このSSは次の要素を含みます。
・エセ佐賀弁
・エセ博多弁?
・(微)百合
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『準決勝第1試合ここに決着──ッ!!
トップ通過はダークホース阿知賀女子学院! 高鴨穏乃──!!』
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「っ! ……」
新道寺女子高校麻雀部 部室
ガチャ
哩「こんちは、やっとるか」
煌「あ、こんにちは……って、部長!?
どうされたんですか!?
わざわざいらっしゃるとは……」
哩「邪魔やったか」
煌「とんでもございません!
部長に来ていただけたら練習が捗ります!」
哩「そがんほどやないけどな」
煌「いえいえそれほどでもありますので!
……しかし、受験勉強などお忙しいのでは?」
哩「まあ、まだそがん慌てる時期でもなか」
煌「そうですか。
ご負担になっていなければよいのですが……
いえしかしありがとうございます部長」
哩「ん──」
煌「?」
哩「もう部長じゃなかけん、
呼び方変えてもらわんといかんね」
煌「おおっと、そうですね──
しかし、なんとお呼びすればいいか……」
哩「どがんでんよかよ」
煌「んー、では……白水先輩?」
哩「んー、白水先輩……」
煌「あ、お気に召しませんでしたか?」
哩「いや、そいでよか」
煌「ではそう呼ばせていただきます」
哩「ん。白水先輩、か……」
煌「?」
哩「ああいや、先輩って、
去年まで姫子に呼ばれとったなあって」
煌「ああ、なるほど」
哩「……やっぱい姫子は来とらんのか」
煌「はい。
……白水先輩も事情を聞かれたんですか」
哩「……うん」
煌「福岡に戻ってから3日は経つというのに……
一向に部室に姿を見せないのですよ」
哩「ほんに、困った奴ばい」
煌「負けたのがショックなのでしょうけどねえ……
それにしてもだいぶ引きずってますが」
哩「……」
煌「もしかして、白水先輩はそのために今日」
哩「……ん。
やっぱい姫子が心配やけん」
煌「そうですねえ……」
哩「姫子に電話はしてみたんか」
煌「はい。何度か……
でも全部出てもらえませんでした」
哩「電話にも出んか。相当やね」
煌「ここまで引きずるのは、ちょっと姫子らしくもない気がしますけどねえ……」
哩「……」
煌「白水先輩はどう思われますか?」
哩「……やっぱい、私が行くしかなかとかね……」
煌「……」
哩「ああいや、先輩って、
去年まで姫子に呼ばれとったなあって」
煌「ああ、なるほど」
哩「……やっぱい姫子は来とらんのか」
煌「はい。
……白水先輩も事情を聞かれたんですか」
哩「……うん」
煌「福岡に戻ってから3日は経つというのに……
一向に部室に姿を見せないのですよ」
哩「ほんと、困った奴ばい」
煌「負けたのがショックなのでしょうけどねえ……
それにしてもだいぶ引きずってますが」
哩「……」
煌「もしかして、白水先輩はそのために今日」
哩「……ん。
やっぱい姫子が心配やけん」
煌「そうですねえ……」
哩「姫子に電話はしてみたんか」
煌「はい。何度か……
でも全部出てもらえませんでした」
哩「電話にも出んか。相当やね」
煌「ここまで引きずるのは、ちょっと姫子らしくもない気がしますけどねえ……」
哩「……」
煌「白水先輩はどう思われますか?」
哩「……やっぱい、私が行くしかなかとかね……」
煌「……」
部活終了後
煌「……つい姫子の家まで来てしまった」
煌「ああ、私はなぜもっと早くここへ来ることを考えなかったのでしょう。
1日2日あれば立ち直ってくれると思っていたばかりに……」
煌「少し楽観的すぎましたね……」
煌「……まあ、悔いても仕方がありません。
とにかくインターホンを押してみましょう」
ピンポーン
煌「……」
煌「出ない、ですか。まあ予想はしていましたがね。
電話にも出ないくらいで……」
『はい?』
煌「!?
あ、もしもしっ! 花田です! 花田煌です!」
『……!
あ、花田……?』
煌「姫子?」
『……うん』
煌「よかった!
ねえ、ちょっと今お話できないかな?
ちょっと心配でここまで来ちゃって……」
『……』
煌「無理にとは言わないけど……」
『……ごめん。
今は何も話したくなか』
煌「そうですか……
ごめんね、急に押しかけちゃって」
『……ううん、ごめん。
じゃあね』
煌「じゃあ……」
プツッ
煌「……やっぱりダメ、でしたか」
煌「強引にでも押し入るべきだったんでしょうか……
いや、姫子の意志というのもあります。
一番尊重すべきはそれでしょう」
煌「ひとまず、今日のところは退散ですね……」
テクテク
『……』
翌日
煌(……今日も来ない)
煌(いや、まだ昼です。
もしかすれば遅れてひょこっと現れてくる可能性も……)
友清「あ、花田」
煌「友清さん! お疲れ様」
友清「調子はどげん?」
煌「実にすばら! ……って言いたい所だけど、実際ちょっと微妙かなあ」
友清「そうなん? 珍しいね」
煌「うん。やっぱり姫子が来ないことが気になってるのかも……
さっきも危うくトビそうになっちゃったし。
トバないことが売りなのにね」
友清「……」
煌「あ、ごめん! そういうつもりじゃ」
友清「ああいや、そういうことじゃなかよ。
ただ花田がそげん調子落としとるのが珍しいからちょっと心配になって」
煌「そう、ごめんね?
