桂馬「神のみぞ知るセカイ、陵辱ルートで女子の攻略率100%を目指す…」 (963)

 
以前、 桂木桂馬「陵辱ゲームのノウハウで女子を攻略する…!」 のタイトルで
vipに投稿した神のみのSSを、数倍に増量したのを投下します

※ 注意 キャラがみんなひどい目に遭います。 ちょっと残酷成分含みます。
「このジャンルは、俺にとってカテゴリーエラーです」(翻訳)って人は文句をいわずブラウザバック推奨。
 
 * * * * * *
 

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440245742

 
   ~~~~~

エルシィ(うう…、おしまいです。
      愛の力で女の子の心の隙間を埋めて、駆け魂を
      出さなくちゃいけないのに。
      『どんな女の子も落としてしまう』はずの
      “落とし神”様が、現実ではオタメガネの仇名を
      つけられるギャルゲーマーさんだったなんて……
 
      このままだと、首輪の契約が発動して、私たち二人とも首が──)

 
 
    地獄の契約に従って、ふたりの首が切断されるイメージが頭に浮かぶ。

 

 
エルシィ「ああ…神さまが、お遊戯の神さまだったなんてー…」

桂馬 「静かにしろ! いま、首が飛ぶ前にやるゲームを考えているんだ」  ぶつぶつ


―――― 葬式ムードのふたり。

  本来ここから、『落とし神』・桂木桂馬は、悪魔・エルシィの羽衣の力(ブルマ)を
  目の当たりにし、得意のギャルゲーのノウハウを活かした、現実の女子の攻略へと
  奮起するはずだった。
 
  しかし死へ追い詰められた焦りからか、彼の脳裏にわずかなバグが発生する──
  その小さな誤り、違いが、彼を急かし、“落とし神”がとる攻略ルートの、方向性を誤らせた。
 

 
桂馬「もうなにもかもおしまいか…
    ふ。現実<リアル>なんてクソゲーだ、クソゲーだと思っていたが、
    まさかここまでとは」

桂馬「嘆いている時間はないな。今考えるべきは、残り僅かな余生で
    どのゲームをやればいいかだ」

桂馬「……そうだ、そうだ。ふふ、どうせボクは死ぬんだ、もう知ったことか、
    美少女ゲームの中でもボクが手を出してこなかったジャンル、
    禁断の “陵辱モノ” ゲームを、短い余生で楽しんでやるっ!

    自分でも不思議だが、死を目前にしてなにかむらむらしてきたぞっ。
    この衝動、もうソフ倫なんて気にするもんか!」

エルシィ「ま、待って下さい神様! 帰らないでくださいー!
      なんで、むらむらしたら目の前の女の子じゃなく、
      ゲームの女の子に向くんですかー!」
 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~

 
 
  暗い自室。エロゲーム6画面同時プレイをする“落とし神”様。


桂馬 「────す、すごいぞ。 これが禁断の陵辱ゲーム。
     イケメンに酷いことされて、イヤなのに、大嫌いな男なのに、
     気持ちよくなってしまう、ヒロインたち。
     こんな攻略への裏ルートがあったなんて!

     強姦……スカトロ……リョナ……薬漬け……鬼畜イケメン……洗脳……
     …イラマ………蝋燭……虫責め………鞭……四肢切断…

     ッ! これはっ……陵辱ルートは、現実<リアル>女との恋愛経験・ゼロの
     ボクにぴったりじゃないか。
     ……見えたぞ! エンディングへの攻略法が!」

エルシィ「神さまぁ、お部屋からでてきてくださーい!
       そのっ、手料理とかつくりますからっー!」

  がちゃ
エルシィ「わっ。ほんとに、出てきました」

桂馬 「おい、悪魔…のエルシィ。……死にたくなければボクの言う通りにしろ」

エルシィ「……や、やる気になったんですね! で、できるんですね!
      現実の女の子も落とすのを! はいっ、私、神様を信じます!」
 

 
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            高原歩美

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   ~ エルシィ『で!』 ~


高原歩美 「むぐ~! むぐぅうう!」

エルシィ「神様ぁ! 言われたとおり、羽衣で駆け魂の宿主を拘束してもってきました」

桂馬 「でかしたぞエルシィ。(……コイツ本当に悪魔だったんだな、歩美を
     拉致拘束するなんて。ボクじゃとてもできない)」

歩美 「くっ、ぷはっ!」 「けほっ、ゲホッ、な、なんなのよこれ、
     ここどこ? 誰のしわざ…? え、オ…、オタメガ!?」


エルシィ「……捕まえたはいいですけど、でも、力づくで心の隙間を埋めることなんて、
      できませんよ。一体どうするんですかー?」

   彼は眼鏡をクイッと上げながら、ためらいなく言い放った。

桂馬 「高原歩美の両足を切断する」

エルシィ「ぃっ」
歩美 「!!?」
 

 
エルシィ「あ、あの、いまなんて…?」

桂馬 「それが理論的に正しい。エンディングから逆算していけば──。
     おい悪魔。 “駆け魂”とやらを追い出すには、 『女子の心の
     隙間を埋める必要がある』と言ったな。
     だがな、エルシィ。 『心の隙間』を埋めようにも、バグだらけの
     現実<リアル>女の抱える悩み、隙間がどこにあるかなんて、
     ボクの知ったことじゃない。そもそも分かろうとも思わない」

エルシィ「え? じゃ、じゃあ」

桂馬 「だが見当はつく。単純だからな。
     どうせ、陸上で走ってばかりいる歩美は、陸上が心の拠り所で、
     同時に悩みの種なんだ。

     そこで、それを取り払うため、ボクは問題から彼女を切り離す
     ことにした。彼女を陸上の出来ない体にして、悩みの根っこ、
     そのものを一旦帳消しにするんだ。すなわちやるべきことは
     『両・足・切・除』だ!」

エルシィ「おおーっ。―――えぇ?」

歩美 (む、向こうで何ぶつぶつ言ってるのよあいつ?
     今、『せつじょ』とか、言わなかった…?)
 

 
エルシィ「でもでも! そんなことしたら、きっと“心の隙間”が
       もっと大きくなってしまいますよ」

桂馬 「いいんだ。それもルートのうちだ。心の隙間を一度、
     周辺ごとまとめて大きくえぐる。大穴をあける。

     そうして前後不覚になったところを『調教ルート』に入って
     その大きな隙間にボクの存在をぶち込む!
     この方法で高原歩美を攻略し、エンディングを迎えるぞ!」


エルシィ「でも…。ちょーきょー…? なんて」

桂馬 「…ついたアダ名がオタメガネのボクに、攻略ルートを選んでいる余裕があるか。
     ゲームと違って、セーブもロードもできないくせに、失敗すれば
     ボクらの首が飛ぶんだぞ。やってられるかこんなこと……。

     でも、確実なルートが見えた!
     その代償が、無価値な現実<リアル>女の足2本なら安いもんだ…ふふ」


エルシィ(うわー、神様って、悪魔よりもアクマっぽいです…)
 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~


チェーンソー「ギュインギュインギュルインギュルイン」


桂馬( くっ、歩美にインパクトと絶望感を与えるためチェーンソーを
    買ってこさせたが、ボクには普通のノコギリのほうがよかったかな)

歩美「あ、あ、あああんた、オタメガ、何考えてんのよ!!!」

エルシィ(そんなに暴れないでください~。透明になって押さえるの大変ですから~)

    拘束された歩美の両足に、回転する刃が向けられる。

桂馬「さぁ、お別れの挨拶は済んだか、これまで一緒に人生を歩んできた愛しい両足に!」

    息が荒くなっている桂馬と歩美。

歩美「じょ、冗談よね? き、きのう掃除当番を押しつけたのは悪かったわよ、
    でも、あんた、ヤバイヤバイとは思ってたけど、まさかこんなことできるやつじゃ……」
桂馬「ごめん」
歩美「ぁぐぎゃぁァアアアア!」 ビシャビシャビジャ
 

 
   返り血に赤く染まる落とし神・桂木桂馬。 手ががくがくと震える。

桂馬「はぁっ、はぁっ、思ったより力仕事だぞ、このイベントは。スティック上下で代用できないのか」

歩美「あああんっ、ぅううんぐほぉぉぉおお!」 ガリガリガリビチビチャビチャ

桂馬(しかしなんだその野獣のような叫び声は……もっと『キャー』とか『嫌ぁー』とか、
    可愛らしく叫べ。まじめにやれ。全くこれだから現実<リアル>女は)

エルシィ(すごい血ですー! お掃除が大変……) 

  (※ 登場時の、まだ“キャラ”が定まっていない……もとい人間界に馴染んでいないため、
     さりげなく悪魔的だったころのエルシィ。)

 
歩美「あぐ………あ……」

  ぼとっ   ぼどんっ

エルシィ「あ、おちた」

桂馬(……筋肉ばかりで太い足だな。まったく現実<リアル>は。
    ゲームの女子だったら、足が細いまま速いのに)

歩美「ひッ……ひぐっ…」 ジョロロロロ…

桂馬「(しかも漏らすか。におう…)
    エルシィ! なにをぼさっとしている! 止血しろ」

エルシィ「は、はいぃ」 「人間の足って、どう分別して捨てるんだろう…」

桂馬「足は捨てないで冷凍しとけよ。ルートによっては、騙して食わせてから、
    ネタ明かしをして、心を折るイベントに使うからな」

歩美「ぶくぶく……」

桂馬「ショックと失血で気を失ったか。ゲーム通りだ」

エルシィ「どんなげーむですか」

桂馬「さぁ、レイプしてボクに依存させるぞ」
 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~


 すぱん! すぱん!

歩美「殺してやる……アンタ、殺してやるんだからぁ…」

桂馬「うるさい! ボクの言うとおりにおとなしくするんだ…! 歩美!
    『陸上』なんかより、ボクのほうが歩美のことを幸せにしてやるんだから」

エルシィ(神様、『歩美さんのことを愛するあまり凶行に走ってしまった!』という設定で
      攻略のための演技をはじめています。でも、そんなにうまくいくんでしょうか?)

歩美(はじめてだったのに……それなのに、コイツ! 足だけじゃなく!) ヌチュ、ヌチッ

  少女の両手を縛り付け、余裕でまぐわう落とし神さま。今はキックで反撃される心配もない。

エルシィ(それにしても、せっくすって初めて見ましたー。
      新地獄じゃ見る機会なかったから、
      こんなふうにつながるんだー) ドキドキ
 

 
歩美「いい゙ぃいぎぎ…」 ぎりぎり
 
桂馬(うぅ! あっ、 し、しまるぅ!
    …ゲームでヒロインを攻略して童貞喪失した主人公は、こんな気持ちだったのか……
    ゲームと比べて、現実のセックスなんて、どうせ大したことないと思っていたが、
    リアルも少しはやるじゃないか。認めたくないが…)

桂馬「歩美っ、出すよ!」

歩美「ば、ばかばかばか、だすなぁ!」
  びゅーびゅーぅ

歩美「やだ…」

桂馬「ほら、あふれてるよ……」 こぽっ
 
エルシィ(わー! わー!わー)

 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~

 
歩美「ばかじゃないの……毎日毎日、こんなことして……んぅ!」 

桂馬(ふぅ。しかし総合するとやっぱりゲームのセックスのほうがいいな) パコパコ

歩美「ホント、何が楽しいっていうのよ…」

桂馬「ボクは、楽しい! 歩美が家にいてくれて、世界が変わったよ。
    歩美のいない暮らしなんて、もう考えられないから…」

  甘く微笑んで、歩美の髪の毛のにおいをかぐしぐさをする桂馬。

歩美「やっ……(何言ってるのよ。
    ……走れなくなった私なんて、もう、意味ないじゃない。)」

桂馬「ボクには歩美だけだ……ボクは歩美のために生きる。だから、歩美はボクのために生きてくれ」

エルシィ(歩美さん…… 一度に色んなことが自分の身に起こって、いっぱい混乱してます。
      神様の言ってたこと、こういうことだったんですね! 女の子の頭を真っ白にして、
      その混乱に、付け入っちゃうんですねっ、
      ……うー。アクマ的です)
 

 

  ~ エルシィ『で!』 ~
 
歩美「もう、どうでもいい……早く済ませなさいよ…」


桂馬(──今日も接待セックスだ。現実<リアル>女のご機嫌とりといっていい。
    いちいちイかせてやらないといけない。面倒な作業ゲーだ。指が疲れる。
    これに比べて、陵辱ゲームは良かったな。
    オートモードにしておけば勝手にイクんだから)

歩美(どきどき…) (こいつの手って……なんか、テクニック、すごいのよね……まるで手が何本にもなったかみたいに…)

桂馬「…食事だよ。歩美の好きな食べ物を作ってきたんだ」

歩美「……ッ(な、なによもうっ、これじゃ、まるで私だけその気みたいじゃないの)」

桂馬「辛いもの苦手だったよね。ボクも辛いものが苦手なんだ。ボクら、こんなところも同じだ。 (ウソ)」
 

 

歩美「……もぐもぐ」

桂馬(最初は拒否したものの、カロリーはしっかり摂るようになったな。
    それは助かる。他のヒロインなら監禁犯罪者の出した飯なんて
    拒否したまま衰弱しかねない)

歩美(むかつくけど、やっぱりおいしい。家が喫茶店なんだっけ、こいつって)

桂馬「歩美、おいしかったか?」

歩美「…まぁまぁね」

桂馬「歩美、今日も綺麗だよ」 キラ

歩美「……ばか……」

桂馬「ご主人様って呼んでみて」 キラキラ

歩美「誰が呼ぶか…しねっ!」
 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~


歩美「もじもじ…」

歩美「なにモタモタしてるのよ…あのヘンタイ」


エルシィ「はぇー、神様がかまってあげないと、寂しそうになってますよ。やっぱり人間、顔なんですかね」

桂馬「うるさい、ボクのテクニックの賜だ」

エルシィ「神様、早く行ってあげてください。昨日からおむつの交換もしてあげてないですし。
      このままの勢いで、どんどん好感度を上げちゃいましょう」

桂馬「違うな。歩美はこの状況に慣れ始めている。このままではマンネリ化必至だ」

エルシィ「まんねり?」


桂馬「陵辱ルートでも、攻め一辺倒じゃだめなんだ。
    ……そうだな。エルシィ、いい言葉を教えてやる!」

エルシィ「は、はいっ」
 

 
桂馬 【調教の、最高結果に、SSS(トリプルエス)】  キメ顔ッ

エルシィ「はえっ?」

桂馬「調教において完璧な結果<リザルト>、つまり【SSS(トリプルエス)】を
    得るためには、三つの【S】を意識して攻略することが重要になる。

    一つ目の【S】は当然【Sadism(サディズム)】!

    半端な哀れみは逆効果だ。
    遠慮は調教攻略対象に一歩引いた、客観的・常識的な
    目線をもたせ、いたずらに洗脳を解いてしまう。
    いじめを楽しみ、サディズムを存分にみせて、
    ヒロインを主観的なSMの世界に没入させることが
    重要だ! メモしておけ!」

エルシィ「えすえむの、Sadyizumu、と」メモメモ
 

 
桂馬「だが同時に重視しなければならないのが二つ目の【S】、
    【Safety(セイフティ)】。安全性だ。

    休みを入れて体力ゲージを回復しなければ、ヒロインは
    力尽きてしまう。主導権を握っているサドの側が、きっちりと
    体と心の調子を管理してやらなければならない。攻めるだけでは
    未来はない。他のイベントも起こして調教にメリハリもつけなくては」

エルシィ「うー。むずかしいんですね」

桂馬「難しくない。調教ルートは攻略としてシンプルだ。
    シンプルで確実だからボクは選んだ。命が惜しくて」
 

エルシィ「さでぃずむ、せーふてぃー、それで、三つ目の【S】はなんなんですか~?」

桂馬「【シャブ】のSだ。ヒロインを落とす調教ゲームの定番アイテム・麻薬。

    よくあるだろ、注射したり飲ませたり嗅がせたり塗ったりするやつ。
    その最後のSで一気にトドメを刺す。
    おいエルシィ、おまえ悪魔なんだから、そういう便利な魔法薬とかはないのか」

エルシィ「ないです」

 
桂馬「ちっ、リアルはこれだから。悪魔のくせになんて使えないんだ」 ゲームピコピコ

エルシィ「それ、ぜんぶ、ゲームの話ですよね? えっちな…」

桂馬「ふん。だがいいさ、他のルートを考えてある。
    ともかく、今日は『放置プレイ』イベントとする。歩美を一日放置して
    ボクのありがたみを分からせ、依存パラメーターを上げる」

エルシィ「ありがたみって、神様がこんな状況にしたのに…?」

桂馬「いいんだよ。こんな暗くて狭い部屋に監禁されて、いまのあいつに
    正常な判断ができると思うか? 一種のストックホルム症候群に
    陥らせるのは調教ルートの基本中の基本だ。
    やりたいゲームも溜まってるしな。
    さぁて現実<リアル>女はほっといて、ルネの女神調教アドベンチャー同時攻略をやるぞー」

エルシィ「鬼です」

 
 

 
    ◇   ◇   ◇


歩美(桂馬………どうしたの?
    いつもはあんなに私に甘えてくるのに。

    もしかしてあいつの身に何かあったんじゃ……
    誰かにいじめられてたり、殴られてたり

    ううん……いじめてるのは……私かも。
    あいつ、私が『すべて』だって言ってたのに。
    料理もがんばって、あんなに私に好かれようと努力してたのに。
    汚くないよって、私のおしっこだって飲んだのに。
    それなのに、私がアイツを嫌って、酷いこと言っちゃったから、
    絶望して、思い詰めて、自殺――?
    ……っ

 歩美の空想の中の桂馬「うぅ。ごめんよ。ボクは、オタメガネオタメガネとみんなに馬鹿に
         される駄目な人間なんだ。だけど、そんなボクなんかに、
         差別せずに話しかけてくれた女神のような歩美を好きになったのに。
         ゲームの女の子より、歩美はずっと魅力的だったのに。
         でも、ボクなんかがいくらがんばっても歩美は振り向いてくれない。
         歩美、苦しめてゴメン。ボクはもう、生きていてはいけない人間なんだ。
         さようなら、現実<リアル>よ、さようなら…」 ((首吊り)) )
 

 
歩美(…って、なにあんなヤツのことなんか心配してるのよ!
    そうよ、むしろあんなやつ死んじゃえばいいんだから。
    …
    でも、あいつが死んだら、ここに閉じ込められてる私も飢え死にするのかな…
    ……。)

 
 ~別の部屋~
桂馬「うぉおおお、女神凌辱 ~乱交狩人ウルド~、 女神凌辱 ~肛交僧侶スクルド~、
    女神凌辱 ~姦虐戦乙女ブリュンヒルド~、女神凌辱 ~パイズリ姫ベルダンディー~
    も同時攻略完了! アマゾン、じゃなかったエルシィ、早くボクの言った次のゲームを買ってこい」

エルシィ「うー、ひどいゲーム。私でもタイトルだけで中身がわかります。
      こんなおつかい、羽衣で変装しても恥ずかしいですよう。
      神様ってばゲームの女の子のいじめるのばっかり。
      私、なんでこんなことしてるんだろう…」

  ~ エルシィ『で!』 ~
 

 
 
桂馬「きのうは会えなくて本当にごめん。どうしても、買わなくちゃいけないものがあったから」


エルシィ(わぁ…、この神様の真剣なお顔。すごい! なんだか私も、
       神様が本当に反省してるように思えてきました)

歩美「なによ。それ。私より大事な用事があるっていうの」

桂馬「……」

歩美「あんたのことだから、どーせゲーム…」

桂馬「買ったのは、ボクから歩美へのプレゼントだ」

歩美「!」

エルシィ(そうです。このプレゼントを見たら、歩美さん驚きますよー)
 

 
歩美「これ……義足…?」

桂馬「……ボクは、歩美が好き過ぎて、振り向いてほしくて、歩美が夢中になってる陸上を、奪おうとした。」
   「でもごめんよ…、ボクが間違っていた」

   「ようやく気付いたんだ……元気でいる歩美の姿が、一番だって」
   「ボクは走り回っている歩美の姿に惚れたんだって」
   「バカだよな。でも、だから、だからこそ、また、歩いてほしい! この義足で」

歩美「……」

エルシィ(ふうー、羽衣で歩美さんにぴったりの高性能な義足をつくるの大変でした。
      でも自信作です!
      これで、『ごめんなさい』で和解して、理解し合って、駆け魂がでてくるんですね)
 

 
  歩美は押し黙って、渡された義足を手に取ると、
  怒りをあらわにし、大きく振り回して桂馬の頭部を殴りつけた。

桂馬「ごふッ」

歩美「っっ! ふざけないでよ、今さら遅いわよ!
    なんなの!? あんたッ!
    私の命より大事な足を奪っておいて今度は走れっていうの!?」

エルシィ(…。ですよねー)

桂馬「うぐごご…」

歩美「もう知らない、走らないっ。
    アンタに一生依存してやるんだから! 私の身の回りのこと、
    ぜんぶアンタがやって、どこに出かけるのも、あんたが車椅子を
    押すのー! 二度と歩かないからね。もぅ、いっそ両腕も切りなさいよ!」


 ベッドのそばにあった果物やら何やらを投げつけられ、急いで部屋から退散する桂馬。(と透明なエルシィ。)
 

 
エルシィ「……あーあ、歩美さん、怒っちゃいました、めちゃくちゃなこと言ってます。
      完全に逆効果じゃないですか、神様のバカバカ」

桂馬「いや。歩美の『走りたい』という気持ちは本物だ。
    見ろ、今も義足に興味津々だ。
    
    これだけは、いくらボクが陵辱しても、削り去れなかった心からの想いだ。
    陵辱ルートで全てを奪ったあとに残るもの、それがそいつの本物の心なんだ。
    鳥が言われなくても飛ぼうとするように、魚が言われなくても泳ごうとするように、
    歩美はきっとまた、走り出す。ハードルを越えられる。それがあいつ、高原歩美だから。

    だから、根気よくリハビリをさせて、勇気づけるだけさ」

エルシィ「な、なにか善人ヅラしてます」


  ~ エルシィ『で!』 ~

 
 

 

 しーん
歩美「……」

歩美「桂馬、どこ?」

歩美「また、いなくなっちゃったの……」

歩美「……」

歩美「……もう丸一日」

歩美「なんなのよ、女の子をこんなにして、無責任よ」

歩美「……」

歩美「…ううっ、ううっ」  くねくね


歩美「はは……くやしくてバタバタする足も、ないんだっけ」

歩美「……もうしぬ。私しぬ。飢え死に。いいよ。どうせサイテーの人生だし」
 

 
歩美「……」

歩美「……なんか、悲しくないや」

歩美「…はじめにすっごく泣いたから?」

歩美「もう、足がないのも、未来がないのも、当たり前になっちゃったんだ」

歩美「……あは」

歩美「……あはは」


歩美「ごめんね……私が死んだら、だれが一番悲しむかな」

歩美「ママ、パパ、ちひろ…部活のみんな」

歩美「…桂馬」


 (桂馬『歩美のいない人生なんて考えられない』)

 (桂馬『ボクは、歩美から足を奪った。歩美は速いから、ボクをおいてどこかにいってしまうのが恐かったから』)
 

 
 (桂馬『でも、ボクが間違ったてたよ。ごめん、ごめんよ』)

 (桂馬『だらこそ、また、歩いてほしい』)

 (桂馬『歩美。大好きだよ』)

 (桂馬『歩美!』)
 
 (桂馬『がんばれっ、歩美!』)

歩美「…」
歩美「私だって、こんな、歩くくらい。やればできるんだから…」

  ~~~~~~

エルシィ「あっ! 歩美さんが自分で義足をはめましたよ」

桂馬 「やっとか」(ゲームプレイ中)

エルシィ「た、立ちました! 歩美さんが自分で立てました、やったー!」 

桂馬 「いま右下と左上のゲームが良いところなんだ。そのまま監視つづけて、歩けたら報告してくれ」
 

 
  ◇ ◇ ◇
 
 壁の手すりに寄りかかりながら、義足の歩美はよろよろと立った。
 足があった頃は「普通」だった高度・150数センチ。
 その高さからの床は、ひどく遠いものに見える。
 倒れでもしたら、受け身もとれず、大怪我になるかもしれない。
 それでも、歩美は壁沿いにのろのろと歩き、ドアに手をかけた。
 この先の世界に、自分を待っている人がいる。
 その気持ちが、勇気をくれたから。

 ドアノブを回し、扉が開く。 久しぶりの、部屋の外のセカイ。

 「できた!」と、ふと気が抜けた、その拍子だった。バランスが崩れ、倒れかかかる。
 歩美はぎゅっと目を閉じた。

 衝撃はない。
 抱き留められていたのだ。もう、抱かれ慣れて、安心感すらもつようになった、あの男性の腕に。

歩美「!」

桂馬「待ってたよ。…がんばったな」
 

 

歩美「わざ、と…?」

桂馬「さびしかったよ。外でずっと歩美を待つのは。
    でも、歩美に、立って、歩いてほしかったから。
    だから待ってた。ずっと歩美を待ってた…。歩美が、立ってきてくれるのを。
    また、走れるようになってほしくて。ごめん」

歩美「…ひぐっ…ひく……ばか………」

桂馬「うん、バカだ。世界で一番、馬鹿でおかしくなってしまうくらい、歩美が好きなんだ」

歩美「知ってるよ…好きだって」 「…わたしも」

  ふたりはキスをして―――心の隙間が埋まり、駆け魂が追い出される。


エルシィ「す、すごい茶番ですっ…。女の子の心に自分で穴を開けて、自分で埋める。これが禁断の、陵辱ルート」

エルシィ「駆け魂! 勾留しなきゃ! 神様、ありがとうございますっ!」

  ◇  ◇  ◇
 

 
   ~  エルシィ『で!』  ~


エルシィ(こうして、『陵辱ルート』での女の子攻略は、無事成功しました。
      攻略の間の記憶を失った歩美さんは、新地獄によって周囲ごと記憶が変えられて、
      『病気のために足を切断し、しばらく病院で休養していた』ということになりました)

桂馬「そのほうがいいさ。切実に。ボクも捕まらないで済む」

エルシィ(どんな人でも、足がなくなったら、絶望してしまうでしょう。
      でも、歩美さんは前向きに、義足ランナーの道を目指しているようです。
      きっと神様の陵辱ルート攻略のおかげです。
      神様の『洗脳ちょうきょう』で、歩美さんは自分の進むべき道を見つけたんです!)

桂馬「いいから、早くこのギロチン首輪を外せ。攻略は終わったぞ。
    ボクはゲームでヒロインに首輪を付けるのは好きだが、付けられるのは嫌なんだ」

エルシィ「あっ。お祝いに、お約束どおり、ごちそう作りますねー! 冷凍庫にもちょうどいいお肉が!」

桂馬「おいやめろ! なんだその色々とおぞましい材料は!」
 

 
エルシィ(最初の一歩をなにか踏みまちがえちゃった気もしますが、
      やっぱり神様はすごいです。ほんものの、“落とし神”さまでした!

      なにやら間違った方向に行っちゃうかもしれませんが、
      これからも、神様が大好きな『陵辱ゲーム』の方法で、
      駆け魂狩りに突き進んでいくことにします!)

桂馬「おい聞いてるのか!? やめ──」

エルシィ「はいっ! できましたよ、神にーさま! めしあがれっ」

桂馬「ぐわわああ、ムリヤリ食わせるな、歩美のっ、足を、骨ごと、……この悪魔め、
    ボクはおまえが妹になるだなんて絶対認めないからな」

 
 
 

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


           青山美生

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 
 
   エルシィ(“神様”あらため“神にーさま”の、そこからの快進撃は、

          もうとどまるところを知らず!)

  ~~~~~~


桂馬「お前が無駄に買ったオムそばパンだ! 食えっ! 上の口からも、下の口からも!」

美生「むぅー! むぐー! (なによコイツ! 従者になるって言ったくせに、いきなり豹変して)」

エルシィ(パンが前にも後ろにも入っちゃってます……もったいない…)


美生「けほッ、や゙ぁ゙ぁぁぁ!」

桂馬「あきらめろ! オマエは落ちたんだよ!」 「没落お嬢様は、ボクのような
    いやしい貧民の慰み者になると相場が決まってるんだ! (ゲームでは!)」

  美生の持ち物の、乗馬用のムチを、力いっぱい振り下ろす。
  バチンバチンと、美生の小さな尻が叩かれ、ムチから逃げようと左右に揺れる。

美生「きゃぅん!」

桂馬「痛がる姿がたまらないなぁ…! どーだ美生、ボクの愛の鞭は?!」
 

桂馬「美生っ、ボクはな、ずっと、お前に、片思いしてたんだ。
    愛してるぞ美生、 最高だよ、もうお前は、ボクの手の届かない女じゃなくなったんだぁ……
    こんな状況でも、まだ気取り続けるというのなら、
    従順になるまでやってやるからな……庶民の逆襲を食らえ!」 ガスッ がすっ

  後背位で獣の交尾のように激しく突いていく神にーさま。

美生「キャぎぃぃいいいい!」  パン!パン!パパン!

桂馬「…(だからもっとかわいく叫べよ、現実<リアル>女……)」 ぱんっぱんっ


   エルシィ(―――とにかく、歩美さんのときと、同じよーな手口で、
         神様は、駆け魂の宿主の女の子たちを、次から次へと、
         契っては投げ、契っては投げ、手ごめにしていくんです…!)
 
   ◇  ◇  ◇
 

 
 
桂馬「なんだその反抗的な目は~? まーだ足りないか?

    じゃあ、そのこれみよがしなデコも、このバリカンで広げてやる」 バリバリ

  パンやらムチやらバリカンやらカメラやら、多彩な道具持ち替えによる
  ジョブチェンジ陵辱を披露していく落とし神様。

美生「きゃゃぁああ! やめなさいぃ、もー私にさわるな庶民!」

桂馬「まぁた偉そうな命令しやがって、くんかくんか、こんないい匂いのするロング
    ヘアーがあるからプライド高いんだなっ、もうおまえにこんな髪なんか必要ないっ」

   切られた金の髪が、桂馬の腕にからみつき、畳にまき散らされる。

美生「……パッ、パパー! たすけてっ、ぱぱパパ、バパぁ!」

桂馬「…現実を見ろ。お前の父親は死んだんだ。お前はもう…」
 
美生「うる゙ざい゙! パパは、パパはしんでない! たすけにぐる! パパばじな゙なーい゙!(錯乱)」 ジタジタ

 
 
エルシィ「来ませんでした」

 

 
   ◇  ◇  ◇
 

     エルシィ(2番目のこーりゃくの、青山美生さんの場合も、
           こんな風に、アメとムチを使い分けて………。
           いいえ、ムチでギリギリまで追いつめて……)


     < 回想 >

    桂馬「ああいうツンキャラはな、心を守っている鎧さえ破ってしまえば、
        中身はデレっと柔らかいもんなんだよ。

        陵辱で、ムリヤリその“鎧”をブチ壊す―――
        そしてやわらかい地肌に直接、快楽を覚えさせてやる……!
        チビの金髪ツインなんてもう99%、髪の毛をつかんで、
        後ろからガスガス犯すためにいるキャラだからな」

   エルシィ「ひぇぇぇえ~…… で、でもそれ、ゲームの話ですよね」

     桂馬「当然。 ボクはこの先もゲームのノウハウでいくと決めた」
 

 
   エルシィ「あの、そのノートは?」
 
     桂馬「…ボクはまだ現実<リアル>では経験人数1だからな。
         歩美のときは童貞らしいレイパーキャラでいけたが、
         美生の場合はそうはいかない。迫力が必要だ。
         これまでプレイしたゲームのレイプシーンから、
         いいレイプの演技を練習しておかないと……」

   エルシィ(れいぷの演技って、なんでしょーか……。れいぷでは?)
 
     桂馬「使えそうなのをピックアップしてノートにまとめた。
         順番にヤるから、印象的だったのを選んでくれ」

   エルシィ「…わ、私にですかっ?  私がですかっ?」

     桂馬「……おまえじゃなきゃ、だめなんだ…」  ぎゅ

   エルシィ「あわわわ…」     ふらふらと錯乱するエルシィ。

   エルシィ「あ、あのっ わ、私たちは、っ、協力者<バディー>で……、
         落ちこぼれの私なんか、かっ、神様と結ばれるには釣り合いが」  わたわた

     桂馬「なに言ってる、いまのもセリフだ!」

 
   ◇  ◇  ◇

     桂馬「『いい感じだぜ……くぅ……ケツのしめつけがたまんねえ』」

   エルシィ「ひえ~ん……あううっ」  ずぶっ ぐじっ すぱんすぱん

     桂馬「い、『いい反応だ……そそられる』」 

   エルシィ「あっ……いやっ……も、もー許してくださいぃぃ!」 ぱぁん! パァン!

     桂馬「くっ……『また……たっぷりと出し』―――ウッ!」

         ビクッ!! どくん……とくん……

   エルシィ「で、でてます、でちゃってます! うぅ、神様のが、私の中でーっ!」 大泣き

     桂馬「(あぁ、エルシィのあなるが、予想以上に気持ちよくて、

          本来のタイミングより早く出てしまった。 練習でよかった。
          本番でこうだったら、『ぷぷ、なーにこの庶民、私の体でそんな
          気持ちよくなっちゃってんの(笑)』 となって脅しのセリフが台無しだ)」


      エルシィ(うー!  思えば、 た、たいへんな思いをしちゃいました……)
 

 
 
   ~ エルシィ『で!』 ~


美生「やめなさい! そのビデオをばらまくのだけは! ……なんでも、なんでもするから」

エルシィ(神にーさま、見事に“きちく”をやっておられます……)

桂馬「──もう送信した。舞島市周辺の名士にな。
    お前のイキまくったトロ顔映像も。
    ……これでもう、お前はセレブの世界には戻れない」

美生「ああ…………
    (……私、パパの言ったこと、守れない……
      こんなことになって……パパの言う『青山家の娘』には、
      もう……なれないの……)」

  ついに涙をこらえきれなくなった美生。

美生「ひくっ…ヒグッ…」

桂馬「観念したようだな……(ふぅ。やっとか。手を替え品を替え、たいへんだった…)」
 

 
美生「……(…もう、終わりね………私………こんな……っ…)」

桂馬(よし、完全に心がまいってるな、…勝負をしかけるぞ)

  桂馬が、制服の内ポケットから、
  大きなナイフをおもむろに取り出した。

桂馬(にこっ)

美生「ひっ……」   刀身の表面に、美生の恐怖にゆがむ顔が映る。

エルシィ(……!)
 

 
桂馬「“青山美生”… ひとおもいにやってやる!」

  ナイフが、勢いよく振り上げられる。
  
  美生は、よけようとも叫ぼうともせず。
  ただ、折れた心で、祈るように両手を合わせ、きつく目をつむった。

美生「……(殺せばいい……! もう、私なんて)」

美生「―――っ」

桂馬「……」

   トンッ、と。

  振り下ろされたナイフは、低い音を立て、美生の顔のすぐ横の、木製の柱に突き刺さった。


美生「……?」  
 

  美生の、わざと残してあったイラハン(髪)を切って。

  
  ゆっくりと、目を開け、怯えた顔で、ぱらぱらと肩に落ちる、金色の髪を確認する美生。
 

 
桂馬「……」

桂馬「青山美生は、死んだ」

桂馬「青山家の令嬢はこれで……『死んだ』んだ」 「だからおまえは、
    もう、“青山美生”として生きる必要はない」

美生「そ、…」

桂馬「お前はこれから庶…」

美生「そんな…」
   「安っぽいこと言って、……ドラマじゃないのよ」

桂馬「…っ」

美生「(……本気で、……私、 パパを追って、死のうと思ったんだから……)」
 
   一度は決めた覚悟を裏切られて、呆然自失からヒステリーへ転換し、
   桂馬のナイフに向かってぴょんぴょんと手を伸ばす美生。
 

 
美生「この……よこせ………っ」

美生(私を……さんざん、はずかしめて、あ……あんな気もちにして!)

美生(あんなの、もう嫌だ、あんなになるくらいなら、パパのところに……)


   顔をさらに近づけ、低く強い声で、桂馬は言い聞かせる。

桂馬「ボクが殺すまでもなく、青山美生は、死んでる…!」

美生「…っ」  その気迫に押され。
 
桂馬「美生、おまえは……あのパンを食べてた。消費期限が切れて
    まずくなっているオムそばパンを。もし、お前の言う本当の、
    気高い、金持ちの青山美生なら、食べないはずの…。それを
    おまえは何個も食べてた。あさましく。その意味が分かるかっ」

美生「……っ……なによ…」

桂馬「おまえは貧乏な“庶民”だ。 お嬢様じゃない、立派な庶民だ。
    人前では、社長令嬢を気取っていたけど、誰も見ていない、お前自身の
    中でこそ、“青山美生”は、もういないんだよ!」

 
 

 
桂馬「青山中央産業・青山有里社長の娘、美生は、
    父親の後を追って、気高く飢えて、
    ……ボクにナイフで刺されて、死んだ。
    それでいいだろ!
    ボクが殺してやったんだ……ボクの手の届かないところにいる美生はっ。

    今のおまえは、青山とは関係ない、誰でもない、ただの“庶民”だ!
    ボクと同じな!」

美生「なによ……なによなによぅ! いわないで…」
 
桂馬「……」

美生「…………っ」

美生(……言われなくても………)

美生(…そうよ……ぅ………とっくに、私なんて……桂馬の言う通り)

美生(……パパ……)
 

 
美生(パパだけじゃない、私も『死んで』たんだ……)
 

美生(…私……死んだんだ……)

 
 

 
   小学生のように泣く美生。その肩をつかみ、落ち着くのを待ってから、ささやいた。

桂馬「“美生”…別のおまえに変わるために、もってきた」

 
 
 エルシィ(……はい、今回のプレゼントですね)

 

   美生に、ふぁさりと、黒髪のウィッグがかぶせられる。
   “青山美生”の、ロングヘアーの金髪ツインテールとは正反対に、
   黒い、ボーイッシュなナチュラルショートの髪型。

 
 
美生「……え?」



   ◇  ◇  ◇
 

 

     < 回想 >


   桂馬『いいかエルシィ。 今回のいい言葉を教えてやる。
       【 陵辱ヒロイン 魔改造フィギュアが ごとくなり】
       陵辱調教というのは、ヒロインの自己像を塗り替える行為なんだ』
   エルシィ(しゅみわるいです~)
   桂馬『暴力やセックスで、ヒロインもっている要素を奪うのが陵辱の
       メインだが、“引き算”だけでは足りないときもある。
       ものを改造するのに、切ったり削ったりするだけで完成しない。
       削った分、新しい要素=パテを足してやって、
       自分の好きなように塗り替えてやるんだ。
       そのために、陵辱“する”側が、陵辱“される”側に、
       “プレゼント”をすることがある』
   エルシィ『あ! 歩美さんのときと同じですね』
   桂馬『ただし、ノーとは言わせない、プレゼントする側が上だ、
       そこが純愛とは違う。
       調教で心も体もへろへろになったところを狙って、
       ヒロインに、プレゼントとともに価値観をムリヤリ
       受け入れさせるんだ。
       プレゼントであっても、それはムチと同じだ』
  
   桂馬『……“髪”というのはヒロインの人間そのもの。美生にはこれを利用する。
       ゲームの場合はキャラを髪型でしか見わけられないことがあるな。
       つまり、髪が変われば、別人になれるんだよ。はい解説終わり』
   エルシィ『またゲームの話…』
 

 
  ◇  ◇  ◇
 
  毛先に柔らかいパーマのかかった黒髪の、ショートヘアの美生。
  前髪で、おでこが隠れている。
 
美生「……(鏡に映った私、まるで別人みたい……)」

エルシィ(う~ん……そういう色メガネで見れば?)

美生「……(これを考えて、私の髪を切ったの?
    “青山美生”を、消して、私を、別の人間として
     生まれ変われるように)」
 
桂馬「お前は、これで“庶民”になるんだ………」

  鏡の中の、黒髪美生に向かって、キラリとしたスマイルをつくって話しかける桂馬。

美生「……」


美生「…………ぅん…」
エルシィ(うわー……顔でゴリ押しした。ずるいです~)
 

 
  ◇ ◇ ◇

美生「……」

美生「……まぇ」

桂馬「…………どうした?」

  桂馬の言葉をさえぎって。
 
美生「……名前、ほしい」


  正面から向き合っては、話しづらいのか、鏡に映った彼に向かって言った。

 
 
美生「私、もう“青山美生”じゃないのよね、なら、新しい名前、桂木、桂馬、お前がつけて?」


桂馬「…」

  変なことを言ったかもしれない、と顔を真っ赤にする。
 

 
美生「……だ、だって、“青山美生”はパパといっしょに、死んだから」 「私、……誰?」 
   「名前がなきゃ……」 「…庶民の名前なら、お前みたいな庶民が考えたほうがいいでしょ」


美生「だから…つけてくれたら……その名前を、私、これから……名乗る」

 “親離れ”の第一歩として、ゲームの某高貴なる女性騎士ライトニ○グさんのように、
 親からもらった名前を捨てて、現実逃避しようというようである。
 
 桂馬は、一転、暖かく微笑み、美生のデコをつつく。

桂馬「 『付けてください』だろ。もう、青山美生お嬢様じゃない、ボクと同じ庶民なんだから」

エルシィ「…」
 

 
桂馬(会話の流れによっては使おうと思ってた展開だ。自分から言ってくるとは。リードしてくるな)
 
美生「もう…。………つけて。……“ください”」  鏡の向こうの桂馬に向かって、ぼそりと言う。


桂馬「よし…」

    一拍おいて、バラエティを提供する。
 

桂馬「例えば、夏目麗香」       美生「……気に食わない」
桂馬「雛月咲蘭」             美生「…却下」

エルシィ(それ、昨日やってたえっちゲームの名前ですよね……神さま……)

 
 

 
桂馬「姫野優里」         美生「もっと庶民っぽいのになさい」
桂馬「都万川美央」       美生「なんかイヤ!」    エルシィ(前世の名前……)


 美生「ばか…っ」


   美生は、振り返り、鏡の中の桂馬ではなく、
   本物の桂馬に、しびれを切らしたように、言った。

美生「……“かつらぎみお”でいいわよっ」

   なぜそんなことを口走ってしまったのか、 言った後から、
   自分でも戸惑っているような美生に、桂馬は唇を合わせた。
   桂馬にとっても、向こうからそんなことを言われるのは、本来の展開ではなかったが、
   美生の心のスキマが埋まり、体から、駆け魂が追い出される。

エルシィ「(決まりました、“陵辱で ツンキャラの鎧 ぶっこわせ” 攻略……
       もう私ちょっと、ついていけませんけど) 神様、やっぱりすごいです」


エルシィ「……駆け魂、勾留……!」


 美生(さよなら……パパ)
 

 
   ◇  ◇  ◇

  ~ エルシィ『で!』 ~


エルシィ「まーた自分で陵辱しておいて自分で救うとかいいだす『まっちぽんぷ』でしたね……」

桂馬「陵辱ルートの基本手法だ」(ゲーム機を取り出しながら)

桂馬「そのヒロインを苦しめ、そのヒロインを救う。
    純愛ルートは片方しかできないが、陵辱ルートは自分の責任で両方やる。
    だから強い。てっとりばやい」 

エルシィ「えー。ちょっと、わかんなかったです……」
   (※ エルシィは美生を『見栄を張っていただけ』 『屈服して神様を受け入れた』
      という理解をしている)

桂馬(……ボクも。 美生の心は、苦労して折ってやったはずなのに、最後はなにか、
    美生のペースだった)

桂馬「客観的にはどうであれ、ヒロインの中で救われたように思えればいい」
 

 
   ◇  ◇  ◇
 
エルシィ「……青山美生さん、あれから、記憶が消えてから……見に行ったんですけど、
      髪を黒く染めてました。運転手の森田さんの、養子っていうんですか?
      苗字も変わってて…」


桂馬「森田美生、か。 美生は、“庶民の子供”になったんだな」  (ゲームしながら)

桂馬(……あれだけ美生のワガママにつきあってたのは母親目当てじゃないよな?)

 
 
エルシィ「神にーさま…、あんなにいっしょうけんめい色々陵辱の方法考えて、

      なんだか、本当は、“桂木美生”になってほしかったんじゃないですかー
      きれーな子でしたから!」

桂馬「バ、バカいうなよ……ボクのヒロインはここにいる」 (※ゲーム)

エルシィ「そーですねー」
 
   初期エルシィ特有の桂馬いじりの表情

 
  ◇  ◇  ◇
 
  エルシィ(あとになってみると、この頃の神様には、まだ、 『初々しさ』というか、

         そーゆーところが、あったように思います。
         足を切ったり、髪を切ったり、ビデオをばらまいたりしますけど。
         それも『攻略のために理論上正しいから。これは後への布石なんだ』
         と、自分ご自身に言い聞かせるように、私にお話したりして。

         現実<リアル>の女の人にも、口では興味ないふりをしながら、
         実は……ときめいちゃってるよーな。そんな神様で。

         ……そこから神様は、どんどん、“人”じゃなくなっていったんだなーって)

  ◇  ◇  ◇
 

 
   エルシィ「――思えば、今回の“練習”のことで、私、『神さまは私が育てました!』
         って言えちゃいますね! ちょっと優越感ですっ」

    三頭身のデフォルメキャラになって、キリッ!とするエルシィ。

   桂馬「あぁ!? 徹頭徹尾アヘアヘないてただけのくせに。
       お前になにかボクに教えられるテクニックの一つでもあったか」  ぐりぐり

   エルシィ「ご、ごめんなさ~い」  う~
 

   エルシィ「か、神様、次の練習は、もっとやさしくしてくださいね……」 もじもじ

   桂馬「いらん。もうお前の体から学ぶことはない。
       疲れないし汚れないしセックスはゲームでやったほうがいい」

   エルシィ「……」

   エルシィ(すごい人です)

 

 
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


           中川かのん

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     エルシィ( そ、そして……にーさまの毒牙が……)

 
 
かのん「―――」

 
桂馬「さぁて、アイドル・中川かのんの、生放送ネット脱糞ショーのはじまりだ!」

かのん「やめて……桂馬君、…目隠しをとって」

桂馬「……かのん、これまでよくがんばってきたな。…ボクがきみを救ってやる。」ぎゅ。

かのん「ぁ……」
 

 
桂馬「このイベントさえこなせば、もうキミは『がんばる』必要なんて、ない。
    こんな電撃的な引退をしたトップアイドル、中川かのん以外には存在しえない。

    きみの印象は日本中、いや世界中に伝説として刻まれる。
    キミは誰にも存在を忘れ去られる心配はないんだ。

    そして、ボクはボクだけのアイドルとして、ずっとキミを見続けてあげる」

かのん「うぅ……みんなと、桂馬君が見てくれるミテクレルミテクレルミテクレル…
      ミテクレルミテクレルミテクレルミテクレルミテクレルミテクレル」

桂馬「さぁ、このスタンガンの電気ショックで、一気にスカトロだ」 にこっ

かのん「ががあぁぁァァアああ」 ブブブブッ

 
桂馬(カタキは討ったよ……かのんに消されたボクのセーブデータ……ヒロインたち…)

エルシィ「そんな――――
      あんなに可愛いかのんちゃんから、
      こんな汚いものがでるなんて。
      こんなくさいなんて。
      こんな醜い音がでるなんて (がーん)」

かのん「えへ、あへへ」 スパンっ スパン

桂馬 「どうだ、クソまみれのセックスは!? なにがアイドルだ、なにがスターだ、おまえはクソだ!」

エルシィ(………)  スーッと、表情を失っていく。



ネットの生放送を見てるちひろ「なに……これ…噂は本当だったんだ……最悪」

エルシィ「……幻滅しました。ファンをやめます」

 

  ~ エルシィ『で……。』 ~
 

桂馬「ふぅひと段落ついた…。まったくなんて臭いだ。これだから現実<リアル>女は。
    食糞もできるゲーム世界とはやっぱりちがうな。
    そもそもゲームアイドルならトイレにいかないくらいのことはできるぞ」

エルシィ「うわー、神にいさま、自分で脱糞させておいて無茶な文句たらたらですー」

桂馬「エルシィ、ボクはシャワーにいくから、部屋の牛乳浣腸とビチぐそを片付けておけよ。

    お前、かのんのファンだったろ?」
 

 
エルシィ「にーさまが片付けてくださいよー。『あの女』のきたないものは」ぶーぶー

桂馬 「──あ、『あの女』?」

エルシィ「はぁ。なんか、さめちゃいました。
      私、だまされてたんだ。
      アイドルなんてゆー、テレビのつくりあげた幻想に、偶像に。
      でも現実は、私のあこがれたかのんちゃんが、あんな臭くて、はしたない、
      だっぷんアヘ顔ヘンタイ女さんだったなんて。
      顔中くそまみれでゼッチョウしてるだなんて。
      あんな、どーぶつみたいに……
      ……リアルアイドルなんてさいてーです。
      ショックです。くやしいですっ。私がおこづかいやりくりして買った
      グッズ代返してくださいっ、えいえいっ、このサギ師! サギ師!」

かのん「痛い、痛いよ、けーまくぅん」  べしん べしん

 
 
 

 
   ◇  ◇  ◇
  
   エルシィ(───そこから攻略はどうしたかですか? 知らないです! そんなの!)
 


桂馬 『“嫌です”って、オイ。攻略を手伝わない気か? エルシィおまえ、自分の首がとんでもいいのか』
エルシィ『いーですよー』 『( “あんなの”、神様がちゃちゃっとやってくれますし)』
 

   エルシィ(心配しなくても、駆け魂はちゃーんと出ました。
         どーせこれまでどーり、神様が女の子が気分よくなることいって、
         ひどいじょーきょーで “すこっとらんど症候群” みたいになってて、
         体から気分よくなってた子は、ほいほい満足しちゃったんです)

   エルシィ(アイドルなんて、一皮むけばそのへんの女の子と同じなんです。) ヤレヤレ

   エルシィ(てゆーか、神にーさま、顔と頭がよくて、口がうまくて、
         せっくすがうまくて、そんな人になんでもやってもらえて、
         攻略できてあたりまえじゃないですかー)  やさぐれ
 

 
  ~ エルシィ『で……。』 ~

     ◇  ◇  ◇
 
  エルシィ(それからというもの、アイドル・中川かのんちゃんの仕事は減って
        いきました。ざまーみろです。出てる番組はチェックしてますけど、
        あきらかに『落ち目のアイドル』さんです!
 
        広まった『すかとろびでお』は、攻略後の新地獄の操作のおかげで、
        ちまたでは 「よくあるそっくりさんモノ……?」
        「画質悪いし」 「事務所は否定してるし」 と収まりましたけど。
        週刊誌にも取り上げられて、結局ウワサは消えなくて、なにより、
        かのんちゃん本人が、ちょっと雰囲気変わっちゃったことが、
        りゆーだと思います。テレビみててわかります。

    『陵辱ルートで全てを奪ったあとに残るもの、それがそいつの本物の心なんだ』

        さいしょの歩美さんの攻略のとき、神様がこうおっしゃいました。
        ……だから、かのんちゃんは、それでも、アイドルをやめないんですね。
        たとえ恥ずかしいウワサが立っても、みんなの、スターでいたいって。
        ……やめちゃえばいいのに…)

 

 
  エルシィ(私、かのんちゃんがすごくすごくキライです!

        だって、もしも例えば、小さいワンちゃんを、「かわいい」
        「かわいい」って、いっぱい可愛がってたのに、そのワンちゃんが、
        オスと一緒になったとたん、あんなふうに後尾にふけってたら
        一気に冷めます! いま、そんな気持ちです!
        ……神様によれば、私、“あいどるあんち”というのになってるそーです!

        でも、熱が冷めてみたら、わかりました。
        300歳を超える悪魔の私が、あんな子に夢中になること自体
        おかしかったんですよ~。 これがふつうです。
        それなのに、私ったらまんまとダマされて……。

        神にーさまっ、かのんちゃんの正体を暴いてくれて、
        教えてくれて、ありがとうございましたー)

 
 

 
  ◇  ◇  ◇
 
麻里(桂馬の母)「エルちゃ~ん、かのんちゃんの “お天気少女”、始まるわよー」

エルシィ「はいー!」

   テレビに映った中川かのん 「 ♪ か ・ の ・ ん ! 100パーセント ♪ 」

エルシィ(かのんちゃん……かのんちゃん…。
      きたならしいです……こんな、かわいい顔してみんなをだまして……
      はぁぅっ……かのんちゃんの、おしりの穴から茶色くて汚いものが
      どんどん出てくるところ、私、生で、この目でハッキリ見たんですよ……?
      こんなファン、私だけですっ。 この子の本性、きたならしいところ、
      わたし知ってるんですからー!) ぷんすかぷんすか


麻里「最近、ますます熱心に見るようになったわねぇ……」

桂馬「アンチの執着心は……ファンを超えるな…」

 

 
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           汐宮栞

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 
 
栞「……」「……っ」



エルシィ「あのっ……、神さま。 栞さんにも、取り返しのつかない、
      ひどいことするんですか…?」

桂馬 「なんだよやぶから棒に」

   前回、かのんのことで思う所があったらしく、
   腰を90度折り曲げて頭を下げるエルシィ。

エルシィ「やめてあげてください、お願いします! ……どうか、お気持ちをおさえてください。
      栞さんは、私にめいっぱい、しょーぼーしゃの本、教えてくれた、いい人です!
      ひどいめにあうところ、見たくありません」

桂馬「ボ・ク・は・な。
    おまえに付き合わされて嫌々攻略をやってるんだ!
    ボクが好きこのんでリアル女子を手にかけるサイコパスか
    なにかみたいな言い方はやめろ!」
 

 
エルシィ「え、ちがうんですか…」
 
桂馬「……今回は必要もない。栞は最初からカタワだ。失語症。脳カタワ。
    手間が省けるいいヒロインだ」

エルシィ「じゃ、じゃあどうするんです」

桂馬「普通に攻略するさ。普通に犯す」 

エルシィ「ふつうってなんでしょーね」(哲学)
 

桂馬(…ボクに、普通の恋愛ができると思うのかあいつ)
 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~

 
 
  図書館。外はまだ明るいというのに、柱の陰で、婦女暴行が行われていた。


栞「…っ!」 「…んぁふぅ…」 「…!」 「…………!」 クチュッ クチュッ……

桂馬「どうだ。栞。恥ずかしくて声も出ないか」 「ふふっ、ココなら死角になって
    外からは見えないだろ……」 「それとも? 見てもらいたいかな?」   ぱんッ、ぱんっ!

    神モードの手つきで、乳首をつまみ上げる神にいさま。

栞「…!」「…」「やめれ…くだされ」「……っっ (///) !」

エルシィ(すごい……こんなバレそうなところで……。
      誰かに偶然みられたらどーするんですかっ。 神さま、人生捨ててます…!)

桂馬(ばれそうなほど、ヒロインはドキドキするもんだ。
    ドーパミンが分泌されて、脳が恋愛してると勘違いするって
    陵辱ゲームのレイプシーンにあったんだよ)
 

  
  ~ エルシィ『で!』 ~
  
エルシィ「にーさま絶好調ですね……! 栞さん、完全に
       “はつじょーしたメス”の顔でしたよ。

      はぁ~。思えば、これまでの宿主さんたちは、
      なんだかんだで、気の強い方々でしたから、
      だから、くっぷくさせるために、いろいろ取り返しの
      つかないことを神様にされてしまったんです。
      ホッとしました。 元々おとなしい栞さんは、
      れいぷだけで済んでラッキーですっ」(※既に感覚が狂っている)

 
 
   二頭身のデフォルメキャラになって浮かれているエルシィに、

   顔色の悪いままゲームをしている桂馬。

桂馬「何言ってるんだよ。まずいぞ。 栞のやつ。これまでで一番の強敵だ。
    ~『物言わぬ 文系女子の胸の内 レイプで叫ばせ 吐かせたれ』~作戦は失敗だ。
    犯されれば、声を出して助けを呼んだり、外向きになるかと思ったが、
    栞は予想を超えてきた。あいつ、陵辱に順応している」
 

 
エルシィ「じゅんのー?」

桂馬「栞は現実<リアル>よりも陵辱を受け入れて、陵辱が何の意味も成さないんだ。
    陵辱攻略の前提は【極限状態に追い込むことによって、判断力を失わせる】
    ことなのに。そうもならない」
   
エルシィ「栞さん、りょーじょくされて変化ないんですか? えぇ?」

桂馬「栞の知識は膨大だ。抽斗が多い。ゲームが知識の源のボク以上かもしれん。
    例えば文学なんて性倒錯多いだろ。(※ゲームの知識)
    ボクがレイプすると、心が乱れて、現実に引き戻されるかと思ってたのに、
    あいつは、逆に頭の中のライブラリから似た本を見つけて、
    浸ってるんだよ空想の世界に」

エルシィ「すごい人ですねぇ」

桂馬 「感心してる場合か。
     あのムッツリスケベ。ふん。いいさ。
     陵辱ゲームの歴史は、本の歴史に比べれば100分の1に満たないだろう。
     だが陵辱ゲームは、本に負けない! この日、勝負に出るぞ。
     エルシィ。灯油買ってこい!」
 

 

 
 
  \火事だー!/   \火事だー!/

 

エルシィ「“負けない”って、物理攻撃じゃないですか………図書館が……火の海です」

桂馬「ふふ……もっと燃えるがいい………」

 
藤井寺図書委員長「なにこれ、視聴覚ブースどころの騒ぎじゃない…!」
 

 
   ◇◇ 図書館内 ◇◇

栞「………。
  ………(わ、私はなにをしているのだろうか…)
 (視聴覚ブース反対のために……) (“立て篭もりスト” をしたはずなのに)
 (図書館が大火事……) 
 (これ、状況的に、私が犯人ってことに?) (きっと) (みんなそう思うかも)
 (度を超えた無口で) (なにを考えてるか分からない“危険人物”が)
 (“思い通りにならないならば、いっそすべてなくしてしまえばいい”と) (図書館に火をつけた)
 (私、きっと捕まって、女子少年院送り……)
 (う……)
 (ううん、そんなはずないわ) (こんなの)
 (きっと、話せば分かってもらえるはず……)
 (って、なにいってるの、私、うまく人と話せないじゃない……)
 (そうやって、あのときも、花瓶だって私のせいにされて……)
 (……)
 (恐くて出て行けない…)

 
  

 
栞「……(煙が…) (火が……)  (本が…燃えて………)
  (だめ)  (こんな、消火器じゃ、焼け石に水がごとし…)
  (それに空気が熱くて、火に近づけない)
  (本が……大切な本が…)  (もうだめ…)
  (私……なんのために戦ってたの……)
  (ううん、戦う前から)  (おしまい…)」


   栞がすべてを諦めて、うずくまったとき、
   ドアを消火器で破り、男が現れる。

桂馬「……」

   炎を背にし、暗い人影となって。

栞「……!」

 
 

 
   ~ エルシィ『で!』 ~

栞「……(銀のナイフが、私に牙を向けている)
  (炎の熱気と灯りを感じながら……)
  (火の光を反射する…) (刃を) (…つきつけられて)
  (炎のように狂った彼に……) (私、犯されてる)」 パンッ! パンッ!

桂馬「しおり……いいぞ」

栞「はぁ……はっ……んっ……」 くちゅくちゅ

桂馬「……(で、いつまで『逃げたい』って言わないつもりだ…?)」

栞「んぁ……(すごい…) (すごい、すごい) (まさか自分の人生に、
   このようなシーンがあろうとは)」  脳内麻薬ドパー

栞「……(私の『紙の砦』は) (暴虐な焔の侵略に) (あっさり陥落して)
  (私の中まで、攻め込まれてしまった)…」 ぐにっ、ぐちゅ!

栞「……いぅっ…ンふっ… (まるで) (物語のクライマックス……だわ…) 」

栞「…」 びくんっ

桂馬(まさか、……このまま死ぬつもりじゃないだろうな) ぺろぺろ
 

 
 
栞「……(あそこで燃えてる本……中原中也……)」


栞「――――……
  (汚れちまった悲しみは
   なにのぞむなくねがうなく
   汚れちまった悲しみは
   倦怠のうちに死を夢む……
 
   ──そうよ。私は、愛に狂った美男子に、犯され、刺され
   私の分身であるこの図書館と共に焼け落ちて、灰になるの。
   数多の知識と、運命を共に……)……ふぅぅうっ」

桂馬「しおり……」

  栞の興奮が最高潮になり、ついに絶頂しそうになったところで、
  腰の動きを止める桂馬。

栞「……(え)」

  栞に覆い被さる体勢のまま、うつむく。

桂馬「負けたよ……」
 

 
桂馬「ボクは、栞に振り向いてほしくて、いろんなことをした。
    本にラクガキをしたり、言葉で挑発してみせたり
    栞がボクを相手しないで、黙ってるから エスカレートして、こんな暴力まで……
    この火事の中、ボクは、今、栞を助けたら、気にしてもらえると思って、
    無我夢中で飛び込んできた。それでも、栞は……。ボクは……。
 
    ボクのやったことは、子供だった。
    ただ単に、栞をますます本の世界に閉じ込めてしまったみたいだ」

栞(え?)

桂馬「……うぐっ……ひぐっ……うう……」

   “レイプ後の罪悪感”で泣き出す桂馬……
   眼鏡を外し、袖でぬぐう。

   驚きに、目を見開く栞。

桂馬「栞……、大好きだ……、でも、栞が、ボクを見てくれないというのなら」

   ナイフを、自分自身の首に突きつける。
 

 
桂馬「…………栞、さよなら」

栞「……まっ」

栞「……」

栞「……ぁ……」
  
栞「……」

桂馬「……(早くしゃべれ)」

栞「……とっ」

桂馬「……(よし)」

栞(と、図書館が燃えても……)

桂馬「……(……)」
 

 
栞「で、電子書籍とか……あるから」

桂馬「……(おっ)」
  
栞「勇気……出して……ください……」

桂馬「…! ……」

栞(私には……できないけど)

桂馬「……うん」

栞「……」

   火の手が、栞に迫る。

栞「桂馬君なら、できるから……」

   桂馬は、火より先に、栞の顔を手のひらで撫でた。

桂馬「そうだな……見ててくれ」
 

 
   ◇  ◇  ◇
 

エルシィ「……攻略のために、図書館まるまる火事にするなんて……
      邪魔が入らないし、人に被害がでないようにって、休館日を選びましたけど……」

エルシィ「せっかく教えてもらえた、しょーぼーしゃの本が……うー……燃えていきます……」 落涙


      ウ~ウ~  ウ~ウ~ ウ~ウ~  ピーポーピーポー

エルシィ「あ、本物の消防車がいっぱい来ました! やったー!」   ぴょーん

                バシュッゥウウ……

エルシィ「か……駆け魂がでてる……、 本物のしょーぼーしゃ、すごく名残惜しいですけど、
      勾留しなきゃ、待てー!」
 

 
   ~ エルシィ『で』 ~


エルシィ「もっとしょーぼーしゃ見たかったですー!
      にーさまー、もうちょっとのんびり、駆け魂出してくれて
      よかったのにー」 

  初回のハクアほどではないが、駆け魂勾留時の初動に失敗し、
  時間がかかってしまったエルシィ。

桂馬「うるさい。のん気なこといいやがって。
    こっちは火の手に迫られながらのセックスだったんだぞ、
    本当に死ぬかと思った。
    失神した栞を抱えながら脱出して、救急に渡して……。
    普通なら、火なんて、触れてもせいぜい1~3ダメージだろ。(※ゲームの話)
    なのに、現実<リアル>の火事は、煙を吸い込んだだけで、
    ヘタすると気道熱傷や有毒ガスで一撃死!
    これだからリアルはいやだ」 (煤だらけでゲームプレイ中)

エルシィ「お、おつかれさまです」

桂馬「駆け魂を採るのに手間取ったのは、どーせおまえが消防車ばかり観て
    ぼけっーとしてたからだろ」

エルシィ「うぅ……どーしてわかったんですか…(図星)」

   ※ このあたりから上下関係が固定されてくる二人。
 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~

   ◇◇ 屋上 ◇◇


エルシィ「……火事で焼け残った本と、寄付してもらえた本とで
      新しく、臨時の図書室を西校舎の中につくるそうです」

  反対側の校舎の屋上から、栞の様子を確認するエルシィ。
  汐宮栞は、相変わらず静かに書見にふけっている。


エルシィ「栞さん。……前向きになれたんでしょうか?」

桂馬「さぁな。でも―――」

桂馬「前向きになんてならなくていい、勇気が出せないやつは、
    自分ががんばることはできなくても、他人に、無責任に、
    がんばれといって、それを眺めて生きることはできるんだよ。
    けっこう楽しくな」

  ゲームプレイしながら。

桂馬(“ヤンデレ”作戦も失敗した。でも、栞の心は埋められた)

桂馬「……あいつ、ボクに何を期待したんだか。
    ボクに小説の主人公みたいな奇行でも取らせて、
    それを眺めていたかったのか? ありえん」
 

 
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            春日楠

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エルシィ「今回は難しそうですよ。春日楠さん、

      ――古式武術 【春日流羅新活殺術】 の継承者で、
      いわばにーさまみたいな“レイプ魔”の天敵みたいな人です」

桂馬「甘いな。楽勝だ。ああいう強い女タイプ。あきれかえるくらい定番そのものだ。
    陵辱ゲームの王道・いわゆる『女騎士』系キャラだな。
    もうレイプされるために生まれ育ったような女だぞ」


エルシィ「神様の女性に対する感覚が日増しに酷くなってる気がします…
      陵辱げーむのせいで…」

 
 

 
桂馬「ここはまず、自分がしょせん『オスには結局は絶対どうあがいても勝てないメス』で
    あることを知らしめるため、スパンキングだ!」

エルシィ「うぅ! 羽衣で押さえておくのも大変です! なにが楽勝ですか、
      にーさま戦ってないじゃないですかー!」

楠 「く、殺せ……もう殺せ」 スパンスパン! スパパパパパ!

エルシィ「あっ。おしりを叩く腕がいっぱい……これが神様の、本当の姿……“落とし神”!
      って、ちがう! そうだ、あれは残像……手の動きが速すぎてたくさんに見えてるんだ」

楠 「んぅっ! な、なんという技だ……こんな……こんな……っっ」

分身の楠「…いい」
 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~


   ◇  ◇  ◇


分身の楠「…ほおら。幸せだろ。素直になりなよ」

  みずからの分身に羽交い締めにされている、楠。

楠 「うぅ……」


  足を大きく広げられ、男性自身を受け入れる体勢をとる。

桂馬「よっ、と。サンキュー。ラクできた」

分身の楠「いいっていいって」

桂馬「師匠(笑)、入りますよ……」  ずぬっ
 

 
桂馬「なんだ、締まりはふつうだな。ここは鍛えてなかったか」

楠 「く……ぅ」  人生最大の辱めに、涙がぽろぽろと落ちる。


楠 (……そうだ。女の私がどんなに努力をしても、こんな男にすら到底敵わない…)

桂馬「どうですか、楠主将。“落とし神モード”の手技とセックスは。感じるでしょう」


楠 (私なんて、どうせ弱い。そんな、ムリに強くなれなくてもいいんだ……)

桂馬「楠主将。愛してますよ」

  楠は、諦めたように女の顔になると、キスを受け入れ、駆け魂が飛び出していく。


エルシィ「駆け魂、勾留……。ほんとに楽勝でした…。でも楠さん、
      あなたを押さえた私も、分身さんも、女ですー……」
 

 
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      ハクア・ド・ロット・ヘルミニウム

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  ◇◇ 旧校舎・劇場 屋上にて ◇◇



  地区長ハクアが勾留に失敗してしまい、逃げ隠れながら巨大に成長した駆け魂。

  その駆け魂に、あやつられてしまった生徒たちと、ハクア自身、捕まった桂馬。
  エルシィが、屋根の上、それらにたった一人、対峙していた。

 
ハクア 「―― ―― ――」 ゴォン……ゴォン……

 
エルシィ「う~ 神様、 どーしましょー! ハクアがー」

桂馬 「…この偽エリート、悪魔のクセに、駆け魂に操られるか」



ハクア 「――― ―――」
 

 

ハクア 「―― ――」  ひょい

エルシィ「あ、あ~ ハクアー! 勾留ビン返して!」

ハクア「―― ―― ――――」


エルシィ「神様~~、だめですー、ハクアと生徒さんたちを
      相手しながら駆け魂も捕まえるなんて無理です~」 じたばた

桂馬「エルシィ! 弱音を吐くな……」


桂馬「いま、お前が相手しなきゃならないのは、たった一人だ!」

エルシィ「…?」
 

 
桂馬「ハクアだ。
    ハクアは今悩んでいる。
    自分のどうしようもない無能さに。自分のみじめさに。貧乳さに。
    心にスキマができて、駆け魂に利用されてるんだ、
    エルシィ。お前が、ハクアの心のスキマを埋めるんだ!」


ハクア「―― 私ニ 触ルナ ―― 私ニ 近ヅクナ ―――」


エルシィ(ハクアが悩んでたなんて、私、知らなかった。

       助けてあげなきゃ……
       悩んでる私に、空の飛び方を教えてくれたハクアを…
       今度は、私が助けなきゃ!  助けなきゃ!!
       助けなきゃ!!!

       でも、どうすれば……)
 

 

エルシィ(…!)
      (そうだ、神様なら、神様なら、こんなときは……)

   これまでの攻略を、高原歩美を、青山美生を、
   中川かのんを、汐宮栞を、春日楠を、“落とした”ときの、
   『落とし神』の様子を思い出す。
   そして、桂馬の後ろで観てきた幾多ものゲームの攻略を。
  

エルシィ(私も……私だって、神様みたいに……!)
 
ハクア「────もう。お終いよ…!」

桂馬 「行けエルシィ!」

エルシィ「やあああああああ!」 がばっ!

ハクア「!!?」
 

 
エルシィ「ちゅ!」

  唐突なキス。

ハクア 「!?!?」 たじっ

エルシィ(そうです! 神様は! 神様はこうやっていましたーー!)

   完全に目がグルグルマークになって、興奮状態のまま桂馬のマネをするエルシィ。

ハクア 「え! ちょッ、放し…!」 わたわた

エルシィ「んちゅぅ、れろれろ、ぷはっ! う、うぇ… はぁ、はぁ! !」

ハクア 「え、ええ、エルシ…」
 

 
エルシィ「うーっ、だ、黙ってて下さい、こ、このがりべんさん!」 ペチン!

ハクア 「!!」  平手打ちをされ、キョトンとする元エリート。

   エルシィは、頭が真っ白になり、トランス状態になって、
   ハクアに目を覚ましてほしくて、ぽこぽこと叩く。おまえが目を覚ませ。

エルシィ「ハクアは、むのうです! ぐずですー! かってに失敗する
      だけじゃなくて、神様や、私まで危険にさらすなんて」

ハクア 「……(なに!? さっき私、キスされたの? 私のファーストキス…!?
       エルシィに奪われた!? 女の子に?)」  かぁぁぁあ

   ショックで、まだ、自分が置かれている状況に頭が追いつかない。

エルシィ「れいぷしてあげます! くっぷくさせてあげます!」 がばっ

ハクア「きゃぁ!」 もつれあって転倒するふたり。
 

 
エルシィ「むのーな! ハクアは! 5匹も捕まえてるミラクルすーぱー
      コンビの私たちの『奴隷』になっちゃってください!
      “せーどれい”です!」

  門前の小僧習わぬ経を読むがごとし。桂馬のゲームプレイをいつも
  間近でみていたため、陵辱ゲームのワンパターンなセリフ回しを
  自然と覚えていたエルシィ。どっかのゲームで見たようなセリフを言い、
  発情した犬のようにかくかくと腰をぶつけながら、“ご主人様” になりきる。

エルシィ「ハクア! どれーになれば、なにも悩む必要ありません!
      なにもかも、私たちの言うとおりにすれば、
      ちょっとは駆け魂めぐんで、ハクアにも
      エリートのフリさせてあげますー!!」

  ハクアは顔を赤らめる。

ハクア「ぁ……あ…………(それ、ほんと…?)」

  ハクアの中で、ちらっとエリートに戻れることへの欲が出て、
  代わりになにかが崩れ落ちていく。
 
桂馬(い、意外といいぞ……、そうだ、陵辱は、相手の心根にある欲を刺激してやるんだ…)
 

 
   発狂状態のエルシィ。

エルシィ「さぁー! がりべんさん! 足をひらけです!」 ぺちんぺちん

ハクア「ぅぅ……ごめんなさい……エルシィ………やさしくして……」

桂馬(こいつチョロイ……というか同性でもいいのか)
 
エルシィ「エルシィじゃないです! エルシィ“様”です! むー!」 ベチンベチン!
 
ハクア「ごめんなさい、エリュシア様! じゃない、エルシィ様ー!(……なんで『愛称』+『様』なの?)」
 
エルシィ「はぁはぁ、ハクアぁ、私よりおっぱいないくせに、偉そうに
      しないでくださいー! もーめちゃくちゃです。
      みせてあげます! これが、おお、『落とし神もーど』です!!」
 
  1秒間に3連打程度のスピードでハクアの股間をいじくるエルシィ。

ハクア「きゃあーー(※効いてる)、痛い……やめて、ごめん…、
     これまで、偉そうにしてすみませんでした、
     許してください、エ、“エルシィ様”!」
 

 
桂馬「エルシィ! もうハクアの心のスキマから駆け魂は追い出されてるぞ!
    すごいあっさり埋まった!」

エルシィ「え?」

エルシィ「……えっと、この後どうしたら……?」
 
ハクア「うう……ごめん、ごめんね、エルシィ…様。私の失態でこんなめいわく…!
     わ、私が生徒たちを止める、から!
     駆け魂勾留の手柄はどうぞ」 半泣き

エルシィ「と、とーぜんです!」

ハクア「えぃ! ハッ」   駆け魂に操られていた生徒たちを拘束していく。
桂馬(……ボクまで拘束するな)

エルシィ「す、すごいハクア……みるみるうちに生徒さんたちが押さえられて……
      これなら…いけます!
      せーの、駆け魂、勾留ー……!」
 

 
   ◇  ◇  ◇
 
  普段の彼女からは考えられないほどしおらしく、屋根の上で正座しているハクア。
  今回のことが、相当なショックだったようだ。 いろいろな意味で。

ハクア「……あ、あの。 …エルシィ…さ……ま…
     迷惑をかけて、助けてもらって……ごめ…」  しょんぼり

エルシィ「え?
      そんな、ハクア~。それはもういいんだよ、
      私、神様の攻略のマネしただけで――」

ハクア「?」

エルシィ「この駆け魂だって、もともとハクアの…」

桂馬「待てエルシィ。 その『設定』は残しておいたほうがいい」

   腕を組み、高笑いしてみせる桂馬。

桂馬「思い知ったかね、偽エリートのハクアくん。
    反省できたら、これからは、“エルシィ様”とボクの言うことに絶対服じゅ…」
 

 
ハクア「誰があんたの言うことなんか聞くもんか!」 げしっ

桂馬 「ぶぐぇ」


ハクア「…」
ハクア「…おまえ、嫌なやつね! 私の秘密、エルシィにバラして。
     いま分かったわ!
     エルシィがおかしなこと言ったのも、おまえのせいでしょ!」

エルシィ「そんな。確かにそうだけど…」

桂馬 「くっ、攻略が中途半端だとこうなるんだ……。分かったかエルシィ…」 ボロボロ…

ハクア「覚悟しておきなさいよ」

  エルシィに口づけされたくちびるを、恥ずかしげにぬぐうハクア。

ハクア「いつか、おかえししてあげるんだから!」
 

 
  ◇ ◇ ◇


エルシィ(それから、ハクアは、私の家 ((←※もう完全に家になじんでいる))
      に遊びにきてくれるようになりました!)
 

エルシィ(“始末書”をつくるときも、つごーの悪いところはごまかしながら、
      すごく私をかっこよく報告してくれました!)
 
ハクア「……」

エルシィ(でも、たまに変な目をするようになって……。なんでしょう)


  ◇ ◇ ◇

 

 
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


           小阪ちひろ

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 
 

ちひろ「ぎゃああ、やめろ、しねしねゴキブリ男!」
ちひろ「自分がなにやろうとしてるのかわかってんのか!」

桂馬「んー? ボク、『ゴキブリ男』だからわかんないなー。
    ゴキブリにとって、足の1本や4本、大したことじゃないからっ!」

  ―――両手で、長さ90cmの大斧を振り下ろす桂馬。
  頭重量4kgのブ厚い鉄刃が、ちひろの左腕の二頭筋を、
  そして上腕骨を切り裂いて、床に突き刺さった。

   ぐつん!

ちひろ「あ゙あ゙あ゙あ!」

  持ち主から切り離された左手が、ピクピクと把握反射のような動きをしている。

  四肢の根本は、切断のだいぶ前から、止血のため、ギチリと羽衣で縛られていた。
  肉の焼ける匂い。
 

 
エルシィ「に、にいさま、やっぱり、りょーほーの手足はやりすぎですよ…」
 
  返り血がこびりついた眼鏡を外し、 神は真顔で持論を語る。
 
桂馬「言ったろ。 (眼鏡フキフキ)
    ちひろは、個性がないから、攻略のしかたが分からない!
    ならば逆転の発想! なければ個性をつくればいい。
    ……『ダルマ』という、誰よりも強烈な個性をな!」
 
   ぶんっ
 
ちひろ「み゙ゃぁああ゙あ゙あ゙あ゙」  少女の左足がぱくりと割れる。


エルシィ「……にーさま、この前、ちひろさんに悪口いわれて、
      すごくすっごく、落ち込んでました……何日もヒキコモって」

 
 

 
 
エルシィ「…………あの、これ、“私怨”では?」



桂馬「……」
桂馬「ば、バカ言え! ボクが現実<リアル>女なんかに心乱されるわけないだろ!?
    これは攻略に必要だから、“やむを得ず”やっているんだ」
 
  ブンッ ブゥン!

ちひろ「ゃおぉおおォオ……カハッ、ハっ…」

  何度もオノを振り下ろし、数回かけて、右足がザクザクと切り外される。

エルシィ「……ほんとうは?」

 眼鏡をやっぱりつける。
桂馬「……少し」
 

 
ちひろ「やめ゙て……右手は……みぎでだげば……」

  怯えるちひろに、しゃがんでニコリと微笑みかける“落とし神”様。

桂馬「……なぁちひろ。人間、同じレベル同士だから争いが起こるんだ。
    ならば、こうして、『一方のレベルを下げれば、争いはなくなる』と
    思わないか?」

ちひろ「な……に゙……?」

桂馬「うん。【落とし神】として、落ちたヒロインの心の平和について考えてみたんだ」
 
   桂馬が斧を振り上げたそのとき、小阪ちひろにとって、小さな幸運が起こった。
   最後、右手とお別れをする前に、失神することができたのだ。

  ――ザクッ 

ちひろ「っ……っ……」 ピクッ ビクン

エルシィ「ひぃぇぇ……」

桂馬 「だから止血を忘れるなって、ちゃんとやれよ」
 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~
 
  ◇  ◇  ◇


エルシィ(…にーさまを、かつてないほど『ぐぬぬ……』と言わしめた、ちひろさんは
      にーさまに、かつてないほどひどい目に遭わされました。
      …………
      だから、これより先があるなんて、私は思ってもいませんでした)
 

    ――――わさわさわさわさわさわさ

 
エルシィ「神様…。エルシィは、エルシィは、いっしょうけんめい、集めてきました……
      神様が、攻略に必要だっていうから……がんばって……ううーうー」

    ダンボール箱の中、二重になった45Lのポリ袋には、
    ウジャウジャとうごめく、目測100匹を超える数のゴキブリ・ゴキブリ・ゴキブリ。
 
   爽やかに微笑み、エルシィの頭をぽんとなでる神様。

桂馬「エルシィ。おまえが無能だなんて言って悪かった。おまえは、
    言われたことを、ちゃんとやるやつだよ。えらいぞ。
    さて、ゴキブリ男が、ちひろさんに、ゴキブリ風呂をプレゼントしてやるかな」
 

 
ダルマちひろ「あ……あ……」

  黒いゴキブリが大量に中で蠢き、黒いポリ袋に錯視できて
  しまうような透明ポリ袋。その隣、ダルマのように手足を失った、
  ちひろの裸体に、桂馬は、蜂蜜をぬりたくる。

桂馬 「なにか言うことはあるか?」

ちひろ「やめて……
     ……っ
     好きだった……
     あんたのこと……ちょっと……好きだったの……
     なのに……こんなの……もう、やめて」

   置物のようになったちひろは、うつむいたまま、独り言のように呟いている。

桂馬 「それは驚いた。
     まだそんな嘘をついて、神をだまして助かろうとする余裕があるのか?
     おまえはすごいよ。やっぱり現実<リアル>女は嫌いだ」

ちひろ「もう、手足は、あげたでしょ……
     わたしの……好きっていう気持ちまで…
     恋の……気持ちまで……うばわないでよ……
     ……カミ…サマ……
 

 
 
    (神様……許して下さい……もう、わがままは言いません……


     平凡なクセに、人気者になりたいとか、綺麗になりたいとか、
     かっこいい彼氏がほしいとか、輝いていたいとか、
     不相応なこと望みません……

     だから、どうか…
     初めて、恋した想い…まで、奪わないでください…)」



桂馬 「なんだ。もう体中をゴキブリが這ってるのに
     錯乱して状況が分かってない感じだな。 おい、ちひろ」

ちひろ「あぁ……あ……んふあ、はぁぁぁああ!」 ウジャウジャウジャウジャ
 
   驚いて声をあげると、口内にゴキブリが侵入してくる。
   手で振り払うこともできずに。


   ――――こうして、小阪ちひろは、手足よりも大切なものも失った。
 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~
 
   ◇  ◇  ◇

 
エルシィ「神様……、これはなにをされているんですか?」

桂馬「感覚遮蔽、“SENSORY DEPRIVATION”だ」

ちひろ「……! ……~」

 手足を無くし、達磨のようになったちひろ。目にはアイマスク。
 耳には、耳栓をつけた上でイヤーマフをかけられ、
 口にはギャグボールが取り付けられている。


桂馬「手も足も使えない、目も耳も使えない。……こうして五感を奪い、
    飯も、できるだけ味や歯ごたえのない病人用の流動食を与える。
    そうやって、外の情報が一切、分からなくなったところで、
    さらに、食事やトイレやシャワーなどの生活に必要なことも
    不定期にする。 ……するとどーだ。
    昼も夜もなくなり、時間の感覚もなくなる。体力がなくなる。
    追い詰められていくと、体が感覚刺激を求め、刺激に飢え、
    場合によっては独り言が増えて、幻覚すら見えるようになる」


エルシィ「うー、ちひろさん、私と仲良くしてくださってたのに…」
 

 
桂馬「ニンゲンの“リセットボタン”を押すんだ。ゲームみたいにな。
    体もこわし、心も壊し、感覚も忘れさせ、
    まるで赤ん坊に戻ったように。ヒトが白紙に戻っていく。
    そうして、すべてを失ったちひろに、
    ………仕上げとして性的快楽だけを与え続ける。
    何も見えない、何も聞こえない、何もしゃべれない、真っ暗闇の世界で、
    ボクの手でイキまくることだけが心に焼き付けられ。

    ちひろ。快楽だけを求めてのたうちまわる “イモムシ” に……なるんだよ。
    醜いだけの、むさぼるだけの……いやらしいだけの」

  むき出しになったちひろの乳首を、ぺろりと舐め上げる桂馬。

ちひろ「……っっ」


  待ち望んでいた“感覚”の到来に、ひくひくと反応する。

桂馬「ふっふっふ………現実<リアル>女め、ゼロから作り替えてやる」

エルシィ「え、えげつないですぅ……」
 

 
  ~  エルシィ『で!』  ~


  ◇  ◇  ◇


ちひろ「~~~! ~~!!」  ブイィィィィン ウィンウィンウィンウィン ギーギー

 体中にローターや電動バイブが貼り付けられているちひろさんの裸体。
 
 ボールギャグがはめられた口周辺は、よだれがだらだらとしたたっている。

 頃合いとみた落とし神・桂木桂馬は、そのよだれをなめとる。
 股間周辺のローターをはずし、ちひろの女性器に、自分の男性器を力強く押し込んだ。

ちひろ「っ……! ~~!」

  二人の結合部を、鮮血が濡らす。

桂馬「なんだこいつ。処女だったのか」

 桂馬は意外そうにきょとんとすると、しかしそれに遠慮することなく、
 ねっとりと腰を打ち付けていった。

ちひろ「……んぐっ!……ぐっ!……ふっ!……むっ!……」

 押さえきれないあえぎ声が、口をふさぐボールのスキマから、漏れていく。
 

 
桂馬「ほら、待ちに待った“感覚”だぞ。砂漠をさまよった後のオアシスの
    ようだろう。 ちひろ、もっともっと感じまくれ!」

  くぐもった嬌声をあげ、全身をイモムシのようにくねらせるちひろ。
  桂馬のほうも、復讐を果たした快楽から、興奮が抑えきれない様子である。
  何十分もかけて、じっくりとねっとりと攻められて、
  いよいよ絶頂が彼女を襲う。

ちひろ「…!……ふぐぅ! ッ!」

 女体の痙攣にかまわず、落とし神はさらにひとしきり突き、
 ペニスを抜いて、ちひろの腹から胸にかけて精液をまきちらす。
 全身を襲うアクメとともに、失禁するちひろ。

ちひろ「……!!」 

桂馬「あーあ。なんだ、おしっこ、ガマンしてたのか……」

  『見るな!』、と言わんばかりに暴れるちひろに、やさしく声をかける。

桂馬「いくらでも、もらしていいんだぞ……(エルシィに掃除させるから)」
 

 
  ◇  ◇  ◇


桂馬「おら! ほら! ボクがゴキブリなら、おまえはイモムシだ!」  ぱんッ パンッ!

ちひろ「…むぐぅ……ぅげぉ……」  ぬちゅんッ パンっ!

桂馬「人間オナホールになる快楽を、むさぼるがいい!」 ぱんぱんぱんッ!

ちひろ「……」 

桂馬「お前、なにをするにも、やる気なさそうだったもんなぁ?
    なんにもしなくていいって、最高だろ!?」   ぺしッ! ぐちゅっ!

ちひろ「……」 

エルシィ「……あれ、ちひろさん、あえぎ声、ださなくなりましたね」

ちひろ「……」

桂馬「…………」

ちひろ「……」

桂馬「……。
    まずい、自分の吐瀉物で窒息してる」

エルシィ「え!」

桂馬「意識もないのか」
 

 
 ハイムリック法で腹部を持ち上げ、へそのやや上を打って吐かせる桂馬。

 さらにちひろの胴体を横にして、背中をトントンと叩く。

ちひろ「…」

桂馬「呼吸がない……エルシィ、人工呼吸だ!」

エルシィ「あ、あの、あの!!」 わたわた

桂馬「ったく」

  桂馬が口移しで空気を吹き込むと、ちひろの腹部がふくらんだ。

エルシィ「ど、どーしましょー! ちひろさんが、ちひろさんがー
      死んじゃいますー」

桂馬「ぷー! ぷー!」 人工呼吸!
   
ちひろ「……」

桂馬「ふー! (おいエルシィ、おまえ悪魔なんだし、なにか回復できる魔法とか、
    ……あるわけないよな!)」
 

  ◇  ◇  ◇
 

 
  ~ エルシィ『で……』 ~

  
  ◇  ◇  ◇

 
桂馬「……はぁ。しかし現実<リアル>ってのは最低だな」  綿棒をもってため息をつく。

エルシィ(兄さまほどでは…)

桂馬「四肢切断したら、全ての世話を、監禁したボクのほうが
    やってやらなくちゃならないなんて。
    おかげでゲームの時間を削って、ちひろのシャワーと鼻クソをとりだ。
    歩美は腕があったから、後半、自分のことはけっこう自分でやってたからな。
 
    ……今回のいい言葉を教えてやる。『やっぱりダルマは二次元に限る。』」

エルシィ「なんの実りもない格言です……」
 

 
  ◇ ◇ ◇

 
 
桂馬「ちひろ……おとなしくしろ」

 
ちひろ「あんたのいうことなんて、きかない」

桂馬「だめだ、頭、持ち上げるぞ」

  強引に、自分の足の上にちひろの頭を載せる。
 
ちひろ「……アンタには負けないっ。私はアむタの思い通りにはならん。
     私は強い。ふぁ、アンタの助けなんていらない。
     カミサマなんてみんな死ね! むっ、 私は……」  キッ

桂馬「……鼻の穴、掃除されながら言うなよ」

ちひろ「…くしゃん!」
 

 
 
  ◇  ◇  ◇

 
 
  なぁ、

  悪魔として、どう思う? エルシィ。

  ちひろは、壊れたのかな。
  それとも、ボクが、壊れてたのかな。


  エルシィ。
  
  人間は、芋虫にはならなかったよ。


  ◇  ◇  ◇

 
 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~

  
 ~~~~~~~~~~

 
 
エルシィ「見てくださーい神様。事故で手と足を失ったのに、

      歌手を目指してがんばってる女の子がいるって、
      テレビでやってます」
 

  テレビの画面に目を向けず、携帯ゲーム機をいじっている桂馬。

桂馬 「よかったな。顔と才能がイマイチでも、体の強烈な個性のおかげで
     注目が浴びられて。 あいつも満足だろ……。

     (……よかった。大変だった…………ちひろが強くて………)」
 

 
  ◇  ◇  ◇


 エルシィ(ちひろさんは……結局、最後まで、にーさまのことが好きなのか、
       憎んでらっしゃるのか、わからないまま、駆け魂がでました。

       ……あんなに神様を嫌っていたちひろさんでも、
       やがて、にーさまのくださる凄い快楽を受け入れていって。

       ある日、ふたりで“ぜっちょー”してから、キスをして。
       それから、ちひろさん、目をとじたまま、泣いて、すっごく泣いて、
       にーさまの腕に噛み付いて。駆け魂がでたんです。

       でも。わからないんです。
       ちひろさん、にーさまがいるときだけ、
       いきいきとしてましたから…)


 桂馬『いいんだよ。相手がどう考えているかなんて、結局“分からん”で。
     現実<リアル>なんていいかげんなんだからな』
 

 
 桂馬『分かろうと思うとこっちが振り回される。

     エルシィ。実をいうと、お前のことだって、わからん。
     ボクからはお前は、どーしよーもないバグった悪魔にしか見えないが、
     腹の奥じゃすごいたくらみをしてる恐ろしいやつなのかも、なんて。
     ……他人から見た心なんて。答えは駆け魂みたいには出てこない』

 エルシィ(神様、ヘンなこともおっしゃって……時間もかかってしまいました)

 エルシィ(たぶん、『りょーじょく』される前も、『りょーじょく』された後も、
       一番、神にーさまにダメージを与えた宿主さんは、ちひろさんだと思います。
       神にーさま、介護も得意になられて)


桂馬 「ふぅ。やっとリアル女から解放された。やっぱりダルマはゲームが一番~~♪」 ピコピコ
 
エルシィ(神様は、今日もただ、ゲームをしています)

 
 
  ◇  ◇  ◇

 

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
 
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             長瀬純
 
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    ◇◇ 授業中 ◇◇



桂馬「……」 ぺたぺた ポチポチ

教育実習生の長瀬純「……………………」


長瀬(……教室のド真ん中の席の、あの男の子。……授業中にゲームをやってる…)

桂馬「……♪~」

長瀬(それも、教室にタブレットを持ち込んで。
    どんなゲームやってるの……
    う、嘘っ!? アダルト向けのゲーム??)

