゃないか…)」

勇者「(魔王よ、娘の男嫌い…なんとかなりそうだぜ)」

長女「…っ!」グイッ

ふにっ

勇者「えっ」

長女「ど、どうかな…私のおっぱい…」カァァ

勇者「」

長女「こんなことするの、勇者さんだけなんだから…」ギュッ

勇者「(…ああああああああああああああああああ!!!!!)」

勇者「(おかしいだろおおおおお!!!飛ばしすぎだろおおおおおおおおおお!!!)」

長女「な、なんか言ってよ…恥ずかしくて死んじゃいそうなんだからっ」マッカ

勇者「(ど、どうしてこうなった…長女ちゃんを更正させるつもりが、なぜこんなことに…)」モミッ

長女「あんっ…」ピクンッ

勇者「(うわああああああああ揉んじゃったああああああ柔らけええええええ!!!!)」

長女「やだ、変な声出ちゃった…」

勇者「あっ…あああっ…長女、ちゃん…」

長女「…えへへ、服…脱いじゃうね」スッ

勇者「(ほぎゃああああああ!!!!もうやるしかねぇ!!!!)」

勇者「(ここで童貞を捨てるぜえええええええ!!)」


「我の、命より大切な娘なのだ」


「期待しているぞ、勇者よ」


勇者「っ…」

長女「私の裸、見せてあげ…」

勇者「…待って、長女ちゃん」

長女「えっ?」

勇者「俺は、君とこんなことをするために来たんじゃない」

勇者「俺は君の相談役になりたいんだ」

長女「相談、役…?」

勇者「君がどんなことでも相談できるように…」

勇者「友人として、距離を縮めたいんだ」

長女「なに、それ…」

長女「私、勘違いしてたってこと…?」

勇者「はっきり言わなくてごめん…」

勇者「でも、君の力になりたいんだ」

勇者「一緒にがんばろう、二人でなら…」

長女「…もう、遅いよ」

勇者「えっ?」

長女「私気づいちゃったんだもん…今、気づいた…」

長女「昨日からずっと勇者さんのことだけを考えていて…考えれば考えるほど胸が苦しくて…」

長女「これが何なのか、ようやく分かったんだ…」

勇者「長女、ちゃん…」

長女「…」










長女「勇者さんのことが好きです…私、生まれて初めて恋をしました」

長女「私と、恋人になってください」

今日はここまで

やっぱりキリのいいところまで書きます、それ書いて今日は終わり

勇者「(…えっ、えっ?)」

勇者「(人生初の告白を、こんな美少女にされた…)」

勇者「(どうしよう、俺明日死ぬのかな…)」

長女「…返事、聞かせてほしいな」

長女「私、告白なんて初めてだから…き、緊張しちゃって…」

長女「し、心臓がばくばくして…息が苦しいの…」

勇者「長女ちゃん…」

勇者「(君みたいな超かわいい子、OKに決まってるじゃん!…って言いたいところだけど…)」

勇者「(魔王から頼まれてるんだ…長女ちゃんには悪いけど、利用させてもらうよ)」

勇者「…ごめん、君とは恋人にはなれない」

長女「っ…そっか」

長女「私、魔王の娘だもんね…分かってた…」

勇者「…違う、そんなことじゃない」

長女「えっ…?」

勇者「引きこもりとデートになんて行けないだろ」

勇者「どうせ恋人になるなら、いろんなところに遊びにいきたいんだ」

長女「…引きこもりじゃなくなったら」

勇者「…」

長女「私が引きこもりじゃなくなったら、恋人になってくれるの?」

勇者「ああ、もちろん」

勇者「それはもう、こっちからお願いしたいくらいで…」

長女「そっか…あは、あはは…」ガクン

勇者「だ、大丈夫か長女ちゃん!」

長女「ほ、本当に緊張してたから…足が震えて…」

勇者「そ、そうか…」

長女「えへへ…」

勇者「…二人でがんばって、克服しような」

勇者「長女ちゃんなら、きっとできるさ」

長女「ありがとう、勇者さん…」

勇者「いや、礼を言われるようなことじゃないさ」

勇者「長女ちゃんには、いつも助けてもらってばかりだからな」

長女「ふふっ…そっか」

勇者「ああっ」

長女「…好きだよ、大好き」

勇者「えっ」

長女「これからもずっと、ずっと一人ぼっちだと思ってたら、急にあなたが現れたんだもん」

長女「ずるいよ、好きになるに決まってるじゃん…」カァァ

勇者「(…かわいすぎる、なんだこの生き物)」

長女「で、でも、私なりにアプローチはするからね!」

勇者「はい?」

長女「ま、まだ私の片思いみたいだしぃ?あなたにも私のこと好きになってもらいたいから…」

長女「だから…覚悟してよね、勇者さん!」ビシッ

勇者「…ああ、望むところさ」

長女「くそぉ、自分だけ余裕ぶっちゃってぇ…」

勇者「そんなことないさ、俺もすごい緊張したよ」

長女「…なんか言い方に余裕がある」ムスッ

勇者「(正直、現実味がないだけなんですがね)」

長女「まあ、余裕があれば自分の目線がどこにいってるかぐらい分かるよね」

長女「さっきから私の胸チラチラ見てるでしょ…気づいてるよ?」クスッ

勇者「うぐっ…」

長女「…ふふっ、いいよ」

勇者「えっ」

長女「見たかったら言ってね、あなたにならいつでも見せてあげるから」

長女「あっ、見るだけじゃなくて…さっきみたいに触ってもいいんだよ?」

勇者「なっ…!」カァァ

長女「大きい胸で嫌だったけど、勇者さんの気を引けるなら…」

長女「それで好きになってくれるなら…私、なんだってするよ?」

勇者「(…耐えられるかな、俺)」

今日は本当にここまで





勇者「はぁ、疲れた…」ボフン

勇者「…」

勇者「(長女ちゃんは、俺のことが…好き)」

勇者「(嘘だろ…夢じゃ、ないのか…)」

勇者「(…寝よう、起きてそれが現実だったら)」

勇者「(そのときは受け入れよう…)」

ガチャ ギイィ

勇者「っ…!だ、誰だ!」バッ

勇者「(くそっ、暗くてよく分からねえ!)」

勇者「(…もしかして)」


「寝てる間に殺すわ」


勇者「…死んだな、俺」

ガバッ!

