神谷奈緒「凛、加蓮が死んだ」(59)

凛「待ってよ……冗談でしょ?」

奈緒「冗談なんかじゃない」

凛「嘘だよそんな……」

奈緒「そんな嘘ついてどうなるっていうんだよ。本当だよ」

奈緒「本当に加蓮は死んじまったんだよ」

凛「そんな事って……そしたら……そしたら私達は……」

凛「今日の出かける予定どうすればいいわけ?」

奈緒「加蓮が生き返るのを待つしかないよ」

凛「はぁ……今月何回目?」

奈緒「今月に入ってもう五回目だな。加蓮が死んだの」

加蓮「う……あ……」ピクピク

奈緒「お、今回は復活早いな。もう活性化が始まってる」

凛「今回の原因は何? 前は確か足くじいてショック死だったけど」

奈緒「あたしが来た時にはもう死んでたから分からないよ」

凛「奈緒が最初に見つけたの?」

奈緒「いや、ルーキートレーナーさん。部屋の中からこの世のものとは思えない悲鳴が聞こえたから、何事かと思ったよ」

凛「ああ、ルーキートレーナーさんは初めてだっけ。加蓮が死んだところ見るの」

奈緒「うん。ベテラントレーナーさん辺りだったらさぁ」

ベテラントレーナー『なに? また北条が死んだのか? 全く……邪魔になるから隅にでも転がしておけ!』

奈緒「とか言うところだよな」

凛「もう慣れたもんだよね。というかルーキートレーナーさんの反応が正常なんだけどね」

1レス目酉ミスです



奈緒「まぁ事件とか事故じゃなくて良かったよ。加蓮が死んだだけで」

凛「そうだね。何事も無くて良かった」

加蓮「うう……あ、れ? 私……また死んでた?」

奈緒「あ、生き返ったぞ」

凛「おはよう。また死んでたよ」

加蓮「あちゃー……気を付けてたんだけどなあ」

奈緒「今日の原因はなに?」

加蓮「ここのテレビでホラー番組見てたらビックリしすぎて心臓止まっちゃったんだよね」

凛「なんでそんなダイナマイト身体中に巻いて火事現場にスキップしていくみたいな事するの?」

奈緒「もう……加蓮はスペランカー並の耐久力のくせに、何でそういうことするかな」

加蓮「昨日ちょっと寝不足だったからかなー」

奈緒「寝不足で心臓止まるのかよ」

加蓮「甘いね奈緒。人は寝不足でも死ぬんだよ」

凛「うん、まぁそれはよっぽど度が過ぎてる場合のみだよね」

加蓮「それよりお腹減っちゃったよ」

奈緒「ああ、生き返った直後はいつもバカ食いしてるよな」

加蓮「細胞の活性化にエネルギー使うからね」

凛「じゃあ出かける前に何か食べていこうか」

加蓮「出かける……?」

奈緒「一緒に遊びに行こうって約束して事務所に集まったんだろ。命と一緒に記憶まで落としたのか?」

加蓮「ああ、そうだったそうだった。戻ってくる時脳もちょっとシャッフルされるからさ」

凛「大丈夫なのそれ? 人格は統一されてるの?」

加蓮「大丈夫だよ。直近の事ど忘れしちゃう程度だから」

