のび太「立体機動使いたいよぉ」(36)
ドラえもん「君はすぐに影響されるよなぁ」
のび太「だってカッコいいじゃないか!」
ドラえもん「いいかいのび太くん。
あくまでこれは映画の中での物なんだ。
実在するわけじゃないんだよ」
のび太「そんなぁ~」
ドラえもん「諦めて宿題しなよ。
夏休みだからって遊んでばっかりだと終わらなくなっちゃうんだから」
のび太「まだ7月だよ?」
ドラえもん「無理な物は無理」
のび太「ちぇー」
のび太「…あ、ドラえもん」
ドラえもん「なに?」
のび太「駅前の高級和菓子屋さんあるだろう?」
ドラえもん「うん。
最近どら焼きを売り出したみたいだね。
一度でいいから食べてみたいなぁ」
のび太「実は昨日、お客さんからお中元でいただいたんだよ」
ドラえもん「ほんとかい!?」
のび太「僕の分あげるよ」
ドラえもん「いいの!?」
のび太「うん。
立体機動を出してくれたらね」
ドラえもん「まったく君って奴は…。
だからそんな架空の物は出せないんだってば」
のび太「じゃあもしもボックスは?」
ドラえもん「あるけどちょっと調子悪いんだよ」
のび太「使えないの?」
ドラえもん「使えない事は無いけど…」
のび太「じゃあよろしく頼むよ!
しずかちゃんも呼んでくるね!
カッコよく立体機動を使ってしずかちゃんに見てもらうんだ!」
ドラえもん「もう…」
ドラえもん「はい、もしもボックス」
ジャイアン「早くしろよ!」
スネ夫「僕はパパが映画関係者と知り合いで、何度か映画の撮影に行った事あるよ。
さとみちゃん可愛いかったなぁ」
しずか「ごめんなさい、私あの映画はちょっと怖くて苦手なの」
ドラえもん「なんでジャイアンとスネ夫が?」
のび太「しずかちゃん誘ってる所を見られちゃって…。
ジャイアンもやりたいっていうから…」
ドラえもん「いつもの流れだね。
多分使えると思うから早く済ませちゃってよ」
ジャイアン「俺も使うからさっさとしろ!」
のび太「はぁい」
のび太「ドラえもーん」
ドラえもん「どうしたの?」
のび太「さっきから反応が無いんだけど…」
ドラえもん「うーん。やっぱり調子悪いのかなぁ…。
ちょっと22世紀で修理してもらってくるよ」
ジャイアン「暇だし俺も行くぜ!」
スネ夫「じゃあ僕も行こうかな」
しずか「今日はバイオリンのオケィコゥも無いから行くわ」
のび太「じゃあ暇だしみんなで行こう!」
ドラえもん「じゃ、タイムマシンに乗って」
「はーい」
ジャイアン「タイムマシンに乗るのも久々だな」
スネ夫「ねぇ…なんか寒くないかな?」
しずか「ドラちゃん、揺れが酷くなって…」
ゴゴゴ…
のび太「ドラえもん!周りが揺れてーーーーーーーー」
ブツンッ
のび太「うぅ…」
ドラえもん「のび太くん!」
のび太「ドラえもん…いったい何が…」
ドラえもん「…わからない。
タイムマシンに乗っていたらいきなり目の前が真っ暗になって、気が付いたらここにいたんだ」
のび太「そうだ、みんなは?」
ドラえもん「ここに落ちたのは僕と君だけだ。
もしかしたら別の世界に…。
あぁどうしよう!
もし変な世界に落ちて危険な目にあっていたら大変だ!」
のび太「すぐに探しに行こうよ!」
ドラえもん「それがダメなんだ…。
タイムマシンは見ての通り壊れていて…」
のび太「それじゃ帰ることもできないじゃないか!!」
ドラえもん「修理できるとは思うけど、時間がかかる…。
それに…」
のび太「それに?」
ドラえもん「四次元ポケットが…どこにもないんだ。
のび太くんが気絶してる間に辺りは探したんだけど…」
のび太「そんなぁ~!