勇者「おわあっ!!」

勇者「(はぁ…のしかかられたか、終わったな)」

勇者「(長女ちゃん、少しの間だけど夢を見させてくれて…ありがとう)」









「…えへへ、来ちゃった」

勇者「…えっ」

勇者「長女、ちゃん…?」

長女「こんばんは、勇者さん…」

勇者「な、なんで長女ちゃんが!」

長女「夜這いにきたんだよ、勇者さん…」

勇者「よ、夜這い…?」

長女「うん…」

勇者「…」

勇者「(僕は明日死ぬのでしょうか)」

長女「わ、私ね…いつも通り寝ようと思ったんだけど…」

長女「急に寂しくなっちゃって、それで…」

勇者「俺のところに…来ちゃったのか」

長女「うん、そうだよ」

勇者「…だ、ダメだ、俺たちは恋人でもなんでもないんだ」

長女「…それがなに?」

勇者「えっ…」

長女「私、言ったよね」

長女「あなたを手に入れるためなら、なんだってする…って」

勇者「ちょ、ちょっと待て!それじゃ約束とちがっ…!」

長女「…ごめんなさい」

長女「自分でも、止められないの…」

長女「勇者さんが、こんなにも好きにさせちゃったから」

勇者「っ…」

長女「あなたが悪いんだよ…勇者さん」スッ

勇者「ま、待って!長女ちゃん!」

長女「…なに?」ピタッ

勇者「きょ、今日はやめとこう!」

長女「なんで?」

勇者「恋人でもないのに、性行為なんていけないよ長女ちゃんっ!」

長女「えっ、なんのこと?」

長女「私、添い寝するために来たんだけど…」

勇者「…ふぉあ!?」

長女「よいしょっと…」スルッ

勇者「(…こ、これは恥ずかしい)」

勇者「(心の底で何を期待してたんだ俺は…)」

長女「あったかぁい…」

勇者「…いや添い寝もダメだろぉ!?」

長女「勇者さんのせいで眠れないだもん」

長女「だから、責任取って…」

勇者「(うわぁ、長女ちゃんからめっちゃいいにおいする…)」

勇者「(な、何考えてんだ俺…)」

長女「それにしても、勇者さんってそんなこと期待してたんだんだね」クスッ

勇者「うっ…そ、それは…」

長女「…いつか、二人でえっちなことしようね」

勇者「んなっ!?」

長女「おやすみなさい…」

勇者「…」ドキドキ

勇者「(…俺が眠れないよ、長女ちゃん)」





勇者「はぁ、観光に行く!?」

魔王「そうだ」

勇者「だ、誰が?」

魔王「我ら一家と貴様でだ」

勇者「ち、長女ちゃんは…?」

魔王「できれば連れて行きたいのだが…どうだ、勇者よ」

魔王「娘は外に出られそうか?」

勇者「ああ、多分なんとかなりそうだ…」

魔王「…う、うおおおおおおおおおお!!!」

魔王「勇者よ、でかしたぞ!!」ガシッ

勇者「ま、まだ分かんねえんだぞ!?」

魔王「いいのだ、希望が見えたのならそれで!」

勇者「そ、そうか…」

魔王「はぁ…長女と観光に行ける日がくるとは…」

魔王「我は…我は…ううっ」

勇者「泣くなよ…まだ泣くのは早いだろ?」

勇者「長女ちゃんと観光に行った日の夜に、酒でも飲みながら一緒に泣こうや」

魔王「勇者…勇者よ!」ダキッ

勇者「うわあああ!!抱きつくなきもちわりい!!」バッ

魔王「ひどいではないか」

勇者「ひどいもなにも、俺たち今裸じゃねえか!」

勇者「なんでお前と裸で抱き合わなきゃいけねんだよ!」

魔王「ふむ…抱き心地は妻の方が断然いいな」

勇者「当たり前だろ」

魔王「しかしこの大浴場も、たまには男と入るのもいいな」

勇者「はぁ…一緒に風呂に入ろうなんて言われたときはビビったぜ」

勇者「まさか、こんなデカい風呂があるとはな…」

魔王「使いの者たちも入るからな、これぐらいでかくないと困るのだ」

勇者「な、なんだと!?」

勇者「この風呂、俺と魔王以外も使ってるのか!?」

魔王「そうだが」

勇者「そんなの、ほぼ女湯じゃねえか!」

魔王「そうだが」

勇者「(い、いかん…妄想が捗ってしまうじゃないか…)」

勇者「…ちょっと待て、たまには男と入るのもいいって言ったよな?」

魔王「ああ、言ったぞ」

勇者「…ああ、なるほど!妻さんと入ってるのかそうかそうか!」

魔王「いや、使いの者とも一緒だが」

勇者「」

魔王「ん?」

勇者「なんだお前、堂々と女湯に入ってるのか」

魔王「うむ」

勇者「他のやつらはどう思ってんだよ!嫌がってるだろぉ!?」

魔王「我、普通に人気だぞ」

勇者「は?」

魔王「使いの者たちはみな我の裸が見たいらしくてな、我が入るときは一番混んでるぞ」

勇者「…ちくしょおおおおおおおお!!!!」

魔王「だが今日は貴様と二人で入るからな、使いの者たちには後で入ってもらうことにしたのだ」

魔王「だから今日はこんなにも空いておる、よかったな勇者よ」

勇者「何やってんだよ無能」

魔王「はっはっはっ!」

勇者「はぁ…別にいいけどよ」

魔王「…おお、そうだった」

魔王「今から妻、入ってくるぞ」

勇者「…えっ」

魔王「勇者との話が終わったら入っていいと言ってあるのだ」

勇者「う、嘘だろ…」

勇者「(またあの完璧なカラダが見られるのか…)」ゴクリ

勇者「(…って違う違う!俺には長女ちゃんがいるんだ!)」

魔王「あとはそうだな…もしかしたら妻が…」

魔王「娘を連れてくるかもしれんな」

勇者「なん…だと…?」

ガチャ

勇者「っ…!」

今日はここまで

長女「勇者さん、きたよー!」

勇者「…きちゃったか」

魔王「おお、長女がきたか」

妻「長女も風呂に入りたいらしくてね、連れてきたわよ」

勇者「(何やってんだよ極悪女…今ちょっと長女ちゃんは恐いんだよ…)」

妻「勇者さん、私や長女の体ジロジロ見ないでね…殺すわよ」

長女「へー…勇者さんの裸初めて見たぁ…」ジー

勇者「そ、そうっすか…」

魔王「長女のほうが勇者の体をジロジロ見てるみたいだが」

妻「」

長女「筋肉すごぉい…」スリスリ

勇者「ちょ、長女ちゃんっ…くすぐったいよっ」

長女「やっぱり鍛えてるんだね…素敵ぃ…」ウットリ

勇者「(い、いかん!目線が勝手に胸に…っ)」チラッ

勇者「(…ああああああああ!!!ピンク色の突起がああああああ!!)」

長女「あっ、やっぱり見てるー」

長女「…えっち」カァァ

勇者「しょうがないだろ!裸だったら誰でも見ちゃいますよ…」

長女「…勇者さんだけだよ?」スッ

勇者「えっ」

長女「生のおっぱい、触ってみる?」

勇者「はぎゃああああっ!?」

長女「すごい柔らかいんだよ、おっぱいって…」フニフニ

勇者「ああっ…ああああっ」

長女「いつでも、いいよ…」ドキドキ

勇者「…うおおおおおおおおおお!!!」

ジャボン! バシャーン!!