奈緒「まぁいいや……カフェ行こうぜ」

~346プロのカフェ~

加蓮「」ガツガツバクバク

奈緒「サイヤ人かよ」

加蓮「菜々ちゃーん。パンケーキ追加。ダースで」

菜々「は、はいぃ……」

凛「菜々さんが過労死しちゃうよ」

加蓮「糖分とらなきゃいけないんだよね」

奈緒「あまり菜々さん酷使するなよ。他の人は加蓮と違って死んだら生き返らないんだからな」

加蓮「これぐらいじゃ死なないって」

凛「加蓮が言う?」

奈緒「今月入って五回死んでる奴が言うセリフじゃないよな」

加蓮「五回目だっけ?」

奈緒「まず今回。先週に足くじいて死亡。風邪ひいて死亡。先々週にイノシシにタックルされて死亡。あと一回はなんやかんやあって死亡」

加蓮「そっかー。そんなに死んじゃってたかー」

凛「もういい加減加蓮が死ぬ事自体は慣れてきたけど、イノシシにタックルされたのには驚いたよね」

奈緒「乙事主みたいな奴が突っ込んできたからな」

加蓮「あの時は流石に死ぬかと思ったよ」

奈緒「死んでんだよ」

凛「ほんとびっくりしたよね。加蓮、土手っ腹に穴空いてても復活出来るんだなって」

奈緒「そっちかよ。いや、確かにそれにはあたしもビビったけど」

加蓮「なんかそうみたいだね」

奈緒「他人ごとみたいに言うなあ」

凛「というか最後のなんやかんやあって死亡ってなに?」

奈緒「ああ、あたしは詳しく知らない所で死んでたから。ほら、レッスン場で死んだ奴」

加蓮「そうか、あの時は奈緒はいなかったんだね」

凛「あれね。道明寺歌鈴ってわかる? うちのアイドルの」

奈緒「あの三歩歩くうちに四回転ぶっていう」

凛「そうそれ。じゃあ白菊ほたるは?」

奈緒「あの不幸体質の」

凛「そう。その二人と、加蓮と私でレッスン場にいた時なんだけどね」

奈緒「なんかもう嫌だなあその組み合わせ」

凛「まぁ詳しくは描写しないけど、ドジっ子と不幸体質が合わさった結果、残虐ピタゴラスイッチが起きて加蓮が死んだんだよ」

奈緒「食事中にする話じゃないな」

凛「だからボカしたでしょ」

加蓮「対象が凛じゃなくて良かったよホント」

凛「私は頭かち割られたら生き返れないからね」

奈緒「私はっていうか、普通皆そうなんだけどな」

菜々「お、お待たせしました……パンケーキです……」ゼーゼー

加蓮「きたきた。菜々ちゃんありがと」

奈緒「なんだこのパンケーキ。バベルか」

菜々「別名かな子スペシャルです」

凛「何だその名前」

「ロック!」って言いながら乳首千切る人じゃないよな・・・もしかして

今回はここまで
調子こいて酉なんぞ付けたら初っ端からミスるというね

前回サイコじみた前川いじりSS書いたから、次はゆっくりほのぼのでも書こうと思ったけどまたこんな感じです
神が降りてきたから仕方ないね。よかったらまたお付き合い下さい