桂馬「……っ♪」


  担任の二階堂由梨先生「この作品の主人公は、高等遊民と言って――」

  クラスメイツ「……」

長瀬(な…… なんで誰も注意しないの?
    私だけに見えてる霊なの? どんな霊よ。
    どうしよう、私、頭おかしくなったのかも……)
 

 
 
エルシィ「かみさまー、大変です、長瀬先生に駆け魂が入ってます!

       きのうはいなかったのに」

桂馬「ふーん」 (タブレットPCとPFPの二刀流で、同タイトルの18禁版と全年齢版との同時プレイ中)

エルシィ「あ……!(察し)  長瀬センセーの心のスキマ、
      もしかして神さまのせいじゃないですか…。
      授業中にこんなエッチゲームしてる生徒さんがいたら、それは混乱して、
      自分が将来先生としてやっていけるのか不安にも…」

桂馬「? そんなわけないだろ。だとしたら、変わったやつだな長瀬は」
   「どこに不安がる要素がある」 「エロゲーをしながらでも授業
    は聞いている。当てられても答えるし、テストも満点の優等生なのに」
   「むしろクラス全員がボクみたいだったら教師はすごくラクだぞ」

エルシィ「にーさま……」


   ◇  ◇  ◇
 

 

  校庭。ゲームをしながら落とし神は語る。

桂馬「女教師キャラは、もし恋愛しようと思ったら時間と労力を食う。
    一度教え子として上下関係が固定されると、それを動かすのに
    ものすごいエネルギーが要るからだ。

    ……しかし、陵辱ゲームとなると、うってかわって瞬殺キャラだ!
    レイプがその『エネルギー』になるからな。
    教師キャラはその責任感から、やっかいごとに自分から首をつっこんでいく。
    結果、簡単に罠にはまって、チョチョイのチョイとやられる展開ってわけだ」

エルシィ(神様は誰でもおかまいなしにチョチョイのチョイですけどね!)

桂馬「なお一応、戦うヒロインモノゲームでは、女教師が一番強い戦士でした
    なんて例もあるが、 そんなもんリアルではありえない」


通りがかった二階堂「……?」
 

 
桂馬「だからエルシィ、今回も頃合いをみてチョチョイといくぞ。
    まず、お前が長瀬に近づけ。陵辱の“いい形”が分かって、
    好機ががきたら、おまえを“釣り餌”にして、一気に仕留める。
    それまで情報を集めておけ! 大事な役割だ! 頼んだぞ!」
 
エルシィ「あ、はいっ! おまかせください!」 勢いにのまれて、びしっと敬礼するエルシィ。

桂馬「お前なら長瀬先生も教えがいがあるだろ。
    ……ハクアは恋愛以外でも駆け魂が出せると言っていたな。
    うまくいけばバグ魔に勉強を教えられた達成感で、勝手に駆け魂がでるかも」

桂馬「じゃあボクは、ゲーム屋寄って帰るから」

エルシィ「お気を付けてー!」

エルシィ「……」
 

 
エルシィ「あ! 神様、私に攻略おしつけて逃げました!」

エルシィ「まってくださーい! 悪魔が率先して攻略するのは
      原則禁止なんですよー!
      地獄の者が現世に干渉しすぎるのはよくないって!」

 
   ◇ ◇ ◇


エルシィ(そうやって神にーさまに押しつけられる形ですが、
  私は結局、素直に長瀬せんせーに近づいてしまいました。

 
  なんとなく、これには、前回の、ちひろさんの攻略のことがあります。   
  神にーさまは否定するでしょうけど、ちひろさんの四肢切断攻略は

  やりすぎたって後悔してるんじゃないかと、私、想像してます。
  にいさまも、胸が痛くて、それで、攻略からしばらくは離れていたいんじゃないかって。
 

 
 
  私のほうも、一番のお話相手のちひろさんが学校にこれなくて。

  お友達みたいに話せる、長瀬先生が来てくれて、うれしかったんです。
  ………なんでも一生懸命、教えてくれる長瀬先生。
  誰もが諦めて、さじを投げた、神にいさまみたいな『問題児』さんにも、
  本気で向き合おうとしてくれた長瀬先生。

  ……
  神にいさまのおっしゃった通り、長瀬先生は、私にものを教えると、
  安心したように、自信がついたように微笑むんです。
  たまに、にーさまや、他の男子生徒さんたちみたいに、ななめにかまえて
  いっしょうけんめいがんばる長瀬せんせーをバカにしてるような人たちも
  います。そんなとき、長瀬先生はとても悲しげな、怒ったような顔に
  なります。いいんです。そんなの。私も、どんなにバカにされても、
  がんばって、がんばっていたら、今は駆け魂隊になれました。
  ……。
  私、長瀬先生が大好きです)


桂馬「そうか……報告ごくろう。エンディングが見えたぞ」


エルシィ(神様は、テレビでみる、安楽イス探偵のように、おっしゃって……)

エルシィ(そうして、破局が訪れました)
 

 
   ◇ ◇ ◇

 
 
エルシィ(電話)『長瀬せんせー! 助けてくださーい! 私、男子生徒の人たちに、つかまって』


長瀬「桂木さん、桂木さん!? どうしたの!? 女子バスケ部室ね、今いくわ!」


長瀬(なんてこと。桂木さんがちょっと知恵遅れ気味だからって、レイプしようとする
    子達がいるなんて…………おとなしそうな子達だと思ってたのに……!)

 
 

 
   ◇ ◇ ◇

 
 
長瀬「…これは? なに……?」


桂馬「ちょっとしたプロレスのリングですよ。長瀬先生。みんなに、
    プロレスと、長瀬先生の良さを教えるためのね」

  制服の上着を脱ぎ、ジャボ(首元のヒラヒラ)を外し、長瀬純に投げつける桂馬。

男子生徒たち「(ざわざわ)」

透明になっているエルシィ(先生……ごめんなさい……)
 

 
   ◇ ◇ ◇
 
桂馬「女教師キャラはな、男子生徒に取り囲まれてレイプされるために
    いるキャラクターなんだよ! ゲームでは!」 ぱんっ、ぱんッ!

長瀬「なんて子なの、先生になにするのよー! こんな、恥ずかしいポーズの
    プロレス技かけながら犯さないで…! 」

エルシィ(にーさまでは、長瀬先生に勝てないので、私が羽衣でまたサポートしてます……)

男子生徒「す、すげぇ、オタメガ……」
止めに入ろうとして羽衣にボコられた男子生徒「あ、あんなことしちゃうなんて……」
状況をたのしんでる男子生徒「いいぞもっとやれ!」

長瀬「い、イヤーー」 びくんびくん

男子生徒たち「ハァハァ、長瀬センセー最高だよ! 絶対教師になってくれよな!」

 
 
桂馬「みんなー! 長瀬センセーは、みんなに正面からぶつかってきてほしいらしいぞ!

    みんなの思いをの丈を、長瀬センセーの体や顔に、ぶっかけてやれ!」

みんな「お、おーっ!」
 

 
  全身とろとろの精液漬けにされた長瀬先生。

長瀬(あ……あんなに言うことを聞かなかった男子生徒たちが、
    こんな風に…。……。…みんな、私が好きなんだ……) レイプ目。

 
 
桂馬「さて、仕上げだ」

 
  不良少年のマストアイテム・懐かしのバタフライナイフを取り出す桂馬。
  くるくると振って、器用に片手で刃を出す。

桂馬「先生。キレる若者・17歳のボクからの、プレゼントがあります」

 
 
長瀬「きゃああああ!」

 

 
エルシィ(長瀬先生の顔に、さながらゲームのキャラクターみたいに、
      ナイフで大きな傷が付けられました。
      ……これで長瀬先生は、私の大好きなやさしい先生じゃなく、
      その顔のキズで、二階堂先生みたいに、みんなに怖がられながら、
      こっそりえっちな目で見られる先生になることでしょう……)
 

エルシィ(うぅ……先生、ごめんなさい……ごめんなさい…)

 
   ◇   ◇   ◇

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
    ◇◇ ある日 ◇◇

  
  自宅のリビングでゲームをプレイ中の桂馬。
  後ろからそれを眺めていたエルシィが、ふと、つぶやく。

エルシィ「あ……」
      「にーさま、わたし、気づいちゃいました……」

エルシィ「おかしいです!」 がばっ

桂馬 「……最近のおまえの知能退行が?」

エルシィ「ちがいます、神にーさまのこーりゃくがですよ~」 ばたばた
 

 
エルシィ「私、後ろで、神にーさまの陵辱ゲームのぷれい、
      ずっとずっと見てて、気がついたんです」

エルシィ「にーさまの、女の子の攻略のしかたって、ゲームと違うじゃないですか」

桂馬「どう?」

エルシィ「そのっ、えっちゲームなら、えっと、あの、まず、軽い『とーさつ』とか
      『ちかん』とかから初めて、すこしずつエスカレートしていって、
      脅迫のネタにしちゃったりして、ちょっとずつ、攻略してますよね」
     もじもじ

桂馬 「まあな。 そうじゃないのも多いけど」

エルシィ「それが、神様、なんで、どーして、最初の一手が、
      『 せ つ だ ん 』 とかになっちゃうんですか! ヒサンです!」


桂馬 「……なんだ今ごろ疑問に思ったのか。ずっと一緒にいるのに」
 

 
エルシィ「どーしてです!?  かわいそーですよー!」

桂馬 「早く終わらせたいから。以上」

エルシィ「えっ」  「あー……」 (納得)


    敵と出会い頭に必殺技のスペシ○ム光線やライダーキ○クをぶちこんで
    めんどくさいのでとっとと帰る、せっかちなヒーローのイメージ図が浮かぶ。

エルシィ「でもでもでも!」

エルシィ「りょーじょくゲームって、最後までプレイしてるの見てても、
      あんなひどい、治りようがないケガをさせるところまでいかない
      ゲームが多いですよね」

桂馬 「ないこともないけどな」


  (  『神のみ』の世界は、落とし神のウェブサイトに奮起させられた
     業界のクリエイターたちの入魂の努力により、(※第4巻)
     美少女ゲームの質や本数や売り上げが桁違いに向上している世界。
     エロゲー業界にもいろいろなものがありそう。 )
 

 
エルシィ「…今、にーさま、『落とし神』様のこーりゃくって、
      10段階でいえば、『2』~『9』をやらないで、
      『1』のあといきなり、『10』っていうか、『15』を
      やっちゃってる攻略だと思うんです。
      でも、そこまでひどいことしなくても、順番にやって
      いけば、『6』くらいで駆け魂がでるかも……」

桂馬「そんな甘い考えじゃ駆け魂はでない。
    ちゃんとルートを計算して言ってるのか」


桂馬「ゲームは、楽しむためのものだからじっくり進む。
    現実<リアル>は命がかかってるし時間もないので乱暴に済ませる。
    駆け魂攻略で目指すエンディングは、あえて、『ベストエンド』ルート
    じゃなく、『スピードエンド』ルートだ」
 
エルシィ「……神様、一応、『えんでぃんぐ』にたどりついてはいますけど、
      これまでの攻略のほとんど、『ばっどえんど』とゆーものでは?」

桂馬「それもゲーム通りだ。陵辱ゲームのエンディングなんて、はたからみたら
    バッドエンドだ。でも、本人達は幸せだ。それでいい」
 

 
 
桂馬「いいかエルシィ、ヒロインたちが、陵辱主人公によって与えられた

    価値観の中で、普通の恋愛ルートでは味わえない、むしろそれ以上の
    幸せが得られる、それが陵辱ゲームだ。万人に認められる幸せの価値
    意識などに、とうに囚われることない、新しい領域にいくんだ」

   無自覚に自らのエンディングへのフラグを立てていくうっかりものの桂馬。

桂馬「…悪いな。もう部屋にいく。18禁ゲームにまで手を広げて、ボクが
    やらなければならないゲームは山ほどある! 有名作ですらまだ
    やっていない作品が…… ウェブサイトの更新も、メールもあるし、
    ギャルゲーの移植前の18禁版もやらなきゃ。 (使命感)
    あぁ、ギャルゲ攻略の、その先にセックスがある世界なんて、ボクは
    どうして今まで手を出してこなかったんだろう」

エルシィ「神様、ほんとはやっちゃダメなんですよ、えろげー……」

 
 
エルシィ「ハクア……。 ハクアは、どんな風に駆け魂出してるのかな……」

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 


 
     ◇◇ 後日 桂木家 ◇◇ 



   桂馬の家の喫茶店 カフェ・グランパにて。

   遊びに来たハクアが、カウンターでオレンジジュースを吸っている。


ハクア「え?」 「なにそれ…………桂木のやつ、ゲームやってるから出てこれないっていうの?」

エルシィ「うん……神様、夢中になると引きこもっちゃうから……」

ハクア「せっかく私が来たっていうのに…」

エルシィ「今回は特に夢中みたい」

ハクア「……」

ハクア「……ぜ、ぜんぜん興味なんかないけど、あいつが夢中になってるゲームって、
     どんなゲームなの?」
 

 
エルシィ「えっと…」 「…………こーんな、障がい者の女の子ばっかりでてくるやつ」

    欠損少女の絵を描いて説明するエルシィ

ハクア「なにそれ? そんな悪趣味なゲームあるわけないじゃない」

 
 
   ◇ ◇ ◇ 
 

桂馬「ううぅ、どこまでいいゲームなんだ、『かたわ少女』は…」(マジ泣き)

ハクア「あるんだ……こんなサイコパス向けみたいなゲーム」  ※ 真面目な純愛ゲームです
 
桂馬「…キッ!」
 
ハクア「びくっ」

桂馬「かたわ少女をバカにするな……」

エルシィ「わ~」

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
     桂木麻里   天美透   吉野麻美 吉野郁美
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 
 
  〓 冥界法治省 逃亡霊特別本部定例報告会 〓



  処は新地獄。某日、某時――

 各地の駆け魂隊を束ねるトップの新悪魔たちによる、
 オンラインの報告会が行われていた。

 
 

 
 
エヴ○ンゲリオンでよくみかける石版 「それでは最後の議題に移る……」



石版(モノリス)「今期の、【悪魔重勲章】の候補者審議についてだが…」

石版「最多の勾留数を上げたエリュシア三等魔について、極東支部の
    ドクロウから資料が回ってきている。見てもらいたい」

石版「三等魔が、それだけの成績を。…………ほう、華やかな新人の活躍を、
    広報材料にしようというわけか」

石版「ドクロウの奴もやり手よの」


iPodみたいな石版「再生します――」

 
 
   ◇  ◇  ◇

 

 
 
エルシィ「う~! うーうーうー!!」


桂馬「何度言ったら分かるんだお前は!
    “USBオナホール”が、勝手にうなって吐くんじゃない。
    おまえはゲームの周辺機器だっ!
    『わ、私なんでもします!!  家にいさせてください!!』 (※第1巻78ページ参照)
    って言ったろ! ゲームで『なんでも』って言ったら、
    『しゃぶります』ってことなんだよ、ちゃんと画面のヒロインに
    合わせて動いてゴックンしろ! このバグ魔っ!」

エルシィ「は、ふぁい…ごめんなさい。でも、ケホっ、…がほっ、ぼッ、でも゙、
      にーさまのクリックが、速すぎて、画面の女の子がすごい動きを
      するんですよ! あんなのまねできません゙ー」  ずびー ずぴー

桂馬「ええい、口から飲んだザーメンを鼻から出しながら言うな、
    そんなヒロインがどこにいる!?」   ポコポコ


   ◇  ◇  ◇

石版「……」
石版「…どっちが悪魔だ?」
石版「羽衣とセンサーを付けてないほうか……?」
石版「議長…」 ざわ…ざわ…
 

 

   ◇◇ 学校  ◇◇


エルシィ「あっ、ちひろさん! おひさしぶりです、おはようございます」

お下げ髪のモブ子「小阪さん、理事長さんとのお話どうだった?」

ちひろ(※介助同伴)「いやぁ、どうなるかわかんないけど、しばらくはクラスに籍は置けることになったわ」


歩美(ちひろ……へんな言い方だけど、元気そうでよかった)
 
エルシィ(にーさま、にーさま! ちひろさんが、学校に来ましたよ!!)

 
       ~ 始業のチャイムが鳴る。~

桂馬「さて、授業だ。のんびりゲームができるぞ」


吉野(※桂馬のふたつ後ろの席のモブ。小説版ヒロイン) 「……桂木君。
     相変わらずタブレット持ち込んでる…」

モブ子「オタメガネ、守備範囲を広げてキモさに磨きがかかったわね。
     あのあたり、もうなんてゆーか異次元…」

ショートヘアのモブ「ここに法はないの…」
 

 
   ◇  ◇  ◇

エルシィ(うー、漢字を読むのはやっぱりまだ難しいです。授業についていけなかった…)

   ひそひそ

クラスメイト「知ってる? オタメガネの妹、兄貴のしゃぶらされてるらしいよ」

クラスメイト「しゃぶるってアレ?」

クラスメイト「うん。なんか、栗の花のにおいがしたらしいって」

クラスメイト「友達の友達がさ、オタメガ妹が、アダルトコーナーに入っていくとこ見たんだって。
        オタメガネのパシリでエロゲーム買ってるんだってさ」

歩美 「やめなよ。そういう噂話。 さすがの桂木でもそこまでさせるわけないでしょ」

エルシィ(歩美さん……ごめんなさい)


ちひろ「…エリー、あのゴキブリの妹ってだけでいじめられて……かわいそーに…」

ちひろ(そーだ)
 

 
ちひろ「………ねぇエリー。実は私さ、バンドやりたいなって思ってるんだけど…
     音楽、一緒にやらへん?
     あ、もちろん私がボーカルね!! ……それ以外できないから」 (切実)
 
エルシィ「すみません、今日ちょっと、お買い物にいかなくちゃ」 そそくさっ
 
ちひろ「あ、待って」
 
エルシィ(ちひろさん、懲りずに、かのんちゃんのまねごとですか。
      みんな、あのアイドルの正体を知らないから、
      そんなことやりたがるんですよ。私はだまされません!) むぅぅ


   ◇  ◇  ◇

石版「学校で少しイジメにあってるぞ……悪魔のくせに」
 
石版「なぜあのバディーの方が、いじめられないんだ?」
 
石版「いや……あれはいじめる気にならん。やばいもん」
 

 

  ◇◇ ゲームショップ・オジマップ鳴沢店  アダルトコーナー ◇◇


  メモと見比べながら、桂馬に言いつけられたゲームソフトをカゴに入れていくエルシィ。

エルシィ「えーと、『魔法少女アイ』、『魔法少女アイ2』、『魔法少女アイ壱plus弐』
      これ両方買う必要あるのかな…。
      でも名作は修正された微妙なセリフの違いが大事なんだって神様が」

  18禁ゲームの箱は大きく、すぐに買い物カゴが埋まる。

エルシィ(ふぅ。いつも失敗ばっかりだから、せめてお使いくらいちゃんとやらなくちゃ)

エルシィ(にーさまの大好きなゲームをいっぱいもって帰って、いっぱい褒めてもらうんだ…)

   大量のエロゲーをみてうれしそうに微笑むエルシィ。傍からは
   病んでいるようにしか見えない。
 
   ――― イーマの孤児院施設で育ったエルシィ。たとえあんな兄であっても、
   桂馬に、“家族”に、認めてもらいたい。よくやったと、ほめてもらいたい。
   彼の無愛想なところも、『リミュエルお姉様』と似ていると思うと、エルシィは
   気にならなかった。
 

 
 
エルシィ「あの、れ、れじ、おねがいします~」


店員 「はぁ……」 ため息。

エルシィ「…?」

店員 「お嬢さんね、何度来られても売れないよ?」

エルシィ「…!」 

    ハッと気が付き、顔全体が赤面する。

エルシィ「……」 かぁああ

エルシィ(ど、どーしよー。また羽衣で変装するの忘れてました!
      うー!うー!うー!
      私、素顔のままずっとえろげーのパッケージと
      にらめっこしてたんだー!
      しかも、店員さんに、完全に顔覚えられちゃってます…。
      『何度断られてもえろげーを買いあさりにやってくる変な女の子』だって
      きっともの笑いの種にされてます)
 

 
エルシィ「……うう、で、でも私! 実は300歳以上ですから」  悪あがき

店員 「ぷっ、はは(笑) いやそういうエロゲーありますね。どうみても高校生
     だけど、18歳以上だからオッケーって。おもしろいですねきみ。
     でもだめ」


   ◇  ◇  ◇

エルシィ「…また赤っ恥かいちゃいました………にーさまのバカ…」

麻里(桂馬の母)「おかえり。エルちゃん。待ってたわよ」

エルシィ「た! たた、ただいまですぅ」 こそこそっ!

麻里 「エルちゃん。その紙袋。見せなさい」

エルシィ「ぎくッ」


 

 
  階段を駆け上がってくる二つの足音。

エルシィ「にーさまー! ごめんなさぁあい、母さまにバレちゃました」

麻里「アンタまだ未成年でしょーが! 妹にこんなおつかいさせて!」

桂馬「ちっ、このポンコツ悪魔は。買い物もろくにこなせないのか。
    母さんはギャルゲーとエロゲーの区別もよくつかないから、
    堂々としてればいいのに。必要もなくコソコソするから怪しまれるんだ」

麻里「さすがの私でも分かるわよ! なにこれ!
    『58人連続強姦!~悪魔からのクリスマスプレゼント~』
    『J○拉致監禁レイプ~気になる○学生は僕専用の生オナホール~』
    タイトルだけで犯罪じゃない!」

エルシィ(にーさまの人生みたいなタイトルです…)

桂馬「いわゆる『ヌキゲー』は題名が直接的すぎるのが問題だな。
    親に見られたら言い訳もできない」

エルシィ(にーさまは親に見られても堂々としてます。さすがです)

麻里「ししししかも、この棚! こんなのまで、『熟乳~ママのカラダは僕専用~』?
    『ママをアヘ顔にしてあげる! ~母親アヘ顔腹ボテ出産~』 あんた何考えてるのよ!
    全部捨てるわよ!」
 

 

桂馬「捨てる…だと?(キリッ) ………いやだいやいだいやだ捨てないで」

   二頭身となって、幼児のように母親にすがりつく高校生男子。みっともなく。

麻里「ふんっ」 しかし容易くねじ伏せられる。

桂馬(ボロボロ)「…やむをえないな。いずれこの日が来ると思っていたが。

    いまやエロゲーもギャルゲーと同じくボクの命だ。 手段は選ばない。
    これは駆け魂狩りと同じく命をかけた戦い。使ってやる―――“落とし神”の力。

    エルシィ! 母さんを『攻略』するぞ。羽衣で拘束しろ!!」

エルシィ「は、はっぃい!」

   しゅるしゅるとピンク色の羽衣が展開される。
 

 
麻里「きゃ!」  毎回、力尽くでのヒロイン拉致拘束係をさせられているので、
  どんくさいエルシィとはいえ、すっかり手慣れたものである。

桂馬「母さん…。これまで隠してたけど、ボク、悪魔と契約してるんだ」 ぬっと顔を近づける桂馬。

エルシィ「…ごめんなさい。にーさまには逆らえませんけど悪魔です」 小さく挙手するエルシィ。

麻里「ひ、ひゃ…」  ぼろん、と男性器が母親の眼前に露出される。

桂馬「それでボク、エロゲーのまねごとをしないと、死んでしまう体にされてしまったんだ」

 
 
麻里「だめっ、何考えてるの、正気に戻れバカ息子! いや」

 
桂馬「落とし神に攻略できない相手はいない!
    ……ふふ。恨むなら、神を産んでしまった不幸を恨むがいい!」
 

 
 
   ~ エルシィ『でっ。』 ~



エルシィ(お母様は、実の息子に犯されてから、すっかり
      魂がぬけたようになってしまいました)

エルシィ(ここのところ……、光を失った目で、
      にーさまが子供の頃の写真をばかり見てます)

麻里「あのころは良かったなぁ……桂馬くんもかわいくって」


     『~~~ ~~ ……!』
  
エルシィ「あの、にーさまの防音ルームから女の人の叫び声が…」

麻里「…どうせそういうゲームの音でしょ」


エルシィ「にーさま、ごはん中々食べにきませんねー」

麻里「もう、あの子は私のいうことなんて聞かないのよ。…あなたもじゃない」

 

 
エルシィ(いつか、にーさまのせいで母さまに駆け魂がつかないか
      エルシィはそれが心配です)


  そのとき。 ドタドタと足音を立て
  桂馬の部屋から、全裸の少女がとび出して来る。

天美透(※小説版のヒロイン)「ぁぁああ!
                   あ、あの、っ、い、家の人ですか?」

エルシィ「あっ…」

         ※ 解説
 エルシィ(……この子は、いわゆる『電波』系の女の子、らしい、天美透さんです。

       絵本にでてくる天使かなにかのコスプレをして、町をさまよっては、
       出会った人に、もうげんを投げかけていた、おかしなお嬢様です。
       神出鬼没で出会うだけで一苦労ですし、他の子の攻略と時期が
       重なったので、にーさまはとにかく監禁して、もう演技なんて
       してられないような苦痛を与えることにしました。

       すぐに素になりました。……神様、命の恩人相手に、容赦ないです。
       あと『電波』という言葉は『雫』という名作えろげーがどうだとか
       神様にいっぱい解説を受けました。なんの役にも立ちませんでした。)
 
天美透「たすけてっ、で 電話、貸してください、あいつに、『監禁王子』に捕まってるんです!」

 
 

 
桂馬「やれやれ。信頼して首輪を解いてやったら、さっそく脱走か。
    マイナスチェック5点だなぁ」 ぬっ

麻里「……桂馬。 『ゲーム』も、ほどほどにしなさいね」

透 「え、な、なんで?」

桂馬「ペナルティだ、天使様。そうだな。ファンタジー世界の
    住人らしく、そのきれいな顔に刺青を入れてやる……!」

エルシィ(……ああ、にーさまの下手な絵を顔に刻まれたら、
       透さんきっとショックで自殺しちゃいます……)  オロオロ

桂馬「天使様なんだろ? 魔法かなにかで反撃してみろ!」 ぺんぺんぺんぺん!

透 「ひぅ、たすけて、誰かたずげて、もうあんなことしないからぁ!」

桂馬「お前も運がないな。 からかったつもりの相手が、実は王子様でなく『神』だったとはなぁ」
 

 
     女性の声「――――」


透 「あ…! こっちから人の声が」

 わずかな気配にもよく気がつく、天美透。
 助けてくれる誰かを求め、火事場の馬鹿力で桂馬を振り払う。
 藁にもすがる思いで、扉を開けると、

     吉野麻美「ぁ……がっ…」

 そこには。

     吉野郁美「ぁ…っ…」

 ムカデ人間のような体勢で固定されている双子姉妹が、
 オブジェとして飾られていた。


透 「ぁぁああーー!」


   桂馬「ホラ、つ・か・ま・え・た」


   ◇  ◇  ◇

  

 
石版「いや、まずいよこれ…」
 
石版「別のビデオだと、こいつ女の子をダルマにして笑ってるよ」

石版「うあひくわ。さすがの俺でもひくわ」

    思わず素になってしまうモノリスたち

石版「新地獄は、前よりも野蛮さは抑えてクリーンなイメージでやってるんだからさ」

石版「こんなの見たら志願者おじけづいちゃうよ……」

石版「ドクロウ、もしや、『この小悪魔を助けてやってほしい』と言いたいのではなかろーか」

石版「でも実績いいし…」

石版「とびぬけてるよね」

石版「可哀想だが 見なかったことにしよう」

石版「うむ賛成。終わり。閉会、皆解散」
 

 
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         ハクア  ・  あさり

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  ◇◇  休日  桂馬の家  ◇◇



    『ハクアの負け! ケーマの勝ち!』

ハクア「…えっ?」

  遊びに来たハクアと、桂木桂馬とで、はさんだ店のテーブルの上。

  新地獄で定番のボードゲーム【新地獄アルマゲマキナ】が、
  二人の勝敗の判定音声を響かせている。


    『ケーマの勝ち! ハクアの負け!』
 
桂馬「ボクの勝ちだ」

桂馬「―――さぁて。“負けたほうがなんでも言うこと聞く”。
    そういう約束だったな。早速聞いてもらうか」   すくっ
 

 
ハクア「ちょっと待ってっ! ちょっと待って! (後ずさり)
     聞くいったけど、
     なっ、なんでもはダメよ! なんでもはダ…」

桂馬「ん」  いきなりハクアの唇を奪う。

  徹夜でエロゲーをプレイし通した明け方の精神状態。
  桂木桂馬はこんなとき、まれに幻覚を見てしまうこともあった。
  以前も、ゲームの世界に入り込めたという幻影の中、エルシィの
  手をとって、おかしな歌を唄っていたことがある。
  そう、今の彼に、恐いモノはなかった。
  彼女の股間にねっとりと手をやろうとして、

ハクア「いやあぁぁ! やめろ!」 と真っ赤になったハクアに突き飛ばされる。
 
  バトルマンガのように壁にめりこんでいる桂木。
  【悪魔の怒りを買った人間の末路】……普通ならばこうして
  ペラペラになって死んでいるところだが、
  桂木桂馬は存在がギャグキャラなのでくじけない。


桂馬「やめないよ。ボクはどうしてもこうしたくて、徹夜明けの頭をフル回転させたんだ」

  すぐに復活して“なんでも”をやりにかかる。

ハクア「…ちょっ」
 

 
 
桂馬「んむっ…(───ボクは既に攻略人数2桁。……女子相手なら!

    この方法、“陵辱”が、一番てっとり早く、いける!)」

    変な自信をつけている落とし神に、

ハクア「……! っっ!」 ハクアは、息を荒くすると、

ハクア「だめー!」  今度は鎌で桂馬を殴り飛ばす。
 
桂馬「グェ!」
 
ハクア「ぃっ、いい、今のは、今のはノーカウントよ!! なにもなかったんだから!
     いい? 今 な ・ に ・ も ・ な ・ か ・ っ ・ た 。
     なにかのまちがい……! 私が負けて…こんな………もう一度、勝負やりなおし!」
 
  判定音声『ハクアの負け! ケーマの勝ち!』
 

 
  判定音声『ケーマの勝ち! ハクアの負け!』
 
ハクア「…な、なんで……? だって私、このゲーム百年間無敗で……」

  今、自分がなにか悪い夢を見ているのではないかと本気で疑っているハクアに、

桂馬「……」 がばっと襲いかかる。


ハクア「ひゃぁぁああん!」 桂馬に服の上から乳首を吸われるハクア。

ハクア「なんでもは、なんでもはダメっていってるのにー!」 桂馬の頭をポコポコと叩く。

桂馬「ちゅー! ちゅー! (落ちろ! 落ちろ!)」

ハクア「ひぐ……っ」 (ビクン……)

ハクア「こんなの……い、今までのは全部リハーサルっ! なし! 次は、次は……」
 

 
  判定音声『ハクアの負け!  ハクアの負け!』

桂馬「ハクア! キミに出会ったときから、こうしたいと思っていたんだ!」

ハクア「やぁん! ダメっ! だってっ」

桂馬「なめなめ」  後ろから首筋をなめられて声をあげるハクア。


 
  判定音声『ハクアの負け!  ハクアの負け!!』

桂馬「ハクアはいい匂いがするよ」

ハクア「はぁっ、はぁっ」

桂馬「れろり」 わきの下を舐め上げられて顔を赤らめるハクア

 

 

  判定音声『ハクアの負け!!』

桂馬「どうだ、ボクの指は!」 くちゅくちゅくちゅくちゅ

ハクア「んぅ、ふぅーっ」


 
  判定音声『ハクアの負け!!』

桂馬「ボクの舌は!」 れろれろれろレロレロ

ハクア「ふぅンーっ、はぁぁっ!」


  判定音声『ハクアの負け!!』

ハクア「み、みてなさいよ……」 下着を脱ぎ、桂馬に渡すハクア。

 

 

 
判定音声『ハクアの負け!!!』

ハクア「次は……絶対、負けないん、だから」 涙目でスカートをたくしあげてみせるハクア。

桂馬(こいつ………ひっこみがつかなくなってるのか)

   頭に鎌が刺さったままハクアの後ろの穴に指を入れていく桂馬。

ハクア「んぅ……」 ずぷ

 
 
判定音声『ハクアの負け!!!』


判定音声『ハクアの負け!!!』
 
判定音声『ハクアの負け!!!!』
 

 
 
  ~ ハクア『で…』 ~

 
 
  ◇◇ ハクア担当地区・南雲市内 ◇◇

 
 
 
     ベランダにいる少女「……」



バディーの丸井雪枝「あさりちゃん一人? ママはまだおらへんのー?」

ハクア「…あの子も、駆け魂の宿主よ。もう3ヶ月だけど、家から出てこないの」

 
ハクア「――― それで、お前の攻略で私を助けてくれるのよね?
     私にあそこまでしたんだから、ただじゃ逃がさないわよ」

桂馬(ボロボロ)「不本意だがな。お前らの首が飛んだら困る」

ハクア「言うじゃない?」
 

 
桂馬「――ハクア。おまえは理論は完璧だが、あと必要なのは実践的手段だ」

ハクア「ふ~ん、で、どうしたらいいの」


     あさり「……(学校に行ったら、また、いじめられる…)」


桂馬「このケース、ボクなら『生き別れの兄がフラリと帰ってきた』パターンでいくな」

ハクア「それ実践的なの?」  呆れるハクア。

桂馬「見せてやる」

 
雪枝「はっちゃん、先いっとるよー」
 

 
  ~ ハクア『で!』 ~

 
 
あさり「お兄ちゃん…?? やめてっ、やめてぇえ!」  パンパンパンパン!


桂馬 「うるさい。あさり、お前ばっかり、こんな、
     幸せな家庭にいやがって…… (わなわな)
     ―――父さんが、ボクと母さんを捨てて、
     新しい女とつくった、こんな家、(※そういう設定)
     ボクが、『お兄ちゃん』がぶっこわしてやるよ!! 全部!」

ハクア「す、すごい…。小○生を、一瞬の躊躇もなくレイプしたわ」

   兄妹設定を信じ込ませるため、あさりの古い持ち物にあった割れた
   ペンダントの片割れなど、様々な『証拠品』を羽衣で偽造した。

あさり「きゃぅぅぅん!」 ドクン……ビュルン……

ハクア「まだ10才くらいの子に、容赦なく中で出した……
     あいつ……平たいおっぱいが好きなの……?」


  桂馬『 STEP:1 こうしてまず、ヒキコモリ先を潰す。家庭をぶっこわす―― 』

 
 

 
  ~ ハクア『で!』 ~
  
桂馬「レイプ! デートレイプ!」

いじめっこの女子児童たち「きゃぁぁぁあ」 「ひい、いいんっ!」 「だめ」 スパン!すぱん!

あさり「おにいちゃん……! すごい!」

 
 
桂馬「いいかい、あさり。善良なフリをして近づき、相手を惑わしながら、

    じわじわと自分のテリトリーに引っ張り込む。
    それが【鬼畜道】の醍醐味だ」

あさり「うん、うんっ」

 
  桂馬『 STEP:2 こうして、いじめっこを陵辱し、鬼畜道のお手本を見せる 』
 
ハクア「………鬼畜道ってなによ?」

 
 

 
  ~ ハクア『で!』 ~

 
 
あさり「お兄ちゃん、行かないでぇ… 私、お兄ちゃんがいないと、またいじめられて…」


桂馬「あさり……。やっぱり、ボクは、おまえの居場所を壊すことはできないんだ。
    あさりならできるよ。
    ボクがいなくなっても、お兄ちゃんの言ったこと、しっかり守るんだぞ。
    そしたら、きっといつか、また会えるさ」


  桂馬『 STEP:3 その鬼畜道の姿勢をさんざん叩き込み、
              お別れイベントで、一人立ちさせる 』


あさり「ちゅ」   バシュゥゥンン……

ハクア「か、駆け魂、勾留…」
 

 
 
桂馬「みたか。生き別れの兄として攻略してやった。これが陵辱ルート攻略だ。

    駆け魂はこうやって出すんだよ」
 
桂馬「しかしロリはいい。ちょろいしな。 ランドセルランドセル! 小学生って
    最高だな! わっはっはっは!」
 
ハクア「壮絶すぎて参考にならない…」
 
桂馬「駆け魂攻略ってのは便利なもんだ。記憶が消えるから」  ゲームピコピコ
 
ハクア「記憶が消えない子がいたら今頃おまえは逮捕ね……」
 

 
  ~ ハクア『で。』 ~
 

雪枝「あさりちゃん。こんにちわ。ゴクルトです」

あさり「うるせーんだよババア! いつもいつも! 犯すぞ!」


雪枝「あさりちゃん。不良になってもうたわー。こわいわー。
    でも、よう元気になったなぁ……はっちゃん、次に回らな」

ハクア「なにか、すごく間違ったことをしてしまった気がするわ……」
 

あさり(……)


   ◇  ◇  ◇

 ――― それから、ハクアは駆け魂6匹を勾留した。
 いずれは雪枝が出すはずだった駆け魂を、桂馬が先んじて出してしまった形になる。
 

 
 
同僚のシャリィ「ハクアすっごいなぁ。勲章、もらっちゃうんじゃないの」


ハクア「こ、これくらい当然よ。もっと上を目指してるわ」


   ◇  ◇  ◇
 

ハクア「ぶつぶつ……私はニセエリートなんだ……私の力じゃ。
     本当は、なにもできないんだ……」 ずーん……

桂馬「いいや。ハクア。駆け魂がこんなに出せたのは、
    おまえのサポートが優秀だからだ…。

   (というか、雪枝さんのおかげで結構駆け魂がでる直前まで
    出来上がっていたぞ!)
    ……過去を映してくれるあの技だけでヒロインの弱みを握れるしな。
    これがエルシィなら、まだ2人目も攻略できていない…
    (本音) 」
 

 
桂馬「ハクア。これは、お前の力だよ」

  自分の無力さに打ちひしがれたところに、甘い言葉で手をさしのべられ。
  心が揺れる。

ハクア「おまえ……。そんなことないわ…
     …桂木……私……おまえがいないとダメみたい」

   彼女はそっぽを向きながら、小さくつぶやいた。

ハクア「あの日の続き……してあげてもいいわよ……
     ほんとうに、なんでも……聞いて……ぁげても………ぃ…」

  ゲーム機を置き、ハクアの顎に手をかけ、自分のほうに向かせ、キスをする。
 
桂馬「『聞いてあげてもいい』じゃない。『聞きます』だろ」

ハクア「バカ……………。…“なんでも、聞きます”……ご、ごっ、“ご主人様”…」
 

 
  ◇  ◇  ◇


ハクア「ふ、ふゃぁぁああ! すごい! かつ、らぎの手っ! やっぱりすごぃ!」 クチュクチュクチュクチュ

桂馬「どうだハクア! 悪魔のお前にはっ、遠慮はいらないな。
    人間の女ならぶっ壊れるくらい本気の“神モード”をみせてやる!」

ハクア「ひぐっ……ぃくっ……!!!! ぅっっ!」

  “人間なんかに、心も体も乱されて”……
  そんな悔しさ、悦び、嬉しさ、怒り、安心、多くの感情が入り乱れた表情で、絶頂していく。

ハクア「へぅ……。ひぃ…、…す……ぃっ」 ビクッ びぐん!


桂馬(エルシィは頼りにならない……ボクは他のルートで、このギロチン首輪を外してやる……)

 
 

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


            九条月夜

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 
 
  エルシィ(それから、神にーさまのりょーじょくは、

        ますますカゲキになっていきました)


   ◇  ◇  ◇

月夜「もっと、もっとあの薬で私にきれいな世界を見せてほしいの
    ですね……はぁはぁ、クスリ……クスリ…」
 
桂馬「小さくなった月夜はかわいいよ。いとおしくてたまらない。
    そうら、フィギュアBUKKAKEプレイだ」  ……ビュッ ビュルルる!!
 
月夜「あぁ、おぼれる、白い世界で、おぼれ…」 びしゃびしゃ
 
エルシィ(うわぁ~、月夜さん、にーさまのよくやってる、白い汁の
      量がおかしいゲームの絵みたいになってます…)
 

 
桂馬「――――眼がつぶれて、もう二度と月が見れなくなったのに、
    月夜は幸せそうだな」

月夜「なにをいっているの桂馬? 目なんて見えなくても、私には
    はっきりと感じられて、そして見えるのですね。今、私たちは、
    月にいるって…。んああぁぁあ!」

  合法ドラッグで、別の世界にトリップしてしまっている九条月夜。
  その白く小さな肉体を、落とし神は、携帯ゲーム機用のタッチペンで、いじりまくる。

月夜「ひゃん! ぁあん! ひぎゃああ!」

  右手だけで箸のように三本のタッチペンを操り、スワイプ、タップ、
  ロングタップやフリック、ピンチインなど縦横無尽に繰り出して
  いくゲームの神。 駆け魂のせいで小さくなってしまった体が、
  プラスチックの棒に翻弄されていく。
  
桂馬「見たか! ボクは、電話のためでなくモバイルOSのエロゲーを
    やるために最新端末を手に入れたんだ!! 既にタッチペンは
    神の体の一部。 落とし神・タッチペンモード!」

月夜「ひくっ……! おっぐ……ぅ」 プッ ぶっ
 
  腹が力みすぎて、脱糞してしまう月夜。
  体が小さくなっているので、大便も豆粒のように小さい。

 
    ◇   ◇   ◇
 
桂馬「月夜。“入れる”ぞー!」

エルシィ(だ、ダメですよぅ!? サイズがちがうのに、もし、むりやり、
      にーさまの、入れたら、月夜さん、体がはじけて死んじゃいます!?)

月夜「んあ……っ!!」
 
   九条月夜の小さな股間に、桂馬はスポイトを差し込む。

月夜「んうぅ!」 ずぶっ

月夜「……んぁ、けーま! けーまぁ!」

  錯乱状態で、目も見えないので、まるで桂馬のペニスを
  入れられたように錯覚している九条月夜。
  
エルシィ(ふぅ、なーんだ。 よかった、それならだいじょうぶです!) よくない
 

 
桂馬「はぁはぁっ! 月夜! いいよぅ、…イクぞぅ!」 (※興奮している演技)

  そして、スポイトの中に溜められた精液を、しぼり出し、
  月夜の白く小さな体に“中出し”した。

月夜「ふぶっ、んはぁあ! けーま゙っ、す、ずっ」

   普通の人間の比率でいえば、2リットルのペットボトル
   いっぱいの精子を膣に注入されたようなものである。

   妖精のように小さくなった月夜の膣内からは、
   とめどなく精子が逆流して、噴水をつくる。

月夜「キおぼっぉー!」 

桂馬「よし……っ!」

  そのぶざまな姿に向けて、桂馬は手鏡を差し出した。
 

 
桂馬「どうだ見ろ! この醜い顔を、この無残な姿を!
    これが“幸せ”のカタチだ……!
    くそまみれで、全身を痙攣させながら、よだれも鼻水も全部出して、
    それでも、月夜、お前は人生で一番の幸せの絶頂にいる!

    月夜、お前は美しいものが好きといったな! 感情を見せるのは醜いとも。
    だが幸せは、感情を押し殺した、気取った美しさの中にあるんじゃない! 

    ……って見えないか! そういや、眼、使えないもんな! わっはっは!」
  
月夜「ふぅ……はふぅ…。…しあわせ……なのですね……」

エルシィ(うわぁ)
 

 
桂馬「失敬。すまん、ルート修正する。もうしばらく楽しんでてくれ……」

月夜「んふぅ……」
 

   ◇  ◇  ◇
 
桂馬「……エルシィも、悪魔らしく、呪いでもかけてくれれば攻略も楽になるのに。
    まったく新悪魔ってのは。
    ……。
    しょうがない、またこのきけんドラッグで…、月夜にさらに幻覚を見せてやるか」

 
 
 
エルシィ(うー、私の力が足りないばかりに、神様がどんどん遠くへ…)


人形のルナ「……」

 
 

 
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  ~ エルシィ『で!』 ~
 


エルシィ「神さまー! 聞いてください! 信じられません!
      私の成績が、極東地区トップだって…!
      それでっ……」  ガサゴソと風呂敷の中から取り出す。

エルシィ「重勲章、もらっちゃいましたー!」 ぺかー

桂馬「そんな名誉なんているか。首輪が外れなきゃ意味がない。
    ……勘弁しろよボクはゲームをしていたいのに……」 ピコピコ

エルシィ「それに、なんだかえらい人達からの寄せ書きもついてます!」

  【ガンバレ】 【負けるな】 【つらいことは、いつかきっとあなたの力になる】
  ……などと、同情的な言葉が、地獄の言語、“獄語”で綴られている。

エルシィ「うー、勲章もらって、エライ人たちに目をかけてもらえて………
      私、すごく出世して、そのうち室長になっちゃうかもしれません!」 わなわな

桂馬「お前がそうなったら駆け魂隊の最期だな」
 

 
エルシィ「はぁ。 だけど、最近の神様、過激すぎですよー。悪魔の私でもドンびきです」

桂馬「なんだよ」

エルシィ「ハクアの攻略、手伝うのはいいですけど、なにも廃人にすること…
      月夜さんだって……」  うじうじ

桂馬「しかたないだろう。過激になるのは。

    “陵辱ルート”は必然的に心も体もギリギリを攻めていくからな。
    反撃を許したら今度は自分が危うい。向こうだって必死だ。
    自分の全存在をかけて反抗してくる。
    見ろ、この腕の歯形。ちひろに噛まれたのがまだ残ってるぞ。
    ダルマにしたから安心だと思っていたら、これだ。
    陵辱ルートは、一瞬の気の緩みが敗北につながるんだ」

エルシィ「気が抜けないって、最近、どこかで緊迫してましたか……?
      この前なんか、女の子の背中の上にPFPを三個も並べて、
      ゲームしながら後ろかられいぷしてたじゃないですかー!
      あんなれいぷ、女の子に対して失礼ですよー!」

 
エルシィ「歩美さんや青山美生さんをれいぷしてたころの……、
      女の子のしょーらいを思いやる、心優しいレイプ魔の神様は
      どこいっちゃったんですか~!?」

桂馬(思い出は、美化されるんだな……)



桂馬「…ボクも、好きでやってるんじゃない。
    本当はゲームの女子だけ調教攻略していたい」

エルシィ「神様……?」
 
桂馬(……今更、戻れはしない。いけるところまで突き進む)
 

 
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      生駒みなみ    ( 桜井ひより )

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   ◇◇ 舞島学園 中等部 ◇◇



みなみ(部活が終わってから、友達は男の子のことばっかり…)


みなみ(はぁ。……終わっちゃったんだ……水泳……)


三ツ谷秋子「みなみ、みなみ、みなみ~」 「みなみがカッコイイってったこいつ」

   同じ水泳部・クラスメイトの友達に、桂木桂馬の写った写メを見せられる生駒みなみ。

みなみ「うん…」
 

 
斉藤あかね「このヒト、高等部じゃ有名な、最悪の変態のサイコパス凶悪犯らしいよ~」

みなみ「え…?」

あっこ&斉藤「自分のことを『神』だっていってるらしいよ」
  「妹と同じクラスで」 
  「授業中に堂々とゲームやってるって」 「それもエロいゲーム」
  「月を見ながら美少女フィギュアにぶっかけてたらしいよ」
  「教育実習の先生が知らずに注意したら逆にリンチされて!」
  「ある筋からは『監禁王子』って呼ばれてるって」
  「図書館全焼事件はこいつがやったんだって~」 
  「悪魔に取り憑かれた上に、そのうえ鬼にも取り憑かれて」
  「妖怪てけてけやカシマさんみたいに人間の手足を……」
  「この前の小学生連続暴行事件にも関係してるって」
 

 
みなみ「二人ともからかってるでしょ……私でもそんな噂、信じないよー」

斉藤「…だべ?」

あっこ「みなみなら信じるかと思ったのになー、このホラー話」

みなみ「もう……」


みなみ「……。
     (でも……高等部の、桂木桂馬…先パイ……どんな人なんだろう)」


  ◇   ◇   ◇

 
みなみ(あっこたちの言ったのは、たぶん他人をからかうための嘘。

      こわい話って、盛りすぎると、こわくなくなるっていうか。
      荒唐無稽すぎて……1つも信じられないのであります……。)
 

 
  ◇◇ 高等部校舎・2-B教室前 ◇◇


みなみ(……) キョロキョロ

みなみ(……高等部……ちょっとこわいな

      な、なんで私、あの人のこと、見にきてるんだろう…
      部活が終わって、やることないから……?)

桂馬「……」

みなみ(わ……本当にゲームやってる)

みなみ(ここからじゃ、画面見えない。……エッチなゲーム、なわけないよね)

桂馬「…………」

みなみ(…先パーイ、頭の上のプリントとってください、不審ですよー)

 

 
  ◇◇ 体育館 4F室内プール ◇◇


みなみ「…(桂木先パイ、よくわかんないな……)」

みなみ「………(私、結局プール来てる)」

桜井ひより「――ふぅ。がんばったがんばった」

みなみ「…っ!」

桜井ひより「よいしょっと」


みなみ「……(高等部の先パイが急に隣に座ってきた。
     な、なんだろ…なにか怒られることしたかな)」

ひより「…あなた、最近よく高等部に来てるでしょ」

みなみ「……えっ」

ひより「……桂木桂馬のやつ……のこと、見てる……」

みなみ「…!」
 

 
    ◇◇ 高等部 2-B 教室内 ◇◇

桂馬「今回は急ぐぞ。4件抱えてる。中等部・三年の生駒みなみ。
    高等部・二年の桜井ひよりの2人。それに、ハクアの
    駆け魂も2件、急を要するだそーだ」(※なのにゲームプレイ中)

エルシィ「またハクアのお手伝いをしてるんですか、それでへーこー攻略…。
      う~。フクザツです……。神様のバディーは私なのにー。
      透さんと麻美さんの同時攻略がうまくいってから、かみさま自信満々…」

桂馬「やりたくはない。だが、10匹だせば勲章2つ級だっていうのに、
    10人攻略し終わってもまったくボクの首輪は外れる気配はない。
    ただ攻略していくだけじゃだめなパターンだ。
    エンディングへのフラグが足りない。だから、まずは地区長のハクア。
    そこからもっとの上の悪魔にも食い込んでいって、
    いずれ首輪を外せる力のある悪魔を納得させて、外させてやる」

エルシィ「それでまた、ゲームのセリフそのままの手抜き攻略……。
      神様。みなみさん、中等部の子なんですから、あんまり
      乱暴にしないでくださいね…」

桂馬「いつものことだろ。ゲームのセリフそのまま使うのも。乱暴にするのも」
 

桂馬「これは長瀬先生や月夜が比較的簡単に落とせたことの検証でもある。
    もうすぐハクアも来る。やるぞ。毒電波攻略」
 

 
   ◇  ◇  ◇
 
桜井ひより「ほら、こっちだよ」

みなみ「ま、待って下さい。桜井センパイ!」


みなみ(桂木桂馬の正体を見せてくれるって、言われて、

      ついてきちゃったけど……
 
      私、ちょっと気になるだけで、べつに……
      恋……なんて……してないよね……

      でも、高校でも水泳、するなら、高等部の水泳部の
      桜井先パイには、逆らわないでおいたほうがいいかな…)

ひより「入るわよー」


  ◇  ◇  ◇
 

 
 
桂馬「―――やぁ。みなみちゃん。よく来てくれたね」


みなみ「…!」

 教室の中には、教卓の上に腰掛けて、足を組んでいる桂木桂馬の姿があった。
 そして、その足下には、あられもない姿で寄り添っている二人の女子、エルシィとハクア。

みなみ(え……)
     (裸の女の人……え? え?なんで?)
     (それに、みなみちゃんって、呼ばれた……
      桂木先パイに、私の名前、知られてる…の…!?)

エルシィ「……」

桂馬「驚いてるかな。この二人の、ことも……」

桜井ひより「くすっ」

 

 
桂馬「生駒みなみちゃん。ボクの変な噂は聞いてるだろう…。

    噂はすべて真実さ…。
    ボクは、悪魔と契約して、
    魔法の力で、好き放題やらせてもらっていてね。

    ボクは、女の子を自由に壊すことができるんだ。
    ……それでこいつらも、あっさり落としてやった」

エルシィ「えへへ~、“桂馬様”!」

ハクア「ご主人様ぁ (くぅ、なんで私が、こんなフリ)」

みなみ「……」
 

 
  彼は、妖しい魅力を湛えた瞳で、みなみを見つめる。

桂馬「『壊してあげたんだよ。心をね、壊してあげたんだ。』

 ┃
 ┃ 『苦しいことも辛いことも皆忘れ、嫉妬心なんか抱かないように。
 ┃
 ┃  そう、ちょっと特殊な電波を使ってね。』
 ┃
 ┃
        」

みなみ「ぁ…………」   なにか不思議なものに魅入られたように、
                みなみは、動くことができない。

 
ハクア(ほんとうに、ゲームのセリフを使って攻略したりしてるのね……
     見たくなかった舞台裏だけど)   心の中であきれるハクア。
 

 
  ◇  ◇  ◇

みなみ「……っ……ッ」

 桂馬「 

 ┃ 『毒電波とは空から降り注いで人を狂わせたり、おかしな行動をとらせたりする、
 ┃  言葉通り毒のような電波のことさ。
 ┃  目には見えないし、知らないうちに脳内に侵入するから防ぎようが無いんだ。
 ┃  もともと人間の意志とか感情とかは、電気信号の集まりだろう?
 ┃  毒電波はそれを歪め、汚染してしまう力をもっている。どうだい?面白いと思わないかい?
 ┃
 ┃  人間の心が外から歪められてしまうなんて。
 ┃
 ┃  そんな毒電波を、もし仮に自分の意志で操ることが出来るとしたら、
 ┃  とても面白いとは思わないかい?
 ┃  他人の脳を、離れた所から直接操作できるんだよ?リモートコントロールみたいにね。
 ┃  それが僕には出来るんだ! 僕が壊してやった。 あはは!壊してやったんだ!!』
 ┃
        」

ハクア(壊れてるのはお前の方よ。エロゲーのセリフ丸暗記して)

桂馬「みなみちゃん。きみも、ボクの電波で幸せにしてあげるよ……」
 
みなみ(逃げなきゃ……この人たち……こわい。……なのに)
 

 
みなみ(な……なんで、体が、しびれたみたいに動かないの……)

ハクア(私が動魔法で、動きを封じてるからね)   ぐいぐい
 
みなみ「あの……たすけて……」

ひより「あなたも、私と同じ体験をするんだよ…」

エルシィ「とってもしあわせになりますよ。神様の手に抱いてもらえると」

ハクア「コイツの、…ご主人様の手、すごいんだから。(これは、本当…)」

  桂馬はゆっくりと近づくと、みなみの頭を掴み、
  時間をかけて口づけをした。


みなみ「んむ……
     (だめぇ、動けない、逆らえない……)」

ハクア「っ…」

桂馬「ふふ」   二人の舌と舌の間に、唾液が橋をつくる。

 

 
 
みなみ「はぁっ……はふぅ…………」




  みなみ(……噂の人物、桂木桂馬先パイの正体は、
       人間を操っちゃうらしい、【毒電波】の持ち主でした。


       なんなのかぜんぜんわからないですけど、
       こんなにドキドキしてしまうのも……
       きっと、その【毒電波】のせいなのであります)

 
 
 
 ◇  ◇  ◇

 

 
 
    昔は楽しかった……


   泳ぐのも、毎日嬉しかった……

     でも、水泳ばっかりやってて……水泳以外できなくて……
   大会に出たかった…… でも、補欠のまま、終わっちゃった……
       ……私の、全部、終わっちゃったんだ……

  それでも、終わりがあって……また、新しい始まりがあって……

    私には……新しい始まりが訪れました……

  水泳は終わってもいい……
    今は、セックスが楽しい……から……

    桂木先パイの、あれが、私の中をこすって……
     手が、手が、手が、全身をなで回して
   男の人の腕に抱かれるのは、水の中にいるよりも、ずっと気持ちよくて……

みなみ「んぅ……はぁっ……くっ」

    ぬちゅっ にゅつっ
 

 
 
みなみ(最初は、なにかに操られたみたいに、勝手に腰をふられてたけど……)


    ぱんっ!  パンッ!

みなみ(いま、私、自分で腰をふってる……。……でも、これも、

      桂木先パイの 【毒電波】 で、心が操られてるから……?
      分からないけど……もういいや……)

  全身に、マジックペンで下品な言葉を落書きされた、幼さの残る体を、
  ゆっくりを揺らす生駒みなみ。
 
みなみ(水泳、やっててよかった……
      持久力にちょっと、自信あるかも……

      ……そっか、終わったと思ってたことも、
      力になって、私を幸せにしてくれるんだ……)
 

 
みなみ(……あ……高等部の、三人の先パイに、なめられるの、気持ちいい)


      『発情期』 『キモオタ専用』 『便女』 『正 正』 『ぶた』 『オナホ』
     『人生終了』 『変態』 『発育中』 『中古品』 『めすざる』 『オタメガ用トイレ』


   瑞々しい肌の上に、卑猥な文字がどんどん書き足されていく。
   その文字をなぞるように、エルシィたちの舌が這う。


桂馬「ほおら、ボクの命令したセリフを言ってみろ」

みなみ「……はい」
 

 
みなみ「舞島学園、中等部、3年しーぐみ、生駒みなみ、です……
     わたし、せんぱいの、【毒電波】で、せーしん、こわされちゃいました……
     だから、セックス、……大好きであります!」
 
桂馬「みなみ、カメラに向かってダブルピースしようか」
 
   みなみは、桂馬との結合部をカメラに見せつけるように交わりつつ、
   両手を小さく挙げ、ピースする。陰唇が、ペニスの動きに合わせて震える。

みなみ「んぅ……! んは、 気持ちいい、で、す、っ、かつらぎせんぱい」

   繋がりながら、桂馬はみなみの唇を吸った。

   ◇  ◇  ◇


   エルシィ「駆け魂、勾留……」

 
 

 
 
エルシィ「あの子、壊れちゃいましたね―――」


桂馬 「壊れたんじゃない……
     『自分は壊れたと思い込んでる』んだ」

    「ボクは理由ときっかけと、そして快感をくれてやった。
     部活が終わって、体力が有り余って、でもやることがなくて
     ストレスがたまっているだろうみなみに、それを発散できる快楽を。
     人間、それを正当化する理屈付けを、人にやってもらえれば、
     意外と簡単に、自分の奥底の欲望を露わにして、素直になる…」

ハクア「なんでも思い通りにできる【毒電波】、新悪魔に、そんな魔法はないのにね……」
 

 
エルシィ「にいさま。 あの子、みなみさん……神にーさまなら、普通の恋愛で、
      心の隙間を埋めてあげることは、できなかったでしょうか?」

桂馬「……ボクには、現実<リアル>女の心なんて、解らない。興味もない」 (ゲームプレイ中)

エルシィ「そう、ですよね……」

 
 
桂馬(それに……今さらどんな顔で恋愛なんてするんだ。一番最初のあのとき、

    命が惜しくて歩美の足を奪った時点で、現実<リアル>のボクには、
    最早戻れる場所なんてどこにもないんだよ)
 

 
ハクア「ホントなに言ってるのよ。エルシィは。
     ……こいつ手、見たでしょ? 
     神モード。すごいわね……。どうしたらあんな風に動くのかしら。
     エルシィ、まさか、あの手が、“神の手”が、ただ、しょうがないゲームを
     同時プレイするなんかのためのものだと思ってるの?
     そんながワケないじゃない。そんな宝の持ち腐れ、ありえない。
     これはレイプのための能力なのよ。
     こいつは最初から、女を強引に気持ちよくするためだけに産まれた怪物なの……」

エルシィ(ハクア……ちょっと目がこわい……ハクアも、にーさまにおかしくされてる)

    携帯ゲームをしている桂馬に、今回のごほうびがほしそうに寄り添うハクア。

エルシィ(ううん……おかしく、なりたいんだ……きっと。そのほうが、ラクだから)
 

 
  ◇  ◇  ◇

 
 
 エルシィ(こうして、神様はどんどん“神の力”に溺れていきました。


       ゲームをやるのが大事な神様にとって、『陵辱』でてっとり
       早く済ませて、ラクできるのに、ラクしない手はないからです)

 
 
 エルシィ(かみさま。 “神の力”、 落とし神もーどを使わないで

       女の子を攻略する道なんて、ありえたんでしょうか)



  ◇  ◇  ◇

 
 

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   ◇◇ 生駒みなみの自室  ◇◇
 

みなみ(今日は七夕まつりの日……、友達は彼氏といくみたいだし

      弟たちは出かけてて……いない。
      私は家に残って、勉強するって言ってあるから、思う存分……)  

    思わず、表情がほころぶ生駒みなみ。
    友達からもらったコスメでちょっと化粧のまねごとをし、
    母親の服を借りて、帽子を目深にかぶれば、
    近場のド○キでも買うことができた。

みなみ(私、なんでこんな風になっちゃったんだろう、
     部活が終わって、時間と、エネルギーがあまって
     しょうが無いからかな……?)

   鍵のかかった学習机の抽斗をあけると、中には
   紫やピンクの色とりどりの“オモチャ”。


みなみ「……んうぅ!」  ずぬっ
 

 
   ◇  3時間後  ◇

 
 
弟「イエーイ! 夜店くじであたらしいオモチャゲットしたし、

   バードに見せびらかしてやろー!」

  夏祭りで手に入れた、光って鳴って変形するオモチャの銃を
  構え、姉・みなみの部屋に突撃する弟。

  はしゃぐあまり、『勉強中』と書かれた貼り紙を見落としたことが弟の失敗。
  家族が祭に行って、いないからと安心し、カギをかけ忘れていたことが、姉の失敗だった。

   ガチャ

弟「やーいバード、しねー!!」   ビビビビビ

みなみ「んんぐぅううう!」   ビクビクビグゥ!

  ウィンウィン鳴って光って変形する“オモチャ”に囲まれて。
 

 
弟「……え?」

  生駒みなみは、本日十本目のバイブレーターで、絶頂を迎えていた。

 
 
みなみ「んぃーっ、……ひぃー…!」   ブルブルッ


弟「……?」

みなみ「っっっ!」  膣汁プシャー

     弟に見られながら、潮を吹く、みなみ。

弟「う、わぁぁあ~~!」

弟「かーちゃん! バードが、バードがぁ~!」

    みなみを囲む、10個以上の電動バイブやローターは、まるで神モードの手のようで。

弟「おしっこもらしてるー!」

 
   
    こうして、生駒みなみは、水泳を辞め、性依存症のセカイへと足を踏み入れていった―――

 

 
      ◇   ◇   ◇
┃ 
┃ んふふ・・・セックス・・・セックス・・・みんなセックスし続けろ。激しく。もっと激しく。
┃ ペニスとヴァギナを擦り合って、愛液と精液を混ぜあって、
┃ 肉と肉がとろけ合うまで、交わり続けろ!
┃ いずれは学校中の生徒も参加させてやる。善人面した教師たちもだ。
┃ そうだ卒業式が良い。式が始まり、全員が講堂に集まった時、僕が電波を送ってやる。
┃ 学校中の女たちの穴という穴すべてに、精液を流し込んでやる。
┃ 校長も教頭も、皆家畜のように善がらせて可愛い教え子たちの膣にペニスをぶち込むのさ!
┃ 学校の次は、この町全てを巻き込んでやる。
┃ ただすれ違っただけの見ず知らずな奴ら同士をいきなりセックスさせてやる。
┃ たとえそれが、親子であろうと、兄弟であろうと、女同士だろうと、男同士だろうと、
┃ 子供だろうと、老人だろうと、赤ん坊だろうと。
┃ 全員残らず性器を結合させて、愛液と精液にまみれさせてやる。
┃ ・・・セックス・・セックス・・・セックス・・どいつもこいつもセックスさせてやる。
┃ 膣やペニスが擦り切れて、血まみれになっても、腰を振り続けさせてやる。
┃ 血と精液と愛液にまみれながら・・・
┃ 喉が渇けばそれを啜らせ、腹が減ったら互いの肉を噛みちぎらせる。
┃ そして永遠続けさせてやる。セックスを・・・
┃ くくく・・・セックスだ。 
┃ セックス セックス セックス セックス セックスセックスセックスセックス
┃ 

桂馬「……うん。やっぱりエロゲーはいいな。ギャルゲーにはない魅力がある」

   カチ……カチ……

エルシィ「神にーさま……」
 

 
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       ノーラ・フロリアン・レオリア

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   ◇◇ 夏休み中 学校 2-B教室 ◇◇




桂馬「せっかくのゲームしほうだいの夏休みだっていうのに、駆け魂か。
    ……とにかくまずは、あのノーラとかいう悪魔に、
    命を狙われている状況をなんとかしなくちゃな」 (ゲーム中)

天理(ディアナ)「こんな状況だというのに、ずいぶんと落ち着いていますね」

桂馬「当然だ。ボクがクリアしたゲーム(※陵辱エロゲー)の中には、
    主人公がヒロインに命を狙われる展開はごまんとある。
    こんなのボクにとっては日常だ」

天理(ディアナ)「………(こんな男のどこがいいんですか天理は)」


エルシィ「でもどうします? 冥界法治省に連絡しても間に合わないだろうし…」

桂馬「いつもの攻略をする」

エルシィ「て、天理さんを先に攻略しちゃうんですか、あのやりかたで……(ごくり)」

 
桂馬「攻略対象はノーラだ」

エルシィ「うぇええ!」

桂馬「単純だろ。ノーラをどうにかしなきゃならないんだからな。
    ……ハクアを連れてこい。ノーラのバディーを人質にとって
    いつでも殺せるようにするぞ。そうすればノーラも道連れだ。
    それから──

    準備ができたらハクア、エルシィ、そして天理の中にいる駆け魂のお前。
    この三人がかりでノーラを捕まえるんだ。そしたらボクが料理してやる。
    それまでの間、ボクはこのゲームを攻略してる。作戦は以上。いけエルシィ」
 
天理(ディアナ)「…またゲーム」
 
エルシィ「駆け魂と協力して仲間を襲うなんて、ハクア納得してくれるかなあ………
      楠さんのときみたいに、ごく自然に駆け魂も仲間に数えちゃうからすごいな、神様」

 

 
   ◇  ◇  ◇

ハクア「ど、どうして私が、駆け魂の反撃の手伝いをしなきゃならないのよ!
     私、駆け魂隊の地区長よ!」

桂馬「ハクア。ボクの言うことが聞けないのか?」

ハクア「っっっ! (ドキーン)」

桂馬「それにこのままじゃエルシィも死ぬぞ。それでもいいのか」

ハクア「……しょ、しょーがないわね。これはエルシィのためで、
     おまえのためなんかじゃないんだからね!」

桂馬「いい悪魔だ。夏休みだからとゲームばかりやって、放っておいて
    悪かったな。あとでご褒美をやる。(めんどくさい…)」

ハクア「フン! (…………嬉しい、うれしい!)」

エルシィ「はぁはぁ、やっと追いついた。ハクアったら、にーさまが呼んでる
      って話したら、私をおいて飛んでっちゃうんだもん」

エルシィ「おねがいハクア。手伝ってー!」

天理(ディアナ)「もう話はつきました。……私も。やむを得ませんね」
 

 
   ~ エルシィ「で!」 ~

 
エルシィ「エイっ! おとなしくしてください、ノーラさん」 がばっ

ノーラ「なにっ、あんたたち」

ハクア「禿とかいうあんたのバディーは人質にとったわ。
     よくもエルシィと“ご主人様”を狙ったわね!」 バッ

ノーラ「なっ! どけこのっ、ウザいわね!」


桂馬「……くっ、どうすればいいんだ! この魔法少女アイ惨というゲーム……
    クソゲーめ。一般ゲーム業界じゃありえない……
    『くれよん』は、絵がついてるだけ、ましだった……これが修羅の国か……」

ディアナ「そのままその悪魔を地上にひきずり降ろしてください」

ノーラ「放せこらっ! お前ら二人なんかに負けるわけ…!」

 ◇  ◇  ◇
 

 
ディアナ「今ですっ」 バっ

ノーラ「何だおまえっ?!」

エルシィ「うー、もー抵抗してもムダですよ!」 ぐいぐい

ディアナ「三人に勝てるわけないでしょう!」

桂馬「捕まえたか。さーて、えっきゅん(※ かたわ少女より)を殺された怨み、
    しっかりと晴らさせてもらうぞ。ボクの攻略のすごさを教えてやる。
    お前の体になっ!」


 

ノーラ「うほおおおおっ、おしりの穴に拳入れられてこすられるのいぎぃいい」

桂馬「よし。調教完了だ」

天理「いいのかなぁこれで」
 

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


      日永梨枝子  ( 阿倉川紫埜 )

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

  ◇◇ 桂馬の父方の田舎にて ◇◇


エルシィ「本当ですー! 幽霊が出たんですよー! 『クビ切ルゾ!』って。
      にーさまー! なんとかしてくださいーっ!」  くいくい
 
桂馬 「なんでもボクに頼るな。三百にもなっておねしょした言い訳がそれか」

エルシィ「うう、あ…… あれは、にーさまがいくら言っても起きてくれなかったから」

桂馬 「ボクはゲームで忙しい。……霊のたぐいなら専門家がいただろ?
     豊星神社の。 あいつにでも頼んでろ。
     向こうもプロだから、出張料金は自分のこづかいから出せよ」 ピコピコ

 
 

 
  ~ エルシィ『で…』 ~
 

阿倉川 紫埜(※小説版2巻のヒロイン)「……むん…ぬぬぬ……」


エルシィ(今、お墓場で悪霊を探って下さっている凛々しい巫女さんは、
      阿倉川紫埜 <あくらがわ しの> さん。

      見た目はかっこいいですが、私以上のドジです。
      前に、にいさまが呪われたげーむに手を出したとき、
      いっしょに戦ってくださいました。そして、にいさまは…
      悪霊(“あくおに”)に心を操られているという設定でれいぷを………。
      いまは、部分的に記憶は消えているようです)
 

 
エルシィ「ど、どーですか?」

桂馬 「……」 (※ゲーム中だが気になって聞いている)

 
紫埜 「こ、これは……。 さっぱり何も感じぬ…」


桂馬 「オイ」

桂馬 「巫女なんだから、嘘でもいいからそれっぽいこと言って、
     エルシィを安心させろよ。 そういう商売じゃないのか。

     霊なんてどーでもいいんだよ、
     駆け魂みたいにボクの首が飛ぶわけがないし」(ゲーム再開)

エルシィ「聞こえてます」

 
 

 
  ◇◇ 夜 ◇◇
 
桂馬 (とはいったものの、紫埜は、結界は張るわ霊は撃退するわの、
     悪魔でもないくせに不思議な力も使える本物の霊能者だ。
     阿倉川紫埜が解らないならたぶん霊じゃない。 でも、
     エルシィの駆け魂センサーも反応しない……つまりこれは…?)