絶望的じゃないかぁ~!」
ドラえもん「とりあえずここがどこなのか調べないと。
どこかに人はいないかな?」
のび太「お腹空いたよぉ…」
ドラえもん「我慢して。
ここは山の中腹みたいだね。
降れば人里に出れるかもしれない」
のび太「うん…」
のび太「ゼェゼェ…」
ドラえもん「ほらもう少しで森を抜けるよ。
頑張って」
のび太「ここはどこなんだよぉ…」
ドラえもん「あ!建物だ!
人もいそうだよのび太くん!」
のび太「ほんとに!?助かったぁ~!」
ドラえもん「うーん…見た感じだと日本では無さそうだね。
周りに建物も無いし、人里離れた学校かな?」
のび太「そんなことどうでもいいから水が欲しいよ…」
???「何してるの?」
ドラえもん「うわっ!」
のび太「だ、誰!?」
???「ごめんなさい、驚かせちゃったかな。
私はクリスタ、ここの訓練兵だよ。
今日で卒業だけどね。
あなた達は見学でもしに来たの?」
のび太「うわぁ~。可愛い人だね」
ドラえもん「まったく君は…。
僕はドラえもん。こっちはのび太くんです」
クリスタ「……青い狸が喋った!?」
ドラえもん「狸じゃない!猫型ロボット!!」
クリスタ「ロボ…なに?」
のび太「落ち着いてドラえもん。
あの、クリスタさん……」
クリスタ「いけない、もう戻らないと!
何か用があるならあっちの入り口から入ってくれば教官に会えると思うよ!」
のび太「いっちゃった…」
ドラえもん「もしかしたらここはかなり昔の時代かもしれないね。
僕も迂闊に人前に出ない方がいいかも」
のび太「ええっ!?
じゃあ僕ひとりで行くの!?」
ドラえもん「大丈夫だよ。
工具を借りてきてもらうだけだから。
またクリスタさんに会えるかもしれないよ?」
のび太「しょうがないなぁ♪」
ドラえもん「じゃあ僕はここにいるから、よろしく頼むね」
のび太「はぁい」
キース「…未来に帰るために乗り物を直したい、と」
のび太「は、はははい…」
のび太(クリスタさんいないじゃないか!!
いたのはドラえもんと同じツルッパゲだよ!!
なんでこんな怖い人と話さなきゃならないんだ!!)
キース「貴様…ふざけているのか?
冷やかしならさっさと帰れ!
今日は訓練兵の卒業演習で忙しい!!
貴様のような奴に構っている暇は無い!」
のび太「ヒイイイイイッ」
のび太「トホホ…どうしよう…」
???「おい!」
のび太「ひゃいっ!?」
???「お前……のび太か!?」
のび太「え?」
クリスタ「あ、ほらライナー。
さっき話した男の子だよ。
教官には会えた?」
のび太「クリスタさん!」
ライナー「信じらんねぇ…!
本当にのび太なのか!?」
のび太「そ、そうですけど…」
ライナー「俺だよ!ジャイアンだ!」
のび太「へ?」
クリスタ「ジャイアン?」
のび太「…いや顔は似てると思うけど、ジャイアンは僕と同い年だし、そんなに身長も高くないし、もう少し太ってたはずだよ」
ジャイアン「いつの話してんだお前は!
…のび太…お前、5年前と姿変わってないじゃねぇか」
のび太「5年前?
ここに来たのはついさっきですよ」
ジャイアン「そういう事か…。
ここで話すのもマズい。
とりあえず俺の部屋に来い。
ベルトルト…いや、スネ夫もいる」
クリスタ「スネ夫?」
のび太「ちょ、ちょっと待ってください!
本当にジャイアンなんですか!?」
ジャイアン「…歌えば思い出すか?」
のび太「待ってジャイアン!!」
クリスタ「ライナーリサイタルするの…!?」ガタガタ
ジャイアン「はっはっは。悪いがまた今度なクリスタ。
ちょっとのび太と話あるから連れてくぞ」
クリスタ「うん。見なかった事にする」
ジャイアン「助かる」
ベルトルト「のび太!?」
のび太「す、スネ夫…?
