【仮面ライダーSS】少女「泥棒さん、私を盗んで」 (112)

仮面ライダーディエンド主人公のお話です。あくまで海東だけで、他のライダーはでません。

元ネタはありますが、クロス等はありません。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1392308392

夜。

暗闇に紛れて、一人の男がとある洋館に忍び込んだ。

セキュリティも難無く通り抜け、目的の部屋のドアを静かに開ける。


海東「みーつけた」

忍び込んだ男一一海東大樹は、部屋内の戸棚から目的の品を盗み出した。

海東「さて、目的のお宝は手に入れた。さっさと退散しようか。」

部屋の窓を開け、バルコニーに出る。

あとは、庭に飛び降りて外へ逃げるだけ。

と思っていたその時。


「ねぇ泥棒さん」

何と上空から声がした。

海東「ッ!?」

とっさに声のしたほうを見る。

すると…

少女「よーいしょ、っと」

自身にめがけてダイブしてくる少女が海東の視界に入った。

数多の世界を渡ってきた海東だったが、なかなかに珍しい状況に驚いていた。

海東(まさか盗みに入った先で、女の子をお姫様だっこする羽目になるとはね)

ダイブしてきた少女をとっさに受け止める。

少女が腕の中で器用に体勢を整えたため、お姫様だっこが完成した。

そんな状況に多少の驚きを感じながら、しかし取り乱した風も見せず、海東は少女に尋ねた。

海東「きみ、変なところから現れたね。こんな時間に屋根の上にのぼってたの?」

少女「ん?まあね、そういうことにしておくね。

それより泥棒さん、私を盗んで。ここから連れ出してくれない?」

海東の質問に曖昧に答えた少女は、反対に奇妙な提案をしてきた。

海東「私を盗んで、か…もう少し大人になってから言いなよ、そういう台詞」

少女の外見からするに年は10才から12才くらい。

たしかに男に言い寄るには幼過ぎる。あるいは、ませているというべきか。

海東「残念だけど、僕には君よりもこっちのお宝のほうが魅力的でね。」

少女「失礼しちゃう!
でもね、このままだと世界が生まれちゃうの。」

またしても少女は奇妙なことを言い出した。


『世界が生まれる』


まるでファンタジーの台詞だが、海東にはひっかかるものがあった。

彼はこれに似た言葉を聞いたことがある。

海東「ふむ、『世界の破壊者』ってのは聞いたことがある、というか知り合いにいるけどね」

海東「壊れるならともかく、生まれるならいいんじゃないの?」

海東は少女を下ろして答えた。
この言葉は気になるが、いつまでも話しているわけにはいかない。

少女「でも、恐怖と混乱と絶望の世界が始まるよ…」

海東「?」

急にトーンを落とした少女の声に、そして物騒な内容に、退散しようとした海東の足が止まった。

海東(もう少し話してみるか。長くなりそうなら、この子をつれて離れればいい。)

そんなことを思い浮かべた海東だが、今度は別の声に遮られた。


?「娘を返してもらおうか、コソドロ」

少女の父親と思しき男性が立っていた。

少女「お父様…」

父親「もう安心だぞ、少女。今から父さんが助けてやるからな。」

少女「い、いや…」

父親が助けにきたと言っているのに、怯える少女。海東の後ろに隠れる始末だ。

海東「どういうことかな。
ひょっとして世界が生まれる云々はでたらめで、お父さんと喧嘩して家出するつもりだったかな。」

少女の怯えようから、そんな冗談のような話ではなさそうだが、声をかけてみた。

少女「ちがう…お父様の作ろうとしている世界は…怖い」

父親「何を言う、そうでもしなければ…む!」

バンッ、と音をたてて、父親の横で火花が散った。
海東がディエンドライバーを発砲したのだ。

海東「なかなか気になる話になってきたね。
もともとこの子から依頼されたことだし、ご要望にお答えしてみようか」

少女「泥棒さん…!」

父親「困ったコソドロだ、宝だけでなくわが娘まで盗むというのか。これは…」

父親は海東に近づきながら不敵に笑った。

少女「ああっ!だめ、泥棒さん、逃げて!」

少女が悲痛な声で警告する。
そして…

怪人「退治しなければなぁ!」

何と…少女の父親が怪人に姿を変えた。

少女「泥棒さんッ」

なおも逃亡を促す少女。
しかし、海東は持っていた盗品を少女に渡すと、怪人に向き合った。

海東「逃げるときは君を連れて逃げるさ。だからお宝をもっていてくれよ」

少女「え」

海東「まぁ、まかせたまえ」

海東「まさかこんなところで怪人と出くわすとはね。これはますますお嬢ちゃんから話を聞かなきゃいけないな。」


海東は素早くディエンドライバーにカードをセットすると、銃口を上空に向け、引き金を引いた。


海東「変身!」

カメンライド

ディエーンド!!