でも大丈夫。姫子だっていつか戻ってきてくれると思ってるし、
私の調子もすぐ戻ると思うから」
友清「はは。……ほんとに、花田は強かねえ」
煌「いやいや、そんなことないよ!」
友清「いやあ、強かよ。
凹まされても落ち込まんし。
実はちょっと尊敬しとる」
煌「それはそれは……どうもありがとう」
友清「あ、そうそう。白水元部長が花田を呼んできてって言うとったんよ。
部室ん前にいらっしゃーけん行っちゃり」
煌「わかった! ありがとう!
じゃあまた後でね!」
哩「すまんな、ランチに付きあわせて」
煌「いえいえ、私で良ければいつでもお供いたしますよ。
部……白水先輩」
哩「あいがと。
……姫子、今日も来なかったんやね」
煌「……ええ。
まだくすぶっているみたいですね」
哩「電話も相変わらず着信拒否……
どげんしたもんか」
煌「……昨日、姫子の家に行きました」
哩「!! どがんやった?」
煌「……今は何も話したくない、と言われて追い払われました」
哩「……そうか」
煌「やっぱり、相当思い詰めてるみたいですね……」
哩「私を着拒した時点で、だいぶ思い詰めとるばい」
煌「確かに、そうですね」
哩「しかし、どげんすっと?
今日も姫子のところに行くつもりか?」
煌「……そうしようと、思っています」
哩「そうか。
ほんなごては私もついていきたいけど、私が行っぎなおのこと拒否られそうやからな……」
煌「うーん……」
哩「すまん、私が何もできんばかりに……」
煌「いえいえとんでもない!
この件に関しては私がやりたくてやってるんですから」
哩「そうか……
そこまで言うんなら、花田に任せる。
あんまい一人で背負いすぎんでな」
煌「はい! ありがとうございます!」
部活終了後
prrrr... prrrr...
ピッ
煌「……やっぱり、出てくれませんか」
煌「昨日追い返されたとはいえ、
やはり黙っては下がるわけにはいかないのです……
今日も行くしかないですね」
煌「さて、今日はどうでしょう?」
ピンポーン
煌「……」
煌「……長い間ですね」
煌「……」
煌「これは、ダメということでしょうか」
煌「うーん、やっぱり昨日強引にでも上がらせてもらって
お話するべきだったのかも……
これは失敗しましたかね」
煌「とにかくこれだけ長い間出てもらえないということは今日は……」
煌「……いや、もしかしたら……
外に出てる? 可能性はありますね……」
煌「この時間にそんなに遠くに行っていることはないと思うので……
この辺りにならいるかも……」
煌「……探す価値はあるかもしれません」
煌「こんなところに、公園があったんですね……」
煌「入ってみましょうか。もしかしたらブランコにでも座っているかもしれません。
少しありきたりな展開すぎますか」
煌「どこかに姫子が……」
……
煌「……
見当たらないですね……」
煌「やっぱり、そう簡単には見つけさせてもらえな……」
煌「!」
煌「男女の2人組……女の子は新道寺の制服?
男子の方は……どこかの高校の生徒ですかね」
煌「残念ながら姫子ではないですね。
カップルでしょうか。
何か雰囲気が重たいような……」
男『ごめん、ほんとごめん』
煌「……男子の方が何か謝っている?」
女『……』グスッ
煌「女の子の方は、何か泣いていますね……
何があったんでしょうか」
男『……東京行ってもさ、毎日電話するから。さ?』
女『……』
煌「……」
煌(彼氏さんが遠くに引っ越しちゃうんですか……
それで彼女さん泣いてらっしゃる、と)
男『絶対約束だから』
女『そげん、嫌』
男『なんで?』
女『たっちゃんに毎日会いたいもん』
男『けど親が東京戻るから……』
女『……』
男『ごめん、清美』
女『……』グスッ
煌(ううむ、運命とは残酷ですね……
双方辛いのは痛いほどわかる、気がします。
……こんな大恋愛はしたことがありませんが)
煌「しかし今は彼らに同情している場合では……
姫子を探さないと」
ピンポーン
煌「……」
煌(あれから色々な場所を探し回りましたが……
結局見つかりませんでした)
煌(姫子の家に戻っては来ましたが、夜も遅くてインターホンを鳴らすのもはばかられ……)
煌「……外からでは家の中の気配はわかりかねますね」
煌「もう限界でしょう、今日もひとまず退散です……」
煌(一体どうしてそこまで強情に……
何をくすぶっているのでしょう、姫子は)
翌日・部室
煌「姫子を見た!?」
哩「ん、たまたまやけど」
煌「状況を詳しく教えていただけますか!?」
哩「探偵のごとやね……
いや、ほんにこけ来っ途中偶然見かけただけなんよ。
近くの駅に入っていきよった」
煌「駅ですか……」
哩「ホームまで進んで行きよったばってん、声は掛けられんやった」
煌「電車ですか。
どこに行ったのでしょう?」
哩「そがんはわからん。
どこさい遠くかね」
煌「うーむ……
部室よりも優先して行きたい場所でもあったんでしょうかね」
哩「どうやろな……」
煌「わかりました。
とにかく情報提供ありがとうございます!」
哩「ん」
煌「あの……
姫子に会うために部活を早退けさせていただいても?」
哩「……もう私は部長じゃなかけん、先生に頼みにいき」
煌「はい。今から行ってきます」
哩「ん。あんまい無理したらいかんよ」
煌「はい!」
煌「というわけで来てしまいました……
駅はここですね」
煌「ここで待っていればいつか姫子が現れるはずですし……
名誉挽回のチャンスです!」
煌「名誉……あれ、汚名? どっちでしたっけ?