 霊の少女 【 あそんで!】
 
エルシィ「ほらほら! 夜になると出ましたよ!?」

紫埜 「なんと」

桂馬 (なんと、じゃないだろ。やっぱり隣に悪魔がいても見抜けないバグ巫女……)

 霊の少女 【 あそんでくれなきゃ……クビキルゾ 】

紫埜 「ふむ。幼くして現世<うつしよ>を去り、遊び足りない子の霊が迷って出たか。
     力で無理矢理祓うのは忍びないな。 これは、遊んで成仏させてやるべきじゃの」

エルシィ「私はいやですよー! ユーレイなんて怖い!」

桂馬 「……幽霊の方も、悪魔がやってきたと知ったら怖いだろうな」
 

 
2人 「“れいぷ魔”のが怖いです…」  「巫女がおるぞ!」

桂馬 「しかたない、ちょっと気にかかるから、ボクが遊んでやる。
     ただしボクのやり方でな」

エルシィ「ありがとうございます、やっぱり神様、頼りになります。
      幽霊さん、かわいそうに…」


桂馬 「やぁ、遊びにきたよ」 (※ さわやかお兄さん風の演技)

霊の少女 【…来てくれたんだね! 遊ぼ!】
 
桂馬 「よーし、ボクは手加減しないぞ」
 

紫埜 「ふっ。あの男、あいかわらず霊が相手でも全く物怖じせぬな」
 

 
 
  ~ エルシィ『で……』 ~


 
霊の少女【 あへぇ~ あげぇ…… 】

桂馬 「絶対的な体格差ゆえだ。セックスしたらこうなる」

紫埜 「……あの男、わしのような年上が好みだったはずでは?」

エルシィ「……にーさまは全部キライで、逆になんでもいいんです」

 
 
霊の少女 【 あたしばっかり小さいから、こうなるんだ……ふこうへいだっ! よーし 】


    ハタチ前ほどの姿に変身する梨枝子の生き霊。


梨枝子(霊)【 これで同じくらいだよ 】

桂馬 「……これは」

梨枝子(霊)【 にっ 】

桂馬「面白いぞ。リアルのくせに中々やるじゃないか。
    いいだろう。本気で抱いてやる……【落とし神モード】発動!

    そっちが霊の力なら、こっちは神の力(自称)だ! 神秘の力の対決だ」
 

 

  ~ エルシィ『で、で……』 ~
 

梨枝子(霊)【 はぁはぁ 】

桂馬 「どうだ、幽霊のくせに感じるか!」   クチュクチュクチュクチュ
 
梨枝子(霊)【 んぅ~~、こんなの、長く生きてて、はじめてだよ 】

梨枝子(霊)【 もっと、もっとイカセテ! 】 くねくねっ

エルシィ「お、おわりませんね…」

紫埜 「わしが好みだったはずでは?」

エルシィ「まだ言ってます…」
 

 
梨枝子(霊)【 うれしいよ、さみしかったよ……さみしかったよ…… 】

桂馬 「まだまだ、体位はたくさんあるぞ! エロゲーマーをなめるな……」

梨枝子(霊)【 うん……すごいんだね……最近の子は…… 】

 
 

  ~ エルシィ『で……』 ~


  ◇◇ 日永家 ◇◇

梨枝子(※おばあさん)「ZZZ…………」

  バタンッ!

桂馬 「ようやくあの幽霊から事情を聞き出したぞ! ババアあんたの仕業か!」

梨枝子(婆)「ふぁっ!? むにゃむにゃ、なんじゃいね、あ、あんたは!?
         んほ、もしや、あんた、夢にでてきたいい男!?」

桂馬 「よし! 駆け魂はこっちにいるな」 ドロドロドロ……

エルシィ「センサーとらないでくださーい」
 

 
梨枝子(婆)「なんとまぁ、夢の男の正体は、桂木さんのとこの桂馬君じゃったか…」

桂馬 「本体を直接叩いてやる! 覚悟しろ」 スパンスパン!

梨枝子「おおお、ほおおお! 何十年ぶりじゃあ、
     老体には、刺激が強すぎるの! い、いく、イク、逝くーー!」 ポックリ。


紫埜 「成仏したか……。幸せだったようだぞ……。
     年上好きのハンサムな男に抱かれて、本望だったようじゃ。
     最後のアバンチュール。
     ……ひと夏の思い出、か……
     ……ぽっ」

エルシィ「か、駆け魂、勾留……(あの、いま、レイプ殺人事件が
      いい話みたいなノリで済まされませんでしたか…?)」

 
 

 
  ◇  ◇  ◇


エルシィ「紫埜さん……(結局、いてもいなくてもよかったですが)、
      お祓いのお金は、お支払いします」

エルシィ「ですからどうか、新地獄の記憶改竄がくるまで、
      どうか……このことは黙っていてください…」

紫埜 「お布施はいらぬ……なにせ…」

紫埜 「この見事な器をウッカリ割ってしまったからの……」 ばらばら

桂馬 (マルチの描かれた、じいちゃんの器が………)

 
 

 
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             上本スミレ
 
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  ~ エルシィ『で!』 ~



桂馬「いい加減にしろよ駆け魂ども! せっかくの夏休みに、いつもいつも!
    ハクアや他のやつらの分まで!」

  次なるターゲットに手っとり早くガバリと襲いかかる桂馬。

スミレ「ひっ」

桂馬「なにがラーメンだ! ザーメンでも食らえ!!」

スミレ「うえぇ、なにこの調味料!」

桂馬「さぁ尻を上げろ、小便を店のラーメンに入れているところをTwitterにあげてやるんだよ」 パシャ! パシャ!

スミレ「ひぐっ……ひぐっ」  じょろ、じょろろろろろ…
 

 
桂馬「“ラーメン鉢に放尿なう” と。 ビデオも撮るぞ。顔をしっかり上げて。
    カメラに向かって、上本屋をよろしくおねがいします、だ。ニッコリ笑えよ」

スミレ「う……上本屋をおねがいじまず……」

桂馬「こんな小さなラーメン屋、これで永遠のパワーアップ休業だ」 ぺちんぺちん


エルシィ「繁盛しました」
 

 

  エルシィ(この頃になると、神にーさまはもう、何もおそれなくなっちゃいました。)

  エルシィ(そう、“現実の神様”でも…)

 
  エルシィ(いつか、神にーさまと、お話ししたことを思い出します……)

エルシィ『神様、そんなにゲームの時間が足りないんでしたら、
      “ぷろぐらむ”っていうんですか?
      そーゆーの見ちゃえばいーじゃないですか。
      神様ならできますよー! この本にある、“チート”っていうので!
      そうすればゲーム以外にも時間が……』
 
桂馬 『分かっていないようだな。エルシィ。いい言葉を教えてやろう。
 
     【 CはS チート、やめますか  それともゲーム、やめますか 】

     一度、チートやら改造やらで楽を覚えた人間はな、
     もう地道な稼ぎ作業には戻れないんだ……。
      「こんなことやってるなんて、バカらしい~」、と。

     そうして、いつしか、ゲームの世界に没頭することすらできなくなる。
     一時の快楽は得られても、ゲーマー人生が終わりかねない。
     それがチートだ。ボクは手を出さん。どうしても必要な場合を除いて』

エルシィ『……(「こんなことやってるなんてバカらしい~」って思ってほしいです、神様には)』

 
 
  エルシィ(たぶん、神様自身が、現実の攻略で、そうなってしまったんでしょう。

 
        “チート”の力におぼれて、もどれなくなってしまうお話。
 
        “りょーじょくルート”。 攻略への“裏口”。
 
        そのてっとり早さを知ってしまったら、マジメな恋愛になんて、
        もう、もどれないんです。)

 
 

 
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        榛原七香    女神ディアナ

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  ◇◇ 深夜。桂馬の家の隣、鮎川家。 ◇◇



天理「zzz……」

  奇術・マジック用の道具が並ぶ自室で、深い眠りについている鮎川天理。

  少女の中に隠れている女神が、悪魔が近づく気配を感知する。

ディアナ「…っ。これは……!?」   キィィィン
 
  女神ディアナが、天理の肉体の主導権をとるが、

ハクア 「ッ!」
エルシィ「えいっ」 がばっ

ディアナ「な、なにをするのです、あ、あなたたちは!?」

  僅かに遅れをとってしまった。
   
桂馬「ディアナが表に出たか。助っ人を連れてきてよかった。ハクア、押さえてられそうか」

ハクア「二人ならなんとかね!」
 

 
ディアナ「桂木桂馬ですね! ……て、天理への夜這いなのですか!?
      やめなさい!
      今は、私です、ディアナです! 天理は眠っています!
      …そもそも、なんですか、他の女性たちの力を借りて襲いにくるとは
      見苦しい、こういうことはもっと順序を……」

桂馬「悪いなディアナ……今日は、お前を、犯しにきた。
    天理じゃなく、おまえを……」

ディアナ「…っ?!っ!?!」

ハクア「部屋に拉致するわよ。羽衣を切ってくるから油断しないで」

エルシィ「ごめんなさいディアナさん、だいじょーぶですよ、
      痛いのは最初だけですから。
      みんな最後は、幸せそうになります」

ディアナ「む、むぐ…っ!」
 

 

  ◇◇ 桂馬の部屋 ◇◇

   駆け魂隊の特製の羽衣で両手足をきつく縛り上げられ、
   ディアナが、服を奪われて吊るされている。

ディアナ「嫌…」

桂馬「うん。やっぱりコレがないとな」

  天理の部屋からもってきた、大きな赤いリボンをディアナの頭の両サイドにつける。
  髪を編んでいつもの髪型に整える。

ディアナ「くぅ…」
 

 
桂馬「さてディアナ。…セックスだ。
    天界人とやらはコッチはどうなのかな。やってやる」

ハクア「……っ」

  ディアナは目をそらし、小さな声で言う。

ディアナ「ぁ―――悪魔たちを、外へやってください、 せめて、初めては……ふ……」

桂馬「イヤだね。よ~く見ておけハクア。ここからは神と神の対決だ。…落とし神モード!」

   シュパパパパパ


ディアナ「んぁふぁあ! ……な、なんですかぁ、 手が、手がいっぱい!
      やめなさぁ、んぅううう!」 クチュクチュクチュ
 
ハクア「……むぅ」
 

 
 ◇  ◇  ◇

 
 
  小一時間に及ぶ熱烈な愛撫の末、濡れそぼってしまった、ディアナ(天理)の秘所。

  そこに、桂馬は勃起したペニスをこすりつける。
  羽衣の束縛を解こうと、女神は、くねくねと暴れる。
  しかし、一枚なら簡単にちぎれる紙テープでも、何重にも手首に巻かれたら
  破れないように。本来の力が戻っていないため、ディアナは悪魔の羽衣を
  ほどくことすらできないでいた。

ディアナ「や、やめてください、……、処女は、処女が破られる思い出だけは、天理に…」

桂馬「黙れ。(ボクだって好きで襲ってるわけじゃない。
    今夜だってゲームのセックスのほうがやりたかったのに……。)」

桂馬「おまえを襲うのは七香のためだ」

ディアナ「え…?」
 

 

ハクア「榛原七香が来たわよ」

 
    ドアを開けて、目の下に隈をつくった榛原七香が現れる。

七香「……あ」  ディアナの痴態を前に、呆然とする。

ディアナ「きゃぁ、見ないで下さい!」

七香「……ほんまや」

七香「鮎川が、ベッドの上じゃ、体いじくられただけで、
    アホまるだしのアヘ顔さらしとるってのは、ほんまやったんか!」
 

 
ディアナ「!? だ、だっ、誰が……あほ…っ」

七香「なーんや。うちと同じやん」

  顔を赤らめて微笑み、榛原七香はスカートをたくしあげた。

ディアナ「!?」

七香「あれから、うちな、桂木に犯されてん。
    初めイヤや、言うたのに、こいつ話聞かんと、強引にこまされて。
    結局4日間、寝ないで。
    ―――で、今も、これ、こいつの手の代わりな?」

  6個のピンクローターが、タイツの中、七香のふとももに
  テープで固定され、ブゥンブゥンと、暴れていた。

ディアナ「え……え…?」
 
  桂馬は、七香のタイツを破って手を差し込み、
  秘所からローターを強引に引き抜く。
 
七香「んやぁ……!」

  愛液が飛び散り、ディアナの顔にかかる。
 

 
桂馬「さぁ七香、徹夜の特訓の成果をみせてやるぞ!」

七香「おーっ」
 
ディアナ「特訓って、えっ、天理以外の女性と、なにをして!?」

七香「うち、桂木とこういう特訓しとるんや」

桂馬「なめなめ」
七香「ぺろぺろ」

   ふたりがかりで、ディアナの、足の裏を、耳の裏を、わきの下を、
   背中を、首筋を、全身の敏感な部分を舐め上げる。
   鮎川天理の頭が脳内物質エンドルフィンを分泌し、
   嫌でも高揚感が促されてしまう女神様。
 

 
   エルシィ(……ちなみに私が天理さんみたいなリボンをつけられて、
          七香さんとにーさまに、さんざん練習台にされました……) げっそり

ディアナ「ひゃぁぁぁん……」 「くやしい…でも……感じて……こんなやつらに………」 クリムゾン状態!
 
七香「うわぁ、ぐしょぐしょですやん。……鮎川。 そうやってつーんとした顔
    することあるけど、えらいヘンタイやな」

ディアナ「だ、誰がへんたいですかっ! ここ、これは桂木桂馬と悪魔たちが、妖しい技を!」
 
ハクア「……」(※ステルスモード)
エルシィ「……」(※ステルスモード)

七香「さっきから、なにいっとるんや鮎川は」

桂馬「ただの『電波』だ。気にするな」
 

 
   完全に、男を受け入れる準備ができあがってしまった、ディアナの
   濡れた股間に、ガチガチに勃起したペニスを、改めてあてがう。

桂馬「何か言うことはあるか?」

ディアナ「~~~~」

   ディアナは、くやしそうに顔を紅潮させたまま、天界の言葉で
   ぶつぶつと、いるはずもない姉妹に助けを呼んだ。

桂馬「いくぞ……」

ディアナ「んふぅうう…!」 ブチブチィ

  桂馬とディアナの結合部を、鮮血が赤く染める。

桂馬「処女膜か。ポイント高いぞ。見てるか、七香」

七香「カメラにもばっちりや」
 

 
ディアナ「……あぁ……天理……ごめんなさい…」

  裸のままで、前から、後ろから、上から、下から。
  体位を変えて、縦横無尽に攻め立てられる。

ディアナ「んぅっ、……はぁっ……や、だめ…。…ん」

七香「うひゃー、鮎川の体って、感じやすいんやなー」

桂馬「愛液がぐちゃぐちゃ出てるな。すました顔してたくせに」


ディアナ「お願いします、桂木さん……」

   手首を縛られたまま、感じている表情を、二の腕で精一杯隠しながら、ディアナはつぶやく。
 

 
ディアナ「天理には、天理には秘密にしておいてください…」

ディアナ「せめてあの子には、レイプ…されたことなんて、知らないでいさせてあげたい……」

七香「?」

桂馬「分かった。約束する」 
   「眠っている天理には話さないよ」
   「だから、思いっきり感じていいぞ、ディアナ」


  ~~~~~

ディアナ「ぁぁあああ!」  「ひぎっ……ひィィっ……」  「ぃぅうゥ!」

桂馬「レロレロ」     七香「なめなめ」


  心の枷がとれ、ダムが決壊したかのように、
  ディアナに絶頂が襲いかかっった。 何度も。何度も……。

 
 

 
    ~ エルシィ『で!』 ~


ディアナ「わ、私を辱めて、満足したでしょう……解放しなさい……」

  逆さまになって、股を大きく開き、三回分の精液を股間からあふれさせているディアナ。
  
桂馬「まだだ。―――ディアナには、これからまた、“将棋”をやってもらう」

ディアナ「……、将棋……?」

桂馬「ディアナに将棋で負けたから、七香に心のスキマができた。
    駆け魂をスキマから追い出すために、勝たせてやらないとな」

桂馬「ただしやるのは、“山崩し”だ!」
   
七香「ガッチャン将棋ともいうで」

ディアナ「っ」

  駒の入った小箱の蓋を開け、将棋盤の上に、逆さまに、かちゃっと置く。
  ゆっくり小箱を持ち上げると、駒が山のようになっている。
 

 
桂馬「ルールは知っているな。七香とお前で、交互に、音を立てずに駒を
    盤の外へ出すんだ。先に山が崩れて、音を出したほうが負け。

    お前が勝ったら開放してやる。動画データも消そう。 どうだ」

七香「ただし負けたら―――また、同じ責めをやったるで~ 楽しみやなぁ」

ディアナ「本当に、約束を守るのですね……?」

  眼鏡をクイッと上げる桂馬。

桂馬「神は嘘をつかない」

ディアナ「……(私だけならまだしも……天理の恥ずかしい姿を、
      映像に残すわけにはいきません……)

      (それに、一刻も早く解放されて、中に出された精子を、
       受精する前になんとかしなくては……)」

ディアナ「く……こんな者達に、神が、負けますか……っ!?」 ぷるぷる
 

 
  ◇   ◇   ◇

  桂馬の愛撫を受けながら、山から飛車の駒を抜き取る七香。

七香「次は鮎川の番や……尻のあなほじくられながらやと、くすぐったいなぁ……」

ディアナ「…………っ、だんだんと、取りやすい駒が減ってきましたね……」

桂馬「ほい」 ずぷっ

ディアナ「ひゃあん」

ディアナ「お、おしりに指を、入れないでください」

  つつつ……

七香「鮎川、やるなぁ、“桂馬”、とられてもーた」
 

 
   ヒョイ

七香「でも、どやっ? もう一枚の“桂馬”はとったで」

ディアナ「……なら、私はこの、香車を」

桂馬「ぺろっ」

ディアナ「ひやぁ!」

        ..............カタン ぱらぱら


ディアナ「あ、あぁ……」

七香「か、勝ったー!」

 ハクア(こ、こんな低レベルな対局は初めて見たかも……)

 エルシィ(私でも勝てそうです)
 

 
七香「桂馬、うち、鮎川天理に勝ったで! あんたのおかげや!(※物理的協力)
    やったやったやった!」

   とびあがり、抱き合って、ごろごろと部屋を転がるふたり。

ディアナ「そんな……また、やられてしまいます……」  ぞくぞく…

桂馬「……七香。おまえの勝ちだ、特訓の成果がでたな」

七香「うん!」  「……なぁ、けーま……」  「……ちゅ!」


 エルシィ「駆け魂、勾留ー」


桂馬(これで満足とは、七香、お前いいやつだな……)
 

 
 
  ~ エルシィ『で!』 ~



  ◇◇ 美里東高校 教室 ◇◇


七香「鮎川ー! 一緒に帰ろ!」 がしっ

天理「榛原さんっ、……あ、あの、奨励会はいかなくていいんですか」

七香「実をいうとな、もうどーでもええわ将棋とか!
    よーわからんけど、鮎川を舐めてからかって遊んでやったほうが気分エエ」 ふっ

天理「ひゃぁっ…」びくっ

七香「へへ」


天理「な、なにがどうなってるの? ディアナ」

窓硝子に映ったディアナ「し、知りません……」
 

 
  ◇  ◇  ◇

桂馬「ディアナのおかげで、いい形のエンディングが迎えられたな……
    天理も友達ができた」 (ゲームプレイ中)

エルシィ「いい、のかな」

 
桂馬「…今回は、どうしても榛原七香に勝たせてやる必要があった。
    しかし、七香では女神には勝てない。そこで陵辱ゲームの手口。
    強いヒロインを陵辱するためのシンプルな答えを教えてやったんだ。
    【勝てなけりゃ 闇討ちすれば いいじゃない】 」
 
エルシィ「勝ったといえるんでしょうか……」


桂馬「ディアナめ。ボクに将棋で勝ったくらいで勝ち誇りやがって、
    だが、結局はボクが勝つ。あいつは神といっても所詮、現実<リアル>世界の神。
     『現実<リアル>は理想<アイディアル>には勝てない。』
    すなわち【現実世界の神】ごとき、【理想世界の神】であるボクには及ばないのだよ、
    わっはっはっは」

エルシィ「ちょっとなにをいってるのか分かりません………」

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
 
  ◇◇ PM 11:30  桂木家 ◇◇



  鮎川天理の体を借りた女神・ディアナが、桂馬の部屋の窓枠に、足をかけた。


ディアナ(桂木桂馬に……悪魔エルシィ……、どうやら、
      兄妹でいっしょにゲームをやっているようですね…)


   エルシィ「あ、この日枝って先生、二階堂先生にそっくりですー」
   桂馬  「だろう。国語教師なんだ」
   エルシィ「なら、この異世界から来たかっこいいヒロインが私ですねー
         透明になって記憶を消して……」

 
 

 
ディアナ(あの小悪魔、なじんでいますね……)

ディアナ(…桂木桂馬、普段は、自分の生死をがかかった事態ですらあれだけ
      冷静なのに、ゲームの話となると別人のように生き生きとしています。

      あんな、無垢な笑顔が、できる人間だったなんて……)

   エルシィ「あー! “私”が、あそこに触手入れられて、お腹を破られて死にました! うぅ……」
   桂馬  「選択肢、ミスったな」


ディアナ(それでこれが18禁ゲームでなければほほえましい兄妹にも見えるのですが…)


桂馬「ん……ディアナか?」
 
ディアナ「……」
 

 
  桂馬とエルシィの“兄妹”をみて、自分の姉妹たちとのことを思い出しているディアナ。
 
桂馬「……(まずい。ディアナのやつ、無言でボクらを見てたのか。
    これは、怒ってるぞ?
    やっぱり七香の攻略のときの復讐に来たのか……
    謝っておかないと殺されるかな…)」
 
桂馬「この前はすまなかった。あんなことをして……ボクは、
    駆け魂を出さないと首がもげるカラダなんだ」 チャラララ~

ディアナ「ゲームをプレイしながら謝らないでください!」



ディアナ「今日は、お話があって来ました。とても大切なお話です。エルシィさんも。
      まずそのゲームを消してください」

桂馬「……いやだ。このまま話せよ」  ぴゃらぴゃら

ディアナ「 “えろげー” でなければ許容してます! こんな空間で話せますか!?」

エルシィ「ごめんなさい……エッチなのばっかりで……」
 

 
  ◇  ◇  ◇

エルシィ「…………」(片付け中)

   ~~~~~

桂馬「なるほど。ディアナのきょうだい、ユピテルの姉妹たちを
    見つければ、駆け魂が一掃できて、ボクの命をかけた
    駆け魂狩りも終わるというわけか……」 (カチカチカチカチ)

ディアナ「はい。姉妹は私を含めて6人。……6万匹の駆け魂を追うよりも、
      あなたにとって悪い話ではないはずです」

  これ以上ゲームを続けていたら壊されそうだったので、
  PFPを無線wifiにつなぎ、自分のウェブサイトの更新作業と
  メールのやりとりに切り替えている桂馬。

桂馬「う~ん……(他にも首輪の外し方につながるやつと知り合ってるしな、どっちが早いか)」

 
   更新しているのは、ウェブサイト 【裏・落とし神】。
   これまで運営していたサイト 【落とし神】 の裏ページという扱いで、(簡単に入れるが)
   平たくいうとエロゲーの攻略・レビューサイトである。
   だが、その独特のサディスティックな見知によるレビューには、
   「ギャルゲーに対して高い志をもつ落とし神が、ついに暗黒面(陵辱エロゲー)に落ちた!」
   と業界では嘆きと肯定が起こっている。

   その画面を覗き見て、ため息をつくディアナ。

ディアナ「あなたのような破壊衝動と陵辱願望からなる異常性癖に目覚めた鬼畜男。
      できれば頼りたくありません」

桂馬 (さっきから人にモノを頼むのになんていう上から目線…)
 


 
ディアナ「しかし、10年前のキャンプの日、駆け魂をくくりつけられていた私と、
      姉妹たちも、同じ状況にされていた可能性があるのです」

ディアナ「……桂木さんが駆け魂を出した女性の中に、他の女神も
      いたかもしれないのですよ……」

ディアナ「私の姉妹たちを見つけ、教えなさい」
 
桂馬 「どうやって?」

ディアナ「女神が入っている女性は、天理と同じく、あなたの記憶が、
      残っていることでしょう。それを頼りに――」

エルシィ「…あ」
 
桂馬 「───まずい」  石になる桂馬。
 

 
ディアナ「…?」
 
エルシィ「す、スゴイコトを言ってくれましたね。
      これでにいさまは、今日から毎日、警察に玄関のチャイムを
      鳴らされることを怯える日々です」
 
桂馬 「こ……コレ、ゲームオーバーじゃないか……?

     いまごろ、これまで攻略した誰かに通報されてて―――」

   落とし神の脳裏に、バッドエンドの未来像が浮かぶ。
 

 
┃ 
┃ 警官「警察だ。 さぁ、桂木桂馬。 婦女暴行の容疑だ、おとなしくしろ」

┃ 桂馬「やめろー、放せ! ボクにはまだ、ヤらなくちゃいけないヒロインがたくさんいるんだ!」
┃ ちひろ「あいつならやると思ってました」
┃ 二階堂「やっぱりな」

┃ 
┃ 
┃ 女神ウルカヌスの宿主・長瀬純 「私、集団で犯されました。この子を訴訟します」

┃ 女神マルスの宿主・春日楠   「こんなやつを野放しにしてはおけん。
┃                      “セカンドレイプ”覚悟で訴訟する」
┃ 女神メルクリウスの宿主・森田(青山)美生 「弁護士の知り合いはいっぱいいる
┃                             のよ。借金して訴訟してやる」
┃ 女神アポロの宿主・ 阿倉川紫埜  「悪鬼のせいなどといってこやつに犯された。
┃                        訴訟を辞さぬ」
┃ 女神ミネルヴァの宿主・あさりちゃん「わたしまだ小学生なのに。あんなこと。訴訟です」
┃ 女神ディアナの宿主・鮎川天理  「あの、…じゃあ私も訴訟」


┃   週刊誌の見出し 【 複数の女性を監禁し、次々と性暴行を行った17歳の少年、逮捕 】

┃ 
┃ 
┃ 週刊誌 【 連続監禁少年・K、『悪魔との契約で、やむをえずやった』などと意味不明の供述 】

┃ 
┃ 【 少年は、『神』を自称し、女性を言葉巧みに騙すことを『攻略』と称し、
┃   ゲーム感覚でわいせつ行為を繰り返していた 】

┃ 【 風呂場で兄から性的虐待を受けていることを手紙で友人に訴えていた妹 】
┃ 【 少年Kは一時、矯正のため空手道場に入門したが、すぐに挫折したという 】
┃ 【 監禁少年の妹に独占インタビュー。『自分は300歳の悪魔』 医療保護入院へ 】

┃ 
┃ 
┃ 【 自称「落とし神」少年の被害女性たち、集団訴訟 】




┃   カフェ・グランパにマスコミが押し寄せる。

┃ 桂木麻里(母)「もう、あんな子は……ウチの子じゃありません……」
┃ 桂木桂一(父)「なんということだ。息子よ。私に似てしまったか」


┃  エルシィ「神様ー。どうしましょう! にーさまのせいで、担任としてバッシング
┃        された二階堂先生に、心の隙間ができて、駆け魂が……!」

┃  桂馬(投獄中)「ボクにどうしろっていうんだよ……」

┃      ~ エルシィ「で」 ~

┃  エルシィ「ああ! も、もうだめです~! 首輪の契約がー!
┃        あと1分で、私たち……死にますー!
┃        にーさま、死ぬの恐いので……手を握っててくださいー!」 ぎゅ

┃  桂馬(投獄中)「おまえ他になんかないのかよ」   首輪がチカチカと光り出し……

┃  
┃  
┃ 週刊誌 【 監禁少年K、鑑別所で首がもげ、謎の変死をとげる! 】



桂馬(───なんてことに)

ディアナ「……」

 
 

 
桂馬「……今すぐ警察から身を隠すか? 父さんのいる南米にでも海外逃亡すれば……。
    いやだめだ、それこそ駆け魂攻略ができなくなってギロチン首輪が発動される。
    なによりゲームが買いにくくなる」

桂馬「そーだ……死ぬ前に、いまのうちに、どのエロゲーとギャルゲーをやるべきか
    書き出しておかないと……」 (葬式ムード)

エルシィ「どうしよう… にーさま、第一話に逆戻りしてる…」
 

ディアナ「あの……」

桂馬「いや、死ぬだけならまだいい…」
 

┃ 
┃ 評論家「ほら見てご覧なさい。逮捕された少年は、美少女ゲームが大好き
┃      だったそうですね。 それもあの『クロノスの目覚め』でも取り上げ
┃      られた、有名サイトを運営していたとか。 ゲームのやりすぎで、
┃      現実と空想の区別がつかなくなっていたんですよ。
┃      こんな凶悪犯がでてしまった以上、やっぱり規制ですよ、規制!」
┃ 愚衆 「そーだ! そーだ!」
┃ 
┃ またゲームをやるために速攻で転生した桂馬(3)「ふーやれやれ酷い目にあったよ。
┃  さーて。そろそろ文字も読めるようになってきたし、ギャルゲーギャルゲー…… 
┃  って、無い!? 規制論が強くなって、ギャルゲーエロゲー業界がおわこんになってる!?」

┃  
┃  
┃  スレッドタイトル:なぜエロゲ業界は終わってしまったのか??


┃  1 名前:名無したちの午後 2019/08/01(木) 21:03:09.34
┃  というか宮崎○を超える、マスコミのオタクバッシングの原因を作った大戦犯・桂木桂馬のせい
┃  
┃  2 名前:名無したちの午後 2019/08/01(木) 23:04:10.13
┃  規制が酷すぎ。
┃  レイプを思わせるシーン不可・学生っぽい服アウト・半分は男の顔を映す必要ありとか……
┃  
┃  3 名前:名無したちの午後 2019/08/02(金) 20:08:12.19
┃  過去のゲームで今販売を許されてるのは魔法少女アイ3だけ
┃  
┃  4 名前:名無したちの午後 2019/08/03(土) 01:01:45.14
┃  いまやエロゲ業界はホモビ業界より閑散。
┃  


ディアナ「あの、そろそろ話を続けます」

 
  ◇  ◇  ◇


  ~ エルシィ『で!』 ~
 

  天界や女神についての説明を受けている桂馬たち。
 
ディアナ「女神のエネルギーは愛です。

      駆け魂<ヴァイス>が、心の隙間に巣食って育つのと反対に、
      私達女神は、“愛”で力を高めるのです」

桂馬「……はぁ。ありがちだな。……つまり、これだろ」

  棚を漁り、後ろを向きながら桂馬はゲームのパッケージを晒した。

  『らぶる☆魔女試験~会長様と天然っ娘は魔女姉妹!中出しエッチで魔力補給をお手伝い!~』
  というタイトル。


ディアナ「この無神経男! 確かにそういうのもありますが、そこまでしろとは言っていません」 べちんっ
 

 
  ◇  ◇  ◇

桂馬「ほのぼのとしたゲームを見せたのに」

エルシィ「そりゃあ殴られます」 「ディアナさん、やっぱり姉妹とは関わらないで下さいって帰っちゃいました」 完

桂馬「……“エスカレイヤー”か“ジブリール”のほうがよかったか」

エルシィ「そういう問題じゃ……」

桂馬「……しかしこれは BAD END フラグだな……。
    通報されて、ボクの陵辱攻略もここで終わりか。
    こんなことなら、純愛ゲームのノウハウでいけばよかった……」

エルシィ「ムリですよ……」
 

 
桂馬「急いで、女神がいる女子を見つけ出し、“口封じ”する必要があるんじゃないか」

エルシィ「完全に、犯罪者の思考です」

桂馬「いやいや待て。大丈夫だ。落ち着け。ボク」

    

桂馬「攻略女子、本人が個人的に覚えていても、社会は違う」
 

 
桂馬「歩美は病気で、ちひろは事故。────と、家族も病院も学校も
    思っている。雑だが、記録上もそうなってる。確認してある」

桂馬「美生は、ボクじゃなく、あの森田という運転手(今では義理の親子…)
    にやられたことになってる」
桂馬「楠も、門下生たちに犯されたことになってる」
桂馬「スミレだって、妻に逃げられ、経営難でヤケを起こした父親の
    満夫さんに『スミレ……その服を着ていると、あいつそっくりだ』
    と犯されたことになっている」
桂馬「その他もろもろ」

桂馬「本人が覚えていても、社会的には違うから、さわいでも
    周りが信じない。すぐには問題にならないはずだ!」

エルシィ「うわー、にいさまクズです。ぜんぶ人のせいにしてる……」
 
桂馬「ありがとう新地獄。明日もゲームができる…!」

エルシィ「……私もいつかなにか責任おしつけられそうですー」
 

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


             五位堂結

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桂馬 「今回の攻略対象、五位堂結は、いわゆる“箱入りお嬢様” “深窓の令嬢”

     タイプ。 シンプルだな。いまのボクならあと1日で攻略可だ……」

エルシィ「もう慣れてますもんね、お嬢様犯すの。 何人いるんだっていう」

桂馬 「すぐに結の屋敷に乗り込むぞ、
     なんだか今日は調子が悪い……。パパッっとやって終わりにしよう」


   エルシィ(すっかり駆け魂攻略に慣れて、なかだるみして、
         ディアナさんのお話にも気をとられていた神様。
         そんな神にーさまにとって、この攻略は……

         忘れたい、つらい記憶となりました)

桂馬「……うぅ~」  パタンキュー

エルシィ「どっ、 どうされたんですか!? 神にーさま!」
 

 
  ◇  ◇  ◇
  
エルシィ(駆け魂のせいで、五位堂結さんと神にーさまの、身体が
      入れ替わってしまったのです。 そして、3日が経ちました)


   ◇◇ 桂木家 ◇◇


桂馬(※心は結)「男の人になって、元に戻ることもできないまま……3日も」


桂馬(心は結)「……私、桂馬様のふりを、ちゃんとやれているのでしょうか」

桂馬(以下結)「私の一言一言が、周りを驚かせてしまっているように思えます」

桂馬(結)「……ここは、桂馬様にご迷惑かけないためにも、桂馬様がどんな方か、
       男性の暮らしを、もっと知らなくては……(※すこし興味がある)」

 
 
 
桂馬(結)「この部屋はなんでしょうか……。……ごめんなさい、立ち入ります」


    ガチャ
 

 
 
桂馬(心は結)「これは………鞭……ローソク……チェーンソー……オノ……

          分かりました。
          ここは、『DIY』のお部屋……?」


桂馬(結)「桂馬様、うらやましい……

       『こんなものは使用人がやるから』と、
       私は、お母様に工具など持たせてもらえません。

       ? ……このパソコンは……」

桂馬(結)「ビデオファイルに………名前に、日付がついています。
       ……ホームビデオでしょうか?」

桂馬(結)「これを観れば、休日にご家族とDIYをたのしむ
       桂馬様の生活が分かるのかも」
 

 
パソコン「

   歩美『んぁぁあ! だめだめ!』 ジュボッ ズボッ

   ちひろ『んぅー、んぐぅー、ひ、いがないっ、私はイがない……んぅ』 ビクビクンッ

   麻美『……はぁ…………はぁー…………』  とろとろ

   かのん『えへへ、でちゃう、またでひゃぅよ……桂馬くん』  びゅぶっ

    」

桂馬(結)「え……なに……なんですか…これは…」 ドキドキ
 

 
桂馬(結)「はぁっ……はぁっ……」 ドキドキ

桂馬(結)「これ、桂馬様のクラスのご学友の……」

桂馬(結)「なんでしょうか……この気持ち……
       体が男性になったからでしょうか、
       女の人の裸をみて、あそこが、むずむずして、
       こんなの、変」

   つつっ

桂馬(結)「あそこを触ると、気持ちいい……」
 

 

桂馬(結)「いけない、本当の目的を……。
       桂馬様の、しゃべり方を真似して……
       桂馬様を演じられるように、ならなくちゃ
       『ボクは』……。
       このビデオの、桂馬様になりきって……
       『歩美、こうすると、感じるんだろう』……」

桂馬(結)「どきどき……」

桂馬(結)「私には、想像もできない世界でした。
       17歳の男の人のカラダが、こんなに、女の人を犯したがってたなんて」


桂馬(結)「なんにん……桂馬様は、何人の女性に、乱暴してるのでしょう。
       あは……すごい。
       女の人を犯してる、ビデオがいっぱいです。
       女の人を犯す、ゲームもいっぱいです」

桂馬(結)「私、桂馬様に近づきます。いいえ、『ボク、桂馬君になるよ』」

 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~
 
エルシィ「結さーん、晩ごはんができましたよー
      ……あー!
      結さん、だめですー!
      言うの忘れてましたけど、 (※無能)
      この部屋は、にーさまのプライベートルームで、
      結さんをここには入れるなって、にーさまが」

桂馬(結)「ぁっ……」

     びくっ

エルシィ「きゃーー! 結さんが、にーさまの体で、お、おなにい、してます!!」

桂馬(結)「……!」

桂馬(結)「……(うるうる)」

エルシィ「ああ、結さん、泣かないでください。
      ごめんなさい、結さんは悪くありません、
      陵辱ゲームのやりすぎで、異常性欲のヘンタイの、
      やじゅーと化した神様の体が、いけないんです」
 

 
  エルシィに背中をなでられていると、
  女の子の匂いを感じて、
  ペニスがまた元気になってくる結。


桂馬(結)「……エルシィさん……ごめんなさい
       ……女の子のカラダ
       これが、女性の匂い……
       生の、女の人……」 むらむら

エルシィ「……? ゆ、結さん…?」

  エルシィの両肩をつかんで、結は正面から向き合った。

桂馬(結)「……エルシィさん、私……ううん、ボク、
       ……もう、ガマンできないかも」
 

 
 
  ◇◇ 五位堂家 結の部屋 ◇◇



結(心は桂馬)「はぁはぁ 女向けのエロゲーもけっこう売ってるんだな……」


     ゲーム8画面同時プレイをしている桂馬(体は五位堂結)。

結(心は桂馬)「うぅ……ボク、どうしちゃったんだ、
          ……こんなの見て……気持ちイイ……

          女性向けのゲームをやるだなんて、
          くそ……こんなの、ボクじゃない…」
 

 
  そこで突如、ふすまが左右に開かれる。
  桂馬の肉体をもった、五位堂結が、でんと構えて立っていた。
 
桂馬(心は結)「なーに、逆ハーレムゲームなんてやってるの。
          一週間も学校サボってさっ」
  
結(心は桂馬)「わっ! きゃぁー!」
 
  わたわたと慌てて、乱れた服のまま、体でディスプレイを隠そうとする。

結(心は桂馬)「な、なんだよ、そっちこそ、なに羽衣で透明になって、
          すんなり入ってきてるんだよ。

          エルシィ! ちゃんと見張りのガードマンを振りきって来させろよ。
          そういうドラマティックさが、女の子の心を刺激して、
          駆け魂を……」

桂馬(心は結)「わぁー。 きみ、こんなもの見てオナニーしてたの。へぇー」
 

 
結(心は桂馬)「…見られた……女向けゲームしてるとこ……見られた……」 くすん

桂馬(心は結)「欲求不満なんだよね……大丈夫だよ。ボクが、犯しにきてあげたから……」ギンギン

結(心は桂馬)「な、なな、なにを言ってるんだよ。
          ……おいエルシィ、結に一体なにがあった!? まるで別人だぞ!
          それともコレがこいつの本性か!?」

エルシィ「ごめんなさい。
      結さんに、神様が脅迫用に撮った『りょーじょくビデオ』を
      見られてしまいまして……。結さん、影響されちゃって。
      いまでは神様の部屋にあった『りょーじょくえろげー』もたしなまれて」
 

 
桂馬(心は結)「こうされるのが、気持ちいいんだよね」 ぺろっ

結(心は桂馬)「ひゃぁん!  (ビクッ)
          バカやめろ! こういうのは、
          “攻略”は、もっとちゃんとした順序があって……」

桂馬(結)「乳首感じるの? なにこれ、カチカチになってるよね、乳首」

結(桂馬)「ひぅん! だから、ボクにさわるなー」 ぽこぽこ

桂馬(結)「ははは。弱いな、女の子のパンチは」
 

 
桂馬(心は結)「そんな風に拒んでも……」

   女性器に指が添えられる。

結(心は桂馬)「ゅん!」

桂馬(心は結)「こうしたら気持ちよくなっちゃう……
          ――って、ゲームであるんですよ? 桂馬様」

結(心は桂馬)「ならないっ! 気持よくなんてなるもんか!?
          げ、ゲームと現実を一緒にするなよ!」

エルシィ「普段の誰かに聞かせてあげたいです……」
 

   逃げて布団にくるまって身を守る、結ボディーの桂馬。

 
結(心は桂馬)「ドキドキ……とにかく一旦、帰れよ! 
          警備をふりきって、ボクに会いにくるところからやり直せ!

          でも今日は、今日はダメな! 日を改めて……
          ボクも、もっとそれっぽい服着るから」
 

 

桂馬(心は結)「はぁー。めんどくさいなぁ。いいからヤラせてよ。
          どうせ最後にはボクにカラダを開くんだよ?
          そんな面倒くさい“手続き”を踏むの後回しでいいよ?」

結(心は桂馬)「エルシィ! こいつ、乙女チックさがない、
          本当に、性欲に開き直った男になってるぞ!」

エルシィ「まぁ、体は男の人ですから。にーさまも、さっきからちょっと気持ち悪いです」

   男の腕力で布団を剥ぎとり、女体を包む着物を引っ張って、ぷるんと胸を露出させる。

桂馬(心は結)「ゲームみたいに犯してあげるね。桂馬様の大好きな、ね」

結(心は桂馬)「きゃー! いやだ自分となんて、(錯乱)ハクアッ、ハクアたすけてくれー!
          そうだ、助けを呼ぶための羽衣タグがあるんだった……
          ……だめだー、あのタグを持ってるのはボクの体だ! 家だ!」
 

 
   桂馬の肉体と性欲を身につけた結は、興奮を抑えきれずに、
   前の自分の体から、着物をはがす。

   もともと『私の体だから』、という認識があるので、まるで自分自身に
   するように、なにをやってもいいと思っている節があり、遠慮はカケラもない。

   ゲーム機のコードを外し、ロープのように使って、
   結の体(中身は桂馬)の右手・右足同士、左手・左足同士をくくり合わせた。
 
結(心は桂馬)「キャー! 嫌ぁー」

エルシィ「あ。かわいらしい。歩美さんに要求したことがちゃんとできてます。さすがにーさま」

 
 
   結の裸体(中身は桂馬)は、むこうを向いて、

   土下座しているような姿勢、
   尻を突き出して、手のひらと足の裏も見せる形になる。

桂馬(心は結)「じゃーん! 女体ドラムの完成だっ」

   ドラムスティックで、桂馬の手のひらや足の裏、尻や秘部をちょんちょんと叩く。

結(心は桂馬)「こんなの嫌だ、せめて普通にレイプしろー!」
 

 
  結(体は桂馬)がスティックで叩くたび、桂馬(体は結)が小さく声をあげる。

桂馬(心は結)「♪♪~♪」

結(心は桂馬)「ひゃん …きゃん」


エルシィ(にーさま、みじめですぅ…)

  たっぷり5分間はもてあそばれ、
  苦しみの果てに、一曲、演奏が終わる。

桂馬(心は結)「ふぅー。もうちょっと前戯を楽しみたいけど、
          もう、桂馬君の、男性の体が、ガマンできないみたいだ」 びんびん


結(心は桂馬)「ぼ、ボクのせいにするなよ」
 

 
  桂馬のモノを、突き出された女性器に当て、スマタでじらす結。

結(心は桂馬)「やめろ、そんなところ……ぬるぬるして、は、はぃ…ちゃ…」

桂馬(心は結)「どうなるのか、はっきり言葉で言ってごらん? そうしたら助けてあげるよ!」

結(桂馬)「え………(助けて、くれるのか)」

桂馬(結)「ほ・ら? どこが、どうなっちゃうの?」

結(桂馬)「……お、おまんこに……入っちゃうから」

桂馬(結)「なにが?」

結(桂馬)「ち、ち……こが……」
 

 
桂馬(心は結)「もっとハッキリ。『ふといちんぽが、おまんこに入っちゃう』って言ってごらん(笑顔)」

結(心は桂馬)「…ふといちんぽが、…おまんこに…入っちゃう…!」

桂馬(結)「聞こえなーい」

結(桂馬)「……ふといちんぽがおまんこに入っちゃう!
       F. ふとい! C. ちんぽが! O. おまんこに! H. はいっちゃう!!」

桂馬(結)「はーい。よくできたね。じゃあご褒美、あげるよ」

結(桂馬)「ああもう! やっぱりこの展開かよ!」

   ずずぶり!

   ぱんっ! ぱんっ! ぱぱんっ! ぱぁんッ!! 

桂馬(結)「はは~、ボク、はじめてだから……もう、出ちゃった……
       初めてが自分となんて、すごい」  びゅるビュビュ!

結(桂馬)「うう……オェェエ!」

エルシィ「 * sigh * 」
 

 
  ~ エルシィ『でっ!』 ~

桂馬(結)「ほらほら、クリ舐められて、気持ち良いんだー」

結(桂馬)「うぅ……(もう抵抗する気力もない)」

桂馬(結)「桂馬君だけ気持ちよくなって、アレだよね。
       ずるいよね、桂馬君、ボクも気持ちよくしてよ」

   裸で仁王立ちする桂馬(心は結)の前に、
   正座させられる結(心は桂馬)。

結(桂馬)「……か、神モード………」

  結の体のまま、【落とし神モード】を発動する。
  肉体が、疲れきった女の体なので、本来のスピードは出ないが、
  3本の手で、手コキ・玉転がし・亀頭責めを同時に行う。
  感じすぎて頭がびくっとゆれる結。(肉体は桂馬)

桂馬(結)「うわぁぁ、すごい、完璧だよボクらの体の相性。さすが自分同士。
       ボク、もう………。だめ、キス、キスするよ、桂馬君」
 

  
 
  ~ エルシィ『で』 ~



桂馬(心は桂馬)「結はいいよな。記憶が消えて……」

エルシィ「大変でした……駆け魂、つかまえるの……」

桂馬(桂馬)「結、ボクも記憶を消したい、忘れたい…」


  エルシィ(……こうして、神様は、もう傲らないと誓った結果、
        あんなことになってしまったのです……)
 
 ~~~~~

  エルシィ(あと、記憶が消えた結さんは、男装するようになって、
        ビデオでみた歩美さんたちや、そのお友達に、
        ちょっかいをかけるようになりました…)
 

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


              春日檜 

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   ~ エルシィ『 で 』 ~

桂馬「どうしました、檜様、楠当主(笑)、
    早く、姉妹で『殺し合い』をするんですよ。
    生き残ったほうを助けてやると言ったでしょう。ふふ…」

春日檜「くっ…」

春日楠「ふざけるな! 私たちの体は自由にできても、心まで自由にはできんぞ!」

エルシィ(は、反動でしょうか、すさまじい鬼畜です~)


楠「桂木桂馬! 私たちは貴様の目論見になど乗らん! 殺し合いなどしない!
   たとえ死んだって、一矢報いて春日流の誇りを見せてやる!」

桂馬(楠のほうは相変わらず『女騎士』だな…)

桂馬「でも、お姉さんはそのつもりじゃないみたいですよ、楠師匠(笑)」
 


 
檜「楠。早く組み手、はじめましょ」

楠「あ、姉上! 正気ですか!?  あ、あんなやつに従うのですか」

檜「敵は悪魔なんでしょー。ムリよ。こうしてあっさり捕まっちゃったんだし。
   それに、悪魔と比べたら、あんたと戦うほうがよっぽどチョロそうじゃん」

 
ハクア(……)  ※透明化中
エルシィ(……ぶるぶる)  ※透明化中

 

 
 
楠「……(姉上とは、あのとき一度、手合わせをした――。

   そのとき、私が姉上のメンツをつぶさないよう降参をしてみせたから、
   姉上は自分のほうが優っているとお思いなのか?

   いや、姉上なら分かっていたはず、私のほうが強くなっていることに。
   それならなぜ? 私と戦おう、などということ。
   ……もしや、ご自分が犠牲になって、私を解放するために!?)」

 
檜「本気でいくから」

楠「くっ」


  ゲームの画面を見つめている桂馬。
桂馬「いいなぁ。ヒロイン同士の殺し合いは。胸がときめくよ」
 

 
 
楠(わざと勝てない試合を挑んで、私を助けようと。

   そんな姉上を手に掛けることなど……私には…)
 
 十秒ほどの攻防の後、糸が切れたように、妹のほうの守りが崩れた。

 立て続けに打撃が入る。みぞおちへの突き、こめかみへの肘。

楠「がはっ、が……」

檜「!」  あっさりと。


楠「っ゙、!」

檜「…(楠、あんた…)」  倒れ落ちる。
 

 
    ◇   ◇
 
  床に仰向けに倒れたまま、

楠「あ……姉上…は……」

  ゆっくり微笑んで、

楠「…やっばり、お強い…ですね……」
 
楠「」
 
   事切れる、妹・楠。
 

 
桂馬「わあ、一流同士の試合はすごいですね。ちょっと気を抜いたら、
    あっという間に急所に二発決まっちゃった。はっはっは。
    薄いこめかみの頭蓋骨が割れて、あんなに血がでてますよ」

檜「……勝った…の…?」

桂馬「おめでとう。これで檜お姉さんは自由です」

檜「……」 「……あ、あは……勝った。勝った勝った」 ぶるぶる

桂馬「良かったな。おまえを苦しめ続けてきた楠はもういない。
    おまえを尊敬したまま、永遠になったんだ」

檜「あはははは。やったわ。わたしっ」

エルシィ(神さま……また、殺っちゃいました……)
  

  
桂馬「さて、攻略の最後の仕上げだ。死んだ楠に見てもらいながら、
    ヤるとするか。自分で殺した妹の目の前でセックス。

    強キャラの檜の心を折るにはこれくらい必要だな」

檜「――――キャゃぁああ!!」

ハクア(……もうだめね)


  ◇  ◇  ◇


  エルシィ(……そこから先のことは、私、よく、覚えていません。

          どうしてでしょーか……不思議です。
       なんだか、頭が、ぐらぐらして。
        そこからの一日の記憶がないんです。
         私が、一番近くで見ていたはずなのに。
      悪魔のくせに。
        これまで、近いことがあっても、平気だったはずなのに。

      ……。
     ただ、思い出せる、記憶の断片があって……)

檜「────……っ! ──!」
 

  
エルシィ(神にいさまが、檜さんだけじゃなく、
          楠さんの屍体も、陵辱しだして。
 
       精神がおかしくなってしまった檜さんが
      勝ち誇るように笑っていて。
 
     前の攻略で、あれだけガマンしても
      最後には乱れてあえぎ声をあげてしまった楠さんが、
    こうして、目覚めることない眠りについたら、
      いくら神様に入れられて突かれても、もう乱れることはないんです。
 
    にーさまに中で出されましたけど、妊娠することもないんです。

 
 
      檜さんが、楠さんの髪の毛をつかんで、何かおっしゃってて……

  
    姉妹で、こんな風になっちゃうなんて、ありえません。
      いけないことなんです。
 

 
           ………………
   ハクアが言うには、

       私、そのとき、ぼそぼそと独り言をいってたそうです。
 
    『ねえさま……』 『お姉様……』って。

 
      
      リミュエルお姉様。

   私は、楠さんのお姉様に、私のお姉様をかさねてたんでしょうか。

       リミュエルお姉様……
       ……姉様に……リミュエル様に、会いたい……

     会って、言ってもらいたいです。
               あの、無愛想な口調で、
      『よく働いたな』、って。
 
   お姉様に会って、神様を、もっと優しいにいさまに、
        改心させてもらいたいです。
 
     私が泣いていたら、 『エルシィ、よくがんばったな』って、
       抱きしめてくれるような。
     そんな、優しい神にいさまに。
 

 
    ……お姉様。 いま、どこにいらっしゃるんですか?


    ……私の中のコップに、これまで、たまってきたものが、
      ついにいっぱいになって、
       急に、
         あふれ出したみたいに……

    今まで、へーきだったはずのことが、その日、突然。
      いえ、とうとう、
       私にはそれ以上、なにも 入らなくなってたんです。

  
 

 知らない人「……春日楠は、稽古中の事故で亡くなったことになるわ」

 
 知らない人「そうか。この道場も終わりかな」



 知らない人「…妹……道場……春日檜を縛るものは、すべてなくなるんだ。
         ……あいつは、怪獣みたいに、海のむこうからやってきて、
         気に食わないものをすべて破壊して、
         海のむこうに帰っていく」
 
 私「お姉様……」

 知らない人「おいエルシィ。いつまでもバグってないで、帰るぞ。駆け魂はハクアが捕まえてくれたから」
 
 私「おねえさま、どこですかー (……なんだか、私……)」

   )
 

 
   ~ エルシィ『……』 ~
 

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


            風瀬青羽

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 
エルシィ(……)
 
エルシィ(その翌日から、
      私に、ちょっとだけ、変なことが起きるようになりました。
      
      ごはんを食べてるときや、学校で授業を受けているとき、
      突然、私は、うー! うー! と叫びだすことがあるそうです。
      消防車の、サイレンみたいに。
      というのも、そのときのことは、意識が遠くなっていて、
      自分でも覚えていないので……

      はじめの頃は、『バグ魔め……本格的にバグったか』と
      神様は呆れていました。 でも、そんな日が続いていくと、
      神様も、やがて、何もいわなくなりました。

      きのうも、授業中、頭が痛くなって、目の前が真っ暗になって、
      ぶるぶる震えだして、なにかをわめいていて、
      私、気がついたら、保健室のベッドにいたんです……。

      歩美さんが、肩を貸して保健室に連れてきてくれたそうです。
      歩美さん、つよいです。ごめんなさい。……
      あべこべですよね。 こんなの。
      私が、足をなくした歩美さんの、心配をしなきゃいけないのに。
      だって私のせいで……)
 

 
エルシィ(本当に、私はいつも通りなんですけど

      あの神にーさまが、別の悪魔に相談してたらしく、
      偉いらしい悪魔の人が、遊園地に誘ってくれました。
      きっと、悪魔同士、相談できるように、って。
      私をはげましてくれるようにって。
      でも、私はもう平気ですし、バディーである神様と一緒に
      いなきゃいけないので、お断りしました。
      甘い地獄の料理を作ってやれって言われてたので、
      今思ったら、お菓子くらい、つくってあげたらよかったです。
 
      そうです、私は、にーさまのおかげで、勲章までもらって、
      私が、一番助かって、得をしてるのに。
      こんなに、周りに心配かけて、知らない人にまで気づかわせて、
      私ってば、ひどすぎます。弱すぎます。ダメすぎます。

      私は、歩美さんを見習うことにしました。
      だって、義足で力強く走っている、歩美さんの姿を見てると、
      私も、どんなことにも立ち向かえる気がしたんです。

      気が、したんです……)
 

 
 
桂馬「 風瀬青羽<ふせ あおば>。 今回の攻略対象だ」  (※小説版最後のヒロイン)


   「ひと言でいえば、天才」

   「────“完璧な人間”がいるとしたら、こいつだ」

   「多分、陸上をやらせれば、歩美みたいに悩むこともなく、速く走れる、
    拳法をやらせれば、楠みたいに悩むこともなく強くなれる、
    料理をやらせれば、スミレみたいに悩むこともなくヒット商品がつくれるし、
    教師をやらせれば、長瀬先生みたいに周りがついてこなくて悩む心配もない。
    当然、ハクアみたいに、自分の優秀さ実践で通じずに悩むなどありえない。
    こいつは、本当に完全だから。
 

 
    そして、そのための、無感動、無表情。
    すべてが、出来て当たり前のセカイにいる。
    …エルシィ、おまえとは、対極に位置する女だな」

エルシィ「………(もー、にーさま! ひどいです~。
      私だって得意なことがあるんですよ)。うーうー……」

桂馬「……。(だめだ、壊れてる……。)
    青羽……あいつは、完璧だから、なにも必要としない。
    完全だから、なにも求めない。
    現実<リアル>になにも期待していない、…そんなところは、
    何だか、ボク自身を見ているようだ。
    ……こいつ以上のやつはいない。
    もしゲームなら、こいつがラスボスだ。
    これが攻略できるなら、あとは消化試合のような…」

 
桂馬「実在した“完全な人間”―――心のスキマが分からない」

 
 
エルシィ「……うー、……それで。こんな風にしたんですね」


だるまのように手足を切断され、逆さづりにされている青羽「………」


エルシィ「あっ、ごめんなさい、これ、私がやったんですか?
      ……ハクアですか? なんだか記憶がなくて……」
 
ハクア「しっかりしなさ……」

桂馬「エルシィ。お前はもういい」

エルシィ「え?」

桂馬「一週間後に駆け魂を出す。それまで関わるな」

ハクア「……」
 

 
    ◇◇ 部屋の外 ◇◇


エルシィ「……」
 
エルシィ(…………私、“ラスボス”を前に、戦力外通告されちゃいました……)

エルシィ(部屋の中からは、神様と、ハクアのお話が聞こえてきます)


    ハクア「ちょっと、眼までやるの?―――――」

    桂馬「ちひろの場合、手足がなくても――――」

    ハクア「おそれすぎ。なにも魔法使うわけじゃ―――」

    桂馬「こいつは覚えかねない――――」
 

エルシィ「………」
 


    青羽「……こんなことしてるの見たら親が泣くよ」
    桂馬「親? もう犯ったよ」
 
    桂馬「抵抗しても無駄だぞ」


エルシィ「……ぅ」

    ガタン…

エルシィ(……だ。誰ですか、そこにいるのは……?
       今、にーさまは、大事なこーりゃくの真っ最中で……)

   歩美『……』

エルシィ(あ、歩美さんっ! なんで、うちに……)

   歩美『なんで…、って、当たり前でしょ。 あなたが私をさらってきたんだから』

   歩美『ねぇ。エルシィ。なんで私の、足、切ったの?』

エルシィ(え?)

   歩美『教えてよ』
 

 
   月夜『エリュシアさん。どうして私の目を奪ったの?』

   栞 『エルシィさん。どうして私の図書館を、燃やしたんですか?』

   楠 『桂木エルシィ。なぜ、私を殺した?』

   かのん『エルシィさん。なんで、私を……?』

エルシィ(ち、ちがうんですっ、あれはにーさまが!)

   美生『ちがう? それで結局、得してるのはあなたじゃない?』

   長瀬『あの子は、現実になんて興味ないのに…』

   みなみ『ずるい…』

エルシィ「……うー! うー! うー! うぅー! うー! うー!」 じたばたじたばた
 
エルシィ「ううー! (ごめんなさぃ……やめてください……もう、もう私のコップはいっぱいなんです……)
 

 
   ちひろ『……』
 
エルシィ「うーー! うー! ………」 ぶるぶる

   エルシィ(みなさん。ごめんなさい。……そうです。
         おっしゃるとおりなんです。ごめんなさい)

      ドクン

麻里 「―――エルちゃん! だいじょうぶ? 大丈夫?」

   叫び声を聞きつけた母が、エルシィの肩を揺する。
 

 
  エルシィ(……その日の私は、ずっと、お母様と抱き合って、
        ぶるぶると、ふるえていました。
        それしか、できませんでした……)

麻里 「だいじょうぶ。……大丈夫だから。
     きっと……また、すぐに、終わるわ」

エルシィ「お母様、私、私……」

   麻里『エルちゃん、私、どうして桂馬に……』

エルシィ「……うー! うー! うー! うー! うー! う、うー」
 

 
エルシィ「うー! うー! うー! うゥー! うー! うーう
      うー! うー! うー!! ううー! うー! 
      ううー! うー! ぅうー! うー! うー! ゔ~
      うー! うー! うー! んうー! ううー! 
      うぅー! うううう! うー! うー! うー!」

 
麻里 「エルちゃん…」

エルシィ「……うらまないで……」

麻里 「?……だいじょうぶよ、…もう、私、……恨んでなんて」

エルシィ「にーさまを、うらまないで……」

 

 
  ◇  ◇  ◇

  桂馬【 風瀬青羽……。 】
     【 ボクと同じく、現実<リアル>に興味ない天才。 】

     【 “攻略不可キャラ”だと思ってた。 】
     【 でも、違ったな。 】

     【 ボクは、現実<リアル>が、“クソゲー”だからなにも期待していない。 】
     【 青羽は、現実<リアル>が、“ヌルゲー”だからなにも期待していない。 】

     【 全然違ったよ。 】
     【 ヌルゲーで退屈なこいつには…ウルトラベリーハードナイトメアモードをプレゼントしてやるんだ……。】
     【 こいつは、ボクと同じなんかじゃない。 】
     【 にせものだ。 】

  ハクア【……結局、おまえってやっぱり】

  桂馬 【 エンディングが、見えたぞ…… 】
 
  ハクア【……1人ってわけ】
 

 
 
エルシィ(完全な人間さん、風瀬青羽さんの攻略が、どんなものだったのか、

      私は、ほとんど知りません)


エルシィ(私は、ずっと、外でふるえていたので)


エルシィ(ただ、ハクアによれば、地獄の底のような絶望の中で、

      青羽さんは最後に、僅かな希望を見出したそうです…)

 
 

 
エルシィ(私は感謝しました。

       神様、

      私の両手は動きますし、目は見えます。

        神様……

      青羽さんの絶望に比べれば、私の絶望は、なんてちっぽけなものなんでしょう
 
         神様…………

      なにもできない私とちがって、

          神様………………!
      きっと、神様には、神様だけが知っているセカイが、見えているんだと思います。)


 

 
  ◇  ◇  ◇


桂馬「エルシィのサイレン。なくなったな」

ハクア「あの、 “うーうー発作” ね」


ハクア「なんか心配しちゃったわ……」

ハクア「おまえの“陵辱”攻略についてこれなくて、
     とうとうエルシィ、心を病んじゃったんじゃないかって」

桂馬「……悪魔のくせにな」

ハクア「でもよかった。元に戻ったみたいで」
 

桂馬「あいつ、人間社会に影響され過ぎなんだよ。初めて会った日なんて、
    涼しい顔でボクに死の宣告をしたくせに。それがどうしてこうなった」

ハクア「あの子はああなのよ」

桂馬「……エルシィに駆け魂かなにか入ったりしないよな? おまえみたいに」

ハクア「あれは忘れなさいよ! もう!」
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
    ~ ハクア「で 」 ~
 

 

  ◇◇ なるさわ市 アミューズメントパーク『デゼニーシー』 ◇◇



ハクア(まさか、桂木が、私を遊園地デートに誘うなんて。
     どういうつもり………かしら……? 

     ううん、春日檜も榛原七香も、風瀬青羽も、攻略できたのは
     自分で言うのもなんだけど、私の協力あってこそなわけだし。

     休みが必要なエルシィのフォローもしてるし。
     きっと私ががんばってるからご主人様、ごほうびってことなのかも。

     って、だめだめ。心まであんなやつの奴隷になっちゃ。
     私は地区長よ。もっとしゃきっとしなきゃ)

 
 

 
 
ハクア「か…か…桂木。し、し仕方ないから、遊びにきてやったわよ!」 そわそわ


桂木「ああ、来たか」

リューネ「よっ」

ハクア「え?」

桂馬「じゃ、行こうか」

ハクア「……」 「…行こうか、じゃないわよ!」
 

  
   がしっと桂馬のねぐせ毛をつかみ、引き寄せるハクア。

ハクア「ちょっと、どういうことよ、遊園地に行こうって、私を誘ったでしょ!!
     なんで他に一人いるのよ」

桂馬「そりゃいるよ。今から旧地獄の話をするんだ」
 
ハクア「旧地獄……あっ」
 
リューネ「?」

  鬼のような短いツノをもった、白衣の悪魔・リューネ。
  それを一瞥し、改めて驚き、ささっと二人の間に割り込むハクア。
  桂馬に耳打ちをする。

ハクア「自傷行為で傷だらけの体。……その悪魔、知ってるわよ。
     非合法なのに堂々と活動してる、正統悪魔社<ヴィンテージ>の
     関係者なんじゃないかって噂のやつ。ツノ付きだから手もだせないって。
     とにかくまともじゃないやつよ。なんであんたと一緒にいるの?
     ……桂木、すごく疑問なんだけど…?
     こいつとあんたの、ど・こ・に・接点があるのよ…!」
 

 天理「……」
 

 
桂馬「ああ…リューネとは」

   ニマリと不気味な笑みで、ハクアに寄りかかるリューネ。

リューネ「お前がハクア・ド・ロット・ヘルミニウムか。 こいつな、
      ……前々からやばいバディーがいるってお偉いさん方が噂しててさ。
      勾留最多のイーマのバディー。どんなやつ調べてたんだ。……
      …そしたら、私の好きな『れびゅーさいと』の管理人だっていうの。
      おどろいたねぇ……
      【裏・落とし神】。読んでるとゾクゾクするんだよね。あそこ。
      人間界のヒマつぶしには最高。 私、ファンってやつ?
      ……で。メールで、落とし神と、理想の女のぶっ壊し方について
      話してたら意気投合しちゃってさ。
      気に入ったよこいつ。私のバディーならよかったのに」


ハクア「桂木……。友達は選びなさいよ……」

桂馬 「失礼だな。リューネはお前なんかよりよっぽど話のわかる、気のいいやつだよ?」

リューネ「…それで、ハクア。オマエ、落とし神の奴隷なんだって? 笑える」
 
ハクア「あんたどういう紹介してんのよ!」
 

 
ハクア「もう帰る! な、なんでこんなやつの誘いに乗ったのかしら、バカらしい!」

桂馬「リューネ。 ハクアの“面白映像”があるんだ。見るか」

リューネ「見る見る」

 ゲーム機・PFPの画面にて、ビデオクリップが再生される。

   液晶画面の左上に表示されるタイトル 【Nをつかまえたごほうび 03 】


    下着をおろして尻を丸出しにし、小さく振って、桂馬を誘うハクア。
 ハクア『早く、はやく【落とし神モード】やって! 神モードやってよお!』
 桂馬 『だったら言ってみろ。ちゃんとおねだりできたら、ボクのフィンガーテクをくれてやる』
 ハクア『……くぅ』
 ハクア『わ、私、ハクア・ド・ロット・ヘルミニウムは、永遠に、落とし神様の、せいどれい、です』
 ハクア『どんなときも、なんでも、言うことききますので、ご主人様、いっぱい、かわいがってください』
 ハクア『……(どきどき)。…』
 ハクア『……あぁぁあ、きた、きたーーぁ! 私の中で、指が、30本の指がおどってるの』
 ハクア『ん! 大好き、らいすきー! けいま、けいまの手、私、あいしてる!』
 ハクア『……はぁー! はぁー! えぅっ! いく、またいくーぅ!』 (びくびくっ)
 ハクア『ぁんあ、ごめん、けいま、いきみすぎてっ、うんちも、でちゃってっ! んぅ!』 (ぶ、ブブッ)

リューネ「くく……こんな醜態さらして……対等なつもりなのか……腹が……よじれる…」 ぷるぷる

ハクア「くぉおおらあああ! それよこしなさい!」

リューネ「やだね」 ひょい ひょい
 

 
  さっそく園内でクレープを買い食いしているリューネ。

   ◇ ◇ ◇
 
ハクア「なによ、あんなやつの肩もって、私はずっとおまえの攻略手伝ってきたでしょ!?
     ……リューネがなにをしてくれるっていうのよ」 涙目

桂馬「ギロチン首輪を無効にしてくれた」

ハクア「え?」

桂馬「旧地獄の術を使えば、首輪のシステムの穴を意外と簡単につけるらしい」

ハクア「どういうこと……… 首輪、見せて」

  桂馬の首元を注意深く覗きこむハクア。
 
桂馬「スマホでエロゲをやるためのジェイルブレイクみたいなもんだ。(最悪のたとえ)
    契約をいじってさ。
    今、ボクの首輪は発動しない。攻略に失敗してもボクは死なないし、
    もしエルシィが死んでも、ボクは死なない」

ハクア「ほ、ほんとだわ……破壊機構が除去されてる……」

桂馬「エルシィの首輪は、いじってないから、ボクが死ねばエルシィも死ぬけど」

ハクア「なにその対等じゃない契約」 

 
桂馬「もともと駆け魂隊でも、旧地獄勢力の内偵調査に来てるようなチームは、
    こっそりこんな風に設定を変えてるらしい。旧地獄と戦うのに、
    片方やられただけで、もう片方も勝手に死んだらまぬけだもんな」
    
ハクア「ちょっと待って。もっと詳しく調べさせて。……中、開けられたら、
     意外とカンタンな構造なのね、変なこともされてないし、これなら確かに」

桂馬「室長あたりにバレたら、故障とみなされて交換させられるから、
    つきつめれば、ボクに自由がないのは変わらないが。
    このユーフォリア首輪が無効化されただけでも前進だ。
    (二階堂が攻略できなくてボクが死ぬ、みたいな展開はゴメンだからな……)
    エルシィには黙っておけよ」


ハクア「……リューネ…こんなことも」
 

 
桂馬「ハクア。リューネは旧地獄の信奉者たちの幹部だ。
    女神を狙ってる。
    また、ノーラのようになった“もしものとき”、ノーラと同じ手は通じない。
    リューネのバディーを殺してもリューネは殺せないからな。

    逆にリューネを殺してもバディーの人間は死なない。遠慮はいらない。
    もしものときの話だが、覚えておけ」

ハクア「おまえ……リューネの味方じゃないのね……」
 
  そのもしものときが、やがて来る

 
  ~ リューネ『で。』 ~
 

ハクア(それにしたって、私が目を離してる隙に……ご主人様、じゃない、桂木のやつ、
     あんなのと仲良くなってるなんて…!)

ハクア(ううん、あんな人格破綻者……同士……会話が成立するわけないわ……
     すぐにボロを…)
 
ハクア(ホラ、早速私たちをほっといて桂木のやつ、見つけたゲームに熱中しだした……
     私やエルシィと同じ気分を味わうがいいわ、リューネさん)

桂馬「ふふ……余裕のハイスコア……」
  
  園内にある射的ゲーム。桂馬が見つけて遊び始めたのを、
  クレープ(2個目)をかじりながらリューネが眺めている。
 

 
リューネ「これ二人プレイできんの?」

案内スタッフ「はい、次のステージから……」

リューネ「にっ……私もやるよ」

   食べきったクレープの包み紙をスタッフに押しつける。


  ◇  ◇  ◇


リューネ「―――」  カチ カチカチッ!

   “2P”として参加し、食い散らすように、標的を撃ち倒していくリューネ。
   ただし、一般市民キャラだけを、狙って。
 

 
   人質となっている女性キャラが撃たれ、射撃を続けながら注意する桂馬。

桂馬「おい、一般人を撃つと減点だぞ」

リューネ「そのほーが、おもしろいじゃん」

桂馬「……そうか、減点になるマトだけ撃つ気か。
    『妨害プレイ』なんてしても、無駄だぞ…」

リューネ「無駄なのはソッチだ。ゲームオーバーになっちゃえよ」

桂馬「試してみるか? ボクに攻略できないか?」

リューネ「……おまえ、人間が悪魔に歯向かうか?」

桂馬「おまえこそ、悪魔が“神”に挑むのか?」

二人「ふっふっふっふ……」

ハクア(なんか……うまくやってる……)


ハクア(別に……面白くないわけじゃ……)
 

 
リューネ「へぇ。やるじゃん。ゾクゾクするね…」

桂馬「ハクアだったら、何度やってもゲームじゃボクに勝てなかったが、
    リューネ。おまえはそう簡単にはいかないみたいだな」

リューネ「あんな子と一緒にするなよ。私なんて、ハンデで左手で撃ってやるよ」 (左も利く)

桂馬「じゃあボクはハンデで10秒、撃たないでいてやる」(撃たなかったら次のマトが出てこないけどな!)

ハクア(卑怯……)

ハクア(でも、リューネのやつ、卑怯な手を使われると逆に嬉しそう……そういうやつなの……?)

桂馬「……決まらないな、こうなったらスコアで勝負だ。負けたらなんでも言うこと聞けよ」

リューネ「いいね!」


ハクア「嘘……なにが起こってるのよ……こいつら、楽しそう、
     なんで、私やエルシィといるときより、桂木のやつも、楽しそうなのよ、

     そっか、キチ×イ同士だから……波長が合うんだ……」
 

 
   ◇  ◇  ◇

ハクア「お前、リューネとはよく会うの?」

桂馬「たまにな」 「メールのやりとりなら、もっと前の、サイトが軌道に乗ってから――」

ハクア(つきあいの長さは私と同じくらい……?
     地獄とか無関係に、趣味悪いゲームの話でハンドルネームでやりとりしてて、
     ……“趣味仲間”  “同好の士” なんだ。
     それで、いざ地獄のつながりでお目にかかったら、運命みたいに
     前から通じ合ったあの人だった……
     どうなってるのよ……) わなわな

桂馬「それよりハクア。今まで会わせなかったのは、リューネがお前と逆の立場だからだ。
    だが急にあいつ…」

ハクア「こういうところでデートみたいなこと、“攻略”で慣れてるの?」

桂馬「なんだよ……そういえばなかったな。ゲームでなら2万回は来てるが」

  (※ 攻略を陵辱で済ませているため、デートイベントはどれも起こらなかった)

 
ハクア(初デートが、リューネとってこと……!? なんなの…)

 
 
   トイレからでてくるリューネ。


リューネ「……ハクア」

ハクア「……」   キッとリューネを見据える。

リューネ「お、お前の、ツンツンした顔をみるだけで、あの映像を思い出して
      …………私を笑い殺す気か……」 ぷるぷる

ハクア(殺す……いつか……桂木みたいに、コンクリートにめりこませてやる……)
 

 
   ◇  ◇  ◇

ハクア「……(桂木はゲームをしながら歩いてるのに、リューネは気にしないのね。
     リューネも、よそ見して食べ物かじりながら歩いてて、
     たまにぶつぶつ『死ね』とか『殺す』とか、独り言を始めるけど、桂木は気にしない…
     でも、お互いちゃんと話せてる。こんな距離感があったなんて……)」


リューネ「ほら、あのジェットコースター、車輪の接続部を、魔法でゆるめて。
      脱輪事故を起こしてやるんだよ。人間がミンチになって気分いいよ」

桂馬 「ほう。さては2007年の事故はおまえらがやったな」 (ゲームプレイ中)

リューネ「くく。ばれた」

桂馬 「そりゃあ、ヒサンな人身事故ってだいたいお前らがやってるから(笑)」

二人「わっはっはっは」

ハクア(サイココンビ……)
 

 
リューネ「…ハクアぁ、おまえも、悪魔なら分かるだろ? この趣味」

ハクア「なに言ってるのよ……新地獄では故意の殺人は犯罪なくらい知ってるでしょ」
 
リューネ「一回やったら病みつきになるのに」

桂馬「アリだな……(ゲームなら)」

リューネ「にっ」

桂馬「―――でも今は、こわいこわいガリ勉の優等生が見張ってるから、やめとけよリューネ(笑)」

 
ハクア「……」

リューネ「ちっ。つまんない、……早く地獄が元に戻るといいな」

ハクア「ちょっとお前。さっきから言ってることだけど―――」


  ◇ ◇ ◇


   ~ ハクア「で……」 ~

桂馬「ひそひそ……(おいハクア、お前ちゃんとリューネの話に乗れ。
    選択肢を間違えるな、これは重要イベントだ。聞いてて分かるだろ。
    向こうから旧地獄やヴィンテージの説明をしてくる。
    要するにこいつは、おまえみたいに優秀な悪魔を、引き込もうとしてるんだよ。
    天界人探しに利用して、ラクしたいんだ。
    立場は逆だがディアナと似たようなもんだ。逆に動きがつかめるぞ)」
 

 
ハクア「はぁ~……。あんた、地獄の事情、よくご存じね。
     あの子に聞いたの?
     でも今日のデートの目的はどーだか。
     リューネ、そんなに組織活動に熱心には見えないし、
     私には、あの子が個人的にあんたを気に入ってるようにしか。
     旧地獄の秘密も、あんたと共有して気持ちよくなりたいだけよ。
     私……、犯罪組織に興味あるまねなんてできないわ!」  つん

 
桂馬「……(相変わらず融通がきかないな)
    もういい。ボクがやるからハクアは流れに身を任せとけ」
 

 
リューネ「…………(なに、内緒話してるんだ。あの二人)」

リューネ「……」

リューネ「……」   カッターナイフ「カチカチカチ」

リューネ「殺してやる……真っ先に……汚らしい……」 ぶつぶつ
 
桂馬(ああ……また独り言いいながら自分の手をカッターナイフで切り始めた)

  早足で近づき、おもむろにリューネの手をとり、その血をなめとる桂馬。

リューネ「あっ……ぁっ」

桂馬「ハクアが気にくわないか?」

リューネ「……別に」

桂馬「一緒にオモチャにしてやろう。ハクアは奴隷さ。リューネはちがう」
 

 
ハクア(あーあ。桂木のやつ、会った頃より、
     ますますやばくなってる気がするわ……
     あいつ、ゲームのしすぎなのよ。
     きっと何もかもゲーム感覚。
     あのリューネって悪魔は本当に危ないやつなのに。
     人間なんて、きっと、気まぐれで簡単に殺されちゃう。
     あいつノーラに殺されかけて懲りてないの?
     私、お前のこと心配してやってるんだから。

     お前が死んだら……私、どうしたらいいのよ……

     それを、公衆の面前で、なに腕なんて組んで。
     あれじゃまるで、恋人じゃない!)


ハクア「……あれ? 桂木だけこっちにきた」

桂馬「ハクア、ちょっと一緒に障害者用トイレにこい」 ぐいっ

ハクア「ええ? なに、い、今はだめっ、今は」
 

 
桂馬「ハクア。舌を出して目をつぶれ」

ハクア「え、……もうっ、“あれ”?」

ハクア「……早く出しちゃってよ」

  桂馬のものを受け止めるため、跪いて口を開き、べーをするハクア。
  そのべろに、さくり、と、リューネのカッターナイフが突き立てられた。

ハクア「きゃああああああ」

リューネ「あはははは! あはははは!!」

  リューネの羽衣で、足をすくわれ、ハクアは逆さづりに拘束される。
 

 
リューネ「ハクア。どーせお前、新悪魔らしく正常位(笑)でしか
      ヤッたことないんだろ。
      ……いまから落とし神と、本物の地獄のセックスするからさ
      指を咥えてみてろよ」

   小さな体の後ろに回り込んで、カチャカチャとベルトを外す桂馬。
   リューネはうっとり笑うと、スカートを持ち上げて下着を下ろす。

 
 
ハクア「だめ、だめよ! あんたたち、なに始める気!? 遊園地で、なに考えてるのよっ!」


  ずぷるんっ

リューネ「あぁ~、入っちゃった(笑)」

   ロングヘアーを、首に巻き付けるようにして、
   後背位で、動物のように交わる男女。

 
   桂馬はリューネからカッターナイフを受け取ると、
   目一杯、刃を押し出して、リューネの小さな背中に、強く押し込む。
   薄い体を、ナイフが貫通した。

桂馬「くっ、しまる…!」

リューネ「んぅ……! はあ~!」

  顔を赤面させ、恍惚に浸る。よだれがしたたる。

ハクア「なに……こんな…!」
   
  桂馬は、リューネの頭を床に押しつけ、後ろからガスガスと腰を打ち付ける!
  リューネの短い角をつまんで、クリクリといじりまわす!
  リューネにバレないように、こっそり左手でゲームをしている!
 

 
  ◇  ◇  ◇

   逆さ吊りで拘束されたハクアに、顔を近づけて吐息をかけるリューネ。
   そんなリューネの首を絞めながら、桂馬はキスをした。

桂馬「そら、出すぞ……」 「孕め、はらめー……!」

ハクア「だっ、だめー! それはやっちゃだめー!」

   ハクアの制止は聞き入れられることはなく、
   桂馬のザーメンが、一滴残らず、リューネの膣内に吐き出された。

リューネ「ォォ……きた……やっぱり、交尾はこの瞬間が……一番だね……」

ハクア「うぅ………。どう……いう、つもりなの……」

リューネ「ひひッ……なんだよ、ガキが出来れば、殺せばいいじゃん」
 

 
   ハクアの目から涙がとめどなくあふれ、逆さまに流れて、まゆや額を濡らす。

ハクア「……避妊、……ヒニンしてるじゃないの!?
     私とやるとき、私が大事だからっていって!

     攻略の、女の子とやるときも、気付かれないように
     私が透明になってコンドームつけたり、外に出したり!

     なのに、なんで、
     なんでリューネには出しちゃうの!?」

  トイレの床に仰向けに倒れるリューネ。股からは、白い液体があふれさせながら。

リューネ「あー。こいつの鳴き声、気持ちいい…… 交尾も。
      なんか、いいかも、もう、三界制覇とか。こんな風に暮らしてられれば」

 
 

 
    ◇◇ 鮎川宅 ◇◇

ハクア「…………と、いうことなの。
     あいつ、リューネが勝ち誇って笑ってるとき
     ずっと左手でゲームしてた……」

ディアナ「桂木さんのおかげで、正統悪魔社<ヴィンテージ>について多く、
      知ることができました。
      新地獄や駆け魂隊が信用できないことも。
      私たち女神が狙われていることも……」
 


ディアナ「ですが、あの男のことはますますわからなくなった気がします……」

ハクア「……私はもうノーコメント」

ディアナ(天理の姿で来るように言われましたが、途中で帰ってよかったです……)

 
 

 
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           倉川灯<リミュエル>

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      ~  エルシィ『で!』  ~

 
 
    倉川灯 『……』
 

桂馬「キスをしても何の反応もなかった………灯<あかり>。あんな女は初めてだ」


桂馬「それどころか、ボクを、『堕落した現実世界』の代表みたいに言いやがって…」 わなわな

エルシィ「神さまー、“りょーじょく”攻略はされなかったんですか?」

桂馬「やってみたさ。……だがあいつ何て言ったと思う?」


   灯 『そんなことではなにも感じぬわ』
 

 
 
エルシィ「えぇえ! みんな、あんななっちゃうのに。

      ハクアなんて、最近――――。」

桂馬「……」  ← 張り倒された。

エルシィ「それで、逃げ帰ってきたと……。あのしぶといにーさまが。
      にーさま。 れいぷが効かないなら、もうどうしようもないんじゃ…
      ずっとりょーじょくに頼ってきたにいさまに、今さらになって
      普通の恋愛なんて不可能ですし…」
 

 
桂馬「ふっ。何が効かないだって?
    
    確かに、あいつは “純愛ルート” でいけば強敵だろう。
    だがな。あの手のヒロインは、 “陵辱ルート” ではバッチコイの相手だ。
    久しぶりにいい言葉を教えてやろう!

    【 陵辱ゲーム  押してダメよは  もっと押せ 】

    『私はなにをされても感じたりなんかしない…!(キリッ)』
    そういう手合いを感じるようにさせるのが陵辱ゲームの
    醍醐味なんだよ! くっくっく」

エルシィ「前いってたのとなにか矛盾してるような…」 

   眼鏡を光らせる桂馬。

 

 
   これまでの攻略が、走馬燈のように甦る。(死ぬわけではない)

桂馬「………陸上部、没落お嬢様、アイドル、図書委員、拳法家、エリート、
    モブキャラ、電波、双子、母、弱教師、天文部、小学生、BBA、
    水泳部、後輩、巫女、悪魔、幽霊、悪の女幹部、ラーメン屋、
    将棋指し、女神、年上、魔女っ娘、完璧超人、その他もろもろ──
    etc.エトセトラ──
    落とし神に攻略(※陵辱)できない女は、これまで存在しなかった。
    …そして、今もいない。 これからも現れない!」

エルシィ(うわー。にーさま、死刑になりそう……

      私が知らない感じの人は、ハクアや、他の悪魔のひとと攻略したのかな。
      ……あ、さらっと五位堂結さん飛ばしてますよね。
      にーさまの中で、なかったことになってるんだ。
      れいぷ被害者の女性が、忘れようとしてるみたいに)
 

桂馬「どんな女子が相手でも、たやすく攻略できてしまう、
    生まれついてのウルトラミラクル落とし神のボクは、思えば、
    永いこと自分の腕を磨くということをしていなかった。

    “神”に、その必要はなかったからだ。

    しかし、かつてない相手・倉川灯を前に、ボクも、ようやく
    力を高める時が来たようだ……」 ゴゴゴゴゴ…

エルシィ「も、燃え展開ですっ」

ハクア「ごめんくださーい」  「か、桂木ー、来てやったわよ? 何の用よ突然呼び出して」
 
桂馬「早かったな。さぁ服を脱いで防音ルームに来い! 芸術品にしてやる」


ハクア「ちょちょ、なに」 ぐいぐい

エルシィ「ハクア……どうか死なないで…」


ハクア「いやぁっぁあー!」  ハクアの叫び声と、証の鎌だけが、エルシィの元に残された。
 

 
 
  ~ エルシィ『で!』 ~


ハクア「エヒッ……えげひッ……」   ピク……ビクンッ
 
エルシィ「うー……ハクア、両目がとんでもないほうに向いて、
      体中から出せる液をぜんぶ出しながら……これまで
      出したこと無いような声ともつかない音を出してる。
      ……なにされたんだろう」

桂馬 「よし。 灯、待っていろ、この技で終わらせてやる」
 
エルシィ「が、がんばってください」 ←もしああなったら駆け魂を勾留できないので難を逃れた。

 
 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~


桂馬「あかり…。一昨日はすまなかった。でも今度こそおまえに愛を教えてやる…!」 ぎゅ

灯 「…? あぁ……またこの男か。お前これ犯罪じゃぞ…。 
   私も今は、騒ぎにしたくな──………ぉ……っっ!?!?」

桂馬「落とし神モード!」 シュパシュパシュパ!!

灯 「っ……ぁ゙……(/////)…!!! (なん、……だ!?)」


      〓 背景に主題歌が流れる。〓
桂馬(……きっかけは、18禁ゲームのプレイ中。イベントCG回収のため、
    一度見たHシーンを、メッセージスキップ機能で速読していたときだった)
 

 
桂馬(画面には、主人公による愛撫シーンのCGの差分が次々と表示され、
    映し出されるのは、高速で手だけ動かし、女体を、まさに神の
    ごときスピードであっちこっちタッチしまくる主人公の姿。
   
    そして10秒もせずにイかされる、ヒロイン。
   
    ボクは思った。
    『これは、もしかすると現実の攻略にも使えるかもしれない。』
    『しかし、リアルで本当にできるのか……』
    できた。簡単だった。
    実験台になったちひろは、9.8秒でイッた。

    落とし神モードの応用で、手を増やして、
    メッセージスキップ状態のエロゲー主人公のようになり。
    女子の数カ所を、時間を圧縮したように
    同時かつ瞬殺的に感じさせることができるのだ…。)
 
   シュラシュラシュラシュラ~~

灯 「──(な、なんじゃ……? …??? なんだ、なん…なのだ、この感覚は??)」
 

 
桂馬(これまでも、要所で三責めや四点責めは使ってきたが、
    ハクアをつかった修行で“手数”を増やし、今や『同時に』六点責めができる。
    股間周辺なら十二点責めまで可だ。
    そしてやればやるほど処理効率は上がり、スピードは上がっていく!
 
    従来の神モードのスピード × これまでの攻略の経験 × エロゲー主人公の技、
    神は、時間の概念を超越する。
    これが、神モードを超えた神モード。 ……名づけて
    落とし神MSモード《メッセージ・スキップ・モード》!  )
 
灯 「─────…っっっ」
 

 
桂馬「倉川灯。おまえは強敵だったよ。青羽がラスボスなら、お前は裏ボスだ――。
    このボクが、『レベル上げ』を必要とした。だから最高の快楽をプレゼントしよう。

    …………さぁイけ。メッセージ・スキップの力で、時を圧縮する神のみわざを受けて
    クリトリス、膣、アナル、左右の乳首、舌、六カ所で、同時にイけぇ!」

灯 「んきゃぁァァああ!」 …ビクンビグン!

桂馬「ボクだけに使える、これが……この技こそが……神のみぞ知る世界……!」

  阿修羅のように手の数が増えたまま、愛撫をつづける神様。

灯 「これが、完璧な愛なのかぁ、分からぬ、頭が、ぽやぽやする」

桂馬「さて、本番はこれからだぞ。挿入する」 ずぶぶぶ

灯 「んはあぁぁぁ……!」
 

 
 
    ~ リミュエル『で……っ』 ~


   ◇  ◇  ◇

灯 「イクっ、いくっ、ぅ、私は……!」

灯 (なんじゃ、この満ち足りた気持ちは。確かに、愛があれば完璧になれる気がするぞ…
    わからぬ。この男の言う通りなのか)


灯 「もっと、もっとするのじゃぁ…」

桂馬(なんだこの女…いくらイかせても終わりが見えない。
    体力が人間のそれじゃないぞ…。まるでハクアか、リューネの…)

  かたんっ。と、
  ホウキが床に倒れる音がした。


エルシィ「お、お姉様……!? なに、されてるんですか…?」
 

 
灯 「はむっ。何者じゃ……お前は?

    あぁ……エルシィか。……そうか、全てを理解したぞ」 ぺろぺろ

エルシィ「や、やめてください。そんなこと」

  桂馬のペニスを愛おしそうにしゃぶるお姉様。

灯 「いやじゃ。ずるいぞお前。こんなものを独り占めして」

エルシィ「リミュエルお姉様は、イーマのみんなの憧れなんです…。そんな、
      下品なぽーずで、腰をふらないでください…!」

灯 「出せっ、さぁ出せ。人間をつくろう、愛の力で、完璧な人間を…」

桂馬「産め…! 神の子を!!」 パンパンパンッパァン

灯 「ふゃぁぁ!」  ビュルビュグ…ドクン……トク……

エルシィ「いや、いやああああ」
 

 
   ◇◇ 帰り道 ◇◇


桂馬「はぁ……。無駄足踏んだ。もともと駆け魂なんて、いなくて、
    別の悪魔が内偵調査でダミーの信号を出してただけだって?
    紛らわしい。そういうことならあらかじめ言っておけ」 ゲームピコピコ

   歩きながら独り言つ、桂馬。

エルシィ「あ、あは……」

   衝撃のあまり、目をかっと見開いて、口元が大開きで笑ったまま、
   表情を固めているエルシィ。
   エルシィは今日まで、“お姉様”に憧れ、リミュエルお姉様という
   理想像、“自慢の姉”を持つことで、どんな苦境であっても、
   前向きさを忘れずにいられた。“姉”と呼ぶには些か遠い存在だったが、
   エルシィの中では、まるでスーパーヒロインかなにかのように、ある意味、
   心の支えとして、本当の家族以上の存在であった。
 

 
  これまで、たとえ“おにーさま”の方は、こういう人であっても、
  憧れたアイドルの中川かのんがあんな醜態を晒しても、親友の
  ハクアがあんな状況になっても、エルシィがやってこれたのは、
  “お姉様”の存在あればこそ。
  ……だからこそ、エルシィの中での、リミュエルお姉様の
  心の拠り所としての神格化は、進んでいた。
 
エルシィ「……………」 ずーん

  そのリミュエル様が、落とし神によって、あんな姿に成り果てた
  ところを見せつけられて…。エルシィは、心の拠り所が、理想像が、
  アイデンティティが、たとえるならジェンガの、塔の全てを支えていた、
  最後の一本を引き抜いたように、ガランガランと崩壊させられたのだった。

 
エルシィ「………ねぇさま……ぉねぇ…さ…ぁ……」

  まるで、絶対負けるはずのないウ○トラマンが拉致されて
  『ウ○トラマンだって死ぬときゎ射精するんだよ』といった光景を
  を見せつけられた子供のように、自失しているエルシィ。

桂馬「…おまえ、さっきから何壊れてるんだ?
    何も働いてないのに、勝手にダメージを受けてるんじゃない」
 
エルシィ「にーさま……、わたしを、ころしてください……お姉様が、あんな…。
      私、もう、やっていけません…」

桂馬「やだよ、ベンベン。 ………。早く帰るぞ。今日発売のゲーム、
    1秒でも早くやらなきゃ。 なに馬鹿なことしてたんだボクは」
 

(続き、後日に)

 
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                      ◇ 女神編 ◇


 (フィオーレ かのん 歩美 麻美 栞 結 ちひろ 青羽 天理 月夜 リューネ)

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   ◇◇  中間テスト期間中  校内階段付近  ◇◇

 
 
アポロ「おおっ。表に出られるようになったぞ」


   中川かのんの顔に赤い紋様が浮き上がり、別人に入れ替わる。

桂馬「!」


アポロ「……かのんを監禁、“すかとろ調教”したというのはこやつか…」


   アポロ「………かのんよ、この危険人物には、絶対に話しかけては
        ならんと、きつく言っておったじゃろう~……」

桂馬(──女神だ。かのんの中に、ディアナの言っていた他の女神が
    隠れていたんだ)


アポロ「……ふむ。 だが、力が少し戻ったということは、このようなやつが
     相手でも、かのんの愛は本物じゃったということか…」

アポロ「しかし、こんな男、…危なくてこれ以上関わってられんぞっ!」 ダッ

桂馬「あ、逃げた!  ボクから逃げた」

 
 

 
 
    ◇   ◇   ◇



剣が突き立てられて倒れている中川かのん「―――」


桂馬「エルシィ。そういうわけで、何者かにかのんが刺されてしまった…」

エルシィ「あーあ…。 にーさまのせーですよーこれ。
      にーさまから逃げた先で刺されたんですから。
      ……ざまーみろですけどねー。こんなアイドルなんてサギ師」
      (ショックが続くあまり暗黒面に落ちた感じのエルシィ)

かのん「――……」

桂馬「……。
    ( く……! 元トップアイドルの腹にナイフを突き刺してしまうなんて。
     女神を真っ正面からズブリといくなんて。

     たのしかったんだろう……気持ちよかったんだろう…
     ナイフがやわらかい内臓に沈んでいく感触を手に味わって、
     死を覚悟した、恐怖と苦悶の表情を間近で見て。)
    潰す……
    この落とし神が罰を与えてやる……ハクアを呼べ!」

エルシィ「ちょっとうらやましいんだ、嫉妬で潰すつもりなんだ……神様」

 
 

 
    ~ エルシィ『で……』 ~

 
 
  緊急集合し、それぞれの知恵を出し合って会議している桂馬・ディアナ・ハクア。

  一方、『かのんアンチ』の感情に整理がつかず、
  3頭身のデフォルメキャラになってやさぐれているエルシィ。
  
かのん「……」

エルシィ「――――(なんで、かのんちゃんなんて、助ける必要があるんですか…)」



   ディアナ「……アポロ……せっかく再会できても、
         私一人の力ではこの呪いを解くこともままなりません」


   桂馬 「……っ、ハクア。 ナイフの、このカニみたいなマーク。
        確か正統悪魔社<ヴィンテージ>と関係あるよな。
        同じ紋章がついた物を、リューネや、リューネのバディーも持っていた」

   ハクア「もしかして、リューネがやったの…?」

   桂馬 「本人に確かめれば分かる。
        …あるいは、他に誰か、“大きな手柄”をあげたやつがいるのかも」

   桂馬 (リューネ……)
 

 
エルシィ「……(“かのんちゃんなんて、死んじゃえばいい”って、
           あのとき、思ってました)」

かのん「……」

エルシィ「……(でも、かのんちゃん…… もしかして、本当に……
 
          死んじゃうんですか? かのんちゃん?)…」




   ディアナ「先手を打たれましたね…。桂木さん。
         なぜこれまで、中川かのんさんに記憶があることに
         気付かなかったのでしょうか」

   桂馬 「悪いな。話す機会がなかったんだ。女神のアポロが、多分
        ボクの攻略をかのんから聞いて、危険視して避けていた。
        (一番の理由はゲームに熱中していたからだが……)」

   ハクア「人望の薄さね」


  (※  ちひろが攻略で四肢切断された

     → ちひろのバンド【2-Bペンシルズ】が成立しなかった
     → 軽音楽部の設立をかけたテスト勉強会イベントがなかった
     → かのんと話すあの機会も得られなかった )
 

 
 
エルシィ「……(私、かのんちゃんのこと、キライだったはずなのに……)」


かのん「……」



   ディアナ「今は女神の力で耐えていますが、もって一週間。
         それまでに他の女神を見つけて呪いを解かなければ……」

   ハクア「……中川かのんは…」

   ハクア「………死ぬわ。最悪、アンデッドになる」

   桂馬 「数日から一週間か。……いいだろう、じゅうぶんだ。
        母さんには海外に逃げていてもらおう」

   桂馬 「ハクア、暫く一緒に行動してもらうぞ。早速調べてほしいことがある」
 

 
エルシィ「……(不思議です。涙がでて…)」  ぽろぽろ
 
かのん「……」

エルシィ「……(そういえば、なんで私、かのんちゃんのこと嫌ってたんだろう…)」 



   桂馬 「……」

   ハクア「ちょっと桂木……もうエルシィが限界よ。
        あれよ。有名なバンドマンが死んだときに
        後追い自殺する熱狂的ファンですみたいな雰囲気……」

   ディアナ(あの小悪魔は、誰よりも人間界の影響を受けたようですね…)



桂馬 「……エルシィ。部屋に戻って寝てろ」

エルシィ「ぅぅ……」

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
   ◇  ◇  ◇

 
エルシィ「……っ!?」

  ハッと。目が覚める。


エルシィ「あれ? 私……?」  「かのんちゃんが刺されちゃって……それから…」

  パジャマ姿でベッドから起き上がるエルシィ。

エルシィ「……今日、何日ですか?」

  壁に掛かった、今月のカレンダーを確認をする。
  今日はまだ、中間テストよりさらに前、体育祭の前週のはず。
 
エルシィ「―――そっか」

エルシィ「全部、“夢”だったんですね、なーんだ」

  ほっとする。
 

 
エルシィ「そーでした。にーさまは、今、最大の強敵・風瀬青羽さんの攻略の真っ最中」

  リビングに行き、邪魔にならないよう、こっそりと、桂馬たちの様子を覗き見るエルシィ。


   桂馬『――――』
   青羽『――』


エルシィ(お二人、まるで双子の兄姉みたいに並んで。
      ご一緒にゲームをしています。)

 
   桂馬『―― そこは失敗しても無理もない。同社の過去作を
       やってないと分からないブラフだからな』

   青羽『静かにしてて』(真剣)

 

 
エルシィ(風瀬青羽さん……。ゲームでいえば、レベル99の、
      すべてのステータスMAXで、“カンスト”してるっていう
      カンゼンな人間……。

      どんなことも『つまらない』、 どんな方法でアプローチしても、
      誘っても、告白しても、“攻略”できなかったこの人は、
      ただひとつ、にーさまの中の “神の領域” に興味を持たれました。
      人を超えた存在、『ギャルゲーの世界の “落とし神”』さまに。

      そして、意外も意外!
      神にーさまとご一緒に、『ギャルゲー』をやることに!
      しんじられないですっ、
      神様と同じことに興味を持つヒロインさんなんて、こんな人、初めてです。
      おなじ趣味の、“天才”同士、
      とうとう、にーさまにも、現実で、通じ合える人ができたんです……!

      ぎゃるげーを通じて、『恋愛』をするなんて、そんなの、アリなんですね!)

 
 

 
    ◇  ◇  ◇


エルシィ「神にーさま、“攻略”のぐあいはどうですかー?」

 
 
 
  桂馬『エルシィ、お前は相変わらず何もしないな……。

      これじゃあまるでボクが好きでやってるみたいじゃないか。

      まぁそれでいい。
      ……認めたくないが、青羽の攻略はいままでで最高の時間だよ。
      ボクは、たくさんゲームをやってきたが、
      こんなに楽しい “ラスボス戦” は、初めてだ。
      現実<クソゲー>のくせに』

エルシィ「もー。にーさま(笑) それって、ただ、
      攻略なのにゲームができるからじゃないですか?」

   エルシィの頬に、涙が伝う。
 

 
 
  桂馬『なに泣いてんだ? エルシィ?』


エルシィ「な、なんででしょーか」

  あわてて手でぬぐう。

エルシィ「うれしいんです……。
      今、にーさまは、『恋愛』の力で駆け魂を出しているんです。
      女の子たちにとって、一番いい方法を、いっしょうけんめい考えて、
      純愛の“ぎゃるげー”の中から、考えて、かんがえて……。
      途中で、傷つけたり、傷つけられたりしますけど、
      神様のおかげで……、女の子は、前向きになれて、
      ……最後に、ちょっとキスをして…
      そんな当たり前のことが、嬉しいんです」


  桂馬『馬鹿だな。なに言ってるんだ。このバグった悪魔……このバグ魔』

  ダルマ青羽『そんなわけないでしょ』

 
 

 
エルシィ「……?」

  ダルマのように手足を切られ、逆さづりのまま青羽が、冷たい視線を送る。
  その頭の『下』には、天界人の光輪が。
  青羽に、女神がいたのだ。

エルシィ「……きゃぁぁあ!」

  驚いて後ずさると、やわらかい感触にぶつかる。
  ふりかえると、ノーラが。

  ノーラ『恋愛? そんな不安定なもんで駆け魂が出るワケないでしょ?
       あんたのバディーはね。陵辱の力で駆け魂を出してんの。
       私にこの金棒をブチ込んだみたいにね』    腹に、穴を開けて。
 

 
エルシィ「え? え……」

  気付けば、頭の上に光輪のついた、沢山の女たちに囲まれていて……

   七香  『ホンマおめでたいわ、自分』

   ディアナ『エルシィさん。現実を見て下さい。
         私はあなたのせいで、桂木桂馬に犯されたんですよ。
         初めてだったのに……。そういうのは、生涯一人の男性とすることなのに。
         天理にどう謝ればいいんですか』
 
エルシィ「だ、だって…。………なんで?」

   透 『なにトボケてるかな。 私は、王子(※桂馬のこと)の命の恩人だよ。

       つまり、あなたの命の恩人なんだよ?
       私がもし、あの日、王子を火事から救わなかったら、
       あなたも首が飛んで死んでたのに。
       ――― その私をつかまえて監禁した、悪魔さん。
       いつまで空想の中にいる気なの……恩知らず』
 

 
エルシィ「ぅ……ごめんなさいぃ……」

   紫埜 『鬼よりもタチが悪い』

   ひより『死んじゃえばいいのにね』

   郁美 『お姉ちゃんを人質にして……』
   麻美 『郁美を人質にして……』

エルシィ「……ゆ、夢です……これは、また、夢を見てるんです。
      こんな人たち、し、知りませんっ…!」

 
 
   リミュエル『……夢か。本当に夢のようであったぞ。

          エルシィ、お前のバディーは』

エルシィ「…!」
 
   結  『私は感謝しています。桂馬様の体に入ったことで、わたくし、
       女の人を乱暴に犯すゲームやビデオが大好きになりました。
       そして、現実でも……』
 

 
   結(男装)『……ぞくっとするよ。可愛い子に、乱暴するっていうのは』
 
   幽霊(梨枝子)『じゃーん。 私、幽霊じゃなかったのに、
             本当に幽霊にされちゃった』

   ハクア『エルシィ。お前って本物の悪魔ね。

        お前、実は、古悪魔<ヴァイス>なんじゃないの?』
    

              ドクン

 
エルシィ「ぁ……あ……違うんです。 私、違うんです」

    頭を抱えて、うずくまる。

エルシィ「うぅ……うー……」

   かのん『…………』

 
 

 
エルシィ「あ、かのんちゃん! かのんちゃんですね! …?」

   かのん(ゾンビ)『――――エルシィさん。
              あなたのセいで、私 アンデッドに なっチャった』


エルシィ「……ぅぅうう!」

 
 
   ゾンビかのん『エルシィさぁん。 私のこと 好きナんだよね ♪

            ハグしようよ……ぎギ…』

   よろめきながら近づいてくる、半死人のかのん。
   エルシィは、いくら走って逃げようとしても、まるで足が空回りしている
   かのように、不思議とその場から動けない。

エルシィ「に、にーさま、助けてください…!」

   桂馬『ほう……いいぞ! これは』
 

 
   桂馬『……ゾンビヒロインか。変わったプレイがたのしめそうだ』

   ゾンビかのん『桂馬くん。 私のコト、こンな姿に なってモ 好きでいて クレるんだね?』

   桂馬『うん、むしろ歓迎だ! このひんやりした肌。死後硬直で固いさわり心地』
      『コントローラーを抱いているようだ』   ぎゅ

   ゾンビかのん『うれしイよ…………けーまくん……。
            ねェ……妹さンが……見てる前だケど、……ヤッちゃお?』
 
   桂馬『おぉ、そうだな。……挿れるぞ、かのん!』

   ゾンビかのん『あん! ふぉゥン! ……いぃ……!』 ずるずぶ

   桂馬『はぁっ……はぁっ……すごいぞー……きもちいいぞー……』 パンパンッ

       ゾンビVS神様。

エルシィ「いやー!」 「そんなの、やめてくださいっ、ごめんなさいッ、っ」
 

 
 
   歩美『……』

 
エルシィ「あ、あゆみさんっ」
 
   歩美『…』

      ニコリ

   歩美『許してほしい? 助かりたい?』

エルシィ「はい! ハィィっ! はいい!」

   歩美『じゃあ。オタメガの部屋にある、チェーンソー。もってきて』
 

 
  ◇  ◇  ◇

エルシィ「も、も、もってきました!」

   歩美『それで、自分の足を切り落としたら、許してあげるわ』

エルシィ「……え?」


   歩美『ほら。私にやったみたいに』

   歩美『エルシィ、スパっと足を切っちゃうの!』

エルシィ「……」

   歩美『そうすれば、あなたの胸は苦しく、なくなるよ』
 

 
エルシィ「…そんな……」

   歩美『 自分はできないんだ 』 『 人にやったくせに 』

エルシィ「…………ご、ごめ……なさ……」

   歩美『ガンバってよ。ほらほら』

エルシィ「うぅー。ううー!」

   歩美『いくじなし。 じゃあ貸して。私がやったげるって』

エルシィ「や、やめてくださいぃぃ」
 

 
ハクア「ちょっと、エルシィ、ブンブンうるさいわね。なにこれ? エンジン音?……」

エルシィ「うぐっ……ヒグっ……」 
  
チェーンソー「ブルギュインギュインギュルインギュルイン」


ハクア「っ! エルシィ、なにやってんの!?」
 
   顔を真っ青にして、止めにかかる。

ハクア「おまえ、何、自分の足を切ろうとしてるのよ!?」

エルシィ「ハクア、たすけてー」

エルシィ「歩美さんが、……歩美さんが私の足を切ろうと」

    歩美『ほら、あなたがモタモタしてるから邪魔が入った』
    歩美『急がないと!』

エルシィ「きゃあああ! 痛いイタイ」

  チェーンソーの刃が太腿をかすり、わずかに血が飛び散る。
 

 
ハクア「やめなさい! なに、言ってるの」
 
  エルシィの手を強く掴んで押さえるハクア。

エルシィ「見えないんですか? いるじゃないですかーッ」

   ちひろ『……』

エルシィ「ほら! そこに、ち、ちヒ……っ!」
 

ハクア「おまえしかいないじゃない! しっかりしなさい」

   羽衣を展開して、暴れるエルシィを拘束する。


   ハクア『ほーら、捕まえた……』

エルシィ「ひぃぃいい! ずびまぜえぇぇん」 じたばた

   ハクア『もう逃げられないわよ』
 

 
ハクア「どっち見てるの。私はここ!」

エルシィ「ハクア!? っ…ッ!
      たいへんです、ふ、ふくしゅーに来たんです!

      みなさんに、これまで攻略した女の子、“全員”に女神さまがいて、
      記憶が戻って、来たんです! にーさまと私にやられたことの、復讐に!
      にーさまが、にーさまがキチクだからいけないんですーっ!」

ハクア「エルシィ!」

 
 
   1分ほど錯乱しつづけ、ふと、気付けば、

   エルシィは、一番信頼している親友に、抱きしめられていた。
 
ハクア「……」
 

 
ハクア「桂木は、そんなやつじゃない! 今だって、中川かのんと女神アポロを助けるために……」

 
 
ハクア「助けるために……」


エルシィ「……」

ハクア「えーと……」


  ◇  ◇  ◇


ハクア「これ。昔のヨーロッパの消防車の写真の、ポスター。買ってきたわ。これ見て、元気だしてよ」

エルシィ「………」

エルシィ「…(かっこいいです)」

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

  
 
   ~ ハクア『で……。』 ~

 
 
  手足を奪われ、ビンの中に囚われている、

   アニメで削除された角付き悪魔。

フィオーレ「……くぅ……私を四肢切断して拷問するなんて、あなたあたまおかしいっ!」

ハクア(私もそう思う………)

桂馬 「ふざけるな。これは、かのんを刺した報いだ。(ボクより先にな)」
 

 
 
フィオーレ(だるま)「こっ、こんなことしちゃうなんて…っ、

      こんな、旧地獄の悪魔そのもののお前が、どうして
      新地獄のぬるい連中のなかまに」

桂馬 「悪魔そのもの? 笑わせるな。ボクは落とし神。 “神”だ。
     “神は悪魔より残酷” 。 どの神話でもそうだと相場が決まっている」

フィオーレ「ひぃ……」

ハクア「ほんと、こっちだって困ってるのよ。コイツには。
     ……。
     (エルシィもあぁなっちゃったし…。 
      同輩のフィオのこんな姿、傷心のエルシィには見せられないわ。)」

桂馬「さーて、下準備はできたし、どうやって拷問してやろうか」

フィオーレ「ひえっ、い、今までのは、拷問ですらないの……あああ!

       半田ゴテは! ハンダゴテはやめてください!」 
 

 
   ~ フィオーレ『 でぇ……! 』 ~


フィオーレ(だるま)「はぁ……はぁ……知ってること全部吐かされたのに……
   まだ隠してることがあるんじゃないかって、解放してもらえない…」
 

  ―――もしも、ノーラがこの場に居てくれれば、彼女の得意とする、
  頭の中を覗き見る魔法で、フィオーレの心に魔法が掛けられて
  いることが分かり、少なくとも拷問は終わるだろう。

  だが、あいにく彼女は、桂馬の命を狙ったあの夏休みの日。
  陵辱モードで血気盛んになっていた桂馬(ら)の逆襲を受け、半分、
  廃人のようにされてしまっていた。
 

 
     -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --

||
||    エルシィ『…にーさまにあの金棒を入れられてしまったせいで。
||          ノーラさん、今も生死の境をさまよってるって……。
||          さすがにかわいそうです……』
||
||      桂馬『なにを言ってる。ノーラはボクを殺そうとした。
||          でも、ボクはノーラを殺さなかった。
||          ……なんてやさしいんだボクは。 ボクも甘いな。
||          ゲームだと、主人公は戦いを仕掛けられたら殺して
||          しまうことも多いのに。 アニメの主人公か』 ゲームピコピコ
||
||    エルシィ『人間なら十分死んでるようなことされてましたけど……』
||
||

  ノーラは現在、一命は取り留めたものの、
  『駆け魂狩りで人を殺そうとし、人間ごときの逆襲を受け大ケガした悪魔の恥』 と噂が立ち、
  また、あの件がトラウマとなり、失脚。
  あらゆる手を使って、エルシィから……逃げ回るように生きているという。
 

 