おやすみなさい。
続きはまた今度。

失礼。補足を。
他のライダーは出てきません、と書きましたが、
これは、士やユウスケ、天道や乾巧ってやつが出てこないということで、カメンライドによる召喚はあります。
…じゃないとただの銃使いライダーになってしまうので。

少女「!?」

青い仮面ライダー、ディエンドに変身した海東を見て、驚く少女をよそに戦闘が始まった。

ディエンド「さあ、始めるとしようか。」

怪人「ふんッ」

先手必勝とばかりに、ディエンドライバーを発砲するが、怪人も素早く身を翻し、回避しつつディエンドに接近する。

ディエンド「速いな。いったい何の怪人だい?」

これまでディエンドが戦ってきた怪人は、その多くが虫や動物をモデルにしたものだった。

だが、眼前の怪人はフォルムに特徴がなく、人型のものだった。
しいていえば、アポロガイストのようなタイプか。

怪人「残念だが、私には特徴がなくてな!」

ディエンドの問いかけに答えながらも、怪人は接近して徒手空拳で攻撃してくる。
シンプルな人型フォルムゆえ攻撃の動作も滑らかだ。

ディエンド「ふん、特徴が無いのが特徴か」

ディエンドライバーによる遠距離攻撃はできずとも、格闘戦で応戦するディエンド。

いつしか屋外へ飛び降りての戦闘になっていた。

ディエンド「よっと…今だ!」

一瞬の隙をついて距離をとり、怪人めがけて発砲するディエンド。

怪人「くっ」

被弾した怪人はよろめきながらも、しかし次の行動に移った。

怪人「やるな…だが…
こんな噂を知っているか?」

ディエンド「?」

突如、語りかける怪人。

その時、二人を追いかけて庭にでた少女が叫んだ。

少女「泥棒さん!周り!気をつけて!」

ディエンド「何っ、犬?いや、こいつは…」

ディエンドの周囲から屋敷の番犬が襲い掛かった。


そして少女の声に構わず、怪人は語り続けた。

怪人「この屋敷の番犬は、人の顔をしているという噂を!」

ディエンドに襲い掛かった番犬は、犬の体に人の顔、いわゆる人面犬だった。

ディエンド「よっと…今だ!」

一瞬の隙をついて距離をとり、怪人めがけて発砲するディエンド。

怪人「くっ」

被弾した怪人はよろめきながらも、しかし次の行動に移った。

怪人「やるな…だが…
こんな噂を知っているか?」

ディエンド「?」

突如、語りかける怪人。

その時、二人を追いかけて庭にでた少女が叫んだ。

少女「泥棒さん!周り!気をつけて!」

ディエンド「何っ、犬?いや、こいつは…」

ディエンドの周囲から屋敷の番犬が襲い掛かった。


そして少女の声に構わず、怪人は語り続けた。

怪人「この屋敷の番犬は、人の顔をしているという噂を!」

ディエンドに襲い掛かった番犬は、犬の体に人の顔、いわゆる人面犬だった。

やっちまった
書き込めてないと思ったら連投…

ディエンド「人面犬…」

人面犬1「何見てんだよー!」

人面犬2「侵入者、排除する」

人面犬3「くらえ、抜刀牙ぁ!」

ディエンドの周りから人面犬たちが襲い掛かる。

ディエンド「くっ」

怪人「それだけではないぞ。この家の庭でツチノコの目撃もあるらしい。」

怪人が言い終わるが早いか、突如地面から巨大なツチノコがディエンドに襲い掛かった。

ディエンド「うわっ」

火花を散らして吹き飛ぶディエンド。

少女「ど、泥棒さん…」

ディエンド「驚いたな…ここは化け物屋敷かい?」

怪人「化け物か…正確には違うがな。
ここで倒されるお前には関係ないか」

再度、人面犬たちに攻撃命令をだそうとする怪人。

だがディエンドの行動がそれを遮る。

ディエンド「勝手に決めないでくれたまえ。

お宝と、あのお嬢ちゃんを盗み出さないといけないんでね。

こちらも力を使わせてもらうよ。」

ディエンドライバーにカードを差し込み、引き金を引く。

ディエンド「化け物には化け物だ!」


カメンライド

キバ!

ディエンドの能力により召喚された仮面ライダーキバは、巨大ツチノコに向き合い戦闘を開始した。
一方ディエンドは、人面犬の排除にかかる。

ディエンド「さて、化け物退治だ」

アタックライド

ブラスト!