まあいいや」
煌「これだけのために早退を許可してくれた先生には感謝しなければいけませんね」
煌「しかし姫子もそんなにすぐには帰ってこないでしょうね……
長丁場になりそうです」
煌「まあ、そのために飲み物はバッチリ準備してあるんですけどね!」
煌「とはいえ、2リットル入りのアクエリアスを2本は少し買いすぎたでしょうか……」
煌「まあ良いでしょう。熱中症になるよりはマシです」
煌「なんだか、張り込み警察官みたいですね……」
煌「……」
ミーンミーン...
煌「暑いですね。8月なので当然ですが……」
煌「あそこの日陰に移動しますか」テクテク
煌「……」
煌「静かですね……」
ミーンミーン...
煌「蝉さんの大合唱に負けないように、何か歌でも歌いますか」
煌「スーッ」
煌「あのっ♪ すばーらしい♪ 愛を♪ もう一度ー♪」
煌「……」
煌「いやあ、いい曲ですね。すばらです。
中学の合唱コンクールを思い出します」
煌「歌ったのは私のクラスではありませんでしたが、
他のクラスがこれを歌っていてなぜだかよく覚えています。
2年生の時でしたかね……」
煌「あのっ♪ すばーらしい♪ 愛を♪ もう一度ー♪」
煌「うーん、すばら!」
煌「……」
煌「あれ、私達のクラスは何が歌ったんでしたっけ?
2年生の時……うーん……」
煌「うーん、忘れてしまいました。
まあ良いです、じきに思い出すでしょう」
煌「中学……
いやはやあの時は、まさか福岡に来るとは思ってもいませんでした」
煌「離れるときはちょっと……いやかなり寂しかったけど……
こちらでも楽しい日々を過ごさせて頂いていますからね」
煌「いやあ、思い出します……
卒業式の日」
煌「式の後麻雀部にお邪魔して、最後にと言って1局打って……
いや、2、3局打ちましたか」
煌「優希が東場なのに全然振るっていなかったのを覚えています。
まあ、ボロボロ泣いていましたから」
煌「なにせ、4局のうち1回しかアガれていませんでしたからねえ……
しかもタンヤオドラ1の安手。優希らしくありませんでした」
煌「あと、誤ロンを2回くらいやらかしてたような……」
煌「……そういえば、あの時はタコスを持っていませんでしたね。
あるいはそれが原因だったのかもしれません」
煌「それから和ちゃんは、一見普段通りのようでしたが……
ところどころ打ち方がヘンだった気がします。
いつもより鳴きが多かった気がしますし……」
煌「それでも通算での成績は和ちゃんがトップでしたけどね。さすがです」
煌「皆涙を流すので私まで泣きそうになってしまいましたが……
そこはなんとか耐え抜きました」
煌「……ホントですよ? 嘘じゃないですよ?」
煌「まあそれで、とにかくこちらに移ってきたわけで……
少々不安もありましたが、こちらでも良い友達ができて、日々嬉しい事ばかりです」
煌「友達……」
煌「……」
煌「そうでした。
私は姫子を待っていたのでした……」
煌「まだでしょうか……」
ガタンゴトン……
煌「!」
煌「電車が来ましたね……あれに乗っているのでしょうか」
煌「方向的には……小倉から来る方ですね。
下り電車です」
煌「もしあれに乗っているとしたら……
小倉方面に行っていたというわけですね」
煌「いやまさか、博多まで遊びに行ってたり……?」
煌「いや、それはないですね。
博多まで行かずとも小倉でも十分遊べる場所はありそうですし……
そんな遠くまで行くことはしないでしょう」
煌「まあ遊びに行ったのが小倉だったとしても、
そんなにすぐには引き返さないでしょうし……
あの電車には乗っていないかもしれませんね」
煌「でも、都会の方に遊びに行ったというセンは有力ですね。
下り電車の時は特に注意しましょう」
プシュー
煌「電車が駅に到着しました」
ガラガラガラ
煌「扉が開きましたが……うーん……
場所が悪くて降りる人が見えないですね」
煌「まあ、出口の方を見ていれば問題ありませんか」
煌「姫子が出てきたら声を掛けましょう」
煌「……」
煌「……うーん、出てこない」
煌「というか、人っ子一人出てきません。
誰も降りなかったというわけですか」
