沙紀「『へぇ、僕と付き合いたいと?』」 (584)
※モバマスSS
複数P世界、安価スレ
エロ・鬼畜は安価下
誤字脱字・駄文・亀注意
オリジナル設定注意
持久戦注意
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1443958566
亜季「『皆の者、私に付き合え!』」
亜季「『皆の者、私に付き合え!」 - SSまとめ速報
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保奈美「『私に付き合いたくないの?』」
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沙紀「『僕は付き合うのはごめんですな』」
沙紀「『僕は付き合うのはごめんですな』」 - SSまとめ速報
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美玲「コイツらに付き合ってる場合じゃないぞッ!」
美玲「コイツらに付き合ってる場合じゃないぞッ!」 - SSまとめ速報
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加蓮「『あなたが付き合ってくれるなら……』」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1443093340
の続きです
後半戦の100-4-2作目
メイン不在、それからメイン不在
色々と色々ですが、完結の5部まで書ききらせていただきます
1866年 1月 事務室
保奈美「『……叔母さんが1人で心細いのも分かりますが……私たちもいろいろとすべき事があるので……どうしてもアトランタへ行く事は出来ません…………』」カリカリカリカリ……
保奈美「『申し訳ないとは思いますが、私もメラニーもアシュレも前述の通り忙しいので………………』…」
保奈美「……はぁ………どうしてアトランタへ行けないかの細々とした理由をピティパット叔母さんへ手紙に書くのもかれこれ10回目ね…………」
保奈美「……今回もどうせ最初の方だけ読んで、『でも私は1人で暮らしているのが怖いのです。』……と帰ってくるんでしょうね…………」
保奈美「………はぁ………それでも返事は書かなきゃね…………」
保奈美「………あのままメーコンの親戚に面倒を見てもらえば良かったのに……どうしてわざわざ…………………」
保奈美「…ウィルによると、アトランタにはどんどん人が戻ってきているんですってね。…………あんな事があった街なのに…………」
保奈美「…………家も庭も焼かれたのに………掘っ建て小屋に住んでいる人もいるのだったかしら…?」
保奈美「……どうしてそんなにアトランタに拘るのかしら…?」
保奈美「…………………………」
保奈美「……何となく分からないわけじゃないけど………………」
保奈美「…………はぁ………何にせよ………………」
コンコン…
保奈美「……ウィル?」
輝子「……はい……あの……少しお話したい事があって………今……いいですか……?」
保奈美「………いいわよ。どうぞ入って。」
輝子「……失礼…します………」
ガチャ
保奈美「……………」
輝子「…………あっ……手紙を書いている途中で…………」
保奈美「気にしないで。今書き終わったところだから。……それよりも何?」
輝子「……あー……えっと……それが……ですね…………その………………」
保奈美「……?やけに歯切れが悪いわね……言い難いような悪い話なの……?」
輝子「……まぁ……………」
保奈美「……構わないわ。話してちょうだい。」
輝子「…………はい………じゃあ…話します……」
保奈美(………悪い話……か…………。けど、最悪を知っている私に今さら悪い話なんて…………)
輝子「…………………………」
輝子「……率直に聞きます。………スカーレットさん、あなたは今どれだけの現金を持っていますか……?」
保奈美「…金貨で十ドルあるわ。」
輝子「……そうですか……じゃあ…足りませんね……」
保奈美「……何に足りないの?」
輝子「……税金です……税金に…足りないんですよ……」
保奈美「税金?……税金ならこの前払ってしまったじゃない。」
輝子「……そうですけど……まだ足りないんだそうです……今日、ジョーンズボロで聞いてきました。」
保奈美「……ごめんなさい、私にも分かるように説明してもらえる…?」
輝子「…スカーレットさんが払った以上の税金をもっと納めろ……って奴らは言ってるんですよ………」
保奈美「…そんな馬鹿な話がある?…決められた以上の税金を払わなければならないなんて……」
輝子「………あ、あなたは滅多にジョーンズボロに出かけませんよね……?……それ……正解です。…この頃では淑女が行くところじゃないです…………」
保奈美「(今までわざと聞かないようにしてきたけど………)どうなって……いるの………?」
輝子「………正に世紀末……」
保奈美「……?」
輝子「……アトランタは……ならず者たちでいっぱいです……暴力が支配しています…………法律なんて……あってないようなものです………」
保奈美「………そんな事に…………」
輝子「ほ、北部から利権目当てのゴロツキが流れ込んできたんだ!それに加えて南部の裏切り者や犯罪者がゴロゴロしてやがる!おのれ、忌々しいぜ!」
保奈美「…………………………」
輝子「…………あっ……す、すみません…………はい………」
保奈美「>>11」
↑
保奈美「憤る気持ちはわかるわ。でも私にどうしろっていうの?猟銃を手にそいつらのアジトに殴り込みをかけろとでも?」
輝子「……えっ……あっ………」
保奈美「北部のならず者共を全員地獄に叩き落とせって?…それが出来たらとっくにやってるわよ。」
輝子「……………………………」
保奈美「………分かってる。そんな事をしたら北軍の憲兵に捕まえられて縛首にされてしまうわ。」
輝子「……………はい……」
保奈美「はぁ……本当に北部のならず者共にこの手で鉛玉を………」
輝子「……あ…………」
保奈美「……しないってば。ウィル、そんな不安そうな顔をしないで。」
輝子「……………………………」
保奈美「………北軍の無茶苦茶な法律に縛り首にされるつもりは無いわ。」
輝子「………だ、だめです……からね…………?」
保奈美「……………ええ…」
輝子「……あなたに…何かあったら………た、大変ですから………」
保奈美「………ありがとう、ウィル。」
輝子「…………い、いえ…」
保奈美「………北部のならず者たちが我が物顔で街中を歩き回り、南部の一般人はただ怯える事しかできない…………恐ろしい世の中ね………」
輝子「……南部は……大変な事になってしまっています…………」
保奈美「…北軍め!………………あ、いけないわ…今話しているのは、税金の話であってならず者共の話じゃなかったわ。」
輝子「………それが………二つは、関連してるんです………とりたてる税金を決めているのは………その……南部のならず者共なのですから。」
保奈美「……………………」
…えっ……?」
輝子「……南部で選挙権があるのは…そういった連中か、解放された奴隷。それから、南部を裏切った者ぐらいです………」
保奈美「選挙権?そんなものますます関係無いじゃない。くだらないわ、選挙がいったい…………」
輝子「選挙権がないと………選挙に参加できません………そ、それはつまり………南部が……また、奪わる………そういう事です。」
保奈美「……………?」
輝子「…………簡単に言うと……連中はどんな事だって……好き放題にできます…………例えば…あなたに追徴金の支払いを……好き勝手命じる事……とか………」
保奈美「……!」
輝子「………税金が払えないと……ここは競売に出されます……………どうやら……それを安くで競り落とそうとしてるのが……いるみたい……です……」
保奈美「タラが……競売に………?」
輝子「……これ以上払えないのを知ってて……ほくそ笑んでる奴が居ます…………!」
保奈美「…………………」
輝子「………………」
保奈美「そんな理不尽な話が……!」
輝子「……あるんですよ。言ったでしょう………」
保奈美「………っ………」
輝子「………奴らは…10回でも20回でも……タラ農場から追徴金を……取り立てられます……あなたが払えなく……なるまで…………………」
保奈美「(……タラが誰かに盗られるだなんて………!)…ねえ、ウィル……私たちは……その………私たちはどうすればいいの……?」
輝子「……とりあえずは………今回の追徴金を払うしか…………ないでしょうね………」
保奈美「………ウィル…………………」
輝子「>>19」
↑ただ……この状況を打破するために密かに動いてる連中もいるとかいないとか……
輝子「…こ、今回は幸い前回と同じ金額を払えばそれで済みます……しかし、今後は5ドル、10ドルと値上がりをしていくに違いない。それでも払わなければどうなるかは想像に難くない……」
保奈美「…………………………」
輝子「……た、ただ……この状況を打破するために密かに動いてる連中もいる……とか……………」
保奈美「……その人たちが今すぐ私たちを助けてくれるの…?」
輝子「……それは……………」
保奈美「……だったら…意味がないわ…………私たちが困っているのは、今だもの……」
輝子「………300ドル一括で納めるなら……それで許してやると……言われましたが…………」
保奈美「300ドルなんて払える人間は今の南部にはいやしないわよ…!」
輝子「………分かっています……こう言う事で……私たちを絶望させようと………しているんです…………」
保奈美「それを言った奴が薄汚く笑いながら言ったって簡単に想像がつくわ!」
輝子「……はい………それは……もう………怒りを収めるのが……大変でした……ああ、思い出しても腸が煮えくり返りそうだぜ!!」
保奈美「…………………………」
保奈美「……たったの300ドル……!たったの300ドルが払えないからといって馬鹿にされなくちゃならない………!」
輝子「……………………………」
保奈美「…お金なんて昔は……気にした事もなかったのに………」
輝子「…時代は……変わってしまったんです…………」
保奈美「…………っ………!」
輝子「あなたの知っている南部は滅んでしまった…………」
保奈美「……っ……悔しくて堪らないけれど……税金を払わないと……………でも……今あるお金を使ってしまったら………」
輝子「…………………………」
保奈美「宝石を売ったら…少しはお金ができるかしら………?」
輝子「…宝石を買える……よ、余裕のある人なんて………いません………」
保奈美「………………っ………」
輝子「………………すみません……」
保奈美「あなたは何にも悪くないわ…………」
輝子「……………………………」
保奈美「……………アシュレは……アシュレは今どこにいるの……?」
輝子「………か、果樹園で……薪を割ってます………帰ってくるとき……お、斧の音がしていました………」
保奈美「………ありがとう。」ガタッ
輝子「……え、えっと…………」
保奈美「………アシュレは頭がいいから、何か良い知恵をくれるかもしれないわ……」
輝子「………………………」
保奈美「……………………………」
果樹園
櫂「……ふっ…!」カーン!
櫂「……ふっ…!」カーン!
櫂「…………ふぅ…………………」
保奈美「…………………」
櫂「…リンカーン氏は薪を割る事から出発したそうです……だとしたら、僕はどれだけ偉くなれるかな……?」
保奈美「……………そうやって冗談めかすのね……」
櫂「………………………」
保奈美「あなたのそういう所、少し嫌いだわ………」
櫂「………………参ったな……」
保奈美「………………………」
保奈美「……あなたは薪なんか割っていてはいけない人間よ…もっと…高尚な事をするべき人間なのに……」
櫂「……薪割りだって高尚な仕事ですよ……誰かが薪を割らなきゃいけない……………」
保奈美「………………………」
櫂「……僕だけ夢想をして1日を過ごすわけにもいかない…………慣れないなりに頑張らなくちゃ……ね………」
保奈美「…………っ……………アシュレ……」
櫂「………何だい………?」
保奈美「…………………………」
〜〜〜
櫂「……成る程………税金か…それは困ったね……」
保奈美「……ねえ、どうすれば良いと思う……?」
櫂「……どこかでお金を工面しなきゃならないだろうね……」
保奈美「その方法をあなたに聞いているのよ!」
櫂「さぁ…………少なくとも一つ言えるのは、300ドルなんて払えるのは、僕が知っている限りではレット・バトラー1人だけ、という事ですね。」
保奈美「レット・バトラー………!」
櫂「>>29」
もしくは…ぴにゃこらどーる様に全て捧げるかのどちらかですね。
バトル物にならないよう安価にしないと変な方向に行ってしまう。
安価把握
お休みなさい
第一舞台安価は舞台裏安価や観客席安価と比べて誰も率先して取りに来ないってとっくにわかりきってるんだからいつもの二個下三個下じゃなく一個下を基本にするとかしたらいいのに
次のTBSに軍曹出るんじゃね?
櫂「……もしくは…ピニャコラドール様に全て捧げるかのどちらかですね…」
保奈美「…キャリーンみたいな事を言うのね…?」
櫂「…自力でどうにもならないんだったら……神頼みしかないじゃないか………」
保奈美「アシュレ、真面目に答えて?今はそんな事を言ってる場合じゃないわ……!」
櫂「…僕は大真面目だよ……他に考えつかないんだ………」
保奈美「………っ……」
櫂「……素晴らしいアイデアの一つでも出せれば良いんだけどね………すまない……」
保奈美「…………ねえ…」
櫂「……分ってる……君はこう考えているのでしょう?…『自分たちが途方もない問題に直面しているのに、この男と来たら神様がどうの、だなんて戯言を言っている。』と。」
保奈美「…………………………」
櫂「……君は……僕が何か君の力になるだろうと思ってここへ来た。……だけどね、僕には何もできないんだ……………」
保奈美「…………………………」
櫂「……僕が生きていた世界は失われてしまった……魚が住むべき川を失ってしまったようなものです。…………陸の上では生きては行けません……」
保奈美「…アシュレ……あなたは自分が陸に揚げられた魚だと言うの……?」
櫂「……そうです……呼吸すら満足に出来やしない……出来る事と言えばただ、住みよかった川を懐かしむだけ……………」
保奈美「……………………………」
櫂「……僕と妻子は、あなたの慈悲によって生かされている……僕としてはそれに縋るよりない…………しかしね……僕はそんな状況が……堪らないのです………」
保奈美「……慈悲だなんて………あなただって……現にこうして薪を割って……………」
櫂「…あなたが見てきた中で一番下手な薪割りでしょう……?どれを取っても綺麗に割れてはいない………」
保奈美「…あなたは今まで薪割りなんかする必要がなかっただけよ………今は下手だとしても、これから上達して…………」
櫂「……無理ですよ……割っている本人はいつも上の空で、現実から逃げ続けているのですから………現実と向き合えないのです………」
保奈美「…………よく…分からないわ…」
櫂「……どうしようもないのです……この現実を見たくないと言う性質は……………戦前まで、僕にとって人生は物語のようなものでしかなかった………自分の夢の中にある物を夢想し、そしてそれに生きていた……」
保奈美「…………だから…何を…………………」
櫂「……分かりやすく言えば……僕は卑怯者なのです。」
保奈美「まぁ……!あなたが卑怯者であるなんて……そんな事があるわけないじゃない…!卑怯者にどうしてゲティスバーグで南軍相手に果敢に立ち向かう事が出来るの?!」
櫂「それは……勇気じゃない…………戦争は……安酒のようなものなのです……どんな卑怯者や英雄でも一様に酔わせてしまう……僕もただ……酔っていただけなんだ……」
保奈美「………………アシュレ……(……言っている意味はよく分からない……ただ……こんなに悲しそうなアシュレの顔は………………)」
櫂「…………………………………」
保奈美「……………………………」
櫂「…………僕に期待してはいけない…………僕にはもう、何もないのだから……………………」
保奈美「…………何があなたを……そんな風に嘆かせるの………?」
櫂「……薪を割っている事が意味する物です。薪割りそのものは恐ろしくはない………僕の愛していた生活がなくなってしまった事が、僕を酷く嘆かせるのです………僕の居る場所はなくなってしまった………それが恐ろしい……………」
保奈美(………飢えや寒さや、家を失う事以外にどんな恐ろしい事があると言うの………?……………)
櫂「……………………………………」
保奈美「……私では……アシュレに居場所をあげることはできないの……………?」
櫂「………君と僕は……違いすぎる………………」
櫂「……君は現実から逃げたい……そう思った事なんてないでしょう……?」
保奈美「……っ……あるわよ!私だって、今直面している事から逃げ出してしまいたいと思うわ!」
櫂「……いいや……君にはそれを乗り越えられる力がある……」
保奈美「無理よ!…今回ばかりはどうしようもないもの!」
櫂「……………スカーレット………」
保奈美「逃げたいんだったら…私と逃げましょう!…メキシコとか、その辺りまで……うんと遠くへ!」
櫂「…………………………………」
保奈美「>>42」
それとも……やっぱり、メラニーがいいの?
保奈美「それとも……やっぱり、メラニーがいいの…?」
櫂「……君は僕に……それを言わせようって言うんだね……?」
保奈美「………っ……ええ…!…あの日、あなたは私を愛していると言ってくれたじゃない…はっきり覚えているわ……私は今でもあなた心が変わってない事が分かるわ!ねえ、私ならあなたを幸せにしてあげられるわ……!」
櫂「………………………」
保奈美「私はあなたを愛しているし、あなたは私を…………!」
櫂「止めよう……スカーレット……」
保奈美「どうして?!」
櫂「どうしてもだよ……あの日、トゥエルヴ・オークス屋敷であった事は………忘れなきゃいけない……」
保奈美「私にあれが忘れられると思って?あなたは私を愛していないてま言い切れる?」
櫂「……できる……僕は君を愛してはいない……」
保奈美「嘘だわ!」
櫂「…嘘だったとしても……僕は自分の気持ちがそうであると言う事にしなければならない。」
保奈美「………あなたは…………」
櫂「……妻子を置いてどこかへ言っていいわけがないでしょう……?……そんな事は、してはいけない事なのです…………」
保奈美「何をすべきで、すべきじゃないかは、もう聞き飽きたわ…!…アシュレ……私たちを邪魔するものなんて何もないじゃない…!」
櫂「……いけない……いけないんだよ……スカーレット……!」
保奈美「さあ、もう一回言って……私を愛しているって!抱きしめて囁いてちょうだい!あなたは私を愛している!」
櫂「僕はメラニーの夫だ……その意味を分ってほしい………」
保奈美「メラニーの事は今は関係ない!私の事だけを見て、そして私の事だけを考えて!」
櫂「やめてくれ、スカーレット!……あなたにそんな風に言われたら………自分の気持ちを偽れなくなってしまう……!」
保奈美「じゃあ……やっぱり………」
櫂「ああ、僕は君を愛している!君の美しさを、勇気を、心強さを…!ああ……恐ろしい事に、妻子を置いて君と行きたいと思ってしまうほどに……!…それだけ愛している…!」
保奈美「アシュレ………!」
櫂「やめてくれ、僕の名を呼ばないでくれ!僕が悪いんだ…全て…!…だから………もう……やめてくれ………」
保奈美「……………っ………………」
櫂「………頼む……スカーレット………でないと、僕は取り返しのつかない過ちを起こしてしまう……!」
保奈美「…………………………」
櫂「……そうなったら……僕は一生………自分を許せない…………… 」
保奈美「………っ………分かったわよ………アシュレがそこまで言うなら…………っ………あなたを………苦しめたくないもの…………」
櫂「………………………………」
保奈美「……私には……もう何も残っていない……あなたの心は……手に入らない………タラも奪われてしまう…………」
櫂「………………すまない……」
保奈美「……謝らないで……!もういい……もういいわ……!もう……あなたに迷惑をかけるような真似は……二度としないわ…………」
櫂「………………………………」
保奈美「………っ………悪いと思うぐらいなら…………愛してるだなんて言わないでくれれば良かったのに…………!」
櫂「………………すまない……」
保奈美「謝らないでって言ってるでしょう!…………あなたに謝られたら……惨めになるだけじゃない…………」
櫂「………………………………」
保奈美「……っ…………」クルッ
保奈美「…………これが原因で…………あなたを飢えさせるような事はないから…………」スタスタスタスタスタスタ……!
櫂「……………………………………」
保奈美「…………………………」
スタスタスタスタスタスタ……!
スカーレットの部屋
保奈美「…………………」ヘタ……
保奈美「…………何なのよ……もう……………少し前まで…………すべて上手くいくと思っていたのに…………」
保奈美「………何も手に入らなかった………………何も………っ…………………」
保奈美「……アシュレは………メラニーを選んだ………アシュレの心は変えられない………………アシュレは…………自分の信念を曲げるような人間じゃない…………」
保奈美「……………………………」
保奈美「…残っているタラも……もうすぐ………………ああ………せめて…………どちらか1つだけでも…………」
保奈美「>>50」
いえ……絶対に諦めない。意地でも両方勝ち取ってみせるわ……!
保奈美「いえ……絶対に諦めない。意地でも両方勝ち取ってみせるわ……!」
保奈美「……負けない……どんな状況からだって…………私は勝ってみせる…!…負けてたまるものか…………!私は……負けない…!」
保奈美「………すぅ…………はぁ………………考えろ……考えるのよ……スカーレット・オハラ!……勝ち取るための手段を……!」
保奈美「……どうにもならないように見えるかもしれない……!だけど………私は人だって殺したんだ…!その気になればできない事なんてない……!」
保奈美「………………………………」
保奈美「…………負けない…!」
保奈美「アシュレの心を手に入れるにはどうしたらいい……?アシュレが私の気持ちに応えられない理由……それはメラニーが居るから……」
保奈美「メラニーさえ居なければ、アシュレは私の気持ちに応えない理由はなくなる……そしたら…………」
保奈美「……何だ……簡単な事じゃない……メラニーさえ居なければ良かったんだ…………どうして私はメラニーを助け続けてきたのかしら………?」
保奈美「アトランタで……タラで……メラニーは私が放っておけば勝手に死んでいた………………」
保奈美「…………………………」
保奈美「……私は何を考えていたのかしら…………?」
保奈美「……… 元々死ぬ命だったのよ………なら……………………」
〜〜〜
「あなたって…とても優しいのね……」
〜〜〜
保奈美「………………………………」
保奈美「……私は今……メラニーを………絶対に味方でい続けてくれた……メラニーを………………」
保奈美「……幾ら…邪魔だからって……それはあんまりだわ…………いけない………私はどうかしてしまっていた…………」
保奈美「……ああ…………もっと…別の方法を考えなきゃ………そんな事はだめ……絶対にだめ……卑怯だわ……!」
保奈美「………メラニーは…………いけない………………」
保奈美「…………あ、アシュレの事は後回しにしましょう……アシュレは私の前から居なくなるわけじゃないもの………………」
保奈美「……そう……まずはタラよ……タラの方を先に考えるべきだわ………タラが奪われてしまったら…………お終いだもの……」
保奈美「……タラさえ無事なら……生きていける……タラさえ無事なら……余裕を持って考える時間ができれば…………アシュレの心を手に入れる手段だって思いつくはず…………」
保奈美「……タラを守らなきゃ…….そのためには……………お金がいる…………300ドルの…………」
保奈美「…そして、その300ドルを手に入れるには………………」
〜〜〜
櫂「さぁ…………少なくとも一つ言えるのは、300ドルなんて払えるのは、僕が知っている限りではレット・バトラー1人だけ、という事ですね。」
〜〜〜
保奈美「…………レット…バトラー………あの男は…お金を持っている………………」
保奈美「……ピティパット叔母さんからの手紙に書いてあった……あの男は、アトランタへ何百万ドルというお金を持って帰ってきた、と………」
保奈美「…………………………」
保奈美「………思い出したくもない名前だけど…………他に取れる手段は思いつかない……」
保奈美「…………覚悟を決めるのよ……私……大事な事は何か……今一番大事な事は、お金を手に入れる事。……二度とお金の事で悩まなくてすむようになる事……」
保奈美「…その為には……………」
保奈美「………………………………」
〜〜〜
保奈美「………………」グイッ……!
窓掛け「…」ギチ……ギチギチギチギチ……
保奈美「……っ………んの…!」
ググググ…………
窓掛け「…」ギチギチギチ…ガシャァァァァン!!
保奈美「きゃっ?!」ドタァァン!
保奈美「…………っ……痛た……………………」
窓掛け「…………」
保奈美「………………よし…」
保奈美「……これを布地にすれば良い……この窓掛けの布がこの家に残っている一番上等の…………」
ドタドタドタドタ…バァァァァン!!
菜々「何の音ですか、今のは?!」
保奈美「……あら、マミー。ちょうど良いところに来たわ。」
菜々「何が一体ちょうど良いんですか?すごい物音がしたから来てみれば……エレン様の窓掛けをどうするつもりなんですか?!」
保奈美「ドレスに仕立てるのよ。さっさと屋根裏から型紙を持って来てちょうだい。」
菜々「む……冗談じゃありません!エレン様の窓掛けで新しいドレスを作るなんて私の目の黒いうちはさせませんよ!」
保奈美「どうしても新しいドレスが必要なのよ。アトランタへお金を借りに行かないといけないから。」
菜々「新しいドレスなんか必要ありません!今着ておられるので十分ですよ!分かったら、はめ直すんで窓掛けを置いてください!」
保奈美「マミー!これには私たちの……タラの未来がかかっているの……!(…そうよ……どうにかして、バトラーに取り入らないと……その為には何としても新しいドレスが必要よ。)」
菜々「…税金として払うためのお金を借りに行くんですか?」
保奈美「どうして知ってるの……?」
菜々「私には耳が付いていますからね。…次から内緒話はもう少し小さな声でする事をお勧めします。」
保奈美「……だ、だったら……どれだけお金が必要か分かるでしょう……?」
菜々「>>60」
分かってくれないようですね。どうしてもと言うならウサミン星のドレスをお貸しします
しかしこれは諸刃の剣です。着用している時間が合計24時間を過ぎないようにしてください
超えると大変なことになります
安価把握
あ、明日から頑張ります……(震え声
お休みなさい……
再開します
菜々「分かってくれないようですね。どうしてもと言うならウサミン星のドレスをお貸しします。」
保奈美「う、ウサミン星………?」
菜々「はい、ウサミン星です。」
保奈美「…………………………」
菜々「………………何ですか?」
保奈美「い、いえ………その…………何でもないわ…………」
菜々「何か言いたげに見えましたが、まあ良いでしょう。」
保奈美「えっと…それで…そのウサミン星のドレスって言うのは…?」
菜々「説明してあげますから、まずは窓掛けを抱きしめるのを止めて床に置いてください。皺ができてしまうじゃないですか。」
保奈美「………あの…………」
菜々「ドレスがあるのなら、わざわざエレン様の窓掛けを滅茶苦茶にする理由はないですよね。さあ、そのまま横に置いてください。」
保奈美「…………………………」
菜々「スカーレット嬢様。」
保奈美「…………わ、分かったわ…」
カタン
菜々「まったく……窓掛けを外して何を言い出すかと思えば…………新しいドレスと来たもんです。………何故私に相談してくれないんですかね?」
保奈美「……だ、だって……あなたがドレスを持っているだなんて聞いた事が無かったし…………」
菜々「お話しした事がありませんからね。」
保奈美「…………………………」
菜々「最近の若い人の悪いところは自分が何でも知ってると思ってる事ですよ。……ああ、エレン様のお母様にはお話した事がありました。……ウサミン星のドレスさえあれば、スカーレット嬢様の目的は立派に遂げられますよ。」
保奈美「……………………………」
菜々「どうしたんですか、そんなに驚いたような顔をして…………」
保奈美「…………それは…………」
菜々「ご心配なさらずとも、ウサミン星のドレスはどんな新品のドレスにだって負けはしません。少なくとも、窓掛けから作ったドレスよりは、ね。」
保奈美「……………………………」
菜々「…説明は本物を用意してからの方が良さそうですね。スカーレット嬢様は目で見た物しか信用されませんから。……少し待っていてください。」
保奈美「…………え、ええ……」
〜〜〜
保奈美「まあ………………!」
ウサミンドレス「……」
保奈美「……こんな美しいドレスが……まだ南部に残っていただなんて………!…マミー……これは……?」
菜々「…私が昔仕えていた方からいただいたものです。私はついぞ、着る機会を永遠に失ってしまいましたがね。」
保奈美「…………………………」
菜々「さて、スカーレット嬢様。これでもまだ、窓掛けを引き裂こうと思いますか?」
保奈美「……!い、いえ……!ちっとも思わないわ………!」
保奈美「…昔のアトランタで見たどのドレスよりも綺麗だわ…!ああ……これを着ていけば必ず………ありがとう、マミー!」
菜々「お気に召していただけたようで結構です。……しかし、これは諸刃の剣です。着用している時間が合計24時間を過ぎないようにしてください 。
超えると大変なことになります。」
保奈美「…えっ……?」
菜々「そのドレスは………いえ、とにかく24時間を超えないようにしてください。」
保奈美「…………それは……………」
菜々「…………………………」
保奈美「………………………」
菜々「それを約束してもらえなければ、貸す事はできません。……約束してもらえますね?」
保奈美「………あー………(…こんなドレスをたったそれだけしか着れないなんて………久しぶりに着飾れるのに……)」
菜々「……約束してもらえますね?」
保奈美「……分かった、約束するわ。(…きっと仕来りか何かあるのね。………アトランタに行ってしまえば、マミーの目は届かなくなるし………)」
菜々「………やっぱり私も着いて行きます。」
保奈美「……い、い、いや……いいわよ…!1人でも上手くやれるわ…!」
菜々「あなたのオムツを替えていたのは誰だと思ってるんですか?私に隠し事はできませんよ。」
保奈美「………わ、私と一緒に来てくれるのは嬉しいけど……そしたら、タラの切り盛りは誰が…………」
菜々「上手いこと言っても無駄です。私が居ないと絶対に言いつけを守ってくれないんですから。それに、ならず者だらけの街へ一人では行かせられません。」
保奈美「…………………………」
菜々「…何か問題が?」
保奈美「………………ない…わ……………」
菜々「>>71」
ならいいじゃないですか……それに、もし時間を過ぎた時のために止める者がいないといけないでしょう?
