元奴隷「ついに念願の奴隷を買った」 (112)
元奴隷「長かった……」
元奴隷「人買いに買いつけられたのが十二歳……自分で自分を買い取って独立したのが二十二歳……苦節十三年、ついに俺の努力はここに結実した!」
元奴隷「これで俺も使う側だ! もう誰にも使われない! 人を顎で使って金を儲けられる! 馬車馬のように働かせて金を稼げる! 左団扇のバラ色人生が俺を待ってる!」
元奴隷「うっはははははは! 笑いが止まりませんよこれは――――!!」
元奴隷「さて、そろそろ買いつけに行った執事君が帰ってくる頃だな。なるべくえらそーにして待っててやろう。ナメられたくないし」
元奴隷「あぁ~早く帰って来ないかな~」ウキウキ
執事「ただいま戻りました、ご主人様!」
元奴隷「お、ご苦労。ちゃんと生きのいいの買ってきた?」
執事「はい! ご主人様のお気に召されるような者を買いつけて参りました!」
元奴隷「そうかそうか、そりゃよかった……で、どこにいるんだ? ていうか、そこにいる女の子誰?」
少女「…………」
執事「あ、ご紹介しますね。……あ、そうでした。まだ名前がないんですよ。適当なお呼び安いお名前をおつけになったらよろしいかと」
元奴隷「名前がない? どーいうこっちゃ、ないわけなかろ。ヘイカノジョ、名前何よ?」
少女「>>2」
名前じゃなくてもいいです
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プレシア
元奴隷「はいはいプレシアちゃんね……プレシア? 皇国系の名前だよね。珍しいな」
執事「はい! 数年に一人出るか出ないかの超目玉商品だそうです! 競り落とすのには中々苦労しましたよ~」
元奴隷「は? 競り落とす? 何、この子買ってきたの?」
執事「はい、その通りですが、何かご不満でも? やっぱり、もっと胸が豊かな方がお好みでしたか?」
元奴隷「いやいやそんなんどーでもいいっつーの。そういう奴隷買ったわけじゃないし、買う予定もないし」
執事「え?」
元奴隷「は?」
執事「愛玩用の奴隷をご所望だったんじゃないんですか?」
元奴隷「俺が? 愛玩用の? 奴隷を? 何で?」
執事「うちの姉には欲情されないご様子なので、もっと年上の娘がお好みなのかなと思いまして」
元奴隷「いや、お前の姉も十分可愛いとは思うけど、俺そもそも年下は対象外だし、つかンなこたどーでもいいんだよ。え、ちょっと待って。俺とお前の間に重大な認識の齟齬が生じてる気がする」
元奴隷「俺が汗水垂らして死に物狂いで稼いできた金貨三十枚。これだけありゃ買いつけた農園で働かす分の奴隷はがっつり買いこめるはずだよな?」
執事「はい。一般的な農奴の相場ならば、大体一〇〇人ほどは買えるかと」
元奴隷「執事君、君今回何人くらい買ってきた?」
執事「何人も何も、ここにいるプレシア一人ですよ。凄いですよね、人間一人に辺境の屋敷みたいな値段がつくんですよ。銀貨一枚で十把一絡げに買い叩かれてる人たちもいるのに。世の中って不公平ですよね~」
元奴隷「…………お前、マジか」
執事「…………すいません、僕またやらかしちゃいましたか?」
元奴隷「遅ッッッせえええええよ気づくのがよおおおおおおお!! はァ、一人!? 買ってきた奴隷が!? しかもこんな皿も持ったことなさそーな深窓のお嬢様を!? 金貨三十枚で買ってきただァ!? おま、ふざけろ!! ふざけろよ!! ふざけてたんだよな!? ふざけてたって言えよオイ!!」
執事「すすすすすいませんでした! 僕また勘違いでそそっかしいことをしてしまいました!」
元奴隷「嘘をつくなぁ! ふざけてたんだろ!? その子ただのお友達だろ!? 俺を担ごうってんだろなあ!」
執事「すいません! ふざけてません! 本当に僕が間違えてこの子一人を金貨三十枚で買ってきてしまいました!」
元奴隷「ッ…………! ……ッ……ッ……!! ……やってくれたな、おい」
執事「すいません……」
元奴隷「とにかく、返品返品。こんなガラス細工みたいな繊細なお嬢様に農園勤めが務まるかってーの。ちゃっちゃと行ってきて」
執事「ええと、奴隷市ってノークレーム・ノーリターンが基本なんです。処女が売りの子を即日お手つきにして放流されたりしたら堪らないじゃないですか」
元奴隷「何が放流だよウナギじゃあるまいし……いや、額が額だ。話せば分かってもらえる。最悪お前のケツで手打ちにしてもらう」
執事「ちょ、勘弁してくださいよ! 僕そういう趣味ないです!」
元奴隷「おめーにあるかどうかなんて関係ないんだっつーの!! ったく、これで口だきゃ上手いんだからクビにもできやしねえ……」
執事「えへへ……お褒めいただき光栄です」
元奴隷「褒めて……! るわ、うん。今のは褒めたわ俺」
元奴隷「行く。とにかく行く。何が何でも返品する。それが無理ならいっそ売る」
元奴隷「……そうだな、売ればいいじゃん。返品するよりよっぽど手っ取り早そうだ」
元奴隷「よし、そうと決まれば……」
少女「――あの」
元奴隷「はい何か? お茶くらいなら出してあげるよ。何なら茶菓子もつけようか」
少女「いえ、そのような厚遇に預かるなど、私にはもったいないです……」
少女「どうか、もう少しだけ、ここに居させてもらえたらなーって……」
元奴隷「……はあ」
少女「ひっ!? す、すいませんすいません! わ、私ごときが過ぎた口を利きました! どうか、どうかお許しを……!」バッ
元奴隷「ちょっ」
少女「この無礼は体で返させていただきます、なんなりとお申しつけくださいませ……!」
元奴隷「いや、待って。とにかく待って。とりあえずスカートの裾から手を放して。見える、見えるから」
少女「ですが……」
執事「……あ、姉を呼んで参ります」
元奴隷「ああ。後まともな服と下着ね。丈短すぎるだろ誰用だよ。犬でも着らんねーよこんなワンピース。どんだけ布が惜しかったんだよ」
執事「了解いたしました」タタッ
元奴隷「……ほんっと卑屈な奴って嫌いだよ俺。見てると気分が悪くなる」
元奴隷「俺なんかが今更善人面かよってな。反吐が出そうだ」
少女「あの……」
元奴隷「……別に君に同情したとかじゃないから。せっかく可愛い子買ったんだ、一緒にお茶ぐらいしてから売っても遅くはないかなって思っただけ」
少女「あ……ありがとう……ございます……」
元奴隷「いい葉っぱとお菓子を出すよ。上客用の高い奴。感謝してね」
少女「ありがとうございます……ありがとうございます……っ!」
元奴隷「だーかーらー! すぐ売るって言ってるじゃん! 何で泣くんだよ! いいとこのお嬢様なんだから、俺が出せるような茶や菓子なんか食い慣れてるだろ!?」
少女「うう、ぅあ、うあああああああああん!!」
元奴隷「本当だからな! 本当に、お茶だけしたらすぐ売るからな! 金貨三十枚ってとんでもない大金なんだからな! 君みたいな娘にゃ分からんだろうけど!」
メイド「ご主人様」
元奴隷「ぅわおっ!? いきなり出てくるなよびっくりしたなあ……」
メイド「そちらの方のお洋服と下着をお持ちしました」
元奴隷「あ、ご苦労さん」
メイド「…………」
少女「…………」
元奴隷「…………何この空気。俺なんかした?」
メイド「ご主人様」
少女「いえ、いいんです! ご主人様がご覧になりたいとおっしゃるのでしたら喜んで……」
元奴隷「大変失礼いたしました! また後ほどお呼びください!」ダッ
プレシア「本当にいいんですけど……」
メイド「年下は本当にダメみたいですから。同年代かそれ以上の方とならハッスルするんですけど」
プレシア「お詳しいんですね……」
