創真「目が覚めたら幼少薙切の弁当係になってた」(311)

えりな「貴方が今日から私のお弁当係になった幸平さんですか?」

創真「よくわからんがそうらしいな…」

えりな「よく分からないってあなた…まあいいですちゃんと美味しいのを作ってくださいね!」

創真「おう、任せとけ、でなにが好きなんだ?」

薙切「それを考えるのが貴方の仕事でしょ?自分で決めなさい」

創真「そうだな、わかったわ…(薙切ってちっちぇ頃から変わらんのな…)」

えりな「じゃあ楽しみにしてますわ」

【次の日】

創真「何にするか…そうだ‼ゆきひら特製いなり寿司でも作るか…」

創真「よし完成…」

創真「おう薙切、弁当出来たから持ってけよ‼」

薙切「なにが入ってるか楽しみですね」

創真「まあ味わって食ってくれよ」

薙切「ええ、そのつもりです。では行ってきますわ」

創真「おう、気をつけてな‼」

【1の2組】

薙切「さてどんなお弁当かしら」パカッ

薙切「いなり寿司…どれ一つ…」ぱくッ

薙切「モグモグ…ゴクン…!」

薙切「甘くて美味しい…そしてご飯も絶妙な炊き加減だわ、幸平創真…やるわね!」モグモグッ

【薙切家】

えりな「幸平さんお弁当箱を返しに来ました」

創真「おう、お帰りで、どうだったよゆきひら特製いなり寿司は…旨かったか?」

薙切「ええ、なかなか美味しくいただきました」

創真「そりゃ良かった、作って甲斐があったってもんだ」

薙切「明日も美味しいのを期待してますわ」

創真「ああ、まあテキトーに期待しててくれ」

【幸平部屋】

創真「つーか、ずっとここで薙切の弁当作ってなきゃいけねぇのかな…
まあそのうち考えるか…」

【次の日】

創真「てか、今日土曜日じゃねぇか…今日も弁当作んかな…」

創真「すんません聞きたいんすけど薙切…あ、いやお嬢さんの弁当って今日も作るんすか?学校休みなんすけど今日…」

執事「おや、言ってなかったでしたか…休日はえりなお嬢さま以外の薙切の方々は全員居なくなるので、お弁当係が土、日はお嬢さまの面倒をみるって…」

創真「ああ、そうなんすか?今初めて聞きましたわ…」

執事「じゃあくれぐれも失礼のないようにお願いしますよ!」

創真「おーす分かりましたー」

【幸平部屋】

創真「(てか、それって俺の休みはないってことなのな…)まあテキトーに力抜きながらやるか」

創真「まあちょっと寝るか…」クカーッ
コンコンッ
「幸平さん…」
コンコンッ
創真「あー入っていいぞ」

えりな「おじゃまします…」ガチャ

創真「ああ、薙切かなんか用か?」

えりな「なんかよじゃありません!
朝食の時間ですわ‼」

創真「まだ、5時30分だぞ…もう食うのか…?」

えりな「5時30分には食べ初めてます!」

創真「そうなんか…じゃあ土日は7時30から朝食になるから宜しくな…」クカーッzzz

えりな「え!ちょっとそんな勝手な事許しませんわよ‼」ユサユサッ

創真「…」zzz

えりな「起きなさい‼」ポカポカッ

創真「…グオー…」zzz

えりな「もう‼」ポカッ

えりな「…」

【7時5分】

創真「ふぁ…あ…よく寝た」背伸びーッ

えりな「…」正座でジーッ

創真「おお‼…お前…ずっとそうしてたのか?」

えりな「貴方が起きないから悪いんです‼」ムスーッ

創真「部屋帰って二度寝すりゃ良かったのに…」

えりな「薙切のものはそんな事はしません‼」

創真「さよか…じゃあ朝飯作って来るから此処で待ってろ…」

えりな「え、此処で食べるんですか?」

創真「ああ、どうせ2人だし、てか薙切がいつも食ってる所は無駄に広いからかたずけるの大変そうじゃん…だから2人の時は俺の部屋で飯にするからな…ちょうどちゃぶ台もあるしな…」

えりな「でも…」

創真「我が儘言う奴は飯抜きにするぞ!」

えりな「うう…使用人のくせに…」ボソッ

創真「じゃあ待ってろよ…」

えりな「はい…」

【調理場】
創真「朝だし…ホットケーキにしよ…糖分摂りたいしな…あとは牛乳でいいだろ…」

創真「あらよっと‼」ポスンッ

創真「うまそー‼」ホットケーキふわふわッ

【幸平部屋】

創真「出来たぞー」ガチャッ

えりな「ああ、来ましたわね」

創真「ほらゆきひら特製、シンプルホットケーキと高い牛乳だ‼」

えりな「ホットケーキですか…」

創真「なんだ、嫌いか?」

えりな「嫌いじゃないですが…質素な見た目ですね…」

創真「まあ食べてみろよ…」

【調理場】
創真「朝だし…ホットケーキにしよ…糖分摂りたいしな…あとは牛乳でいいだろ…」

創真「あらよっと‼」ポスンッ

えりな「ええ、では頂きます…」パクッ
えりな「モグモグ、ゴクン…」

えりな「美味しい‼」

創真「そうだろう俺が作ったからな!」モグモグッ

えりな「モグモグパクっモグモ
グ…」ニコニコッ

創真(ちび薙切は案外素直なんだな)ジー

えりな「なんですか人の顔をじろじろと」モグモグッ



創真「なんでもねぇよ…てか牛乳も飲めよ」モグモグッ

えりな「いえ、牛乳は結構ですわ」キッパリッ

創真「そういえば牛乳嫌いの知り合いは大人になっても色んな所がちさいな特にここが」胸トントンッ

えりな「え…」ぺたーんッ

創真「薙切も小さいままか…」ボソッ

えりな「の、飲むわよ‼」ゴクーッ

えりな「…うえッマズイ…」

えりな「全部飲んだわよこれで文句ないでしょ‼」

創真「無いぞ飲まなくてもな」

えりな「ホットケーキはおいしかったわ…ご馳走さま‼」手合わせ

創真「そうか…お粗末さま…」

創真「じゃあこの何処行くか…?」

えりな「え、何処かへ連れてってくれるんですか!?」

創真「暇だからな…何処か行きたい所あるか?」鼻ホジーッ

えりな「何処でもいいの?」ガタッ

創真「原チャリで行ける所ならな…」

えりな「原チャリ?…よく分からないけど、…ファミリーランドは行ける…?」モジモジッ

創真「ファミリーランドって…とちの●ファミリーランドか?」

えりな「うん…」コクッ

創真「そんな所でいいのか?もっといいところあるぞ…?」

えりな「そこがいいの‼私だけなのクラスで行った事ないの…だから行きたいの‼」

創真「わかった…じゃあ行くから準備してこい」

えりな「やった‼すぐ戻るから待っててちょうだい!」ガチャタッタッタッ

創真「ああって、もういっちまったか…」

創真(薙切も苦労してんのな)

えりな「来たわよ幸平創真!」ガチャッ

創真「おお、早いな…じゃあ行くか…」

【駐車場】

創真「ハンドルロックのかかってないベスパがあってよかったぜ…」

創真「よっと‼」キック蹴りッ

ブーブパパパパ…

創真「エンジンも快調じゃん…(誰のか分かりませんが借ります‼)

えりな「まだなの?」

創真「よし、これ被って此処座れ。」

えりな「うん‼」ポスンッ

創真「俺の背中よく掴んどけよ…」

えりな「わかったわ‼」ギュッ

創真「じゃあデッパツすんぞー‼」

えりな「おー‼(背中あったかい)
」ギュムッ

【ファミリーランド】
えりな「なんで途中、コンビニに寄ったのよ?」

創真「ああ、ちょっとな」

えりな「まあいいわ…だって夢にまで見たファミリーランドに来たんですもの‼」フスーッ

創真「よかったな、おお、懐かしいなこの池…ボート乗れるんだよな‼」

えりな「今日は全部乗るわ‼まずわこれにしようかしら‼」

創真「バイキングか…苦手なんだよあ俺…」

えりな「さあ行くわよ‼」

【乗車後】

創真「…」

えりな「意外とヒュンヒュンするのね…」

創真「バイキングは何処でも結構来るからな…」

えりな「そうなのね…」

創真「次はあれにしろよ…」指差シッ

えりな「あ、メリーゴーランド!」

【メリーゴーランド前】

創真「じゃあ此処で見てるから薙切乗ってこいよ…」

えりな「ええ、ちょっと行ってくるわ‼」

創真「これの出番だな」ゴソゴソッ

【乗車後】

えりな「これ凄く良かったわ…本物より乗り心地いいの!」ニコニコッ

創真「そうか、良かったな」

えりな「そういえば貴方なにかしてたでしょ‼」

創真「写真撮ってたんだわ…」スッ

えりな「写るんデス?さっきこれを買ってたのね?」

創真「まあな、思いでと思ってな…」パシャッ

えりな「…!!?勝ってに撮らないでよ‼」顔隠しッ

創真「まあいいじゃねぇか…かわいく撮れたと思うぜ」

えりな「か、かわいいって///まあいいわ、今日だけは特別に許可します‼」

創真「おおサンキュー」パシャッ

【ボート】

えりな「こういう船初めて乗ったわ…」キョロキョロッ

創真「今日は初めてを沢山経験したな…」ギーコギーコッ

えりな「そうね…これも幸平さんのおかげね…」

創真「まあ薙切には編入試験で世話になったからな…」

えりな「え…?」

創真「ああ、なんでもねぇよ…おッそういえばなんかショーやるみたいだぜ!」

えりな「ショー!?早く岸にボートと着けなさい‼」

創真「おう‼」ギコギコッ

えりな「クッキング戦士クックマンショー…」

創真「やったな…俺らにピッタリだ…」

えりな「…」

創真「…」

【ショー後】

創真「なかなか面白かったな…奇抜で…」

えりな「クックマン…音楽に合わせて料理を作るなんて…お祖父様に報告ねこれは…」ブツブツッ

創真「クックマンのせいで腹減ったな…」

えりな「そうね、勿論お弁当を持ってきてるんでしょう…な訳ないわね…」

えりな「まあ今日は特別にB級でもC級でもなんでも食べてあげあすわ、この薙切えりなが‼」ドヤッ

えりな「…あれ、いない…」キョロキョロッ

まわり「ヒソヒソ…」クスクスッ

えりな「///」かーッ

創真「おーい、フランクフルトと焼きそば買って来たぞ!」バッ

えりな「ゆきひ、ら…そうまぁーー」ギャーギャーッ

創真「うお、なんだよ…!?」

【食後】

えりな「全く、幸平さんのせいで恥をかきましたわ‼」プンスカッ

創真(薙切って小さい頃から痛い奴なんだな…)

創真「まあ、アイスでも食って落ち着けよ」

えりな「そうですわね…て、ないじゃない‼」バンッ

創真「今から買って来るからそりゃあないわな…」

えりな「もうもうもうもうもう!また幸平創真にばかにされた!」ムキーッ

創真「じゃあ、行ってくるわ‼」スタスタッ

えりな「はぁ、今日の私はおかしいわね…ふふ…」にこやかッ

【数時間後】
創真「じゃあ、最後になんかして帰る帰るか…」

えりな「え…もう?」

創真「もう閉園時間だからな」

えりな「そうなのね…じゃああれにするわ…」指差しッ

創真「観覧車か…」

【観覧車内】

えりな「もう終わりなのね…」

創真「…」

えりな「今日は凄く楽しかったわ…」

創真「そうか…」

係員「おつかれさまでしたー」


えりな「…」

創真「…」チラッ

えりな「…」グスッ

創真「はぁ…」

創真「明日は子供科学博物館にでも行こうぜ!」

えりな「…!!?」

創真「だから帰って飯食って早く寝ないと明日いっぱいあそべないなー」チラッ

えりな「ホント‼明日も連れてってくれるの‼」パアッ

創真「明日も暇だからな…」

創真「じゃあ帰ろうぜ‼」

えりな「うん‼」ニコニコッ

【幸平部屋】

創真「じゃあ明日7時30に俺の部屋で飯食うから集合な…」

えりな「もっと早く起きて行こうよ‼」

創真「そんな早くやってねぇから慌てんなよ…」

えりな「そうだったわね///」

創真「子供科学博物館は逃げねぇからちゃんと寝ろよ‼」

えりな「わかったわ…おやすみなさい、幸平さん…」ガチャッ

創真「ああ、またな…」

【日曜日】朝6時50分
創真「ふぁーよく寝たぜ…」チラッ

創真「…!!?」キョロキョロッ

創真「…」極星寮連絡管

創真「はぁ…夢かよ…」ポリポリッ

創真「…」

創真「…まあ、暇だからな…」



【薙切部屋】
創真「おーい薙切!起きてっか?」コンコンッ

創真「…」

薙切「幸平くんこんなに朝早くから訪ねて来るなんて貴方には常識がないのかしら?」腕組み

創真「はは、よく言うぜ…薙切なんか朝5時30分に飯作れって来たくせによ…‼」

えりな「…」

創真(かまかけたけど、やっぱ俺の夢だったようだな…」

えりな「…」

創真「ああ、わりい‼俺の勘違いだったわ…朝早くから失礼したな…じゃあまたな…」

えりな「…あら、エスコートしに来たんじゃないの…幸平くん?私の勘違いじゃなかったら土曜日と日曜日は7時30分から貴方の部屋で朝食のはずなのだけれど…?」

創真「薙切…」

えりな「それにしてもこんなに朝早く来るなんてよっぽど楽しみなのね、子供科学博物館が…」手に持つ写るんデスフリフリッ

創真「まあ、暇だからな…結構楽しみだわ」

えりな「私も…あと何枚かこのカメラは撮れるようだから…行ってあげてもよろしくてよ…」ボソッ

創真「はは…」

えりな「ふふ…」

創真「じゃあ飯食って行くか…」

えりな「うん‼」ニコニコッ

終わり

新戸「・・・取られたっ!」

アリス「どっちを?」

1ですが暇なので少しその後の話を書きます。

【日曜日】7時5分

創真「朝飯なににすっか?」

えりな「貴方に任せるわお弁当係さん!」

創真「そうか、じゃあちょっくら作ってくっからよ、部屋で待っててくれ」

えりな「ええ、わかりました」

【極星寮の幸平部屋】

えりな「小さい頃はなんともなかったけれど男の人の部屋に一人でいるのは少し落ち着かないわね…」モジモジッ

えりな(あ、布団畳んでないじゃない!)ゴソゴソッ

えりな「よし‼(これでキレイになったわ‼)」

えりな「…」キョロキョロッ

創真「出来たぞー‼」ガチャンッ

えりな「!!?」ビクッ

えりな「ちょっと、いきなり来ないで‼驚いたじゃない!」

創真「自分の部屋なんだからいいじゃねぇか」

えりな「そ、それもそうね…///それよりなにを作ったのかしら?」

創真「おう、ゆきひら特製フランスサンドパンと、普通の牛乳だ‼」

えりな「はあ…幸平くん、フランスパンはとても早く風味が失われてしまうのよ?知っているかしら?ましてやこんな短時間で生地から焼き上げたわけじゃあるまいし…」

創真「まあ、残りものがあったからな使わなきゃもったいないだろ?」

えりな「…」

創真「とりあえず食ってみろよ」

えりな「わかりました、では一口だけ…」パクッ

えりな「む‼?」カリッサクッジュワァッ

創真「…」ニヤリッ



えりな「これは…メープルシロップ?でも何故パンに染み込んでいないのかしら?」

創真「言ったろ?ゆきひら特製だって!…硬いゼリー状にしたメープルシロップを特製の生地で包みフランスパンでサンドする…そして表面をじっくりカリッと焼き上げると、コーティング生地も焼け、中のメープルシロップも元の姿を取り戻すってわけだ!」