ずいぶんと大きくなったんだね。
でもその髪型間違いなくスネ夫だ」
スネ夫「まぁね。5年経てば身長も伸びるさ。
お前は何も変わっちゃいないな」
ジャイアン「恐らくだが、俺たちとのび太ではすっ飛ばされた世界は一緒だったが、時間が大きくズレちまってる」
スネ夫「そうだろうね。
のび太の様子で何となく察しがついたよ」
のび太「なんか二人とも感じ変わったね」
ジャイアン「…そりゃそうだろ」
スネ夫「この世界は地獄さ。
のび太、ここがどこだか分かるか?」
のび太「うぅん」
スネ夫「お前の望んだ世界。
進撃の巨人の世界そのものだ」
のび太「え?
じゃあこれはもしもボックスの世界って事なの?」
スネ夫「違う。現実だ。
僕とライナー…ジャイアンは現にこの世界で5年過ごして来た」
ジャイアン「地獄の5年間を、な」
のび太「僕からしたらついさっき来たばかりなんだけど」
スネ夫「のび太…相変わらずイラつくな」
のび太「ヒッ」
のび太「え?
じゃあこれはもしもボックスの世界って事なの?」
スネ夫「違う。現実だ。
僕とライナー…ジャイアンは現にこの世界で5年過ごして来た」
ジャイアン「地獄の5年間を、な」
のび太「僕からしたらついさっき来たばかりなんだけど」
スネ夫「のび太…相変わらずイラつくな」
のび太「ヒッ」
スネ夫「僕たちが…5年前からどれだけ地獄を見てきたか知りもしないで…!」
のび太「く、苦しいよ」
ジャイアン「やめろスネ夫。
のび太を責めても、カルラさんも何も帰って来やしねぇ。
それに女神とも出会えたしな」
スネ夫「…分かってるよ。
のび太、ドラえもんはいるのか?」
のび太「ゲホッ……うん。
今は建物の裏に隠れて待ってる…。
タイムマシンが壊れて帰れないんだ」
スネ夫「分かった。
工具はどうにかくすねて来てやる。
直ったらすぐ元の時代に帰るんだ」
のび太「ほんとに!?助かるよ!」
ジャイアン「のび太、これを受け取れ」
のび太「四次元ポケット!?」
ジャイアン「ああ。
タイムマシンから落ちた時に俺の手に引っかかって取れていたらしい。
その衝撃で壊れてたのか使えないが、ドラえもんになら修理できるだろ?」
のび太「う、うん…多分」
スネ夫「…のび太、お前は進撃の巨人の漫画を読んだか?」
のび太「読んでないよ。
お小遣いじゃ買えなくて、映画のCMとかテレビの宣伝で見ただけなんだ」
スネ夫「ジャイアンと同じか…」
ジャイアン「のび太と一緒にすんな!
かぁちゃんがあんな漫画読むなって言って怒られたんだよ!
お前だって大して話を知らなかっただろ!」
スネ夫「僕が撮影現場で台本を少し見せてもらってなかったら、何も分からず野垂れ死にしてたよ」
のび太「ね、ねぇ。
二人はどうしてここにいるの?」
ジャイアン「決まってんだろ。
巨人をぶっ殺すためだ」
スネ夫「ああ。僕達は巨人を殺すためにこの訓練所入った」
のび太「こ、殺すって…」
スネ夫「説明してやるよのび太。
オシッコ漏らすんじゃないぞ」
スネ夫「僕達がここに来たのは5年前さ。
シガンシナ区と言う場所の少し外れにいたんだ」
ジャイアン「当てもなく、途方に暮れていた俺達を拾ってくれたのは、グリシャ・イェーガーさんって言う医者の人だった。
あの人は身元も分からない俺たちを迎え入れてくれた。
自分も昔、同じような境遇だったみたいでな、すげー優しかったよ」
スネ夫「奥さんのカルラさん、息子のエレン、僕たちと同じく拾われたミカサとしばらく暮らしていたんだ」
のび太「へぇ。どんな人なの?」
スネ夫「のび太には関係ないさ。
とにかく、僕達は元の世界に帰る方法が無いか考えながら暮らしていた。
ある時エレンと話していると、やたら巨人が巨人がって言うから僕は思い出したんだ。
エレン・イェーガーが進撃の巨人の主人公で、ミカサはヒロイン役の女の子の名前だ、ってね」
ジャイアン「三浦春馬に全然に似てねぇから気付かなかったけど、そら向こうはあくまで映画だから当たり前だ。
スネ夫も全然話を知らないから、とりあえずエレン達に話を聞きまくった」
スネ夫「ここがどこで僕達が置かれた状況を把握した。
この世界はあの巨大な壁に覆われ範囲しか人類はいない」
のび太「そうなんだ。じゃあ壁の外には何があるの?」
ジャイアン「…巨人だ。
巨人が俺たちを狙ってうろちょろしてやがる」
のび太「巨人を倒す話なのは知ってるよ。
なんで巨人を倒すのかは知らないけど」
ジャイアン「人を食い殺すからだ」
のび太「…え?」
のび太「じゃ、じゃあ壁から出なければ良いじゃないか!