メイド「はい。娼館に勤めていたときにご主人様に拾い上げていただきましたから」
プレシア「ええっ!? しょ、娼館って……」
メイド「……勘違いされているようなので先に言っておきますが、初潮も来てなかった頃なので、本番はナシです。そういうところじゃなくてよかったとしか言えません」
プレシア「じゃあ本番以外は……」
メイド「……あの、そんなに興味がおありですか?」
プレシア「すいません! 下世話なことをお聞きして……」
メイド「いえ、お気になさらずに。……こんなところですね。この服は執事……>>16(名前でお願いします)に洗濯させますが、構いませんか? というか、処分しますか?」
プレシア「はい、もう多分着ることはないと思うので……」
メイド「分かりました」
リック
元奴隷「おいバカ執事。そこで何してる」
リック「何と申されましても、姉に処分するよう申しつけられたプレシアさんのお洋服をお持ちしているだけですが」
元奴隷「そうじゃねえ。お持ちして何してんだって聞いてんだ」
リック「こんな話聞いたことありません? あそこがチーズっぽい臭いがする子って、病気持ちらしいんですよ」
元奴隷「ほう」
リック「ご主人様のお側につく子がそんなんじゃかっこがつかないですし、僕が内密にお調べしておこうかなと」
元奴隷「そうだな、確かにおっぱいからチーズの臭いがする奴がいたら問題だよな。今までそんな奴一度もあったことないけどな俺」
リック「そうなんですか。本当にすっごい臭いらしいんで、気をつけた方がいいですよ」
元奴隷「なるほどな、ご忠告どうも」
リック「いえいえ、それほどでも」
元奴隷「…………」
リック「…………」
元奴隷「正直に言え。今なら姉には黙っといてやる」
リック「すいませんでした! ほんの……ほんの出来心だったんです! あんな可愛い子がこんなに汚くなるまで着込んでた服ってどんな臭いがするんだろうって、ちらっと思っちゃっただけなんです! 決してやましいことを考えていたわけでは……」
元奴隷「やましいこと考えてない奴がそんなことするわけねーだろ!! お前今後一切プレシアとの接触は禁止! いいな!」
リック「そ、そんな! 僕に死ねとおっしゃるんですか!?」
元奴隷「そんなんで死ぬな!」
リック「申し訳ありません、もうしません。絶対しません。お願いします、許してください」
元奴隷「プレシアの服の臭いを嗅ぐことをか?」
リック「いいんですか?」
元奴隷「おい」
リック「冗談です、すいませんでした」
元奴隷「……あれか。お前欲求不満か? 異性との接触が足りてねーのか? つーかまだ童貞かお前?」
リック「いえ、村に居たころに捨てましたけど……」
元奴隷「え、何歳の頃?」
リック「14歳です」
元奴隷「はっや……俺22だよ。しかも娼館で」
リック「素人童貞って奴ですか?」
元奴隷「そうなるかなー……って、脱童貞談義してる場合じゃねえ。あれだわ、お前女作れ女。そうすりゃプレシアに手出ししようなんて思わねーだろ」
リック「女と言われましても……あんまりこのへん僕好みの子いないんですよねー」
元奴隷「クソ生意気なこと言いやがって……」
リック「分かりました、彼女にはもうノータッチでいきます。僕もご主人様に拾っていただいたご恩がありますから」
元奴隷「よし、信じるからな」
リック「はい! ……ていうか、何でそんなに過保護にするんですか? お手つきにするおつもりもなさそうですし、すぐお売りになるんですよね?」
元奴隷「売る売る。マジで売る。ただ、信頼できるツテになるたけ高く売る。処女なら相場の5倍でも買い手はつくし。俺の言いたいこと分かるよな?」
リック「あ、なるほど」
元奴隷「ただなー。俺のツテってろくでもない奴しかいねーしなー。ツテのツテってなると手間もかかるし、多分一ヶ月くらいは置いとくことになるかもな」
リック「ちゃんとした扱いしてくれる人買いに売りたいってことですか?」
元奴隷「人買いに売ったってそこでクソ野郎に買われたら元も子もねーだろ。産地直売だよ。買い手に直接売りに行く。そっちのが確実だ」
リック「……何でそこまでされるんです?」
元奴隷「あ?」
リック「拾っていただいた身で言うのも差し出がましいとは思いますが、今さっき会ったばっかりの子に、どうしてそこまで?」
元奴隷「……これいちいち説明しないとダメか? 俺、今更人としてどうこうとかこっ恥ずかしいこと言いたくないんだけど」
リック「…………」
元奴隷「何つったらいいのかね……寝覚めが悪い? これだな。1回でも口利いた子がクソ野郎にボロクソにされるのを想像すると飯がまずくなる。だからだよ」
元奴隷「世界中の奴隷全員買い取るとか、奴隷売買の禁止とかそんなの絶対無理だし。大体そういうツテで飯食ってる口でほざくことじゃねえし」
元奴隷「でも、悪いことしてるから良いことしちゃダメって決まりはないだろ。演劇の登場人物じゃあるまいし、行動に一貫性がないからって誰かに文句言われる筋合いはねーよ」
元奴隷「俺が気分良けりゃそれでよし。そういうこと」
元奴隷「……めっちゃ語っちゃったよ。恥ずかし」
リック「いえ、恥じることはありません。ご主人様。僕、すっごく感動しました」
元奴隷「そりゃどーも」
リック「本当です、これは嘘でも冗談でもないです。そこまで開き直れる人ってすごいと思います」
元奴隷「……煽ってる?」
リック「いえいえいえいえとんでもない! たまにいるじゃないですか、良心の呵責に耐えられないからって、徹頭徹尾悪人のフリして、そのうちに本当に悪人になっちゃうような人」
リック「そんな人に比べたらご主人様はご立派ですよ、本当に」
リック「まあ、僕や姉によくしてくださるのなら何も文句はないんですよ。ご主人様のご随意にお振る舞いしていただければいいんです。はい。ぶっちゃけ僕も身内以外の人間はどうでもいいタイプなんで。あっはっはっは!」
元奴隷「笑うとこか? ……つってかなり待たせてるな。さっさと行こうぜ」
リック「はい!」
つづく
これにて今回の投下は終了になります
続きは明日の昼か夕方以降に投下することになると思います
ではここまで読了いただきありがとうございました
お待たせしました
今回の投下を次レスから開始いたします
元奴隷「えー、ではプレシアさん。あなたの処遇についてお話したいと思います」
プレシア「はい、これからよろしくお願いします!」
元奴隷「……いや、何で末永くお世話になる気満々なのか知らないけど、とりあえず一ヶ月かそのくらいはうちであなたの面倒を見ることになるでしょう」
元奴隷「その間に俺はツテ……のツテを使って君をなるべく高く買い取ってくれる善良な方を探します。以上。何か質問は?」
プレシア「厄介になっている間、私は何をしていればよいのでしょう?」
元奴隷「エーカー単位の農園を君一人で管理できるってならそうしてもらいたいところだけど、残念ながらそんなことできるわけないだろうからナシ」
元奴隷「家のことはバカと姉で間に合ってるし……茶をしばくなり庭で壁当てするなり、なんなりとお過ごしくださいな」
プレシア「しかし、それではあまりにも心苦しいです。買っていただいただけでもありがたいというのに……」
元奴隷「言われてもなあ……花嫁修業でもすれば? 炊事洗濯掃除……はいらんか。夜のテクニックでも磨くとか」
プレシア「ええっ!?」
メイド「ご主人様」
元奴隷「いや、それはさすがに冗談だけど」
元奴隷「(……なあリック、適当に口走ったけど、これ割りといい案じゃねーか? 処女だけどテクはあるとか、付加価値倍ドンだぜこれ?)
