由比ヶ浜「できた……ついに完成した……」 (121)
由比ヶ浜「テスト勉強も全部サボって作ったんだよね……これ」
由比ヶ浜「さっそく試さないと」
授業中
平塚「となるわけだ……じゃあ比企谷、これ答えてみろ」
八幡「あー……その主人公の気持ちですか……それは……うーん……」
ポチッ
八幡「たぶんその主人公は結衣、好きだ!……と思ってたと思い……あれ」
平塚「……比企谷?誰もお前の想い人を暴露しろとは言ってないんだが」
八幡「いや…これは……結衣、好きだ!」
平塚「それは分かった。だが今は授業中だぞ……そんな話はあとに」
八幡「いや…口が勝手に結衣、好きだ!と言い初め結衣、好きだ!」
由比ヶ浜「あ、あたし天才かも」
八幡「……何なんだよ……これ」
戸塚「八幡、どうしちゃったの?」
八幡「ああ戸塚……実は口が勝手に……」
戸塚「またまたそんな冗談言って……八幡って由比ヶ浜さんのこと好きなんでしょ?」
八幡「いや別に……嫌いじゃないがその…」
戸塚「でもクラスのみんなの前で告白なんて……すごいね八幡」
八幡「……違う、違うんだ」
由比ヶ浜(名づけて……押すとヒッキーが結衣、好きだ!と言ってしまうスイッチ)
由比ヶ浜(気まぐれで作ったけど……本当に完成するなんて……あたし天才……)
由比ヶ浜「ねぇヒッキー、さっきのことだけど」
八幡「あ、あれは……」
ポチッ
八幡「結衣、好きだ!」
由比ヶ浜「そ、そうなんだ……嬉しいな」
由比ヶ浜「あたしもヒッキーのこと大好きだよ」
八幡(違うなんて言える空気じゃない……つかなぜ口が勝手に)
八幡「…………」
ポチッ
八幡「結衣、好きだ!」
由比ヶ浜「うんうん、それでそれで」
八幡「…………」
ポチッ
八幡「結衣、好きだ!」
由比ヶ浜(……これやばい……最高……もう死んでもいいかも)
八幡「……一体何が」
由比ヶ浜「じゃあ明日はデートね」
八幡「明日は予備こ……結衣、好きだ!」
由比ヶ浜「うんうん、それほどデートしたいんだよね」
八幡「そんなわけ……結衣、好きだ!」
由比ヶ浜「ヒッキーって本当にあたしのこと好きなんだね」
八幡「嫌いじゃないが……別に…結衣、好きだ!」
平塚「いつまで夫婦漫才をやっているつもりだ」
由比ヶ浜「あ……ご、ごめんなさい」
八幡「……収まった」
平塚「あと由比ヶ浜、お前提出用のノートが出てないぞ、どうした?」
由比ヶ浜「あ!えーと……ありました!これです」
平塚「よし……確かに受け取った」
平塚「……いちゃつくのもほどほどにしておけよ」
由比ヶ浜「はい……」
八幡「……お前提出してなかったのかよ」
由比ヶ浜「つい忘れちゃってて……あれ?」
八幡「どうした?」
由比ヶ浜(……授業中に書いてた設計図がない……何処だろ)
由比ヶ浜(まあもう必要ないし……いっか)
部室
雪ノ下「由比ヶ浜さん……と比企谷くん」
由比ヶ浜「やっはろー」
八幡「うっす」
由比ヶ浜「……ゆきのんどしたの?難しい顔して……」
雪ノ下「少し質問したいのだけれど……」
雪ノ下「……昼間の騒ぎ……本当なの?」
八幡「んなわけねー……結衣、好きだ!」
由比ヶ浜「うん……ほんとだよ」
八幡「結衣、好きだ!結衣、好きだ!結衣、好きだ!」
八幡(しゃ、喋れない……なんだこれ……)
由比ヶ浜「ヒッキーあたしが好きみたい……」
雪ノ下「そう……分かったわ」
雪ノ下「比企谷くんは由比ヶ浜さんが好きなのね」
八幡「結衣、好きだ!」
雪ノ下「……仕方がない……わね」
ポチッ
八幡「!?」ギュッ スリスリ
雪ノ下「……比企谷くん、何故突然抱きついてくるのかしら」
八幡「いやこれは違」
由比ヶ浜「……え?」
雪ノ下「由比ヶ浜さん、彼は本当は私が好きみたいなのだけれど」
ポチッ
八幡「結衣、好きだ!」
由比ヶ浜「あ、あたしのことが好きなの!」
ポチッ
八幡「!?」ギュッ スーリスリ
雪ノ下「なら何故抱きついてくるのかしらね」
昨晩
陽乃「雪乃ちゃん、いいものあげるよ」
雪ノ下「何かしら……ろくでもないものなら別に」