菜々「ならいいじゃないですか……それに、もし時間を過ぎた時のために止める者がいないといけないでしょう?」
保奈美「そんな真似は……」
菜々「します。私よりスカーレット嬢様を知っている人間は居ません。」
保奈美「…………………………」
菜々「…スカーレット嬢様に、絶対に着いて来るなと言われても着いて行きます。」
保奈美「…………お願いするわ…」
菜々「かしこまりました。」
菜々「珍しく物分かりが良いですね?」
保奈美「……マミーは一度言い出したら、誰が何と言おうと意見を変えないって知ってるもの。」
菜々「そりゃあスカーレット嬢様も同じじゃないですか。私がウサミン星のドレスを貸して差し上げようと思ったのも、そのせいですよ。」
保奈美「えっ?」
菜々「新しいドレスなんて要らないと言っている最中に思い出したんですよ。……あなたは欲しいものは必ず手に入れたがるような人だと。…あのままだったら、私の目の前で窓掛けを裂き始めたところだったでしょうね。」
保奈美「………………………………」
菜々「さて……アトランタへ出発する準備を始めないといけませんね。…スカーレット嬢様。……それと…………」
保奈美「…はぁ………まだ何かあるの……?」
菜々「ええ。肝心な事を聞いちゃいません。……ドレスを着て、お金を借りに行く相手って言うのは誰なんです?」
保奈美「……そこまでは、あなたには関係ないわ。」
菜々「…………………………」
保奈美「…誰から借りようが、私の勝手でしょう?(バトラーのようなならず者に媚を売りに行くだなんてマミーが知ったら………………)」
菜々「………………そう言う事ですか……分かりました。……嫌な事を聞いてすみませんでしたね。」
保奈美「な、何が分かったのよ……?」
菜々「言って欲しいですか?」
保奈美「…………………………」
菜々「………………………………」
保奈美「………誰にも言わないでね…?」
菜々「別に話しゃしませんよ。……それよりトランクはどこにありましたっけ…?」
保奈美「……一階よ。」
菜々「ありがとうございます。」
保奈美「……………………………」
アトランタ 停車場跡
保奈美「……………想像してたより………………」
菜々「……想像してたより酷い有様になっていた?」
保奈美「いえ……逆よ。」
菜々「……逆……?…これだけ街が荒れ果てていると言うのにですか……?」
保奈美「…荒れ果ててはいるけど……見てよ、あそこの建物なんて再建され始めているじゃない。」
菜々「……確かにそうみたいですけど………………」
保奈美「……マミーだってあの晩を体験してたら分かるわ。北軍がアトランタに攻めてきた日をね。」
菜々「………………………………」.
保奈美「…………廃墟だらけになって……景色は随分と変わってしまったけど………………」.
菜々「スカーレット嬢様……あまり期待しちゃいけませんよ。」
保奈美「…どうして…………?」
菜々「……見えないんですか……?…さっきの建物の上に、北部連邦旗がはためいているのが。」
保奈美「……………あっ………」
菜々「……あの建物も、あの建物も、それからあの建物もです。…ここはもう…あなたの知っている街じゃありませんよ。」
保奈美「……………………………」
菜々「それに……………………」
「ヒッヒッヒッヒ…!こんにちは、嬢ちゃん。……アトランタへようこそ。」
保奈美「?!」ビクッ!
「アトランタは愉快な街だぜ?なあ、少し俺らと遊んで行こうぜ。」
「嫌とは言わないよな?あっ、婆さんには用はねえから安心していいぞ?ギャハハハハハ!」
菜々「………………………………」.
保奈美「>>79」
(無言で睨む)
保奈美「……………………」キッ!
「な、何だよ……?」
保奈美「…………………………」
「……何だよ、その目は……?!……南部人の癖に逆らおうって………」
菜々「それに……こんな雑魚どもが威張り散らすような街じゃなかったでしょう?スカーレット嬢様。」
「なっ?!こんのババ…………!」
菜々「は?」
「………………!」ゾワッ…
菜々「口の利き方に気をつけるべきですよ。チンピラ風情が王様気取りですか?」
「……て、テメエ…………!」
菜々「ハッ、豚の方がまだ鳴き声のレパートリーがありますよ。…痛い目に遭いたくなかったら今すぐ消えなさい。」
「お、老ぼれだからって手加減はできねえぞ!」
「やっちまうぞ、ババァ!」
菜々「手加減ができないのは私の方ですよ。品のない人間を見るて、腹が立って仕方がありませんから。」
「……っ!」
「……ババアが!身の程知らずも大概にしろよ!」
菜々「スカーレット嬢様。今のは流石でしたよ。危ないから少し下がっていてください。」
保奈美「……!で、でも…………!」
菜々「下がっていてください。」
保奈美「……………………………」
「…ここまで馬鹿にされて黙ってられるか!テメエら、やっちま…………!」
菜々「……………………」スッ
通り
菜々「シーツを畳む方がまだ手応えがありましたね。」
保奈美「……ね、ねえ………?!」
菜々「何ですか?」
保奈美「……北部の連中に……あんな事をして大丈夫なの……?もしアイツらが北軍の憲兵に…………」
菜々「婆さん一人相手に手も足も出ずに叩きのめされた、なんてどんな顔をして憲兵に報告出来るって言うんです?」
保奈美「………………あっ…………」
菜々「よしんば告げ口されたところで、憲兵だって暇じゃないでしょうしね。笑い飛ばされるのがオチですよ。…………何も心配は要りません。」
保奈美「ふふっ…………ふふふ……………あはははは…!そうか……それもそうね……睨むだけにしておくんじゃなかったわ……!」
菜々「縛り首の心配がなくなった途端………スカーレット嬢様は分かりやすい人ですね。」
保奈美「だって愉快なんですもの!…よくやったわ、マミー!ああ、あの連中は今頃どんな気分でいるのかしら?」
菜々「……ふっ……さぞ惨めな事でしょうね。まあ……愉快だって事には賛成します。こういう時に年寄だと便利です。」
保奈美「そうねぇ……マミー、どうやったらあんな動きができるの?」
菜々「昔色々あったんですよ。ただ、それだけです。」
保奈美「またそう言って…………」
菜々「実際そうなんですから。……それよりも、これからはさっきみたいには行きませんからね。…柄の悪い連中がそこら中に居ます。……さすがにこれだけは無理です。」
保奈美「…………分かってるわ。」
菜々「互いに牽制し合ってて動けないようですがね。……好都合です、この間にピティパット様の家まで一気に行きますよ。」
保奈美「と言っても徒歩だけどね……」
菜々「馬車なんか誰も持っていないのはスカーレット嬢様が一番よくご存知でしょう?」
保奈美「……まあね……」
菜々「…誰も自分が食べるだけで精一杯で、馬を食べさせるなんて出来やしませんからね。」
保奈美「戦前に話したら誰も信じてくれなかったでしょうね。人の家を徒歩で訪ねなきゃいけない時代が来るなんて。」
菜々「……でしょうね………私にだって予想はできませんでしたよ………」
保奈美「…………………………」
菜々「……ましてや、街をこんな風にならず者たちが支配する時代が来るだなんて……ね……」
保奈美「>>87」
力……力さえあれば……!
(それにしても……黒井元社長しか男性アイドルがいないうちの事務所ってこういう時に不便よね……)
保奈美「力……力さえあれば……!
(それにしても……黒井元社長しか男性アイドルがいないうちの事務所ってこういう時に不便よね……)」
菜々「…そんな事を言うもんじゃありませんよ。」
保奈美「いいえ、言うわ。……ああ……力が欲しい……北部に復讐ができるような……(…アイドルとして通用しそうな人ならたくさん居るのに………)」
菜々「……エレン様があなたがそんな事を言ってるのを知ったら、きっと悲しむでしょうね………」
保奈美「………っ……………!」
菜々「…他の事は全部忘れたって……いや、良いわけはないんですが………忘れたって構いません。ですがね……エレン様の御心だけは忘れないでください。」
保奈美「………………(…言い方はアレだけど、顔の良い人が多いし………顔………あら………?)」
菜々「…力に力で立ち向かった結果がこれなんですから。……停車場の近くと違って廃墟が増えてきましたね。」
保奈美「…………そうね……(…そう言えば、保奈美Pさんの素顔って見た事がないわね………マスクを外してる時が……………)
菜々「……スカーレット嬢様!(…集中ですよ、保奈美ちゃん。)」
保奈美「…!…聞いてるわよ……!(……雑念が混ざるところだったわ………ありがとう、菜々さん…!)」
菜々「…ふん、どうだか………心で聞いてなきゃ意味はありませんよ…」
保奈美「話は耳で聞くものよ。」
菜々「そういう事を言ってるんじゃありません………はぁ………まあ、あまりうるさくは言いませんよ……」
保奈美「…そうしてちょうだい。」
菜々「はいはい………ピティパット様の家への道のりはこれで合っているんですか?」
保奈美「かなり変わり果ててしまっているけど………この道のりで合っているはずよ。」
保奈美(……どこもかしこも廃墟……そうじゃなきゃ北部連邦の旗が………っ…………!…力が欲しい……)
保奈美(力が……!………でも、力って何だろう…?……もし仮に、私にそこの破落戸共に痛い目に合わせてやれる力があったとして………それが何になるんだろう………?)
保奈美(北軍は次から次へ湧いてくるというのに………なら、もっと……もっと強い力を……!…北部全体をどうにかするには…………?)
保奈美(………っ………そんなの人間の力じゃ無理だわ……!……人間の力じゃ…………!)
菜々「……っ……!…あれが機械と言うものですか………」
保奈美(…………機械………)
保奈美「…………………………」
保奈美(……シャーマンの機械人形はこの街をたった一晩で破壊し尽くした……………人間にはそんな事はできない………………)
保奈美(……………………………)
保奈美「(……分かった……力の手に入れ方が…………)…ありがとう、マミー。」
菜々「……急に何です…?」
保奈美「……別に。……さあ、ピティパット叔母さんの家まで急ぎましょう。」
菜々「……………………………」
夜 ピティパット叔母の家
瑛梨華「まぁ……よく尋ねてきてくれましたねぇ…!スカーレット、あなたなら来てくれると信じていましたよ!一人で居るのは心細くて……もう………死んでしまうかと思いました………!」
保奈美(…私たちは本当に死んでしまうところだったんだけど。)
瑛梨華「私もう……感動しましたよ……!……ああ……ところで、メラニーは……?」
保奈美「……体調がまだよくなくて、長旅には耐えられそうになかったの……残念がっていたわ。(嘘だけど。)」
瑛梨華「それは可哀想に……!……すみませんねぇ……ぐすっ………ぐすっ………………」
保奈美「いいえ、気にしないで。(…ピティパット叔母さんに何かできるとは思ってないから。)」
瑛梨華「何から話したらいいんでしょうねぇ………えっと……えっと…………」
保奈美(………この調子だと…………)チラ
巴「………………」ペコ
保奈美(相当苦労していたみたいね……………ピーターが。)
瑛梨華「……ああ……えっと……話すべき事が多すぎて……この街はすっかり物騒になってしまっていて……だから心配の種が尽きなくて…………」
保奈美「……………………………」
瑛梨華「>>97」
水はなくともガソリンと肩パットは無限
一時中断します
↑スカーレット、父の無残な有様をだぶらせる
>>1が普段何してるか分からないけど、公言通り全アイドルを出すまで頑張ってほしい。もちろん、体調に気を配りながら無理しないでだけど。
睡魔になんか負けない(キリッ
再開します
瑛梨華「でも忘れさせてくれるものもたくさん見つけたんですよ?見てちょうだい、例えばこの持っているだけで幸せになれる壺とか、オーガニック的な効果で家を守ってくれるお水とか………」
保奈美「…え、えっと……………」
瑛梨華「ね、見るからにご利益のありそうな壺だと思いませんか?よく分かりませんけど……特別な素材を使ってあるとか。」
保奈美(…ウェードに作らせたみたいな壺ね……)
瑛梨華「この水も、何だかオーガニック的な感じで……こう…とにかく、この家が無事なのもこの水のおかげなんですよ?」
保奈美(水が家を守ってくれる訳がないでしょう……!)
瑛梨華「それから……それから………!」
保奈美「…………………」チラ
巴「……………………」フルフル……
保奈美「……………………………」
瑛梨華「他にもまだたくさん有り難いものがあるのですよ。親切な人たちが格安で譲ってくれたのですけど………」
巴「…ピティ様。持ち物を自慢するのはあんまり行儀のええ事じゃないですよ。」
瑛梨華「自慢じゃありませんよ……?私はスカーレットにも幾つか譲ってあげようと思って…………」
巴「人様に物をくれてやる余裕なんぞありやしません。そがん事も分からんのですかね?」
瑛梨華「だって……スカーレットがわざわざ来てくれたのですから……………」
巴「ピティ様。わしにばかり家の事を考えさせんで欲しいんじゃがのう。」
瑛梨華「…むぐ……………」
巴「…………………………………」
瑛梨華「…………………………」
巴「………わしは夕飯の支度をして来ますけぇ。あまりスカーレット嬢様を困らせんようにお願いします。」
瑛梨華「こ、困らせてなんか……………」.
巴「わしの言い付けを破らんでくださいよ。」
瑛梨華「……あう………………」
巴「………………」チラ
保奈美「………………………」
巴「そこのあんたも手伝ってくれんかのう?」
菜々「………やりますね……分かりました。」
瑛梨華「……うう…………………」
保奈美「…………………………」
夕食後 裏庭
巴「……ピティ様がすまんのう………最近じゃすっかりあんなちょうしなんじゃ………」
保奈美「…………………………」
巴「わしがちょっと目を離したすきに、ガラクタを言い値で買わされとる……しかも、それを問い詰めると泣き出されるもんで話にならんと来た。」
保奈美「……あなたも苦労してるのね………」
巴「…『も』……?」
保奈美「……私のお父さんもあんな感じなのよ………もっとひどいかも……」
巴「………………ほうか…………」
保奈美「ええ………」
巴「………詳しくは聞かんし、大変じゃな、とも言わん。気休めなんぞ聞き飽きとるじゃろうからの。」
保奈美「………ありがとう…」
巴「………………………………」
保奈美「…………………………」
巴「……回りくどいのは嫌いじゃ。早速本題に入るぞ。……あんた、何しにわざわざアトランタへ来た?まさか、ピティ様に会いに来てくださったっちゅうのはないじゃろ?」
保奈美「……………………………」
巴「…………………」
保奈美「……年寄りの黒人は、みんな勘が鋭いのね。………隠し事も出来やしないわ……」
巴「生きてきた長さが違うけぇ、当たり前じゃ。………で、本当の目的は何じゃ?」
保奈美「…………私の質問に対して、ただ答えるだけって約束してくれる…?」
巴「………成る程のう…大声じゃ言えんような事か。……ま、そげな理由でもなきゃアトランタなんて来んじゃろうな。」
保奈美「…………………………」
巴「……何も言わん。…わしに質問せい。」
保奈美「………ありがとう………………レット・バトラーの居場所を教えて。」
巴「……レット・バトラー…と来たか。………奴さんなら今は塀の中じゃ。」
保奈美「何ですって?!」
巴「>>107」
ま……理由は察せると思うが……全身に傷を負って、ひどい有り様じゃったな
巴「ま……理由は察せると思うが……全身に傷を負って、ひどい有り様じゃったのう…………」
保奈美「………………………」
巴「……ふぅ……北軍の士官をハジキでズドンとやったらしいわ…そがん事をやったらどうなるか分からん男じゃあるまいに…………」
保奈美「……じゃあ……バトラーは縛り首になるの……?」
巴「…北軍の連中のやり方ならのう。……後は日付が決まり次第……じゃろ。」
保奈美「…………………………」
巴「……つい一週間前に、ピティ様へ可愛らしいうずらを土産に、わしに色々あんたの事を聞きに来たばっかりだったんじゃが………………ちいと遅かったのう……」
保奈美「……そんな…………………」
巴「……包囲戦の時にあんたをひどく怒らせたから、許してはもらえないだろう、と言っちょった………………」
保奈美「………………………………」
巴「……………………………………」
保奈美「………………困るわ……」
巴「ん?」
保奈美「……困るわ……バトラーが縛り首になってしまったら……!」
巴「…あんた、あの男に死なれたら困るっち言うんか…?」
保奈美「困るわよ!(だって、バトラーが縛首になってしまったら……計画がすべて台無しだもの!)」
巴「……ふぅむ………ミード博士や大半のアトランタの人間は、さっさとバトラーを縛り首にしろと言うとるんじゃがのう…………」
保奈美「…それは……よっぽど嫌われていたのね……」
巴「誰も彼もが貧乏しとるところに、散々南部同盟を貶しとった山師が大金を持って帰って来たんじゃ。……当然っちゃ当然じゃ。」
保奈美「……あなたもそう思ってるの……?」
巴「……わしもあの男は好かん。…じゃが、それとこれとは別じゃ。……人様が、ましてや北軍に一矢報いた男が縛り首になるのを願うんは……間違っとると思う。」
保奈美「……………………………」
巴「……ちなみに、収監されとるんは元は消防署だった場所じゃ。あそこは今監獄になっちょる。」
保奈美「……元消防署……あそこが……………(昔パーティーで使った事がある場所が……今は北軍どもの刑務所…………)」
巴「…頑丈な建物は全部奴らに接収された………それもそんな建物の一つじゃ。」
保奈美(……北軍……!何から何まで私の邪魔をする…………!)
巴「…さて、これでこの質問は終わりかのう?……次の質問は………?」
保奈美「……どうしたら獄中のバトラーと面会できるかしら…?」
巴「………面会してどうす……いや、ただ答えるだけじゃったな。……分かった、今から手順を教えるけぇ、耳の穴かっぽじってよう聞け。」
保奈美「…………………………」
巴「まずは………………………」
翌日 刑務所の前
保奈美(……着付けは完璧、歩けば10人のうち10人が振り返る。どこからどう見ても、税金が払えないほど貧乏で苦しんでいるようには見えない。)
保奈美(……マミーはあれこれ訊いてくるとばかり思っていたけど…………何も言わずにただ着付けを手伝ってくれたのは意外だったわ…………)
保奈美(……ともかく、これでバトラーに会う準備は整っている……あとは余裕に満ち溢れているかのように振舞わなきゃ…………)
保奈美(あの男にお金が目的と気付かれてはいけない……そしたら、取り入るも何もあった物じゃないわ…………)
保奈美(………逆に考えればこれはチャンスよ……バトラーは刑務所に入れられて弱っているはず……そこに付け込めば…………)
保奈美(………………………………)
保奈美「……すぅ……………………」
保奈美「………………………………」
保奈美「…もしもし、そこの衛兵さん。…少し…良いでしょうか……?」
「……む…これはご婦人。どうされましたかな?」
保奈美「…この中にいる人に面会したいのです。……囚人なんですが…………」
「………あー……すみません、ご婦人。…それは出来ない規則になっているのです。……訪問者については非常にやかましくて…………」
保奈美「>>116」
そこを何とか……
保奈美「そこを何とか……」
「何とかと言われましても……………………」
保奈美「お願いします……!どうしても会いたいんです!…難しいお願いなのは分かっています…………ですが……………………」
「むむむ…………こちらとしても、できる限りお願いは聞いてあげたいのですが………………」
保奈美「…………」ポロ……ポロ……
「?!……ああ、泣かないでください!………弱ったな………………」
保奈美「……お願いです……あの人に……会わせてください……これが最後になるかもしれないんです……」
ポロ……ポロ…
「……………………………………」
保奈美「……私の……持ってるものを全て差し上げても構いませんから………………」ポロ……ポロ…
「と、とんでもない!我々はゴロツキではないですから、ご婦人から物を盗るような真似は一切致しませんよ!」
保奈美「(…北軍が何を…………)……お願いします……会って…………話がしたいのです………」ポロ……ポロ…
「……………………………………」
保奈美「……………」ポロ……ポロ…
「…………少し待っていてください。上に掛け合ってみます。」
保奈美「…………!(よし……!)」
ポロ……ポロ…
「………大尉に掛け合えば大丈夫だろうか……まさか…ご婦人を一人面会させる事の許可をもらえない、何てことは無いだろう…………」
保奈美「面会させていただけるんですか……?」ポロ……ポロ…
「まだ保証はできませんが……何とかしてみせます………ご婦人の涙を見て見ざる振りはできませんよ……」
保奈美「…ありがとうございます……!」ポロ……ポロ…
「……いえ………………」
保奈美(…北部の男も同じだわ………女の涙は清いものだと信じている…………どうして武器だという事を誰も思いもしないんだろう。)
監獄 小部屋
「しばらくここでお待ちください。」
保奈美「…はい………(あの後も涙を見せていたら、驚くほど簡単に事が進んだわ。……何にも心配する事なんかなかったじゃない。)」
「……あなたが会いたい方と言うのは、レット・バトラーだったのですね。」
保奈美「……それが…………?」
「いえ、特に深い意味は…………」
沙紀「やあ、ヘンリー。昨日ぶりじゃないか、また僕に何か用かい?…君は本当に僕を引っ張り出すのが好きだな……」
保奈美「……!」
沙紀「……ヘンリー。……悪いが彼女と二人きりにしてくれないか?」
「何を…………?!」
沙紀「心残りが無くなれば、僕も口を割るかもしれないぜ?……なんて……………………」
「……っ……分かった………ただし…………」
沙紀「怪我人と女性に鉄格子は破れんよ。ふふっ…………さあ、行った行った。」
「……………………………………」
保奈美「………………………………」
沙紀「………………」ニヤニヤ
〜〜〜
沙紀「やはり持つべき物は金ですね。命は金で変えるようです。…奴さん方はどうしても僕を縛り首に出来ない。」
保奈美「……ど、どういう事……?(……想像していた姿と全然違うじゃない…………)」
沙紀「…捕まえられてしばらくはそりゃ酷い目に遭わされましたよ。見てもらえますか、この傷跡を………まあ、それも僕に数百万ドルの隠し資産がある事を奴らがどこかから聞き付けるまででしたがね。」
保奈美「……数百万ドル………?!」
沙紀「実際にはもっとあるのですがね。僕を縛り首にしてしまって、その所在が分からない。それで何だかんだで今に至る、と言う訳です。」
保奈美「………………………」
沙紀「>>124」
>>98
ありがとうございます……宣言は必ず果たします
普段はロックを聞いたり、わんこと遊んだり、遠すぎた橋を見たり、読書をしたり、ヒーローごっこをしたりしています…………仕事も趣味だったらなぁ……………………
すみません、力尽きます…………
明日から頑張ります…………
(1日ぶり、2回目)
ああ、もちろん体を八つ裂きにされようと隠し財産について口を割るつもりはありませんからご心配なく。たとえそれがスカーレット・オハラ、あんたであろうとね。
(とはいえ……『マジで屈折した人』の屈折ぶりをああも間近で見ちゃったら、急に自分の演技に自信がなくなってきたっす……
……いやいや、弱気はよくないっすよね。今は自分を信じるのみっす)
右手が…………
再開します
沙紀「ああ、もちろん体を八つ裂きにされようと隠し財産について口を割るつもりはありませんからご心配なく。たとえそれがスカーレット・オハラ、あんたであろうとね。」
保奈美「まあ…………?!」
沙紀「今日までにそれなりの数の女性が尋ねて来てくれましたがね、全員同じ目の色をしていましたよ。これから決闘にでも望むような目の色をね。」
保奈美「……な、何を………?」
沙紀「正直に答えてください。僕は正直な人間が好きです。お金に困られているのではありませんか?」
保奈美「…………………………」
沙紀(とはいえ……『マジで屈折した人』の屈折ぶりをああも間近で見ちゃったら、急に自分の演技に自信がなくなってきたっす…………いやいや、弱気はよくないっすよね。今は自分を信じるのみっす……)
保奈美「…人にいきなりお金の事を尋ねるだなんて……礼儀を逸してるにも程があると思わない?」
沙紀「僕はそう言う男ですよ。あなたはそれをよくご存知のはずですがね。」
保奈美「………っ………………」
沙紀「だいたい、男から金を引き出そうと、ご自身の魅力を武器としてやって来られるような女性に礼儀について説かれたくはありませんねぇ。」
保奈美「……っ……!(…堪えろ……堪えるのよ………私がここでこの男の頬を張ったら全てが終わってしまう……!)」
沙紀「………………おや…?」
保奈美「…………………………」
沙紀「平手が飛んでくるかと思って身構えていたのですが………どうしたんです、スカーレット?」
保奈美「………………………………」
沙紀「何故言い返して来ないんです?…あなたが躍起になって言い返してくる姿が僕は好きだったのに。」
保奈美「…………………………」
沙紀「何故黙り込まれているのです?
…いつでも火のような勢いで突っかかってくるあなたを僕は気に入っていたのに。」
保奈美「………………………」
沙紀「……………………」
保奈美「……あんたを平手打ちなんかしたら、衛兵がすっ飛んできて私は摘み出されてしまうんでしょう……」
沙紀「もし衛兵さえ居なければ?」
保奈美「……聞くまでの事?」
沙紀「おお、怖い!ヘンリーに感謝しなくてはならないようですね。…ふふっ…………」
保奈美「…………………………」
沙紀「あんたは本当に正直な人間だ。…正直ついでに最初の質問に対する正直な答えもいただけませんか?……あなたは金に困っておられる、違いますか?」
保奈美「…………もし…そうだって言ったら……?」
沙紀「その様な中で、男を誑かすための準備をそれだけ整えて来られたあんたに感心します。」
保奈美「…………つ………!」
沙紀「で、結局のところどうなのです?」
保奈美「…ええ…!とても困っているわ!…あんたの言う通りお金のためにここまで来たのよ!」
沙紀「ふふっ……ははははははは!はぁ……実に清々しい答えだ、感動さえ覚える!」
保奈美「………………………………」
沙紀「あなたの様に、正直にハッキリと真の目的を仰られる方は他にはおられませんでした!はははははは…!あんたは最高だ!」
保奈美「……………………」
沙紀「『何を仰られるの?』とか、『あなたを愛しているからよ。』とかあんたは言わなかった!はぁ……はぁ……これだけでも実に愉快だ!」
保奈美「……最初からバレてるなら、隠す理由が無いわ。」
沙紀「そうなんですよ。しかしね、誰もそれを分かっちゃくれていなかった。」
保奈美「………………………………」
沙紀「下手な演技なぞしないで最初から金が目当てだと言ってくれていれば、僕もその度に傷付き失望せずに済んだと言うのに。」
保奈美「…………………………」
沙紀「さあ、仰りなさい。幾ら入用なのです?」
保奈美「…………300ドルよ…」
沙紀「300ドルですか。ほう、それは大金だ!」
保奈美「>>133」
仕方ないじゃない……北部の連中が悪いのよ
保奈美「仕方ないじゃない……北部の連中が悪いのよ…」
沙紀「ほうほう、北部の連中があなたに何をしたって言うんです?」
保奈美「うちに税金をかけたのよ!それで、税金が払えなければタラを盗られてしまうの!」
沙紀「そりゃあ当たり前の事じゃありませんか。税金を払えないんなら当然だ。で、その税金が幾らなんです?」
保奈美「今言ったばっかりでしょ!300ドルよ!」
沙紀「何と!こいつは驚いた、まさか税金だけで300ドルとは。」
保奈美「…バトラー、真面目に聞いてるちょうだい!こっちは真剣に話してるのよ!」
沙紀「僕はいつだって真面目ですよ。あなたからはそう見ていただけないのは、悲しい事ですね。」
保奈美「黙りなさい!……とにかく税金が払えないと困るのよ。300ドルぐらいあなたには大した金額じゃないでしょ?!」
沙紀「ある意味ではそうですし、ある意味ではそうではありませんね。」
保奈美「人をからかうのもいい加減にして!」
沙紀「そう声を荒げてはいけません。部屋の外で待機している友人たちに聞かれてしまいますよ?」
保奈美「…………っ………!」
沙紀「……それにしても……昔はお金には困っていないと豪語していたあなたがねぇ…………いやはや、タラ農園はそれだけの収穫も得られない様な状況なのですか?」
保奈美「その日の食べ物にも困っていたぐらいよ……北軍が食べ物を全部奪った上で、畑を荒らし、仕上げに倉庫にしまってあった綿花に火を放って行ったんですもの……!」
沙紀「…それはそれは………………」
保奈美「毎日言い表せないぐらい悲惨で……お父さんはお母さんが死んでからすっかりおかしくなってしまって………………でも………それでも…………みんなで必死に頑張って明るい兆しが見えてきた…………そんな時に………………」
沙紀「……………………………」
保奈美「あなたには分からないでしょう?!飢えがどれだけ苦しいか……………」
沙紀「いえ、よく分かりますよ。僕も戦場で散々飢えてきましたから。聞いていただけますか?大義の為に軍隊に馳せ参じた結果を?」
保奈美「あなたはの場合は自業自得でしょう!」
沙紀「自業自得!正にそうですね。何故僕は着の身着のままで軍隊に参加しようとなんて思ったのでしょう!」
保奈美「知らないわよ、どうかしてたのよ!」
沙紀「返す言葉もありません。僕はどうかしていたんですよ。いえ、僕も南部人だったと言う事でしょう。何にせよ、僕はその無謀は酷い罵詈雑言と平手打ちで報われました。」
保奈美「ハッ、いい気味だわ。ついでに戦死して来てくれれば言う事はなかったのに。」
沙紀「はははははは!だとしたら、あんたは今頃刑務所ではなく墓地に無心に行かねばならなくなっていましたよ。」
保奈美「…………………っ……」
沙紀「不幸自慢は互いに止めましょう。こんな非生産的な事はなかなかありゃしない。あなただって、そんな事に時間は使いたくないでしょう?」
保奈美「…………………………」
沙紀「事務的に行きましょうよ。愛のない僕らの取り引きは事務的であるべきだ。あなたは僕から300ドル引き出したい。よろしい、どんな見返り担保をお出しになりますか?」
保奈美「見返り……何ですって…?」
沙紀「見返り担保です。僕の投資に対する信頼の証です。僕は凡そ取り引きと名のつくもので損はしたくないのですよ。」
保奈美「……私の耳飾りではどう?」
沙紀「耳飾りなんぞに興味はありませんな。」
保奈美「では、タラを抵当にするわ。……良い農園よ。来年の綿花の収穫で返すわ。」
沙紀「そいつは当てになりませんね。綿花の値段は下がりつつありますし、金融期間はどこも長いバカンス中だ。」
保奈美「…バトラー……!お願いよ……あなただけが頼りなのよ……」
沙紀「猫みたいにしおらしくしたって駄目ですよ?僕はあんたが本当は獅子だと知ってるんだ。」
保奈美「………じゃあ、何ならいいのよ……?!」
沙紀「ふむ……例えば、あなたご自身などですかね。あなたが僕の物になると言うなら、300ドルぐらいは払っても損はしない。」
保奈美「私に…あなたと結婚しろと………?」
沙紀「何を仰っているのです?僕は結婚だなんて一言も言っていませんよ?」
保奈美「じゃあ……………」
沙紀「>>141」
それをあなたが望むなら、考えてやらないこともないですがね?
