友「唐突になんだい」
男「最近のヤンデレはなんかこう、なってないなーって気がするんだよ」
友「へぇー、で」
男「ちょっと話すから聞いてくれ」
友「あ、うん。まあいいよ。聞いてあげる」
男「じゃあまず、ヤンデレについてだ。俺の中のヤンデレの認識は、病んでいる人の大きなデレ、つまり常識的じゃない頭がクレイジーな奴の、大きな愛だ」
友「ふむ、言葉の表面をなぞればそうだね」
男「実際のネットの定義では、愛が大き過ぎて精神が病んでしまっている人のことをさすらしいけど、それだとヤンデレだと思われている人のけっこうがヤンデレじゃなくなるから、俺は精神がおかしい人の見せる大きな愛をヤンデレとする」
友「どういうことだい?」
男「卵と鶏のやつじゃないけど、愛が先か、狂気が先か判断に困るんだよ。一々専門家みたいなのを作って定義するわけにもいかないしめんどくさいから、一括りにまとめてしまおうという魂胆だ」
友「....? ?」
男「あー、そうだな。例えばMくんとKちゃんが付き合っていて、MくんはSちゃんと浮気をした。そこでKちゃんがSちゃんをぶっ殺したとする」
男「で、この出来事の動機が、愛ゆえにMくんに手を出されたのが許せず殺したのか、それとも、もともとKちゃんにはサイコパスの素質があって、Mくんの浮気をキッカケにそれが覚醒したのか」
男「つまり、殺すという殺意のボーダーラインを愛で乗り越えたのか、元々殺意のボーダーラインが低くかったのか。ネットの定義だと愛で乗り越えた方がヤンデレなんだが、そこら辺の判別がめんどくさいから一括りでヤンデレにしてしまおうっていう理論だ」
友「君は暇なのかい?」
男「.....続けよう、ネットとかにはヤンデレとメンヘラは違うと主張する人がいるが、俺の定義的にはヤンデレの一つの種類としてメンヘラがいる、例示をするなら哺乳類がヤンデレ、人間がメンヘラみたいな感じかな?」
友「ほうほう、分かりやすいけどメンヘラって何?」
男「一言で表すならクレイジーかまちょだな」
友「へー」
男「具体的に言えば、自分をとにかく愛して欲しい人だな。愛して欲しい、というところを一番重要点に置いているから、愛してくれる人自身は多少どうでもよく、浮気性な一面もある。あと、愛してもらうためなら相手のことをよく考えないで行動をする特徴もあるな」
友「ふむふむ、つまりメンヘラは自分勝手な人と」
男「そうだな、ぶっちゃけて自分勝手過ぎて従来のヤンデレとはまったく違って見えるが、あれはあれで立派なヤンデレなんだ」
友「そうなのかい?」
男「あぁ、多分だが、自分自身のことが大好きなんだよ。狂ってしまうほど。発露の仕方は非常に回りくどいけどな」
友「へぇー」
男「それじゃあヤンデレについての定義が済んだところで、ヤンデレのタイプ分けをしていこう」
友「おー」
男「ヤンデレは基本四タイプ。直情型、常識欠損型、自己愛型、そして最後に理性型というものに分けられる」
友「ほう、学術的な表現だね」
男「まずは直情型。これはスタンダードで一番分かりやすいな。愛が大きくて、そしてそれを隠すこともせずにまっすぐ表現する。唐突な長文を言い始めたり、カタカナで同じ言葉を連呼する感じだな」
友「ふむふむ、こんな感じかい」
ガシッ
友「ねぇ、君はどうして僕以外の他の女性と話をするんだい?僕が君の一番の友達だろう?それなら事務的な連絡も僕に言ってくれれば代わりに言ってあげるのに、どうしてわざわざ君が他の女性と話す必要があるんだい?君は私の一番の友達、そして君にとっても私は一番の友達であり親友であり相棒であり生涯のパートナーだ。だから君は僕のものだし僕は君のものだ。そんな僕のものである君がどうして他の女性と話すんだ?ねえどうしてだい?ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテーーーー」
男「は、迫真の演技だな....」
友「だろ?」
男「次は常識欠損型だな。常識欠損型は、その言葉の通り、元々持っていた常識や考え方それそのものが狂っていたり、サイコパスが入っていたりするやつだな」
男「例としては虐待とかされて育った子が変に勘違いして、暴力は愛だと思って暴力振るったりするのとかが当てはまるな」
友「なるほど。えぃ」
ドゴッ
男「ごぽぉっっ」
男「なん、でや....」
友「愛ゆえに」
男「なんでさ...」ガクッ
男「ひどい目にあった。さて次は自己愛型だが、これの説明はもうしたな、メンヘラのことだ」
友「実例としてリスカした方いい?」
男「やめなさい」
男「あ、そういえばメンヘラって自分のことが好きなのにどうしてリスカするの?って思わなかったか?」
