吹雪「暑くてとけちゃうよぉ!!!!」 (45)
もう夏も終わりかけですが、真夏という設定でのSSです。
睦月「朝だね…暑い…」
夕立「タイマーでクーラー消えると朝が暑すぎるっぽい…」
夕立「今年の夏は暑すぎるっぽい…」
睦月「今日は38度もあるんだって…」
夕立「ぽい…聞くだけでも暑いっぽい…」
睦月「夕立ちゃん、夕立を降らせて…少しは温度が下がるかも…」
夕立「そんな事できるわけないっぽい…」
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夕立「今日は演習だなんて…休みたいっぽい…」
睦月「気持ちはわかるけど、駄目だよ…」
夕立「うん…わかってるっぽい…」
睦月「さあ、吹雪ちゃんも演習行こうか…」
吹雪「私、む、無理…」
夕立「吹雪ちゃんが珍しいっぽい…」
睦月「どこか具合が悪いの?」
吹雪「暑いから駄目なの」
夕立「気持ちはわかるけど、サボっちゃ駄目っぽい…」
睦月「そうだよ、吹雪ちゃん…」
夕立「さあ、外に出るっぽい…」
吹雪「やだ!!」
睦月「どうしたんだろう吹雪ちゃん…」
夕立「仕方がないから無理やり引っ張るっぽい」
吹雪「嫌!!やめて!!そんなっ! ダメですぅ!」ズリズリ
夕立「往生際が悪いっぽい」
睦月「吹雪ちゃん、もうすぐで外だよ」ヒッパリヒッパリ
太陽サンサン!!
吹雪「いやあああああああああ!!!とけちゃううううううう!!!」
睦月・夕立「え!?」
吹雪「死にたくないよおおおおお!!!」ジタバタジタバタ
夕立「暴れないでっぽいっ!」
睦月「あっ!!」
吹雪は全速力で部屋に戻って行った。
吹雪「クーラーつけよう!扇風機も回そう!」
夕立「電気代がもったいないっぽい!」
睦月「吹雪ちゃん、どうしたの!?」
夕立「頭が壊れたっぽい?」
吹雪「だって…だって…」
吹雪「こんなに暑いのに外に出たら私とけちゃうよ!!」
睦月「にゃしぃ!?」夕立「ぽい!?」
夕立「本当に吹雪ちゃん壊れたっぽい…」
睦月「さすがにそれは酷いよ夕立ちゃん…」
睦月「何かあったんだよね、吹雪ちゃん?理由を話してもらえるかな?」
吹雪「だって、私の名前『吹雪』だよ!雪だよ!雪なんだから暑いからとけちゃうよ!!」
睦月「にゃしぃ!?」夕立「ぽい!?」
夕立「やっぱり頭が大破したっぽい…」
睦月「言い過ぎだよ…いや、そうでもないかも…」
赤城「今、悲鳴のようなものが聴こえましたけど、どうしたのですか?」
睦月「赤城さん!」
夕立「ほら、吹雪ちゃん!赤城さんが来たっぽいよ」
吹雪「赤城先輩!」
睦月「吹雪ちゃんが暑いからと言って部屋から出てくれないんです」
赤城「それはいけませんね。暑さを我慢する事も努力の一つですよ」
吹雪「…いくら赤城先輩の言う事でも聞けません!」
赤城「あら?」
夕立「吹雪ちゃん、自分は雪だからとけちゃうって言ってるっぽいんです」
赤城「まあ!」
赤城「吹雪さん、あなたは雪でできているのですか?」
吹雪「はい。だって私の名前は『吹雪』ですよ!」
赤城「そうですか…あなたが雪なら、シロップをかけて食べちゃいますよー!」
睦月・夕立(この人なら本気で食べそう…)
吹雪「え?」
赤城「それが嫌なら外に出ますよ!」
吹雪「私、赤城先輩なら食べられたいかも…///」
睦月「にゃしぃ!?」夕立「ぽい!?」
赤城「これは重症ですね…」
夕立「吹雪ちゃんが赤城さんキチなのはいつもどおりっぽい」
睦月「暑さのせいなのかな」
赤城「確かにここまで暑いと頭がおかしくなってしまってもおかしくないかもしれませんね」
睦月「どうやったら、吹雪ちゃんの頭を元に戻せるでしょうか」
赤城「冷やしたら元に戻るかもしれません」
夕立「クーラー、ガンガン効かせるっぽい!」
睦月「凄く冷えてきましたね」
