創真「あれ?この写真…」 (76)

えりな「あぁ……どこに落としたのよぉ!」

秘書子「えりな様、やはり私も手伝った方が」

えりな「いいの、私一人で見つけられるから」

秘書子「で、ですが…」

えりな「大丈夫と言っているでしょうに。あなたは自分の事をしていて構わないわ」

秘書子「…(物探しを始めてから3時間部屋を出たり入ったりを繰り返しているだけな気が…)」

えりな「たしか今日の動きは…」ブツブツウロウロ

秘書子「…」ウズウズ

えりな「…ねぇ?もう学校ってしまってるかしら?」

秘書子「え、えぇっと…いま8時半なのでもう閉まっているかと」

えりな「土日って本校舎の生活教室は開いていないのよね?」

秘書子「はい、基本的には調理室、研究室、各研究会で使われる教室以外は開いていません」

えりな「……はぁ、どうしましょう…」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440408776

ーーーーー

創真「ただいまーっす!!」

一色「お帰り創真君!!遅かったね」

吉野「またなんか変なことしてきたんじゃないでしょうねぇ」

創真「またってなんだよ!俺、一度も変なことしたことないぞ」

榊(ツッコミ待ちかしら…?)

創真「それと一色先輩って薙切の携帯の番号知ってるっスか?」

一色「えりな君になにか用かい?」

創真「まぁそんなところっすね、さっそく借りていいかですか?」

一色「はい、どうぞ」ホイ

創真「んじゃちょっと電話してきますわ」

一色「うん、終わったら返してね」

創真「了解っす~」ノシ

吉野「……これは!」

榊「悠姫…違うと思うわよ」

吉野「えぇ!でもこの前の宴会でお持ち帰りしてたじゃん!幸平の奴!!」

恵「はは、お持ち帰り…」

榊「め、恵…」

恵「どうせ私なんて表記は下の名前だけどそれだけなんだよね…」

吉野「だ、大丈夫!!まだこれからだよ!だってあの幸平だし!!」

恵「創真くんを悪く言わないで…」

榊「そこは意思があるのね」


関連ss モブ美「幸平くんてかっこいいよね」
モブ美「幸平くんてかっこいいよね」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440149834/)

ーーーーーー

えりな「あぁ……どうすればいいのかしら」ウロウロ

秘書子「あの、やはり私にも探している物を教えていただいて…」

えりな「……」

秘書子「や、やはり友達でもダメでしょうか?」

えりな「!」

秘書子「すいません…このような言い方卑怯ですよね…忘れてください」

えりな「……わ、笑わない?」

秘書子「!!!」

えりな「……その大事なものなのだけれど」

秘書子「もちろんですよ!!!えりな様!!!この新戸緋沙子!!!えりな様を笑うなど!!!」

えりな「あのね、わ…私と大切な人との写真なのよ」

秘書子「写真ですか?」

えりな「……う、うん//」コクン

秘書子「……」








秘書子(カワイイ!!!)

秘書子(わずかに俯きかけ、頬を紅潮させるえりな様がこんなにも愛おしいなんて!さらにいつも気丈にふるまっているせいかとてつもなく比護欲をそそる)