  ~~~~~~~

フィオーレ「…(私、これからどうなるんだろ。)」
 

     エルシィ「……ぅぅ」

  ふと、フィオーレが振り向くと、パジャマ姿のそのエルシィが、テコテコと
  階段から下りてきていた。

フィオーレ「……エルシィ!? そこにいるのエルシィよねー!」

エルシィ「……?」
 

    (バカのコイツならうまくいけば丸め込めるかもしれない…)、と思い。

    フィオーレは切り残された“両腕”をぴこぴこ動かしてアピールする。
 
フィオーレ「助けてぇ! ここよ! 勾留ビンの中!
       私、上司に言われて、エルシィ、あなたに会いに来たの、
       ……そしたら捕まって。
       変わり果てた姿だけど、分からない? フィオーレよ」
 

 
エルシィ「……はー」 ぼけー

    だが、明らかに様子がおかしい。

フィオーレ「エルシィ……どうしたの。……何か、あったの?
       髪、ぼさぼさ……。 泣いてたの?」
 
    エルシィの光を失った瞳に、ぞくりっと、思わず寒気を感じるフィオーレ。
 
フィオーレ(学校じゃ、エリュシアって、どんな目にあっても、明るさだけが取り柄で、
       軟弱でのん気な新地獄の、代表みたいな子だったのに……)

エルシィ「……。 私を。 だまそうとしてもむだですよ。 フィオーレ。」

    生気のない顔で。

エルシィ「神様に言われてますから。 私はなにもするなって。
      フィオーレ。 高等中学校だと。 ハクアと同じくらいすごくて。
      憧れてたよ。 ……。 でも。 そんなフィオーレでも。
      神様に逆らったら そうなっちゃうんだね。……」


  エルシィ「……お姉様だって。 あぁなるんだもんね」
 

 
 
エルシィ「……うぅ (ハクアも。 フィオーレも。 ノーラさんも。 おねーさまも。)」


フィオーレ「エルシィ、あんた、あの男になにされたのよ……心が───」

桂馬「特に何も」

フィオーレ「ひゃあっぁああ! 出たぁあああ! ごめんなさい、ごめんなさい!
       もう、もう中はやめてぇええ!」

桂馬(そんなに恐がるなよ。ゲームのやりかたで拷問してるんだから、
    ゲーム以上のことはやらないぞ)


     ※エロゲーの限界一例:おしりにグレネード・ランチャー

 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

  
   ~ ハクア『 で 』 ~

   結局、いくらフィオーレを拷問しても、治す方法は聞き出せず……。
   腹にナイフが突き刺さったまま昏睡する中川かのん。

   彼女が眠る部屋の外で、桂馬は立ち止まり、考える。


ハクア「…?」

桂馬「ゲームで見たんだが、……意識不明と診断されていた
    患者(ヒロイン)が、自分から動いたりしゃべったりが
    できないだけで、夢を見ているような状態で、周りの会話も
    聞こえていて、感覚刺激もあったという話があったらしい」

ハクア「……なに? 中川かのんや、女神に、もしかすると
     外の会話が聞こえるかもしれないってこと?」
 

 
 
桂馬「そうだ。 女神は、愛でその力を取り戻すということだからな。

    眠り姫に色々呼びかけてみないか。そして『愛を与える』んだ。
    もしかするとあるいは、力が戻って気がつくかも」

  (※ 陵辱ルートを進んでいった桂木桂馬、ノーラに少し似た思考になる)


ハクア「試してみる価値は、あるのか分からないけど……」

ハクア(…ううん……)

桂馬「女神がいる可能性のある候補者が、さすがに多い。
    それにあの呪い。
    女神がもう一人いたとしても対処が難しいかもしれないのなら、
    …かのんの中の、女神アポロに、力を高めてもらえるに、越したことはない」


   救助者(他の女神探し)、加害者(フィオーレ・リューネ)だけでなく、
   被害者(かのん)にもアプローチをかけ、解決への三面同時進行を計る。

   精細な狙い撃ちをする『純愛ルート』と違い、『陵辱ルート』は乱暴で欲ばりなのだ。
   自由気ままに手を広げ、ヤレそうなことはヤっちまう。それが無駄であろうとも。
 
桂馬「かのんを、“再攻略”するぞっ!」

 
 
   ◇   ◇   ◇

 
 

 
 
  ◇◇ 桂馬の部屋 ◇◇



   昏睡状態の中川かのんに、寄り添う桂馬。

かのん「……」

桂馬「かのん、愛しているよ、目を開けてくれ……」 
   「……ちゅ」

ハクア(キスした……。ここまでで終わりなら、
     おとぎ話みたいでセーフなんだけど……)

かのん「……」

桂馬「ちゅ…………ちゅー……(ダメか……? いいや、これからが本番だ!)」
 

 
桂馬「かのん。せっかく勇気を出して、ボクに話してくれたのに……
    女神に逆らってまで、ボクを信頼してくれたのに。
    ボクは、かのんに何もしてやれなかった。
    それどころか、ボクのせいで、こんなことになってしまって。
    こんなにも悔しいのは初めてだ。 君がいないと、ボクは死んでしまう。
    ……目を覚ましてくれ。
    はぁはぁ、かのん! ボクも、こんなにきみを想っているのに……
    ぺろぺろ」

ハクア(……そうやって顔をなめまわしてると、完全に変質者ね)

かのん「……」

桂馬「なめなめ、かみかみ、はむはむ」

ハクア(首筋をなめあげて、耳をかんで……
     服を強引に上からずり下げて、
     乳首を舌でころがして、甘噛みしてる……。中川かのん反応なし)

かのん「……」

ハクア(もうちょっと口説くとかなんとかトライしなさいよ、なんですぐ陵辱する方向にいくの)
 

 
    ※ 愛、与え中 ※
 

桂馬「……」 スッ

かのん「……」

桂馬「……じゅるじゅる!」

ハクア(ちょっと、下着を抜き取ってクンニを始めたわ……そこまでしていいの!?)

かのん「……」

桂馬「かのん、いくよ……」   ギンギン


     ぐいぃ ずむんっ!

ハクア(だ、だめ、なに挿入してるのよ)

かのん「……」

ハクア(カエルみたいにガニ股にされて、されるがままにペニスをつっこまれてるのに、無反応)
 

 
    ※ 愛、注ぎ込み中 ※

 
 
桂馬「かのん! 愛してる、愛してるよ!」 パンパンパン ぐいっ


ハクア(体位を変えた! 腹にナイフが突き刺さった子相手に!)

ハクア(おまえ愛してないでしょ!?)

かのん「……」

桂馬「ああ。でる、でるぞぉー」

   パンパンパンパパすぱんすぱん!

ハクア(出しちゃうの!? ねぇ、出しちゃうの?
     膣内射精されたら、妊娠、するのかしら……)

かのん「……」

桂馬「んんぁぁあ!」 びゅる! びゅびゅう!

ハクア(顔にぶっかけた……)
 

 
    ※ 愛、ぶっかけ中 ※

 
 
かのん「……」 とろとろ


桂馬「かのん、良かったよ……。かのん…」

ハクア(傍からは、死体とヤッて盛り上がっているヤバイ異常者にしか見えない……)

かのん「……」

ハクア( 『 衝撃! アイドルを刺し殺して犯したアイドルオタクストーカーの図 』 )

      題をつけてみる。

桂馬「だめか……。……いいや、まだだ。何度でも、何度でも愛を注ぎ込むぞ。
    きみが目覚めてくれるまで……」

かのん「……」

ハクア(本当にやばい絵面ね……)

 
 

 
   ~ ハクア『で…』 ~

桂馬「れろれろ、んぐぅ」

かのん「……」

ハクア(おしりの穴を舌でつついてる、前の穴からは、桂木が出した精子があふれてる……
     もう、できること全部試す気なんだ……)

桂馬「……」すっ

ハクア(浣腸!? カンチョー使う気なの!? やりたい放題ね!)

桂馬「思い出すんだ、ボクと過ごした “あの日々” を……!」

かのん「……」 ぐいぃ! ぶす! ズブズブ! ちゅぅぅ!

ハクア(せ、せめて1本にしなさいよ。何本使う気なの……)
 
かのん「……」
 
かのん「……」 ごろごろ…
 

  
    ※ 愛、注入中 ※

 
 
かのん「……」 ぐるぐるぐる…


桂馬「これが仕上げだ、ペニスをいれるぞっ」 ぶずっ

ハクア(やばい……やばいわ……1回出させて、きれいにしてから入れなさいよ。
     ……私とやってるときみたいに)

かのん「……」 ごろごろ……

桂馬「はぁはぁ」   パンッ! パンッ!

かのん「……」 ブ、ブジュル、ぶじゅぶじゅ……

ハクア(括約筋が締まってないのか、アナルセックスしながら、
     う×ちがどんどん漏れてる……もうなにも言えない……)

桂馬「はぁはぁ! かのん-! ボクは諦めないぞ」

桂馬「こうなったら電気ショック療法だー!」  スタンガンを持ち出す。

ハクア(いや諦めて別の部屋に監禁してる歩美の攻略に戻りなさいよ……)
 

