上条「惚れた女ぐらいテメェ自身で守りやがれッ!」乙坂有宇「……!」 (164)


とある魔術の禁書目録×Charlotte(シャーロット)のクロス


・シャーロットは最終回後設定なのでネタバレがあります。それでもいい方はどうぞ
・禁書の時間軸は旧約15巻あたり(>>1は新約9巻で脱落しました)
・2つをクロスするため、いくつかの設定変更やオリジナル設定がありますのでご承知してください
(世界共通語、原石の設定など。禁書は原作とパラレルワールドと見てください)
・シャーロットに対しての批判や感想などはほどほどに。
・筆者の文章は稚拙なところがありますが温かい目で見守ってください。



以下の点を理解した上で読んでいただけたら幸いです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1444819543



―とある研究室の一室―


奈緒「隼翼さん、本当ですか!彼の記憶を取り戻せる方法が見つかったって…」

隼翼「ああ。学園都市にいる冥土帰し(ヘブンズキャンセラー)という医者なら治せる可能性がある。俺も見てもらったことがある」

奈緒「…すでに名前で疑わしいんですが」

隼翼「はは…それは学園都市で良くつける名称みたいなものさ。心配しなくても実力は折り紙付きさ。
ぐちゃぐちゃになった右手を何事もないように元通りにしたっていうくらいさ。そうだ、ついでに有宇の目も直してくればいい」

友利「それで……本当に戻るんですかね?“彼”の記憶は…」



隼翼「…確かに俺も断言はできないさ。でも確率は高く、試せることは試したほうがいいだろう?」

友利「それは…そうですね…わかっているんですが……」


隼翼「それにしても有宇の奴、奈緒ちゃんが撮ったビデオを見て『前の乙坂有宇』を演じているんだっけ?」

友利「ええ…歩ちゃんや柚咲はうまく騙せているようですが、私や高城にはバレバレの演技です」

隼翼「有宇が見つかってもう数か月経つが…まったく記憶が戻っていないか」

友利「はい。彼は私達に心配をかけないように前の自分を演じようとしているようですが……」

隼翼「奈緒ちゃんにとっては逆にそれが危なっかしくって心配ということかな?」

友利「ええ。いくら記憶がないから、私達に迷惑をかけたくないからって、一番しちゃだめなことです………本当に馬鹿なんですからっ……」


友利は悲痛の声を上げる。
そもそも彼が記憶を失ったのは自分のせいだという考えがあるからだろうか…“彼”にこれ以上無理をしてほしくなかった。


隼翼「……やれやれ、有宇の奴も罪深い奴だな。こんな子を泣かせるなんて」

友利「でも、大丈夫っすよ。こうして、希望が出て来たんですから!」


隼翼「確かに可能性は出て来たが……記憶が全部戻るとは限らないぞ」

友利「心配ありません。彼の記憶が少しでも戻って前の様になってくれるだけで本望です!」

隼翼「…能力をくだらないことに使っていたような頃に戻っても?」



友利「無問題です!その時はまたアタシが公正させるだけですから!」



隼翼「ふふふっ…ふはははははっ!有宇の奴、とことん尻に敷かれているなぁ!あはははっ!!」

友利「ええ。それはそうですよ。なんせ、私は彼の『恋人』ですから!」

隼翼「なら、学園都市までお願いできるかな?奈緒ちゃん」

友利「ええ、お任せください!」

友利は隼翼から学園都市に入るための書類や情報を貰った。







隼翼「行ったか……さて、彼女が学園都市の能力者事情について知ったらどう思うかな?」

隼翼「なぁ、熊耳…」

隼翼は見えない目で1人の長髪の青年が映った写真を見る。
その写真にはうれしそうな隼翼自身も映っていた……。


――マンション――

友利「え~と、学園都市は「記憶術」や「暗記術」という名目で超能力の研究を行っている都市…」

友利は隼翼から渡された資料をゆっくり捲りながら内容を確認する。

友利(簡単に言ってしまえば、星ノ海学園の規模がさらにデカくなって人口能力者をまとめるための都市…と言ったところでしょうか)

友利(まあ、こんなことを知った所であんまり意味はないっすけどね。目的は彼の記憶と体を治すこと。用がなくなったらすぐに帰る予定ですしね)

友利(それしても…自然能力者全員がいなくなったと思ったら、人工とはいえ“超能力”に関わることになるなんて……これも何かの因果でしょうか?)

何かの運命的なものを感じる友利。

友利(…と色々考えていたら目的地に到着っと)


友利は自分のポケットから事前に渡されていた合鍵を出してドアノブに刺して、ドアのロックを解除する。


友利「こんにちは~」

歩未「こんにちはなのです~友利お姉ちゃん」

外に現れたのは15歳くらいのおでこがばっちり見える少女だった。

友利「こんにちは、歩未ちゃん。兄ちゃんはいますか?」

歩未「いるでござるよ。有宇お兄ちゃん~愛しの友利お姉ちゃんが来ましたよ~」


歩がそう告げると別の部屋のドアが開いた。
そこには隻眼の少年が立っていた。少年は友利を見て、少しぎこちなく笑った。



有宇「よぉ、友利」

友利「こんばんは。乙坂さん」


そんな彼に友利は笑顔で挨拶を返した。



有宇「僕が学園都市に……?」

友利「ええ。そこには腕利きの医者がいるようで、そこで記憶と体を一緒に直してしまおうっていう算段です」

友利「すでに私とあなたの学園都市に入るための書類やゲスト用IDはすでに用意してあります」スッ

有宇「ほ、本当だ…」

歩未「ええええーっ!?有宇お兄ちゃんが学園都市デビューとか凄過ぎます~!」

有宇「えっ…学園都市ってそれほど有名なのか?」

歩未「はい!学園都市って言ったら超能力が使えるという夢のような都市なのです!」



友利(約2年前には『崩壊』と言うとてつもない能力を持っていたのですが…黙っていましょう)



歩未「アユも昔一度、『大覇星祭』の時に行きたかったのですが、有宇お兄ちゃんが『生き返りのバス代で金がなくなる』
といったので渋々諦めることになってしまったのです…」

有宇「……それは…ごめんな」

歩未「ううん、別にアユは気にしていないよ。今ではお兄ちゃんとこうして仲良く過ごせる時間があればいいのでござる!」

有宇「そうか…ありがとうな。歩」ナデナデ

歩未「えへへへ…///」





友利(自分の彼女をほったらかしで妹とイチャイチャするのはどうなんでしょうね?)

友利の顔には『まったくこの兄妹は…』がわかるように出ていた。


―マンションの外―


友利[…というわけで私と彼は少しの間、学園都市に行ってきます]


ある程度の説明を乙坂兄妹にした友利は、とりあえず自分の部屋に帰るとともに外で知り合いの高城に電話で連絡していた。


高城[それはそれは。仲がよろしいようで]

友利[何か勘違いしていませんか?私は彼の付き添いでいくだけですよ]

高城[嘘言って~本当はうれしいくせに~]

友利[うざっ]

友利(電話だからって高城の奴、調子に乗っていますね……これは次あったら蹴りを容赦なく食らわせましょう。ええ)


高城[ともかく、これで乙坂君の記憶が少しでも戻ってくれればいいですね]

友利[……はい]

高城[彼ががんばって、昔の口調や雰囲気を出していてもそれは“模倣“であることがすぐわかります]

友利[意外っすねー。あなたも黒羽さんみたいに彼の演技に気づかないと思いましたよ]

高城[あははは…これでも自分は乙坂くんの“親友”ですから…]

友利[高城……]






高城[ちなみに近いうちに学園都市でゆさりんのコンサートがありますから見に来てくださいね!]

友利[私の感動を返せ!!]

高城[あともしも学園都市内で人と仲良くなったら復興用と宣伝用……少なくても3枚は渡してください]

友利[そんなことは自分でやれよ!引くなっ!]


マネージャーサーン

高城[おっと、自分はこれで。仕事がありますから]

友利[マネージャーの仕事お疲れさまーでーす(棒)]

高城[いえいえ、ゆさりんがいる所、たとえ火の中、水の中……]

友利[あーあー、なんか電波の調子が悪いみたいで……]

高城[おっと、最後にこれだけは言わせてください]






高城[乙坂くんの事をよろしくお願いします]

友利[……治すのはアタシではないのですが…承りました]

高城[では、健闘を祈ります]

そうして高城からの電話は切れた。


友利「それにしても高城の奴、いくら黒羽さんのファンだからってマネージャーになりますかねぇ…
   さすがにここまで来たら引くどころか敬意を表するレベルですよ……」


高城は能力がなくなってからは、更に柚咲に熱を上げてよりによって、柚咲のマネージャーになるという驚きの行動を移した。
当然、最初は断られたが、柚咲の知り合いということで『アルバイト』として雇われることになった。
それから仕事をうまくこなしていき、卒業と共に正式に柚咲のマネージャーとして雇ってくれる所までなったらしい。
そのことには本人もうれしさのあまりに友利に熱く語ったという。
(ちなみに友利にはあまりの熱意ドン引きされ、腹に思いっきり蹴りを入れられたという……)


友利「まぁ、本人が幸せならそれならそれでいっすけどね」



友利(幸せ………か)

友利(果たして、今の乙坂さんは幸せなんだろうか?彼は自分に優しくしてくれる私達を思い出せなくって苦しんでいる)

友利(同時に自分が空っぽであることを自覚している……だから、今なら誰にだって成り切ることができる……
  それが間違った選択肢だとわかっていても……)

友利「はぁ……本当に不器用ですね…乙坂さん」

友利(でも、そんなあなたは嫌いじゃない。いえ、それが“乙坂有宇”と言ったところですかね……)

友利(私がなにか言ったところで今の乙坂さんは納得しないでしょう…なら、せめて記憶のピースの1つは取り戻したい…)





友利「もうあなたが傷つくことはないんですよ……有宇さん」

友利は星が煌く夜空を見ながら、小さく呟いた……。

友利「それにしても高城の奴、いくら黒羽さんのファンだからってマネージャーになりますかねぇ…」

友利「さすがにここまで来たら引くどころか敬意を表するレベルですよ……」


高城は能力がなくなってからは、更に柚咲に熱を上げてよりによって、柚咲のマネージャーになるという驚きの行動を移した。
当然、最初は断られたが、柚咲の知り合いということで『アルバイト』として雇われることになった。
それから仕事をうまくこなしていき、卒業と共に正式に柚咲のマネージャーとして雇ってくれる所までなったらしい。
そのことには本人もうれしさのあまりに友利に熱く語ったという。
(ちなみに友利にはあまりの熱意ドン引きされ、腹に思いっきり蹴りを入れられたという……)


友利「まぁ、本人が幸せならそれならそれでいっすけどね」



友利(幸せ………か)

友利(果たして、今の乙坂さんは幸せなんだろうか?彼は自分に優しくしてくれる私達を思い出せなくって苦しんでいる)

友利(同時に自分が空っぽであることを自覚している……だから、今なら誰にだって成り切ることができる……それが間違った選択肢だとわかっていても……)

友利「はぁ……本当に不器用ですね…乙坂さん」

友利(でも、そんなあなたは嫌いじゃない。いえ、それが“乙坂有宇”と言ったところですかね……)

友利(私がなにか言ったところで今の乙坂さんは納得しないでしょう…なら、せめて記憶のピースの1つは取り戻したい…)