えりな「…やっぱりおかしいのかしら、この歳になって憧れの人の写真を持ち歩くとゆうのわ……」

秘書子「そんなことありません!尊敬する方の写真を持ち歩くなど普通です!!!」

えりな「そ、そうよね!」

秘書子「はい!それではさっそくえりな様の本日の行動を細かく聞きたいのですが」

えりな「えぇ~っと、確か1限目はフランス食文化を」

秘書子「ちょっと待ってください!いま学園の見取り図をコピーしてきます!!」

えりな「さ、さすがにそこまでしなくても…」

秘書子「いえ!私もえりな様の1日の科目は把握していますが学園のどこを通ったかまではわかりませんので!!!」ダッ

えりな「…ありがとう、緋沙子」

ーーーーー

えりな「それで帰りのHRを受けて迎えの車に乗って帰宅ね」

秘書子「コピーをしている間に車内は確認しましたので車は外しましょう」

えりな「えぇ、でもそうなるとほとんどが候補にあがるわね」

秘書子「こればかりは一つづつ回っていくしかありませんね」

えりな「…明日の予定はどうなっているの?」

秘書子「えぇっと…10時からフランチャイズの新メニュー、1時からBBQ研究会と食戟、5時に中等部の習熟予定の確認です」

えりな「一度学園に食戟で戻るわね」

秘書子「はい、ですが探す時間はほとんどありません」

えりな「……緋沙子お願いがあるの。いいかしら?」

秘書子「なんでしょうか?」

えりな「あなたは私が食戟を受けている間に探せるところまででいいから写真を写真を探してもらいたいの」

秘書子「そ、それは私に任せるとゆうことですか?」

えりな「そ、そうよ…友達として//」

秘書子「も!もちろんです!!!任せてください!!!」

えりな「そ、それで写真の特徴なんだけれど髪の長い男性とその隣に小さい頃の私が映っているわ」

秘書子「小さいえりな様……」ゴクリ

えりな「時間は多く見積もっても6時間ってところかしら」

秘書子「はい、ですが入れない教室等がありますので…」

えりな「時間があまる」

秘書子「そこは私が一度調べたところをもう一度調べますが」

えりな「あなたが一度探したところをもう一度探して見つかる可能性はほとんどないわね」

秘書子「…」

prrrrrrr   prrrrrrr

えりな「あら、私みたいね」

秘書子「どうぞ出てください」

えりな「ありがとう、相手は…一色先輩?」ピッ

創真『あ、もしもし薙切?俺、幸平だけ
ピッ

えりな「……」

秘書子「どうされましたか?えりな様」

えりな「い、いえちょっとね」

prrrrrrr   prrrrrrr

秘書子「?…電話ですよ」

えりな「………」

秘書子「えりな様?」

prrrrrrr   prrrrrrr

えりな「…これは忘れましょう」ブチッ

秘書子「で、電源を落とされても大丈夫なのですか?」

えりな「えぇ大丈夫よ…それより明日に備えて計画を煮詰めましょう」

秘書子「は、はい」

えりな「それで回るのは…」

ーーーーーー

『おかけになった番号は』

創真「薙切のやつ携帯切りやがったな…どうすんだよこの写真……」

創真「とりあえず一色先輩に携帯返して…」

創真「それにしても、親父と薙切知り合いだったのかよ」

創真「ん~…親父若いな」ジロジロ

創真「それにしても薙切もちっせぇなぁこれ!でもめっちゃ緊張してる感じが伝わるなこれwwww」

創真「…あいつも小さい頃は可愛かったんだな」

創真「……」

「幸平~~~!!片付かないからご飯食べちゃってよぉ!!!」

創真「おっと、メシメシっと」

吉野「ちょっと!早く食べちゃいなさいよ!」

創真「悪い悪い」

一色「それで、電話はもういいのかい?」

創真「それがあいつ電話かけた瞬間に電話切りやがって」

一色「そう」

創真「ま、べつに月曜に見かけたときにでも声かけますんで。あ、ありがとうござました携帯」スッ

一色「どういたしまして」

創真「でも、最近あいつと学校で会わないんだよなぁ」

吉野「会わないって、そりゃないでしょ同じ学年なんだし」

創真「いただきます。いやそれがなんかこう見かけるんだけど目が合ったりするとすぐいなくなるってか」ハムッ

榊「……」

恵「こりゃもうだめかもしれんね…」

吉野「…」

創真「あぁ、吉野今日は俺片付けしとくからもう行っていいぞ」

吉野「そう、じゃおやすみなさ~い」

恵「お、おやすみなさい」

榊「おやすみなさい」

一色「おやすみみんな…ところで創真くん明日はなにか予定でもあるのかい?」