長女「きゃっ!」

勇者「海で鍛えた俺の泳ぎを見せてやるぜええええええ!!!!」バシャバシャ

長女「もう、逃げられちゃった…」

長女「…でも、泳いでる姿も素敵だよ…勇者さん」ドキドキ






魔王「何をやっているのだあいつらは…」

妻「ああっ、背中流してるから前を向いてて…」ゴシゴシ

魔王「おお、すまぬ」

妻「~♪」ゴシゴシ

妻「あなたの背中、やっぱり大きいわね」

魔王「まあ、魔族の中でも身長は高いほうだからな」

妻「…そういうことじゃないわよ」スッ

魔王「む、違ったか」

妻「私や娘を何度も守ってきた逞しい背中だってことよ」ギュッ

魔王「…家族を守るのは父の役目だ、当然であろう」

妻「あなたには、子どものころから助けてもらってばかりね」

妻「…愛してるわ、ずっと」

魔王「妻…」スッ

妻「あなたぁ…」





勇者「イチャイチャを感じるぞおおおおおおお!!ほおおおおおおおおお!!」

魔王「…」

妻「…おい」

勇者「久しぶりに思いきり泳いだぜ、あと風呂広すぎだろ」

魔王「さっき、長女と何をしていたのだ?」

勇者「な、なんもしてねえぞ!手なんか出してねえ!」

魔王「そんなこと聞いてないぞ」

妻「粗末なモノぶら下げて何をいってるのかしら」クスッ

勇者「粗末じゃねえわ!失礼なやつだぜ…って」

勇者「…太った?」

妻「えっ」

勇者「服の上からじゃ分からなかったけど、お前太っただろ」

妻「ふ、太ってなんかないわよ!そんなに死にたいのかしらあああああ!」ゴォオオオ

勇者「嘘です」

妻「…何よ、私は太ってなんか」

魔王「いや、太ったぞ」

妻「…グスッ」

勇者「あっ、やっぱりそうですか」

魔王「しかしな勇者よ、これは仕方ないことなのだ」

魔王「妻は妊娠しているからな」

勇者「おお、そうだったのか」

勇者「妊婦にしちゃすげえスタイルいいな」

妻「っ…」パァァ

妻「…ふんっ、勇者さんもたまにはいいこと言うじゃない」ニヤニヤ

魔王「(…勇者よ、感謝する)」

勇者「(いいってことよ)」

長女「あっ!勇者さんこんなところにいた!」

勇者「…見つかったぜ」

長女「勇者さーん♪」ダキッ

魔王「えっ」

妻「えっ」

勇者「うわぁ!急に抱きつくなよ!」

長女「えへへ、だって好きなんだもーん」ギュウウ

妻「…あなた、これはどういうこと」

魔王「我も知りたい」

長女「勇者さん、だいすきぃ…」ムギュウ

勇者「(…うわあああ!乳首当たってんだよおおおおおおお!!)」

魔王「(勇者よ、更正させろとは言ったがな)」

魔王「(落とせとは言ってないぞ)」

勇者「そんなの俺が聞きたいよおおおおおおお!!」

妻「長女が…勇者さんを…?ああっ…」フラッ

魔王「妻よ!大丈夫か!」ガシッ

魔王「(…勇者よ、後で我と妻に説明してもらおうか)」

勇者「…終わった、俺」





勇者「(それから俺は魔王と妻に事の経緯を話した)」

勇者「(もちろん、長女ちゃんがいじめが原因で引きこもりになったことは伏せつつ…)」

魔王「…なるほどな」

魔王「ずっと悩んでいたところに勇者の登場…」

魔王「そこで惚れてしまったというわけだ」

勇者「…本人はそう言っていた」

魔王「そして引きこもりが直ったら、恋人になって欲しいと言われたんだな」

勇者「ああ、そうだ」

魔王「そうか…」

妻「…」

勇者「(やっべえ、妻のやつなんも喋らねえよ…)」

勇者「(マジで殺しにくるかもしれん…)」ダラダラ

魔王「勇者よ、我はな…」








魔王「貴様になら、長女を任せていいと思ってる」

勇者「えっ…」

魔王「長女の体目当てに恋人にならず、我との約束を守ってそれを優先させたのはあっぱれだ」

魔王「あの子は親の我から見てもいい女だ、長女の誘惑を退けるのは大変だったであろう」

勇者「でも、俺は人間だぞ?それも勇者だ…」

魔王「長女が人間を選ぼうが魔族を選ぼうが別にいいのだ、長女がそれで幸せなら…」

魔王「そして、長女は貴様を選んだ」

魔王「これからは、貴様が長女を守ってやってくれ」

勇者「魔王…」

魔王「ふふっ…長女も恋をするようになったのだな」

魔王「…なぁ、妻よ」

勇者「っ…」

妻「…勇者さん、私はね」

妻「本当はずっと悩んでたの…長女が急にどこにも行きたくないって言いだしてもう6年…」

妻「なんで、なんで私の娘が引きこもりなんかに…って」

妻「夢にまでみた魔王くんとの初めての子どもで…私の命より大切で…」ポロッ

妻「そんな大切な娘に、何もしてやれない無力な自分が…グスッ…嫌で…」ポロポロ

魔王「妻…」

妻「グスッ…勇者さん」

勇者「…はい」

妻「長女をあなたに託すわ…あの子は、あなたを選んだ」

妻「あの子が外の世界に触れる姿を、私はもう一度見たいの…」

妻「何もできなかった私が言うのもあれだけど…」

妻「どうか、娘をお願いします…」

魔王「…我からもお願いだ」

魔王「あの子は、我の大事な娘なのだ…頼む、このとおりだ!」

勇者「…へへ、俺を誰だと思ってんだよ」

勇者「俺は天下の勇者様だぜ、たった一人の女の子を守れなくて勇者なんか務まるかよ!」

勇者「任せてくれ!長女ちゃんを守ってみせる!」

勇者「絶対、幸せにしてみせる!」

勇者「…これが、俺の答えだ」

魔王「そうか、素晴らしい返事だ」

妻「…任せるとは言ったけどね、もし長女を泣かせたら」

妻「そのときは、絶対に殺すわよ…勇者さん?」

勇者「…泣かせねえよ、まだ殺されるわけにはいかないんだ」

勇者「俺が死んだら、誰が長女ちゃんを幸せにしてやるんだよ」

魔王「…我だな」

勇者「そこは俺だろ」

妻「ふふっ」

今日はここまで

掛け持ちしているSSを終わらせたいので3日ほどお休みします
すみませぬ




勇者「さて、長女ちゃん」

長女「はい!」

勇者「外に出る練習…といきたいんだけど」

勇者「…なんでいるの?」

次女「いちゃ悪いかよ人間!」

勇者「いや、なんでいるのかな…って」

次女「お姉ちゃんの引きこもりをなんとかするんだろ」

次女「…私も、手伝いたいんだよ」ボソッ

勇者「あんだって?聞こえましぇんよ?」

次女「…だから」

次女「お姉ちゃんが一緒じゃないとどこに行ってもつまらないから、手伝うって言ってんだろ!!」

長女「次女…」

次女「…ふんっ」カァァ

勇者「(かわいい)」

次女「…何ニヤニヤしてんだよブサイク!こっち見んな!」

勇者「えっ、ひどい」

長女「もう、勇者さんにそんなこと言っちゃいけないでしょ」

長女「私に協力してくれるんだよ?」

次女「…だって、ムカつくんだもん」

次女「お姉ちゃん、さっきからこいつしか見てないし…」

長女「だって、好きだから見ちゃうんだもん…」モジモジ

次女「…死ねブサイク!」キッ

勇者「そんなこと言われても困るな、ハハハ」

次女「ムカつくぅ…」

勇者「…さて、おしゃべりはここまでにして」

勇者「早速始めようか、長女ちゃん」

長女「はーい!」

次女「それで、何すんだよ」

勇者「長女ちゃんは外…というより、外の魔族や人間が恐いんだと思うんだ」

勇者「というわけでとりあえず、魔族や人間が絶対いないところに行ってみよう」

長女「絶対いないところ…」

次女「ドラゴンの巣とかでいいんじゃね?」

勇者「やめろ」

長女「ダメ、私たちが行ったらたぶん死んじゃうよ」

長女「勇者さんが」

勇者「うん、僕死んじゃう」

長女「それに上位のドラゴンは魔法効かないんだよ?」

長女「そのドラゴンに遭遇したら、私たちもただじゃすまないよ」

久しぶりに書きます

次女「じゃあどうすんだよぉ」

勇者「…うん、森にいこう」

長女「森?」

勇者「そうだ」

次女「そんなとこ行ってもつまんない!」

勇者「いや、つまらないとかじゃなくてな…」

長女「でも、どうやって森まで行くの?」

長女「このあたりに森なんてないけど…」

勇者「それは長女ちゃんの転送魔法で行けばいいんじゃないの?」

次女「あー…」

長女「…ごめんなさい、転送魔法は使えないの」

勇者「ふぇ?」

次女「ふぇ、じゃねえよブサイク」

次女「転送魔法なんか使えたら最初から苦労しないよ」

勇者「な、なんで使えないの?」

長女「私、無意識で防御魔法使っちゃうから…」

長女「勇者さんとか次女になら転送魔法を使えるんだけど、自分には使えないの」

勇者「…なるほどな」

長女「本当、ごめんなさい…」シュン

次女「お、お姉ちゃんが謝ることじゃないよっ」

次女「…おい人間!お姉ちゃんに謝れ!」

勇者「えぇ…」

勇者「(…どうしよう、転送魔法を封じられたな)」

勇者「(やっぱり、直接外に出るしかないか)」

次女「おい、聞いてんのか人間!」プンスカ

勇者「…長女ちゃん、とりあえず外に出てみよう」

長女「えっ…」

勇者「外に誰もいないか俺が確認するから」

勇者「挑戦、してみようぜ」

長女「っ…はい」

勇者「(どれくらい恐がるか、見ておかないとな)」







勇者「さて、この扉を開ければもう外だ」

長女「…」

勇者「心配するな、外には誰もいないよ」

長女「…はい」

長女「…」スッ

次女「お姉ちゃん、がんばって…」

長女「開けますっ」

『近づかないでよ、気持ち悪い』

長女「っ!」ピタッ

『長女なんかほっといてどっかいこーよ』

長女「…あっ」カタカタ

勇者「どうした、長女ちゃ…」

長女「…いやぁ」ブォォン

勇者「えっ」

長女「嫌あああああああ!!!!」ガリガリガリガリィ!