>>9
危惧されてるとおり「ロック!」って言いながら乳首引き千切る人です

乳首引きちぎりPと呼ぶ

>>12
よーし。じゃあ今回もアイドルの乳首引きちぎっちゃうぞ

凛「ロック!」ブチッ

加蓮「ショック!」

菜々「かな子ちゃんがよく頼むんですよこれ」

奈緒「この具現化したカロリーを?」

菜々「これくらいならペロッとたいらげますよ」

凛「かな子の胃袋は別次元にでも繋がってるのかな」

加蓮「でも美味しいよこれ」モグモグ

奈緒「よく太らないな」

加蓮「肉体の再生に回ってるからね」

凛「考えようによっては太らず好きなだけ食べられるから便利なのかな」

加蓮「凛はもう少し太ったほうがいいんじゃない? 奈緒は……もう太いか。眉毛が」

奈緒「鼻毟るぞ」

加蓮「やめてよ軟骨は再生に時間掛かるんだよ」

凛「その返しはどうなの」

加蓮「奈緒はどうせ毟るなら自分の眉毛毟りなよ」

奈緒「おいこいつぶっ殺そうぜ!?」

凛「落ち着きなよ奈緒。殺したって生き返るよ」

奈緒「じゃあ背骨引っこ抜く」

加蓮「冗談だって。ごめんごめん。背骨抜かれたら立てなくなっちゃうよ」

奈緒「冗談がたち悪いんだよ」

凛「それにしたって背骨抜くって」

加蓮「ねえ。閻魔様だって抜くのは舌程度だよ」

奈緒「舌程度……?」

凛「閻魔様といえばさ」

奈緒「おい流すのかよ。今舌抜かれる事を『舌程度』で片付けたんだぞ」

加蓮「閻魔様といえばなに?」

奈緒「もういいよ……」

凛「加蓮はしょっちゅう死ぬけど、死後の世界とか見たことあるの?」

奈緒「ああ、それならあたしも興味ある。この先の人生観が決まるな」

加蓮「ないよ? 死後は無だよ」

奈緒「もうこれから生きていくの嫌になってきちゃったよ」

凛「聞かなきゃ良かった」

加蓮「大丈夫。新宿とか渋谷の人混み眺めて『ここにいる奴ら百年後には全員死んでんだよな』とか考えてみなよ。心が晴れるから」

奈緒「なんつー鬱屈した心のリフレッシュしてんだよ」

凛「ほんとに何もないの? 羽根はやした全裸の子供が上から大量に降ってくるとか」

奈緒「黒い着物着て刀持った死神がくるとか」

加蓮「あははは。アニメとか漫画の見過ぎだよー」

奈緒「まさか加蓮にそれを言われるとはなあ」

凛「現実ってなんだろうね」

奈緒「……ん? いや待てよ。そしたら小梅はどうなるんだ? 死後の世界がないなら、幽霊は?」

凛「そうだ。我がプロダクションの誇る心霊アイドルだよ? よくあの子と会話してるし」

加蓮「そんなの決まってるでしょ。ただのイマジナリーフレンドだよ」

奈緒「小梅の霊が視える設定を全て妄想の一言で片付けんなよ」

凛「なるほどね。私もそうかもしれないって思ってたんだよ」

奈緒「やめろよ。いるよ。あの子はいるんだよ」

加蓮「小梅ちゃんはそういう多感な時期だからさ」

奈緒「思春期特有のアレみたいに言うなってば」

凛「往々にして学校に一人くらいは居たりするもんだけどね。霊が視える系女子」

奈緒「ちげーよ。小梅は本物なんだよ。そういうのとは格が違うんだよ」

加蓮「でも私は死後の世界は見たことないからなあ」

凛「加蓮が何度も死にすぎてるせいで、あの世から門前払いされてるって可能性はないかな」

奈緒「死んでもすぐ生き返るからな。天国の門にピンポンダッシュなんて前代未聞だよ」

加蓮「……ふぅ。お腹いっぱいになった」

奈緒「凄まじく食ったな」

凛「冗談みたいな皿の量だね」

加蓮「苦しい……ちょっと休憩させて……」

奈緒「そのまま死ぬなよ」

加蓮「ちょっとわからない……」

凛「勘弁してよ」

加蓮「今動いたら噴水が見られるよ……」

奈緒「そんな汚え噴水があってたまるかよ」

凛「せっかくエネルギー詰め込んだんだから、放出しないように注意してね」

加蓮「頑張る……」

奈緒「はやく消化しろよ」

加蓮「無茶を言うなあ」

今回ここまで