陽乃「違う違う、これはね」
陽乃「何を隠そう、我が雪ノ下エレクトロニクスと雪ノ下重工業が莫大な予算を注ぎ込み開発した」
陽乃「特定の行動を指定した人間に強要できるスイッチだよ、すごいでしょ」
雪ノ下「こんなもの何に使えと……」
陽乃「押したら比企谷くんが抱きついてくるようにセットしてあるから」
陽乃「どう?使う気になった?」
雪ノ下「い、いちおうもらっておくわ」
由比ヶ浜「なんで!なんでゆきのんに抱きつくの!ヒッキー!」ポチポチポチポチ
八幡「だから別に…結衣、好きだ!」ギュッ スリスリ
雪ノ下「もっと強く抱きしめて……ほら」ポチポチポチポチ
二時間後
八幡(頭がおかしくなってきた……体と口が……)
八幡(あ、息が……口が乾いて……腕もしびれて……あぁ…もう)
八幡「ゆいゆいゆいゆいゆいゆいゆいゆいゆいゆい」
八幡「ゆいゆいゆいゆいゆ」ブチッ
八幡「あうっ」
バタッ
雪ノ下「どうやら……お互い手の内は似ているみたいね」
由比ヶ浜「ゆきのん……そのスイッチ……まさか」
雪ノ下「由比ヶ浜さんこそ……どうやってそんなものを手に入れたかわからないけれど」
由比ヶ浜「これは……」
由比ヶ浜(あたしが作ったとか信じてもらえないよね……絶対)
雪ノ下「企業秘密…といったところかしら」
雪ノ下「……いいわ、勝負は次の機会に」
雪ノ下「どちらが比企谷くんにふさわしいか……決めることにしましょう」
由比ヶ浜「よく分からないけど……ま、負けない!ゆきのんには!ヒッキーはあたしがもらう!」
雪ノ下「そう…まあとりあえず今日は帰りましょうか」
由比ヶ浜「あ、うん。あと帰りにミスド寄ろうね」
家
八幡「ひ、ひどい目にあった……」
八幡「何が何やら……わけが分からん」
小町「どしたのお兄ちゃん、随分くたびれた顔してるけど」
八幡「いや…実はな……こういうことがあって」
小町「へぇ……不思議なこともあるもんだねー」
小町(お兄ちゃんの話から推測するに……雪乃さんの方は以前から噂されていた雪ノ下グループの超極秘プロジェクトの試作品……)
小町(開発が難航してると聞いてたけど……まさか完成させてるとは)
小町(雪ノ下グループ恐るべし……なら結衣さんの方は?)
小町(裏に大きなバックが?……まさか独自開発……そんな馬鹿な……)
八幡「どした小町?難しい顔して」
小町「うんうんなんでもないよー夕飯のメニュー考えてただけだから」
陽乃「どうだった?比企谷くんと付き合うことになったかな?」
雪ノ下「……姉さん……あれでは性能不足だわ」
陽乃「……あれ?」
雪ノ下「最低でも自由に命令できないと」
雪ノ下「できれば発声もコントロールしたいわね」
陽乃「そりゃ自由に命令する方はリミッターを外せば何とかなるけど……」
陽乃「発声の完璧なコントロールなんて……今の技術じゃ無理かな」
雪ノ下「でも由比ヶ浜さんは……」
陽乃「……あっ!?」
雪ノ下「どうしたの姉さん?」
陽乃「……開発資料、飲み屋に忘れてきたかも……コピーだから無くしてもいいんだけどさ」
雪ノ下「まあほとんどの人間には理解できないでしょうから……後でゆっすり探せばいいわ」
由比ヶ浜「おかしいなー何処がいけないんだろ」
由比ヶ浜「改良したから押せば自由に喋らせることは出来るようになったんだけどなぁ」
由比ヶ浜「体の動きが……うまくいかない……うーん」
由比ヶ浜「よく分かんないけどホームセンターの材料じゃこれが限界かな」
由比ヶ浜「レアメタルっぽいのがあればいけるかも……よく分かんないけど」
由比ヶ浜「海に行けば取れるのかな?」
由比ヶ浜「潮干狩りに行ってくるねー」
母「……はぁ?ちょっ、ちょっと!!」
朝
由比ヶ浜「やっはろー!」ポチッ
八幡「おはよう結衣」
八幡「今日も可愛いな、愛してるぞ」
八幡(え……何言ってんの俺?……頭おかしい?)
八幡「結衣……心から愛してる」
由比ヶ浜「あたしもだよヒッキー」
八幡(逃げるしかない……体はまだ……動く!)