勇者「んなぁ!?」

次女「っ…防御魔法!!」

ピキピキピキピキィィ

勇者「」カチーン

長女「はぁ…はぁ…」ペタン

次女「あーあ…」

長女「嫌ぁ…嫌だよぉ…」

次女「…人間、私が防御魔法使ってなかったら氷で串刺しだったな」

次女「まぁ、カチカチに凍っちゃったけど」

長女「…はっ!ご、ごめんなさい勇者さん!」

長女「解凍魔法!」ジュワァ

勇者「はっはっはっ、死ぬかと思ったぜ」

勇者「…ていうか寒っ!」ガタガタ

次女「玄関、しばらく使えないよ」

勇者「…えっ」

次女「ほら、見てみろよ」

勇者「…はがぁ!?」

勇者「な、なんじゃこりゃああああ!」

長女「私、氷魔法使っちゃったの…」

勇者「待って、これ溶けるの?」

勇者「氷が分厚すぎて溶ける気配がないんじゃが」

次女「今日はもう無理だな、解凍魔法もたぶん効かないだろうし」

勇者「…いや、俺には効いたじゃん」

次女「だからぁ!私が防御魔法使ったって言ってるだろ!」

勇者「あ、ありがとう次女ちゃん…」

次女「次女ちゃんって言うな!」

長女「…ごめんなさい、勇者さん」

勇者「(これは困ったな)」

勇者「(転送魔法が使えない上に、出ようとしたら氷魔法でしばらく凍結)」

勇者「(どうすればいいんだ…)」

勇者「(思い出せ、俺はどうやって困難を越えてきた…)」

勇者「(勇者としていろいろ経験してきたはずだ、どう乗り越えた…)」

勇者「…あっ」

勇者「(思い出した、試してみるか)」

勇者「長女ちゃん、提案があるんだけどさ」

長女「なに?」






勇者「外に出た秒数だけ俺とキスするっていうのはどうよ」

長女「へっ?」

次女「はぁあぁ!?」

勇者「ま、まぁ、ご褒美みたいな感じだよ」

勇者「(うわぁ、我ながらナルシストすぎてひくわ…)」

次女「そんなもんご褒美なんかじゃねえよ!地獄の罰ゲームだろ!!」

次女「お前なんかとキスとか…おぇぇ!」

次女「死ね!死ね!二度とお姉ちゃんにそんなこと言うな!!」

勇者「…泣きたいけど耐えます」ウルウル

次女「お姉ちゃん、こんなやつの言うことなんか…」

長女「っ…き、きす…」ドキドキ

次女「えっ」

長女「そっか…キス、忘れてた…」

長女「キスかぁ…」カァァ

次女「お、お姉ちゃん?」

長女「えへへ…」ニヤニヤ

次女「…っ」ギロッ

勇者「ふぇぇ…こわいよぉ…」プルプル

次女「おいブサイク!お姉ちゃんになにしたんだ!」ガッ

勇者「い、いや、俺は…っ」

次女「変だよ!お姉ちゃんがなんか変なんだよ!!」ブンブン

勇者「く、首取れる!」

次女「お姉ちゃん!どうしちゃったの!!」

長女「次女、私ね…」

長女「勇者さんに、恋の魔法をかけられたみたいなの」ポッ

次女「」

勇者「あの…その…」

次女「…あああああああああ!!!私のお姉ちゃんを返せええええええ!!!!」ブンブンブン

勇者「いやあああ!!首取れちゃううううううう!!!」

今日はここまで
最近本当に忙しい…




勇者「はぁ…参ったな」

勇者「(…正直、状況はかなり悪い)」

勇者「(転送できないし、直接出ることもできない)」

勇者「(最悪だな)」

勇者「(ご褒美作戦は成功…しないだろうしな)」

勇者「…」

勇者「(長女ちゃんにとっていじめはかなりトラウマらしい)」

勇者「(俺があれこれするのは…無駄かもしれない)」

勇者「(もっと根本的に…彼女を変える何かが必要なんだ)」

勇者「(んー…何が必要なんだろう)」

勇者「(…って、それを探すのが俺の役目じゃねえか)」

勇者「(まぁ、明日もいろいろ試してみるか)」

勇者「(今日みたいに凍らされたらまた延期だけど…)」

勇者「さーて、寝るか」

勇者「おやすみなさ…」

ガチャ

ギィィ

勇者「(…はぁ、またか)」

勇者「長女ちゃん、今日はゆっくり寝かしてほしいんだ…」

勇者「僕、今日は本当に眠たいんです…お願いします…」

勇者「…長女ちゃん?」

勇者「…」

勇者「ふぇぇ…返事してよぉ、こわいよぉ…」






次女「お姉ちゃんがなんだって?」

勇者「げぇぇ!!次女ちゃん!?」

次女「だから次女ちゃん言うなって…」

魔王「そうだぞ勇者ちゃん」

勇者「お前もいるのかよ」

次女「それよりパパ、聞いた?」

魔王「ん?」

次女「長女ちゃん、今日は寝かして…だってさ」

魔王「けしからんな」

勇者「そ、そういう意味じゃねえよ!」

次女「お姉ちゃんはなんでこんなやつのことなんか…」

魔王「なぁ?」

次女「パパもそう思うよね!」

魔王「うむ」

勇者「おい、お前は認めてただろ」

魔王「そういえばそうだったな、はっはっはっ!」

次女「…パパのその適当なところ、好き」ポッ

勇者「(えぇぇ…)」

勇者「…はっ!?」バッ

魔王「どうした、勇者よ」

勇者「お前の嫁はどこだ!?」キョロキョロ

魔王「妻ならもう寝たぞ」

勇者「ほっ…そ、そうか…」

次女「…こいつ、ママに惚れてるの?」

魔王「どうやらそうみたいだな」

次女「うわぁ…キモ…」

勇者「いや今の反応は違うじゃん!?適当なこと言うなよおお!」

次女「夜に騒ぐなよ…」

勇者「誰のせいですか」

次女「…ふんっ」

勇者「それで、何しにきたんだよお前ら」

勇者「…まさか、夜這い!?」

次女「そんなわけねぇだろ!!」

勇者「キャー!!犯されちゃうわぁぁ!!」

魔王「なんだこいつ」

次女「はぁ…このブサイク本当に無理なんだけど…」

勇者「…何しにきたんだよ」ウルウル

魔王「偵察だ」

勇者「は?」

次女「うん、偵察」

勇者「なんで偵察…」

魔王「毎晩、長女がこの部屋に来てるみたいだな」

勇者「げっ…気づいてたのか」

次女「お姉ちゃんが言ってた」

勇者「」


長女『ねえ知ってる?勇者さんの寝顔って意外とかわいいんだよ!』

長女『もう、ずっと見ていられるんだから!』

長女『はぁ、勇者さんの寝顔を見続け
る仕事とかないかなぁ…』


次女「…って」

勇者「(…なに言ってんだよ長女ちゃん)」

魔王「うちの娘が恋する乙女すぎてヤバイ」

勇者「…なるほどな、長女ちゃんを止めにきたのか」

勇者「それはちょっとありがた…」

次女「違うけど」

勇者「えっ」

魔王「偵察だと言ったではないか」

勇者「えっ」

次女「ぷっ、なにその馬鹿面」

勇者「ひどいわね」

魔王「長女がどんな行動をするのか見にきたのだ」

次女「もちろん、私たちは隠れるからな」

勇者「な、なにそれ…止めてくれよ…」

今日はここまで
この話が終わったら勇者とは別の視点の話を書きたいので、一人選んでください
一応>>300まで、一番多かったの書きます

1.長女 2.次女 3.三女 4.魔王 5.妻

1

長女で決定ですね
偵察話が終わり次第、長女視点を書いていきます
長女視点の話が終わったらまた勇者視点に戻ります

魔王「次女よ、そろそろ準備にかかるか」

次女「おっけー」

勇者「話聞けよ」

魔王「…転送魔法!」ウィィン

ズダアアアン

勇者「おわぁあぁ!!」

勇者「な、なんだそれは…」

魔王「我の部下が開発した透明室だ」

次女「4人くらい入れるんだぜ~」

勇者「透明室?全然透明じゃないけど…」

魔王「ああ、まだ魔力が供給されてないからな」

魔王「中に入って魔力を入れてやれば透明化できるのだ」

勇者「ほえー…」

魔王「長女ほどの魔法が使えるやつでも、これに気づくことはできん」

魔王「防音も完璧だ、安心しろ」

勇者「安心しろって、心配なんかしてねぇよ…」

次女「パパ、そろそろお姉ちゃん来るよ」

魔王「おお、そうか」

魔王「…では、健闘を祈る」ガチャ

次女「お姉ちゃんに変なことしようとしたら、マジで怒るからな!」

勇者「お姉ちゃんのほうから変なことしてくるんだよなぁ…」

バタン シュウウイイン

勇者「…うおっ!本当に消えた」

勇者「…はぁ、防音ね」

勇者「頼むから騒がないでくれよ…」

魔王『あーあー、聞こえるか勇者よ』