光弾で人面犬を吹き飛ばす。

しかし、人面犬は次から次へと湧いてくる。

ディエンド「ふむ、きりがないな」

少女「泥棒さん、お父様は『友達の友達』なの!いくらでも都市伝説を呼び出すわ!」

ディエンド「友達の友達?

やっぱり詳しく話を聞く必要がありそうだな。」

ディエンド「『友達の友達』に都市伝説…か。

ここはいったん退散しようか。」

怪人「逃がすか」

ディエンド「逃げるさ」

ディエンドは、まず少女を傍に寄せ、次にツチノコの相手をしているキバを呼び寄せた。

そして再びカードを装填し、銃口をキバの背中に向け、発砲した。


ディエンド「痛みは一瞬だ」

ファイナルフォームライド

キ、キ、キ、キバ!!

キバを巨大な弓にFFRさせたディエンドは、照準を巨大ツチノコと人面犬の中心に合わせた。

ファイナルアタックライド

キ、キ、キ、キバ!

キバアロー「キバって、いくぜー!」

敵集団の中心に光の矢が放たれる。

爆発と閃光で、離れたところにいた怪人の視界も遮られた。

怪人「む、このような大技を持っているとは…」

怪人「だが、いくら末端を倒したところで…」

再度、人面犬や巨大ツチノコを呼び出す怪人。

しかし、爆発による煙幕が収まりかけた中、ディエンドがカードを使用した。

ディエンド「さぁ、これでさよならだ。
じゃあお嬢ちゃん、しっかりつかまって。」

少女「う、うん。」


アタックライド

インビジブル!


煙幕がおさまると同時に、少女を抱き抱えたディエンドの姿は消えていた。


怪人「おのれ…逃がしたか…

コソドロめ、少女は連れ戻すぞ。

我らの存在する世界を始めるために、な。」

残された怪人は、人間の姿に戻り、館の中へ戻っていった。

朝。

少女「ん…」

いつの間にか眠ってしまった少女は、見知らぬ部屋で目を覚ました。

少女「ここは?」

辺りを見回す少女。
確か自分は泥棒さんに連れられて館を出たはずだが…

海東「やぁ、お目覚めかい?」

少女「あ、泥棒さん…」

海東「昨日のことで話を聞こうと思ったけど、お疲れのようだったのでね。

僕の隠れ家まで運ばせてもらったよ。」

どうやらここは隠れ家に使っている家らしい。盗品でも隠してあるのだろうか。

少女「ありがとう、泥棒さん、私を盗み出してくれて。」

海東「いろいろ一筋縄ではいかない事情がありそうだね。

まずは君が昨日話していたことについて、聞いてみたいところだけど…」

少女「?」

海東「まずは朝ごはんを食べようか」

中途半端ですが一旦ここまでで。
朝ごはんは大事。
続きは鎧武が終わった時間くらいに。

おはようございます。
果たしてディエンドはバトライドウォー2でプレイアブルになれるのか?