アニメ15話、楓さん回に見せかけた卯月の挫折フラグ回でしたね
次回も楽しみだ。卯月の絶望顔はよ

凛「で、どこいく?」

奈緒「カラオケとか?」

凛「いいけど……私知ってるんだからね」

奈緒「なにを」

凛「奈緒が一般アーティストの曲を歌ってると見せかけて、実はアニメとタイアップしてる曲ばかり歌ってること」

奈緒「カラオケはやめよう」

凛「そう」

奈緒「加蓮は?」

加蓮「……」

凛「加蓮?」

奈緒「おい加蓮、起きろ。口から軽くパンケーキがこんにちわしてるから」

加蓮「……あっ、ごめん。ちょっと死んでた」

奈緒「ちょっと寝てたみたいに言うなよ」

凛「目を離すとすぐ死ぬんだから」

奈緒「たまごっちか何かかよ」

加蓮「そんなことより、今死後の世界が少し見えたよ」

奈緒「マジで?」

凛「どんなのだった?」

加蓮「ピンクのネグリジェ着たプロデューサーが『笑顔を見せろ! 笑顔を見せろ!』って叫びながら追いかけてきた」

凛「それは死後の世界じゃなくて、薬物を摂取すると見られる世界でしょ」

奈緒「仮に本当にそれが死後の世界なのだとしたら、あたしは悪魔に魂を売ってでも不老不死を手に入れる」

加蓮「なんだただの夢かあ」

凛「とびきりの悪夢だよ」

奈緒「どこ行きたいかって話してたんだけどさ」

加蓮「カラオケは?」

奈緒「さっき却下になった」

加蓮「奈緒が一般アーティストの曲歌ってると見せかけてアニメのタイアップ曲ばかり歌ってるから?」

奈緒「お前さっき起きてたんじゃないだろうな」

加蓮「死んでたってば」

凛「奈緒は分かりやすいんだよね」

加蓮「ずっといつバレるかどうかのチキンレースしてるもんね」

奈緒「殺してくれ頼む」

凛「生き返れないんだからやめときなって」

加蓮「この年で殺人犯になるのはちょっとねえ」

奈緒「この野郎」

凛「加蓮、お腹の調子は?」

加蓮「うーん大分楽にはなってきたけど」

奈緒「無理するとまたすぐ死んじまうぞ」

加蓮「大げさだって。流石に私だってそう簡単にうげろぱ」ゴポッ

奈緒「か、加蓮ーッ!」

凛「バカみたいな量の吐血だ」

奈緒「胃でも破れたかな。なにか拭くものが必要だな」

凛「そうだね。菜々さーん」

菜々「はいはーい……って、ぎゃああああああ!?」

奈緒「あ、菜々さんは見るの初めてか。大丈夫だからこれは」

凛「菜々さん落ち着いて。とりあえず拭くものを」

菜々「だ、大丈夫じゃないですよ! 救急車! 今すぐ救急車を呼びますから!」

奈緒「しばらくすれば治るから」

菜々「救急車ああああああ!!!! こっちでえええええええっす!!!」

凛「ほんと落ち着いて。仮に救急車呼ぶんだとしてもその呼び方じゃ永久に来ないから」

奈緒「ベタだなあ」

加蓮「そうだよ菜々ちゃん」

菜々「おんぎゃああああああ!!??」

奈緒「流石声優アイドル目指してるだけあってすごい声量だな」

加蓮「一旦拭くもの持ってきてもらっていいかな? このままじゃ血でカッピカピになっちゃうよ」

菜々「は、はい! ただいまぁ!」

凛「もう、菜々さんあまり驚かせちゃダメだよ」

加蓮「いやあ、まさかあんなに驚くとは思わなくて」

奈緒「ベシャベシャ血飛ばしながら喋られたら誰だって驚くだろうが」

加蓮「ウサミン星にはいないのかな。そういう人」

奈緒「地球にだってそうそういねえよ」

凛「ウサミン星人は血を流さない種族なのかもしれないしね」

加蓮「ウサミンロボはいっぱいいるみたいだけど、あのロボットがウサミン星人なのかも」

凛「ロボットは種族と呼んでいいのかな? 一時期ウサミンロボが大量生産されてたけど」

加蓮「ウサミン星人による地球侵略が始まってるのかもしれない」

奈緒「多分本人はそこまで深く考えてないんだろうから、あまり考察すんのやめてやれよ」

今回ここまで
奈緒はツッコミ役として優秀なのでつい頼ってしまう

菜々「おおおお待たせしました!」

加蓮「あ、ありがとう」フキフキ

