ほむら「世界一?」 (19)

和子「はい、それじゃあ今日は皆さんに転校生を紹介します。じゃ、暁美さん、いらっしゃい」

ほむら「…」スタスタ

さやか「うお、すげー美人!」

まどか「えっ…」

和子「はい、それじゃあ自己紹介いてみよう」

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

ほむら(まどか…今度こそ、あなたを救ってみせる…)ジーッ

まどか「えっ?うぅ、んぅぅ…」

ほむら「…」ジーッ

和子「えぇと、暁美さん?」

ガラガラ!

ほむら「?」

「おぉっと、これは少し早くきすぎてしまったかな?」

和子「あら、先生。いえ、もうすぐホームルームは終わりですから、問題ありませんよ」

「そうか、それは…ん?その生徒は…」

ほむら(えっ…えぇっ!?だ、誰よこの外国人は!?こ、こんな人、今までの時間軸じゃ一度も…!)

和子「あぁ、この子は暁美ほむらさんと言って、今日からうちのクラスに来た転校生ですよ」

「ほう、暁美ほむら…か」

ほむら「は、はい…えっと、あなたは…先生…?」

「ドイツの言語は世界一ィィィィ!!」ビシッ

ほむら「!!??」ビクッ

さやか「出た!シュトロハイム先生の世界一!」

シュトロハイム「ブゥァーーーッハハハハ!驚いたかぁ?暁美よ。我が名はルドル・フォン・シュトロハイム。貴様らのクラスのドイツ語の担当教諭だ。よろしく頼むよ」

ほむら「ど、ドイツ語!?そんな教科なかった…い、いえ、はい。よろしくおねがいします」

ほむら(無駄な発言するとややこしくなるわよね…ここは抑えて)

シュトロハイム「イギリス野郎の話す英語なんぞよりも、我がゲルマン民族が織り成しドイツ語の方が、よほど学び甲斐があるぞ。精々俺の授業を楽しみに待つがよかろう」

ほむら「は、はぁ…」

ほむら(な、なんなのよこの男は…)

和子「あら、それは英語担当の私に対する宣戦布告ですか、先生?」

シュトロハイム「その時はこのシュトロハイムと、ドイツ軍精鋭部隊が相手になろう」


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放課後

ほむら(なんだか良く分からないイレギュラーがあったけど…そんなのは些細な事よ。そんなこと気にしている暇は私にはないわ)バンッ!バンッ!

キュゥべえ「うぅ…」タッタッタッ

ほむら(とにかくまどかの契約だけを阻止しなくちゃ!) バンッ!バンッ!

キュゥべえ「助けて…!助けてまどか…!」

CDショップ

まどか「えっ?」ピクッ

キュゥべえ『僕を、助けて!』

まどか「誰?誰なの?」ダッ

さやか「えっ?ま、まどかー?ちょっとどこ行くのー?」ダッ


シュトロハイム「むっ?あれは、うちのクラスの鹿目と美樹…あいつら、こんな時間にあんな廃ビルなにを…待たんか馬鹿者が!」

キュゥべえ「助けて…」

まどか「あ、あなたなの?」

ほむら「ッ!まどか…」

まどか「ほむらちゃん!?」

さやか「ま、まどか!なんでこんな所に…って、転校生!?」

ほむら「美樹さやかまで…面倒な。まどか、とにかくそいつから離れて」

まどか「えっ、で、でも、この子、怪我して…」

ほむら「…」チャキ

まどか「じゅ、銃!?だ、ダメだよ!酷いことしないで!」

ほむら「あなたには関係ない事よ」

シュトロハイム「それはどうかな?」ガシッ

ほむら「ッ!?」バッ

シュトロハイム「おぉっと、動かな方がいいぞ暁美。お前が不用意に動けば、この俺の1950kg/㎠の指圧がお前の首を捻りつぶすことになるぅッ!」

ほむら「な、なにを…」

ほむら(い、いつのまに私の背後に…!?この私がまったく気配を感じられないなんて、コイツは何者なの…と、とにかく時間を止めて抜け出して…)

ほむら「ッ!?」

ほむら(う、動けない!?完全に首を掴まれてて、時間を止めても抜け出せない…!)