創真「いや、特にないっすけど」ハムッ

一色「明日、えりな君の食戟があるのは知ってるよね?」

創真「あぁ、なんかそんな話聞きましたね」

一色「時間があれば勉強になるから行ってみるといいよ」

創真「でも確かチケット制なんですよね?」

一色「君に2枚あげるよ」

創真「2枚?」

一色「そう、2枚」

ーーーーーーー

吉野「近況ミーティングです!!!」

恵「…」

榊「ま、話す内容なんて決まってるんだけどね」

吉野「でも内容は決まってるけど肝心の恵がねぇ~」

恵「私どうしたらいいのかな…」

榊「恵…」

吉野「ねぇ、恵はいいの?」

恵「…」

吉野「黙ってたって何も変わらないよ」

榊「恵のしたいようにすればいいんじゃないかしら」

恵「でも、私みたいなちんちくりん……」

吉野「だぁーーー!そんなんでどうすんのさ!!!」

榊「ゆ、悠姫…」

恵「だってムリだよ…薙切さんと私なんて勝ちっこないよ」

吉野「んなの!やってから決めなよ!!!」

恵「…やってみなくてもわかるもん」

吉野「」ブチィ

吉野「知ってる?明日薙切えりな対BBQ研究会の食戟があるの」

恵「十傑の食戟なんて誰でも知ってるよ」

榊「幸平くん誘ってみたら?」

恵「無理だよ、十傑の食戟なんてチケットがないと見れないだろうし、あっても一枚じゃ」

吉野「実は一色先輩が2枚持ってるの」

恵「…」

榊「たぶん幸平くんに渡してるわね。2枚とも」

恵「……」

吉野「それで、恵はどうするの?」

恵「私は…」

ーーーーーー

創真「いやぁ、どうしますかね このチケット2枚」

創真「それにしてもよく手に入れたよな2枚も…やっぱり十傑だと優先して手に入んのかな?」

創真「確かこれの抽選って一般、中等部と高等部全部一括りなんだよな」

創真「にして誰誘うかな…」

恵「創真くん!!」

創真「お、田所じゃん!明日予定ない」
恵「明日の食戟連れてって!!!」

創真「…」

恵「だめ、かな…?」

創真「いや、もともと誘うつもりだったし」

恵「ほ!本当に!?」

創真「ほんと、ほんと」

恵「そ、そっか//」

創真「明日12時にここ出ればいいか」

恵「うん!じゃ、明日//」ノシ

創真「おう!また明日なぁ!!」

創真「しかし田所の奴なんで俺がチケット持ってるって知ってたんだ?」

創真「それにしても田所も勉強熱心だよなぁ。わざわざ俺に聞いてまで食戟を見に行くなんて」

創真「では、俺は丸井の部屋に行きますかね」







丸井「だからなんで僕の部屋で…」

ーーーーー

創真「んで、学園に着いたわけだが」

恵「結構ギリギリだね」

創真「ま、大丈夫だろ…たぶん」

恵「それにしても会場どこだろ?」

創真「ひれーからなこの学校」

「あぁ、どこだぁ!!ないぞ…えりな様に任せてもらったとゆうのに」

恵「あれ?あのひと薙切さんのお付の人じゃ」

創真「…ちっと声かけてみっか、多分あいつなら知ってんだろ」

緋沙子「あぁもぉ!ここにないとすれば次の所か?」

創真「うぃーっす新戸!」

緋沙子「な!幸平!!!」

恵「私もいるよ」

緋沙子「た、田所恵……さん」

創真「なぜにフルネームなんだよ」

緋沙子「…いいだろ別に」

創真「ところで何やってんの?薬草さがし?」

緋沙子「そんな訳ないだろ馬鹿者」

創真「ひでぇなぁ」

緋沙子「お前には関係ない」

創真「えぇ、気になるんだけどメッチャ」

恵「…」

緋沙子(この二人になら言っても別に大丈夫…)

えりな『……緋沙子お願いがあるの。いいかしら?』

えりな『そ、そうよ…友達として//』

緋沙子「悪いが言えない…えりな様との約束なんだ」

創真「ほーん、そっかぁ…あ、そうだこれ」ガサ
緋沙子「ではこれで失礼する」

創真「…行っちゃったよ」

恵「……創真くん、なにか渡すものでもあったの?」

創真「あぁ、実は昨日こんなの拾って」ゴソガサ

恵「?」

恵「ふわぁ~~~!カワイイ!!」

創真「昨日拾ったんだよ、その写真」

恵「薙切さんちっちゃぁい!」

創真「しかも隣にいるの俺の親父だぜ」

恵「あ!本当だべさ!!」

創真「どうせ今からあいつの食戟見に行くからそんとき渡すか」

恵「それにしても薙切さんカワイイ」

創真「お前そればっかりな」

恵「だって今の薙切さんてどっちかてゆうと綺麗って感じだからなおさらだよ」

創真「…」

恵「どうしたの?創真くん」

創真「……いや、なんでも」





創真(これ乾先輩に見せたらどんなんになるんだろ…)