えりな「コーティング…それが本来パンに染み込んでしまうシロップを液体のまま留まらせたのね…」

創真「ああ、そのコーティングが食べた時のカリッサクッジュワァを産み出すのさ‼」

えりな「考えたものね…幸平くん…風味の落ちたフランスパンをここまでの域まで上げるなんて…」パクッ

創真「二口目だな、旨いかったか?」ニヤッ

えりな「まあまあです‼お腹が空いてるから食べてあげてるだけですわ‼」モグモグッ

創真「素直じゃねぇなぁ!ちび薙切なら「美味しい!」つってニコニコしながら食べたのにな」モグモグッ

えりな「な!?///あ、あの頃はまだ未熟だっただけです‼」牛乳ゴクゴクッ

創真「ふーん…お?牛乳飲めるようになったのな?」

えりな「ええ、おかげさまで立派に成長しましたわ‼」ボイーンッ

創真「そうか、そりゃあ良かったな」ポリポリッ

えりな「ふふ…」モグモグッゴクンッ

えりな「幸平くん、ご馳走さま…まあ、不味くはなかったわ」手合わせッ

創真「おうそうか、お粗末さま…」

えりな「…」モジモジッ

創真「どうした…薙切、便所か?」

えりな「違うわよ‼失礼ね‼」カッ

創真「じゃあなんだよ?」

えりな「あの、え、と、あのね…何時頃出掛けるのかしら?」モジモジッ

創真「ああ、子供科学博物館な…9時に出発すりゃ丁度いい感じだからそれまでに準備しとけよ…時間になったら迎えに行くからよ!」

えりな「そう!…分かったわ、ちゃんと早めに来るのよ幸平創真くん!…ではまたお時間に…」ガチャッ

創真「おお、またな!」

【薙切邸前道路】9時ジャスト

えりな「遅いわよ!幸平くん‼」腕組みッ

創真「おお、準備万端だなー薙切」ニヤニヤッ

えりな「万端だなー、じゃないわよ‼こういう時は10分前行動が常識なんじゃないかしら?」腕時計トントンッ

創真「わりぃ、コイツの調子が悪くてよ!」原チャリポンポンッ

えりな「そうなの?ちゃんと大事にしなさいよね!」

創真「おお、そうだな…じゃあ前みたく後ろ乗れよ」ヘルメット渡しッ

えりな「ええ、…」パシッ

えりな「…」ヘルメットッジーッ

創真「どうしたよ?」

えりな「今思ったのだけれど原動付き自転車の二人乗りって違法じゃないのかしら?」

創真「あの時は一種だったけど、コイツは二種だから違法じゃねぇよ、だから安心しろよ」

えりな「ということはあの時は法律を犯してたのね…」ボソッ

創真「まあ、薙切が悪い訳じゃねぇんだから気にすんなよ」肩ポンポンッ

えりな「貴方は気にしなさいよ‼そしてもう違法は許しませんからね‼」座席座りッ

創真「おお、分かったわ…じゃいくぞ!」

えりな「ええ…」創真の背中ギュッ

えりな「…///」ギュムッ

【子供科学博物館駐車場】

創真「おお、着いた着いた…懐かしいな」鍵カチャッ

えりな「あれ…凄いわね…」指差しッ

創真「ああ、ロケットな‼あれ実物大らしいぜ…あれもいろいろ仕掛けあるから時間になったら見に行くか?」

えりな「当たり前です、来たからには全部見るに決まってるわ」

創真「そうか、じゃあ博物館の中入るぞ」

えりな「ええ、早くいきましょう‼」スタスタッ

創真(はえーな)ポリポリッ

【科学博物館メインホール】

えりな「へぇお土産屋さんもあるのね…」キョロキョロッ

創真「あの土産屋、結構面白いから帰り見てこうぜ」

えりな「そうね…あ!あれは…」

創真「おお、マジで変わってねぇわ…あの変なマスコット…」

えりな「変なじゃないわ!未来くんよ、ここに書いてあるでしょ」ビシッ

えりな「きっと小さい頃の貴方は目もくれずに進んでしまったんでしょうね、幸平くん?」

創真「いや、一回くらいまじまじと見た記憶が今甦ったわ…」

えりな「あらそうなの?それにしても、まるまるとしててかわいいわね…」

創真「写真撮るか?」スマホ取りだしッ

えりな「貴方ね…これで撮りなさい!味気ないでしょ携帯電話なんて‼」写るんデス、渡しッ

創真「そうか?…どれどれ…お、まだ5枚も残ってるわ…じゃあ撮るぞ…」

えりな「ちょっと!貴方は写らないの?」

創真「いや、見ないで撮ったらミスるかもしんねーぞ?」

えりな「いいから貴方も来なさい‼…」グイグイッギュッ

創真「わかったって…じゃ撮るぞ

‼」パシャッ

えりな「…///」

創真「撮れてっかなちゃんと…」

えりな「じゃ、じゃあ、いきましょうか」

創真「おう!」

【宇宙の科学】

えりな「此処は宇宙のものを展示してるのね…」キョロキョロッ

創真「此処はあんま覚えてないんだよな…お!でもこれはなんとなく覚えてるわ‼」指差しッ

えりな「なるほど…太陽系の天体の大きさが球体でわかるのね…これなら子供でも分かりやすいわね!」

創真「見ろよ薙切!太陽ってやっぱりでけぇわ…地球ちっちぇー!」

えりな「ふふ…(子供見たいね)」ジーッ

創真「でもよ、でかくなってからきてもワクワクするな…なんか…」しみじみッ

えりな「そういうものよ、私も初めてだけどとても面白いわ…」ニコニコッ

創真「そうか…やっぱ興味あることはいくつになっても面白いんだな…あ、隕石も展示してんぞ」

えりな「…」隕石ジーッ

えりな「こんな大きな石が落ちて来るなんて危ないわね…」ボソッ

創真「じゃあ次いくぞ…」スタスタッ

【地球の科学】

えりな「ジオドーム…」

創真「中入るか?」

えりな「ええ‼」スタスタッ

創真「…」スタスタッ

【ジオドーム内部】

えりな「地球の中ってこんな風になってるのね?…学校で習うより頭に入るわ」

創真「授業はつまんねぇからな…」

えりな「それは貴方だけです‼」キッパリッ

【人工竜巻発生装置前】
えりな「何かしらコレ…」

創真「そこのボタン押して見ろよ」

えりな「これね…えい…」ポチッ

竜巻装置「シュオォォングルグル…」

えりな「…」ポチッ

竜巻機械「シュオォォングルグル…」

えりな「…」ポチッ

竜巻機械「シュオォォングルグル…」

えりな「…」プルプルッポチッ

竜巻機械「シュオォォングルグル…」

創真「次いくぞ!」

えりな「あ…ええ、分かったわ…」ポチッ

竜巻機械「シュオォォングルグル…」

えりな「…」チラッ

竜巻機械「…」シーンッ

えりな「ふふ…」ニコッ

【生命の科学】

えりな「人体パズルがあるわ」

創真「今もあるのな…やってる奴見たことねぇぞこれ…」

えりな「…」パチカタッ完成ッ

創真「おもしろいか、それ?」

えりな「ええ、誰もやらない物をやるのは楽しいです…」

創真「ふーんやっぱり変わってるな‼」ケラケラッ

えりな「な!?貴方に言われたくないわよ‼」バンッ

【情報量の科学】

創真「小学生ん時はさぁ、指紋認証スゲー‼ハイテクじゃんとか思ってたけどさ、今じゃ身近にありすぎて、あの時とは違うんだなって…なんだか切なくなるな…」

えりな「幸平くんもそんな事考えるのね…」

創真「まぁな…そのうち俺らの世界も薙切…お前の従姉妹みたいな奴ばかりになるかもな」ポリポリッ

えりな「それは無いわね…いつの時代も古臭い職人という者のは持て囃されるものだもの、勿論本物に限るのだけれど…貴方はどっちかしら、幸平創真くん?」クスッ

創真「そんなの余裕で生き残るに決まってんじゃん‼」ドヤッ

えりな「そう…せいぜい振り落とされないように気をつけなさい…」腕組ッ

創真「おう‼」

【エネルギーの科学 】

創真「薙切、コレやってみろよ‼」

えりな「これは…?」

創真「ペダル漕ぐとケースの中の歯車が回転して、電球が点くんだと‼」

えりな「なるほど…やってみましょう」跨がりッ

創真「…」ゴソゴソッ

えりな「む‼、なかなか重いわね」ギュルッギュルッ

電球「パァァァァー」チカチカッ

えりな「あ、ついた‼」ギュルギュルッ

創真「薙切ーこっち向けー」

えりな「え、なんですか…」振り抜きッ

創真「よっしゃ‼」パシャッ

えりな「ちょっと!何勝手に撮ってるんです‼」

創真「いやぁ薙切が一生懸命何かやってんのて珍しいからな写真に残さないともったいないだろ?」

えりな「くっ…恥ずかしいところを…」

創真「いいじゃんいいじゃん‼」ケラケラッ

えりな「もう次行きます‼」スタスタッ

【乗りものとロボットの科学】

えりな「これが現実になるなんて…」

創真「おお、リニアモーターカーか」

えりな「…」ポチッ

リニア「ふわふわ…スイーーン…」

えりな「こんな揺れてたら危ないわね…」

創真「なんだかんだ好きだよな薙切ってこういうの」

えりな「ええ、だって面白いんじゃない…あ!ロボットがいるわよ‼」指差しッ

創真「ミュージ君じゃん‼」

えりな「ミュージ君?なるほど、時間になったら演奏するのね」

創真「まあ動いてるのみたことないけどな…」

えりな「何回も来て、みたことないなんて…貴方ってやっぱりいい加減な人ね」

創真「待ってるの嫌いだからな…」鼻ホジーッ

えりな「今日は待ってるわよ‼」ジーッ

創真「そうだな…」

えりな「…」ジーッ

創真「…」

えりな「…」ジーッ

真「ん、なあ薙切…コイツの名前呼ばないと動かないみたいだぞ!」

えりな「え…そ、そうなの?」

創真「説明に書いてあったわ…(まあ嘘なんだけどな)」

えりな「それを早く言いなさい‼じゃあ…呼びましょうか…」キョロキョロッ

創真「…」

えりな「みゅ、ミュージ君!///」

ミュージ君「エーイ‼」ガショガションッ

えりな「う、動いた‼」パァッ

創真「…」

ミュージ君「ヤッホー‼ワタシミュージクンデス‼」ガショガションッ

創真「…」

ミュージ君「キョウワキテクレテアリガウ‼デワサヨウナラー…」ガション…ッ

えりな「凄いわ、ミュージ君‼」パァッ

創真(演奏しねぇのかよ!)

