吸血鬼と私【安価】 (40)

道を進むと吸血鬼が現れた。
彼、もしくは彼女は深くフードを被っており顔は伺い知ることができない。
ただその小柄な見た目より恐らくは女性なのだろうとは思った。

<君はここで何をしているの?

フードを深く被った吸血鬼は(恐らく)私の目を覗き込み小さく首を振った。
答えたくないということなのか、それとも別の意図があるのか。

<ここはどこなの?

生憎ながら私には記憶がない。
わかっているのは吸血鬼の彼女、もしくは彼は敵ではないということのみだ。

「…………」

吸血鬼は私の質問に(恐らく)落胆するとまたも小さく首を振った。
答えたくないということなのか、それとも別の意図があるのか。


1.君は一体何者なの?
2.私は一体何者なの?
>>2

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2

<私は一体何者なの?

吸血鬼は私の質問に今度は別の反応を示した。
くるり、と振り向き道を歩き始める吸血鬼に私はただついていくしかなかった。
霧が深く覆う森の中を(恐らく)人工的に切り開いた道。
その道を吸血鬼は黙々と歩く。
私は彼、もしくは彼女の後を覚束ない足取りでついていく。

「…………」

相変わらず吸血鬼は喋らない。口が利けないということはないだろうから私はまさか彼、もしくは彼女を怒らせるような質問をしたのではと不安になった。


1.どこへ向かうの?
2.私は何者なの?

>>5

<私は何者なの?

吸血鬼はピタリと足を止め私に振り向いた。
フードを被っているのにその表情(?)は私にははっきりと理解できた。

「…………」

困惑(?)と怒り(?)が混ざったような表情(?)だ。
吸血鬼は(恐らく)一瞬だけ口を開きしかし結局なにも喋らないで私に背を向けまた道を歩き始めた。
しばらく後、霧の深い森の道が段々と明るくなっていくのがわかった。
私は吸血鬼に置いて行かれないようついていくのがやっとで風景の変化に気を配る暇はなかったがさすがにこの明るさには気づく。
出口(?)が近いのだろうか。


1.どこへ向かうの?
2.私は何者なの?
3.少し休もうよ

>>7

2

<私は何者なの?

吸血鬼は足を止め私に振り向いた。
その表情(?)は明らかに怒っている。
吸血鬼は小さく口を開き牙を私に見せた。
私は、
知っている。
この仕草は彼女の威嚇(威嚇?)であると。
昔は少女の愛らしさ(愛しい愛しい)とそぐわない子犬(蔑称ではない)のようなその仕草(愛しい愛しい)に愛着を感じていたが今の私(私?)にとっては恐怖以外の何物でも、
私は、
なにを知っている?
彼女とは誰だ。少女とは誰だ?

「……!……!」

突然吸血鬼が焦り始めた。その表情(?)は困惑(?)と怒り(?)が混ざっているような気がした。
ああ、なるほど。
私はいつのまにか地上を背にしていたらしい。
彼女が焦るのも無理もない。私がバラの棘に触れただけで大騒ぎするのだ。倒れてしまうなんて発狂してもおかしくは、
バラの棘。
バラの棘か。
バラの棘、とは、友達であると思っていた。


1.知ってる?人間の心拍数はあらかじめ決まっているってこと
2.カナリアの鳴く声が聞こえる
3.私は何者なの?

>>9

3

<私は何者なの?

吸血鬼の動きが止まった。
泣いている。
私にはわかる。
彼女、もしくは彼女、もしくは彼女は泣いている。
フード越しでもよくわかる。
彼女は泣いている。
小さく首を振った吸血鬼が小さく口を開き小さく何かを(恐らく)つぶやきそして、
そして私の首(首?)に爪を立てた。
私は知っている。吸血鬼の爪は鋭利な剣より冷たく鋭い。

<…………!……!

喋れない。
気道から、喉から、空気が漏れる音がする。
私は何者なの?
もう一度問いかける。おそらく伝わったろう。彼女との付き合いは長いのだ。いしんでんしん、あうんのこきゅう、つーかーのなか。
吸血鬼はもう一度私の首(首?)に爪を立てた。
もう息ができない。ヒューっと気道から空気が漏れる音がする。穴が開いているのだ。
これで口を開かずとも食事ができる。
教えてくれないなんて意地悪だ。私が何者なのかくらい教えてくれないなんて意地悪だ。
大分明るくなった森の道の真ん中で私は吸血鬼の涙を暖かいと思いながら眠った。
眠った。
おやすみなさい。

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