とりあえず続きを。

少女「おいしー!泥棒さん、料理上手だね。」

海東「任せておきたまえ。僕は料理においても…いや、これはやめておくか…」

少女「? おかたづけ、手伝うね。」

さすがは女の子といったところか、少女はテキパキと食器を洗い、片付けていく。

一息ついたところで、海東と向かい合った。

少女「じゃあ、昨日のことについて、お話するね。」

海東「あぁ、頼むよ。
ただ、今日はいい天気だ。せっかくだから外を歩きながらにしよう。」



屋外 水辺の公園にて

少女「泥棒さんは『都市伝説』って知ってる?」

海東「ちょっとしたジョークや怪談が、さも本当に起こっているかのように信じられている噂話のことだろ?」

少女「そう…どんなに怖い話でも、噂の領域はでないの。」

海東「だが、お嬢ちゃんの父親やあの人面犬は、幻のたぐいには見えなかったけど?」

何しろ仮面ライダーである自分と一戦交えるだけの戦闘力をもつのだ。

そして少女の言っていた「生み出す」という言葉。

海東「父親のことを『都市伝説を生み出す』と言っていたね。もしかして…」

少女「うん。お父様自身も都市伝説。
『友達の友達が言っていた』で始まる伝説の発信源。」

海東「なるほど」

確かに怪人形態の父親は、伝聞めいたことをいったあと、人面犬やツチノコを呼び出していた。

海東「ということは、娘であるお嬢ちゃんは…」

少女「私も同じよ。
広まった都市伝説が実体化して、人間にまでなった存在。
それが私やお父様なの。

人間の形をしていても、都市伝説をもとにした力を持っているんだけど…」

自ら異形の存在であるとつげる少女。
しかし海東は特に気にした風もなく、会話を続けた。

海東「そう。それで、あの父親…『友達の友達(フレンドオブフレンド)』はその力で何をしようとしているんだい?」

飄々としたまま会話を続ける海東に少女は驚く。

少女「泥棒さん、驚かないの?」

海東「ん?まぁ、いろんなところで、いろんな話を聞いてるからね。

それこそ、古代の力が復活したり、鏡の中に入ったり、死んだ人間が怪人となって甦る話なんてのもあったよ。」

予想外な海東の話の内容に驚きながらも、少女は父親の目的を話す。

少女「お父様は、都市伝説が本当になる世界を作ろうとしているの。

人の形をしても、都市伝説はあくまで噂。

だから、都市伝説の完全な存在を確立させた世界を生み出す…って。」

ここにきて、少女が海東と出会ったときに言っていた言葉が理解できた。

海東「なるほど、噂になってる都市伝説が完全な存在…すべて実際に起こるならば、確かに『恐怖と混乱の世界』だね。」

少女「私達、都市伝説は噂が消えれば存在も消えてしまう。

だから、お父様はそうならない世界を作ろうとしているんだけど…

都市伝説がすべて本物になれば、ハンバーガーにはミミズが挟まるし、口裂け女に襲われたり、試着室で行方不明になるわ。
ひどいときは20歳の誕生日に死ぬことだって…」

少女はそんな理不尽に満ちた世界が正しいとは思えなかった。父親の方法には反対なのだ。

海東「でも、それじゃあお嬢ちゃんも消えちゃうかもしれないよ。」

少女「だから、外の世界に連れていってほしかったの。何か方法がないかって探したい。」

それが泥棒に自分を盗ませた理由だった。

海東「せっかくだ、外の世界を見てまわるといい。乗り掛かった舟だし、僕も付き合おう。」

少女「え、いいの?」

海東「お嬢ちゃんはこの世界を壊したくないんだろ。
理不尽な強制を嫌い、自由を愛するって点では同意するよ。」

そう言うと、海東は少女をエスコートしながら街中へ向かった。

海東(どうもこのくらいの歳の子供には、師匠面してしまうな。)

街を歩き回って…

少女「あー面白かった!でも、お腹すいちゃった…」

あまり、外へは出ないのか、少女は街の施設の探索に夢中になっていたが、さすがに疲労したようだ。

海東「何か食べるかい?
さすがにあの話の後じゃ、ハンバーガーは遠慮したいけど…」

少女は、あんまり家で食べれないものがいいなー、と考えていたが、ある店をみて決まったようだ。

少女「あ、私、ラーメンが食べたい。辛口の味噌味!」

少女はカラミソ、カラミソと唄うように、海東の手をひいて歩き出した。

少女「うーん!辛い!
でも、生まれ変わるほど強くなれるくらい美味しい!」

海東「そういえば、真夜中の鏡に自分を写したら、真実がどうこう…って都市伝説はあるのかい?」

少女「えっ?それは聞いたことないなぁ…」


閑話休題

少女「ごちそうさま」

ハンカチで口元を拭う少女。辛味噌ラーメンはお気に召したようだ。

食事も終わって、先程の公園へ戻って来た。

海東「さて、これからお嬢ちゃんはどうするんだい?」

少女「うーん、泥棒さんのところに厄介になっちゃダメ?」

上目使いで頼み込んでくる少女だが、さすがに海東は断った。

いかに世界を渡る怪盗とはいえ、女の子を盗んできて部屋に住まわせるのは許されない気がした。

少女「えー、残念!?」

海東「仕方ない、光写真館にでも預けようか…」

と、海東が思案したところで、別の声がした。


?「その必要はありません、お嬢様は私が連れ戻しますから。」

海東・少女「!」


そこには赤い上着を着た男が立っていた。

?「さぁお嬢様、お父上も心配しています、帰りましょう。」

少女「嫌よ。お父様が心配してるのは私の力のほうでしょ。」

言い争いを始める二人の間に海東が割り込む。

海東「やれやれ、嫌がっている女の子を連れていくのは良くないな。」

?「ふん、コソドロの分際で。」

海東「見たところ、こいつも都市伝説のようだけど?」

海東の質問に少女が答える。

少女「気をつけて、こいつは…怪人赤マントよ!」

都市伝説クロスといえなくもないけど、定義がよくわからんかったので…

赤マントと呼ばれた男は人間の姿から怪人形態へ姿を変えた。

赤マント「ふん、おとなしくお嬢様を渡せば…」

海東「命だけは助けてやる、かい?