えりな「もっと動いてるとこ見たかったわ‼」ニコニコッ

創真「充電が時間かかるから仕方ないな」

えりな「そ、そうなの…?」ショボーンッ

創真「ああ…まあ、おもしれーのはまだまだ有るから次行こうぜ」

えりな「そうね!」

【プラズマボール】

創真「このボールに手置いてみろよ」

えりな「痛いとかじゃないでしょうね?」ピトッ

プラズマボール「ブイーンブブブブブ…」手めがけて

えりな「なによコレ‼…雷みたいなのが追ってくるわ‼」

創真「はは、おもしれーよなコレ…」ピトッ

プラズマボール「ブイーンブブブブブ…」

【視覚の部屋】

創真「薙切、俺中入るからさその窓から中見てろよ」スタスタッ

えりな「え、ええ、わかりました」ジーッ

創真「どうだー」坂道行ったり来たりッ

えりな「!?幸平くんが大きくなったり小さくなったりしてる‼」マジマジッ

創真「おお、どうだったよ?」

えりな「なかなか、良かったわよ」ムフッ

創真「そうか、次は斜めの部屋だな!」

えりな「斜めの部屋?」

【斜めの部屋】

えりな「あ…こんなの立ってられないわよ‼」ペタンッ

創真「おお、ほら手ぇ貸せよ‼」スッ

えりな「あ、アリガウ///」ギュッ

創真「この階段の所は立ちやすいぞ」

えりな「え、あら…ほんと…」スタッ

創真「子供がいたらあばれ回ってるぜ、空いてて良かったな…」

えりな「そうね…でもなんて気持ち悪い部屋かしら…この鏡がまた部屋を大きく見せて…」フスーッ

【斜めの部屋外】

えりな「まだ体が変な感じよ‼」グラグラッ

創真「俺もだわ…」グラグラッ

【暗闇体験】

創真「此処俺の好きな所じゃん‼」

えりな「暗闇体験…」

創真「まあ、いいから入ろうぜ!」

【暗闇体験内部】

えりな「真っ暗だわ…」ソワソワッ

創真「なんも見えないから手探りで進むんだよ」ペタペタッ

えりな「なんか、音も聞こえずらいわね…」ペタペタッ

創真「ほーら進め進め!」ペタペタッ

えりな「言われなくても分かってるわよ‼押したら許しませんからね、よろしくて!」ペタペタッ

創真「おお!」ペタペタッ

えりな「なんなのよコレ…」ペタペタボフンッ

えりな「あ、出れたわ‼」

創真「やっと出れたか…」ボフンッ

【暗闇体験外】

えりな「…」チラチラッ

創真「どうしたよ薙切?」

えりな「…」モジモジッ

創真「なるほど…」

えりな「幸平くん、もう一回行ってきますわ」スタスタッ

創真「楽しかったってことか…」ポリポリッ

【メインホール】12時05分

創真「12時か…腹へったな、どうする昼飯?」

えりな「そこにレストランがあるじゃない…?」

創真「俺はいいけどお前なんか文句言いそうじゃん!」

えりな「さあ、どうかしらね…」クスッ

【科学館ラウンジ】

創真「どうだ、それ…旨いか?」モグモグッ

えりな「そうね、よくある大衆向けのレストランそのものって味ね…しかもかなりレベルの低い…」パクパクッ

創真「そうか…でもちゃんと食べるのな」

えりな「ええ、出されたものは残さず食べる主義ですから…」モグモグッゴクンッ

創真「前の薙切なら一口食ったら不味いって言って食わなかっただろうな…」

えりな「…少し…考えが変わったのよ…」唇フキフキッ

創真「ふーん…」

えりな「幸平くん…」

創真「なんだ?」

えりな「あの日、あの時…貴方に会えて良かったわ…ありがとう」ニコッ

創真「おお…いいって事よ‼」ニカッ
えりな「ふふ、じゃあお腹も満たしたことですし次はどこに連れて行って下さるのかしら?」

創真「12時30分か…そうだな、じゃあロケットでも見に行くか?」

えりな「いいですね、いきましょう

【H-2ロケット前】

えりな「ホントに大きいですわね…」見上げッ

創真「此処のシンボルみたいなもんだからな…初めて見る人は驚くんじゃねぇかな?」

えりな「確かにインパクトはあるわね…」

創真「そうだよな、だけど昔はもっとシンプルな色だったんだぜこのロケット…」

えりな「そうなの?」

創真「ああ、確か改装が終わったらこの色になってたんだよ…」

アナウンス「発射1分前…」

えりな「え‼?」

創真「お‼そろそろかー!」

えりな「何が起こるのよ幸平くん‼」

創真「まあ見てろよ!」

アナウンス「10…9…8…7…6…5…4…3
点火…」

H-2ロケット「シュボォォォォォ…」モクモクッ

創真「煙がすっぺぇー‼」

えりな「!?…煙で何も見えないわ‼」ワサワサッ

H-2ロケット「プス…プス…ス…」

創真「いやぁ久々の発射はスゲー煙だったな‼」

えりな「もう!何で教えてくれなかったのよ!驚いたじゃない!」

創真「わりぃ…でも、おもしろかっただろ?」

えりな「む…そうね…なかなか予想外の演出だったわ…」

創真「だろ?此処に来たらこれ見ないと帰れないからな‼」

えりな「ふぅ…でも、貴方が言うだけの事はあったわ…恐るべしね…子供科学博物館…」ゴクリッ

創真「じゃあ…次行くか?」

えりな「そうですね!次は外の展示物を見に行きましょうか」

創真「おう‼広いからゆっくり行こうぜ

【数時間後メインホール】

創真「いやぁ歩いたわ…」

えりな「予想外に広かったですわね…水を運ぶお猿さん、珍しい自転車、奇妙なオブジェ、そしてミニ機関車‼…でも…全部まわれて良かったわ‼」

創真「まあ大半はミニ機関車に乗ってたんだけどな…」

えりな「あれは素晴らしいわ…本当に…」腕組ッ

創真「はは、…気にいってくれて何よりだわ!」ポリポリッ

創真「じゃあもう時間だから土産買って帰るか…」

えりな「残念ですが、そうしましょう…」

【ミュージアムショップ】

えりな「意外と色々な物が売ってるわね…」ジーッ

創真「化石とか宇宙食とかも売ってるからな…(宇宙食か今度コレを使って何か作るか…)」ガサゴソッ

えりな「あら…宇宙食買うのね…」

創真「懐かしいからな…」

えりな「私は何にしょうかしら…(緋沙子と、アリスにも買って行ってあげよう)」キョロキョロッ

えりな「どれがいいかしら…ん‼あれは‼」

創真「あー、それ売ってるんだよな…買うのか?」

えりな「持って帰れるかしら?幸平くん…?」チラッ

創真「まあ…大丈夫だろ…」

えりな「じゃあ購入しますわ‼」ガシッ

店員「ありがとうございました…」

【駐車場】

創真「これで大丈夫だろ…ゆっくりいくけどヤバかったら言えよ」

えりな「お気遣いありがとう幸平くん…でも少し恥ずかしいだけで、安定しているから大丈夫よ」

創真「二宮金次郎みたいになってるからな…」ケラケラッ

えりな「幸平くん…この薙切えりなのこんな姿は二度と見れないわよ…感謝することね子供科学博物館に…」

創真「そうだな!じゃあよく捕まってろよ」キック蹴りッ

えりな「ええ、分かってるわ…」ギュムッ

えりな(さようなら子供科学博物館…とっても素敵な場所でしたわ…)チラッ



パーンパパパパ……

【薙切邸前道路】

創真「ふぅお疲れさん‼ほら、大丈夫か?」原チャ降りッ

えりな「ええ、大丈夫よ…ありがとう」スッ

創真「薙切、今日はどうだったよ?楽しかったか?俺は楽しかったぜ…」


えりな「私は…10年前の再開が出来てそれだけで嬉しいのに、約束まで覚えていてくれて感激ものよ…」

創真「そうか、俺は一瞬だけど薙切は10年も待ってたんだな…どうりで色々変わるわけだな…」

えりな「そんなに変わったかしら?」

創真「おお、変わったぜ、まず、俺のこと君じゃなくて貴方って呼ぶしな…」

えりな「ふふ、良かったわね…貴方のほうが君より少し丁寧語なのよ…」

創真「あと、何より…素直になったと思うわ…」

えりな「…幸平くん…私が此処まで素を見せるのは貴方だけよ…でも、それは土曜と日曜日だけ…そして食に関してもそれは同じことです…不味いものは不味いって言うわ…それは肝に命じておきなさい‼」ビシッ

創真「おお、わかったわ…今度は絶対旨いッて言わせてやるよ!」

えりな「ええ、楽しみに待ってるわよ…それじゃ、またね…幸平創真くん…」クルリッ

創真「またな…薙切えりな…」パシャッ

えりな「…ん!?(何か光ったような…まあいいわね)」スタスタッ

【幸平部屋】

創真「いやぁこれ現像するの楽しみだぜ
!…あの後ろ姿傑作だったからな」ケラケラッ

創真「ふぅ…じゃあこの宇宙食を使って試作料理でも作りにいくか‼」

【アリス部屋前】

えりな「アリス‼開けなさい」コンコンッ

アリス「なによーせっかく寝てたのに‼」ガチャンッ

えりな「こんばんはアリス…貴女にお土産を持って来ました」スッ

アリス「お土産?まあいいわ入りなさいよえりな…」

【アリス部屋】

アリス「お土産ってなによ…」

えりな「 丁度いいわ…」ボソッ

アリス「なにがよ?…」パジャマ姿ッ

えりな「アリス…そのパジャマを脱ぎなさい…」

アリス「なんで?嫌よ脱ぐなんて!」ダッ

えりな「いいから脱ぎなさい…言う事聞かないとこうよ‼」ガシッ

アリス「や、やめなさいよえりな‼やめて!」尻餅ペタンッ

えりな「いいからおとなしくしなさい‼」ヌガシヌガシッ

アリス「きゃあ‼」スッポンポーンッ

えりな「ようやく脱げたわね…じゃあこれを着なさい…」バサッ

アリス「え…パジャマ?とアイマスク」スッ

えりな「そうよ…貴女に似合うと思って買ってきたの…だからマスクを着けて早く着なさい」ニコッ

アリス「わかったわよー着ればいいんでしょ…」スッス着用ッ

えりな「じゃあ、鏡の前に連れて行ってあげます」ギュッ

アリス「何も見えないんだから、ゆっくり進んでよ…」ギュッ

えりな「大丈夫よ…ほら着いたわ」

アリス「マスク取ってもいい?」

えりな「ええ、いいわよ‼」

アリス「…」スッチラッ

アリス「な‼?なによこの服!!」

えりな「ミュージ君なりきりパジャマよ‼可愛いでしょう?」

アリス「嫌よこんなダサいパジャマ‼いらないわ‼」バッ

えりな「はあ‼よく聞こえなかったのだけれどダサいって言ったのかしら?ダサいって‼」ガシッ

アリス「な、なによ離しなさいよ‼」

えりな「脱がないなら離してあげます…」

アリス「え、だってこんなの私には似合わない…」ボソッ

えりな「はい?…」ギロッ

アリス「ヒィ!!…」ビクッ

えりな「…」ジーッ

アリス「うう…そんな睨んだって…」ビクビクッ

えりな「…」ジーッ

アリス「昔みたいに…」ウルッ

えりな「…」ジーッ

アリス「こわぐないんだからぁ…」ウルウルッ

えりな「いいから着なさい…」ドンッ

アリス「ヒィ‼わがっだわよぉ‼着ればいいぃんでしょきればぁぁ!!」プチプチ再度着用ッ

えりな「ふふふ…似合ってるわアリス…これから毎日ちゃんと着るのよ‼明日も見に来ますからね…ではおやすみなさいアリス…」バタンッ

アリス「うう…えりなの…バ
カァー!!うぁぁぁぁぁん!」バタバタッ

えりな「初めてアリスにプレゼントしたわ…///次は緋沙子ね…」ニコニコッ

【緋沙子部屋】

えりな「緋沙子…私です開けて下さい」コンコンッ

シーン

えりな「…」コンコンッ

シーン

えりな「あら、もう寝ちゃったのかしら…?まあいいわ、私は十傑評議で忙しいから書き置きと一緒にドアの前に置いておきましょう…」コトッ

えりな「おやすみ…緋沙子…」スタスタッ

【夜12時緋沙子部屋前】

緋沙子「うう…幸平め…あんなゲテモノを食べさせられるとは…」チラッ

緋沙子「ん…なんだこの箱は…?」ジーッ

緋沙子「手紙が付いている…」スッ

緋沙子「この字は…えりな様‼」ガサガサッ

手紙「緋沙子へ、もう寝ているようだから手紙と一緒にドアの前に置いておきます…子供科学博物館のお土産です…PS,明日の審査、頑張りなさい…」

緋沙子「うう…えりな様…ありがとうございます‼」ヒョイッバタンッ

【緋沙子部屋】

緋沙子「えりな様のお土産かぁ…」ガサゴソッ

緋沙子「ん…コンセントを付けるのか…」カチャッ

緋沙子「電源を入れて…」カチッ

緋沙子「…」ピトッ

プラズマボール「ブイーンブブブブ…」

緋沙子「…」左手ピトッ

プラズマボール「ブインブブブブブ…」

緋沙子「…」

緋沙子「なんなんだ…これは…」ゴクリッ

子供科学博物館編

終わり。

明日休みだから少し続き書きます。

【幸平部屋】
創真「薙切さ、課題の時エッグベネなんってやつ作ってたじゃん?」

えりな「エッグベネディクト…私がビュッフェの課題で出したのはエッグベネディクトよ幸平くん…」

創真「そうそれ!…それさ、今作ってくんねぇかな?」

えりな「ふぅ…幸平くん…私の料理は気安く食べれるほど安くはないのよ?」


創真「なんでだよー課題んときはアホみたいに作ってたんだから良いじゃんかちょっとくらいさ」

えりな「な‼アホみたいって貴方ねぇ…」

創真「わかった‼作ってくれたら面白いマンガ貸すわ‼だから作ってくれ!」

えりな「マンガ本…」ボソッ

創真「そう!マンガ本、面白いぞぉ」ニヤァッ


えりな「この前借りたのより面白いのかしら?」

創真「ああ‼間違いなく面白いぜ‼なんせ大ヒットしたマンガだからな!」

えりな「大ヒット…(確かに最近マンガ本が気になってたのよね…緋沙子にばかり頼むのも悪いし…)」

創真「どうだ?作ってくれるか?」

えりな「まあいいでしょう!庶民の文化を知ることも薙切を継ぐ者として必要ですから…作ってあげてもいいわ…エッグベネディクト…」

創真「おお、マジかサンキューな薙切!」

えりな「ええ、では私は厨房で作って参りますから貴方はマンガ本を用意していなさい」ビシッ

創真「わかった用意しとくわ!」

えりな「じゃあ少しのお待ちを…」ガチャンッ

【極星寮厨房】

えりな(作ってもらいはしたけど幸平くんに料理を振る舞うのは初めてね…)カチャカチャッ

えりな(そういえば幸平くんの作る朝食はいつも甘めの味付けが多かったわ…好きなのかしら…?)チラッ

えりな「ん?…これは…」スッ

えりな「…」手に持つ物見つめるッ

えりな「ふふ…そうね…(料理人として相手の好みに合わせてレシピを変えるのも大事かもしれないわ…)」カチャカチャッ

えりな(でも頼まれたのは課題の品なのよね…気分悪くしないかしら…)

えりな「…」

えりな「二品作りましょう…」カチャカチャッ

【創真部屋】

えりな「幸平くん悪いけど両手がふさがっているから開けてくれないかしら…」

創真「おお、今開けるわ‼」ガチャッ

えりな「ありがとう…」スッ

創真「いやいいさ…」

えりな「ここに置くわね」コトッコトッ

創真「おお、旨そうじゃん‼てかっもう1つ作ったんだな?」ジーッ

えりな「ええ、丁度良い材料がありましたから…」

創真「こっちはエッグベネディクト…薙切が課題で作った奴だよな…そしてこっちはなんて奴なんだ?」

えりな「ワッフルベネディクトよ‼」

創真「ワッフルベネディクト…」

えりな「そう、通常のイングリッシュマフィンをワッフルにかえ、オランデーズソースにメープルシロップを添えた物がワッフルベネディクト…まあ私のアレンジが所々に加わっていますがね…」