友利「もうあなたが傷つくことはないんですよ……有宇さん」

友利は星が煌く夜空を見ながら、小さく呟いた……。

投稿終了。ここでは初投稿だから色々心配。
とりあえずオリ設定や設定変更点など。

・乙坂が見つかってから数か月が経っている。
・乙坂は周りを心配させないために記憶を失う乙坂を演じようとしている。
(友利と高城にはそのことはバレている)
・友利は有宇のことを「乙坂さん」と呼ぶ(ただし、本人の前だけ)
・隼翼には学園都市のコネがある(詳細は不明)
・高城は柚咲のマネージャー(見習いであるが)

まあ、こんなところです。誤字脱字などおかしなところがあったら言ってください。訂正します。
本当は完全に地の文形式にしようとしましたが、時間が掛ることと自分の文章力がたりないのでたまに地の文が出る感じになっています。
そしてちょっとアンケート


1:上条さんが友利にラッキースケベする展開はありか
2:有宇と関わってほしい禁書キャラ(あくまで参考程度)
3:有宇の能力を禁書風の名前を付けるとしたらどんなのがいいか。
(一応、漢字は『能力略奪』という普通の名前をイメージしています)


それはではまた。

なぜ書き溜めてからこないのか

>>34
スイませぇん、書きためていたから遅くなりました。

アンケートを見るとやっぱり友利にラッキースケベはあれか。知っていたけど
通行儀礼かと思っていたけど、イギリス王室三姉妹は受けていないから違うか(したら上条さんがやばいけど)

キャラは把握。一方通行さんの口調が今のところ心配な>>1だけど、頑張る。
みさきちは……>>1が好きなのは初期の悪女ポイ感じなので出るとしたら綺麗じゃないかもしれない。
最悪、心理掌握っていうオリキャラが……いゃ、なんでもない


まあ、とりあえずとーこー


―マンション前―


有宇「じゃ、行って来るからな。留守番は頼んだぞ」

歩未「はい!留守はアユにお任せあれ!」

友利「歩未ちゃんなら1人でもちゃんとやっていけるだろうし、安心ですね」

有宇「その言い方、僕だった1人で何もできないと聞こえるが?」

友利「あれ~?1人じゃ料理もできなくってカップラーメン生活の乙坂さんがいえることですか?」

有宇「ぐっ……」



友利「くふっ、ちょっとからかっただけですよ。落ち込まないでくださいよ」

有宇「なら、事実を使ってからかうのはやめろ!心臓に悪いわ!」


アハハハハッ





歩未「やっぱり2人はお似合いなのですよー」


歩未は少し離れた所で1人、そう思うのだった。





―学園都市ゲート近く―


有宇「へぇー、これが学園都市か……」

友利「乙坂さん、あまり周りジロジロ見ないでください。田舎者だと思われますよ」

有宇「べ、別にいいだろ!学園都市って普段、壁に覆われて詳細とか不明なんだから気になるんだよ!」

友利「はいはい」

有宇「ほ、本当だからなぁ!」

少し子供ぽく反論する有宇を見て友利は愛おしく感じた。


友利(それにしてもあっさり通れましたね…てっきり乙坂さんのことが広まっていたと思っていましたが…よほど隼翼さんが手をまわしてくれたのか…それとも……)

友利(ともかく何事もなければそれでいいんですけどね……)

友利「ふーん…それなら病院の検査など受けた後に観光しますか?」

有宇「えっ?」

友利「検査と言ってもそこまで時間かかるわけでもないでしょうし、終わったら学園都市探索しましょう」ニカ

有宇「……そうだな。うん、そうしよう」

友利「そうと決まったらさっさと病院へレッツゴー!」

友利は自分の手と有宇の手を繋いで全速力で走り出す。



有宇「ちょ、ちょっ、と、友利、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



学園都市の一角で有宇の叫び声が響き渡ったという……。




???「あのカップルみたいに腕組してみたいなーってミサカミサカはお願いしてみる!」

???「馬鹿言ってンじゃねェ…クソガキ……」

その場を見ていたアホ毛少女が友利と有宇と同じことを頼むが、少年に拒否されていた。


―とある病院―


友利「どういうことですか?記憶を取り戻す方法があるのでできないなんて!」


有宇の検査が終わり、検査結果を友利が聞くことにした。
本来は、有宇もいっしょに聞くべきなのだが友利が断った。
ちなみに冥土帰しは顔がまるでカエルに似たような老人だった。


冥土帰し「確かに記憶喪失の人間の記憶を取り戻す方法はある……が。それはリスクが伴う。もちろん、患者に対してのね」

友利「リスク……ですか」

冥土帰し「そう。君が求めている方法だと彼の記憶を取り戻せるかもしれない…しかし、その方法だと彼に精神的な負担がかかり最悪は……」

友利「廃人……っていったところでしょうか……」


友利は能力を酷使しすぎたせいで廃人になってしまった自分の兄のことが浮かんだ。
もっとも、その兄は、理由は不明だが最近は落ち着いてきているらしいが……。


冥土帰し「ははっ。さすがにそこまでとはいかないね。…だけど、後々に脳に障害を与える可能性が高い。悪いが僕のポリシーは『患者第一』だからね。患者に無理させるような治療はさせたくない」

友利「そう……ですか……」


友利は落胆の表情を出す。やっとつかんだ希望が途絶えた気がする。


冥土帰し「君もそう落ち込まなくてもいい。脳内検査でも脳には特に異常は見られなかった。これが“ただの”記憶喪失ならいつかとは断言はできないけど、彼の記憶は戻るだろうね」

友利「確かにそうですが……」


医者の“ただの”という言葉に少し強調した気がした気がするが、友利は頷くしかなかった。


冥土帰し「彼は君の大切な人なんだよね?」


冥土帰しの言葉に友利は頷く。




友利「ええ。私は“有宇”さんの『恋人』ですから!」




カエル顔の医者と近くにいる看護婦にも力強く、心を込めて言ってやった。
それも満面の笑顔で。


冥土帰し「ふむ…それなら、彼の記憶に戻るまで待てられるかい?」

友利「ええ。今回の件で少しでも彼の記憶が戻ってくれればいいと思っていただけですし…だめならほかの方法を探すだけっすよ!」

冥土帰し「そうかい……では、次の話に移ろうか。彼の目についての話だ」

友利「はい」


冥土帰し「これについては心配しなくっていい。学園都市製の義眼を手術で埋め込む」

友利「それって大丈夫なんですか?」

冥土帰し「任せなよ。その義眼も僕が作った特別製さ。『患者の身が必要とするものは全て揃える』というのが僕のモットーだからね」

友利「おおー!さっきと違って断然やる気ですね!記憶は戻せなくっても目は治せるってわけですか!さすがカエルに似た奇妙な顔しているだけの医者じゃなかったんですね!」

冥土帰し「……君って結構根に持つタイプだね」


冥土帰しは苦笑する。


―病院内・廊下―


有宇「友利の奴、僕の検査なのに僕には廊下で待ってろって……」


病院の廊下で待っていた有宇は不満だった。
そもそも自分の検査結果を直に聞かない患者とかいるのだろうか?


有宇(さて、友利もいないし、この演技はやめてもいいかな……)

有宇(この口調…違和感なくできるけどなんかなぁ……素じゃなくって演技だからなのか…しっくりこないというか……)

有宇(あああもう!しっかりしろ、乙坂有宇!僕は、自分の周りの人間を悲しませないために『前の乙坂有宇』になると決めたじゃないか!何今更、悩んでいるんだ!)


有宇は数ヶ月たっても記憶を戻らなくって、心配していた自分の周りの大切な人達に悲しい顔させないために『前の乙坂有宇』を演じることにした。
最初はみんなをだますという罪悪感があったが、周りが『前の乙坂有宇』の口調に戻ったためかみんなが少し喜んだ顔を有宇は忘れない。
そしてわかった。彼女たちには『前の乙坂有宇』の存在が不可欠なんだと。


有宇(友利さんが僕のために記憶を取り戻してくれる医者を探してくれているみたいだけど…結局は『前の乙坂有宇』に戻ってほしいだけなんじゃ……)

有宇(そりゃあ『帰ってきたら付き合う』と約束した相手がボロボロになって記憶喪失……になったら取り戻したい気持ちは仕方がないけど)


友利からある程度の事は聞いている。
『前の乙坂有宇』が友利に告白して『帰ってきたら恋人になろう』と約束して、その約束で友利は恋人になっていることを。


有宇(僕的には前の記憶が元通りなんて高望みはしない。傷ついた目が完治して普通に見えるだけで十分だけど……)


そんなことを考えていると自分の前に500円玉が転がってくるのがわかった。
有宇はその500円玉を拾った。


有宇「500円玉…?なんでこんな所に?」



???「ああああああ!!!それは俺の500円玉!!!」

有宇「!!?」


声の先を振り返るとそこにはツンツン髪の高校生が走って来ていた。



???「いやー、助かったよ。もし500円玉が見つからなかったら上条家の死活問題でしたよ。上条さんの恩人ですよ」

有宇「そんなおおげさな…」

有宇(うちもそこまで裕福じゃないけど、500円で死活問題って……)


少し大げさの人だと有宇は思った。


有宇「ところでそっちも誰かの見舞いで…?」

???「いやー、はずかしい話。俺って結構不幸体質で結構怪我するんだよなー。今回もそれで入院していて、やっと退院できそうな所なんだよ…」

有宇「それは…大変…だな…」

有宇(今更だけど口調を『前の乙坂有宇』にしておこう。念のためだ)


こういう時に気を付けなくてもボロが出る…と有宇なりの考えての行動だ。


???「慣れそうな自分が怖いけどな…ところでそっちは?目に怪我あるようだけどそれでか?」

有宇「えっ…目の方もそうなんだけど、ちよっと記憶障害でここの医者が腕利きということを聞いてやってきたんだ」


場にほんの少し気まずい空気が流れる……。


???「あー…わりぃ。変なこと聞いて…」

有宇「い、いや…僕はただ事実を述べただけだし…別にそこまで悲観になっているわけじゃ…」

???「いや、気分を損しちまっただろうし、俺ができることがあったらなんでも言ってくれ!……金銭問題以外は」


両手を合わせて謝ってくる少年。その動作に有宇は吹き出しそうになるが、優しい声で返答する。


有宇「あははは……なら…僕の話し合いになってくれないか?」

???「…それだけでいいの?」

有宇「ああ。あんたなら結構、面白そうな話が聞けそうな気がするし」

???「あんまり期待してハード上げるなよ…つまらなくても文句言わないでくれよ……」



有宇「ああ頼む…って自己紹介がまだだったな。俺は乙坂有宇」

上条「俺は上条当麻。よろしくな、乙坂」



上条「―それで青ピが『バニーは片方の耳が折れているのが自分の胸キュンポントなんや』と意味不明なこと言ったり、土御門が『ロリが着るのが心理なんやにゃー』とバニーのこだわりについて話していたのにいつの間にか論点がずれていたり……」

有宇「なんというか…カオスなことになっているなぁ……ちなみに上条のバニーガールのこだわりって?」

上条「俺?『バニーは赤色がいい』ぐらいかな……」

有宇「本当に個性的だな…上条達……」

上条「あはは…そうだな……って俺もかよ!?」


上条は「冗談じゃねー!」と軽く叫び声を上げた。
有宇はそれを見て少しおかしかった。



有宇「本当に上条は話しやすいっていうか、いっしょにいて楽しいタイプだな」

上条「そうか?」

有宇「そうだ。実は学校でも結構モテてたりしていてるだろ?」

上条「俺が『モテる』?あははははっ、ないない!上条は彼女いませんし、女の子にはなぜか暴力振られることが多いのが事実ですし…」

有宇「そうなのか?そういうのって本人はよくわからないっていうのが多いような……」

上条「俺は方はともかく…そっちはどうなんだよ?」

有宇「えっ…えっと…彼女が一応いるけど……」

上条「へぇー彼女が……ってちょっと待てよ!彼女がいるのかよ!?」

有宇「あ、ああ…」



上条「それなのに上条さんに女性関係を聞くなんて、嫌見なのか!?嫌見なんだな!?嫌見なんだろっ!?三段活用!」


有宇「!!?」


突然の上条の言動に有宇は驚きを隠せない。


上条「ハァハァハァ……悪いな。少し興奮して変なこと口走った…」

有宇「いや、やっぱり上条って変わったやつだな…と思っただけぐらいだよ」

上条「それって褒めていないよな……」アハハ


上条は渇いた笑いをする。



それからも有宇は上条からいろんな話を聞いた。
まるで小学生みたいなピンク色の教師や鉄壁の委員長や黒髪の大人しい少女ことなど。基本的に学校中心だったが、有宇は聞いてて面白いと思った。
そして、なんとなく彼は自分に似ている気がした。ほんとなんとなくだが。




シスター「とうまー」


そんなことを思考していると1人の少女がこちらのほうに声をかけてきた。


有宇(シスター?)


