咲「ありがとう」 (27)
優希「咲ちゃん、誕生日おめでとう。これあげるじぇ」
咲「優希ちゃん……ありがとう。これ、いつも付けてる……セアミィ?」
優希「おそろいだじぇ」
咲「うん、そうだね。ありがとう、大事にするね」
優希「もちろんだじょ」
咲「優希ちゃん。これからも仲良くしてね」
優希「おうっ」
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―――――
和「おはようございます、咲さん」
咲「和ちゃんおはよう」
和「お誕生日おめでとうございます。あの、早速ですけどこれを」
咲「わっ、ありがとう。開けていい?」
和「す、少し恥ずかしいですけど……どうぞ」
咲「わぁ……綺麗なネックレスだね。ありがとう、早速付けるね」
咲「どうかな?」
和「お似合いです……」
咲「和ちゃんが選んでくれたもんね。大事にするよ」
和「い、いえそんな大した物では」
咲「でもこれ高そうだよ。どこに売ってたの?」
和「手作りですから」
咲「手作り!?」
和「その、大切な友人のお誕生日ですから……ちょっと頑張ってみました」
咲「ちょっと……?」
咲「でもこんなプレゼントされるなんて分かってたら和ちゃんの時にはもう少しいい物を用意したのになあ」
咲「私はネックレスで和ちゃんは髪留めなんて、ちょっと気後れするよ」
和「そんなことは!とても嬉しかったです!しかも実用と保存用なんて……」
咲「両方実用だよ?」
咲「じゃあ来年は手作りの何かをプレゼントするよ」
和「そこまで気を使わなくても……あの、これからも友達でいてください」
咲「はい、こちらこそお願いします」
―――――
まこ「ここにおったか」
咲「まこ先輩」
まこ「今日は早く帰るて言うとったけえ、今渡しとかんとと思ってのお」
まこ「ほれ、誕生日プレゼントじゃ」
咲「あ、ありがとうございます!」
まこ「ん」
咲「開けてもいいですか?」
まこ「いや、それは……ワシのおらんとこで開けてくれ」
咲「え、はい、分かりました」
まこ「まあ、なんじゃ……色々あるじゃろうが、その時はわしらを頼るとええ」
咲「はい……!」
まこ「さ、咲は大事な戦力じゃけえ!まだまだうちに貢献してもらうためじゃ!」
咲「ふふっ……はい、今度もその次も来年も、頑張ります」
まこ「……期待しとるよ」
咲「はいっ」
―――――
京太郎「よっ」
咲「京ちゃん。いたんだ」
京太郎「いたよっ」
京太郎「で、誕生日だったよな」
咲「うん。何?今年もコンビニのお菓子くれるの?」
京太郎「去年の話はもういいだろ……悪かったよ」
咲「いや、美味しかったしあれぐらいでいいんだけど」
京太郎「今年はちゃんとしたやつだから期待してろよ」
咲「自信あるんだ。それで、どこ?」
京太郎「これだ」
咲「……これ」
京太郎「携帯ストラップだよ」
咲「ふふっ……京ちゃんにしてはお洒落だね」
京太郎「いらないんだな」
咲「貰うよ。ありがとう、早速付けるね」
京太郎「気にいったようで何より」
咲「うん。例え部長が選んだとしても嬉しいよ」
京太郎「何で分かったんだよ……あー」
京太郎「インハイとか他にも色々あったし、国体とかもあってどんどん成長していったよな」
咲「うん」
京太郎「あの時は横で見てるだけだったし、今も皆のずっと後ろを走ってるけどさ」
咲「……」
京太郎「待ってろ、いつか追い越してやる」
咲「うんっ、待ってるよ。でも多分京ちゃんがどれだけ強くなっても負けないよ」
京太郎「言ってろ」
―――――
咲「ん……」
咲「桃子ちゃん?」
桃子「!?」
咲「わっ」
桃子「何で分かったんすか!?」
咲「えっと、匂いで」
桃子「そんなに臭うっすか!そんなに臭いっすか!?」
咲「ま、まあ落ち着いて……いい匂いだよ、ちょっと甘くて柔らかい」
咲「お姉ちゃんには流石に負けるけど、私も鼻がいいみたいだから」
