まゆ「あなたのいないこの世界で」 (17)
プロデューサーさんがいなくなってしまったら、まゆの世界は変わってしまうんじゃないか。
あるいは終わってしまうんじゃないか。
ずっとそう思っていました。
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けれど実際には、何にも変わりはしませんでしたし、終わりもしませんでした。
みんなが心配していた、後を追って死ぬようなことも無かったですし、泣いて泣いて泣きじゃくるなんてこともありませんでした。
まゆの世界は変わらず回っていました。
プロデューサーさんが亡くなって悲しかったのは本当です。
けれどそれよりも。
まゆは嬉しかったんです。
ふふっ、こう言うと勘違いされちゃいますかね?
プロデューサーさんは最期の瞬間、まゆを抱きしめてこう言ってくれました。
「ごめんな。愛してた」って。
嬉しかった。
とっても、とっても嬉しかったんです。
好きな人が最期の瞬間に、まゆだけのことを考えてくれていたのが。
まゆにはそれだけで充分だったんです。
好きな人はまゆのことを考えて逝ってしまった。
好きな人はもう他の誰のことを考えることも、無い。
好きな人はまゆだけの。
これから先、誰かを好きになることも愛することも無いでしょう。
だってまゆの世界は完結してしまっているんですから。
これからの世界は、あの人が見ていた「トップアイドル」という夢を一人で見て生きていきます。
「ずっと、ずぅーっと愛してますよ。プロデューサーさん
読んでいただき、ありがとうございました。
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