沙紀「それをあなたが望むなら、考えてやらないこともないですがね?」
保奈美「……まぁ……け、汚らわしい…!よくもまあそんな事を口に………!」
沙紀「どう思っていただこうがあなたの勝手です。ただ、僕はその条件以外は飲むつもりはありませんな。」
保奈美「…………っ……!」キッ!
沙紀「良い目ですね。ふふっ……恐れを知らない勇敢な瞳………」
保奈美「…………………………」
沙紀「ますます手に入れたくなってきました。」
保奈美(何と卑劣で汚らわしくて最悪何と男だろう!…こんな要求をよくもまあ…………!)
沙紀「……………………………」
保奈美(……………………でも………)
沙紀「……………………………」
保奈美「……………………………」
沙紀「さあ、答えをください。」
保奈美「………ちゃんと……300ドル貸してくれるのよね……?」
沙紀「…………………………」
保奈美「…………………………」
保奈美「……分かったわ……その話を………受けましょう………っ…………」
沙紀「……ほう………受けますか………ふむ……………」
保奈美「……………………………」
沙紀「……まさか本当に受けられてしまうとは………意外や意外……」
保奈美「……あなたが言った事でしょう!」
沙紀「……いや……平手打ちを待っていたもので………………了承していただけて大変嬉しいのですが……あなたに一つ謝らねばならぬようです。」
保奈美「……何よ………?」
沙紀「………………………………」
都内 留置場
愛海P「………………………」
愛海P「……ここに来てかぁ………慣れちゃいるけどタイミングがなぁ…………はぁ……………」
愛海P「いつもだったら大歓迎なんだけど…………今回は間に合うかどうか…………」
愛海P「……………………………」
愛海P「……監禁プレイってレベル高いよな………まったく、俺じゃなきゃ………………」
カツンカツンカツンカツン…
愛海P「………ん?」
警察署
署長「この度は誠に申し訳ありませんでした…!完全にこちらに非があります!謝って済む問題で無いのは理解しておりますが………」
愛海P「いえいえ、謝らないでください。もう慣れてますから。」
署長「慣れて……?!以前にもこのような事が…………」
愛海P「あー……そう言う意味じゃなくてですね……………」
署長「ああ………えっと………君、何て事をしてくれたんだ?!」
婦警「あ……え、えっと……………す、す、すみませんでした……!」
署長「謝って済む問題か!」
愛海P「あー………あの…(こう言うのは唆らないんだよ……)」
署長「痴漢と痴漢を捕まえた方を間違う奴があるか?!」
婦警「す、すみません!…でも……誰がどう見ても間違……………」
署長「言い訳をするな!善良たる市民の方に肉体的、及び精神的な………」
愛海P「大丈夫です。署長さん、全然気にしてませんから。むしろご褒……ゴホゴホッ……あの、とにかく大丈夫ですから。」
署長「し、しかしですね………」
愛海P「>>148」
とにかく気にしないでください。次から間違われないように気をつけますので。
安価把握
一時中断します
再開します
愛海P「とにかく気にしないでください。次から間違われないように気をつけますので。」
署長「気にしないと言うわけには行きません!恩を仇で返すような真似をしてしまったばかりか………」
愛海P「いいんですって、本当!(婦警さんに逮捕されるのって興奮するし。)」
署長「いいえ、良いというわけにも…………」
婦警「す、すみませんでした…!」
ペコッ
愛海P(婦警さんって何でこんなエロいんだろうなぁ………)
愛海P「(………じゃなかった…!)間違いは誰にだってあります。ですから……ね…?」
婦警「いえ、話もちゃんと聞かなかった私に責任が…………」
愛海P「次から気をつけてくれれ構いませんよ。あの……俺急いでるんで……………」
署長「も、申し訳ありませんでした!お仕事が出来なかった分の補償はさせて…………」
愛海P「ああ……そうじゃなくて………!」
署長「気が済まれないのも分かります。勿論そこのにも責任は取らせますので………」
愛海P(責任を……取る……だと……)
婦警「えっ……あっ………わ、私………………」
署長「君の引き起こした問題だ、君も責任をとれ!」
愛海P(うわぁ……この展開って実在したのかぁ………)
婦警「……うう……………」
署長「……………………………」
婦警「わ、分かりました……責任を取らさせていただきます……」
愛海P(これなんてエロ同人……?)
婦警「……えっと………その………責任の取り方とかよく分からないんですが……………」
署長「そんな物は決まってるだろ!………すみません…………」
愛海P「あ、はい………(…マジか……マジなのか………)」
署長「無論私も責任は取る。」
愛海P「………えっ…………」
署長「………これで……とは申しませんが………………」
愛海P(ごめん……愛海………俺はエロ漫画の読みすぎで死ぬみたいだ………)
アトランタ 通り
保奈美「……………」 トボ……トボ……
保奈美(……なんという事でしょう…………お金を用意する事が…出来なかった………………)トボ……トボ……
保奈美(…じきにタラは……北部の利権屋の手にでも渡ってしまう…………)
トボ……トボ……
保奈美(………………………………)
トボ……トボ……
保奈美「………終わりよ………何も……かも……………」
トボ……トボ……
保奈美「………………………………」
トボ……トボ……
保奈美(……タラ………私のタラ…………………)
保奈美(……バトラーさえ……バトラーさえ…………バトラーさえ……お金を貸してくれていれば………………)
〜〜〜
沙紀「残念ながら僕は今は手元には1セントも持ち合わせてはいないのですよ。僕は全財産をある場所に預けてあるので。ああ、もちろん場所は言えませんよ?」
〜〜〜
保奈美「…………っ……!」ギリッ…
保奈美(……1セントも持ち合わせていないなんて……嘘っぱちに決まっているわ……!あの男に限ってそんな訳はない………!)
保奈美(…ああ………早くあの男が絞首刑になってくれますように………!)
保奈美「………はぁ………これから一体どうすればいいのよ……………」
ガタガタガタガタ……ガタ
保奈美(………馬車が来た……きっと北部の連中のだ……脇に避けないと………………)
愛海「……もしかして……スカーレットさんじゃありませんか?」
保奈美「………!……そのお声は……ケネディさん……?」
愛海「やっぱりスカーレットさんだ!どうしたんです、こんなところで?!」
保奈美「……少し………色々あったんです……………」
愛海「>>159」
一体何が……
愛海「…一体何が………?」
保奈美「……………………」ジワ………
愛海「あわわわわ…!な、泣かないでください、訊きませんから…!」
保奈美「…………………………」
愛海「……え、ええっと…………」
ポタ……ポタ……ポタポタポタポタ………
愛海「…………あっ………と、とりあえず雨が降って来たから……私の馬車に乗ってください……!女の人が雨に濡れてちゃったら大変だよ!」
保奈美「……………………………」
馬車 車内
ガタガタガタガタ
愛海「……………………………」
保奈美「…………………」
愛海「……あー……え、えっと……………………」
保奈美「………………………………」
愛海「……………あ……………」
保奈美「…………………………」
愛海「………………………………」
ガタガタガタガタ……
愛海「………………」グッ…!
愛海「…スカーレットさん、あの……!」
保奈美「……北軍の士官に……内職で作った刺繍を売りに行って居たんです…………(…………………)」
愛海「北軍に……?!…なるほど……だから刑務所なんかの近くに……あそこには北軍の司令部がありますからね………そこに行っていたんですよね……?」
保奈美「……ええ………(…そうだったんだ……………)」
愛海「………またどうして……………?」
保奈美「……………………………」
愛海「…………………………」
保奈美「(…嘘を上手くつくコツは……正しい事も混ぜる事……)………ケネディさんは父の事は知っておられると思いますが……………父はもう………ずっとあのままなんです…………」
愛海「……?!……てっきり私は………ショックで疲れてしまっているだけで…しばらくしたら治るものだと………………」
保奈美「……私も……そう思っていたんです………………でも………………………………」
愛海「………………………………」
保奈美「……ですから………私が…家族全員を養っていかなければならなくて…………そのために………少しでもお金を稼ごうと思って…………」
愛海「………………スカーレットさんともあろう人が………そんな…………北軍相手に針子の真似をしなくちゃいけないなんて……………」
保奈美「…………………………」
愛海「…………すみません………えっと…………その………………」
保奈美「……いいえ……………」
愛海「………………………………」
保奈美(……ケネディに馬車でピティパット叔母さんの家まで送ってもらおう…………そして………ん……?…馬車……………)
愛海(…………………………………)
保奈美「……ねえ、ケネディさん………もしかしてこの馬車はご自分でお買いになられたの……?」
愛海「………………え、ええ………まあ…………」
保奈美「………………………………」
保奈美「(……ケネディは馬車を持っている………よく見れば身なりも良い………………)……一昨年のクリスマスには……その…………一文無しと仰られておりませんでしたか…………?」
愛海「…………あー…………これには話せば長い訳があるんです…………」
保奈美「………聞かせていただけませんか…………?……その……少しでも明るい話が聞きたいんです…………ケネディさんが成功されるお話とか……………………」
愛海「…………………………」
保奈美「…………………………」
愛海「……少し長くなるけど…………いいですか…………?」
保奈美「…………はい………」
〜〜〜
愛海「…………と、言うわけです。」
保奈美「……そんな事が…………」
愛海「…私はそうやって作ったお金を元手にして店を作りました。それが、そこそこ繁盛してるんです。景気が良くなればもっとお金が儲かると……あっ……失敬……ご婦人は…………」
保奈美「…今、お金を儲けたと……仰られたんですか………?」
愛海「…大したものじゃありませんが、今年は千ドル儲けました。……と言ってもその半分の500ドルは品物を買ったり、店を直したりで使ってしまったんですが……それでも500ドルは残りました。」
保奈美「……………………………」
愛海「来年には新しい仕事を始める事も考えています。」
保奈美「……新しい仕事……?」
愛海「製材所です。製材所って言うのは、家を建てるのに使う木材を作る工場なんですが……それが偶然な事に、近々手に入るんです。…製材所を持ってるって言うのは、金鉱を持ってるのと同じです。家を北軍がみんな焼いちゃったから、どこでもみんな家を建てるのに熱中しています。そこへもってきて、木材って言うのは今不足していて………………あっ…………すみません…………」
保奈美「……いえ…………(……フランクはお金を持っている……… フランクからお金を……………………………!…いや……待って……チャールズと結婚した時は……チャールズの財産は全て私のものになったわ…………)」
愛海「……………………」
保奈美「>>170」
その仕事の件、私にも詳しく聞かせてくれない?
保奈美「その仕事の件、私にも詳しく聞かせてもらえませんか…?」
愛海「いやいや、スカーレットさんの興味を引けるような話じゃありませ…………」
保奈美「確かに……商売の話だとかそう言うのには興味がありませんわ。……ただ、あなたの商売の話となれば別なんです。」
愛海「えっ……?!えっと……それは……………」
保奈美「あなたと少しでも長く話がしていたいんです。…成功されている男の人って、何だか魅力的に見えませんか?」
愛海「………………………………」
保奈美「……私、あなたのお話にとっても興味があるんです。」ギュッ
愛海「?!」
保奈美「…………………………」
愛海「……う、腕に抱きつかれると………(お山!お山!お山!)」
保奈美「……どうかされましたか……?」
愛海「……あ……え……あ……そ、その………………」
保奈美「…………?」
愛海「……な、な、何でもない…………です………………」
保奈美「外が寒かったものですから……すっかり冷えてしまって………………」ギュウウウ……
愛海「そ、そ、そうですか………!」
保奈美「ええ。(……さて…………)」
愛海「………あの……少しくっつきすぎでは…………?」
保奈美「えっと……お嫌…でしたか?」
愛海「……い、嫌では……ないですけど………………」
保奈美「…………………………」
愛海(……プロデューサー……帰ってきたら、ちゃんとあたしの登山記録を聞かせてあげるからね………)
保奈美「ケネディさん……?」
愛海「は、は、は、はい……!(…プロデューサーはいつだって帰って来るんだから……あたしはそれを待つだけ。)」
保奈美「…商売のお話を聞かせてくださいませんか?」
愛海「あ、はい……は、話します……!え、えっと………まずは…私の店の話からが……いいですかね……?」
保奈美「ええ、お願いします。」
愛海「わ、分かりました……ごほん………ええ……私の店なんですが…………」
〜〜〜
愛海「………と、言うわけなのですが……………」
保奈美(…バトラーとは比べるまでもないけど………これはちょっとした一財産ね………)
愛海「えっと……なるべく分かりやすく説明したつもりなんですが………」
保奈美「そうですね……商売の事はあまり知らなかったんですが、ケネディさんの説明のおかげで、大分理解することが出来ましたわ。」
愛海「それは良かった………」
保奈美「……………………………」
保奈美(…ケネディは例の約束を律儀に守るために懸命に金を稼いでいる。……このままいけばケネディの財産はスエレンの物になってしまう。)
保奈美(…あの愚痴ばかりこぼしている不平娘のどこが良いんだろうか……いえ、スエレンは愛情のある夫や、財産を持つのに値する女ではない。)
保奈美(……わずかな金でも自由に使えるようになった日には、自分が踏ん反り返るためだけに使って、タラには1セントだって出さないに決まっている…………)
保奈美(…………………………)
保奈美(………やはり、タラを守るために取るべき手段は一つしかない。)
愛海「……スエレンとの約束を果たすために頑張ってきた結果です。」
保奈美「………ケネディさん……そのスエレンについてですが…………聞いてもらいたい話があるんです……」
愛海「……?」
保奈美「…………………………」
夜 スカーレットの寝室
保奈美「………………♪」
保奈美「…タラは安泰だわ…!ふふっ……ふふ……あははははは……!……ケネディが愚かで助かったわ!」
保奈美「……スエレンには悪い事を…………別にいいか。そんな事はどうだっていいわね。」
菜々「上手くやったものですね、スカーレット嬢様。マミーは感心しました。」
保奈美「あなたは私のやり方を非難しないのね?」
菜々「何故非難しなきゃいけないんです?私はエレン様の愛されたタラを何よりも愛しているんですよ。」
保奈美「道徳を破る悪い娘の行いを黙って見過ごすのはいいの?」
菜々「>>178」
……ならスカーレット嬢様は私が言って止めましたか?
すみません……昨晩は寝落ちをしてしまいました………
昔は夜更かしが平気だったのに…………
再開します
菜々「……ならスカーレット嬢様は私が言って止めましたか?」
保奈美「………止めなかったでしょうね。他にどうしようもなかったんですもの。」
菜々「つまりはそう言う事です。他にやり方があったなら、無駄と知りつつ反対していたかもしれませんがね。」
保奈美「…………………………」
菜々「諄いようですが、スカーレット嬢様は人に言われたところで自分の考えを絶対に変えたりはしないんですから。」
保奈美「…………………………」
菜々「道徳だとか良心だとか、そんなのを持ち出せば幾らでも責め立てられますが……スカーレット嬢様にしてみれば、そんなの痛くも痒くもないのでしょう?」
保奈美「…………まあね。そんな事を怖がっていたら、ここまでやって来られなかったわ。」
菜々「でしょうね。もしいちいち責め立てていたら、今頃私の方が倒れていてしまったでしょう。」
保奈美「…………フン……」
菜々「何せスカーレット嬢様は………………」
保奈美「……私が頑固なのはよく分かったわよ。そう何回も言わなくていいわ。」
菜々「…………そうですか。」
保奈美「…はぁ……………良心なんて物は、守ってても飢える心配のないような人間だけが守っていればいいのよ。」
菜々「……………………」
保奈美「信仰も、規則も、習慣も、義務も、品性も……守っていては飢え死にしてしまうわ。」
菜々「…………………………」
保奈美「だから……私はもうどれ一つ守ってやるつもりはないわ。……これを聞いても、私を非難しようとは思わない?」
菜々「思いません。」
保奈美「それは……私が言ったところでどうせ聞きやしないから?」
菜々「はい。分かってらっしゃるなら一々聞かないでください。」
保奈美「……………(…あっ……はっきり分かった…マミーは迷信好きの年寄りなんかじゃない……むしろ逆だ…)」
菜々「………………………… 」
保奈美(…私か……私以上に現実しか見ない人間なんだ……常に冷静にタラの利益になるように考えている……今までマナーなんかに煩かったのも………………)
菜々「ああ、そうそう。ケネディ様にはスエレン様の事をどう仰られ他の聴かせてください。」
保奈美「………………………………」
菜々「……スカーレット嬢様。」
保奈美「……あっ……え、ええ…………」
菜々「大芝居が終わって気を抜きたくなる気持ちは分かりますがね、まだ油断するには少しだけ早いです。……さあ、何と仰られたんですか?」
保奈美「……スエレンは心変わりをして、フォンティン家のトニーと結婚してしまった、って……」
菜々「………詰めが甘いですねぇ……もう少し上手い嘘はつけなかったんですが?手紙で確認されたらすぐにばれてしまうじゃありませんか。」
保奈美「……っ……そ、その時は上手い嘘だと思ったのよ……」
菜々「……はぁ…………これは結婚までケネディ様に嘘を誠と信じこませないといけませんねぇ……………分かりました、私が適当にその噂をばら撒いておいて差し上げます。」
保奈美「…………マミー………!」
菜々「スエレン様は筆不精ですから、手紙なんかよこさないでしょう。可能性があるとしたらウィル様ぐらいですが、ウィル様はスカーレット嬢様の味方でしょう。」
保奈美「………ええ………」
菜々「スカーレット嬢様は、ケネディ様がタラに手紙なんかよこさないように上手くやってください。そうしてさえしまえば、あとは噂話が全てになります。」
保奈美「………………ええ…………」
菜々「安心してください。ちゃんと出処は分からないようにしますから。…………何か…?」
保奈美「………あなたって…本当は私より遥かに悪知恵が働くのねって思って。」
菜々「年寄りの知恵と言うものです。」
保奈美「………あなたは若い頃は何をしていたの……?」
菜々「スカーレット嬢様が知る必要はありませんよ。ほら、今日のところはそのまま毛布を被って寝てしまってください。」
保奈美「…………………………」
菜々「気丈に振る舞えているつもりでしょうが、顔色が真っ青ですよ。…よほど神経をすり減らしたんでしょうね。」
保奈美「……………え……?」
菜々「>>187」
そこの手鏡を見てごらんなさい
菜々「そこの手鏡を見てごらんなさい。」
保奈美「…………」チラ
保奈美「………………!」
菜々「はぁ……いいですか?あなたが幾ら強がってみせても、あなたはまだ若くてか弱い小娘なんですから。」
保奈美「…………………………」
菜々「気付け用のブランデーは必要ですか?必要ならば用意しますが。」
保奈美「………………………………」
菜々「………………………………」
保奈美「………気付かなかった……………………」
菜々「それだけ意識がよそに向いていたと言う事でしょう。ブランデーは必要ですか?」
保奈美「…………も、持ってきて……今になって……何だか体が震えてきたわ……」
菜々「分かりました。温めたのを用意しましょう。待つのが嫌なら温めずに持って来ますが?」
保奈美「……いえ、温めたのを持って来てちょうだい。温かいのじゃないと……飲めそうにないわ……」
菜々「分かりました。温かいブランデーですね。」
保奈美「…………………………」
菜々「お疲れ様でした、スカーレット嬢様。あなたのおかげでタラは無事に済みそうです。」
保奈美「…………………………」
菜々「…………では…」スク
保奈美「……マミー、あなたが一緒に来てくれて……良かったわ……」
菜々「そう思ってついてきたんですから当たり前です。スカーレット嬢様1人に何もかもさせる訳にはいきませんからね。」
保奈美「…………………………」
二週間後 ピティパット叔母の家
瑛梨華「おめでとうございます、ケネディさん……ぐすっ…………スカーレットを幸せにしてあげてくださいね…………」
愛海「はい、任せてください!」
保奈美「…………………………」
瑛梨華「……スカーレットも幸せにね…………」
保奈美「……ええ、私は今とても幸せだわ。……ありがとう……フランク……」
愛海「うひひ……そ、そんなぁ…………うひひひひ…………」///
保奈美(ここまでの二週間の何と長かった事だろう…!)
瑛梨華「……でも……よかったんですか?…結婚式を挙げるのが私の家なんかで…………」
愛海「それがですねぇ…スカーレットさ……スカーレットが結婚式はなるべく静かにやりたいって言うもんですから…………ねえ、スカーレット…?」
保奈美「……ええ……あまりあなたとの時間を……他の人に渡したくないもの……(…人を集めるのは危険だもの。)」
愛海「うひひひひ………と言ってくれるものですから……そりゃ……妻の意向は大切にしなきゃなりませんよ……………」
瑛梨華「はぁ…………そうでしたかぁ………ふふっ………スカーレットはわがままですねぇ…………」
保奈美「…………………………」
愛海「まあ……女性はわがままなぐらいが可愛いと言うか………ワガママなのは大歓迎と言いますか…………うひひ………………」
保奈美「それってどう言う意味ですか?」ギュッ
愛海「おほっ……!……スカーレットが可愛いって意味だよ…!うひ……うひひひひひひ…………」
保奈美「もう…………(…操縦が簡単で助かるわ。…ちょいと体を押し付けておけば済むんですもの。)」
愛海「うひ……うひ……うひひひひひひひひ……」
瑛梨華「あらあら…………」
翌日 ケネディの家
愛海(うひひ………とうとうスカーレットさんと夫婦になれた…!夫婦って事はもうあれやこれや…………うひ…………うひひひひひ……!)
愛海(………………スエレンに裏切られたの……すごく…………ショックだったけど…………………………)
愛海(……………………………………)
愛海(……そんな私をスカーレットさんは、一生懸命慰めてくれたし………スカーレットさんが居なければ…………………………)
愛海(……過ぎた事は考えずに、これからはスカーレットさんを幸せにする事だけを考えていこう…………うん、幸せにして、私も幸せになって……うひ…………うひひひひひ…………)
保奈美「……ねえ……フランク。……少しあなたにお話があるの……」
愛海「うひひ……何でも言いなさい、スカーレット!」
保奈美「(………………)…実は…………」
〜〜〜
愛海「タラを守るのに300ドルが必要…………?!」
保奈美「ええ……その…………あなたしか頼れる人が思い付かなくて………………」
愛海「……むむむ……300ドル……300ドル………300ドル渡すと製材所が買えなく………………」
保奈美「……………ぐすっ……………」ポロ……ポロ…
愛海「…!あっ……いや…………そ、その……………………」
保奈美「……お願い……私と……私の家族を………助けて…」ポロ……ポロ…
愛海「>>196」
せ、製材所が軌道に乗れば300ドルくらいすぐ作れると思うから……
愛海「せ、製材所が軌道に乗れば300ドルくらいすぐ作れると思うから……」
保奈美「今すぐ必要なの…………」
ポロ……ポロ…
愛海「……うう………も、もう少しだけ待ってさえくれれば………………」
保奈美「…それまでに……私の家族は家から追い出されて……寒空の下で過ごさないといけなくなってしまうわ…………」ポロ……ポロ…
愛海「………むぅ…………………」
保奈美「…タラを奪われてしまったら…………私…………私………………」ポロ……ポロ…
愛海「…………ううむ……………」
保奈美「……フランク………」
ポロ……ポロ…
愛海「…………(……自分の商売の製材所と……スカーレットの涙………どっちが価値があるだろうか…………)」
保奈美「………………………」
ポロ……ポロ…
愛海(…300ドル渡せば、スカーレットの家族を助けてあげられる………ああ……そう言えばあの日の夜の恩をまだ返してないじゃん………!)
保奈美「………ぐすっ……………」
ポロ……ポロ…
愛海(……迷う必要がある……?……お金なんて……また稼げばいいだけじゃん………!………………………)
保奈美(一も二もなく貸してくれると思ったのに……意外と考えているのね…………)
愛海「……………………………」
保奈美(……まあ……どうせじきに……………)
愛海「……分かったよ、スカーレット………300ドルでいいんだね……?」
保奈美「………ええ…………(ほら来た………)」
愛海「……製材所はしばらく諦めるよ。……スカーレットの涙に比べれば安いものさ………」
保奈美「まあ………!(計画通り)」
愛海「……うん……300ドルなんか大した事ないよ……これでスカーレットの家族の皆さんへの恩を返せるとしたら………」
保奈美「ありがとう、フランク!」
ダキッ!