桃子「ちょっ、嗅がないでほしいっす……///」
咲「それで、どうしたの?こんなところまで」
桃子「実はっすね……これを渡しに来たっすよ!」
咲「これ……ハッピーバースデー……もしかして私に?」
桃子「はいっす、前に遊んだ時に聞いてたっすから!」
咲「わざわざありがとう、開けるよ?」
桃子「は、はいっ……なんかドキドキするっすね」
咲「何かな……わぁ、素敵なマフラー」
桃子「っ……」
咲「こんなの貰っちゃっていいの?」
桃子「は、はいっす!」
咲「ありがとう!」
桃子「手編みっすから売ってる物より良くないっすけど」
咲「そんなことないよ!これから寒くなるし大事に使うね」
桃子「そうしてくれると嬉しいっす……あの、咲ちゃん」
咲「なに?」
桃子「友達なんてずっといなくて、距離感とかよく分からないっすけど……」
桃子「もっと仲良くしてくれると嬉しいっす」
咲「うん、私も同じだよ。もっと桃子ちゃんと仲良くなりたい」
桃子「じゃあ私達両想いっすね」
咲「そうだね」
―――――
咲「失礼します」
久 美穂子「「お誕生日おめでとう!」」
咲「うわあっ!」
久「さあさあ、主役はこっちよ」
美穂子「鞄は預かるわね」
咲「あ、はい、ありがとうございます。というかどうして福路さんがここに……」
久「細かい事はいいじゃない。それより美穂子」
美穂子「はい、持ってきます」
美穂子「はいどうぞ」
咲「わあ……美味しそうなケーキ」
久「さ、召し上がれ」
咲「えっ、本当にいいんですか?」
美穂子「ええ、どうぞ」
久「遠慮しないで、全部食べていいのよ」
咲「じゃあ……いただきますっ」
咲「んっ……美味しい~」
美穂子「それは良かったわ」
久「紅茶を淹れてくるわ」
咲「こんなに美味しいケーキ、初めてかも」
美穂子「あらあら、ほっぺたにクリームがついてるわ。じっとしてて」
咲「んん……ありがとうございます」
久「はいどうぞ、美穂子も。砂糖は……いらないわね」
咲「お姉ちゃんじゃないので流石に……いただきます」
久「……」
咲「ふぅ……美味しいです」
久「そう」
咲「でも今からこんなに食べたら夜ご飯が食べられなくなっちゃうし……」
咲「あの、部長と福路さんも食べませんか?」
久「あら。持って帰っても構わないのよ」
咲「いえ、その……勿体無くって、持って帰ったら食べないまま悪くなるかもしれないので」
久「ね?」
美穂子「本当だわ」
咲「?」
久「何でもないわ。じゃあお言葉に甘えて一ついただこうかしら」
美穂子「そうですね」
咲「はい、どうぞ」
久「うん、よく出来てるわ」
美穂子「とてもいい出来ですね」
咲「これ、どこのお店で買ったんですか?」
久「え?そうねえ……秘密?」
美穂子「あんまり人には教えたくないわ」
咲「えー……」
久「機会があればまた食べられるわよ」
咲「本当ですか!?」
久「そうね、隣町まで行けば食べられる確率が上がるかも」
美穂子「ひ、久」
久「あはは、これ以上は言えないみたいね」
咲「むぅ……」
―――――
美穂子「宮永さん」
咲「はい」
美穂子「少しお話しましょう?」
咲「はい、いいですよ」
美穂子「じゃあ……確か本を読むのが好きだったわよね。何かおすすめの本はあるかしら」
咲「えっと……どんな本が読みたいですか?」
美穂子「そうねえ……明るいお話がいいわ」
咲「へえ……やっぱりそういうのが好きなんですね。思ってた通り」
美穂子「あら、どんな風に思っていたの?」
久(この脊髄で会話してない感じ、いいわ……話は緩やかに脱線してるけど)
―――――
咲「お願いごとですか?」
久「ええ。今叶えられるものならなんでもいいわよ」
咲「じゃあ……あ、いや……」
美穂子「?」
久「何かあるの?」
咲「その……」
美穂子「遠慮しないで?」
咲「じゃあ……あの、美穂子さんの瞳が……見たいな、って…………嫌、ですよね」
美穂子「っ……」