勇者「」

次女『なんか反応しろよブサイク』

勇者「防音ってなんだよ!駄々漏れじゃねぇか!!」

次女『…聞こえてるみたいだな』

魔王『大丈夫だ、貴様にしか聞こえん』

魔王『我がよく貴様に使っているテレパシーのようなものだ』

勇者「な、なんだよ…」

次女『…はい、みなさんこんばんは!』

魔王『こんばんはー』

勇者「!?」

次女『実況は私、次女と』

魔王『解説は我、魔王でお送りするぞ』

勇者「くっそぉ…お前ら遊びやがってぇ…」

次女『あのブサイクなんか言ってるな』

魔王『無視でいいだろう』

次女『そうだね』

勇者「私、もうやだ…」シクシク

コンコン

勇者「っ…は、はい!」

「勇者さん、今夜もいいかな…」

勇者「どど、どうぞ!」

勇者「(うぅ…なんかやけに緊張するぜ…)」

次女『今夜もいいかな…ね』

次女『死ね』

魔王『我も長女に言われたい』

次女『っ…』

次女『…パパ、今夜もいいかな』カァァ

魔王『えっ、かわいい』

勇者「(…あいつら馬鹿だろ)」

次女『馬鹿とか言うな!お前なんかより全然頭いいからな!!』

勇者「(げっ…考えてることも筒抜けかよ)」

魔王『当たり前だろ』

次女『お前がどんだけゲスい思考してるか丸分かりだからな』

勇者「(はぁ…そうですか)」

ガチャン

長女「えへへ、今日も来ちゃった…」

勇者「いらっしゃい、長女ちゃん」

長女「…勇者さぁん」ダキッ

勇者「ははっ、急に抱きつくなよ~」

魔王『死ね』

次女『死ね』

勇者「(最初は絶対抱きついてくんだよ…)」

魔王『ていうか、長女の顔がヤバイな…』

次女『そうだね…幸せいっぱいな抜けた顔してるよ…』

長女「ん~♪」スリスリ

勇者「ちょっと、くすぐったいって」

長女「嬉しいくせに~」

勇者「う、嬉しくなんかねぇよっ」

長女「ふふっ、そっか」

長女「…大好きだよ、勇者さん」ギュウウ

勇者「長女ちゃん…」

次女『』ガンガンガンガン

魔王『酒を飲まなきゃやってられんな』ゴクゴク

長女「…あっ、そうだ」

勇者「ん?」

長女「私、ひざまくらって1回やってみたいんだよね」

勇者「ひ、ひざまくら?」

長女「よいしょ…」スッ

長女「…おいで、勇者さん」ポンポン

勇者「えっ」

長女「私のひざの上に頭乗せてみて?」

勇者「お、おう…」ストン

長女「どうかな…勇者さん」

勇者「ああ…すごくいいよ」

長女「えへへ、よかった」

魔王『あいつらイチャつきすぎだろ』

次女『ブサイク、後で覚えてろよ…』ゴゴゴ

勇者「(うわ、恐いなぁ)」

長女「…今日はごめんね」ナデナデ

勇者「ん?」

長女「その…外に出られなくて…」ナデナデ

次女『お姉ちゃん…』

魔王『頭撫でられるのやめろ』

勇者「(無理だろ)」

長女「私、やっぱり恐くて…」ナデナデ

勇者「…大丈夫だよ」

勇者「時間はたくさんあるんだ…少しずつ、二人で乗り越えていこうな」

勇者「長女ちゃんには、ずっと俺がついてるから」

長女「うん、ありがとう」

長女「私は、勇者さんさえいればそれでいいから…」

魔王『…』

次女『…ねぇ、パパ』

魔王『どうした?』

次女『なんでお姉ちゃんは、私を頼ってくれなかったのかな…』

次女『アイツにあって私たちにないものって、なに…?』

魔王『やつは勇者、我らは勇者じゃない』

魔王『そして、強き者を討つだけが勇者ではない…それだけだ』

次女『…そっか』

魔王『勇者のことは信じてもいいぞ、次女よ』

次女『えっ?』

魔王『我が認めた男だからな』

次女『ふんっ…』

次女『…』

次女『…考えてあげても、いい』

魔王『ふっ、そうか』

長女「ねぇ、勇者さん」

勇者「おう、なんだ」

長女「私ね、本当にあなたのことが好き」

勇者「そ、そっか…」

長女「本当に、本当に大好き」

勇者「て、照れるなぁ…」

長女「…そして、これからすることをどうか許して」

勇者「えっ…」

長女「我慢、できないから…」スッ

長女「一度気づいちゃったら、我慢なんて絶対無理だよ…」

勇者「な、何を…」





長女「…ファーストキスだよ、勇者さん」

勇者「えっ!?長女ちゃ…っ」グイッ

長女「んっ…」

今日はここまで

久しぶりに書きます

魔王『むっ!』ガタン

次女『…だ、だめえええええ!!』





勇者「こらこら、約束と違うだろ?」

長女「…ふぇ?」

勇者「君のファーストキスの相手は俺の手のひらだ、おめでとう」

長女「…ちっ」

勇者「ふっ」

長女「…あっ、あそこに勇者さんのお母さんが!」

勇者「えっ、オカン!?」

長女「隙ありっ!」ガバッ

勇者「オカン、何しにきたんや!」サッ

長女「ちょっ、ふもっ!」ポフン

勇者「…セカンドキスの相手は俺の枕だ、おめでとう」

長女「…けち」

勇者「なーにがケチだよ」

長女「やだぁ…」

勇者「ごねても駄目だ」

長女「いいもん、勇者さんの枕で我慢するから」

勇者「枕…?」

長女「こうして枕にまたがって…んっ」

勇者「ちょ、ちょちょちょ!!」バッ

長女「あっ、私の枕取らないでよ」

勇者「いつお前のになったんだよ!」

長女「だって、私は勇者さんのものでしょ?」

長女「その枕も勇者さんのもの…じゃあ、私のものでもあるよね?」

勇者「なんやその謎理論」

勇者「どっちかと言えば、今の言い方だと長女ちゃん=枕だろ」

長女「私を枕呼ばわりなんて…夜もそばにいてほしいってことかな」モジモジ

勇者「もうやだこの子」

長女「…ふぅ、お遊びはここまでにしておこうかな」

勇者「えっ」

長女「拘束魔法ッ!!」

勇者「なにっ!?うぐぅ!」ガキガキン

長女「あはっ…絶対キスしてやるんだから」

勇者「く、くそっ!動けねえ!!」

勇者「や、約束はっ…!」

長女「はぁ…はぁ…ふふっ」

勇者「(駄目だ、興奮してそれどころじゃねえ)」

長女「勇者さん…勇者さん…」

勇者「(このままじゃ、脱ひきこもり作戦に支障が…っ)」

長女「さぁ、観念してよね…勇者さ」

バアン

次女「おらあぁあああ!!!」ビカァァ!

バキバキ バキン!

長女「じ、次女!?それより拘束魔法がっ!」

次女「掴まれ、勇者!!」

勇者「待ってたぜ、次女ちゃん!」

長女「ぐっ!」

次女「ふぅ、あっぶねえ」

勇者「あ、ありがとう…ていうか」

勇者「う、浮いてるゥゥ!!」

次女「叫ぶなよ、落とすぞ」

勇者「黙る」

長女「あんた、いつからいたの!」

次女「私だけじゃねえ、パパもいるぜ」

長女「えっ…」

次女「…寝てるけど」

勇者「寝てるんかーい」

次女「しょ、しょうがねえだろ!パパはお酒に弱いんだから」

長女「はぁ…二人して何してたの」

次女「私たちは、お姉ちゃんが心配で」

長女「なるほどね…」

長女「それにしても、あれだけ嫌ってた勇者さんを翼を使ってまで助けるなんてね」

長女「どういう心境の変化かな」

次女「べ、別に…」

勇者「翼…?うわっ、マジだすげぇ!」

勇者「魔王家は翼まで使えるのか!」

次女「…違う、私とママだけだ」

今日はここまで

勇者「ほえー」

次女「それに、こいつを助けるためじゃねえし」ポイ

勇者「うわっ!どひっ!!」ズダン

次女「お姉ちゃん、キスはご褒美のはずだろ」

次女「その約束を破るなんてダメだよ」

次女「…まあ、こいつからのキスがご褒美なんてまだ納得できないけどな」ゲシッ

勇者「痛いっ!」

長女「…そうだね、キスはやめとこうかな」

勇者「ほっ」

長女「でもね…」

長女「勇者さんと私を覗いてた二人に、ちょっとお説教しなくちゃね♪」ニコッ

次女「げっ!」

長女「ふふふ、うふふふふふ」ゴゴゴ

次女「ぱ…パパ助けてええええ!!」ダッ

長女「あっ、待ちなさい!」

次女「っ…炎魔法!」ゴオオオオ

長女「無駄よ!水魔法!!」バッシャアアア

魔王「んっ…げっ、長女!」

マチナサーイ! ゴガガザサアヤハマバダ ヒェエエエ!! ボオガァァアァ!