赤城「ええ、頭が痛くなりそうだわ」
夕立「電気代が怖いっぽい。怒られるっぽい」
赤城「後で、吹雪さんの給料から引くようにお願いしましょう」
睦月「吹雪ちゃん、元に戻った?」
吹雪「え?何が?」
睦月「外に出て大丈夫?」
吹雪「駄目だよ!私とけちゃったら嫌だもん。この冷えた部屋が心地良い…」
赤城「この冷えすぎた部屋を心地良いだなんて、やっぱり吹雪さんは正常ではありませんね」
夕立「入渠したら治ったりするかもっぽい」
赤城「とけるのを嫌がって、入りたがらないでしょうね」
睦月「どうしよう…」
赤城「そうだわ!」
赤城「吹雪さんの姉妹艦の子達なら何か知ってるかもしれません」
赤城「それも、名前に雪のついてる子で」
睦月「えーと…確か、吹雪型は吹雪ちゃん以外この鎮守府にはいないんじゃ…」
赤城「そうですね。吹雪さん、あなたの姉妹艦の子達の連絡先を教えてくれませんか?」
吹雪「どうしたんですか…まさか、私と赤城先輩が結婚するから姉妹艦の子たちに紹介をするつもりなんですか!!やったー!!」
赤城「そんなわけありません!!」
夕立「やっぱり脳みそが大破してるっぽい」
赤城「…どうやら、吹雪さんの姉妹艦で雪が名前に着いている子、初雪さんと深雪さんは遠征に出ているそうです。唯一、白雪さんだけ会う事ができるとか」
睦月「電話で吹雪ちゃんの症状の事について聞かなかったのですか?」
赤城「白雪さんに吹雪さんの症状について話してみると、直接会って話してみたいそうです」
夕立「長くなりそうっぽい?」
赤城「この鎮守府からそう遠くない鎮守府にいるそうですから、行ってみましょう」
睦月「ちょっとした遠征みたいだね」
夕立「演習よりは楽しそうだから特したっぽい」
睦月「なんだか雲行きが怪しいような…」
赤城「雨でも降りそうな雲ね…」
白雪「はじめまして。特型駆逐艦、2番艦、白雪です。よろしくお願いします」
夕立「やっぱり、吹雪ちゃんに似てるっぽい!」
睦月「姉妹艦だからね」
赤城「まあ、姉妹艦なのに全然似てないパターンもありますが」
白雪(叢雲ちゃんとかね…)
白雪「吹雪ちゃんが自分は雪であると…」
赤城「何か心当たりはありませんか?」
睦月「吹雪ちゃんを元に戻してあげたいんです」
白雪「今年は猛暑ですからね、もしかしたらと心配していたら、やっぱり…」
夕立「昔にもあったっぽい?」
白雪「凄く暑い夏が来ると、吹雪ちゃんは自分の身体が雪であると思い込むようになるんです」
白雪「それは私達が幼い頃の些細ないたずらがきっかけでした…」
数年前の夏
吹雪『みんなーお外で遊ぼうよー』
初雪『あつい…ひきこもる…』
深雪『今日は暑すぎるからパス』
白雪『夏休みの宿題がありますし…』
吹雪『えー!!遊ぼうよー!!』
深雪『ちょっと面白い嘘を思いついたんだけどさ…』ヒソヒソ
初雪『なになに…』ヒソヒソ
白雪『そんなのかわいそうですよ…』ヒソヒソ
吹雪『何話してるの?』
深雪『深雪さまたちは、こんな暑い日に外に出ちゃいけないんだ』
吹雪『え?』
初雪『だって、私たちの身体は雪でできているから…』
吹雪『えー!?そんなの嘘に決まってるよ!!』
初雪『みんな名前に『雪』がついている…』
吹雪『あっ!!ほんとだ…』
深雪『だから、今日は外に出るのは止めようぜ』
吹雪『…ほんとうなの白雪ちゃん?』
白雪(泣きそうになってる吹雪ちゃんかわいい…)
白雪『本当ですよ!』
深雪『ほら、吹雪、汗びっしょりだろ?今にとけちゃうぞ』
初雪『水になっちゃう…』
吹雪『い、い…』
白雪・深雪・初雪『???』
吹雪『いやああああああああああ!!!!!とけたくないよー!!!!!!』
深雪『どこに行くんだ吹雪!?』
白雪『吹雪ちゃん、冷凍庫に入っちゃ駄目!!』
白雪「…という事があったのです」
赤城「なるほど」