咲「あの、別にいいんです」
美穂子「……さ
久「咲。美穂子が目の事で……今もまだ悩む事があるというのは、同じように悩みを抱える身として分かるわよね」
咲「はい……」
久「じゃあどうして見たいと思ったの?美穂子に言ってごらんなさい」
咲「それはあの……対局した時やその記録ビデオを見た時に何度か見えて」
咲「一瞬だけだったけど、すごく綺麗で……み、見蕩れちゃって……///」
久「そういう事だったのね。美穂子はどうかしら」
咲「……」
美穂子「それなら……ちょっとだけ……///」
咲「いいんですか……?」
美穂子「ええ……///」
咲「ありがとうございますっ……」
美穂子「ど、どうかしら……」
咲「……」
美穂子「……」
咲「…………」
美穂子「ね、ねえ……」
咲「奇麗……やっぱり」
咲「宝石みたいで、とっても奇麗です!」
美穂子「そ、そうかしら///」
咲「はいっ、ずっと見てたいぐらいです」
美穂子「じゃあもう少しだけ///」
―――――
久「さあ私の番よ。何でも言いなさい、咲」
咲「えぇっと……でも、あんまり無いというか」
久「なんでもいいのよ、何でも」
咲「でも本当に……あっ」
久「何か浮かんだ?」
咲「お願いを聞くのを今度に延ばす、でお願いします」
久「なんで!?」
咲「そろそろ帰らないと、今日は家の方があるから」
久「あら、もうそんな時間だったのね。それじゃあ仕方ないわね」
咲「あの、ごめんなさい」
久「気にしないの、家の方が大事なんだから。その代わり今度ゆっくりと……ね?」
咲「はいっ」
久「それと、これ」
咲「プレゼントなんてそんな……!」
久「大したものじゃないし、受け取って?」
咲「じゃあ……ありがとうございます」
久「それじゃあ気を付けて」
美穂子「はい鞄。また会いましょう、咲」
咲「ありがとうございます美穂子さん。失礼しますっ」
―――――
咲「ただいま」
衣「咲ー!」
咲「わっ衣さん」
衣「約束通り来たよっ」
咲「いらっしゃい」
衣「早く着替えるんだっ!ご飯だ夕餉だ御馳走三昧だー!」
咲「う、うん分かったよ。ちょっと待ってね」
咲「お待たせ」
衣「早く早くっ」
咲「はいは、ってうわあ!」
界「お帰り、咲」
咲「ただいま、どうしたのこの料理」
界「いや何か……龍門渕の人が作った」
咲「……ああ、ハギヨシさん」
衣「ハギヨシは何でも出来る、神技妙手の者だ」
咲「本当に何でも出来るなあ」
界「さあ主役が来たことだし食べるか」
―――――
衣「咲、一寸良いか」
咲「何?」
衣「今宵は満月だ、また月を見たい」
咲「そう言えばそうだっけ。外に出る?」
衣「窓を開けるだけで構わないよ」
咲「うん、分かった。ベッドの方から見れるかな……あ、大丈夫そう」
咲「はい、毛布」
衣「ああ、ありがとう」
衣「……咲」
咲「うん」
衣「一月の間に考えていた……どんな物を贈れば咲が喜ぶだろうかと」
衣「しかしどれだけ思考を重ねても分からなかった……何も知らなかったのだ」
衣「本を愛読するということだけは知っていたが……なあ、咲よ」
咲「……うん」
衣「生の根本にある三方位というものを知っているか」
衣「体験、表現、理解の循環が人間の根幹にあるという」
衣「言葉にする以前の体験や経験、知覚した事物を言語や何かの形で表現する」
衣「その過程で表現された物は客観化され、更に理解されることで再び内化する」
衣「自身や他者とそれを繰り返すことで生はより深く、広くなる」
咲「うん…………つまり?」
衣「衣は、咲をもっと理解したい。もっと理解されたい。深く交わりたい」
咲「……うん」
衣「これを咲に贈ろう」
咲「……ありがとう。本だね」
衣「幼少の頃、折に触れては読み返した本だ……それと、これだ」
咲「これ、お手紙かな」
衣「衣の日々の事や何かにつけて感じた思いを書いた、つまらないだろうが……読んで欲しい」