 
  ~~~~~

エルシィ「にーさま……? 大声……なにかあったんですか?」
 
エルシィ「……!」

 
 
   エルシィは、部屋の惨状を認めると、絶句し、引き返して逃げようとする。


桂馬「待て……」 桂馬はその襟首をむんずと掴んだ。

  二人で一旦、部屋の外に出る。

桂馬「聞け。かのんの中の女神に、なんとか外から『愛』を餌付け
    しようとしているんだが、どうも反応がない。
    もしかすると、『心からの愛』が重要とかいうシステムなのかもしれん…。

    エルシィ、おまえがやれ! おまえ、前、熱烈な中川かのんファンだったろ!」
 
エルシィ「い、イヤですっ!」
 

 
エルシィ「あの時は、どーかしてたんです! 今はキライです、
      アイドルなんて、どーせテレビ局のおじさんやおばさんの
      言われたとーりのニセモノの自分を演じて、みんなをだまして
      おかねを集めてるぺてん師です! 私、いまでも、
      “かのんちゃんあんち”ですー!」   ぱたぱた


桂馬「うるさい、……ホントにそーかー? バカなおまえがそんなきっぱり
    割り切れるわけがない。“かのんちゃん”が気になって気になってしかたない。
    アンチも好意の裏返し。 心の底じゃかのんが好きなんだろ?
    好きって言えよー 好きって」  顔をキスしそうなくらい近づけて説得する桂馬。

エルシィ「あわわわ……」 迫られるとそんな気がしてきてしまう単純なエルシィ。
 

 
桂馬「百歩譲って演技でもいいから、ボクの続きを引き継げぇ……」

エルシィ「いやー!」

桂馬「嫌よ嫌よも好きのうちなんだよ、エロゲーでは!」 ぐいぐい

ハクア「ごめんエルシィ、これも、新地獄を救うためなのよ!!」  ぐいぃぃいい

エルシィ「ハクアまでぇ~」

かのん「…」
 
エルシィ「むちゅー……」  ぐいぐぃい


エルシィ(そんな……無理やり、かのんちゃんとキスさせられちゃいました)
 

 
かのん「……」
 
ハクア「…………」

桂馬「うむ。効果無し」 小声。
 
エルシィ「うう…ひく……ひぐ……悪魔だって、傷つくんですよ……」

桂馬「次はこれだ。ボクのゲームを元にした告白セリフノート。これを100周しろ」  小声で指示を出す。

エルシィ「む、むりですぅ~、気持ち悪すぎます……!」

桂馬「だったらセックスだ! ちょっと純愛ルートさせてやろうとしたら
    調子のりやがって! クンニしろおらっ」

エルシィ「お、おえええ~」

かのん「…」

桂馬「ボクらは兄妹そろって、かのんファン、その路線で決まり。
    そうやって、一日中、添い寝してろ。ボクは栞のところに行く」

エルシィ「あぁ、にーさま、にーさまぁ!」

  かのんと一緒に羽衣で裸のままスマキにされ、放置されるエルシィであった。
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
 
   ◇◇ 時は遡り、前日 ◇◇



歩美 「むぐ~! むぐぅううぅ!」

ハクア「ご……桂木っ。言われたとおり、高原歩美っていうお前のクラスメイト、
     拘束して運んできたわ!」

桂馬 「でかしたぞハクア……義足も外しておこう」 カポッ ……カチャ

歩美 「くッ、ぷはっ!」 「けほっ、ゲホッ、……!?」 「……なにっ、これ、
     ……ここ? ……どこ…………っ!」
 
ハクア「……」
 

 
  ◇  ◇  ◇

ハクア「……捕まえたはいいけど、本当にあの子、高原歩美に女神がいるの?
     いなかったら、力づくでこんなことして、犯罪よ」

桂馬「犯罪上等だろ。いまさら何言ってるんだ」

ハクア「…え」

 
 
桂馬「歩美に女神がいるかは、グレーだ。 かのんのことで怒っていた。

    あんなことがあって、学校じゃ腫れ物扱いのかのんのことでな。

    だから歩美は、かのんと同じように、女神がいて、記憶が残って
    いる可能性が高い。

    ―――ちなみに同じくクラスメイトで駆け魂がいた小阪ちひろは、
    今日は学校に来ていない、吉野麻美の方は、どうも怒っている
    様子に見えなかった。(麻美は怒っても分かりにくいが)」

ハクア(運が悪かったわね、高原歩美…)
 

 
桂馬「鮎川天理や中川かのんと共通項のある者、つまり、ボクの近くに位置する存在で、
    攻略の記憶がありそうな……反応が “グレー” の女子に、目星をつけ、
    ……再攻略する。
    捕まえて、また陵辱“攻略”をし、前と同じように愛をムリヤリ高めて女神を出すんだ」

ハクア「…、捕まえた子に女神がいなかったら……?」

桂馬「………コトが終わるまでそのまま閉じ込めて。女神や新地獄が
    その記憶をなんとかしてくれないなら……。
    …………(意味深な無言)」

ハクア「あは、そんな、冗談よね……」

桂馬「……」

ハクア(あ……こいつ、既に2,3人、殺ってる顔だわ)
 

 
   ~ ハクア『で 』 ~


ハクア(可能性が高い子はさらって犯して、用が無ければ捨てる、
     一番てっとり早いけど、もっとスマートに犠牲を出さない方法はないの?
     …さすが、もともと恋愛を陵辱で済ませようとする男。

     ――――お願い、高原歩美に女神がいて……、泥沼になって、
     桂木が殺すのも、あの子が殺されるのもゴメンよ)


歩美「バカぁ! やめなさいよ、オ、オタメギ! いやぁ!」

 少女の両手を拘束し、後ろから愛撫していく桂馬。
 足の無い女に、手まで封じなければならないのは、歩美には、
 ともすれば足なしのハンデがあっても負ける可能性があるためだ。

桂馬(しばらくは考えさせないぞ、セックスで快楽漬けにして、混乱させた後、
    下調べした事実を明かして、一気に決着をつける!)

桂馬「歩美、ボクは、歩美に陸上をさせないために、きみをさらった」

歩美(なんだかこれ、聞き覚えがある……) 
 

 
桂馬「はぁはぁ」 ぺろぺろぺろぺろ

歩美「やっ、からだ、舐めないで、変態! 汗かいてるから……」

桂馬「ぺろぺろ。歩美の汗はおいしいよ」


 桂馬の指が、歩美の下着の中に侵入する。

歩美「ちょっと、やめろ、犯罪者! やだ、ゴーカン魔!」

桂馬「歩美……これまで味わったことがないようなのを、おみまいしてやるぞ。

    パワーアップしたボクの技を見ろ。
    ――落とし神・MSモード《メッセージ・スキップ・モード》!!」

歩美「んくぁやああぁぁん!!」 クチュクチュクチュグチュ!

ハクア(これが、意識が飛んでいた私を練習台にして、あみ出したっていう新技……。
     ゲームの主人公の動きをヒントにして生まれたっていう……
     こいつの人生ってなんなの)
 

 
歩美「はぁ、ん、や、はぁ……
    (うそ、私……、一気に6回くらいイッたの?
    分かんない……こんなの、現実じゃない…
    前、監禁されたとき、こんな、こんなの、なかった、
    ……! 私、何か、また思い出し………)」

ハクア(うわ……愛液がドロドロ。指でいじられただけなのに、
     5回くらい中出しされたみたい。それに、汗っかきなのね、あの子)

歩美「んぅ、もう、もうやめて……」

  愛液を、歩美の尻穴のまわりにぬりたくる。

桂馬「……」

  石のように固くなったペニスを、歩美のアナルにあてがった。

歩美「ばか、ちがう!」

桂馬「いいんだよ……!」

歩美「いたい、痛い、そっちじゃ、ないわよ! あんた、ど、ドーテー!?」

 
 

 
歩美「……(嘘、私、こんな、後ろのほうで……)」

桂馬「ぬんっ!」  ずるずぶ!
 
歩美「んぁぁああ! もっ、やさしくしなさいよ!
    んぅう!
    あんた、童貞だから入れる穴まちがえてるんじゃ、ないでしょ!
    ……何度も、何度もレイプしたくせに!
    覚えてるんだからぁ!」
 
桂馬「……(歩美に記憶がある。女神がいるぞ)

    歩美、あれは、夢じゃなかったんだ―――、

    (だが、ここから更に愛を育てなければヴィンテージと戦えない、
     女神の力を高めないと、アポロのようにやられてしまう。
     まだまだ時間をかけて陵辱を続ける。冷静さを、判断力を失わせろ。
     そして奥の手を見せてやる。エンディングが見えたぞ)」
 

 
 
   ~ ハクア『で』 ~


  そのまま、最初の攻略のように犯されつづけ……
  桂馬にクンニリングスをされながら、両手で顔を隠して。
  ぽつり、ぽつりと歩美は白状していく。

歩美「もう、もうわかんないよ。
    私、思い出したの。
    オタメガ……桂木……ううん、
    “桂馬”に、されたこと。
    桂馬に、してもらったこと。やってあげたこと、ちょっとずつ。
    私、桂馬に、両足、切られて。閉じ込められて。犯されて……
    すっごく泣いて、一回、死のうと思ったの……
    でも、私が死んだら、誰が一番悲しむかって思ったとき、
    浮かんだのは、桂馬で、だから、私、義足をつけて……。
    がんばって。桂馬のおかげで、歩けたんだよ……。

    けど……お父さんもお母さんも、周りのみんな、私は病院にいたっていうし。
    私も、病院でリハビリした記憶、あるし。
    変な幻まで見えて…… 私、幻と話したりして、
    私の頭がおかしくなっただけだって考えてた」
 

 
桂馬「歩美はおかしくなんかない。
    ボクとの思い出は本物だ……。
    その証拠を!
    ボクが、すぐに、みせてやる!」

  眼鏡を外し、獣のようになってクンニを再開する、桂木桂馬。
  絶頂と同時に、歩美は、失禁した。
  おしっこがジョボジョボと桂馬のきれいな素顔を汚す。
  桂馬は、胸ポケットから、白い棒を取り出すと
  歩美の尿に浸してみせる。

 
 
  白い棒に現れた、【 ━ 】のマーク。 
 

 
 
歩美「……!? ………これ、……そんな…私…」


  陸上に熱中し、恋愛に疎いほうの歩美でも、雑誌やテレビで見たことがあった。

桂馬「歩美のこと、ボク、ずっと見てたから、おかしいって分かった。

    歩美も分かるだろう。 これを。 女の子のほうが詳しいかもしれない。
    これは妊娠検査薬だ。
    尿の中の、hCGホルモンが反応して、陽性を示してる。

    ―――― 歩美、きみは、妊娠してるんだ!」
 

 
歩美「……」    衝撃で、頭ががんと叩かれたように。
            世界がぐるぐると回る。

桂馬「あのとき、子供ができていたんだ…。

    歩美は覚えていないみたいだから、だから、
    ボクは、無理矢理きみをさらった。
    激しく走り続けたら、赤ちゃんがどうなるか分からない。
    誰のだか分からない子供として、堕ろされてしまうなんていやだ、
    だから、歩美を……、覚えてないっていう歩美を、腕づくでも、走らせないことにした」

歩美(膣に入れなかったのは、妊娠しているかもしれなかったから……なんだ……
    バカね……私も、そんな詳しくはないけど……大丈夫なはずよ…
    …で、でも……気持ちよかったし……いいかな……
    コイツ……私のために、私をさらったんだ……)
 

 

桂馬(ふ……すべて計画通り。
    こういうルートでの攻略を考えて、捜索1日目に、
    羽衣の一部を借りて、透明になって歩美を追ってトイレに潜入。
    和式トイレで、おしっこに棒状の妊娠検査薬を後ろから突き出して
    確認したのさ。他のヒロインも、この手が使えそうな範囲でな。) キリッ

ハクア(ええ。手伝わされたわよ。手分けしてね。ヘンタイ。
     鳴沢教育大の長瀬純や、なるさわ市の上本スミレ、
     …舞島市立病院の小阪ちひろと風瀬青羽……
     ……学外にいる、目星つけた子を。私が検査したわよ。
     結果は……
     この犯罪者! 死ね! 私が殺す!)
 

 
 
歩美「桂馬……ホント……もう、許さない……、

    堕ろせるわけ、ないじゃない! 私と……あんたの……。
    …私から普通の陸上も奪って、妊娠させて障害者陸上まで
    奪うつもり……? あんたサイテー……っ
    桂馬っ、……責任、とりなさいよ。 とってよ。 じゃなきゃ、
    このまま……」

桂馬「歩美。
    プレゼントが、あるんだ」


  ◇  ◇  ◇

 
 

 
 
  歩美は恥ずかしげに微笑む。


歩美「……こんなのまで用意して、あんたきもすぎ……」

  Aラインの、純白のウェディングドレスに身を包んだ高原歩美。
  ただ、ドレスの一部、下の方が、余ってしまっている。
  それを認め、歩美の表情が曇る。

歩美「……あ、アンタがやったんだけどさ。
    ……私を、愛してるの?
    …私なんか、足がない女だよ。もっと、普通の子のほうが」

   桂馬は、彼女をぎゅっと抱きしめた。それが答えだった。

桂馬「きれいだ。きれいだよ」


   全てを受け入れられ、歩美は満たされる。

   あの頃の二人に戻って、ずっと、報告したかったことを語る。


       歩美「いっぱい、いっぱい走れるようになったよ、桂馬」
 

 
 歩美の切れた足の先端が、固くなったペニスに触れる。

歩美「あは」
歩美「あの日のキスの続き、しよっか……」

  下着を自分から脱いで、歩美は、尻を突き出して誘った。

歩美「来て…」  少し、色めき立った目で。

桂馬「……ごくり」
 

 
桂馬「くぅ! 締まる、じまるぅ!」 ぱんぱんっ!

歩美「痛いけど……気持ちいい……」

 ウェディングドレス姿の歩美。
 二人の間の“わだかまり”はようやくなくなり、タガが外れたように愛し合っていく。

 気分が高揚し、絶頂を間近に、二人の唇と唇が合わさった。

  キィィイン

メルクリウス「zzz…… っ! ン、うっ!」


桂馬「あ、光輪。 女神に入れ替わった」 パンパンパン

メルクリウス「あ、ああぁあんあ……」 ピクピク

     ビュルるるゥ!
 

 
   ~ ハクア『で…』 ~


   鏡に映った女神・メルクリウスがぐちる。

メルクリウス「きついなぁ。表に出たと思ったら、おしりの穴に

         ペニスが入っていて、体がアクメ状態で、
         そのままおしりの穴に精子がどんどん流れ込んできて。
         ひどい体験をした」

メルクリウス「歩美? 真実が分かったときは、新しい足で、

         桂木桂馬を蹴飛ばしてやるとか言ってただろ。
         いま蹴り飛ばしてくれないか……?」
 
歩美「ま、また今度ね…」 

桂馬「……」 ささっ
 

歩美「って、なに逃げてるのよ!?」 げしっ

桂馬「こんな風に、蹴られると思って……」

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
    ~ ハクア『 で 』 ~

 
 
  青く神聖な光が、銀河の流転のように渦巻いて、

  中川かのんの肉体を包み込んだ──


                 アポロ「───ん」

  女神が、目を開く。


メルクリウス「アポロねーさま……おはよう…」

アポロ「……わらわは……戻ったのか…」

 ぼやけた視界で、ふたりの人影を確認する。

アポロ「おぬしたちは……。 ディアナと、メルクリウス、か?」
 

  頷く、二人の妹。
 

 
 
ディアナ「―――旧地獄の呪いは、解きました。少し、時間はかかりましたが」


  死の淵から生還し、安心したように息を吐く女神アポロ。

アポロ「……ディアナよ、おぬしの知恵は頼りになると思っておったぞ」

ディアナ「メルの術のおかげです」
 
メルクリウス「ん…」   ほほえみ合う三人の女神。


桂馬「……」

  捕まえてくるのなら、誰でもあまり変わりないので、素直に
  『一番近くて怪しいやつ』と、高原歩美から始めた。
  そのことが、幸運にも、女神アポロを唯一救える、巧緻な技を持つ
  メルクリウスを、いの一番に引き当てることにつながったのだ。
 

 
  ―――しかし、それが本当に“幸運”かどうか、雲行きが怪しくなってくる。


アポロ「───」   キィィィン

  女神アポロが目を閉じると、顔の紋章と光輪が消える。
  

かのん「桂馬くん。信じてたよ……」 
 
  夢の世界から帰ってきた、中川かのん。

  横になったまま、ゆっくりとした動きで、しかしぎゅっと力を込めて、桂馬を抱き寄せた。

桂馬「あっ」
 

 
かのん「聞こえてたよ」  ぎゅ

桂馬(まずい……聞こえてたのか…)

かのん「愛してるって、いっぱい言ってくれたの。いっぱい、愛してくれたのも……」

   唇を合わせそうになったところで、メルクリウスも、宿主に入れ替わる。

歩美「っっ! ちょっと、どうなってるの!」  キィィン……
 

ディアナ「……。ほらごらんなさい、桂木桂馬」  ぼそり


  歩美は眉をひそめて、桂馬と腕を組んだ。

歩美「中川さんっ! なにを言ってるのか分からないけど
    …………私たち、結婚しましたので!」

かのん「……え」 目から光が消え、

天理「――――――」 レイプ目に。

 
 

 
  歩美は愛おしそうに、自分のお腹をなでた。

歩美「可哀想に……。中川さん、アイドルなんて、やってるから、
    このバカになにか言われたのを、
    何かカンチガイしちゃったんだよね……
    でも、桂馬の、赤ちゃんはここに……」

 
かのん「…………」

  目だけ動かし、桂馬を見るかのん。

かのん(――――ホント? ホントなら、マチガイで、できようとしてる、カワイソウな子ヲ―――)


桂馬「おい、ディアナ……(目配せ)」

ディアナ「ど・う・い・う・こ・と・で・す・か……」


桂馬(なんでお前が一番怒ってる……)
 

 
   ~ ハクア『 で……! 』 ~

 
 
ディアナ「―――お二人は、巻き込まれたに過ぎません。

      これ以上、この男には関わらないことをお勧めします」


歩美「えっと。 そもそも、この人、誰?」

かのん「ちょっと……高校生にもなって、その赤い大きなリボンは、
     ファッションとして、ないと思うなー………」

ディアナ「私はメルクリウスの姉です! 天理はこのリボンがかわいいのです!」 赤面


ディアナの中の天理「ディアナ……」

ディアナの中の天理「ディアナが可愛い可愛いって褒めてくれるから、

              私、今日まで、なんの疑問も持たずに、
              小学1年生の頃のリボン、続けてきたけど……
              もしかして高校生でこれって、そろそろ変なのかな……」 ずーん

ディアナ「そんなことはありません!」
 

 
  ◇  ◇  ◇

歩美「がるるるる」
かのん「…………(認メナイ認メナイ認メナイ認メナイ認メナイ)」
天理(しゅん……)

ディアナ「……天理、 高原歩美さんのことは、気にしないでください。
      あんな男の子供、可哀想ですが、堕ろすよう、私が責任をもって
      説得しますから!」

ハクア「……(女神がそれでいいの?)」

歩美「だめ! この子を殺すなら私も死ぬ! …そしてその前に桂木を一番最初にコロス!」

  げしげしげしげし!

ボロボロの桂馬「ごぼッ……(なにか……何だろう、順番を間違えた気がする。
              もっとおとなしい子を先に攻略するべきだったか……)」
 
メルクリウス「愛が減って、翼がでなくなった…… 歩美、また、してもらって」
 

 
   ~ ハクア『で。』 ~
 

   数時間後……。

ディアナ「―――ともかく、これで、アポロ姉様に『神託』を仰げます」

桂馬(ようやく本題だ…)

アポロ「うむ! 任せておけ! ……既に、疲れておるがな…」

メルクリウス「zzz……」

桂馬「……ヴィンテージの計画(※ リューネから聞いてる)を阻止するために、
    まだ他の女神も集めなくちゃならない。
    でも探すにも、女神の宿主の候補がちょっと多いんだ。なんとか数を
    絞って、方針を決めるのに、アポロの“占い”の力を借りたい」

   これまで攻略してきた女子たちの名前が書かれたノートを取り出す。

桂馬「見てくれ。候補者を書き出した。 ボクが駆け魂を出してきた相手だと、
    ざっと、エルシィが担当登録した分の宿主がこの黒字の19人、
    ハクアの分が青字の13人、リューネがこれ1人、ノーラが1人、
    カムリが2人、メグ────」
 

 
ハクア「ちょっと…。なにちゃっかりノーラの(元)子分とかにまで
     手を広げてんのよ。聞いてなかったわよ」 ぼそり

桂馬「仕方なかったんだよエルシィが押しつけられてくるから…。
    (ノーラをやっちゃったから代わりにさ…)
    あいつら、ハクアの知らないこと知ってるし」 ぼそっ

ハクア「私に相談もなしに……。リューネのことも……!」

アポロ「せ、説明を続けてもらってええかの」
 

 
桂馬「○マークをつけたのが、女神がいた、鮎川天理、高原歩美、中川かのん。
    記憶が無くて、女神がいないはずの女子が、×マークをつけた、長瀬純、
    生駒みなみ、青山…森田美生、阿倉川紫埜――――
    “グレー”なのが、△マークをつけた、九条月夜、小阪……」

ハクア「マーク……このベル・マーク・アツメっていう、元ネタのわからないパロディ
     みたいな名前は何?」

桂馬「本名知らないんだ…」

アポロ「して、このマークは?」

   ○高原歩美  やら  △汐宮栞  やらの他に、 (故)マークの付いた名前が。

桂馬「…………」 無言で目をそらす

ハクア「……」
 

 
ディアナ「…」

メルクリウス「zz」

ハクア(……春日楠に女神がいたらアウトね…)

桂馬(ちゃんと記憶がないのは確認したろ……)

ハクア(……)

  ハクア(…ぶつぶつ……そうよ……あれは “尊い犠牲”……だったのよ………、
       駆け魂・古悪魔<ヴァイス>と、私たち新悪魔との戦いの……。
       これは、そう、いわば、“人質が死んでしまった”、みたいなものなの。
       しょうがなかったのよ。 他に方法がなかったの。
       むしろ被害を小さく抑えたんだから。
       私たちは、悪くナイ……。
       むしろ、正しいことをしたの…。私も、桂木も、エルシィも。
       悪いのは、最初に人間に隠れた、卑怯な駆け魂のほうなんだから……)

    罪悪感を殺すため、自己暗示モードに入るハクア。

アポロ「……」 

アポロ「…なにやら、こちらもひどいコトになっておるのは分かったぞよ」

 
 
 (※ なお、残虐な地獄像そのままの旧地獄や、地獄が不毛の地となった

     アルマゲマキナの大戦争が当たり前だった、女神や戦前世代
     の悪魔は、平和ボケぎみのハクアら戦後世代とはやや感覚が違う。
     『キル数』2や3なら多くない。戦士としては7人くらいからエース、
     3桁でドクロウのような歴史的英雄となる)

 

 
    ◇  ◇  ◇


 アポロ「オンキリキリバサラウンバッタオンキリキリバサラウンバッタ……」  しゃかしゃか

桂馬(国が違くないか……)

ディアナ(し、お静かに)

ディアナ(土地に合わせた占いをしているのです)

メルクリウス「zzz」
 
 アポロ「……むむ、桂木よ。感じるぞ。
      おぬしに……特に………とくに…近しい場所に、
      残りの我が姉妹も、集まっておるようじゃな……」
 
桂馬「こちらの見立てと同じだな…。
    ……やっぱり、まるで誰かに仕組まれたみたいに、そうなってるのか。
    助かったぞ、エルシィの担当地区の宿主だけで済みそうだ。
    …よし。 それなら、次に攻略するのは、もう決まりだな。
    当然―――、吉野麻美(※小説1巻の子) だ。
    同じクラス、席も二つ後ろと近い。(そしておとなしい。)
    また拉致監禁するぞ!」

歩美「“また”ってどういうことよこの犯罪者!」 ギリギリギリ

桂馬「ぐガガ……(歩美はいっそ最後に攻略するのが正解ルートだった…)」
 

 
   ~ ハクア『で!』 ~


吉野麻美「ん、ひ、いやっ……! ムカデは、ぃや!」 うねうねうね

  舞校祭の準備中、試飲用のコーヒーに桂馬にサーッっと一服盛られて
  意識が朦朧とさせられたところを、好き放題されてしまった麻美。

  (桂木家へのいつもの拉致監禁は歩美(と女神)のせいで困難なため)

 
桂馬「そうら~~~、ボクとのことを思い出したか~~~」

  裸体に虫をばらまいて、記憶の覚醒を促す桂馬。

麻美「桂木くん、ろぅ、しちゃったの……?」

桂馬「どうかしたのはお前だ、麻美、分からないのか?

    忘れた、なんて言わせないぞ、お前はボクに僅かに好意があったようだからな!
    これは攻略の記憶が残っている、或いは戻りかけているという動かぬ証拠!

    人付き合いが苦手なお前に、『そんなもんやることない』、と
    教えてやったよな。 現実<リアル>の人間なんて、虫けら同然だと
    思えばいいと。 ……いま、完全に思い出させてやるぞ、
    寿命が縮む気分になるが出し惜しみはしない、落とし神モード!」
 
 

 
 
   ~ ハクア『で……』 ~

 

麻美「んはぁ、はぁ……虫……好き……
    私、人間きらい……虫がすき……!」   ぴくぴく

   後背位でつながったまま、吉野さんの耳をつまんで呼びかける桂馬。

桂馬「……ええい、もうまどろっこしい! いるんだろ!
    マルスか! ミネルヴァか! ウルカヌスか!
    もう十分愛を与えてやったんだからでてこーい!」  ぺちんぺちん

麻美「あへぇ……」
 

 
桂馬(くそぅ、まちがえて妹の方をさらってきたか? いや、そんなはずはない。
    外見でも性格でも分かる。これは郁美じゃない。
    どうする。こうなったら郁美を人質にとって脅してみるか)

麻美「……?」

ディアナ「もう警戒して隠れる必要はありません。 姿は前と違いますが
      私はディアナです。 これは非常事態につき、止むを得ませんでした。
      私の監督不足です。すみません。三界の運命がかかっているとはいえ、
      目を離した隙にこんなことになってしまって。
      ですが……ここまでされれば、マルスやウルカヌス姉様なら怒って出てくるはず!
      出てこないところをみると、……ミネルヴァですね!?

      ミネルヴァ、ミネルヴァ! そこにいるのでしょう!?
      これまで隠れていたことを叱りませんから、
      共に邪悪と戦いましょう! 時間がないのです!」

麻美「邪悪ってらぁに……あなたたちのこと……?」
 
   (※ なし崩し的に鮎川家)
  

 
 
 
   ~ 2日後 ~


アポロ「すまぬ。非常にいいづらいのじゃが、いろいろ占ってみたところ、
     ……そやつに女神はいないようじゃ、テヘッ☆」

ディアナ「姉様そんな!?」

麻美「……あはっ、ィへふッ……」  ← すっかり廃人

郁美「ぁ……あ……」 とろとろ    ← まきぞい
 
桂馬「次はもっと早く見極めてくれよ」


ハクア(あ、悪魔だわ……)
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
  

 
 
  ◇◇ 学校 西校舎 臨時図書室 ◇◇

 

  昼休憩の時間。
  図書委員の仕事がない日にもかかわらず、
  当たり前のことのように、図書室にいる、汐宮栞。

  (※ 以前の立派な図書館は、桂木桂馬が攻略で起こした
      火災で焼失したため、校舎内に移転した)

栞「……♪」

  周りに見られないように、ハードカバーの本を机に立てて、
  目隠し代わりにしながら、創作小説を書く。

 
 

 
栞(ドキドキ……)

栞(自分でも、なんだか興奮する…)

   キョロキョロとあたりを見回して、誰にも見られていないか確認する。

   こんなのがもし、人に読まれたら、末代までの赤っ恥になってしまうから。

栞(今日は、シモーネとカシラギが、廃惑星に取り残された続き……) サラサラ

  (破棄された宇宙船、危機的状況で愛しあう二人のシーン……)
  (オドロキ……) (濡れ場に10ページとは大胆不敵)
  (自分がこのような乱暴な文章を書く人間だったなんて………)
  (とても名作とはいえない、勢いだけで書いたような文章で)
  (エッセイみたいにとりとめもなくて……)
  (あとから読み返すと、ここを直したい、ここがおかしい、なんていう
   ところばかり色々目につく) (……!)
  (でも、止まらない) (…桂木君に読んでもらえる、褒めてもらえる!)
  

 
栞(桂木君と、リレーみたいに、一緒につくってる) (そう思うと、自分の中で

   どんどん続きが溢れてきて) (今は、自分の中の、この大津波に……
   乗らなくちゃ)  カキカキカキカキ……


スピーカー『お昼の校内放送の時間です。
        朗読CDシリーズ 日本古典名作選 40 
        浄瑠璃・曽根崎心中 現代語訳……
   ……ガガ…… ……ブチッ……

桂馬「……その男に出会ったのは、ジャーナリストとして左遷され、第二支星の
    資料整理の任へと回された日だった……。落胆しているシモーネをよそに、
    その奇っ怪な男、ピエール・カシラギは、資料ルームを安息の地とし……」 』

栞「……」「…っっ!!!」

栞(これ、私が書いた小説…!)

  (スピーカーを通して、声質が変わっているけど、分かるわ)
  (これは桂木桂馬くんの声……) (校内放送で、読み上げてるんだ───)

  目のハイライトが消え、『レイプ目』になる栞。
 

 
栞(……待って) (どういうこと)

  (なんで私の……小説が) (……校内放送されてるの?)
  (ありえない) (恥ずかしい) (信じられない)
 

栞(……) (だいじょうぶ、落ち着くのよ私)

  (桂木君にノートは渡してない、見せて目の前で書かせただけで)
  (コピーも取らせてない、ずっと私の手元で管理してるんだから)
  (読み上げ、録音なんて、できっこないわ……)

桂木『……PTSD。決して癒えることない、心の傷を抱える男。
    シモーネは、自分が戦争という大きなものばかりに気を取られ、
    その中に生きる人間を見ていなかったことに気付いたのだ。
    …だから、やさしく抱き寄せて、耳打ちをした。「それなら、私も、
    同じ傷を背負ってあげる。」 』

栞(なのに、なんで一字一句覚えてるのよ……!?)


  ( ※ 桂馬の人間離れした暗記力 & ハクアの、過去の風景を
      映す魔法で、栞のノートが確認できる。)
 

 
栞(死ぬ……) (恥ずかしくて、いますぐ窓から飛び降り自殺したい)

  (校内放送で、自作の官能小説を読み上げられるなんて、こんな酷い
   恥をかいた人間どこにおるというのよっ) (死のう…)
  (桂木君、『ステキだよ。学校のみんなにも見てもらいたいくらいだ』なんていって)
  (ものの喩えの冗談だと思ってたのに、ホンキだったの……!)
  (あの変態男をなめてたわ……) (また、私に恥ずかしい思い出が…)
 

 
  ◇◇ 図書室の外 ◇◇


ハクア「────これでよし、ね」 ( ←放送委員を鎌でボコった )

桂馬「確かに、栞以外の、他の生徒にはこの放送は分からないんだな?」

ハクア「いつも電話でやってるでしょ。錯覚魔法の応用。校内放送みたいに
     大規模なものでも楽勝よ。私が本気を出せば、『TVで、エルシィが
     映っているのに、中川かのんが映っている』と見せかけることもできるわ」

桂馬「…ハクア。お前のときは、エルシィのときの5倍は早く攻略できるよ」

 
  錯覚魔法。攻略女子を監禁する際は、羽衣人形の他に、この方法で、
  誘拐した女子の声で家に電話をかけ、アリバイづくりに利用することも多かった。
 

 

  栞「……!」「……」「~~~」「…」


桂馬「……栞のやつ。完全に赤面して、テーブルに顔を突っ伏しているな。
    乱すのは成功なようだ。
    さて。 栞を襲うぞ。 ハクア、透明になる羽衣を貸せ。
    あと、鍵のかかった第2資料室を解錠しとけ。
    ふふふ……校内放送のナレーションに合わせて、
    栞がトチ狂って書いた官能小説の再現をしてやる。
    栞の願望を満たしてやるんだ………。

    今回は駆け魂狩りと違って、心のスキマを埋める必要はない、
    愛が育めばいいんだから、簡単だ!」

ハクア「愛ってなんなの……」
 

 
栞(この放送、やめさせなきゃ……)  起立する
栞(でも止めにいったら、私が書いたってバレるかも……!) 着席する
栞(私、うまくしゃべれないし………)
栞(普段まるで無口な私が行ったら、私関係ありますって言ってるようなもの…)
     ※ 前回の攻略のせいでますますしゃべれなくなっている栞。
栞(恥ずかしい……恥ずかしい……)  うつむいて、おじぎする
栞(目が回る……) 
栞(そういえば、なんで、だれも……)

桂馬「……」 そ~

栞(きゃっ) がばッ

  腕尽くで、透明化の羽衣の内に抱え入れられる、汐宮栞。
  その体は、想像よりやや軽かった。

桂馬(おとなしくしろ、栞、声を出すんじゃないぞ……
    なんて、わざわざ言わなくていいからラクチンだ……) 

   ◇ ◇ ◇
 

 
  ◇◇ 西校舎 第二資料室 ◇◇

  長テーブルの上に押し倒される栞。
  スカートと髪が、小さく扇形に広がる。

栞「……!」 「む、むぐっー!」

桂馬「栞…! きみの小説を思い出していたら、
    ボク……っ、ごめん、
    キミのことで、頭がいっぱいになって」

栞「……っっ」  おびえて、首を左右にふる栞。

桂馬「栞、愛してるっ! ボクら、シモーネとカシラギになろう!!」

栞(こ、これ、告白……!?)
 

 

 放送『―――シモーネは、足の指の間にまで舌を走らせ―――』

桂馬「ぺろぺろ」

栞「んぅ……ふ」 (足、舐められてる) (指と指の間、8カ所、ぜんぶ)
  (汚いよ……) (シャワーも浴びてないのに) (どうして、なめられて…)


 放送『―――とうに絶滅した地球の獣のように、理性も何もかも忘れ。
     足から股にかけ、熱く、舐め上げていく――――』
 
栞(あぁ…) (桂木君の、舌が) (舌が)

  (つま先から、ちょっとずつ私のあそこに、近づいてきて)
  (なんであんな内容にしちゃったの!?) (私のばかー!)
  (うう…………舐められてる、下着の中まで)

桂馬「レロレロレロレロ」
 

 
 放送『―――ボク、シモーネを………。彼女は、最後まで
     言わせなかった。いいよ。一つになろう――――』


栞(! だめ、よくないっ) (そんな、展開…) (もっとじっくり…)

桂馬「しおり……一つになろう」

  桂馬はコンドームをポケットから出し、ズボンを下ろした。
  露出した亀頭が、コブラのように栞を威嚇する。
 

 
栞「ひぃぃ……」 (ついに……ついに来るのね…)
  (神聖な図書室で、……準備室だけど、こんなこと、だめ)

  腰がぬけて逃げられない栞。

 放送『―――ボクは、シモーネを直に感じていたい。
     そう。愛に狂う二人に、
     “隔たり”は要らなかったのだ――――』


桂馬「……」

 放送を聞いて、開封したコンドームを、ひょいと捨てる桂馬。

栞(あぁ……) (生で、生でされちゃうの…)

  (桂木君) (私を妊娠させる気なんだ) (孕ませる、気なんだ)
  (私と桂木君の子供…) (どんな子になるんだろう……)
  (きっと、読書好きの子で……) (桂木君に似ておしゃべりなのかな、
   私に似て無口なのかな) ←想像力たくましい
 

 
  座ったまま向かい合い、座位で中に入れる桂馬。
  挿入しやすいよう、栞は無意識に腰を上げていた。

栞「……ん、んぅ」  ズブるんっ


 放送『―――カシラギにとって、それは未知の世界であった―――』

栞(…あ……) (私、レイプされちゃった)

  (また、桂木君に、犯されてるんだ)
 
  対面座位で、激しく揺さぶられる栞。


  桂馬は、栞のおでこを舐めると、髪の匂いを思い切り吸った。

桂馬「すーーーーっ」

栞「ひゃぁ」 (だめだめ!) (恥ずかしい、恥ずかしいのに……)

 放送『―――シモーネ、キミは、ベルガモットの香りがするね―――』

桂馬「くんくんくん」
 

 
   物陰から覗いている、女神ミネルヴァの幻影。

 ミネルヴァ「じー……」

栞(あ、あの不思議な子供に、見られてる……)

桂馬「栞、気持ちイイかっ」  くちゅっ ぐちゅ!

栞「ぅぅ……あのっ…」


    幼い女神が、物陰からテコテコと歩いて近づいてくる。

 ミネルヴァ「あのっ…」
 ミネルヴァ「しおり、くるしい? ……たすけようか?……」

栞「……!」

栞「…………!」 ぶるんぶるん
栞(って、なんで私は首を横にふってるのよ!)
 

 
    ◇  ◇  ◇

 放送『―――乳首にピアスをはめられた体。
     そう、カシラギは、第五次乙女座星雲間戦争の戦災孤児。
     生まれて間もなく“奴隷少年”として売られ、
     専属調教師により過酷な奴隷調教を受けていたのだ―――』

桂馬「……」  カチャ ジャラ
 
栞「…………っ!(ぴ、ぴあす!)」

栞(ピアス穴をあけるための一式……!) (本で読んだことがある)

  (ニードル……クランプ……プライヤー……リングも!)
  (私に、使う気なの……?)
  (そんなものの用意があるなんて) (ヘンタイ、この男、変態鬼畜男よ…)
  (ううん、考えたの、私だけど) 
  (小説と現実とをいっしょにしないでよ!) (それに、さっきから、何故、
  『 シモーネ:攻め  カシラギ:受け 』のハズなのに、現実だと

  攻守逆転してるのよー) (そりゃあ、私にシモーネの役はムリだけど)

桂馬「イヤなら拒んでもいいんだぞ」

栞(……) 

 
桂馬「……」

栞(……) 
栞「…………い」 (嫌って言うのよ!) 「……いいよ」 (バカ-!)(私のバカッ! バカ!)


   つぷり  ぶすり

栞「~~~~~」

ハクア(うわっ……あんな大人しそうな子の胸にピアスを……えげつないわね……)
 

 
  ~ ハクア「で…… 」 ~

 
 
 
栞「んぅ! はあぁぁ!」  ぱんっ、パンッ!

 
桂馬「栞! 好きだ…、愛してるぞっ! いくぞ……イク!」 ぬちゅ! むちゅっ!


栞「かつらぎくんっ、私、もっ、んっ……」

 放送『―――シモーネは、カシラギの乳首についた鉄の輪を、甘く噛んだ―――』

桂馬「かぷっ」

栞「うぅ……んぅうぅうう!!」   ビュル ニュルル!!

   二人の愛が絶頂へと達したとき。
   女神の力も急激に満たされ、溢れ出す───。
   栞の体が、幼い女神・ミネルヴァに入れ替わった。
   身体が急激に縮む。

ミネルヴァ「んぁ!」   ボ コ ォ
 

 
ミネルヴァ「……ッッ!」

  性行中、挿入したまま女神に入れ替わったため、
  みねるばの幼い膣に、強引にペニスが詰め込まれている形になった。

ミネルヴァ「こ、……コヒッ……ケヒッ!!」

  股から、血と精液が垂れる。


桂馬(まずいっ………こんな“若返る”なんて、聞いてないぞ)


 放送『―――まだまだ、これからだよ……―――』

 
 

 
ミネルヴァ「……!! ……」 びくん! 

桂馬 「……ぁ………死んだかな……?」

  登場したと思ったらこの始末。
  アクションゲームのロ○クマンで、空から降って登場する場面、
  落下地点にトゲトゲが配置されておりそのまま爆散するイメージ映像が、浮かぶ。

ミネルヴァ「ふぅー…… はふぅ……」

  30秒ほど、無呼吸状態で苦しんだ後、
  なんとか桂馬にしがみつき、息を整えるみねるば。
 
桂馬「よかった、落ち着いたみたいだ……。さすが女神」


ミネルヴァ「ふー…………」

  幼い裸体と、不釣り合いな乳首のピアスが揺れている。
 

 
  そのとき、出入口の戸が強く叩かれた。

桂馬「!?」

 
  何度も、何度もバンバンと、壊さんばかりの音を立てて。
  音はどんどん大きくなり、ついに鉄の足が戸を蹴り破って、
  義足姿の高原歩美が登場する。
 

歩美「……!」 顔を真赤にして、言葉も出ない様子。

桂馬「ああ───そうか、覚醒した女神が入ってるから、
    歩美には錯覚魔法が効かなかったのか」
 

 
歩美「そんな小さな子になにやってるのよ?!」 ぷるぷる

桂馬「あ」    ミネルヴァ「…?」    下手に動かすと危ないので、合体したままの二人。

歩美「しねしねロリコンオタメガっ!」 (号泣)

   「しね!」「しね!」 と蹴られながら、感心する桂馬。

桂馬「歩美、こんな所まで突き止めて来るなんて、義足なのに、
    さすがのフットワークの軽さだ。これも女神の力か…?」
 
メルクリウス「姉さま」 キィィイン

ミネルヴァ「める…!」

メルクリウス「……ミネルヴァも同じことをされたんだね……」

ミネルヴァ「ひがいしゃの会……」
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
 
   ~ ハクア『で 』 ~



桂馬「………天理の中の、女神ディアナ。
    歩美の中の、女神メルクリウス、 かのんの中の、女神アポロ、
    栞の中の、女神ミネルヴァ。 ……4人の女神が揃った。
    吉野麻美たちは記憶を消してもらって解放した。
    あと女神は2人。マルスとウルカヌスだ。
 
    午後は、ちひろ達がリハで入院してる舞島市立病院にいって、
    お見舞いイベントをしかけるか……」  ボロボロ

ハクア「ところで、五位堂結はいいの?」

桂馬「……ギクッ」

 
 

 
ハクア「……?」
 
桂馬「ふー。しかしまったく。この大事なときに、エルシィは、
    いつまで落ち込んでる気なんだか。
    たかだか、憧れてたアイドルのかのんが変態に改造されて、
    自分はボクのせいで学校でいじめられて、
    友達のちひろがボクにだるまにされたせいで中々学校にこなくて、
    ボクが図書館に放火したせいでせっかく知った消防車の本が全部焼けて、
    ボクにエロゲーを買いに行かされたりUSBオナホ代わりにされて、
    (上手くないから最近はやらせてないけど)
    ボクに母親レイプの手伝いをさせられて居候先が家庭崩壊状態で、
    親友のハクアがボクとヤってて、
    ボクがやらせた姉妹の殺し合いを目の当たりにしてついに限界がきて、
    とどめに、憧れてたリミュエルお姉様とやらがボクのせいで
    下品な醜態を晒して、理想のイメージがぶち壊しになって、
    ダメ押しにかのんが刺されてショックを受けたくらいじゃないか。
    緊急事態に自分の世界で何時迄もウジウジしてていいのは主人公だけだっての」

 
 
ハクア「(災難なんてもんじゃないわね……)……それで、五位堂結は?」

 

 
 
桂馬 「……ちひろ達にお見舞いの花を買っていくか、ハクア、選んでくれ。

     それと、リューネのやつに洋菓子でも買おう。 いろんな種類のをな。
     あいつよく食うから。ハクア、人気店に並んで買っておいてくれ。頼む。

     倉川灯……『リミュエルお姉様』はどこにいったんだ?
     いろいろ聞きたかったのに、あれ以来、姿を消して。連絡もつかない。
     くそ、あの時ゲームをしたいからと急いで帰らず、もっとねばればよかった。
     帰ってやったゲームはクソゲーだったし。
     二階堂がボクを追い出すから…。あいつ化学部の顧問なんてやってたのか…。
     灯、どこかでもう、ヴィンテージにやられてるんじゃないよな……
     強いらしいが、『あのエルシィの姉』らしいと考えてみると不安だぞ…
     リューネから話を聞けるといっても全部把握できるわけじゃないしな。

     九条月夜は……休学をしてるようだが、舞校祭には来るはず…。
     水泳部の桜井ひよりは…、あれは完全に白かな」  露骨な話題そらしを続ける。

ハクア「 五 位 堂 結 は い い の ?」 アップになって迫る。


桂馬「……」  デフォルメキャラのようになる桂馬。

桂馬「結……あいつ恐い……
    前の攻略だと体が入れ替わって……レイプされた…… うじうじ
    きっと結は白だ……自己紹介してたし……やだ……おそろしい……。
    ほかの30人以上全員確かめて、それでもいなかったら結にいく」

ハクア「とっととレイプされて確かめてこい!」  げしっ
 

 

   ~ ハクア『で!』 ~

結(男装)「あはは! うれしいなぁ! 桂馬君から会いに来てくれるなんて!」

桂馬(……くそう……結局来てしまった……)

桂馬「う、うん……(ピュアなふり)。 ……女の子に、あんな風に言ってもらえるなんて、
    初めてだったからさ…」

結(男装)「わぁ……恥じらっちゃうところも、桂馬君はやっぱりかわいい!」

桂馬「そういうの、面と向かって言うなよ……
    そうやって…ホンキじゃないくせに……どうせ、色んなやつに、声をかけてるんだろ…」

結(男装)「そんなことないよ ……ボク、桂馬君を見て、特別なものを感じたんだ。
       まるで、もうひとりの自分みたいに………、ううん、それだけじゃない、
       …たぶん、これって運命なんだ……」 ニコッ
 
桂馬(……かっこいい、と思ってしまった。くそ、外見でゴリ押しやがって。
    いかん、女になるな。聞いただろ、結には記憶がない、こいつはハズレだ。
    いや、ボクを、自分自身だと思うってことは、記憶が戻りかけてるのか……
    こいつが女神…… 勘弁してくれ……)
 

 
  結が籍を戻した、吹奏楽部の部室に案内される桂馬。
  (※ちひろのバンドは成立しなかったため)

桂馬(落ち着け。……1度目の攻略では、結がボクの体を
    使っていたから力づくで犯られたんだ。
    だが、今度はボクが男。 ボクは、しがないゲーマーだが、
    多くのヒロインをねじ伏せてきた経験もある。
    体育会系ヒロインならともかく、箱入りお嬢様だった結なんかに、
    腕力なら負けない。ボクのペースでゆっくり攻略してやる)

   結に続いて準備室に入ったとき。
   メコッ、と。桂馬の顔面に、
   何の前触れもなく、ストレートパンチが直撃した。

桂馬「ぁ……」

   顔の真ん中に、容赦ない衝撃。
   眼鏡のフレームのブリッジ部分が無残に曲がり、鼻血がしたたる。

桂馬「(なんだ? また歩美かっ? リューネか? 何かルートをまちがえたか?)」
 

 
結「……」

桂馬(結……、おまえが殴ったのか? ボクの煮え切らない態度にイラついたか?
    ここはもっと男らしいキャラでいくべきだったか?)

  手の皮が少し剥けてしまったのを不思議そうに眺めると、結はニコリと笑った。

結(…わぁ。ゲームのとおりだ) (会話の途中で、突然、顔に一発。ドカッていけば。

   なんで殴られたのか、訳がわからなくなるんだよね。戸惑うよね。
   そこを畳み掛けていけば、この恋愛はボクのペースさ)

  床に落ちた眼鏡を、拾おうと桂馬が屈む。結が邪魔するようにその顔を覗き込む。

結「桂馬くん、メガネとると、幼く見えてもっと可愛いな」
 

 
桂馬「!」

結(………ふふ…殴った理由はすぐには言わないよ。桂馬くんは頭がいいからね。

   いっぱい考えるといいさ。理由なんてないから!
   だって、大好きな人を殴るのに、理由なんているかい!?)

桂馬「あ……」 だらだら

結「あっ、顔に鼻血が。これで拭いて」
 
桂馬「く…(何優しくなってるんだ、殴ったくせに)」

  薄く花模様が刺繍されたブランドのハンカチを受け取り、鼻を押さえる桂馬。

結「服にも血がついて、大変だ、すぐに洗わなきゃ、シミになっちゃうよ。上、脱いで」

桂馬「いいよ、自分でやるよ」 振り払う。
 

 
結「いいからいいから。桂馬君は鼻を押さえてて。(力押し)」

桂馬「……おい、心配するより前に、殴った理由をいえ (ボクがどこか悪かったのか)」 鼻を押さえながら

結「……はい、これ代わりに着て」

桂馬「……って、これ、女子の制服じゃないか!」

結「これしかなくて」

桂馬「血がついたままでいいから元の服を返してくれ」

結「やだよ、返さない」

桂馬「この……」

  桂馬が制服を取り返そうと手を伸ばすと、その腕をとって桂馬の体をひっぱる結。
  勢いを利用して、カウンターパンチの要領で桂馬に腹パンを食らわす。
 

 
桂馬「が…ぐ…ぅ………」 腹を押さえ、土下座するように蹲る。床に鼻血が垂れる。

結「最近ボク鍛えてるんだー。桂馬君とつきあったら、やっぱり
   ボクがレイプできなきゃいけないからね」  一点の曇りも無いさわやかなスマイル。

結「ほらー、思い知った? 女装してくれるだけでいいんだよ?」 女子制服を突きつける。

桂馬「ぅぅ……なんでそんなこと………想像つくが………断固、断る!」

結「わぁ。かたくなだなぁ。……ん-、じゃあ、取引しよう、5万でどう?」

桂馬「にこやかに金で釣ろうとするなよ!!」

結「あはっ、だめだよね! そうこなくっちゃ!
   お金で買えない心、燃えるなぁ」

   五位堂結が盛り上がっているすきに、眼鏡を拾って、ダッシュで離脱する桂馬。

桂馬(エスケープだ! あいつに、完全にペースをとられてしまった。強制場面転換だ)
 

 
  手首につけた羽衣タグを切る。ヴィンテージに襲われたとき、ハクアに助けを
  求めるためのものだが(自分が使うな)、今の相手はそれよりもタチが悪い。
 
  一方、結も、スマホで黒服のガードマンたちを呼ぶ。

結「みんな、その走ってる人、つかまえて! ボクに乱暴しようとしたの」


黒服たち「……!」 ザッザッザッ

桂馬「うわぁああ! 囲まれた! 結のやつ、あらかじめこんな事態を考えて、
    手を回してやがったのか! ちくしょう、ボクみたいなことして!」

ハクア「助けにきたわ! ヴィンテージはどこ!? (キョロキョロ)」

   両手にお菓子屋の紙袋4つ所持して、参上する。

桂馬「ハクア、もっと恐ろしい相手だ! 退却するぞ! ボクを透明にしてくれ」
 

 
   ~ ハクア『で(笑)』 ~


ハクア「……そんなにされて、なにもできなかったの、“桂馬ちゃん”、
      おまえ攻められたら弱いのね」

  話を聞いて、他人事のようにけらけら笑うハクア。
  曲げられた眼鏡を魔法で直して、返してくれる。
  眼鏡をかけ、言い訳を始める桂馬。

桂馬「ちがうっ、あれは、前回の攻略の後遺症のせいだよ」
   「本来ならば楽勝で……」

ハクア「ふーん」

  リューネにプレゼントする予定の菓子を、もぐもぐと食べるハクア。
  頬杖をしてから、なにか思いついたように、

ハクア「……ひょい」  片手をのばし、桂馬の眼鏡を盗る。

桂馬「あっ」 戸惑って開いた口に、
 

 

ハクア「ぺっ」  ツバをはきかけた。

   ハクアの唾が、口の中で広がって絶句する桂馬。
   少し、彼女の口内に残っていたクッキーがまじっていて、甘い。

桂馬「……おっ、なんでこんな」

ハクア「……ふふん、ほら弱い」  ドヤ顔

桂馬「……!」

ハクア「いいこと知っちゃった。私が“ご主人様”になる日は近いかもね……」


   それからしばらくの間、ハクアは上機嫌であった
 

 
 
   ~ ハクア『で!』 ~

 
桂馬(女装)「……五位堂結はこれで、ほぼ黒だ。多分、マルスか
        ウルカヌスのどちらかの女神が結にいる」

  錯覚魔法や化粧を使い、桂馬の女装を手伝ったハクア。

ハクア「それにしても綺麗になったわね。お前、女の子みたいな肌してる」 つんつん

桂馬(女装)「(もう押されないぞ……)……結の心に食い入るため、女装をするだけだ。

         女になるといっても、陵辱されるわけじゃない、
         いったん引き寄せてから、油断したところにカウンターを食らわす。
         勝つのはボクだ。 女装してほしいという結の心を満たしつつ、
         結を陵辱して愛を高める。
         ……そのためボクは今回、“女王様”路線でいく!」

ハクア「女王様……」

 

 
  コンタクトレンズに替えたというのに、クセで眼鏡を上げる動作をする桂馬。
 
桂馬(女装)「結のハンカチは女物だった。あいつも、まだまだ箱入りお嬢様

         っぽさが残ってるんだ。
         男になったばかり、男としてはビギナーの、少年のようなものだ。
         だからこそ、無邪気な少年のように残酷なことができたんだ。
         落とす。
         覚悟しろ、ガキ……
         悪魔や神をも陵辱した落とし神をなめるなよ。
         女王様(※男)が、 無邪気系・攻め少年(※女)を調教してくれる。
         “神ねーさま”と呼ぶがいい……
         ふはははははは!」

ハクア「女装して高笑いする姿、無様ね。……私、そろそろ」

 
 
桂馬(女装)「まて、九条月夜だ!」


  月夜「…………」
 
  右手に盲人用の白杖を持って、歩道を行く九条月夜。

ハクア「見られたの!?」 思わず不要な心配を口にするハクア。
 

 
  金髪の少女の左腕には、人形・ルナが抱きかかえられている。

桂馬(女装)「……。月夜も、“白”とはいえないんだよなぁ……。あと女神は二人。

         月夜にも、女神がいる可能性がある。
         やっぱり結、怖いし、月夜を先に調べたいな」

ハクア「おまえ今、女装してるじゃない」

桂馬(女装)「九条月夜は義眼だ。女装しながらでも、堂々と男として攻略できる」

ハクア「あんたがやったのよね」

桂馬(女装)「むしろ見えてもらったほうが良かったな。
         あいつは美しいものが好きだから、女装路線でもそれはそれで可だ」

ハクア「はぁ。もう好きにしなさいよ。化粧は手伝ったから、じゃあ私、
     地獄に、地区長の報告会いってくるわ」
 

 
桂馬(女装)「すぐ戻れよ。リューネは、ヴィンテージが駆け魂隊上層部にも
         いるっていうから、気をつけろ」

ハクア「はいはい……(これまでの事情……新地獄で報告すれば……
     助けてもらえるんじゃないかしら……。
     室長とかはダメらしいけど……。
     で、でも、それって、私が桂木に、“ご主人様”に、
     あんなことやこんなことをされてるのも、
     全部提出しなきゃいけないってこと……?
     私が、本当は成績ゼロってことも……
     ムリ……ごめんなさい……)」

桂馬(女装)「ふぅ……。月夜……どう攻略するか……」

  ぶろろぉおお、という、自動車の排気音。
  桂馬の背後に、T○Y○TAのハイエースバンが近づいてくる。
  桂馬が振り向くと、徐行中の車から、黒服の男たちが現れ、その肩を掴んだ。

桂馬(女装)「うわっ、なんだっ (今度こそヴィンテージの手先か!?)」

  神ねーさま・桂木桂馬は、男達の手で、強引に連れ去られていった。

 
 

 

   じたばたもがく桂馬の頬を、なでる手。

結「うれしいなぁ。ボクの言った通り……ううん、言った以上の女装してくれたんだね!」
 
桂馬(女装)「結、おまえか!? いきなりハイエースしてくるとは!
         ルートを乱すな! ボクはこれから……」


  暴れ、取り押さえられている桂馬をよそに、
  結は、黒服のボディーガードたちに言い含める。

結「みんな。…この子に、ボクの恥ずかしい秘密知られちゃってさ!
   警察やお母様は通さずに、ボクが内密に話をつけるから、みんなは黙っててよ」

黒服「結さま。一応そういうことにしておきますが、
    お手やわらかにしてあげてください――」

桂馬(女装)「おい、ボディーガード一同、おまえらちゃんと結の暴走を止めろよ!

         お嬢様の犯罪に荷担してどうする!?」
 

 
黒服A「すみません、結さまには、サボっている証拠を握られてまして」
黒服B「ほんの出来心の、軽い横領を結様に見逃してもらった恩が……」
黒服C「将来の私の雇い主は、結さまですし、今のうちに気に入られないと」
黒服D「娘が結様のファンでして…。一緒に写真を撮らせてやると約束してしまいまして」
黒服E「結様のお母様も、我々を利用していろいろと火遊びを。今さら結様だけ止められません」

結「…ね?」

桂馬(女装)「なにが『ね?』だ」
 

   ◇◇ 結の自室 ◇◇



結「桂馬君、口では拒んで見せたけど、ボクにメロメロなんだね。
   だから、襲ってほしくて、女装してうろうろしてたんだ……」

桂馬(女装)「くっ…正しいようだけど、すべて間違ってるぞ」
 

 
結「えいっ!  じゃあ、桂馬くんのカバンの、これなーんだ(笑)、

   猿ぐつわ、ムチ、針、ろうそく、その他いろいろ!
   うわぁ、こんなのでボクにいじめてほしかったの?」 かぽ 

桂馬(女装)「むぐー! むぐー!」 (※ 轡を嵌められてしまった)

結「ほらほら、桂馬君の望み通り、いじめてあげるよ! 鞭で! 蝋燭で! 針で!」

  バシン!  ぽたぽた……! ブスリィ!

桂馬(女装)「んぐぅ~~~~(違う、それはボクが、女王様として結をいじめるために!)」

結「とどめはこれだ……えい!」

  愛用のドラムスティックの先端をなめ、桂馬の尻の穴に突き刺した。

桂馬(女装)「!!!!」
 
桂馬(女装)「………(いつもの攻略の力が出せれば…こんな奴なんかに…!!)ビクビク」 クリムゾン状態
 

 
結「ああ、すごい感じちゃってるね。ほら、勃ってる。
   前、ボクにレイプされたのが、忘れられなかったのかな……」 にこっ

桂馬(女装)「……!(記憶が戻っている。くそ、確定だ、結に女神がいる。
         なんて運が悪いんだ、ボクは……。美生にいろよ美生に!)」

  桂馬の股間を、女子制服のスカートの上から、ねっとりともみしだく結。

結「きれいな女の子の格好してるのに、あそこにはこんな凶悪なものが

   猛ってるなんて、すごいなぁ。
   なんだか、ムズムズしてきちゃった……ボクのあそこ、なめてよ」

  桂馬の猿ぐつわを外し、裸になって、性器を突き出す結。

桂馬(……こいつ、男装してると中性的だが、
    裸になると、どうみても女の子だな。
    しかも、これまでの攻略対象の中でも、かなり、
    スタイルのいいほうの女子だ……)

結「あはは、桂馬君、興奮しすぎ……そんなに凝視されると……やだな……
   ボクのほうが、恥ずかしくなってきちゃう……」

  少し、素にもどって、自分の股間を手で隠す結。
 

 
桂馬(女装)「(くそっ……こんなやられっぱなしでいられるか……)

         ふざけるな、縄をほどけ!
         言っとくがな、おまえみたいなのにボクは負けないぞ!
         おまえがボクのをしゃぶれよ!」

結「ふーん。言うこと聞いてくれないんだ。

   だったらー……桂馬君かわいいからなー。
   黒服のみなさんにも、桂馬君を輪姦してもらおうかなー」

桂馬(女装)「えっ!」 頭から血の気が引く。

桂馬(女装)「やめろ、結の言うこと、きくから……それは……!」

結「わぁぁあー! すごい! すごい! きゃーきゃー
   くぅ……独占欲が満たされる……!」

桂馬(女装)「いや、可愛らしく喜ぶなよ」
 

 
結「もっと、言葉にしてよ!

   『ボクは、結だけのものだから。結だけにレイプしてもらいたいです』って、
   言ってみて!
   『ほかの人は絶対いやです、結だけがいいんです』って」

桂馬(女装)「あ、あんまりはしゃぐなよ……」
 

桂馬(女装)「“ぼ、ボクは……結だけの”……」

結「そうだ。録音……桂馬君がやってたみたいに、残さなきゃ」 ガサゴソ
 
桂馬(女装)「……(いまいちしまらないな)」

 
 

 
  ◇  ◇  ◇

結「ほら、ヨツンヴァインになって。レイプ、してあげるよ」

   縛られたまま、犬のようなポーズをとらされる桂馬。
   その後ろに、五位堂結が膝建ちをする。

桂馬(半裸女装)「おい、これでどうやって……?」

結「え? レイプっていったらこの体勢でしょ?
   背中をみながら、後ろからバンバン突くんだ!」

桂馬「男女逆だろ、これだと、入れようが……」

結「愛の力でなんとかするよ」

   勃起したペニスを、ぐいっと下にむりやり曲げる

桂馬「ぐああああ! 折れる、折れるぅ!」
 

 
結「ほら、なんとかなった!」

桂馬「殺す気か!」

結「愛は全てを超えられるよ」 「でもだいじょーぶ、ちゃんとゴムはつけるから」

桂馬「そういうのボクのセリフなのに」

  なんとか苦戦しながら男性器にコンドームをはめ、後ろから桂馬のものを挿入していく結。

桂馬「あぁぁ、本当に入った…………
    イタイ……痛い……。痛いのに……なんだか…」
 
結「痛がってる桂馬くん、最高だよ! もっと顔を見せて」

桂馬「く、くそ……(でも、でも、結との体の相性は抜群だ……)」
 
結「ほら、桂馬君のあそこが、ボクのあそこに食べられて、何度もこすられて…」

桂馬(もう、……このままボクが陵辱されて、愛を高めてやるしかない)
 

 
  ◇  ◇  ◇

  後ろから突きながら、桂馬の尻をバンバン叩く結。

結「この、ワルイ子! 他の女の子をおっかけて! ボクがおしおきしてやる!」

桂馬「ごめんっ、結、結が好きだっ、あれは、しかたなかったんだ……」
   「事情があって」

結「どんな事情があるっていうのさ!」

桂馬「ああ、でる、でちゃう……」 びゅる、びゅる!!

結「あはは、気持ちよくって、ぴゅぴゅーって出しちゃったんだ。

   口ではあれこれ言っても、絶頂しちゃったんだ。かわいい。きゃあきゃあ。
   ああー……。
   ボクの卵子が、桂馬君の精子を、吸い付けて、
   愛で満たされていくよ」
 
桂馬「え……なに、言ってるんだ……よ? 避妊は…」


結「……ふふ、ゴムをつけてると思ってた?」 ぬぽん

結「じゃじゃーん、穴をあけておいたのさ!」
 

 
結「『あれれ? コンドームやぶれちゃったね。しかたないね』」

桂馬「……(こ、こいつ、どうしてこんなクズ男みたいな真似を)」

結「もう逃さないよ……大丈夫、責任はとるから」 ぎゅ

桂馬「あ……(匂いは、女の子の匂いだ……)」


桂馬(だめだ……結に抱きしめられていると、思考がぼやける…………
    このままでも、いいよーな気になる……
    相手の思い通りにされてるのに…… 自分の気持ちが満たされて……
    これが、“攻略”される側の心理なんだ……)
 

 
   二人はキスをし、愛が高まって、結と女神マルスとが入れ替わった。
   「ひゃぁっ」と、あわててコンドームを投げ捨てる女神マルス。
   むこうを向いて、唇をぬぐう。

マルス「ひどいぞ結! 私は初めてなのに! こんな、男女逆転みたいな!」

桂馬「…結が迷惑かけてすまない……」

マルスの中の結「ごめーん。つい興奮しちゃって」
 
マルス「やり直せ! こんな初めて、やりなおっ……いや、やっぱりいい、私は何を言っているのだ、乱心した」

桂馬「できればずっと女神のままでいてくれ……」

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
  ◇  ◇  ◇


   受話器を通じて、リューネが笑うように語りかけてくる。

     『………なぁ。落とし神。ようやく、
      こっちが本当の地獄になるんだ……』

桂馬「あぁ。もうスグだな…」

     『私たちが、ずーーっと“ゲームでガマンしてた”ことが
      ……なんでもできるようになる。…』

 
 

 
桂馬「楽しみだ。リューネの作ってくれる世界」


     『そうなったら、最初は、誰を殺そうか……』

桂馬「……ハクアだ。首筋にナイフを突き刺してやろう」

     『そう言うと思ってたよ……あは……はぁっ……』

     『………………』

桂馬「どうしたリューネ」

     『いーや。…』
 

 
 
    ◇◇ 舞島市立病院 ◇◇



ハクア「残りの女神は、ウルカヌス1人ね」

桂馬「リューネからヴィンテージの動きを聞いている。時間がない……。
    ディアナには『いいからもう5人で出撃しろよ』と言っているんだが、
    女神の力は全員揃うことで…うんたらかんたら言って、
    特に、ウルカヌスは長女でリーダーシップがあるからどうしても
    仲間に加えたいらしい。歩美には事情を話して、女神にも説得して
    もらって、なんとか、キスまでなら可という許しをもらった。
    気が変わる前の今がチャンスだ。ちひろを狙う。同時に……」


風瀬青羽「……」
 
  病室の中では、攻略で桂馬の毒牙にかかり、手足と目を奪われ、その上、
  火傷を負った少女が、包帯だらけの体で、陽の光を感じていた。
 

 
ハクア(手足もないのに………綺麗……)
 
  青羽は現在、口に咥えたペンで、創作活動をして暮らしているらしい。
  筆を持ち、ペンをもち、パソコンのキーボードを打ち、
  詩を書いたり絵を描いたり曲を作ったり、既に賞を取るなど、傍からみると
  多趣味で充実した生活だという。


  長所がなく、特徴がないから攻略の糸口としてダルマにした小阪ちひろ。
  長所しかなく、完璧すぎて隙がないから攻略の糸口としてダルマにした風瀬青羽。
  駆け魂狩りにおいて、もっとも苦労したこの二人が、同じ病院にいる。

ハクア「なにが“落とし神”よ。自分の手に負えない女はこうしちゃうんだから……。
     あー怖い。怖い。 私も気をつけなくちゃ……
    (軽口でも叩いて自分をごまかさないと、やってられないわ。私も加害者なんだから)」

桂馬「安心しろ。おまえは青羽と違って隙だらけのエセエリートだ。なにも奪わない」
 

 
ハクア「なによ! …………ええ、そうよね…。私なんて、桂木がいなかったら
     今頃、勾留数1……ううん、0の落ちこぼれ…」 ずーん……

桂馬「いや悪かった……おまえは優秀だよ……
    (そういえば、そういう誤解してるんだったな)」
 
ハクア「……もっと言ってよ。ちゃんと。そういうこと」

桂馬「ハクアは優秀だよ……」

ハクア「もっと……」

桂馬「ハクアは最高だ」

ハクア「もっと」

桂馬「ハクア。そろそろ行っていいか」

 
 

 
   ~ ハクア『で!』 ~

ハクア「その絵はなに?」

桂馬「青羽が描いてくれた」

ハクア「口で!?  ……おまえに青羽の50分の1でも絵の才能があればね……」

桂馬「……! いま……とんでもないことを思いついて、後悔した……
    もし、こいつをギャルゲーエロゲーの道に進ませることができていれば、
    すばらしいことになっていたかもしれない……
    絵師をやらせてもいい、ライターでもいい、制作指揮でも、なんならプレイヤーでも……
    ボクは、人類にとって、なんという損失を…」


ハクア「(スルー) ちひろの歌も聴いてたわね」
 

 
桂馬「ああ。ちひろは元気で、ボクを怒りぎみに意識しているので黒に近いグレー。
    冷静で無表情な青羽は、白に近いグレー。
    ちひろは同じクラスで席も斜め後ろだし、
    青羽も思えば同じ学校・学年、家がひと駅違いで近い。(不登校だったけど)
    どちらも最後の女神ウルカヌスがいる可能性が十分ある近さだ。ので、
    舞校祭に、それぞれ一緒に回ろうと誘ってある」

ハクア「……え、両方を?」

桂馬 「あいつら二人は難敵だからな。いきなり誘拐してもまた時間がかかる。
     祭りの雰囲気を利用して気分を高めて、そして一気に犯すんだ。

     ハクア。エルシィがいないから、代わりにお前にエロゲーについての
     いい言葉を教えてやろう。
        『 純愛ルート 残念 陵辱の前振りでした 』
     公式サイトやゲーム序盤では普通の純愛系ゲームのふりをして
     途中で過激なことを始める名作ゲームはいくつかある。
     そのギャップから衝撃もひとしお。……この戦法を利用するんだ」
 

 
桂馬 「小阪ちひろと風瀬青羽、この二人のだるまに、女神がいるかどうか
     一夜のデート陵辱で暴く、名付けて、
     DDDDD(ダブル・ダルマ・ディスクロージン・デート・大作戦)!」

   画面手前を指さすしぐさをする桂馬。

ハクア「………。……吐き気が…。
     …おまえの言ってることがあまりに
     浮世離れしていかれてるというか、ついていけなくて、放心しちゃった」
 
ハクア「それに……青羽のことは……良心の呵責が……」

   ※ 実は青羽の攻略中、何度かトイレで吐いていた。 
 

 
 
桂馬「さて。その前に。九条月夜の様子を見にいくか。

    月夜に最後の女神がいれば…それも……」

     PFP「 \メールだよ!/ 」
 
桂馬「かのんからのメールだ。 ……。 そうとう病んでるな……。
    くそう、メールの返信で、地味に時間を奪われる。
    ……女神アポロの神託は期待してたほどは役に立たないし、
    悪いが、いっそ最後の最後まで寝ててもらったほうが
    ラクだったかもしれない……」
 
ハクア「気付かなかったフリしなさいよ。そんなメール。今日10回目でしょ。
     あの子おかしいのよ」

桂馬「だめだ。3分以内にメール返信しないと、また愛が減って
    アポロがパワーダウンする。そうだ。アポロはヴィンテージの
    暗躍での、悪い『運気』をどうこうしてくれてるんだったな……
 
    くそ、こうやってPFPをもっていると、ゲームをしたくなって
    したくなってたまらん」  カチカチカチカチカチ……送信……
 

 
ハクア「しょうがないわね。私が代わりにゲームを進めてあげるわ」

桂馬「意味ないだろそれ」

ハクア「え? そういうものなの?」

桂馬「当然。アイテム稼ぎだってやらせたくないね。ボクが攻略するから意味が……」

   足元がふらつく。

桂馬「うぅ……眠い……それに風邪ぎみだ…」 「…やっぱり月夜はムリだ…」

ハクア「ちょ、ちょっと、寄りかからないでよ」

桂馬「眠るから、家まで運んでく……れ……」

ハクア「もうっ」

 
 

 
 
  ◇◇ 桂馬の寝室 ◇◇

 
 
 
桂馬「……zzz」


ハクア「ほんと、おまえっておかしいけどさ…」

桂馬「……zzz」

ハクア「とんでもない鬼畜だし、攻略のためだ、とかいって女の子をレイプばっかりしてる最悪のやつだけど」

桂馬「……zzz」
 
ハクア「頼りになるって、思ってるんだよ……“ご主人様”」


ハクア「……」(正気を失ったほほえみ)

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
 
  ◇◇ 翌朝 桂馬の家  ◇◇



桂馬「あれ、朝食ができてるな」

   食卓に並ぶ、ちょっと手のこんだ手料理。カマンベールのハムトーストに、
   キウイのヨーグルト。レタスやらタマネギやらミニトマトやらのあえサラダ。

桂馬「ハクアがつくってくれたのか?」

ハクア「私、作ってないわ」

桂馬「ハクアはもっと刻んでくれるもんな。エルシィはこんなまともな飯、
    つくらないし。母さんは外国だし」

かのん「ワタシダヨ」

桂馬「……」


桂馬「……え?」

 
かのん「来ちゃった」 
 

 
  いるはずのない人間が、いきなり家に上がり込んでいることに、少し戸惑う。

桂馬「……どうして? かのんが?」

かのん「心配しちゃったよ、桂馬くん。……メールの返信が遅かったから、
      なにかあったんじゃないかって。それで、様子を見に来たの」


桂馬「ごめん、メールもらってたのか……。昨日は早く寝てて、返事が遅れて。
    ……でも、どうやって入ったんだ? 玄関、カギ、閉まってたろ?」

かのん「カギなんて。 私の中には神様がいるんだよ。意味ないよ?」
 
ハクア(ぞわっ)
 
桂馬(待てハクア。ドン引きするな。ただでさえ下がっているアポロの力が
    これ以上ダウンしたらまずい)
 

 
かのん「えへへ。サプライズ、驚かせてあげようと思って。朝ごはんつくったの、大成功だね」

桂馬「本当におどろいたよ。かのん」

桂馬「でも、今は、ボクの所に来ないで、おとなしくしてるように言ったろ。
    真面目な話だ。
    女神探し中のボクらと関わっていたら、また、危ないかもしれない。
    ヴィンテージの動きが十分に掴めない以上、
    またかのんが狙われたらと思うと……ボクは……心配でしかたないんだ。
    (という名目で、強引に、問題を保留中。先延ばし中。)」
 
かのん「ごめんね……」 「…だって……」
 
窓ガラスに映ったアポロ「かのんが、どーしてもどーしても心配で、
    何をするにも手がつかないと言うのじゃー。ちょっとくらいええじゃろ」

桂馬(この女神、緊張感ないな)
 

 
桂馬「そうだな」

ハクア「……」


桂馬(ハクア。ボクは女子の気持ちがわからないから聞くが、
    かのんは、刺されて殺されかけたんだ。
    逆にボクらのことが心配でしかたなくなってしまうのも、
    不思議はない、よな) ヒソヒソ
 
ハクア(…あの子、メールだとおかしかったから驚いたけど
     そうね。今、非常事態だし)
 
かのん「桂馬くん。どうかした?」
 
桂馬「いいや、なんでもない。せっかくごはんつくってくれたんだ。早くたべよう」

 
   ◇  ◇  ◇
 

 
桂馬「……(これも“攻略”だ。かのんの機嫌は、女神の力に直結するから、絶対損ねないように)」

かのん「どう? 桂馬くん」

桂馬「ん……うまい。……ハクアより美味いよ」

ハクア(おいこいつ)

かのん「……えへへ。私、ちょっと前に、一人暮らし始めたんだ。だから」

窓ガラスに映ったアポロ「時間もなくてほとんど自分じゃ作っておらんけどな~」

かのん「もうアポロっ」

かのん「ねえ? どう? ドウ?」 (接近)

桂馬「う……」
 

 
ハクア(桂木、おまえ、ちょっとたじたじしてない?)

桂馬(別に)

ハクア(エルシィから聞いてるわよ。おまえも駆け魂狩りを始めたころは、
     けっこう、攻略に真剣だったんだって? 女の子に慣れてなくって。
     かのんも最初の頃の子だっけ~~。あの子、特別にかわいいし、
     積極的にこられたら、緊張してたりして)

桂馬(からかうなよ)

桂馬(…でも正直、かのんの歌がゲームでも使われてるのとかは意識している)
 

 
桂馬「かのんって何でもできるな」

かのん「そんな。料理もできたほうがいいって、マネージャーさんに
     言われて」 「ちょっとレッスン受けてるだけで……私なんて」 照れ

ハクア(ふーん。 こういうのが今の女の子風なの?
     私、雪枝の料理を真似してるから、私のつくるものって
     おばさんっぽかったかな……私が年上だけど)

桂馬(かのん……歩美とのことは、あえて言わないでいるつもりか。
    その話になると、また他の事どころじゃなくなるから。
    でも、こんな大胆な行動に出たのも、歩美を意識してのことだろうな。
    歩美より、近くにいるつもりなんだ)
 

 
かのん「……特別なデザートもあるよ。桂馬くんの大好物」

桂馬「へぇ……なんだろう……(かのんの攻略で、ボクの好物なんて設定したか?

    現実<リアル>の食事なんて、ボクはなんでもいいぞ。甘くなければ)」

  キッチンから、フランス料理のように、半球形のクロッシュで覆われた、
  大きめの皿を運んでくるかのん。 (カフェ・グランパのもの)

  その蓋を外すと、白い皿の上には、料理というよりも、
  『料理が、人体の内側を一日かけて旅して、でてきたもの』が、鎮座していた。

桂馬「……」

 
 

 
  見るやいなや、ダッシュで逃げ出すハクア。

かのん「あ。ハクアさん、ふたりっきりにしてくれたんだ? やっと。
     ……気づかわせちゃったね」
 
かのん「桂馬くん。私のうんち、大好きだったよね。食べちゃいたいくらいだって」
 

桂馬(……このおだやかな目、これは、本気だ……
    なにかの嫌がらせじゃない……)
 

 

桂馬(う、うっかりしていた。そうか……)

  桂木桂馬が、かのんの攻略の時期から、月日を経ることで、
  ますます陵辱ゲーム愛好家として、そして自称・神として
  重度に病的な方向へ進行していったように……

  中川かのんもまた、桂馬に攻略された、あのときの
  ままではなかった。桂馬への好意と、あの日の絶頂の
  快楽を、自分の中でくすぶらせ、こじらせて、
  スタンガンによる脱糞~スカトロマニアとしての性癖が
  進行していたのである。

 
 

 
  そして、皿の上で存在感のある臭いを放っている、
  “朝までかのんの中にあったモノ”。
  ご丁寧に、“デザート”として、ミントの葉が刺してあり、
  チョコレートシロップが適量かけられている。


桂馬(……ここで食べるのを拒否すると、好感度ダダ下がりだ。
    かのんは自分自身が拒絶されたと思い、ただでさえ弱ったアポロは、
    入れ替わることすらできなくなってしまうかもしれない。

    だが、ここで食べれば好感度急上昇!
    共通の背徳的趣味という、かのんの中で、
    歩美より遥かリードしたボクとの愛を感じられるはずだ)
 
桂馬「…ゴクリ」

 
 
 

 
桂馬「わぁ……これ、かのんから出たものなんだな。かのん100%だ」

 スプーンで掬い取って、差し出してくる。

かのん「はい、あ~ん」

桂馬(おい、店のスプーン)

桂馬(しかしゲームなら、二次元ならいつでもイケるが……不意打ちで三次元は……。
    ヒロインに陵辱で食わせるのはいいが、自分がいきなり食わされるのは……)

かのん「……?」

桂馬(ボクは……ボクは攻略の鬼だ……)

桂馬「ぱくっ」

かのん「朝一番のうんちだよ」
 

 
桂馬「( くそ、リアル世界はこれだから
    精神統一して、心をトランス状態にして、
    準備が十分にできてないと、体が拒絶反応を……)
    ……うん。おいしい!」
 
  最高の笑顔。
 
ガラスに映ったアポロ「ひぇ~ おぬしたちの趣味には
               ついていけぬ。もー勝手にせい」

かのん「にこっ」    ピンピロリロリン♪ という
  好感度が上がる『サクラ大戦』あたりの効果音が、桂馬の頭の中で鳴った気がした。

桂馬「アポロ。長生きしているのに分かってないな。
 

 
    この趣味は、ただ味やにおいが好きなんじゃない。
    自分が出したもの、自分の体が『いらない』と
    言って捨ててしまったものすら、
    好きな人の中に入れてもらえる。
    口から味わって受け入れてもらえる。
    体の一部にしてもらえる。
    そんなすべてを受け入れ合った感覚がたまらないんだ。
    誰のでもいいんじゃないんだ。……かのんのじゃないと」

かのん「そう……

      そうだよ。それだよ桂馬くん。
      私がこんなにうれしいのは。いままで、
      アポロにうまく説明できなかったんだけど、
      ……うん。やっぱり桂馬君はわかってる…。
      私のこと分かってくれる。
      どうしてアポロはわからないかな」

アポロ「す、すまぬ(……? なんでわらわは謝っておるのじゃ?)」
 

 
桂馬「……なんて言うけど、ボクだって、かのん以外のは
    (リューネとかスミレとかしか、)食べたことないから。
    こういうのの“初心者”だよ」

かのん「二人とも初心者だね」

  桂馬の隣に回り込んで、スプーンでふたたび茶色いものをすくい、
  桂馬の口に近づけるかのん。

かのん「はいっ、あーん」

桂馬「ん……モグモグ……な、なんだか、
    一度に全部食べるのはもったいないな。
    残りはタッパーでとっておこうかな」

かのん「桂馬くんどうしたの? 顔色悪いけど……」
 

 
桂馬「かのん……」

桂馬「ごめん、実は、今は食事を楽しむ気になれないんだ」
 
かのん「え?」

桂馬「なぜなら……、妹のエルシィが元気ないんだ」

アポロ「あの小悪魔か」


桂馬「あっ、そうだ…」
 

 
桂馬「かのんが、元気づけてやってくれないか?
    かのんの大ファンなんだ、あいつ……恥ずかしがってあんまり認めたがらないけど」

かのん「――」

  “他人を元気づける”、得意分野の仕事で頼られて、思わず席から立ち上がる。

かのん「まかせて! 桂馬くん」

桂馬「そうだ、これ、エルシィに食べさせてやってくれ。
    あいつも重度のスカトロマニアだから」

かのん「うん! 桂馬くんには、また後で出してあげるね!」

桂馬「ぜひ機会があれば」
 

 

桂馬「……」  耳をすませば、2階から二人のやりとりが聞こえてくる。


  エルシィ「や、やめてくださーい、私、かのんちゃんなんて嫌いですー」

  かのん「またまた~。昏睡してたとき、ちょっとだけど、聞こえてたんだよ。
        エルシィさんが私のこと大好きだって」

  エルシィ「ううー あ、あれは……にーさまがかのんちゃんを励ませって」

  かのん「素直になる勇気が、出せないんだよね。私もそうだったよ。桂馬くんに、

        アポロのことや…それに、好きってこと、言い出す勇気がもてなくて」
 

 
  かのん「でも、素直になれば…、すっきりするよ。はい。あーんして?」

  エルシィ「あ、あーん ……う、うぶっ!」

  かのん「遠慮しないで全部たべていいよ!」

  かのん「全部食べ終わったら、“お義姉ちゃん”、
       練習中の新曲、披露しちゃいます!」


桂馬「すまん……エルシィ。 よし、今のうちに学校いこ」

フィオーレ「…くるってる……」

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 


( ※このSSは極限までエルシィをヒドイ目に合わせていくスタンスをとると思ってください。続き、また数日後に。)
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
 
桂馬(風邪っぽいのが治ってないな……ちょっと、頭がくらっとする……)



桂馬(…いや、気持ちを切り替えろ……
    駆け魂狩りで、一番苦労したちひろと青羽を、この舞校祭で攻略するんだ)


    ◇  ◇  ◇
 

 
   ◇◇ 舞校祭 出店付近 ◇◇

桂馬(ちひろは、本当につかみづらい。
    前の“攻略”でも最後、ボクのことが、好きなのか嫌いなのか
    わからないような様子で駆け魂がでたからな。
    愛で心の隙間が埋まったのかもわからん。
    ボクを意識はしているが、……怒って知らないふりをしているのか、
    本当に記憶が戻っていないのか… 一番濃い線が、女神の力が弱く、
    歩美みたいに中途半端に別の記憶があって混乱しているパターン……
    それなら、記憶が戻ったときに何も考えさせず勢いで一気に畳み掛ける必要がある)

桂馬「でもよかったよ、ふたりにしてもらえて…」

   小阪ちひろの電動車椅子に駆け寄る桂馬。

ちひろ「お母さんと何話してたん…?」

桂馬「ちょっと挨拶だ。ちひろをよろしくお願いしますって言われちゃった」 スマイル

ちひろ「変な意味でとらないでよね! お母さん疲れてて、たまに…………むぐ」

桂馬「そこの屋台で肉まん買ってきてあるんだ。お母さんにも渡してきた」
 

 
  もぐもぐと肉まんを咀嚼するちひろ。 今日は元気そうである。
 
ちひろ(気が利くじゃん……ゲームばっかりの、オタメガネのくせに……
     私が学校にあんまり行ってないうちに、こいつも、変わったんだ……)
 
ちひろ「ほんとに、いっしょに回れるの、2時間くらいだかんね……
     (トイレもまだ、一人でできないし……)」

桂馬「……ちひろ、お洒落して来てくれたのか」

ちひろ「っ。 自分のためにしてもらえたみたいな口調ね。
     私、あんたと違って、舞校祭、楽しみにしてたから」

桂馬「そうだな。知ってるよ」

桂馬「ちひろにとって、どれだけ舞校祭が大切か……
    (だから誘拐しないで、こうしてる)」

桂馬「……知ってるよ、これまで、なんとか籍を置けたけど。
    この舞校祭が終わったら、ちひろ、…学校を、やめるってことも」
 

 
   驚き、体をひねって桂馬を見る。

ちひろ「お母さんから聞いたの?」

ちひろ「あー。……秘密にしてたんだけどな
     だって、学校やめるって知られたら、みんな、私とキョリ、置きそうじゃん」

桂馬「そんなことはないよ (そんなことない)」


  車いすの上から、舞校祭メインステージを見上げる。

ちひろ「歌うんだ……
     私、“バンド”つくろうとして……、歩美もリハビリと陸上があって、
     エリーも忙しくて、結局、だーれも、集まんなかったけど」

   自嘲するように笑う。

ちひろ「でも、歌ってやんだ……」
 

 
ちひろ「ステージ、使えるようにしてもらえたから。
     『がんばるショーガイシャ』だからって。
     だから。それが私の、舞校での最後の思い出…」
 
   その肩に、手を置いた。

桂馬「ちひろ。最後じゃない」

ちひろ「…」

桂馬「これは終わりじゃない。舞校から退学したら、
    そしたら、歌手になるための勉強やレッスンをしよう。
    終わりじゃなくて、本格的に夢を追う、“始まり”なんだ」

ちひろ「う……うん」

ちひろ(……そんな熱いこと言うやつだっけ、コイツ)

ちひろ「なーんか、文化祭だからかな、ちょっと恥ずいわ…」
 

 
    舞台を、もう一度、見上げる。 今度はふたりで。


ちひろ「私さ。 手足がなくなる前、なんにもやんなかった。
     だって、なにやっても、私、『平凡にしか、できない』から。

     でも、いま、私にとって、『平凡にでも、できる』のはこれだけ。
     声……出すことだけ。
     歌が、私にとっての全部。
     だから、私、かのんちゃんの、100倍努力してでも、歌手になりたい」
 
ちひろ「ステージ……聴いてくれる……よね?」
 
桂馬「もちろんだよ。ゴキブリ男でよければ」

ちひろ「…バーカ(笑)」
 
桂馬(……)
 

 
    ◇  ◇  ◇
 
  教室の奥、イスをひっくり返してつくった輪投げの棒に、
  次々と輪が収まっていく。

桂馬「(ゴキブリという言葉に怒らない。ちひろに女神はいないのか……)」


ちひろ「うわ、やっぱりゲームとなると上手いねぇ。景品こんなとっちゃった」

桂馬「ほら、プレゼントだ」

ちひろ「あ、あんがと……」

桂馬「車椅子のバッグに入れとくぞ」

ちひろ「ちょっと、もっとよく見せてよ?」

桂馬「帰ってからゆっくり見ろよ。たのしみにしてさ。ほら次、1年生の店にいくぞ!」

 

 
  ◇  ◇  ◇

 
桂馬(この町、バリアフリーが進んで障害者を街でもよく見かける
    とはいえ、  ((※10年前、白鳥うららにやったことのせい))
    やっぱり手足のないちひろは、どこにいても視線を浴びるな…)
 
ちひろ「ねぇ……私といっしょにいると、ちょっと恥ずかしくないん?」

桂馬「何でだ?」

ちひろ「いや、さっきから、見られてんじゃん……結構」

桂馬「安心しろよ。ボクは人の注目なんて気にしない」

ちひろ「はっ、そうだった」   からっと笑う。

桂馬「おまえこそ恥ずかしくないのか……“オタメガネ”なんかと一緒にいて」

ちひろ「そーだね、ちょっと恥ずかしいわ」

桂馬「おいっ」

ちひろ「でも、いーって。私、注目あびるの、実は好きだしさー」
 

 
 
 口でもできる、風船釣りに挑戦するちひろ。

 
ちひろ「わっ……とっと…」

  倒れそうになったちひろを、思わず抱きとめる桂馬。

ちひろ「……」

桂馬「……」

桂馬(いい感じだ)

 
 
  ◇  ◇  ◇

 

 
 
  桂馬(…これ、まるで、普通のデート、普通のギャルゲーの

      攻略みたいだな)


ちひろ「ね、あれ見てみん?」


  桂馬(ボクは、なんなんだ……。ちひろに女神がいるなら、
      もっと怒っているはずだ。風瀬青羽のほうが可能性が高い。
      あちらにいくべきだ……
      でもちひろは読めないからな……
      他の女子なら、この態度で白と断言していいが、
      ちひろの場合は断定しづらい。
      ……
      おい、
      ボクは、ちひろに女神がいてほしいのか……?
 
      前回、ちひろが『攻略できた』といえるか分からなかったから、
      ちひろを攻略したいのか?)
 

ハクア「桂木…」    眼鏡をかけたハクアが、ちょいちょいと物陰から呼ぶ。

 
 

 
 
  ◇  ◇  ◇


桂馬「どうしたんだよ、ボクのふりして青羽の相手、しとくように言っただろ」

ハクア「それが、まずいのよ……気づかれてるかもしれない」  眼鏡をかけ、桂馬のふりをしているハクア。

ハクア「応対が違うの。おまえのときと」

桂馬「錯覚魔法が効いてないのか……? 青羽に女神がいるせいで。歩美みたいに。
    それで、ハクアが悪魔だからヴィンテージだと思って警戒してるのか。
    それとも、あいつは単に鋭いから、僅かな違いに気づいて態度を変えてきてるだけか」

ハクア「どうする? 交代する? 青羽にウルカヌスがいるかも」

桂馬「…………」

ハクア「そっちはどうなの?」

桂馬「……いい。ボクはもうしばらく、ちひろの相手を続ける」

桂馬「邪魔だから、もういけ」
 

 
  ◇  ◇  ◇

ちひろ「ちょっと桂木。もう、一人にしないでよ」

桂馬「ごめん、屋台のゲームに夢中になってて」

ちひろ「子供なんだから」

 
 
ちひろ「エリーも大変だなー。こんな兄貴もって」


桂馬「ホントだな……(ボクの攻略についていけず、エルシィの心は、壊れたままだ)」

ちひろ「あー、ちびっと反省してやんの」

ちひろ「(もしも、兄貴がこれで、姉貴がこれだったら、もっと大変だろうねー)」



  桂馬(……そんなんじゃないな。
      ボクがこんな、現実<リアル>女の権化みたいな、ちひろを、
      好きになるなんて。
      天地がひっくり返っても、ありえない)
 

 
  ◇  ◇  ◇
 

ちひろ「もじもじ……」

桂馬「なんだ、トイレか」

ちひろ「こいつッ!…… デリカシーのかけらも」

ちひろ「そういうわけだから、ケータイで、お母さん呼んで!」

桂馬「ボクが連れて行ってやる」

ちひろ「ちょっと! やめっ、……トイレの前に連れて行けば
     終わりじゃないんだかんねッ!
     (トイレ介助が、必要なんだから……)」

桂馬「わかってる……(トイレで終わりじゃ無いぞ……
    いけるところまでいく!)」
 

 
 
  ◇◇ 障害者用トイレ ◇◇



ちひろ「放せー、このレイプ魔!」

桂馬「声を出すなっ!」  手で口を塞ぐ。

ちひろ「んむぅぅー!」  (ばたばた)

桂馬「なんだ、くねくねして、それで抵抗してるつもりか?」


  服の上から乳首をいじられ、ちひろは涙目になる。
 
ちひろ「な、なんで…よ………さっきまで、あんな優しかったのに」

桂馬「実は……ボクは、手足のない女にしか欲情できない、異常性癖の変態男なんだ」

ちひろ「えええ!」
 
桂馬「ふっふっふ。ちひろ。だから、だ。 ボクは、ちひろじゃないとだめなんだ!」
 

  
桂馬「ボクがいままで『リアル女に興味ない』なんて言ってたのも
    そのためだ。
    でもちひろ、きみのことを見てたら、もうガマンできない。
    ここでお別れなんてできない! ここで舞校祭が終わりなんて
    いやだ! もうやけだ! 犯してやる!」

ちひろ「いやああ、やめろっ! やめろオタメガっ、ゴキブリ男!」
 
        じたじた
 
桂馬「……(くっ、今日はリューネにも使って、ここ最近の連続使用で、
    疲労からにぶってきているが、やるぞ……)落とし神MSモード!」

   人間性を蹂躙してしまう禁断の技を使い、
   ダルマちひろを、めちゃくちゃのぐちゃぐちゃに犯しまくる桂馬。

ちひろ「ぃぃきゃぁあっっ」 ガクガク
 

 
  ◇  ◇  ◇
 
   手脚がない分、ちひろの体は軽い。
   まるで物のように、前向き、後ろ向き、横向き、上向き、下向き、
   様々な体勢でちひろを持ち上げて、愛撫と性交渉を堪能していく。

ちひろ「うぅぅ……」 びくびくっ

桂馬「どうだ? スカトロだるまアナルセックスは!?
    くそまみれになって、きもちいいだろ」

   すぱんっ すパン!!

ちひろ「な、なに、こ……っ! ぉっ。 …ぉんぁぁああああ!」 ビクンビクンッ!
 
桂馬「よし、イッたな。 ……この感覚をっ、思い出したか?」  グチュクチュ
 

 
ちひろ「ぇ、え………?」

桂馬「ふーん。まだ足りないか。……トイレに入ったら、なんだか、ボクももよおしてきたな」

桂馬「そうだ。いいこと思いついたぞ。おまえの尻の中で、小便してやる…」

ちひろ「……え」

   ちょろちょろちょろ

ちひろ「……あ…あ」

桂馬「ふっふっふ。こんなこともやったっけなぁ」

  ちひろの目と口をふさぐ桂馬。
 

 
  ◇  ◇  ◇

 
 
ちひろ「あ……もれる……もれちゃう……」


ちひろ「ああああああああああああああ!!」 びゅぶちゃああ…

桂馬「なんだよ。完全に大きいほうだったのか」

ちひろ「あ……ぁ…ぁ」

  ぼんやりとした目つきのまま、桂馬に抱かれ、股間から白いものと黒いものを
  あふれさせているちひろ。
  腰を一突きされ、再び絶頂する。

ちひろ「っ!?」

桂馬「だるまはいい。スカトロはいい。あなるはいい。全部あわさるともっといい」

ちひろ「…へんたい……ヘンタイ……なんで、こんなこと」

  ぎゅっ、とちひろを抱き寄せる。
 

 
 
桂馬「ボクは、ちひろがまぶしかった……


    ちょっと勉強ができるから、ボク、親にすごく期待されて。
    でも、そのプレッシャーに勝てずに、ボクは、ゲームの世界に
    逃げることしかできなかったんだ。(大嘘)

    けど、そんなボクと違って、今のちひろは、たとえ平凡でも、
    手足なんかがなくても、歌手になろうと、がんばってる。
    ちひろは、まぶしいよ  輝いてるよ」

ちひろ「かつらぎ……」

桂馬「ごめんよ、ちひろ……ちひろは…、ボクの女神だ」

 
 

 
  ◇  ◇  ◇
 
  場所を移動し、ひとけの少ない、図書館跡地付近。
  (ちひろの母親には電話して、すこしデートの時間を延ばしてもらっていた。)
 
ちひろ「順番、逆になったね」


ちひろ「私のこと好き…?」

桂馬「(だめだ、……ここまできて、記憶がない! ちひろに女神はいない…くそっ)
    ……好きなわけないだろ」

ちひろ「え」

桂馬「ボクが現実<リアル>女を好きになると思ってるのか」

ちひろ「え、冗談……だよね」   桂馬の豹変に、理解できずに戸惑う。

桂馬「………」   だが、桂馬はいつもの無表情で。

ちひろ「じゃ、じゃあ… どうして……あんな……」
 
桂馬「現実<リアル>女をだましてやったんだよ」
 

 
桂馬「お前、ずっとボクのことオタメガネとかゴキブリ男とかバカにしてきただろ」

ちひろ「……」
 
  絶望の顔になるちひろ。 まるで、リストカット(無理)でも
  してしまいそうなほどに。 やっぱりこうなった。

桂馬「だいじょうぶ……すぐ忘れるよ」
   「前、みたいにな」
   「じゃあボク、別のところ行かなきゃいけないから」
   「先帰る」
   「迎え、電話で呼んどく」

  もう、ちひろの頭には、桂馬の言葉はほとんど入ってこない。

  ただ、自分がやるべきことは、分かっていた。

ちひろ「」

         歩美「」


  桂馬「っ!」
 

 
         (骨の折れる音)

 
 

 
  ◇  ◇  ◇

桂馬「ちひろはハズレだった。青羽にいくぞ」 ボロボロ

ハクア「うわ……右手……なんか、すごい怪我してない?」

桂馬「ちひろに、『二度とゲームをできなくしてやる!』とばかりに
    右手を噛まれまくった。 ジャンプしやがったぞあいつ…。
    なぜか覗いてた歩美にも蹴られた。だが、しかたない。
    それより青羽の攻略だ…」

ハクア(切り替え早い)

桂馬「風瀬青羽に、最後の女神ウルカヌスか。
    青羽の万能さは、“女神の力の影響”か、あるいは逆に、
    あの才能・人間性に女神が引かれて入ったような何かと考えれば、
    いかにもありそうな組み合わせだな…………ふふ。
    思えば、“モブキャラ”に女神がいるわけないな。(※得意のメタ推理)
    その点、青羽は本命だ!」

 
 

 
   ~ ハクア『で。』 ~
 
ハクア「……ハズレだったわね、青羽も」

桂馬「くそぅ!」

   両手血まみれで泣く桂馬。


  (※ 過去編での異なる行動のための微かな『歴史のゆらぎ』か、

     小説のヒロイン達まで駆け魂攻略をする展開になった結果が、
     女神編で追加候補+2名の、“ハードモード女神編”であった。
     席が近く、攻略前から小さな好意がある吉野麻美と、
     同学年で無表情キャラ・難しい人間の風瀬青羽は、
     偶然ながら、ちひろが3人に増えたような、いい仕事をする
     トラップキャラと化した。犯された本人たちは不幸でしかない )


桂馬「もう深夜だ。今日が空振りで終わってしまった………。すまん……
    しかも、左手も青羽に噛まれた。 (ぐす。)
    ハクア、もしボクの手が、ずっと治らなかったら、代わりに、
    ゲームの文字送り、やってくれ…」

ハクア「ゲームは自分でやらないと意味ないんでしょ」

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
 
    ◇◇ その夜 桂木家  ◇◇

 

ディアナ「桂木さん……」
 
    桂馬のもとに、窓から訪ねてくる女神。
    少し、そっぽを向いて。

ディアナ「怪我の調子はいかがですか」

桂馬「ディアナか。(いつも窓から入ってくるな……。)
    ……手の骨が噛み砕かれてたらしいけど、
    こうしておけば、明日にはなんとかまともに動かせるそうだ。
    熱があったのも治してもらえたし、
    あとでアポロにお礼を言っておいてくれ」

 
 

 
  医術の女神による治癒と併せ、手の傷の治りを早くするため、
  両手が、石膏で固めたようにカチカチに羽衣で巻かれてしまった桂馬。
  眼鏡をかけることすら自分でできない状態で、ベッドに横になっている。

桂馬(ゲーマー生命終わるところだった…)


桂馬「…ゲームみたいに、呪文一言で全回復ってわけにはいかないんだな」

ディアナ「アポロ姉様の力が完全に戻れば、そういう奇跡も起こせるでしょう」
 
  まるで天罰を受けたかのように、痛い目に遭わされた桂馬。
 
ディアナ「ふふ……今晩は、あの妖しい“神モード”という術が使えないですね」

桂馬「(“術”か……) で、なにしに来たんだ」
 

 
 
     少し、居心地がわるそうに窓枠に座り直すディアナ。

 
ディアナ「女神探しは、順調ですか?」

桂馬「まぁな…。あと一人。消去法で、おそらく九条月夜にウルカヌスがいる」

ディアナ「……ハクアさんはどうしました?」

桂馬「エルシィを診てる」
 
ディアナ「……」

桂馬「なんだよ」

ディアナ「……」


ディアナ「桂木さん。私には…翼がありません」
 
ディアナ(私も、陵辱されたのに……あんなに愛されたのに翼が出ていない)

  

 
ディアナ「私、思い直しました。 やはり天理が愛を感じなければ……
      私の力は戻らないのです」


  ◇  ◇  ◇

ディアナ「天理のために、私はしばらく引っ込みます……」 「ですが、天理になにか
      乱暴しようとしたら、すぐに出てきますからね!」 「見ていますから」


桂馬(それは引っ込むと言うのか…)

天理「……!」  キィィィン

   天理にその場を任せ、ディアナは入れ替わって消える。
   突然、至近距離で桂馬と向き合わされる形になってしまう天理。

天理「あ……あの……ディアナがごめんね……」

天理「桂馬くん、すごく疲れてるのに」

桂馬「いいや」

 
 

 
  桂馬が【陵辱ルート攻略】を選択したために、
  ノーラのときも、七香のときも、デゼニーシーのときも、
  “本来”のように桂馬と関わる機会がもてなかった天理。
  突然、ディアナにこんな場を計らわれて、心の準備もままならない状態だった。
 

天理「……(どうしよう。ディアナはあんなこといってたけど、
    ま、マジック、見せようかな)…」

桂馬「…これはありがたい」

  だが、意外なことに、桂木桂馬はこの機会を心から喜んでいるようだった。

桂馬「天理、頼みがある」 「一緒にきてくれ」

天理「……!!」

  天理の脳裏に、これまで一日として忘れたことがなかった、
  十年前のあの記憶がよぎる。

天理(とうとう……くるんだ……他のみんなみたいなこと……
    ドーちゃんや、香織さんたちと、同じこと…………桂馬くんに
    ……私も…されちゃうんだ……!) どきどき

 
 

 
   ◇◇ ゲーム部屋 ◇◇

 
 
桂馬「見ての通り、天理、ゲームだ!」 「まずその電源をつけてくれないか」


  大きなディスプレイが6つ並び、それと向き合うよう設置された、
  桂馬の特製ゲームチェア。(3代目)
  
天理(……さ、さすが桂馬くん……きっと、ふたりで、エッチなゲームしながら
    ……なんだ。 ゲームのマネをしながら……
    私、はじめてなのに……ふつうのやりかたじゃないんだね)
    (※ ディアナがやられたのを知らない)

 疲弊しきった体をひきずるように、ゲームチェアに腰掛ける桂馬。

桂馬「すまないな天理。こんなことやらせて……
    (ディアナなんかが入ったせいで、完全に巻き込まれて、
    お前も災難だよな)」

天理「い、いいよ……」

桂馬「でも、ボクにとってゲームが栄養、ゲームが空気。
    元気を出すには、ゲームをやらなくては……」

天理(やっぱり)
 

 

 改めて、ゲーム部屋を見回す天理。

天理「し、司令室みたいだね……」
桂馬「…」

天理(冗談をいってみたけど……笑ってもらえなかったな……)

天理「ど、どのゲーム? ……2つも3つも同時にやるんだよね…」 「……司令官」
桂馬「……ふふ」

天理「けいま君……作り笑いしてくれなくていいよ……」
桂馬「……」

桂馬「いいや。思ったんだ」

桂馬「……みんなが天理みたいなら、いいのになって」


桂馬(どいつもこいつも、みんな…………感情ばかり強くて。現実<リアル>は。
    歩美もかのんも結だって、家でじっとしていてくれればいいのに。
    ちひろも。リューネも。エルシィも。
    その点、天理はなぜか言うこと全部聞いてくれるから、
    普通の女子みたいに、陵辱して屈服させたりする手間もない)

天理(……それって……やっぱり……)
 

 
桂馬「ゲーム、ひとつだけやってくれてればいいよ」

桂馬「ほんとうなら思いっきり6作はやりたいところだが
    今日はセーブモードだ。一人のボクがゲームから
    エネルギーを得て、残りのボクは寝てる」

天理(なにを言ってるんだろう……)

桂馬「それに、一般人にも勧められるエロゲーにする」

天理(なんだろうソレ)

桂馬「そこにある『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』というゲームをとってくれ」

天理「タイトル、長いね」

桂馬「……そうか。これは、長いのか。もっと長いのはいくらでもあるから。
    一般人の感覚は新鮮だ」
 

    棚には、女神探しのために、『積みゲー』状態になってしまったゲームの箱が並んでいる。
    【少女戦機ソウルイーター「どんなに穢されても…私の復讐は終わらない!!」】やら
    【女神ミュリエルは巨乳な幼妻 お嫌でなければ貴方の赤ちゃん産ませてください】やら
    確かに長い(変態的な)タイトル。 題だけで少しでも客にアピールしようとするからこうなる。
 

 
    そこから、天理は指定されたタイトルをとる。

桂馬「ああ、ちがう、そっちはサターン版だ。(それは一般ゲームだから
    小学生のころにやった。) 右にある、PC-98のを──」

  桂馬に言われ、ゲームをセットアップすると、
  天理は、モグラたたきのモグラのように、ゲームチェアの、
  桂馬とコントロールパッドの間にひょこりと頭を出す。

天理「そ、それじゃ、はじめるね……」
 
  すぐ後ろにいる桂馬の視線に緊張しながら、
  ゲームチェアの前方に載せられた、トラックボールに手を置く。

天理(これ……桂馬くんの手がいつも、ここにあるんだ)  ドキドキ
 

 
 
   (――― ゲームプレイ中 ―――)

 
 
天理「……」


天理「この女の人、前髪で眼が隠れてて、ちょっと前の私みたいだね……」

桂馬「………」

天理「…………」

天理「……(余計なこと言っちゃったかな……私がヒロインみたいだなんて……恥ずかしい……)」


   (――― ゲームプレイ中 ―――)


天理「……」

桂馬「…………(うつら)……」

  天理のプレイを追っているうちに、 これまでの疲労がどっと押し寄せ。

 
 

 
 
  いつしか、桂馬は、天理に覆い被さるようにして眠ってしまう。


天理「……!」

天理「………き、きた…(どきどき)」

  人間布団にされ、思わず石化したようになってしまう天理。
  荒い呼吸とともに、少しずつ、うつぶせに床に倒れこんでいく。

  激しい心音が、密着した体を通して、伝わってしまいそうで、
  その緊張が、天理の鼓動をますます高鳴らせる。
 

天理(…ついに私、襲われちゃうんだ…)

 
 

 
  ◇ 3分後 ◇

   桂馬の吐息に緊張しながら、なんとかゲームを続行していく天理。

桂馬「zzz……」

天理(体……熱い……パソコンの時刻表示だと……まだ3分しか経ってないの?
    1時間くらい経った気がする)



  ◇ 一時間後 ◇

桂馬「zzz……」

天理(桂馬くん……いつまで……私をこわがらせて……じ、じらすの……
    ………緊張で、体がへとへと)

 
 

 
 
  ◇ 二時間後 ◇


桂馬「zzz……」

天理(桂馬くん……もう、10年くらい経った気分だよ……まだなの……?
    …やるなら……ひとおもいに………)

 
 
  ◇ 三時間後 ◇


桂馬「zzz……」

天理(もう、時間が経ちすぎで……私……5回くらい人生、転生してる気分だよ……)

 
 

 
 
  ◇ 五時間後 ◇


桂馬「zzz……」

天理(……もう……だめ。 一晩中、緊張して……過労死……しちゃう……)


桂馬「ん~うぅ…………」


天理(……!)

天理(……おしりに、服越しに、カタイものが当たってる……)

天理(…これ、そっか、“朝勃ち”っていうの……なんだ……)

天理(…一晩、じらされて、じらされて、へとへとになった私を、
    手が治って、体力が戻ってから、やる気なんだ…桂馬くん……
    私、犯されちゃうんだ……
    ぁぁ……けいまくん…やっぱりすごい………すごいよ……
    その余裕……おちつき…………私なんて……
    ……けーまくん……神様……)

 
 

 
桂馬「ん……天理…?………んぅっ……」

天理(っ! きたっ……私……もう……もう……)

 いよいよ待ちに待った瞬間がきて、心拍数が最大まで上がり。

天理(もう……だめ………) くきゅ~  

  そのまま、心も体も限界がきて、意識が落ちていく天理。

桂馬「ぅ……ふぁーあ」

  目を覚まし、伸びをする桂馬。

桂馬「うん……なんだか……すごくいい夢みたぞっ!」

桂馬(夢の中だと、噂のゲーム “OneLeaf残酷版” が実在してて、プレイしてたら、
    なぜか本当にゲームの世界に入ったみたいに、すごく、やわらかくて、
    いい匂いで……ふにふにした感触が、あそこを刺激して……
    ……フフ、興奮のあまり、夢精してしまった♪)
 

 
 
天理「~~~」


桂馬「天理? そうだ、昨日ボクは、天理にゲームをさせながら、寝落ちして、……」

天理「~~」

桂馬「もしや、天理」

桂馬「……あれから徹夜でゲームをしてたんだな?
    そうか。そんなに疲れるまで、ゲームをやるなんて。
    天理もゲームの良さわかってきたか。
    うれしいぞ天理。あとでディアナになんとか言ってやってくれ」


ハクア「お……お前たち、なにやって……」

 
 
  ────10年前。未来からやってきた桂馬の鬼畜ルート攻略に付き合い、

  行動を共にしたせいで、幼心に多大な影響を受けた鮎川天理。

  彼女が期待するようなことは起こらず……、
  その背中に、翼が生えることはなかった。

 
 

 
 ~~~~~~~~~~


   ◇◇ 桂馬の部屋 ◇◇

ディアナ(桂木桂馬……約束どおり、天理には手を出そうとして
      きませんでしたね。
      私に、あ、あんなことをした、あの不潔で不気味で
      得体の知れない女好きの変態男が。
      とても、信じられません。

      なにか嫌らしいことをしようとしてきたら、姉妹の分まで
      懲らしめてやろうとも思っていたのですが。


      逆に、天理のそばにいることで、あんな、少年のように
      安心しきった寝顔を見せられたら……。)

   ディアナの中で、疲れて眠っている天理。
 

 
ディアナ(…………
      あの男は、まさか、本当に、悪魔の契約に迫られて、
      やりたくないのに、女性を襲っていただけなのでしょうか?
      今の女神探しも、私達を助けるため、やむを得ず?
      怪我までして、本当は紳士……?
      いいえ。 そんな、そんなはずは……)


    ( 桂馬『悪いなディアナ……今日は、お前を、犯しにきた』 )


ディアナ(わ、私にあんなことをしたのですから……)

 
 

 
 
    部屋の棚。 陳列されているゲームソフトの中から、

    ふと、気になる単語が目に飛び込んでくる。

ディアナ「……? このゲームは?」

 
    “女神”。

ディアナ「……私たち女神が題材になっている作品もあるのですね。
      これも、……あちらにも……何本も」

   手に取ってみる。

ディアナ「これらを見れば、あるいは……彼の真意が見えてくるかもしれません」

 
 
 
   (――― ゲームプレイ中 ―――)

 
 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
 
    ~ ハクア『 で。 』 ~

 
 
桂馬「…よし。手も動く。 天理のおかげでメンタルも回復」

 
    手をグーパーさせてみる桂馬。 『落とし神モード』の素振りも少々。
    痛み、そのものはまだ引いてはいないが、問題なく動かすことができる。

ハクア「……」 ←天理を襲ったと思ってちょっと怒っている

桂馬「ハクア。 さっきリューネと電話したら、様子がおかしかった。
    このあたり、ヴィンテージ増えてきたからな。ボクが女神と
    接触してるところを、組織の誰かに見られたのかもしれない。
    リューネからの情報も、一応は疑っておかないと。
    ボクは月夜を攻略するから、襲撃がないか、外も見張っててくれ」

ハクア「…分かったわ」
 

 
  ◇◇ 天文部 部室 ◇◇
 

桂馬「ん……なんかやたら暗いぞ……」

     ルナ「――――――――」

桂馬「わっ」

  突如。
  室内にもかかわらず、風が吹き荒れ、轟音が鳴り。
  ポルターガイスト現象、重力が逆転でもしたかのように、
  ソファーやテーブルが、宙へ躍り上がった。
  暗闇の中、桂馬は、見えない力で服を引っ張られ、吹き飛ばされ、
  壁際に追い詰められる。
 

  暗い部屋の中央、人形が怪しく燿く。
 

     ルナ「―――― 月夜 ニ ―――― 近づく ナ ―――」

 
 
                            ハクア(…!)

 
桂馬(あれは、月夜が大事にしている人形の……ルナ)

 
 
   ルナ「―――― 警告スル ―――― 月夜 ニ───近づく ナ ―――」

 
 
桂馬「なんだ。なんだっ (今度こそヴィンテージか、悪魔か、いや…)」


桂馬(……女神、だよな? でも宿主の月夜はこの部屋にいないぞ)

桂馬(状況が分からん、ここはひとまず知らないフリ!)
 
桂馬「これ、誰かのいたずらなの…か!? 誰かいるのかー!?」

 
   ルナ「―――私は―――正義ト精緻を愛スる女神――――」 

      「―――― ウルカヌス ―――。 警告スル ――― ――――」
 

 
桂馬「け、警告? ふざけるな! (でも自己紹介はありがとう!)
    ボクは桂木桂馬、月夜に会いに来た。
    おまえに、こんなことされる身に覚えなんてないぞ!?」

   ルナ「―――フザけてイルのは貴様ダ。

       カツラギ ―――― 貴様 ―― 随分──アチコチの 娘タチに
       手を出してイルようだな ――」

桂馬「ぎくっ!」
 
桂馬(見てたのか、こいつ?)
 

ルナ「歌手ノ娘 ――― 図書室ノ娘 ――― 陸上部ノ娘 ――― 特徴ノなイ娘

     ――― リボンノ娘 ――― 手足ノなイ娘 ――― 手足ノ上ニ目モなイ娘
     ――― 胸のナイ娘 ――― アゲクの果テニ……男……ダト……?」

ルナ「モハヤ 呆れを通りこして感心するガ、
    マだ 余力がアるヨウナノデ 警告スる ―― 月夜に近ヅくナ」

 
 
                     ハクア「……!」

 
桂馬(驚いたぞ…… 人形に女神がいるパターンもあるのか!)

桂馬(最後の女神・長女ウルカヌス……。流石、やるな。最後になるわけだ。
    ヴィンテージの追っ手から逃れるため、あえて人間の中には入らず、
    月夜の愛を存分に受けられる人形・ルナの中に入る……
    そんな芸当ができるなんて!)

桂馬「ならばやることは一つ! 人形レイプ!!!」
   ガバリと襲いかかる桂馬! 加わるハクア。
ルナ「な、ヤメロ、おっ、おまえらナンダ 人形の乳首触ッテ 喜んでるでナイ!」 たじっ
桂馬「まさか人形を攻略することになるとはな! だがモノが相手でも、
    ボクの股間はギンギンだ!!」   ビンビン
ルナ「ヤハリこやつヤバイ…」
ハクア「おとなしくしなさいっ (人形レイプの手伝いなんて、私、なにやってるんだろう……
     私、新地獄の誇りのために戦ってるのよね?)」

  ルナの股間部分に穴を開け、容赦なく挿入、腰を打ち付けていく桂馬。
 
ルナ「ハナせ、コノッ」 カン! カン! カン!

  自分が襲われるとは予想だにしておらず、訳が分からずもがき抵抗するルナ。
  だが、愛が弱く、力も弱い。ハクアの拘束と、神モードの魔の手、否、神の手が、
  その体を絶対に逃がさない。

桂馬「はぁっ、はぁっ、放すもんか! るなー! 膣内<なか>で出すぞ!」

 
ルナ「やめ、ヤメロ、月夜ーー! 助ケテクレー!」 がくがく

桂馬「ぅううううう!」 びゅる! どぴゅぴゅ!!

   神モードの力で、数秒という信じられないスピードでルナを襲う、絶頂。そして精液。
   早撃ちガンマンに奇襲されたようなものである。

ルナ「ぅぅ……
    なんダカ、わかラないうちに…
    汚……サレテしまった……コンナ……男ノ手デ……感覚があるノデ……
    感じてシマッた……気持ちよくなってシまッタ……
    私ニはもう……月夜の親友デイル、資格は、ナイ……」

   股間から精液をあふれさせ、打ち捨てられている人形。
 
桂馬「ふふ、まだまだ、こんなのは序の口だ……ここからだぞ!」
 

 
ルナ「ヒェェ! ……鬼畜! ………貴様…人間ではナイ!」

桂馬「呪い人形が人間を恐がるんじゃない! 股を開け! ぺろぺろぺろぺろ!」

ハクア「エルシィが鬱病になるのも分かる気がするわ……」

ルナ「ヤメロ……ヤメろ…イヤァぁ……」

桂馬「おまえが最後の攻略相手だ! ボクがこれまでの、すべての攻略で
    培ってきた技術を、総・結・集させて……犯す! イかせまくる!!
    落とし神MSモード、最終章!」
 
  業火のように手を増やす『落とし神』の姿は、あたかも、三界の勝利者と呼ばれる
  五大明王の一、『降三世夜叉明王』がごとし。
  その様は、東の火の神降三世が、西の火の神ウゥルカーヌスを自らの炎で
  飲み込まんとしているようであった。 (訳:すごい人形レイプ)
 
  ◇  ◇  ◇
 

 
  ◇◇ 屋上 ◇◇


月夜(※ウルカヌス)「……」    ベンチに座ってすごい汗をかいているウルカヌス。

    ダダダダダッ  バン!

桂馬「またこのパターンか! 幽霊のときと同じだな! いい加減にしろ!」
 
    猛スピードで駆けつけてくる落とし神。

月夜(ウルカヌス)「ま、まずい、本体の私の場所が知られた……!?」

桂馬「やっぱり月夜が女神じゃないか!? 人形とセックス続けさせやがって
    もう頭きた、手っ取り早くあのときの合法ドラッグをまた使ってやるよ!
    必殺・5MeODIPT(ゴメオディプト)!」   (※今は違法です)

   落とし神の毒牙と薬物が、ついに月夜の肉体にダイレクトアタック。


月夜「んあぁああああ! 落ちる、落ちるぅ! 屋上から落ちるのですね!!」
 

 
   目が見えないことに薬物が手伝って、あの日の記憶がフラッシュバック。
   幻覚を見てしまう月夜さん。小さな体が痙攣する。

桂馬「かみのみわざをうけろー!」 シュパパパパ

月夜「このげだものぉ゙っー!!」 クチュクチュグチュ

ハクア(クスリはやめなさいよ…)

桂馬「あー手が痛い――――血だ……でもボクのじゃない……月夜、生理中か………
    けど手加減しないからな」 パンッ! パン! 「……ほらイケよ……
    ───月夜……きみを忘れようといろいろやったけど、ボクは、やっぱり
    きみを愛してるんだ…(棒)……あの日の小さな妖精を……。
    人形を抱いたのも、きみの匂いを感じたくて……ずっと素直になれなくてゴメン」

月夜「うそっ、うぞ、嘘ヴソ……」 ガクガク
 

 
桂馬「月夜だって、ボクの様子をチラチラ調べさせて、ずっーとボクを
    気にしていてくれたんだろう……うれしいよ……二人で正直になろう…
    ……だから、とっととイケ……この神の手で………ちゅ…!」
 
月夜 「ぃ、ぐぅううう、イクのが止ま゙らないぃ!!?!?」  びくんぴくん

        バサァア!
  