煌「……今回は、ノーですね」
煌「まあまだまだ、張り込みは始まったばかりです。
勝負はこれからですよ──!」
数時間後
煌「日が落ちてきましたね……
もうそんな時間ですか」
煌「あれから上り下り合わせて10本ほど電車が通ったでしょうか……
しかし姫子の姿はありませんでした」
煌「お飲み物はまだまだ残っているので体調に関しては問題ありませんが……」
グー……
煌「少しお腹が空いてきました。お恥ずかしい」
煌「制服が汗だくですね。
いつもはクーラーの効いてる部室なのでこんなに汗をかくのは久しぶりです」
煌「全身汗だらけで……少し気持ち悪いですね。
お水を浴びたいです」
煌「いやあ、暑い暑い……」パタパタ
煌「……」
煌「そういえば昨日、おアツいカップルを見かけたんでしたね……
といっても、別れ際ですが」
煌「親の転勤の都合で彼氏さんは東京へ……
彼女さんは一人取り残され……
仕方ないことなのですが」
煌「彼女さんの涙がらみの声が思い出されます」
煌「……」
煌「インターハイの日……」
煌「姫子も白水先輩も、江崎先輩も安河内先輩も……
皆して控室でボロボロ泣いていましたっけ」
煌「私は一人気丈に構えようと必死にこらえていましたが……
でもやっぱり無理でした」
煌「……今では良い思い出です」
煌「……」
煌「……姫子」
煌「一体どこへ……」
煌「姫子がこんなに意固地になって塞ぎこんでるのは初めてですね。
白水先輩にとっても初めてだというのだから相当です」
煌「何が姫子をそこまで……」
煌「ってまあ、そうですよね……白水先輩との最後のインターハイで、勝てずに終われば……」
煌「!!」
煌「ってそうですよ!
何故私は今まで気づかなかったのでしょう!」
煌「そうですよ、姫子が白水先輩と一緒に出られるのは今年が最後なんですよ!
まだ来年があるのに、何故今年負けたことに固執して……なんてずっと考えてました」
煌「そうか、それで……」
煌「そうだ、これを最後に白水先輩は引退、来年の3月にはもう高校も卒業……
姫子が悲しいのも当たり前です」
煌「考えれば当たり前の事だったのに……不覚ですね。
まったく気付きませんでした」
煌「……」
煌「いやしかし、それにしても……
ここまで引きずっているのは、やはり不思議ですね」
煌「私の知っている彼女は、凹むことがあったとしても一日あれば復活していたのですが……」
煌「……」
ガタンゴトン……
煌「あ……」
煌「電車ですね。方向は……上り」
煌「私の予想では姫子は朝方上り電車に乗りました。
ですから帰ってくるとすれば下り電車のはず……
ここから下り方向に行っても何もありませんからね」
煌「でも一応、見張っておきましょう」
プシュー……
煌「止まりましたね」
煌「人が降りてくるはずです」
煌「さて、どうでしょうか……」
煌「……」
煌「!!」
煌「姫子!!」
姫子「!!」
煌「良かった! 帰ってきてくれました!」
姫子「……は、え?
なんで花田がこがんとこに……」
煌「いいからいいから!
ね、お腹すいてない?
どこか食べに行こうよ!」
姫子「……え、あ。空いとるけど……
じゃあ、まあ……」
煌「よーし! どこにしようかな……
あ、あと飲み物がすごく余ってるんだけど、良かったら1本どう?」
姫子「あ、じゃあもらっとく……」
煌「良かったー、私1人じゃ飲みきれなかったからね!
あそうだ、親にも電話しとかないと……」ピポパ
姫子「……」
ラーメン屋
煌「チャーシュー麺で、並盛り、麺はかためでお願いします」
姫子「……じゃあ私も、同じの」
ハイヨー!
煌「ふふん♪ ふふーふふふん♪ ふーふーふん♪ ふーふーふーふーふーん♪」(あの素晴らしい愛をもう一度)
姫子「……」
姫子「……ごめんね」
煌「ん? お出迎えしに来たこと?
いいよいいよ、私が行きたくて行ったんだから」
姫子「いや、そいもやけど……」
煌「ん?」
姫子「……ずっと部活に顔ば出さんかったこと。
心配かけたよね」
煌「……ま、心配はしたかな。
でも無事に帰ってきてくれたから、いいってことですよ」
姫子「そっか……」
煌「でも、姫子上り電車で帰ってきたよね?