愛海「わわっ……?!」
保奈美「……ありがとう………ありがとう………あなたは世界一……優しい人だわ………」
愛海「…………気にしないで……」
保奈美「……ありがとう……ありがとう…………(……本人はともかく……お金を出してくれた事には感謝しないとね………)」
愛海「………………(……これはこれで有意義なお金の使い方……だったかな……)」
一週間後 スカーレットの部屋
保奈美「……お金は?」
菜々「無事にタラまで届けてきました。その後の事は全部ウィル様が上手くやってくれました。…もう心配は要りませんよ。」
保奈美「……………!」
菜々「タラは今後はもう、誰からも盗られるような心配はないそうです。」
保奈美「………そう…………よかったぁ…………」
菜々「……はい…………」
保奈美「………はぁ……………これでもう、タラが奪われるかもしれないって……怯えなくてすむ…………」
菜々「………その代わりスカーレット嬢様はアトランタに縛り付けられてしまいましたが……………」
保奈美「……それは……寂しい事だけれど………しかたがないわ……………タラの為だもの………」
菜々「……そうですか。」
保奈美「…………………………」
菜々「せめて私はスカーレット嬢様の元にいますからね。」
保奈美「………ありがとう……」
菜々「………ついでに、ウェード坊ちゃんも連れて来ましたし、あなたの結婚の事もお教えして来ましたよ。」
保奈美「………そう…」
菜々「それと、手紙も預かって来ましたが…………」
保奈美「要らないわ。どうせ預かって来た手紙っていうのは、スエレンからの私への恨みや憎しみを書き連ねた手紙でしょう?」
菜々「それもありますね。」
保奈美「>>205」
(スエレン……聞こえていたら、あなたの生まれの不幸を呪うがいいわ。あなたはいい妹だったけど、あなたがあの男を好きになったりするからいけないのよ……)
安価把握
一時中断します
千里の道も一歩から
再開します
保奈美(スエレン……聞こえていたら、あなたの生まれの不幸を呪うがいいわ。あなたはいい妹だったけど、あなたがあの男を好きになったりするからいけないのよ……)
菜々「…………………………」
保奈美「ふふっ………あははははははは!タラが安全になった事に比べればそんな事……!」
菜々「返事はどうしますか?」
保奈美「出したところで、差出人のところに私の名前が書いてあるのを読み取った瞬間に破り棄てられるだけよ。……返さなくていいわ。」
菜々「分かりました。」
保奈美「かわいそうと思わない訳じゃないわ……ただ、お嬢ちゃんだったのよ。」
保奈美「それで、手紙って言うのはスエレンからの恨み節だけ?」
菜々「ウィル様からも来ています。」
保奈美「(アシュレからは無いのね…)…何て?」
菜々「あなたの行いを祝福し、これからに幸あらん事を願う。……と定型文で書いてあります。」
保奈美「…………ウィルは全部分かった上で、非難もしなければ賞賛もしない。……そう言う意味にとっていいのかしら?」
菜々「それはあなたの受け取り方次第ですね。……おそらくはそう言う意味だと思いますが。」
保奈美「……他の人は私の事をなんて言ってた?」
菜々「そう言う事に関してとやかく言うような人間があの屋敷に他にいるとでも?」
保奈美「それもそうね……と、言う事はスエレンは周りから同意を得る事が出来ずに、余計に怒り猛っていたのでしょうね。」
菜々「スエレン様に同情しますか?」
保奈美「別に。…スエレンだって私に同情なんかされたら、それこそ手がつけられなくなるでしょうから。」
菜々「……同意ですね。」
保奈美「悪い事をしたとは思うけど、ただそれだけ。今の私はフランク・ケネディ夫人。それ以上でも、それ以下でもないわ。」
菜々「……………………………」
保奈美「……人々は私の噂をしている?」
菜々「もう問題は無いでしょう?」
保奈美「そうね、今さら誰から何と言われようと大した問題じゃないわ。評判なんて怖くはないわ。」
菜々「評判が怖くないご婦人とは敵無しですね。」
保奈美「ええ、もう何も怖くなくなったのよ。」
二週間後 寝室
愛海「ゴホンゴホン…!……うう…………」
菜々「大丈夫ですか、フランク様。今タオルを替えて差し上げますからね。」
愛海「あ、ありが……ゴホッゴホッ……!………ここに来て流行りの感冒で寝込………ゴホッゴホッ……!」
菜々「風邪は人を選びませんからね。誰だって寝込む事ぐらいあります。」
愛海「…で、でも………もう一週間も…………ゴホッゴホッ……!……店の方が………………」
菜々「店ならスカーレット嬢様が様子を見に行かれたので安心してください。」
愛海「……うう……………………」
保奈美(それにしても散らかった店ねぇ………少しだけでも品物の埃を払って整理したら、もっと早く色んな物が売れるでしょうに…………)
保奈美(……さて、考えるのはこれぐらいにして…………)
会計簿「………………」
保奈美(さっさと用事を済ませてしまいましょう。…きっとたくさんの問題があるだろうから、それについて考える時間もたくさん居るだろうし。)
保奈美「………ふぅ……………………」
会計簿「………………………」
保奈美「…さてと…………」ペラ……
〜〜〜
保奈美「はぁ…………想像以上だったわ…………まさかこんなにフランクに経営の才能がなかっただなんて………………」
保奈美「…ツケにしてあるだけで500ドル……これを回収するだけで製材所が買えるじゃない…!」
保奈美「…しかも、相手はメリウェザー家やらエルシング家やら……聞いたような名前もたくさん………この人たちに支払い能力がないはずはない……フランクが厳しく言わないばっかりに………………」
保奈美「…………………………」
保奈美「フランクはこの調子で製材所の経営もするつもりなんだろうか……?…だとしたら、きっと一ヶ月も経たずに工場を競売にかけられてしまうでしょうね。」
保奈美「>>215」
いっそのこと工場を売るか……
連中には教えてやる必要があるわね……一方的に殴られる痛さと怖さというものを……
保奈美「連中には教えてやる必要があるわね……一方的に殴られる痛さと怖さというものを……」
保奈美「……………………………」
保奈美「…フランクはそう……舐められているんだわ………まあ、フランクなんかにメリウェザー夫人たちの相手をするってのが無理な話なんでしょうけど。」
保奈美「…それを良い事に………不愉快だわ……自分たちだけ代価を支払わなくても済むつもりで居るだなんて。」
保奈美「…そんな奴らは修正してやる…!」
保奈美「……私がフランクと同じように甘い人間だと思わない事ね。……ふふ………化け猫ばばあたちに復讐する機会まで巡ってきたようだわ……」
保奈美「戦前には散々威張り散らしてきた上に、好き勝手言ってくれたわよね…………まさか戦後も立場が変わってないとは思っていないわよねぇ…………」
保奈美「…私は奪われる体験を数え切れないほどしてきた……その一端だけでも味わうといいわ……」
保奈美「……私は知っているのよ……あんたたちがまだ、銀器や宝石や不動産を持っているって………」
保奈美「現金が無いと言うなら、それらで払ってもらうだけよ……ふふふ……支払いが出来ない、は私には通用しないわよ。」
保奈美「………フランクはこの考えを話したら嘸かし嘆き悲しむでしょうね。知人から財産を取り上げるのか、とか言って。」
保奈美「……………………………」
保奈美「…フン…フランク、目の前の現実も見れない男が。……好きなだけ私に反対して唸るがいいわ。……今ひつよなのはくだらない友情なんかじゃなくてお金なんだから。」
保奈美「そう……必要なのはお金よ。お金さえあれば製材所が買える、製材所が買えればもっと多くのお金が……でも、それはフランクに任せていては不可能よ…………」
保奈美「………………………」
保奈美「…そうだわ……!私が自分で製材所を経営すればいいんじゃない……どうしてこれを思いつかなかったんだろう……」
保奈美「自分で経営すれば、製材所の利益は私自身の物になる。……自分で稼いだお金………男に媚びなくても好きにできるお金…………!」
保奈美「私なら必ず上手くやれる……!ウィルが来るまでタラ農園の経営だって1人で立派に出来ていたじゃない……!」
保奈美「女は商売なんかすべきじゃない、フンッ!そんな事知るもんか!」
>>220 訂正
保奈美「…フン…フランク、目の前の現実も見れない男が。……好きなだけ私に反対して唸るがいいわ。……今必要なのはくだらない友情なんかじゃなくてお金なんだから。」
保奈美「そう……必要なのはお金よ。お金さえあれば製材所が買える、製材所が買えればもっと多くのお金が……でも、それはフランクに任せていては不可能よ…………」
保奈美「………………………」
保奈美「…そうだわ……!私が自分で製材所を経営すればいいんじゃない……どうしてこれを思いつかなかったんだろう……」
保奈美「自分で経営すれば、製材所の利益は私自身の物になる。……自分で稼いだお金………男に媚びなくても好きにできるお金…………!」
保奈美「私なら必ず上手くやれる……!ウィルが来るまでタラ農園の経営だって1人で立派に出来ていたじゃない……!」
保奈美「女は商売なんかすべきじゃない、フンッ!そんな事知るもんか!」
保奈美「ああ、製材所を今すぐ買えるだけのお金が欲しい……そうすれば………………」
ガチャ バタン
保奈美「…そうすれば今すぐにでも製材所を買って……木材を売りさばいてお金をたくさん儲けられるのに…!」
沙紀「…………………」ツカツカツカツカ
保奈美「…はぁ……フランクさえしっかりしていてくれれば…………」
沙紀「もしもし、親愛なるケネディ夫人。この店は只今は休業時間なのですかな?」
保奈美「いえ、休業時間ではありませんけ…………ど……………………」
沙紀「やあ、こんにちは。」
保奈美「…………ああっ?!」ガタッ!
沙紀「ふふふふふ……どうしたのです?そんな幽霊でも見たような反応をして。」
保奈美「…………………っ………何を……しに来たの…?」
沙紀「ピティパットさんをお尋ねして、図らずもあなたのご結婚をお聞きしたためお祝いに駆け付けたのですよ、親愛なるケネディ夫人。」
保奈美「………よ、よくも図々しく私の前に姿を現せたものね……!」
沙紀「あなたこそ、よくも図々しく僕と顔を合わせられる物ですね。」
保奈美「………っ……!あなたは……本当に………!」
沙紀「ふふっ……まあまあ、ここは休戦としませんか?お互い矛先を納めましょう。」
保奈美「………っ……………」
沙紀「…ふふふ………聞き分けの良い子は好きですよ。」
保奈美「あなたが絞首刑にならなかったのが残念だわ!」
沙紀「他の連中もそう思っている事でしょう。さあ、もうちょっと気を落ち着けてください。そんなに棒でも飲んだようにしていては大変でしょう。」
保奈美「ほっといてちょうだい!あなたとなんか口も利きたくないわ!」
沙紀「はははははは!この前は少し冗談を言っただけだと言うのに、すぐこれだ。ところで、どこかに腰掛けても構いませんか?」
保奈美「駄目よ。」
沙紀「…やれやれ。厳しいですなぁ…………」
保奈美「…………………………」
沙紀「あなたはもっと僕に優しくしてくれても構わんと思うのです。例えば、たったの二週間だけ待ってくださるとか。」
保奈美「…………………………」
沙紀「はぁ………世の中で一番変わりやすいのは女心です。」
保奈美「……どうやって出獄したの…?」
沙紀「友人に僕の境遇を知らせたのですよ。そしたら、なんて事はなしにすぐ出獄出来ました。」
保奈美「…あなたの友人って………?」
沙紀「今は北部連邦の首脳部にいる男なんですがね、戦争当時に僕が南部同盟のために小銃やレースなどを買ってやって以来の友人なのです。」
沙紀「麗しき僕らの友情を世間に是非公表したいと相談してみたらですね、慌てて自分の勢力を用いて僕を放免してくれました。」
保奈美「脅迫したのね。」
沙紀「そうとも言うかもしれませんね。まあ、ともかく晴れて自由の身になれた事に変わりはありませんよ。」
保奈美「北軍は犯罪者を野に放ったのね。」
沙紀「その通り。もう放免されたので自由に話しますが、僕が北軍の士官を1人始末したのは事実です。ああ、ちなみにあと2人ほどならず者も始末したんですがね。」
保奈美「………………………………」
沙紀「>>227」
あぁ、その気になれば他の北軍も[ピーーー]ことはできますがね。今は、お金のことでしたね。
沙紀「あぁ、その気になれば他の北軍も殺すことはできますがね。今は、お金の事でしたね。」
保奈美「…………………………」
沙紀「おや、何か言いたげですね。よろしい、聞いて差し上げましょう。どうぞ。」
保奈美「………っ………こ、この人ご…………!(……あっ…………)」
沙紀「この……何です?」
保奈美「………………(私も…北軍の兵士なら1人…………全く良心は痛んでいないけど………同じ罪人である以上は…………………)」
沙紀「…………………………」
保奈美「……ど、どうして…………」
沙紀「どうして撃ったのか、どうしてそいつらだっのか、どうしてそんな話を平気そうに出来るのか、など質問は数多く予想できますが、質問はどれですか?」
保奈美「…………………………」
沙紀「ふむ、何れにせよ質問の答えは同じなのですがね。…そいつらが女性に乱暴を働こうとしていたからですよ。卑劣な悪党に対する同情など僕は持ち合わせちゃいません。」
保奈美「………………………」
沙紀「質問の答えになりましたか?」
保奈美「…………………え、ええ……」
沙紀「僕だって無用な殺生はできる限りは避けたいですからね、二度とそう言った輩に合わないように願っていますよ。」
保奈美「……もし……会ったら………?」
沙紀「友人か、また別の友人を頼る事になるでしょうね。僕は北部連邦の首脳部に友人が数多くいるのです。」
保奈美「……………………………」
沙紀「あなたも大概怖いもの知らずですね。そんな事をわざわざ聞くだなんて。」
保奈美「………私の勝手でしょ。」
沙紀「ふむ。そう言えばそうだ。人間には自分の好奇心を満たそうとする自由がありますからね。」
沙紀「さてはて、あなたのもう一つの好奇心も満たして差し上げる事にしましょう。いよいよ、あなたの大好きなお金の話ですよ。」
保奈美「…っ…!あなたなんかと一緒に………!」
沙紀「もしあなたが、良い融資の話などをお求めなのでしたら僕の話を静かに聞く事をお勧めします。」
保奈美「…………っ………………」
沙紀「ふふふふふ……あなたのそう言うところが僕は好きなんですよ。……ふぅ…………厳重に秘密を守ると約束してくださいますか?」
保奈美「……早く話しなさい…」
沙紀「ふふ……肯定と受け取らせていただきますね。そうでなくとも、自分の利益にならない事をあなたはしないと思いますが。」
保奈美「……………………………」
沙紀「すっかり白状してしまうとですね、金は全部リヴァプールの銀行に預金してあるんです。」
保奈美「リヴァプール…………」
沙紀「僕があなたの望んだお金をあげなかったのが意地悪じゃなかったのが分かってもらえましたか?もし僕が手形の一枚でも書いたら、北軍の連中は何とかしてそれを嗅ぎつけて、あなたの元には1セントも入らなかったでしょうね。」
保奈美「……………………………」
沙紀「ああするしかなかったんです。金が安全な場所にあるのは分かっていましたから。……最悪の場合に備えて北軍の友人全員の名前を書いたリストは作っておきましたが。」
保奈美「………じゃあ……数百万ドルは…………」
沙紀「今は自由に出来ます。考えてもご覧なさい、あんたが逸る心を抑えて二度目の結婚に飛び付きさえしなかったら。」
保奈美「……………っ…………」
保奈美(…数百万ドル…!…もし、あと二週間待ってさえいれば……………)
沙紀「もし二週間待ってさえいただければ、300ドルと言わず300万ドルでも貸してやれたんですがね。すこぶる残念です。」
保奈美「……………………………」
沙紀「同じ愛情のない男女の付き合いなら、僕とした方が良いとは思われませんでしたか?」
保奈美(…………ああ………………)
沙紀「妹さんも裏切らずに済んだし、何より僕はあなたにもっと金を提供出来た。300ドルなんか銀行の利子だけで払えますよ。」
保奈美「……っ……!そ、そのお金はどうせ……何部同盟のお金を横領したお金でしょう!街中がそう噂しているわ!」
沙紀「自分に食べられないぶどうは酸っぱいようですね。」
保奈美「は、はぁ……?!」
沙紀「イソップ物語を知りませんか?……ふっ……何にせよ、あんたが噂なんか信じるとはね。…僕が誰の何を盗んだというのです。」
保奈美「……それは………!」
沙紀「>>235」
あなたにはほとほと失望しましたよ。最初に会った時から今まで、まるで成長していない。一時の流れに目がくらみ、くだらない過ちを繰り返し続ける……
安価把握
お休みなさい
少し再開します
沙紀「あなたにはほとほと失望しましたよ。最初に会った時から今まで、まるで成長していない。一時の流れに目がくらみ、くだらない過ちを繰り返し続ける……」
保奈美「………………っ………」
沙紀「あなたの愚かさは、空腹に耐えかねて目の前の種籾を食べてしまうがごとき愚かさです。一年待てば、その何倍、何十倍の収穫が得られたと言うのにね。」
保奈美「……………………」
沙紀「はははははは!何か言い返そうと必死に考えていますね?反論があるなら聞いて差し上げますよ。さあ、どうぞ仰りなさい。」
保奈美「……っ……!!」ギリ……
沙紀「言い返す事は出来ないでしょうがね。何せ、あなただって自分が早まった事をしたのを理解してらっしゃるんですから。」
保奈美「う、うるさい!!」
沙紀「ふふふ……そんな愚かなあなたにも分かるように、僕がどのようにして財産を築いたか教えて差し上げましょう。」
保奈美「聞きたくもないわ、帰って!……早く!」
沙紀「ご自分が自由に出来たかもしれない大金の話を聞くのは我慢ができませんか?」
保奈美「うるさいって言ってるでしょ!…ちっぽけな金のために結婚した私を嘲笑って楽しい?!」
沙紀「実に楽しいですね。僕はあなたが感情を打ちまける姿を観察するのが何より楽しいんですよ。」
保奈美「……っ………!」
沙紀「……金の半分は正直に手に入れたものです。英国の工場に1ポンド1ドルで綿花を売りつけてやって作ったものです。食料品の投機で手に入れたものです。」
保奈美「……半分が正直なお金…と、言うことは……………」
沙紀「好ましからざる噂の通りですよ。南部同盟のものです。」
保奈美「そうなんじゃない!この…………!」
沙紀「どうどうどうどう、あなたははためく物と見るや何であれ突進する猛牛ですか?話は最後まで聞くものですよ。」
沙紀「……僕は戦時中にある命令を受けましてね。英国からの南部同盟への信用状態を良くしておくために、僕の名義でリヴァプールの銀行に預金をしておけと言うものです。それで委託されたのが、今言った半分なのです」
保奈美「盗人である事に変わりはないじゃない!南部同盟から預かったお金を着服したのね!」
沙紀「結果的にそうなってしまいましたが、それは僕の責任ではありません。」
保奈美「はぁ?」
沙紀「あなたは全くお馬鹿さんですね。やがて封鎖が厳重になって、誰も南部の港から船を出す事ができなくなったのを忘れてしまったようだ。」
保奈美「あなたのした事と一体何の関係が……?!」
沙紀「帳面の付け方だけでなく、論理的思考も少しは磨かれる事をお勧めしますよ、お嬢さん。」
沙紀「はぁ……封鎖が厳重になればどうなると思います?リヴァプールへ預金を引き出しに行けなくなるとは思いませんか?それとも何ですか、残らず引き出して、それを北軍に没収させてしまうべきでしたか?」
保奈美「そ、それは………!」
沙紀「封鎖が厳重になったのも、南部の大義が没落したのも僕のせいでしょうか?確かにこれらは南部同盟の金ですが、現在は南部同盟なるものは存在しない。」
保奈美「……………っ……………」
沙紀「さて、僕はこの金を誰に与えるべきでしょうか?北部の政府にでしょうか?僕は僕を盗人扱いする人間を憎みます。」
保奈美「……な、南部同盟はもう存在しないけど……困っている南部の人たちはたくさんいるわ!そう言う人たちに分けてあげればいいじゃない。」
沙紀「あなたが僕だったらそうしますか?」
保奈美「…………………………」
沙紀「正直に生きましょうよ、嘘は魂を汚すとか言うじゃないですか。あんたは僕が金を持っているのが憎いんだ、違いますか?」
保奈美「………(…この男の何が腹が立つかって……人の心を見透かしてくるところだわ……幾ら表面を取り繕ってみせても……………意味がない………)」
沙紀「…………………………」
保奈美「……………っ…………」
沙紀「……はぁ……僕は何をしたってあなたに憎まれなきゃいかんみたいですね。」
保奈美「…………………………」
沙紀「よろしい、その憎しみを和らげてもらうために出来る事をするとしよう。幾ら入り用何ですか?」
保奈美「…お金で私を自分の思い通りにしようったって……そうはいかないわよ……!」
沙紀「思っちゃいませんよ、そんな事。純粋な善意から資金を融資してあげようと言っているのです。……あの愛すべき見返り担保が無くともね。」
保奈美「………っ……何が狙い…?」
沙紀「純粋な善意と言っているじゃないですか。僕が目先の利益に囚われなかった結果儲けた金を見返りなしで貸してあげましょう。」
保奈美「>>246」
くっ……!
保奈美「くっ……………!」
沙紀「何が気に食わないんです?自分で言うのも難ですが、こんないい話、そうそう転がっていませんよ?」
保奈美「……………………………」
沙紀「必要なのではないのですか、金が。利息も一切要求するつもりはありませんよ。さあ、どうしますか?」
保奈美「…………………………」
沙紀「……………………………」
保奈美(…忌々しい……!この男は……人の弱みに付け込む天才だわ……!)
沙紀「………ふむ、僕から借りるのがお気に召さないと言うのなら、敢えてお止めはしませんが。」
保奈美「……私が……お金になんか困っていないとは考えないの……?」
沙紀「牢獄に面会をしにきてくださった時と同じ目をしてらっしゃいます。あなたは間違いなく金を必要としている。」
保奈美「………っ………………」
沙紀「さあ、幾ら入り用なのですか?」
保奈美「…………………………」
沙紀「………もう一度お聞きします。幾ら入り用なのですか?」
保奈美「………………っく………300ドルよ…………300ドル…必要なの…………」
沙紀「300ドル……ケネディ氏はあなたが期待していたほど金持ちではなかったという事ですかな?」
保奈美「………ああ……違うわ。税金はもうすっかり払ってしまったの………お金は作れたわ。」
沙紀「それを聞いて一安心しました。………では、その300ドルと言うのは何に必要なのです?」
保奈美「…製材所を買うのよ。」
沙紀「製材所……製材所…………ほほぅ、中々良いところに目をつけましたね?どなたからの入れ知恵です?」
保奈美「…………フランクよ。」
沙紀「ほうほう、フランク先生が。しけた店一つ満足に経営出来ていないのに、よく決心なされたものですね。」
沙紀「しかし妙ですねぇ。夫であるフランク先生が製材所を買えば、それは夫婦の共同財産となるのに。何だってあなたは、怒りを飲み込んで僕から借金をしてまで、製材所を買われようとしているのですか?」
保奈美「…フランクに製材所を経営できると思う………?」
沙紀「一ヶ月で彼の製材所は競売にかけられてしまうでしょうね。」
保奈美「だからね、私が製材所を買う事にしたの。そしたら、私が誰にも遠慮する事なく経営をする事が出来るでしょ?」
沙紀「あなたはご自分なら上手く経営ができると考えてらっしゃる、と?」
保奈美「ええ、自信があるわ。」
沙紀「よろしい、誰よりも利益に対して貪欲なあなたが経営するなら間違いないでしょう。僕はあなたが如何に色々と計算高いかよく知っていますから。」
保奈美「……………………………」
沙紀「ふふっ……融資先としては申し分ありませんね。資金を回収し損ねる事はないでしょう。」
保奈美「……それは保証するわ。…あなたからの借りなんかとっとと返してあげる。大きな顔をされたらかなわないもの。」
沙紀「たかが300ドル程度で大きな顔なんて出来るものですか。海外にいる元同業者仲間に鼻で笑われます。」
保奈美「あ、そう。なら、これも私に恩を売れただとか思わないでね。」
沙紀「仰せのままに、お嬢様。」
保奈美「………………………………」
沙紀「それと、ついでにもう一つ質問させてもらいましょう。あなたがケネディを出し抜いた事と、彼が何より嫌いな僕から金を借りた事についてはどう説明するつもりなのですか?」
保奈美「……ああ……ケネディなんかどうとでもなるわ。あなたが心配する必要はないわ。」
沙紀「最初に出会った時あなたは全く毒婦だと思いましたが、腕にさらに磨きをかけたようですね。」
保奈美「…騙される方が悪いのよ。」
沙紀「ははははは!恐れ入りました。綺麗な花にはトゲがある、ケネディはそれを学ぶ良い機会を手に入れられたようで何よりです。」
保奈美「……………フン…」
沙紀「………それから、心の中に別の男が居る間は、決してその女性は自分を見てはくれないと言うことも。」
保奈美「…………アシュレの事が言いたいの…?」
沙紀「おや、あなたの心の中に居る男はアシュレ君なのですね。」
保奈美「………っ……!(しまった……!)」
沙紀「…僕はですね、あなたが金が必要な理由がアシュレ君の新しい乗馬ズボンなどだったら、1セントだって貸さないつもりだったのですよ。」
保奈美「……事あるごとにアシュレの悪口を言わなければ気が済まないようね……!」
沙紀「>>254」
そうですね……あいつがいるからあなたは僕のことを見てくれない……ボソッ
安価把握
一時中断します
再開します
沙紀「そうですね……あいつがいるからあなたは僕のことを見てくれない……」ボソ…
保奈美「は?」
沙紀「アシュレ・ウィルクス君の何があなたをそう惹きつけるのだろう、そう言ったのです。」
保奈美「あなたにそれを話してやる理由はないわ!」
沙紀「別に僕もあなたによるアシュレ君の素晴らしさの講義を延々と受けるつもりはありませんよ。」
保奈美「話したところで難癖を付けられだけに決まっているしね。」
沙紀「でしょうね、僕は卑俗な人間なので、あなたの言う高尚な人間の行いなんて理解出来ませんから。」
沙紀「例えばそうですねぇ……アシュレ君が戦場から帰って来て以来、ずっとタラに居る事だとか。」
保奈美「どうしてあなたがその事を知ってるの?!」
沙紀「どうしてあなたは僕がこの事を知らないと思っていたのです?」
保奈美「……チッ…………!」
沙紀「淑女が他人に聞こえるように舌打ちなどなさってはいけませんよ。」
保奈美「あなたに聞こえるようにわざとやったのよ。」
沙紀「おやおや、それはそれは………」
保奈美「…………………………」
沙紀「あなたはアシュレ君の話題になると別人になりますな。現実主義者が急に夢見る乙女になる。」
保奈美「……何を言っているのか分からないわ…!それより、どうやって私の家の事を知ったの?!」
沙紀「せっかちなのがあなたの悪いところだ。だから、たったの2週間も待てない。」
保奈美「うるさい!白状なさい!」
沙紀「…ピティパットさんは親切な方でしてね。ちょっとした手土産を持っていって、噂話を身を入れて聞くと何でも残らず話していただけるのですよ。」
保奈美「………!(あの年寄りめ…!)
沙紀「はぁ、それにしても酷い話ですよね。あなたは、彼の細君とだって我慢せずには暮らせなかったのに。アシュレ君と来たら………」
保奈美「アシュレは……!」
沙紀「はいはい、彼は全くの紳士ですよ。紳士と言うのが女性の慈悲で生活する者、と言う意味なら。」
保奈美「よくもそんな侮辱が言えるわね!アシュレは懸命に働いているわ!」
沙紀「フン、懸命に働いたって役に立たなきゃ意味は無いですよ。第一、懸命に働くなら働くで何故妻子と共にタラから出て職を探さないのです?」
保奈美「アシュレはタラのために残ってくれているのよ!」
沙紀「ああ、はいはい、そうですか。……あなたにはアシュレ君の全てが美徳となるようだ。」
沙紀「あなたにとってアシュレ・ウィルクスとは何なのです?あなたを永久に苦しめ続けるような男が、あなたは愛おしくてたまらない理由とは何なのです?」
保奈美「アシュレが私を……?!」
沙紀「そうじゃないですか。あいつは他の女と結婚した癖に、まだあなたを愛してるだのとほざいている。それがあなたにとって一番苦しい事なのに。」
保奈美「……………っ………!」
沙紀「…気分が悪くなってきました……最後に僕の質問にもう一つだけ答えてください。それで今日は僕は帰らせていただきます。」
保奈美「………………………………」
沙紀「金は差し上げますから、下水へ捨てるなりなんなり好きにしてください。」
沙紀「………いいですか、スカーレット…もし彼があなたを愛しているなら、何故税金作りにあとらへなんかよこしたんです?僕だったら、自分の愛する女性がそんな事をする前に………」
保奈美「アシュレは知らなかったのよ!考えもしなかったのよ、私がなんのために………」
沙紀「本当にそう思いますか?!優秀な頭脳を持ち、あなたの事をよく知っているアシュレ・ウィルクスが、あなたが追い詰められたら何をするかが分からなかったとでも?」
保奈美「アシュレは…………!(……あれ………ウィルに分かって……アシュレに分からないような事が………あるかしら……………)」
沙紀「彼には優しい言葉の一つでもかけて、あなたを思いとどまらせる機会があったはずですが。」
保奈美「>>264」
軍曹翌来たね
それは……!
>>264
緑の悪魔がもっと俺に輝けと囁いている(隠喩)
保奈美「それは……!」
沙紀「それは……何ですか?」
保奈美「……っ……それは………それは…………っ……………そ、それは例えどうであろうと、あなたには関係の無いことよ…!」
沙紀「確かに直接的な関係はありませんね。ただね、僕は第三者としての関係だけはある。つまる、何が言いたいかと言うとですね、あなたの我慢強さに僕は深い嘆賞を捧げているのですよ。」
保奈美「何を…………?」
沙紀「あなたの精神にはあまりに多くの重りが乗っている。それに耐えているあなたは大したものだ。」
沙紀「タラがある、そこに病気のお父さんがいる、妹さんに、黒人たちがいる。おまけに、ご亭主の面倒も見なければならないし、やがてはピティ叔母さんの面倒も見なければならない。加えてアシュレ・ウィルクスにその妻子まで!」
保奈美「アシュレは私の重りなんかじゃないわ!むしろ私の手助けを…………」
沙紀「手助けになんかなるものか、あいつはあなたを押しつぶそうとしている重りの一つだ。……そして、今にもあなたは押し潰されそうになっている。」
保奈美「私の心配なんかしてもらわなくていいわ!」
沙紀「いいや、心配しますよ。黙って見ている事なんて出来るものか。」
保奈美「いらないと言っているのよ!」
沙紀「…………分かりました。あなたがそこまで仰るなら……僕だってあの男の話はしたくはないですからね。………お金は300ドルだけで結構ですか?」
保奈美「………っ!(この男はこれだけ人を侮辱した上に、一番大切なものを引きずり出しておいて……まだ私がお金を受け取ると思っている……!)」
沙紀「………………………」
保奈美(…こいつの申し出をせせら笑って店から出て行けと怒鳴りつけられたら……!…ああ……でも今は我慢しなくちゃいけない……お金がないうちは………!)
沙紀「3000ドルでなくて、300ドルで良いのかと聞いているんですが?」
保奈美(……………………………)
保奈美(…お金持ちになったら………ああ、お金持ちになったら……もう嫌な事は我慢せずに、気に入らない連中は消えろと怒鳴りつけてやろう!)