友「あ、そういえばそうだね」
男「まあ、理由はそんな大したものじゃなくて単純に構って欲しいからなんだけどな」
友「ん?それってメンヘラの自己愛と関係あるの?」
男「ある。むしろリスカしてっからこいつ自分好きなんじゃねって推測できると思うな」
友「ほう、その理由は?」
男「結局死なないからだ」
友「ふむ」
男「死んだらメンヘラじゃなくてただの自殺者。止めて欲しかったり迷いがあるからリスカをするんだよ。多分だけど」
男「そもそも自分を愛して欲しいって思ってる時点で、自己愛に満ちているに決まってんだけどな。自分が本当に嫌いだったら嫌いな自分を愛してなんて思わねーよ。むしろ不幸になって欲しいから嫌って欲しいと思うだろ」
男「幸せになりたいと思えるのは自分が好きな証だぜ」
友「私もう本当に無理、死にたいの、だから助けて、愛して、私から目を離さないで、寂しいとリスカしちゃうの、だからずっと私を見て、って感じかい」
男「あー、そんな感じそんな感じ。演技上手いなー」
男「メンヘラの自己愛ってめんどくさいからなー。創作でしか見たことがないからはっきりとは言えんけど、私本当にダメなの、そんな私が嫌いで、ついリスカしちゃうーチラチラみたいな?」
友「あー、それはうざいね」
男「さて、最後に理性型だな」
友「まあ、名前的には予想がつくよ」
男「そうだろうな、まあ、理性型は直情型の進化系みたいなものだ。過剰な愛を持ちながらも理性を保ち、何重にも罠を張り巡らせ相手を堕とす機会を狙っている。それが理性型ヤンデレ」
友「.....へぇ」
男「ぶっちゃけて相手をするならこのタイプが一番付き合いやすく、一番厄介だ。なんせ、ヤンデレとしての本性が発覚するのは相手を完全に堕とした時だからな。別名ステルスヤンデレだ」
友「ふむ。どういう感じなんだい」
男「そうだなー。例えばAくんとBちゃんがいて、Aくんが何らかのことをやらかしてしまい、みんなに嫌われることなり、みんなにAくんはいじめられたとする。そんな中、BちゃんだけはAくんに優しく接し、数年経って幸せにゴールイン」
男「で、実はそのいじめの原因となったやらかしたことの原因はBちゃんが仕組んだことでしたー、ってのが理性型かな」
友「..ふぅーん、中々頭が良いんだね、Bちゃんは」
男「そうだな、凄まじい策士だ」
男「だいたいのヤンデレの種別分けは終わったな。一応ここからさらに細かく依存型とか分けれるけど、そこら辺は割愛だな」
男「さて、で最初に戻るんだが、最近のヤンデレについてだな」
友「ふむ」
男「最近な、俺は直情型の捻りがないヤンデレが多すぎる気がするんだよ」
友「はぁ」
男「ナンデ、とかドウシテ?とか連呼してればそれっぽいのができるじゃないか。何というか安っぽい量産型くさくてつまらん。目慣れないうちならまだしも、目が肥えてくるともっと質の良いヤンデレが欲しくなる」
男「もっと分かりづらくて難解で、結末でヤンデレだってバレてから二週目を見てあぁーってなるくらいがちょうどいいんだよ」
友「なるほど、もしかしてこの前素晴らしいっ!ほぅわぁぁぁーーーーーーっっ、て叫んでたゲーム...確かNoesisだっけ?それってもしかして.....」
男「ぁぁ、素晴らしい隠れヤンデレだった....うっかり学校に行くのを忘れてしまうくらいな。エンディング見たと思ったら昼の12時だったぜ」
友「君はたまに叫んでるけど、近所迷惑になるからやめなよ?いくら一人暮らしのアパートとはいえ、隣には僕が住んでるんだから。うるさいったらありゃしない」
男「防音貫通してたのか...いや、これも愛ゆえ。俺は愛の証明としてどうしても叫ばなければ....」
友「や め よ う か」
男「はいやめます」
友「そういえば君はヤンデレの一体どこが好きなんだい?一般的には迷惑極まりないと思うんだが」
男「愚問だな、全部好きだ。あ、でもメンヘラは勘弁な、俺の場所に繋ぎ止めておく自信ないし」
友「メンヘラ自体は構わないのか.....」
男「まぁな。ヤンデレ好きな人は、多分誰かに愛されたいんだよ」
友「ほぅ、君は愛されたいのかい?」
男「いんや、リアルは勘弁。俺はぼっちで生きるって決めてるからな。でも愛されたいって願望はあるっちゃあるんだろうな。二次元で間に合ってるけど」
男「愛を水に例えるなら、日本の水に困ってない人にプール一杯の水をあげたって迷惑がられるだけで、逆にアラブとかの砂漠の辺りの人にたくさんの水をあげると凄い喜ばれるのと同じ感じなのかな」
男「つまり親か、または恋人とか作って愛をしっかり与えられた人の場合、ヤンデレみたいな過剰愛は迷惑極まりない存在だと思うぜ」
友「......」