どこ行ってたの?」
姫子「……人っ子一人おらんとこ行こうと思って」
煌「閑散とした所?」
姫子「うん。ちょっと一人になりたくて……」
煌「……それ、今日だけじゃなくてずーっと一人になりたいって思ってたでしょ?」
姫子「……そうやけど」
煌「やっぱり!
しばらく一人で考えたい気分なんだろうなーって思ってた」
姫子「……」
煌「そういえば……私、姫子の悩みずっと誤解してたかもなんだよね」
姫子「私の悩み?」
煌「うん。最初はチームが負けたのが自分の責任だと思ってずっと悩んでたのかと思ってた。
でも……やっぱり、それだけじゃないよね」
姫子「……」
煌「昨日ね、公園でカップル見かけたんだ。
彼氏が東京に引っ越しちゃうからって別れるとこだった。
それを今日思い出して、姫子の状況と合わせてやっと合点が行って」
姫子「……」
煌「なんというか、なんでこんな簡単なことに気づかなかったんだろうなーって。
ちょっと反省しましたよ」
姫子「……」
煌「……やっぱり、寂しいよね」
姫子「……」
チャーシューメンオマチー!
姫子「寂しいで済んどったら良かったとよ」パキッ
煌「え?」パキッ
姫子「私のせいでチーム負けて……
もう少し大星の能力ば見抜けとったら……
って今でも後悔しとっと」ズルズル
煌「……」
姫子「阿知賀の子、覚えとる? 高鴨さん」
煌「うん、覚えてる。私の中学時代の後輩の幼なじみらしいし」
姫子「あん子の打ち方を後で見てみたんやけど……
大星の能力をまるで知ってたかんごと攻撃を回避しとって……
私は何も知らんくて、大星にでかいの何回も振り込んでしもうた」
煌「でもあの能力は、私達全員わからなかったよ」
姫子「そいけど……」
煌「あの能力をちゃんと見破れてたの、3校の中で阿知賀だけだったんじゃないかって部長言ってたよ。
阿知賀の監督さんがすごかったんじゃない?」
姫子「でも……」
煌「うーん。とにかくそれでずっと悩んでたんだ?」
姫子「そいもやけど……」
煌「?」
姫子「私がそがん不甲斐ないせいで部長との一生モンの大会を……
無駄にしてしもうた」
煌「無駄ってことはないんじゃない?」
姫子「私にとっては無駄も同然たい!!」ダンッ
煌「!」
ザワザワ……
姫子「あ……」
煌「……」
姫子「……ごめん。
熱くなってしもうた」
煌「いやいや、こっちこそ……
ごめん、無神経なこと言っちゃって」
姫子「花田は悪くなかよ」
煌「……お食事屋なんて寄るべきじゃなかったかもね。
もう出ちゃおっか?」
姫子「……ラーメンもったいないし、食べてから」ズルズル
煌「あら、意外と肝が据わっていますね……
じゃあ私もっ」ズルズル
帰り道
煌「いやあ、すばらなお店でした。
初めて入ってみましたが、良い所ですね」
姫子「初めてやったん?」
煌「うん。物は試しと思って。
この辺あんまり来ないからね。
また一つお気に入りスポットが出来ました」
姫子「……」
煌「どうかした?」
姫子「花田って、いつも楽しそうやね」
煌「うーん、そうですね。よく言われます」
姫子「……ええなあ。羨ましか」
煌「?」
姫子「最近、ずっと卑屈になっとって……目の前が真っ黒ていうか。
何にも前向きに考えられんくて。
部長との最後の大会が終わったこととか、部長が卒業することとか、
全部悲しくて……」
煌「……」
姫子「部長の声聞くのつらくて、着信拒否までしてしもうて……はは……
もう私自分が何やっとっかわからんばい」ジワ
煌「……」
姫子「私のせいで部長傷ついとーやろなあとか思っぎ、なおのこと顔合わせづらくて……」
煌「……」
姫子「でも……花田やったら、こがんことで悩まんとやろ?」
煌「え?」
姫子「花田んごと強か奴やったら、こがん状況さえ前向きにとらえて、
前に進もうとすっとやろうなって……
そう考えっぎ、余計自分が情けのーなって」
煌「……」
姫子「もうどがんしようもなかよ」
煌「……」
煌「どうも、私は誤解されている気がしますね」
姫子「え?」
煌「姫子……私はね、周りが思うほど強い人間ではありませんよ」
姫子「何言いよっと。花田は強かたい」
煌「そんなことありません」
姫子「いやいやそがんことなか。
だってあん時、捨てゴマのレギュラーて知って、全然落ち込まんかったやん」
煌「ショックだったよ? 聞いた時は」
姫子「……え?」
煌「捨てゴマだなんて言われて、落ち込まない人いませんよ。
私だって聞いた時は、ショックだった。
レギュラー入りで喜んだのも、ぬか喜びだったんだって思っちゃった」
姫子「まさかそがん……花田が……」
煌「だって私、最初にレギュラー入りって言われた時は
努力が実ったんだ、実力が評価されたんだ、って思ったんだよ?