白雪「後で嘘だと納得してくれたのですが、猛暑になるとあの時の記憶が呼び起こされて自分の身体は雪であると思い込んでしまうみたいで…」
睦月「吹雪ちゃん、幼い頃だったからトラウマになったんだね…かわいそうに」
白雪「はい…私が吹雪ちゃんの泣く顔を見たいという欲望に負けず否定する事ができれば、こんな事にはならなかったのに…」
夕立(どこかおかしいとこも吹雪ちゃんに似てるっぽい…)
赤城「で、どうやったら吹雪さんの思い込みは終わるのでしょうか?」
白雪「ある程度、涼しくなれば何もなかったかのように元に戻りますよ」
睦月「ほっ…良かった」
赤城「少しの間、吹雪さんの演習や出撃は休みにしてくれるよう提督に進言するしかありませんね」
夕立「吹雪ちゃん、休めてずるいっぽい」
睦月「夕立ちゃん、そんな事言っちゃ駄目だよ」
赤城「しかし、猛暑になると毎回こうなるのはめんどうですね…」
白雪「早くトラウマが解消できればいいんですが…」
白雪「それにしても吹雪ちゃんは良い先輩と友達を持ったんですね。吹雪ちゃんのためにわざわざ話を聞きに来てくれるなんて…」
赤城「ええ、大切な後輩ですもの」
白雪「前に電話で吹雪ちゃんが嬉しそうに話してくれましてね。親友とカッコいい先輩ができたって」
赤城「そうですか、それは嬉しい事を聞きました」ニッコリ
睦月「吹雪ちゃん///」
夕立「ぽい///」
睦月「それじゃあ、吹雪ちゃんやみんなも待ってるから帰りましょう」
夕立「このまま演習さぼりたいっぽい」
赤城「その前にこの鎮守府でしなければいけない事があります」
睦月・夕立・白雪「しなければいけない事???」
赤城「この鎮守府のカレーライスは凄く美味しいと聞きます。せっかくだから食べていきましょう!」
睦月「赤城さん…」
夕立「事前にチェックしていたっぽい…」
白雪「これが一航戦…流石です」
30分後
白雪「さようならー!!」
夕立「バイバイっぽい!」
睦月「白雪さん、ありがとうー!」
白雪「吹雪ちゃんによろしくお願いしまーす!!」
赤城「あなたが元気であった事も伝えておきますよー!!」
睦月「来て良かったね!」
夕立「ぽい!」
赤城「ええ、カレーライス美味しかったわ」
睦月「そうですね、凄くスパイシーで…じゃなくて!!」
赤城「うふふ、冗談ですよ。吹雪さんの症状の事を聞けて良かったわ」
睦月「白雪さんと話せた事も良かったな…」
夕立「吹雪ちゃんが夕立たちの事を嬉しそうに話してったってなんか、むず痒いっぽい///」
赤城「あっ!」
睦月「雨…」
夕立「ざーざー降ってきたっぽい!」
夕立「どしゃぶりっぽい!!」
睦月「夕立だね」
夕立「ぽい?」
睦月「夕立ちゃんの事じゃないよ」
赤城「海の真ん中で夕立なんて、不幸だわ…」
夕立「雨は、いつか止むさっぽい」
赤城「そうですね…でも、こんな時に敵に会ったとしたら…」
夕立「あっ!!10時の方向に何かいるっぽい!」
睦月「深海棲艦!?」
吹雪「睦月ちゃん達遅いな…白雪ちゃんのいる鎮守府からだともう帰ってもおかしくないのに…」
吹雪「ちょっとだけ外の様子を見てみよう…」
ガヤガヤ
吹雪「何かあったのかな?」
「深海棲艦を数隻沈み損ねたらしいよ」
「北東の方の鎮守府に向かって逃げたとか」
吹雪(ここから北東にある鎮守府って白雪ちゃんがいる鎮守府だ…)
吹雪「まさか!!」
吹雪「ハァハァ…」
加賀「吹雪さん?」
瑞鶴「吹雪、何で氷を入れた袋を頭に乗せてるの?風邪でもひいたの?」
吹雪「とけないためです」
加賀・瑞鶴「はい!?」
吹雪「加賀さん、どこかに出撃するのですか?」
加賀「ええ。どっかの馬鹿が逃がした深海棲艦を沈めに行くのよ」
瑞鶴「馬鹿とは何よ!あいつらの逃げ足が速かっただけよ!」
吹雪「私も連れてって下さい!!」
ズドーン!!