あいにくだが泥棒にも意地があってね。

盗んだものをハイそうですかとは返せないさ。」

海東の拒絶に、赤マント一一文字通り赤いマントをすっぽり羽織った怪人は得心したように頷いた。

赤マント「まぁ、そういう返事だと思ったよ。

いいさ、始末して構わんと言われているからな!」

そう言って戦闘態勢をとった。

海東も、まず相手にディエンドライバーを撃ち込み、隙を作ると素早く変身した。

海東「変身!」

カメンライド

ディエーンド!


ディエンド「さぁ、行こうか。」

赤マント「ふん!」

銃撃により出遅れた赤マントだが、先程より素早く近づくと、マントの下からディエンドに斬りつけた。

ディエンド「っと、危ないな」

みればマントの下には、ナイフをはじめとした数種類の刃物が光っている。

赤マントはそれらを巧みに操り、時には遠距離から投げてディエンドを追い詰める。

ディエンドもやられてばかりではない。

接近されても、体術で応戦し、時に投げられるナイフを銃撃で弾き返し、赤マントにもそのまま撃ち込んだ。

ディエンド「ッ!」

赤マント「く…やるな。」

膠着状態の戦闘を打開するため、赤マントが次の手を打った。

赤マント「このままでは、らちがあかんな…ならば…」

赤マント「来い、口裂け女、黒づくめの男たち(メンインブラック)ッ」

少女の父親『友達の友達』が用意した軍勢か、赤マントはどこからともなく新たな怪人一一「口裂け」「黒づくめの男たち」を呼出し、戦力を補強した…かに見えた。

ディエンド「何をするかと思えば、頭数を増やしただけか。」

カメンライド

ライオトルーパーズ!

ディエンド「いってらっしゃい、兵隊さん」

ディエンドも戦力を呼出し、両者入り乱れての戦いになった。

新たに登場したマスクをかけた女性、口裂け女はディエンドに問いかけた。

口裂け女「ねぇ、私って綺麗?」

ディエンド「おっと、こんな時までお決まりの台詞かい?」

口裂け女「ねぇ、綺麗?」

ディエンド「あぁ、綺麗だよ。」

ディエンドはこれから起こることを予測し、身構えた。

口裂け女「これでもぉぉ?」

口裂け女はマスクをとると、怪人に変身した。

そのフォルムは女性的でありながらも、頭部に大きな特徴があり、その名の如く、裂けた口と鋭利な歯を見せていた。

そしてその口でディエンドに噛みつこうとする。


が。


ディエンド「有名になりすぎたね、口裂け女。

その姿を見たときから、こうしてやりたいと思ったよ。」

大きく開いた口に、ディエンドライバーの銃口をねじ込んだ。

口裂け女「あ」

アタックライド

ブラスト!

口裂け女「あ、がぁああ

…なんてことをする奴なの!?」

ディエンド「そっちの赤マントもだけど、[ピーーー]ならさっさとやるべきだ。
首絞めだろうが、大量出血だろうが、理不尽に[ピーーー]ことに変わりはないんだろ?
だったらさっさと目的をとげるべきだ。」

口裂け女と、そして離れた場所にいる赤マントに挑発的に言う。

ディエンド「ま、僕は簡単に殺されるつもりはないけどね。」

赤マント「ふん、予告状を出さずに盗みに入るようなものだな。

ならばこちらも、当初の目的を遂げさせてもらう。

怪人赤マントの力が、ただの殺人だと思うなよ!」

そう言うと赤マントは、身につけているマントを大きく翻した。

赤マントの翻したマントは、ディエンドではなく後方に避難していた少女の元へと飛んでいく。

ディエンド「何!?」

少女「きゃああっ!」

マントは少女の体を包むと、本体である怪人の元へ移動した。

赤マント「怪人赤マントの能力…少女をさらう力だ。」

少女「むぐーっ、むぐーっ!」

赤マント「おお、お嬢様、今しばし辛抱ください。
すぐにお父上にお会いできますよ。」

少女(泥棒さーん!)

赤マント「口裂け女!そのコソドロのことは任せたぞ!」

そして赤マントは少女を連れ、離脱した。

ディエンド「しまった…待て!」

その時にはもう赤マントの姿は消えていた。
代わりに立ちはだかるのは、ライオトルーパーを撃破した口裂け女と黒づくめの男達。

口裂け女「全く…さっきは油断したわ。今度こそ私の恐ろしさを…」

ディエンド「その大きな口を閉じたまえ。
僕は赤マントを追わせてもらう。」

口裂け女「あらあら、あの子が気にいったの?
随分御執心ね。」

ディエンド「ああ、気に入ったよ。」

あの少女は、他の誰かによって何かを強制されるのを良しとしないのだろう。
だから自身も都市伝説でありながら、この世界の人々を都市伝説の脅威から守ろうと考えたのだ。
自分よりも余程仮面ライダーらしい、と胸の内で思った。

ディエンド「そういえば…あのお嬢ちゃんが、何の都市伝説か聞いてなかったな。

ふ、取り戻す理由が増えたってものだ。」

口裂け女「何をごちゃごちゃと…」

ディエンド「君達に構っている暇はないってこと。」

カメンライド

デルタ!ギャレン!