リック「(えー、処女専って精神的処女性っていうか、そっちに疎いってとこも重視すると思いますよ? ウブな子に一から仕込むのが好きとか、そもそも偶像(アイドル)扱いで一切手は出さないとか)」
元奴隷「(それもそうだな……買値次第で方針決めるか。つーか、処女が好きなのに自分で非処女にするのはオッケーって矛盾してねえか?)」
リック「(他人に非処女にされるのが嫌ってことじゃないですか?)」
元奴隷「(なるほど……って、なんつー話してんだ俺らは)」
プレシア「何か私にお仕事をください! 何でもします!」
元奴隷「えー……困るな。どうしよう。水仕事は手が荒れるからダメだし……庭仕事は傷がついたらダメだし……ん、そうだそうだ。適任者がいたわ」
プレシア「適任者、ですか?」
元奴隷「姉。プレシアに教えたって。いろいろと」
メイド「了解いたしました」
プレシア「い、いろいろですか?」
元奴隷「実践的な奴を教えちゃうと需要が別れるから、エロい服選びとか仕草とか、あと体型維持に役立つ運動みたいなの。詳しいよな?」
メイド「恐らく、このお屋敷ではご主人様のお次くらいには」
元奴隷「よせやい、照れるぜ」
メイド「いえ、特に褒めたつもりは……」
元奴隷「そんじゃ方針はざっくり決まったんで、この場はお開きな。後はのんびり茶でも飲んでてくれ」
プレシア「あの、どちらへ?」
元奴隷「市場に行って知り合いと話つけてくる。リック、お供」
リック「ええ……あそこ行くと僕変な目で見られるから嫌なんですけど……」
元奴隷「つべこべ言うな。給料下げるぞ」
リック「横暴だなあ……あ、それじゃ姉さん後はよろしく」
メイド「粗相のないようにね、リック」
元奴隷「今更すぎるな……」
奴隷市
元奴隷「ようハンザ。調子はどうだい」
ハンザ「まあまあだな兄弟。で、今日は何の相談だよ。やっとそっちの坊主売る気になったか?」
元奴隷「残念だがそのつもりは当分ねえよ」
ハンザ「何だつまらねえ。するってえと、何か聞きたいことでもあんのかい」
元奴隷「話が早くて助かるぜ。……ほらよ、ラバエの40年ものだ」
ハンザ「おっほ! 兄弟、毎度ながらいいもん持ってくるじゃねえか! さっすがだねえ、どいつからくすねてきたんだよ」
元奴隷「んなこたいーだろ……ハンザ、お前の知り合いに処女好きはいないか?」
ハンザ「処女だあ? ダメだダメだ、痛がるばっかしで全然よがらねえ。初物なら何でも美味いってわけじゃねぇんだな」
元奴隷「誰がお前の好み聞いたんだよ。お前の知り合いにそういう奴がいるかって聞いてんの」
ハンザ「ああ、そうだったな……アルバの奴なんかはどうだい?」
元奴隷「買った処女を一年かけて仕込んでから娼館に売り払うのが生きがいだろアイツ」
ハンザ「かっかっか! 何が面白くてテメェの女を目ン玉飛び出るような金払ってわざわざ娼館で抱くんだか分からねえ! 笑っちまうぜ!」
元奴隷「たまにいるだろ、処女を処女のまま愛でるのが好きっていう変な奴。そういう知り合いはいるか?」
ハンザ「さてなぁ……処女の生き血をゼリーにして食うのが趣味の奴はいるんだが、そういうことじゃねえんだよな?」
元奴隷「察しがよくて助かる」
ハンザ「するってえと、最近娘を亡くした貴族夫婦あたりが狙い目か?」
元奴隷「いや、余計な女がいるのはよくない。細君も一緒に死んじまった奴の方がいいな」
ハンザ「かっかっか! 違えねえ。嫉妬して何やらかすか分かんねえからな」
元奴隷「目星はついてるか?」
ハンザ「ああ。ちょうど上手いこと流行り病でかみさんと娘が逝っちまったのがいるよ。シュトラウトとか言ったかね」
元奴隷「本当か!? 渡りに船だ、すぐ話つけてくれ!」
ハンザ「ただねぇ、こいつがまた曲者なんだわ」
元奴隷「曲者っていうと?」
ハンザ「奴隷商人……っつうか、奴隷売買自体を毛虫みてぇに嫌ってるって評判だ」
元奴隷「……そりゃ参ったね。しかし、貴族なのに奴隷を使ってないってのは変わり種だな」
ハンザ「俺も理由は詳しく知らねえんだけどよ、何でも奴隷の女に一目惚れして、家と大喧嘩した挙句に財産持ち逃げして結婚したとかって噂だぜ」
元奴隷「あん? それならむしろ大喜びで買いつけてくれるんじゃねえのか? 囚われのお姫様だぞ?」
ハンザ「いや、上から圧力かけて商人を沈めた後で当時のかみさんを助けだしたらしい。要は奴隷として買ったんじゃねえってことだな」
元奴隷「そりゃ金なんか出してくれるわけねぇな……仕方ねえ、他を当たるしか」
ハンザ「いや、兄弟。諦めるにゃまだ早い」
元奴隷「何か妙案でもあるのか?」
ハンザ「確かにそいつは奴隷売買は嫌ってる。だが、使用人を使ってないとは言ってねえ」
元奴隷「メイドとして売るってことか? しかし、それじゃ元手がとれねえよ。最低でも金貨20枚くらいはもらわねえと気が済まん」
ハンザ「いやいやそうじゃねえんだ。ちっと落ち着いて聞いてくれよ。何も、娘代わりに売るしか方法がないわけじゃねえってことを忘れちゃいけねえぜ、兄弟」
元奴隷「何だよ、もったいぶるなよ」
ハンザ「そのシュトラウトはな……メイドと女王様プレイをするのが大好きだったらしい」
元奴隷「プレシアァアアアア!! プレシアはいるか! ちょっと来いカモン!」
プレシア「はい! 何でしょうご主人様!」
元奴隷「お前に今日から女王様プレイを仕込む。一ヶ月で身につけろ。いいな」
プレシア「じょ、じょおうさま……ぷれいですか? どのようなものなのでしょう」
元奴隷「まず、俺をご主人様と呼ぶのをやめろ。豚と呼べ」
プレシア「ぶ、豚ですって!? とんでもない、ご主人様を豚呼ばわりなんて、私とても耐えられません!」
元奴隷「いいから呼べ! ご主人様は俺じゃなくてプレシア! 俺はこれから豚! 分かったな! いやお分かりいただけましたかご主人様!」
プレシア「え、ええ……でも……わ、分かりました。お、おいこの豚!」
元奴隷「は、何でございましょうご主人様。わたくしめは卑しい豚でございます」
プレシア「ぶ、豚のぶんざいで何故二本足で立っているのです! 豚というのなら、四足で歩くのが道理でしょう!」
元奴隷「これは失礼をばいたしました、ご主人様! わたくしめは卑しい豚でございます」