勇者「…」

勇者「ここ…僕の部屋…」

区切りがいいので短いですが今日はここまで
次は長女視点のお話

勇者「...」

魔王「まぁ、しょげるな勇者よ」

勇者「誰のせいだよ...」

魔王「長女は意外と怖い所があるからな」

魔王「怒ったら中々手のつけようがないぞ」

勇者「使いの人が部屋を直してくれたのが幸いでしたわ...」

魔王「うむ、使いの者も中々優秀な人材ばかりだからな」

妻「あーなーたぁー♫」

魔王((どうやら、我が使いの者について話してたのを聞いていたみたいだ))

魔王((では、行ってくるぞ))

勇者((あっ、はい、いってらっしゃい))

長女「はぁー...」

長女「勇者さんのためにも、早く外に出られるようになりたいなー」

長女「はぁー...勇者さん...」

長女「というか、早くキスがしたいよ~!」

長女「勇者さんと!ちゅー!ちゅー!!」

勇者「聞こえてますよ」

長女「はぁー...」

長女「勇者さんのためにも、早く外に出られるようになりたいなー」

長女「はぁー...勇者さん...」

長女「というか、早くキスがしたいよ~!」

長女「勇者さんと!ちゅー!ちゅー!!」

勇者「聞こえてますよ」

こんな感じで書こうと思ってるんですが
おk?

