八幡「催眠音声?」 (301)
材木座「左様。我が産み出したこの珠玉の一枚!その栄誉ある第一体験者に我が相棒たる貴様を選んだのだ!!」
八幡「お前が……?いらね」
材木座「なにぃぃぃぃ!?」
八幡「だって、お前が作ったってことは、お前が考えて、お前の音声が入ってるんだろ。そんな気持ち悪いもんいらねえよ」
材木座「それは……」チラッ
雪ノ下「……」
八幡「?」
材木座「その点に関してはまったく問題ない!我が作品の完成にどうしても貢献したいという、その声を聞けば薔薇も凍る見目麗しい婦女子が音声を吹き込んだからな!!」
由比ヶ浜「ねえ、ヒッキー、催眠音声って、なに?」
雪ノ下「……こほん」
材木座「ひぃ!と、とにかく、これを寝るときにでも聞いてくれ!さらばだ八幡!!」
八幡「なんだあいつ」
由比ヶ浜「ねえってば」
八幡「ああ、催眠音声ってのは……よく眠れる音声が入ってるんだよ」
由比ヶ浜「へぇー」
由比ヶ浜「あたしもちょっと興味あるかも」
八幡「お前聞くか?」
雪ノ下「由比ヶ浜さん、やめたほうがいいわ。この男の友人が作成したいかがわしいものなんて聞いたら」
雪ノ下「耳が腐り落ちるわよ」
八幡「まあ、正直否定できない」
由比ヶ浜「認めるんだ……」
雪ノ下「友人であるあなたが聞けばいいでしょう。責任を持ってね」
八幡「えー……」
八幡「さて、どうしたもんか」
八幡「……見目麗しい婦女子が入れた」
八幡「見目麗しいかどうかはさておくとして、女が入れた音声なら、よほど変ってこともないか」
八幡「よいしょ」
ちっちっちっち
八幡(……機械音じゃん。どこが催眠音声だよ)
ちっちっちっち
八幡「……」ウツラウツラ
八幡(このまま、終わりか……?)
『――』
八幡(……やっとか……あれ……でも、なんか、聞いたことがある……声のような……)
八幡「……」
―――
――
―
八幡「……ん」
八幡「朝、か」
八幡「結局、ちゃんと聞けなかったな。ほんとにただの睡眠導入効果だったのか……?」
八幡「……」
八幡「でもなんか、今日は目覚めがすっきりしてんな。あんなんでも一応効果あったのか」
八幡「いや、材木座だからな……偶然だろ」
また夜
八幡「……今日も聞くか。まあ、一応な」
ちっちっちっち
八幡「……」
―――
――
―
八幡(やっぱり、これを聞いて寝るとよく眠れるな……)
そのまま一週間が過ぎた
八幡「……」
雪ノ下「比企谷君」
八幡「……え?ああ、なんだよ」
雪ノ下「最近やたらとあなたから視線を感じるのだけれど」
八幡「は?ちょっとぼーっとしてただけだろ。別に見てたわけじゃない」
八幡「そういう自意識過剰な認識やめろよ。俺が後ろを歩いていただけで睨んで逃げていかれたりとか、へこむんだけど」
雪ノ下「あなたはどう見ても不審者なのだから、仕方ないと思うけれど」
雪ノ下「実際あなたが私を見ていることは確認しているから言っているのよ」
由比ヶ浜「てゆーかヒッキー、最近ぼーっとしてること多いよね。寝不足?」
八幡「いや、夜はしっかり寝てる」
材木座「おーい、八幡よ、我が盟友八幡よー!」
八幡「……なんだよ」
由比ヶ浜「また来た……」
雪ノ下「比企谷君。ここは変人奇人の集会場ではないのだと、彼にしっかり伝えておいてほしいのだけど」
八幡「だそうだ。帰れ」
材木座「ひどい!用件もまだなのに!」
八幡「用件?」
材木座「うむ。この間のCDのVOL.2が完成した次第」
八幡「マジか」ガタッ
由比ヶ浜「この間?ああ、催眠なんとか?」
雪ノ下「あんなのまだ聞いていたの?気色が悪い」
八幡「いや、あれはな」
八幡(……なにも効果をひけらかすこともないか)
八幡「まあこんなのでも、一応相手をしないとな」
材木座「こんなの!?あ、そうそう、これを渡すに辺り、VOL.1を回収したいのだが」
八幡「……なんでだよ」
材木座「仕方あるまい。声の主とそういう契約なのだ」
八幡「ち、仕方ない。ほら」
材木座「うむ、では確かに」
八幡「よし」
雪ノ下「……」
材なんとかの台詞適当でもいいよね
夜
八幡「さて、どんなもんかな」
八幡「……VOL.1だけ奇跡の出来だったという可能性もあるが」
八幡「……」
ちっちっちっち
八幡(出だしはやっぱりこの機械音か)
八幡「……」
―――
――
―
八幡「またよく眠れた。が、これ、VOL.1とどこが違うんだ?」
八幡「あとで、ちゃんと起きてるときに聞き直してみるか……いや」
八幡「やめておいたほうがいいな……うん」
八幡「そのほうがいいんだ。たぶん」
雪ノ下「……今日は比企谷君だけ?」
八幡「ああ。由比ヶ浜は用事があるんだと」
雪ノ下「そう」
八幡「……」
八幡(さて、暇を潰すか)
雪ノ下「……」ペラッ
八幡「……」
っち……っち
八幡(……あれ、今の音声)クラッ
ちっ……ちっ……
八幡(やっぱり……あの……)クラクラ
雪ノ下「――」
八幡(ああ、この声って……)ガクッ
「比企谷君」
八幡「……んぁ」
雪ノ下「起きなさい、比企谷君」
八幡「……雪ノ下」
雪ノ下「今日の部活は終わりよ。私は帰るわ。あなたは……そのまま理科準備室にでも泊まるというのなら、寝ててかまわないけれど」
八幡「俺は人体模型かよ……」
八幡「……」
八幡(部活中に眠るとは……いつごろ寝てたんだ俺)
八幡(思い出せない)
八幡(寝不足だったのかもな。早く寝よう)
八幡「……」ゴソゴソ
八幡「あれ。VOL.3になってやがる」
八幡「……」
八幡「俺が寝てる間に材木座が来たのかもな」
ちっちっちっち
八幡「そのまま、いつの間にか俺はこの催眠音声シリーズにはまっていった」
八幡「だが」
八幡「ない……」
八幡「どうして……落としたのか?」
八幡「いや、肌身離さずってわけでもないが、持ち歩いていた」
八幡「誰かが、持っていった……?」
八幡「くそ……」
八幡「明日材木座に問いただすか……」
八幡「……」
―――
――
―
八幡(寝れない……)
八幡「おい、材木座」
材木座「お、おおどうした八幡、貴様のほうから我を訪ねてくるとは……ははぁん、さてはついに我と」
八幡「そんなのはどうでもいい。あのCD、どこにやった」
材木座「ど、どうでも!?くっ……」
八幡「いいから答えろよ」
材木座「ふむ。いや、我は知らんな」
八幡「なくなったんだよあれ。誰かが持っていったとしかありえない」
八幡「あれを俺が持ってるって知ってるのは、お前とあとはまあ雪ノ下たちぐらいだろ」
材木座「知らんものは知らん」
材木座「ああ、そうだ。あと、声の主もお前に貸したのは伝えてあるが」
八幡「……そいつ、どこにいるんだよ」
材木座「悪いが、それは教えられんな」
せーのっ
(^o^)<いらっしゃーい>( ゚-゚ )
ようこそ>( ゚-゚ )
(^o^)<私たちの部屋へ
(^o^)<ゆっくりしていってね>( ゚-゚ )
(^o^)<今日は何して遊ぶ?
え?>( ゚-゚ )
(^o^)<んふふふ えへへ>( ゚-゚ )
えっちなことをしにきたのね>( ゚-゚ )
(^o^)<いいわぁ。た?っぷりかわいがってあげるから
私たちに弄ばれたら、やみつきになっちゃうよ?>( ゚-゚ )
(^o^)<私たちじゃないと、満足できない心と体になっちゃうよ?
いーい?>( ゚-゚ )
(^o^)<いいよね?
(^o^)<それじゃあ、準備をしましょう
これから私たちが>( ゚-゚ )
(^o^)<左右からあなたに話しかけるから
(^o^)<ゆうとおりにしてね>( ゚-゚ )
(^o^)<たとえば
(^o^)<私も、反対側からあなたにお話することがあるの 私がこんな感じで話しかけているとき>( ゚-゚ )
(^o^)<あなたが片方に意識を向けているとき ふたつのことを、いっぺんに聴けないと思ったら>( ゚-゚ )
(^o^)<もう片方は無意識が聞いてくれるから 片方だけの言葉に集中するの>( ゚-゚ )
八幡「なんだと」
材木座「いや、そういう契約なのだ!他言は無用だと!」
八幡「……ちっ」
八幡(くそ、いらいらする……)
八幡(眠い……なのに寝れないってどういうことだよ)
雪ノ下「比企谷君」
八幡「あ、なんだよ」
雪ノ下「あなた、最近ますます様子がおかしいけれど」
由比ヶ浜「うんうん、そうだよヒッキー。どうしたの?なんでも相談してよ」
雪ノ下「あなたがそうした態度をとっていると、あなたがいるだけでこの部室の空気が悪くなるのだから、やめてちょうだい」
八幡「……なんだよ。寝不足なんだよ」イラッ
由比ヶ浜「そ、そうなんだ!大変だね!」
雪ノ下「比企谷君」
八幡「だから」
雪ノ下「とにかく、今はおとなしくしなさい。いいわね?」
八幡「……はい」
由比ヶ浜「へ」
雪ノ下「そう、それでいいわ」
八幡「……」
八幡「あれ、もう部活終わりか」
雪ノ下「あなた、結局最後までぼーっとしていたわね」
由比ヶ浜「今日は早く帰って寝た方がいいよ。じゃあ」
八幡「ああ……」
ゆきのんにするつもりだったんだけど……
八幡(そういっても、今日も眠れるかどうか……)
八幡(どうすれば)
「比企谷君」
八幡「ゆ、雪ノ下!?脅かすなよ」
雪ノ下「眠りたいのなら、ついてきなさい」
八幡「は?」
雪ノ下「――」
八幡「……その声」
雪ノ下「寝たいんでしょう?」
八幡「……わかった」
雪ノ下「そうやって、大人しくついてきなさい。そう、いいこね」
八幡「……」フラフラ
八幡(ああ、この声、逆らえない……)
雪ノ下「まるで夢遊病みたいね。あなたのそんな無防備な姿、見られるとは思わなかった」
雪ノ下「私以外にはこれは見せてはダメ、いえ、見ることなんてそもそもできないでしょうけれど」フフフ
八幡「……」フラフラ
雪ノ下「さあ、ついたわ。入って」
八幡「はい……」
雪ノ下「先に夕飯を済ませましょう」
雪ノ下「でもその前に、小町さんに今日は遅くなると連絡しなさい」
八幡「……」
雪ノ下「しなさい。いいわね」
八幡「はい……」
雪ノ下「やっぱり、先にCDを聞かせておいて良かったわ」
雪ノ下「命令もスムーズだし」
雪ノ下「比企谷君できたわよ」
八幡「……」カチャッ
雪ノ下「待ちなさい」
八幡「なんだよ……」
雪ノ下「目を瞑って」
八幡「?」
雪ノ下「それでいいわ」スッ
八幡(雪ノ下の手が……まぶたの上に)
雪ノ下「私が食べさせてあげたものは、どんなものでも、最高の味に感じる……」グルグル
雪ノ下「復唱しなさい」
八幡「はい……」
展開は好きにしていいからちゃんと最後まで書いてね
雪ノ下「はい」
八幡「……」パクッ
八幡「……うまい。こんなうまいの、初めてだ」
雪ノ下「あら、お世辞でも嬉しいわ」
八幡「お世辞じゃない……でも、こんなの……信じられん」
八幡「小町のより、うまいなんて」
雪ノ下「また食べたい?」
八幡「ああ」
雪ノ下「また、食べさせてあげるわ。私にしたがえば。はい」アーン
八幡「……」パクッ
催眠術じゃなくても雪乃なら普通に小町より美味いもの作れそうだが
>>67
おふくろの味的なもの込みでってことで
>>69
そんな深い意味もないので先を続けてくださいな
雪ノ下「食事も終わったし、じゃあそろそろ、本題に入りましょうか」
雪ノ下「私の膝の上に頭を置いて寝転がって」ポンポン
八幡「……」
雪ノ下「寝転がりなさい。寝たいのでしょう?」
八幡「……」ゴロンッ
雪ノ下「……目を瞑って」
八幡「……」
八幡(また、まぶたの上に手が……)
雪ノ下「あと」スルッ
八幡(え、なんだこれ……鼻の上に)
雪ノ下「今日からあなたは、この臭いを嗅げば安眠できるわ……」グルグル
八幡「……」スーハースーハー
八幡「……これって」
雪ノ下「そう。靴下よ」
雪ノ下「今日一日履いたのよ。どうぞ持っていって」
八幡「こんなので……」
雪ノ下「ええ。あなたはそういう変態になったの」
八幡「お前……」
雪ノ下「これはあなたが望んだことよ」
八幡「……そんなことは」
雪ノ下「あのCDを聞き続けたということは、そういうことよ」
雪ノ下「嫌なら、このままなにも持たずに帰ってもらってもかまわないのだけど」
八幡「……」
八幡「くそっ……くそっ……」スーハースーハー
八幡「…………」
翌日
雪ノ下「今日も寝たいのなら、ついてきなさい」
八幡「わかった……」
雪ノ下「いえ、むしろ、これからは毎日私に付き合わなければならないでしょうけど」
八幡「……」
雪ノ下「そう機嫌の悪そうな態度をしないでほしいのだけど」
雪ノ下「確かに、あなたは私の靴下を嗅がなければ眠れない変態になったけれど」
雪ノ下「おかげで、起きたあとはいつも以上にすっきりとしているでしょう?」
八幡「元に戻ったほうがマシだ……」
雪ノ下「……なら、自力で戻ることね。私はこのまま帰るから、ついてこないで」
八幡「え」
雪ノ下「それじゃあ」
八幡「そんな……」
翌日
八幡「雪ノ下……」
雪ノ下「なにかしら。そんなこの世の終わりみたいな顔で来ないで欲しいのだけど」
八幡「雪ノ下頼む……」
雪ノ下「なんのことかしら」
由比ヶ浜「ヒッキー……?大丈夫?元気ないの?」
八幡「い、いや、なんでもない……なんでもないんだ」
雪ノ下「……」
由比ヶ浜「また眠れないの?保健室行く?」
八幡「大丈夫だ……」
由比ヶ浜「でも、顔真っ青だよ」
八幡「頼むから、放っておいてくれ」
由比ヶ浜「ヒッキー……」
雪ノ下「今日は終わりにしましょう」
八幡「……」ガタッ
由比ヶ浜「ヒッキー、送ってくよ」
八幡「いい。一人にしてくれ」
由比ヶ浜「でも」
八幡「一人に、してくれ」
由比ヶ浜「……う、うん。わかった。でも、なにかあったら連絡してね」
ピンポーン
雪ノ下「待ってたわ。遅かったわね。上がってきて」
八幡「……ああ」
八幡「雪ノ下……頼む」
雪ノ下「それが、女子高生から靴下をもらおうという態度なのかしら」
雪ノ下「言い方があるでしょう?」
八幡「……」
八幡「お、お願いします?靴下を、ください」
雪ノ下「そこのタンスから好きにもっていけばいいわ」
八幡「それ、じゃあ……匂いが」
雪ノ下「もしかして、今履いているのが欲しいのかしら、救いがたい変態ね」
八幡「っ!お」
八幡「……」プルプル
八幡「お、ねがいします……その、履いている靴下を、貸してください……」
……タンスはねえな。ゆきのんにタンスはない
ゆきのんって制服の時はニーソであざといよね
雪ノ下「土下座をしなさい」
八幡「……」
八幡「おねがいします……」スッ
八幡「これで、よろしいでしょうか」
雪ノ下「その目付きが気に入らないのだけれど……いいわ。はい、自分で脱がして」スッ
八幡「あ、ありg」
八幡「お前、見えて」
雪ノ下「なんのことかしら?」
八幡「なにって……」
雪ノ下「……ああ。もしかして、下着のことかしら」
雪ノ下「最低ね。靴下だけではなく、下着まで覗くなんて」
八幡「それは……くっ」
雪ノ下「罰が必要ね……そうね、靴下を脱がせた足を、舐めて」
八幡「な、なめる?」
雪ノ下「ええ。早くして」
八幡「それって、ばつ、なのか」
雪ノ下「あなた……まさかそれがごほうびだなんて、屑のような変態なのかしら?」
八幡「……違います」
雪ノ下「なら、足をなめさせられるなんて、嫌でしょう?だからこれは罰よ。舐めなさい」
八幡「……はい」
八幡(やばい……)
八幡(こんな特殊すぎる状況なのに俺……勃起してる)
八幡「お前、見えて」
八幡「あ、ありg」
に一瞬見えた
離席します
いつ頃戻れるのかしら
八幡「ペロペロ」
雪ノ下「ん……やっ……あっ」
八幡(変な声、出さないでくれよ……理性が……)
雪ノ下「ひぅ……もぅ、そんな……」
八幡「ペロペロ」チラッ
八幡(さっきまで、俺に命令してた雪ノ下が、身悶えて……)
八幡「ペロペロ」ハァハァ
雪ノ下「ひ、比企谷君、もういいわ」
八幡「あ、ああ……」
八幡「……」
雪ノ下「その顔。もっと、舐めなたかったのかしら」
飯とか食ってきます
女
雪ノ下「それとも、もっと、別のところが舐めたい?」
八幡「別のって」チラッ
雪ノ下「……」
八幡「……」
雪ノ下「ふふ、ダメよ。忘れているのかもしれないけれど、今のは罰なのだから」
雪ノ下「あなたから舐めたいだなんて、そんなのダメに決まっているでしょう」
雪ノ下「あなたと私は、別になんでもないんだから」
八幡(寝るのに自分の靴下嗅がなきゃいけないようにしておいて、なんでもないもないだろ……)
雪ノ下「さ、もう用は済んだでしょう。帰って」
八幡「……わかった」
雪ノ下「夕御飯が食べたいのなら、また食べさせてあげてもいいけれど」
八幡「いい。家で小町が用意してる」
雪ノ下「そう。残念ね」
八幡「ただいま」
小町「おかえりー。遅かったね、お兄ちゃん。今日もいらないのかと思っちゃった」
八幡「腹へったわ。すぐ頼む」
小町「はいはーい。まーかせて」
小町「いただきまーす」
八幡「……」モグモグ
八幡「……」フゥ
小町「お兄ちゃん……もしかして、まずかった?」
八幡「いや、そんなことない」
小町「じゃあもう、ご飯時にため息とかやめてよー。気になるからさ」
八幡「ああ、わり」
>>141
ええそうです。スマホの電源が一回落ちたのでIDが変わりました。
八幡(今日はとっとと寝よ……さすがに疲れた。昨日も寝れてないし……)
八幡(……寝るためには、これを嗅がないといけないのか)
八幡(どうすればいいんだ、この状況……)
八幡(雪ノ下のやつ、狂ったのか?)
八幡(……だとしても、俺にはどうすることもできない。誰かに言うか?)
八幡(いや、でも……言って、それで雪ノ下の靴下をもらえなくなったら……)
翌朝
八幡(下駄箱に、手紙……?え、悪戯?)
八幡(どうせ、呼び出された場所に行っても、誰もいないんだろ)
八幡(……雪ノ下から?昼、来い、だと?)
昼
八幡「来たぞ」
雪ノ下「いらっしゃい。待ってたわよ」
八幡「なんの用だ」
雪ノ下「お昼御飯を、食べさせてあげようと思ったのだけれど」
八幡「いらねえよ。一人で食える」
雪ノ下「じゃあ、これが今日の靴下をあげる条件にするわ」
雪ノ下「黙って、私が差し出すお昼御飯を食べなさい」
八幡「……わかった」
雪ノ下「はい、口を開けて」
八幡「……」アーン
八幡「……」モグモグ
雪ノ下「そんな顔をして、まずかったかしら?正直に答えなさい」
八幡「……うまい」
雪ノ下「そう。良かった……はい」
八幡「……」アーン
雪ノ下「どのくらいおいしいのかしら。正直に答えて」
八幡「……今まで食った飯の中で一番だよ」
雪ノ下「そう。そうなの……じゃあ」
雪ノ下「私が食べさせていない、他の誰かや、自分が作った料理を食べたって、ゴムでも食べてるみたいに、もう味気ないんじゃないかしら」
八幡「そこまで……」ハッ
八幡「お前……」
雪ノ下「どうしたのかしら?何か思い付いたのなら、試してみればいいでしょう。お弁当、用意してあるのよね?」
小町の作ったご飯が……うわああああ
八幡「まさか……」ガサゴソ
八幡「……」
八幡「パクッ……うっ」
八幡「おえっ……うっ」
雪ノ下「比企谷君、吐くならトイレにして欲しいのだけど」
雪ノ下「ちゃんと自分で後片付けをしてちょうだい」
八幡「お前、お前!」
雪ノ下「なにかしら。私はただ、そうなんじゃないかしら?と聞いただけでしょう」
雪ノ下「そうだと判断したのは、あなた自身。私のせいではないわ」
八幡「何が、したいんだよ……お前は」
八幡「こんなことをして、何が楽しいんだよ……」
雪ノ下「……あなたが欲しいの。あなたの全てが」
雪ノ下「だから、私がいないとダメにしてあげるわ」
八幡「なんだよ、それは……」
八幡「もういい」
雪ノ下「もういい?」
八幡「靴下はいらん。飯も一人で食う」
雪ノ下「それでいいの?」
八幡「ああ」
雪ノ下「そう。でもどうせ、あなたはすぐに泣きついてくる」
八幡「それはどうかね」
八幡「……」モグモグ
八幡(やっぱり味が……くそ)
八幡(だが、あんなこと……)
八幡「……」
雪ノ下「……」
由比ヶ浜「えーっと、な、なんか、空気重くない?」
雪ノ下「そうかしら」
八幡「いつもこんなもんだろ」
由比ヶ浜「そうかなー」
雪ノ下「そうよ。この男がいる限り、ここの空気が軽くなることなんて、ありえないのだから」
八幡「……重いのはお前だろ」
由比ヶ浜「え?」
雪ノ下「女性に重いだなんて、比企谷君って、本当に残念なのね」
由比ヶ浜「そ、そうだよヒッキー!それにゆきのんは十分軽そうだし!!」
八幡「なるほど」ジー
雪ノ下「どこを見て言っているのかしら、あなたは」
…実際の催眠音声もこんな効果大きいの?誰か知ってる人いないの?
>>181
俺は聞いたことないですが、はまる人はやめられなくなるとは聞きます
由比ヶ浜「も、もうヒッキーのエッチ!」プンプン
雪ノ下「……」
雪ノ下「比企谷君」
八幡「なんだよ」
雪ノ下「――」ボソボソ
八幡「……」ビクッ
雪ノ下「あんなもの、ただの肉の塊よ」ボソボソ
雪ノ下「大きな胸?あんなものを見ていても、あなたは気持ちが悪くなるだけよ」ボソボソ
八幡「あ、ああ……」
由比ヶ浜「あれ、どうしたの、ゆきのん、ヒッキー」プルンッ
八幡「!」プイッ
由比ヶ浜「ヒッキー?」
八幡「な、なんでもない」
由比ヶ浜「?」
八幡「……」
雪ノ下「……」ニヤッ
雪ノ下「今日はここまでにしましょう」
由比ヶ浜「そうだね、あ、そうだヒッキー」
八幡「……なんだよ」
由比ヶ浜「むー、また目逸らして、なんなの?」
八幡「なんでもない」
由比ヶ浜「ほんとにぃ?でも……体調良くなったんだね。良かった……」
八幡「由比ヶ浜……」
由比ヶ浜「あ、そ、それだけ、じゃあね!」
雪ノ下「じゃあ、私も帰るけれど」
八幡「あっそ」
雪ノ下「本当にいいのね」
八幡「……」スタスタスタ
小町「お兄ちゃん、今日は自信作だよ!!」
八幡「ほぉ、じゃあ、厳しめに評価するかな」
小町「そこは身内審査であまあまでお願いしますよぉ」
八幡「はいはい……」パクッ
八幡「……」
小町「ねえねえ、どうどう?」
八幡「あ、ああ。うまい、うまい」パクパク
小町「……?」
八幡「……」
八幡(天井のしみでも数えてみるか……)
二日後
八幡「……」ゲッソリ
由比ヶ浜「ヒッキー、大丈夫?また体調悪いの?」
八幡「なんでも、ない」
由比ヶ浜「……嘘だよ。あたし、心配で小町ちゃんにも聞いたんだよ?」
由比ヶ浜「ヒッキー、食欲もないみたいだって言ってたし!」
由比ヶ浜「絶対おかしいよ!病院行こ!?」
八幡(病院……果たして、病院でこれが治るのか……?)
由比ヶ浜「ヒッキー!」ズイッ
八幡「うっ、やめろ、寄らないでくれ」ウエッ
由比ヶ浜「あ、ご、ごめんね。体調悪いのに……」
雪ノ下「由比ヶ浜さん」
由比ヶ浜「あ、ゆきのん!ゆきのんも何とか言ってよ!このままじゃヒッキーが!」
雪ノ下「そうね。比企谷君、本当に、大丈夫なの?」
八幡「……大丈夫だ。だから、構わないでくれ」
雪ノ下「そう」
由比ヶ浜「ゆきのん!」
雪ノ下「本人がこう強く主張しているのだから、私たちの出る幕ではないということよ」
由比ヶ浜「でも……」
八幡「いいから」
由比ヶ浜「小町ちゃん!ヒッキーは!?」
小町「結衣さん、雪乃さん……今は、その病室で点滴を……軽い栄養失調と寝不足からの貧血だろうって」
雪ノ下「大丈夫なの?」
小町「それが……お兄ちゃん、倒れてからもずっとうなされてるんです……それで、すぐ起きちゃうみたいだし」
小町「最近は、小町の料理も、おいしくないみたいで……どうしたら」
由比ヶ浜「ど、どっか、悪いとことか」
小町「精密検査も一応してもらったんですけど、体に異常はないから、心の問題だろうって……」
小町「お兄ちゃん……」
雪ノ下「……比企谷君は、その病室にいるのね」
小町「あ、はい」
雪ノ下「失礼するわ」
八幡「……うう」
雪ノ下「比企谷君……」
八幡「ん……あっ……」スー
小町「あ、あれ、お兄ちゃん、急に寝顔が」
由比ヶ浜「良かったぁ、寝付けたのかな」
雪ノ下「そうみたいね」
雪ノ下「点滴が終わったら、退院して大丈夫なのかしら」
小町「あ、はい」
雪ノ下「そう。じゃあ待っていてもいいかしら」
小町「はい、是非!」
由比ヶ浜「ヒッキー……」
八幡「ん……ここは」
八幡「知らない天井だ……」
雪ノ下「そりゃあ病院だもの。当然ね」
八幡「雪ノ下……!」
由比ヶ浜「ヒッキー、目が覚めたんだ、良かったぁ!」
小町「お兄ちゃん!」
八幡「お前ら、どうしたんだ」
小町「お兄ちゃん、うちで倒れて救急車で運ばれたんだよ!」
八幡「倒れた……ああ、そういえば、そんなような……」
雪ノ下「とりあえず、はい」
八幡「……これは」
雪ノ下「お見舞いに持ってきたりんごよ。剥いたから、食べて」
八幡「……自分で」
雪ノ下「食べてと言っているのだけれど」
由比ヶ浜「ゆきのん!?それって」
八幡「……わかった」アーン
小町「きゃー!」
八幡「……」シャリシャリ
八幡「……」ホロッ
小町「ちょ、お兄ちゃん、なに泣いてんの!?感動!?」
八幡「くそ……くそ……うめぇ」
雪ノ下「はい」
八幡「……」アーンモグモグ
由比ヶ浜「ヒッキー……」
小町「あ、そうだ、お父さんたちに連絡してきます」
由比ヶ浜「……あ、あたしもちょっと連絡してくるね」
由比ヶ浜「……」
雪ノ下「……自分でいいと言っておきながら、この様なのかしら」
八幡「そうだ……この様だ」
雪ノ下「それで、本当に、これで良かったのかしら」
八幡「……いや、頼みがある」
雪ノ下「なにかしら」
八幡「俺に、飯を食わせて……食べさせてください」
八幡「あと、眠るのに、靴下も、ください」
雪ノ下「……いいわよ」
雪ノ下「じゃあその旨は、ちゃんと自分で説明しなさい」
雪ノ下「睡眠はいいとして、食事を私ととることを」
雪ノ下(睡眠は、まだいいとしてね……ふふ)
小町「え」
八幡「……」
小町「えっと、あの、雪乃さんは、それで?」
雪ノ下「私は構わないわ。比企谷君に、どうしてもと頼まれたことでもあるし」
八幡「……」
小町「そっか……あはは、そうだね。小町のごはんで、こうなっちゃったんだもんね」
八幡「いや、そういうわけじゃない」
八幡「ただ、雪ノ下が用意してくれたものは、なぜか、おいしく食えるというだけでだな」
小町「気にしないで、お兄ちゃん。お兄ちゃんが元気になれるなら、それで小町は十分だから……」
つーか材木座どこいった
雪ノ下「それじゃあ、比企谷君にはこのあと、私の部屋に来てもらって、ご飯を食べさせてからお返しするわ」
小町「あ、はい。お願いします」
由比ヶ浜「……」
雪ノ下「由比ヶ浜さん。それじゃあ」
由比ヶ浜「あ、うん。ゆきのん……ヒッキーのこと、お願いね」
雪ノ下「ええ」
由比ヶ浜「ヒッキー、早く元気になってね」
八幡「……ああ」
雪ノ下「おいしかったかしら」ナデナデ
八幡「ああ……」
雪ノ下「膝枕は、どうかしら?」ナデナデ
八幡「いい気分だ……よく寝れそうだよ……」
雪ノ下「……二人のことは、気に病むことはないわ。仕方のないことなのだから。あなたにはどうしようもないのだし」
八幡「お前が言うかよ……」
>>215
彼の役目は終わりました
雪ノ下「……」ナデナデ
八幡「……」スースー
雪ノ下「よく寝てる……」
雪ノ下「――」
八幡「……」
雪ノ下「あなたは、私の、雪ノ下雪乃の匂いを嗅がないと、安眠できないけれど」
雪ノ下「その欲求は、どんどん強くなる」
雪ノ下「残り香程度じゃ、次第に我慢できなくなる」
雪ノ下「もっと強い匂いを、求めるようになる」
八幡「……」
雪ノ下「いいかしら、あなたは――」
八幡「ただいま」
小町「あ、おかえりー」
八幡「小町、悪かったな……俺は」
小町「あはは、気にしてないって。ほらお兄ちゃん。今日は早く寝たほうがいいよ」
小町「なんなら、小町が添い寝してあげよっか!?小町的にポイント高いけどね」
八幡「大丈夫だ」
八幡(一緒に寝たら、靴下のことがばれるだろ……)
八幡「……」スーハースーハー
八幡(ああ、よく眠れそうだ……)
八幡「……」
まだです
膝枕だけ
数日後
八幡「なんで……」
八幡「靴下はちゃんと用意してるのに……」
八幡「匂いが薄いのか……?」クンクン
八幡「くそ、嗅ぐのになれたせいで、もう匂いがよくわからん」
八幡「どうすれば……」
八幡「……そうだ。前に雪ノ下の足なめた時……匂いも強く感じた」
八幡「口と鼻は繋がってる……じゃあ」
八幡「いや、待て。俺はいま、なんてことを考えて……」
八幡「でも、このままじゃ……」
八幡「……」
八幡「窒息しないように、少しだけくわえて……」
八幡「……」
雪ノ下「はい」
八幡「……」アーン
八幡(なんとか、昨日は寝れたが……どうする。またいずれ、それも効果が薄れていく可能性は高い)
雪ノ下「はい」
八幡「……」アーン
八幡(靴下以上に、匂いが強いものを借りるか……いや、さすがにそれは……)
雪ノ下「……比企谷君」
八幡「ん?ああ、すまん」アーン
雪ノ下「そうではないのだけど……でも、あなた、大分食べさせてもらうのになれたみたいね」クスッ
八幡「……で、なんだよ」
雪ノ下「せっかく私が手ずから食べさせてあげているのに、心ここにあらずという態度はどうなのかしら」
雪ノ下「悩みごとがあるのなら、話しなさい」
八幡「そういうわけじゃ……」
雪ノ下「この間もそういって、あなたは倒れて救急車を呼ぶはめになったんじゃなかったかしら」
八幡「……」
八幡「実は……」
雪ノ下「それなら、解決は用意ね」
八幡「簡単に言うけど、どうしようってんだ」
八幡「靴下でもう効果ないんだぞ」
雪ノ下「私と一緒に寝起きすればいいでしょう」
八幡「なん……だと……」
素直な人であればあるほど催眠にかかりやすいよ
>>247
八幡効かないんじゃ……
雪ノ下「あなたが熟睡するのに、必要なのは私の匂いだもの」
雪ノ下「匂いの元である私と寝ればいい。簡単な理屈だと思うけれど」
八幡「ここで寝起きするなんて、無理に決まってるだろ」
雪ノ下「そうかしら。だいたい、今はもう朝夜の食事はここで摂っているのだから、そんなに変わらないと思うのだけど」
八幡「変わるわ。親になんて言えばいいんだよ」
雪ノ下「そうね……ではこの際、婚約でもしましょうか」
八幡「は?」
雪ノ下「あなたはもう、一生私と一緒に暮らすしかない運命なのだから、当然の成り行きでしょう」
雪ノ下「あなたは私と婚約して、ここで一緒に暮らせばいい。ほら、問題は解決したわ」
八幡「お前、頭おかしい……」
雪ノ下「誉め言葉として受け取っておくわ」
八幡「そんなことより、とっととこの催眠だか洗脳だかを解けばいいだろ」
雪ノ下「嫌。それに、解けるかどうか分からないもの」
八幡「は?」
雪ノ下「催眠術なんて、別に習ったわけでもないし、本で読んで独学でやったことなの。解除の方法なんてよくわからないわ」
八幡「……」ポカーン
八幡「じゃあ、俺は一生……?」
雪ノ下「そのままかもしれないわね」
八幡「俺の人生……終わった」
雪ノ下「いいえ、これから始まるのよ」
雪ノ下「例えあなたが一生そのままでも、私が全部責任を取るわ」
雪ノ下「だから、私のものになって」
八幡「……はは、もういいわ、それで」
先にゆきのんが死んじゃったらどうなっちゃうのん?
>>277
頭のいいゆきのんがきっとどうにかしてくれるよ
二人の娘の世話ならオッケーにするとか
雪ノ下「認めたわね」
八幡「ああ……」
雪ノ下「やった、やったのね……ついに、あなたは私のものになった」
八幡「……ひとつ言いたいが」
八幡「こんなんで俺をものにして満足か、雪ノ下」
雪ノ下「そうね。そんな減らず口を叩ける間は、まだ不満があるかしら」
雪ノ下「でもいずれ、あなたの心も私が染め上げてあげる」
八幡「あっそ。これじゃあ何を言っても無駄だな」
雪ノ下「ええ、無駄口よ。そんなことよりも、せっかく婚約するのだから、証が欲しいのだけど」
八幡「俺に婚約指輪でも用意しろというのか。あいにくそんな金」
雪ノ下「別に、ものなんていらないわ」
雪ノ下「比企谷君……いいえ、八幡。キスをして」
八幡「……」
雪ノ下「……そう」
雪ノ下「――」
雪ノ下「あなたは、私が求めてきたことは、拒むことはできない」
雪ノ下「わかったわね」
八幡「……はい」
雪ノ下「じゃあ、改めて。お願い、八幡……」
とりあえず終わり
同棲編書こう
明日以降
おやすみ
おっと一応
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