プレシア「あと、その鬱陶しい語尾はやめなさい! しつこいです!」
元奴隷「いや、別に語尾とかそういうつもりじゃないんだけど……」
プレシア「お黙りなさいこの豚! 主人に意見するというのですか!」ペチン
元奴隷「あいたっ!」
プレシア「何が『あいたっ!』ですか! 豚ならば豚らしくブーと鳴きなさいブーと!」ペチン
元奴隷「ブ、ブー……」
プレシア「て、照れながら鳴くのをやめなさい! こちらも恥ずかしいのです! もっと気合を入れなさい、あなたは豚です、豚!」ペチン
元奴隷「ブー!」
プレシア「その調子ですよ豚! ほら、もっと大きな声で!」ペチン
元奴隷「ブー! ブーブー!!」
メイド「……あの、お二人共一体何をなさっているのでしょう」
元奴隷「ブー」
メイド「すいません、人の言葉でお願いします」
元奴隷「見れば分かるだろ」
メイド「すいません、私に理解できる言葉でお願いします」
プレシア「その、この豚……じゃなくて、ご主人様が私にじょおうさまぷれいなるものを伝授してくださるということで……」
メイド「なるほど。大体事情は把握しました」
元奴隷「え、マジで?」
メイド「それならば、私以上の適任はいないかと存じます。かの娼館では、『幼女王』の名でナンバー4の座を欲しいままにしていましたから」
元奴隷「そういえばそんなこともあったな……」
プレシア「では、メイドさんがじきじきにじょおうさまぷれいをご指導してくださるということですか?」
メイド「そういうことです」
元奴隷「ん。そういえばまだ姉の名前教えてなかったっけな。>>41だ」
アンネローゼ
アンネ「アンネと気軽にお呼びください」
プレシア「はい、分かりましたアンネさん! これからよろしくお願いします!」
アンネ「お任せを。プレシア様を何処に出しても恥ずかしくない、立派な女王様へと教育させていただきます」
元奴隷「頼もしい限りだな」
アンネ「それに際しまして、ご主人様に一つお願いしたいことがあるのですが」
元奴隷「大体予想はついてるけど何?」
アンネ「ご主人様には是非、豚役を務めていただきたいのですが」
元奴隷「……まあ、うん。金のためだ。付き合うよ」
リック「あの、ご主人様。もしよければ、僭越ながら僕が代わりに豚役をしますよ。ええ、とても辛い役目だとは思いますが、ご主人様のためとあらば、きっと我慢できます」
アンネ「リックが相手ならばハード系にも手を出せますね。まずは三角木馬あたりから」
リック「大変申し訳ございませんご主人様、僕ごときではあまりにも荷が重いと存じます!」
元奴隷「分かったよ! 俺がやればいいんだろ、俺がやれば!」
プレシア「ご主人様がお相手ならがんばれます! ああいうごっこ遊びって、結構やってみると楽しいですね!」
アンネ「……彼女、素質ありますよ」
元奴隷「嬉しい限りだよ畜生!」
つづく
これにて今回の投下は終了となります
読了いただきありがとうございました
メイド「粗相のないようにね、リック」
元奴隷「今更すぎるな……」
確かに今更すぎるwwww
お待たせしました
今回の投下を次レスから開始します
あと長くなりそうなので酉つけさせてもらいます
酒場
商人「よう兄弟。調子は……あんまり良くなさそうだな」
元奴隷「ここんとこあんまり寝かせてもらえてなくてね……」ゲッソリ
商人「けっ、なんでぇ。やることやってんじゃねえか、心配して損したぜ。親父! 同じのくれ!」
親父「あいよー!」
元奴隷「で? 例の貴族との交渉の進捗状況を聞きたいんだが」
商人「それなんだがなぁ……」グビッ
元奴隷「なんかあったのか?」
商人「やっこさん、新しいかみさんと結婚したらしいのよ」
元奴隷「……おいおい、勘弁してくれよ。また振り出しか?」
商人「まあ聞けよ兄弟。前のかみさんとは大恋愛だったが、今回のはちょいと事情が違う」
元奴隷「ほう」
商人「奴隷のかみさんと娘を亡くしてからずいぶん塞ぎこんだみてぇでな。飯もろくすっぽ食わねぇもんだから骸骨みてぇにやせ細っちまって、こりゃいかんとやっこさんの妹が見合い話を持ってきて、無理やり結婚させたんだとよ」
商人「やっこさんももう四十すぎでな。新しくガキを作るってなら早い方がいいって寸法だろうよ」
元奴隷「へえ、なかなかしっかりした妹さんじゃねえの」
商人「その妹がまたちゃっかりした奴でな。兄貴の見合い話をこしらえるついでに、自分もそこの家の男捕まえて結婚しちまったのよ」
元奴隷「やるじゃねえか」
商人「ところがここで一悶着あったのよ。いくら金を稼ぐのが上手いからって、奴隷の女と結婚するのを許すような家の男とくっつくのはどうなんだって、相手方は親戚筋からやんやと茶々入れられたわけさ」
元奴隷「まあ別に許したわけでも何でもないんだけどな……」
商人「だが相手方も、去年の冷夏で作物が皆やられちまって、とにかく喉から手が出るほど金が欲しかったわけよ。だから親戚の言うことにゃ全く耳を貸さなかった」
商人「表向きは両家の面々が揃い踏みのそりゃあ豪華な式だったそうだがね、腹ん中で何考えてたんだかはお察しだわな」
商人「二組一緒に挙げたそうだったんだが、兄貴の番のときにゃ式場全体がカチンコチンに冷えきってたってよ」
元奴隷「……居合わせたくねえなあそんな結婚式」
商人「まあ不幸中の幸いってか、どっちも夫婦仲は上手くいってるみたいなんだが……」
元奴隷「みたいなんだが?」
商人「妹の方がまたどエラい浪費家でな。兄貴が稼いだ金を片っ端から使っちまうもんだから、貯まるもんも貯まりゃしねえ」
元奴隷「……その妹さんは何にそんなに入れ込んでんだ?」
商人「男娼」
元奴隷「殺せ。今すぐそいつをぶち殺せ。そうすりゃ全部解決だ」
商人「またそうもいかねえんだな。確かに金銭感覚が緩いとこもあるんだが、それ以外はよく出来たお嬢さん……って年かどうかはとりあえず置いとくとしてだな」
商人「顔はそんなでもねぇんだが、とにかく愛想を振りまくのが上手い」
商人「そのおかげで兄貴への風当たりが抑えられてるとこがあるから、兄貴としてもなかなか強く言いづらいわけ」
商人「実際、日々の鬱憤を晴らすために男を買いまくってるって部分もあるだろうしな」