実際、レギュラーになるために頑張ったつもりだったし」
姫子「そいは……」
煌「ただ……
私はすぐに考え方を変えることができたんだ」
姫子「え?」
煌「捨てゴマとはいえ、レギュラー入りできたのは事実。
だったら、自分が果たすべき役割を全力で果たして、チームに貢献するべきなんだって」
姫子「……」
煌「そう思うと、なんだかすごく前向きになれたんです。
それと同時に、自分に役割が与えられたことに感謝の気持ちが生まれて」
姫子「……」
煌「だから、あんまり落ち込まなかったって話なんだよ」
姫子「……」
煌「姫子と変わらないでしょ?」
姫子「いや、いやいや全然違かばい。
私なんて負けたことまだずっと引きずって落ち込んどーし。
器の小さかとよ」
煌「そんなことないよ」
姫子「そがんことあると」
煌「器の大きさなんて皆そんなに変わらないと思うよ?」
姫子「そがんか?」
煌「多分私は言いたいことを人より我慢しないからストレスがたまらないんじゃないかな。
正直に言う分、人のことも正直に受け入れられる余裕が出来るっていうか」
姫子「……」
煌「だからさ、姫子も正直に言っちゃえばいいんだよ。
まだ何か言えてない本音があるんじゃない?」
姫子「本音……?」
煌「ねえねえ、姫子は今どんなこと思ってるの?
話せるだけ話してほしいな。私聞くから」
姫子「思っとーこつ……」
煌「何かない?」
姫子「……
多分私、自分の弱さに腹立っとーと」
煌「弱さ、かあ」
姫子「麻雀だってそがん強くなかけど……
人間的にも」
煌「うーん」
姫子「やっぱい、私は花田と違う。
だって私、甘えとーもん」
煌「甘えている?」
姫子「だって……
私、ぶちょーの背中ばっかり追っとる。ぶちょーに甘えとる。
自立しとらんとよ」
煌「……」
姫子「それまで私にとっては部長が全てやった。
部長についていきよっぎそいで全部良かった」
煌「……」
姫子「でも今回インハイで……
ほとんど私のせいで負けて……
中学ん時んごと部長とのつながりが切れて」
煌「……」
姫子「負けるまでは、私はまた部長の背中を追えばよかて思うとった。
部長は大学行くんかプロ行くんかわからんばってん、
どっちにしてんついていけばよかて」
煌「うん」
姫子「でも負けて……
高校最後のチャンスがふいになって……
私、部長んこつ『裏切った』って思った」
煌「裏切った?」
姫子「中学時代と合わせて、私は部長と4回一緒に戦った。
その4回とも結局てっぺんまでは届かんくて……」
煌「……」
姫子「私はまだ1年チャンスがある。
でも部長は今年で最後……
私が勝てんかったせいで部長は表彰台にも立てんまま引退たい」
煌「……」
姫子「負けた後も部長は『姫子のせいやない』て何度も言うてくれた。
けど私はどがんしてでん高校のうちに一緒に優勝したくて……
部長も同じ気持ちやったはずて思うて」
煌「……」
姫子「そいけん、『裏切った』と思った」
煌「……ふむ」
姫子「ばってん……
部長は負けた次の日にはもう卒業した後のことば考えとった。
負けを引きずっとらんかった」
煌「……」
姫子「当たり前の話やけどね……
部長にとっては自分の問題やけん」
煌「……」
姫子「ばってん……私にはそいが無性に悔しくて……」
煌「悔しい?」
姫子「私はこがん悲しいのに……
部長はもうさっぱりして将来のこと考えとって……
なんでそがんふうにできっと……って」ウルッ
煌「……」
姫子「部長はもう私のことなんか気にかけとらんとか、
私なんかどがんでんよかとか、って……」
煌「……」
姫子「頭ん中ネガティブなことばっかい浮かんで、
わけわからんごとなって、ぶちょーのこと着拒までしてしもうた」
煌「……」
姫子「ずっと部活に顔出さんかったのも部長に会いたくなかけん……
実際、部長部室に来とったみたいやしね」
煌「来てたね」
姫子「そいで、もう皆と離れたとこば行きたくなって、
電車に乗ろうと思ったとよ」
煌「今日だね」
姫子「うん。知らんとこで降りて、そこで歩きながらずーっと一人で考えごとしとった。
頭すっきりすっまで」
煌「どんなこと考えたの?」
姫子「色々と……
なんで私はこがん悩んどるとかいなとか、皆心配しとーかなとか、
さっきも言ったけど花田やったら悩まんとかなあとか……」
煌「ふむふむ」
姫子「いつも見ん風景の中やったからか、ちょっとだけ新鮮な気持ちにもなれたさね。
ちょっとだけ冷静になれてたていうか」
煌「うんうん」
姫子「そいで1つだけわかったことがあっと。
そいがさっき言った……私は甘えとーってことばい」
煌「あー」
姫子「部長は……私のことをどがん思っとっかわからんばってん……
後んことば考えとるってことは、そいだけ自立しとるってことさ」
煌「うん」
姫子「そいに比べて私は……
自分の意志もなくただ部長につきまといよっただけ」
煌「……」
姫子「改めて思ったと。
私はただの甘えん坊ばい、自立しとらんって」
煌「……」