創真「ところで会場どっち?」

恵「…」

創真「…新戸に聞けなかったな」

恵「うん」

創真「…食戟管理局に行けば教えてくれんだろ」

恵「そ、そうだね」

創真「時間これ大丈夫か?」

恵「ちょっとまずいかも」

創真「ま、大丈夫だろ……」

恵「…せめてたぶんと言って」

ーーーーー

えりな(緋沙子が写真を探してくれている)

えりな(緋沙子なら絶対に見つけてくれているはず)

えりな(だから私はなにも考えずにただただ力を尽くせばいい)

えりな(相手はBBQなんてゆういわば庶民の料理に私が負ける訳がない)

えりな「集中…集中…」

創真「なんでそんなに緊張してんだ?」

えりな「」

えりな「な!ななななななぜ君がここに!!!//」

創真「なんぜって用があるから。生徒だと結構簡単に入れてくれんのな」

えりな「私はありません!帰ってください!!!//」

創真「帰ってくださいなんてお前なぁ」

恵「やっぱり食戟前はダメだよ創真くん」

えりな「た、田所さん!!!」

創真「おい、薙切お前最近」
えりな「もう出ます!!!」ガタッ

創真「お~い!薙切!!!緊張すんなよ!お前なら勝てるからな!!!」

「うるさーい!!!」

恵「行っちゃったね…」

創真「二人そろって話の聞かないやつらだなぁまったく」

恵「は、ははは…」

創真「写真はあとで渡すとして俺らも会場の方に行くか」

ーーーーー

BBQ部長「これに勝ったらわが部費を言い値まで上げてもらうからな」

えりな「……」

部長「…おい!聞いているのか!?」

えりな「え、えぇ聞いているわよ」

部長「くそっ!舐めやがって!!!」

えりな(あぁあぁあ"!幸平くんに会ってしまった!!!//)

審判「では!食戟開始!!!」

部長「しゃ!やってやる!!!」

えりな「…」

えりな(まったく勢いとは厄介なものね……//)

えりな(この前は家に帰ってから枕に顔を押しつけて思いっきり叫んでしまったしね//)

えりな(今考えたらなぜあんなことを口走ってしまったのだろうか…//)

えりな(この前の私を思いっきりとっちめてやりたい。学校でなんど顔を合わせそうになったことか//)

「えりな様?」

えりな(しかもなによ。あの考えまるで私が彼を認めているような…)

えりな(…でもす、少しくらいいいところもあるのよね//)

「あの、えりな様?」

えりな(まぁ、料理の腕は多少認めてあげてもいいかしら)

えりな(たまにわけのわからないゴミを作って他人に食べさせる悪癖があるけれど)

「すいませんもう始まってるんですが…」

えりな(あと意外に力もあるのよね…)

えりな(その、私を抱きかかえて…いたし//)

「もうはじまってるんですが」

えりな「なによ!今いいとこ……ろ………」

審判「もう始まっています、えりな様」

えりな「う、うそ!!!」

審判「嘘ではありません、お急ぎを」

えりな「えっと、まずは…」アタフタ

部長「……っち」

えりな「えぇまずは食材の下ごしらえから」

「制限時間は残り2時間半!!!いま、えりな様が動き始めました」

えりな「うそ!30分もたっているの!?」

えりな(これは!まずい!!!)

えりな(この薙切えりなともあろうものがこんなミスをしでかすなんて)

えりな(こんな3流に負けてしまったら一生の恥だわ)

えりな(しかも理由があの野良犬のことを考えてなんて//)

えりな(…いいえ、今は目の前の料理に!!!)

えりな(早く、早くなんとかしなければ!!!)

