男「何だよ急に呼び出して」 (21)

男「話って?」

父「多感なお年頃でも挨拶くらいは欲しいぞ男よ」

男「それは悪かった。じゃあやり直すか」

父「良い子だ。さすがは俺の子」

男「おう爺、まだ生きてたのか。それで話ってなに?」

父「なんで毒蝮…」

男「うるせぇな…忙しいんだからさ」

父「まぁいいや…お前は今彼女とかいるのか?」

男「は?」

父「だから彼女はいるのかと」

男「いたとしたらだ、土曜の午後6時にこっちから日時を指定して仕事の約束いれて、その前にわざわざ父親の会社に寄ると思うか?」

父「す、すまん…本当にすまん…(´・ω・`)」

男「その顔やめろ…あとそんなに謝られると余計惨めだからやめてくれないか…」

父「すまん…ぷ…」

男「こんの糞親父…だから用事を早く言えよ。この後仕事の約束入ってんだってば。無職と紙一重のフリーランスなんだから」

父「わかったわかった。日取りが決まったから伝えようと思ってな」

男「日取り?なんのよ」

父「お前の式だろうが」

男「はいぃ?」

父「お!?右京さんか!?俺もできるぞ!!」

男「うるせぇ。何だ式って」

父「バカ息子が。生きてる者の式と言えば結婚以外に何がある」

男「誰のよ」

父「おめぇのだよ。よかったな」

男「は…?何が?俺の?結婚式?結婚って?意味がわからん…」

父「なんだお前は。結婚て言葉も知らんのか…」


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父「なんだお前は。結婚て言葉も知らんのか…」


男「知ってるから意味がわからんと言ってるんだよ」

父「お前の結婚式の日取りが決まりましたのでお知らせしようと思って呼びました」

男「さらっと言い直すな馬鹿!は!?なんで俺が結婚すんだよ?」

父「まったく……きみーをわすれないー まがりーくーねったー…」

男「チェリーとかどうでもいいんだよ!」

父「よくないわ!!!」

男 ビクッ

父「なにもわからんのか…いや、わからんだろうなぁ…」

男「な、なんだよ…」

父「なんとなく思い出しただけだし」

男「くっそ………だから!何がなんだかわからないって言ってるんだよ!」

父「そりゃあ初めて言ったからなあ…」

男「うーわ、あっさり言いやがった…夢でも見てるみたいな気分だな…とりあえず説明しろって」

父「結婚を夢にまで見てたのか」

男「めんどくせぇ。はやく!」

父「なんだその言いぐさは。もういいお前になんか教えてやらん!」

男「もうやだこの人…あ、ダメだ時間無い。終わったら家行ってやるから後でな」タタタ

父「ちょっと待てこら!おい!行っちゃったか」

社員A「失礼します」

父「あーい」

社員A「あれ?男君帰っちゃったんですか?コーヒー持ってきましたけど」

父「悪いねぇ。Aのコーヒーめちゃくちゃ美味いのになー。そのせいで女子社員がお茶いれるのも嫌がるけど」

社員A「唯一の趣味ですからねぇ」

父「好きに勝るもんは無いわなー」

社長A「それにしても男君が来るなんて珍しいですね。ついにここで働く気に?」

父「いや、その気は無いらしいよ。このままだとやっぱいつかはAに頼むかも。そうじゃなくて俺が呼んだのよ。結婚の件で」

社員A「いや私になんてとても…ん?男君結婚ですかー!おめでとうございます!」

父「おうありがとなー」

社員A「でも僭越ながら先に義理の娘を迎えた者としてアドバイスですけど、あれこれあんまりうるさく口出ししたらダメですからね。特に奥様にお伝えください。気を付けてくださいよ」