創真「ふーん…良くわかんねぇけど食わせて貰うわ‼」

えりな「ええ、貴方と私の違いを感じる良い機会です…よく味わいなさい…」


創真「じゃあまずはエッグベネディクトを…」パクッ

創真「な‼?(うめぇ!…全部がマッチして1つになってやがる…)」 モグモグッ

えりな(どうかしら…私の料理は…)モグモグッ

創真「次はこっちを食わせてもらうぜ…」ヒョイッ

えりな「どうぞ…(私の思い描く貴方の好みに合わせたワッフルベネディクト…)」

創真「どれ…」パクッモグッ

えりな(口に合えばいいけど…)モグモグッ

創真「薙切…お前のことちょっと見くびってたわ…この、エッグとワッフルの二つのベネディクト…旨いわ‼」バグッモグッ

えりな「あたりまえです…私が作った料理が美味しくない訳がありません…」ドヤッ

創真「はは、そうか…そうだよな!」モグモグッゴクンッ

えりな「で、どちらのほうが美味しかったかしら?」

創真「どっちも旨かったけど…強いて言えばこっちだな」ワッフル持ち上げッ

えりな「そう…それは作った甲斐がありました」ニコッ

創真「おお、マジで旨かったわ!ご馳走さん!」手合わせッ

えりな「ええ、お粗末さまでした」

創真「そうだ…約束のマンガなんだけど巻数が多いから一緒に持ってってやるよ」

えりな「あら?随分紳士的なのね幸平くん」クスッ

創真「だって薙切じゃあ力なさそうで持ってけなそうじゃん…」ケラケラッ

えりな「む!なんかイラッとする言い方ね…まあいいでしょうお願いすることにします‼」

創真「おお、じゃあ行くか?」

えりな「ええ…」

【えりな部屋】

創真「よいしょっと」ドサッ

えりな「本当に多いわね…どんなマンガ本なのかしら」ジーッ

創真「まあそれは段ボールを開けて自分で確認してくれよ‼」

えりな「そうね…」

創真「じゃあ俺は帰るわ…またな薙切…」ガチャッ

えりな「ええ、また来週会いましょう…」

えりな「…」小さく手フリフリッ

えりな「ふぅ…じゃあ拝見しましょうか…」スッ

えりな(今度はどんな少女マンガなのかしら…)ガサガサッ

えりな(あれより破廉恥だったら…///)ヒョイッ

えりな「ん?」ジーッ

えりな「なによこれ‼少女マンガじゃないじゃない」バシッ

えりな「絵も古臭いし…」チラッ

えりな「…」ジーッ

えりな「…」ヒョイッペラッ

えりな「…」ペラペラッ

えりな(まあ…せっかくですし読んであげてもいいかも…)ペラッ

えりな「…」ペラッ

えりな「1.8m…(そ、そんな大きいのがいるのかしら…)」ゴクリッ

えりな(今度幸平くんに聞いてみましょう…)ペラッ

えりな「それにしても…躍動感があるわねぇ」ジーッ

えりな「もうちょっと読んでから寝ましょう…」ペラッ

えりな(あと一巻だけ…)スッ

【一週間後、土曜日、幸平部屋】

えりな「ご馳走さま幸平くん…」

創真「なんだよスゲー眠そうだな」

えりな「こんなの…どうってことないわよ…」ショボショボッ

創真「いや、今にも脱落しそうな人になってるがどうしたよ?」

えりな「時間がないのよ…十傑、味見、三平くん…誰も寝させてくれないわ…でも満足よ…私も釣りキチ同盟に入るの…そして練り歩くのよ…町を…竿を持ってね…」ボーッ

創真「ほーん…まあ薙切が忙しい中、全巻読んだことはわかったわ…」鼻ホジーッ

えりな「私が…タキタロウを…釣るわ…」ボーッ

創真「部屋に帰って寝たらどうだ?」

えりな「嫌です…せっかく来たのに…帰りません…」ボーッ

創真「じゃあ…ここの布団で寝ろよ…今敷いてやるから…な?」ゴソゴソッ

えりな「…」フラフラッ

創真「ほら敷けたぞ‼」布団ボフボフッ

えりな「地球の割れ目…待ちなさい…」布団モゾモゾッ

創真「…」

えりな「気持ちいいわ……」ポフンッ

創真「まあ…ゆっくり寝ろよ…」

えりな「ユリッぺ…」Zzzッ

創真「…」チラッ

創真「…俺も、一眠りするか…」

【幸平部屋、17時20分】

えりな「起きなさい…幸平くん‼」ユサユサッ

創真「ん…ふぁーあ」ガバッ

えりな「…」ジーッ

創真「よお…」

えりな「よお…じゃないわよ‼」

創真「いやー薙切がいきなり爆睡し出してから俺も眠くなっちまってな!」ポリポリッ

えりな「ふふ…幸平くん、まだ寝ぼけてるんじゃないかしら…?」

創真「ん?」

えりな「幸平くん良くお聞きなさい…この薙切えりなが男の子前で睡眠を取るなんてあり得ません‼」ドヤッ

創真「ふーん…」スッ

えりな「…」ソワソワッ

創真「…」えりな寝顔写メ見せッ

えりな「!?あ…///」顔真っ赤ッ

創真「いやぁ最近の携帯はスゲーよな?」スマホスッスッ

えりな「消しなさい‼」バンッ

創真「…」

えりな「…」

創真「そんなにイヤか?…別にいいじゃん人前で寝ちまってもよ…?」

えりな「恥ずかしい…じゃない…」ボソッ

創真「そんなもんかねぇ…俺なんか何回見られたかわかんねぇぞ?」

えりな「私も何回貴方の寝顔を見たかわからないわ…」

創真「そうか‼そりゃ良かったな薙切!」

えりな「別に嬉しくないわよ!」

創真「まあなんだ…とりあえず お相子だな!」ニカッ

えりな「うう…しょうがないわね!そ、そう言うことしてあげましょう」モジモジッ

創真「おうサンキューな‼」


えりな「ふふ…でもその写真は消しなさいよ!」ビシッ

創真「うーん…やだ‼」ニヤァ

えりな「な‼?」

【えりな部屋】

えりな「あれから大変だったわね…」ベッドボフンッ

えりな「それにしてもまさか男の子の部屋で寝てしまうなんて…本当に大変なことをしてしまったわ…///」ボフボフッ

えりな「これからは気をつけないといけませんね!」枕ギュッ

えりな「でも…」

【回想】

創真「釣りに行きたいねぇ…」

えりな「駄目かしら?」

創真「いいんじゃね!俺も最近行ってなかったから丁度いいわ‼」

えりな「ホント‼」パァッ

創真「ああ!で、なに釣りに行くよ?」

えりな「いろいろ釣ってみたいですけど強いて言えば5巻で印象に残った鯉を釣ってみたいわ…」

創真「鯉釣りか…それなら得意だからまあ任せとけよ‼」

えりな「そうなの?…それにしても貴方って以外と何でもできるわよね…」


創真「まあ、好きなことだけだけどな!」

えりな「でも、好きなことが沢山あるのね…いいことだわ」

創真「そうかもな…」ポリポリッ

えりな「私も好きになれるかしら?」

創真「どうかな…まあ努力するさ!」

えりな「うん、ありがとう…じゃあ明日のために今日は早めに失礼することにします…」

創真「おう、じゃあ明日の朝4時30分に迎えに行くよ」

えりな「ええ、楽しみに待ってます…ではまた明日…」ガチャッ

創真「またな…」

【えりな部屋、回想後】

えりな「…明日は楽しみだわ」ニコニコッ

【創真部屋】

創真「お、あったあった‼」

創真「2本でいいか…いやあと1本持ってくか」

創真「あとは練り餌とこれを持ってけばOKだな…」ガサゴソッ

【日曜日、4時20分、薙切邸前】

えりな「おはよう幸平くん…10分前行動…前回とは大違いね…」

創真「まあな…」

えりな「ところで今日はどこで釣りをするのかしら?」

創真「ああ、昔良く行ってた川があるんだけどそこでやるわ…」

えりな「そう…じゃあ早くいきましょ‼」原チャリ跨がりッ

創真(相変わらずはえーな)

えりな「…?なにしてるのよ早く乗って運転しなさい‼」

創真「おお…じゃあ行くぞ」原チャリ股がりッ

えりな「はい‼」ギュッ

【某川前道路】

えりな「此処がそうなの?」キョロキョロッ

創真「おう」荷物下ろしッ

えりな「こんなに浅い川に本当に鯉がいるのかしら?」

創真「昔はもっと深かったんだけどな、工事とかなんたらかんたらで浅くなっちまったんだよ」

えりな「そんなことがあったのね…」

創真「ああ、でもちょっと歩いた所にせき止められて深くなってるところがあるから安心しろよ」

えりな「別に心配なんてしてません…」

創真「そうか…」

えりな「ええ、これでもけっこう信用してるのよ?」

創真「ふーんそりゃありがたいね!」荷物持ち上げッ

えりな「あ…私も少し持ちますわ」

創真「じゃあこの釣竿持ってくれよ」差し出しッ

えりな「わかったわ」スッ

創真「よし行くか‼」

【某川】

えりな「凄い草だけど…」

創真「夏だからな…でもその砂利のところ進めば開けた所に出るからよ」スタスタッ

えりな「あ、待ちなさいよ‼」スタッ

【釣り場】

えりな「…本当にここだけ草が生えてないわ‼」キョロキョロッ

創真「五畳位だけどな…でも釣りするには丁度いい広さだろ?」荷物起きッ

えりな「ええ、良いところだと思います」

創真「昔ほどじゃあないけど深さもあり流れも緩やかだから…釣れるな」

えりな「早く準備してやりましょう!幸平くん」

創真「おう‼じゃあ用意するから待ってろよ」ゴソゴソッ

えりな「幸平くん私も何かやりますわ‼」

創真「そうか?じゃあそこにある餌と小麦粉で練り餌を作っていてくれ!汚れるとあれだからそのゴム手でやるといいぞ
」指差しッ

えりな「わかったわ」ゴム手ピチッ

創真(糸縛って、吸い込み着けてと…あとは一本釣りに毛バリを着けて終わり…と…)チラッ

えりな「幸平くん練り餌完成したわよ
」ゴム手外しッ

創真「そうかじゃあ餌着けてやるから竿持ってくれ」

えりな「スピニングリールに吸い込み針…魚紳さんと一緒ね」スッ

創真「良く知ってるな…使い方はわかるか?」

えりな「ええ、少しは…この金属のワッカを前にやると糸がでるのよね?」カチャッ

創真「おお、そしてその状態で糸を人指し指で押さえて…竿を振り、餌が前に飛ぶ直前に離せば仕掛けが飛んでくってわけだ…出来そうか?」餌グッグッ

えりな「簡単ね…任せて頂戴」

創真「じゃあ餌付けたから投げてみろよ…あの木の影になってるところがいいかもな!」指差しッ

えりな「やってみます」振りかぶりッ

創真「…」ジーッ

えりな「えい!」ビュッ

シュルルルーポチャンッ

創真「おお、いい所だ完璧じゃん!」

えりな「ふふ…上手くいったわ…」

創真「あとは少し巻いて糸をピンッと張ると魚が食いついた時分かりやすいぞ」

えりな「わかったわ…」ギュルッピンッ

創真「竿ここに掛けといてくれ…」

えりな「ええ分かりました‼」コトッ

創真「もう一本は俺が投げとくわ」ビュンッ

シュルルル…ポチャンッ

えりな「流石手馴れてるわね…」

創真「まぁな」コトッ


えりな「あとは待ってればいいのよね?」

創真「おう‼魚がくるのをな」

えりな「掛かったら簡単に分かるものなの?」

創真「ああ!グググググッて竿がしなるからな…その前のチョンチョンッてのは食ってる最中だからな間違え無いようにな!あとは慣れれば簡単さ」

えりな「そうね…あとは実践で学ぶことにします」

創真「そうだなそれが一番だわ」

えりな「 …」ジー

創真「…」ポリポリッ

えりな「そういえば幸平くん…なんで市販の餌に小麦粉を入れたの?」

創真「いや普通の餌だけだと粘りが弱くてすぐ外れちゃうんだよ…めんどくさいだろ?何回も餌付けるの…」

えりな「色々考えてるのね…」

創真「楽したいからな」

【20分後】

創真「来ないな…」

えりな「餌取れちゃったのかしら?」

創真「取れてはないだろ多分…」

竿「…」クイッ

創真「お!」

えりな「き、来たの!」ガバッ

創真「食ってる途中だな…まあ見てろ…」

えりな「ええ…わかったわ…」スッ

竿「…」クイッ

創真「…」ジーッ

えりな「…」ジーッ

竿「…」グイッ

創真「多分来たな!」

えりな「え!」チラッ

創真「薙切…あげていいぞ」

えりな「いいの?私が釣っても」

創真「そりゃお前のために来たんだからな!」

えりな「そ、そうね!じゃああげるわよ‼」竿カチャッ

創真「そんなデカくないから普通にあげていいぞ!」

えりな「分かりました‼」キュル…キュルッ

創真「どうだ?」

えりな「少し重いわ‼」キュルキュルッ

竿「…」グイグイッ

えりな「わ!?…重いわ…」 キュル…キュッ

創真「おお、なかなか引くな!」

竿「…」グイイッ

えりな「えい!」キュルキュルッ

魚「…」パチャジャパッ

創真「おし!もうちょい近づけてくれ」タモ網持ちッ

えりな「わかったわ!」グイッ

創真「よっしと‼」ヒョイッパシャンッ

えりな「あ‼」

創真「おし!捕まえたぞ!」

えりな「やった…」ボソッ

創真「30ってとこかな?」

鯉「…」パチャパチャッ

えりな「初めて魚釣っちゃったわ…」ジーンッ

創真「どうよ、面白かったか?」ビクに鯉入れッ

えりな「ええ!…手にまだ感覚が残ってるわ…初めてよこんなの」手ニギニギッ

創真「そりゃあ良かったな‼」

えりな「ふふ…次はもっと大きいのを釣るわよ」スッ

創真「目指せ1mだな」餌ニギニギッ

えりな「そうね!」

【数時間後】

創真「そろそろ昼だし帰るか…」

えりな「え、もう終わりなの?」

創真「あんまり暑くなると釣れないんだよなここ…あと腹減ってきたしさ」

えりな「そ…そうね…それでは仕方ありませんね…」

創真「…」

えりな「…」釣竿ギュッ

創真「んじゃあ、ラスト一投ぶん投げて帰るか‼」餌ニギニギッ

えりな「!?いいの?」パァッ

創真「おう‼じゃあ今日1の所に投げてくれよ」ニッ

えりな「ありがとう‼じゃあ最後はとっておきのを釣りあげるわよ」振りかぶり

創真「頼むぞ」

えりな「えい!」ビュッ

シュルルルーポチャンッ

創真「お、いいじゃん」

えりな「よし…」コトッ

創真「丁度日陰になってる所にいったな…」

えりな「狙ったんですから当然です」

創真「ふーん…まあ釣れたらいいな」

えりな「そうね…」

創真「…」ポリポリッ

えりな「そういえば幸平くん…」

創真「ん、なに?」

えりな「幸平くんは釣りあげた魚をいつもどうしてるの?」

創真「あー俺はいつも持って帰って家で飼ってるぞ」

えりな「そうなの…その…魚も飼育するのは私にもできるかしら?」もじもじッ

創真「おーできるできる!簡単だからな!教えてやるよ」

えりな「本当に?」

創真「ああ、…でもなぁ…原付じゃあ持って帰れないよな…」

えりな「それなら…家の者に車で来てもらうわ‼」

創真「おお!そうか…それならなんか入れ物も持って来てもらえねぇかな魚入れたいから…」

えりな「分かりました…それも用意させます‼」スマホッススッ

竿「…」クイッ

【29分後】
えりな「幸平くん!…リールが動かないのだけれど…」ギュギュッ

創真「かなりデカイな…とりあえずゆっくりいこう!焦ると糸切れっかもしれねぇから」

えりな「分かったわ‼」ギュッ

竿「…」グイグイッ

えりな「ホント力強いわね…!」ギュッルッ

創真「いいぞ…向こうも疲れてきてるからな‼」

えりな「クッ!」ギュッ

創真「こりゃ釣れたら嬉しくてヤバいな‼負けるなよ薙切!」

えりな「ええ‼分かってます‼」ギュルッ

創真「あとちょっとだぞ!」ズイッ

えりな「えい!」ギュップチッドテ

創真「あ!マジか」ダッバシャッ

えりな「ああ…」糸タランッ

創真「おおっと」ダキダキッバシャッ
えりな「ゆ、幸平くん?…」ジーッ

創真「良かったな釣れて…」びしょびしょ鯉ダキッ

えりな「…」

創真「ん?どうした…」ビクにイレイレッ

鯉「…」バシャッ

えりな「ごめんなさい…幸平くん…びしょびしょになってまで…」

創真「そんなんどうだっていいわ…こんなデケー鯉釣ったんだからな!」えりなの背中ポンッ

えりな「あ…うん…ありがとう‼」ニコッ

創真「いやぁにしてもコレ90以上はあるな…」まじまじッ

えりな「90㎝ってこんなに大きかったのね…」ジーッ

鯉「…」クルンバシャッ

えりな「…」ジーッ

創真「よし‼じゃあ…帰る準備しようぜ」カチャカチャッ

えりな「そうね…」スッ

【15分後】

えりな「ええ、じゃあお願いします」

使用人「分かりました。それでは失礼します…えりなお嬢様」ペコッ

創真「いいのかよ一緒に帰らなくて?」

えりな「ええ…」

創真「服濡れても知らねぇぞ?」

えりな「いいわよ別に…」創真チラッ

創真「まあいいわ…それじゃあ帰るか‼」ポリポリッ

えりな「ふふ…そうね」ニコニコッ

【薙切邸前】

創真「水槽ができるまで俺が預かるからできたら連絡くれよ」

えりな「ええ、すぐ設置させるように手配します」

創真「そうか…じゃあまたな」原付跨がりッ

えりな「あ…幸平くん‼」

創真「ん、なんだ?」

えりな「わ、私もなるべく様子見に行くようにするから…」モジモジッ

創真「おお!いつでも待ってるよ…」

えりな「うん、ありがとう…」

創真「んじゃあ行くわ」

えりな「ええ、またね…」手フリフリッ

【極星寮横】

創真「いやぁ持って来てて良かったぜ」水イレイレッ

FRP生け簀「満杯です‼」

創真「カルキ抜き入れてっと…」チャポンッ

創真「まあ少し狭いけど…我慢してくれよな…」鯉たち投入ッ

鯉たち「…」パシャンッ

創真「あとは水槽ができるまで薬に浸けとくか…」

「あー!なにやってんの幸平?」ガサッ

創真「おー吉野かー」

吉野「おお、鯉じゃん‼泥抜きしてんの?」

創真「いや食わねぇから…」

吉野「ふーんペットにするの?」

創真「まあな…飼うのは俺じゃないけど…」

吉野「へぇーそうなんだー」ジーッ

創真「…」チラッ

吉野「大きいねー」よだれタラーッ

創真「おい、涎出てるぞ…食うなよ?」

吉野「は!?わ、分かってるよー食べるわけないじゃん‼」涎フキフキ創真バシバシッ

創真「他の奴にも会ったら言っといてくれよ」

吉野「ん、ラジャー‼任せといてー‼」ビシッ

創真「おお、頼むわ」

吉野「じゃあ私は可愛い、うさ子、鴨助、鹿乃進たちの世話しに行くからまたねー」スッタッタッ

創真「鹿乃進はもう食われたんじゃ…」ボソッ

創真「…」チラッ

鯉たち「…」チャポッ

創真「よし‼(もっと頑丈な蓋にするか)」トントンッ

【えりな部屋】

えりな「なんとか早く出来そうで良かったわ…」ベッドボフッ

えりな(魚を飼うのは初めてだからなんかワクワクするわね)