創真「おっと、やっと着いたな会場の方に」

恵「う、うん」

創真「にしても控室に入れるとは思わなかったな」

恵「そうだね、でもちょっと遅れちゃったみたい」

「制限時間は残り2時間半!!!いま、えりな様が動き始めました」

恵「あ!薙切さんが見えるよ」

創真「お!……なにやってんだ?あいつ」

恵「なんか…こう……」

創真「…」

ガシャーーン

創真「お、こけた」

「おっと!えりな様豪快に転んだぁ!!!……具合でも悪いのですか?」

「大丈夫よ、放っておいて」

恵「ちょ、調子が悪いのかな?」

創真「知らんけどいつも通りじゃ無いのは確かだな」

恵「……勝てるよね?薙切さん」

創真「調子が悪くっても負ける相手ではないかもしれないけど」

恵「けど?」

創真「たぶんへんな結果が出たら…」

えりな(あぁ!もう!!!なんでこんなことに…)

えりな(相手は格下料理なのに!緊張するはずじゃないのに!!!)

えりな(これじゃ、これじゃだめよ!!!)

えりな(これじゃあの人に会う資格もないわ)

えりな(…こんな時に限って写真がないのよね……なんでかしら)

えりな(あぁ、いつも通りに出来ない…)

えりな(この魚に最適な切り方はこうだったかしら?)

えりな(この野菜の飾り切りはもう少し抑えた方が全体が纏まるかしら?)

えりな(なによ、これ…いつもの様に刃が入っていってくれない)

えりな(…)

ーーーーー

審判「け、結果は…引き分け、です……」

ザワザワ

       ウソだろ

創真「……」

恵「そ、創真くん…どうしよう」

創真「知らん…あいつの問題だろ」

恵「そうだけど…」

創真「…帰るぞ田所」

恵「えぇ?最後まで聞かないの?」

えりな「うそ…」

部長「…」

判定員1「味についてはえりな様の料理が実はほんの少し上でしたが」

えりな「な、なら!」

判定員2「ですが本来の実力ではありません」

判定員3「それにえりな様の料理とゆう看板を持っているぶん食べたときにこんなものかと思ったのも事実」

判定員2「故に味の落差も大きく感じた」

えりな「…」

判定員1「よって勝負は引き分けとする」

審判「…えりな様次回の食戟はいつに?(言ってることメチャクチャじゃね?このおっさんら)」

えりな「……こちらから連絡します」

えりな(それからのことはよく覚えていない)

えりな(結果を聞いた緋沙子青ざめた顔をしてが日曜日の予定を取り消した)

えりな(……勝負に集中できなかったのは事実だ)

えりな(全力も出せていなかっただろう)

えりな(けれど体調が悪かったわけでもないし完璧に私の落ち度がある)

えりな(写真のせいでも彼のせいでもない)

えりな(一日具合が悪いわけでもないのに布団の中に入っていると自分が小さく感じる)

えりな「ほんと……なにやってるのかしら、私」

えりな(明日は学校。おそらく噂がいやでも耳に届く)

