女「おっきい・・・」俺「そうかい」 (16)


夏の音楽は夏にしか生き残れないし
蝉だって花だってそう寿命が長いもんでもない。
昼下がりの校舎には
普段聞こえる部活のさざめきも無く
終わりかけた夏休みの残しが
心細くあたり一面に巻かれており、
深い影を白い夏の光でくりぬかれた教室で
俺は静かに、治まらない勃起と闘争を続けていた。

「触っても良い」
「どうぞ」

血管をなぞる彼女の指の皮膚から
欲望が染み込んでく。
純潔を汚したような気になるのは
彼女の指が小さく震えているからで
それはおそらく恐れと興奮と
肉と肉が素肌のまま触れ合う喜びに充ちていて
脳裏で向日葵の黄色い花弁が
太陽を仰ぎ見て鮮やかに生命を燃やす。
そんな幻想を俺は見る。

「あついね」
「夏だからな」

ひっそりとした淫行が
ふと低きへ垂れ落ちる一筋の汗に象徴される時、
いつか老いた己の影に
ハンカチではおよそ拭いきれない
思春期の、今この記憶が蘇ることもあるのだろうかと
そんな杞憂を抱いて
射精と変わらぬ倦怠感に侵されてしまったりもするのだ。

しゃぶれよ。

右耳から左耳へと空っぽの頭ん中
チンポが吹き抜ける。

ゆるせ。
チンポと言う、病だ。

はぁ~チンポッ!
ソウルフルイズビューティフル。

これから電車に乗るけどチンポ少なすぎて窒息しそう。

俺のも合わせて3本しかない。
あとは全部マンコだ。

チンポについて考えよ。
それはお前に備わった唯一の男性器である。

チンポだよ。
黙ってても真空でいきり立って
さっと風吹き抜ける時
颯爽と影だけを落として
存在は既に過去のもの。
チンポです。

ホモではない。
チンポを愛している。
これを失ってしまえばもう次はない。

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