ディエンドは、銃を持つライダーを2人召喚すると、自身も含めて3人で一斉に銃撃を開始した。

銃撃を受けた口裂け女達がひるむ。

ディエンド「さぁ一気に終わらせるよ!」

ディエンドは必殺のカードを装填し、怪人達に狙いをつけた。


ファイナルアタックライド

ディ、ディ、ディ、ディエンド!!


口裂け女「ぎゃあああ」

デルタとギャレンを取り込んだ銃撃が放たれ、口裂け女と黒づくめの男達を纏めて吹き飛ばし、戦闘不能にした。

ディエンド「さて、もう一度お嬢ちゃんを盗むとしますか…」

ディエンドは変身を解除して、少女が連れ去られたであろう館へ向かった。

(うおぉ、復活してる!
書き溜めしてないのがばれる前に何とかしないと…)

『フレンドオブフレンド』の館


父親「ふふ、ようやく戻ったか、少女。しんぱいさたぞ。」

少女「…」

父親「あのコソドロにひどいことはされてないか?」

少女「泥棒さんは、お父様ほどひどくはないよ。」

父親「手厳しいな。まだ我々の世界が誕生することが認められんか…」

少女「おかしいよ、私達都市伝説はあくまで、空想であるべきでしょ!
噂が本当になったら、見境の無い暴力や恐怖があふれちゃうのよ!?」

父親「それが我々のあるべき姿だ。
何故古来より怪談が流行ると思う?
人々は、本質的に恐怖に縛られたがるものなのだ。だからこそ我々が生み出された。」

少女「だからって、今の世界に混乱をもたらすなんて極端だよ!」

父親「これは我々の生存競争でもある。
哲学的なことは抜きにしても、我々は『噂』という曖昧なものが源だ。
都市伝説を実態化した世界を作らないかぎり、常に消滅の危機にあるぞ。」

少女「そんなことない!

始めは噂だけの存在だったかも知れないけど、今私達はここに存在してる!

その思いがあれば消えたりなんかしない!」

父親「そんな精神論で、都市伝説として生まれてしまったものを安心させられるか!」

少女と父親の口論が平行線をたどる中、もう一つの声があがった。


「娘さんを見習ったほうがいいよ、『友達の友達(フレンドオブフレンド)』!」

父親「!?」

少女「泥棒さん!」

少女を再び盗み出すため、館に忍び込んでいた海東だった。

海東「さぁて、もう一度お嬢ちゃんを盗ませてもらおうか。」

少女の父親と対峙する海東。

父親「ふん、性懲りもなく…

コソドロの癖に、貴様もこの世界を守ろうというのか!?」

海東「…いや、そうは思わない」

少女「えっ!?ちょっ!?泥棒さん?」

てっきり自分の考えに、海東も同調してくれたと思っていた少女のほうが驚いてしまった。

ならばなぜわざわざ忍び込んで来たのか?

海東「僕の目的はあくまでお宝だ。

それを狙うのに、都市伝説が暴れまわってちゃ迷惑この上ない。

アポロガイスト以上に迷惑だ。」

父親「アポロだかサッポロだかしらんが、盗みが目的というなら、我々と手を組め。
そうすれば…」

海東「お断りだ。僕の旅の行き先は僕自身が決める。

そして、この世界を守るのは僕じゃない。

お嬢ちゃん、君だ。」

突然、世界の守り手として指名され戸惑う少女。

少女「わ、私は、確かにこの世界や自由を守りたいけど…

でも、都市伝説である皆が消えない方法なんて、具体的には…」

うなだれる少女。
それを見て、勝ち誇った父親は海東を排除しようと、怪人体『フレンドオブフレンド』(※以下フレンド)へ変身する。

フレンド「まぁいい。コソドロが邪魔するといいなら、叩きのめすまでだ!」

少女「!」

海東「お嬢ちゃん、君がさっき言っていたとおりだ。

君はもう自分の物語を確立させている!」

少女「私の物語?」

海東「そう…君自身の歩む物語だ。

それが確立していれば、実体化なんてしなくても、例え君一人でも消えることはない。

そして孤独でも、戦い続ける限り、その物語は伝説になる。

かつて『彼ら』がそうだったように…」

少女に諭すように語りかける海東とは逆に、フレンドオブフレンドは声を荒げて叫ぶ。

フレンド「何を言っている!コソドロ!