沙紀「……………………」
保奈美(……そうなった際に真っ先に消えるのは……この…レット・バトラーよ……!)ニヤリ
沙紀「おお、あなたは美しい人だ、スカーレット・オハラ!特に悪巧みをしている時はね。…何を思いついたのです?」
保奈美「とても愉快で素敵で素晴らしい思いつきよ。お金は300ドル丁度で結構よ。」
沙紀「そうですか、では今から小切手を書きます。暇な時にでも銀行へ行って…………………」
保奈美「いいえ、小切手じゃなくて現金がいいわ。」
沙紀「現金は嵩張るのであまり持ち合わせていないのですが………」
保奈美「あなた、これから馬車で帰るのでしょう。それに私も乗せていって、ついでに銀行に寄ってくれないかしら?」
沙紀「なるほど、それは良い考えだ。」
保奈美「あなたさえ良ければ、製材所にも寄って欲しいんだけど。」
沙紀「ふふ………ははははははは!僕の気が変わらんうちに全部済まそうって事ですか!いいでしょう、ドライブと行こうじゃないですか。」
保奈美「ふふふふふ…………」
舞台裏
加蓮「うーあー、疲れたー、凛に仰いでもらわないと倒れちゃいそー。」
凛「はいはい。」パタパタ
加蓮「あー……もうちょい右。」
凛「右ね。」パタパタ
加蓮「む……それは左でしょ?」
凛「……私から見て右は、加蓮から見た左だよ。」パタパタ
加蓮「あ、そっかー……じゃあ凛から見て左を仰いでー。」
凛「………はいはい。」パタパタ
加蓮「いやー、快適快適……これからは一家に一凛の時代だね!」
凛「人を便利家電みたいに言わないで。そんな分身みたいな事、頑張らないとできないよ。」パタパタ
加蓮「あー、そっかー……あははははははは!」
凛「………ねえ、加蓮。」パタパタ
加蓮「ん?」
凛「…実はそこまで具合悪くないでしょ?」パタパタ
加蓮「まあ、ぶっちゃけね。」
凛「>>274」
すみません…
一時中断します……
(加蓮も確かに気にはなるけど、それより心配なのはせっかくPさんたちが招待状を出したのに結局来ないどころか返事のメールも全然返さなかった美波Pさんだよ……。
あの人は凛Pさんほどじゃないけどいつも頑張ってるし、凛Pさんほどじゃないけど料理やスポーツも上手だし、凛Pさんほどじゃないけど顔も決して悪くはないし、何より私に対する凛Pさんと同じくらい真剣に美波さんの事を思ってるっていうのはわかるんだけど……話しながらでも手をウェットティッシュで執拗に拭く癖があるし……。
それにこの間も、じゃれ合いとか冗談抜きでマジギレして加蓮Pさんに怒鳴り散らしたり厨二Pさんに掴みかかってたからなぁ……『何が天の姫だ、俺の美波に変なあだ名をつけるな、お前だけは絶対許さない』とか言って……。
私と凛Pさんが止めた後もずっと厨二Pさんを睨んでたし……もし放っておいたら絶対警察沙汰になってたよね……)
美波は…美波はなぁ!俺の母親になってくれるかもしれない女なんだ!
再開します
凛(加蓮も確かに気にはなるけど、それより心配なのはせっかくPさんたちが招待状を出したのに結局来ないどころか返事のメールも全然返さなかった美波Pさんだよ……。
あの人は凛Pさんほどじゃないけどいつも頑張ってるし、凛Pさんほどじゃないけど料理やスポーツも上手だし、凛Pさんほどじゃないけど顔も決して悪くはないし、何より私に対する凛Pさんと同じくらい真剣に美波さんの事を思ってるっていうのはわかるんだけど……話しながらでも手をウェットティッシュで執拗に拭く癖があるし……。
それにこの間も、じゃれ合いとか冗談抜きでマジギレして加蓮Pさんに怒鳴り散らしたり厨二Pさんに掴みかかってたからなぁ……『何が天の姫だ、俺の美波に変なあだ名をつけるな、お前だけは絶対許さない』とか言って……。
私と凛Pさんが止めた後もずっと厨二Pさんを睨んでたし……もし放っておいたら絶対警察沙汰になってたよね……)
加蓮「………?」
凛(まったく、少しは凛Pさんを見習ってほしいな。男の人に大切なのは、やっぱり優しさ、だと思うし。頼りないところがない、と言えば嘘になるけど、そこら辺はきちんと支えてあげていってあげればいいだけだし、寧ろ変に自分に自信があって人の話を全く聞かないような人に比べたら、ずっと良いし。その人の良さって言うのは物差しじゃ測れないからね。愛があってこそ初めて気付くような事がたくさんあるし………そう言う意味で言うなら、美波さんしか知らない美波Pさんの良いところがあるのかもしれないし……………)
加蓮「……あー………(凛のスイッチが入っちゃったかぁ………)」
凛(うん、きっとそうだね、美波Pさんもそこら辺を抜きにして考えれば結構悪くないし……美波さんの事が大切すぎて、冷静さを失っちゃうだけだよね。……それでも本当はだめだけど。好きだからって言って、暴走しちゃったらだめだよ。心を蒼く、クールに保たないと。その点、凛Pさんってすごいよね。滅多な事じゃ怒った素振りすら見せないんだから。なかなか出来る事じゃないよ。)
加蓮(凛Pさんの事を考えてるんだろうなぁ………)
凛(ちゃんと美波Pさんがやり過ぎそうになったときは叱ってあげてるし。愛がなきゃそんな事はしないよね。 私だって愛があるからこそ、凛Pさんにこうした方がいいよ、とか、そうはしない方がいいよ、って敢えて言ってあげてるんだもん。凛Pさんもそれを分かってくれてるから、素直に聞き入れてくれるし。これこそ正に相思相愛、じゃないかな。ああ、凛Pさん……これからもずーっと面倒を見てあげるからね…………)
加蓮(………………………………)
凛「……?どうしたの、加蓮、自分の理解を超えた存在を見たみたいな顔をして。」
加蓮「いやー……愛の形って人それぞれだなって思って………」
凛「あ、やっぱり私が凛Pさんの事を考えてたって加蓮にはバレちゃうか。ふふっ………」
加蓮(…たぶん私以外の誰でも…………………)
凛「加蓮には敵わないな、ほんと。ふふふふふふ………」
加蓮「…………」
凛「はぁ………早く今週の凛Pさんのシャツが手に入らないかなぁ………」
加蓮「…………」
凛「………あ、違った。考えてたのは美波Pさんの事だった。」
加蓮「…それって間違うものなの?」
凛「えっ、強い印象だけが記憶に残ったりする事ってない?それと同じ事だよ。」
加蓮「あ、うん……………」
凛「あっ、それで加蓮は大丈夫なの?」
加蓮「……それもどっかに行ってたんだ……………」
凛「……ごめん。」
加蓮「ゲホゲホッ!あー、ヤバいなこれはー、凛に忘れられてたショックで体調ガー。」
凛「ごめんってば。」
加蓮「だめだもうこれはー………」
凛「…………………」ガサゴソ スッ
ポテトフライ「…………」
加蓮「そ、それは…?!」
凛「……これで何とか……………」
加蓮「……………………………」
凛「……………………………」
ポテトフライ「……………………」
〜〜〜
加蓮「体に悪いものほど美味しいってのはホントだよね。」モグモグ
凛「…………………………」
加蓮「飲み物ちょうだーい♪」モグモグ
凛「……コーラで良かったんだよね?」
加蓮「そうそう、このコーラの体に悪そうな味が好きなんだよねー♪」
凛「ねえ……何だかんだでさっきから加蓮に都合よく使われてる気がするんだけど………」
加蓮「あははは、気のせい、気のせい♪」
加蓮「それよりさ、どうしてさっき美波Pさんの事を考えたの?」モグモグ
凛「…何となく……かな?」
加蓮「ふーん。」モグモグ
凛「…加蓮は美波Pさんの事はどう思う?」
加蓮「うーん……少しやり過ぎだけど、美波さんを絶対に守りたいって思ってるんだなー……って感じるかな。」モグモグ
凛「…守る……?」
加蓮「>>284」
あんまり一生懸命すぎて周りが見えなくなることもあると思うけど、悪い人じゃないって……信じたいけど……
加蓮「あんまり一生懸命すぎて周りが見えなくなることもあると思うけど、悪い人じゃないって……信じたいけど……」
凛「……………………………」
加蓮「…何だか危ない感じがするって言うのも否定できないからね………」
凛「…………うん。」
加蓮「…いい人か、って聞かれたら、無条件に頷く事は難しい。って言うのがあたしの結論かな。」
凛「………………………………」
美波がヤられてしまうのか(異形の花々)
加蓮「……でもさ、少なくともこの事務所にいる時点で安心はしていいと思う。」
凛「……社長さんが本当に危ない人かどうかを見抜けないとは思えないもんね。」
加蓮「うん。それに、動くような人たちが動いていない……って事は、つまりそう言う事でしょ?」
凛「……………………………」
加蓮「信じようよ。美波Pさんと知り合ってまだ日が浅いから、そんな風に感じるだけかもしれないじゃん。」
凛「………そうかな…」
加蓮「きっとそうだよ。七海Pさんとか巴Pさんだって慣れない人からしたら怖いでしょ?」
凛「………………………」
加蓮「『確かに疑ってる間は敵を見抜けるかもしれんがよ、信じてみなきゃ「仲間」は見つかんねえだろ。』……ってね。」
凛「…それ何のセリフ?」
加蓮「ふふっ……奈緒か光ちゃんか先生ズに聞けば分かるよ。」
凛「先生ズって…………」
加蓮「…いい言葉だと思わない?」
凛「……………………………」
加蓮「疑った目で見てたら、全部がそう言う風に見えちゃうよ?疑心暗鬼を生ずってね。」
凛「…それでも疑うのは止めないよ。…例えば、加蓮Pさんに何かしようとしたら…………」
加蓮「分かってるよ。」
凛「…………………ならいいけど……」
加蓮「…………………………」
凛「……………………………」
加蓮「…それにさ、そもそも美波Pさんって美波さん相手に頭が上がらないからね。」
講演会場 二階関係者席
美波「すみませんでした!」フカブカ…
P「頭を上げてくれ。そんな気にしなくていいって言ってるだろ?」
美玲「そうだぞッ!悪いのは美波じゃないんだからなッ!」
美波「いえ、たくさんの方からわざわざメールまで頂いたのに……一通も返信していなくて…………」
美玲「だから……それはオマエが謝る事じゃないぞッ!……オイ、美波Pッ!聞いてるのかッ!」
美波P「…………………………」
美玲「がるるる……聞いてるのかッ!」
美波P「……フン、俺は仲良しごっこがしたい訳じゃ……………」
美波「美波Pさん。」
美波P「……………………………」
美波「どうしてそう言う事を言うんですか?…美波Pさんが、人と居るのがあんまり好きじゃないのは知ってますけど……それでも言っていいことと悪い事があります。」
美波P「……………だって………」
美波「だってじゃありません。」
美波P「…………………………」
美波「……すみません…本当………」
P「だから気にするなって。うちじゃ返信よこさない奴とかまだ良い方で、どれだけ力説しても未だに携帯の使い方を覚えられない機械音痴とか、携帯を携帯してない奴とか、常に圏外にいる奴だって居るからな。」
美波「ありがとうございます………でも……ちゃんと謝っておかないと駄目だと思うんです。……美波Pさんも一緒に謝りますよ。」
美波P「……どうして悪い事をしていないのに謝らないと………」
美波「………」
美波P「…………………………」
美波「>>294」
↑
美波P(犬臭いガキと父親気取りのバカが調子に乗りやがって。美波さえいなければ、こんな化け物だらけの事務所はとっくに辞めてるところだ……)
美波「お願いですから…………」
美玲「がるるるる……!」
P「…………………………」
美波P(犬臭いガキと父親気取りのバカが調子に乗ってくれやがって。美波さえいなければ、こんな化け物だらけの事務所はとっくに辞めてるところなんだ………)
美波「…………………………」
美波P「………すみませんでした…」
美波「………………………」
美波P「……………………」
美玲「心がこもってな………!」
P「美玲。」
美玲「……な、何だよッ……?」
P「……………………………」
美玲「…………………………」
P「…こちらこそ美玲が済まんな。」
美波「……い、いえ……………」
美玲「フンッ………!」
P「……………美波P。」
美波P「……何ですか、先輩?」
P「男たる者、女に頭を下げさせるな。…他はどうとも思っちゃいないが、それだけは見過ごせんな。」
美波P「……だったらどうすると…?」
P「どうもしないさ。お前に何かあったら美波が悲しむからな。」
美波P「……………………………」
P「言うことがあるとしたらそれだけだ。貴重な時間を奪ってしまって悪いな。」
美波P「……その辺りは一応勤め人である以上諦めてますよ。」
>>289 訂正
加蓮「疑った目で見てたら、全部がそう言う風に見えちゃうよ?疑心暗鬼を生ずってね。」
凛「…それでも疑うのは止めないよ。…例えば、美波Pさんが加蓮Pさんに何かするかもって思ったら加蓮だって…………」
加蓮「…分かってるよ。」
凛「…………………ならいいけど……」
加蓮「…………………………」
凛「……………………………」
加蓮「…それにさ、そもそも美波Pさんって美波さん相手に頭が上がらないからね。」
P「……気が変わった。もう一つだけ付け加えておく事にしよう。」
美波P「……何ですか………?」
P「………………………」クイクイ
美波P「……はぁ………一体……………」ツカツカツカツカ
P「…………」グイッ!
美波P「?!」
P「……………………………」
美波P「……な、何を………?!」
P「『舐めるな。』」
美波P「………………!」ゾクッ…
P「表目を取り繕っただけで俺を騙せると思うなよ。俺はな、相手が腹の底で何を考えてるか程度、完全に理解出来るんだよ。」
美波P「………………っ………!」
P「俺をどう思おうがお前の勝手だ。だがな……俺の大切なものを馬鹿にするのは許さん。」
美波P「…………………………」
P「……美玲たちに何か言ったりした場合、俺はお前に何をするか分からんぞ。……お前の為に忠告しておいてやる。」
美波P「……………っ……あ…………」
P「>>303」
↑
安価把握
このシリーズもある意味仮面ライダー
とのクロス
一時中断します
再開します
P「俺以外の連中にしても同じだ。……海に沈められないだけありがたく思えよ。」
美波P「…離……」バッ…
P「まだ話は終わっていないぞ。」グイ!
美波P「………っ……!」
P「悪いが話は最後まで聞いてもらうぞ。」
美波P「…………ぐ……(…振りほどけない……!この……筋肉ダルマめ………!)」
P「慌てるなよ、あと少しだけだ。」
美波P「…………………………」
P「お前に似た目をした身内が居てな、そいつとは機を見て話をするつもりだが………お前の都合で他人を傷付けんじゃねえぞ。」
美波P「………………………」ギリ…
P「………………………………」
美波P「…お前に何が分かる………!」
P「何も分からんよ。ただ、注意をしてやっただけだ。喧嘩を売る相手はよく選んだ方が良いぞ。………自分の実力から判断して、な。」
美波P「……っ………!この………!」
P「……………………」パッ…
美波P「………!」ヨロッ…
P「………………………」
美波P「………っはぁ………はぁ…………」
美波「あ、あの……………」
P「服に塵がついて居たから取ってやったんだ。なあ?」
美波P「…………ああ……(…クソッ……………!)」
美波「………………………」
P「ほら、本人もそう言ってるだろ?」
美波P「………………っ………」
美波「………………………………」
P「はい、これに関する話は全てお終い。……もう行っていいぞ。」
美波「………あの……………」
美波P「……っ……行くぞ、美波…!」
ツカツカツカツカ…!
美波「あっ……待ってください!……えっと…………すみませんでした!……美波Pさん…!」スタスタスタスタ…!
P「……………………………」
P「………………美玲。」
美玲「………メロンソーダ。」
P「はいはい。」ナデナデ…
美玲「………………がう……」
P「……………………」ナデナデ…
美玲「…………ありがと…」
P「娘を馬鹿にされて平気な父親が居るもんか。…お前は俺も大切な宝物なんだから。」
美玲「…………………」ギュッ……
P「……………………………」ナデナデ…
アトランタ フランクの家
保奈美「それじゃ、私は明日の朝6時には工場に行かなくてはならないので。」
愛海「むむむ…………」
保奈美「お休みなさい、フランク。ついでにそこの計算間違ってるわよ。」
愛海「嘘っ?!」
保奈美「…………………………」スクッ
愛海「え、えーと………ニニが四、三四十二………」
保奈美「はぁ…………」スタスタスタスタ…
愛海「ぬうううん!ま、待ったぁ!」
保奈美「…………何?」
愛海「その………スカーレットって毎日工場があるからって先に寝ちゃうよね…!」
保奈美「……それが?」
愛海「ほら、色々あるでしょ!夫婦なんだから……その……ぐへへな事とかぁ……!」
保奈美「…………………………」
愛海「……そ、そうじゃなくても……奥さんに工場の経営なんかやらせてるって……街中の人たちからすっごく……評判が悪いんだから!」
保奈美「>>313」
それがどうかしたの?噂なんて気にする事はないわ
保奈美「それがどうかしたの?噂なんて気にする事はないわ。」
愛海「そ、そんな訳にはいかないよ!……だって……その、スカーレットは私が周りから何て言われてるか知ってるの?」
保奈美「何て言われてるの?」
愛海「奥さん1人も養えずに、仕事までさせてる……その……甲斐性なしだって…………」
保奈美「その程度大した事ないわよ。私なんか恥知らずだとか、身の程知らずだって散々言われてるんだから。」
愛海「…………………………」
保奈美「周りからどう言われようが関係ないでしょ?周りからの評判で、材木のしいれねが変わるの?」
愛海「……せ、そういう問題じゃないよ!スカーレットは……世間からの評判が気にならないの?!」
保奈美「ええ、全く。」
愛海「…………………」ボーゼン…
保奈美「世の中で大事なのは評判じゃないわ。お金よ。そして、今アトランタでお金を持っている人は全員世間からの評判は悪い人よ。」
愛海「………………………………」
保奈美「言わせたい奴には言わせときゃいいのよ。どうせ他人の粗探しぐらいしかする事のない連中なんだから。」
愛海「……あ…………えっと…………………………」
保奈美「例え私の評判が幾ら悪かろうと、家を建てるには木材がいるし、家を建て替えるのにも木材がいるわ。ほら、何の問題があるの?」
愛海「…………うう…………で、でも……………………」
保奈美「言いたかった事はそれだけ?……だったら私は明日に備えてもう寝たいんだけど。」
愛海「………………………………」
保奈美「それだけなのね。……じゃあ、お休みなさい。」
愛海「………う……………………」
愛海「うわあああああ!せめてお山だけでも!」バッ!
保奈美「………………」ヒョイ
愛海「ぐわああああーっ!」
ズザァァァァァァ…!
保奈美「…………………………」
愛海「な、何で避けるのさ!夫婦間のKENZENなスキンシップでしょ!」
ムクリ
保奈美「騒がしい人とは気乗りがしないのよ。」
愛海「酷い!ああああんまりだあああああ!」
保奈美「ただ、まあ………」
愛海「た、ただ……?」
保奈美「これからはあまり喧しく口出ししないと約束してもらえるなら……多少は考えなくもないけど。……どうす………」
愛海「する!約束する!もう何も言わない!」
保奈美「あ……そ、そう…………」
愛海「うっひゃー!やったー!きゃっほー!」
保奈美「………………………………」
翌朝 馬車 車内
ガタガタガタガタ……
巴「…………………………」
保奈美「…………………………」
巴「朝早よから、よくまあ仕事に精が出せるもんじゃのう……」
保奈美「悪い?」
巴「いや、感心しとるだけじゃ。わしの知っとるお嬢様方はみーんな、身だしなみを整えるんで午前中を使い果たしよるからのう。」
保奈美「身だしなみに気を使っていなくてごめんなさい。」
巴「そうも言っちょらんわ。あんたは元がええから得じゃ、と言っとるんじゃ。」
巴「わし相手に突っかかっても仕方がなかろうに。あんた……相当疲れが溜まっとるようじゃのう。」
保奈美「……………………………」
巴「だからどうせいっちゅう訳でもないがのう。」
保奈美「………………………………」
巴「………………………………」
保奈美「………まだ製材所の経営に慣れていないだけよ。……直に楽になるわ。」
巴「…ほうか。」
保奈美「………………………………」
巴「>>322」
たまにはワシも手伝いに行こうか?
巴「たまにはワシも手伝いに行かんでええかの?」
保奈美「送り迎えだけでいいわ。人手は足りているの。…私にしかできない仕事が多すぎるだけなのよ。」
巴「あんたにしかできない仕事、のう……例えば何があるんじゃ?」
保奈美「……実際に木材を作る以外の全部よ。」
巴「…それはまた…………」
保奈美「仕方がないでしょ。他人には任せられないんだから。」
巴「……あんたの性格ならそうじゃろうな。」
保奈美「…………………………」
巴「…わしは別にあんたのやり方をあれこれ言うつもりはない。わしは経営っちゅうもんに関してはさっぱり分からんからのう。」
保奈美「………………フン……」
巴「せいぜい無理をすると体を壊すけぇ、無理はするな、ぐらいしか言えんわ。」
保奈美「………………………………」
巴「……あんたに対しては何を言おうと無駄なんじゃろうが。」
保奈美「……よく分かってるじゃない。」
巴「それが分かっとらんと苦労するだけじゃ。……だからフランク様は苦労されちょる。」
保奈美「………………………………」
巴「猫を飼うつもりで、獅子を飼ってしもたんじゃ。そして、それが獅子っちゅう事にまだ気づいておられん。」
保奈美「…………獅子に例えられたのは2回目だわ。」
巴「一回目は?」
保奈美「……レット・バトラー。」
巴「…レット・バトラーか……フン、ならわしの見立ては確かだったようじゃの。」
保奈美「どうして……?」
巴「山師っちゅうのは自分の身に迫る危険には敏感じゃ。そんな山師が近くに獅子がおると言うんじゃったら、それは獅子がおるっちゅう事じゃろ。」
保奈美「………………………………」
巴「さあ、そろそろ到着じゃ。外套を羽織っといた方がええぞ。あんたは時々忘れていくけぇ。」
保奈美「…………分かったわ。」
四月 ある豪雨の夜 スカーレットの寝室
ザァァァァァァァ……!
保奈美「はぁ………今日は雨の音がうるさすぎて眠れやしないわ。」
保奈美「………………………………」
保奈美「……こんな雨が続いたらしばらく工事が…………」
ドンドンドンドン!
保奈美「………………!」
ドンドンドンドン!
保奈美「……誰かが玄関の戸を叩いている。…………風じゃない………こんな夜中に一体………」
ドンドンドンドン!
保奈美「………………………………」
居間
みちる「はぁ……はぁ…………はぁ………………あははー……参っちゃいましたねー…………」
保奈美「あなたがどうして………………」
みちる「…質問には答えてあげますから…………まずは…とうもろこしパンでもいいんで……何か……食べるものをもらえませんか………?……なにかお腹に入れないと……落ち着かなくて………………」
保奈美「……………………………」
みちる「タラから全力で逃げてきたばっかりですからねー…………お腹が空いて……力が………………」 パタ
保奈美「…………ま、待ってて…!今何か持ってくるから……」
みちる「…………あ、ありがとう…………ございます………………」
〜〜〜
みちる「フゴ……!フゴフゴ……フゴゴゴゴ……フゴフゴ……フゴッ!」
ガツガツガツガツ!
保奈美「……………………」
みちる「ん……」ゴクゴクゴクゴク!
みちる「……っはぁ!……はぁ………はぁ……………何か……?」
保奈美「……いえ………すごい食いっぷりだと思って………………」
みちる「ああ……すみません………あはは…………これからテキサスへ逃げなきゃならない人間への選別だと思ってください………」
保奈美「……テキサス…………?」
みちる「……はい…………」
愛海「……北軍相手に何かしたんだね。」
保奈美「?!」
みちる「……ケネディさん…………まあ……そんなところです。……あはは………奴らの鋼鉄の馬は早いですね…………何回も追いつかれそうになりましたよ…………」
保奈美「……フランク……あなたいつの………………」
愛海「ごめん、スカーレット。今大事な話の最中だから少し静かにしてて。」
保奈美「………………………………」
愛海「………何があったの?」
みちる「>>331」
……タラから機械人形が出土したんです。北軍はそれを使って、ますます勢力を拡大しようとしてるんです
安価把握
タラはマウンテンサイクルだったのか……
お休みなさい
このPが凄む場面は読んでて実際心臓を掴まれる感覚を覚えるんだけど、P自体は不思議とやらない夫に見えてくる
>>333
見た目はご自由に想像してください
猫と昼寝をしてしまいました…
再開します
みちる「……タラから機械人形が出土したんです。北軍はそれを使って、ますます勢力を拡大しようとしてるんですよ。」
愛海「地面の下から機械人形が…?」
みちる「……はい、あれは間違いなく機械人形です。…私がこの目で確かめて来ましたから。」
愛海「どうして……いや、それは後回しだ。………北軍はもう南部全体を支配している。……どうして勢力を拡大する必要がある…?」
みちる「…………それが分からないんです……それを調べる前に…見つかっちゃいましたから……」
愛海「……………………………」
みちる「……あはは……私らしくない失敗を味わっちゃいました…………」
愛海「……怪我はしてない?」
みちる「…一発でも食らってたら、ここにはたどり着けていませんよ。」
愛海「………………………………」
みちる「……奴ら、岩を一瞬で消し飛ばす銃を撃ちまくってきましたからね………………あはは……よく無事でしたね……私…………」
愛海「岩を一瞬で消し飛ばす銃……それは北軍の新兵器?」
みちる「……でしょうね。……じゃなきゃ魔法か何かですよ。」
愛海「…………………………」
愛海「……そんな物まで持ち出して来るなんて、それがバレるのは北軍にとってよっぽどマズイ事なんだろうね。」
みちる「……あはは………そうなんでしょうね…………でもね、奴らが私を必死に追い回している理由はもう一つあるんですよ。」
愛海「…………!…まさか……!」
みちる「……とうとうやっちゃいました………北軍の兵士を1人。……今回の事だって、そいつの持っていた機密文書を見て分かったんです。」
愛海「………………………………」
みちる「……後悔はしていません。」
保奈美「………………あなた……」
みちる「……知ってると思いますけどね……私の麦畑は一回全て北軍に滅茶苦茶に荒されてしまったんですよ。……あなたたちには、それがどんな事か分かってもらえると思います。」
保奈美「………………………………」
愛海「…………っ…………」
みちる「あの麦畑は、先祖代々受け継いできたもので……私にとっては命より大切なものだったんです…………それを…………北軍の連中が………………!」
保奈美「………………………………」
みちる「それでも……何とか堪えて……歯を食いしばって頑張って………また……少しだけでも…………やっと収穫できるようになった時に………………………」
保奈美「……何が……北軍は何をしたの……?!」
みちる「……私が見ている前で………畑を掘り返し始めたんです!……せっかく………また育てたのに…………………許せるわけが……ないじゃないですか………………っ…………」
保奈美「……何て事を………………」
みちる「……南部人の……誇りを傷付けたあいつらを………許せなかった…………」
愛海「………………………………」
タラ 研究施設
晶葉「……鼠を一匹取り逃がしたか。………まあいい、大した問題ではない。どうせ何もできやしないさ。」
晶葉「そろそろ本当の『物語』が始まる。くだらん事に脳の容量を割いている暇はないからな。」
晶葉「……ふふっ………いよいよだ……いよいよ。……『ウィリアム・シャーマン』は厭戦家だったらしいが、私は違う。…ククク………」
晶葉「……戦争……実に素晴らしいじゃないか!戦争は私に貴重な実験データをもたらしてくれるのだからなぁ!」
晶葉「ククククク……目的のモノも間も無く手に入る。性能のテストをするのが楽しみだ!超古代の機械人形、一体どれほどの力を秘めていることか!」
晶葉「圧倒的な力!煩わしい歴史の修正作用が及び切らんほどのなぁ。事実は変える事はできん。」
晶葉「はぁ……全く、歴史の修正作用と言う奴がなければ私の計画はかなり前倒しできていただろうに………」
晶葉「影響を図るために実施したアトランタにおける実験が良い例だ。…住人のうち半数近くを、生存させてしまった……全滅させるつもりだったと言うのに………」
晶葉「…結果的に介入の値を正確に割り出せたんだ。満足すべきなのかもしれんが、完璧主義者の私としては、な。」
晶葉「………………………………」
晶葉「…実験は繰り返し行い、より正確な値を求めなければならない。……クク………2回目は満足の行く結果が得られる事だろう。」
晶葉「>>343」
↑そしてヨーロッパやアジア、アフリカも……ピニャコラドール、否この『ターンX』によって!
晶葉「もうすぐ、もうすぐだ……私の機械人形たちの手でタラ、いや南部の全てが手に入る!そしてヨーロッパやアジア、アフリカも……ピニャコラドール、否この『ターンX』によって!」
晶葉「アハハハハハハハ!やはり天才に不可能はなかった!私の頭脳と、超古代文明の遺産、この二つがあれば私は無敵だ!この時代、この世界において私は神にも等しい!」
晶葉「何せ、機械と言えばガラクタのような紡績機械しかない時代なんだ!私がその気になりさえすれば誰にも止める事など出来はしない!」
晶葉「南軍相手に苦戦してみせるのは骨が折れた。蟻を潰さずに踏むというのは難しいな。」
晶葉「人間と言うのは脆くて困る。撃たれれば死ぬ、斬られれば死ぬ、むしろどうしたら死なないんだ?」
晶葉「……クク………愚かで醜く…そして愛おしい…………私が導いてやらねばなぁ。クククククク……」
晶葉「…私が世界の支配者になるんだ………そうなれば世界は私の実験室だ!何と素晴らしい!どんな実験でもし放題じゃないか!」
晶葉「ああ……考えただけで興奮……そうだ……私は今高翌揚と言う感情を体験している!アハハハハハハハ!」
晶葉「文明を無に帰すほどの力、それが私の物になる!そしてそれを研究し、己の知識とする!」
晶葉「ククククク………アハハハハハハハ!私の計画に協力してくれた連中には礼をしなくてはならんな。尤も、私に協力した自覚はないだろうが。」
晶葉「誰からがいいかな?フフフ…………」チ
晶葉「……………む。」
晶葉「…………何だ?」
晶葉「……私は今忙し…………何?!とうとう見つかったか!…ハハハハハ、よくやったと褒めてやろう!」
晶葉「私が行くまで弄るんじゃないぞ?それを最初に弄るのは私だ!」
スク
晶葉「ああ、そうだ、何もするんじゃない!着いてる土だって払うんじゃないぞ?貴重なサンプルだからな。」
ツカツカツカツカ……!