えりな(名前なににしようかしら…)ウトウトッ

【18時59分】

「えりなー開けなさーい」ドンドンッ

えりな「ん、…」スクッチラッ

えりな「19時…寝てしまったのね…」

「えりなーーーー‼」ドンドンッ

えりな「うるさいわね…」スタスタッ

「開けなさーーーーい」ドンッ

えりな「…」ガチャンッ

「バカえり…あ、あらごきげんよう…えりな」ニコッ

えりな「…バカえりなとか言う人はいないのだけれど…部屋をお間違いじゃないかしら?薙切アリスさん?」ニコッ

アリス「もーうバカなんて言ってないじゃない…いいから入れなさいよぉ」ズイズイッ

えりな「あ、…はぁ…まあいいわ…で、なんなのよ?」

アリス「ふふふ、喜びなさいえりな…貴女にプレゼントをあげます」差し出しッ

えりな「結構です‼」バッ

アリス「なんでよ‼せっかく買って来たのに‼」プンプンッ

えりな「貴女が私にプレゼントなんて何か裏があるに決まってるもの」

アリス「た、確かに今まではユーモアに溢れる物が多かったかもしれないけど今度は大丈夫よ‼」

えりな「本当でしょうねぇ」ギロッ

アリス「ほ、本当よだから睨むのはやめなさいよぉ」ビクビクッ

えりな「…まあ今日は機嫌がいいから戴くことにします。…ありがとうアリス」

アリス「お礼なんていいのよ‼それより早く開けてみて‼」

えりな「そうね、分かったわ」ガサゴソッ

アリス「どう?」

えりな「これは…パジャマね…」

アリス「そうよ…この前えりなに貰ったのもパジャマだったから私もそれにしたの‼」

えりな「…」ジーッ

アリス「ふふーん、いいでしょ?」ニコニコッ

えりな「そうね…せっかくだから額に入れて大事にするわ」パサッ

アリス「なんでよ‼着なさいよえりな‼」バンッ

えりな「アリス…残念だけど、私は今の寝間着が気に入ってるのよ…」

アリス「そ、そんなのズルいわよ私だってえりなに貰った奴来てるのに‼」

えりな「あら…ミュージ君はアリスがどうしても着たいから着ているのでしょう?」ギロッ

アリス「そ、それは…えりなが…」

えりな「私がなにかしら?」ジーッ

アリス「無理やり…」目そらしッ

えりな「アリスが言ったのよね?」ゴツッ

アリス「ヒィ‼」ビクッ

えりな「あら、ごめんなさい…額を落としてしまったわ…」スッジロッ

アリス「ううっ…」なみだめッ

えりな「あら?どうしたのアリス?」ニコッ

アリス「う、うわーんッだってだって‼せっかくえりなの為に買って来たのに着てくれないんだもん‼」バタバタッガシャーンッ

えりな「あ!ちょっとあばれないでよ‼」

アリス「キテキテキテキテッ着なさいよーー」バタバタッ

えりな「あ!もう‼わ、わかったわよ‼着ます‼だから暴れるのをやめなさい‼」ガシッ

アリス「ホント?」グスッ

えりな「ええ…」ため息ッ

アリス「そうですか!じゃあやめます」ケロッ

えりな「はぁ…ホント疲れるわ…」

アリス「じゃあ早く着替えなさいよぉえりな♪」

えりな「ええ…」プチプチッバッサッ

アリス「はい‼」差し出しッ

えりな「ありがとう…」バサプチプチッ

アリス「フフ♪」ニコニコッ

えりな「着たわよ…」パンダえりなになりましたッ

アリス「わぁーいいわよえりな!まるで本物のパンダさんみたいね!」パチパチッ

えりな「そう…これで満足でしょ…?」

アリス「はい‼とっても‼」ニコニコッ

えりな「じゃあ早く自分の部屋に帰りなさい…私はもう寝ることにします…」ベッドボフッ

アリス「え…ちょっとえりな…」アセッ

えりな「…」布団クルマリバサッ

アリス「布団に隠れないでもう少しお話ししましょうよぉえりなー」布団ポスポスッ

えりな「うるさい‼」布団ギュッ

アリス「ヒィッ!!」しりもちドサッ

えりな「…」

アリス「えりな…怒ったの…?」ジー

えりな「…」

アリス「えりなぁー」モゾモゾッ

えりな「ちょ、ちょっと何してるのよ‼入って来ないで‼」ギュッ

アリス「ううっえりなー」モゾモゾッ

えりな「なんなのよ‼アリス‼」ガバッ

アリス「えりなぁ…わたしもねるぅ」グスッ

えりな「嫌よ‼早く自室へ帰りなさい‼」ビシッ

アリス「やだぁ…」布団ボフンッ

えりな「…もう…勝手にしなさい…」布団ボフッ

アリス「えりな…」ギュッ

えりな「はぁ…子供なんだから」ボソッ

アリス「ふふ…」ギュッ

【翌日えりな部屋前】

緋沙子「えりな様失礼します、緋沙子です」コンコンッ

「はーい」ガチャンッ

緋沙子「なっ!」

アリス「あら秘書子ちゃん‼えりなを起こしに来たの?偉いわねぇ」

緋沙子「なぜあなたが…」

アリス「ふふふ…それは内緒よ、じゃあえりなをよろしくね秘書子ちゃん‼」トコトコパタンッ

緋沙子「…なんだったんだあの人は…」ジーッ

【生け簀】

鯉「…」バシャンッ

【幸平部屋】

創真「ふぁーあ…餌あげに行くか…」目ゴシゴシッ

【生け簀】

創真「…」餌パラパラッ

鯉たち「…」パクパクッ

創真「平和だねー」

【アリス部屋】

アリス「面白かったわね、あのなんとかって言うテーマパーク?」

黒木場「アドベンチャーワールドで
すよお嬢…」

アリス「そう!アドベンチャーワールド‼ふふ、次はどこ行こうかしら?」ニコニコッ

終わり。

少し続き書きます。

【えりな部屋】

創真「めちゃくちゃでかいな…」ポカーンッ

えりな「よく分からなかったからなるべく大きな水槽にして貰ったんだけど、これで大丈夫かしら?」

創真「横5m奥行き2mってところだな…水族館かよ!」ぶつぶつッ手広げッ

えりな「ねぇ話を聞いてるの!」バンッ

創真「おおっ! いきなりデカイ音たてんなよ‼」

えりな「だって一人でぶつぶつ言ってるんですもの…」

創真「ああ…悪かったないい水槽だから見とれてたわ、へへっ」ポリポリッ

えりな「そうなの…?じゃあ早く鯉を入れましょうよ!」

創真「まあ待てよ、ちょっと設備を見させてくれ…薙切は…まあ水槽のレイアウトでも考えてろよ」

えりな「レイアウト…そ…そうね…確かに何も入れないんじゃ鯉たちも落ち着かないわよね…じゃあ少し案を考えます」

創真「おう、そうしてくれ!」ニッ

えりな(どんな水槽にしようかしら…)思考中ッ

創真「まずは…(裏側にまわるか…)」スタスタッ

えりな(アマゾン…)思考中ッ

創真(ふーん、完全に生活スペースと水槽の裏側が壁で仕切られてんのな…これなら匂いは気にならないな…このドアかな?)ガチャッ

えりな(ないわね…やっぱり…)思考中ッ

創真「おおっ‼(これなら作業しやすくていいわ…濾過層は…ん!?)」

えりな「砂利…」思考中ッ

創真「なるほど…いいじゃんかこれ…(地下水のかけ流し飼育か…ロマンだな)」

えりな(やっぱりあれにしましょう!)ピコーンッ

創真「薙切ー!!ちょっとこっち来てくれー‼」

えりな「な、なに?幸平くん…」トコトコッガチャッ

創真「いやぁこっちは一通り見たから、そっちはどうかなって思ってさ…決まったか?どんな水槽にするか」

えりな「ええ、やっぱり鯉たちがいた川を再現したら落ち着くかなって思ったのだけれど…できるかしら?」

創真「いいじゃねぇか‼俺も手伝うからいい水槽作ろうな」ニッ

えりな「そうね‼私も頑張ります‼」グッ

創真「でもまずは…材料を調達しないとな…」

えりな「それなら私に任せて下さい」

創真「そうか…じゃあとりあえず必要そうなもの紙に書くからよ…」メモ帳取りだしカキカキッ

えりな「ええ…」ジーッ

創真「まあ、こんなもんかな…ほらよ…」差しだしッ

えりな「ありがとう…」受け取りッ

創真「じゃあまた集まったら続きやろうぜ!あと…悪いな、いろいろ薙切に任せちまって…原付じゃいろいろ運べないからよ…」

創真「へへっ…そうか、じゃあこれからもいろんなとこ連れてってやるよ‼」ポリポリッ

えりな「ふふ…楽しみにしてますわ」

創真「じゃあ…またな‼」ドアガチャッ

えりな「ええ、また今度…」手フリフリッ

下見編、…終わり。

【電話】

えりな「あ、幸平くん…?」

創真「おお、薙切かー?どうした?」

えりな「あのですね…その…水槽の材料が届いたのよ!それで幸平くんがお暇な時に一緒に作業したいと思いまして…いつなら大丈夫ですか?」

創真「あー、いつでも大丈夫だわ

えりな「そう…じゃあ今週の日曜日はどうですか?」

創真「おお、いいぞ!じゃあ日曜に薙切の部屋に行くわ‼」

えりな「ふふ…ありがとう‼じゃあまた日曜日に会いましょう!」

創真「わかった!じゃあまたな‼」

えりな「はい…じゃあ失礼します…」ピッ

【日曜日、えりな部屋】

創真「いやー参ったわ!普通に負けたからな…」ポリポリッ

えりな「ふふ…まだまだね幸平くん


創真「まあ、次は負けねぇけどな‼」砂ザーザーッ

えりな「当然よ!この薙切えりなのお弁当係が何度も負けてたら私が承知しませんからね!」

創真「はは…だな‼」ニッ

えりな「ふふ…」」

創真「っと…これで砂はオッケーかな…」サッ

えりな「ところで幸平くん…なんで砂の下に空洞を作ったのかしら?」

創真「ああ…水をパイプで繋いで二ヶ所から流そうとおもうんだけど…一つは砂の下から湧き上がらせるようにしたいんだよ…」

えりな「どうして?」

創真「いやさ、かけ流しっつってもゴミは下に溜まるじゃん?それを下からあげりゃあゴミも軽いからそのまま多少は排水されると思ってよ…勿論、砂とか石の重さで潰れない骨組みを組んだから安心してくれよ!」

えりな「なかなか考えてるのね!」

創真「まあな…じゃあ次は石を組んで川に近づけようぜ」

えりな「うん‼」

【2時間後】

創真「おーし完成だな‼」パンッ

えりな「うーん腰が痛い…でも綺麗に出来たわね!」

創真「おお‼じゃあ水入れるか…」トコトコッキュッ

地下水パイプ「…」シャババババーッ

創真「最初は砂とか砂利の汚れで濁るけど、1日位で透明になるから安心しろよ」

えりな「ええ、わかったわ」

創真「いやーでもこのドア閉めたら水の音一切聞こえないのな…恐るべき防音設備だわ…いい業者に頼んで良かったな」腕組ッ

えりな「そうね!」水槽ジーッ

【20分後】

えりな「だいぶ澄んできたわね」

創真「オーバーフローでどんどん排水されるからな…」

えりな「水だけの水槽もなかなか面白いものね…」水槽ジーッ

創真「ワクワクするよな‼」

えりな「ええ…でも早く鯉が泳い出る姿が見てみたいわ‼」

創真「明日学校が終わったら入れてやるよ‼」ニッ

えりな「ふふ、ありがとう幸平くん…」ニコッ

【翌日、極星寮前】

恵「あ、創真くん!」タッタッ

創真「おう、どうした田所?」

田所「うん、明日ね…一色先輩が秋の選抜終わったでしょう会、開くから予定開けといてって言ってたからそれを伝えたくて…」

創真「へぇ一色先輩が飯作ってくれんのか?」

恵「うん‼ご馳走作るからって言ってたよ‼」

創真「お!そりゃ楽しみだな‼じゃあ…わかったって先輩に伝えておいてくれ‼」

恵「わかったよ創真くん‼じゃあ私はそろそろ行くね‼」 タッタッタッ

創真「てか終わったでしょう会とおもしろいことやるな…」

【少し離れた物陰】

えりな(田所さん行ったわね…)