貴様はいったい何なんだ!?」

海東「僕かい?

僕は…『世界の破壊者』よりずっと前からの…


通りすがりの仮面ライダーだ!


覚えておきたまえ!」

海東は高らかに宣言すると、ディエンドライバーを上空に向けた。

海東「変身!!」

カメンライド

ディエーンド!

ディエンド「いくよ」

フレンド「さて、どうかな?」

ディエンドが攻撃しようとしたその時、どこからともなく周囲からロープが飛んできて首に巻き付いた。

ディエンド「む」

そして先程まではいなかった人物があらわれていた。

赤マント「言われた通り、今度は最初から[ピーーー]つもりでいくぞ。」

ディエンド「…で、今度は絞殺ってわけ?」

赤マント「ふ、正確には赤マントの都市伝説の発展だがな。青ざめて[ピーーー]。」

ぎりぎりとディエンドの首が締め上げられる。

しかし

ディエンド「…じゃあ僕も伏せて置いたカードを出そう」

赤マント「!?」

その時、窓ガラスに映った虚像の世界から何かが飛び出して来た。

カメンライド

リュウキ!

龍騎「っしゃあ!」

赤マント「うわっ」

飛び出してきた龍騎の斬撃を受ける赤マント。
そのままドラグセイバーでロープが切られ、ディエンドも動けるようになった。

ディエンド「やれやれ…本当は奇襲のためにミラーワールドに潜ませていたんだが。ま、結果オーライか。」

それを見て半ば呆れる少女たち。

少女「ど、泥棒さん…」

フレンド「おのれ、卑怯なやつ!」

ディエンド「褒め言葉と受け取るよ」

アドバイス受けたのにsaga入れ忘れとる

ディエンド「さて、次の相手も待ってるし、ここらで決めようか!」

ディエンドは、赤マントと戦闘を続ける龍騎に向かってディエンドライバーを放った。

ファイナルフォームライド

リュ、リュ、リュ、リュウキ!

リュウキドラグレッダー「ギャオーン」

ディエンド「さぁ赤マント、こちらは赤い龍が相手だ。」

赤マント「な!?」

リュウキドラグレッダーの牙が、爪が、そして龍尾が赤マントに激しい攻撃を加える!

赤マント「うわぁああ」

ディエンド「終わりだ!」

ファイナルアタックライド

リュ、リュ、リュ、リュウキ!!

ディエンドは、赤マントがよろけた隙をついて、リュウキドラグレッダーとともに上空に跳び上がった。

そして龍とともに急降下キックを放つ!

ディエンド「はァァーッ!!」

赤マント「ぐわあっ!!」

見事にヒットし、赤マントは戦闘不能におちいった。

少女「すごい…あっという間に」

ディエンド「僕がキックをお見舞いするのは、なかなかないんだ。運がよかったね。」

赤マントを倒したディエンドは、フレンドオブフレンドと少女に向かって飄々と言い放った。

赤マントを倒し、フレンドオブフレンドと対峙するディエンド。

ディエンド「さて、やるってのなら相手をするよ」

フレンド「いい気になるな!いくぞ、黒服の男!」

都市伝説「黒服の男」は宇宙人をも[ピーーー]と言われる光線銃を放つ存在だ。だが、今回は「黒服」は直接は現れず、フレンドオブフレンドが銃のみを手にとり発砲した。

フレンド「くらえ」

ディエンド「おっと、呼び出すだけでなく、その能力を使えるのか」

ディエンド「銃撃で負けてられないな」

アタックライド

ブラスト!

だが、その攻撃はフレンドオブフレンドには届かなかった。

何と屋敷内にある隙間に吸い込まれるようにして隠れてしまったのである。

ディエンド「これは…」

フレンド「『隙間女』の能力だ…

そして…

『今は、お前の後ろにいるぞ』」

ディエンド「後ろッ」

少女「だめ、泥棒さん、振り向いちゃ…」

ディエンドが気配を感じて振り向きざまに撃ち込もうとしたのと、少女の警告が重なった。

フレンド「遅い」

ディエンド「うわっ」

振り向いた瞬間には、フレンドオブフレンドの攻撃が入っていた。

フレンド「『メリーさん』だ。普通なら致命傷だが、しぶといな。」

ディエンド「くっ、他の都市伝説の能力を使い分けるのか…

どこかの誰かみたいだな…」

少女「泥棒さんッ、大丈夫!?」

ディエンド「…心配ない。

こっちも本気を出すとしよう。」

そういうと、どこからともなく青いタッチパネルを取り出した。


ケータッチ「ポゥーン」

ディエンド「また使わせてもらおう」

ジーフォー

リュウガ

オーガ

グレイブ

カブキ

コーカサス

アーク

スカル


ファイナル カメンライド

ディエーンド!!