ハクア「あ。翼が生えた」

ウルカヌス「ぁ……が…………ぶくぶく…ぶくぶく」 キッィィン

桂馬「ふぅ。ボクにつっこまれたまま、口から泡吹いて、気を失ってるぞ…
    …まったく。しっかりしろよ女神。
    ハクア。家に運べ」

ウルカヌス「~~~~」

ハクア「最初からそうだけど、完全にただの婦女暴行誘拐犯ねおまえ」

 
 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
   ◇  ◇  ◇

 
 
  こうして、幾多もの犠牲を払い、“ユピテルの姉妹”は集められた。

 
  だが、乱暴な『陵辱ルート攻略』が起こした様々な悲惨な結果、───妊娠した
 高原歩美───ヤンデレ傾向が治っていないどころか逆に悪化した中川かのん
 ───サディストになってしまった結など───その修羅場ぶりから、女神が糧と
 する 『愛の力』 は弱まり、その魔力は、正統悪魔社<ヴィンテージ>の悪魔たちや、
 高魂度の駆け魂<ヴァイス>らと、安全に戦うには、到底、十分に復活しきれていると
 言えるものではなかった。
 
  駆け魂狩りの【失敗すれば自分が死ぬ】から、女神探しでは【失敗すれば人間界
 が滅亡する(かも)】にランクアップして、悠長なことは言っていられなかった ・ 他に
 手段が(思いつか)なかった、とはいえ、やはり、陵辱という非倫理的なやり方は、
 女神たちの反発も当然、招いたのだ。

 
 
  しかし、それも、新地獄の秩序を、そして人間の世界を守るためという大きな

 目的があってのこと。
  今回の件で、根本から裏切られ、ある意味で誰よりも “利用され” 続けたのは、
 女神たちでも、宿主たちでも、バディーのエルシィやハクアでもなく……
 

 
 
 ──────────────────────────────

 
 
  受話器の向こうから、低く冷たい、リューネの声が聴こえる。


  『裏切りもの…。ぶつぶつ……… 一生恨んでやる……呪ってやる…
   …いや、……もう仕事なんてどうでもいいか……

   落とし神…………これから……殺しに……───』 
 
 
  ....ブツリ。と、通話が切れる。

 
 
 桂馬「…………」

 
 ──────────────────────────────

 
 

 
桂馬「───というわけで。リューネによれば、明日にも正統悪魔社<ヴィンテージ>の
    手で地獄の門が開かれて、大量の古悪魔<ヴァイス>に地上が奪われ、
    ここが旧地獄にされてしまうらしい。
    そしたらゲームの新作が発売されなくなってボクは非常に困る……。
    生きる希望がなくなる。 (必死)

    おい女神たちっ、注文どおり全員集めてやったんだから、
    いい加減ダラダラしてないで一本岩に向けて出撃しろ!」


マルス    「姉さま方、大丈夫ですか」
ミネルヴァ 「……こわい……」
メルクリウス「足が、無い」

ディアナ   「私も翼がありません」
アポロ    「腹の具合が…」
ウルカヌス 「目が見えん…」 だらだら… 
 

 
桂馬「ほう、そりゃギリギリのバトルになるな。……燃えるだろ? ホラ、早く行けよ」 鬼畜イケメン

女神たち 「サドだ…」 「もう嫌」 「女神の病体に鞭打つとはなんという男だ」
   「お前が戦え!」 「他の天界人は何をしているんだ」 「元気なマルスだけが頼りぞよ」 ぐだぐだ…


 不満たらたらの〔桂木桂馬 被害者の会〕もといユピテルの姉妹のみなさん

 もしも純愛ルート(6股だけど)ならば宿主のために桂馬を取り合ってくれたのだが…
 こういう攻撃的な目線を投げかけられるのも、陵辱ルートの一興・醍醐味である。

 
 
   ~  ハクア「で…」  ~


ウルカヌス「皆のもの、ひどい男に叩き起こされたかと思ったら、
        また戦うことになって戸惑っていると思う。
        復活したとはいえ、愛は少なく、力も不十分だ。
        おそらく宿主の体はますます傷つくだろう。
        幾人かは、助からんかもしれん……。

        しかし我々はやらねばならぬ。覚悟を決めよ!
        ……
        みな、遺書を書いてから発つように……あと……死んだときの財産分与だが…」 だらだら
 
桂馬「早・く・い・け」
 

 
   ◇  ◇  ◇

 
 
桂馬「行ったな……。さて。恐らくリューネが、ボクを殺しに来るだろう。

    これまでさんざん利用してたのがバレて、相当恨んでるからなボクを。
    つきあい、長かった分、逆に……。
    カムリたちのつくった羽衣人形で、どこまでごまかせるか分からない。
    できれば女神たちが解決して帰ってくるまで、逃げ切るぞ」
 
  エルシィをおんぶして家を出る桂馬。
 
ハクア「エルシィ、しっかりしなさいよ、
     ここにいたら、ご……桂木のついでに、リューネに殺されるわよ」

エルシィ「……。……うー」

    この非常事態に役に立てないという無力感がまた無気力を呼び、
    エルシィは、どんどん鬱症状のスパイラルに陥っていた。
    今では、大きな鬱の波が来たときは、トイレにいく気力もわかず、
    ベッドで出てしまうこともあるほどに。

エルシィ「…いーですよ……置いてってください……私なんて」  うじうじ

 
 

 
  ◇◇ 同時刻 ゲームショップ・オジマップ鳴沢店内 ◇◇


  桂木桂馬と思しき人影に、またがって
  全身48箇所に刺し傷を与えているリューネ。

桂馬の形をした羽衣人形「――――」

リューネ「またダミー。………ぁぁぁあ!」 ガンッ ガッ

客 「ひぇぇぇ」
店員「ちょっと、きみっ」

  偽物だと分かっていても、癇癪にまかせて、切りつけるのをリューネはやめられない。
  『落とし神を刺している』、そう思うだけで、息が乱れ、脈拍が上がり、多少怒りが
  収まるようで、さらなる飢餓感に襲われる。“こんな紛いモノで弄びやがって”。
  鬼の形相でカッターナイフを振り回し、自傷までする少女に、周囲は近づくことをためらう。
 

 
店員「早く救急車をっ! ……ぁぁ、うちのお得意さんが刺されたぞ!
    (畜生、来月からの売り上げが! 売り上げがぁ)」
客 「ァァああ、人が……、……こ、これ、人か…?」

リューネ「本物はどこだ……見つけ出して…殺してやる……逃げるなよ………」 ブツブツ


  ◇◇ 鳴沢市上空 ◇◇ 

リューネ「(ぶつぶつ)……あいつ、最初からハクアの味方だったんだ………
      ……私と揃いが良いって、言うから……首輪を、私と同じに…
      …してやったのに……(ぶつぶつ)……
      ……聞きたいっていうから、……作戦のことも……教えてやって……
      うれしそうに…。……しね………刻んでやる……骨も……
      ……腹を……開いて……見て…やる。 本当の、腹の中を……
      …ニセの情報をいろいろ流して………今の居場所も……でたらめ……
      ………フィオーレってやつも……とらわれた…
      ……ハクア・ド・ロット・ヘルミニウム……私を嗤ってやがったのか……」

 
 
   ローターみたいな形の例の通信機が、耳障りに鳴っている。


  『リューネ、緊急召集をかけろ、女神たちが門を───』 『───駆け魂隊も─』

リューネ「うるさいっ……しるか。……」

  空から放り捨てた。
 

 
  ◇◇ 舞島学園 屋上 ◇◇ 


ハクア「こんな時でもゲームやるの、お前?」

桂馬「もうボクの主な役目は終わった。 女神たちなら勝つよ」

  いまだに噛まれた手が痛むので、足下にゲーム機を置いて、
  靴下を履いた足の指でPFPを操作している桂馬。


桂馬「ここからは、もう、女神たちの“脇役”としての仕事をするだけだ」

  ゲームではRPGあたりでよくある展開。
  脇役『こいつは俺が引き受けた、お前たちは先に行け!』

桂馬「リューネのやつ、ああ見えてヴィンテージの重要人物だからな。
    ならこうして、女神たちの『戦場』から引き剥がしておくのも、
    統率が悪くなったり、小さくても意味はあるだろ―――」

ハクア「プラス思考…」

エルシィ「……」  パジャマ姿のまま、タオルケットにくるまっている小悪魔。

 
 

  
  
   “……おまえは馬鹿だよリューネ。 女神は、全員集まった。”

 
   “おまえのお蔭でな。”
 
   “ボクが、誰のために動いていたか知ってるか?”
 
   “おまえには分からないだろうな。だから騙されるんだ”
 
   “バーカバーカ、前髪ぱっつん”
 
   “バディーの中学時代の制服のお下がりなんて着てんじゃねえよちーび”
 
  リューネに、投げかけた、言葉。


桂馬「……」

ハクア「思えば、最後のは子供みたいな挑発だったわね…」
 

 
  ゲームを進めながら、つぶやくように話す。

桂馬「ハクア、……リューネには、ボクがつけた大きなキズがある。
    戦いになったら、そこを狙え。
    服に隠れて見えないが、遊園地でリューネの裸を見せたことがあっただろ、
    覚えてるか。  あれから、またちょっと増やしたから、その分、説明するよ」

ハクア「───わかったわ」

ハクア(あのとき……こいつ………私に勝たせるために……?)

 
 

 
   ◇  ◇  ◇

 
 
   舞校祭のステージから、屋上まで、歌声が響いてくる。



    ♪ ~~♪ ~~♪♪

 
ハクア「アカペラの曲……
     ちひろが一人で歌ってるのね」

ハクア「……。………強いじゃない? あの子。
     結局、夢だったバンド活動ができなくっても。
     たった一人でも」
  
エルシィ「……」

   ベンチに、向こうをむいて座っている桂馬の、異変に気付く。
 
エルシィ「にーさま、泣いてるの…?」
 

 
桂馬 「リューネ、ごめん……………ボクは、あんなこと言うつもりじゃなかったんだ……」


ハクア「……────」「(……精神状態おかしいのかしら)」

   あきれるハクアをよそに、

エルシィ「…………」 「……ぁ」

   流す涙を見て、ふと、妹は“理解”した。


エルシィ「……。 にいさまも、傷ついていたんだ……」

 
 

 
エルシィ「ハクア……」

エルシィ「私、かんちがいしてた……。
      神にーさま、全部きらいなんだって。
      リアルがきらいだから、
      どんな残酷なこともできるんだって」

ハクア 「?」

   エルシィは、立ち上がり、ハクアにふらふらと歩み寄って言った。

エルシィ「……でも、ちがうの、にーさまは」


エルシィ「リューネさんのこと、好きだったんだよ……」
 

 
ハクア「え……?」

 
 
   まるで自分自身に、整理をつけるように、

   心を表せる言葉を探るように、エルシィは、話し出す。
 
エルシィ「私たち……、神にーさまのこと……
      エッチゲームを、一度に5個も10個もぷれいしてる、
      神にーさまの、そんなところ……
      きもちわるいとか、ヘンタイさんだとか、言うだけで、
      神にーさまの気持ち、分かってあげられなかった。
      あたりまえかもしれないけど
      だって、私たちと、神様は、ぜんぜんちがうから……。

      でも……、それを分かってあげられてる女の人がいたんだ、
      おなじ趣味の、“通じ合える人”。
      …………それが、リューネさん」
 

 
エルシィ「ディアナさんから、ユピテルの姉妹のお話を聞いてたときだって、
      にーさま、リューネさんとメールのやりとりしてた…
      裏・落とし神っていう、うぇぶさいと……
    
      女の子を、犯して、いじめる趣味の、生粋の“さいこぱす”さん同士、
      にいさまの友達になれるのなんて、リューネさんだけ。

      あんなに楽しそうにゲームの話をする神にいさまのこと、
      私、一度、分かろうとしたけど、結局、私じゃ、できなかった。
      だって、女の子がおなかを破られて殺されちゃうゲームなんて、
      私、あんまり好きになれなくて
      ……でも、リューネさんには、それができたんだ」

 ───落とし神・桂木桂馬が、ゲームをやっている時にだけ見せる、心からの笑顔。

エルシィ「リューネさんだけが、にーさまと、あの笑顔を分かち合えたんだ」


   中川かのんが刺されたとき、ベッドの中、現実逃避して見た夢。

   共通の趣味、『ゲーム』を通して、愉しそうに恋愛している桂馬の姿。
   あれは、本当にあったのだ。
   『桂馬がギャルゲーのノウハウで、純愛の攻略をしている』というエルシィの
   夢の世界ではなく、『陵辱の攻略をしている』、この現実<リアル>の世界にも。
   ただし、青羽ではなく、リューネで。

   そして、ほんの少し、ほろ苦い悔しさがエルシィの胸を刺す。
 

 
エルシィ「ハクア……。私、なんてバカだったんだろう。
      私が、自分ばっかり傷ついてると思ってるとき……
      部屋で、体育座りして、泣いてるとき……

      にーさまは、攻略の鬼になって、自分の好きな人を傷つける
      苦しさを、抱えながら、 胸が痛いのに、ガマンしながら……
      リューネさんをだまして、ヴィンテージのたくらみをつきとめて、
      女神さまたちを出して、守って、ぜんぶぜんぶやってくれてたんだ。
      ダメな私のぶんまで、ぜんぶ……ハクアも……」

ハクア (桂木……)

  (  桂馬『リューネのやつに、洋菓子でも買おう』  『あいつよく食うから』 )
  (  桂馬『気のいいやつだよ?』 )
 
  (  リューネ『気に入ったよ』  『私のバディーならよかったのに』 )
 
ハクア (あいつら……)
 

 
   ちひろの歌が、終わろうとしている。
 
エルシィ「でも、にーさまは……、人を好きになるの、不器用で。
      だから……」

エルシィ「にーさま、……本当は、リューネさんのところに
      行きたかったのかもしれない……
      “くそげー”の世界なんてどうでもよかったのも
      しれない、
      でも、やっぱり私たちを、選んでくれたんだ……」

 
 
   エルシィは、決意を込めた目で、髪をまとめ、縛った。

 
 
エルシィ「ハクア、いままで、ごめんなさい、

      私も…戦う。 にいさまを、リューネさんに殺させたくない。
      それに、できれば救ってあげたい、…あの人も」

ハクア 「エルシィ。おまえ…」

ハクア 「元に戻ったのね…」


ハクア (ううん、前より、立派になったみたい)

桂馬 (にや…)

 
  ◇ ◇ ◇


   屋上の給水塔の上に立って、襲撃を警戒するハクアに、桂馬は念を押した。

桂馬「ハクア! 遊園地での話、覚えているよな。
    リューネ達は首輪をいじっているから、そのバディーの人間、
    結崎って人だが、リューネが死んでも死なない。平気だ。
    だから、いざというとき、お前自身を守るために、ためらうな!」


ハクア「……。……ありがと、私達を選んでくれて」

   屋上の強い夜風が、ハクアの髪を揺らす。

桂馬「なにか言ったか!」

ハクア「なんでもない!」

ハクア「(……だって、そんなの、当たり前のこと)」


   3キロ先の上空で、冷たい瞳がこちらを見据えている。

     リューネ「……」


ハクア「来た……」
 

 
   暗い夜空、二人の悪魔が、刃を合わせ、火花を散らしている。
   教科書通りといえる完璧な動きで、羽衣を舞わせ、“証の鎌”を振るうハクア。

   だがリューネは、旧地獄の魔法、強い魔力と、経験と狂気とを武器に、
   その一枚上の戦いを演じる。

 
 
桂馬(……あれじゃエルシィがいたところで、足手まといだ)


   ハクアを優勢にしてくれるだろうと期待していた、
   以前つけておいた傷も、囮に振り回されてきたであろう消耗も、
   リューネを支配する激昂の前には、意味を成さないようだ。

桂馬(でも……あの戦い方……)

   桂馬はゲーム機を仕舞う。

桂馬(ハクア、無理はしなくていいと言ったのにな)
 

 
   息を吸い込み、夜空の月に向かって、声を張り上げた。
 
桂馬「二人とも、もう戦うのはやめろ!」

リューネ「落とし神……!」

   桂馬の姿を認めると、リューネは目を見開いて笑い、
   ハクアを無視し、一直線に飛び込んできた。
   人間の動体視力の限界を超えて、月を背に、
   夜の闇、風を切って迫り来る白衣の人影。

   植え込みの陰に隠れていた第三の悪魔が、飛び出し、
   桂馬の前に、立ちふさがった。

エルシィ「勾留ビン、吸ってーッ!」

リューネ「……っ!」

   ハクアに追いつかれる前に、奴を切り裂けるようにと、
   自分自身が出した全開スピードに、リューネは抗いようがなかった。
 

 
  ◇  ◇  ◇
 

ハクア「片付いたわね。文字通り」

 リューネ「……! っ……!」

   瓶に囚われている、小人になったリューネ。
   正式名称、特殊甲式勾留瓶B55S。エリートの駆け魂隊だけに支給される、
   この官用品は、新悪魔より魔力の強い、古悪魔を封じるための装備である。
   エルシィが使っても、あらゆる悪魔を一撃で封じる決定打になりうる。

 
ハクア「リューネ。おまえ頭に血が昇りすぎだったのよ、
     あんな陽動にひっかかるなんて。よっぽど桂木を殺したかったのね。
     ……わかるわ。その気持ち」

エルシィ「普通に戦ったら危ないですが、こうやってビンに入れちゃえば……」

    リューネが、カッターナイフの柄でビンの内部を叩く。
 
 リューネ「なんでだ……」 「なんでそっち側にいる…」 「落とし神……」
       「……おまえは」 「 “こっち側” だろ…………!」

桂馬「……」
 

 
 リューネ「お前」 「約束したよな……」 「一緒に、この世界を壊すって…」
       「“クソゲー”だって言っただろ、このセカイは…」 
       「だから、この地上も、新地獄、ぶっこわして…」
       「……“どんなことも叶う”セカイに…」 「……っ」 

桂馬「ありがとうリューネ。でも、もういいんだ」
   「動いちゃダメだ。そこで寝ていろ」
   「人間の世界 ・ 現実<リアル>は、“クソゲー”だけれども。でも、ボクには、
    このクソゲーの世界をぶっ壊すより、もっと大事なものがあるんだ」

 リューネ「……」      (※ゲーム)

    すっと表情を失う、白衣の悪魔。
    これで終わりのはずだった。
    だが、鬼の少女は、古い悪魔の言葉を静かに呟きながら、頭を抱え……。
    片方のツノを折り、それに呪文を吹き込み、ビンの内部に打ち付けた。
    ピシリと、
    拘留ビンに亀裂が走る。

ハクア「うそッ、こいつビン割れるの!?」

エルシィ「わあぁー」 あわあわ
 

 
    瓶のマーブルロックシステムに練り込まれていた魔力が漏出し、
    辺りは白い魔力煙に包まれる。

    ……『本当の地獄』の術を使い、ビンを割って姿を現すリューネ。


    飛散した破片の一つが、桂馬の眼鏡に当たり、落とす。
    桂馬の目尻に、二本、赤い筋ができ、血が滴る。
    破片と煙にまみれながら、リューネは、逃げようと背中を
    向けたエルシィに、横薙ぎの一閃を与えた。
    エルシィの背中とポニーテールが、かまいたちに遭ったように
    斬られ、髪の黒と血の赤が散る。
    ハクアは煙に紛れてなんとかリューネに一撃を食らわすと、
    桂馬を抱え、飛んだ。


ハクア「エルシィも早く! 逃げるわよ! 飛べるわね!?
     ……ビンが効かないヤツがいるなんて、もうどうしようもない!」

エルシィ「は、はぃ!」
 
リューネ「……ぁぁ……あぅ!」
 

 
 
  数秒飛んで、振り返る。

 
ハクア(……? 追ってこない…)  (………あいつ、上手く飛べないの?)
 
リューネ「……、…!」

  リューネの異変に気づき、空中で判断を変えるハクア。

ハクア(さっきのが効いてる。 ビンを壊すのに、力を使い果たしてた……?)
    (羽衣も、ビンに吸われて半分散ってるし)
    (………なにより錯乱してる)

桂馬「エルシィ、傷は大丈夫か」
エルシィ「あのっ、あっ、背中、どうなってますか!?」
  興奮で自分の怪我の重さもわからないエルシィ。

ハクア「……切られてるけど、浅い。 髪の毛が代わりに切られたのね」

ハクア「攻勢に出るわよ、冷静さを取り戻して、なにかされる前に!」
エルシィ「う、うんっ」

  ハクアは、遠距離から用心深く羽衣を伸ばし、リューネをはたき落とす。
  鈍い音を立てて、低空から屋上庭園に落下するリューネ。
 

 
  再び、羽衣を操って、リューネの小さな体躯を持ち上げる。
  そして勢いをつけ、無慈悲に、振り落とした。
  コンクリートに激しく叩きつけられる、白衣の小柄な悪魔。
  さらにもう一撃。掴み上げ、投げ落とす。

  今度はエルシィの助けなど要らなかった。
  
  幾度も。幾度も。コンクリートに、めり込ませる。
  血に汚れ、赤黒くなった白衣に、目をそむけるエルシィ。
  


リューネ「────」

  動かない。

  屋上に着地し、ハクアは、“証の鎌”を掲げ、無言で歩み寄る。


  もはや動けない相手。リューネの性質。桂馬のこと。ハクアの感情……それらを併せて、
  “とどめを刺しにかかるのだ”と察すると、
  エルシィは、声をしぼり出していた。

エルシィ「は、ハクア、だめ!」
 

 
ハクア「……」
 
ハクア「―――リューネの首輪は、契約が切られてて…バディーは死なないわ」
 
ハクア「――ごめん、秘密にしてて」

エルシィ「……バディーの人のことじゃない、リューネさんのことっ」


   ハクアは、あの“デート”の日。何度も、何度も、リューネを説得しようとして、
   その度、徒労に終わり、承知していた。

   外見は自分達とよく似ているが、“これ”は、改心などはしない。
   ツノ付きの連中は、古悪魔に近いと言われるが、特にこのリューネという悪魔は。
   自分たちのように、誰かを思いやる心、大切に思う感情なんて、
   一生、持ちはしないのだ。
   ここで情けをかけたとしても、 ……永遠に。

   そんなやつが、桂木桂馬と接触し、誘った。
   殺してしまうのが、新地獄のためだ。こいつのバディーのためだ。桂木のためだ。
   私のためだ。 今だけ、心を古い悪魔のようにして。
 
ハクア「……」 反撃を警戒しながら、無言で距離を詰めていく。

エルシィ「ハクア。聞いてよっ! きっとリューネさんも同じなの。…私や、ハクアと」

ハクア「―――――……」


   でも、ハクアには、リューネとの戦いに入る前、夜闇の中で、一つ、想像したことがあった。
 

 
   【もしも、逆に、桂木桂馬がリューネの側についていたら?】
 
   遊園地のデートのとき、桂馬は、これまで攻略した誰よりも、
   自然体で、リューネと意気投合しているようにも、見えた。

   桂馬が、もし、その凶悪性とリューネとの仲から、ハクア・新地獄側ではなく、
   リューネ・旧地獄側について、ゲームオーバーになったら。
 
   女神がリューネに引き渡され、ヴィンテージの勝利が決まってしまったら。
  
   立場が逆だったら。

 
 
   ……自分は、リューネのように、せめて私を裏切った桂木だけでも殺してやろう、

   と、やるべきことを放りだし、感情のままに飛んでいただろうか。

   そんなことはするわけない、自分は理性的なんだから、と否定はできる。

   でも、実際にそうなってみたら……わからない。


エルシィ「だって。リューネさん、こんなにぼろぼろになっても……
      にーさまのところに…来たかったんだから……」
 
ハクア「……」
 

 
ハクア「………」   血まみれで倒れる、リューネ。
 
  そう。
  もしそうなったら、自分も、きっと、このリューネみたいに、
  どんなにボロボロになっても、『会いたい人』に、会いに行く。
  そして、一発、食らわせてやる……
  と。 ハクアには、そう思えた。


エルシィ「……そうだよね。リューネさん」

リューネ「―――」
 
  エルシィは、怖れることなく、リューネに駆け寄った。
  うつ伏せに倒れている白衣の悪魔は、気を失っているよう、もしかすると死んでしまっているようで、動くことはない。

  ハクアは息がもれた。
 

 
ハクア「縛るだけよ。私は新悪魔。この鬼畜とは違うわ」

  リューネの息を確認し、拘束するため、歩み寄り、羽衣を展開するハクア。

  そのときを待っていたかのように。
  リューネの目がギョロリと開き、カッターナイフが、自ら蛇のように飛びかかった。
  死角からの不意打ち。
  蛇状にうねるカッターが、ハクアの足の肉を切り裂き、“足の中”に侵入する。

ハクア「きゃ、ぐきゃぁぁあ」

 激痛。流血。
 ナイフはハクアの体内を“泳いで”、脇腹から飛び出し、リューネの手に収まった。

リューネ「はははは! ひっかかるか」  エルシィを突き飛ばす。

リューネ「お前、甘ちゃん過ぎだろ? 笑える」  リューネは、奥の手を残していたのだ。

ハクア「……が…ッ…」  金魚のように、口をぱくぱくさせる。
 

 
 リューネがハクアを引き寄せ、首にカッターナイフを突き込もうする。
 その一瞬で、ハクアの脳裏に、様々な後悔が走った。

 ―――― 警戒をゆるめてしまったのは、やさしさではなく、油断だった。

 エルシィには判らない分、自分がリューネの状態を見破らなくてはいけなかったのに。
 エルシィは、精神を病んでいたのだ。それでも立ち上がり、一度はリューネの
 勾留を成功させてくれたのに……
 本来、戦力にならないはずの桂馬も、リューネに傷を、弱点をつくり、
 その場所を肉眼で教えてくれて、首輪のことを話して、気兼ねなく戦えるように
 してくれて。 そこまでお膳立てをしてくれたのに……

 最後の最後で、自分が、なんていうミスをしてしまったのか。

 もし、10秒でもいい、過去に戻ってやり直せる魔法があるなら、何でも支払う。
 でも今となっては全て遅い。
 あの暴れるナイフを首の中に突き入れられて、私は死ぬ。
 そして、そのまま桂馬も、エルシィも。
 なら、せめて、私が殺されている間に、エルシィには、桂馬を連れて―――

 そのとき。

 桂木桂馬が、ハクアとリューネの間に、割って入っていた。
 眼鏡もかけず、顔から血を流したまま、
 桂馬はリューネに、その唇を合わせる。
 

 
 
リューネ「…っ!」


  キスをされ、動きが止まる。
  桂馬の流す血が、ふたりの口の中に入った。

桂馬 「…ハクアと戦っているとき」 至近距離で見つめて。

リューネ「っ…… ……………………」

桂馬 「リューネ。お前は、……」

桂馬 「おなか、守ってた」

リューネ「……っ」

桂馬 「リューネ。リューネっ。 きみは」

桂馬 「妊娠しているな」

リューネ「っ……!?」  手から、ナイフが滑り落ちる。

桂馬 「ボクの子を」

   桂馬は横からリューネを抱きしめ、そしておなかを、愛おしく撫でた。
 

 
リューネ「……」  これまで見せたことがないような、キョトンとした表情。

  再びやさしくキスをする。

桂馬 「【ゲームで負けた方が、なんでも言うことを聞く】、……デートのとき、
     “賭け”をしたよな。 今、使う」  「…………産め。ボクらの子を」

リューネ「…ぁ……」  体中の力が抜け、よろけ、仰向けに倒れてしまう。

  視界に、夜空が広がる。

リューネ「?…な………だよ…… 私、わたし…が 腹を… 守ってたのか……?」

リューネ「……?…??」

  諦めたように、目を閉じる。

リューネ「ハ……ハ……」  自分の理解を超えたできごとに、思わず小さく嗤ってしまう。

  落としたナイフを手探りで探していたものの、
  やめて、自分の腹部に手をやるリューネ。
 

桂馬「……ああ。よくやった……よく守ってくれたな」
 

 
  リューネの呼吸が、乱れていく。

  桂馬は、リューネより先に拾った、カッターナイフを握ったまま、
  覆い被さるように、抱きしめる。
 
リューネ「ん、気がつかなかったよ……

      ……私が……そんな……やつだ、なんて……」

リューネ「……ハハ… ぁ……うぅ……」


  そのままリューネは、横向きに寝返りをうつと、

  丸まるように眠り、動かなくなった。

 
 
 

 
 
 
桂馬「……攻略完了」


  落とし神は、眼鏡を拾い、かけた。
 

エルシィ「……」

ハクア「……」


  左足が使えなくなったハクアに、肩を貸して、話す。

桂馬「………考えてたんだ。

    リューネにとって、どんな痛みも快感だ……
    ボクにナイフで切られ、首を絞められて、うれしそうに笑うようなやつ。

    じゃあ、あいつにとっての、『陵辱』は、なんだろうなって。

    あいつへの『陵辱ルート』があるとしたら、まずその前に、あいつが少しでも
    まともになる必要があるだろう。
    ……人並みの愛に、たとえば、母性愛に、目覚めてしまうような。

    リューネは、あいつはいま、たぶん、初めて、おびえる、って感情を知った。
    自分の子供が、戦いで死んでしまうことに、 ハクアに殺されてしまうことに、
    初めて、“怖い” と思って……そして、戦えなくなった」
 

 
桂馬「それがあいつの、エンディングだ…」


 リューネは、腹部を抱くように丸まり、気を失っている。


ハクア(リューネのやつが、あんなに怒って、冷静さをなくしてた理由が、
     やっと分かったわ。……そりゃ怒るわよ……そりゃ……)

エルシィ「産まれても、いない子に、救われました……(もうどうにもなれです…)」

桂馬「勾留ビン。
    ハクアのはフィオーレに使って、エルシィのは割られてしまったな。
    ……フィオーレから奪った3つ目のビンがあるから、
    今度は拘束した上でしまっとけ」  ひょい

ハクア「…鬼畜さ勝負は、桂木の勝ちね」
 

 
  ~ エルシィ『で………』 ~

 
  ◇  ◇  ◇


エルシィ「…」

   桂馬の背中に、妹がぴたっとはり付いてきた。

桂馬「なんだよ」

エルシィ「…リューネさんの……代わりです」

桂馬「………」 「なに言って」

エルシィ「だって、やっと、にーさまにお友達ができたのに」

エルシィ「にーさまが、初めて、恋、したかもしれないのに、こんな…」

桂馬「…」

桂馬(エルシィ……おまえ、かのんが刺された日から、ちゃんと風呂入ってないだろ……)

ハクア(エルシィ…) 

 
桂馬(心がまいって、逆にやさしくなるパターンか)

エルシィ「……」

桂馬「(使える)…エルシィ。慰めてくれるのか、ありがとう。早速、頼みたいことがある」

桂馬「ゲームしてくれ。手が痛いから、ボクの代わりに」

  胸ポケットからPFPを取り出す。
 
エルシィ「……!?」

ハクア「はぁ」

ハクア「…私がやってあげるわよ」  ひょい

桂馬「なんだハクア、元気なら女神の加勢にでもいけよ。リューネのことはボクが預か…」

ハクア「あ~っと、大ケガしてるから、足がすべった!」  バキッ!

  PFPを地面に置き、無事な右足で、液晶画面を踏み潰す。

桂馬「ぁ~~~!!」

ハクア「ごめん。 足でプレイするゲームだと思って!」
 

 
桂馬「なわけねーだろ! 犯すぞこの女!」

ハクア「ふふ……やれば?」 (無敵)

桂馬「ぐぐ (怪我の痛みをガマンしてまでやることか)」

ハクア「エルシィを励ますのが先でしょ……最低鬼畜男」

エルシィ「……」


桂馬「エルシィ。お前は役立たずだって自分を責めてるが、そんなんじゃなかったぞ」

   勾留瓶の中のリューネ「zzz……」

桂馬「むしろ逆だ。 エルシィ……こいつの勾留、よく成功させた。
    あのとき、勾留に失敗して、リューネが、吸引に逆らって、
    その背中をハクアが切り殺すほうになるかと思ってた。
    その後の事も。ハクアは必死で戦ってくれてたからな。
    ……でも、リューネをもし殺してたら、たぶん、ハクアはこの先ずっと、
    それを後悔しつづけることになってた」

ハクア「そんな見くびらないでくれる……」

桂馬「昨日、再攻略したとき、風瀨青羽に聞かれたぞ。
    『どうして、泣いてたの?』って。
    ハクア、お前、ボクのふりをして青羽の相手をしたとき、ごめんなさいって、泣いてたんだろ。
    悪魔のくせに。そんなやつだ」
 

 
桂馬「エルシィが、病み上がりでがんばったから、どっちも死なずに済んだ。
    ──さすがお前は、勾留数最多の、重勲章持ちの、“今期で一番優秀な悪魔”だ」

エルシィ「にーさま、あんまりほめると嘘っぽいです……」

ハクア「お前の性格、もう私たちは分かってるから……」

桂馬「あぁ、うっとうしいから、エルシィ、いい加減、落ち込むのはやめろ」

  瓶の中のリューネ「zzz……」

桂馬「それに、……女神のアポロ、かのんが無事に帰ってきたら、
    エルシィ。きっと、おまえのおかげだ」

エルシィ「…」


  桂馬は、今度は壊されなくて済みそうなのを確認すると、
  ポケットから別の端末を取り出し、ゲームを起動した。
 

 
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 (※いま全体の3/4くらいです、つづきまた後日に。)

 
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   ◇  ◇  ◇ 
 
 
   長テーブルとスナック菓子を囲み、だらだらとスランバー・パーティを

   たのしむユピテルの姉妹たち。

 
 
アポロ「美味い……現代の人間界の菓子は美味ぞ………

     生きているというのはなんと素晴らしい」  モグモグ

マルス「本当に運良く、一人も欠けることなく切り抜けられましたね」 むしゃむしゃ

ウルカヌス「うむ……我々姉妹の“絆”が生んだ奇跡だ」

ミネルヴァ「かけたま隊も、きてくれたから」  ぽりぽり
 

 
   ◇  ◇  ◇ 
 
ウルカヌス「……しかし、なんということだ……。

        桂木の阿呆のおかげで、ここはまるで野戦病院だ。
        欠損者、包帯、障害、心の傷……。
        戦う前から、あのような状態でやることになろうとは」

   女神の長女が頭を抱える。

ディアナ「…私も、一時は死を覚悟しました………」

   翼がないばかりに、戦闘中、仲間と分断されて海に落とされたときは、
   自力で合流すらできなかったディアナ。
   しばらく海面でヴィンテージにつつかれて、散々な思いをした。

ウルカヌス「まったく、ロクでもない!」

アポロ「ウル姉、また言っとるわー。桂木の不満ばかりじゃのー」  もそもそ

ディアナ「いいえ正論です。皆もどんどんおっしゃってください」
 

   ◇  ◇  ◇ 

 
マルス「そもそも、彼奴<きゃつ>は男らしくない!」

ミネルヴァ「なのに……すごくえっち (……栞よりも)」

メルクリウス「けっそんフェチ男」

ウルカヌス「人形相手にあんなになるとは……理解を超えておる…」

アポロ「“すかとろまにあ”じゃしの」

ディアナ「なんでもアリのとんでもない変態男です」

   女子トークの悪口合戦で盛り上がるネタにされる桂馬。
   憎まれすぎて、ヴィンテージとの戦いでは、『もし、ここで我々
   女神が倒れれば、桂木桂馬としては、逆に自分を糾弾する者が
   いなくなって、大助かりなのではないか……こなくそこなくそ!』 と、
   根性で生き残ったような節もあるくらいである。
 

 
   ここらで姉妹間で彼の処遇を決めなければならない。


メルクリウス「私も、足がなくて、どーも飛んでてもバランスがとりづらかったから」  だらだらもぐもぐ

ディアナ「…メル、少しだらしないですよ。そんなねそべって」

メルクリウス「ケガしてるんです。大目に見てくださいねーさま」 両足欠損

ディアナ「……」 「(…四肢欠損の女性に女神いたら本当にやられていたかもしれません)」

マルス「宿主の若き乙女達にも……傷をつけてしまいましたね」

ミネルヴァ「栞……ごめんなさい…」
 

 
  右手が粉砕骨折しているミネルヴァ(汐宮栞の肉体)。

  彼女には、手をつないで他の女神の力を増幅する術があったため、
  その腕を真っ先に狙われてしまったのだ。ヴィンテージだけなら
  まだしも、魂度<レベル>4の駆け魂たちの力による負荷は、
  今のミネルヴァに耐えられるものではなかった。
  宿主の栞はいま、趣味の小説を左手で書いている。
 
  駆け魂隊の指揮を執っていた、リミュエル様(倉川灯)が、
  桂馬に攻略されたせいで、ふぬけ気味だったのも、苦戦の原因であった。
 
  最も高い力を引き出せたマルス(宿主が結)も、姉妹たちを庇って
  立ち回ったため、負担が集中し、右の瞼に悪魔の矢を受け、今は
  眼帯で覆われている。

  その他、火傷、切り傷、打撲、魔力に対する束縛、等々……
 

 
  高度な呪術を備えた武具で魂に直接つけられた傷は、仮に転生しても
  次に人生に引き継がれるほど深刻なものである。
  今の女神達の力をもってしても、完全な治癒までには時を要する。

ディアナ「お腹の傷のようにはいかないですか」

アポロ「うむ……あのフィオーレという悪魔の古魔術は擬物だったが……これはの」

  翼がないまま、その知恵や術で後方支援していたディアナも、遠方からの
  呪術呪法は回避できなかった。女神に入れ替わっても、呪いが邪魔をし、
  神の力が宿主・天理の体の半身に行き渡らない状態で、体のところどころ
  が『ディアナ』にならず、今も右眼が天理の目つきのままになっている。
  頭の光輪も、まるで食べかけのバウムクーヘンのように欠けていた。
  天界人の感覚としては屈辱的な姿。
  左右で『目の色が違う』状態で、ディアナは顔を伏せる。

  こちらがリューネを通してヴィンテージの情報を得て準備していたのと
  同じように、向こうもまた、女神対策を進めていたというわけだ。
 
  結果、全員、バトル漫画の劇場版のクライマックス後のようなぼろぼろ具合。
  ごらんのありさまであった。
 

 
  新悪魔たちも同じく。
  左側の足腰が貫かれたハクアは、悪質な怪我で、しばらく地に立って歩けない
  とのこと。今は羽衣で常に浮いて生活している。
  
  鬱で衰弱しきったエルシィは、最後はそれでも戦ったので、立ち回りが鈍く、
  背中がさっくりと切られてしまった。傷は浅いが、ついでにその際、髪も半端に
  切られ、今はショートヘアにしている。
  あと、クソもたらふく食った。【落ち込んでベッドで寝ているところ、突然、憧れ
  のあのアイドルがお見舞いにきてくれた!】 (※今はあれだけど) という、
  アイドルファンの夢見るシチュエーション、とフェイントをかけてコレである。
 
  敵側も、惨憺たる状況。リューネはツノを片方無くし、ハクアの斬撃を受け、
  そして繰り返し打ち付けられて、全身ぼろぼろとなる打撲を受けた。
  桂馬によって『利用するだけ利用され、ボロ雑巾のように捨てられた』女と言えよう。
 

 
  ただ、彼女は、ヴィンテージ不利の風向きを誰よりも早く読んでか(※自分の
  せいなので)、元から正統悪魔社との関わりについて証拠隠滅してあったこと、
  旧家の力の影響や、なにより現場にいなかったこと等から、新地獄では
  『今回の件との関係を証明できない』ということになり、人間への殺人未遂
  のみでの勾留となった。
  新地獄も、中々、根の深いところまで腐敗しているもようである。
  そして今、リューネは行方を眩ませているという。だが無計画なものとみえ、
  組織から外れ、行く先があるとは思えない。
  
  フィオーレについては、調べたところ洗脳魔法も受けていたというのだから、
  気の毒である。
  ハンダコテで拷問された火傷は治せるが、手足は二度と戻らない。
  
  触らぬ落とし神に祟りなし、桂馬の選んだ陵辱ルート攻略のせいで、
  リョナ天国であった。

 
 

 
   ◇  ◇  ◇

 
 
メルクリウス「まあ姉様方、もうこういう話は、桂木が戻ってからでいいじゃないか」


メルクリウス「桂木は、過去へと旅立ったばかりなんだから……」

マルス「あの『世界を救う鍵』とやらで、歴史が、むしろ善い方に変わればいいですかね」

   あごに手をやる、 戦いの神(無敵とはいっていない)。


マルス「……私の宿主の結も、どうやら、察するに、過去にあの邪悪なる者に犯された
     せいで、気が狂って男装などするように……」

ディアナ「天理も、高校生にもなって、まだプチプチ潰しばかりしています。
      私と出会う前に、あの桂木桂馬の手によって、よほどのトラウマを
      受けたのでしょう…………そうに、決まっています」

アポロ「聞けばミネルヴァの宿主も、桂木桂馬に犯されたせいで、
     しゃべれなくなってしまったそうじゃのー」

ミネルヴァ「……栞は、よろこんでたよ……」
 

 
  余計なことまで桂馬のせいにされつつある。
 
ディアナ(本当に不本意です。……ですが、天理が……)

 
ウルカヌス「いっそもう帰ってこなければいい!
        私は知っているのだ。 あの男は、月夜のいる橫で、なんと女神を
        監禁調教するゲームとやらを何本も。……身震いがする」 ぶるっ
 
ディアナ「……それが、こちらのゲームソフトです。あの男の自宅に大量にありました」

   証拠物件とばかりに勝手に押収してきたゲームソフトの山。

マルス「……こんなものが。 人間の中も……ヴァイスの仲間がいて、
     このよーな反・女神のプロパガンダ作品を作っているのだろうか?」

   『女神凌辱 ~姦虐戦乙女ブリュンヒルド~』『女神凌辱~パイズリ姫ベル
    ダンディー』などさんざんなタイトル。

メルクリウス「ただのすけべだよきっと」
 

 
ウルカヌス「どのような内容なのだ? 私もちゃんとは見ていないのだ」

   『戦女神VERITA』などかっこよさそうなタイトルもある。
   マルスがちょっと興味を示す。

アポロ「この、“ぱそこん”、とやらで、遊べるらしいぞ。どれどれ」


   ギー  カチッ   カチッ

アポロ「……ありゃ、おーいディアナよ、これ、どうすれば始まるのじゃ? 叩けばよいのか?」

ディアナ「“インストール”をする必要があるようです」

アポロ「かのんのCDとは違うのか! 難しいのう」

 
 

 
   ◇  ◇  ◇


ディアナ「姉さま方、妹たち。 桂木さんと一番つきあいの長い私が、
      これから、あの男が、どんな願望を持って私達のことを
      見ていたか、暴露してみせます。 刺激の強いシーンが
      続きますので、どうぞ心の準備をなさってください」
 
ウルカヌス「うむ」
 
   みんなでパソコンの画面をのぞき込むユピテルの姉妹。(と人形のルナ)
 

 
   (――― ゲームプレイ開始 ―――)
 

   ――――ァァアン! キャァァ! アンッ! ン!

 
マルス「……あっ、あの男、私たちにここまでのコトをしようとして
     いるのか…?」 ドキドキ

アポロ「野獣そのものぞ!」 がるる

メルクリウス「このゲーム、動きが少なくて眠くなるね……」


  パソコンの画面には、群衆に囲まれ、男主人公に、露出プレイを
  強要されているゲームの女神キャラクターの姿が。
 

 
 
   (――― ゲームプレイ中 ―――)



   ――――ジュポ!  ジュポュポ! ペロペロ


ミネルヴァ「わー…~………わー」

ウルカヌス「み、ミネルヴァ、ここはさすがに見てはならんぞ」

ディアナ「……いえ、しっかりと見て下さい。まだ序の口です」
 

  画面の中には、男主人公に口で奉仕することを強要され、
  内心喜んでいる女神キャラクターが。
 

 
   (――― ゲームプレイ中 ―――)

 
 
   ―――― ヌチュ グチュ!  キャァァアア! ピチャピチャ

 

アポロ「おー。 こーいう魔物、地獄の拷問で使われているのを見たことがあるぞ」

マルス「だが何故ヤツは女神を殺さないのだ……わざわざ弱い魔物をけしかけて」

ディアナ「もてあそんでいるのです。女神の苦悶する顔を見るのが気持ちいいのでしょう」


  画面の中、罠にかかり、スライム状のモンスターに愛撫され、
  おなかがぽっこりと膨れている女神キャラクター。
 

 
   (――― ゲームプレイ中 ―――)

 
 
   ―――― アヘェェ、ウマレル、ウマレチャウゥゥ!

 
 
ウルカヌス「まったく直視に堪えないものだ」


アポロ「かわいそうに。魔物の子など産みとうなかったろうに」

メルクリウス「zzz……」

ディアナ「メル、寝ないでください」


  画面の中、どんどん怪物の子供を産まされる女神キャラクター。

 

 
   (――― ゲームプレイ中 ―――)

 
 
   ―――― エヘェ~、スキィ ゴシュジンサマ ライスキィー…

 

アポロ「でもワンパターンじゃな」

マルス「女神が勝つ展開もあるのですね」

ミネルヴァ「さいごは……らぶらぶになってる」

ディアナ「深刻なシーンです……。もっと真剣に見てくださいっ」
 

  画面の中、触手空間に囚われて、永遠に犯されることになった女神キャラクター。
 

 
   ◇  ◇  ◇

ディアナ「……」
 
  10本目のエロゲー鑑賞会がようやく終了する。
 
ディアナ「みな、あの男の内面がよく分かりましたね。
      あの男、桂木桂馬は、毎日これをやっているのです。
      だましていたのです。 私たち女神に興味のないふりをしながら、
      心根では、このようなことばかり。彼は、私たちを、犯し、触手
      陵辱し、壁に嵌め込んで、全身をなめまわし! 三角木馬に乗せ、
      三穴責めし、くすぐり、叩き、姉妹並べて、口淫させ、精液漬けにし、
      妊娠させ、産卵させ、媚薬を打ち、脳姦することを、夢想し……
      虎視眈々と、そうするために爪を研ぎ、イメージトレーニングを
      欠かさない、変態男なのです。
      ……ころしましょう…
      …はぁっ……はぁぅ……そうしないと……私は……天理はっ……
      戻れなく………っ」
 
他の姉妹たち「…」

   一人だけ翼が出なかった女神の、これまで見たことがないほど
   思い詰めた様子に、姉妹達は心配を通り越し、少し恐怖するのだった。
 

 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

   その、少し“前”のこと
    あるいは“横”のこと
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│   ◆◆  舞島女子学園 正門前 ◆◆


│  携帯ゲームをしながら登校中。 校門前でエルシィに呼び止められる。

│エルシィ「か、神ねーさまー、どうされたんですかそのご洋服」

│桂馬「……?」

│  他の女子生徒たちが、怪訝な目で桂馬を見ながら追い越していく。

│エルシィ「それ男性の服装ですよ、なんですか、首元に変なヒラヒラがついてますっ!」

│桂馬 「変って、……これはうちの制服だろ………」  いつもの舞校男子制服。

│エルシィ「あの、せ、せめてカツラつけてくれないと、神様、男の人だって
│      バレバレですよー」


│桂馬「? カツラ? お前こそ、そのロングヘアーどうして復活したんだ、ウィッグか?」

│    ぐいぐい

│エルシィ「いたた、もーなに言ってるんですか!?」
│     「とにかく、どこかに隠れてくださいっ。うち女子校なんですよ!
│      だから、女装して、 【百合ルート攻略】で駆け魂を出すしかないって、
│      そうおっしゃってたのは、 “神ねーさま” じゃないですかー!」

│桂馬 「はぁっ? 【百合ルート】? 神ねーさま? なんの話だ、『おとボク』か?」

│エルシィ「なんの話だじゃないです、寝ぼけてるんですか、そのために室長───」

│桂馬 「うちが女子校だったってのは確か、十年は前の話だろ。
│     (こいつ、ボクを引き止めようとしてるのか…)」

│桂馬 (…なんだか、頭がボーッっとする)   スタスタ...

│エルシィ「ま、まってくださ~い! そんな格好で、もし誰かに騒がれたら……」


│月夜「っ!?」

│桂馬「あ……」  通学バスから降りてきた九条月夜と、偶然目が合う。


│月夜「……!?!?」

│   呆然としたのち、目元に涙をためていく月夜。

│月夜「…ぁ………お姉様」  「やっぱり、……だ……だましてたのですねー!」  ダッ


│桂馬「おい……」 「エルシィ、いま、あいつ…」


│    「っ!」 「ちょっと、なんで男がいるの?」 「誰?」
│ 

│ 
│  ◇  ◇  ◇

│  女子生徒「こっちです、春日先輩!」

│  女子生徒「変態が出たんです」

│   『女子校に入り込んできた不審者』として捕まり、そして、それが本物の
│   “舞島女子”の生徒 ・ 昨日まで女装して登校していたらしい人間だと判明して、
│   大騒ぎになり、囲まれて尋問を受けている桂馬。

│桂馬(なんだ……どうなってる……、幻覚か? こいつは……)

│楠 「貴様、本当に……男……だったのか」

│桂馬(春日楠が……どうしてだ? これは夢か?)  互いに驚いて見つめ合うふたり。

│桂馬(そういえば……なんだろう……視界が、霞がかったみたいに……ぼやけて)


│女子生徒たち「こいつ、今まで、ずっと女装してたの?」 「女装で、男が女子高に」
│   「ところどころ怪しいとは思ってたけど」 「変態ですよ変態」 「感心するわ」
│   「エリー、あんた、分かってて黙ってたんでしょ」 「ケーサツに突き出しちゃいましょう」

│エルシィ「あのっ、あのっ!」


│楠 「………私や……姉上のことも……騙していたのか……」

│桂馬「待て……説明をさせてくれ。いや説明してくれ」

│楠 (男なのに……な……なぜ、私より、女らしかったのだ……

│    あんなに可愛らしかったのだ…) プルプル
│ 
│ 
│   ◇  ◇  ◇

│ 
│ 
│ ───10年前。未来から来た桂木桂馬が、白鳥正太郎氏の説得に

│ 失敗した場合の『ルート』。 少年桂馬が『悪魔の仲間』と怪しまれ、むしろ、
│ 絶対に入学させないため、急遽、共学化が取り消されてできたのが、
│ この“舞島女子学園高校”だった。
│ 
│ この学校で、一際、人気の高い生徒が、春日楠と、もう一人。
│ 
│   結「ちょっと、通して!」
│     「それ男装! 男装だよ! ……、ぼ、ボクが誘ったんだ!」


│女子生徒たち「あ、結様!」 「きゃー!」 「五位堂先パイ」

│  桂馬の手を掴んで、連れ去る五位堂結。

│エルシィ「あっ…」


│ ◇  ◇  ◇


│結 「もう“桂馬”君っ。どうしちゃったのさ、いきなり男の格好で学校来て。
│    いつもはあんなノリノリで女装してるのに」

│桂馬「結。ど、どうなってるんだ、これは……。女神の力か…?」


│  楠 「待てッー! 五位堂結! あれが“男装”だと? 私の目はごまかせんぞ!」
│    「だいたい貴様らはいつもいつも!」


│桂馬「やばい、楠が本気で怒ってるぞ、今度はボクの方が殺され…」
│ 
│マルス「やむを得まい。また遊んでやるとしよう」  キィィィィイン
│ 
│桂馬「マルス出しちゃうのか」
│ 
│マルス「?」 「当然であろう。 春日はおそろしく筋がいい。 婿殿、お前はいないと
│     言ったが、やはり私は、彼女の中に、不可思議なものがあるのではないかと
│     睨んでいるぞ!」
│ 
│桂馬「―――――――」
│ 

 ///////////////////////////////////////////////////////////////
 

 
 ///////////////////////////////////////////////////////////////

│ 
│ 
│  ◆◆ 半壊した舞島学園高校 ◆◆



│リューネ「なんだ、せっかく思い通りになったのに、退屈そうだな……」

│桂馬「……」

│  気が付くと、手にPFPを持って、桂馬は寝そべりながらゲームをしていた。

│リューネ「もう…ゲームでガマンする必要ないのに」

│桂馬「うう……(また、意識が、霧の中を歩いてるみたいに、ボヤけて…)
│    (何だか、半分、自分が自分じゃないみたいだ……)」

│  窓から、赤黒い空が見える。

│桂馬「リューネ…?」
│桂馬「……!」  生暖かい感触が、下半身に触れる。

│  見下ろすと、

│寺田京「ん……れろれろ……」

│  教室の、教卓の上。 攻略したこともない女子に、性器をねぶられていた。
│ 


│桂馬「なん、だ…??」

│  リューネは寺田京の髪をつかみ、その耳に囁く。

│リューネ「ほら。 あと1分以内に落とし神のを立たせないと、首と胴体が離れるよ」

│京「…!」

│京「…ちゅぱ……ちゅるぢゅる!」  必死でしゃぶりだす京様。

│桂馬「ぅ!」  攻められると弱い桂馬。
│         京の舌と口内の温かさに、むくむくと下半身が元気になっていく。

│桂馬「……(ぁぁ、このぎこちなさも、すごくきもちいいぞ)」

│京「っ! ……」  そして数分かけて

│桂馬「くっ」

│京「…。…ごく……ゴクン」 

│リューネ「…(笑)」


│   ◇  ◇  ◇

│  クラスメイトの半分が、死骸になっていた。

│  首が、電球かなにかのように外された者。胸が魚料理のように開かれた者。
│  人体の肥大化や変化・合体など、魔法でしかできない殺され方で、変死した者。

│  高原歩美、中川かのん、エルシィ、そして小阪ちひろも、姿が見えない。

│  だが、この教室に、クラスメイトでない人間が、一人。

│香織「……(にこり)」

│   ◇  ◇  ◇


│桂馬「ぉっ…」   性器を包み込まれる感覚に、体がビクつく。

│  上から腰を下ろしてきた寺田京と、女性上位で、交わっていた。
│  結合部に垂れる血。 
│  いつもおだやかな彼女の、初めて目にする、泣き顔。
│  京の首には、あの契約の首輪と、よく似た紫色の輪が嵌められている。
│  見ると、教室にいるクラスメイトたち全員にも、同じ首輪が付けられていた。
│  桂馬は無意識に自分の首へ手をやった。なにもかけられていない。

│桂馬「……(リューネがボクの首輪を外した、…のか?)」


│  リューネが京の尻をカッターナイフでつつくと、腰の動きが早まる。

│リューネ「ねぇ、ゲームをやるのに理想の“オナホール”を探してるんだろ。
│      こいつはどうだ」

│京「……桂木……はやく出して……私…殺される…」



│   ◇  ◇  ◇

│桂馬(なんだよこれ……『旧地獄が勝った』未来か、なにかの夢か)

│桂馬(リューネ、言ってたからな。ヴィンテージの計画が成功して、人間界を
│    旧地獄が支配すれば、駆け魂隊なんてもう意味がなくなって、
│    ボクの首輪も外せるし、この町一つくらいは自由にしてやるとか)

│  桂馬との行為を終え、教室の床に、裸のまま倒れている京さん。
│  命令された他の男子生徒たちが、ズボンを脱ぎ、彼女を襲いにかかる。

│桂馬(そんな感じだ。まるで、『学園ソドム』か、『THE GOD OF DEATH』、
│    ジャンル:学園占拠アドベンチャー ……)

│  こんなときでもゲームを引き合いに考える桂馬。
│  落ち着くため、タブレット端末を取り出し、エロゲームを立ち上げる。

│桂馬(ボクが女神を守るんじゃなく、リューネに、女神たちを売った場合の結末……)

│桂馬(そんな夢の世界かな) (でも、なんでか、感覚はある。……意識が
│    はっきりしないが…… まさか、逆に、今までの方が夢だったのか?)


│  折れたはずのツノが残っているリューネ。

│桂馬(……不思議だ) (なぜか、頭がぼやけて、気分がいい)

│桂馬(ハクアたちは…、みんな死んだのかな、これ)

│桂馬(わからん。なんでリューネの、旧地獄側にいるんだ。ボクは。
│    いくらボクだけ無事でも、ゲームが発売されなくなったら、
│    楽しみなんてないのに。
│    女神探しに失敗したのか。そもそも夢で何でもアリか。
│    まさかボクが、現実女、リューネや結崎香織を好きになって
│    本当に裏切った、なんてこと)

│香織「ねぇ。桂馬くん」

│   ◇  ◇  ◇


│  別の女、真ん中分け髪のモブ子が、はだけた服のまま、
│  机の上に転がされている。

│モブ子「……っ! ……ぅぅ 」

│  右手でゲーム、左手で彼女を愛撫しながら、その股間に、
│  桂馬は正常位で挿入していた。

│桂馬「……」 「追い詰められてみたら、けっこういいかもな……こんな状況も」  パンッパンっ

│モブ子「ぁぁ……… (オタメガが、なんでよ…)」 

│香織「ふるえてる。怖いんだ。可愛い」

│桂馬「ゲームさえあれば、だけど……っ!」


│  10分ほど突いたのち、プレイしているエロゲーの中のヒロインが、
│  絶頂間近になってきたようなので、リアルのほうの“オナホール”も、
│  収縮の準備をしてやることにする。


│桂馬「感じさせてやるよ。……片腕 神モード!」

│リューネ「おおっ」  右手が1本、左手が6本という不思議な外見になる落とし神。

│桂馬「秘技・真空ハリケーン殺し!」  シュパパパパ

│モブ子「ひゃぁゎぁあ  (なに…このすごい感覚……! ひぃぃ!
│     ……私の体に、変な、悪魔の魔法……つかわれてるの?)」  ビクンビクビクッ!

│  ( ※解説※ 真空ハリケーン殺しとは
│     桂木桂馬が集積回路の夢狩人回で見せた秘技、
│     【炎の大車輪】 【シンクロニシティー】などと同系統の、
│     神モードのときにだけ使える必殺技である。
│     力強さと周期性を重視した炎の大車輪に対し、
│     真空ハリケーンはスピードとランダム性を武器とした技で
│     それを極限まで発展させた真空ハリケーン殺しは、
│     使い方を間違えれば犠牲者を死に至らしめる非常に危険な
│     以下場にそぐわないしどうでもいいので省略。)


│  6つの手が、モブ子の全身の性感帯を掻き乱す。

│  画面の中のエロゲー主人公が、絶頂し、ディスプレイが白く点滅
│  するタイミングに合わせて、

│桂馬「ッ」

│  男の体液が、モブ子の膣内に吐き出された。

│モブ子「んうぅぅ……(ぶるるっ)」


│香織「桂馬くんってやっぱりすごいな」

│モブ子「…かっ、カハッ!」

│  アクメ顔をクラスメイトみんなに見られ、首を左右にふって逃げようとするも、
│  それでもまだまだ続けざまにイかされてしまう、いつものモブ子。

│香織「こんなの、見てる私まですごい気分になっちゃうよ」

│   笑顔をくずさない結崎香織。
│   死体の転がるこの教室で、まったく動転していない。

│香織「どう? ふたりとも、きもちよかった?」

│モブ子「……ひくっ」 「気持ち、よかったです…」  涙、鼻水。

│桂馬「あぁ、キモチイイ…」 「この現実女。意外に良かったよ」

│リューネ「……」


│   ◇  ◇  ◇

│  モブ子の生首を抱えているリューネ。

│香織「あら……リューネが嫉妬して怒っちゃった」

│リューネ「……」 「怒ってない」

│香織「桂馬くん。頭いいのに、女の子の気持ちは考えないんだから。
│    自分以外で『気持ちいい』なんて言われたら、怒るに決まってるでしょ?」

│リューネ「怒ってない…」

│  無表情で、本当に怒っていないように見える。

│桂馬(香織。自分で、そう言わせるような質問したくせに。 面白いやつだよな)

│リューネ「この首、自由に使えよ。“おなほ”にさ。
│      良いっていうから使い易いように取り外してやったんだよ。親切だろ」


│香織(ねぇ桂馬くん。 リューネってホントにかわいいよね)


│   ◇  ◇  ◇

│桂馬「……」

│香織「あんまり元気ないね」

│桂馬「話しかけるなよ。今、考え中……」

│香織「学校の女子全部つかって一番USBオナホールに合うやつを
│    選んでやるって言ってたのに」

│桂馬「ボクは…そんなことを言ってたのか」

│香織「言ってなかったよ?」

│桂馬「……」

│香織「……桂馬くん、ちょっとそれ貸して?」

│桂馬「貸さないぞ」  ゲームを守る桂馬。

│香織「そっちじゃないって…」  笑顔のまま呆れる。

│  下着を脱いで、桂馬に覆いかぶさるように近づき、股間と股間を合わせる香織。


│桂馬「っ」  一瞬、絶頂のような電撃が体に走る。

│香織「……っ、はぁんっ、すごいよね、旧地獄の魔法って。こんなことができちゃうんだから」

│  腰を放すと、香織の股間には、桂馬のペニスがそそり立っていた。


│桂馬(嘘……だろ……現実のくせに)

│  香織が、それの先端を指ではじく。桂馬にもびくりという感覚が伝わる。

│香織「私も、子供の頃はもっと絵本みたいな世界をつくろうとしてたんだけどな。
│    こんな素敵なこと好きになっちゃったの、桂木桂馬くんのせいだから」

│桂馬「腕も、そんな風に治したのか」


│  別の女子を可愛がりに行く香織。
│  偶然にも、ターゲットになったのは吉野だった。
│  おびえて、後ずさる麻美の頭を掴み、窓際に連れて行き、外の景色を見せる。
│  旧地獄となった、人間界の様相を。

│香織「みんなラッキーだよね。 この教室は、天国よ。
│    学校の外に出たら、あんな風に、ヴァイスに食べられちゃう。
│    でもここなら、痛くてキモチよくて幸せなことだけしてればいいんだから」

│  窓に手をついて、後背位で香織さん(22)に犯される麻美。
│  香織は薄目を開けて笑い、腰を静かに押し付ける。
│  自分の性的快感というよりも、相手の表情を愉しんでいるよう。

│麻美「……(爆発するみたいに…熱い……どうして……) (郁美は…)
│    (もう、死んじゃったのかな) (……桂木君…なんで……)」


│   ◇  ◇  ◇

│ 教室後方の掃除用具入れを、蹴って開けるリューネ。
│ 
│リューネ「このオモチャにもそろそろ飽きてきたな……」
│ 
│    だるまハクア「……」
│ 
│桂馬「ハクア。そこに、いたのか」
│ 
│    だるまハクア「………裏切り者……うらぎりもの……っ」

│ 赤みがかった眼が、桂馬を睨み付ける。

│ 
│桂馬「気をつけるんじゃなかったのかよ」

│香織「もう捨てちゃおっか?」

│リューネ「最後に遊ぼう……」


│   ◇  ◇  ◇

│香織「よいしょ」

│  ハクアを教卓の上に乗せ、教師のような口調で語り始める香織さん。

│香織「まだみんなには、ちゃんと紹介してなかったわね。
│    この子、リューネと同じ『悪魔』で、ハクア・ド・ロット・ヘルミニウムさんっていうの」

│香織「でも、『悪魔』だからって怖がらなくていいよ、みんな」

│  困ったような顔をつくる。

│香織「この子、あなたたちの味方だから。
│    私たちが悪魔に味方したのと反対に、悪魔の中にもこんな子がいてね」


│   ハクア「……」     もう、殆どしゃべる気力も残っていない様子。
│                体が、性的に酷使されたことが見て取れる。
│ 


│香織「そんな中でも、ハクアさん、とっても優秀で、一番がんばった悪魔さんみたいで、
│    言ってみたら、『みんなの救世主』かな。
│    でも、 バ カ だから騙されちゃった。 私の桂馬くんに」

│香織「代わりに死ぬ人いる?」

│香織「これからハクアちゃんの胸に、穴を開けて殺しちゃうけど、『わたしが代わりに
│    死ぬから、わたしたちの救世主のハクアちゃんを助けてあげてください。
│    お願いします!』って人、いたら、30秒以内に手をあげてー」

│  ここで挙手できるような生徒は、既に死んでいた。


│   ◇  ◇  ◇

│リューネ「タイムアップだ」

│   ハクア「………」

│香織「悲しいな。人間と、悪魔。そう変わらないんだね」

│リューネ「弱いか、強いかだ」


│   羽衣を、チェーンソーサイズの、大きなカッターナイフの形に変異させるリューネ。
│ 
│リューネ「ふたりでやろう……ニンゲンの結婚式みたいに……」

│桂馬「─────……」  リューネと手を合わせる。

│リューネ「あぁ……気分いい……」

│   ハクア「……」

│   ◇  ◇  ◇

│ 桂馬(さしずめ【リューネEND】のセカイか……)
│ 
│   ハクア「……かつらぎ…」

│ 桂馬(こんな夢を見るなんて、……願望なのか……)
│ 

 ///////////////////////////////////////////////////////////////
 
     『これは、一つの“未来”……』
 
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│ 
│ 
│桂馬「…………」

│ 
│白鳥うらら(17歳)「ケイちゃん、しっかり」

│桂馬「っ! (なんだ、また急に場面が変わったのか…) (……) (何か、いい夢
│     見てた気がするのに) (思い出せない) (…誰だ……この女は?)」

│  ウェーブのかかった栗色の髪の、手足の長い、大学生くらいに見える女性。

│桂馬「ごめん」 「……ちょっと、記憶がとんでて (…状況を把握し直しか)」

│エージェントLC「もー。幻覚見るまでゲームなんかやるからですよ~」

│桂馬「!」

│うらら「宇宙人なのに、地球のゲームがそんなに好きなんて……、
│     変わってますわねー、ケイちゃん」


│   おかしな格好のエルシィを捕まえて、話を聞き出そうとする桂馬。

│ 桂馬「……おい。エルシィ」 (小声)

│   黒いビジネススーツに身を包み、似合わないサングラスをかけている。

│ 桂馬「エ……エルシィ。いま、ボクは記憶がとんでしまった。(…ということにする。)
│     ボクと出会ってからのこと、今の状況を、3行で簡潔に説明しろ」
│ 
│ エージェントLC「ええ? あ、えっと、あの? なんていいましょうか、

│            にーさま、今、警察に指名手配中なんですよっ……
│            そのっ、今までやってきたことが、女神の宿主さんの誰かに、
│            通報されちゃったみたいで……」
│ 
│ 桂馬「……というか、なんだその格好は」

│ 
│ エージェントLC「にーさまがやれって言ったんじゃないですかー、
│            うららさんをだますための【設定】だって…」  (小声)
│ 

│ 
│うらら「ケイちゃん、立ち上がってはだめですわ。 いま、狙われてるんですよ。

│     公安や警察に。 宇宙人だからって、あんな犯罪者みたいに言って……。
│     あいつら、きっとお爺様のおっしゃってた悪魔に操られてるんですわ。
│     ケイちゃんは残りの『サイコプラズマ霊体』の回収をしなくちゃいけないのに」

│うらら「……Agent.LC。 ここはひとまず任せてください。

│     地球のことはわたくしのほうが詳しいです」  キリッ
│ 
│桂馬(『霊体』、それ、もしかして、駆け魂のことか?)


│桂馬(あぁ、この夢のセカイでは、警察から逃げるために、ボクは、適当なこと言って、
│    新しい女子を騙してるのか?)

│エージェントLC「でも、匿ってくれる人がいてよかったです~
│           白鳥さんのおうち、広いですし、いっぱいお掃除してあげなくちゃ」

│ 
│ 

 ///////////////////////////////////////////////////////////////

 
 
        ドクロウ(少女)『……』

 
 
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│ 
│  ◇  ◇  ◇
│ 
│桂馬(また別のセカイに変わった……)


│灯(リミュエル)「なにをぼさっとしておる桂木。アレを見よ」

│    海の向こう。学校から見えるほど、大きな巨像の影。

│桂馬「なんだあのデカいのは?  (そんなことよりゲームがしたい)」

│灯「……桂木よ。人間界で、エルシィと最も親しかった者は誰だ?」

│桂馬「……(どういう状況なんだ。これは)」


│桂馬「なぁ、女神たちはどうしてる」

│灯「喰われたぞ。恐らくな」


│桂馬「…」

│灯「運べるのは、お前と、そちらの悪魔と、せいぜいもう一人だ。
│  答えろ桂木。エルシィと一番親しかった人間は、誰じゃ?」

│ハクア「……」

│  胸ポケットからPFPを取り出し、答える。

│桂馬「あいつ、学校でちょっといじめられ気味だったしな………
│    …強いていうなら、ちひろ、かもしれない。小阪ちひろ」

│  ◇  ◇  ◇


│灯「心して行け。また戦争になるかどうか、かかっておる」

│ちひろ「ねぇ、あれって───」

│ハクア「桂木。最後の攻略よ」

│ 
│ちひろ「……エリー?」 
│ 

 ///////////////////////////////////////////////////////////////

 
 

 
    ◇   ◇   ◇

 
 
桂馬「なんだったんだ、いま……

    すごく、気分のいい夢、見てたような……」

    天理「桂馬くん……これ……」

桂馬「球……?」

エルシィ「?」



           アポロ「座標が乱れておるぞ。ちゃんと送れるのか」

         ミネルヴァ「力が……足りてないから…ずれちゃう」

         ウルカヌス「次は“誤ったところ”に継らぬようにな……」
 

 
 
    天理「桂馬くんなら、ぜったい、大丈夫だから」


    天理「10年前で」 「女の子を救って…」 「約束して…」

    天理「……絶対、戻ってきてね」

桂馬「10年前……?」


    天理「…やっと、これで会えるんだ」
       「……神様に」


      メルクリウス「大丈夫ですよ、ねーさま方」

              「これで次は、過去に送れる」

 

 
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
                   ◇ 過去編 ◇

 
 
 (  ドクロウ(0) 白鳥うらら 結崎香織 鮎川天理(6) / 桂木桂馬(7)  )

 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
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   ◇◇ 10年前の舞島市  ◇◇



  あかね丸の船上。

  少女どくろうの肩を、小学1年生の自分と入れ替わった桂馬が揺する。


どくろう「ぅうう……」(世間に絶望したおまえらみたいな目)


桂馬「……だめだ、この女の子、どんどん小さくなって、
    また、赤ん坊になって死んでしまう……」

エルシィ「どーしましょう神様」

桂馬「よっぽどつらいことでもあるのか…」

桂馬「なんとか、引きとどめないと」
 

 
どくろう「───」

桂馬「この子を救うことが、たぶん、天理の言ってた、過去でやるべきことなんだ……」

エルシィ「にーさま… (…鬼畜のにーさまが女の子を助けようとしています……!)」

 
 
どくろう「ぁう……」


桂馬「……でも、一体どうすれば」

桂馬(ピコーン!) 

桂馬「セックス!」  ぱんぱんっ

エルシィ「やると思ってました」
 

 
どくろう「ふぅうーぅ!」

桂馬「んむっ、やったぞ。 縮むのが止まったぞ」

エルシィ「えー…」   (※キスもした)

どくろう「……んぅ……な、に…これ…」  ぷるるっ

桂馬「よっし! この調子で、こいつに働きかけるぞ!」
 
エルシィ(かわいそーです………)

桂馬 「エルシィ、お前、ふろしきに野菜とか入ってたよな! 貸せ!」

エルシィ「は、はいっ。どうぞ!」
 

 
桂馬 「おお、野菜やらオモチャやら、役に立つものを持ってる
     じゃないかエルシィ……見直したぞ……ふふふ……」

エルシィ「わーほめられましたー」
 
   前後不覚のまま、女豹のようなポーズをとらされる少女。

どくろう「……あっ………やっ…」   ぐちゅっ! ぱんっぱんっ!

桂馬「そーらそーら、きもちよくなれ~。生きる希望をくれてやるぞー。ぺろぺろ」
 
エルシィ(やりかた間違ってると思います……)


桂馬「ふふふ、過去に行ってどうこうするなんて、事情知ってるなら、天理おまえが
    行けよと思ったが、成る程これならボクが送られたのも分かる気がするぞ」

エルシィ(体は小さくても、表情の悪っぽさはにーさまです……)
 

 
桂馬「えいっ、うりゃ~  こんなんで終わると思うなよー! 
    連れ帰って徹底的に犯してやるからな~」


どくろう「…や……やめっ……んふぅうう…」 びくびく!

エルシィ「あ~…、女の子の前の穴に私のニンジン(産地・新地獄)が…。
      後ろの穴に私の大事な消防車(オモチャ)が~……」  しくしく

どくろう「……くっ」 ブブッ

エルシィ「私のしょーぼーしゃがうんちまみれにー! (がーん)
      にーさま、この子、飛び降りちゃったんですよ、もっとやさしく!」

桂馬「ふん。……自分の中の闇に絶望するあまり飛び降り自殺中の
    女子生徒と目が合うループ展開を、ボクは【3days】で吐くほど経験した。
    4回目くらいから『あぁ。また死んだな』くらいの感覚になった。
    いまさら二次元の劣化である現実女にやられても、驚きも同情もわかない」

エルシィ「意味わかんないですよー! そのニンジンにーさまが食べてくださいよー!」
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
  ~ エルシィ『で!』 ~
 

  ◇◇ あかね丸 時間の渡航機前 ◇◇


ドクロウ室長『Oh……』

ドクロウ室長『────え、こいつ?
  
         これが【うまくいった未来】?
         ……通信が来たと思えば、まったく予想外のものだ。

         【レイプ魔が、強引に体で愛をはぐくんで、駆け魂を出して、
         女神も出して、一件落着。】などという、未来があるとは…。
         ムリムリ。チェンジ。
         だってこんな未来、私も、身の危険を感じる。
 
         ……犯されそう』
 
桂馬「なんなんだよ。どうやんだよ! ホネニンゲン!
    ボクがなにか間違ったことしたか。早く事情を説明しろ」
 

 
  ◇  ◇  ◇
 

ドクロウ室長 『かくかくしかじかで――――』


ドクロウ室長 『…しかしひどいの連れてきたなー……我が分身よ』

どくろう(少女)「うん……お兄ちゃんに強引に……むりやり……
          くっぷく……させられて……私は嫌だったんだけど…」

ドクロウ室長 『そうか。はぁ……お互い、男運ないのー』

どくろう(少女)「ぅんうん……」


桂馬「なんでボクは女子トーク気味に罵られてるんだ……
    現代でも過去でも」
 
エルシィ「あたりまえです…」
 

 
  ◇  ◇  ◇
 
桂馬「―――なるほどな。たくさんの未来のうち、たまたま成功した
    未来に合わせて、そうなるように過去をセッティングする、というわけか」

ドクロウ室長 『理解が早くて助かる』

桂馬「エロゲで見たよ近い話。
    室長がヴィンテージに一枚噛んでるってのはそういうことだったのか……。
    ……」
 
ドクロウ室長 『どうしたのだ。深刻な顔をして』

桂馬「なぁ、それで、ちょっと相談なんだけど」

桂馬「女神のマルスの宿主なんだが。五位堂結っていう、…やつから、
    他の子に変更したいんだが、……できないか?」
 
ドクロウ室長『ダメ』
 

 
桂馬「即答だな。そこをなんとか…。結がいるから、未来に帰るのちょっと
    こわいんだよ。正直」

  桂馬(あいつの言葉が耳から離れないんだ……
      『桂馬くん。キミはボクからは絶対逃げられないよ?』 って。
      『キミはボクなんだから』って。いかれてる)

  桂馬(く……、なんで結に女神がいるんだ。嫌がらせか。
      よりにもよって強いマルスだし)

  桂馬(あと……昨日、家のポストに、タッパーにつめたう○ちが入ってた……
      きっと善意によるものだ)


エルシィ(結さんとなにがあったんだろう……)
 

 
桂馬「だから、よくある古いSFみたいに、過去に行って、帰ってきたら歴史が
    変わってました、みたいな感じの展開にしたいんだ。
    できないか。そうしてくれ。そうしろ。今までずっとオマエの言うとおりに
    してきたんだ、今度はボクの言うことを聞け」

ドクロウ室長『イヤイヤ、無理だから』

桂馬「無理か分かんないだろ、頼むよ! 駆け魂くくりつけるんだろ、そのついでに」

ドクロウ室長『それも上手くできるか難しいのだ。 よく聞け変態タイムトラベラー。
         そもそもそんなことチャレンジしたら歴史がこんがらがって……』
 
桂馬「知るか! リスクは承知だ」
 

 
桂馬「いいか、今のユピテルの姉妹の宿主のメンバーは、上から、
    月夜・かのん・天理・栞・結・歩美 っていう女子たちだ。
    半分以上は危ないやつだ。何度蹴られたことか。ここに変更を加え、
    ボクの希望オーダー、紫埜・麻美・天理・みなみ・七香・栞 にしてほしい。
    これなら未来に安心して帰れる。扱いやすさ的に! できるならいっそ
    ハクア・ハクア・ハクア・ハクア・ハクア・ハクアがベストだ。全部がむりなら
    ミネルヴァとか一人くらいエルシィにいれてくれてもいい!」

ドクロウ室長『わがまま放題言うなこの男』


どくろう(少女)「……」
 
2人「お願いします! よっ、“夜霧”! いい骨格してますねー」 『ほめてもダメ』
   「うぅ…うるうる…」 「…おねがい…きれいなお姉さん……」 『可愛く頼まれてもだめ。
    口説かれるの久しぶりでちょっと心が動いたけど』 「…ケチ!」 『けちだもん。
    けなしてもだめだぞ』 「“攻略”すっぞコノヤロウ!」 『脅してもだめ。
    ほらやっぱり私の体が狙いになった』 「無いだろ体!」 『色白が自慢だ』

 
 
どくろう「お兄ちゃん、帰ろ……」

  
  ◇  ◇  ◇
 

 
 
桂馬 「ドクロウのやつ、ふざけた口をききやがって! 神に向かって!」 ぷんすかぷんすか


エルシィ「にーさま、ほんとに子供みたいになってる…」

どくろう(少女)「なんだか……ごめんね……私……
          向こうの私、お兄ちゃんのこと、気に、入らなかったみたい」 無表情

桂馬 「あんのBBA、通信機の向こう側にいなければ“攻略”してやったのに!」

エルシィ「ホネでもイケルんだ」

  キッ! と振り返り、近くにいるほうのドクロウ(少女)に怒りをぶつける桂馬。

 
 
桂馬 「やい、どくろう! おまえは、絶対あんな風に育たないよう、

     ボクが調教してやるぞ!」      ぐぃぐぃぃ
 

 
どくろう「そんなところ引っ張って、っ、なにか、おもしろいの?」

   ぺろぺろ! ぐちゅ! ぐちゅ! ずぱんずぱん!