えりな(反射的に隠れてしまったわ…)ガサッ

えりな「…」ボーッ

えりな「創真…くん、かぁ…」ボソッ

創真「おー‼薙切何やってんだ?」ポンッ

えりな「キャッ!?幸平くん!?」ビクッ

創真「どうしてたんだよ?」







えりな「

えりな「何でもありません‼貴方こそいつの間に私の後ろにいたんですか?」

創真「普通に来たけど薙切がなんかボーッとつっ立ってたからよ…」

えりな「ボーッとなんてしてません‼それより早く行きましょう!鯉たちが待ってるわよ‼」プイットコトコッ

創真「おい待てって…」スタスタッ

【えりな部屋水槽裏】

創真「よし、じゃあ入れるから薙切は水槽前で待ってろよ」ガサッ

えりな「ええわかったわ」コクットコトコッ

創真「元気に頼むぜ!」バシャーッ

鯉たち「…」スーッ

創真「ふた閉めて俺も行くか‼」バタンッスタスタッ

【水槽前】

創真「おー、どうだ?元気に泳いでっか?」

えりな「ええ‼凄く元気に泳いでるわ‼」水槽ジーッ

鯉たち「…」スーットッ

創真「おお、スゲーな‼横から見ると余計デカく見えるわ‼」水槽ジーッ

えりな「ちっちゃいのは石の影に隠れてるわね…」ジーッ

創真「まだ落ち着かないんだろうな…まあそのうち出て来るさ」

えりな「そうね…」

【20分後】

創真「じゃあ俺そろそろ帰るわ…餌は裏に置いてあるから1日一回一握りあげてやってくれよ」

えりな「ええ、わかりました…」コクッ

創真「おう‼頼むぜ!じゃあ…」

えりな「あ…待って…」

創真「ん?どうしたよ…」

えりな「あの…私たち結構長い付き合いよね?」

創真「あー…まあ、そうかもな?」

えりな「だからね…その…私のこと…名前で呼んでもいいわよ‼」

創真「ん…なんだそりゃ?」

えりな「だから!私のことは…えりな…って呼んで欲しいの…でね…貴方のこと…創真…くんって呼んでも……いい…?」見つめるッ

創真「おお、なんだそんなことかー
っ勿論いいぞ!これからは創真って呼んでくれ‼」

えりな「ありがとう…」うつむきッ

創真「じゃあ俺は帰るからよ、またな…えりな!」肩ポンッ

えりな「うん‼またね創真くん‼」ニコッ

創真「おお‼」」ガチャンッパタンッ

【ベッド】

えりな「創真くん…」ボソッ

えりな「…///」枕ボフンッ

鯉編…おわり。

【廊下】

創真「おっす!」

えりな「あら、創真くん…どうしたのかしら?」

創真「んーん 、あのなあれ…カメラあったじゃん!写るんデス?」手でカメラッ

えりな「ええ…!あったわね…それがどうかしたの?」

創真「あー、あれ現像したからさ…今度一緒に見ねぇかなーって思ってよ…どうする?」ポリポリッ

えりな「ええ、勿論見るわよ!でも現像するの遅すぎじゃないかしら?」

創真「いやー、悪いな‼忘れてたからよ!」

えりな「ふふ…創真くんらしいわね」ニコッ

創真「そうか?まあいいや…じゃあいつ見るよ?」

えりな「今週の土曜日はどうかしら?」

創真「おお、いいぜ!じゃあまた土曜日のテキトーな時間に俺の部屋に来てくれよ!」

えりな「わかりました…じゃあそろそろ私は行くわね!…もっとお話したいけど、味見の仕事があるから…」

創真「おお、頑張れよ!今度また俺のも味見してくれよ!」ニッ

えりな「ええ…楽しみにしてるわ…」ペコッ

創真「ああ‼」

【日曜日、幸平部屋】

創真「おーしじゃあ見るか‼」ガサッ

えりな「貴方もまだ見てないの?」

創真「おお、まだだぜ!一緒に見たほうが面白いと思ってしまったままだったからな」

えりな「そうなの…でもなんだか恥ずかしいわね、子供の時の写真を見られるのは…///」

創真「なーに、言ってんだよ!生で面倒見てたのにいまさら恥ずかしがるなよ!」ケラケラッ

えりな「うう…そうだけど…」

創真「はは…じゃあ行くぜ…」ペラッ

【メリーゴーランドに乗る幼少えりな写真】

えりな「…あ…これ…」ジーッ

創真「お、懐かしいーっ…メリーゴーランドの時だな!いやー我ながらよく撮れてるわ‼」ジーッ

えりな「貴方が隠しどりした奴ね…」

創真「だな!そのお陰でめちゃくちゃニコニコしてる所撮れたわ!」

えりな「そうね…あの時は誰かに遊園地とか連れて行ってもらった事なかったから…凄く嬉しかったのよ…」

創真「そうか…そりゃあ連れて行って正解だったな!じゃあ気を取り直して次、行くぞ!」ニッ

えりな「ええ!」

創真「さーて、と…」ペラッ

【クッキング戦士のショー写真】

えりな「これは…!」

創真「…」

えりな「今までも目に焼き付いてるわ…あの斬新な料理…クックマンショー‼」

創真(…こんな写真撮ったっけ?)鼻ホジーッ

えりな「生まれて初めてのショーがクックマンショーなんて私くらいじゃないかしら?」ブツブツッ

創真「…」

えりな「今思い出しても恐ろしいわ、クッキング戦士クックマン…」ブツブツッ

創真「まあいいや‼次行くぞ」ペラッ

【Bグルメをどや顔で語る幼少えりな写真】

えりな「ああ!?見ないで‼」ガバ

創真「なんだよ、隠すなよ!見れねぇじゃねーか‼」

えりな「見せたくないのよ‼」服の中に隠すッ

創真「ふー、いいじゃねーか?えりなのドヤ顔なんか何度も見てんだからさ…」肩ポンッ

えりな「み、見たの!?写真…」

創真「チラッと見た…隠す前に…」ケラケラッ

えりな「…」うつむきッ

創真「可愛く写ってんだから別に隠す必要ないだろ?」ポリポリッ

えりな「可愛くなんか…ないわよ…」ボソッ

創真「じゃあ俺が判断してやるから見せてくれよ…な?」

えりな「……わかったわよ!」パッ

創真「あー思い出すな、ちっちぇーえりなが椅子に座って「B級でも何でも持ってこーい」って言ってたの…」ケラケラッ

えりな「…」うつむきッ

創真「んーっで、このあと美味しいそうにニコニコとソフトクリーム食べたんだよな…ほら…」ペラッ

【ニコニコソフトクリームえりな写真】

えりな「あ…」

創真「こんな、いろんな表情する奴が可愛くないわけないんじゃねーか?」ニッ

えりな「ううっ…///」顔マッカッ

創真「じゃあ次…行くけどいいか?」

えりな「うん……」コクッ

創真「はは…よいしょと」ペラッ

【ペダル電球振り向きえりな写真】

えりな「あ、今度は子供科学博物館の写真ね」ジーッ

創真「ああ、えりなが一生懸命漕いでた奴な!」ジーッ

えりな「なかなかペダルが重かったのよ…でも楽しかったわ」

創真「へー、俺もやれば良かったな…」

えりな「次…行く時に一緒にやりましょうよ!」ニコッ

創真「おお、そうだな」

えりな「ふふ…じゃあ次…めくるわね…」ペラッ

【ヘーイ!ミュージ君写真】

創真「遂に出てきたか…」ゴクリッ

えりな「あら…ミュージ君じゃない
‼」

創真「写真で見るとあらためて不気味だな…」

えりな「そうかしら?かわいいと思いますけど…」

創真「変わってるな…そう言えばミュージ君パジャマ買ってたもんな」

えりな「ええ、でもあれはアリスへのお土産よ…」

創真「へー、ナキリーズの片方にあげたのかー…で喜んでたか?」

えりな「勿論です‼泣きながら着てましたし…それに寝る時はいつも着てるから相当嬉しかったのね」

創真「…やっぱ従姉妹だけあって趣味も似てんのな、今度写真撮ってきてくれよ」鼻ホジーッ

えりな「ええ、いいわよ」

創真「サンキュー‼じゃあ次、行くわ」ペラッ

【10分後】

創真「おお、あと二枚だわ‼」ガサッ

えりな「もう終わりなのね…」

創真「最後は景気よく一気に見ようぜ!

えりな「ええ、いいわよ…」

創真「じゃあ、ラスト二枚…」ペラッペラッ

【幼少えりなと創真、ファミリーランドの看板前写真】

【未来くん、えりなと創真写真】

えりな「あら…」

創真「最後に二人で写った奴か…」

えりな「…創真くんはどっちも変わらないわね」

創真「そりゃあ俺にとっては数日間の話だからな…」

えりな「ふふ、そうでしたね…」

創真「でもえりなだって、ニコニコ顔は今も昔も変わってないよな!」ケラケラッ

えりな「バカにしてるのかしら?」ジーッ

創真「さあどうだかな?」ケラケラッ

えりな「もう‼どうせ貴方だってその笑い方はずっと変わらないんだから」創真ポカッ

創真「はははっそうかもな!」ケラケラッ

えりな「もうっ‼もうもうもうもう‼将来は私がバカにしてあげるんだから!!」ポカポカッ

創真「いやー、本当に変わらないわ…」ケラケラッ

写真編

おわり。

【えりな部屋】

アリス「えりなって最近…よく幸平くんと一緒にいるわね?もしかして付き合ってるの?」ミュージ君パジャマッ

えりな「な!?そんな訳ないでしょ!」パンダパジャマッ

アリス「じゃあ…なんで一緒にいるのよ?」ニヤッ

えりな「貴女には関係ないでしょ?」プイッ

アリス「あら…じゃあ幸平くんと私がお付き合いしてもいいの?」

えりな「それはダメ‼」

アリス「なんで~?えりなの彼氏でもないのに~」ニヤニヤッ

えりな「ダメなものはダメなの!」布団バサッ

アリス「あ…布団に隠れないで、出てきなさいよー!」モフッ

えりな「うるさい‼私はもう寝ます‼貴女もとっとと出て行って!」ギュッ

アリス「も~しょうがないわねー!じゃあ私はこれで失礼します!おやすみえりな…」ポンポンッ

えりな「………」耳塞ぎギュッ

【10分後】

えりな「………」ガバッ

えりな「………」キョロキョロッ

えりな「帰ったのね…」

えりな「おやすみ…アリス…」ボソッ

えりな「………」スタッ

えりな「………」スタスタッ

【 水槽前】

えりな「………」スタッ

えりな「………」ジーッ

鯉「………」パクパクッ

えりな「あなたは元気ね…」ニコッ

えりな「………」チラッ

えりな「もう1時…」

鯉「………」パクパクッ

えりな「ふふ…もう寝ないといけないわね…おやすみなさい…」コツッ

鯉「………」クルッ

【………】

?「起きて下さい…さま!」ユサユサッ

えりな「なによ~もう少し…寝かせて…よ…ひさこぉ…むにゃ…」布団被りッ

?「起きて…」ユサユサッ

えりな「む………」布団ギュッ

?「もう‼早く起きて…お母さま‼」ポコポコッ

えりな「ん…?おかあさま…?」

えりな「………!?」ガバッ

えりな「…………」キョロキョロッ

えりな「…………」チラッ

鯉「………」パクパクッ

えりな「…………」

えりな「ゆ…め…?」ボーッ

えりな「ハァ……夢か…」目頭押さえッ

えりな「…………」

えりな「…………」スタッ

えりな「…………」トテトテッ

【洗面所】

えりな「…………」蛇口キュッ

蛇口「………」バシャーッ

えりな「…………」パシャパシャッ

えりな「…………」蛇口キュッ

えりな「…………」タオル取るスッ

えりな「…………」フキフキッ

えりな「ふーっ」パサッ

えりな「…………」鏡ジーッ

えりな(さっきの夢…)

えりな「私のこと…お母さまって言ってたわよね?…」ボソッ

えりな(子供…私の…?)

えりな「…………」

えりな「…………」

えりな「子供かぁ///」顔真っ赤ッ

【お昼学校廊下】

創真「よう、えりな!」ちょっと離れた所からッ

えりな「…………」ボーッ

創真「………ん?」スタスタッ

えりな「…………」ボーッ

創真「おいっす‼」肩ポンッ

えりな「…!?」ビクッ

創真「どうしたよボーっとして…」

えりな「な…!ボーっとなんてしてません!!緋沙子を待っているだけです!」プイッ

創真「そうか?」苦笑いッ

えりな「そうです!貴方こそいきなり後ろから肩を叩くなんて失礼よ!…」

創真「ああ…一応声かけたつもりだったんだけどな…」ポリポリッ

えりな「え…そうなの?」

創真「おお…でも窓の外、見てて気づかなかったみたいだから肩叩いたんだが…ビックリさせちまったらしいな…わるかったな」

えりな「ム…いえ…別にいいわよ…私もちょっと気を抜いてたから…お互い様よ!」腕組みッ

創真「そっか…サンキュー!じゃあ…俺はちょっとやることあるからそろそろ行くわ!」

えりな「ええ…またね…創真くん」小さく手フリフリッ

創真「おお、またな!」少し手を上げッ

えりな「………」創真の後ろ姿ジーッ

えりな「…行っちゃったわ…」

えりな「…ふーっ」外を見るッ

えりな(夢の子の…父親は誰なのかしら…)

えりな(できるなら…)

えりな(創真くんだったら………)