商人「それに、妹に男買うのやめろって言っといてテメェはメイドさん買うなんて不義理は通るまいよ」
元奴隷「……つまり、その妹さんの浪費癖を何とかすりゃあうちの少女を買ってくれるってわけだな」
商人「ま、そういうことだね兄弟」
元奴隷「しっかしなぁ、言うは易く行うは難しっつーか……どんな奴に入れ込んでるのよ、その妹さんは」
商人「ちょいと苦労したんだがな、鼻薬嗅がせて聞き出したぜ。ほれ。名前と顔と出身しか分かんなかったけどな」
元奴隷「さすが……なるほど、こりゃお姉様に人気の出そうな面だ」
商人「で、そいつをどうすんのよ。沈めるか?」
元奴隷「こいつをどうこうしたってしょうがねえ。また別の奴に入れあげるだけだろ」
商人「まぁそうなるわな」
元奴隷「娼館通い自体をやめさせられりゃ文句ないんだが、今のところは無理だ。方法が思いつかん」
元奴隷「そんでどうするかっつーとだな、いい店にいる女は高いし、しょぼい店にいる女は安い。なら、ドブみてぇなとこのやっすい男に宗旨変えさせりゃあいい」
商人「相当な額つぎ込んでるって聞くぜ? 上手くいくか?」
元奴隷「いくとも。その男娼をドブに落とせば勝手に追っかけていくだろうからな」
商人「……兄弟、アンタ本当にワルだね」
元奴隷「普通の発想だろ。何も難しいことはねえ」
元奴隷「客の女とプライベートで寝た……って噂を流そう。それで一発だ」
商人「筋書きはどうするよ」
元奴隷「恋人が酔いつぶれた隙に、男娼が女と酒場で意気投合。流れでベッドインしたところを、酔いが醒めた恋人に見つかって大騒ぎになる……ってのはどうだ」
商人「悪くねえ。だが、恋人役は兄弟がやるとして、女役はどうする? 男娼といやあ目も肥えてるだろうし、そんじょそこらの商売女程度じゃなびかねえかもしれねえぜ?」
元奴隷「そんじょそこらの商売女よりかは断然若くて見てくれがいいのがいるんだよ、うちにはな」
――――――――――
元奴隷「――――とまあそういうわけで、悪いけどその男娼くんのお相手をやってもらいたいわけよ」
メイド「わ、分かりました。確かにその手の話ならば私が適任でしょう。ご主人様のご命令とあらば仕方がありません。精一杯務めさせていただきます」
元奴隷「え? ……あ、すまん。少女に頼んだつもりだったんだが」
少女「ええっ!? わ、私ですか!?」
元奴隷「メイドも十分可愛いとは思うが、少女の方が……なんつうかこう浮世離れした感が受けるんじゃないかと」
メイド「…………」
元奴隷「適材適所だよ。自信持て、身体はメイドの方がエロい。お前もそう思うだろ弟」
執事「あの、姉をそういう目で見たことないんで、僕にはこの話題振らないでもらえると助かるんですけど……」
元奴隷「どっちがメリハリ利いてるかくらい見りゃ分かるだろ。ほら言ってやれ、少女のためだ」
執事「ええー……まあ、そりゃ姉さんの方が凹凸ははっきりしてますけど……」
メイド「気持ちが悪い。黙ってくれないかしら」
少女「執事さん、お姉さんのことをそんな風に……」
執事「ほらこうなるじゃないですか! だから嫌だったんですよ!」
元奴隷「まあそういうことだ。少女、しっかり頼むぞ。大丈夫、挿れられる前にちゃんと乱入してやるから」
少女「あの、できれば服を脱ぐ前くらいには来てもらえると嬉しいかなーって」
元奴隷「お前、酒弱いだろ」
少女「はい、お酒はあんまり得意じゃないですけど、それが何か?」
元奴隷「酔いつぶれたから介抱してましたって言い訳をさせたくない。完全に真っ最中の方がタイミングもとりやすくて都合がいいんだが、それじゃ本末転倒だからナシ」
元奴隷「大丈夫大丈夫、先っぽまでならセーフだから。いざとなったら頑張って痛がって時間を稼げ。むしろ積極的に痛がってくれ」
執事「ご主人様、さっきから大丈夫言い過ぎです。逆に信用ならないです」
少女「わ、分かりました。何とか、頑張ってみます……」
元奴隷「決まりだな」
執事「……いいんですか? ご主人様」
元奴隷「は? 何がだよ」
執事「何がじゃないですよ。これでうっかり少女さんが貫通されちゃったらどうなさるおつもりです」
元奴隷「どうなさるって言われてもなあ、そんときゃそんときだろ」
元奴隷「そもそもあの貴族相手なら別に処女がどうとかじゃ値段に変動ないだろうし、ぶっちゃけヤられちゃっても関係なくないか? むしろ動かぬ証拠ができてちょうどいいくらいだ」
執事「あ、貴方って人は……」
元奴隷「……うん、今のは自分で言っててどうかと思ったわ。さすがにそれはない」
執事「本当ですよ、冗談でも言っていいことと悪いことがあるんですからね」
元奴隷「しかし、この作戦どっか抜けてるとこがある気がするんだよな……どこだと思う?」
執事「どこと聞かれましても、僕今回は特に仕事ないんで、あんまりしっかり聞いてなかったんですよね」
元奴隷「お前……いつかどっかで痛い目見るぞ」
執事「あ、一つ思いつきました……いや、ほぼ有り得ないんで言わないでおきますね」
元奴隷「気になるだろ、言えよ」
執事「えーと……これ、その男娼の人が少女さんに食いついてくれないとお話にならないですよね?」
元奴隷「そりゃそうだわな」
執事「もし、もしですよ。もし男娼の人がゲイか何かだったら、何もかも台無しじゃないですか?」
元奴隷「……いや、ないだろそれは」
執事「どうしてそう言えるんです?」
元奴隷「こいつの出身のあたりは同性愛は問答無用でアウトのはず。男相手の売春なんかもってのほかだろうよ」
執事「なるほど、それなら大丈夫ですね」
元奴隷「ああ。後は商人の奴が男娼の行きつけの店を探してくれるのを待つだけだ。待つだけなんだが……」
執事「どうかしましたか?」
元奴隷「その前に潜入調査だ。執事、お前この娼館行ってこいつを抱いてこい」
執事「ええっ!? 嫌ですよ、何言ってるんですか!」
元奴隷「そういう類の反応だったら奴はノンケだ。気兼ねなく作戦を実行に移すことができる」
執事「そういう反応じゃなかったら!?」
元奴隷「安心しろ、向こうもプロだ。痛くはしないだろうよ」
執事「全ッ然安心できません! 男を抱くなんて僕死んでも嫌です! ご主人様が抱いてくればいいじゃないですか!」