桂馬 「くそう! くそうっ!」   小さな体で、DVのような八つ当たりセックス。

どくろう「んあぁ…~!」 びくっ
 
桂馬 「…はぁはぁ。ああ、おもしろいぞ、チクショウ。現実女のくせに。
     感じさせて開発してやるってのは、なんだかゲームみたいだ。
     リアルのくせに! ボクを気持ちよくしやがって!」

エルシィ「あの…」
 

 
  少女どくろうの耳を噛み、片乳をもみながら幼少桂馬は、自慢げに言う。

桂馬 「ふふ。………エルシィ。よーく見ておけ。
     ボクは、小1の頃から既に専用のゲームチェアで、ギャルゲー同時
     プレイをやっていたんだ。 これがどういう意味か分かるか?
     出来るんだよ、『神のみわざ』が、7歳のボクの体でもな!
     食らえドクロウ!
     名づけて、 落とし神モード・PT《プロトタイプ》!」

  神モードが発動し、ヒュンヒュンと体が謎発光して、ヴィシュヌ神のように多腕になる幼少桂馬。

どくろう「きゃーー!」  体のところどころを同時にいじられて、思わず悲鳴があがる。

桂馬 「ハハ、こどもの小さい指で細かく乳首をいじられるのもいいだろう!?」

  陵辱箇所を集中させ、20本の指でまだ成長しきっていない乳を襲う。

どくろう「くっ……くすっ…、ひゃハ ひ、く…クる…ぅ!」   ビクククッ
 

 
どくろう「ひっ……キヒっ…!」

桂馬 「おお、いいー笑顔だぞ。 どうだエルシィ、絶望に染まった“妹”を、
     イカせながら、くすぐりまくってムリヤリ笑顔にしてやったぞ…」

エルシィ「にーさま……」

   ~~~~~~~

どくろう「だめ、もうだめ、こわれ、っっ …」

桂馬 「よーし。だいぶ、あったまってきたなぁ!」

  もみじのような小さな手が、パンパンッと、どくろうの尻をたたく。
  愛液が、たらりと滴る。
 

 
桂馬 「ボクも、小学生の体に慣れてきたぞっ。 オトナとちがって、
     力任せじゃいけない。クイックネスを効かせるんだな……。
     …本気、いくぞ! 神モード裏奥義 【スペクトル分身さみだれ撃ち】!」

  なんと、三体に分かれたようになってドクロウを犯す桂馬少年。
  13巻で見せた 五分身技 【ダンスおとし神モード】 と、同系統の奥義であった。
  体が小さい今だからこそやりやすい技。 強壮さがない分、数で勝負する、
  小人によるファンタジー陵辱をヒントにした“一人輪姦”が展開される。

エルシィ(神様……神様はすごすぎて、エルシィはなんだかついていけません…)


  ―――神の進化に終わりはない。 攻略の中に神モードを組み込む『陵辱ルート』を
  進むうちに、経験値を積み、新アビリティを増やし、神モードは、ここまでレベルアップ
  を果たしていたのだ。

どくろう「み゙きゃぁーーー」  ビクビクガクガク

エルシィ(あんなに、お兄ちゃんに “せーてきぎゃくたい” されたら………
      ドクロウさん、むしろ10年後、性格ゆがんでそうです…)
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

(※また何日か後に続き書きます。
  攻略と関係ない京やモブ子もやらなきゃいけない気がしてやりました)

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
  ~ エルシィ『で...』 ~

 
 
白鳥うらら「…!」


   エルシィ(不幸なことに、この10年前にも、駆け魂に入られてしまった
         女の子がいました)


桂馬 「うらら! そんなにおとなになりたいのか!?
     ちくしょう! 大人になってもいいことはないんだよ!
     見ろ! これが大人だ、ボクはこんなことばかりやってきた!
     本当にコレになりたいか!? えぇ!」
 
柳玲子「んぅっ、やめなさい、子供が、こん、こんな、やめ……あぁん」 パンッパンッ

  羽衣で首を締め上げられては抵抗できない柳さん。

柳 (まさか……うらら様の同級生に、……初めてを奪われるなんて…!)

うらら「すごい……… ケイちゃん、あのご本みたいなこと…
    ……ううん、ご本よりすごいこと…してますわ……やなぎ……くるしそう……」
 
桂馬 「なんだよおばさん処女じゃん……でも遠慮はしないぞ、オラオラオラ」

  気絶するまで犯し尽くされる柳。

エルシィ「にーさま、うららさん、小学生ですから、おてやわらかに……」
 

 
桂馬 「うらら! おまえにもヤッてやるぞ! ボクはな、つらいけど、とっとと
     未来に帰らなくちゃいけないんだ」   グイグイッ!

うらら「ひゃぁぁあっ」 びびくっ
 
エルシィ「おてやわらかさのカケラもないです……」

 
 
桂馬 「お手柔らかじゃダメだんだよ! このバグ魔! いいか、この攻略は、

     うららの『大人になりたい』などという世迷い言を打ち砕かなくちゃ
     ならない。 完膚無きまでにツラいセックスでな!

     オトナはセックスをする! → セックスは怖い! → だからオトナに
     なりたがるのはやめよう! この三段論法だ! 論理的だろ!?

     そして、さっさと用事終わらせて未来に帰るぞ!
     10年後には……、ボクのことを待っている女子たちが、いるんだからな。
     新作ゲームのヒロインたちが!」

エルシィ(歩美さんとかのんちゃんが聞いたらどう思うだろう…)

うらら「く、くす、くすぐったっひっ……!? っっ」  ぺろぺろぐにぐに
 

 
桂馬 「……ふっ。“ロリキャラ”に初めての快楽と苦痛を叩き込む。
     これこそ陵辱ゲームの醍醐味だな。
     よしっ、神モード発動! 秘技・月面きりもみセフィロト!」

エルシィ(またへんなスゴ技を)

うらら「ぁ…ァ…  ……あぁぁぁぅあん!」  ジュパパパパ

  体は成熟・心は未熟の女が、絶頂して海老反りになる。
  7歳にとって未知の性的快楽を、上の穴と下の穴に同時に
  打ち寄せられ、ただ打ち震えていく。

桂馬 「コスモの力を感じろ~~」  モミモミ クイィ

うらら(っぅぅ……こ、これがオトナの、“せっくす”というものですの?
     オトナになった体の、いろんな場所がいじくられて、熱い……)

桂馬 「……っていかん。落とし神として、つい女子を楽しませてしまった。
     苦痛を与えねば」

エルシィ「」

どくろう「……」   終盤独特の、力のぬけた絵になって唖然としている二人。
 

 
 
     ◇◇ 無限に続く遊園地世界 ◇◇



    桂馬(外見が大人) 「どうだ、ジェットコースタープレイだ~」   ガタンゴトン

    うらら(外見が大人) 「っぃぃ、うぷっ……お、お゙ぇぇげ~~」

    交わりつつ激しいGをかけられ、吐瀉物をまき散らしながら絶頂しまくる
    白鳥うらら。


エルシィ「ソーゼツです……。
      あ、私、そういえば、こういう遊園地って、はじめてですー
      にーさま、ぜんぜん妹を遊びにつれていってくれないんですよ」

どくろう「これはまやかし……」

 
 

 
      ◇  ◇  ◇


    桂馬 「おとなの体をみんなに見てもらえ~  そうらっ!」  がばっ

    うらら「っぃぃ~~ (///) 」

    観覧車で、挿入したまま股を大開きにされ、露出プレイを強要される
    白鳥うらら。


どくろう「……でもたのしそう……お兄ちゃん…」

エルシィ「どくろうさんは、あんな風になっちゃだめですよー
      神にーさまがおかしいんですから。あんな『大人』いません……
      タイホされます」
 

 
  ~ エルシィ『で…』 ~

うらら「はぁ……はぁん……」 ぜぇぜぇ

桂馬 「はぁ……ふぅ」

  裸のまま、手をつないで倒れているうららと桂馬。

うらら「うらら、おとなになんてならなくていいですわ……」  げっそり

桂馬 「ボクも、大人になりたくなーい。ずっーとゲームしてたいよー」  ばたばた

エルシィ(幼児化してる……)

うらら「……」

うらら「………でも」

うらら「いくらおとなが汚くても、苦しくても……」

うらら「わたくし、つらくても……」

うらら「おじいさまを、てつだいたい………」

桂馬 「―――そっか」

 
 

 
桂馬 「……じゃ、また、やるか。……潰して、ラクにしてやる。
     なぁに、四人目だ。もう慣れてる」

桂馬 「自立なんて、永遠にできなくなればいいんだ……
     そうすれば、大人になんてなる必要は消える」
 
   ◇  ◇  ◇

白鳥正太郎「うららっ、うららー!」

ダルマうらら「うぅ……うぅう」

白鳥正太郎「どうして、こんなことに……

         く……
         私が、見ていてあげられなかったばかりに……
         うらら、これからは私と、いっしょにいましょう。
         うららは、うららだけは、私が守ります」

ダルマうらら「おじいさま……ずっと…」


  どくろう「……」

  エルシィ「神様……息をするように女の子をダルマにします……」
 

 
白鳥正太郎「………」
 

     【おじいさん】  【安心しろよ】


     【その子をそんな姿にした―――あの悪魔は】 【もういない】

白鳥正太郎「きみは…?」


     【――― 神だ】 【―――― 今はこの子供の姿を ― 借りている ――】


  桂馬【───】

エルシィ(神様に言われたとおり、羽衣で神々しい演出を……) キラキラ

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
桂馬 「過去に来てまで、駆け魂狩りさせられるとはな。
     まぁ、これで歴史通り、キャンプができるだろ。
     あー、そういえば、集合写真にいなかったのはこのせいか」
 
エルシィ「とほほです……また……ダルマさんが増えちゃいました」
      (↑ 一度精神崩壊を経験して、一皮むけてるエルシィ)

 
どくろう「……」

  突然、
  後ろから、抱きしめられる幼少姿の桂馬。

どくろう「…お兄ちゃん…………」

桂馬 「……?」

  身長差から、どくろうのおなかに、桂馬の後頭部が、服の上から当たる。

桂馬「……なんだよ、さわるなよ」

どくろう「つらかったんだね」
 

 
桂馬 「……? え?」

桂馬 (何言ってんだ?)

どくろう「お兄ちゃんを、見てて……
      ちょっとわかった」

どくろう「あっちの私のこと」

桂馬 (…ドクロウ室長か)

どくろう「どうして、けっこん、したかったのか」


  ◇  ◇  ◇

 
 
 

 
どくろう「―――――」

どくろう「―― アルマゲマキナのたたかいで、ドクロウは、いっぱい殺した。
      悪魔なのに、悪魔をいっぱい。殺した。

      すごくつらかったから……だから、

      “優しくされたい” と思ったの。

      『私のつらいもの、ぶつけて、全部受け入れてくれる、

       すてきなだんなさん、みつけて、
       なぐさめてもらいたい』、って……」

桂馬 「…?」


どくろう「でも、違う……
     
     ドクロウはまちがってた

     そんなの……誰も受け止めきれない……。だから、反対」
 

 
どくろう「 『私みたいにつらい人、助けてあげよう』って
       そう思わなくちゃ、いけなかったんだ。私」

桂馬 「おい」

桂馬 「やめろ気持ち悪い」

  振り払おうとするが、どくろうは桂馬の頭をより固く抱きしめる。

どくろう「お兄ちゃんを…」
 
エルシィ「……」
 

 
  『陵辱ルート』を選んで女子を攻略する落とし神・桂木桂馬を、
  人間界に来たばかりで、まだ悪魔らしかった頃のエルシィは、『傍観者』として見た。
  
  “ハンドウィッチ”などの料理も残る、悪魔の社会の感覚では、人の体が切り落とされることも、
  人が殺されてしまうことも、深く考えさえしなければ、大きく抵抗のあることではなかったから。
  ノーラの殺人を使った駆け魂狩りが噂になっても、誰も動こうとしないように。
  またそれには、エルシィの前世も関係していたのかも、しれない。

  だが、やがて人間界の考え方に染まってくると、エルシィは『共犯者』として、
  自分がどうあるべきか分からずに、苦しんだ。
 

  一方、より悪魔として強い、旧悪魔の心を持つリューネは桂馬の『仲間』として愉しんだ。
  逆に、天界の女神たちは、宿主を犯され、桂馬を『加害者』と非難した。

  だが、ドクロウは、そのどれでもなかった。
  ドクロウは、遥かに多くの殺戮の苦悩を知る英雄として、桂馬の“先”を行った悪魔として――――
 

 
桂馬 「……なんだよ、おまえ、自分は、ボクよりずっとつらいけど、
     ボクをなぐさめる、って言いたいのか」

どくろう「……」
 
どくろう「……うん…………!」
 
桂馬 「追い詰められて、やむを得ずこんなヤケクソみたいな
     キ×ガイになっちゃった、カワイソウな奴ってか」

どくろう「そうだよ。……お兄ちゃんは戻らなくちゃいけない。
      まだ戻れるよ……」

桂馬 「ねぼけたこと考えやがって。
     あいにくボクは、お前らと違って現実<リアル>に何も
     期待していない。すべてルート通りなだけだ。
     そもそも逆だろ。 変なやつだなお前」


      【寂しいから……こうなるのよ…】


桂馬 「おまえみたいなやつ、前にもいたよ。 “まちがったこと”をするやつを、
     上から目線で同情して、分かったような気になって」
 
桂馬 「そいつ……教師になろうとしてた。 ボクがこわしてやったけどな」
 

 

どくろう「教師?」

エルシィ「にーさま、長瀬せんせーは」

どくろう「………“せんせい”」

桂馬 「ドクロウ。おまえ……まだ、攻略しきれてなかったみたいだな」

 
どくろう「――“せんせい”なら、私やお兄ちゃんみたいな人を助けてあげられるの?」 

桂馬 「……エルシィ。 羽衣で首輪をつくれ。SMっぽいやつ! コイツにつけてやる!」

エルシィ「はっ、はい!」
 
  エルシィの羽衣の先端がヒラリと舞って、トゲトゲのついたパンクな感じの、
  黒い首輪に変異する。
  幼い姿の桂馬に、それを嵌められるどくろう。
 
桂馬 「ふっふふ、ボクからのプレゼントだよ」
 

 
どくろう「………うん…」

桂馬 「似合ってるな。……これから、 “おねショタ”陵辱肉奴隷にしてやる。
     まさかこんな攻略を、リアルですることになるとはな。
     7歳の小学生にいじめられる屈辱と快楽を、たっぷり叩き込んでやるぞ!」

どくろう「うん……」

 
 
  小1の姿の桂馬より、中学生ほどの外見であるどくろうの方が、二回り以上、

  体が大きい。後ろからつっこんでいるのは、ライオンや大型犬を従える
  調教師になったような、独特の征服感がある。

桂馬 「どうだ! どうだっ!」

どくろう「んふぅぅ~!!」 びくビクびグ!

桂馬 (まったく、変なやつが多くてイヤになるよ!)


  いままでの嫌な出来事の全てが、ドクロウのメールから始まった。
  桂馬は、その怒りを、少女どくろうへの陵辱でぶちまけていくのだった…。

  ◇  ◇  ◇
 

 
  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇ 



   「なぁ、エルシィ、

    おまえ、ドクロウ室長の部屋の掃除係だったんだよな
    どんな感じだった。 どんなやつだった

    ドクロウは、『なにかできずに』心のスキマができていた、これまでの
    女子たちとは違う。 
    恐ろしい地獄を、いい地獄にした、『なにかできた』どころか、世界を
    変えた、新地獄の英雄だ。そのドクロウは、人間界には存在すらしない
    くらいの、成功者で、勝利者で、理想の体現、なのかもな

    でも、そんなやつでも、ぬぐいきれない心の隙間があって、
    それが分身のあいつに出た

    けど、ボクにはこれっぽっちも分からないんだ。ドクロウの心の隙間なんて。

    モンスターを倒した数は、多いほうがいいだろ。基本。ゲームでは。

    思ったんだ
    “英雄”は、たくさん殺す
    “神”も、たくさん殺す
    その違いはなんだろうって。
 

 
    “英雄” は100人殺して、200人殺して、300人殺して、殺した数だけ、
    一生その苦悩が、つきまとうんだろう
    もしかすると、殺したやつとも、友達になれたかもしれないから

    だが “神” は1人殺して、10人殺して、100人殺して、1000人殺して、
    なんとも思わない
    神にとって、ゲームキャラをプログラムから消したようなものだから

    だから、神になぐさめはいらない。 救いが必要なのは、英雄だ。
    あいつだ。


    『女の子を救え』って、言われたよな。
    ……ドクロウ室長のことじゃないか?

    10年前、一番苦しんでる女の子。 一番助けを必要としてる女の子。
    神からみたら、あんなホネでも“女の子”だ
    救うよ。 あいつの言う通りにしてやろうじゃないか。 ただし、ボクのやり方でな

    でも、救ったところで、現代に帰って、
    もう、死んでたら世話がない」


  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇ 
 

 
 
 
桂馬 「ふぅー(賢者)……」


どくろう「……んぅぅ……フゥッ」 

桂馬 「はぁ……ボクはなんであんなにイラついてたんだ。

     未来を、都合よく変えようと思ってできなかったからか」


桂馬 「あっちも、自由に動きがとれない立場じゃしょーがないよな。

     もういいか……今の世界でも

     結のおかげでマルスが力が戻ってヴィンテージに勝てたんだ。
     かのんのおかげで、二度とゲームができなくなったボクの手も治った。
     歩美のおかげで、そのかのんが死に際から帰ってこれた。

     おもしろいゲームが世の中にはいっぱいあるんだし。
     もうしばらく無視してれば、ボクのことなんてすぐ興味なくすさ。
     怒ってる女神達のことも、ボクならどーにか───」
 
どくろう「……あぅ……」

桂馬 「……」

桂馬 「…この首輪のデザイン」

どくろう「……?」

桂馬 「――― 10年間、つけてたのか? おまえ」
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
 
  ◇◇  舞島東小学校 校門前 ◇◇

 
 
 女子児童たちが騒ぎ、無法地帯になってしまっている小学校。

 
 
 少女どくろうの手の上、オーブにドクロウ室長が映し出されている。


   室長『ヴィンテージは、どうやら、より適した子供たちを選別し、
       駆け魂<ヴァイス>の“隠れが”にしようと考えているようだ』

桂馬 「そのために、あんなランキングをつくって、学校を混乱に
     陥れたのか……」 (ゲームプレイ中)

   室長『……(こんなやつイヤだなぁ……エルシィに悪影響がすごそうだ)』

桂馬 「まずいな、この騒ぎ。キャンプは明日だろ。もうボクの未来には
     つながらないんじゃないか」

どくろう「まだ、だいじょうぶだと思う……

      今は、学校全体に魔法がかけられてる状態みたいだから」
 

 
桂馬 「球も反応してないな……ここからの行動次第じゃ、挽回可能ってわけか。
     くそ、ヴィンテージめ、未来では潰れたが、10年前の学校で
     こんな余計なことしてくれてるとは」

エルシィ「ひどいですよね~。 女の子を道具みたいに。にーさまみたいです~!」 ぶーぶー

桂馬 「おい」

桂馬 「しかし……どっちにしても、このままじゃキャンプが中止だ……」

どくろう(少女)「……」

  ドクロウ室長 『すまぬが、私も手一杯の身でな。

            そっちのドクロウにサポートは任せるので、
            女神が助かる未来につながるようにしてほしい』

どくろう(少女)「……どうする。お兄ちゃん」
 

 
 
  ~ エルシィ『で!』 ~

 
 
桂馬 「ちょうどよさそうな駒があった」

 
天理(6歳) 「……? …?」

エルシィ「あ、天理さん」

桂馬 「エルシィ。こいつでランキング1位を倒し、天理を使って、
     この騒ぎをコントロールして、学校をキャンプのできる状態に
     つながるようにするぞ」

エルシィ「そんな、だいじょうぶなんですか?」
 
天理 「……」 びくっ
 
桂馬 「なにがだ」
 

 
エルシィ「だって……10年後の、夏休みに天理さんと再会したとき、
      天理さん、にーさまのこと、『覚えてない』って
      おっしゃってたじゃないですか。 でも今そんなことしたら、真っ先に
      『わー。ひさしぶりー。桂馬く~ん、あのときは大変だったね~』
      ってなっちゃうんじゃ……」

桂馬 「黙らせる」

桂馬 「天理を脅して、つじつまが合わないことは黙らせれば矛盾しないはずだ」

エルシィ「ごーいんな……」

桂馬 「……今思えば、天理はそういう態度だった。
     言いたいことがある、知ってることがあるのに、言えなそうな。
     あれはきっと、過去でボクに脅迫されていたんだ。ふふ…」

エルシィ「そ、そうでしょうかね……」
 

 
桂馬 「天理、お前が、この学校の女王になれ!」  ビシッ!

天理 「えぇぇ!」


天理 「…む……むりだよ……わたし……友達いないし……
     手に数字だって………それに……いや……」
 
桂馬 「心配はいらないぞ天理……お前はなにも考えることはない。
     ただ、ボクの言うとおりにしていればいいんだ」

天理 「……」 「……」 うっ うっ

桂馬 「ボクは落とし神。…ボクは神だ。 安心しろ、天理。
     おまえのジャマモノはみんなボクが退けてやるー……
     嫌いな奴はいるか、ボク以外で。ためしにそいつから神の力で……」

天理 「……」   天理の耳元に甘い言葉をささやく、その様は旧悪魔そのもの。
 

 
エルシィ「神様、でも退けるって、どーやるんです」
 
桂馬 「もちろん。ボクが知っている唯一の手段、“攻略”でな」

エルシィ(あぁ……犯っちゃうんですね……)

桂馬 「気分はアリスソフトの戦略シミュエロゲーだな」

天理 「…………(桂馬くん……神さまって……)」


桂馬(※ロリ女装)「……にやっ」

   エルシィ(こうして、神にーさまの、小学生れいぷ無双がはじまりました……
         せーとさんたちにとって、ヴィンテージ以上の悪魔の襲来です~)
 

 
 
  ~ エルシィ『で』 ~

 
 
香織 「見て。あの子たち。」  「手に数字が出ただけであんなに大騒ぎして」


桂馬 (……)

香織 「 ゴ ミ に順位なんてあるわけないのに。 バカ丸出しよね。

     ちょっと状況をつくってやれば簡単に従う。幸せそうに。 少しも考えもしない……」

桂馬 (…………相変わらずだな)


香織 「ねぇ、あなた」  「私たち一緒にやらない?」

香織 「私、アクマに協力する代わりに、この街を好きにしていい約束してるの。
     アクマたちがこっちの世界を支配した後にね!!」

桂馬 (ああ……。リューネとのことを思い出すな。
     ボクは、こんな感じで、リューネと手を組んだんだ)
 

 
  ◇  ◇  ◇
 
エルシィ「にーさまー! なんで香織さんの誘いに乗っちゃうんですかー!?」

桂馬 「裏切るに決まってるだろ。 安心しろよ」

エルシィ「あー……。 そーですよね……」

桂馬 「向こうもそのつもりだろ。気に入られるボクはともかく、天理は容赦なく
     切ってくる。 せいぜい、2番手として香織の地位を盤石にするのに十分
     利用された後に、ボクを屈服させて使いやすい道具にするためにポイだ。

     ───どくろうがいてくれて助かったよ。
     おまえじゃ、香織と組んでる悪魔に勝てない。
     (いざとなったら、あっちの悪魔も“攻略”してやる)」

どくろう「……」

エルシィ「うぅー」

桂馬 「しかし……あいつ、知ってるぞ。結崎香織。
     リューネの駆け魂狩りを手伝ったことがあるんだが、
     あのとき会った、義手のバディーだ。 (なんか、夢にも出て来たな)」
 

 
エルシィ「お知り合いだったんですか」

桂馬 「一方的にな。お互いに。
     あいつ、なにも知らないボクとリューネの仲を裂いて、ボクを
     はめようとして、失敗して、ボクとリューネに、フクロにされたんだ……
     快楽でつながってたボクらに、裂くようなつながりなんて無かったのが敗因。
     金粉塗って、犯してやったな。 なつかしい」

エルシィ「私の与り知らないところでいろんな女の子が不幸に……」
 
桂馬 「不幸なもんか、あいつすごかったよ。
     ボクがハクアやお前たちを“使った”みたいに、10年後、
     人間のなのに、ヴィンテージの悪魔を何人も手下みたいにしてて。
     女王の器なんだな。それでボクを襲いやがったんだ。
     リューネの魔法で、例の首輪を締められて全員やられてたけど。
     ぜんぶ犯してやったなぁ…。リアルの悪魔のくせに、首締めプレイは結構良かったぞ」


  アニメ版1話でしか出てこなかった首輪の首締め機能を予めハックされ、
  ビルの屋上でのたうち回っているところを一人また一人と桂馬に犯されていった
  ヴィンテージのみなさん。阿鼻叫喚。

エルシィ「…すさまじいです。う~、私、やっぱり、その場にいなくてよかったです~…」
 

 
桂馬 「22歳の香織に比べたら12歳の香織は、レベルは数段下だ。
     悪魔のことも、使ってるというより使ってる気になってる感じだな。
     あれ、 でも、小学生時代の香織には両腕がちゃんとある。
     それに、あんないい子だったかな。10年後はあいつ、もっと性格悪かったぞ」

エルシィ「あれより悪くなるんですか」

桂馬 「そうか。あのときは、『こいつ何を言ってるんだ?』、と思ったけど、
     香織に、鉈を食らわせてやったのは、ボクか。それで……」

天理 (けいまくん……どうして、ゲームしてないんだろう)

桂馬 「香織も、ボクの未来に、合わせなくちゃな……。
     ボクにしっかり復讐心を持つように、おもいっきりヒサンなレイプのしかたを。
     なんだか、フラグ管理に困らされるゲームのプログラマーやライターの気分だ」
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
    ~ エルシィ『で!』 ~

 
 
桂馬 「よしドクロウ。…できるんだな。小学生たちに入るはずだった駆け魂、

     おまえが、みんな相手するの」

    黒い首輪を巻く、少女どくろう。

どくろう「……分かったよ」

エルシィ「女の子たちを助けるんですね! よかったです」

桂馬 「しかたないからな。もし助けなかったら駆け魂の宿主だらけになって、
     きっとボクの駆け魂攻略は、あんな数じゃ済まない。
     女神探しもあんな数じゃ済まない。ゲームをやるひまがなくてしぬ」

天理 (何を話してるんだろ……桂馬くん)
    (オトナの女の人、ふたりも、桂馬くんの言うこときいてる)

エルシィ「またまたー」 ← 小学1年生からは大人に見える。

桂馬 「ドクロウ。わるくおもうなよ。ドクロウがボクに投げてきたんだ、ドクロウに投げ返すが」

どくろう「悪くなんて思わないよ……10年しても……私、きっと」
 

 
   ◇    ◇    ◇

 
 
桂馬 「さて天理くん」


天理 「ドキッ」

桂馬 「この過去の世界を、ボクのいた未来のセカイにつなげるために、
     おまえに、もうひと働きをしてもらわなくちゃならない。イヤとは言わせない
     (ゲームでは、プレイヤーでもないヒロインに、選択肢なんてないからな)」


  手紙を握らされる。

天理 「…!」

桂馬 「よ~く読んで」  「いつまで経っても翼の生えない哀れな女神を入れろ」

    香織を攻略するため、階段をのぼり始める桂馬。

天理 「けいまくん、どういうことなの??」
 

 
桂馬 「天理、おまえはまだ子供だから分からないだろ、
     だから、手紙にしたし、今は、簡単に言うよ。
     ボクは“神”なんだ。 現実の神を超えた神。 時を超えた神」

エルシィ「神様…」

天理「かみ……さま……?」


桂馬「そうだ」

桂馬「そして、……人は、“神”にひれふすことで、幸せを得られる…。
    それだけだ。なにも考える必要はない。たとえ結崎香織、
    “女王”であっても、“神”には勝てない」

天理「……」

桂馬 「天理。 お前もまたボクには逆らえない、ボクの言うとおりに
     するんだ。それしか道はない」  「…どうなるか見ておけ!」
 

 
   ◇   ◇   ◇
 

    エルシィ。
    香織は、2位の天理を、狙うつもりだ。
    ボクを、自分のものにするためだけに。
    でもそうはいかない。 ドクロウを攻略したおかげだ。

    なぁ、エルシィ
    女神たちとのこと、女神の宿主の女子たちとのこと、どうしたらいいか、考えてた。
    ゲームはクリアしたら電源を切って終わりだけど、現実<リアル>はそうじゃないから。

    でも、この過去の世界で、どうするべきか、やっと答えに、辿り着いたよ。
    最初から、分かっていた答えに。
    
    この過去で出会った、ドクロウが、“英雄”。
    結崎香織が、“女王”なら、
    “英雄”と“女王”を、超えるものは、
    ゲームで、勇者と王様の上にいられるのは、“神”だけだ。

    ボクは、落とし神だ。

    おまえが、初めて出会った日、言った通りだった。
 

   ◇   ◇   ◇
 

 
 
   ◇   ◇   ◇




香織「ねぇ、桂馬くん。ゲームってやったことある?」

桂馬「あぁ」

香織「もしゲームの世界なら……」 「自分が幸せなら、みーんな幸せでしょ?」

香織「でも世の中って……みんなで、一つのゲームを遊んでるようなものなの…」


香織「……“みながひしめきあって、幸せを取りあっている”」
 

 
 ゲームの中なら、一つのものを奪い合う必要はない。
 自分のためだけの世界。 “解”が、“エンディング”が存在する世界。

 もしも、ヒロインが6人いる恋愛シミュレーションゲームなら、
 6つのエンディングをクリアすればそれでいい。

 だが、現実<リアル>の世界は残酷なゼロ和ゲーム。
 たった一つしかない現実では、幸せになるためには───

香織「─── 幸せになるためには、他の人をギセイにしなきゃいけないのよ」

 そして、あまりにも優しければ、そんな“幸せ”は、幸せでは、ないのかもしれない。

桂馬「………」

桂馬「香織。……ボクらって似ているな」

桂馬「ボクも少し前まで、そんなふうに、考えていたよ…」

香織「……」

桂馬「現実<リアル>とは、なんて不条理で、窮屈で、度し難い。
    みんなの理想の幸せがあるのは、ゲームの世界くらいだって」
 

 
   教室の窓から、校庭が見える。
   小学一年生のころの高原歩美が駆けていた。

   まるで、10年先の、あの小悪魔と契約をして、全てが始まった、
   あの日と同じのように。

香織「それでね」

桂馬「……でも。 ボクは、あるバカに出会ってから変わった。
    ちょっとずつ、変わっていった」
 
エルシィ「……にーさま」


   ただ、現実<リアル>に文句を言いながらゲームをしていた日々から、
   現実世界の“落とし神”として───
 

 
桂馬「結崎香織。……お前は間違っている。

    現実<リアル>にも、すべての人が幸せになれる結末があるはずだ」
 
香織「……。まるで夢みたいなこと言うのね。桂馬くんは」
 

桂馬「ああ。ボクは夢見てた。 全てのヒロインが幸せになれる、理想の世界。
    “落とし神”のボクだけが知っている――神のみぞ知るセカイ、

    それがこれだ、“陵辱ルート”だ!」
 



香織「ああああ! 嘘でしょ、小学1年生に犯されて幸せになるなんて、
    こんな、こんな幸せがあったなんて、くそ!」 ぱんっぱんっ
 
桂馬「ふんふ~ん ♪ 神モード!!」 タイトル回収
 

 
   12本の腕に全身の性感帯を刺激されまくる香織さん。

 
香織「ひぐっ…っ、んぅっ、ゆるさない、ゆるざ、っ、んうううう」 ビクンビクンッ  

桂馬「香織っ、“敗者の幸せ”を思い知ったか。ボクが落とし神だっ!
    この神の力で、みんな落ちて幸せになるんだ。

    ……ボクに攻略されてきた女子たち。どいつもこいつも理想をみて
    あがくから苦しんだ。悩んで…心に隙間ができた。

    それが間違いだ、陵辱に…屈服に悦びを見い出せば幸福になれるんだよ、
    わっはっはっはっは。これが落とし神の実力だ。落ちろっ…!」


香織「い、いぐぅうううんー」  ビクビクっ プシャー

桂馬「落ちたな」



天理「……けいまくん、すごい……
    シーダッシュさんたちや有田さん、花さんに、ついに香織さんまで…
    もう、けいまくんの言うとおりに、するしかないんだ。
    私も、けいまくんの言いつけを、このさき10年、ぜんぶまもって、
    みんなみたいにされて、しあわせにしてもらうしかないんだ…」 (…ぞくっ)
 

エルシィ(どーしてこんなことに……)

 
 

 
 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


       ビィ──────────

 
   【 本日はごらいじょーいただき、まことにありがとうございます。

      たいへん長らくお待たせいたしましたが、

      まもなく、 クイーンコンテスト決勝、演劇の部を開演いたします。


      なお、時間がさしせまっておりますので、劇は合同といたします。
      また、演題は、『ロミオとジュリエット』より変更いたしまして、


         『永遠となった留守番』 ――――】

 
 
 
 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 
 
香織「はぁっ……ハァッ……いや、イヤ、やめ……っ、いぐぅっ」


 

     桂馬(見ろ、天理。 ボクの言うとおりにしないと――――)


     天理(見てるよ、桂馬くん。 桂馬くんの、言うとおりにすれば―――)



              こうなるんだ。

 
   ◇  ◇  ◇


エルシィ( こうして……
       『陵辱ルート』の攻略でも意外と上手くいってしまった落とし神様は、

       そのまま身を守るため、女神のみなさんまで、手にかけていきました……) 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
 
  ◇◇ 一方、現代 ◇◇



  中川かのんの暮らしているマンション。


桂馬「zzz……」

かのん「ねぇ、アポロ……? どうして桂馬くんが、私の部屋で寝てるの?」

  床で眠る、体は17才・心は7才の桂木桂馬。

アポロ「これはの。 『桂木・押しつけ合いアミダ』 で、あずかることになったのじゃ!」

かのん「なにそのアミダ…」


アポロ「まー、なぁに、かのんも、今日は仕事もレッスンもないじゃろ?」
 

 
   桂木桂馬による、最初の陵辱攻略が原因で、アイドル・中川かのんの
   人気には陰りがさしていた。

   陵辱攻略で広まったスカトロ動画そのものは、かのんの事務所のほうも、
   『うわぁ……これはうちのかのんですね。間違いない。なんだこれは……
   たまげたなあ』などと何も考えずに言う正直者ではないし、ハクアの錯覚
   魔法と同種の、攻略後の新地獄の操作のおかげで、『そっくりさんモノ
   だろう』と収まってはいた。
   しかし、結局噂は消えないことと、なにより、かのん本人がどこか変わって
   しまったことが人気減退の原因となった。
   最近そこに、数日間のドタキャン(※女神編で鬼畜桂馬が代役を立てたりなど
   しなかったから)も加わっている。
 

 
アポロ「わらわも、このようなコプロフィリア男、好かんのじゃがの~、
     かのんの美しさを前にして、男として気が狂ってしまうのも無理はないとはいえ…」
 

アポロ「……まあ、よいではないか。眠らせておけばいいそうじゃし」

かのん「桂馬くん…」

桂馬(中身は7才)「……むにゃむや……わぁ……ゲームがお皿にやまもりだぁ……」 ←寝言

 
   ◇  ◇  ◇
 
  普段着で、眼鏡を掛けたかのんに、アポロが、鏡の中で眼鏡を外し説明する。

アポロ「事情はかくかくしかじかというわけじゃが────。

     ふふふ。しかし、ちょっと悪戯して、コヤツをこっそり酷い目にあわせて
     やるのもいいかの? 
     ウル姉は、『歴史にどんな影響があるかわからん、極力眠らせておくように』
     などと言っておったが、ちょっとくらいなら大丈夫じゃろ☆」   危機感ゼロ

かのん「そうなんだ…。この桂馬くん。
     中にいるのは7才のころの桂馬くんなんだ……」

  あれだけの出来事があったのだ。かのんはもう、アポロの話を疑うことはなかった。
 

 
桂馬 「すーすー……」

かのん「……………」ぞくっ

かのん「……はぁっ…はぁっ…」

  胸の鼓動が高まるのが、体を共有しているアポロにも伝わってくる。

アポロ「どーした、かのん、息が荒くなっておるぞ」

かのん「……7才の。桂馬くん。 この頃の桂馬くんは、もちろん誰にも汚されて
     ないんだよね。
     まだ、歩美さんとも手をつないだこともない、まっさらな桂馬君…」

  かのんは、その白い手を桂馬の頬に置くと、不意に、唇を奪う。

かのん「…んっ」

桂馬(中身は7才)「ふぁっ?」

桂馬(中身は7才)「…っ! …? おねえちゃんだれ? あれ? げーむは? げーむは?」

   キョロキョロ
 

 
アポロ「お、おいッ! なにをしておる。話を聞ーとらんかったのか、
     そやつは、まだコドモ……」

かのん「アポロ、歴史を変えちゃおうよ…」

   自分の眼鏡も外し、落とす、かのん。
 
アポロ「お?」
   
かのん「ここで、7才の桂馬君を、私色に染めちゃうんだよ……
     他の女の子のモノになんて、ならないように……」 ゴゴゴゴゴ……
  
桂馬 「な、なにするの? だれだよ?」

かのん「桂馬君桂馬君桂馬君桂馬君桂馬君」

かのん「お姉ちゃんに身を任セテネ…」 

アポロ「いかん……完全にヤンデレスイッチが入ったわ。わらわでも止まらんぞよ……」
 

 
  ◇  ◇  ◇

かのん「ジュバっ ちゅるちゅる!」  桂木のものを攻撃的にねぶる、

かのん「んはぁ、ぺろぺろぺろぺろ!」  “レイプ目”になったかのん。

桂馬 「な、なんだよ、お姉ちゃん、なんで、なめてくるの」  気圧される桂馬。

アポロ「うえ~…」

桂馬 「ボクの体、おかしい、どうなってるんだ……あーッ、おちんちん、、
     むずむずしてきて、……な、なんか、おしっこ出ちゃう!?」

かのん「んぷハ! ……いいよ、それ、おしっこじゃないから」
     「それに、おしっこならおしっこでもいいよ! のんであげるね!」

桂馬 「ああぁぁぁああ!」

   心は7才でも、体は17才。
   絶頂とともに、白濁ジュースが勢いよくかのんの口内に発射された

かのん「んぐ…っ! ……、…ごきゅ……ごくり……」  目を閉じ、味覚に集中するかのん。

アポロ「ひぇぇ~」
 

 
桂馬 「おねえちゃん、なんなんだ…?」
     「こんなことするなんて、きっと、学校で言ってた変な人だ」

かのん「なにいってるの、これをお姉ちゃんに覚えさせたのは、桂馬くんなんだよ!」

   少女は、少年の股間にさらに顔をうずめ、おしりの穴をなめだした。

桂馬 「わああ…!」

  体にびくりと電撃が走ったようになる桂馬。

桂馬 「やめろ~! やめろやめろ! ボクがヘンになる」

  今の桂馬は、心は小学一年生でも、肉体は男子高校生。 
  “パワー系”がごとし。 男性の腕力で、かのんを振り払ってしまう。

かのん「きゃ」

桂馬 「うぅ……そうだ、ゲーム! ゲームで、正気にもどらなくちゃ……」
 

 
桂馬 「そういえば、ボク、体がへんだな、大人みたいになってる……?」

桂馬 「まあいいや、ゲームできれば」

  ズボンをはいて、ゲーム機を探してキョロキョロしだす桂馬7才。

かのん「……」
 
かのん「な、なんで……?」   ありえない出来事のはずだった。
 
かのん「なんで私を拒絶するの?」

   最初の攻略で病んだ愛情を芽生えさせた中川かのん。

   アポロが目覚めて、刺される前までに、ぐつぐつと
   それを心の中で歪め育んだかのん。いろいろあって、
   さらに女神探しでは、歩美の妊娠を知らされて、
   『しかたないことだから』と桂馬に他の女を追われ、
   メールのやりとりばかりで、会う機会が殆どとれなかったため、
   愛情がこじれにこじれ、こじれきった、かのん。
 

 
  彼女の耳には、拒否の言葉が、こう聞こえた。

   桂馬 『さわるな』 『このうす汚いくそおんなが!』
   桂馬 『ボクの運命の人は歩美なんだ! 高原歩美!
        ……近日、桂木歩美になるので乞うご期待』
   桂馬 『かのん。お前みたいに人前ではキャラつくってるけど、実は暗くて
        ネガティブな女と違って、歩美はさいこうだ』
   桂馬 『かのんのう○ちより、健康的な歩美のおし○このほうが美味しいし!』
   桂馬 『おまえとは、遊び、“ゲーム”だったんだよ』
   桂馬 『助けてやったのも、ボクと歩美の明るい未来のために、
        アポロの力を利用する必要があったからだ』
   桂馬 『カンチガイするなバーカバーカ。ベンベーン』
 

 
かのん「……そう」 キュィィィン

  五位堂結が、マルスと入れ替わらずとも、不良たちを付き飛ばす
  力が出せるように。 怒りによって覚醒し、『人間態』でありながら
  女神の力を現すかのん。

かのん「…いいんダヨ。 桂馬君」

かのん「あなたは、“これから”だから。まだ7才だから。
      これから、いっぱい私と仲良くなるんだから」

  本気を出せば動体巨人よりも強い、“女神の腕力”で桂馬を押し倒し、
  おもむろに彼の尻穴に指を3本つっこむ。

桂馬(中身は7才) 「ひぐっぅ」  ビクッ

かのん「立って、立て、タテタテタテタテタテタテ」  ビリビリ! ビリビリビリ!

  前立腺に刺激を加えながら、5万ボルトの低電圧スタンガンを、
  何度もペニスに押し当てるかのん。
 

 
桂馬(中身は7才)「うわぁ、なんだ、痛い! いたいよ!
              痛いのに、なんでチンチン立っちゃうんだよ」

アポロ「か、かのん……? 桂木とはいえ、子供が嫌がっておる。 それくらいに…」

  いたずら好きのアポロでも、さすがにやや引き気味である。
 
  一方、桂馬の思春期まっただなかの肉体は、再び元気ハツラツで勃起していく。
  かのんは暗く笑うと、自分の下着を外す。 愛液が糸を引いた。

かのん「桂馬くん、また、ひとつになろっ」

   準備は、とっくに万全になっていた。

   ――ずるぬんっ、と。

桂馬 「ぁぁああ! なんだこれ、なんだよ、この感触! まさか」 ぬちゅぬちゅ
 
  座位で上から挿入する中川かのん。

かのん「あはは。 やった。やったよ! やっちゃったよ。

      あの日、私の処女をむりやり奪ったのは桂馬くん。
      今日、桂馬くんの童貞をむりやり奪ったのは私。
      これで私たち、運命の二人だね」
 
アポロ「か、かのんー」

 

 
  7才童貞の絶頂は早かった。

桂馬 「ァァぁあ、また、また出ちゃうぅうう!」  びゅる! びゅるるぅぅ……

  中川かのんの膣を満たしていく桂馬の子供汁。神汁。

かのん「はぁぁぁああん……妊娠、妊娠する、よ……
      これで、7才の桂馬くんで妊娠すれば、私、“歩美さんより先”だぁ」

  かのんは、性器がつながったままの状態で手を伸ばし、机の抽斗を引いた。
  中は下剤や浣腸でいっぱい。
  攻略のせいで、いまや中川かのんは、性癖、趣味として、
  日常的にスカトロ自慰を嗜んでいたのだ。

かのん「調教、してあげるね。私が、桂馬くんにやられたように」
 
  イチジク型浣腸の封を切ると、かのんは、先端をぺろりとなめた。

桂馬 「痛い!」  ぬぶすりっ

桂馬 「なんで!? カンチョーなんてやだぁ」

  ◇  ◇  ◇

   ガーゴイルの体勢でおしゃれなお皿にまたがり、排便を強要される桂木桂馬7才。

かのん「ほらっ、出さないと終わらないよ? 桂馬くん」
 

 
桂馬 「と、トイレでやるよっ、ボクもう1年生なんだから」
 
アポロ「かのん……桂木もこう言っておるし……」

かのん「出セ出セ出セ出セ出セ出セ出セ」 スタンガンを押しつけ、放電を加える。

桂馬 「ぎゃあああああ」

  電気ショックで肛門がゆるみ、浣腸液とともに糞便がもれた。
  それを、エサをまいてもらったハトのような勢いで、目の色を変えて、
  四つん這いになって食らいつく元スーパーアイドル。

かのん「おいしい、おいしいよ、桂馬くぅん!」 もぐもぐ

アポロ「かのんやめろ~ わらわも感覚があるのじゃ~! ぐええええ」
 
(※ 天理編ではディアナも天理のキスの感覚を共有してた様子なため)

 
桂馬 「……」 完全に怯えきっている7才桂馬。
  彼は、自分以上のヘンタイを、生まれて初めて目の当たりにしていた。

かのん「それじゃあ桂馬くん。今度は、お姉ちゃんとイッショにシヨウネ」

アポロ「ひぇぇぇ、もう引っ込みたい、じゃが、女神として責任をもって――」

かのん「よいしょ!」

  でんぐり返しの途中のような姿勢にさせられ、全裸のかのんに顔面騎乗される桂馬。

桂馬 「む、むぐぅー!」

  天井に向かって突き出された桂馬の尻の穴を、かのんが指先でくりくりと撫でる。

かのん「桂馬くん。まだうんち、出し切ってないよね。

      そうだ。ゲームしよっか。 ガマン大会。お姉ちゃんと桂馬くんとで、
      順番に1本ずつ、この浣腸を入れてくの。 1本30グラムずつ。
      長くガマンできたほうが勝ちね」
 

 
桂馬 「やめろー! ボクがやるのは電源がひつよーなゲームだけだ」

かのん「まず、私に1本……」 「桂馬くんに1本……」 チュジュウウゥゥ

桂馬 「ぁ、あっ、つめたい!」

かのん「これ、逆さまだから桂馬くんが有利なのかな? お姉ちゃん分からないや。
     ゲームの天才の桂馬くんが、教えてくれるかな……
     …………お姉ちゃんに1本…………桂馬くんにもお浣腸、1本……」

桂馬 「うぅう! カンチョーゲームなんてきらいだ! ギャルゲーやる!」

かのん「まだまだ、入るからね……私に1本……桂馬くんのおしりの穴にも、1本……」
 

 
   ◇  ◇  ◇

かのん「……私に1本……桂馬君にも、1本……」

桂馬 「ううう……、お姉ちゃんのお尻の穴から、
     ちょっとだけ、茶色いのが垂れてきてる
     前のほうからも、ぬるぬるしたのが……」

かのん「…もう1本……………まだ1本……
     お姉ちゃん慣れてるからね、ハンデで私に1本……」

かのん「それじゃあ、ちょっと休憩で、お姉ちゃんが歌、唄ってあげる。
     この、立っちゃってるおちんちんを、マイクにして、こすりながらね☆」

桂馬 「う……苦しい……苦しい……おなか、ごろごろする……」

かのん「 ♪ ♪~♪ ……」  しこしこ

アポロ「か、かのん、歌声が震えておるぞ……
     もう……トイレいこう、な?」
 

 
   ◇  ◇  ◇

かのん「―――。 桂馬くん…、10年も未来のヒット曲を聴けちゃった……ね。
     すごい……特別な体験を……したね」 汗だらだら

桂馬 「あ……でちゃう、もうガマンできない……あ……ああ……おトイレ……ゲーム……」 しこしこ

かのん「!! じゅるり!」

桂馬 「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
  (ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」

かのん「おいしいよ桂馬くぅん! はふっ、はふっ! おいしいよぉおお、桂馬くんのうんち……」

桂馬 「う、うああーーー!」 さらに射精。 排便と絶頂、無間地獄に追い詰められた7才桂馬。

かのん「わ、私もガマンできない……!  んぅ!」 ブブフジュルゥゥゥウウー

アポロ「地獄じゃ! この世の旧地獄じゃー! 排泄あくめの感覚にうなされながら、
     桂木桂馬の、くそと精液を食らうことになるとは! はぁっ、はぁ!
     ヴィンテージとの命がけの戦いのほうがまだマシじゃ!
     あのまま死んでおくのが正解じゃった!!」
 

 
  思い切りよく排出された、かのんの排泄物が、
  桂馬の口の中にも鼻の中にも目の中にも垂れてくる。
  飲み込んでしまい、こみあげてくる吐き気に口を開けると、
  開いた口に、ダイレクトにかのんのおしりの穴からひりだされる。
  多少のことでは動じない幼少桂馬も、まだ7歳、とうとう涙をこぼす。
 
桂馬 「くさい、くさいよ」 「気持ちよくて気持ちわるくて」 「誰かたすけてー!」


    結 「そこまでだよ!」

  そこに、救いのヒーローのように、男装の麗人が現れた。

かのん「ご、五位堂さん!? 
     あの! 他人の部屋に忍び込むのは犯罪ですよっ」

結  「桂馬君、だいじょうぶ!?」

桂馬 「くきゅ~」

  顔中くそまみれで目を回している桂馬。
  鏡に映ったマルスが呆れてため息をつく。

マルス「はぁ。アポロ姉様ならなにか悪戯をしてるんじゃないかと
     思いましたが、正直これには驚きです」

アポロ「わらわとて、ここまでしとうなかったわ!」
 

 
結  「西原さん! 一番目からいきなりこれはないんじゃない?」

かのん「中川です」

結  「ほら、ポケットティッシュでふいてあげるよ」

桂馬 「うぅありがと……(かっこいい眼帯のお兄ちゃんが、助けてくれた…)」

結  (やった! これでボクの好感度はうなぎ昇りだ!

     失神する直前まで桂馬くんがいじめられるのを物陰から隠れて見守って、
     一番いいタイミングを見計らって出たかいがあったよ!」

マルス「結、途中から声がでてる」

かのん「えっ! ……そんな、私たち、見られてたの……(かあぁぁぁ)」

アポロ「かのん……恥じらっても違和感があるぞ」

結  「もう時間だからね。次はボクが保護します」

かのん「ま、待って~」   アポロ「かのん、風呂にいこう……な?」
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

(※ラスボスのエルシィ攻略までやるのでもうしばらく続きます。また数日後を予定)

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
 
マルス「よし、結! アポロ姉様がその気なら、負けるものか、

     お前がやりたいというのなら容赦はいらぬ、
     先んずれば人を制す、一気に手込めにしてしまえ!」

  生きる時代や世界が違うためか、最終的に二人が幸せになれれば
  レイプ婚も許容するような価値観を垣間見せる戦いの女神。

マルス「―――この男の性格は気に食わんが、それは後から
     軍隊式の体罰で叩いて人格矯正してやれば問題ない!
     むしろこういうクズを叩き直すことに燃えてきたぞ!」
 
  恋愛の仕方が分からずどこか軍事と同じに捉えている節もある。

結  「ふふ。マルスはせっかちだなぁ。ボクはもう、桂馬くんを
     2回もモノにしたんだ。いまはシチュエーションを楽しもうよ」

     さわやかに微笑む結。

桂馬(心は7歳) 「……?」

結  「あぁ……たまらないな。見た目はいつもと変わらない桂馬くんなのに、

     中身は7歳。7歳っていったら、セックスのことも知らない、
     完全に“天使”だよ。その天使を、ボクの手で汚してあげるんだ。
     ふふっ、まだ子供で、自我が確立していない頃の桂馬くんを、
     ここでボクが “女の子” として仕込めば、それが心に刻み込まれて、
     将来の桂馬くんも“女の子に目覚める”っていう寸法さ!」
 
桂馬 「ボク、“せっくす”のこと知ってるよ。 じゃなきゃ、

     れんあいゲームのシナリオは理解したとはいえない」
 

 
 
結  「さぁ、汚くなった服は脱いで! お風呂入ろっか! 水、はっといたから」



    五位堂家の内風呂に連れ込まれる中身7才の桂馬。

桂馬 「うわっ、つめたい! え、なんで水なの、やだ、いやだ」 バシャバシャ

結  「あは。なんでって? ちょっと、オシオキかな? 子供なのに、

     中川さんと気持ちよくなっちゃった、いけない桂馬くんにね。
     うわぁー。つめたがって悶絶してる桂馬くんもかわいいなぁ」 ドS

桂馬 「かえる! かえってうちのゲームやる!」  じたばた

結  「だめだよ、水の中で100数えようか」

   桂馬を浴槽に押しつけて沈める結さん。

桂馬 「あぶぶぁぶぁぶぁ」
 
マルス「男子がその程度で音を上げるな。ヴァイスの攻撃はこんなものではないぞ!」
 
   しごきモードの戦士マルス。 この二人はある意味最悪の取り合わせである。
 

 
結  「……97……98……99……はい100。

     じゃあ。このタワシで洗ってあげるね。
     ゴシゴシして、中川さんの汚いのを落とそう!」

桂馬 「痛い、痛い!」

  ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ

  少しだけ、嫉妬に燃えた“女性”の顔をみせ、腕に力を込める結。
  桂馬はその勢いに圧倒される。

結  「ホラ、中川さんのにおいを、全部消すんだよ!」  バサッァ

桂馬 「けほっ、げほっ」

  粉末洗剤を1箱、頭の上からぶちまけられるホワイトマン桂木。

結  「それー(笑)」

桂馬 「熱ーぃ!」  今度は熱湯。

マルス「ふむ。いいぞ」  数百年前の軍人の思考回路の軍神。
                クズの根性を叩き直すのにスパルタ式は基本。
 

 
   ◇  ◇  ◇

マルス「結よ、ちょっとスカッとしたぞ……」

結  「ふふ、きれいになって、体を拭いたら、こっちの服に着替えようか」

  (↑もうマルスのことが見えていない)

桂馬 「……? なんで、女の子の服なの?」

  結が記憶を戻した日から集めていた【桂馬君に着せる予定の服コレクション】
  を突きつけられる幼少桂馬。 もちろんほとんど女物。

結  「ごめーん、これしか持ってないんだ。ボク女の子だし」

桂馬 「男の服着てるじゃん」

結  「ほかにもいっぱい可愛い服があるんだ、どれが着たい?」

桂馬 「ボクゲームがしたい」

 
 

 
   ◇  ◇  ◇

  後ろから好き放題されながら、結の部屋のゲームをプレイしている桂馬。

桂馬 「すごい! すごい、こんなゲームがあるなんて」 目キラキラ

  あれだけの虐待を受けても、ゲームをもらえば許してしまう。

結  「なめなめ……くにくに……」

桂馬 「おにい……おねえちゃん? もうやめてよ、おしりが変になる!」

結  「だいじょうぶだよ。 桂馬くんは、まだ子供だからね。
     ボクにされるままになっていれば、いいんだよ?」

桂馬 「なにがだいじょうぶだよ、やめろってー……(ぅぅ、また、
     おしりで、ビクビクって)」

結  「ふふ……」

  
  気を取り直して、ゲームの画面に集中する桂馬。
  その後ろ、不敵に笑い、五位堂結は、ペニスのハリガタのついた
  パンツに履き替える。
 

 
  ゲーム画面が暗転したとき、ディスプレイの黒い画面が鏡のようになり、
  結の姿を映して、ぎょっとする。
 
桂馬 「な、なにそれ、それ、……そんな大きいのでなにするの……?」
 
結  「にこりっ」
 
桂馬 「ま さ か」

  結は、自分の股間からあふれた密を、桂馬の尻穴の周りに塗りつけた。

桂馬 「やめろー! やめろって!」

  ゲームのコントローラーを握ったまま、もがく桂馬。

マルス(逃げればよいのに……でもゲームは放さないのだなこの7才……)
 

 
結  「ちょっと、暴れないでっ」
 
桂馬 「わぁあ!」 じたじたばたばた
 
結  「困ったなあ。桂馬くんは。
    17歳の桂馬くんは、もっとよがってくれたんだけど。
    7歳だからしかたないかな」

桂馬 「うう……(こんなことされて、ゲームの集中力が40%おちる…)」

結  「───でもね桂馬くん、子供だからって、あんまりワガママ言ってると」

  ハサミを持ち出してきて、桂馬のペニスをむんずと掴む。

結  「コレ、切り落とすからね(笑)」
  

桂馬 「……この人 頭おかしい(小声)」
 

 
 
  ◇  ◇  ◇

 
結  「ほうら……入っちゃったぁ」

桂馬 「んあっ、うわぅア……」

結  「ぁあ……やっぱり、桂馬くんを陵辱するのは最高だよ」 パンッパンッ

桂馬 「ぅ…うるっ」

マルス(な……7才の桂木が、子供の表情でこちらを振り向いている……
     無垢さと快楽とが入り混じった……少年の顔…。…罪悪感が……)

  かたや後ろめたさに苦しむ女神マルス。かたや結のほうは

桂馬 「おねえちゃん……どうしてこんなことするの…?」

結  「そんなの、決まってるよ! すごく気持ちいいからさ!(即答)」

  と楽しそう。

 
 

 
桂馬 「はぅ……っ」  顔を赤らめながらゲームを続ける子供桂馬。

               だが体は大人。結にはなく、桂馬にはある体の部品が、
               むくむくと反応していた。

結  「くぅ! 7歳なのに、その快楽に必死に耐える姿……ドキッとするよ。
     抵抗してもいいよっ、 むしろもっと抵抗してよ。そのほうが燃えるからさ」

  恍惚と上気した顔で、桂馬を後ろから犯し続ける結。


マルス(か、体は大人に近いとはいえ、7歳の幼い少年を、後ろから
     かように手込めにするとは……はぁはぁ……)

桂馬 「だめ、だめだ……ぁぁぁ」

マルス(い、いいかもしれない……)

  処女をこじらせて、いけない少年愛趣味に目覚めそうになるマルス。

 
 

 
 
桂馬 「……(ふといぃ、太いよ、こんなの入れられたら、ゲームができない)」


  犯しながら、思い出話を始める結。

結  「…ボク、一度、記憶がなくなってからね、桂馬くんのせいで、
    『可愛い子を無茶苦茶にしたい』って気持ちがどんどん強くなっちゃってさ…、

    それで、かすかなイメージを頼りにして、桂馬くんのクラスの、ビデオに
    出てた子たちを襲おうとしたり、吉野さんとか、実際襲っちゃったりしたんだ、
    でも、やっぱり、桂馬くんの攻略ビデオにいたどの女の子より、
    桂馬くんが一番だな。 ボクは、女の子なんだから」
 
桂馬 「女子は、こんなことしないだろ……っ」

結 「そうだ。残念だけど、そのときは、歩美には逃げられちゃってさ、レイプは

    できなかったんだけどね。下着は手に入れたんだ」
 

 
 
  棚の中から例の(本来のルートなら桂馬が盗む)歩美パンツを取り出す結。


結 「これが歩美ので―――これが麻美の。 これがエルシィので―――
    こっちが中学生のみなみちゃんの。 こっちがひよりので……」

マルス「なっ…! 結っ、それはお前のものではなかったのか!?」

結 「ボクのだよ? もう」

  桂馬の胸の上に、これまで攻略してきたヒロインたちの下着が落とされる。

結 「順番に履いてよ。それをつけたキミを犯せば、きっと、歩美と桂馬くんを
    同時に犯してるみたいですごく燃えるから」

マルス「へ、変態めっ」

結 「マルスだって人のこと言えるの? 桂馬くんの悶絶顔でうっとりしてたくせに?」

マルス「ぐぬぬ……(いいだろう、まず桂木桂馬に神罰を与えてからだ、そちらのほうが
     興味がある、早くっ)」
 

 
桂馬 「ヤダッ、女子の、大人の女子のパンツなんて履くもんか、そ、それに、
     なんかそれ、もう汚れてるし…………ぁぁぁあ」

  歩美の下着をむりやり履かされて、下着をずらして、後ろの穴に入れられる桂馬。

結  「ははっ。そんなこと言って、さっきから、大人の体は快楽に負けて、
     びんびんになってるじゃないか?」  さわやかスマイル

桂馬 「あっ、あぁ、やめろ、やめっ、ろ、あァァっ」

結  「ぉお……、新しい快感の、発見だ!」

桂馬 「んんぁぁあああ」

  指一本触れられていないのに、棒の先からでてくる白い神汁。

マルス「ハァッ……はぁっ……(いかん……私は……私は女神だぞ…っ)」

  結が満足するまで、桂馬は、コントローラーを、お守りのように握りしめていた。
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
 
   ◇◇ 1時間後 ◇◇



  街灯の明かり。

  ベンチに腰掛け、子供らしく足をぶらぶらさせながら、“ゲーム”の力で復活した
  桂木桂馬(心は7歳・体は17歳)が、栞の創作ノートを読んでいた。

栞  「……」
桂馬 「……どーじんのゲームのテキストかぁ。へー……」
 
  その隣、骨折した腕に包帯を巻いた栞が、『子供の入った高校生』の様子を観察している。

栞  (──五位堂結さんが、お母さんとケンカしてるうちに)

    (なんとか、あの子……ミネルヴァの力で桂木君を救出して)
    (連れてきたけど)

栞  (……) (それはいいのよ)

    (今の桂木君は7歳なんだから)
    (壮絶なギャクタイを受けている児童は、見過ごせないもの) (保護しなきゃ)
    (大義名分あり) (……でも) (勢いでこんな展開に……)
 

 
桂馬 「……」  黙々と読みふける桂馬。 17歳の桂馬の片鱗を見せる復活の早さ。


栞  (桂木君が興味をもてたら……、って思って)

    (創作小説を、ゲームのテキスト風に書いてみたのがあって……)
    (そしたら、私、口下手で、本当に 『開発中の、同人のゲームの
    テキスト』 だと思われちゃって)

    (桂木君、子供なのにすごく興味を持って)

栞  「あの、そういえば、かつらぎくん…」

桂馬 「…?」

栞  「な、7歳なのに、“同人”って言葉、分かるんですか……?(……白樺派とか)」

 
 

 
栞  (私、また、しゃべっちゃった) (相手が7つの子だから、心理的に優位なんだ)

    (普段はまるで借りてきた猫のくせに) (子供相手ならぺらぺら口が回るなど)
    (われながらなんと見苦しい)   ※上手く口は回っていなかった

桂馬 「うん」
    「まえ、中古屋でさ、好きなゲームの知らない薄いマンガ本があったから…、
     知らない設定でも載ってるのかと思ってチェックしてみたら……
     どーじんっていうやつで」

桂馬 「うぅ……イヤなこと思い出した……」

栞  (何があったんだろう…)


  ミネルヴァ「……」   少し桂馬のことが恐いが、同じ子供という意識も
                 あって、遠くから興味深そうに見守っている女神。

 

 
  ◇  ◇  ◇

桂馬 「……うーん、女性らいたーが書いたゲームシナリオはやっぱり女の子が女の子らしいな」

栞  (ら、ライターだなんて……) (小学生がそんなこと気にしてるの……?)
    「け……桂馬君は」 「おはなしとか、書かないんですか……」
    (趣味の話題を…)

桂馬 「…そんなこと、あんまり考えたことなかった」

桂馬 「けど、話をつくるなんて、ボクはなんかいいや」
    「わかんないっていうか」
    「自分の考えた話のゲームなんて、全部思い通りになるから、燃えないよ。
     ボクの知らないヒロインを助けるから燃えるんだ」
 
栞 (すごい……私……桂馬君と、しっかりお話できてる……)

   (桂木君、7歳のままだったら、私、普通に恋愛できるかも……)
 

 
栞 (……て、え? “ヒロインを助ける”?)

   (桂馬君って、女の子をいじめるゲームが好きだったんじゃ……)
   (7歳のころは、まだまともだったのかな……)
   (さらわれた女の子を救ったり、女の子の悩みを解決したりする、
   普通の……? ゲームが好きでしたっていうの?)

   (じゃあ、いつおかしくなったのかな)

桂馬 「♪ ♪~~♪ これ、選択肢いつ出るの? ふらぐ管理は?」

栞  (こんないい子が どうして女の子を拉致して、乳首にピアスを付けるよーな
     変態人間に育つのかしら)

栞  「………」

栞  「かつらぎくん。……今も、私の胸に、桂馬君がつけたピアスが、
     ついて…るんだよ……」  ぼそっ

桂馬 「♪……」

栞  (わ、わたし、なんでこんなことしてるのよ……!

     考えてもみれば、自作の、官能小説まがいの、過激な内容の文章を
     7歳の子供に読ませようなどと。 正気の沙汰じゃないかも…)
 

 
栞  「…そういえば、ふりがなついてないのに、それ読める……んですか……?」
 
桂馬 「読めるよ。ゲームにでてくる漢字なら」

栞  「ほんと……? (小学一年生なんて、“小”とか“犬”とか習ってる年齢よね)」

桂馬 「ほんとうだよ。“かれの、きつりつしただんせーきが、しもーねのひぶを、
     どとーのようにみだれづくのであった”」

栞  「よりにもよってそこを読まないでー!」

栞  (うぅ……) (桂木君、小1で漢字もすらすら読める、天才少年、だったなんて……)
    (でも、もしかすると、ここで英才教育すれば、将来、私と本について語り合う仲に……)

桂馬 「でもコレとかは読めないや。おねえちゃん読んで」

栞  「そ、それは、“ひだ”って読んで……(恥ずかしい)」

桂馬 「これは? コレは? ??   これまでやったゲームにはでてきてないや」

   桂馬に密着されて、顔を赤らめる。

栞  「うぅ……(私、7歳相手に、押され気味……)」

 
 
  ◇   ◇   ◇

 


  
ルナ(ウルカヌス) 「本を読んでやっているのか? 心やさしいの」

   宙を浮くフランス人形が、栞に話しかけてきた。

栞  「!!」 あわあわ

ルナ(ウルカヌス) 「おお、驚かせてすまぬな」

栞  「ぁ…うう…(隠さないと!)
    (この人形、月夜さんの、盲導犬……じゃなくて、親友の、
     女神のウルカヌスさん……)
    (7歳の男の子に、自分の描いたえろ小説を読ませてるなんて知られたら)
    (私、人生終わっちゃうわ) (もういろいろだめな気もするけど)」
 
月夜 「栞なのですね? そこにいるのは?」

栞  (月夜さん、また大きな望遠鏡を持って……)

    (自分の目は見えないのに……)
    (桂木君に天体観測させてあげる気なんだ?)
    (ああ、なんて立派な人)
    (それに比べて私のなんと汚れたことか)
 

 
月夜 「望遠鏡もってきたから……よかったら栞……」

栞  「……ごめんなさい! (私ごとき、同行する資格はありませぬ)」 ばっ たたたたた

月夜 「あ……」

月夜 「ご一緒、したかったですね……、栞に月を見て欲しかった……私の代わりに」

桂馬 「……」

月夜 「……栞が帰ってしまったから、……桂馬に、月を見せてもいい?」

ルナ(ウルカヌス) 「7歳の桂木は、眠らせておくことになっているが……
             目覚めてしまったものは仕方ない。他の姉妹には秘密でな」

月夜 「……ふふ」

 
 

 
  ◇  ◇  ◇

  月夜とルナ(ウルカヌス)が設置した望遠鏡で、
  夜空の彼方にある上弦の月を覗く桂馬。

月夜 「……どう? 桂馬」

桂馬 「ふーん……すごいね。テレビとか写真でみるのと同じだ」

  授業のように、しょうがなく付き合わされる桂馬。ゲームがあればやり始めそうである。

月夜 「そう」

月夜 「…でも、よく見て頂戴。月は、本当はその瞬間ごとに違う顔をみせてくれるの。
     私は、7歳の、感受性が高いころの桂馬に、それを知ってほしくて……」

桂馬 「おねーさんって」

  子供は、時に、何も考えずに残酷なことを言う。

桂馬 「なんで目をつぶってるの」

月夜 「…!」
 

 
  月夜の中に、さまざまな記憶と想いがフラッシュバックし、
  悔しさ。悲しさ。怒り。絶望。
  真っ赤な感情に頭の中を支配され、気がつけば、7歳の桂馬を叩いていた。
 


桂馬 「!?」  頬を押さえる桂馬。

月夜 「……ぅ」

ルナ(ウルカヌス) 「月夜……」


ルナ(ウルカヌス) 「無理はない。だがおまえの目を奪ったのは、
             この桂木ではない……もっと未来の……」
 
月夜 「………分かっているのですね」

  普通の小学一年生なら、不注意な発言のためにはたかれれば、
  泣き出してしまう子もいるかもしれない。
  だが、桂馬は、頬に手をやったまま、泣くでも怒るでもなく立ち上がる。

桂馬 「うかつだった。
     もーもくのヒロインは『輝く季節へ』にもいたし知ってる。
     (※ 元のエロゲーをやっていないのでOneとは呼ばない)
     お姉ちゃんが目を瞑っているのは、ひらいても見えないからだ。
     よくみたらそれ、折りたたみしきの白杖だ。
     ふれてはいけないふらぐにふれてしまった」
 

 
桂馬 「おねーちゃんごめんなさい。じゃあボク、ゲームしに帰るから」

  女子をプログラムのアルゴリズムのように“処理”し、帰路を探す幼少桂馬。
  去ろうとする桂馬の声がした方向に、転ぶように寄り添い、
  小柄な少女は、手さぐりで桂馬の襟首をつかむ。

月夜 「桂馬。聞きなさい」

  体がぶつかって、倒れそうになった新品の望遠鏡を、
  ウルカヌスが念動力で、押さえた。

桂馬 「……?」

  義眼の目を見開いて、月夜は見つめ合うように顔を合わせる。

  こんなに近くで、こちらを見ているのに、こちらを見ていない。不思議な瞳。

月夜 「貴方は、……将来、私から“月”を奪おうとして、私の目を奪うの」

ルナ(ウルカヌス) 「待て月夜…」

月夜 「……でも、かつらぎけいま。 あなたは、私から、月よりも
     もっと大事なものを、奪ってしまう」
 

 
月夜 「私は、美しい月を見ることができない。
     それだけでも、私にとって、自殺したくなるくらいの苦痛。
     きっと、あなたにとっては、ゲームを奪われるのと同じくらいの。
     でも、それより大事なもの」

桂馬 「?」

月夜 「桂馬、私……あなたの顔が見たい、私がどんなに苦しんでも
     楽しそうにゲームをやっている、あなたの顔を見たい。

     見て、憎しみを燃やしたい。

     でも、私の中の桂馬は、微笑んで私に近づいてきたときの桂馬。
     にせものの笑顔の桂馬。
 
     あなたにとって、私を手込めにするのはさぞや簡単だったでしょう。
     でも、私にはあれが全てなのですね…」

 
 

 
月夜 「あなたを思い切り憎める、高原さんがどんなにうらやましかったか
     私はいまでも、薬の禁断症状で、ありもしないイメージに襲われる
     あなたが、笑ったり、怒ったり、泣いたり、
     私と、ルナと、表情豊かに、お茶会をしてくれるの……。

     でも、どれも、私の想像の中の、偽物の桂馬。
     私は、あなたの『偽物』の顔に、今もふりまわされてるのですね

     私は、私は、……あなたに“会いたい”」

桂馬 「? なんの話だよ」

月夜 「………あなた、今、どんな顔してるの……」

月夜 「………」

桂馬 「……」
 
月夜 「……ルナ……こいつをころして……」

 
 

 
ルナ(ウルカヌス) 「月夜。……紅茶を飲むのだ。気持ちを落ち着ければ……」

月夜 「私の知らない桂馬の表情を……! 私以外のみんなが見て、
     私だけがのけものにされてると思うと、もう、耐えられないのですね」

ルナ(ウルカヌス) 「美しき友よ……」

月夜 「ルナだって見てる……ルナも、みんなと一緒に私をいじめるの?」

ルナ(ウルカヌス) 「……いま、私にもわかった」

月夜 「……」

   涙の流れない、義眼の瞳。だが、月夜は泣いているのだと、ウルカヌスには分かった。

ルナ(ウルカヌス) 「桂木桂馬は、もはや、存在そのものがおまえを苦しめる。

             不幸な運命だ……。
             ならば私は、天界人の名誉にかけて、おまえの幸せのために……」
 
 

 
メルクリウス「ウル姉、なにやってるの」

ウルカヌス「…」

メルクリウス「交代だよ」


  ◇  ◇  ◇


桂馬 「うう……今日はいろいろあって……つかれた……ねむい……」

歩美 「眠ってて、いいよ」

歩美 (桂木には、言ってやりたいこと山ほどあるけど、
     この子はまだ子供……らしいもんね……)

桂馬 「あ! ゲームだ、これゲーム機だよね」 

  歩美の鞄の中にチラリと見えた携帯型ゲーム機。 桂馬のゲームセンサーが反応した。

歩美 「……(この前、私が没収したやつ……)」

桂馬 「ねえ、やっていい? やっていい? やっていい?」
 

 
歩美 「え、ええ……いーけど (あんたのだし)」

桂馬 「スゲー! 眠気なんてぶっとんだ、グラフィックすげー」


桂馬 「♪~ ♪」

歩美 「………はぁ。(ほんとーに……、7歳の頃のアイツなんだ)」

  ベンチの上、PFPに熱中する、いつもの彼どおりの姿。 

歩美 (こいつ、本当にちゃんと私のこと好きなの……)


   女神が揃う前、ちひろの再攻略の当日、歩美は、桂馬の協力者<バディー>を
   やっているという、ハクアという悪魔に、桂馬の真意について尋ねていた。
 

 
  ハクア『……女神を探すとき、ごしゅ、桂木が真っ先に選んだのは。
       高原歩美って子よ。
       あいつ、不器用だけど、多分、その子を、一番に守りたかった
       んだと思う』

    女神に力を付けさせるのが最優先、うまく言って 『他の子は
    しょうがないから攻略しているだけ。自分が本命なんだ』と
    思わせろ、という指示を、ハクアは受けていた。

  ハクア『……(ごめん)』
 

歩美 「(桂木が本当に好きなのは私……) (私には桂馬の子供がいるんだもん)
     ……(でも、わかんない。将来の桂木は、救いようがないクズで、スケベで、
     マニアの、ド変態で、やさしいのか、やさしくないのか、何か考えてるのか、
     何も考えてないのか、ワケわかんないヤツ、だから)
     (だけど、子供の今なら……)」

    幼少桂馬に訊いてみる。

歩美 「ねぇ、桂木……桂馬……くん。学校で同じ学年に、
     “高原歩美”って子がいるんだけど、知らない?」

桂馬 「なにそれ、しらなーい」 ゲームピコピコ

歩美 「まぁ、確かクラス違ったけど………
     (…運動会とかで活躍して、けっこう有名人だったと思うんだけどな)」
 

 
    ◇  ◇  ◇


歩美 「―――私のほうは、子供の頃もあんたを知ってた。
     別のクラスに、授業参観でもずっとゲームをやってる子がいるって、
     お母さんたちが話してたから」
 
桂馬 「♪ ♪ ~~ ♪」
 
歩美 「そのときは、私、他人事みたいに思ってたけど。
     ……あーあ。まさかこんな風になるなんてね」
 

歩美 「ねぇ。桂木桂馬、くん。あなたも、今は他人みたいに
     考えてる人がいると思うけど、将来きっと……」

  言いかけて、止まる。

歩美 (私ってば、なに言ってるの……)

  そしてふと、ある事実に気がついて、うれしくなった。
  温かい笑みがこみあげてくる。
 

 
 
歩美 「……小さい子って、よく、私の義足を見ると驚いたり恐がったりするんだけど」


歩美 「7歳なのに、桂馬は、大丈夫なんだ」

歩美 「……きっとこれって」

  そして、子供の反応が、歩美を凍り付かせる。

桂馬 「きょーみないし」

歩美 「……」

  ゲームをピャラピャラと遊び続ける、7歳の桂馬。

  心拍数が上がり、視界が揺れる、歩美。
 
歩美 「はぁっ……はぁッ……」
 

 
歩美 「そうだね、あんたに、こわいものなんて、何もないわね……。だって、
     “興味ない”、から……」

歩美 「子供の頃からこうなんだもん……もっと重症になった未来なんて、
     私のこと、この先ずっと、興味ないんだ」


歩美 「―――今しか、ない」

歩美 「そう……いましか……今しかチャンスないの!」


   歩美は、全身の血が逆流するかのような衝動とともに、桂馬の背中を蹴りつけていた。

桂馬 「うわっ、またかよ!」
 

 
歩美 「ごめんね、7歳の桂馬くん……。ダッテ、しょうがないんだよ。
     17歳の桂木は、あいつは、口が上手いから……、私に殴られそうになったら、
     また何かいろいろ言って、セックスも使って、私を洗脳するに決まってる」
 
桂馬 「…? ?」
 
歩美 「他の“女神”を探すっていったときだってそう。
     私、結局ごまかされてた……
     どんなに怒っても、どんなにひっぱたいても、結局、私、
     桂馬の思い通りになってた!

     ……でも、エルシィたちの雰囲気からわかる。
     私の他にも、きっと、赤ちゃんできちゃった子、いるんだ。

     私、あなたの子供……私の子供、殺せないよ? うむよ?
     だからね……他の子にも 『殺せ』なんて言えない。
     他の母親の子でも、桂馬の子だよ? きっと私と同じ気持ちだよ、
     堕ろさせたら、私、たぶん後悔する。ずっと。
     あの日の気持ちは本当だから。
     でも、もしも、もしもちひろにも………」
 

 
   頭をかきむしる。歩美は、ふと、しょっぱい、と感じた。
   流れた涙が、いつの間にか口の中に入っていた。

歩美 「ねぇ、どうしたらいいの? 私? どうしたら幸せになれるの?

     ……桂馬が帰ってきたら、私、きっと、またあんたになんかされて、
     変えられちゃう!

     あのハクアって人みたいに、桂馬が他の子とやってても
     へらへらしてる、都合のいい女に成り下がっちゃう!

     あの子、私の聞き間違いじゃなければ、『トイレでいいから、
     そばにいさせてよ』って言ってた!
     あんなバカに変えられたくない! 私が、私じゃなくなる…!
     だからその前に……… せめて、私が、私でいられる間に……」

 
 

 
桂馬 「やめてやめろよ蹴らないでぶたないで」  ボコボコ

   17歳の男が暴力を受け、7歳のような悶絶をしていると、まるで怪しいビデオのようである。

歩美 「ごめんね? でもね、これは、『やさしさ』なんだよ? 私が私である内に……
     せめて私が私としてあなたを愛しているうちにっていう……
     それにね、あなたには難しいかもしれないけど、『私が、私じゃなくなる』のを
     防げるのは、桂木桂馬を消せるチャンスは、桂馬が桂馬じゃない、
     今が最後なの!  『やるかやられるか』なの……
     私、死にたくないよ! だから桂馬を殺すのー!」

桂馬 「うぅぉお! やばい、このおねーさんやばい、今までとちがって、
     まじで命とりにきてる!! いかれてる! セーブ! セーブ!」  げしげし

メルクリウス(ゲームを捨てて逃げればいいのに)

歩美 「しね! しね! しね! しね!」  ガスッ ボコッ メキッ バキッ

メルクリウス「歩美、そろそろやめたほうがいい。
         わかっているのか? 幼い子供をあやめようとしているんだぞ。
         それに、『コレ』は将来、女神を、私を見つける7歳の桂木だ。
         そのまま動かなくなるまで蹴り続ければ、最悪、世界が滅ぶよ」
 

 
歩美 「知らないわよ!
     もう、全部、普段こいつの言ってた通りだったのよ、
     こんな世界、“クソゲー”! 勝手に滅んじゃえ!

     ねえメルクリウス? 私の中に『神様がいる』って知ったとき、
     私、これで幸せになれると思ってた……
     私は、神様に選ばれた特別な人間なんだって…

     でも違った! “落とし神”とかジショーしてる
     自称神様も、どーにもできない、ぜんぜんダメな女神、

     私は、逆だった、桂馬に、“神様に選ばれなかった人間”なんだ!
     今だって、あなたは力が弱くて、私を止められない!
     ダメ神様! メルクリウス、
     とめてみせなさいよ! でなきゃ私、ほんとに桂馬を殺しちゃうから、
     誰か、私を止めてよーっ!」
 
ディアナ「はい」

歩美 「むぐっ」

  願いは叶えられた。
 

 
  歩美は意識を失い、入れ替わってメルクリウスが表にでてくる。

メルクリウス「さんきゅー」

ディアナ「……いえ」

桂馬 「…あ……あう……あ……」  満身創痍の体。

桂馬 「このひとの足、やばい…」

   体のところどころから血を流し、筋肉を不規則に痙攣させ、
   理不尽な虐待を受け続けた子供のように丸まっている7歳桂馬。
  
ディアナ「まずいですね……。これは。
      さすがに今日のこと、彼の中で、『あれは夢だった』では
      済まないでしょう。 過去への影響を考えて、眠らせておこう
      という話は、なんだったのでしょうか」
 

 
桂馬 「ぶるぶる……」

メルクリウス「即席の記憶消去術を施そう。

         これでなんとか記憶の表層では忘れられるはず。
         ただ、完全には効かないだろーね。
         肉体と精神とに10年もの時間的なズレがあるんだ。
         こんな難しいケースは初めてだし」

ディアナ「……器用なメルにお願いします。
      大きな傷は、アポロ姉様に……」  隠蔽工作。


桂馬 「女の子恐い……現実<リアル>の女の子、恐い……」  ぷるぷる

メルクリウス「カツラギ。これは夢だったんだ。全て忘れるといい」

桂馬 「……そうだ…」

桂馬 「現実<リアル>の女子なんてだいきらいだ……
     現実<リアル>なんで大嫌いだ、」

桂馬 「ゲーム、ゲームの女の子はボクを傷つけない……ゲームがいい……
     ゲームの女の子は嫌がるボクをれいぷしない……ボクをけらない……
     ボクにうんちを食べさせない……」
 

 
    ディアナが戻ると、草葉の陰から、他の女神達も覗き見している。

ウルカヌス「これは……」


ウルカヌス「まさか、これが『すべてのはじまり』か」

ディアナ「ええ……今、私も気がつきました。
      これで、『果たすべきことが果たされた』のです」

アポロ「どーゆーことじゃ」

ディアナ「17歳の桂木さんが、未来の準備のため、過去の世界に干渉しているように、
      ……こちらでも、7歳の桂木さんに干渉し、未来の準備が施されたのです」

 
 

 
ウルカヌス「桂木に、“HENTAIゲーム” 調教を仕込まれた宿主の少女たちが、
  こうして、現代にやってきた齢7歳の、あの桂木に、同じよーな調教や暴力を行う。

  するとどうだ、そのトラウマを潜在意識に刷り込まれたあの桂木が、
  過去に戻り、17歳に成長し、HENTAIゲームに、本来なら
  持たなかったほどの興味をもつ。のめりこむ。 ゆえに、
  まともな恋愛ではなく、そのやりかたで宿主たちを“攻略”し、変態行為を行う。
  そして今日、桂木に心を狂わされた宿主の少女たちが、子供の桂木に───。

  結果がその原因となり、理由が時を超えて巡るのだ。
  さだめが輪を描いておる。まるで尾を食うウロボロスのように。
  因果が、運命が、循環していく……」

 なぜ、一番最初の攻略で、桂馬は『歩美の足を切ろう』などと言い出したのか、
 落とし神本人も自覚していなかった、その理由が明らかになった。
 怖れていたのだ。歩美の足を。10年前、無意識の奥底に植え付けられていた、
 この心的外傷から。

ディアナ「桂木さんが倒錯変態異常陵辱男になるのは運命付けられていた…!」

マルス「いやな運命ですね」
 

 
ウルカヌス「すべて、終わらせなければならぬ。
        月夜を、あの男を、開放してやらねば…」

アポロ(なにやら、ややこしいことを話しておるな。要するに、
     わらわはお咎めなしのセーフということか。
     よかった。あんな目に遭った上に、ウル姉にまで叱られたらかなわん)

 
 
 
マルス「ディアナ姉様、もうすぐ、鮎川天理さんの番になるし、引っ込んだら?」


ディアナ「天理には任せません。
      あんな最低男、7歳とはいえ、天理に近づけるわけにはいきませんから!
      しょうがないですね。嫌々ですが、ここは、天理の代わりに、
      この私が桂木さんの相手をして、
      直々に、しっかりと……躾を……ふふ……。うふふ……」

ウルカヌス「これディアナよ。いちおう、宿主の意向を……」
 

 
 
 
メルクリウス「ねーさま方。帰りましょう。過去のほうの桂木の、準備ができたみたいだ」


ディアナ「え?」

マルス「考えてたのより早いね。サテュロスの追っ手のほうはこないし」
  (※スピード解決の鬼畜ルートのため & リューネ不在のため等)

ミネルヴァ「行こ」

マルス「桂木桂馬を神って呼んでるご老人が教えてくれたのは、こちらです」

ディアナ「―――そんなっ。終わりですかっ!? ようやく私の番なのに」

天理 「ディアナ………あなたの番じゃないよ……」

  毎回機会を逃す天理。
 

 
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


   ~ エルシィ『で!』 ~


桂馬(元に戻った) 「く……体中がびりびり痛くて、だるい……感覚も変だ……
             なんだか服もぼろぼろだな…
             これが時間移動の副作用なのか……」

メルクリウス「そうだよ」

エルシィ「ふー。特に大きなピンチもなく、よゆーで歴史をつくって、
      帰ってこれましたね。やっぱり神様すごいです」 ひょっこり

桂馬 「ああ。どくろうもうららも香織もついでにギラも全部落としてきてやった。
     すべて、神である、ボクのシナリオ通りの歴史になるというわけだ。
     わっはっはっはっは!」

メルクリウス「哀れな男だね…」
ディアナ 「すべてを支配した気でいます」
アポロ  「自分が、かのんや結やほかの女たちのせいで狂わされ、今の自分になったとも知らず」
マルス  「暴君とはそういうものなのかもしれません」
ミネルヴァ「…うん……」
ウルカヌス「……あとは、娘達をこの呪縛から……」

 
 
 ディアナ(……桂木さん。あなたはかわいそうな人です。終わりにしましょう)

 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

(続きます)

 
 ~ エルシィ『…………うぅ……』 ~
 
       ドクン....   ドクン....

 
 

 
 
     ◇◇ 深夜 九条家 ◇◇

 
 
 ウルカヌス「悪魔のバディー・桂木桂馬のやったことが、

        人間の法で裁かれることはない」

   女神の長女が、義眼の瞳を薄く開く。


 ウルカヌス「だが、罰はなくとも罪はある。 多くの強姦、致傷、そして致死」

        「唯一裁ける我々が、決めねばならない。あやつの処遇を」


   月夜の家で円形の卓を囲み、話し合う女神の姉妹。

   意見は割れた。
 

 
 
  ディアナ「審議に諮る必要はありません」

       「すぐに…… ……ころし…終わりにしましょう。
        駆け魂<ヴァイス>のこと、そして、女神を狙うサテュロスのこと、
        リューネという悪魔も知らなかったというその真意。
        私達は考えなければなりません。あの者に割く時間はないのです……」

   呪いでオッドアイのディアナが急かす。

ウルカヌス「姉妹同士で意志を統一せねば」
アポロ   「あんなヘンタイ男のことで我々に溝ができてはかなわん」
ミネルヴァ「ディアナ、なんだかへんだよ」 「いつもなら……しんちょう派なのに」
メルクリウス「姉様、桂木桂馬と長いから、それだけ酷い目にあってきたんだね、きっと」
アポロ   「ディアナは昔から気むずかしいやつじゃ」


   怪我をした目に眼帯をつけたマルスが抗議する。

            マルス   「宿主のうち4人が桂木桂馬への重罰は反対です」
            マルス   「ここは宿主を交えた12名の多数決で……」
            ウルカヌス「宿主は、みな、惑わされておるのだ」
            ディアナ  「『心神喪失状態』のようなものです」
            アポロ   「う~む。それは言えておる……」

 
 

 
 
    月夜『桂馬をころして……ルナ……』


 ウルカヌス「……」

    月夜『…私には、ルナと、栞たちがいればいいのですね……』

 ウルカヌス「約束しよう……もうすぐ、月夜を苦しめる者はいなくなる」



          結『桂馬くんを死刑に!? 信じられないよ、どうして』

       マルス「ウルカヌス姉様の求刑だ。……確かに話を聞けば、
            ……許してはならぬ者だ…」

          結『いけない。 …ボクが、そんなことさせないよ!』

       マルス「結。ここは私に任せてくれ。
            あまり下手なことを話すと結の立場も悪くなる……
            (今やお前も、『カツラギ二世』みたいなものだからな……)」

 
 

 
 
     栞『(桂木君が……死罪……)』


ミネルヴァ「うん……まだはなしあってるところだけど……」

     栞『……(まるで小説みたい……)
       (ついに神様たちに命を狙われるなんて……)
       ( 神様 VS 変態 )
       (本当にネタに事欠かない人)
       (奇行のカタマリ)
       (って)
       (なにのんきなこと言ってるの…)
       (私も当事者なのよ)
       (みんなつらいのに)
       (不謹慎にも程があります……)
       (こんな失言…恥ずかしい)
       (あ……私……まだ、何も言ってなかった)』

ミネルヴァ「しおりは………どう思う……?」

 
 
 
                            歩美『……』


                       メルクリウス「いーのか?」

 
 

 
           天理『…ディアナ……だめだよ』

         ディアナ「天理、あなたは狂っているのです」

           天理『おかしいのはディアナだよ………』

         ディアナ「あなたのためです」

             窓際に歩み寄る天理。

           天理『ディアナ……私が死んだら、ディアナってどうなるの……?』

         ディアナ「……私の言うことを聞いて下さい……桂木さんは助けますから」

           天理『……!?』

 
 
アポロ「かのんよ……」

 
かのん「桂馬くんならダイジョウブだよ。
     不思議だね。そう信じられるんだ……
     メールしなきゃ」

 
 

 
 ◇  ◇  ◇
 
      ディアナ(『誰かのせいでおかしくなってしまった』、それは
            桂木さんも同じでしょうか……
            そして私も……いいえ)


   マルス 「結と私なら桂木を矯正してみせられます!」
         「我々の重いんじる愛とはここで彼を殺すことなのですか」
   ディアナ「マルスは考えが甘いです」


ミネルヴァ 「へんたいは、どんなに叩いても治らない病気だって栞がいってた」
メルクリウス「叩くと、もっと具合が悪くなるかも」
ウルカヌス 「やつは……存在そのものがもはや許されぬ……」

 
 
          ディアナ 「ただ…、桂木さんの存在がなければヴィンテージの目論見

                 どおりに、なっていたという事実はあります」
          アポロ  「やつがいなくても、ディアナならなんとかしてくれたじゃろ」
          ディアナ 「私の不手際です…」
          ウルカヌス「ディアナはよくやってくれた。翼のない身で」
          ディアナ 「やはりころしましょう」

 
 

 
   ~ リミュエル『で……』 ~

 
 
マルス  「桂木を守っている新悪魔たちはどうしますか…」

ウルカヌス「バディーの小悪魔はどうでもよいが、二階堂由梨を名乗るドクロウという者と、
       倉川灯を名乗るリミュエルという者は気をつけたほうがいいやもしれん。
       ヴィンテージと同じように、女神を封じる手段も知っている」
ミネルヴァ「魔力もうんと高いみたい……」

ディアナ 「不意打ちを受ければ女神といえども1体1で行動不能にされる可能性もありますが…」
マルス  「逆に受けなければ問題ありますまい」
ウルカヌス(………なぜ桂木など守るのだ)
ディアナ (ハクアさんと対立するのは、気が進みません……) (いいえ)


           メルクリウス「こちらの殺意はもう悟られてるよ」
           アポロ    「ウル姉は桂木に 【死刑宣告】 してるからの」
           ミネルヴァ 「こわがらせようとするから……」


     マルス   「桂木桂馬は、リミュエルらのいる生物部に入部したらしい…」
     ウルカヌス「計画を練る、必要があるな……ディアナ。任せられるか」
     ディアナ  「はい」

 
 

 
 
アポロ  「言うなら、ノーラという者とそのバディーのようなやつらはどうなる。

       自分の利益のための殺害数ならば、ああいう悪魔とバディーのほうが多いぞよ」
ディアナ 「宿主のこれからについてを問題にするべきです」
ウルカヌス「あの男の所業と合わせて斟酌しよう。しかし私は──」

 
 
                 アポロ「ウル姉……自分が犯されたから

                      桂木を殺したいと素直に言えばいいのじゃ……
                      ちゃんと言われれば、わらわは反対せんぞ……」


ウルカヌス「もしも被害者達が真実を知れば、その怒りはいかほどのものか。
       記憶がないから問題にならないものを……」

ディアナ  「殺されてもおかしくありません」
アポロ   「じゃが感情で裁いておったらきりないぞよ」
マルス   「アポロ姉様は寛容ですね」
ディアナ  「桂木さんにだけ寛容にするのですか」
 
 

 
     ディアナ「本来ならあのような男、問答無用で天の裁きを
           与えていいはずです。
           われわれの神話では、神が個人の感情的判断で
           裁きをしてきたではありませんか。
           何故───」

 
 
    ウルカヌス「……」 ←感情的裁きをしてた神


    ウルカヌス「─── これでは堂々巡りだ」


ウルカヌス「桂木桂馬は分かっておるのか。己のやったことについて」

メルクリウス「証言を聞こうよ」
        「桂木の様子について、詳しく知る者に」
 

 
 
    証言者1.エリュシア氏 『あの、神にーさまはっ』


マルス   「……」
ウルカヌス「……」

   エリュシア『……(うぅ~~ こわいです……)』

   エリュシア『その、最初の攻略では、歩美さんの……足を……』

   エリュシア『2番めの攻略では、青山美生さんっていう人を……いろんな方法で……』

   エリュシア『うー……私、そのときに…』

   エリュシア『か、神様、すごくて…』

 
 
  問い詰められると、にーさまの悪事をあらいざらいゲロってしまったエルシィ。

  もしハクアなら、仮に拷問されても迂闊なことはしゃべらないだろうし
  ノーラがこういう立場に置かれれば、逆に上手いこと言ってごまかしてくれるだろうに。

 
 

 
 
ミネルヴァ「ひどいよ……しおりの図書館を燃やしたなんて……」

アポロ  「汐宮栞はそのとき心を閉ざしていて、『図書館から追い出す』しかなかったと」
マルス  「なにもそこまで」
ディアナ 「変態なのです。きっと燃え盛る炎を見て興奮したかったのでしょう」

メルクリウス「消防車の活躍を見たがっている妹に、消防車を見せたかったのかもしれない。
         さいこぱすの典型的行動だね」


      マルス  「『女神め、いるのは分かってるんだ! いい加減、出てこないと、
             こうだぞ! こうだぞ!』
             と言いながら、姉の目の前で妹を犯していたらしいです……」
      ミネルヴァ「かわいそう……」
      マルス  「『こんな風にしちゃうからな!』と言いながら、体に芋虫を……」
      マルス   「吉野姉妹は、今では蟲姦を夢想しながら自らを慰めるヘンタイに
              なってしまったそうです……」
      アポロ   「おいたわしい」
      ウルカヌス「妹を持つ身として心が痛む」
      ディアナ  「……」

 
 
   ミネルヴァ 「…くしゅん」

 

 
 
アポロ 「速報じゃ。桂木は、『よっしゃ、いっちょやってみっか』くらいのノリで婦女子の

      肢体を切断する鬼畜男らしいぞ! だるまにされた者が10人はいるらしい」 (デマ)
ウルカヌス「やはりそうか。1秒でも早く殺さなければ」

 アポロ 「この漫画が良い終わり方をしなかったのも桂木桂馬のせいらしい」
 ディアナ「絶対に許せません」

            マルス  「しかしとんでもない男です……あんな可愛い少年が、
                   なぜ、そのような変態に……」
            ミネルヴァ「(すこし、マルスの宿主のせいだよね……?)」
            メルクリウス「ZZZ.....」


       ウルカヌス 「どんな相手でも欲情できるらしいな」
       アポロ    「幼女から老婆まで幅広くとな」
       メルクリウス「……老女どころか、死んで燃えたあとの骨までイケるらしい。妹によれば」
       マルス   「ドクロウ室長という骨だけの人を強姦できなかったのが悔いらしいですね。
               妹によれば」
 
ウルカヌス 「(やつの攻略は、レイプ……レイプ……レイプ……)
        他に方法はなかったのか、レイプばかり」
メルクリウス「あの小悪魔の話によれば、ゲームをやりたいので、てっとり早く済ませるために、
        普通の恋愛ではなく陵辱を用いたということになる。」
ウルカヌス 「あのようなぱそこんげーむ……ぞわりとする」

 
 

 
   エリュシア『───────』

  
 
   話も要領を得ず、認識にもズレがあり、さまざまなデマを呼ぶエルシィ。

   考えようによっては、彼女の証言は、女神たちの審議にとって最大の妨害となった。
 

    ウルカヌス 「桂木が死ねばバディーのエリュシアも死ぬそうだ」
    ミネルヴァ 「地獄の契約だって……」
    マルス   「エルシィさんを巻き込めません」
    アポロ   「……桂木はそれを盾のようにも考えておるようじゃ」
    ディアナ  「うかつには裁けませんね……」

           メルクリウス「……あのとき、歩美はカツラギだけでなく、

                    バディーの小悪魔も殺しかけてたんだな。
                    ねーさまに止めてもらえてよかった」
           マルス   「やはり考え直したほうが───」


メルクリウス「桂木桂馬を捕まえて、首輪に魔法をかけながら死なせれば、
         その問題はクリアできるよ。 気は進まないけど」

 
 ディアナ   「ログの精査はどうでしたか?」
 メルクリウス「新地獄への報告用に記録されている、小悪魔エリュシアの

         羽衣のログですが」

   メルクリウス「結論から言うと、改竄している者がいる」

 
 

 
 
   証言者2.ハクア地区長 『しょうがなかったのよ……しょうがなかったの……』

 

   ハクア『だったらどうしろっていうのよ……』
                              『私は悪くない……桂木は悪くない…』

  『……桂木の “神モード” はそういうモノなの。 それをやるな、なんて、
   女神の宿主に、女神に変身せずに全部解決しろっていうようなものだわ』

      『寝てたくせに……』

            『今さらカミサマ気取らないで』

   『もう……私達の前から……いなくなってよ』

    『女神と関わったせいで、あいつ、ますますわかんなくなっちゃった…』


 『……(前は、私のこと1番頼りにしてくれたのに……あなたたちが現れてから……)』
 

 
     『桂木のことを知ってるのは、私と、エルシィだけでよかったの』
 
                  『…(あの頃が一番幸せだった)』
 
  『返して…』  『…桂木を、返してよ……』 『あの頃の、桂木を……』

  『……(私……子供の頃、夢見てたの……

      駆け魂隊に入って、……華やかな成績をあげて……
      ……いつかは、ドクロウ室長みたいな、新地獄を救う英雄……
      そんな小さなころの夢……
      それを本当にくれた桂木を…… 無能な私の夢を叶えてくれた、
      私の“主人”、……本当の契約相手)』
 
  『私の “カミサマ” は、あなたたちじゃない……』
 
                     『もう、ほっといて』

 
 

 
ウルカヌス「完全に心を病んでいる…」

アポロ 「新悪魔まで何人も被害にあっていたとはのー……」
マルス 「ノーラという悪魔は話したくないそうです」

アポロ 「悪魔をも手込めにするとは。あやつホントーに人間か?
      地上界に堕ちて頭を打った神か何かでは(笑)」

               メルクリウス「ヒトの中にも特別な力をもった者は生まれる…」

         マルス  「……駆け魂の宿主達の中にもいたようですね」
         ディアナ 「女神の宿主候補のヒントとして検討したことがあります。

                霊術を使いこなす者―――風圧だけで人を飛ばす者―
                ―――あらゆる事を身につけられる者」
         ミネルヴァ「どれも、わたしたち女神はいなかったけど…」

         アポロ  「図書館の本の内容を全て把握しているミネルヴァの宿主も
                きっと、その領域に片足を入れておるぞ…
                もちろん、わらわのかのんの圧倒的かりすま性もな!」

 
 

 
    ハクア 『―――― “証拠隠滅” “共犯” “実行犯”
          桂木桂馬が殺すなら、私も殺すべきよ?』
 

    ウルカヌス「しかしあそこまでバディーに言わせておいて、
           桂木の阿呆がなぜこの場に来ないのだ」
    マルス   「ウルカヌス姉様、桂木のバディーはエルシィさんです。
            あの人、働いていませんが、正式には、一応」


ウルカヌス「裁くべき被疑者が来ない、これでは欠席裁判だ」

ディアナ  「……狡猾な男です。ここに来れば身柄を拘束され、
       そのまま刑が執行されるのを読んでいるのでしょう」
アポロ  「まあ一理あるがの」


ミネルヴァ「……(げーむがしたいだけかも……)」

 
          マルス 「代わりに話したいという者を連れて来ました」
 

 
 
   証言者3.羽衣人形のリミュエル(倉川灯部長) 『──────』

 
 
           アポロ「さて、話を始める前にじゃが……」

  
           アポロ「おぬし、偽物じゃな?」
 
 リミュエル(羽衣人形) 『─── 操っている私は本物じゃ ──』

    ルナ(ウルカヌス)「人形の姿で話すとは失礼だぞ」

             他「いえ、姉様……」
 

          マルス「しかしよく出来てますね」
              「危うく騙されるところでした」

   リミュエル(人形) 『── ヒトを作る研究をしていてな ─── その副産物だ ─』
 
       ミネルヴァ「まっどさいえんてぃすと発言…」

 
 

 
リミュエル(羽衣人形) 『─── ここは休戦といかぬか ── 我々も女神だけは敵にしたくない』
 
        ディアナ 「それは受け入れられません」

        ディアナ 「桂木さんはどこですか。ここ数日姿を見せないで」

  リミュエル(人形) 『─── 話せぬ。もう学校も休ませてある ──』

                     天理(……)

        ディアナ 「悪魔のバディーとしてやった罪なので、庇い立てをするのですか」
 
  リミュエル(人形) 『──── そうじゃ』
 

 
 
  リミュエル(人形) 『─── 桂木が許されざることは分かっておる。

              私も身をもって体験したのでな。
              ……
              故に、今日は、弁護ではなく、取引に来た』

      ウルカヌス 「取引だと?」

  リミュエル(人形) 『“罪人” 桂木の代わりに、“兵士”を渡そう。

              “救世主”と言っていいかもしれん。
              信用が置け、そして人でありながら、あるいは人だからこそ、
              すべてを解決する規格外の力を得た者だ。
              力が戻らず、狙われる身の神々の姉妹にとって、必ず助けになろう。
              その代わりに、罪人の処遇はこちらに任せてくれぬか』

        マルス 「笑止千万。そのような人間が ───」

        ディアナ「マルス。話に釣られないでください。今は桂木さんの話をしているのです」

 
 
  リミュエル(人形) 『─── (女神ディアナよ、何がしたいのじゃ) ──』

 

 
       ウルカヌス「リミュエルよ。 お前には助けられた。我々が一人も欠けずに、

               今ここにいられるのも、お前の率いた正しき駆け魂隊のおかげだ。
               ……だがあまり御巫山戯が過ぎるようならば、神罰が下るぞ」


  リミュエル(人形) 『ここ最近の科学魔法の発展は目覚ましい。
              10年前の魔術はもう時代遅れと言えるほどにな。
              神々は300年以上眠っていた。
              もう少し認識を改めていただきたい。これからのために』
 
  リミュエル(人形) 『そんな調子では喰われてしまう』

 
 
       後をつけられないよう、弾け死す、リミュエル(倉川灯)の羽衣人形。

 
 
      ディアナ「とんだ時間稼ぎをされましたね。

            今回ばかりは、こんなとき、『意味深な発言をするな』と怒る、
            桂木さんにいてもらいたいところです」

      マルス「桂木を狙っている間は、リミュエル殿は、味方の我々にも手の内を
           見せないということです。姉様方。これはやはり────」
 

 
  一晩で終わるはずだった対話は、数日を跨ぎ、またもや引き伸ばされていく。

             ◇  ◇  ◇

ディアナ「……(ほんとうなら、こんな話し合い、『死刑』 『異議なし』 で1分で終わって

          ひと思いに桂木さんを殺せていたいたはずなのに……何故……
          これでは……私は……)」

              メルクリウス「人間はいつも戦争している。傷病者の恋も結婚も、
                       ありふれてるのに、宿主は悲観的になりすぎだよ」

              ディアナ  「メルはてきとうすぎます」
              アポロ   「一夫多妻も、略奪婚も、目覚めてみれば珍しい。
                     人間社会も変わったの」
              ウルカヌス「もともと好ましくないものだ」

 
 
アポロ   「一応、桂木は人間社会でいうところの“未成年”、“少年”に該当はするが」
ミネルヴァ「せきにんのうりょくが……ない?」

 

 
  ウルカヌス 「現代人間界のそんな線引の意味は薄い」
  マルス   「この国でも、ほんの“最近”まで十五で大人だったらしいですね」
  アポロ   「わらわから見れば、人間全部が子供みたいなもんじゃ」 「要は精神」
  ディアナ  「精神で言えば、ある意味、桂木さんは、我々天界人と同じ領域にいるように思えます」

 
 
 
                ウルカヌス 「封印刑という手段も考えられるが」

                メルクリウス「100年くらい、何もない異空間で過ごしてもらう?」

                
                アポロ    「逆に宿主たちはいつまでも諦めがつかんのではないか」


      ミネルヴァ「ほんとうに、“けーま”は悪かったのかな……」

   骨折した右腕を撫でる幼い神。

      ウルカヌス「なにを言っているのだ」
      ミネルヴァ「だって、死んじゃうかもしれなかった、っていうから…」
      ディアナ  「他に方法があったはずです!」

      ウルカヌス「……なぜ私があんな目に」
 

 
 
マルス   「いつまでも結論が出ないなら、提案があります。

        ここは潔く、【決闘】で決めませんか!
        私は桂木の弁護側につきます! 私が負ければ文句はいいません!」

アポロ   「勝負好き……」

ミネルヴァ 「ばとるまにあ……」

ウルカヌス 「戦いの神に都合のいい提案じゃな……」

ディアナ   「マルスは力が戻っているから……」

メルクリウス「zzz……」

マルス   「だめですか」
 

 
 
 アポロ「―――― やつは“攻略”を楽しんでおった」

 
 アポロ「かのんに迫られてすっかりタジタジになっておったし」
 
 アポロ「演技ではない、本物のすかとろマニアで、駆け魂から救うのを口実に、
      かのんを強引に自分の趣味に引き込みおったのじゃ☆」

 
 
アポロ    「しかし酷い目にあったぞよ……もうあんなもの食いたくない……」


メルクリウス「私は歩美の意見をくむ。歩美が幸せになれるほうを選ぶよ……たぶん」

ミネルヴァ  「……みんながそういうなら」   もじもじ
 

      ディアナ 「─────」

      ウルカヌス「─────」

      マルス 「───!」

 
 

 


 そうして、十日以上にわたる審議ののち、
 連続強姦魔・桂木桂馬の『死罪』が確定した────

 
 
 女神のうち4名は、はじめ、宿主の意を汲み、 「さすがに殺すまではないのでは」

 「あるいは封印刑で」 「宮刑ではどうか」 「放免でもよし」 などの立場だったが、
 発言力の高いウルカヌスとディアナの強い決意、そして宿主たちの将来を考えることで、
 流されるように、その半分が消極的に死刑を承認する形となった。

 皮肉にも、最後まで強く反対し続けたのは、10年前の世界で桂馬が歴史を変えて
 追い出そうとした、結のいるマルスであった。


 だが、それは、既に、形だけのもの。

 話し合いが形骸化され、長々と引き延ばされているうちに、
 結論が出た頃には、“落とし神”による女神攻略は、攻略率50%の域まで達成していたのだから。
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
 
    ◇◇ その前後  舞校 旧校舎シアター ◇◇

 

  スケッチブックを開く、ショートヘアのエルシィ。
 

            エルシィ「神にーさまのこーりゃくは~」

 
 
  風呂敷に入れて普段から持ち歩いている、marumanの黄色と黒の表紙。

  それをめくり、紙の上に、いつもの “セカイ” を描き込んでいく。

  中川かのんが、フィオーレに刺されたあの日、エルシィが夢に見た理想の物語。

 
 
            エルシィ「うぅ~…」


  もともと、現実逃避のために、始めた遊びだった。

 
 

 
  桂馬やハクアたちが、女神探しをしているとき、
  エルシィは、やることがなかった、できることがなかった、何もするなと言われていた。

  思えば、それは駆け魂狩りの終盤から既に。青羽や灯の時から。
  今も、同じだ。 今度は、女神に桂馬の命が狙われているというのに、できることは、ない。
  自分は、リミュエルや、ハクアや、ドクロウの、『神にーさま』の、足手まとい。

  もしかすると、とうとう、『年貢の納め時』かもしれない。
  神をかたってやりたい放題やってしまった、『神にーさま』と自分に、
  本物の神の裁きが下り、消える、そのときが。

  だから、こうして、せめて、画用紙の上に描くのだ。

 
 
  【 もしも、神にーさまが、陵辱ではなく、普通の恋愛で、女の子を攻略していたら── 】



  そんな、 I Fの世界。 今のような結果にならなかった、エルシィの夢の世界を。
 

 
    ◇  ◇  ◇

 
 
  色鉛筆で描かれていく、両足の“ある”、不思議な高原歩美の姿。

 
エルシィ「――― 最初の、歩美さんのこーりゃくは、
      神様が、歩美さんの足を切っちゃうんじゃなく、
      歩美さんの大好きな陸上の、応援をしてあげるんです!」
 

        『オタメガ! なんなのさ、この恥ずかしい横断幕!』

  空想の中の歩美が、桂馬を空の彼方まで蹴り飛ばす。


エルシィ「はじめは、歩美さんは、戸惑います。
      いきなり、大胆な行動をとられて、訳も分からず、怒ります」
 
  スケッチブックに描かれる、倒れた歩美の姿。

  作画に失敗し、ハードルがややでかすぎる。
 

 
エルシィ「でも、自信が持てなかった歩美さんも、神様に、
      自分をしっかり見て、応援していてもらえたことを知って……」


  空想の中の理想の桂馬が、歩美にお見舞いの果物をプレゼントし、
  眼鏡を外して彼女を励ます。

        『歩美、キミはとっくに一番、とってるよ』
 

エルシィ「─────────」   キス。

  駆け魂、拘留。

エルシィ「こんな、ハッピーエンディングがあったら、よかったなぁ……」

 
 

 
    ◇  ◇  ◇

 
  ページをめくり、金髪ツインテールの少女を描く。

エルシィ「森田美生さん……青山美生さんの攻略は───

      実は、美生さんは悪い、ワガママな人じゃなかったんです、
      優し過ぎるから……。私がお姉様を大好きだったように、
      美生さんも、お父さんのことが、大好き過ぎるから、
      お父さんを裏切れなくて……」


   理想の桂馬 『オレ…お前のことが好きだ。ずっと君を見てた』
 
エルシィ「は、はぅ! 神様!? わわわわわ……」

       桂馬 『演技だよ。 いいセリフを練習しておかないとな』


エルシィ「おしばいでも……恥ずかしいです」

  噴水の前。 ドレスを着て、桂馬と踊る少女の姿。


  駆け魂、拘留。

  こうであってほしかったという、“理想の物語”を想像しながら、
  エルシィは、画用紙を埋めていく。
 

 
    ◇  ◇  ◇

  
エルシィ「私が神にーさまのために、いっしょうけんめいつくった赤白、ケーキです」

    桂馬『このポンコツ悪魔! ボクは、甘いものが嫌いなんだ!』

  ケーキを一口で平らげる桂馬の絵。

    桂馬『パクパクパクパク!』


エルシィ「えへへ、失敗作なのに、嫌いな食べ物なのに、私が頑張ったのを
      認めて、食べてくれるんですね……神にーさま……」
 

エルシィ「いつか、ご恩をお返しします!」

 
 
  お絵かきしながら、独り言をつぶやくエルシィ。


  ハクアが部屋をのぞき込んで心配するが、桂馬に促されて去る。

ハクア「ねぇ、あの子、どうしちゃったの」

桂馬 「たまにああやって遊んでるんだ。今はそっとしておけ。女神たちの攻略が最優先だ」

 
 

 
    ◇  ◇  ◇

 
 
エルシィ「かのんちゃんの攻略では……かのんちゃんの輝きを見て、

      にーさまが、リアルアイドルを見直してくれるんです!」
 
  自分がリアルアイドルを大嫌いになった、現実の展開とは正反対の夢。

 
 
    ◇  ◇  ◇

 
 
エルシィ「図書館……無くならなければよかったな……」

 
 
 紙の上の世界にのみ描かれる、栞が勇気を持てたハッピーエンド。

 
 

 
    ◇  ◇  ◇

 
 
エルシィ「楠さんの攻略では、神様が初めて、デートをします。

      私が提案したんですよ~! 遊園地にも行きました」


        楠 『恥だ! みんな私を見て、笑ってる気がする』
   理想の桂馬『主将がかわいいから、みんな見てるんですよ』


エルシィ「うぅ……ごめんなさい……殺してしまって、ごめんなさい……」

 
 
リミュエル「……(すまぬな)」

 

 
    ◇  ◇  ◇

 
 
エルシィ「ちひろさんの……攻略はっ…」



   ちひろ『……』

  四肢切断された小阪ちひろの姿がフラッシュバックする。

エルシィ「うーうー」

エルシィ「神様は、ちひろさんに酷い事は、なにもしません、
      ただ、【落とし神】さまのすごい恋愛テクニックで、
      ちひろさんの恋愛を応援してあげるんです……
     
      でも、女の子はそんなに簡単じゃなくて……」


   理想の桂馬『あいつの心のスキマを広げてしまったかもしれない』
 
エルシィ「神様、告白が中止じゃ、もう、ちひろさんは……」

       桂馬『駆け魂は、ボクが出すよ』


エルシィ「すごいです……失敗しても、神様は本当に頼りになります」


ディアナ「……あの、大丈夫ですか」

桂馬 「ディアナ、そっちはいい。もっと姉妹達のコンプレックスを教えろ。攻略に必要だ」
 

 
    ◇  ◇  ◇
 

エルシィ「夢見がちな、天美透さん(※小説1巻ヒロイン)には、
      神にーさま、思いっきり素敵な王子様を演じてさしあげて……」

   理想の桂馬『僕は実は悪魔の一派と契約していてね』

エルシィ「それで、なんと、特別に、透さんには、本当のことを話しちゃうんです!」

エルシィ「私たち悪魔のこと、ヴァイスの魂を追う私達の使命を……」

  桂馬『───あの女の子(吉野麻美)の魂がほかの悪魔に食い破られる前に──』

エルシィ「にーさまの機転で、麻美さんと透さんの同時攻略も、成功っ!

      透さんは、夢見てた、“本当の魔法を使う王子様”にキスされて、
      どんなマイナスもプラスに変える勇気がもてました! はっぴーえんど!」



エルシィ「ごめんなさい……透さん、顔に、へたな刺青を入れてしまって……ごめんなさい……」
 
エルシィ「【電波少女】から、一歩進化させて【メンヘラ女】さんにしてしまって、ごめんなさい……」

 
 
リューネ「……変わった遊びしてるな。イーマ。 ……(ぶつぶつ)…

      冷蔵庫にあるお前のパスタ、もらって帰る。アレ旨いからまた作っておけよ……」
 

 
 
    ◇  ◇  ◇

 
  スケッチブックに、バンド演奏をしている“2-Bペンシルズ”が描かれる。

 
エルシィ「私、ちひろさんのやりたがっていたバンドをやります! ええ! がんばります!!」

エルシィ「にーさま! 一緒に演奏しませんか? ドラム、やってください!」

     理想の桂馬『なんでもかんでもボクに処理させるなよ』

エルシィ「とほほ……そーですよね」


エルシィ「─── でも、にーさまの攻略した、結さんが、ドラマーさんに、
      なってくれました!」


 エルシィ「そうですっ! 神にーさまがいてくれれば、何でもうまくいくんです」

 エルシィ「にーさまは、理想を現実にできる人だから……」

 
二階堂「……」
 

 
 
エルシィ「にーさま、テスト勉強を手伝ってください!」


         桂馬『……1時間だけだぞ』

エルシィ「すごいです、すごいですー! 私以外みんな100点とれました!」

 
 

エルシィ「神にーさまが、私を遊園地に連れていってくれました!」

         桂馬『エルシィ、何乗る? お前の好きなのでいいよ』

エルシィ「リューネさんに頼まないで、自ら、私を励まして下さるんですね」



エルシィ「なんと、消防署にも!」

         桂馬『エルシィ、落ち込むことないよ……』

エルシィ「はいっ、落ち込んでなんていられません!」
 

  
    ◇  ◇  ◇

 
 
  スケッチブックに描かれる、“倉川灯”と桂木桂馬。

 
 
    灯(リミュエル) 『私が求めているのは完全な人間。お前ではない』


エルシィ「“にーさま” と “お姉様” が出会いました。
      私、おバカだから気づかなくて。

      でも、にーさまは、私が、リミュエルお姉様とできなかったような、
      お姉様の目指す理想について、真剣にお話をするんです!」


エルシィ「♪~」
 

 
    ◇  ◇  ◇
 
  小悪魔の頭の中で、どんどん夢の物語が続いていく。

 
 
エルシィ「かのんちゃんが刺されちゃいました……!」

 
    理想の桂馬『これはゲームじゃない。だから、絶対に助けないといけない』
 
エルシィ「はいっ、そうです。ゲームを封印して、にーさまは、女神様たちを探します!
      私も、落ち込んで何もしないんじゃいけません、にーさま、私はなにをすれば!?」
 
        桂馬『エルシィ、お前がかのんの代わりをやれ!』
 
エルシィ「え! え~ わ、私がアイドルなんて、困っちゃいます♪」
 
エルシィ「あれ? でも刺したはずのかのんちゃんの代わりに、私がテレビに出てたら、
      私の家にヴィンテージが確かめに来ちゃうかな……まーいいや、夢ですし」
 
        桂馬『女神を、一週間以内に見つける!!』

エルシィ「にーさますごいです! ハクアと協力して、恋愛の力で、
      どんどん、ユピテルの姉妹のみなさんを、集めていきます!
      私も、かのんちゃんの代わり、がんばります!
      かのんちゃんが、安心して、ぅ、芸能界に復帰できるように」

 
 

 
    ◇  ◇  ◇
 
  過去の世界。 子供姿の桂馬に銃口を突きつけるヴィンテージ。
 
エルシィ「にーさま危ない!」
 
エルシィ「きゃあ!」

      一人きりの部屋、空想の中で戦うエルシィ。
      誰かが見たら、変な踊りを踊っているように見えるだろう。

   ヴィンテージ『駆け魂隊に見られた! 報告する前に始末する』

エルシィ「だいじょうぶです、私が得意の拘留で、にーさまを助けます!」


    理想の桂馬『エルシィ、危ないことするなよ……』

 
 
エルシィ「にーさまは、子供の体なのに、私を助けるために、

      ヴィンテージの人に、命がけで立ち向かってくれました……」

 
 
エルシィ「にーさま!」

 
エルシィ「にーさま、大好きです」

エルシィ「…………」
 

 
エルシィ「こんな物語……全部、私の空想です」
 
エルシィ「…………」

エルシィ「本当のにーさまは、女の子みんなにヒドイことをやって、
      だから、女神のみなさんに命を狙われて、今、女神のみなさんにも……」

 
 
 
   スケッチブックに描かれた、桂木桂馬を見る。


   純愛ルートを進んだ、理想の落とし神を。

エルシィ「“この”にーさまは、このあと、どうなるのかな……」
 
エルシィ「私、にーさまじゃないから、『エンディング』が見えません」

 
 
          ドクン


エルシィ「…また来た……」

エルシィ「うぅ…」

エルシィ「なんとなく、分かります」

エルシィ「私、もうだめです」
 
エルシィ「消えちゃいます……」
 

 
エルシィ「私の中に、“本当の私”が……、 “なにか” がいるんです…」

エルシィ「何百年も生きてても、“死期”って分かるものなんですね」

エルシィ「でも、にーさまが心配です…」

 
 
エルシィ「にーさまは、ゲームの方法しか知らないから……」


エルシィ「ゲームのマネをしないとだめな人だから」
 
エルシィ「ゲームをクリアしたら、そのあと女の子と、どうやったらいいのかわからないですよね…」

エルシィ「ほんとうに、ダメなにーさま、私とおなじですね……」


   スケッチブックのページをめくる。

エルシィ「だから、私が、神にーさまに」

エルシィ「にーさまだけの、エンディングを」

エルシィ「せめて、考えて、げーむみたいな形にして、あげます」

   新しい、真っ白な紙に、現実逃避したままの頭で、【エンディング】を描いていく。

 
 

    
エルシィ「私に、ゲームが作れれば……、よかったんですけれど……

      ゲームなら、にーさま、どんな “くそげー” でも、やってくださるでしょうから。
 
      でも、私、ぷろぐらみんぐも分かりません、お絵描きソフトを使えません、
      今から覚える時間も才能もありません
      だから、ごめんなさい、最後の、【エンディングの一枚絵】だけ描きます、
      そこに、おはなしをつけて。
      にーさま、これを見て、どうか、“攻略”に、使って、くだ、さい」

 
 
   ゲームの締めくくりであり、主人公とヒロインのハッピーエンドを、端的に表す1つの画像、

   攻略終了の証、『エンディングの一枚絵』。

   それを、エルシィは画用紙に描いていく。
   “ギャルゲー”のノウハウでヒロインを攻略している桂馬が、再現できるように、
   いくつも、いくつも。

 
   例の衝動が、今は特に激しい。
   生と死と、未来と過去と、嘘と本当も、ぼやけてよく、分からない。
   現実と理想の境界線が分からなくなってきている。
 
エルシィ「ぜんぶ、気のせいだったら、私、へんなことしてますね……えへへ」
 

 
 
エルシィ「私が、一番最初に、ありそうだと思ったえんでぃんぐ……

      神にーさまに、お似合いだと思えた方は……」


  ◇◇ 九条月夜END ◇◇


   エルシィの絵の世界では。

   月夜と、桂馬、そして月夜の母親が、テーブルを囲んで座っている。
   そして、食卓に並ぶ、カフェ・グランパで出されている人気のメニュー。

   月夜の母親に、月夜と桂馬は食事をつくることにしたのだ。

   顔を綻ばせて、喜んでくれる月夜の母。

   取り乱して喧嘩をする母の様を、九条月夜は『醜い』と嫌っていた。

   でも、自分にやさしさがあれば、母を変えられることを知る。
   美しい、笑顔にできることを。
 
    桂馬 『現実<リアル>の人間って醜いところがあるよな。感情的で、ヒステリックで。
        でも、美しくもなれる。 月夜。きみのやさしさがあれば』

    月夜 『うん……ママの笑顔……美しいのですね……ありがとう……
        大好き、桂馬……』


エルシィ「神様、料理の力ってすごいんですよ」

  そんな、エルシィの心の中の、理想の結末。
 

 
エルシィ「でも、やっぱり、幼馴染さんかもしれません。
      ゲームなら将来の結婚相手だって……神様、おっしゃってましたから」


  ◇◇ 鮎川天理END ◇◇

 
 
   6股、8股がバレて、すべてのヒロインから冷たく罵られる桂木桂馬。


   けれど、一人だけ、それでもやさしく手を差し伸べてくれるヒロインがいた。

   冷血漢のふりをしながら、人間の心を持ち始め、人を傷つけることが、
   こんなに苦しかったのだと、本当は、傷ついていた彼を見て。


   浜辺で、桂馬の手をとる天理の絵。

    天理 『泣かないで』

    桂馬 『天理……あんな冷たいこと、手紙で書いて、ごめん……』

    天理 『泣かなくてだいじょうぶだよ。私、強い桂馬くんが好きだから』

    桂馬 『強いのは天理だよ。10年経っても色あせない、
        天理の強い想いに、ボクも負けたんだ』 『天理に、“攻略”されたんだ』

 
 

 
 
エルシィ「ゲーム好きのにーさまなら、この人かな……」

 
 
  ◇◇ 風瀬青羽END ◇◇



エルシィ「にーさま、なんで青羽さんなんですかぁ!
       記憶も失ってるのに~」

   桂馬 『何言ってる。これまでのヒロインで、ボクと同じゲーム趣味。
        青羽以外ありえん。それに一番ハイスペックだったろ』

  二人並んで、ゲームをしている桂馬と青羽の一枚絵。

   青羽 『……(いつか、私が理想のゲームをつくって、あなたを驚かせてあげる)』

エルシィ「マンガに出ない人じゃないですかー!」
 
   桂馬 『そんなん知らん』  ピコピコ

 
 

 
エルシィ「もしかすると、この人かも……」


  ◇◇ 五位堂結END ◇◇


   桂馬 『……(どうしてこうなった…。 ありえん)』 

  結婚式場へ下見にやって来た、桂馬と結の絵。

    結 『いいじゃないか桂馬くん、このウエディングドレス、着てよ?』

  ドレスを押し付けられ、後ずさって逃げる神ねーさま。

   桂馬 『た、たしかに結婚するが、ボクは女装なんてしない』

エルシィ「ほんと、なんで結さんのお嫁さんになっちゃったんですか? にーさま」

  呆れて目を細めるエルシィ。

   桂馬 『知るか! 結に流されるまま、【攻略】されてしまったんだ!」

エルシィ「いろんな女の子を攻略した先が攻略されるとは、みじめですぅ……」
 

 
   結の母 『桂馬さん、結の夫になるからには、ビシビシ花婿修行をつけてあげますよ』


  結のお母様にイビリを受ける神にーさま。

   桂馬 『ちくしょー! 一生ゲームやり放題のエンディングじゃなかったのか』  テキパキテキパキ

   結の母 『あら? すぐに根を上げると思ったら、あなた意外に何でもできますのね』

   結の姉 『結の連れてきた男、変なやつだけどすごいなぁ』

   桂馬 『うおぉぉお……神モード!』  シュパパパパ

   結の母 『……もしかすると本当に五位堂家の婿にふさわしいのかも』

   桂馬 『こうなったら、もー乗りかかった船だ。
        五位堂家の事業をゲーム業界にまで広げさせて、そこで好きなゲームをつくってやる……
        もし宝くじに当たったらやりたかった夢の実現だ…!』


エルシィ「にーさま、やっぱりゲームばっかりじゃないですか……えへへ」

  鉛筆を手に、妄想にふけるエルシィ。 その横で、桂木桂馬に、女神マルスが犯されている。
 

 
エルシィ「でも、かのんちゃんだと、うれしいなぁ……」


  ◇◇ 中川かのんEND ◇◇

   地獄の悪魔の不思議な力で、なんかいろいろてきとうにアレコレあって、
   まるでテレビアニメにいるような魔法少女になった中川かのん。

エルシィ「かのんちゃん! 私と力を合わせて、はぐれ魂を捕まえましょう!」

   かのん『うん! 歌を愛する人たちを、悪い悪魔の好きにはさせません!』

   エルシィとコンビを組み、歌の魔法の力で、たくさんの人を幸せにしていく、
   中川かのん。

   ある日、ふと、気づく。

    かのん『……そっか、“アイドル”じゃなくてもいいんだ』


   そののち、“アイドル”を引退する日が来るかのん。
  

 
    桂馬 『かのん。ボクとのスキャンダルのせいか? 刺された日の…』

    かのん『……そうだよ! だからね……』


    かのん『私のライブ、見てて。アイドル・中川かのんじゃなくて、
         歌手・パフォーマーとしての、中川かのんを!』


エルシィ「だいじょうぶです、かのんちゃんなら……」

エルシィ「私、かのんちゃんのこと嫌いでした。
      つくりものの、嘘の理想像を演じて、甘い評価をされて、
      商売してる、“アイドル”だって。

      でも、そうじゃなくなっても、
      かのんちゃんは、実力で勝負していけます。
      いいえ、かのんちゃんは、最初からそうですっ!
      だから……にーさまと結婚したって、きっと
      かのんちゃんは、みんなのスターの、かのんちゃんのままです!」



  刺された日のように、全身を拘束されて、女神アポロが犯されている。
  隣の部屋で、過酷な現実が繰り広げられているからこそ、エルシィの空想は、終わらない。
 

 
エルシィ「…………」

エルシィ「………室長…」


   ◇◇ 二階堂由梨(ドクロウ)END ◇◇
 

  あかね丸が見えるあずまやで話す、桂馬と二階堂。


   二階堂『───じゃあ』  『私、学校をやめるよ』

   桂馬 『……!』

   二階堂『私の役目は終わったみたいだから』


   桂馬 『待てよ!』

  追いかけて、その手を固く握る桂馬の絵。

   二階堂『……』

   桂馬 『…そんなこと言うなよ』
 
  もう、桂馬は、二階堂先生の授業をつまらないと切り捨てた、あの頃の桂馬ではなかった。
 

 
   桂馬 『そんな寂しそうな顔されて、放っておけるか』

   二階堂『……』

  見られないよう、反対側を向いて顔を隠す二階堂(ドクロウ)。

   桂馬 『……まだ“攻略”はしきれてない』 『助けると決めたからな、ドクロウを』
       『おまえに、また飛び降りでも考えられたらかなわん』

 
 
   桂馬 『それに……』


  今度は桂馬が、ばつが悪そうに、そっぽを向いた。

   桂馬 『今まで現実<リアル>に向き合ってこなかったボクが、
        向き合っていくには、必要なんだ。……“先生”が……』

   二階堂『……ぷ』

   二階堂『ハハ、それもそうだ……』

   二階堂『お前みたいな目茶苦茶なやつが現実社会でやっていけるわけがない』
 

 
   桂馬 『…』

   二階堂『10年前は、おまえが私に衣食住を教えたのに、
         いつのまにか、立場が逆転したな』

   桂馬 『……だから、どこにも行くなよ。二階堂由梨……どくろう』

   二階堂『桂木桂馬君』

   二階堂『生徒のくせに、先生を呼び捨てにするな。“二階堂先生”と呼べ』

   桂馬 『……二階堂…』

   桂馬 『……先生』

   二階堂『……ありがとう。先生がんばるよ、お兄ちゃん』

 
 
エルシィ「ドクロウ室長……幸せになれてよかったですね……」



 自分で勝手に思い描いたハッピーエンドに、自分で涙を流しているエルシィ。

 隣の部屋では、二階堂が、桂馬のメルクリウス昏睡レイプを手伝っている。

 
 

 
 
  ◇◇ 高原歩美END ◇◇

 
 
  競技会の催されている県営運動場。

  桂馬に怒るため、観客席までダッシュで駆け上がってくる歩美。
 
   歩美 『ちょっと、大会の応援に来てくれたのはいいけど、
       なんでゲームやってるのよ?』

   桂馬 『待ち時間だから。歩美が走るのは2時間は後だろ』  ピャラピャラ

   歩美 『没収!』   PFPを奪い取る。

   桂馬 『なっ、なぜ』

   歩美 『走ってる人に失礼でしょーが!』

   歩美 『いい? 客席では今後一切ゲーム禁止。カバンごと没収!没収!』

   桂馬 『これだからリアル体育会系は。
       丸一日かけたイベントで、走るのは10秒ちょっとだろ。
       ……なのに、空き時間を好きに使えないとは、非合理きわまりない』
 
  奇術師のように、どこからともなく別のゲーム機を取り出した桂馬に、
  実力行使は無駄と分かり、叫んで聞かせる。
 

 
   歩美 『もうっ、あんたが変なことやってると、私がみんなに怒られるんだからね』

   桂馬 『なんでだよ?』

   歩美 『だ、だって』

   桂馬 『?』

   歩美 『それは…』

   歩美 『あんたのこと、私の、婚約者だって、みんなに言ってあるんだから!』
 
   桂馬 『っっ』
 
  言うや否や、走って行ってしまう歩美。
 

 
   桂木桂一『よー、桂馬、いい席とったな』
 
   桂馬 『父さんっ』  『来るの遅いよ…』

   桂一 『悪い。また仕事で』 『……すごい彼女だな。どうやって捕まえたんだ?』

   桂馬 『……色々あってさ』

   桂一 『―――いい子だな。 やっぱ、マイペースな桂馬には、あれくらいしっかり、
       強く言ってくれる子がいいな』

   桂一 『桂馬。 ……実はな、俺と母さんも、お前たちみたいな感じだったんだ』

   桂馬 『へぇ』

   桂一 『…逃がすなよ。あの子。いつも、彼女のこと考えて、安心させてやれよ』

   桂馬 『……』

   桂一 『俺、母さんに、信用ないから……』

   桂馬 『…分かるよ』
 
   桂馬 『……(“落とし神”は、父さん似だろ……)』

 
 
エルシィ「……お父様、一度、会ってみたかったなぁ」

 

 
 
  ◇◇ 汐宮栞END ◇◇



エルシィ「ほんとうに、栞さんなんですか?
      栞さん、にーさまのこと、好きなんて、一言もおっしゃってないのに」

    栞 『……』

    桂馬 『栞は口にはしないよ。文字にはしたけど。
        まだ、踏み出す勇気がないからな』
 
    桂馬 『でも、栞が一番、ボクと合ってるよ』

    桂馬 『お互いの世界を大事にしながら付き合える相手だ』

    桂馬 『栞に勇気が必要なときは、ボクが外に引っ張りだしてやる』

    栞 『……(私も、この人をずって見ていてあげなくちゃ。あんまりにも
       ひどいようなら、私が常識を教えてあげないと……)』
 
エルシィ「ちょっとしょーらいが心配です……」

 
 
  リアルでは、ミネルヴァの尻の穴を、後ろからガスガスと桂馬が突いている。

 

 
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
  エルシィの空想する、夢のような未来。

 
  そして、一方、隣で繰り広げられるのは、桂馬による悪夢のような現実。

 
 
  部屋には、黒い蜘蛛の巣のような古魔術の結界が張り巡らされ、

  幼き女神ミネルヴァが、四つん這いになって囚われていた。
 
ミネルヴァ「んぅーあぁあ……んー…っ!」
 
  彼女を囲む、桂馬とその仲間たち。ミネルヴァちゃんにいけない事し隊。

  子供の、まるで片手でつかめてしまいそうな気すらしてくる、
  小さな尻に、桂馬の肉棒が乱暴に出し入れされていく。
  幼女の右手が骨折しているというのに、容赦はない。

桂馬「どうだい? ミネルヴァちゃん」  ガスッ! ガッ!

  栞の創作ノートを勝手に読みながら、その内容に合わせて、
  ちょっとさわやかお兄さんモードでミネルヴァを攻略する落とし神さん。

桂馬「ははっ、栞の書いた官能小説のシナリオは素晴らしいな。
    再現すると攻略が捗るよ! ぜひゲーム化するべきだ!」
   

ミネルヴァ「……!」 ぶるぶるっ
 

 
桂馬「ふっ、相手は女神! ちっちゃいからといって、手加減は一切しないぞ、
    神モードMS発動! いくぞ、 究極奥義・主神<エロヒム>!」

   SHUPAPAPAPAPAPA!!

 
 
ミネルヴァ「ほぉぅーーっぉっふ…!」


  毛も生えていない前の割れ目からは、小水のように、止めどなく愛液があふれてくる。
 

ハクア 「あ…、アレ何やってるの…?」   わなわな

リミュエル「見えぬ……。この私の目にも…」

ミネルヴァ「っっほぉ! ぁあ!  (すごいよ、これ、ゆめ……?
        げんじつ、なの?)」

桂馬 「フハハハハハ!」  しゅぱしゅぱしゅぱ

二階堂「もう人間じゃないなお前……教師として匙を投げたよ…」

ミネルヴァ「が、がづらぎ………もう……やめて……えぐっ……」

  絶頂に痙攣しつづけるミネルヴァの耳元に、落とし神が囁く。

桂馬「あーあ。こーんな幼女のうちから、あなるで感じまくるなんて。
    みねるばちゃん。きみの人生、終わったね」
 
ミネルヴァ「!」
 

 
桂馬「きみはこの先、ずーっと、一生、このあなるの快楽から逃れられないんだ。
    何をやっても、どんなときでも、桂馬お兄ちゃんとのアナルファックのよさと
    比べて、麻薬中毒者みたいに、満足できないんだ。
    もう、お前の人生観めちゃくちゃだよ」
 
ミネルヴァ「ぇ……」

  本当のことかもしれない。体がそう感じてしまい、おびえるミネルヴァ。

 
 
 
リューネ「だから、もう諦めちゃえよ」


  古魔術でミネルヴァを罠にはめた、リューネが右手を彼女の頭に置く。
  赤いマニキュアの塗りたくられた悪魔の爪が、ミネルヴァの小さな頭に食い込む。

リューネ「あーあ。うらやましいよ……私も、生まれて間もない、
      5歳とか10歳とかのころに、落とし神に犯されてみたかったね。

      この体格差で一方的に、暴力的なファックをされるんだ。
      頭の中がめちゃくちゃになって、ほかのことが考えられないくらい、
      ぶっ壊される感覚が味わえるんだろうな」
 
  片方のツノと、首輪がない彼女。古魔法で契約の首輪を外し、逃亡中の、
  駆け魂と同じような立場だが、危険を冒して行う女神への復讐は楽しそう。
  

 
リミュエル「リューネよ。旧地獄の魔法の中には、相手を子供の姿に変えてしまうものもあるぞ」
      (※ かのん100%のはぐれ魂)

メルクリウス「私つかえるよ」

リューネ「本当か? 今度かけてくれよ、ハクアにさ」

ハクア 「なんで私なのよ」

リューネ「ガキの体でよがりまくるおまえ、絶対ケッサクだよ」

 
 
  ミネルヴァの中で、感覚を共有し、同じ快感をむさぼっている栞。

 
栞  『……(ぅぅ、すごい、すごい……
        桂木君の、“神モードで百回絶頂”の刑……
        私にも快感が来るんだよ……
        おしりが、自分の中心になって……脳味噌になって、
        天国にいっちゃったみたい……
        いくら本を読んでも、こんなになることなんて、ないわ)』
 
  ミネルヴァの乳首についたピアスを、桂馬は乳首ごとがぶりと噛んだ。
 
栞  『……(…ぃくぅッ)」
 

 
 
リューネ「どうだ、小さい尻に入れるのは気持ちいいか、ロリコン。 (かぷっ)」


桂馬(いてて……噛むな噛むな)

  ぎゅぅぅうう

ディアナ「桂木さん、ずいぶん気持ちよさそうですね。そんなにいいんですか。ミネルヴァが」

桂馬(つねるなつねるな)


  凄まじい快楽に、ついにミネルヴァが失神し、栞に入れ替わった。

栞「ふにゃぁああ!」

  人間の体に戻り、根性のなくなった尻穴が、ドバーっ!と排泄する。

栞「うぅぅ……(ミネルヴァ、こんな恥ずかしいところだけ、私にやらせないでよ……)」
 

 
リューネ「あ~あ。 おいシオミヤ。おまえの勢いよく出したくそのせいで、
      落とし神のカラダが、ドロドロだよ」

  駆け魂センサーのドロドロ音の真似をして栞をからかうリューネ。

桂馬 「栞。なめてきれいにしろ」  ずいっ

栞  「っ……(……じょ、冗談よね? うんちのついたあそこをなめろだなんて
         いくら桂木君が変態だからって)」

桂馬 「……」

桂馬 「ハクア。お手本を見せてやれ」

ハクア「は……はい、“ご主人様”」

ハクア「ぺろぺろ」

栞  「……(うそ、嘘、嘘、この人、私のうんち、なめてる)」

桂馬 「いいぞハクア。よし、じゃあお前の尻にもぶちこんで、それを栞になめてもらおうかな」

ハクア「……!」
 

 
  ◇  ◇  ◇

 
 
ミネルヴァ「ぺろぺろ」

 
桂馬 「わっはっはっは!
     ミネルヴァ、そこで一心不乱にオナニーしてるメルクリウスを見ろよ。
     あいつ最近寝不足なんだってさ。
     睡眠時間を削ってそんなことばっかしてるせいで」


メルクリウス「んぅ……んん……」  クチュクチュ

歩美 『やめてよ! メルクリウス。あなたらしくない』
 

歩美 『みんな……どうかしてる』
 
歩美 『……私もよ…』 『……だって、悲しくないもん』
 
歩美『……あは。私、壊れちゃったんだ。 心配してた通りじゃない。
    バカ、バカメルクリウス!』

メルクリウス「ふー、…ふぅぅ…」  グツチュチュ

                                   エルシィ「……」

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
   

 
ミネルヴァ「はぁっ……はぁ……」

桂馬 「可愛いよ。ミネルヴァちゃん」


桂馬 「嗚呼。 女神探しも最初からこうできればよかったのに。

     全員捕まえて、全員レイプ!
     かのん(アポロ)みたいに昏睡させて、気が向いたやつから
     ヤっていく、みたいな攻略のしかた、それなら楽だったのにな」

リューネ「私がバディーならそうさせてやったよ、無能がバディーで苦労したな」
 
                                   エルシィ「……」

 
 
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
エルシィ「リューネさんにも。こーせーして、幸せになれる未来があったのかな……」

 
 
    ◇◇ リューネEND ◇◇



  廃屋に住み着いている逃亡犯リューネ。

  ニット帽をかぶって、頭のツノを隠している。

   桂馬 『ほら、飯、もってきたぞ』

   リューネ『……そこ』   置いてほしい場所を指差す。

   リューネ『……』

  PFPで遊んで、暇をつぶしているリューネ。

   リューネ『なぁ、落とし神』 

   リューネ『私、行くアテがないんだ』

   桂馬 『知ってるよ。組織の仕事ほっ放りだして、逃げたりしたらな』


   桂馬 『悪の組織による裏切り者への制裁は、正義の味方より怖い。ゲームでも何でも定番だ』
 

 
  それぞれ別の方向を向きながら、携帯ゲームをしているリューネと桂馬。

 
   リューネ『……うまいよ。このお菓子』  モフモフ

   桂馬 『そんな甘ったるいものよく沢山食えるな』

   リューネ『お前、甘いもの嫌いなのか?』

   桂馬 『ああ。実は』
 
   リューネ『損してるよ』

   桂馬 『そんなわけあるか』

   リューネ『じゃあお前、もしゲームの面白さが分からないやつがいたらどう思う』

   桂馬 『損してるな』

   桂馬 『なるほど』
 

 
  リューネにもらって、シュークリームを食べてみる桂馬。やっぱり舌に合わない。

 
 
   リューネ『……潰そうとしてたわりに、こっちの地上界について、私、よく知らなかった』


   リューネ『な。落とし神』

   リューネ『教えてくれよ、 地上界は、どんな楽しいことがあるんだ?』

   リューネ『この子のためにさ』
 
   桂馬 『悪い。ボクも知らない』 『ゲームしか』

   リューネ『……』

   桂馬 『だから、一緒に探してくれ』

   桂馬 『お前となら、見つけられる気がする』
 
   リューネ『なんだよそれ。私が好きってことか』

   リューネ『……そうだな』 

     ニット帽を脱ぐ。
 

 
   桂馬 『……』

    リューネの頭から、ツノがなくなっていた。

   リューネ『……昨日、切ったんだ』

   リューネ『私、【人間】になるよ』

   リューネ『落とし神。 私のツノの、片方、持っていてくれ。
         もう片方は、私が持つ』

   桂馬 『ああ。ずっと持ってる』

  エルシィの描く、リューネのツノをてのひらに置く、二人の絵。


   リューネ『私が【鬼】に戻りそうになったとき、それを見せてくれ』

   リューネ『私は鬼を辞めたんだっていう、今の気持ちを、思い出すから。

         私は、いつも見て、思い出すよ。今日の、この気持ちを』



エルシィ「リューネさんほどの人を変えられる、すごい人がいたとしたら……、
      きっと、落とし神様くらいです……から……」
 

 
 
 そして、ページをめくる。

 

  ◇◇ リミュエル(倉川灯)END ◇◇
 

エルシィ「……リミュエルお姉様とにーさまとのエンディング……
      ……思い浮かばないです)」


  代わりに、自分と、その両脇に桂馬とリミュエルの姿を描く。
 

     桂馬   『エルシィは、ボクの妹だ。すべてが解決して終わったからって、
            地獄に連れ帰すなんて、納得できるか』

エルシィ「に、にーさま、心のうちでは、そこまで私のことを……」

     リミュエル『何を言う。 人間と悪魔とが兄妹なものか。
            エルシィは私の妹だ』

エルシィ「お姉様……」

     桂馬   『人間とか、悪魔とか、関係ない。
            ずっとそばにいて、エルシィはもう、ボクの家族だ』

     リミュエル『……』
 

 
エルシィ「ううぅ……、私も、にーさまや、みんなと、お別れしたくありません!」

     桂馬   『エルシィも、こういってる。
            家族を引き裂いて、むりやり連れ帰って、
            そして、こいつを元の掃除係に戻すのか?
            勝手に“家族”にしたくせに、それが新地獄のやり方なのか。
            駆け魂の脱走はこれからも少しはあるんだろ?
            ……ボクが捕まえてやるよ。
            攻略を嫌だ嫌だなんて言ってた、今までの言葉は取り消す、
            この契約は終わらせない。 契約……更新だ!』
 
     リミュエル『……だめじゃ、

            エルシィでは世界中の駆け魂には対応できない』

     リミュエル『だから……私と契約しろ。桂木よ。
            そうすれば、私の妹とも一緒にいさせてやれる。桂木えりとして』

     桂馬   『……』

     桂馬   『…いいだろう、落とし神・世界編だ…』


エルシィ「……えへへ」 「さいきょーコンビの誕生です!」

エルシィ「リミュエル姉様は、それから、にーさまとよくお話されて……」

 
  疲れてきて、展開が雑になってきている。
 

 
エルシィ「できれば、……」

 
   ◇◇ ディアナEND ◇◇

 
 
 
    ディアナ『桂木さん……あなたは普通の人間ではないと思っていましたが、

          やはり、そういうことだったのですね』
 
    他の女神達『?』

    ディアナ『みなさん……よく聞いてください。
          この方……桂木桂馬さんは、天界人です』

    桂馬 『……!』 
 
エルシィ「私の空想だから、もーなんでもありです!」

 

   ひたいにディアナの魔法を受けて、転生前の記憶を取り戻す落とし神。


    桂馬 『……』

    ディアナ『─── この方は、恋愛の神。 地上界の神話では、クピードーや

          キューピットなどという名前で語られる存在……でした』
 

 
    ディアナ『ですが、天界人と人間との許されぬ恋を応援したことで、
          天界を追放され、地上に落とされ、記憶を失い転生していたのです』


    桂馬 『─── ふふ、どおりで人間の女子を好きになれなかったわけだ』
 

   自嘲ぎみに笑う桂馬に、手をさしのべる女神ディアナ。


    ディアナ『あなたの罪は赦されるはずです』

    ディアナ『今なら、貴方のやろうとしてことが、私にも分かります』

    ディアナ『……私自身が、そんな気持ちを、持ってしまったのですから』

    桂馬 『ありがとう、ディアナ。 いっしょに天界へ帰ろう。

    桂馬 『……ごめんな。天理。みんな』

    天理 『……私……神様に、恋、しちゃってたんだね……』

 
 
エルシィ「えへへ……神様は、神様だったんです~……」

 

 
 
  ◇◇ ハクアEND ◇◇


エルシィ「……(ハクアは、べつにいいかな……)」
 
  白紙のままページを送る。

 
 
 
 
  ◇◇ ちひろEND ◇◇


   海辺の公園で、向き合う。二人の絵。


 
       『茶でも、飲みにいかん?』


エルシィ「神様は、最後、現実<リアル>と向き合う、普通の人間になって、
      ふつうの女の子を、好きに───」

 
 
  普段使わない頭を、酷使した疲労から、エルシィは、

  いつのまにか、眠りについていた。

 
 

 
 
  ◇  ◇  ◇ 


エルシィ「zzz……」

  描きかけのスケッチブックを手に取る桂馬。

桂馬 「なんだこの絵……」

  左手のPFPでゲームをしながら、右手で軽くめくってみる。

エルシィ「zzz……」

桂馬 「バグ魔らしい……頭のバグった考えだな」

エルシィ「zz……」

桂馬 「……矛盾してる、ありえない希望だ。
     そもそも最初からやり直さないと、このエンディングにはならない」

桂馬 「よしクリア」  左手のゲームをやり終えて、ちょっと笑顔。
 
リューネ「なんだ? ソレ」

  ひょっこりと片角リューネが現れて、桂木の読んでいるものに、興味を示す。
  彼女はいまだに、(裏)落とし神のWebサイトを通じて、頻繁に
  桂馬と趣味のメールのやりとりをしているのだ。逃亡中の分際で。
 

 
桂馬 「ああ、このゲームは」

リューネ「そっちじゃないって」  PFPでプレイできる純愛ゲームに興味はない。

桂馬 「……」

桂馬 「エルシィの書いた話だ。………“神様が普通の人間の女の子と恋に落ちる”らしい」

リューネ「……なにそれ、すげえ笑える(笑)。見せてよ」

桂馬 「見るなっ」

  思わず隠す。

リューネ「……?」

桂馬 「……?」

ハクア「ちょっと! ここにいたの、ディアナとウルカヌスが来るわよっ」

ハクア「女神ディアナ、本当になんなのあいつ……今度は本気で私を殺そうと……」

ハクア「なにしてんの? またゲーム? 女神相手に『ナメプ』とは、おまえたちいい度胸よね。
     向こうの出方によっては、こっちが消し炭にされてもおかしくないのよ」
 
桂馬 「……」 「行くぞ……ウルカヌスを捕獲する」
 

 
桂馬 「リューネは出るなよ。お前はトラップカードだ」


桂馬 「これで最後だ。

     風瀨青羽のときは、後はもう消化試合だ、なんて思っていたが、とんでもなかったな……

     “倉川灯”に、結崎香織、女神の入った女子達の再攻略、リューネに、ドクロウに……

     でも、ようやく終わりだ。最後の女神、ウルカヌス。

     ……そして月夜。悲しませてすまなかったな。今、神が『幸福に』してやるぞ」
 
  ゲームをプレイしながら、桂馬は歩き出した。

 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

 
  ◇   ◇   ◇
 
   携帯ゲームの音が静かに鳴っている。

 
 
 ディアナ「女神六人、対、人間一人。


       負けるわけがない戦いです。
       ですが、結局、私たちは負けました。

       新悪魔たちが、あの男を守り始めたのは、大きな問題ではありません。

       ……私の責任です。
       私が、私の中の、相反する二つの本心、両方に従って、
       矛盾した行動をとってしまったことが、敗因なのです。

       申し訳ありません」
 

 
 ディアナ「……私の大事な天理を、あの男への狂った思いから救うため…、

       そして、私は、自分自身のどうしようもない想いと決別するため、
       私は、本気で桂木さんに死の罰を与えるつもりでした。

       ────永遠に、消してしまいたかった。
       いいえ、むしろ私は、桂木さんを殺すことで、
       誰のものにもならないようにして、
       桂木さんを独占したかったのかもしれません……」
 

 ヴィンテージの呪いのせいで、女神への“変身”がしきれず、
 オッドアイの状態で語るディアナ。

 左右の目が違うタイミングでまばたきをする、不気味なそれは、
 今の彼女の二面性を物語っているかのよう。

 
 

 
 ディアナ「そして、私の意思ではとても踏み切れない決断だったので、

       私は、姉様を、妹たちを、焚きつけました。
 
       桂木さんへの怒りに燃えるウルカヌス姉様や、
       正義感の強いマルスや、物事に囚われないメルクリウスに、
       あわよくば桂木さんを殺してもらえれば、
       それはそれで、私は、解放されると思ったのです。


       でも、一方で、私は、姉妹達に隠れて、全力を以て桂木さんの
       味方をしていました。

       姉妹達を煽って、桂木さんの【敵】として、歩美さんたち、宿主の
       女性達が桂木さんと離れた存在になるように仕掛けながら、
       自分だけは桂木さんの内通者となり、女神の中のただ一人の
       【味方】として、“ぬけがけ”をしようとしていたのです。

       幸い、天理はとまどいながら、桂木さんを守ろうとすることを、
       喜んで受け入れてくれました。

       落とし神が勝っても、ユピテルの姉妹が勝っても……
       投げたコインの、表がでても裏がでても、私の勝ちになる作戦でした。
       愚かな企てです。天理にも、桂木さんにも、姉妹たちにも、嘘をついて……」
 

 
 ディアナ「私は、常に姉妹達の動きなどの情報を渡して、

       桂木さんを、逃がしました。
       そして、リミュエルさんやドクロウさん達、ときには、姉妹に
       存在を知られていない切り札としてリューネさんと一緒に、
       他の女神を個別に襲い、宿主を呼び覚まし邪魔をさせもしながら、
       桂木さんの“陵辱攻略”を手伝いました。
 
       一人ずつ、姉妹達が、桂木さんに捕まり、犯され、汚され、
       ほだされていくのを見ていって……
       姉妹を売った罪悪感に苛まれながら、
       『みんな、私と同じになってしまえばいい』、
       と、ほくそ笑んでいる私がいました。
 
       申し訳ありません。

       私は、堕落していました。
       姉妹を扇動し、説得し、争いを起こしておきながら。
       桂木さんの側についていました。
       自ら、ウルカヌス姉様に、作戦を、方針を示し、
       それを桂木さんに教えていました。
       ウルカヌス姉様。 ですから、もう、逆転はありません」


桂馬「―――だ、そうだ。
    『貴様の考えはディアナがお見通しだ。すぐに助けにくる』だったか?
    どうだ? 一番信頼していた腹心に裏切られた気分は?」

  桂馬はプレイしていたゲームをクリアし、PFPを内ポケットに仕舞った。
 

 
ウルカヌス「ディアナよ……」

ウルカヌス「思えば、我々が復活後、ヴィンテージに

        殺められることなくいられたのは、お前のおかげだ。
        そして、桂木の……。
        これは、姉としてお前の『心の隙間』を見抜けず、そこを、
        桂木桂馬という悪魔に付け入らせてしまった、私の敗北なのだろう。
        血よりも強い絆をもった姉妹でありながら、そやつに、遅れを
        とった。私への罰であろう。 ……好きにしろ」
 
   月夜 「嫌っ! ルナ、ウルカヌス、私を幸せにして

        くれるんでしょ!? ……桂馬を、ころして…」

マルス 「幸せに、なれますよ」

ミネルヴァ「け……けーま、の、指……すごいんだよ。 ぽーっ、ってなるんだよ」

メルクリウス「こんなすごい者を消してしまおうなんて、私はなんてばかなこと考えてたんだろう」

アポロ 「ウル姉も、宿主の者も、そー深く考えず、もっと楽しめばいーと思うぞよ」

 
 

 
 
ウルカヌス「んぁぁあふぁあああ!」


   月夜 「んぅぅう! もう、もう気持ぢ好ぐなりだぐないい!」 スパンッ ぱんっ!

   マルスらに取り押さえられたウル姉を、スタンダードに正常位で
   犯しながら、料理の仕方を思案する桂馬。

桂馬「よーし。ウルカヌス攻略は、その凝り固まった美意識を、改革してやる
    必要がありそうだからな……。
    おい、アポロ。 ウルカヌスの、月夜の口に、『人間便器マスク』をつけて、
    そこにションベンしてやるなんてどうかな!」

アポロ「うむ! かのんの得意分野じゃな!」

   かのん「まかせて! 桂馬くん!」
 

 
ウルカヌス「ごぼ……ゴボゴボ」

   桂馬と交わりながら、姉妹達の小水を、順番に口の中へお見舞いされていく。

ディアナ「ウル姉様。これでやっと、私たち姉妹は、本当の意味で
      1つになれるのです……はぁっ、はぁっ」

   じょぼじょぼじょぼじょぼ

ウルカヌス「ぁフんんンン! ィググゥグ! んんぅぅ!」  びくびくびく…

  月夜「な、なにが起こってるの、るな! けーまぁ! けーま!」

桂馬「なぁに、ちょっとした“ティータイム”だよ。月夜」

桂馬「攻略のときも女神探しのときも、速攻だったからな。月夜は。
    今度は熟年夫婦のようなスローセックスで、じっくり何時間も絶頂させてやる。
    ウルカヌス、持病はないか。脳出血や心拍異常で、性交死するんじゃないぞ」

ウルカヌス「もぉごぼ、もごもぎもごもぐごごごぼぼ (と、年寄り扱いするなー!)」
 

 
 ~~~~~
 