えりな「………」

えりな「………」胸元で拳ギュッ

えりな「ふふ…バカね…私…」

ガチャッ

えりな「ん…!」チラッ

緋沙子「ふーっ…」扉閉めガチャンッ

えりな「終わったのね」ポンッ

緋沙子「あ、えりな様‼すみません…お待たせしてしまって!」ペコッ

えりな「いえ、大丈夫です…じゃあ昼食へ行きましょうか…緋沙子!」ニコッ

緋沙子「はい!えりな様‼」

【日曜日幸平部屋】

えりな「…………」ジーッ

虫かご「…………」

えりな「…………」ニジリニジリッ

虫かご「…………」カチッ

えりな「……!?」ピクッ

ガチャンッ

創真「いやーやっと腹いた治まったわ‼…ん?」腹スリスリッ

えりな「…………」ジーッ

創真「どうした?」スタッ

えりな「この箱…音がしてるのだけれど何かいるの…?」指さしッ

虫かご「………」

創真「おお、中にコクワが入ってるからな!」

えりな「コク…ワ?」キョトンッ

創真「いま見せてやるよ!」虫かごスッ

えりな「…………」ジーッ

創真「どれ……」パカッガサッ

えりな「…………」

創真「ほらよ!」ヒョイッ

コクワ「…………」キチキチッ

えりな「これが…コクワ?」

創真「コクワガタを略してコクワってな!触ってみるか?」

えりな「え…いいの!?」

創真「ああ‼手出してみん…」

えりな「はい…」スッ

創真「ほい…と…」ピトッ

えりな「これがコクワガタ…初めて触ったわ!」サワッ

コクワ「…………」ギュイッ

えりな「あ…くすぐったい!ふふ、でも小さくてかわいいわね…」ニコニコッ

創真「だよな!」

えりな「ええ、でもどうしたのこの子…取ってきたの?」

創真「いや昨日さ、洗濯物込んだら服にくっ付いてたんだよ!」

えりな「そうなの…?よっぽど美味しそうな匂いがしたのね」クスッ

創真「だな!蜂蜜で試作品作ってたから匂いが残ってたかもしんねぇな‼」ケラケラッ

えりな「ふふっ…また変な物を作ってるのかしら? 」

創真「まあ…な…」ポリポリッ

えりな「でもそのおかげで私はコクワガタガタに触れたわ‼ありがとね…創真くん」ニコリッ

創真「へへ…いいってことよ‼」ニッ

【10分後】

えりな「本当に見てて飽きないわね…」ジーッ

創真「そんなに気にいったなら来週はオニムシ取りにでも…行くか?」

えりな「ええ‼ぜひ行きましょう!」

創真「おっし‼じゃあ夜と朝だったらどっちがいい?」

えりな「え?どっちってどういうことかしら?」

創真「いや夜の方が一杯いるんだよ…でも朝の方が安全だろ?だからどっちがいいかなと思ってよ…」

えりな「そうなの…?う~ん…確かに安全に越したことはないと思いますけど…やっぱり沢山見たいから夜にしましょう!ね、創真くん!」

創真「そうだな…じゃあ来週の土曜の夜に向かいに行くわ‼」

えりな「ええ、ありがとう!」

創真「んじゃあ来週に向けて今日はコイツで勉強すっか!」ゴソゴソッスッ

えりな「あら昆虫図鑑…随分年季が入ってるわね?」

創真「ちょっと古いけどまあオニムシに関してはたいして変わんねぇと思うし結構面白い図鑑だから安心してくれよ」

えりな「ふふ…楽しみね」

創真「じゃあいくぞ」ペラッ

【1時間後】

えりな「じゃあ、今日はこれで失礼するわね」

創真「おお、じゃあまたな」

えりな「ええ、また今度ね…」ペコッ

【夜えりな部屋】

えりな「早く土曜日にならないかしら」枕ギュッ

【夜幸平部屋】

創真「あそこまだクヌギの木、残ってっかな…」

創真「まあ…なかったら違うとこ行けばいいか…」

創真「ふぁーあ…ねみぃな…寝るか…」ゴロンッ

【………】

?「お父さまー!お母さまが全然起きないんです」トテトテッ

創真「…………」スピーッ

?「て、お父さまも寝てる!?なんで!さっきまで起きてたのに…」ガクッ

創真「ハチミツ…あわね…」スピーッ

?「お父さま!厨房で寝たら危ないですよ!」ユサユサッ

創真「ん…もう少し…」スピーッ

?「起きて、起きて!」ユサユサッ

創真「ん………がぁ…」スピーッ

?「もう!早くおきなさーい!」お玉ペコンッ

創真「っ…!?」ガバッ

?「あ…!…ふふ…おはようございますお父さま…」ニコリッ

創真「は?だれ…!?…おとうさま…俺が?んっ?」目ゴシゴシッ

創真「…………」目パチッ

創真「あれ…いねぇ…!?」キョロキョロチラッ

極星寮連絡管「……」シーンッ

創真「…夢…か…?」

創真「……………」

創真「…………?」

創真「…まあ…いっか…」ポリポリッ

創真「……………」時計チラッ

創真「…6時…起きるか……」スタッ

創真「ふぁーっ」背伸びッ

創真「…………」スタスタガチャッ

【洗面所】

創真「………」歯ブラシ取りッ

創真「………」蛇口キュッ

蛇口「………」チョロロッ

創真「………」鏡チラッ

創真「………」ジーッ

創真「ふーっ…お父さまか……おもしれぇ夢だったな」ニッ

【土曜日21時、薙切邸前道路】

創真「じゃあ出るけどちゃんとヘルメット被ったか?」

えりな「ええ、大丈夫よ!」

創真「そっか、じゃあ出発するからよく掴まってろよ」

えりな「はい」ギュッ

【クヌギ林前】

えりな「暗いわね……」キョロキョロッ

創真「まあ夜だからな…ほれ懐中電灯!」手渡しッ

えりな「あ、ありがとう」スッ

創真「ちょっと歩くけど枝とかに気をつけろよ?」懐中電灯パチッ

えりな「あ、ええ…わかりました」カチッ

【クヌギの木】

えりな「大きな木ね…」見上げッ

創真「まあ、なかなかな…それよりケガとかしなかったか?」

えりな「ふふ…大丈夫よ!創真くんに言われた通り長袖のものを着てきましたから」袖口フリフリッ

創真「そっか、そりゃあ言っといて良かったぜ」ニッ

えりな「それよりカブトムシはどこにいるの?」キョロキョロッ

創真「ああそれなら…ちょっとこっち来てみ」スタッ

えりな「ええ、わかったわ!」トテトテッ

【クヌギ裏側】

創真「おー、いるいる!見てみろよえりな!」

えりな「わぁ…す、すごいじゃない!」パァッ

創真「だろ?此処はゆきひらお墨付きの穴場なんだよ」

えりな「ね、ねぇ創真くん私…先に取ってもいいかしら?」

創真「おお!取れとれ!俺がコイツで照らしててやっからよ…」懐中電灯スッ

えりな「ありがとう…それじゃあ…えい!」スッ

創真(そいつか…王道だな…)照らし照らしッ

えりな「創真くん取れたわ…カブトムシよ!」チャキーンッ

カブト「…」キチキチッ

創真「おー!なかなかいいデカさじゃねーか!」

えりな「ええ!図鑑で見た通り立派な姿だわ…」カブト見つめるッ

創真「そうだな…じゃあとりあえずカゴに入れようぜ」カゴパカッ

えりな「そうね」スッ

創真「よし…じゃあ俺も取ろーっと」スタッ

えりな「ふふ…」ジーッ

創真「お!取れたわ!」

えりな「創真くん…何を捕まえたの?」

創真「じゃーん!」スッ

ノコ「………」カチカチッ

えりな「ノコギリクワガタじゃない!格好いいわねぇ」ニコニコッ

創真「だろう?ここらじゃカブトばっかでなかなかお目にかかれないんだぜ?」

えりな「そうなの?なんでかしら?」首かしげッ

創真「まあ俺もよくわからんけどカブトが強いからじゃねぇかな?ノコギリとかカブトに吹っ飛ばされてる記憶しかねぇしな…」

えりな「い、意外と厳しい世界なのね…虫の世界も…」ゴクリッ

創真「まあな…けどそれを生かした虫相撲はなかなか楽しいけどな…」

えりな「ムシズモウ?…それってどういう風にやるのかしら?わざと喧嘩でもさせるの?」

創真「まあ、簡単に言えばそうだな…」

えりな「そうなのね…捕まえてる身で言うのもなんですけど残酷な遊びね…私は観察するだけにしておきます!」

創真「へー、なかなか優しいんだな!てっきり「やりましょう!」って言うのかと思ったわ」ケラケラッ

えりな「な!?貴方って本当に失礼ね!私はいつも優しいわよ!」プイッ

創真「そうかぁ?」

えりな「そうです!!」プイッ

創真「へぇーでも…俺にはすげぇ厳しいじゃん?ふりかけん時だっていきなり不味いって言うしさ…あん時はマジでビビったぜー」ニヤッ

えりな「そ、それは…」オドオドッ

創真「ん?それは…?それはってなんですかぁ?」ニヤニヤッ

えりな「貴方のは……だから…」ボソッ

創真「ん………?」

えりな「だからっ!!」グイッ

創真「!?おお!!近っ!」少したじろぎッ

えりな「創真くんへの厳しさは…大切な人への厳しさなの!!」創真のことジッ

創真「…………」

えりな「興味ない人への厳しさとは…違うんだから……」ボソッ

創真「はは……」頭ポリポリッ

えりな「…………」ジッ

創真「そうか…………」えりなを見つめるッ

えりな「っ………!」ビクッうつむきッ

創真「大切…だからか…」肩ポンッ

えりな「うう………」

創真「なあ…えりな………」肩ギュッ

えりな「は…はい……」恐る恐る顔上げッ

創真「……ありがとな!なんか嬉しいわ!」ニッ

えりな「あ………っ///」手で顔バッ

創真「ん…どうした…手で顔隠しちゃって…?」

えりな「い、いえ…なんでもありません!!気にしないで!」背を向けサッ

創真「ん…そうか?わかったよ…」

えりな(は…恥ずかしい…!)拳グググッ

創真「でもさ…大切なんて言われたの多分はじめてだわ…なんか…こっ恥ずかしいな」ケラッ

えりな「う、うるさい!……わ、私のほうが恥ずかしいわよ!だからもうそのお話はお仕舞い!もうしちゃ駄目よ!」

創真「おお、わかったわかった!もう言わねぇよ!だからこっち向けって!」ポンッ

えりな「う、うん…わかってくれたならいいのよ…ありがとう……」クルッ

創真「へへ…じゃあ気を取り直して虫取り再開すっか!」

えりな「そ…そうね!!そうしましょう!次はミヤマクワガタを取るわよ!」バッ

創真「ミヤマかぁ…それならちょっとポイント変えることになるけど平気か?」

えりな「ええ、大丈夫よ!」ニコッ

創真「おしわかった!じゃあ離れないようにちゃんと付いてこいよ」スタッ

えりな「はい」コクリッ

創真「……………」スタスタッ

えりな(私…なんであんなこと言っちゃったのかしら……)創真の背中ジッ

創真「……………」スタスタッ

えりな(顔がすごく熱い…夜で良かった……)トテトテッ

創真「……………」スタッポキッ

えりな(だって今の私の顔…)立ち止まりッ

創真「……………」スタスタッ

えりな(きっと茹で蛸みたいに…真っ赤になってるもの…)胸元で拳ギュッ

創真「…………?」ちょっと離れた所からチラッ

えりな「…………」ボーッ

創真「ん………?」立ち止まりッ

えりな(それにしても最近の私は本当におかしいわ…突然、胸がキュッとしたり…変な夢も見てしまうもの…)ボーッ

創真「なにやってんだあいつ…?離れんなっつったのに…」ポリポリッ

えりな(もしかして…病気とかじゃ…)眉間押さえッ

創真「おーい!離れんなよ!迷子になっちまうぞ」えりなのもと駆け寄りッ

えりな「あ…!?ええごめんなさい…今行きます!」バッ

創真「おお頼むぜ!俺ももうちっとゆっくり歩くようにすっからさ」

えりな「ありがとう…次は気をつけるわね」ニコリッ

創真「ああ…じゃあ行こうぜ‼」ニッ

【1時間後】

創真「カブトの雌雄が合わせて3匹にノコ、ミヤマ、アカアシの雄が1匹ずつ…ちょっと少なかったけどまあこんなもんか…」

えりな「そうね…でも充分じゃないかしら?」

創真「ああ…それに一杯いても喧嘩しちまうしな…」

えりな「そうよ…喧嘩したら可哀想だもの」

創真「だな…!じゃあ遅くなったら危ねぇし…そろそろ帰るか?」

えりな「そうね!」

【林入口】

創真「よいっしょと!」キック蹴りッ

原付「…………」ブァパパパパ…ッ

創真「じゃあメット被って後ろ乗ってくれ」メット差しだしッ

えりな「はい…」受け取りポスンッ

創真「じゃあ行くぞ…いいか?」チラッ

えりな「ええ、気をつけて運転して下さいね?」

創真「おう!」

【薙切邸前道路】

創真「おし着いたぞ…ごくろうさん!」カチャッ

えりな「ありがとう…ねぇ創真くん?」

創真「ん…どうした?」

えりな「運転疲れたでしょう?良かったら少しお茶でも飲んでいかないかしら?美味しいのを御馳走しますよ?」ニコッ

創真「お茶か…そうだな!ケツも痺れて痛ぇし…一杯頂くとするわ!」

えりな「ふふ…じゃあ行きましょうか?」

創真「ああ…!」

【えりな部屋】

えりな「すぐ用意しますから創真くんは適当に寛いでいて下さい…」ドアノブッスッ

創真「ああ…わりーな!」

えりな「ふふ…いいのよ…」扉ガチャッパタンッ

創真「ふー!じゃあ俺は…魚の様子でも見ますか…」スタスタッ

【水槽前】

創真(へー…ちゃんと世話してるじゃねぇか)ジーッ

鯉「…………」パクックルッ

創真「お前たちも長生きしろよな?」コツッ

鯉と小魚「…………」パクパクッ


【数分後】

ガチャッ

えりな「お待たせしました…」扉締めガチャンッ

創真「………」水槽ジーッ

えりな「あら?水槽見てるのね…どう…?みんな元気にしてるでしょ?」テーブルに置きカチャッ

創真「ん…?ああ…めちゃくちゃ元気だな!」チラッ

えりな「当然です!なんたってこの薙切えりなが世話をしてるんですもの」ドヤッ

創真「ははっそうだったな」苦笑いッ

えりな「でもね…たまにアリスが勝手に餌をあげちゃうのよ…」お湯注ぎコポコポッ

【回想】

えりな(やっと部屋に帰れた…今日も忙しかったわね…)ベットボフンッ

えりな「…………」チラッ

鯉たち「…………」パクッ

紙「………………」水槽にペターンッ

えりな「ん……?」ガバッ

えりな「なにかしら」ジーッ

えりな「紙………?」スッ

えりな「…………」スタスタッ

【回想水槽前】

手紙「…………」ペターンッ

えりな「何よこれ?手紙?」バシッ

えりな「ムッ…………」手紙ジーッ

手紙「えりなへ…遊びに来ましたけど不在だったので帰ります!あと…お魚さんにご飯をあげといたわよ…感謝しなさい!アリスより…」

えりな「……………」

えりな「は………?」手紙ギュギュッ

鯉「…………」餌パクパクッ

【回想後えりな部屋】

えりな「と、まあこのような事が数回ほど…」身ぶり手振りッ

創真「あー、アイツならやりそうだな!そんな感じするわ!」ケラケラッ


えりな「もう!笑いごとじゃないのよ?本当に困ってるんだから!」蓋カチャンッ

創真「まあでもそこまで気にしなくても大丈夫だろ」

えりな「そうかしら?…でも…魚に詳しい創真くんが言うなら…そうなのかもしれないわね!」創真チラッ

創真「おう!川魚のことならこの幸平創真にお任せあれってな!」バッ

えりな「ふふ…なによそれ?おかしいわね…!でも何かあったらすぐに連絡するからその時はお願いね?」

創真「おお!いつでも連絡してくれ!」

紅茶「…………」蒸しあがりッ

えりな「ありがとう!…あ、そろそろいいわね…」カチャッコポコポッ

創真(なかなか旨そうな匂いだな)クンクンッ

えりな「はい、創真くん…」差しだしッ

創真「おお!サンキュー!じゃあ頂くわ」受け取りッ

えりな「ええどうぞ…」カチャッ

【数十分後】

えりな「それにしても釣り竿を取り出した時は何事かと思いましたけど…よくあんな方法を思い付いたわね?」

創真「いや昔のことなんだけどさ…竿と鳥もちを使ってオニムシ取りをしてたたおっちゃんがいたんだけどよ…たまたまそれ思いだして一応用意してたんだわ…」

えりな「そうなの?」

創真「ああ…」

えりな「ならそのおじ様に感謝しないといけませんね!」

創真「だな…!でもホントよかったなあ持ってきてて」

えりな「そうね…それがなかったらこのミヤマクワガタは取れなかったもの…」ミヤマッジーッ

ミヤマ「…………」ガチッガチッ

創真「でもえりなもよくあんな高いとこの見つけたな!」

えりな「あの時は自分でも驚いたわよ!ふと上を見たらノッシノシ歩いてたんですもの…」

創真「なるほどな…でもマジで見つかって良かったぜ!内心もう見つからないと思ってたからな…」ケラケラッ

えりな「そうなの?でも一生懸命取ろうとがんばってた創真くん…なかなか……」モジモジッ

創真「ん…なんだよ?」

えりな「かっこ良かったわよ///」ニコッ

創真「ん…そうか?」

えりな「ええ!」コクリッ

創真「へへ…じゃあ頑張ったかいがあったな!」ニッ

えりな「ふふ…///」ニコニコッ

【十数分後】

ボーン…ボーン…

えりな「あ…もう0時……」

創真「おー、もうそんな時間か…そろそろ帰らねぇとな」

えりな「そうね…もう少しお話ししたかったですけど…今日はこれでお開きにしましょうか?」

創真「ああ、続きは明日だな!」

えりな「ええ…!明日は朝から行きますからちゃんと起きてなさいよ!」

創真「朝かぁ寝てるかもな…」

えりな「え…駄目よ起きてなさい!」

創真「やだよ…だって眠いじゃん…」

えりな「でも貴方が寝てたら私が部屋に入れないじゃない!」

創真「あーそれなら問題ねぇよ!…部屋に居るときはカギかけてねぇから…俺が寝てても勝手に入って来ていいぜ!」

えりな「む…!…わかりました…勝手に入って私が叩き起こしてあげます!」ビシッ

創真「お手柔らかにな」ケラッ

えりな「もう!本当に叩いちゃうわよ?」手フリアゲッ

創真「はは…わかったよ、起きられるように努力するわ!」ポリポリッ

えりな「そう…それならいいわ!頼みましたよ創真くん!」

創真「ああ…わかった!えりなもちゃんと風呂入って暖かくして寝ろよ?」

えりな「え、ええ…そうですね…」

創真「あと夏だからって腹出して寝るなよ?風邪引くからな!」

えりな「お、お腹なんて出すわけないでしょ!子供じゃないんだから!」

創真「おぉ、そうだったっけ?」

えりな「そうよ!」プイッ

創真「ふーん…チビえりなとは違うのか」

えりな「当たり前です!それに…お腹を出して寝るなんてはしたない事…生まれてこの方したことありません!」プイッ

創真「はは…そっかそっか!」ポンッ

えりな「む…!?」ピクッ

創真「子供扱いして悪かったな…!だから機嫌なおしてくれよ!」肩ムギュムギュッ

えりな「ま、まぁ心配して仰有ってくれた言葉ですし…今回は許してあげます…!」

創真「そうか…?」

えりな「ええ!」ニコッ

創真「へへっ、サンキュー!」ムギュッ

えりな「あっ………」ピクッ

創真「ん………?」ムギュッ

えりな「あ、…また…!?」創真ジッ

創真「どうしたよ……?」ムギュッ

えりな「…創真くん!!貴方…いつまで私の肩を揉んでる気なのよ///」ジーッ

創真「おー、手離すの忘れたわ!!」肩離しパッ

えりな「はぁ…いいですか創真くん?」ジッ

創真「おお…なんだ?」ポリポリ

えりな「…女の子に此の様なこと…気安くしてはいけません!」ビシッ