有宇は学園都市に似つかわしくないシスターがいることに疑問を持つ。


上条「おっと、悪いけどツレが読んでいるから俺はこれで」

有宇「ちょっと待った!…また会えるよな?」

上条「さぁな。先の事はわからねぇけど…結構こういうのって縁があるもんだぜ」

有宇「そういうものなのか…」

上条「ああ、そんなもんだよ。じゃあな、乙坂」


上条はそう言ってシスターの方向へ走って行った。




有宇「上条当麻…変わったやつだったな。でも、いっしょにいて悪くない感じだった…」

友利「私よりもですかー?」ヒョイ

有宇「うわっ!?…と、友利!?いつかそこに……」

友利「今さっきです……がそれは今関係ありません。ところで有宇さん!」

有宇「な、なんだ……」

友利「私は乙坂さんの彼女ですよ!それなのにあんな初対面の男の人と仲良くなるんて……彼女としての自信を無くしてしまいます…ううっ」


友利は俯いた状態になる。顔は見えないが声だけを聞くと泣きそうな感じを出していた。


有宇「ちょ、ちょっと待て!何を勘違いしているかは知らんが落ち着け!」


有宇は泣きそうな声をする友利をなだめる。



友利「私なんかよりも初対面の男の人を取るんですね…浮気者!」

有宇「だから誤解だってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


有宇の絶叫が病院の廊下で響き渡っていた。





友利「いやー、意外にも引っかかるもののですね。乙坂さん」

有宇「結局は演技かよ……」

友利「まあまあ、私が病院の検査結果を聞いている間に初対面の男の人と仲良くしていて『いっしょにいて悪くない感じだった…』なーんて言われたらからかわなきゃ損しょ!」

有宇「お前なぁ……」

友利「………全部嘘っていうわけでもないんですけどね」ボソ


有宇「…?なんか言ったか?」

友利「いいえ。乙坂さんがそっち系の趣味に走らないか心配していただけです」

有宇「走らねーよ!てか、まだ引っ張るのか!」

友利「ニシシ!冗談ですよ!本当に乙坂さんは面白いですね」

有宇「友利のおもちゃにされているだけの気がするけどな…」


有宇は溜息を吐く。それを見て友利は笑う。
それを見た周りの人間はほほえましそうに見ていた。その2人は本当に仲のいい恋人同士に見えたから……。


今回はこれで終わり。
おととも書きたいけどちょっとむすがしいなぁ……。
奈緒ちゃんの口が悪いのはデフォだけど再現がちょっとめんどくさいと思う作者でした。
ちなみに上条さんと有宇との会話は最初の方から思いつきました。
シャーロットの最終回が禁書の1期の6話のあれに酷似していると作者は思ったので……。


ちなみに上条さんと有宇の会話もっと長かったんですけど、初対面なのであんまり言わせすぎるのもどうかと思ったので……
削りました。病院で説教をかます上条さんがあれですから……。



最後に…レディリー=奈緒ちゃんなのは最近知りましたが驚きました。
佐倉綾音さん…うまいなぁ……全然同じ人声に感じなかった


冥土返しは患者第一だけど故に患者に必要なものは必ず手に入れるという信念もある
少なくとも治療専門の精神操作能力者くらいは用意すると思うが、

なんか有宇が俺とか言ってると違和感しかないんだが
シャーロットの最終回後の小説結構読んだが記憶失ってもどれも一人称僕だったしなー
後禁書の世界だったら有宇が最終回やった事なんて大した罪じゃないな、むしろ褒め称えられるだろう

SSに関係ないけど通行儀礼じゃなくて通過儀礼だよ

一方通行儀礼

コメント返すよー


>>47
個人的には、記憶というものはデリケートのもので無理に思い出させると本人に負担をかけるということで……
というか>>1が治療専門の精神能力者を知らなかったというのが一番の問題なんですがね……

>>48
すまない。上条とごっちゃになって、「俺」になっていたようだ。
その証拠に他では「僕」だろ?すぐに訂正版を出す
あと有宇がやったことは原石本人には喜ばれるだろうが…研究者にはサンプルがなくなったことに恨まれそう。
アレイスターはたいして気にしていないだろうが……

>>49>>50
ごめん、今までそう思っていた。通過儀礼ね。覚えた
……ごめんね。対して知識がないのに漢字を使おうとして……



こんな作者だけど、これからもどうかよろしくお願いしますびっくり

訂正

>>42


×有宇「ああ頼む…って自己紹介がまだだったな。俺は乙坂有宇」

○有宇「ああ、頼む…って自己紹介がまだだったな。僕は乙坂有宇」




こんなことがこれからもたくさんあるでしょうが今後もお願いします!

遅くなってすまん。
投降する前にみんなのレスでカップラーメンの件の間違いを見つけたから訂正版を書くわ。
すまないな。初期は「綺麗な有宇が天然で友利と学園都市でイチャイチャする」みたいな感じで書いていたから見直しとか怠っていた。本当にすまない

>>36訂正


―マンション前―


有宇「じゃ、行って来るからな。留守番は頼んだぞ」

歩未「はい!留守はアユにお任せあれ!」

友利「歩未ちゃんなら1人でもちゃんとやっていけるだろうし、安心ですね」

有宇「その言い方、僕だった1人で何もできないと聞こえるが?」

友利「あれ~?聞こえませんでした~?乙坂さんなら歩未ちゃん無しならカップラーメンや団子とかで日々の食事を済ませちゃうイメージなんてっすけどね」

有宇「ぐっ……」

有宇(なぜか否定できない…)




友利「くふっ、ちょっとからかっただけですよ。落ち込まないでくださいよ」

有宇「まるで本気で僕がするような言い方はやめろ!心臓に悪いわ!」


アハハハハッ





歩未「やっぱり2人はお似合いなのですよー」


歩未は少し離れた所で1人、そう思うのだった。


訂正版終わり。これでもう問題ない……はず。
というわけで>>45の続きをどうぞ。


―とあるマンション―


それから―彼女と有宇は用意されていたマンションにいた。
それは今まで自分たちがいたマンション並に豪華であり、すでに初期など家具一式が擁してあるなど格段的な待遇だった。


友利[どういうことですか!隼翼さん!]


友利は携帯電話先の―隼翼に向かって声を張りつめた。


隼翼[さっき話した内容の通りだよ、奈緒ちゃん]

隼翼は何もないような好かずかしい声で言った。

友利[私が交換学生としてとある高校に通うなんて!しかも1年生で!]

隼翼[ああ、そのことか。学園都市側から急に決まってね。こっちの事情で断れなかったのさ]

隼翼[ちょうど二人が学園都市にいるからこの機会にいいかなー…と。いいじゃないか、外の人間が学園都市の学校に交換学生として通えるなんて、めったにないことだぜ]

友利[…当の本人の許可を取らずにですか?]

隼翼[おいおい、それを奈緒ちゃんが言うかい?君だって有宇を星ノ海学園に無理やり転校させたじゃないか。本人の許可なく]


そう。それはもう2年前の事だが、有宇を『星ノ海学園』に無理矢理転校させたことが友利にもあった。



友利[そ、それはしかたがなく…]

隼翼[とにかく、もう決まったことだ。交換学生といってもそれほど長くない。
能力開発は有宇の方は…大丈夫だろう。奈緒ちゃんは受けることになるが、そこまでひどいものでもないから心配しないでくれ]

友利[……あなた、本当に隼翼ですか?]


友利の隼翼のイメージは『なんでもこなす用意周到できっちりした男』だった。
今の隼翼はそれとかけ離れている。


隼翼[おいおいひどい言い方だな]

隼翼[まあ…奈緒ちゃんが俺に対してどうイメージ持っていたかは知らないが、俺は結構適当な性格さ]

友利[はぁ]

隼翼[人生の先輩として言っておくが……何事も期待しすぎると痛い目を見るぞ]


その声は真剣なものだった。


友利[残念でした。その期待をあなたの弟は完全に応えてくれました]


――記憶を失ってまで。友利は一瞬そう続けそうになったが、口をつぐんだ。


隼翼[…ああ、そうだったな]

友利[…?と、ともかく!そんな急に用意なんてできるわけないじゃないですか!]

隼翼[それについては学校に必要なものをすでに送ってあるからそれを見ればいい]

隼翼[それじゃ、引き続き有宇のことを頼むよ。奈緒ちゃん]プチ

友利[ちょ、ちょっと!隼翼さん!?]