晶葉「そうだ……そうだ……一時作業を中断させろ!……ああ………そのままだからな!」チ
晶葉「……ククク……アハハハハハハハ!私が王になるための一歩目が踏み出されたのだ!」
晶葉「待っていろ、『ターンX』……今お前を……迎えに行ってやる。……ハハハハハ!」
翌朝 ケネディの家
「罪人はどこへ逃げた?正直に答えろ!」
愛海「知らないね。聞く相手を間違ってるよ。」
「貴様と罪人は同郷の人間のはずだ。まず逃げ込むとしたらここではないのか?言え、昨夜この家に逃げ込んで来たんだろう?」
愛海「何回聞かれても知らない物は知らないよ。時間を無駄にしたくなかったら他を当たれば?」
「いいや、罪人を貴様らがかばっているんだろう?隠し事は出来んぞ!」
愛海「証拠はあるの?」
「…………っ……!」
愛海「言っとくけど、あなたたちが探してる人間なんて私たちとは全くの他人だよ?名前だって今日初めて聞いたもん。」
「つまらん嘘を吐くな。そんな事調べればすぐに…………」
愛海「じゃあ調べてみなよ。タラの人間全員に聞いたって、私と同じ答えが返ってくると思うけど。」
「……貴様…………………………」
愛海「幾ら北軍でも理由も無しに逮捕は出来ないと思うんだけど?」
「………………っ……!」
愛海「…………………………」
「………………………………」
愛海「帰ってよ。これから忙しいんだよね。」
「…………チッ……今日のところは一先ず引き上げてやる。だが、必ずお前らがあの罪人と関係がある事を証明してやるからな。」
愛海「そう言うのを何て言うか知ってる?……無駄骨って言うんだよ。」
「…………っ……!」
愛海「さ、あなたたちも早く仕事に帰りなよ。」
「…………覚えていろよ…」
愛海「……ふん。」
〜〜〜
愛海「……憲兵はもう行ったよ、大丈夫だった、スカーレット?」
保奈美「…………………………」
愛海「……スカーレット……?」
保奈美(…今憲兵を追い返した男は……本当に私の知っている……つまらない中年の……フランク・ケネディなんだろうか………)
愛海「…ねえ、スカーレットってば!」
保奈美「>>351」
あっ、ごめんなさい……あなたがこんなに優れた人だとは思わなかったから
保奈美「あっ、ごめんなさい……あなたがこんなに優れた人だとは思わなかったから………」
愛海「うひひ、見直した?」
保奈美「……ええ………………」
愛海「私自身はそんな大した人間じゃないけどさ、せめて夫として奥さんは守らないとね。……たまにはカッコつけさせてよ。」
保奈美「………………………」
愛海「……あいつらは明日も明後日も来ると思うけど、ちゃーんと明日も明後日も追い返すから安心してね?」
保奈美「……………フランク……」
愛海「?」
保奈美「………どうしたらそんな……勇気が出せるの……?」
愛海「勇気……?…私のは勇気なんて立派な物じゃないよ。どっちかって言うと怒りかな。……私のスカーレットとの大事な時間を邪魔するんじゃねえ、って感じで。」
保奈美「…………………………」
愛海「朝と夜しか一緒に居られないんだから、その時間は目一杯楽しみたいじゃん?」
保奈美「………………………………」
愛海「……南部の男って言うのはさ、大事な物が奪われる事に対して、世界一怒りを覚える民族だと思うんだ。………私の場合はスカーレットとの時間。」
保奈美「………………………………」
愛海「……ジェラルドさんだって、家族と土地をちゃんと守ったでしょ……?……あの人はとっても立派な人だよ……今でも……」
保奈美(…………お父……さん……)
愛海「…スカーレット。……スカーレットが私を愛してるって言ってくれた日から、私の一番大事な物は…………スカーレットになったんだよ。」
保奈美「………っ………」 ズキ……
保奈美「………っ………ごめんなさい……私少し……ベッドで横になってくるから……」
愛海「朝ご飯は……?」
保奈美「……要らないわ…………時間になったら教えて……工場に行くから………………」
愛海「…………………………………」
保奈美「……………………………」
ヨロ…ヨロ…
愛海「……手を貸そうか……?」
保奈美「……いえ………いいわ…………」ヨロ…ヨロ…
愛海「………………………………」
愛海「………………………………」
愛海「…………無理もないよね………自分の家に…北軍が詰め掛けてきたりなんかしたら…………女の子って言うのは、繊細な生き物だもん……」
愛海「……北軍は……スカーレットから……色んなものを奪っていった………その恐怖は……心に刻みつけられてる………」
愛海「…………………………」
愛海「……もう……何も奴らに奪わせるもんか………」ギリ……!
愛海「……仲間たちに…連絡を取ろう……!」
馬車 車内
ガタガタガタガタ……
巴「…………………………」
保奈美「…………………………」
巴「……あんた、今日は一段と顔色が悪いのう。」
保奈美「……………………………」
巴「白粉なり何なりなりぐらい着けたらどうなんじゃ?…今にも死にそうに見えるぞ?」
保奈美「…………………………」
巴「……反論が飛んでこん。…はぁ………こりゃ重傷じゃのう。」
保奈美「……………ほっといて…」
巴「悪いのう、今日だけはそうもいかんわ。半分死んどるような人間を工場まで送るわけにはいかんけぇのう。」
保奈美「………………」
巴「あんたは玄関まで憲兵が来た程度でビビるようなタマと違うじゃろうが。………何があんたにそんな顔をさせるんじゃ?」
保奈美「…………………………」
巴「>>361」
ピニャコラタサマニサカラウヤツユルサナイ
安価把握
ここからはオリジナルで行きます……
どうなるやら………
お休みなさい
ターンXは造形美の域だと思うのです
再開します
巴「ピニャコラタサマニサカラウヤツユルサナイ。」
保奈美「?!」ビクッ!
巴「ピニャコラタサマ ハ マモナク メザメノ トキヲムカエラレル。ソノトキコソ オマエタチハ ジブンタチ ノ ツミブカサヲ シル。」
保奈美「…ピータ………いや、違う。……あなたは誰?!」
巴「オロカナ シツモンダ。 イチ ハ ゼンデアリ ゼン ハ イチデアル。」
保奈美「…………………………」
巴「フカンゼンナ コ コソガ アラソイヲウム。ワレワレヲ ツクリダシタモノモ ソウダッタ。」
保奈美「質問に答えなさい!あなたは誰かと聞いているのよ?!」
巴「ソノ シツモン 二 タイシテ ハ スデニ カイトウヲ シタ。」
保奈美「……ッ……!…私の質問に答えるつもりは無いって事ね…!」
巴「………………………………」
保奈美「……いいわ、あんたがピニャコラドールの仲間だって事さえ分かっていれば。…あんたが私の敵だって事が分かるならね!」
巴「……ワレワレハ、オマエタチ ノ テキ デハナイ。」
保奈美「じゃあ何だって言うのよ?!」
巴「ジンルイヲ ハメツカラ スクウ カンリシャ ダ。」
保奈美「管理者……?!」
巴「コンドノ レキシデモ ジンルイ ハ ミチヲ アヤマッタ。ハメツ ノ マエニ スベテヲ リセット スル。」
保奈美「…………何を…………」
巴「ゲンザイ ノ ブンメイ ヲ リセット スル。」
保奈美「……………………」
巴「ピニャコラタサマ ハ ジュウブン マタレタ。ジンルイ ヲ シンジテ オラレタ。」
保奈美「……………………………」
巴「シカシ、ジンルイハ ピニャコラタサマ ノ ネガイ ヲ ウラギッタ。ドウホウドウシデノ アラソイヲ ヤメナカッタ。センソウ ヲ ツヅケタ。」
保奈美「……………戦争……」
巴「ピニャコラタサマ ハ カナシンデ オラレル。ミズカラノテデ フタタビ ブンメイヲ オワラセネバナラナイコトヲ。」
保奈美「……………………………」
巴「リセット ノ ジャマヲ スルコトハ ジンルイヲ ハメツヘト ミチビク コトダ。ヨッテ、『テキ』トミナシ ハイジョ スル。」
保奈美「…………………………」
巴「イジョウ ガ ケイコク ダ。……ワレワレ二 サカラウト…………」
保奈美「文明をリセットするって言うのは……どう言う意味……?」
巴「イマアルスベテヲ ハカイシ アラタナジダイ ヘノ イシズエトスル。」
保奈美「…………あ、そう…」
巴「リカイシタナラバ…………」
保奈美「よく分かった。ここで私は、絶対にあなたたちの邪魔をするって決めたわ!」
巴「……………………………」
保奈美「丁度復讐する機会を狙っていたのよ……北軍と…あなたたち神に!」
巴「……ジブンノゲンドウ ヲ リカイデキテ イルカ?」
保奈美「十二分すぎるほどにね!…早くピーターの体を返しなさい!」
巴「…………………………」
保奈美「>>371」
↑
保奈美「……戻ってきなさい、ピーター!!」
巴「ナニヲ………………?!」
保奈美「………………………」
巴「…………ア…………」
保奈美「…………………………」
巴「………………………………」
保奈美「…ピーター。」
巴「…………………っつ………な、何じゃ……今の感覚は……いったい…………」
保奈美「…………………………」
巴「……誰かが頭ん中に入って来たような……………ハッ、スカーレット嬢さ…………!」
保奈美「別に馬車は事故を起こしたりしていないから安心しなさい。揺れてだっていないわ。」
巴「ほ、ほうか……………はぁ…………………………」
保奈美「……………………………」
巴「……のう、スカーレット嬢様………わしは今まで……何を…………?」
保奈美「馬車を運転していたに決まっているじゃない。おかしな、ピーター。」
巴「……………………………」
保奈美「疲れて少しぼーっとしちゃってたんでしょ。そんなに気にする事じゃないわよ。」
巴「…………………むぅ………」
保奈美「いつまでも若い人間なんて居ないんだから。1週間ぐらい休みを取りなさい。」
巴「……わ、わしはまだまだ若いけぇ………休みなんぞ…………」
保奈美「次は事故を起こしても知らないわよ?」
巴「………………………………」
保奈美「…………………………」
巴「………わしは老ぼれだったようじゃ………はぁ………頭はハッキリしとるつもりだったんじゃが…………」
保奈美「(あなたより頭がハッキリしてる人間はそう居ないわよ……)少し休めば大丈夫よ。」
巴「………じゃとええが…………じゃがのう………」
保奈美「私の送り迎えは1週間は良いから、そうすればやる事はピティ叔母さんの世話だけで済むでしょ?…それもマミーに任せても良いんだけど………」
巴「ピティ様の世話は他人には任せられん!」
保奈美「……でしょう?」
保奈美「………と、言う訳だから、1週間はピティ叔母さんの世話に専念してちょうだい。」
巴「…わ、分かったわ…………じゃが、どうして1週間は送り迎えが不要なんじゃ……?」
保奈美「私が1週間は工場に泊まるからよ。あ、フランクにも伝えておいてくれる?」
巴「………は、はぁぁぁ?」
保奈美「これから1週間、いやもっとかもしれないけど……帰える余裕がなくなるぐらい忙しくなるから。」
巴「………………………」
保奈美「急がなくちゃならない仕事ができたのよ。」
製材所 経営者室
保奈美「……ピーターが思っていたよりずっと、すんなり引き下がってくれて助かったわ………よっぽどショックだったのね……」
保奈美「……ピーター、あなたは誰よりもしっかりとした頭を持ってるから安心なさい。」
保奈美「……………ふぅ…………………………」
保奈美「………さて、早速仕事に入らないと。何せ時間が無さそ…………」
コンコン
「ミセス・ケネディ、お客様がお見えに……………」
保奈美「今忙しい。適当な理由を付けて追い返して。」
「………それが……………………」
保奈美「…………………?」
〜〜〜
沙紀「いやはや、こうして経営者殿に簡単にお会い出来ますのもスポンサー特権、と言う奴ですな。」
保奈美「………………………」
沙紀「持っている権利と言うのは、全て有効に使うべきです。使わなければ勿体無いですからねぇ。」
保奈美「……何しに来たのよ…?」
沙紀「あなたの麗しきお顔を拝見させていただきに………」
保奈美「本当の事を言いなさい。」
沙紀「はぁ………嘘では無いのですがねぇ……実に悲しいですな。」
保奈美「…………………………」
沙紀「経営状態の確認ですよ、しこたま儲けてるようですから今さら確認は要らないでしょうが。驚きましたよ、こんな短期間で軌道に乗せるだなんて。」
保奈美「お世辞は聞き飽きたわ。用が済んだなら早く帰ってちょうだい。」
沙紀「ははははは!嫌ですよ、もう少しあなたとお話してからでないと。」
保奈美「…………………………」
沙紀「用もまだ済んでいませんからね。聞きましたよ、憲兵があなた方の家宅を捜査しに来たと。」
保奈美「………………………」
沙紀「>>381」
そしてスエレン嬢が連れていかれました。まぁ、本人もそこまで抵抗はしなかったようですがね?
沙紀「そしてスエレン嬢が連れていかれました。まぁ、本人もそこまで抵抗はしなかったようですがね?」
保奈美「………えっ、今何て言ったの?!」
沙紀「スエレン嬢が北軍の研究施設に連れて行かれたと行ったのですよ。」
保奈美「………………………」
沙紀「何でも、奴らは研究に大人しく協力してくれさえすれば、多額の謝礼を約束すると言っているとか、いないとか。」
保奈美「……あの馬鹿………!」
沙紀「……………………………」
保奈美「……はぁ………幾らで釣られたの?あの馬鹿娘は……!」
沙紀「一人当たり三百ドル当たりでしたかね。偶然にも私があなたに差し上げた額と同じですな。」
保奈美「もらったんじゃないわ、借りたのよ。必ず全額耳を揃えて返すから。」
沙紀「女性にプレゼントをするのは男性の最も大きな楽しみの一つだと言うのに。」
保奈美「私はあなたの楽しみに協力してやるつもりは無いの。」
沙紀「はははははは!今の時点で十分楽しませてもらっていますよ。」
保奈美「………………………」
沙紀「おっと、話が逸れてしまっていましたね。人間とは如何に簡単に金銭に目が眩むか、と言う話でした。」
保奈美「………………………」
沙紀「どこまでお話させていただきましたかな?」
保奈美「救いようのない馬鹿女が、金で釣られて北軍にのこのこ連れて行かれたところまでよ。」
沙紀「身内に厳しいのですね。」
保奈美「北軍の言う事を信用するような妹は私には居ないわ。」
沙紀「それはそれは……大変失礼致しました。」
保奈美「……早く続きを教えなさい。」
沙紀「赤の他人がどうなろうと、あなたは気にも留めない人間でしょう?これ以上あなたの時間を奪うのも申し訳ないので………」
保奈美「……っ!いいから教えなさい!」
沙紀「相変わらず困るとすぐに力技に出る。誰に対してもそんな調子なんですから、あなたと来たら全くの恐れ知らずなんですねぇ。」
保奈美「…………チッ………」
沙紀「ははは!分かっていますよ、お教えしますから、そう怒らんでください。」
保奈美「…………………………」
沙紀「まずあなたは、タラの研究施設についてご存知ですかな?」
保奈美「ええ、昨夜…………」
沙紀「昨夜?」
保奈美「……何でもないわ。…とにかくタラの研究施設の事は知っているわ。…出土した機械人形の研究をしてるんでしょ?」
沙紀「おや、機械人形の事について知っているのは現場の人間と、北軍の上級士官だけのはずなのですが?」
保奈美(しまった!!)
沙紀「ふふふ………何故ご存知かについてはお聞きしないでおきましょう。僕も聞かれたくはありませんので。」
保奈美「……………………………」
沙紀「話が進めやすいので助かりますしね。…北軍はタラの研究施設で出土した機械人形の研究を行っています。そして、そこの責任者は……かの有名なシャーマン将軍その人です。」
保奈美「シャーマン……!」
沙紀「ああ、今のも軍事機密ですから絶対に他人に話さないでくださいね。僕と一緒に連座で縛り首になりたくなければ。」
保奈美「………………………」
沙紀「………続きをお話ししてもよろしいでしょうか?」
保奈美「……………え、ええ………」
沙紀「…………………………」
沙紀「……タラが荒廃して弱っているところにつけ込んだ、とかそう言う部分は省略しますね。あなたは私より遥かにタラの事はよく分かっているでしょうから。」
保奈美「……………………………」
沙紀「出土した機械人形、悪名高きシャーマン、近隣から破格の謝礼で……と、言っても僕のポケットマネー程度ですが………で集められる人々。これが何を意味するとあなたなら考えますか?」
保奈美「機械人形の実験に使う人間を集めている。」
沙紀「相変わらずの恐ろしい頭の回転速度ですね。」
保奈美「>>390」
誰のせいでそうなったと思ってるのかしらね
安価把握
一時中断します
再開します
保奈美「誰のせいでそうなったと思ってるのかしらね。」
沙紀「ふむ、全く分かりかねますな。僕はあなたほど頭の回転が早くないもので。」
保奈美「……………………」
沙紀「何にしろ、誰の所為であれ、頭の回転が早くなったのならそれで良いじゃありませんか。世間知らずのお嬢様が生き抜く知恵を身につけたと言う事で。」
保奈美「…チッ……四六時中皮肉を言ってくるような知り合いがいれば、自然と頭が回るようにもなるわ。」
沙紀「はあはあ、そんな性格の悪い知り合いがあなたには居るのですか。」
保奈美「ええ、とてつもなく性格の悪い知り合いがね。人間の嫌なところを寄せ集めたような男よ。」
沙紀「うーむ、そんな男とは関係を絶った方がよろしいですな。」
保奈美「出来たらとっくにしてるわ。出来ないから困っているのよ。」
沙紀「それはまた何故です?」
保奈美「………………チッ…」
沙紀「ふふふ…………」
保奈美「あんまり礼を逸した真似ばかりしていると、摘まみ出すわよ?」
沙紀「無利息で融資をしてくれる人間が2人も居るとは思えませんよ?」
保奈美「…………………………」
沙紀「………………………」
保奈美「……分かったわよ!私の負けよ!」
沙紀「ふふふ………何がです?」
保奈美「……………っ……!」
沙紀「世間話に勝敗はありませんよ?」
保奈美「……………………………」
沙紀「機嫌を曲げないでくださいよ、お嬢さん。少しからかっただけではないですか。」
保奈美「…………………………」
沙紀「僕はお喋りの相手が居ないと寂しくて死んでしまうのです。さあ、キャンディーをあげますから、機嫌を直してください。」
保奈美「………………………」
沙紀「ケネディ夫人、我が親愛なるケネディ夫人。夫を心から愛する我が貞淑なるケネデ……………」
保奈美「うっさいわねぇ、もう!」
沙紀「おお、怖い!あなたの雷にはとことん敵いませんなぁ。」
保奈美「……………………………」
沙紀「戦場で近くに大砲が落ちた時も、これ程までに恐ろしくはありませんでしたよ。」
保奈美「…………本当に口が減らないのね…!」
沙紀「はははははは、静かな僕なんて僕じゃありませんよ。自分を抑えて生きるなんて真っ平ご免ですからね。」
保奈美「…………………………」
沙紀「ふふっ……このまま楽しい時間を過ごしても僕は一向に構わんのですが、少しはスエレン嬢の事も気にかけて差し上げませんか?」
保奈美「……スエレン以外に連れて行かれた人は居るの?」
沙紀「タラの昔ながらの住人の方々の中には1人も居られなかったらしいです。勿論あなたのご親戚一同も含めてね。」
保奈美「そうでしょうね、タラの人たちは誰一人恥知らずじゃないもの。なら、何も問題は無いわ。」
沙紀「スエレン嬢は?」
保奈美「自業自得でしょう。」
沙紀「身内の方にもご容赦無しですか。」
保奈美「文句があるわけ?」
沙紀「まさか、賞賛しているんですよ。あなたと言うのは大した女性だと。」
保奈美「ありがとう。ただ、誠意は言葉でなく金額で示して欲しいわね。」
沙紀「と、言いますと?」
保奈美「私に追加で融資なさい。」
沙紀「>>401」
ほう……ちなみにいくら位で?300ドルでいいですか?
沙紀「ほう……ちなみにいくら位で?300ドルでいいですか?」
保奈美「もっとよ。たった300ドルじゃ足りないわ。」
沙紀「ふふっ……『たった』300ドル、ですか。ふふふふふ……この間まであなたが払えないと絶望していた金額ではありませんか。」
保奈美「……そうね。」
沙紀「それを『たった』と。やはり経営者様ともなると変わるものなのですかねぇ、ふふふふふふ………」
保奈美「……………………………」
沙紀「今度はどんな悪巧みをしてらっしゃるのです?300ドルを『たった』と言い切れる程の大金が必要な悪巧みとは何なのです?」
保奈美「私の本当の計画を実行に移すのよ。…もっと力を貯めてから実行に移す予定だったんだけど、急がないといけない理由が出来てしまってね。」
沙紀「その本当の計画、とやらの内容について聞かせてはいただけますかな?」
保奈美「融資してくれたら教えてやるわ。」
沙紀「ほう………秘密と言う事ですか。ふふっ………ふふふ………どうやらとても壮大な計画を立てておられるようですねぇ………これは気になります……」
保奈美「気になるんだったら私に融資なさい。交換と行きましょう。」
沙紀「その交換条件は、どう考えも僕が一方的に不利だと思うのですが。」
保奈美「嫌なら教えてやらないわ。」
沙紀「……………………………」
保奈美「…………………………」
沙紀「………あなたは飛んだ悪党だ…!そんな風に言えば、僕が好奇心に負けると分かっていたでしょう?」
保奈美「ふふふ…………さあ?」
沙紀「……幾ら必要なのです?」
保奈美「あったなら、あっただけ困らないわ。」
沙紀「ふむふむ………では、とりあえず3万ドルほどあれば足りますかな?」
保奈美「……そうね、3万ドルあれば足りるかもしれないわ。もっと必要かもしれないけど。」
沙紀「分かりました。あなたに3万ドルお貸しして差し上げましょう。担保は…………」
保奈美「担保は私よ。」
沙紀「……つまり?」
保奈美「私の全てを好きにしていいわ。」
沙紀「……ほう………大きく出ましたね。本当に良いのですか?」
保奈美「他にそれだけな金額に見合う物は何も持っていないもの。」
沙紀「あなたはご自身を3万ドル以上の価値がある物と考えておられるのですね。」
保奈美「ええ。」
沙紀「………ふむ………3万ドルの女と言うのも中々に魅惑的な響きですねぇ………良いでしょう、担保はあなた自身で間違いないでしょう…」
保奈美「…………ふっ………」
沙紀「…では、早く聞かせてください。あなたの飛びっきりの悪巧みを。」
保奈美「…一度しか言わないからよく聞きなさい。まずは………………」
沙紀「……………………………」
ジョージア州 戦没者墓地
亜季「…………………………」
墓碑「………………………」
亜季「…………………………」
仁美「……お互い…生き残ってしまいましたな……リー将軍………」
亜季「……ああ。…生き残ってしまった…」
仁美「……………………………」
亜季「……本来なら軍事裁判で極刑に処せられるべきを、よもや特赦とは、な……………」
仁美「……………………………」
亜季「……分かっている。特赦が口実である事ぐらいは。実際には………」
仁美「貴殿を極刑に処した場合、占領地の住民が猛反発することは間違いない。占領地政策を円滑に行う為には、南部の英雄、リー将軍は生かしておく必要がある。」
亜季「……………………………」
仁美「……心中……お察し致す……」
亜季「………………………」
仁美「……………っ……………」
亜季「>>410」
……我々は生き残ってしまった……いや、生かされてしまった以上、敵味方の殺してしまった人々に恥じることのない仕事をしていかなければならん。お互い、とんでもない重責を背負ってしまったものだな。
安価把握
寒くなってくると神経痛が………
すみません……
一時中断します
やっぱりまだ直下で進めた方がいいんでないの?