シュトロハイム「さぁて、では訳を聞かせてもらおうか暁美よ。なぜ貴様が、そんな物騒なモノを持っていたのかを」

ほむら「くっ…」

シュトロハイム「ふぅむ、やはり簡単には口を割らんか…だぁがっ!!我がドイツ」

さやか「せ、先生!!」

シュトロハイム「の医…なんだ良い所で!!」

まどか「ご、ごめんなさい!で、でも、なんか変なんです!どんどんまわりの景色が変わっていって!」

ほむら「結界が…!まどか!逃げて!」

まどか「えっ!?」

シュトロハイム「こ、これは…ッ!?な、なんだあの生き物は…見ているだけで心が不安定になるような…とてもこの世の生き物とは思えんッ!」

さやか「じょ、冗談だよね?私、悪い夢でも見てるんだよね…?」

シュトロハイム「か、囲まれたーーッ!えぇい貴様ら!なにをもたもたしておる!!早く俺の後ろに隠れんかぁーーーッ!!」

まどか・さやか「! は、はい!」

ほむら「な、なにをする気…!止めなさい!コイツ等は一般人のあなたが戦ってどうにかなる相手じゃないわ!だから私を放して…!」

シュトロハイム「ふっ、そうかな?」ガシャッ

シュトロハイム「俺の体はァァァ!我がゲルマン民族の最高知能の結晶であり誇りであるぅ!つまりッ!すべての人間を超えたのだッ!!」バァァァン

ほむら「!?」

ほむら(ど、胴体から銃口がっ!?顔の変なのと言い、コイツは本当に人間なの…?)

シュトロハイム「くらえ!化け物どもッ!一分間に600発の徹甲弾を発射可能!30mmの鉄板を貫通できる重機関砲だ!!一発一発の弾丸が、お前たちの体を削り取るのだ!」

ダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!

ほむら「」

さやか「すげー…流石はいつも世界一世界一言ってるだけのことはあるわぁ…」

まどか「あっ、景色が元に…」

シュトロハイム「こんなものか…ふんっ、戦ってみれば呆気ないものだな。これではカーズはおろか、サンタナの足元にも及ばぬ。これなら我がドイツ軍の精鋭部隊でも楽に勝てたわ」

マミ「魔女の反応はこのあたり…えっ、消えて…あら?」

さやか「ま、また変なのが来た!」

キュゥべえ「マミ!」

マミ「キュゥべえ!それに…しゅ、シュトロハイム先生!?」

シュトロハイム「お前は…確か3年の巴か。そしてその恰好…もしやコイツの仲間か?」

ほむら「私をまるで子犬や子猫の様に扱わないでもらえるかしら…」プラーン

シュトロハイム「まだお前への疑念は晴れておらんのでな」

マミ「い、いえ、その人は自体は知りませんけど…多分、広い意味では仲間…かもしれません」

シュトロハイム「ほぅ…では洗いざらい話してもらおうか。先程の化け物の事と、そして貴様らの正体を」

マミの家

まどか・さやか「魔法少女?」

マミ「えぇ、私は魔法少女…魔女と戦う存在なの」

まどか「えっ…じゃ、じゃあさっきのいっぱいいたのが魔女なんですか?」

ほむら「あれは使い魔に過ぎないわ。本体の魔女に比べたら、赤子も同然よ」

シュトロハイム「なるほど…吸血鬼にとってのゾンビ、柱の男たちにとってのサンタナ程度…と言う事か。そしてお前は魔法少女だったから銃を持っていたという訳か」

ほむら「例えが意味不明…えぇ、そうよ…だからいい加減、私の首を放してくれないかしら」

シュトロハイム「よかろう、と言いたい所だぁが…ではお前は何故、そこの白いのを攻撃していたのだぁ?」

ほむら「…」

キュゥべえ「驚いたね…僕が見えていたのかい?」

シュトロハイム「終始見えておったわ。お前は使い魔ではあるまい?」

キュゥべえ「もちろん違うよ。しかし僕の姿が成人男性に見えるだなんて…君は一体何者だい?」

シュトロハイム「俺は誇り高きドイツ軍人だ。それで、暁美?」

ほむら「…それだけは、言えないわ」

ほむら(今ここで本当のこと言えば、巴マミが発狂しかねない…私が動けない以上、まどかを危険に晒すわけには…!)

ほむら「例え首を捻りつぶされたとしても、言えわないわ」キッ

シュトロハイム「ふぅむ…では自白剤、と言いたいが…まぁ、今はその瞳に免じて勘弁してやろう」

マミ「!?せ、先生!なんで…!」

シュトロハイム「こやつの瞳には、相当の覚悟が秘められている…それこそ、本当に首を捻りつぶされて俺に殺されても良いと思うほどの、だ。俺はコイツの様な、勇気あるものに敬意を表す」パッ

ほむら「…」

マミ「で、でも!」

シュトロハイム「やかましい!これは上官命令だ!それにこの瞳をする奴は悪人ではない。俺はその瞳をした者を1人程知っているが、性格はアレではあったが善人に違いはなかった」