電話はすでに隼翼につながっていなくコール音だけ鳴るだけだった……。




友利「ふっざけんな!」パン


友利は近くにあったクッションを地面に叩きつけた。


有宇「落ち着けよ…とりあえず受け入れるしか選択肢はないだろう…」

友利「はぁ!?それでも事前に説明とか色々あったでしょうに!」


友利を落ち着かせようと正論を行ってみるがお気を目さなかったらしい。
ちなみに2人は同じ部屋であり、ルームシェア…もとい同居である。
恋人同士なのでこのマンションの大家からも別に変な目で見られずにむしろ『若いっていいわねぇ…』と言われる始末。
友利は平然としているが有宇的には少し落ち着かないくらいだ。


有宇「でも…僕的には安心した」

友利「はぁ!?」

有宇「だってそもそも3年生の勉強について来れる気がしなかったし、学園都市は能力開発についての勉強もするんだろ?
いきなり3年の勉強を教えられても理解できないと思うぞ」

友利「確かに…私もさっき『サルでもわかる能力開発』を読みましたが…少なくても乙坂さんには理解できない内容でした」


少し引っかかる発言だが無視して有宇は話す。


有宇「だろ?だから、1年でやることは無駄じゃない。まあ、友利は星ノ海で受けていたからつまらないだろうが……」

友利「おおー!カンニング魔だった乙坂さんとは思えない真面目な発言ですね~」

有宇「それいつまで引っ張るつもりだよ……」

友利「冗談っすよ」



友利は笑顔で返答する。
有宇はその笑顔に弱かった。何もかも吸い込まれそうな蒼い瞳と相まってその綺麗さに引き込まれそうな気がした。



友利「うーん…考えてもしかたがないので、気分転換もかねて料理でもしますか」


そう言って自分の持ち物から一冊のノートとピザソースを取り出す。
それは本来、有宇の妹未が持っていたものだったが学園都市に行く際に歩未が友利に渡したものだったからだ。
本人曰く『有宇お兄ちゃんが一番好き味なので学園都市でも味わって欲しいのですー』らしい。
ノートには乙坂兄弟の母親が残した料理のレシピが書かれたものだった。
そしてピザソースはその母親が残したもので歩未が受け継いでいた。友利もそのことは知らされていたので友利は大切に使うことを約束した。
ちなみにピザソース入りの料理は普通の人にとっては食えるようではないのだが、有宇は記憶を失う前にその味に慣れていたのか普通に食べることができる。


有宇「悪いなぁ、友利。せめて僕も料理ができたらよかったんだが…」

友利「いいですよ。というか料理できる乙坂さんなんて想像できないし…」

友利はさらりと毒を吐く。

有宇「お前なぁ……」

友利「それは置いといて。夕食後の洗い物を手伝ってくれればいいで」

有宇「わかった。それぐらいなら僕にもできる」

友利「おーけー。では、今から始めるので乙坂さんは待っていてください」


友利はそういうとエプロン掛けた。
その姿に有宇は少し彼女に見とれていたがすぐに視界から外した。友利に気付かれないためだ。
そもそも彼女は、性格はともかく見た目は美少女のため、思春期の有宇にとってここまで近くにいることは居心地が悪かった
とりあえず、目線をテレビに向けて時間をつぶすことにした。




―窓のないビル―


そこは『窓』というものが存在しないビル。
中はほぼ明かりがなく、真ん中にでかいビーカーのようなものが存在していた。
そこには男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える逆さの『人間』。
その人物の名は、アレイスター=クロウリー。学園都市の最高権力者、学園都市総括理事長。その人である。
アレイスターは、ビーカー内に表示される画面を見ながらとある人物と連絡を取っていた。


アレイスター[ふっ…君はどう思うかね、土御門]

土御門[どうもこう他人の超能力を自分のものにする能力なんて、ふざけてやがるッ!]


連絡を取っていた男はサングラスと金髪の筋肉質の男だった。
その男の名前は、土御門元春。学園都市と外のほかの組織のスパイをしている多重スパイだった。


アレイスター[だが、事実だ。彼の能力で学園都市以外の原石能力者はいなくなってしまった]

土御門[…もしそれが事実だとしたら学園都市側はなぜこいつを放っておく?こんな学園都市に害をなすような奴、即座に抹殺対象はず…]

アレイスター[危険でありながらも“彼”の能力はいいサンプルだ。それにどうやら彼は自分の能力を封印しているようだ]

土御門[“封印“?どういうことだ?]

アレイスター[ああ、それが無自覚なので自分の意思なのか不明だが……]

土御門[そもそもこいつの能力で学園都市の人口能力の能力を奪えるのか?原石専用にも取れるぞ、こいつは]

アレイスター[不明だ。このタイプの能力と参考する能力がないからな。
       原石に似せたような人工能力には効くかもしれない…あくまで仮定の話だがね]

土御門[なんにせよ、俺はこいつの見張り役をしろということだろ?]

アレイスター[理解が早くて助かる]



土御門[うちの学校に急に交換学生…しかも“外”だとしても国内で、だ。これは怪しまないほうが不自然だろう]

土御門[大方、『幻想殺し』と接触させて何かアクシデントが起きないか見るつもりだろう]


アレイスター[さあ、どうかな]

土御門[…クソッタレ!」

土御門「言っておくが、別にお前のためじゃない!こいつが暴れでもしたら学園都市未曽有の危機だからな…すでに原石の能力は何千何万奪っているようだしな…」

アレイスター[では、頼んだぞ。土御門]

土御門[ああ、頼まれてやる]


土御門は電話を切った。



アレイスター「…さて、君はどう思うかな?」


アレイスターの視線はいつ間にか出ていたモニターに話しかける。
それはテレビ電話で相手は女性だった。


女性「どうって…この子の能力は素晴らしいけど私には関係ないわ」

アレイスター「そうかな?君にとっては無関係ではないと思うが」

女性「要件はそれだけ?それなら失礼させていただきます」


アレイスターのビーカーから女性の画面がなくなった。


アレイスター「やれやれ…あいかわらず、仕事以外には興味がない…いや、あるから彼女は今の研究に打ち込んでいる……か」


アレイスターは意味深に呟く。そして、再び画面に目線を戻す。






アレイスター「さて、君は私のプランにどう影響を及ぼすのかな?『隻眼の死神(アイソレートデッドライン)』乙坂有宇……」

というわけで投稿完了。
色々気になるところもあるでしょうが、とりあえずこれで。
お疲れさまでした。


また明日。

治癒能力で目を治せるのに治さない有宇
タイムリープが暴発しないためかもしれんが
そういや思春期終わったら能力は消えるってのがシャーロットの設定だからあと半年で有宇の能力消えるな

>>87
個人的にはあの時治さなかったのは「有宇は奈緒や隼翼たちとの”約束”を守ろうとした」というのがとあるサイトの考察でありました。
「タイムリープ能力を使って一からすべてをやり直すことは彼女らとの約束を台無しにしてしまう」というのが有宇にあっからではないかと…
もちろん使ったことは有宇しかわからないけどそれは彼なりの“信念”だったのではないか……と。
また、禁書世界でも原作では大学生以上(僕の中では麦野年齢は18歳です)の能力者が見当たらないということは……



とにかくお待たせしました。昨日投稿しようと思いましたが寝てしまいました。すいません。
だから、今から投稿します。どうぞ


―とある高校―


友利「うわー!すげぇ普通の高校!」

有宇「資料でも見ただろ……」


あれから数日後、隼翼から電話の後にすぐに荷物は送られた。
制服、生徒手帳、教科書etc…しかし、手続きに時間が掛かったのかこうして登校するのは今日になったわけだ。
そんなことで有宇達は天候のために他の生徒より早めの時間に登校していた。先に職員室に行って担当と会うためだ。


友利「ふむふむ、周りの設備や学校の見た目的にもどこにもあるようなフツーの高校のようですね。乙坂さん」


友利はさっきからビデオカメラを有宇の方向に向けながらしゃべっている。


有宇「…どうでもいいけど、職員室に着いたら止めろよ。間違いなく没収されるからな、それ」


有宇は面倒くさそうに言う。
ちなみに有宇は冥土帰しにより右目のほうに学園都市製の義眼が埋め込まれている。
その義眼は『さすが学園都市製』と言ったところで本物と見分けがつかなくって右目としての性能もよいといった優れものだった。


友利「おおっ!これは困りましたね、このビデオカメラには私と乙坂さんの愛の結晶なのに」

有宇「お前の言動はたまに本気なのか冗談なのかよくわからなくなる……」


これは有宇の本心。友利とは数か月の付き合いだが未だに行動や言動の真意が掴めずにいた。


友利「私はそう簡単に掴ませる安い女じゃないっていうわけですよ。乙坂さん」

有宇「こ、心を読むなよ!透視!?お前、実は透視能力に目覚めたのか!?」

友利「なーにバカな事を言ってんですか。顔を見ればわかります」

有宇(僕はそんなに顔が出るタイプなのか…気を付けないと)

友利「ほらほら、乙坂さん。行きますよ」ヒラヒラ

有宇「わかったから少しは速度を落とせよ」


悪態をつきながらも友利のほうへ動き出す有宇だった。


―職員室―


??「えーと、あなた達2人が交換学生の乙坂ちゃんと友利ちゃんですね?」

友利「え、ええ…あっています…」



友利「ねぇねぇ、乙坂さん。このピンク色の幼女はいったい何なんでしょう?」ボソボソ

有宇「幼女っていうなよ……確かに気になるけど」ボソボソ

友利「ここは職員室の先生の娘が迷いこんで先生のまねごとをしているのに一票しょ」ボソボソ

有宇「それは僕も考えたけど…いくら娘だからって、小学校もある日の朝に高校の職員室に来るか?」ボソボソ

友利「偶然、この子の小学校が休みだったとか」ボソボソ

有宇「無理ありすぎるだろ……」ボソボソ

有宇(それにしてもこの子…どっかで聞いたことがある見た目だな……)



??「あのー、お2人とも聞いていますか?」



少女は少し頬を膨らませていた。どうやら、自分の話を聞かずに話していることを怒っているようだ。


有宇「あっ、はい。聞いてます!」

友利「ところであなたは?」



小萌「自己紹介が遅れましたね。私はあなた達のクラスの担当の月詠小萌ですよーっ!
よろしくお願いしますなのです」





有宇・友利「「えっ、ええええええええええええええええええええ!!?」」



2人の驚愕した声は職員室の中で響き渡った…。



友利「マジっすかー。こんなちんちくりんのピンク色の幼女が私達の担当ですかー」

小萌「むーちんちくりんってどういうことですか。先生は教員免許も持っているれっきとした先生なのですよー!ほら」ヒョイ


小萌は素早く自分の教員免許を見せる。


有宇「どれどれ……どうやら本物みたいだな」

有宇(地味に出すのが早かったのは慣れているから…なのか?)


小萌「ふふふっ、どうですか?これで信じていただけたみたいですね」

友利「あー、あなたがアポトキシン飲んで子供になったとか学園都市の実験で子供のままとかそこら辺の事情とかどうでもいいんで早く話を進めましょう」

有宇「おい!一応、先生だぞ!」

友利「…そっちも『一応』って言いんですかね?」

有宇「ぐっ……僕だってまだ現実を受け取られていないんだよ!仕方がない」

友利「うわぁ、他人のせいですか、マジ引くわー」

有宇「…!お、お前なぁ~!」

友利「幼稚な言い訳しかできない乙坂さんはもう一度、小学生からやり直したらどうですか?」

有宇「お前こそ、その口の聞き方を小学生からやり直したほうがいいんじゃないか?」


2人はお互いに相手を挑発する。



「んだとぉ!?」
「んだよぉ!」



他に先生がいることもお構いなく2人は口喧嘩を始める。
その光景は客観的に見て夫婦喧嘩であり、周りの先生達はそれを見せられることになった。
ちなみに逆三角形のお堅い女性の先生はそれを見て、歯をギリギリしながら嫉妬の目で見ていたのはここだけの秘密だ。




小萌「……まったく、職員室で喧嘩なんてしないでください!いいですね?」

有宇、友利「「………はい」」


それから2人の口喧嘩はさらに盛り上がりを上げたが、途中で小萌先生が「うぐぅ…な゛んでながよぐしてくれないんですがぁ……」とガチ泣きしたために2人も喧嘩を止めざる得なかった。


小萌「では、再度確認しますがあなた達は星ノ海学園からの交換学生の乙坂ちゃんと友利ちゃんでいいですね?」

有宇「合っています」

友利「ええ、そうです」

小萌「本来は登校初日前にあらかじめ会っておくのが普通なのですが、今回の交換学生の件は上から急に決まってしまったので事前に話し合うことができなかったのです」

有宇「そうなんですか…」

友利(やはり急に決まったことで先生側も事情を把握しきれていないようですね……上が決定したらしいですが、何処の誰が何のために……)


友利は深く思考中、そんなことを知らない小萌は話を続ける。


小萌「だから、ほとんど何も知らないでこの学校に来たと思いますが…そう緊張しないでください」

小萌「私の生徒たちはみんないい子達ですから乙坂ちゃんも友利ちゃんもすぐに仲良くなれると思うのですよ」

友利「さいですか…」


その後、小萌の口から「その分問題児も多いんですけどねー…」という声が小さく聞こえたような気がした。


友利(…と言うか私達の所に詳しい学校の資料とか送られたんですけどね。先生は知らないっていうことですか?)