えりな「……はぁ」

ーーーーーー

えりな「……」

緋沙子「やはり今日は学校も休まれてはいいかがでしょうか」

えりな「大丈夫よ。心配しないで」

緋沙子「し、しかし」

「え!うそ!?負けたの?」

「違うって!引き分け!!!」

「なんか調子が悪かったみたいよ」

「そーそー、なんか転んでたし」

「こ、転んだ!?えりな様が?」

「でも料理じたいは上だったらしいよ」

「は?なにそれ?なんで引き分け?」

緋沙子「…やはり」

えりな「大丈夫よ、あなたも自分の科目にお行きなさい」

緋沙子「…はい」

えりな「…」

えりな「こんな……こんなはずじゃないのに…」

えりな「…写真でメンタルが揺れるとはまだまだね」

えりな「…写真だけではないのかしら」

えりな「…はぁ」

創真「……おーっす!薙切!!!」

えりな「…なに?」

創真「そんなにツンケンすんなよ。お前睨むとメッチャ怖えのな」

えりな「…」スッ

創真「おっと待った!」ガシッ

えりな「……離しなさい」

創真「離す前にちょっと」

えりな「だからなに?」

創真「今渡してもいいけど土曜の食戟のこともあるから放課後に時間作れ」

えりな「…なぜ?」

創真「いいからお願いしますよ薙切さん」

えりな「いや」

創真「あっそ、まぁそれでもいんだけどね」

えりな「それでは私は次の授業は基礎科目名ので」

創真「お!奇遇じゃん、俺も基礎科目のAだぜ」

えりな「…なにが目的なの?」

創真「目的って程でもないしそもそも授業は本当のことだし」

えりな「…そう」

創真「そうそう、放課後来れないんならここで渡すわ」ガサゴソ

えりな「なに?」

創真「ほれ、これお前のだろ」スッ

えりな「!」

創真「どこだったっけなぁ…校内で拾ったんだよ」

えりな「…」

創真「このちっこいのお前だろ?ずいぶん大事にしまってたのか知らんけど大事なもんじゃ」
えりな「…受け取れない」

創真「へ?」

えりな「今の私じゃ受けてれないの!」

えりな「今の、今の私じゃ…もう合わせる顔がないの」

創真「…そっか」

えりな「……」

創真「…俺最近校内で自主練してんだよね」

えりな「…は?いきなりなに」

創真「たまには誰かに味見してもらいたかったりもすんだけどこれがさっぱりで」

えりな「……」

創真「誰か暇なやつが味見に来てくれっと助かるんだよな」

えりな「なにが言いたいの?」

創真「いやなに、味がわかってかつ助言ができる奴が今日の放課後来ないかと思って」

えりな「…さきに行くわ」

創真「ちなみに場所は3号棟2階の中央階段前の調理室な」

えりな「…」

ーーーーー

えりな「で、来たけれど…」

創真「あれぇ?暇だったんですか薙切さん?」ヘラヘラ

えりな「…やはり帰ります」

創真「おいおい、ちょっとした冗談だろ。ほらゆきひージョーク」

えりな「なによそれ…」

創真「ところで新戸は?」

えりな「緋沙子ならいまごろ昨日の…」

創真「…お前まさか……」

えりな「…」

創真「かわいそうな新戸」

えりな「うるさいわね!さっさと料理を出しなさい!!!//」

創真「ま、昼休みのうちに仕込みは粗方できてるから焼くだけなんだけどな」ゴソゴソ

えりな「?」

創真「てってけ!て~ってれ~!たこ焼きセット~(ドラ風)」

えりな「…」

創真「…なにか言ってよ、えりえモン」

えりな「頭は大丈夫かしら?」

創真「…お、なんか普段の薙切らしいじゃん」

えりな「……なによそれ」

創真「ま、すぐできるから待ってろって」ジュー

えりな「本当にコレを食べさせる気?」

創真「当たり前だろ、今焼いてんだから」パッパッ

えりな「…」

創真「あ、いれっちたけどネギ大丈夫だよな?」

えりな「なんの真似かしら」

創真「…なにって、イヤだから味見を」クルックルッ

えりな「ふざけないでなぜこの私がたこ焼きなんて」
創真「お前に知ってもらいたいからだよ」

えりな「…なにを」

創真「庶民の食べ物を」

えりな「だからなんでそんなものを」

創真「きっとお前が勝ちきれなかった理由がここにあるからな」ヒョイヒョイ

えりな「あれは少し体調が悪くて…」

創真「それ、本気で言ってるのか?」ギロッ

えりな「……ごめんなさい違うわ」

創真「ま、これでも食えって!さぁおあがりよ!!!」ドンッ

えりな「…い、いただきます」ハムッ

創真「……」

えりな「…」モグモグ

創真「どうだい?お味は」