少女「!?」

ディエンドCF「さぁ、お嬢ちゃん、最初に預けていたお宝を渡してくれ」

少女「え?」

ディエンドCF「前にこの館を出るときに、持っててもらったものさ。」

そういわれて少女は思い出した。急いで自分のポシェットから取り出すと一一それが何なのか少女自身もわからなかったが、ディエンドに渡した。

ディエンドCF「都市伝説…こちらも使わせてもらおう!」

フレンド「な、何」

ディエンドは少女から渡された小箱をあけ、中からあるものを取り出した。

フレンド「そいつは都市伝説に関する資料のようだがな、そんな紙きれで何ができる!」

再び戦闘態勢をとり、攻撃を開始するフレンドオブフレンド。

ディエンドCF「こいつは僕たちでないと使えないのさ」

いつの間にか、ディエンドの手の中で、お宝がライダーカードに変化していた。

ディエンドCF「スペシャルサービスだ」

アタックライド

フォークロア セカンドシーズン!

カメンライドによってライダーが召喚される。

そこにはW、オーズ、フォーゼ、ウィザードが立っていた。

ディエンドCF「僕ら仮面ライダーも、都市伝説扱いされることがあってね、似た者同士ってわけさ。
さぁ、今度は隙間には逃がさないよ。」

召喚された4人のライダー達に囲まれるフレンドオブフレンド。

そのまま各ライダー達は必殺技を使い始めた。

マキシマムドライブ!

スキャニングチャージ!

リミットブレイク!

キックストライク サイコー!

4人の召喚ライダーの必殺技をくらうフレンドオブフレンド。しかし、他の都市伝説の力を使い、ふらつきながらも耐え抜いた。

フレンド「くぅ、このくらいでぇ…」


ディエンドCF「そう、このくらいじゃあ終わらない!」

ハッとしたフレンドオブフレンドが、ディエンドの方を見ると…

そこには新たに8人のライダーが召喚されていた。

アタックライド

ゲキジョウバン!

そのカードの力で一度に召喚されたG4以下8人のライダーが一斉に襲い掛かる!

ディエンドCF「さぁ今度こそ決着だ!」

ファイナルアタックライド

ディ、ディ、ディ、ディエーンド!!

フレンド「ぐわぁぁぁ!!」

総勢12人の召喚ライダーの攻撃と、ディエンドコンプリートフォームのディメンションシュートを喰らい、今度こそフレンドオブフレンドは倒れた。

大ダメージを受けたフレンドオブフレンドは、人間の姿に戻っていた。

父親「ぐぅ…」

少女「お父様…」

膝をつく父親に少女が駆け寄る。

父親「少女…」

少女「お父様、私、自分の物語を作りにいく。
私だけじゃない、都市伝説の皆も消えないような物語に、私自身がなるわ。
だから待っていて。」

父親「…好きにするがいい。どのみちお前の力がなければ、私の考えた世界は作れん…。

お前の望む道、試してみろ」

少女「えぇ。行こう、泥棒さん。」

言い残し、少女は変身をといた海東を促して、館から出ていった。

海東「そういえば、お嬢ちゃん。」

マシンディエンダーに少女を乗せて移動中の海東が尋ねた。

少女「なぁに?」

海東「君は一体何の都市伝説だったんだい?
世界を始める能力とかいってたけど…」

少女「あ…話してなかったっけ。

正確な名前はわからないけど、『空から落ちてくるヒロイン』かな?

私が落ちてくることで、ある一つの世界が始まるの。

お父様はこの能力を使って、都市伝説が実体化する世界をつくろうとしたのよ。」

海東「でも君は拒否したわけだ」

目的地に着いたため、バイクを停めて少女を降ろした。

海東「最初に会ったとき、上から落ちて来たのも、その能力だったんだね。

もしかしたら君を受け止めた僕も、君の物語の登場人物なのかい?」

少女「どうかしら…
でも泥棒さんなら、どんな物語でも、自分の行き先は自分で決めるんでしょ?」

海東「違いない。」

少女「じゃあ…泥棒さん、私、行くね。」

そう言うと、少女は自分の物語を進む道へと歩き出していった。

その姿を見送る海東が声をかけた。

海東「また、どこかの世界でね、お嬢ちゃん。」

少女「えぇ、その時は、また私を盗んでね、泥棒さん!」


終わり

駆け足になってボリューム不足だったかもしれません。(フィリップ主人公にしたWのSSも短くまとめてしまったので、課題は肉付けか)

海東ホモ疑惑を払拭しようとしてたらロリコンになったがまあいいや。

レス下さった方々ありがとうございました。

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