さらなる疑問が浮かぶ中、友利はふと有宇の方を向く。
そうするとなぜか有宇は汗びっしょりで唇は青く震えていた。


友利「お、乙坂さん!?どうしました?」


有宇「小萌先生の特徴を見て、ちょっと考えたくないことを考えてしまっただけだ…」

友利「はぁ?」


意味が分からない言葉を言う有宇に『ついにおかしくなったか』と言う顔をする友利。
有宇がこんなことを言ったのは数日前に出会ったツンツン髪の少年の言葉を思い出したからであるが、友利は知らない。



小萌「そろそろホームルームの時間なのでおふたりとも付いて来てくださいなのです~」タタタ

小萌はテキパキした動作で椅子から立ち上がり書院質のドアを開けて出ていく。

友利「あっ、ちょっと!乙坂さん、行きますよ!」ダダダ

有宇「待ってくれ、友利びっくり」


そんな有宇の言葉を聞くこともなく友利は走り出す。
いつもながら自分勝手だと思う。だけど――



友利「何、やってんすかー?早くしないと置いてきてしまいますよ」ニカ




――彼女に笑顔にはかなわないと有宇は思った。




―教室―


上条「交換学生か。珍しいな」

土御門「なんか学園都市と外部教育機関との交換学生制度らしいぜよー」

土御門「本来は常盤台とか長天上機学園高レベルな学校が行うモンだったらしいにゃー」

青ピ「楽しみやわー。女の子? 男の子?」

土御門「ま、そんな所に学生に成りすました企業スパイなんかが入り込んだら大問題ぜよ」

上条「だからウチみてーな低レベルな高校にか。理由はともかく楽しみだな」

土御門「そうだにゃー」

土御門(“表向き”はな……)



上条「で、何処からの学生なんだ?…と言っても上条さんは外の学校とかよく知りませんけどねー」

土御門「確か『星ノ海学園』っていう所らしいぜ」

上条「へー、聞いたことがないけど学園都市の学校と交換学生とかできるぐらいだからさぞ立派な所なんだろうな」

土御門「ああ。『外』では結構有名な進学校らしいにゃー」

青ピ「女の子もすごい美少女なんやろうなー」



小萌「みなさーん、ホームルーム始めますよー!」

小萌「もう知っている人もいるとは思いますが、今日は交換学生が来てますよー」

青ピ「はい! 先生! その子は女の子ですか? それとも男の娘ですか!?」

小萌「はいはーい。喜べヤロウどもー、そして乙女たちー。来るのは男女の2人でーす!」


教室がザワザワと騒がしくなる。


青ピ「やったでー! せんせー! その子はどんな子ですかー!」

姫神「私の。アイデンティティーが。失われる」

上条「男女1組か。珍しいこともあるもんだな」

土御門「……そうだにゃー」



小萌「まあまあ。落ち着きなさいなのですよー」

小萌「百聞は一見にしかずなのですよ。それじゃ、入ってきちゃってください!」




友利「どうも星ノ海学園から来ました。友利奈緒です」




現れたのは銀髪をツーサイドアップの美少女だった。
彼女は行儀よく頭を下げた。


青ピ「美少女キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!これで勝つる!」


オイオイ、オモッタイジョウニビショウジョジャネェカ
キャーオニンギョウサンミタイ
オレ、アノコノファンクラブヲツクルヨ


教室は友利奈緒…彼女の登場で騒がしくなっていた。




友利(はぁー…人間って単純っすね。美少女が出て来ただけでこの騒ぎよう…ここは猫被っていた方が賢明ですかね?)


みんなから注目の的の友利自身はあんまりいい印象は持っていなかった。
能力を持っていた約2年前まだ色々無茶などしていたから敵も多かった。それでも能力がなくなってからはそこそこうまくやってきたつもりだ。
今回はどうするか悩んでいた所に“彼”はこう提案してきた。



『友利が好きなようにすればいい。猫被って過ごすなんて友利自身がつらいだけだろ?』



その時、自分は文句を言った気がするが心の中ではうれしかった。
彼がどうあれ自分のことを何より大切に思ってくれていた気がしたからだ。


友利(そもそも、猫被りっていうこと自体私のキャラじゃないんですよね)


普段通りの自分でいることを決意する友利。


友利「あのー私の席はとりあえずどこに……」

小萌「そーですね…どうしましょう……」

土御門「せんせー。カミやんの横と後ろが空いているんで、そのどちらかに座るべきだと思いますにゃー」

小萌「あ、そうですねー。土御門ちゃんナイスですー。じゃ、そこでお願いしまーす」



友利「はい、わかりました」


返事をすると友利は上条の席の後ろ方に座った。


上条「よお、俺は上条当麻。よろしくな」


上条は後ろのを振り向き、軽めのあいさつをして握手を求めて手を友利に差し出す。
だが、友利は……。



パン



上条「えっ……」


上条が差し出された手を友利は叩いた。上条が反応するよりも。




友利「うわぁ、初対面の転校しかも異性に向かって握手かよ。ありえねぇ~」



さっきの礼儀正しそうな少女から想像できない毒舌が出てきて上条は絶句する。



友利「下心丸見えっーの!引くわっ!」

上条「」



流石に上条も精神的なダメージを受けせざる得なかった。本人は普通に握手を求めたのに下心ありとみなされたからだ。
友利はそんな上条など無視して授業の準備をし始めている。



姫神「これは…。吹寄さんに続く『対カミジョー属性』来た」

青髪「カミやんうらやましいー。ボクにも罵倒してほしいわー」

土御門「少し面白くなってきたぜ」

上条「お前ら他人事だと思いやがって……ああ、もう不幸だー!」



上条は周りの言葉を聞いて、お決まりの口台詞を言ってへこたれた。



友利「はい。わかりました」


返事をすると友利は上条の席の後ろ方に座った。


上条「よお、俺は上条当麻。よろしくな」

上条は後ろのを振り向き、軽めのあいさつをして握手を求めて手を友利に差し出す。
だが、友利は……。





パン!




上条「えっ……」

上条が差し出された手を友利は叩いた。上条が反応するよりも。




友利「うわぁ、初対面の転校しかも異性に向かって握手かよ。ありえねぇ~」




さっきの礼儀正しそうな少女から想像できない毒舌が出てきて上条は絶句する。




友利「下心丸見えっーの!引くわっ!」

上条「」




流石に上条も精神的なダメージを受けせざる得なかった。本人は普通に握手を求めたのに下心ありとみなされたからだ。
友利はそんな上条など無視して授業の準備をし始めている。


姫神「これは…。吹寄さんに続く『対カミジョー属性』来た」

青髪「カミやんうらやましいわー。ボクにも罵倒してほしいわー」

土御門「少し面白くなってきたぜ」

上条「お前ら他人事だと思いやがって……ああ、もう不幸だー!」


上条は周りの言葉を聞いて、お決まりの口台詞を言ってへこたれた。



上条「それにしてももう一人の交換学生出てこねぇな…どうしたんだ?」

気を取り戻した上条が周りに聞く。

青ピ「ボクは男の娘とショタ以外はどうでもいいわ」

土御門「タイミングを逃したんじゃないかにゃー。さっきの美少女といっしょに現れたら印象が良くなくなるとかで」

青ピの発言は無視して土御門が上条の問いに答える。

上条「あー、それはありえるかもな」

小萌「それではもう一人の交換学生の子にも来てもらいましょう!入って来ていいですよー」

上条(さて、どんな奴が来る………)





乙坂「………乙坂有宇です」

上条「…って乙坂!?」


教室に入って来た少年は数日前に上条が病院で出会った隻眼だった少年、乙坂有宇だった。



小萌「いきなり声を出して、どうしたんですか?上条ちゃん。もしかして乙坂ちゃんと取り合いだったりするんですかー?」

上条「……実はそうなんです」


教室が驚きの声が上がる。



青ピ「マジかいな!」

姫神「相変わらずの。上条くんの遭遇率」

土御門(まさかカミやんと乙坂有宇がすでに接触しているとな……)



上条「そっか。お前、交換学生だったのか」

有宇「まぁな…」

有宇(年齢とか言わなくってよかったー!これで言っていたら留年してとか言われていただろうな…不幸中の幸いだった…)


自分の事をあの時に詳しく言わなく良かったと安堵する。




上条「とにかく立ち話もなんだし、俺の隣の席が空いているからこっちにこいよ」

有宇「そこが空いているなら……」チラ


有宇は小萌先生をチラ見してそこに座っていいかさらりと確認する。


小萌「乙坂ちゃん、空いている席に好きなように座っていいのですよー」

有宇「じゃ、お言葉に甘えて…」


有宇は小萌先生から許可を得られたのを確認して、上条の隣の席に座る。


有宇「短いになるだろうけど、よろしくな」

上条「ああ、よろし――」ザワッ

上条「!?」


「よろしくな」と言おうと上条は後ろから殺気を感じた。
思わず後ろを振り向いた。




友利「…………」ゴゴゴゴゴゴゴ




そこには上条を睨んでいる友利の姿があった。
その眼光は今でも光を出しそなくらい鋭い目だった。


上条「…なぜ友利さんはこのワタクシこと上条当麻を睨んでいらっしゃるんでせうか?つーか、こーえよ!!」



青ピ「なんやなんや。またカミやんが地雷踏んだちゅうこと?」

吹寄「上条!貴様、交換生の機嫌を損ねることをしたわね!」


騒ぎを聞いた吹寄か身を乗り出す。


上条「知らねーよ!だから、今でも頭突きしそうな光っているおでこを隠してください!」

土御門「転校生から死亡フラグを貰うなんて流石カミやんだぜ!」

上条「全然流石じゃねぇよ!あーもー不幸だ―――!!」


教室内は上条を中心に騒がしくなっていく。




有宇(騒がしいけどやっていけそうだな…なんだかんだ)

有宇はこの騒動を静かに見守るだけだった。


―教室・昼休み―


あれから騒ぎはなんとか収まって、授業をしていった。
授業は友利の学力の良さを見せつけた以外は基本的に平常運転だった。
別にこれと言った騒ぎもなく昼休みまで過ぎていった。
そして4時間目が終わった直後に2人はクラスメイト囲まれながら質問攻めにあった。


「友利さんの趣味は?」

友利「特にこれといったのは……あっ、ビデオカメラで楽しいことを取るっていうことは決めています」

「乙坂君って得意科目ってある?あと苦手科目があったら言ってね。教えてあげるから!」

有宇「ははは…得意ほどじゃないけど英語は普通より上だと思う。苦手は……科目全般かな?」ハハハ


有宇は苦笑気味で答える。


2人が質問攻めに合うのは普通だろう。2人とも“見た目”は美女、美少女ときた。
それを放っておくクラスメイトはいない。
……一部例外を除けば。




上条「予想以上に人気だなー。2人とも」

土御門「それはそうだぜ。なんせ2人とも容姿端麗だ。これは親しくなりたいと思うのが一般の反応にゃー」

姫神「ずるい。私の時はあんな質問攻めはなかった」

吹寄「仕方がないわ、姫神さん。あの時は色々とたばたしていたし……」


上条を含む4人はクラスメイトの輪の外から外れて静観していた。
あのクラスの輪に入って交換学生に質問しようと思っていなかった。



青ピ「それじゃ、友利ちゃんは彼氏はいるのん?」

「あっ、そうそう。私も乙坂君に彼女がいるか聞きたかった」

有宇「えっ、えーと……」


有宇は流石に返答に困った。勿論、友利のことである。
『交換学生と来た男女の2人は実は付き合っていて恋人だった』ということがクラスに知れ渡ったどうなるだろう?
リンチ…はいかないだろうが、孤立する可能性があった。
上条がいるから完全に孤立はないだろうが、それでも心配などをかけたくなかった。
特に…友利奈緒にはこんなことで苦しんでほしくなかった。





