少女「バレンタインにはパイをあげるねっ」(51)

男「お、いいね、パイ好きだよ」

少女「美味しいパイがあるよ~」ニヤニヤ

男「パイの実?」

少女「もっといいパイだよ~」ムニッ

男「源氏パイとかうなぎパイも好きだなあ」

少女「ほれほれ」ムニムニ

男「あ、アップルパイとかも好き」

少女「……」ムニムニ

男「楽しみにしてるから」ニコッ

少女「……う、うん」

男「……」

少女「……」ムニムニ

男「寄せても、胸ないな」

少女「うるさいっ!」

少女「むぅ、あの朴念仁はどうやったら私になびくんだろう……」

少女「いっそもう見せるか!?」

少女「回りくどいの、やめちゃうか!?」

少女「右のパイと左のパイ、どっちがい~い? とかゆって!」

少女「右手でつまんで左手で揉んで! みたいな! みたいな!」

少女「きゃ~」

男「おい、聞こえてるぞ」

少女「ぎゃ~!!」

男「お前な、家の中でそういうこと大声で言うのやめろ」

少女「お母さんがいるから?」

男「そうだよ」

少女「お母さん、応援してくれてるよ?」

男「なんてこったい」

少女「お父さんはちょっと反対気味だけど……」

男「……なんてこったい」

男「男手ひとつで育ててきた息子が、できたばかりの妹に求婚されてるってショックだろな」

少女「まあ、いずれわかってくれるよ」ポンポン

男「なんでおれ慰められてんの!?」

少女「私たちの愛に、壁など意味ないのだよ」ポンポン

男「主にお前の愛だろ」

少女「愛してくれてないの?」

男「ん……いや、まあ、それなりに?」

少女「歯切れ悪っ!」

一応これの続き物ですが、読んでなくても全く問題ありません
ぬるっと続きます
では、また明日です

少女「お菓子をくれたら悪戯してもいいよっ」
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……

少女「なにつくろっかなあ」

母「あら、なにを悩んでるの?」

少女「んーお兄ちゃんにバレンタイン、なにあげよっかなあって」

母「私のパイをあげる♪ っていうのはどう?」

少女「それはもう無視されちゃった」

母「あそう……」

少女「私やっぱお母さん似だなあ……」

母「手作りにこだわらなくてもいいんじゃない?」

少女「でもやっぱ、作ってあげたいし」

母「簡単なのは、チョコと溶かして固めて」

少女「ナッツとか入れて?」

母「そうそう」

少女「髪の毛とかもちょっと隠し味で?」

母「そうそう」

男「おいやめろ」

少女「ちょ、ちょっと、台所は女の聖域よ!」

母「あらあら、だめじゃない、入ってきちゃ」

男「恐ろしい相談が聞こえてきたからだよ!」

少女「もう、お兄ちゃんのエッチ♪」

男「勘弁してくれ」

母「あらあら、私のいないところでお願いね、二人とも」

男「いなくてもダメでしょう!」

少女「当日まで秘密っ! 見たらだめだよ!」グイグイ

男「食えるもんにしてくれよ……」

少女「ふう、危ない危ない」

母「全身チョココーティングというのもアリよね?」

少女「やっぱり普通に考える」

母「あそう……」

男「そんなに気合い入れなくていいんだけどなあ」

男「別に市販でも」

男「って言ったら、怒りそうだな、あいつ」

……

少女「むむう、決まらない……」

母「別に市販のでも、お兄ちゃん喜んでくれると思うけれど」

少女「だめ! 手作りがいいの!」

母「どうして?」

少女「だって、他の女に差をつけられちゃう!」

母「他の女って……」

少女「お兄ちゃんに手作りチョコ渡す女がいたら、私負けちゃう!」

母「大丈夫よ、お兄ちゃんモテないから」

少女「万が一、ということがあるでしょ!」

母「用心深いのねえ」

……

少女「ふむふむ……プリン……ふむふむ……」カチカチ

少女「ほほう、カラメルソース……なるほど……」カチカチ

男「あいつ、なにしてんの?」

母「パソコンで調べものだって」

男「……あんまり根つめないように、言ったげてくれる?」

母「あなたが言った方が、効果があるんじゃない?」

男「まあ、それもそうなんだけど……」