桂馬「ははっ! 当然の結果になったな! 不完全な現実<リアル>世界の神
    ごときが、身の程を知らずにも、完全な理想世界の神に、牙を剥くからだ!

    ――― ディアナ、安心しろ、もう嫉妬なんてする必要、ないぞ。
    ボクは、お前たち以上の神だからな。全員満足させてやれる。
    ディアナ、メルクリウス、マルス、ミネルヴァ、アポロ、ボクを囲んで
    輪のようになれ! 神モードの力で、みんな一緒にイかせてやる!」

女神達「んぃぃややあああ!」  クチュクチュクチュグチュブチュ

桂馬「神モード発動! ……秘技・ 大車輪シンクロニシティー!」

  ※ 解説
    大車輪シンクロニシティーとは、アニメS1E12で見せた二奥義、
    【炎の大車輪】 と 【シンクロニシティー】との長所を併せ持つ大技である。
    もともと、神モード時に繰り出す大車輪系の技は、その激しさ・速さ・繊細さなど
    の特質、要素から、通称・炎の大車輪、氷の大車輪、風の大車輪、地の大車輪の
    4系統に分類できる。それらを全て、第三段階まで極めることで、他の技を組み込む
    余地が生まれてくるものだが、“大車輪シリーズ”の広範囲性に、シンクロシニティー
    の同調性が合わさることが以下詳細は400文字に渡るため省略。
 

 
 
桂馬「ボクが通常、同時攻略できるゲームは6つ。―――女神達も6人。

    エルシィ! この一致、運命的なものを感じないか?
    こうして6人仲良く一緒に、手で絶頂させてやるべきってことだな (※得意のメタ推理)!!」

エルシィ「あわわ……」

桂馬「……10年前に行ったのが、まるでいい“修行期間”のようになったよ。
    力に制限のかけられた子供の姿で、“神の力”の攻略をすることで
    ボクは、自分の殻を破り、進化した! いまなら見せてやれる。
    落とし神 究極奥義 【 殺神者 《ゴッドスレイヤー》 】!」

 桂馬のグーパンチが、6人同時に尻の穴に突撃する。

女神達「ほぉおお」「いやァァ!」「グっ、ィギグ!」「や、り、す、ぎ、じゃぁ~」「かふっ、死゙、グッ…」「…」

  これまでに味わったことのない種類の、絶頂。快感。オルガズム。弛緩状態。

桂馬「陵辱ルートを成功させるSSSの最後のS、それは、落とし神の、神モードの、神<シン>…!」


   リミュエル「すまぬな。女神たちよ…。桂木を殺されるわけにはいかぬのだ……」

   二階堂「まったく……変わらんな…」
        「他の方法は知らんのか……殺すしか知らなかった、私…ドクロウよりましか」

   ハクア「…………(なによこのメンツ……女神に、『殿下』に、『英雄』夜霧の生まれ変わり?
        それに……リューネ……もう、桂木、私の手の届かないところに行ったみたい……
        こんなの、嫌…)」

エルシィ「──────《ドクン》」 
 

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 

(あと2回で終わります)

 
( 残り文章の長さ数えたら1000に入りきらないので、
  きりのいいところなので新スレに移ります
 
 ちょっと残りのスペースに
 読んでくれてる人がスルーしてくれてる色々おかしなところとかのセルフツッコミと言い訳
 を、自己満足で思うまま書き流し


○ 【首輪のギロチン機能を、リューネの旧地獄の魔法で無効化できる】、という設定。
 そんな設定は本編にはない。
 たぶんリューネのバディーを調べ上げて殺せばリューネは殺せる。
 けど、中盤、リューネを「殺していいキャラ」にするために、
 (「死なせてもいいけどそれでもあえて死なせないキャラ」にするために。)
 そして最後にエルシィを殺すために必要なので勝手に出しました。
 旧地獄の魔術なら、「使ったら牢獄入りじゃすまない」そうなので出来ても不自然じゃなさそう


○ 十年前、天理が6歳
 漫画では天理も「7歳」と枠に表示されていた。でも登場した巻の巻末では誕生日1月とある(6歳のはず)。
 どっちをミスと扱うべきかわからないけど6歳でいてほしいので6歳に。 


○ ドクロウとかの設定全般
 二階堂のほうのドクロウは、実は、既にいた女の子の体を借りてる、みたいな設定を、
 連載終了後、天理Twitterでさらっと出されてたけど、今のだけの情報だと、なんだか
 他人の人生を乗っ取って利用したみたいでイメージ悪いし、それは考えない内容で。
 (アニメ版デビルマンみたいに、憑依?したドクロウが悪者にならない設定なのかも
  しれないけど、なんだかもやもやするので早く若木先生にドクロウ弁護してほしいです)
 

 
○ リューネ全般
 本編では、桂馬とリューネはニアミスばかりで一言も会話なし。
 けど、陵辱ルートに進んだ桂馬と、馬が合うキャラは、このキャラをひっぱって
 くるくらいしか思い浮かばなかった。あと攻略してほしかった。
 「あるルートだと赤の他人みたいなキャラが、別のルートだとガッツリ関わる」
 って、選択肢で展開ががらりと変わるADVっぽいし

 リューネのバディーの設定は若木先生用意してたらしいけど未登場でマンガが
 終わってしまった。ネット見たところ「既存キャラから選ぶなら、香織さんっぽそう」
 的な感じなこと言われてて、だったらたのしい。でも「リューネって制服着てる。
 エルシィみたいにバディーといっしょに中高生やってるってことでは」とも思う。
 ので、ムリヤリ矛盾しない理由を考えて両立。
 そして正しい設定ではリューネのバディーが香織さんじゃなかろうとも、『陵辱ルート』
 では、少年桂馬に攻略されて、もっと悪くなってしまった香織が、本来の人よりも優先
 してリューネのバディーとして見い出された、歴史変わったとか思ってくださいおなしゃす

○ 桂馬は、落とし神のウェブサイトがテレビ番組で取り上げられたことを知らない
 はず(>>276)だけど、そういう違いも「別のルートでは、偶然知った」ということで。

○ 神モード  言い訳不可能

○ その他、キャラの口調とか思考とか設定とか違ってる・間違えてる・同人誌的な
 キャラに変えてるけど許して
 過去編とかの行動が違うのでそのバタフライ効果ということでお兄さん許して
 ていうか過去編よりもっと前から分岐したみたいなことではいよろしく
  

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年03月28日 (水) 21:43:33   ID: 26if7vDy

これとんでもない問題作だけど読みごたえは抜群やな
グロリョナ欠損に抵抗がないなら面白いのでぜひ読んでもらいたい

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