男「俺みたいな年齢=彼女いない暦みたいな愛が不足している奴には、多分愛がたくさん欲しくて堪らないじゃね?」
男「雑学として覚えときな、友。ヤンデレが嫌いな人は、幸福の証だ」
友「.....君は一体何を言っているんだ」
男「え」
友「今の発言をすべて省みてみるといいよ。僕から言えるのはそれだけだ」
友「じゃ、僕は用事があるから。またね」
男「発言、発言。ふむ」
男「.....くさい、は、恥ずかしい...」
男「うぼぁぁぁ.......」
男「」
友「.....何だか不安になって来てみたら、一体君は何をやっているんだい」
男「黒歴史をすぐ忘れるように布団に籠城している。やっちまった時にはこれに限る」
友「うーん、黒歴史と解釈したのか。まあいいや。君が誰かに愛されたいと思っているのは元々分かってたよ。だからそんな恥ずかしがることはないんじゃないか?」
男「恥ずかしいわ馬鹿。よくよく考えたらまるで愛して欲しいアピールをしてるみたいじゃねぇか。俺はホモじゃねぇ」
友「いや分かってるよ。君は自分が考えたことはすぐに喋るからね。ろくに考えずに喋ったことくらいは察してるさ。愛が足りない、俺はヤンデレ好き。まあ、僕以外だったら遠回しな告白かと勘違いしていただろうね。ホモかな?」
男「ホモちゃうわ」
友「アメリカは全州同性婚オッケーになったらしいよ。行くかい?」
男「ホモちゃうわ!」
友「まあ、全然音がしないと思ったら元気そうで安心したよ。またねー」
男「.....」
ガチャ、バタン
男「......」
男「はぁ....」
男「まったく、あいつ男のくせに学校で一番可愛いんだよな....たまにホモでいいかなと思う自分が怖いぜ」
男「あー、アニメとかゲームとかラノベとかニコニコがあって良かった。代替品が見つからなかったらホモに走ってしまいそうだ」
男「俺もまだまだ若いなー。あと何年経てば愛を諦め切れるかなー」
男「早くしないといつかホモレイプしてしまいそうで怖い」
男「......はぁ、あほくさ」
友「......」
男『まったく、あいつ男のくせに学校で一番可愛いんだよな....たまにホモでいいかなと思う自分が怖いぜ』
友「......」
男『あー、アニメとかゲームとかラノベとかニコニコがあって良かった。代替品が見つからなかったらホモに走ってしまいそうだ』
友「.....はぁ、はぁ」クチュ、クチュ
男『早くしないといつかホモレイプしてしまいそうで怖い』
友「はぁ、はぁ、男ぉ、男っ」クチュクチュクチュ
男「最近、学校でいじめられている」
男「何だか笑いが出るレベルでだ」
男「まさか生でおめぇの席ねぇから!をやられるとは」
男「いや、大変だ。あははははは」
友「急にどうしたんだい?」
男「いや、なんでもないっす」
男(友は、まだ友達でいてくれる)
男(しかもいじめから庇ってもらってもいる。もし友がいなかったら、俺は....)
男(残念なことに、それだけが学校での心の支えなんだよなー)
男(....学校行きたくないな)ジワッ
友「今日は寒い。男、手、繋ごう」
男「.....いいよ」
男(...友、優しいな)
男(それに、あったかい....)
男「友、ありがとな」
友「気にしないでいいよ」ニコッ
友「ほら、マフラー作ってやったぞ。ありがたく思ってくれ」
男「おぉ、すげぇ。あったかい」
友「卒業まであと少しだ。頑張ろう、男」
男「.....そうだな。そろそろ自由登校だもんな....はは、やっとだぜ」
友「最近、大きくなってきたな」
友「誤魔化し辛くなってきた」
友「女性ホルモンの分泌のし過ぎかな....自重しないと」
男「高校卒業して、同じ大学に行って卒業し、卒業式を終えたあと、俺は友に女だとカミングアウトされ、結婚を申し込まれた」
男「高校の件や、大学で同じ講義でだいたいの時間を一緒にしたこともあり、俺は友の申し込みを断れなかった」
男「そんな俺は今、友とラブラブの結婚生活をおくっています」
男「一生ぼっちライフを送ると意気込んでいた時代は何処、気づいたら俺の心の最深部まで友は入り込んでいた」
男「最近、友がなんとなくヤンデレなのではと思ったが、まあ俺は元気です」
男「なんか嵌められた気がしなくもないけど、もう悪くはないと思ってるから結果オーライだと思いました」
友「何を書いてるんだい、男」
男「日記」
友「ああ、そっか。とりあえず男、書くなら毎日書いた方がいいんじゃないか?」
男(....何で知ってるん?)「そうだな、これからは毎日書くことを気をつけるよ」
男(何はともあれ、俺は幸せです)
完結
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません