八幡(我、他人を思う)

八幡(俺は過去のトラウマから中学3年生の1年間、ずっと他人のことを気にして生きてきた)

八幡(表情や目線、癖やよくとる行動。親しい友人、最終的には好きな相手までも)

八幡(そうやって何かに追われるように必死に1年を過ごし、俺は総武高校に見事合格を果たした)

八幡(そんな俺にあるひとつの転機が訪れた)

八幡(それは中学を卒業し、新しく始まる高校生活に期待を寄せる春休みのこと)

八幡(朝から妹と他愛のない話をしている時、俺の体を違和感が襲った)

八幡(座っていたはずなのに立っている自分、やけに低い目線)

八幡(目の前にはソファで眠る、俺)

八幡(俺の体が妹の体になっていると自覚したと同時に、俺の意識は元の俺の体へと戻った)

小町｢あれ？今なんか…｣

八幡｢どうかしたか？｣

小町｢ううん、なんでもないよお兄ちゃん｣

八幡(我、他人を思う)

八幡(それ故に、俺は他人になっていた)