友「ったく……ほら、水飲めよ。少しは楽なんぞ、多分」

女「うん、ありがと」

友「……」

女「……」

友「で、肝心の話がまだ聞けてねぇけど？」

女「う……その話、今になって持ってくるの」

友「今日はそのことで来たんじゃねぇのかよ」

女「だって、友ちゃん聞いてても面白くない話だし……」

友「そんなの関係ねぇだろ。いいから、話せよ」

女「……うん」

女「前に、付き合うことになったって、紹介した男君の話なんだけど……」

友「あぁ、あの茶髪野郎な」

女「茶髪野郎って……他に印象無かったの？」

友「無い」

女「はっきり言ったね。まぁいいけど……」

友「んで、ソイツがどうしたんだよ。けっこう仲よかったじゃねぇか」

女「うん……でね、男君ここ数日ちょっと様子がおかしくて」

友「茶髪野郎、浮気してたんだな」

女「ぅえ！？　な、なんで分かったの！？」

友「だいたい分かるっつーの」

女「うう……」

友「んで、浮気を追及したら別れようって言われたと」

女「……うん」

友「はっ、んなもん別れて正解だっつーの」

女「でもショックだったんだよ！　あぁーもぉー何も信じれないぃぃ」

友「あーあーうるせえのが始まった」

女「うるへー！　友ちゃんは本気の恋をしたことないからそんなこと言えるんだよ！」

友「本気の恋ねぇ」

女「あー……また寂しい冬が始まるんだぁ」

友「っはは、寂しい冬は今年で何年目だ？」

女「言わない！　ふーんだ、友ちゃんも一緒みたいなもんじゃん」

友「あん？　別に私は寂しくなんかねぇぞ？」

女「ふふーん、強がっちゃって。何年も彼氏いないくせにぃ」

友「私はお前と違って努力しなくても彼氏はできる。作らないだけだ」

女「ぐあぁー！　でたよ！　知ってますぅー！　残念無駄美人め！」

友「おいおい、そんなに大声だしたら……」

女「あ、なんか興奮したら、酔いが……ぅぅ」

友「はぁ……やっぱり」

女「ぁぅ……」

友「ほら、ベット使えよ。ってか、もうそのまま寝ろ」

女「ご、ごめん……」

友「いいよ。お前の世話なんて慣れてる」

女「えへへ、やっぱり友ちゃん優しいなぁ」

友「はいはい。さっさ寝な」

女「……ねぇ、友ちゃん」

友「ん？」

女「本当は、さ。私が沢山迷惑かけちゃうから、友ちゃん、彼氏作れないのかなぁ……って」

友「あん？」

女「私なんかと……一緒にいるから……っう」

友「おいおい、何で泣くんだよ」

女「うぅ……ごめん……」

友「ったく、何言い出すかと思えば」

女「でも、そう考えちゃって……」

友「いいか。私が男を作らない理由は、いらないからだ」

女「なんで……？」

友「……今は男なんかと付き合うより、お前とつるんでるほうが楽しいんだよ」

女「そんだけ？」

友「そんだけだよ」

女「ほんと？」

友「しつけえな。本当だよ」

女「えへへ……何でだろ、嬉しいな」

友「……さ、今日はもう寝な」

女「うん。あ、明日映画行きたいな。昨日上映した宇宙人のやつ」

友「あぁ、あれな。はいはい、了解」

女「えへへ、おやすみ」

友「ああ、おやすみ。私もちょっとしたら寝るよ」

女「私の横、空いてますよ？」

友「ばーか。暑苦しいわ」

～　２時間後　～


友「さて、私もそろそろ寝るか」

女「すー……すー……」

友「……ソファで寝るか」

女「ムニャ……」

友「ふっ……幸せそうに寝やがって」

友「私がどんな気持ちか、しらねぇんだろうな」

友「私が彼氏を作るときは……お前が結婚して幸せになってからだ」

友「私じゃ、お前を幸せに出来ねえからよ……」

女「……んぅ……ﾑﾆｬ」

友「……本気の恋なら、もうずっと昔からしてるよ」

友「たった一人に、叶わない恋を……な」


友「……あー、酔ってんのは私もか……」

友「寝よ寝よ。明日はわがまま姫と映画だしな」

友「ふぅー……ふわあぁ……ねむ……」

女「……」

友「……ん……ｽｰ……ｽｰ」

女「……っ」

友「ｽｰ……ｽｰ……」

女「……ばか」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

～　朝　～


友「うー……頭いてぇ」

女「人のこと言えないんじゃないのぉ？　飲みすぎたんじゃないのぉ？」

友「うるせー」

女「ま、今日は私が車を運転してあげようじゃないか」

友「あーうん、頼んだ。すまねえ」

女「へへへ」

友「なんだよ、ニヤニヤして」

女「弱った友ちゃんなんて、久しぶりに見たからねぇ」

友「バカ言ってねぇで、さっさ行かねぇとチケットとれねぇぞ」

女「ああ！　いこいこ！　すぐいこ！」

友「ったく……」

女「なによう」

友「これじゃ、彼氏できんの、まだまだ先かねぇ」

女「……いいの」

友「あん？」

女「私決めた。彼氏つくんの、友ちゃんが彼氏作ってからにする」

友「は？」

女「そいうことだかんね。よろしく。さーしゅぱっつぅぅぅ！」

友「は？　おい！」



～　ＥＮＤ　～