母「自分からは、言いたくない、と」

男「あ、や、そういうわけじゃあ」

母「優しいのね、お兄ちゃんは」

男「……」

母「どんなものができても、受け取ってあげてね」

男「……去年は確か……」

母「色はちゃんと茶色だったでしょ?」

男「それだけは覚えてる」

……

男「……まだやってるっぽいな」

少女「あぎゃー!」

男「……明日起きられなくなっても知らねーぞ」

少女「っ! 痛っ!」

男「あーあ、あの馬鹿……」

……

少女「わ、お兄ちゃんっ! 入ってきたらだめだよっ!」

男「いいから、ほれ、指見せてみろ」

少女「だ、大丈夫だよ?」

男「化膿したらどうすんだ、ほれ、指出せ」

少女「……ありがと」

男「あとまあ、チョコに血が入ったら大変だからな」

少女「あ、そっか」

男「昔はそういうおまじないがあったらしいけど」

少女「ほんとに?」

男「好きな相手に血を飲ませても、うまくいくとは思えないが……」

少女「ふむふむ……血をチョコに……なるほど」

男「おい、なにがなるほどだ」

男「よし、治療終わり」

少女「ありがとう」

男「ほどほどにして、早く寝ろよ」

少女「……うん」

男「……じゃあ、おやすみ」

少女「……」

男「ん?」

少女「……一緒に寝る」ギュ

男「……じゃ、片づけるか」

少女「うん」

明日終わるかなー
明後日かなー
おやすみなさい

……

少女「明日、誰かにチョコ、もらう?」

男「さあ、どうかな」

少女「くれそうな人、いる?」

男「いないことも、ないな」

少女「……」

男「でもお前のチョコ、最初に食べるから」

少女「……私のチョコ、最後にして」

男「ん? いいけど」

少女「んん」モゾモゾ

男「寒いか?」

少女「んーん、ぬくい」モゾモゾ

少女「ぎゅーってして」

男「はいはい」ギュ

少女「もうすぐバレンタインになるし、フライングでパイを揉んでもいいよ」ギュ

男「馬鹿、早く寝ろ」

……

男「んん……」モゾモゾ

男「……あいつ、先に起きたのか」

男「……さみい」モゾモゾ

……

少女「おはよーお兄ちゃん、冷蔵庫は開けちゃだめだからね!」

男「おはよう」

少女「帰ってからのお楽しみだからね!」

男「はいはい」

少女「行ってきまーす」

男「行ってきまーす」

母「行ってらっしゃい♪」

……

少女「寒いねー」

男「寒いな」

男「チョコ、誰かにあげるのか?」

少女「んーん、お兄ちゃんとお父さんだけだよ」

男「そっか」

少女「気になる?」

男「……」

少女「気になるんだー、うふふ、うふふ」

男「気にならん」

少女「まあ、あげられないよね、いろんな意味で」

男「……なるほど」

少女「私がチョコ持って行ったら、騒ぎになると思う」

男「……それはまずいな」

少女「でしょ」

男「じゃあ、気を付けて」

少女「はあい、お兄ちゃんも」

男「おれは誰かにもらうかもよ?」

少女「そしたら、私に見つかる前に捨てること!」

男「怖いよ」

……

男「ただいま」

少女「お帰りっ」フリフリ

男「……なんだ、その恰好は」

少女「聖・ヴァレンチヌスのコスプレだよっ」フリフリ

男「どこにそんな需要が……」

少女「どう? どう?」フリフリ

男「……」

男「……ありだな」

少女「でしょでしょ!」

少女「チョコもらった? もらった?」

男「あ、えっと、ゼミの友だちに一つ……」

少女「ゼミ? セミ?」

男「んー少人数の授業、かな」

少女「仲良いの?」

男「ふつう」

少女「むむ、なら許す」

少女「一口ちょうだいっ!」

男「ご飯前だぞ」

少女「いいの、ちょっとだけ!」

男「しゃあねえなあ」ガサガサ

少女「お、可愛いぞ、これは」

男「ほれ」ヒョイ

少女「あむ、むぅ、うまいぞ、これは」モグモグ

男「市販だからな」

あれ……
まだ渡してない……
明日恐らく完結ということで、すみません

……

少女「よっし、お待ちかね! 私からのバレンタインチョコだよっ!」

男「まだご飯食べてすぐだけど……」

少女「お腹空いてない?」