長女「勇者さん!」ダキッ

長女「こっそり聞いてたんだー?」

勇者「あ、うん、声大きいから丸聞こえだったよ」

長女「あっ...」

長女「えへへ///」

勇者「長女ちゃん、外出れるように一緒に頑張ろうね」

長女「うん、その...ごめんね...」

長女「私の魔法で勇者さんの部屋、ボロボロになっちゃったもんね...」

勇者「そんな!気にしなくていいよ!」

勇者「使いの人が直すの手伝ってくれたから、そんな大変じゃなかったよ」

長女「そっかー」

勇者「うん」

長女「ねぇ、勇者さん」

長女「あなたが大好きだよ」

長女「これからもずっとずっと」

勇者「ありがとう、俺も嬉しいよ」

長女「うふふ」

長女「っ...勇者さん!」

勇者「ん?」

長女「手を握って下さい」

勇者「えぇ!?」

長女「駄目...ですか?」ウワメヅカイ

勇者「(駄目じゃないっす)」にぎっ

長女「わっ!」

長女「...」 ユビカラメテ

長女「勇者さんの手、思ってたのよりおっきくて温かいです///」

勇者「(最高)」

勇者「うへへぇ...」ニヤニヤ

次女「何キモい顔してんのこのブサイク」

勇者「あ、次女ちゃんだ!」

次女「だから次女ちゃん言うなってぇ...もういいよ!」

次女「そんな顔してるってことは、まさかお姉ちゃんに変なことしなかったよね!?」

勇者「大丈夫、手を繋いだだけ」

次女「死ねブサイク」

勇者「そこまで言わなくても...」

次女「......勇者」

勇者「?」

次女「...お姉ちゃんのこと、頼んだよ」

次女「...じゃ私は部屋に戻るから」

勇者「」

勇者「(今名前で呼んでなかったか?)」

すっかりこのスレの存在を忘れてた
>>380から続きを書きます
長女視点のお話です

チュンチュン

長女「…ふぁぁ」

長女「もう朝かぁ…」

長女「…」チラッ

勇者「スピースピー…zzZ」

長女「勇者さん、朝だよ」

長女「起きて」

勇者「んおぉ…zzZ」

長女「…ふふっ、起きる気配なし」

長女「勇者さん、着ているもの全部ヌギヌギしましょうね~」グッ

勇者「ふお…んんー…」

勇者「…んおぉおおおおおおい!!」バッ

長女「あっ、起きちゃった」

勇者「起きちゃったよ!おはようだよ!」

長女「おはよう、勇者さんっ」ニコッ

勇者「えっ、この子めっちゃかわいい」

長女「ふふっ、彼女がかわいくて良かったね」

勇者「彼女じゃないけどかわいくて良かったよ」

長女「…勇者さんのいじわる」

勇者「ていうか、起きたら長女ちゃんのいる状況に何も疑問を感じない俺」

勇者「慣れってこわいね」

長女「…あっ」

勇者「どうした?」

長女「(勇者さんの、すごく大きくなってる…)」ジー

長女「(これって、そういうことだよね…)」ドキドキ

勇者「ん?…あ゛っ!!」

勇者「ち、違うんだ…朝は自動起き上がり装置が作動するだけなんだ…」

長女「勇者さんったら、そんなに私のことめちゃくちゃにしたいんだね」

長女「わかった」ヌギヌギ

勇者「いやいや!全然脱ぐ必要ないですから!」

長女「だって、勇者さん発情してるから…」

勇者「私いつ発情したかしら」

長女「心配しなくても大丈夫だよ」

長女「お母さんは私と同じくらいの年で私のこと産んだから」

勇者「…ごめん、話が飛びすぎて頭がついていけない」

長女「まあ試しに一回やってみようよ」

長女「何でもチャレンジしてみるのって大事だからね」

勇者「あ、長女ちゃんのほうがよっぽど発情してるわこれ」

長女「ふふっ」

長女「(勇者さんをからかうの、やっぱりすごく楽しい)」

長女「(この人と恋人になれたらなぁ…)」

長女「(いつか絶対、私に夢中にさせてやるんだから)」

長女「よろしくね、勇者さん!」

勇者「えっ、あぁよろしく…?」

勇者「??」





次女「朝ごはんだ!」

三女「ごはーん!」

勇者「イェーい!!」

次女「ブサイク乗っかってくんな!」

勇者「なぜだ…」ガタガタガタ

次女「お腹すいたー、早く食べようぜー」

長女「まだお父さんとお母さんが来てないでしょ」

三女「今日おそいねー」

長女「確かに」

長女「(何かあったのかな)」

ガチャ

妻「みんな、おはよう」

三女「おはよー!」

次女「もう!ママ遅いよ!」

妻「ごめんねぇ、実は魔王くんが…」

勇者「魔王がどうかしたのか?」

妻「…」ジトー

勇者「えっ」

妻「二日酔いでダウンしちゃったのよ」

妻「お酒すごく苦手なのに、どこかの誰かさんのせいで飲みまくったらしいわ」

次女「あー、あれか」

妻「夫を酔いつぶすのやめてくれないかしら」

妻「勇者さん」

勇者「どひぇえ!俺っすか!?」

妻「勇者さんが長女のことをたぶらかしてるからでしょ」

勇者「どちらかと言うと逆です」

妻「はぁ…なんで私の優秀な娘がこんな男なんかに…」

長女「(みんな勇者さんにひどいことばっかり…)」

長女「(でも、勇者さんの魅力を知ってるのは私だけってことだよね)」

長女「(それはそれで…いいかな)」

妻「というわけで今日は魔王くん抜きで朝食よ…」ズーン

妻「あぁぁ…」

勇者「おぉ、みるみる元気がなくなっていく」

妻「魔王くんと一緒じゃないと生きる意味が…」トボトボ

妻「魔王くん…魔王くん…」ストン

勇者「君たちのお母さん、あそこまでいくともはや病気ですよ」

次女「…ママのパパ狂いには目をつむってくれ」

次女「正直、私もちょっとアレだと思う」

勇者「ですよね」

三女「ママ、げんきだして…」ギュッ

妻「あぁ…娘に気を使われるなんて」ナデナデ