タッタッタッ
由比ヶ浜「あっ、逃げた」
八幡「……なんとか逃げ切った」
雪ノ下「比企谷くん、おはよう」
八幡「雪ノ下か…おはよう」
チュッ
八幡「!?なぜこんな」
雪ノ下「朝からキスとは……大胆ね」
八幡「俺はそんなつもり」
雪ノ下「いいのよ、ほら」ポチッ
八幡「うおっ」モミモミ
雪ノ下「ほんとに……変態ね比企谷くんは」
八幡「だから体が勝手……ゆきのん、離れてくれ」
雪ノ下「ゆきのん?」
八幡「やばっ!……ゆ、ゆきの、雪ノ下、離れてくれ……俺はお前より由比ヶ浜が」
雪ノ下「……あら?でも体は私を抱きしめっぱなしなのだけれど」
八幡「抱きついててもゆき……お前のことは嫌い……じゃなくて好きだけど……ってそうじゃなくて」
雪ノ下「……?」
由比ヶ浜(あ、あたしの考えと混ざっちゃう……どうしよ)
八幡(俺……死ぬのか……全く体の自由がきかない……)
雪ノ下(やはり言葉が重要よね……いくら抱きつかれてもこれじゃ……)
八幡「……!?」ビクッ
由比ヶ浜「あれ?」
雪ノ下「操作が……できない?」
八幡「アッ……アッ……アッ……」
由比ヶ浜「?」
雪ノ下「何かしら?」
八幡「ヒ……ヒラ……ヒラ…ヒラヒラ……ツ」
由比ヶ浜「どうしたんだろ……」
雪ノ下「まさかスイッチが脳に負担をかけすぎて……」
由比ヶ浜「あっ!改造したのは良いけどヒッキーの体のこと何も考えてなかった」
雪ノ下「私のこれも改良品はまだ動物実験の段階なのよね……実は」
八幡「ヒラツ……ヒラツカ……ヒラツカセンセー」
八幡「ヒラツカセンセー!スキー!」
由比ヶ浜「……え、今なんて」
雪ノ下「平塚先生、と聞こえたわね」
八幡「ヒラツカセンセー!ヒラツカセンセー!」
八幡「ヒラツカ……ピーガガガ」
八幡「シズカーアイシテルゾー」
八幡「シズカーケッコンシヨー」
平塚「あれ?……これでうまくいくはずなんだかなぁ……」
平塚「よく分からんから出力最大にしたのがまずかったかな……」
平塚「まあ一応機能してるみたいだし……成功ということにしておこう」
平塚「むしろあの汚い設計図とワケのわからん紙束でこれを作った私は天才だな」
雪ノ下「比企谷くん!しっかり!」
由比ヶ浜「ヒッキー!正気に戻ってよ!」
八幡「……ダレ?……シズカー……ドコー」
雪ノ下「ひ、ひどい……」
由比ヶ浜「これじゃまるで……」
平塚「でも流石にこれでは実生活に支障が出るな」
平塚「仕方ない、私の家で引き取るとしよう」
平塚「私が世話をしてやろうじゃないか」
八幡「シズカー……ヒモニシテー……ヤシナッテー」
平塚「うんうん、いいぞいいぞ」
由比ヶ浜「ゆきのん…あたしに考えがあるの」
雪ノ下「考え?」
由比ヶ浜「だからお願い、力を貸して」
雪ノ下「……分かったわ」
平塚「よし、私の家に行こうか」
八幡「……ピーガガガ……ヤハ……ヤハロ」
平塚「あれ?おかしいな」ポチッ
平塚「さらに出力三倍にしてみた。限界を超えたが……なんとかなるだろ」
八幡「アガガガガガガ…シズカー」
雪ノ下「由比ヶ浜さん……さらに出力を!」
由比ヶ浜「うん!今から五倍にする!」
雪ノ下(私と由比ヶ浜さん、二人のスイッチが合わされば)
由比ヶ浜(平塚先生に勝てる!)
ポチッ ビリビリビリ!
八幡「ウガガガガガガ…ヤッハロー」
平塚「どうした!私の言うことを聞け!比企谷!」ポチッ…
バチバチバチ
八幡「アウアウアウアウアウアウアウ」
雪ノ下「平塚先生に……負けるわけには……」ポチッ
八幡「アギャギャギャギャギャハウハハウハウハウ」
平塚「くそ……電気が足りない……そうだ、コンセントだ!」
ザクッ
平塚「出力3000倍だ!どうだ、これならお前たちでもかなわないだろう!」
八幡「アビャビャビャビャビャ…………」
八幡「」バタッ
雪ノ下「い、いやそれは!」
由比ヶ浜「あっ……」
平塚「あ、あれー?」
八幡「……」
雪ノ下「息は……してますね」
平塚「そうか……良かった」
由比ヶ浜「でもこんな酷いこと……」
平塚「確かに私も悪乗りし過ぎた……謝る」
由比ヶ浜「いやそれは……あたしたちも同じで……いつの間にか楽しくなっちゃって……」
雪ノ下「比企谷くんのことを考えていなかった……」
八幡「う、うーん……」
平塚「おっ!意識が戻ったぞ!」
八幡「……あれ……ここは……」
雪ノ下「気がついた?」
由比ヶ浜「大丈夫?」
八幡「…………誰?」
平塚「なっ……覚えていないのか」
八幡「全く……あなたたち知り合いですか?」
八幡「……かろうじて思い出せるのは……」
平塚「のは……?」
八幡「ひ、ひらつか……」
平塚「……やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
八幡「ひらつか…やっはろー……しずか」
平塚「たぁぁぁ……ぁぁ…は?」
由比ヶ浜「ぷっ……」
雪ノ下「……ふふ…ふ…」
八幡「平塚やっはろー静……多分一番大切な人の名前……」
平塚「……ち、ちくしょう…改名……するかなぁ……どうしよう……」
おしまい
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