マミ「…分かりました。先生がそういうなら…でも、キュゥべえは…」

キュゥべえ「僕はさほど気にしていなよ。この通り元気だしね」

ほむら「…」

まどか「あー…あっ、ま、マミさん!このケーキ美味しいですね」

さやか「ホントホント!めちゃうまっすよこれ!」

マミ「えっ?あ、ありがとう…それ、私の手作りなのよ」

まどか「えー!これ手作りなんですか!」

さやか「これならお店出せますよマミさん!」

マミ「そ、そうかしら…///」

シュトロハイム「確かに美味いな…だが!我がドイツの製菓は世界一ィィィィ!今度は世界一のドイツ菓子を馳走してやろう」

さやか「何もそこまで張り合わなくても…」

シュトロハイム「では、美樹はいらないのだな」

さやか「い、いやぁ、もらえるなら貰いたいです!」

シュトロハイム「ふん」

キュゥべえ「そろそろ話を戻してもいいかい?僕としては、鹿目まどかと美樹さやかにも、魔法少女になってもらいたいのだけど」

ほむら「っ!」

まどか「わ、私達も…!?」

さやか「魔法少女に…?」

マミ「キュゥべえ、この娘達にも才能が?」

キュゥべえ「僕が見えてる時点でね。僕と契約してくれれば、一つだけ願いを叶えてあげるよ。なんだって構わない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」

さやか「うわぁ…金銀財宝とか、不老不死とか、満漢全席とか?」

まどか「いや、最後のはちょっと…」

シュトロハイム「我がドイツの覇権でもか!?」

キュゥべえ「まどかたちが望めばね。君には無理だよ?」

シュトロハイム「あくまで少女限定と言う事か…」

さやか「でも何でもかぁー…」

まどか「なんの取り柄もない私でも、魔法少女になれるんだ…」

ほむら「ッ!! 私は!あなた達が魔法少女になるのは、絶対に反対よ」ガタッ

まどか「ほ、ほむらちゃん…?」

ほむら「そいつと契約すれば…たった一つの願いの代償に、永遠に魔女と戦い続ける業を背負うことになるの…本来起こらない奇跡を起こせば、それだけの絶望のしわ寄せがくるのよ。だから、しなくてもいい契約なんてするべきでないわ」

シュトロハイム「…」

ほむら「私の言いたいことはそれだけよ…良く考えることね。じゃ」フッ

さやか「き、消えた!?ま、魔法!?転校生の魔法って、瞬間移動かなにかなの!?」

まどか「ほむらちゃん…」

マミ「まぁ、暁美さんのいう事ももっともね。確かに魔法少女になると、色々と制限されちゃうわ。放課後なんかに自由に遊ぶ時間なんてほとんどなくなってしまうし…」

さやか「うえぇ…それはちょっと」

マミ「なんにしても、焦って決めることではないわ」

キュゥべえ「僕としては、早ければ早い方がいいんだけどね」

マミ「ダメよ。女の子を急かす男の子は嫌われるぞ」

シュトロハイム「しかし本当に俺では無理か?」

キュゥべえ「自分の年齢を考え…きゅぷ!しゅ、シュトロハイム!?つ、潰れる!その握力で握りしめられたら、僕の顔がつ、潰れ…ぎゅぷ!」

翌日

マミ「さて、それじゃあ魔法少女体験コース第一弾、張り切って行ってみましょうか」

さやか「はい!あのでも…」

マミ「なぁに?」

さやか「いやぁ…その、な、なんで先生もいるのかなぁって…」

シュトロハイム「生徒の安全を見守るのも教師の役目だ。それとも、この俺の実力が心配か?」

さやか「い、いや、そうい事じゃ…先生が強いのは十分に分かってるんですけど」

マミ「そう言えば、昨日の使い魔は暁美さんじゃなくて先生が倒したそうですね?でも、一般人の先生がどうやって…」

シュトロハイム「我がナチスの科学力は世界一ィィィィ!出来んことはないィィィィッ!」

マミ「は、はぁ…」

さやか「あっ、あたしだってちゃんと、足手まといにならない様にってこれを!」

マミ「金属バット…まあ、そういう覚悟で来てくれるのは助かるわ」

まどか「あ、あの、ごめんなさい…私は何も持ってきてなくて…」

マミ「いえ、謝らなくてもいいよ。私と先生と美樹さんがいれば、鹿目さんが危険な目に合う事はないわ」

キュゥべえ「さぁ、早くしないと魔女がまた逃げてしまうよ」

魔女の結界

マミ「気を付けて。ここが最深部よ…この先に魔女が」

さやか「ま、まどか、あたしから離れちゃダメだよ…」

まどか「う、うん…」

シュトロハイム「ほう…あれが魔女か。確かに今まで見た使い魔とは、大きさも威圧感も不気味さも桁違いだ…しかも、この辺りに漂う異様なバラの香りが、より一層に不気味さを増大させている」

さやか「う…グロい…」

まどか「あ、あんなのと、戦うんですか…?」

マミ「大丈夫。負けるもんですか。先生、2人を頼みますね」

シュトロハイム「なんなら俺が倒してやってもいいがな」

マミ「ここは私に良い所を見せさせてくださいよ。はぁ!」

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