父「そうもいかんて。あいつはさっき知ったんだから。結婚するの」

社員A「そうですかww社長らしいww」

父「誉めんなwwwwww」

社員A「あはははーwwじゃあ口出しもなにも、決め っっはぁっ!?」

父「なんだ?」

社員A「どういう意味ですか?」

父「そのままの意味」

社員A「うーわ…最低ですねぇ」

父「仮にも雇い主に向ける顔かよそれ…ゴミムシでも見るかのような顔で」

社員A「虫に謝ってください」

父「ゴミしか残ってないな」

社員A「…………取引ですか?」

父「ん?」

社員A「どこかのご令嬢かなにかで?前年よりは確かに数字は下がりましたが、だからって…」

父「なんでだよ。ほら、あそこの公園の前の商店街あるだろ?」

社員A「え?あぁ、はい」

父「そこに八百屋あるしょ?」

社員A「はい」

父「そこの娘だよ。俺と同級生なんだよね、八百屋の親父」

社員A「え?」

父「だから」

社員A「だからって何がですか?」

父「約束してたのよ。許嫁の」

社員A「うーわ…平成のこの時代に…しかしなんで俺君に教えてないんですか…」

父「サプライズだろ」

社員A「おかしいでしょう」

父「んでまぁお互い約束を忘れてて、こないだ同窓会でまわりに「もう子供たち一緒にさせたのー?」とか言われて思い出してな」

社員A「忘れるくらいならいいじゃないですか」

父「そうもいかん。男と男の約束だ」

社員A「忘れてたでしょうが」

父「とりあえず今夜はうちに来るらしいからそこで話す」

社員A「はぁ、どうせ止めても無駄でしょうからね…ああもう好きにしてください」

父「え、いや、別にそんな趣味は」

社員A「あ?」

父「(´・ω・´)」

社員A「そんな顔しな…どっちですかそれ…」

父「つうわけでもう帰るわ。それこそ八百屋に行かなきゃならないし。お先!みんなじゃーねー!あんまり残ったらクビなー!」バタバタバタ

社員´S「「「あーい、おつかれさまですー」」」

社員A「はぁ…」

男「ただいま」

母「あらこっちに帰ってくるなんて珍しいわね。どうしたの?」

男「ちょっと母さん聞いてくれよ。親父がな、俺の結婚勝手に決めてたぞ」

母「勝手にじゃないわ。私も賛成したし」

男「はいぃ?」

母「あら!?右京さんね!?」

男「なんだこの夫婦…てか知ってたの?」

母「当たり前じゃないの。いい?結婚ていうのは、式だけあげるものじゃないの。その前に色々済ませるものがあるのよ?結納って知ってる?」

許嫁って結納やるのか知らんけど。

男「知ってる。知ってるけど、当人が不在の結納は知らないし聞いたことがないわ。まず出会っても無い」

母「型破りっていい言葉よね。あの人もそういうところがいいところ」

男「あんた方は伝統を守りたいのか壊したいのかどっちなんだ」

母「まぁ、なんにせよ決まってるからねぇ…」

男「だいたい、相手だって何て言ってるか」

母「今ごろ驚いてるわよね、きっと」

男「は?向こうも知らないのか?」

母「当たり前じゃないの!サプライズよ!?」

男「おかしいわ…」

母「それで?そんなことより今日はどうしたの?」

男「そんなことを問い詰めに参りました」

母「これ以上何をどうするの?」

男「結婚はしませんので」

父「ただいまー」ガチャ

母「おかえりなさーい」

男「あ、おい親父一体どういうことなんだよ」

父「だから多感なお年頃でm 男「うるせぇ」

父「もー…めんどくさいな。今日二回目だぞ説明すんの」

男「俺聞いてねぇよ…」

父「帰る前にAに説明した」

男「Aさんなんて?」

父「ゴミを見る目で見られたし色々言ってたけど、感想聞く前に出てきたからわからん」

男「よかった…やっぱり俺の感情で普通だ…ってか説明しろ」

父「いや、お前もこっちに帰るって言ってたし俺も相手のとこ行かなきゃならなかったし」

男「そっちじゃねぇ。俺がなんで結婚すんのかってことだよ」

父「俺の同級生の八百屋の大将知ってるな?」

男「そりゃあ知ってるよ。しょっちゅう飲んでるじゃねぇか」

父「そこの娘なんだよ。許嫁だ許嫁。よかったなー。なぁ母さんお腹空いた」

男「足りない足りない。まだ何にも足りてない。娘がいたのも知らなかった」

母「お父さんね、学生の時に約束してたのよ。お互い子供が出来たら男女にかかわらずくっつけてしまおうって。らんまが好きで」

男「突っ込むところが増えるからもう触れないぞ」

父「お腹空いたってば」

母「はいはいじゃあご飯にしましょ」

男「とりあえずその娘とやらに会ってくる!俺飯はその後でいい!」

母「その後も何も急に来たんだからあなたのぶんは無いわよ?」

男「(´・ω・`) 」

父「気持ち悪…」

男「こんの糞が…公園前のとこの八百屋だな?行ってきます」

父「待て!!いかんぞ!結婚前に不埒なことは!!」

母「いくら決まっていても子供なんて許されないわよ!物事には順番が!」

男「黙れバカ2匹。おかしいよなって言い合える仲間が欲しいんだよ!」バタン!