友利「はい。いますよ」




だが友利奈緒はそんな幻想を簡単にぶち殺した。





友利「実は私達、恋人同士なんっすよ」





友利は乙坂の腕と自分の腕を絡ませ、微笑みながら言い放った。
そして、何事もなく自分の席に戻った。


「う、うそ…「うそやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


女子学生が叫ぶより青ピが叫びだす。


青ピ「おーとつざかーくーん。ほな、聞かせてもらおうか?色々と」

有宇「ちょ、ちょっと待て!青髪…だっけ?お前ちょっと様子がおかしいぞ…」

青ピ「なーに、君にちょっと聞きたいことがあるだけやね?なぁ、男子諸君?」



「ああ、ちょうど俺も青髪と同じ気持ちだ」

「僕は友利さんのことくわーーーしく聞きたいなぁ…」

「…イケメンは滅ぶべし…」



クラスの男子たちがゾロゾロと出てきて好き勝手なことを言い出す。



有宇「ちょちょちょちょっと待て!話せばわかる!」

気迫に押されてたのか有宇はすでに逃げ腰だ。




上条「男子たちのほとんどが殺気だっているじゃねーか!一体、何があったんだよ!」

土御門「ただあれは彼女いない歴=年齢連中が勝手に私怨をぶつけているだけにゃー」

姫神「…いくらなんでも。それはひどい」

吹寄「まったく、うちのクラスのバカどもは……」


吹寄は頭を抱えた。



土御門「…というわけでカミやん出番だぜ」


土御門はそういうと上条のケツを蹴った。


上条「うわっ」

いきなりのことで上条はバランスが取れずに突き飛ばされる。
そしてそれは勢い余って有宇と男子たちの前まで行く。




上条「よ、よぉ……」




上条は場の空気を読んだうえで無難に挨拶をした。
しかし、それは殺気立っている男子たちにとって何もならない対応だったのはした後に気が付く。




青ピ「…ちょうどええわ。みんなでカミやんもしめようか、みんな!」




「「「青ピの言うとおりだ!!昔年の恨み、ここで果たすぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


青ピの言葉に鼓舞されたのか、クラスの男子(上条と土御門は除く)の心は一つになり、上条と有宇を見た。





上条「やべぇ!乙坂…逃げるぞ!」

有宇「えっ!?おい、待っ……」


危険を察知した上条が無理やり有宇を教室のドアの方にいち早く連れていき、そのまま勢いよく2人とも逃げ出した。



青ピ「2人が逃げたぞぉぉぉぉぉぉ!!追えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


男たちは逃げ出した上条と有宇を全速力で追いかけた。
上条も有宇を必死に逃げる。



有宇「上条、お前何したんだよ!?男子たちの行動が尋常じゃないぞ!?」

上条「し、知らねーよ!心当たりといえば『俺が女の子にフラグ建ててる』っていう根も葉もないことを事実だと思っているぐらいだ!」

有宇「なら、理由は絶対それだ!僕は断言する!」

上条「お前もかよ!上条さんは女の子にフラグを立てたことなんてありませんよ!」


そう思っているのは本人だけである。



「待て、上条ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」



上条「いつ間に矛先が俺だけに代わっていないか!?クソォ…不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」





友利「…なんっすか。あれ」


友利もさすがに困惑していた。


姫神「気にしないで。いつものこと」

吹寄「友利さんは気にしなくっていいわ」

土御門「どーせ、青ピを含めた男子陣は吹寄のおでこDXの粛清を食らうぜい」

友利「はぁ」


それから上条と乙坂は昼食抜きで5時間目まで逃げて、結局、青ピを中心としたクラスの男子達(土御門以外)といっしょに後で小萌先生に怒られたらしい。
唯一人、その説教を青ピは笑顔で受けていたらしい……。

とりあえず。ここまで
モブがあれなのはだいたい上条のせい。
というか青ピとかエセ関西弁が難しい。奈緒ちゃんはノリで書けるけどさ。
学校生活とか書いてほしいネタとかありますか。参考までに

あくしろよ

>>116 
遅くなってすまん。
とりあえず、今は訂正版を書くことにする

>>104


―教室・昼休み―


あれから騒ぎはなんとか収まって、授業をしていった。
授業は友利の学力の良さを見せつけた以外は基本的に平常運転だった。
別にこれと言った騒ぎもなく昼休みまで過ぎていった。
そして4時間目が終わった直後に2人はクラスメイト囲まれながら質問攻めにあった。



「友利さんの趣味は?」

友利「特にこれといったのは……あっ、ビデオカメラで楽しいことを取るっていうことは決めています」


「乙坂君って得意科目ってある?あと苦手科目があったら言ってね。教えてあげるから!」

有宇「ははは…得意ほどじゃないけど英語は普通より上だと思う。苦手は……科目全般かな?」アハハ


有宇は苦笑気味で答える。



2人が質問攻めに合うのは普通だろう。2人とも“見た目”は美少年と美少女ときた。
それを放っておくクラスメイトはいない。
……一部例外を除けば。




上条「予想以上に人気だなー。2人とも」

土御門「それはそうだぜ。なんせ2人とも容姿端麗だ。これは親しくなりたいと思うのが一般の反応にゃー」

姫神「ずるい。私の時はあんな質問攻めはなかった」

吹寄「仕方がないわ、姫神さん。あの時は色々とたばたしていたし……」


上条を含む4人はクラスメイトの輪の外から外れて静観していた。
あのクラスの輪に入って交換学生に質問しようと思っていなかった。

>>106



「う、うそ…「うそやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



女子学生が叫ぶより青ピが叫びが教室に響く。



青ピ「おーとさーかーくーん。ほな、聞かせてもらおうか?色々と」

有宇「ちょ、ちょっと待て!青髪…だっけ?お前ちょっと様子がおかしいぞ…」

青ピ「なーに、君にちょっと聞きたいことがあるだけやね?なぁ、男子諸君?」



「ああ、ちょうど俺も青髪と同じ気持ちだ」

「僕は友利さんのことくわーーーしく聞きたいなぁ…」

「…イケメンは滅ぶべし…」



クラスの男子たちがゾロゾロと出てきて好き勝手なことを言い出す。



有宇「ちょちょちょ、ちょっと待て!話せばわかる!」


気迫に押されてたのか有宇はすでに逃げ腰だ。




上条「男子たちのほとんどが殺気だっているじゃねーか!一体、何があったんだよ!」

土御門「ただあれは彼女いない歴=年齢連中が勝手に私怨をぶつけているだけにゃー」

姫神「…いくらなんでも。それはひどい」

吹寄「まったく、うちのクラスのバカどもは……」


吹寄は頭を抱えた。

あとは>>107

×「「「青ピの言うとおりだ!!昔年の恨み、ここで果たすぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」

○「「「青ピの言うとおりだ!!積年の恨み、ここで果たすぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」



で終わりかな。
本編は少し待ってくれ



―放課後・学校―


あれから無事に放課後になり、クラスメイトからは放課後に『歓迎会』しようと盛り上がっていたが学校の終わりに『能力開発』をする予定になっていたために2人は断った。
名残惜しそうなクラスメイトを見て、有宇が『違う日にお願い頼む』と言っておいたためクラスメイト達の顔に笑顔が戻った。
まあ、なんだかんだで友利奈緒は能力開発を受けていた。


友利(まさかこういう検査を再び受けることになるなんて……隼翼さんには責任取ってもらわなければいけませんね)


検査結果を椅子に座りながら待っている間、頭の中で冗談を考える友利。ここに有宇がいたら、口にして彼をおちょくっていたのだが…残念ながら今はいない。
ちなみに友利は、昔能力者であったからこれと似たようなことを受けたことがあった。
その時のことは色々あってあまり思い出したくないが、それがあったから今の自分がいると思ってはいる。



友利(隼翼さんから頂いた資料の中に『帰る時は冥土帰しのところに行って脳を元に戻してもらうといい』と書いてありましたが…どういうことなのでしょうか?)

友利(隼翼さんは冥土帰しと知り合いなのか?そもそも脳開発するほどの『超能力』を使えなくするほどができるのか。いくら人工でも能力を消すなんて……)


色々疑問だらけだが、考えても答え出てきそうもない。


友利(今の隼翼さんも答えてくれるか微妙だし……今は学園生活を楽しむとしましょう。有宇さんの方は楽しんでいるみたいのようで……)


無駄な気がした友利はとりあえず、今の高校のことを考えることにした。
もう一度、高校一年生をすることになるとは夢には思わなかったが、悪い気はしない。



研究者「友利さん、検査が終わったからこっちへ」

友利「はい」

友利は椅子から立ち上がり、研究者についていくことにした。

研究者「友利さん、こちらへ座ってください」

研究者に言われるように友利は座る。

研究者「友利さん、あなたは『視覚消失(シャットアウト)』のレベル2ですね」

研究者から検査結果の紙を渡される。

友利(『視覚消失(シャットアウト)』…大層な名前が付いた割には前の能力とほぼ同じですか。)

友利(そしてレベルは…2。話だと1人の視界から自分の存在を認識できなくすることができる……ほぼ前と一緒ですね)


友利は渡された紙を見ながら冷静に分析する。2年前まで能力を存在していた友利にとってこの結果はまあ、予想できた。
さすがに普通の女の子に戻ったらまた能力を手にするとは思わなかったが……。
そんなことを考えながらも研究者は友利能力についてなど説明しているが友利は無視した。


友利(そういえば有宇さんはどこでしょうか?)

友利「あのー…私と一緒に検査を受けた男の子の方は今どこへ……」

研究者「えっ?あっ、ああ!彼ね。彼は『原石』だから先に検査は終わったみたいだよ」

友利「……『原石』?それって一体……」



友利は心のどこかでその言葉について気が付いていたのかもしれない…しかし、聞いてしまった。そして、彼女は後悔することになる……。




研究者「学園都市のような人工的な手段に依らず、超能力を発現させた天然の異能者。学園都市でも“50人”程度しかいないって言われる珍しい存在よ」



その時、友利はまるで空から落ちた様な衝撃を受けた。



研究者「最近はなかなか見つからなくなったと聞いたけど……って、友利さん大丈夫!?顔色悪いわよ?」

友利「え、ええ……ちょっと気分悪くなったので帰らせてもらいますか?」

研究者「ええ、いいわ。能力についてわからないことがあったらここに尋ねてきなさい。お大事に」

友利「はい……」


友利は研究者に一礼して早足でドアの方へ歩いていき、開けて出て行った。



友利「ふぅ……」

とりあえず、一息をついた友利は人気のない場所へ走り出した。



―学校・廊下―


有宇「友利の奴、遅いなぁ……」


有宇は先に検査が終わっていたので廊下で友利を待つことにした。
外はすでに真っ暗だ。


有宇(僕と違って能力者じゃない友利の方は時間がかかるのか……?)