菜々「大丈夫ですか? 本当に大丈夫なんですか?」

加蓮「へーきへーき」

奈緒「本当に平気だからね」

凛「ご迷惑おかけしました」

菜々「じゃあナナは行きますけど……なにかあったら呼んでくださいね? ほんとですよ?」

加蓮「うん。ありがとうね菜々ちゃん」

加蓮「いやー菜々ちゃんは優しいから大好きだよ」

奈緒「そう思うなら困らせんなよ」

加蓮「困ってるところがまた可愛いんだよね。困らせたくなる」

凛「男子小学生じゃないんだから」

奈緒「大丈夫とか言ってたけどやっぱりダメだったじゃん」

加蓮「面目ない」

凛「加蓮って昔からこんな感じだったの? すぐ倒れてすぐ元に戻って……みたいな」

加蓮「まぁそうかな」

奈緒「親とかどうだったんだよ」

加蓮「最初のうちは親も異常に貧弱な子だと思って色々な病院を回ったみたい」

奈緒「まあそれが普通だよな」

加蓮「しばらくしたら『神の子』とか呼ばれるようになって、知らない大人が大勢家まで来て拝みに来るようになった」

奈緒「怪しい新興宗教出来ちゃってんじゃねえか」

凛「今は大丈夫なんだよね? ユニット仲間が新興宗教の元教祖様とかなかなか厳しいんだけど」

加蓮「今はスッパリと全然関係ないよ」

凛「ならいいんだけど」

奈緒「他になにか隠してる事とかないだろうな」

加蓮「隠してたってわけじゃないんだけどなあ」

凛「隠してるっていうか、何か私達の知らない事とか。ほら、知っておけばいざとなった時に覚悟出来るし」

奈緒「そうそう。その時になってあわあわしないようにな」

加蓮「うーん……あ、半年に一回脱皮するとか?」

奈緒「脱皮するのか!?」

加蓮「するわけ無いでしょ。冗談だよ」

凛「加蓮だとやりそうで困るんだよ」

加蓮「もう。私のことをなんだと思ってるの?」

奈緒「もはやウサミン星人より不可解な生き物だと思ってるよ」

凛「私達は加蓮の生態をもっと知っておく必要があるんじゃないかな」

凛「ねえ、加蓮って首飛ばされたらどっちが再生するの?」

加蓮「首チョンパは経験ないから分かんないなあ」

奈緒「グロい話やめないか?」

凛「頭真っ二つにしたら2つ生えてきたりして」

奈緒「プラナリアかよ」

加蓮「もしそうなったら、ご飯食べながら歌ったり話したり出来るね」

奈緒「ポジティブすぎるだろ。自分の身体もっと大事にしてくれ」

凛「切り落とした部分からもう一人加蓮が再生したりしてさ」

奈緒「なんか今日の凛、発想がバイオレンスじゃないか?」

加蓮「私だけでユニットが組めるね」

凛「下手したら加蓮だけで事務所が出来るよ」

奈緒「嫌だなあそれ」

加蓮「だけどさ、分かれた私は同一性あるのかな?」

凛「プラナリアって切り刻んだ箇所から再生した個体も記憶受け継いでるらしいから、加蓮も大丈夫なんじゃないかな」

奈緒「もうやめてくれ。それ以上やられると、あたしは自分の中で肥大化していく好奇心に勝てなくなる」

凛「私も今ならマッドサイエンティストの気持ちが理解出来る」

加蓮「んー、まあ機会があったらね」

奈緒「そんな機会永久に来ないでくれ頼む。というかツッコむの疲れるからペース落としてくれ」

凛「あとさ、私は加蓮が死を呼び寄せてるんじゃないかと思うんだよね」

加蓮「ファイナルなデスティネーションみたいだね」

奈緒「聞こえなかった? ペース落としてくれっつったんだよ」

一旦ここまで。夜にでもまた書きます
この先ちょっとスプラッタな話になるかもだから、良い子は目を細めて見てね

加蓮「死の運命に追いかけられたらたまんないなあ」

奈緒「実際その説が濃厚な気がするんだけど」

加蓮「でもまぁそんなに理不尽な死に方したことないしさ」

凛「イノシシにタックルされるのは、この上なく理不尽だと思うよ」

加蓮「普段はそんな唐突な死に方しないでしょ?」

奈緒「……そうかな?」

加蓮「そうだって。いつもは大体」

ヒュンッ!