昔の勢いが懐かしいな。たまにでいいからギャグ要素も入れてね
>>412
了解しました 直下で進めさせていただきます……
>>413
5部まで終わらせられれば通常回に戻りますので……ただただお目汚しなのは自覚しておりますが、それまでお待ちくだざい……
遅くなりました
再開します
亜季「……我々は生き残ってしまった……いや、生かされてしまった以上、敵味方の殺してしまった人々に恥じることのない仕事をしていかなければならない。……お互い、とんでもない重責を背負ってしまったものだな…」
仁美「…それが生者の勤めでござる。……責任であり…罰であり…我々にしか負う事の出来ないものです。」
亜季「…………そうだな…」
仁美「どう言った形であれ、我々はこうして今、生きている。……死ぬのは容易く、楽です。……俺も幾度詰め腹を切ろうと思うたかは数え切れませぬ。」
亜季「…………………………」
仁美「されども、その度に歯を食い縛り堪えて参りました。……命が惜しくなったのではありませぬ………卑怯だと思うた故にござる………」
仁美「……腹を切れば、自尊心も満たされ責任を取ったような気にもなれるでしょう………しかし、実際は只の逃げです。」
亜季「……如何に苦しかろうと、生きねばならんのだ。…そうする事でしか……我々の贖罪は出来ん……………」
仁美「…………っ……………」
亜季「……生きて、語り継がねばならぬ。…戦場に生き、戦場で死んだ者たちの事を。」
仁美「……………はっ。」
亜季「……………………………」
仁美「……重責を果たせるとは思いませぬ。……それでも…………………」
亜季「それでも、だ。」
仁美「…………………………」
亜季「……ここで楽な道に逃げてしまっては、ジャクスンに怒鳴られてしまうよ。」
墓碑「………………………」
亜季「…………そうだろ、ジャクスン……」
仁美「……………………………」
亜季「……誰よりも抹香臭かった男が、抹香を焚かれる側になるとは……な…………」
仁美「…………将軍…」
亜季「…………分かっている……済まんな……偉そうな事を……言っている側からこれだ………」
仁美「…………………………」
亜季「………生きながらにして死んでしまう………これもまた、私には許されない道だからな。」
仁美「……それこそ、ジャクスン将軍に怒鳴られまする…」
亜季「………全くだ…」
亜季「……軍人にとっての責任……その意味は念仏を唱えながら、過去を省み続ける事ではあるまい。」
仁美「つまりは、戦いの中でしか生きられぬ……そう言う事なのでござろう。」
亜季「……罪深い存在だな、軍人と言うのは。」
仁美「罪を背負うのが我々の仕事です。」
亜季「……我々が罪を背負う事で民に平穏を与えられるならば、如何なる汚名も覚悟しようではないか……」
仁美「御意。」
亜季「……シャーマンの様子は?」
仁美「依然として、機械人形の発掘と人員の確保を進めているとの事。」
亜季「何か動きは?」
仁美「目立った動きは特に。しかし、内偵に送り込ませている間者によると、見慣れぬ機械人形が発掘されたとの事。」
亜季「…見慣れぬ機械人形………詳しく聞いても良いか?」
仁美「はっ!外観的特徴としては、通常の機械人形に比べてやや大型である事、多くの武装に加え全身に砲口らしき物が見られる事が報告に挙がっております。」
亜季「…………他には?」
仁美「出土した際に全行程が一時中断させられたとの事。さらに、その機械人形はシャーマンが自ら調査をしていると見て間違いが無いと。」
亜季「決して表に出てこようとしないシャーマンが…………どう思う?」
仁美「あまり時間が残されていないと考えまする。」
亜季「同感だ。奴が自分で動くのは、必ず仕上げの時だけだからな。」
仁美「>>422」
必ず奴の真意を突き止め、そして一矢報いろうぞ。
亜季「必ず奴の真意を突き止め、そして一矢報いろうぞ。」
仁美「はっ!」
亜季「何を企んでいるのかは分からないが、終戦したにも関わらず軍備の拡張を続けている。奴の目的が平和への道ではない事は明らかだ。」
仁美「平和が訪れれば用済みとなるのが武力のあるべき姿。今必要なのは武器ではありませぬ。」
亜季「…止めなければな………悪い予感がしてならない。」
仁美「我らも役目を終えましょう。」
亜季「…………ああ…」
仁美「………個人的に動かせる部隊には全て声をかけておきました。…何時でもご命令を頂ければ動けます。」
亜季「…………済まないな……」
仁美「……皆覚悟の上なれば。」
亜季「………そうか…」
仁美「…………………………」
亜季「…和戦協定が結ばれた中で軍事的行動を起こす。……その意味は分かるな。」
仁美「承知しております。」
亜季「……我々の名は叛逆者として、歴史上に残る大犯罪者として語られるだろう。………それでも良いか?」
仁美「何のために軍籍を捨ててきたと?」
亜季「…………………………………」
仁美「貴殿を歴史が、人が、幾ら貶そうと、我らは皆があなたの志を知っております。我らが命、好きにお使いくだされ。その為に今まで生き抜いて参りました。」
亜季「分かった。すまんが、みんなの命をくれ。」
仁美「御意。」
亜季「………………………………」
1週間後 製材所 事務室
保奈美「………残りの必要な資材は…………………」カリカリカリカリ…
コンコン
保奈美「勝手に入らなさい。」
カリカリカリカリ…
沙紀「お言葉に甘えさせていただきます。」ガチャ バタン
保奈美「………………」カリカリカリカリ…
沙紀「……仕事に精が出ますね。」
保奈美「時間が無いのよ。休んでる暇は無いわ。」カリカリカリカリ…
沙紀「ここのところ何時見ても、あなたは働いていますね。今日はちゃんと寝られましたか?」
保奈美「時間が無いって言ってるでしょ。ちっとも眠くないから大丈夫よ。」カリカリカリカリ…
沙紀「眠くないからと言って、睡眠が不要とは限りませんよ。戦場で得た知識なのですが、極限まで疲労が溜まると逆に眠くなくなるのです。睡魔まで疲労困憊になってしまうのでしょうな。」
保奈美「だったら結構な事だわ。睡魔にはもうしばらく疲労困憊でいてもらいましょう。」カリカリカリカリ…
沙紀「体を壊しますよ?」
保奈美「望むところよ。私の命を燃やしてでも、この計画は進めなければならないの。」
沙紀「…………そうですか…」
保奈美「ところで、ちゃんと連れて来てくれた?まさか連れてこれなかった、とかいう事は無いでしょうね?」
沙紀「とんだ暴君ですな。人を顎で使うのにすっかり慣れていらっしゃる。」
保奈美「…連れて来てくれたの?」
沙紀「そうせっつかんでください。約束通りちゃんと連れて来ましたから。」
保奈美「どんな人間?」
沙紀「英国で機械人形技師をやっていた男です。向こうに居るときに酒場で知り合ったんです。…腕は確かですよ。」
保奈美「……そう、ご苦労様。」
沙紀「……それだけですか?」
保奈美「何よ、褒めて欲しかったの?」
沙紀「そりゃあ、見つけて連れて来るのにそれなりに苦労しましたからね。労いの言葉ぐらいかけて欲しいものですな。」
保奈美「………ありがとう。…………これでいい……?」
沙紀「及第点ですな。まあ、良しとして差し上げましょう。」
保奈美「…………………………」
沙紀「さてはて、あなたの野望はそろそろ叶いそうですか?」
保奈美「機材が少しと、設計士が一人か二人足りないわ。」
沙紀「それは暗に僕に手配しろと言う事ですか?」
保奈美「代金は必ず払うわ。だから、あなたの人脈を活用して何とか用意してちょうだい。」
沙紀「仰せのままに、お嬢様。…しかし、よく考えた物ですね。製材所を機械人形の工場のカモフラージュに使うだなんて。」
保奈美「>>431」
これしか方法はなかったんだもの
保奈美「これしか方法はなかったんだもの。」
沙紀「北部の政府の許可を得た者以外の機械人形の製造は禁止されておりますからね。」
保奈美「奴らは機械人形の力を自分たちだけの物にしたいのよ。だから私たちが機械人形を作るのを禁止しているんだわ!」
沙紀「反乱など起こされては堪りませんからねぇ。そう、反乱など起こされては堪りませんからねぇ。」
保奈美「……どうして2回言ったの?」
沙紀「大事な事だから2回言っただけですよ。」
保奈美「………っ………兎に角、北部だけに機械人形を独占されている間は、南部に自由はあり得ないわ。」
沙紀「ほう……何故です?」
保奈美「…戦争に巻き込まれてよく分かったのよ。…力のある者は力の無い物を好き勝手にすると言う事に。…力の差がある限り、私たちはいつまでも好き勝手にされる側よ。」
沙紀「力に力で対抗をすると言う事ですか。話し合いで解決出来るとは思えませんか?」
保奈美「ハッ!馬鹿言わないでちょうだい。あんな連中と話し合う余地なんて無いわ!」
沙紀「……………………………」
保奈美「こうしている間にも奴らは南部から奪い続けているのよ?!許せるわけがないじゃない!」
沙紀「連中だって同じ人間ですよ?」
保奈美「北部の肩を持つの?!」
沙紀「一応戦時中は世話になりましたからね。そして、あなたもこれから世話になる。」
保奈美「…っ……!何の事か分からないわね。」
沙紀「トボけたって無駄ですよ。あなたが作りたいのは農業用や工業用の機械人形じゃないでしょう?」
保奈美「…私が何を作ろうが私の勝手でしょ。」
沙紀「僕は構いませんが、北軍の連中はそうもいかんでしょうね。」
保奈美「…………………………」
沙紀「大それた事を考えつく物ですな。こんな芸当あなたにしか思い付かないでしょう。」
保奈美「………いつ気付いたの?」
沙紀「最初からです。蛇の道は蛇と言うじゃありませんか。」
保奈美「……いつかは気付かれるとは思っていたけど………こんなに早くとは…………」
沙紀「ははははは、駐留軍の目は誤魔化せても僕は誤魔化せませんよ。」
保奈美「……絶対に黙っていなさいよ…!…誰かに話したら…………」
沙紀「話すものですか。愛する女性の秘密を喋るほど、僕は口の軽い男ではありませんよ。」
保奈美「………っ……!」
沙紀「………僕はあなたを裏切りませんよ。あなたが例えなにをしようとの。僕はあなたの味方です。」
保奈美「………………………………」
沙紀「だから、安心なさい。」
保奈美「……………………………」
沙紀「他人が信用出来ませんか?…結構、それもまた一つの生き方です。あなたはそんな生き方を選べる稀有な強い人間だ。」
保奈美「…………………………」
沙紀「ですがねぇ、本音を話せる相手ぐらいいなくては寂しいとは思いませんか?」
保奈美「……自分が…その相手になると……?」
沙紀「今までだって、僕にはあなたは本音をぶつけて来てくれたではありませんか。他に同じ事が出来た相手がいましたか?」
保奈美「…………………あっ……」
沙紀「>>438」
少なくとも僕は……そうなりたいと思ってますよ……
沙紀「少なくとも僕は……そうなりたいと思っていますよ……」
保奈美「………………………」
沙紀「スカーレット。…どうせあなたは僕が嫌いなのでしょう?なら、僕から嫌われるのも一向に構わんはずです。僕があなたを嫌いになるなんて、あり得ませんがね。」
保奈美「……………………………」
沙紀「人は他人からどう思われるかが怖くて本音が言えんのです。……その点僕相手なら何の問題も無いとは思いませんか?」
保奈美「……………一理は……あるわね………」
沙紀「でしょう?…契約をしませんか、スカーレット・オハラ。僕はあなたとのお喋りをたのしむ、あなたはその代わりに僕に対して本音を思うがままにぶつけられる。どうです?」
保奈美「……………………………」
沙紀「お互いに損の無い素晴らしい契約だと思うのですが。」
保奈美「……どっちもあなたが得するだけじゃない…あなたは単に私の本音を聞くのが楽しいだけでしょう?」
沙紀「いけませんか?」
保奈美「利益で動く人間は信用出来るわ。利益を与え続ければ、決して裏切らないもの。」
沙紀「………つまり…?」
保奈美「……その契約、結んであげるわ。本音をぶちまける相手が居ないとパンクしそうになるのは事実だもの。」
沙紀「嬉しい限りですな。…あなたの負担もこれで少しは和らぎますかね。」
保奈美「………少しは、ね。その代わり容赦は一切しないわよ?」
沙紀「あなたが容赦をしてくれた事なんて一度も無いじゃありませんか。」
保奈美「あら、そうだったかしら?」
沙紀「そうですよ、それが良いのですが。」
保奈美「……なら訂正。これからも一切容赦はしないから。」
沙紀「よろしい。そんなあなたが僕は好きなのです。」
保奈美「フン、ありがとう。」
沙紀「いいえ。」
保奈美「…………ついて来なさい。あなたには隠し事をしたところで全て無駄みたいだから。」
沙紀「やっと学習してもらえましたか。」
保奈美「ええ、我ながら遅すぎた事だと思うわ!」
沙紀「……これで僕も正式にあなたの仲間と言う事ですか。」
保奈美「……仲間じゃなくて一味よ。」
沙紀「一味ねぇ……何をするつもりなんです?」
保奈美「分かってて聞くのね。まあ、いいわ。……ちなみに聞いたら…………」
沙紀「迷うとお思いで?」
保奈美「……そうだったわ。あなたってそう言う男だったわ……レット・バトラー。」
沙紀「…………………………」
原田豆腐店 地下ガレージ
美世「……ここをこうして……こうすると…………」ギッギッギッギッギッ
美世「……こうなるんだよね……っと!」ガキン!
美世「……ふぅ………………」ゴシゴシ
美世「……………………あっ…!……またやっちゃった…………ついうっかり手のひらで汗を……………」ピト
美世「…………………………」
美世「……だよねー…………あー、後でお風呂入らないと…………顔にオイルついちゃった…」
美世「………そう言えば今日舞台って言ってたっけ…拓海ちゃんたちからも招待状もらってたよね。」
美世「…………行けば良かったかなぁ……ちょっと興味あったし。…………でも、オイルの匂いがするような女の子が行くような場所じゃないよね、あはは。」
美世「そう言う場所って今まで縁がなかったからマナーとか分かんないし……運転マナーなら自信があるんだけど。」
美世「………どうせ行っても場違いだよね。軽で峠に挑むようなもんだよ。」
美世「………………………………」
美世「……行けなかった事……謝っとかないとなぁ…………」
美世「>>447」
……おっ、電話だ。誰かな?
はい、もしもし……あっ、ハーレー博士!お久しぶりで……え?Q君がうちに来てないかって?いえ、全然来てないですけど……
……あっ、そうだ!ここにはいないけどQ君のいそうな場所なら分かります、今から迎えに行きますから、一緒に行きましょう!
大月ウルフまで登場してしまうとは……
ハーレー博士(愛車はHONDA)
再開します
美世「……………………」
携帯電話<テテテーテッテッテテテー♪
美世「………おっ、電話だ。誰かな? 」ガサゴソ
携帯電話<ムネニ アイヲ ダイテ クールマヲ……♪
美世「はい、もしもし。」ピッ
美世「……あっ、ハーレー博士!お久しぶりで……え?Q君がうちに来てないかって?いえ、全然来てないですけど…… 」
美世「また、どうして急に…………?………えっ、日本まで来たからついでに顔を見たい……?……まったく……最高責任者がそう旅行ばっかりしてたらいけませんよ。」
美世「………分かってますよ。…でもQ君多分仕事の途中ですよ?…あれ、話してませんでしたっけ?Q君アイドルのプロデューサーになったんですよ。」
美世「あははは!確かに意外ですよね、バイクが恋人のQ君が女の子のプロデュースをするなんてさ。」
美世「Q君って女の子からそれなりにモテてたのに、いっつも相手してあげないでバイク弄りばっかりやってましたもん。」
美世「でもやっぱりモテて数少ない女の子を独占するもんだから、男の子たちが『不公平だー!』って。」
美世「………ですよねー、せっかくだから少しぐらい……って思いますよね?」
美世「………………ああ、そんな事もありましたね!…ふふっ………それ以来あだ名が『マスクドライダー』になって……」
美世「そうそう、何故かあたしまで巻き添えでそう呼ばれるようになっちゃったんですよ。」
美世「……あはは……ほんと、研究所に居たときはQ君ともどもお世話になりました!」
美世「…………………」
美世「あはははは………ごめんなさい………いやぁ……あたしも若かったって言うか、車に触れるのが嬉しかったって言うか………」
美世「はぁ………分かりました。……………あっ、そうだ!ここにはいないけどQ君のいそうな場所なら分かります、今から迎えに行きますから、一緒に行きましょう!」
美世「……………いやいやいやいや、博士には絶対運転させません!博士の運転が平気なの博士だけじゃないですか!」
美世「車に酔ったのは後にも先にもあのときだけですよ……もう……」
美世「ちゃんとサイドカーごと積めるので迎えに行きますから。…………ふふっ、そう言う事でお願いします。」
美世「…………………」
美世「はい、あたしの運転テクを楽しみにしておいてくださいね♪すぐに迎えに行きますから。じゃあ、また後で。」ピッ
美世「……ふう………何だか行く事になっちゃったよ……リボルギャリーって停められ……………あっ………」
携帯電話「オイル塗れ。」
美世「……またやっちゃった……………携帯電話はお風呂には入れられないよね………」
公演会場 外 関係者用駐車場
Q「ふぃー……!お芝居自体はけっこー面白いんだけど……どうも長時間同じ場所に居るのって苦手なんだよなぁ。」
Q「風を感じてないと体が凝るの何の……あー……ツーリング行きたい………」
???「そんなんでこれからやって行けるのか?私としては疑問を呈さざるを得ないな。」
Q「へーきへーき、俺ってやる時はやる
男だから。」
???「今は?」
Q「今日は試運転だからノーカウント。」
???「…………………………」
Q「もう……そう真面目な顔すんなって。固すぎ、もっと力を抜いて行こうぜ?。」
???「モトラドに不可能な事を求めないで欲しいものだな。」
Q「モトラドにだってもっとお気楽な奴とか居ると思うよ?」
???「それはそれ、私は私だ。」
Q「お前は俺のオカンか。」
???「保護者と言う意味ならば、あながち間違いではない。お前は私が居なければ何をしでかすか分からないからな。」
Q「へーへー。」
???「>>459」
↑+Q「たくみんはともかくPにーさんが心配とか嘘でしょ?『こんな可愛い娘の居る家に他の男を住まわすのは癪で仕方が無い』とか言っちゃうような人だぜ?」(雪美から聞いた)
???「1日でも早く“彼ら”を撲滅せんと躍起になる気持ちもわかるが……拓海殿やP殿にあまり心配をかけるものではないぞ? 私と『ネクストシステム』はそのためにあるのではないのだからな。」
Q「………………………」
???「お前が暴走しないように見張るのも私が彼女から託された使命の一つだ。」
Q「………分かってるさ。」
???「お前の目的に口を挟むつもりはない。だが、手段には口を挟ませてもらう。」
Q「……口無いじゃん。」
???「真面目に聞け。」
Q「……………………………」
???「そうやって、ふざけて誤魔化すのはお前の悪い癖だ。」
Q「…………………………」
???「………………………」
Q「………迷惑をかけるつもりは無いさ。これは俺の問題で、俺の復讐だ。……最初から俺一人で全てカタをつけるつもりだよ。」
???「可能だと思っているのか?」
Q「出来るかじゃない、やるんだよ。奴らは俺がこの手で、この世から一匹残らず撲滅する。」
???「………………………」
Q「……はぁ……………らしくねえよな、本当……俺が敵討ちなんて律儀な真似をするなんかさ。……そう思うだろ?」
???「同意が欲しいのか?」
Q「いや、訊いてみただけ。…お前からしたら、何て答えようもないよな。」
???「………………………」
Q「………俺さ、お前も知ってるとは思うけどさ、目的に向かって走り出すと一直線なんだよ。…周りが見えなくなるんだ。」
???「お前とはそこそこ長い付き合いだ。身に染みて知っているよ。」
Q「ははは、言ってくれんじゃん。…………つまりさ、周りの心配をするとか、迷惑がかかるかどうか考えるのとか苦手なわけ。」
???「それも知っている。良くも悪くも一途なのは評価するよ。」
Q「どーも。でさ、そんな俺の事なら何でも知っているお前にしか頼めない事が……………」
???「任せておけ。……どうせ、『自分の代わりに周りの心配とかそう言うのをして欲しい。』とか、そう言うところだろう?」
Q「ひゅー!さすがは俺の相棒!……と、言うわけでよろしく頼むぜ?」
???「私の言う事は素直に聞くんだぞ。」
Q「…オッケー。」
???「………………はぁ…………」
Q「で、それはそれとしてさー…」
???「今度は何だ?」
Q「いやさ、たくみんはともかくPにーさんが心配とか嘘でしょ?『こんな可愛い娘の居る家に他の男を住まわすのは癪で仕方が無い』とか言っちゃうような人だぜ?」
???「私にはお前の周りの人間全員を気遣う義務がある。質問の意図が掴めないな。」
Q「………そう言う意味じゃなくてさぁ……」
???「………どう言う意味だ?」
Q「……常識的に考えなよ。セクハラが筋肉着て歩いてるような大男と、か弱………くはないけど可愛い女の子だぜ?」
???「…戦闘能力と言う意味なら……………」
Q「だからそう言う意味じゃないっての。融通が利かないと言うか固いと言うか………」コンコン
???「金属で出来ているのだから仕方がないだろう。」
Q「そりゃ……柔らか素材で出来てるバイクってのも何か嫌だけどさぁ……」
???「そうだろう?」
Q「…って、今は材質とかそう言う事を言ってるんじゃねえの!いいか、たくみんは俺の可愛い妹だ。ここまで分かるな?」
???「ああ。」
Q「でもって、たくみんはまだまだ弱い。…10年ちょい振りに会って、見違えるぐらいに強くはなっていたけど………それでもまだまだだ。」
???「…………ふむ…」
Q「一方、にーさんはにーさんだ。やっぱり、どこまでもにーさんだった。…俺の知ってる強いにーさんだった………リベンジしたくても敵いそうにないよ。」
???「…よく分からないな………お前より戦闘能力が高くは見えないが………」
Q「>>468」
↑それにああ見えて頭も切れるし、人間としての器の大きさも何だかんだで違うしさ……そりゃ、“マッハ”に変身すれば間違いなく俺が勝つと思うけどね?
安価把握
一時中断します
再開します
Q「人間ってのはな、守るべき物が多ければ多いほど強くなるもんなんだよ。今のPにーさんは奥さんやたくみん、その他たくさんの友人や仲間がいる。下手にバトっても今は絶対に勝てないよ。」
???「…………………………」
Q「それにああ見えて頭も切れるし、人間としての器の大きさも何だかんだで違うしさ……そりゃ、“マッハ”に変身すれば間違いなく俺が勝つと思うけどね?」
???「…………………………」
Q「でもさ……それって勝ちって言えると思う?…俺は思わないね。」
???「……少なくとも、卑怯どころではないな。」
Q「そ、そんなの腕相撲でこっちだけクレーン車を使うようなもんだよ。」
???「だが、敗北とも言えないと思うが……」
Q「いいや、負けるね。クレーン車に素手で挑んで来るような相手には勝てないよ。」
???「それは己の力量を測れないだけではないのか?」
Q「確かにそー言う奴もいるかもね。なら訂正、分かってて挑んで来るような相手には絶対に勝てない。気持ちの上で負けてるからさ。」
???「どう言う状況なんだ……それは?」
Q「さあね。たださ、にーさんは誰か.特に可愛い女の子の為ならそんな勝負でも……いや、もっと不利な勝負でも確実に受けるって話。」
???「…それでは……………」
Q「……そして、にーさんは必ず勝ってきた。どんな奴らが相手でも、必ず最後に立ってるのはにーさんだった。」
???「…………………………」
Q「俺が勝負を挑んだって同じだよ。にーさんは絶対に倒れない。なら、最後に倒れてるのは俺だろ?………勝てるイメージすら湧かないね。」
???「…………………………」
Q「……お前だって知ってるだろ?守るために戦った人間の強さを。…………あいつだって……勝ったじゃないか。」
???「…………そうだったな。」
Q「……要するに…要するに……………要するに…………何?」
???「私に聞くな。…………だがまあ……言いたい事は理解した。……そう言うことか…………」
Q「…………………………」
???「私の認識不足だったようだ、Q。……まだまだ学ぶべき事は多いようだ。」
Q「………そー言う事。」
???「…………………………」
Q「……………………………」
Q「………よっと。」カチャ スッ スッ
Q「……うわ、マジか?!」
???「…………どうした?」
Q「劇場内で電源切ってる間に何か連絡が来てないか確認したんだけど……案の定だった。……美世ちゃんがハーレー博士を連れてこっちに来るって!」
???「美世がハーレー博士と?!」
Q「そ、旅行中に気が向いたから…だってさ。」
???「……はぁ………相変わらずの自由人だな。」
Q「アクロバッターの言う通りだよ。」
アクロバッター「………その名は止めろ。」
朝 アトランタ ケネディの家
保奈美「………………………」
愛海「………大丈夫…?……このところ顔色がずっと悪いけど………」
保奈美「………疲れているだけよ…」
愛海「…………………………………」
保奈美(……早く機械人形の生産を軌道に乗せないと………)
愛海「……ねえ、スカーレット。」
保奈美「………何…?」
ライドマッハーじゃないの!?
愛海「………最近製材所に泊まり込みでいることが多いけど………そんなに大変なの…?」
保奈美「……色々する事があるのよ…」
愛海「……………そう……」
保奈美(…実際製材所の経営もしなきゃならないしね……)
愛海「………………それって……そこまでして…やらないといけない事なの……?」
保奈美「>>479」
そうでないならどうして製材所にこもる必要があるの?
>>477
ライドマッハーはその………うん……
だって喋りませんし…………
保奈美「そうじゃないならどうして製材所にこもる必要があるの?」
愛海「……ご、ごめん…………」
保奈美「………………………」
愛海「………………………」
保奈美「製材所は私が回さなかったら破綻してしまうわ。そうなったら困るでしょう?」
愛海「……それは………分かる……けど…………」
保奈美「…………けど?」
愛海「…………け、けど……だけどさ…………」
保奈美「だけど……何よ…?」.
愛海「…………私からしたら……スカーレットが元気で居てくれた方が……………」
保奈美「え?何ですって?」
愛海「…………な、何でもない……」
保奈美「何でもないって事はないでしょう?」
愛海「…ううん……本当に何でもない……から………」
保奈美「………………………」
愛海「……ちょっと心配になっただけだから………うん…………」
保奈美(……何でもないなら時間を使わせないでよ…あと1時間以内に製材所に行かないといけないのに…)
愛海「…………ホント…それだけだから…」
保奈美「…………………………」
愛海(…………今日も……何も言えなかった………)
保奈美(………何なのよ…もう…)
〜〜〜
愛海「……今日も………スカーレットが出かけるのを………止められなかった…………………」
愛海「………何も今日は………出掛けなくても良かったのに………ミード夫人の占いでも……今日は厄日らしいのに…………」
愛海「……これでもし…スカーレットに何かあったら………………………………」
愛海「……………………………」
愛海「………大丈夫…かな…………?」
愛海「…………………………………」
愛海「…………嫌な胸騒ぎがする……」
馬車 車内
ガタガタガタガタ……
保奈美「………………はぁ………」
巴「……………………………」
保奈美「…………………………」
巴「………………………………」
保奈美「…………ピーター…」
巴「…………ん?」
保奈美「…その……………」
巴「む……少し待て。…はいやっ!」
パァァァァァン!
馬車馬「ヒヒーン!」
ガタガタガタガタ…………ガタッ
巴「………………………………」
保奈美「…………えっと………」
巴「見てみい。この先工事中につき通行止め……そう言う風に立て札に書いてあるじゃろうが。」
保奈美「…………あっ…(考えごとをしていて気が付かなかった……)」
巴「……フン……北軍の奴らめ、街を好き勝手にいじり回しおって………何様んつもりじゃ。」
保奈美「…どうするの?」
巴「どうするも何もちいと物騒じゃが、裏路地を迂回していかん事にはどうにもならんじゃろうが。」
保奈美「……あ、ああ………そうね………」
巴「……………………」
保奈美「………?」
巴「……わしに何か用があるんと違うんか?」
保奈美「>>487」
どうしてそう思うの?