元奴隷「俺はお前と違って他にいろいろやることがあんだよ。……そうか、ならしょうがない。不本意だがお前の姉に行ってもらうか。本番ナシって指定しとけば間違いは起こるまい」
執事「ええー……それはそれで嫌っていうか……分かりました、僕も腹くくります。姉さんが男娼と寝てるとこなんて想像するだけで気分が悪くなりそうですし」
元奴隷「照れるなよ。本当はお姉ちゃんが他の男とヤるのが嫌なんだろ?」
執事「全く嫌じゃないです。むしろとっとと男でも作ってどっか行って欲しいです」
元奴隷「男ならここにいるぞ。お前が知らないだけで」
執事「ッ……!! ……え、マジですか?」
元奴隷「おうよ。最初は恥ずかしがってたけど、今じゃノリノリでな。自分で道具持ってきて使ってくださいなんて言い出すくらいだぞ」
執事「~~~~~~っ! い、いや、ご主人様が相手なら、僕は全然安心が大丈夫っていうか……いいんじゃないですかね、玉の輿ですよ玉の輿。弟として喜ばしい限りです」
元奴隷「あー……悪い。からかった。今の嘘」
執事「んもおおおおお!! やめてくださいよそういうの! マジで怒りますよ!」
元奴隷「悪い悪い。だがな、普段はうざいうざいって思ってても、いざってときは頼りになるもんだぞ、肉親ってのはな。大事にしろよ」
執事「……はあ。心の片隅にでも置いときます」
元奴隷「んじゃ、そういうことで」
執事「……その、ご主人様」
元奴隷「あん? まだ何かあんのかよ」
執事「さっきの、どこまでが嘘ですか?」
元奴隷「想像に任せる」
執事「ちょっと! ぼかすのやめてください、気になるじゃないですか!」
元奴隷「ヤってはねーよ、ヤっては。だからいいだろ」
執事「全部ですよね!? 一から十まで全部嘘なんですよね!?」
元奴隷「何なんだよお前……お姉ちゃん大好きかよ。どんだけ気にすんだよ。はいはい全部嘘全部嘘。これでいいか?」
執事「気持ちがこもってません!」
元奴隷「……しつこいなあ。分かったよ、正直に言ってやる。見れるとこは全部見た。そんだけ」
執事「………………すいません、今日のところは休ませてもらっていいでしょうか」
元奴隷「おう、早く寝ろよ」
執事「……はい……おやすみなさい……」フラフラ
元奴隷「引き取ったときに病気持ってないか調べただけだったんだけど……」
元奴隷「ま、別に言わなくていいよな。面白いし」
つづく
これにて今回の投下は終了となります
試しに名前なしで書いてみましたが、確かに名前がない方が読みやすい気がするので、安価をとってくださった方々には申し訳ありませんが今後もこれでいかせてもらいます
では読了いただきありがとうございました
お待たせしてすいません
今日の夜9時頃に完結部分まで投下します
お待たせしました
ラストまで次レスから一気に投下します
酒場
男娼「そんでさぁ、その後そいつなんて言ったと思う?」
少女「さあ、全然想像もつかないです」
男娼「『違う、こいつの方から誘ってきたんだ!』ってさ! 笑っちまうよな!」
少女「あ、あはは……」
男娼「そんで、俺その後そいつをどうしたと思う?」
少女「えーっと……どうされたんです?」
男娼「ボッコボコにして金玉蹴り潰してやったよ! 今頃女装してホモにでも抱かれてんじゃねえの? あっひゃっひゃっひゃっひゃ!」
少女「あ、あはは……」
男(……執事の調査結果はシロ。こいつは生粋のノンケだ)
男(しかしこいつ飲み過ぎじゃねえのか? あれじゃ勃つもんも勃たねえだろ)
男「(最悪しゃべるだけしゃべったら満足して帰っちまうなんてことも……)」
男娼「……なーんて。自分、こういうキャラで売られてんスよ。『野獣系オラオラ男子』みたいな?」
少女「え?」
男娼「ぶっちゃけ自分、娼館とかやめたいんス。普通に嫌じゃないっスか? 好きでもない……言っちゃ悪いですけどおばさん抱くなんて」
男娼「単純な性欲発散のために来てる人はまだいいんスよ。マジになっちゃう客が一番無理っス」
男娼「色恋営業って言うんすかね? 好きでもないのに気がある振りしてリピーターを作るの。超気が滅入るんスよ」
男娼「遊び慣れてる人ならこういうのもプレイの一環として楽しんでくれるんスけどね……たまにいるんスよ。『アテクシにはこの子しかいない!』みたいにガチで金ジャブる客」
男娼「その金で飯食っといて何なんスけど……辞めるに辞められないのも嫌ッスね。自分、店のナンバー2なんで。辞めるとか言ったら怖い人来ちゃうッス」
男娼「肝心の稼ぎもぶっちゃけ大したことないッス。支配人の糞親父がぜーんぶ上前跳ねちゃうッスから。あの野郎、マジで鬼畜ッスよ」
男娼「自分なんかはそこそこ稼げてるからまだマシッスけど、指名とれない新人なんかはゴミ同然ッス。マジ腹立つッス」
男娼「でも辞めるわけにもいかないッス。出稼ぎで来てるんで、自分が辞めたら家族が食いっぱぐれるッス」
男娼「いい年した人が自分みたいな若造に騙されてるのってほんと見てらんないッス。どうしたらいいんスかねーほんと……」
男(……サシ飲みだと真面目になるタイプか。だが問題ない。ちゃんとそのパターンも想定済だ)
少女「『好きになっちゃえばいいんじゃないですか?』」
男娼「へ?」
少女「『だから、貴方もその人のこと好きになっちゃえば、騙してることにはならないじゃないですか』」
男娼「あっはっは、それができれば苦労はしないっス。自分年下専門なんス。店じゃ年上好きで通してますけど」
男(よしよし、台本通りだ)
少女「『それじゃ、私のこと好きになってください』」
すいません、申し遅れましたが元奴隷→男でお願いします
少女「『好きな人ができたから、もうこの仕事できませんってきっぱり言っちゃいましょう。そうすればバッチリです』」
男娼「あっはっは! そりゃ面白そうッスね! 言えるもんなら言ってみたいッス。そんな夢のある台詞」
男娼「でも無理ッスよ。そんなことほざいた日にゃ、君もう女として終わっちゃうッスよ?」
少女「構いません。誰かに好きだって言ってもらえれば、私もう他に何もいりませんから」
男(……? こんな台詞教えてないよな。アドリブか?)