男「まだちょっと……」

少女「じゃあ、コタツでテレビ見よう」

男「なんか見たいものあったか?」

少女「んー」

男「なんもねえなあ」ピッピッ

少女「ニュースはバレンタイン一色だねえ」

男「んー」ピッピッ

少女「ね、そっち行く」

男「ん?」

少女「足の間入る」

男「はいはい」

少女「やたー」モゾモゾ

男「甘えん坊め」

男「髪伸びたなあ」

少女「うん」スリスリ

男「……」

少女「似合う?」スリスリ

男「うん」

少女「コスプレは?」

男「案外、似合ってる」

少女「えへへー」スリスリ

少女「はっ! このポジションは冬のパイ祭り開催の絶好のチャンス!」ピキーン

男「なに言ってんだ」

少女「ちゃんとチョコ作ったよ? 作ったけどね?」

少女「お兄ちゃんになら……いいよ? パイ祭り開催するよ?」

男「馬鹿」コショコショ

少女「ひゃっ! あははは! くすぐりはダメ!」

男「お馬鹿な妹におしおき」コショコショ

少女「ひゃははは! や! ちょっと! ごめんって!」

男「……ふぅ」

少女「あはは……あは……ひー」

母「あらあら、仲良しさんねー」

男「ははは」

母「そのポジションだと、冬のパイ祭りが開催できるわねー」

男「……」

少女「……」

男「親子だなあ」

少女「親子だねえ」

母「ん?」

……

少女「はい……バレンタインの……例の……」

男「お、おう」

男「どうした、なんか変だぞ」

少女「……今年はちょっと、頑張ったから」

男「知ってる」

少女「?」

男「頑張ってたの、知ってるし」

少女「……うん」

男「開けるぞ」ゴソゴソ

少女「うん」

男「……おぉ、これは」

少女「……うん」

男「プリン型?」

少女「……うん」

男「へえ、うまいじゃん」

少女「変なもの、入れなかった」

男「よしよし、えらいぞ」

男「可愛い」

少女「えっ!? 私!? 私のこと言った!?」

男「いやいやいや、チョコのことだよ」

少女「はよ食え!」ベシベシ

男「はいはい、いただきまーす」

少女「……」ドキドキ

男「……おぉ、普通にうまい」

少女「やった!」

男「あれ? どうしたことだ、これは」

少女「ふふん、私も成長してるし!」

男「市販?」

少女「手作りだっつーの!」

男「ごめんごめん、冗談」

男「でも、うまいわ、ありがとな」

少女「えへへー」テレテレ

男「でもなんでプリン?」

少女「え、お兄ちゃん巨乳好きだから……」

男「……」

少女「……」

男「いや、別に巨乳好きでは……」

少女「!」

男「……」

少女「じゃ、じゃあ」ムニッ

男「壁にも興味はない」

少女「うわあああああああああん」

男「うそうそ、冗談、ほらこっちおいで」

少女「……」ベシベシ

男「ほらお前も一個食え」

少女「あむ」

男「来年はもっとうまくなるかなー」

少女「……頑張る」モグモグ

少女「ねえ、さっきのうそって、壁のこと? 壁に興味ないこと?」ベシベシ

男「えーと」

少女「私に興味ないの? 私が巨乳だったら好きなの!?」ベシベシ

男「お前のことは好きだよ」

少女「!」

男「ただし、今は、妹として」

少女「……」ベシベシベシベシ

男「お返し、なにが欲しいか考えといてな」

少女「え、うーん、うーん、お返しか、そうか」

男「常識の範囲内で」

少女「常識か……でも、常識を覆すってのも」

男「なしで」

少女「今すぐ結婚とか」

男「無理で」

少女「あ、あれにしよ!」

男「?」

少女「ホワイトデーには白いのが欲しいなっ」


★おしまい★

    ∧__∧
    ( ・ω・)   ありがとうございました
    ハ∨/^ヽ   またどこかで
   ノ::[三ノ :.、   http://hamham278.blog76.fc2.com/

   i)、_;|*く;  ノ
     |!: ::.".T~
     ハ、___|
"""~""""""~"""~"""~"


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