綾瀬穂乃香「空の青と海の青と青い私」 (24)

全四話中の二話目です。

前作
喜多見柚「黄色い花は太陽の花」

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というわけで柚ちゃんとあずきちゃんと忍ちゃんと私。

私たち四人は電車に乗って旅行をしています。

ふふ、友達と行く旅行は初めてです。


柚「まだつかないの?」

穂乃香「もうちょっとだから待っててください。」


柚ちゃんを注意したものの、自分もそわそわしています。

そんなことをしているうちに車内に目的駅のアナウンスが入ります。



穂乃香「ほら、つきましたよ。」

柚「やったー!」

あずき「ついたー!」

忍「二人ともはしゃぎすぎだぞ。」

あずき「そういう忍ちゃんもうきうきしてるよ。」

忍「まあね。」


なんだ、みんな楽しみなんですね。


柚「へへ、一番のりだよ♪」

忍「あ、こら。危ないぞ。」

あずき「はやくはやく!」

穂乃香「そんなに急がなくたって海は逃げませんよ。」


前を見ると青。海の青と空の青。

すべてを飲み込むかのような青。

まるでペンキをこぼしたかのような綺麗さに思わず息をのみました。



柚「写真とろう写真!」

穂乃香「はしゃぎすぎですよ。」

忍「先にホテル行って荷物おいてからだな。」

あずき「そんな…海が目の前にあるのに生殺しだよ。」





柚「改めて、海だーー!」

あずき「海ーーー!」

穂乃香「二人ともテンション高すぎですよ。」

忍「海だーーー!」

穂乃香「忍ちゃんまで?!」

忍「こういうのは楽しめるときは楽しんどくんだよ。」

柚「そうだよそうだよ。人生お気楽に。」

あずき「みんなで一緒に大作戦♪せーの!」

フリスク「「「「海だーーー!」」」」


あずき「大成功!」

柚「もう一回やる?」

忍「いや、流石にこのままのテンションじゃ持たない…。」

柚「なんとも情けない。それにしても、青春って感じだね!」

あずき「夏なのに青春ってなんか面白いね!」

柚「青春っていうより青夏?」

あずき「青夏!いいね青夏を謳歌しよう!」



忍「ごろが悪いな。」

柚「気にしない気にしない。青夏たのしむぞー!」

あずき「青夏サイコー!」

穂乃香「青夏楽しみますー!」

忍「穂乃香ちゃんまで?!」

穂乃香「楽しまなきゃもったいないですよ。さっき忍ちゃんが教えてくれたんですよ。」

忍「そうだね。青夏謳歌するぞー!」


こんな風にみんなで楽しむなんて初めてのことで戸惑うばかりです。

少し前の私はまさかこんなアイドルをやっているなんて思わなかったはずです。

こんな楽しい友達ができるなんて考えてなかったはずです。


柚「なに穂乃香ちゃんぼーっとしてるの?」

穂乃香「いえ、今行きます。」


青夏ですか。楽しみましょう。




忍「そういえば柚ちゃんとあずきちゃんは水着の仕事があったんだよね。いいなー。」

柚「穂乃香ちゃんは夏祭りで忍ちゃんは…。」

あずき「かの有名アイドルもやった定番シチュだったよね!」

忍「いや、ただの雨宿りだよ。」

あずき「セクシーでいったら圧勝だったね!」

柚「えー!柚もセクシー路線で頑張ったんだけど。」

忍「柚ちゃんは完全にほのぼの路線だったね。それと私は狙ってやったわけではない。」




柚「流石キュートあざとい。」

あずき「それじゃ私まで被害来るよ。」

忍「いや、あざとくないし。あずきちゃんのほうがあざといよ。」

あずき「いやーあずきはそんなにあざとくないよ。」

柚「アレが天然?あずきちゃん、恐ろしい子。」



ふと、気がつきます。上手く会話に入れない。

仲がいいはずなのに。

友達と歩くときはいつも後ろにいました。

理由はなく、ただなにかあったらすぐに動けるなって。周りが見渡せるなって。

でも違ったのかもしれません。上手く人との距離感がつかめなかっただけなのかも。

レッスンでも私だけが熱くなってしまうことも多々ありました。

もしかして私の居場所は…。


忍「穂乃香ちゃん、穂乃香ちゃんってば。」

穂乃香「あ、なんでしょうか?」

忍「大丈夫?熱中症とかじゃない?」

穂乃香「あ、いえ。少し考え事をしていまして。」

忍「それならよかったけど。それよりあの二人止めてるの手伝ってくれない?私一人じゃ手に負えないよ。」


少し離れたところで柚ちゃんとあずきちゃんが言い争いをしています。



穂乃香「二人とも。喧嘩はダメですよ。」

忍「全く。少しは穂乃香ちゃんを見習いな。」

柚「ぐぬ。ごめんなさい…。」

あずき「すみません…。」


ひとまずは止められましたね。


忍「ありがとう助かったよ。しかし穂乃香ちゃんはお母さんみたいだね。」

穂乃香「お母さん…ですか?」

柚「確かに。一歩下がったところで柚たちを見守ってくれるお母さんだね。大和撫子だよ!」

あずき「それだったらあずきだって大和撫子じゃない?」

柚「あずきちゃんは落ち着きが足りないよ。」

あずき「柚ちゃんがそれいう?」


お母さんですか。私の居場所はあったみたいです。

私の悩みは杞憂にだったようです。

ほっとしました。ならお母さんにならないとですね。



穂乃香「こらこら、そこ。言い争いをしない。」

柚、あずき「「はい。ごめんなさい。お母さん」」

忍「本当に娘を叱ってるようだ。」

穂乃香「じゃあお父さんは忍ちゃんですね。」

忍「ええ!まあ、あの二人よりはしっかりしてるけどさ。」



柚「じゃあせめてあずきちゃんと柚どっちがお姉さん?」

あずき「誕生日的にあずきがお姉さんでしょ!」

柚「いやいや、身長的に柚だと思うな!」

穂乃香「どっちもどっちですよ。」

忍「そうだね。」

柚、あずき「「ええー!」」


納得いってないようだけど、とりあえず落ち着いたようです。



忍「いつもありがとね。お母さん。」

穂乃香「いえいえ、こちらこそありがとうございます。お父さん。」

忍「さっきはなに考えてたの?」

穂乃香「なんでもありませんでした。」

忍「そっか。それならよかった。」

柚「何話してるの?」

穂乃香「大人の話です。」



柚「ぶーぶー、仲間はずれにするの?」

穂乃香「いえ。私たちはみんな仲良しですから。そう信じてますから。」

あずき「なになに?仲良し大作戦?」

忍「それはしなくても平気だね。」

柚「そうだね。もう仲良しだね。」

穂乃香「さ、海で遊びましょう。」




一歩後ろを歩いていたはずなのに、周りが見えていなかったのは私のほうでした。

私はこんな素敵な友達に囲まれていたんですね。

私の青い…未熟な悩みは空と海の青さに吸い込まれてなくなりました。

以上で短いけど終わりです。

フリスク初期組の二人だからこそ通じ合ってる部分もあると思います。

次回は忍が主役の予定です。

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