わざわざ危ないところに行く必要もないだろ!」
スネ夫「…僕も最初はそう思っていたよ。
だけど5年前、壁は破られて巨人が進入してきた」
ジャイアン「運悪く俺たちのいた地域の壁がな…」
スネ夫「僕達はどうにか生き延びて、開拓地で2年過ごした。
そして訓練所に入って巨人を倒す事にしたんだ」
のび太「なんでそんな危ない事を…」
ジャイアン「…俺たちを庇ってカルラさんは目の前で食い殺された。
俺は巨人共が許せねぇ…!
絶対に仇を取ってやるってエレン達と誓ったんだ…!」
スネ夫「そもそも行く末の見当たらない僕達に選択権は無かったからね」
のび太「そういえば、なんで2人は名前が違うの?」
スネ夫「ああ、それは正直僕達もよくわからない。
戸籍の無い僕らが訓練所に入るのは無理かと思ったから、どうにか頼み込もうしたんだ。
そしたら、2人の希望者が来ていないって話を偶然耳にしたのさ」
ジャイアン「それがライナーとベルトルトって名前だったわけだ。
もちろんエレンとミカサには口裏合わせてもらってる」
スネ夫「どうにか訓練所に入り地獄の3年を過ごしてきたんだ。
それも今日で卒業だけどな」
のび太「クリスタさんも同じ事言ってたね。
ところでしずかちゃんは?」
ジャイアン「しずかちゃん…か」
スネ夫「……ここにいるよ」
のび太「ほんと!?
いますぐ会えないの?」
スネ夫「…お前は会わないほうがいいかもな」
ジャイアン「…おいベルトルト、点検の時間だ。
そろそろ行かないとやばいぞ」
スネ夫「分かってるよ。点検終わったら工具持ってくる。
裏口から出て隠れて待ってな」
のび太「え、ちょっと…」
ドラえもん「おかえりのび太くん。
ずいぶんと遅かったね」
のび太「うん…いろいろあってさ。
はい、工具」
ドラえもん「ありがと、どうにかなりそうだよ。
それで、何があったの?」
のび太「かくかくしかじか」
ドラえもん「そんな事があったんだね…。
とりあえず、僕はタイムマシンとポケットを直してくるから。
直ったらジャイアンとスネ夫をしずかちゃんを連れて帰ろう。
半日はかからないと思うけど…」
のび太「ちょっと行けば街があるみたいだから見てくるね。
何か食べ物があるかも」
ドラえもん「お金もないのにどうするの?」
のび太「パンの耳でももらえるかも」
ドラえもん「もう…あんまり目立つことしないでね」
のび太「分かってるよぉ」
僕は知らなかった
この世界は
美しく
残酷で
地獄である事を
ここまで
設定は捏造が多く、原作とはかなり違う予定
見づらいとこあったら言ってくだされ
セリフは一行にまとめてほしい
ドラえもん「おかえりのび太くん。
ずいぶんと遅かったね」
↓
ドラえもん「おかえりのび太くん。ずいぶんと遅かったね」
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