父「変な奴」

ピンポーンピピピピンポーン

女父「あいよー」

男「こんばんは!」

女父「おう男じゃないかどうした?いくらなんでもまだ一緒じゃないんだから手を出させるわけにはいかんのだぞ?さっきあいつともそんな話をだな」

男「あーもう…おっちゃんもか…」

女父「何がだ?」

男「娘さんいたんだって?んで何?俺と結婚するんだって?」

女父「おう!聞いてるだろ?」

男「今日聞いたんだよ!」

女父「そらそうだろwwwwww」

男「…」

女母「何を玄関で大きな声で、あら男ちゃんじゃないこんばんは」

男「あ!おばさん!ちょっと!話聞いてるでしょ!?なんで止めてくれないの?」

女母「止めるってなにを?」

男「馬鹿ばっかか…」

女母「まぁ!義母にむかって馬鹿だなんて!ひどい!」

男「わかったわかった!わかんないけどわかったから」

女「何してるの~?…あ…」

男「え?…あ…」

男・女「「もしかして」」

女父「よ!ご両人!」

男・女「「やっぱり…いやしかし…あー…」」

女父「なんだ?」

男・女「「無いわー」」

女父「は?」

男「いや、そりゃあねおっちゃん。どうせ彼女もいないような男ですからね、あんな話がありゃ、迷惑だけども多少は「漫画の主人公みてぇだ」なんて思ったりもするのよ」

女「私も」

女母「あらまぁ、じゃあいいじゃない。現実は小説より奇なりっていうのよ?よかったわー」

女「よくない」

男・女「「…ぜんっぜんタイプじゃない!」」

女父・母「「え…?」」

男「初対面でこう言っちゃ悪いが…ちょっとね」

女「私も、申し訳ないですが…うん…」

女母「ちょっと女!男君に失礼なこと言わないの!」

女父「おう男!てめぇ俺の大事な娘になんて事を言いやがる!」

男「大事な娘の結婚話を勝手に進めるのは失礼じゃないのかよ」

女父「フンフフンフフーン♪」

男「誤魔化し方が雑だろ。久しぶりに聞いたな変なおじさんて…」

女母「うーん、困ったわね」

女「こっちのセリフよ…」

女母「タイプなんてあってないようなもんじゃないの。ちなみに?どんな人がタイプだったの?」

男「たんぽぽの川村さん!!」 女「フットボールの岩尾くん!!」

女父・母「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

男「おっちゃん?おーい!!」

女父「は…!!あー…そっちっ側か…」

女母「なるほどねぇ…あー…そうなのそうなの…」

男「なんだよそっち側って。だから、とにかく結婚はしません!なぁ、あんたからも言ってくれよ」

女「うん。結婚しませんから」

女父「っち…」ピ・ピ・ピ

女「ちょっとお父さん!何でこんな時に電話なんて」

女父「あ、男父?あのよ、わりぃけどちょっとこっち来てくんね?子供らが反抗期だ。うん。すんげぇ反抗期だわ。ん?皮ジャン?何だ?よくわかんねぇけど来てくれ」ピッ

男「ちょ…」

女父「すぐ来るとさ」

男「くっそ!ごめん来て!」女の手首グイッ

女「きゃ…!あ、う、うん!」 タッタッタッタッタッタッタ

女父「ちょ!おい!ちょっと待てこら!あ!そうだ!お父さん腰が痛いよー!娘ー!?お父さん腰がー」

シーン

女父「泣きそうだ」

女母「とりあえず男父さんが来るまで待ちましょう。あと誤魔化すのに「そうだ」は余計ですよ」


男「ハァ…ハァ…」

女「ハァ…ハァ…ハァ…きつ…」

男「悪い…でもあのままあそこにいたら俺の親父まで来てわけわからなくなるだけだからな…」

女「うん、そういうことだろうなって思ったから」

男「とりあえず、俺の家で話しようや」

女「独り暮らしだっけ?」

男「うん。あーもう。なんでこんなムチャクチャな状況に…」

女「まったくね…」

ガチャ

男「なんもないけどどーぞ」

女「おじゃましま…うわ!」

男「ん?」

女(コルクにびっしりとたんぽぽの切りぬきが…)

男「あんまり見んなよ恥ずかしいだろ」

女「きれいだなー」

男「だろ?」

女「うん。いいなぁ」

男「叶うわけないけど、あこがれだからな…」

女「わかる!!」

男「ん?」

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