加蓮「薄荷!?」ゾブッ

奈緒「か、加蓮ーーーッ!!」

凛「加蓮の胸から鉄パイプが生えた」

奈緒「生えたんじゃなくて刺さったんだろ」

凛「どこから飛んできたのこれ」

奈緒「さあ……考えるだけ無駄だろ。また菜々さんに拭くもの持ってきてもらうか?」

凛「いや、こんな光景見せたら卒倒しちゃうからやめとこう。引っこ抜いとけば治るでしょ」

奈緒「そうだな」

凛「よっと」スポッ

加蓮「うっ……」ビクンビクン

奈緒「こんなのに慣れてしまっている自分が怖いなあ」

凛「私感覚が麻痺してきちゃってさ、スプラッタ映画とか見ても何も感じなくなってきたよ」

奈緒「それあたしもだ」

加蓮「うう……な、何が起きたの……?」

奈緒「戻ってくんの早いな」

凛「飛んできた鉄パイプが胸に刺さったんだよ」

加蓮「本当にファイナルなデスティネーションかもしれない」

奈緒「どうすんだよこの辺り一面に広がった血の海」

加蓮「生理って事にしとくよ」

奈緒「こんなスプラッタな女の子の日ないだろ」

加蓮「まぁでも何度か死んだおかげでカロリーが消費されてお腹の調子は丁度良くなったかな」

凛「ダイエット本でも書けば?」

奈緒「『死んで戻ってみるみる痩せる私の身体』とかどうかな」

加蓮「そんな本出したら正気を疑われるよ」

凛「……まぁ結論としてはさ、やっぱり加蓮が死を引き寄せてるんだと思うんだけど」

加蓮「まさか。偶然だよ偶然」

奈緒「飛んできた鉄パイプが偶然胸に刺さるってなんだよ」

加蓮「生きてれば一度はそういうこともあるって」

凛「一般人はその一度で死ぬんだけどね」

奈緒「最初の頃の加蓮は良かったなぁ。儚げな美少女って感じでさあ」

加蓮「ちょっと遠い目するのやめてよ。今でもそうでしょ?」

凛「心臓を鉄パイプで貫かれても平気な子を儚げっていうんだとしたら、全人類はミジンコレベルだよ」

奈緒「あれ、そういえばこんなに血がダバダバ出てるのに騒ぎになってないな」

凛「気付いてなかったの? 加蓮が吐血した辺りで周囲のお客さんは皆退散したよ」

加蓮「そりゃそうだよね。あんなの見たら普通の人は逃げるよ」

奈緒「そうか……もうこんな中で平然としてるあたしは普通じゃないんだな……」

凛「やめてよ私まで普通じゃないみたいじゃん」

加蓮「いや、凛も既に結構おかしいからね」

凛「私をおかしくした元凶が言うな」

P「ああ、いたいた。北条さん探しましたよ」

加蓮「あれ? Pさんどうしたの?」

P「ちょっとお仕事の件でお話が。取り込み中でしたか?」

奈緒「取り込み中というかなんというか」

加蓮「一応出かける予定が……」

凛「いいよ。行ってきなよ加蓮」

加蓮「そう?」

奈緒「どうせ死に過ぎて遊ぶ体力残ってないだろ?」

加蓮「バレてたか」

P「すいません。では、少し北条さんをお借りしますね」

奈緒「行ってらっしゃい」

凛「頑張ってね」

加蓮「はーい。じゃあ行こうか。Pさん」

P「はい。ところでこの血の海はなんですか」

加蓮「もう。女の子にそんなこと聞くのはデリカシーがないよ? 女の子の日だよ」スタスタ

P「こんなにアグレッシブな女の子の日とか初耳なんですが」スタスタ

奈緒「……」

凛「……」

奈緒「プロデューサーは知ってるんだっけ。加蓮のアレ」

凛「そりゃ知ってるでしょ。そうじゃなきゃプロデュースなんて出来ないよ」

奈緒「なんて言うか、すげえよな」

凛「仕事中加蓮がちょいちょい死んでるの、スタッフさんにバレないよう色々苦労してるらしいよ」

奈緒「大変だなあ……」

凛「……」

奈緒「……」

奈緒「なあ」

凛「うん?」

奈緒「そもそもの話していいか?」

凛「なに?」

奈緒「……なんで加蓮って死んでも生き返るの?」

凛「あ、それ言っちゃう?」

奈緒「これだけは怖くて本人に聞けないんだよな……」

凛「私達の壊れた常識を更に粉微塵にするような回答が返ってきそうだもんね」

奈緒「割と付き合い長いけどこればっかりはなあ」

凛「『実は私人間じゃなくてカレミン星人なんだ』とか言われたらどうしようとか思うよね」

奈緒「もしそれ言われたとしたら、きっとあたしは信じてしまう」

奈緒「……ん?」

凛「どうしたの?」

奈緒「あれ……加蓮が座ってた椅子になんか落ちてるぞ」

凛「……? なんだろうこれ。紙?」ヒョイ

奈緒「見た感じ紙じゃなさそうだけど……」

凛「なんだろ……ザラザラしてて……なんかの……皮膚……みたい……な……?」

奈緒「……皮膚?」

凛「皮膚っていうか……抜け殻みたいな感じっていうか……」

奈緒「……」

凛「さっきさ……加蓮言ってたよね。脱皮するとかなんとか。冗談だって言ってたけど」

奈緒「……」

凛「……」

奈緒「いやいやそんなまさか」

凛「だよね。流石にそれはないよね。ははは」

奈緒「……」

凛「……」

奈緒「考えるのよそうぜ」

凛「そうだね」


おわり

以上、トライアドプリムスの皮を被った何かのほのぼの日常会話でした

結局今回は乳首引き千切らなかったよ

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