夕立「ぽいー!!」
睦月「キャッ!!」
赤城「大丈夫ですか!!夕立さん!睦月さん!」
夕立「無事っぽい…」
睦月「なんとか大丈夫です…」
赤城(ああは言ってるけど二人とも激しい損傷を受けているわ…何とかこの事態を乗り切らなくては…)
赤城「艦載機!!」
チュッドーン!
睦月「凄い…次々と深海棲艦が沈んでいく!」
赤城「いいえ、まだまだよ…豪雨のせいで照準が定まらず数隻仕留め損ねたわ…夕立さえなければ…」
夕立「ごめんなさいっぽい…」
赤城「あなたの事では無いのですよ」
ドッカーン!
赤城「きゃぁっ!」
睦月「赤城さん!!」
夕立「損傷した夕立たちを気にして動きが鈍いっぽい!」
赤城(今の損傷で中破状態になってしまった…艦載機を飛ばす事はできないわ…)
赤城(睦月さん、夕立さんも戦える状態ではない…)
赤城(せめて、この子たちでも生還させなくては…)
ドッカーン!!
赤城・睦月・夕立「爆撃機!?」
加賀「ご無事ですか赤城さん!」
赤城「加賀さん!!」
瑞鶴「私もいるわよ!」
加賀「まだ一隻残っている!」
吹雪「私がみんなを守る!!」
ドッカーン!!
吹雪の撃った砲弾が駆逐イ級を轟沈させた!
吹雪「大丈夫?みんな!!」
睦月「吹雪ちゃん!!」
吹雪「赤城先輩も睦月ちゃんも夕立ちゃんも酷い怪我…早く入渠ドックに入らないと」
夕立「もう外に出ても大丈夫っぽい?」
吹雪「大丈夫じゃないけど、みんなが心配だったから…」
睦月「吹雪ちゃん…」
吹雪「あっ!!氷を入れた袋が無い!!」
吹雪「いやああああ!!!とけちゃううううう!!」
瑞鶴「吹雪、頭に深海棲艦の攻撃を受けたの?」
赤城「吹雪さんは今、自分の身体は雪でできていると思っているのです…」
加賀「吹雪さん、あなた今さっき爆風が発生する戦場で戦ったのよ。身体が雪でできているなら今すぐにでもとけているはずだわ」
吹雪「え!?」
吹雪「…という事は私の身体は雪じゃない!?」
その日の夜
吹雪「今思うと私、何で自分の身体が雪だと思ってたんだろ?」
夕立「こっちが聞きたいっぽい!」
赤城「まあ、ふとした事でトラウマが解消されるという事は良くある事ですよ」
睦月「とにかく吹雪ちゃんが元に戻って良かったね」
吹雪「みんなに迷惑かけてごめんなさい!私のせいで白雪ちゃんのところまで行かせる事になったり、深海棲艦と戦わせる事になったりして」
夕立「深海棲艦は吹雪ちゃんのせいじゃないっぽい」
睦月「そうだよ。それに自分の身体が雪だと思ってた吹雪ちゃんが、とける事を恐れず助けに来てくれた事が私は嬉しかったな」
吹雪「睦月ちゃん///」
夕立「それに白雪さんと会えた事も良かったっぽい」
赤城「私たちの事を電話で白雪さんに話してくれてたそうですね」
吹雪「え?白雪ちゃんから聞いちゃったんですか///」
赤城「そんなにカッコいい先輩に見えましたか?」
吹雪「は、はい…///」
白雪「もしもし?吹雪ちゃん?」
白雪「え!!治った!?」
白雪「そうですか…良かった」ホッ
白雪「自分の身体が雪だと思っていたのに、こんな暑い中出撃したのですか!あの人たちを助けるために…」
白雪「うふふふ…本当に良い人達と出会えたんですね吹雪ちゃん」
終わり
本当に今年の夏は暑かった…。
これで終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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