有宇(僕は元から異能力を持つ『原石』として分類されたからすぐに終わったけど…それにしても『測定不能(アンノウン)』って…ただのレベル0の方がずっとマシのような……)


有宇の検査結果は、AIM拡散力場は存在しているがどんな検査してもどの系統の能力なのかわからなかったという。
そのため『測定不能(アンノウン)』。全て謎という変わった能力と判定付けられた。
有宇が自分の能力の結果に落ち込んでいると廊下に歩く音が聞こえていた。



有宇「ん…君は確か……」

姫神「私は。姫神秋沙。あなたのクラスメイト」

黒髪でロングの少し幸薄そうな少女、姫神秋沙と遭遇した。



姫神「覚えていなくても仕方がない…だって。私は影が薄いから……」

有宇「い、いや…そもそも今日でクラスの半分の生徒の名前さえ覚えていないからな」

有宇は悲しい目をする少女にフォローを入れた。

姫神「なら。よかった」

有宇(影が薄いことを気にしているのか…?)

とりあえず話題を早急に変えることにした。


有宇「そ、それより…今、帰りか?」

姫神「ええ。さっきまで小萌先生のお手伝い」

有宇「小萌先生とは仲いいのか?」

姫神「…うん。小萌先生が居なかったら。私は今頃お墓の中」

有宇「意外と重い関係だった!?」


姫神の意外な発言にツッコミを入れる有宇。
表情が読みづらいが、無口ではないらしいと安堵する。無口だったらこの場が気まずいだけだ。


姫神「ところでそっちは友利さん待ち?」

有宇「ああ…僕は原石らしくってすぐに検査が終わったんだ」

姫神「……そう。原石……」

有宇(さて、話題がほぼ尽きたといってもいい……なんか理由を付けてここを立ち去るか?)




姫神「能力」

有宇「えっ?」


有宇がその場に離れる理由を考えると姫神がいきなり話題を振って来た。


姫神「だから。あなたの能力は何?」

有宇「あ、ああ…『測定不能(アンノウン)』っていう正直、能力が不明の能力らしいんだ…レベル0だから無能力者より無能力者らしい能力かもしれない……」


これはたぶん自分が無意識で全ての能力を封じたからだと思うが……いくら何でも能力なしの無能力者というレッテルは悲しいものを感じる。





姫神「……うらやましい」

有宇「えっ……」

声は小さかったがしっかり姫神の声が聞こえた。



有宇「羨ましい…?」

姫神「…うん。あなたは能力者だけど。あなたの能力ならだれも迷惑かけることはないだろうから……」

有宇「………」


有宇はなんとなく姫神は自分の能力で苦しんだことがあるんだと察したが、口にはしなかった。
あんまり姫神も触れてほしくない雰囲気があったからだ。


姫神「…ごめん。今日初めて会ったあなたにそんなことを言っても意味がないことが分かっているけど……」

有宇「いや、いいよ。そういうのは誰かに言わないと晴れないと思うし、僕で役に立てるならいくらでも聞くよ」


その対応は記憶を失う前の有宇と比べると穏やかで優しかった。


姫神「乙坂君……」

そんなことを真っ直ぐに言われた姫神は少しだけ頬を赤くした。




姫神「私、そろそろ帰らないと」

有宇「悪いな、引き留めて」

姫神「ううん。こちらこそ。彼女さんを大切にしてあげて」

姫神はその場を立ち去ろうとする。




有宇「待ってくれ!姫神!」


有宇は大きな声を出して姫神を引き留める。




姫神「…何?」

有宇「いや、これは…もしも…もしもだぞ!今の能力がなくなるようなことが起きたら……どうする?」

有宇の質問はいまいち要領を得ない質問だったが、姫神は真剣に考える。

姫神「…もしそんなことが起こったら……私はうれしい……かな」

姫神は話を続ける。

姫神「今の能力で私は…今まで嫌な思いや辛い経験をしてきた…確かに能力のおかげで私は上条君、シスター、小萌先生、クラスのみんなと会えたかもしれない…だけど、それでもこの忌まわしい能力は消したい……私はそう思う」

有宇「姫神……」


有宇には姫神の告白をただ黙って聞いているしかできなかった……。



姫神「乙坂君ありがとう。色々。心配してくれて」

有宇「い、いや…なんかずかずかと入りすぎたこと言い過ぎた気がする……今日初めて会ったばかりなのに…」

姫神「うううん。あなたは優しい人。普通なら今の話の流れで私の能力を聞くところ。でも、あなたは聞かなかった」

有宇「それは……ほ、ほら!初対面だからさ!」

姫神「……上条君が仲良くなったこともよくわかる気がする」


姫神は何かを考えるように外を見る。


姫神「それじゃ。私はこれで、また明日」

有宇「あ、ああ…」

姫神は闇の中に消えるように走って行った。



有宇(姫神…だっけ?あいつも友利と別の感じでつかみ所がないタイプだったな……友利よりマシだが)

有宇(それにしてもあの感じは、本当に能力に人生を振り回された感じだった……僕に『略奪』の能力があれば彼女の能力を奪えたのに……)

有宇(いや、そもそも。僕は全世界の能力者の能力を奪ったんじゃないのか!?)

有宇(旅の記憶はあいまいだけど…能力者探知能力で調べたらあそこで自然能力者…『原石』は終わりだったはずだ!)

有宇(それなのになんで姫神みたいな『原石』がいる?学園都市には人口能力者だけだと思ったが…その前提が間違っていのか?)


有宇はまるで狐につつまれたような感覚に陥った。


――学校の廊下・隅――




友利[どういうことですか!隼翼さん!]




静かな廊下に友利の怒った声が響く。

隼翼[まあまあ、落ちついたらたらどうだい?奈緒ちゃん]

電話越しの隼翼は落ち着いた声で友利を諭すが友利は興奮気味だ。

友利[落ち着け?落ち着いてられるわけがないでしょう!隼翼さんはこの学園都市に自然の能力がいたのを知っていたんですか!?]





隼翼[…ああ、知っていたさ]


友利[!]



その言葉は友利が一番聞きたくなかった言葉だった。



友利[なぜ……]

隼翼[『なぜ教えなかったか』って?それは学園都市を敵に回したくないからさ]

友利[…どういうことですか?]

今の友利には冷静さが欠けていてまともに考えることができない。

隼翼[察しが悪いな、奈緒ちゃん。外よりも数十年分ぐらい文明が進んでいる学園都市を敵に回したらこっちは全滅なんて想像難しくない]

友利[……それだけが理由というわけですか?]

隼翼[それ以外あるのか?それに学園都市はこっちとしては仲良くしていきたいんだよ…元能力者のためにもね]

友利[では、なんで乙坂さんは学園都市の原石を探せなかったですか?能力者が学園都市に沢山いたから?]

隼翼[それは、学園都市の壁には超能力を受け付かない特殊な壁だという説が有説かな。確証はないがそれが一番高い]

隼翼[でも、よかったじゃないか。有宇の願いは『もう誰も失ったり不幸にしたくない』だろ?よかったじゃないか願いは達成された。自然能力者も学園都市だけになってこれ以上の俺達の周りには被害は受けない。めでたしめでたし]


電話越しに手叩きが聞こえてきそうな軽々しい発言をする隼翼の言葉に友利の中の何かが切れた。





友利[ふざけんなッ!!!]




普段は見られない友利が本気で起こった瞬間だった。




友利[…何が『めでたしめでたし』だ!有宇さんはアタシに約束してくれたんだ!『全ての能力者の能力を奪って、もう一度会いましょう』って…それなのにこれって、いくらなんでも………]


友利は今でも泣き崩れそうなくらい目に涙をためていた。
それは少しでもしたら溢れそうなくらいの涙だ。


隼翼[…いいかい?奈緒ちゃん。世界は全てを救いたいからって決して全てを救わせてはくれない。何事には犠牲がつきものだ]

友利[それが学園都市の原石の少年少女だと……?]

隼翼[ああ。物事には犠牲がつきものさ]


淡々と言葉を言う隼翼。
その言葉に友利は手を震わずにいられなかった。



友利[…何が『物事には犠牲がつきものだ』!きれいごとを言って、ただのエゴじゃないですか!そんなもののために乙坂さんは約束を果たせなかった…というわけですか!?そんなの……ふざけてんじゃねぇぞ!]


『これでもか!』というほど友利は隼翼への怒りをぶつけた。




隼翼[……それで?]

友利[はぁ?]

隼翼の以外の返しに友利は思わずに隼翼の言葉を疑った。



隼翼[奈緒ちゃんは結局、俺に何をしてほしいのかな?]

友利[とりあえず殴る!]

友利は即答で言い切った。


隼翼[あはは…お手柔らかに頼むよ]

友利[……手加減するとか思わないでください]

友利の右手は既に強く拳が作られている。

隼翼[おーこわ]

隼翼は友利の発言がまるで冗談のように軽く応える。

友利[このことは乙坂さんにも報告しておきますね]

隼翼[そうか…それは仕方がないな…]

友利[前も聞いたと思いますが……あなたは本当に隼翼さんですか?]


昔、隼翼のおかげで立ち直ることができた友利にとって、今電話している相手は違い過ぎた。少なくても友利の中では。


隼翼[だから言っただろ?何事も期待しすぎると痛い目を見るって]

友利[……身にしめて分かりました。さようなら]

友利はそういうとすぐさま、電話を切った。




友利「ひっぐ…えっぐ……」



電話を切った後に友利は両手で目を覆いながら廊下を走り出す。
さっきまで彼女はなんとか気迫で持っていたが、もう限界だった。
『乙坂有宇は約束を果たせなかった』…その事実だけが頭に何度もリフレインしてまともに思考できなかった。


―教室・廊下―


有宇「友利の遅いなぁ…探しに行くか?」


誰もいない廊下に1人呟く有宇。
さっき、見回りの教師からも『早く帰れよ』と言われて少し焦ったぐらいだ。
このまま廊下で1人で待つのもどうかと思うし、そろそろ友利探さないといけない気がしてきた。


有宇(もしかしてあいつ……僕を置いて1人で帰ったんじゃ……)

有宇(普通に考えたらあり得ないが……友利ならあり得るのが怖い所だよなぁ…)


この数か月間、友利と付き合っているが彼女は本当にどういう行動するかわからない。
彼女は良く言えば『不思議っ子』悪く言えば『破天荒』。基本的に後者として取られることが多いだろう。
それでも有宇は友利と一緒に居て、胸が熱くなることがある。特に彼女の表裏内容な笑顔の時は顔が赤くなっていないか確認してしまうくらいだ。


有宇(例え、記憶を失っていても好きな少女の事は忘れないっていうことか……)

有宇(少し女の趣味が悪いぞ。前の僕)


少し自嘲気味だったが本気で思っているわけではない。
彼女との思い出は大切なもので大切な時間だ。
だからだろうか。最初の頃に自分を見て少し悲しい顔をしているように感じて、前の自分に近づこうとしたのは。


有宇(結局、僕のわがままなんだろうけど…記憶が戻るまでは“前の乙坂有宇”でいて、何も心配しないで普通に接してほしい…)

有宇(悪いことかな……?)