妻「お母さん失格ね、私…」

勇者「そうだな」

妻「あ?」ゴゴゴゴゴ

勇者「まあ冗談なんだけど」ガクブルガクブル

妻「さあ、朝食にしましょうか」

次女「よっしゃ!」

三女「いただきまーす!」

長女「いただきます」

勇者「んはぁ、今日もうまそう」

次女「…あっ、そうだ」

次女「おい人間、今日は私と一緒に出かけるぞ」

長女「!?」

勇者「ごめん、やだ」

次女「はぁ?なんでだよ」

勇者「だって次女ちゃん、変なところに連れていきそうなんだもん」

次女「そ、そんなんじゃない!」

勇者「ぇえ…じゃあどこなの?」

次女「…今は言えない」チラッ

長女「(なに…それ…)」

長女「(二人で、どこに行く気なの…)」

勇者「まあ、別にいいか」

長女「っ…」グッ

次女「へへーん、決まりだな」

長女「…わ、私も」





長女「私も一緒に行く!!」

勇者「へっ」

次女「えっ」

妻「えええええええっ!!」 ガタッ

長女「次女と勇者さんがデートなんて、絶対に嫌!」

次女「お、お姉ちゃん、こんなやつとデートとかありえないよ」

勇者「こんなやつってあんた」

次女「それにお姉ちゃんは…」

長女「もう決めた!行くったら行く!!」

長女「(二人きりになんて絶対させないんだから!)」

妻「ウソ…本当に長女が…っ」

妻「あああああどうしましょ!魔王くんに言わなきゃ!!」

長女「(あれ、なんでお母さんこんなにはしゃいで…)」

長女「…あっ」

長女「そういえば私、ひきこもりなんだった…」ダラダラ

勇者「今さらですかい」

次女「まあ、お姉ちゃんがいいなら私は別にいいけどね」

次女「それにしてもお姉ちゃんと買い物かぁ…えへへ、いつぶりだろ」

長女「いやあの、その…」

妻「あなたぁぁ!!長女が!長女がぁ!!」バタバタ

勇者「おうおう、これは魔王もすっ飛んで来るわ」

魔王「うおおおおおおおお!!!長女、ようやくその気なったか!!」

妻「あなた!私、もう死んでも悔いはないわ!」ダキッ

魔王「我は嬉しいぞ愛しの娘よオエエエエエエエエ!!」

妻「きゃああ!!あなた、しっかりして!!」

ギャーギャー ワーワー



長女「(…どうしよう)」

長女「(引くに引けなくなっちゃった)」

今日はここまで
続きは明日書きます






長女「はぁ…はぁ…」

勇者「…」

長女「はっ…はっ…はっ…」

次女「…お姉ちゃんさあ」

長女「静かに!今集中してるんだから…」

長女「…ふぅぅぅ」

次女「もう20分くらい扉の前でそうしてるじゃん」

次女「そんなに行きたくないなら無理してついてこなくても…」

長女「行くの!!」

次女「そ、そう」

勇者「長女ちゃん…」

長女「(どうしよう…やっぱりすごく怖い…)」

長女「(でも私がいないと、二人きりにさせちゃうことになるし)」

勇者「そういえば魔王はどうしたんだ?」

勇者「さっきまで狂喜乱舞してたのに、肝心な今いないじゃん」

次女「パパなら完全にダウンしちゃって寝込んでるぜ」

次女「んで、パパがそうなればママがどうするか分かるだろ」

勇者「おk把握」

次女「三女はさっさとどっか行ったしなー」

勇者「三女ちゃんはどこへ?」

次女「分からね。あいつめちゃくちゃ自由なやつだし」

勇者「へえ…意外だな」

次女「…ていうかさぁ、ちょっと思ったんだけど」

次女「なんなのそのダッサい格好」

勇者「失礼な、My私服ですよ」

次女「他に服は?」

勇者「なーいよ」

次女「うわぁ…顔がアレなんだから、せめて服装ぐらいはちゃんとしろよぉ」

勇者「ごめん、服とか気にしたことなくて…」

次女「ったく、しょうがねぇな…」

次女「…じゃあ買い物ついでに…選んでやるよ」

勇者「えっ」

次女「その…おまえの、服…っていうか…」

勇者「マジすか!?うわぁーい!」

次女「っ…!」グイッ

勇者「おふっ」

次女「か、勘違いすんなよ!その見た目が嫌いなだけだからな!」ブン

次女「おまえみたいなブサイクと一緒に歩くだけでも、私はイヤなんだぞ!!」ブンブン

次女「ほんとに、ほんとに…買い物のついでなんだからぁぁぁぁ!!!!」ブンブンブン

勇者「分かった!分かったからこのままだと首とれちゃうぅぅぅぅぅ!!!」ガクガクガクガク

長女「(…あれ、この二人ってこんなに仲良かったっけ)」

長女「…」

次女「お姉ちゃん、もう準備はいいの?」

長女「えっ、あっ…い、いつでも行ける!」

勇者「長女ちゃん本当に大丈夫か?」

長女「大丈夫!…たぶん」

次女「んじゃ、行きますかー」

勇者「ういーす」

長女「(…あと一歩、あと一歩で外に出ちゃう)」

長女「(大丈夫…あれからもう6年も経ってるんだから)」

長女「っ…」スッ

長女「(…こわい)」

長女「(こわいこわいこわいこわい!!!)」プルプル

勇者「…」

長女「(た、助けて…勇者さ…っ)」




勇者「…次女ちゃん、せっかくなんだから腕組んで歩こうよ!」ダキッ

次女「ふぇっ!!?」ビクッ

長女「えっ…」

勇者「いやー、こんないい天気だとカップルっぽいことしたくなりますなぁ!」

次女「なっ、なっ、ななっ!」カァァ

今日はここまで

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年06月09日 (木) 02:43:41   ID: T6bbi_Ct

とてもおもしろいです

続を楽しみに待ってます

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