えりな「不味い」

創真「…」

えりな「昼に仕込んでいるから削った鰹節の風味は飛んでいるし青のりも同じく風味が悪い」

創真「……」

えりな「そもそも時間を置いているから生地が発酵して水が分離していたはずなのにこれは混ぜてすらいない。だからべちゃべちゃね」

創真「………」

えりな「そもそも粉もマヨネーズも既製品よね?私の舌を汚すために作ったのかしら」

創真「この前の宴会の時とどっちが不味い?」

えりな「決まっているでしょ。こっちよ」

創真「そうか」

えりな「なにがしたいの?こんなものをだして」

創真「なぁ薙切、お前が思う庶民の食べ物ってなんだ?」

えりな「愚問ね、これなんかまさに庶民の格下料理よ」

創真「BBQは?」

えりな「もちろん格下料理ね」

創真「もう一回聞いていいか?この前のと今日のたこ焼きどっちが不味い?」

えりな「さっきも言ったでしょ?今日のよ」

創真「同じ格下料理でも上下はでるのか」

えりな「…」

創真「それがお前が負けた理由だよ」

えりな「別に侮っていたわけじゃ…」

一色『幸平君は勝手にえりな君が負けた理由が敵を侮っていたからだと思っているよ』

創真「お前、俺が写真渡したとき受け取れないって言ったよな?」

えりな「…君に関係ない……」

創真「その理由を教えてくれないか?」

えりな「……」

創真「たこ焼き代」

えりな「な!そんなの卑怯よ!!!」

創真「いいから言ってみろ」

えりな「完璧じゃなくなったから…」

創真「は?」

えりな「~~~っ!完璧じゃなくなったんだもん!!!あの人に合わせる顔があるわけないじゃない」

創真「なんで?」

えりな「君は知らないでしょうけど写真にのっている人は真の一流なの!二流になった私なんかがあっていいわけが」
創真「そい」チョップ

えりな「!?」

えりな「な、なにをするの?」

創真「いや、なんか前にもこんな奴いたなと」

えりな「…なによぅ……痛いじゃない…」グスッ

創真「あのな薙切、二流で止まったらずっと二流どまりだぞ」

えりな「うるさい」グスッ

創真「そもそも1回引き分けたくらいで二流になったら俺なんか490敗してるんだからどうなることか」

えりな「……490流」

創真「口は減らないなお前」

えりな「……」グスッ

創真「…二流になったんら一流に戻ればいいじゃんかよ。なっ?」ナデナデ

えりな「……ん」コクン







創真(……とっさに頭撫でちまったけどこいつ可愛いな)

えりな「…」

創真「それに一度負けたって言うけど俺に一回負けてんじゃん」

えりな「…は?」

創真「だって編入の時お前、俺の料理不味いとか言いながら合格にしてたじゃん」

えりな「それがなぜ負けに?」

創真「だって一度ダメ出ししておいて実は合格とかなんか負けてね?」

えりな「……」

創真「だからお前は二流なんかじゃないって」

えりな「そう、つまり三流だと言いたいのね」

創真「へ?」

えりな「三流の格下だと」

創真(…こいつやっぱりめんどくさいな)

えりな「たこ焼きもどきをごちそうさま」

創真「もどきって…」

バーーーン

緋沙子「えりな様申し訳ありませんやはり見つかり」
えりな「緋沙子、BBQ研究会と食戟の再戦よ」

緋沙子「え?は?今からですか?って幸平!なぜここに」

創真「いや、薙切にたこ焼き」
えりな「いいから早く行きましょう!緋沙子」

緋沙子「は、はい!えりな様」

えりな「では幸平くん次に会うときは君の退学を賭けて食戟をしましょう」

創真「あ~、そ~だな~」

えりな「…さようなら」

創真「やっぱあいつとは仲良くできなさそうだな…」

創真「でも、なんとか持ち直したか…」

創真「あいつが張り合いないと俺までまいっちまうからな」

創真「どんな形であれ不味いって言ったんだ、うまいって言うまでへこんでてもらっちゃ困る」

創真「にしてもあいつ……」







創真「歯に青のりくっついてたぞ」

えりな(格下料理…このまえみんなで食べた料理はおいしかったわね……)

えりな(あのたこ焼きは幸平くんが作ったのかしら?)

えりな(マヨネーズも粉も全部既製品の味ではなかったから全部一から作ってくれたのかしら)

えりな(まさかこの私がかき揚げを頬ばる日が来るなんてね)

えりな(…料理に貴賤はないのね)







えりな「かといって幸平くんを許す訳ではないけれどね」

ーーーーー

審判「勝者!えりな様!!!」

オーーーー!