誰から答えが返ってくることもないが有宇は心の中で語りかけた。
まるで答えが欲しいように。



有宇「…って、自己問答している場合じゃなかった!早く、友利を探さないと!」


慌てて周りを見回すと友利がこちらに走っていくのが見えた。


有宇「友利、お前今までどこに――」


友利は走ってきたと思ったら速度を緩めて有宇に抱き付いた。


有宇「お、おい!ど、どうした!」


有宇は動揺していた。『恋人』だからといっても今までキスさえしてこなかった友利が今のような行動をしてきたのは当然だろう。しかも前触れもなく、だ。
だが、有宇はすぐに気が付く。





彼女が泣いていることに――





有宇「…どうしたんだ?友利」

有宇は様子がおかしい友利にやさしく聞いてみる。




友利「うぐぅ…お、おどざがさぁん……」




こちらを見て来た友利の顔は涙でぐちょぐちょになっていた。
元の美人だった顔の面影はない。


有宇「………」

友利「……やぐぞくははたされていま゛せんでした……」

有宇「約束?」

有宇が聞くと友利は頷いた。




そして友利は有宇に語った…。
全世界にいた能力を奪ったはずの『自然能力者(原石)』が本当はまだ学園都市に残っていたこと。
兄の隼翼はそのことを知っていて、有宇に黙っていたことなどだ。
泣きながらしゃべる友利に有宇は黙って話を聞いていた。




友利「……乙坂さんは知っていましたか……この学園都市に原石がいたことに……」


友利は少し落ち着いたのか自分の袖で涙を拭いて少し落ち着いていた。
しかし、目には泣いた跡がくっきり残っていた。


有宇「ああ…さっき姫神が原石であることを聞いたよ。彼女はまだ能力が残っていることで過去に囚われているようだった……」

友利「そうですか……」


友利「確かに…隼翼さんが言った通り、乙坂さんの最初の願いはかなったんでしょうね……」

友利「……あの日、彼は『世界の全能力者の能力を奪って、また会おう』と私の約束していきました。そして結果は……お分かりですね?」

ワザと自分にそう聞く友利。もちろん、有宇は「ああ」と返事した。

友利「ボロボロになりながら今までの私達の記憶を無くなりながらも私の所に帰ってくれました」

その目線は乙坂ではなく、別の所を向いていた。

友利「その時、私はあなたが帰ってくれてうれしかった!ボロボロでも私との約束を忘れずに私が作った単語帳を肌身に放さずに持ってくれた……」

また友利の目に涙が溜まっている。



友利「だけど、本当は自然能力者はまだ残っていて不幸になっている人はいる。それなら、今までの彼の努力は一体何だったのか…?2年間苦しんで耐え抜いたのにすべて無駄だったというんですか!?」


彼女は目から涙をこぼれさせながら自分の思いを吐き出した。
それはそうだろう。信頼してきた『乙坂有宇』が2年かけて過去を失いながらも約束を果たしてやっと幸せの人生を送れる…と思ったら現実はこれだ。
友利の気持ちは『理屈は理解できるが納得がいかない』という状態だろう。


友利「今でも後悔とかしているんですよ?あそこであなたを送り出した私は間違っていたのか…彼をあの時、鼓舞させることなく重いと止まらせてもっと別の方法を探すべきだったのではないのか……」


彼女は告白した。彼女は基本的には自分の内心を他人に見せようとしない。恋人であっても、だ。

しかし、今は違った。
彼女は元々あの時の有宇を送ったことを後悔していて、ボロボロになりながらも『約束』を果たした有宇が帰ってきて安堵した。だか、その『約束』は本当は果たされていなかった……そのことが彼女の心のふたを壊した……そして今まで抑えていた感情が一気に流れ出したのだろう。
そんな彼女を有宇は見てられなかった。


有宇「友利……」



次の瞬間、有宇は友利を自分の方へ寄せて抱いた。



友利「ゆ、有宇さん!?」


友利は有宇の意外の行動に目を丸くする。



有宇「友利が僕の事をそこまで考えてくれるのはうれしい……だけど、それで自分を思いつめないでほしいんだ」


友利「有宇さん……」

友利は有宇の温かさに触れていた…それは当の昔、友利が感じていたはずが忘れてしまった人の心の温かさだった……。
友利は有宇の制服の袖をそっと掴む。




有宇「1人で問題を抱えないで一緒に解決する方法を考えよう、奈緒」



友利「えっ……」



彼は友利を真っ直ぐな目を見て、手を差し伸べる。
それはあの時、自分に約束してくれた時と同じ顔だった。


有宇「僕にはどれが正しかったなんてわからない。それは『前の乙坂有宇』も同じかもしれない」

有宇「それでもただ一つ言えるのは……奈緒には辛い顔なんかしないでいつものようにいてほしい……それは嘘偽りなく心の底から言えるよ」


有宇は恥ずかしげもなく言い切る。




友利「…アタシにいつも通りにいろっていうんですか…ずいぶん勝手ですね」

有宇「……ごめん」

友利「謝らないでください。昔から有宇さんは勝手なのは知っていますから」


友利はそれに対して笑顔で返事するのだった。




友利「で、結局どうするつもりなんですか?」


学校からの帰り道に友利は有宇に聞く。
おれから落ち着いて2人はマンションに帰ることにしたのだ。


有宇「えーと……とりあえず、自分の能力を取り戻す?」

友利「ほぼノープランかよ」

友利が冷たい目で有宇を見る。

有宇「し、仕方がないだろ!今の僕じゃ何の能力さえわかっていないレベル0の無能力者なんだから!」

友利「ですよねー、私なんてすでに初検査でレベル2ですから。無能力者の有宇さんと違うんですよー。わかりますか?」

有宇「と、友利!お前なぁ……」





友利「奈緒」

有宇「えっ」



友利がいきなり友利自身の名前を言う。
有宇は突然のことに驚きの声を上げた。



友利「さっきまでみたいに『奈緒』って呼んでください」

有宇「い、いや、いくらなんでも…」

友利「じゃあ、さっきは何で名前で呼んだんですか!?その場のノリとか言ったら、はっ倒すぞ!ゴルァ!」

有宇「うっ…」


決して、有宇はあの時はノリで言ったわけではない。
今までなんとなく恥ずかしがって『奈緒』と呼べなかっただけだ。
あの時、感情が高ぶって言ったのは事実だが……。


有宇「わかったよ!言えばいいんだろ!?」

友利「私だけ名前呼びは嫌ですからね」

有宇「少し待ってろ」

有宇は一度息を多く吸って吐く。そして心が落ち着いて、口にする。





有宇「な、奈緒……」





その声は今でも消え去りそうな小さい声で有宇の頬は赤くなっていた。




友利「15点」

有宇「点数つけんのかよ!?」

有宇が友利の名前の告白後に友利の意外すぎる反応にツッコミを入れる。

友利「ええ、さっきと比べたら恥ずかしさなんてあったのでそこが点数のポイントです」

有宇「彼女の名前を言うのに点数採点されるなんて聞いたことがない!」

友利「赤くなってしまったのはマイナスのポイントですかね」

有宇「厳しすぎるだろ!?」


有宇が彼女に抗議していると彼女は舌を出して「嘘っす」といった。
相変わらず、彼女に振り回されぱなしだ。
だが、それもなぜか懐かしく感じることもある。それは『前の乙坂有宇』の思い出だろうか…それとも……。



友利「何やっているんですか?有宇さん。早くいきましょう」



今の友利は月の光をバックにしているのかいつも以上にきれいに思えた。
そんな友利に見とれながらも有宇は歩き出す――

今日はここまで。
それにしても奈緒と有宇の会話はきちんと接合しているか…と心配しています。
一応、ちゃんと書いているつもりなんですが……変なところがあったら教えてください。直します。


隼翼兄さんのキャラに違和感があると思いますが……次にフォローというか補足があるので心配しないでください。

どうでもいいんですけどキャラコメとかでも友利は有宇くんって読んでる気がします


何故か原石だけを対象にしてるが、学園都市製の能力者だって能力を捨てたい奴はいる
結標淡希の事件は正しくそれが原因だし、置き去りとかも考えると能力開発を受ける以外の選択肢が無かったっていうパターンも少なくない
そういう事実を知ったらどう反応するのかな

>>143
あれ?基本的に今回まで本人の前で「乙坂さん」にしていたはずだが……
今まで「有宇さん」と呼んだときは基本的に1人の時や心の中だけです(>>1がミスっていなければ)
>>145
有宇達はまだ来たばかりでそのことを知らない。そういう事情は疎い
しかも友利は隼翼から冥土帰しが人工能力者を元に戻す技術(このスレ内では持っている)を持っているのを知っている(その事はあまり知られていない。土御門は能力者でいる方が学園都市に潜り込みやすいし、その手術は何度もできる気楽なものではないという設定)
置き去りなんて簡単に予想できそうだが、施設を見たことがないしそういう人の知り合いがいるわけではないので。
そして何より「『奪略』で人工能力者の能力は奪えるのか?」が今の所不明なので


表の方に置き去りとか能力がない方がいいっていう能力者がいない(少なくても>>1には記憶がない。土御門は少し違う)から今の所絡ませにくいかな。
ちなみに原作だと禁書では「極めて希少な存在で、総数は現在判明している限りで世界に50人ほどしかいない」というのが原石(アレイスターが学園都市を作る前から原石を研究する組織たくさんあり、学園都市は人工能力者の開発に成功したが原石集めはあんまり芳しくなかった…というのが裏設定)

まぁ、置き去りはあくまで選択肢が与えられたかった例だな
……体晶実験の被験体にされた子供が能力開発全体に何の不満も無いのか疑わしくはあるが
後、流石に記憶喪失も治療出来ないのに開発された脳を元に戻せるのは説得力が無さすぎる

>>147
記憶喪失については病院のシーンをちょっと差し替えることにするよ。自分、美琴が少し苦手だから原作で美琴のシーンはあまり読まない時がある
(質問スレで聞いたら16巻で治療専門の精神操作能力者が~くだりはあったらしいし)
でも冥土帰しが脳を手術して記憶喪失を治すっていうのは……ちょっと無理やりすぎないか?(医療に詳しくないけど記憶喪失って精神的な問題だったような……)


治療専門の精神操作能力者って具体的に何するんだろう?脳に触って記憶を無理やりネジ開ける?
少なくても食蜂さんは助けてくれないだろうし(>>1の食蜂さんは小悪魔。少なくてもきれいではない)

冥土帰しが治せなかったのって上条の記憶破壊だけじゃなかったっけ
まちがってたらすまん
あと最終回で突然有宇に治癒能力奪われた女の子はどうなったんだろうな、患者から責め立てられたりしてないだろうか

>>149
それで合っている。あくまで今回は「治せるけど患者に負担が起きる可能性が高いためにしない」…ということで進めたかったんだが、>>1が思っていた以上に冥土帰しが有能すぎた。
ヘタしたら治療戦専門の精神能力者出すだけじゃすまないかもしれない……


脳開発治せる技術なかったことにして話を進めるか……悩む
最悪の場合に話を合わせるために一度、スレ落として新しく建てる必要になるかもしれない……
意見頼む

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年11月03日 (火) 01:19:47   ID: JcR8jHaT

つづきはよ!!きになって死にそう

2 :  SS好きの774さん   2015年11月14日 (土) 00:44:52   ID: m9vP3jE-

面白いね!今後の展開に期待
些細なことではあるが友利が自分のこと美少女だと思ってることに違和感。嫌われ者だったせいか自己評価がかなり低くて、上玉って言われた時にもビックリしてたくらいの性格なのに

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