男娼「……ダメって言ってるじゃないッスか。自分プライベートで女とか作ったらマジ殺されるッス。自分がボコられるくらいなら我慢するッスけど、君が痛い目見るのは嫌ッス」
少女「……えーっと、『私、我慢するのは得意ですから。それに、今晩だけです、今晩だけ。それで私は満足ですから』」
少女「……っと。『続きは上でしましょう。上で』」
男娼「ズルいッスよ。ここまで来て焦らすッスか?」
少女「『人に見られてると本気になれないんです。だから、ね?』」
男娼「わ、分かったッスよ……」
男(教育の成果が見えるな。実にエロいぞ、少女)
男(しかし、思ってたよりはいい奴だったな……ドブ落としは可哀想な気がしてきたぞ。もうちょっとマシな落とし所を考えてやった方がいいかもしれん)
男(……何なんだ? 何でこんなにモヤモヤしてるんだ俺は)
男(台本になかった台詞は本当にただのアドリブか? それとも……)
男(まさか本気になったんじゃないだろうな。少女の奴)
男(……くそ、バカか俺は。商品に情なんか持つんじゃねえよ。アイツは金だ、金。歩いて息して、ちょっと見てくれと気立てがいいだけの、ただの……)
男(……長く一緒に居すぎたな)
男「商人。話がある」
商人「あいよ」
――――――――
娼館
男娼「お疲れーッス」
支配人「男娼。ちょっとそこ座れや。話あんだよ」
男娼「な、何スか? 自分、何かしたッスか?」
支配人「いいから座れ」
男娼「は、はあ……」
支配人「お前、最近女抱いたか?」
男娼「抱いたって、そりゃ抱いてますよ。今日だって5人も客とったじゃないッスか」
支配人「とぼけてんじゃねえっ! とっくにネタは上がってんだよボケが!」ドン
男娼「ひぃぃ!」
支配人「連れて来い」
少女「ひっぐ……ぐす……」
男娼「こ、この子がどうかしたんスか? 自分、全然知らないッスけど」
支配人「ほう。てめえ、中々いいタマしてんじゃねえか。やれ」
黒服「オラァ!!」ゲシッ
少女「ひゃんっ」ドサ
男娼「少女ちゃんっ!」
支配人「何いきり立ってんだ、落ち着けよ男娼。てめえにゃ関係ねえ女なんだろ? だったらどうなったって気にすることじゃねえよなぁ?」
男娼「くっ……」ギリ
黒服「このっ、このっ!」ガスガス
少女「いたい、いたいですっ。そんなにお尻ばっかり蹴らないでくださいっ」
黒服「ひゃっひゃっひゃ、こんなにいいケツしてんだ。大したことねえだろ!」グリグリ
少女「はうぅ……」
支配人「おい、何遊んでんだタコ。とっとと脱がせろ」
黒服「えーと……すいません、少々お待ちを。お客様がいらっしゃったようです」
支配人「は? そんなアポ受けたつもりねえぞ」
男「邪魔するぞー」バァン!
商人「お邪魔さん。中々儲かってるみてぇじゃねえの」
支配人「な、何だてめ……しょ、商人……さん!? どうしてこんなところに!?」
商人「どうしてもこうしてもねえよ。俺んとこのナンバーワンの娘が、おたくんとこの若いのに粉かけられたってんで、こっちの兄弟が怒鳴りこみに行くって言って聞かねえの」
男「おうおうおう、よくも俺の女に手ぇ出してくれたじゃねえか、ああん?」
支配人「ナ、ナンバーワン? 商人さんのお店の? どういうことです? 商人さん、いつから娼館の経営を?」
商人「先週からだ」
支配人「せ、先週!? また急なお話で……」
商人「兄弟が農園売って作ってくれた金で、俺にプレゼントしてくれたんだよ。ありがたいねえ、持つべきものは金と友ってな」
男「ま、俺が出したのは手間賃みたいなもんだけどな。今頃前の店長さんは故郷でワイン飲みながら昼寝でもしてるだろうよ」
商人「んでよぉ、木っ端みてぇな新人ならともかく、ナンバーワンの娘に手ぇ出されちゃあこっちも黙ってらんねえってわけ。分かるかい?」
支配人「ちょ、ちょちょちょちょっと待って下さい! こちらも同業のランク入り嬢の顔くらいはみっちり叩き込んであります! いくらこいつがアホでも、ナンバーワン嬢をお手つきにするような間抜けじゃあありませんよ!」
商人「何訳分かんねえこと言ってんだい。うちのナンバーワンはそこの少女ちゃんだよ。ちょうど一週間くらい前だったかね、たまたまぶっとい客がついてくれてよ、毎日毎日ほぼ貸し切り状態で貢いでくれるもんだからあっという間にナンバーワンよ」
男「おかげで家財と土地切り売りする羽目になっちまったじゃねえか、どうしてくれんだてめえ」
支配人「いや、それは別に手前の責任では……い、いえ、すいませんでした! うちの奴がとんでもねえことを……! おい、てめえも謝れ!」
男娼「いてっ! ど、どうなってんスかこれ!?」
男「おう男娼くんよ。あんときゃ窓から放り出したりして悪かったな」
男娼「あ、アンタは少女ちゃんの……! 一体どういうことなんスかこれは!」
男「まあ見てろって」
支配人「こいつにはきっちりけじめつけさせますんで! どうか命だけはお助けください……!」
商人「おいおい、社員の教育がなってねえのは上司の責任だろうが。お前さん一人助かろうってのは虫がよすぎるんじゃねえか?」
支配人「ひ、ひいい!」
商人「……つうのは冗談でな。責任があると言やあうちの少女にもねえわけじゃねえ。そうだろ?」
支配人「は、はあ」
商人「ならここは、そこの坊主をうちで買い取るっつうことで手打ちにしようや。な?」
支配人「お、おいくらで買い取っていただけるんで?」
商人「ほれ、こんなもんでどうよ」
支配人「こ、こんなの法外です! 男娼はうちのナンバーツーなんですよ!?」
商人「あんだって?」
支配人「い、いえ。どうぞ持って行ってください、こんなのでよろしければ」
商人「そうかいそうかい。そんじゃ、これからもよろしく頼みますわ」
男「何座ってんだよ。早く来いよ」
男娼「は、はい……!」
少女「お、置いていかないでくださーい!」バタン
支配人「……くそったれ!」ドガッ!