    この前のは調子が悪かったんだって!!!

流石だぜ

判定員1「この前の料理に比べてこの料理の意外性と言ったら」

判定員2「まさかお好み焼きで来るとは思ってもいませんでした」

判定員3「しかもこれは一度生地を発酵させてフワッと仕上げている」

えりな「もちろんどこかの料理人と違って水は切ってありますわ」

1・2・3「?」

部長「……完敗だよ…まさかお好み焼きで来るとは」

えりな「そうですね…私も少し意外でした」

部長「なにがだい?」

えりな「いえ、まだまだ料理は未知にあふれているのです」

部長「?」

えりな「例えいわゆる庶民の料理でも」

部長「…変わったな、薙切君」

えりな「…そうですね、やっと二流になったってところですかね」

部長「二流?君がかい?」

えりな「こちらの話ですよ」

部長「??」

えりな「……それにしても借りっぱなしというのは嫌ね…」

部長「なにかあるのかい?」

えりな「えぇ、まぁ」

部長「ならさっきの料理でも出してあげればいいんじゃないか?」

えりな「…」

部長「きっと相手も喜ぶと思うよ」

えりな「…そうね、それがいいかもしれないわね」

えりな「べつに他意などないのよ、えぇ純粋に礼を尽くすだけ」

部長「?」

ーーーーー

創真「で、呼び出したと思ったらなに?これ」

えりな「なにってお好み焼きよ」

創真「…へぇ、やっとわかって来たじゃん」

えりな「うるさいわね、冷める前に食べなさい」

創真「では、いただきます」ハムッ

えりな「…ど、どう?」

創真「…お好み焼きの味がする」

えりな「……あたりまえじゃない」

創真「いやぁ、育ち盛りに放課後のおやつはありがたいぜ!今日は体育もあったし」

えりな「そ、そう」

創真「それと、これ返すわ」スッ

えりな「…あ、ありがとう」ギュ

創真「…」ガタッ

えりな「な、なによ」

創真「また偽物か?」

えりな「…もうそれでいいわよ」

創真「……お前は食わないのか?」ハムハム

えりな「……では」ハムッ

創真「やっぱ一人で食うよりこっちの方がうまいな」ハムハム

えりな「……」モグモグ

創真「にしても今度会うときは食戟とか言ってなかったっけ?」

えりな「それはもういいの…」

創真「ほーん」

えりな「……あの、もう一度と、友達になってあげてもいいのよ」

創真「……」

えりな「…なによ」

創真「いや、もう友達だろ俺ら」

えりな「…そうかしら?」

創真「いや、お前から言ってきたんじゃんかよ」

えりな「それとこれとは別よ」

創真「なんだよそれ」モグモグ

えりな「…でも」ハムッ

創真「?」











えりな「あなたと友達ってのも悪くないわね」

おわり

おまけ

創真「ところでなんで新戸がいないいんだ?」

えりな「……君は少しデリカシーを覚えなさい」

創真「そういえば田所も誰かに呼ばれてたな…」

えりな「…」

創真「誰だったっけ?」

えりな「知らないわよ、それに…つまりそうゆうことよ」

創真「?」

えりな「…やっぱり君には伝わりそうにないわね」

創真「言わなきゃ伝わらんだろ」

えりな「そういう話ではないの、察しなさい」

創真「おぉー!そうか」

えりな「!」

創真「そうだよな俺ばっかりもらってちゃだめだもんな」ゴソゴソ

えりな「…嫌な予感しかしないけれど」

創真「ほい!新作のゴーヤジャム・イカの一夜漬け」

えりな「」

創真「これでこの前出来なかった友好を深めましょう」ズイッ

えりな「ひっ」サッ

創真「おーい、避けんなよ」ズイズイ

えりな「い、いや!来ないで」

創真「大丈夫だよ、結構くるけど」

えりな「ひ、緋沙子ーーーー!!!」

創真「さぁ!おあがりよ!!!」ゲスガオ






えりな「…やはり君の料理だけ貴賤はあります」ウェッ

創真「?」

御粗末!!!

誤字・駄文にお付き合いありがとうございました


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