保奈美「どうしてそう思うの?」
巴「………あんた…大丈夫か……?…あんたが呼びかけてきたんじゃろうが。」
保奈美「………………………………」
巴「…………はぁ………しっかりせえよ…疲れとるからっちゅうんにも限界があるぞ?」
保奈美「………………………」
巴「……今日はこんまま帰るぞ。」
保奈美「……あっ……ま、待って!」
巴「待てん。」
保奈美「お願い、私は工場に行かなくちゃいけないの!」
巴「………………」
保奈美「今日は大事な仕事があって………そう……せめて、今日だけ!……今日だけは連れて行って…!」
巴「………………………」
保奈美「…今日の…仕事さえ済めば、しばらくゆっくり出来るから………!」
巴「………………………」
保奈美「……ピーター………!」
巴「………あんたの事じゃ。どうせ…………」
保奈美「嘘じゃないわ、本当よ!……だから………ね?」
巴「……………………………」
保奈美「…………………………」
巴「……そん言葉、信じてええんじゃな?」
保奈美「…………ええ……」
巴「……………………………」
保奈美「……………………………」
巴「…………はぁ………そん状態なら、悪知恵も回らんじゃろ………あんたを満足させるには、あんたの言う通りにしてやるしかないけぇ…………」
保奈美「………じゃあ……!」
巴「今日”だけ”じゃ!ええな?」
保奈美「……ええ……ありがとう……」
巴「…………ったく……………つくづく業突く張りな………………」
ピティパット叔母の家 寝室
保奈美「……………えっ…?」
菜々「やっとお目覚めになりましたね、スカーレット嬢様。」
保奈美「……………えっ………えっ…………?」
菜々「丸三日間も眠り込んでおられたんですよ?」
保奈美「…丸三日…………誰が……?」
菜々「あなた以外に誰が居るんですか?」
保奈美「………………………………」
菜々「………いつの記憶までありますか?」
保奈美「えっと………ピーターに製材所に連れてもらって行って………それから、裏路地に入って……………」
菜々「それから?」
保奈美「……それから………………」
菜々「……そこまでという事ですか。分かりました。」
保奈美「………………何が………あったの………?」
菜々「…………………………」
保奈美「………ねえ……何が……あったの………?」
菜々「…スカーレット嬢様の乗った馬車が、北部のならず者どもに襲われたんですよ。」
保奈美「…………………………」
菜々「軍隊崩れの連中だったようで、武器を持っていましてね。それで馬車の車輪を破壊したんです。」
保奈美「……………………………」
菜々「>>495」
馬車が壊されたのと馬車の中にあった金品を盗まれただけで済んだのが不幸中の幸いでした
菜々「馬車が壊されたのと馬車の中にあった金品を盗まれただけで済んだのが不幸中の幸いでした。」
保奈美「…………………………」
菜々「もちろん、馬車に乗っていたスカーレット嬢様とピーターは無傷とはいきませんでしたがね。」
保奈美「………ピーターは………?」
菜々「ミード先生の病院に居ます。」
保奈美「………………………」
菜々「…………………………」
保奈美「………悪いの…?」
菜々「歳が歳ですから念のためにです。本人はかなり嫌がっていたらしいですがね。」
保奈美「………はぁ………………」
菜々「今でも寝台の上でへそを曲げ続けているそうですよ。」
保奈美「………そうでしょうね…………ピーターは年寄り扱いされるのが何より嫌いだもの。」
菜々「…ピーターは大丈夫ですよ。ピーターは。」
保奈美「………は?」
菜々「……何でもありません。それより、スカーレット嬢様は具合はどうなんですか?」
保奈美「私……?私は…………っつ…………!」
菜々「……痛みますか?」
保奈美「……体中が…」
菜々「そりゃ体中打ったら体中が痛いでしょうね。」
保奈美「……私……どうなったの………?」
菜々「馬車が壊れた際に地面に投げ出されたようだ、とミード先生は仰っられていました。」
保奈美「……………………」
菜々「その割には目立った外傷が無いと驚いてもおられましたよ。良かったですね、子供の頃から丈夫だったのが役立って。」
保奈美「………………………」
菜々「スカーレット嬢様にもしもの事があれば、エレン様に申し開きができないところでした。」
保奈美「………………………」
菜々「安静にしていれば時期によくなるだろう、との事です。」
保奈美「………………あっ……そうだ!工場……工場は………?!」
菜々「こんな時まで工場の心配ですか………はぁ…………」
保奈美「いいから答えて……!工場は…………」
菜々「安心してください、スカーレット嬢様。……あなたが眠っておられる間は、あのレット・バトラーがあなたに代わって万事を取り仕切っていましたから。」
保奈美「……バトラーが…………」
菜々「今も恐らく工場であなたの仕事を代わりにしていますよ。」
保奈美「……えっと……今から工場に行っ…………っ………!」
菜々「……安静という言葉のご存知ですか?」
保奈美「だって……私が居なかった間の業務報告を………」
菜々「二、三日は安静です。」
保奈美「業務報こ………」
菜々「安静です。」
保奈美「…………………………」
菜々「>>502」
安静が守れなければそれだけ快復が遅れるそうですよ。私はなんとしてでも安静をお守りいただくつもりですから、ご勘弁ください。
安価把握
バイク足るもの会話のひとつや二つ出来るべきだと思うのです(無茶)
お休みなさい
再開します
菜々「安静が守れなければそれだけ快復が遅れるそうですよ。私はなんとしてでも安静をお守りいただくつもりですから、ご勘弁ください。」
保奈美「…………………………」
菜々「今回ばかりはあなたが何と言おうが、私の言いつけを守ってもらいます。分かりましたか?」
保奈美「………………………」
菜々「……返事。」
保奈美「…………………………」
菜々「………………返事。」
保奈美「………っ………わ、分かったわよ………」
菜々「……ご不満なのはよーく分かりますがねぇ、こっちにも立場という物があるんです。それを分かって欲しい物ですね。」
保奈美「………………………」
菜々「あなたがいくら嫌がろうと、安静にさせて早く良くなってもらうのが私の役目です。」
保奈美「……………………………」
菜々「最悪寝台に縛り付けてでも安静にしていてもらいますからね。それが嫌なら大人しくしておく事です。」
保奈美「…………………………」
菜々「……………………………」
保奈美「………寝台に縛り付けられるのは御免ね。」
菜々「縛り付けなくて済むなら縛り付けませんよ。」
保奈美「……はぁ………マミーの言う通りにしておいてあげるわ……」
菜々「ありがとうございます。」
保奈美「…………………………」
菜々(………色々と尋ねて来ないところ
を見ると、まだ頭は回りきっていないようですね。……今は好都合です。)
保奈美「………はぁ…………………」
菜々「……お茶を淹れてきて差し上げましょう。」スクッ
保奈美「……………お願いするわ。」
菜々「…………………」
スタスタスタスタ……ガチャ バタン
保奈美「………………………」
スタスタスタスタ……
保奈美「………バトラー…が…………なら……心配は要らないわね…………あの男なら……ちゃんとやってくれるわ………」
保奈美「……………………………」
保奈美「………もう少しだけ……眠ろう…………」
保奈美「……………………………」
一階
菜々「………………………」
沙紀「……どうやら僕は、製材所に篭っていなければならなかったようですな。」
菜々「………………………」
沙紀「実際のところは、お嬢様がおられる下の階で優雅にお茶を楽しんでいるのですがね。」ズズズ……
沙紀「……おや、これは美味い!…マミー、僕に雇われてみるつもりはありませんか?」
菜々「すみませんが私はオハラ家に死ぬまで尽くすと決めてるんです。他を当たってください。」
沙紀「それは残念です。明日から美味しいお茶が飲み放題かと思ったのに。」
菜々「…………………………」
沙紀「この頃の茶店と来たら、高い茶葉さえ使えば美味い茶ができると…………」
菜々「……バトラー船長。」
沙紀「………何です?」
菜々「…私はあなたの事が大嫌いです。卑しむべき山師と思っています。」
沙紀「ありがとうございます。」
菜々「……ですが………今回の件に関しましては、お礼を言わせてもらいます。…………どうも…ありがとうございました。」
沙紀「お礼なぞやめてください。僕はただ友人たちと遊んだだけなのですから。」
菜々「……あなたが何のつもりで、そんな事をしたのか検討もつきませんが
……あなたが用意してくださった証言がなければ、たくさんの方々が縛り首にされた事になったでしょう。」
沙紀「…………………………」
菜々「…………………………」
沙紀「…これに懲りたら、ならず者どものを壊滅させようなどと意気込んで、アジトに乗り込んだりしない事ですな。」
菜々「………知っていたらお止めしました。」
沙紀「あなたに言っているのではありませんよ。……尊敬すべき南部の紳士諸君に対して言っているのです。」
菜々「……………………………」
沙紀「もう少し後先を考えて動かれるべきですな。成る程、奇襲でならず者共を成敗したところまでは良かった。ですが、結果としては進駐軍に見つかり、撃ち合いになってしまったではありませんか。」
菜々「………………………………」
沙紀「…奥様が傷付けられて、限界まで怒りを溜めこんでた堪忍袋が破裂してしまったのは分かりますが…………」
菜々「……あなたにはお分かりにならないかもしれませんが、それが南部人の誇りです。」
沙紀「戦争が終わった今、北軍の銃弾で命を落とす事が、ですか?おかげさまで、あの人は晴れて二度目の未亡人だ。」
菜々「………………………」
沙紀「>>513」
私は誇りなどという言葉で全て片付くと思う輩が一番嫌いなんですよ
沙紀「私は誇りなどという言葉で全て片付くと思う輩が一番嫌いなんですよ。」
菜々「………………………」
沙紀「あなたはそれを知っていてわざと仰られたのでしょうが。」
菜々「ええ、あなたが嫌がるだろう言葉をわざと選びました。」
沙紀「ははははは、僕を好いてくれる人間は一人たりとも存在しないようですね。」
菜々「口に出せないような女なら居るのではないですか?」
沙紀「さあ、どうでしょうね?」
菜々「否定はしないんですね。」
沙紀「恥とは思っていませんから。」
菜々「………………………」
沙紀「金では愛は買えないので、代わりの物を求める事の何がいけないのです?」
菜々「全部ですよ。紳士のする事ではありません。」
沙紀「僕は紳士ではありません。」
菜々「……………………」
沙紀「……ふぅ…………今はこんな事を論じている場合でしょうか………?」
沙紀「僕の日頃の行いが、名誉を汚すか汚さないかは置いておいて、これからについての話し合いでもした方が幾らか建設的だとは思いませんか?」
菜々「………………………………」
沙紀「紳士でない男に、立派な紳士であられた有志諸君が救われたのは癪でしょうが。」
菜々「……………………………」
沙紀「……ああ、お茶をもう一杯もらえませんか?」
菜々「………畏まりました。」
沙紀「この訪問が終わったら、もう一生あなたのお茶を飲める機会など巡って来ないでしょうからね。今のうちに飲んでおかねばなりますまい。」
菜々「…………」スッ コポコポコポコポ……
沙紀「………………………」
菜々「………………………」
沙紀「……僕にとっちゃ誇りなんかより、その日の午後お茶の味の方が大切なんですよ。言葉と違ってお茶の味は誤魔化しがききませんからね。」
菜々「………………………」
沙紀「……………………………
菜々「………お茶です。」スッ
沙紀「ありがとうございます。」スッ
沙紀「………」ズズズ……
沙紀「………ふぅ………どうやったらこんなに美味い茶を入れられるのですか?」
菜々「あなたにはお教えしません。」
沙紀「………………………」
菜々「…………………………」
沙紀「……あなたのそう言うところは実に尊敬できますよ、マミー。」
菜々「……………ふん…」
沙紀「あなたは何でも誤魔化さずにズケズケと言う。まったく、今時珍しい正直な人間ですよ。」
菜々「…………………………」
沙紀「で、そんな正直なあなたは、いつぐらいにスカーレットに哀れなケネディ氏の事を伝えるのです?」
菜々「……まだ早いです。スカーレット嬢様は今はまだ朦朧とされていますから。」
沙紀「1週間もしたら葬儀を出さないといけないと言うのに?」
菜々「>>521」
今報告しても1週間後に報告しても同じならせめて、後回しにしたいので……
菜々「今報告しても1週間後に報告しても同じならせめて、後回しにしたいので……」
沙紀「ほう………それは何故です?」
菜々「……分かりませんか?」
沙紀「分かりませんね。」
菜々「………………………」
沙紀「ケネディ氏の事を教えてあげたところで、あの方は何とも感じませんよ。」
菜々「……かもしれませんね………」
沙紀「間接的に自分がケネディ氏を死なせてしまった原因である、と言う事実には若干は傷つくかもしれませんが……それだけでしょうね。」
菜々「………………………」
沙紀「…ケネディ氏の行動を非難するわけではありません。だが………甲斐がなかったですね。」
菜々「………………………」
沙紀「彼は愛すべきもののために命を捧げた。ところが………という訳でした。」
菜々「………………………」
沙紀「早く知らせてあげた方が喜ぶかもしれませんよ?きっと、彼女は大喜びしますから。」
沙紀「哀悼の意を捧げる振りなどしなくとも…………」
菜々「…それでも、フランク様はスカーレット嬢様の旦那様であられました。」
沙紀「………それがどうしたって言うのです?」
菜々「私には私の信念があります。……そう言う事です。」
沙紀「……………………………」
菜々「話はそれだけですか?」
沙紀「………参りました。それを言われちゃ僕からは手も足も出せません。」
菜々「…………………………」
沙紀「お茶、ご馳走様でした。」スクッ
菜々「………お帰りになられるのですか?」
沙紀「ええ、いつまでも製材所に戻らない訳にもいきませんか。」
菜々「…そうですね。」
沙紀「……………また……近い将来にお会いしましょう。」
菜々「……………………………」.
1週間後 スカーレットの寝室
菜々「具合はどうですか?」
保奈美「………まあまあね……1週間もじっとしてると体が鈍って仕方がないわ。」
菜々「それは我慢してください。ミード先生にも私にもどうしようもありませんから。」
保奈美「分かってるわよ。………はぁ…………早く工場の様子を見に行きたいわ………」
菜々「もう二、三日だけの辛抱ですよ。そうしたら、あなたの大好きな工場なり何なりに好きなだけ足を運んで構いませんから。」
保奈美「……あと三日………はぁ………………」
菜々「…………………………」
保奈美「…………ああ……そうだ………フランクには……フランクには何て言ってあるの………?」
菜々「………フランク様……ですか………」
保奈美「私がピティパット叔母さんの家で寝てる事について………あら、そう言えば、私は何故ピティパット叔母さんの家で寝ているの…………?」
菜々「……………………………」
保奈美「…………マミー……あなた何か………………」
菜々「……静かに聴いてください、スカーレット嬢様。………良いですか、本当に静かにして、聞いてくださいよ。」
保奈美「……………………」
菜々「………………実は…………」
〜〜〜
保奈美「…………フランクが……」
菜々「……………はい…」
保奈美「………………馬鹿ねぇ………金のために結婚した女のために……死ぬなんて…………」
菜々「………………………」
保奈美「…まさか……フランクに…………仲間を集めてならず者たちのアジトに…殴り込む勇気が………あっただなんて…………」
菜々「……………………………」
保奈美「>>530」
(無言だがスーッと涙が)
安価把握
一時中断します
再開します
保奈美「…………」スー……
菜々「……………………」
保奈美「………っ………馬鹿ねぇ………本当………馬鹿よ……………小心者なら……ずっと………小心者でいなさいよ………………」
菜々「…………………」
保奈美「……あなたは………利用されていただけなのに………そんな…………もう…………何なのよ……………どうして………なのよ……………」
菜々「……ハンカチが…必要ですか?」
保奈美「…………」コク…
菜々「…………………」ス……
保奈美「……………………」ギュッ……
菜々「………あなたばっかりが…悪いんじゃありませんよ…」
保奈美「………いいえ………私が………フランクを………殺してしまったのよ………っ…………」
菜々「フランク様を殺したのは、あなたじゃありません。……北軍です。」
保奈美「……でも……始まりは…私が原因でしょう………私………怖いわ…………怖くて仕方がないの………………」
菜々「何が怖いんですか……?」
保奈美「……あいつらが………私を笑っているのよ…………またよ………またなのよ………………」
菜々「……………………………」
保奈美「……そうだ………フランクが………必ず不幸になることが………分かっていて…………私は…………………………」
菜々「………………………」
保奈美「………自分が………怖いわ…………っ………………」
菜々「……………………」ギュッ……
保奈美「………っ………愛してなんか………いなかった………はずなのに……………………」
菜々「…………………………」
保奈美「……ピーターが……引き返すって言ったのよ…………なのに………私が………っ…………………」
菜々「……………………」トン…トン…
保奈美「…………っ………ううう………………」
菜々「……………………」トン…トン…
製材所 経営者室
保奈美「…………………………」
保奈美「………っ…………うう…………………ううう……………っ………っ…………………」
保奈美「………ああ………恐ろしい………………私は…………っ…………うう…………………」
保奈美「……私には………もう………この……工場しかない……………」
保奈美「………しっかり………しなきゃ……………しっか…………っ…………うう………………」
保奈美「……………っ…………だめだ………もう…………………」
保奈美「………私が………こうやって………お金のために………工場に…………行こうとしなければ………………………」
保奈美「…………っ………………っく………………私は………………」
沙紀「スカーレット・オハラ!」
保奈美「っ?!」ビクッ!
沙紀「そこの帳簿の計算、間違っていますよ。」
保奈美「………………ああ………そう……ね…………」
沙紀「…………………………」
保奈美「……えっと………計算を…直さないと………えっと…………えっと………えっと………」
沙紀「落ち着きなさい。……大丈夫ですか…?ケネディ氏たちの葬儀以来、ずっとそんな調子ですが………」
保奈美「フランクたち!…そう………そうなのよ………私のせいで………フランクも含めて………3人も…………」
沙紀「彼らにもう少しピストルの覚えがあれば良かっただけの話です。馬鹿な事をしたもんだ………」
保奈美「まあ………?!あなたは……何にも知らない癖に……そんな事を言うのね………!」
沙紀「…………事実ではありませんか。」
保奈美「…………っ………!」
沙紀「>>540」
ピストルの撃ち方さえ知っていれば、死にはせずにせめて重症で済んだはずです。
沙紀「ピストルの撃ち方さえ知っていれば、死にはせずにせめて重症で済んだはずです。」
保奈美「フランクだってピストルの撃ち方ぐらい知ってたわ!だって……軍隊に居たのよ?!」
沙紀「軍隊に居る人間が全員射撃の名手という訳ではありません。もしそうだっなら、北軍相手にもう少し善戦できていたと思いますよ。」
保奈美「な、何よ…?!……フランクが死んだのは……フランクに射撃の腕前が無かった所為って言ってるの?!」
沙紀「少なくとも……あんたの所為では無いと言ってるんですよ。」
保奈美「………っ……!知った風な口を聞かないで!」
沙紀「フン……馬車が襲われたのはあなたの所為ですか?ケネディが勝手に敵討ちに行ったのはあなたの所為ですか?その結果として、北軍に撃たれたのはあなたの所為ですか?え、どれもあなたの所為ではないではありませんか?」
保奈美「…わ、私が……ピーターの言う事を大人しく聞いておけば、こんな事には………」
沙紀「そんなの今になったからこそ分かる事じゃないですか。結果としとそうなっただけで、行動自体は悪じゃない。」
保奈美「いいえ、私が………!」
沙紀「諄い…!……じゃあ、逆にあなたが今回の事件を引き起こした半日だとして………それが何なのですか?!
」
>>543訂正
沙紀「フン……馬車が襲われたのはあなたの所為ですか?ケネディが勝手に敵討ちに行ったのはあなたの所為ですか?その結果として、北軍に撃たれたのはあなたの所為ですか?え、どれもあなたの所為ではないではありませんか?」
保奈美「…わ、私が……ピーターの言う事を大人しく聞いておけば、こんな事には………」
沙紀「そんなの今になったからこそ分かる事じゃないですか。結果としとそうなっただけで、行動自体は悪じゃない。」
保奈美「いいえ、私が………!」
沙紀「諄い…!……じゃあ、逆にあなたが今回の事件が引き起こされた元凶だとして………それが何なのですか?!
」
保奈美「…何なのですかって………?!そんなの………!」
沙紀「あんたが撃ち殺した訳じゃないでしょう?…ったく……たかだか3人じゃないですか?僕は自分の意思で、自分のピストルで同じ数の北軍を撃ち殺しましたよ。」
保奈美「…………っ…………」
沙紀「どうです、僕に比べたら、あなたなんて可愛いぐらいだと思いしますか?」
保奈美「……………………………」
沙紀「気にしちゃいかんですよ、周りが何と言おうがあんたには関係が無いんですから。」
>>545訂正
保奈美「…何なのですかって………?!そんなの………!」
沙紀「あんたが撃ち殺した訳じゃないでしょう?…ったく……たかだか3人じゃないですか?僕は自分の意思で、自分のピストルで同じ数の北軍を撃ち殺しましたよ。」
保奈美「…………っ…………」
沙紀「どうです、僕に比べたら、あなたなんて可愛いぐらいだと思いませんか?」
保奈美「……………………………」
沙紀「気にしちゃいかんですよ、周りが何と言おうがあんたには関係が無いんですから。」
保奈美「…それとこれとは……全然違う話よ。」
沙紀「違いやしませんよ。つまるところ、どちらも人が死んだ。それだけの話ではありませんか。」
保奈美「フランクは…………!」
沙紀「あなたとケネディには悪いと思いますが、僕はケネディを支持せんです。 と、言っても行動を非難している訳じゃない。結果を非難しているんだ。」
保奈美「…どういう意味よ……?」
沙紀「頭が回るあんたはどこに行ったんです?…はぁ…………ですからね、僕も同じ立場だったら同じ事をしただろう、と言う話です。」
保奈美「…あなたが…………?」
沙紀「ええ、僕だってスカーレットをそんな目に遭わせるような奴らが居たら、片付けに行きますよ。…計画に参加出来なかったのが残念だ。」
保奈美「…………………………」
沙紀「行動としちゃあ、合格だ。だが、死ぬのだけはよくない。」
保奈美「……っ……死にたくて死んだ訳じゃないわよ……!」
沙紀「そりゃそうですよ。死にたくて死ぬ人間なんていない、死ぬしかないから死ぬんだ。」
沙紀「ですがねぇ、よーく考えてみてくださいよ。今回の復讐は誰の為のものだったんです?あなたでしょう?……だったら、あなたはさも溜飲が下がったような顔をしてなきゃいかんはずだ、だがどうだ?まるで生気が抜けてしまってるじゃないですか。」
保奈美「………………………………」
沙紀「それはフランクが死んでしまった所為でしょう?……だったら、フランクは結局あなたを不幸にしてしまった事になる。」
保奈美「……そんな言い方……………」
沙紀「…死ぬぐらいなら、大人しく慎ましく暮らしておけば良かったんです。…そうすればあなたを不幸にする事はなかった。」
保奈美(……確かに………勇敢な行為をしてくれたのには………………けど……それよりは………………)
沙紀「腕に覚えが無いなら無茶はせんことです。……誰一人得をしない。」
保奈美「………………………………」
沙紀「ケネディは立派だったかもしれませんが、あなたを悲しませた……………それは僕からしたら許せんのですよ。」
保奈美「…………何でよ…………?」
沙紀「愛する女性の涙を無視できる男が居ますかね。」
保奈美「>>551」
またそうやって、自分ならそうはさせないと言いたげに!
保奈美「またそうやって、自分ならそうはさせないと言いたげに!」
沙紀「そう言っているのですよ。」
保奈美「…………は?」
沙紀「僕はピストルの腕前だって負け知らずですし、そもそもあなたの馬車が襲われるような事態になんぞ陥らせない。」
保奈美「……………………………」
沙紀「あなたの大好きな金だって使い切れんほど持ってます。そして、ちょうど誰かに使う手伝いをして欲しいと思ってたところなんです。」
保奈美「何を……………………」
沙紀「ふむ、これと同じ事を幾度となくされた事はあるはずですがね?」
保奈美「…………ひょっとして…………まさか…………………」
沙紀「まさか……何だと思います?」
保奈美「…………いや……あり得ないわ…!あなた……また私をからかってるんでしょう……!」
沙紀「ははははははは!ご自分の行着かれた答えがそれ程信用出来んですか?」
保奈美「…………………………」
沙紀「じゃあ、僕の方から言わせていただきましょう。……スカーレット・オハラ殿。私レット・バトラーは壺を投げつけられて以来、ずっとあなたに惚れ込んでいました。どうか、僕とご結婚していただけないでしょうか?」
保奈美「………………………………………………………………………………」
保奈美「…………あなた……それ……本気で言ってるの………?」
沙紀「ああ、親愛なるスカーレットは我が内に燃えたる聖なる恋と言う名の激烈なる感情の炎を疑われるか!」
保奈美「………………………………」
沙紀「本気ですよ。さすがに冗談で求婚はしませんよ。僕が本気と言うのは信じられませんか?」
保奈美「…………ええ……まあ……」
沙紀「ふむ、それは困りましたな。どうすれば信用していただけますか?」
保奈美「…………そうね……もう3万ドルこの場で融資してくれたら………」
沙紀「ほら、3万ドルです。」ドサ
保奈美「………………………………」
沙紀「そう言われるかと思って予め用意しておきました。つくづく、あんたは金が好きですね。」
保奈美「………私……あんたを愛してなんかいないわよ………?」
沙紀「大した問題じゃありませんよ。あんたのこれまでの結婚だってそうだったじゃないですか。」
保奈美「……そ、そんな事は………………」
沙紀「いいじゃないですか、愛のために結婚しなくとも。例えば……面当てで結婚したり、財産目当てで結婚したり…………面白半分で結婚したって。」
保奈美「面白半分……?……結婚に面白半分なんて無いわ。あるのは我慢と退屈だけよ。」
沙紀「僕はどちらもあんたにさせるつもりはありませんよ。ははあ、あなたのお母さんは、『女と言うのは、常に三歩後ろを歩いて夫の影を踏まないようにするものです』とかなんとか言って教えたらしい。違いますか?」
保奈美「…………………………」
沙紀「馬鹿らしいとは思いませんか、なぜ女性は我慢しなきゃならんのです。面白おかしく生きちゃいけないんですか?」
保奈美「………………………………」
沙紀「あんたは不運な事に未だ本物の結婚を知らない。僕が教えて差し上げますよ。さあ、イエスと言ってくださいませんか?」
保奈美「……フランクが死んで……まだ…………」
沙紀「体面なんか気にするんですか?それにですね、悲しんだからとか言ってケネディは生き帰りゃしませんよ。まったく、未亡人制度と言う奴は無駄だらけだ。」
保奈美「………………………」
沙紀「僕に恥をかかせんでくださいよ。」
保奈美「…………えっ……と…………」
沙紀「早く返事を言ってくれなきゃ強行手段に出ますよ?毎晩あんたの家の窓の下でギターをかき鳴らしながら、できるだけ大きな声で恋の歌を歌ってやります。」
保奈美「まあ……そんな事をされたら面子が丸潰れだわ!」
沙紀「ええ、面子を潰してどうしても僕と結婚しなきゃならんようにするのが目的ですから。」
保奈美「…あなたねぇ…………」
沙紀「イエスとおっしゃっていただければ万事が解決するのですがねぇ。」
保奈美「…………………………」
沙紀「>>559」
むしろ今からでも……(ギターを出す)
安価把握
キリがいいので今日はここまでとさせていただきます
お休みなさい
再開します
沙紀「むしろ今からでも……」スッ……
保奈美「?!ちょ、ちょっと………!」
沙紀「よっと。あー……あー……ゴホン……『月の雫を……』」〜♪
保奈美「や、止めてちょうだい!」
沙紀「…………何ですか…?人がせっかく気持ちよく歌おうとしているところだったのに……」
保奈美「部屋の外まで聞こえてしまったらどうするの?!」
沙紀「ご安心ください。部屋の外どころか、アトランタ中に響き渡らせますから。」
保奈美「ますます安心できないじゃない!そんな事になったらもう………恥ずかしくて生きていけないわ!」
沙紀「歌うのはあなたじゃなくて僕ですよ?」
保奈美「そう言う問題じゃ……!」
沙紀「『月の雫をほのかに浴び 気高く…………』」〜♪
保奈美「レット!!」
沙紀「はははははははは!」
保奈美「………………っ…!」
沙紀「せっかく一晩かけて考えてきた愛の歌なんですよ?歌わなきゃもったいないじゃありませんか。」
保奈美「ああ……あなたって人はどうして…………!」
沙紀「恋する男と言う奴は総じて馬鹿になるものです。僕だって例外では無かったようでしてね。さあ、あなたが焦らす限り、もっと馬鹿な真似をするかもしれませんよ?」
保奈美「……そんなに私と結婚したいの?!」
沙紀「したいですね。」
保奈美「………………………………」
沙紀「………………………………」
沙紀「スカーレット・オハラ!あんたは馬鹿だ!」
保奈美「な、何よ……急に…………」
沙紀「フン、とぼけたって無駄だ!今、あなたはアシュレ・ウィルクスのことを考えていたでしょう!」
保奈美「?!」
沙紀「ボンクラ共は騙せても、僕を騙す事は出来ませんよ!女性の顔色を読んで何を考えているか当てるぐらい、朝飯前なんですよ!」
保奈美「………………っ…………」
沙紀「自分に求婚をしている相手の前で、他の男……ましてやアシュレ・ウィルクスの事を考えるだなんて……酷い侮辱だとは思いませんかね!」
保奈美「……え………あ………」
沙紀「彼はあなたの為にラブソングを考えるような事をしましたか?よく振り返ってみなさい、彼があんたに何をしてくれましたか?!」
保奈美「……………………………」
沙紀「………はぁ………スカーレット……あなたを幸せにしてあげるのが……僕では……いけないのですか……?」
保奈美「>>567」
(確かに……よく考えてみたら、どうして今までアシュレにこだわってたのかしら……)
保奈美(確かに……よく考えてみたら、どうして今までアシュレにこだわってたのかしら……)
沙紀「…………………………」
保奈美(…アシュレは……私の…………私の…何…………?恋人でも、夫婦でもない…………だとしたら…………何なの…………?)
保奈美(……私たちは愛し合って…………でも…アシュレは今まで一度だってそれを証明してみせてはくれなかった………)
保奈美(私は……アシュレの為に…ずっと頑張ってきたのに……ずっと……待っていたのに……………)
保奈美(……………………………)
沙紀「…………………………」
保奈美(……アシュレは…………アシュレは………………………)
保奈美(……疑う訳じゃないけど…………でも……………アシュレは何時になったら……私を見てくれるの………?)
保奈美(………………………)チラ…
沙紀「…………………………」
保奈美(……私を……見てくれている………本当の…私を…………バトラーは…私を冗談でも……愛していると言ってくれる……)
保奈美(……どんな形であれ、困った時に力になってくれたのは………バトラーだった……)
保奈美(………………………………)
保奈美(……いや、いけない!…こんな男と…アシュレを比べるだなんて……!…あってはならない事よ!)
保奈美(そう……この男は…………!)
沙紀「…………………………」
保奈美(………この…………男……は…………………………)
沙紀「…………………………」
保奈美(……悪人で…………いえ、私ももう立派な悪人じゃない……だと……すれば………………)
保奈美(…………でも……それを認めてしまう事は……アシュ…………)
沙紀「ああ、もう!そんなに迷うって言うのなら………!」スクッ
保奈美「?!」
沙紀「……………」ツカツカツカツカ……ガシッ!
保奈美「……あ…………え、えっと……………………」
沙紀「迷う余地を無くしてやる!」クイ
保奈美「えっ………………」
沙紀「あんたを好きな男がここに居るぞ!」ズキュウウウウウン!
保奈美「〜〜〜ッッッ?!」///
沙紀「…………っふぅ………」
保奈美「………………………………」
沙紀「…………………………」
保奈美「な、な、な、何を………………?!」
沙紀「キスです。」
保奈美「………………………………」
沙紀「口付けや口吸いだとか、接吻だなんて言い方をする事もありますね。」
保奈美「……そ、そういう事を言っているんじゃ………………」
沙紀「お嫌でしたか?」
保奈美「そりゃ……当然嫌に………………」
沙紀「本当ですか?……正直に答えてくだされば、もう一度キスをしてあげますよ。」
保奈美「…………………………」
沙紀「……よろしい、百歩譲ってあんたが誰を愛そうが僕は努力して知らんフリをします。ですがね、あんたをきちんと愛してやれるのは僕だけ、と言う事を理解して欲しいもんだ。」
保奈美「………………………………」
沙紀「結婚すると言ってください。」
保奈美「…………………………」
沙紀「あなたの望む物は何だって用意してあげよう。三度だけだなんてケチな事は言いませんよ。」
保奈美「…………………………」
沙紀「自分の欲求に素直になりなさい。答えは自ずと出ているはずです。さあ………………!」
保奈美「……っ…………わ、分かった……私…………あなたと…結婚するわ…………」
沙紀「>>575」
その言葉に偽りはありませんね?
沙紀「その言葉に偽りはありませんね?」
保奈美「……え、ええ…………無い、わ…………」
沙紀「……………………」ジー……
保奈美「…………………………」
沙紀「……ふふっ……ははっ…………はははははははは…!」
保奈美「え、えっと…………」
沙紀「やった、やったぞ!あはははははははははははは!」
保奈美「………………………………」
沙紀「はははははは……はぁ……いや、これは失敬。ついぞ目的の物を半分手に入れたので舞い上がってしまいましてね。」
保奈美「…………半分……?」
沙紀「あんたが僕を愛するようになってもう半分だ。」
保奈美「…………悪いけど…そんな日は来ないわよ………?」
沙紀「小説で冷淡な妻が段々と夫を愛するようになる話を読んだ事がありませんか?」
保奈美「……私は小説なんか読まないわ。」
沙紀「はははは!それもそうでした。」
保奈美「……あなただって……私を愛してなんかいない癖に。」
沙紀「……その通り。良いじゃないですか、愛のない面白半分同士の結婚だなんて。全くお似合いじゃありませんか。」
保奈美「………それも…そうね…」
沙紀「さあ、スカーレット。明日にはニューオリンズに旅立ちますから、今日中に旅支度を終わせてください。」
保奈美「ニューオリンズ?!……何で?」
沙紀「いつだったか、あんたにロブスターを食べさせる約束をしたっきりだったのを思い出したので。高くて美味い料理という物を食べさせてあげましょう。」
沙紀「それに……いくら気にならないとは言え、街の連中にギャーギャー騒がれたのでは新婚気分が台無しですからね。そうは思いませんか?」
保奈美「まあ……メリウェザー夫人なんかは、この世にこれ以上の罪は無いってぐらいには騒ぎ立てるでしょうね。普段から私のする事なす事全てにケチをつけてたんだから。」
沙紀「あんたが彼女から取り立てをしつこく行っていたのも原因の一つでは?」
保奈美「商品の代金を求めるのはいけない事?」
沙紀「ふむ、至極真っ当な事ですな。」
保奈美「なら私は悪くないわ。」
沙紀「あんたは根っからの悪人ですよ、悪事を働いたら元気になったのがその証拠です。」
保奈美「…………ふん。」
沙紀「ふふふ……では、改めて僕からあなたへのラブソングをお聞きください。」
保奈美「レット…!話が…………」
沙紀「明日から旅立つんです、何の問題がありますか?」
保奈美「…………………ふふっ、そうね…………明日から旅立つのなら関係は無いわね。」
沙紀「……………………」ニヤリ
5部に続く
やっと見えました、100部の終着駅が………次で風呂敷畳めるかな……
次回もこのぐらいの亀具合となってしまう予定です……専業になろうかな…
ガンダムもウルトラマンも仮面ライダーもいる世界……あのゲームの世界ですね
長い戦いもやっと終えられそうです………………
次回までどうかよろしくお願いします
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