少女「いくらなんでも可哀想じゃないですか? 因縁つけて売れっ子を安く買い叩くなんて」
男「あんなおっさんなんかどうでもいいんだよ。とっとと屁でもこいて死ねばいいんだ」
商人「でも兄弟、そのために大枚はたいてたんじゃあ世話ないんじゃねえか?」
男「おまっ、相場の10倍近い値段でぼったくったのは商人だろうが! とんだ出費だよちくしょう!」
商人「貸し借りってのはフェアでなきゃいけねえ。うちの店にその子ねじこむとこまではロハだけどよ、ナンバーワンって箔つけるならそれなりにもらわねえとな?」
男「くっそ……年下は抱かない主義だったってのに」
少女「でも、すごくよかったですよご主人様! お上手でした!」
男「少女も少女だよ! なーんもせずに寝転がってるだけでいいっつったじゃねえか!」
商人「……そりゃその気になっちまった兄弟が悪いだろうよ」
男「いや、せっかく金出してるのに何もしないのももったいないかなって思ったから……」
商人「結局やる気満々じゃねえか」
男「まあな」
少女「えへへ……」
男娼「……あの、すいません。いろいろ説明してもらいたいんスけど」
男「おっと、忘れてた。実はかくかくしかじかで」
男娼「つまり、貴族妹さんが自分に金ジャブするのをやめさせるために、口実作ってヘッドハンティングしたってことスか?」
男「……まあ、大体そんな感じ」
男娼「じゃあ、少女ちゃんが自分に近づいてきたのも……」
少女「……ごめんなさい」
男「……商人。そこの店の子可愛くないか? ちょっと声かけに行こうぜ」
商人「ああ? 急に何だい兄弟」
男「いーから、来いよ」
商人「分かったよ……」
少女「……怒ってらっしゃいますよね?」
男娼「……なんとなくそんな気はしてたんスよ。確かに自分顔もいいしトークも自信あるッスけど、話が上手すぎるって」
少女「……は、はあ」
男娼「でも、美人局の可能性なんかこれっぽっちも考えずに押し倒したのは自分ッスから、君は何も悪くないッス」
男娼「後悔するとしたら、さっさとヤることヤッときゃよかったなってことくらいッスね、あっははは!」
少女「……な、なるほど」
少女「(この人、執事さん系の人だ……)」
男娼「ま、そういうわけでこれからは商人さんのお店で精一杯やっていくッス! 給料も前のとこより悪くなるってことはないと思いますし!」
少女「まあ、多分……もしかしたら、上がるかも……」
少女(ご主人様のご友人だし……がめついだろうなあ……)
少女(ご主人様のご友人だし……がめついだろうなあ……)
男「お若いの、話は終わったか?」
少女「ええ。一応……」
少女「(気を利かせていただく必要はなかったような話しかしてませんけど……)」
商人「んじゃ、後は嬢ちゃんとしっぽりやんなよ兄弟」
男「やかましい」
商人「何照れてんだよ、畳と女房は新しいのがいいって言うだろ? 若いうちに死ぬほどやっとけよ」
男「タタミって何だよ」
少女「えっと、話が見えないんですけど、女房って誰がです?」
商人「誰も何も……兄弟、まだ言ってなかったのかい」
男「……ああ」
少女「言ってないって、それって」
男「お前を売るのはやめた。どうせ非処女じゃろくな値つかねえし、若干割高だけど性奴隷買ったもんと思うことにしたよ」
男娼「性奴隷って……もうちょっと言い方ってもんがあるでしょ」
少女「そ、そうです! そんな急に言われても、私にも心の準備ってものが……!」
商人「ま、後はお屋敷でじっくり話しなよ。兄弟、ここは素直になっとかねえとずーっとネチネチ言われるぜ」
男「余計なお世話だっつーの!」
屋敷・男の寝室
少女「つまり、私に惚れてしまったから売るのが惜しくなったということですか」
男「まあかいつまんでいうとそうなんだけど……何でそんな喧嘩腰なの」
少女「分かりませんか」
男「分からん。皆目見当もつかん」
少女「……ご主人様、私を抱きましたよね」
男「ああ。それがどうかしたか」
少女「何度も何度も、私が何回も『少し休憩しましょう』って言ったのに、全く聞き入れてくださいませんでしたね」
男「ああ。それがどうかしたか」
少女「ここは悪びれるところです」
男「……すいませんでした」
少女「ご主人様、何故私を抱いたのですか」
男「娼館で女買ったんだから、抱かなきゃ損だろ」
少女「私はそういう話をしているのではありません」
男「…………いや、まあやりたかったから」
少女「どうしてですか」
男「何でだろうな」
少女「………………私が一番聞きたいのはそこなんです」
男「え?」
少女「ですから! どうして私を抱きたかったのかをはっきりさせずに抱かれたことに私は怒っているんです!」
男(……考えろ俺。この女は一体どういう言葉を求めているのかを)
男「エロかったから」
少女「……そうですか」
男(何かちょっと違うような……いやでも満更でもなさそうだな)
少女「……そうやって、私を焦らして楽しんでいらっしゃるんですか。ご主人様」
男「え?」
少女「もういいです。ご主人様なんて嫌いです」
男「ちょ、ま」
少女「夜伽は月に一度、着衣で手淫1回きりとさせてもらいますね」
男「そりゃお前法外だよ! 言っていいことと悪いことがあるぞ!」
少女「どのような法かは存じませんが、でしたら私に一言だけおっしゃってください。それで私は満足です」
男(一言だけ……満足……)
男(……マジか。これは恥ずいぞ)
男「………………好きです」
少女「もう一声」
男「え!? ……ひ、一目惚れでした」
少女「もう一声!」
男「け、結婚して下さい!」
少女「喜んで!」ガバッ
男「っと、俺を押し倒そうなんざ10年早い!」
少女「きゃっ♡」
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――――
――
男「……ついにこの時が来た」
少女「ええ、長かったですね」
男「やっとあのバカも出てってくれたからな……もうおかしなことやらかすアホはこの屋敷にはいない」
少女「商人さんのところに弟子入りするって言い出したときはびっくりしました」
男「ああ。てっきり男娼との一件でそっちに目覚めたもんかと思ったがな」
少女「……まあその可能性は完全には否定できませんけど」
メイド「ご主人様、連れて参りました」
男「ご苦労。ちゃんと生きのいいのを買ってきたか?」
メイド「はい。廊下に待たせております」
男「よしよし、それじゃ後で個別に面談でもさせてもらいましょうかね」
少女「え? どうして個別になんですか?」
男「そりゃあだってお前、なあ?」
メイド「お入りください」
農奴×50「へい」ゾロゾロ
男「おわっ、ちょ、何だよこれ! どういうことだメイド!」
メイド「どういうことと申されましても、農園に補充するための労働力をご所望されたのはご主人様の方では?」
男「違う! 俺は新しく女の子を買いたかったんだ! 最近お前らにばっか主導権を握られてつまらんから、コウノトリとか信じてそうなウブな子を一からじっくりと……ってこれちゃんと昨日説明しただろ!」
少女「うふふ、おいたはダメですよご主人様」
メイド「そうですとも。私たちというものがありながら、何と不実なことでしょう」
男「くっそぉおおお……へそくりを貯めに貯めた金貨20枚が……むさい出稼ぎのおっさん50人になりやがった……」
メイド「では皆さん。お仕事の方は明日からで結構ですので、今日のところは宿舎でお休みください」
農奴「うっす」ゾロゾロ
メイド「さ、ご主人様。農奴の方々のお給金の支払いが滞っております。早く執務室へ」
男「……今度は、奴隷は自分で買いに行こう。人任せはよくない」
少女「何かおっしゃいましたか?」
男「いえ、何も」
男「……左団扇は当分先だな、こりゃ」
おわり
これにて完結です
読了いただきありがとうございました
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