創真「いやーっ、わりーわりー!!」ケラケラッ

えりな「もう貴方って人は…ヘラヘラしちゃって本当に反省してるのかしら?大体創真くんはいつもそうなんだから…」腕を組むッ

創真(あ、こりゃ話長くなるパターンだな…こうなったら強引に…)ポリポリッ

えりな「ちょっと!話を聞いてますか?」

創真「おう!よくわかった!じゃあ俺はそろそろ行くわ!」スタスタッドアノブッガチャッ

えりな「あ!ちょっと、話はまだ終わってませんよ!待ちなさい!!」手伸ばしッスカッ

創真「バイビー!」扉閉めながらッ手フリフリッ

パタン…ッ

えりな「あ…行っちゃった…!!」ポカーンッ

えりな「……………」拳ギュギュギュッ

えりな「もう…!!本当に自由人なんだから!」地団駄ッダッダ…ッ

【数十秒後】

えりな「……………」

えりな(あーあ…もっとお話…したかったわ…)指モジモジッ

えりな(でも……まあいいわ!明日もたっぷりお話し出来ますし…)ギュッ

えりな(今日はもう…入浴を済ませて早く就寝しましょう!)スタッ

【浴室】

えりな「ふふ…温かくて気持ちいい…」チャポチャポッ

えりな(創真くんも…今頃はお風呂を楽しんでるかしら…)上を見上げっ

【極星寮浴場】

創真「あー染みるぜー!」チャポバシャッ

創真「やっぱ風呂は最高だな!」ノビノビッ

【えりな部屋】

えりな(明日は7時に行きましょうか…)枕ボフッ

えりな「…………」足パタパタッ

えりな「…………」ボフボフッ

【十分後】

えりな「…ん…………っ」Zzz…ッ

えりな「…………………」ZzZ…ッ

鯉「…………」パクッ

鯉「…………」クルッ

【同時刻幸平部屋】

虫かご「…………」ブーンッバチッ

創真「んん……っ……!」スピーッ

虫かご「…………」ブーンッバッ

虫かご「…………」ブンッ

創真「ん………!」パチッ

創真「……………」ムクッチラッ

創真「……………」虫かごジーッ

虫かご「…………」ブーンッ

虫かご「…………」ブーンッバチ

創真「ふぁーあ…忘れてたぜ…夜は飛ぶんだよな…」スタッ

創真「……………」虫かご持ちあげスッ

創真「……………」スタッスタッ

創真「……………」窓ガチャガチャンッ

創真「……………」虫かごスッ

創真「あ…………」虫かご持ちッぱッ

創真(やっぱ廊下にしよ…カラスにやられたら嫌だしな……)スタッガチャンッ

創真「………………」スタスタッ

創真「………………」ドアノブガチャッ

創真「………………」虫かごスッコトッ

創真「………………」扉閉めガチャンッ

創真「寝よ寝よ……」スタスタッボフッ

創真「ふぁーあ……」枕モフッ

【十秒後】

創真「………………」Zzzス…ピーッ

創真「ちりめんじゃこ…生クリーム
…むにゃっ…まじぃ……」スピーッ

【一時間後、恵部屋】

バチッ

バチッ

恵「ん……っ」ムクッ

恵「…………」

ブーンッバチッ

恵「え…なに……?」ピクッ

恵「…………」キョロキョロッ

極星寮連絡管「…………」シーンッ

恵「何もない…よね…?…」ゴクリッ

バチッバチッ

恵「ひぃ……!?」ビクッ

バチッ

ブーンッブーンッ

バチッブーンッ

恵「なんなんだべこれぇ…!!」布団潜りバサッ

恵「まさか…?ラップ音っちゅう奴じゃねぇけ…?」布団ギュッ

恵「でも、なして…今まで何もなかったのに?」ブルッ

バチッ

バチッバチッ

恵「……………」布団に丸まりッ

バチッバチブーンッ

恵「うう…おっかねぇよぉ…お母ざん゛~~………っ!!」ブルブルッ

【日曜日早朝、極星寮廊下】

創真「よ…!田所!」虫かご持ちながらッ

恵「あれぇ…創真くん…おはよぉ…」ゲッソリッ

創真「おいどうしたよ?凄ぇクマだぞ!?」

恵「うんちょっと……夜中に謎の怪音があってね…怖くて寝れなかったんだ…」ドヨーンッ

創真「怪音…?なんだそりゃ…?オバケかなんかでも出たんか?」

恵「え…聞こえなかったの…?」

創真「ああ…寝てて全然気づかなかったわ…」

恵「そうなんだ…羨ましいな…」ボソッ

創真「そうか?いやーでもよ…俺も田所の聞いた怪音っつーのを聞いてみたかったけどな…寝てて損したぜ…」鼻スリスリッ

恵「はは…楽しそうだね……」ドヨーンッ

創真「…まあオバケとかワクワクするからな!…でも変な音の原因はネズミって場合も多いから…一応ふみ緒さんに相談した方がいいかもしんねぇな……」

恵「そうだね…ふみ緒さんには私が言っておくよ…」

創真「おお!頼むわ!」

恵「うん…じゃあ私は郷土料理研究会の集まりがあるから…そろそろ行くね…」トボッ

創真「あ、ああ…気をつけて階段降りてけよ!」

恵「ありがとう…」振り返らずトボトボッ

創真(大丈夫かよ田所の奴…選抜前の時よりフラフラじゃねぇか…)ポリポリッ

虫かご「………………」シーンッ

創真「……………」恵の後ろ姿ジーッ

創真「……………」ジーッ

創真「よし…田所もコケねぇで無事行ったようだし…俺も部屋に戻るか…」スタッ

【数十分後、幸平部屋】

創真「いやー、丁度腹へってたから助かったぜ…」サンドイッチパクパクッ

えりな「そう…やはり作ってきて正解でしたね…!」

創真「ああ…!正解、正解…大・正・解っ…だな!」

えりな「ふふ…前々から思ってたましたけど…貴方ってやっぱり可笑しな人ね」

創真「マジで?」

えりな「ええ…だって私の周りには創真くんみたいな人…一人もいなかったもの…」

創真「ふーん、一人もね…それは誉め言葉としてとっていいのかな?」モグッゴクンッ

えりな「それは御自由にどうぞ…」クスッ

創真「じゃあそうさせて貰うわ」ニッ

えりな「ふふ…貴方のそういう性格…嫌いじゃないわ」

創真「そりゃあどうも!」ヒョイッパクッ

【数分後】

創真「ふー、御馳走さん!うまかったぜ!」手合わせッ

えりな「まあこの薙切えりなが作りましたから美味しいのは当然ですが…創真くんが満足してくれたのなら良かったですわ…」ニコッ

創真「へへ…!んじゃあメシも食ったしオニムシの観察でもやるか?」

えりな「そうね!昨日はゆっくり観察出来ませんでしたから…」

創真「よし…まずはコイツから…」ゴソッヒョイッ

えりな「カブトムシね!」

創真「そうだ…!こいつは定番中の定番のオニムシだな…夏になればクヌギはもちろん果樹園や街灯の下とか…まあ大体どこでも捕まえることが出来るぞ…」

えりな「そうなのね…今度薙切所有の果樹園に行ったら探してみようかしら?」

創真「探すなら果樹園を覆うネットなんかに絡まってるからそこら辺を狙うといいかもな…あとカブトがいるとこにはクワガタもいるから良かったらそっちも探してみてくれよ」

えりな「同じ所でいいの?」

創真「ああ…どっちも似たようなもんだからな…まあクワガタはカブト違って狭い所に隠れるのがうまいから木の割れ目なんかも見てみるといいかもしんねぇな」

えりな「なるほど…確かに身体もクワガタムシに比べるとカブトムシは厚くて大きいわね…これじゃ狭い所は無理ね…」

創真「まあその分、力も強いからかなり重いものも引っ張ったり出来るけどな…例えばこんなふうにさ…」糸と重り角に結ぶッ

カブト「…………」ノッシノッシ

えりな「わ…!本当に凄い力ね…」ジーッ

カブト「…………」ノッシズズッ

創真「自分より何十倍もの重さを引くことが出来るらしいからな…」

えりな「クワガタムシにしてみたらこの力は脅威ね…」ゴクリッ

創真「だな…現に大半の国産クワガタはカブトに勝てねぇしな……」

えりな「厳しい世界に生きてるのね…」クワガタッジーッ

創真「そうだな…でもまあ殆ど勝てんと言ってもクワガタも負けっぱなしって訳じゃねぇけどな…」

えりな「そうなの?」バッ


創真「おう…場所によりけり運ありきだけど…クワガタが上手く潜り込めさえすりゃあカブトもお手上げよ!」

えりな「やっぱりこのハサミのような角を使うのかしら?こうやって…」手で挟むマネッ

創真「ああ…!そいつ[ハサミ]を使ってのぶん投げは圧巻だぜ!」えりなの手を差しながらッ

えりな「クワガタムシの二本角も飾りじゃないって訳ね…」

創真「まあそういうこったな!」

えりな「う~ん…やっぱり虫って凄いわね!!」

創真「そうだな…でもまだまだカブトだけでも凄いことが一杯あるんだぜ!」

えりな「え、本当なの!?」


創真「ああ!例えばカブトのメスは掴む力が強い[強く感じる]とか角持って振り回すと飛ぼうとして羽を開くとか他には…赤カブやらなんやらな……」ニッ

えりな「あか…カブ……?なによそれ!詳しく教えなさい!」バンッ

創真「おお…わかったわかった…だからちょっと落ち着けよ…」苦笑いッ

【十分後】

えりな「赤いカブトムシ………赤カブ検事……」うつむきながらボーッボソッ

創真「はは…ちょっと話が脱線しちまったが…カブトのことは大体話したから次はミヤマでも観察すっか?」ポンッ

えりな「……ん…!?なに…かしら…?」ビクッ顔上げッ

創真「いや、カブトはこれくらいにしてミヤマの話しようと思ってよ…てかどうしたそんな驚いて…?」

えりな「え…べ、別に驚いてないけど…!?気のせいじゃないかしら?」プイッ

創真「そうか……?」

えりな「そうよ!だから早くミヤマクワガタの話をしましょ!」ミヤマ取り出しッ

創真「そうだな…!じゃあまずはミヤマの取れる場所についてでも話すか…」

えりな「そういえば…ミヤマクワガタを取る時だけ場所を移動したわね!ていうことはやっぱり他のクワガタムシに比べて珍しかったりするのかしら?」

創真「う~ん…ミヤマは他のオニムシに比べて標高が高い所を好んでるから平地ではあんま見ないけど…それを踏まえてピンポイントで探しゃあ結構簡単に取れっから珍しいって言ったらなんか違う気がするんだよなぁ…」ポリポリッ

えりな「そんなに簡単に取れるのなら昨日はどこに隠れてたのよ?全然見つからなかったじゃない!」

創真「いや昨日探した場所はそんな高いとこじゃねぇからな…」

えりな「そうだったの…?私てっきり高い山かと…」

創真「山道登ったからな勘違いしても仕方ねぇよ…それにさっき言われて思ったけど確かにそこらで取れるノコやカブトに比べたらミヤマは珍しいのかもしんねぇな…」

えりな「そうね…なかなか普通の人はお山に登ってまで虫取りをしないでしょうし…でもね創真くん…」ジッ

創真「ん……?」

えりな「たとえ珍しくなくても私にとってこのミヤマクワガタは特別なクワガタムシよ!」フンスッ

創真「おおそっか…そう言えばやたら気に入ってるよな?なんか理由でもあんのか?」

えりな「ええ勿論あります!」

創真「やっぱりこのかっけー頭の突起か?そうだろ?」

えりな「あら…よくわかったわね…?でも…それ[かっこいい]だけじゃ満点はあげられません…」クス

創真「ん…?じゃあなんだよ…教えろよ!」

えりな「ふふ…わかりました…教えてあげます!正解は…これよ!」ヒョイッ

王冠「………」キラーンッ

創真「そりゃ瓶についてる王冠じゃねーか?それが正解ってどういうことだ?」

えりな「あら…?まだわからないの?」

創真「いやその王冠で余計わからなくなったわ!」

えりな「ムゥ…本当に察しが悪いわね‼見なさいこのミヤマクワガタの頭を…」ヒョイッ

ミヤマ「…………」カチカチッ

創真「いやぁ…やっぱかっけーな!」

えりな「コラ違うわよ!確かに格好はいいけど今の着眼点はそこじゃない!」ベシッ

創真「おお……わりぃ…」苦笑いッ

えりな「ほら…もっとよく見なさい!この突起部…何かを被ってるように見えるでしょ?」

創真「ん…………?」ポカーンッ

えりな「もう…王冠よ王冠!!王冠を被ってるように見えるでしょ!?」

創真「王冠ねぇ…んまぁ確かに見えなくもないな…」

えりな「でしょう!!で…それを踏まえて…創真くんに再度質問です…よろしいかしら?」

創真「おういいぜ!」

えりな「ありがとう…ではいくわよ…!人間で王冠と言えばどの地位の人を思い浮かべますか?」

創真「んー…そりゃあ王様だろ?王の冠っつーくらいなんだから…」

えりな「そうです…貴方の言う通り王の位を持つ者が被りますね…と言うことは王冠を被っているミヤマクワガタは虫の中の王ということになります!!」ビシッ

創真「おお、 なんかちょっと突拍子もないような気がしなくもねぇが…まあでも確かにカッコいいから俺は別にえりながミヤマを王様と思っても別に構わねーけどそれがなんで好きな理由になんのかイマイチわからんのだが…もしかして王様が好きなのか?」

えりな「王様を好きって…本物[本物の王様]をってこと…かしら?」

創真「ああ…!」

えりな「はぁ…バカ言わないで頂戴…!あのような傲慢で無礼千万な者たち…私は大っ嫌いよ!!」ビシッ

創真「でもやたらこだわってるじゃんか?」ポリポリッ

えりな「別にこだわってはないわよ…ただ王と言う響きが少し好きなだけで…」腕組ッ

創真「ふーん…なるほどねぇ…」

えりな「それに…今後、食の世界に君臨する私にふさわしい言葉でしょ?」創真チラッ

創真「………」ポカーンッ

えりな「む…!?なによその顔は…文句でもあるのかしら?」ジッ

創真「いや別にねぇけど…相変わらず高慢ちきだなと思ってよ…」ケラケラッ

えりな「な…!?失礼ね!!誰が高慢ちきですって!!」詰め寄りッポカッ

創真「はは、わりぃわりー!だからそんな叩くなよ…!」ケラケラッ

えりな「嫌よ!その顔は一つも悪いと思ってない顔だもの!!」ポカポコッグキッ

創真「ん………………?」

えりな「あうっっ………!」ズキンズキッ

創真「おい…大丈夫か…?」

えりな「っ…だ…大丈夫です……!放っておいて!」小指押さえッ

創真「あー、慣れねぇこと[変な叩き方]すっから…突き指でもしたんだろ…」スッ

えりな「な…なによ!触らないで!」

創真「まあ…ちょっと見せてみろよ…」

えりな「大丈夫って言ってるでしょ!!」手を引くッ

創真「いいから、いいから…」ギュッ

えりな「あ…………!」ビクッ

創真「どれどれ……」手をジッ

えりな「んもう……勝手にしなさい!!」ボソップイッ

創真「んー、ちょっと赤くなってるけど腫れてねぇみてぇだし…平気かな…?」

えりな「だから言ったじゃない…大丈夫って」

創真「そうだな…でも痛みの方はどうだ?」

えりな「え、そうね…少しだけ…」

創真「我慢できるか?無理なら氷持ってきてやるぞ…冷やせば結構楽になるからな…」

えりな「ありがとう…でも大丈夫よ…そこまでじゃないから……」

創真「そうか…!まあ確かに…そんくらいならほっときゃ治るか…!」二ッ

えりな「ええ、それに私はこう見えて…結構丈夫で我慢強い身体してますから!」

創真「…そう言われてみれば病気やらなんやらになったの見たことねぇし…弱音の言葉も聞いたことねぇから確かに我慢強い性格と丈夫な身体を持ってるんだろうな……」

えりな「ふふ、凄いでしょ?」ドヤァ

創真「おお、すげぇスゲー…でもあれだな…」

えりな「ん……?」


創真「さっきくらいたいしたことないならいいけど…本当に痛い時や辛い時は我慢しないでちゃんと言えよな?無理しても良いことねぇからよ…」

えりな「ええ、分かりました…本当に駄目な時はこっそり…創真くんだけに言うわね…」ニコッ

創真「なんだよこっそりって…」苦笑いッ

えりな「だ、だって…こっそり言わないと誰かに聞かれるかもしれないでしょ?」

創真「別に聞かれたっていいじゃねぇか?」

えりな「嫌よ!そんなの私のイメージに合わないし…そして何より…この薙切えりなが弱音を吐いてるだなんて知られたら…その……」ちょっとうつむきッ

創真「知られたら…?」

えりな「は、はず……かし……じゃない……///」上目遣いボソッ

創真「ん…?わりぃ、ちょっともう一回言ってくれっか?聞き取れなかったわ
!」

えりな「んもう!恥ずかしいじゃないって言ったのよ!!二度も言わせないで!!」

創真「はは、なんだそんな事かよ?」

えりな「そんな事って貴方…私がこのような事を言ってるだなんてもし世間に露呈してしまったら私の料理人としての沽券に関わる事かもしれないのよ?」

創真「いや、さすがにそこまでの事じゃねぇと思うぞ?」

えりな「そうかしら…みんな失望すると思うのだけれど…?」

創真「しないしない!…てか、お前の才能と努力で積み上げてきたもんはそんな事で崩れるほどヤワじゃねぇよ…」

えりな「本当…?」創真チラッ

創真「おう!ずっと見てきた俺が保証する!」ニッ

えりな「うう…確かに…遠月の学生…そのなかでも特に極星寮の皆さんはこんな私でも受け入れてくれるかもしれませんね…」

創真「……」静かに聞く耳を立てるッ

えりな「それに…仕事の面でも味見役に関してだけでいえば…私の性格など関係ないと思いますし…でも…」

創真「……?」

えりな「それでもね…やっぱり私の弱い部分…それを誰かに見せることはしたくないの…」

創真「…そうか……」

えりな「だけど…勘違いしないでね…創真くんや極星寮の皆さんの事が信じられないとかじゃないのよ?」創真を見るッ

創真「おう、分かってるよ…何か理由があるんだろ?恥ずかしいってやつの他にさ……」

えりな「ぅ…うん……」ちょっと頷くコクッ

創真「やっぱそうか…じゃあ、よかったらその訳ってのをちょっくら聞かせてくれねぇか?」

えりな「聞きたい…の?」

創真「ちょっとな…」ニッ

えりな「まあそんなに知りたいなら…話してあげてもいいですけど…その代わり…絶対に笑わないで下さいね?」ビシッ

創真「ああ、笑わねぇよ…」ポリポリッ

えりな「ありがとう…じゃあ話させてもらうわね…私が…あなた以外の人に知られたくない理由を…」

創真「………」コクッ

えりな「それは私が……」創真を見るッ

創真「おう……」

えりな「創真くん、貴方にもっと…かまって欲しいと思ってるからよ……」ニコッ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年07月09日 (木) 13:44:06   ID: C5fR3hQR

ゴミ

2 :  SS好きの774さん   2015年11月27日 (金) 18:41:05   ID: I5HbuLbZ

おまえがな

3 :  SS好きの774さん   2015年12月25日 (金) 22:08:57   ID: kWbE7RUO

イミフすぎる

4 :  SS好きの774さん   2016年03月03日 (木) 03:41:00   ID: Qa9ZHQo6

>>1 がSS書けないから嫉妬してますな

5 :  SS好きの774さん   2016年03月16日 (水) 15:00:08   ID: s1uElEmg

なにこれ、嫌いじゃない、、。

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