姫子「要するに私はいつまでもぶちょーにばっかい依存しとったんよ」
煌「なるほど」
姫子「あと……一緒に思ったけど、私が依存しとるんはぶちょーだけじゃなかね」
煌「部長以外にも?」
姫子「多分私、花田にも親にも、先輩達にも、他の人にもみーんなに依存しとーばい」
煌「そうかな?」
姫子「そうたい。
今回だってずーっといじけとってさ……
周りが助けてくれるの待っとって」
煌「あ……」
姫子「今回、花田が助けに来てくれたから良かったけど……
誰も来んかったら、私そのまま退部しとったかもしらん」
煌「それは困りますねえ」
姫子「結局、私っていう人間がもう依存的なんよ……」
煌「ふむふむ。姫子の言いたいことはよくわかりました」
姫子「……
こがんぢくーか愚痴ば聞いてくれてあいがと、花田」
煌「いいってことですよ。私の方から聞きたいと申し出たんですから」
姫子「はは、そっか」
煌「他にはない?」
姫子「んー、まあこがんとこかな。
ん、なんかすっきりしたかも」
煌「それは良かった」
姫子「はは。
いやー、でもこがん本音花田にしか話せんばい。
ほんなごて来てくれたんが花田で良かった」
煌「そこまで言われると照れますねえ」
姫子「照れんでよかよー」
煌「あ、そういえば……」
姫子「?」
煌「結局、姫子は部長の後を追うことにしたの? 進路」
姫子「……今はまだ考えとらん。
付いて行きたいっていう気持ちは正直あるけど……」
煌「さっきはあえて口を挟まなかったけど……
本当に部長が好きでそれが本音なら、ずっと付いていくって選択肢はありなんじゃないかなあ?」
姫子「……そがんかな?」
煌「うん。だって一番大事なのって、自分の本音だもん。
本当は他にやりたいことあるけど部長が行くなら付いていく──だとチョットだけど、
付いていくことが本音なんだったら、それはそれでいいんじゃない?」
姫子「……そか。考えてみる」
煌「うん。白水部長も姫子のこと嫌いには全然なってなさそうだったし、きっと大丈夫だよ」
姫子「ほんに?」
煌「そうだよー。だって毎日部室来て、姫子が来てるか確認してたんだよ?
むしろ相当気にしてるよ」
姫子「……ほんに、ぶちょーには悪いことしたばい……」
煌「今日にでも部長に電話かけてみれば?
喜んで出てくれると思うよ」
姫子「ん、じゃあそうすっかな……
あいがと花田!」
煌「いえいえ、どういたしまして」フフン♪
姫子「ふふ。前から思いよったけど、花田ってときどき敬語になりよーね」
煌「はは、癖だからねー」 フフーフフフン♪
姫子「育ちがよかとやろなー」
煌「いやーそれほどでも……ありますねー」フーフーフン♪
姫子「はは。
……ところで、さっきから鼻歌何そい?」
煌「あ、これはですね、中学の合唱コンクールで聞いた……
あああっ!!!」
姫子「!!?」ビビクン
煌「思い出しました!!
私達のクラスで歌ったの『ひめゆりの塔』だ!」
姫子「は? ああ、ん? 何?」
煌「ああ、ゴメンゴメンびっくりさせて。
ずっと思い出せなかったの、私が中2の時合唱コンクールで歌った歌!」
姫子「そいが『ひめゆりの塔』?」
煌「そうですそうです」
姫子「ふーん……」
煌「ちなみにさっきの鼻歌で歌ってたのは『あの素晴らしい愛をもう一度』って曲」
姫子「ん、ああ……タイトルだけ聞いたことあるばい」
煌「あ、ほんと? いい曲なんだよねー。昔の曲だけど」フフン♪ フフーフフフン♪
姫子「そうなん」
煌「あ、気づいたらこんなとこまで来てたね。姫子ん家のだいぶ近く」
姫子「ほんなごて」
煌「……10時だって。けっこう遅くなっちゃったね」
姫子「そがんなっとったかー。
お母さん心配しよっかもな」
煌「分かれ道だし、この辺でお別れでいいかな?」
姫子「ん、よかよ」
煌「じゃあ、また明日……」
姫子「また明日……」
煌「部室でね!」
姫子「ん……そやね。明日は来っけん。
また明日!」
テクテクテク
煌(ふう、なんだか長い一日だった気がしますね……
でも姫子も元気を取り戻してくれたようですし、何よりです。
今日もすばらでした)
翌日
煌「おはようございまー……あ!」
姫子「おはよー!」
哩「おお、おはよう」
煌「ちゃんと来てくれたんだ?」
姫子「もう吹っ切れたけんね。花田のおかげばい」
哩「ほんなごてな。花田には感謝しとる」
煌「いえいえそれほどのことではありませんよ」
哩「そがん謙遜せんでよかよ」
煌「いえいえ……それにしても、復活早々やたら仲が良さそうですね」
姫子「そがんことなかですよ、ねー?」
哩「まあ、いつもに戻っただけばいね」
煌「ははは。そういえば……
姫子は結局昨日部長に電話したの?」
姫子「……電話はできんかった。
ばってんメールで」
哩「姫子から届いた時は何事かと思うたばい」
煌「嬉しかったんじゃないですか?」
哩「そいは当然ばい。
こいほんに姫子なんか? て思って差出人3度見ぐらいした」
姫子「そいはひどいですよぶちょー!