咲「そんな事は無いよ……両方大切に読むね」
衣「そうか……」
咲「うん……もっと衣さんの事、理解したいから」
衣「咲……」
―――――
あの時みたいにひと時をおしゃべりをして過ごした。
でも今度は前よりももっと深く、お互いの考えや感じ方を伝えるような話。
今日を振り返る。今日は沢山の事があった。沢山の人に会って、沢山のありがとうを貰って。
皆はとても楽しそうな笑顔で私の事をお祝いしてくれた。
だから私も今日がとても楽しくて、思い出が生きているうちに宝箱に大切にしまった。
こんなに嬉しい事がこれまでも、そしてこれからも何度も訪れる事は無いんだろう。
咲「さ、寝ようか。平日だからあんまり遅くまでは起きていられないから」
衣「う、うん」
吐く息が白く、澄んだ漆色に映える。名残惜しいけど、窓を閉めた。
咲「二人で寝るのはあったかいからいいよね」
衣「うん、あったかい」
言い合って一緒にくるまっていた毛布をかぶり直して横になる。
月の明かりに照らされた女の子は、とても柔らかく幸せそうに笑った。
咲「じゃあ……あ、携帯電話。ちょっとごめんね」
着信があって新品の電話を取る。
咲「メールか。どうやるんだっけ」
まだ覚束ない動きで何とかメールを開く。
そうか、今日はまだ終わっていなかったんだ。
衣「咲……?」
どうだろう、一体今の私はどう見えているだろう。
それにしても、私も単純な性格だったらしい。
咲「ん?うん、大丈夫、一件だけ返信したら寝るよ」
だって、とっても不器用な人からのぶっきらぼうな六文字にここまで心が躍ってしまうんだから。
だから、こっちも同じように返してあげないとね。
ああ、私の過ごしている今はとても素晴らしく、それよりも尊い。
だから、そんな貴重で素敵な一日を彩ってくれた人皆に今日の一日を締めくくる六文字。
咲「ありがとう。」
宮永咲さんお誕生日おめでとうございます記念のSSをここに上梓します
咲さんの今に、これからの未来に幸多からんことを
最初は大人しくカップリングスレに書こうと思っていましたが内容と量を検討した結果単独で建てることになりました
一応プレゼントの内容も考えているのでまとめておくと
優希→セアミィの何か
和→ネックレス
まこ→エプロン
久→フレグランスストラップの腕輪タイプの物
京太郎→携帯ストラップ
美穂子→木製ブックカバーとしおり
桃子→マフラー
衣→本と手紙
という物
後に照も郵送で何かをプレゼントしたことと思います
それとキャラによって一見差が付いている様に見えますが描写不足によるものであり親密度に著しい差は無いと申し上げておきます
久さんの一件についてはまだ手を着けていないので申し訳なく、他日一献ということで
まあつらつらと書くのも興の無いのでこの辺りで終わりますが、最後に入れどころが無いけれど削除もできなかった久さんの行りを。
―――――
咲「あ、部長。こんにちは」
久「あら咲。奇遇ね」
咲「部長は議会ですか?」
久「これからね。ああ、そういえば今日は咲のお誕生日だったわよね」
咲「はい。覚えててくれたんですね、ありがとうございます」
久「勿論よ、当たり前じゃない」
久「お誕生日おめでとう、咲。というわけで、ここに……ここに……?」
咲「?」
久「えー……ここに、咲へのプレゼントを……用意……」
咲「あ、あの……無理しなくても……」
久「いえ、大丈夫……ここに、えー…………用意したわ!」
久「はい、どうぞ」
咲「これ……は……鍵、ですよね……?」
久「私の家の合鍵ね」
咲「そうなんですか?」
久「これでいつでも私の家に来てもいいわよ!」
久「……流石にダメかしら」
咲「どうでしょう……」
久「持ってきてはいるから、また仕切り直してくるわ」
咲「あ、はい」
久「それじゃあ放課後にね」
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