ちゃんと私ですって」
哩「はいはい。
あともう私は部長じゃなか」
煌「あ、そうだ! 私もうっかりしてました。
これは失礼しました白水先輩」
哩「ん、まあよかけど。
姫子も新しい呼び方ば考えんしゃい」
姫子「えー……
私にとっては部長ですよ」
煌「でも去年までは先輩って呼んでたんでしょ?」
姫子「今更元に戻したくなかよー」
哩「わがまま言わんと」
姫子「むー」
煌「でも確かに『先輩』って、今姫子が使ってたら違和感あるかも」
哩「なんで?」
煌「いえ、その……ねえ?
お二人は非常に仲が良いですから」
姫子「そーですよ!
もっとこの距離感にふさわしい呼び方に変えたかです!」
哩「そいぎ勝手にしんしゃい」
姫子「…………」
哩「どがんしたと?」
姫子「……哩」
哩「!! やめんかふーけもん! くらすぞ!」
姫子「じょーだんですじょーだんです部長!」
煌「あらあら真っ赤っ赤ですねえ」
哩「花田もやかましか!!」
煌「あはは失礼いたしました」
姫子「けどまあ、いつかは下の名前で呼びたかですけどね」
哩「う……」
煌「そういえば……
私が一昨日見かけたカップルは、下の名前で呼び合っていたような」
哩「んなっ! 何余計なこと!」
姫子「ですって! ほら!
やっぱい下の名前呼びなんてフツーですよ!」
哩「だーもうわかった!
好きに呼び! 勝手に!」
姫子「やったー!」
煌(あれ……今頭の中で『ひめゆりの塔』が流れている気がします……
何故でしょう?)
姫子「そういえば、部長……
一つ決めたことがあるとです」
哩「……何」
姫子「来年は絶対優勝ばしたかです」
哩「!」
煌「おお!」
姫子「やっぱい、今回負けたんが悔しすぎたけん……
準決の壁ば越えたいと思って」
哩「……そうやな」
姫子「部長と一緒に壁を超えられんかったんがほんに悔しくて……
もう来年は部長はおりませんけど、私一人でも雪辱を果たそうって」
哩「……」
姫子「そいけん、部長!
来年絶対見に来てください! 約束です!」
哩「絶対見に来る約束て、勝手な奴やな……」
姫子「……ダメですか?」
哩「何を言うとるか。
見に行く。優勝できんでも、姫子の頑張っとる姿が見たい」
姫子「!! ぶちょー!」
哩「ま、もちろん優勝するんやったら、優勝すっとこも見てみたいけどな」
姫子「はい! するんで絶対! よろしくお願いします!」
煌「これはこれは……大変なことになりましたねえ」
哩「花田も頑張るとよ」
煌「はい! もちろんです!」
哩「……さて。そろそろ練習の始まる時間やね」
煌「そういえば部……白水先輩、
この数日間普通に現部員と一緒に練習に混ざってましたね……」
哩「私にとってはマイナスなことはなかけん、
別に構わんよ」
煌「それはすごく助かるのですが」
哩「まあばってん、そろそろ受験にも身を入れりゅーとは思いよるけん、
今日までにすっかもやけど」
煌「無理せず先輩のご都合にお合わせください。
いやはやありがとうございました」
姫子「ぶちょー! 打ちましょう!
久々に相手同士で!」
哩「やけんもう部長じゃなかて……」
姫子「哩!」
哩「にとはっしゅ!」
煌(また一つ、大きな目標ができて……
これから大変になりそうですね。
いやはや、すばらです)
カン!
投下は終わりです。
初めて新道寺を書きましたが、やはり佐賀弁のハードルは高かったです。
がばい佐賀弁の勉強になったばい。
6月頃には書き終わってたのに、最終チェックをずっとサボった結果、
すばら誕に駆け込もうとするも間に合わず……
おつ!
鋼とも柳ともまた違う、誰が呼んだか形状記憶メンタルすばら
最後の「にとはっしゅ」だけググってもわからんやったです…
>>40
「にとはっしゅ」は佐賀弁で「アホ!」という意味らしいです。
佐賀弁ネイティブではないので本当に使うのかはわかりませんが……
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