咲「あ、お姉ちゃんがインタビュー受けてる。優勝したんだ……良かった」
記者『宮永さんは団体でも個人でも堂々のトップで全国大会へ駒を進められたわけですが、このことを誰に一番に伝えたいですか!?』
照『はい。やはり応援してくれている母親と妹に一番に伝えてあげたいです』
記者2『なるほど、ではご両親と妹さんに……』
照『ちょっと待ってください』
記者2『はい?』
照『私に父親なんていません』
記者『えっ……そ、それは……』
照『いません』ニッコリ
咲「あーあ。お姉ちゃん、まだ怒ってるんだ……」
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咲料理中
トゥルルルルル……
咲「あ、電話。お父さーん、今ちょっと手が離せないから出てくれるー?」
界「あいよー。……はい、もしもしみやなg『ガチャッ』」
咲「誰からー?」
界「いや、なんか切れちまった」
咲「えー?」
トゥルルルルル……
界「お、またか。……はいもs『ガチャッ』……」
咲「また切れたの?」
界「ああ……咲、今度かかってきたらお前出てみろ」
咲「ん」
10分後
トゥルルルルル……
咲「はいもしもし、宮永です」
照『あ、咲? お姉ちゃんだけど』
咲「うん、なんとなくわかってた」
咲「テレビで見たよ。お姉ちゃん、優勝おめでとう」
照『ああ。ありがとう、咲』
咲「全国大会も頑張ってね。出来たら私も応援に行きたいんだけど……」
照『来るなら歓迎する。けど無理はしなくていいからね。咲は受験生なんだから』
咲「うん、ちょっとお父さんとも相談して……」
照『……』
咲(あ)
照『咲……高校のことだけど……』
咲「お姉ちゃん……」
照『……いや、それは咲の決めることだってわかってる。けれど私は咲にこっちに来て、一緒に暮らして欲しい』
咲「私も……お姉ちゃんとお母さんと一緒に暮らしたいよ」
照『3人で?』
咲「それは……」
照『……ごめん、咲。こういうことは、直接会って話さないとね』
咲「うん……ずっとはいられないと思うけど、何日かだけでもそっちに応援に行くよ。その時に話そう?」
照『ああ、待ってる。そういえば咲も高校生になるんだから、この機会に携帯電話を買ってもいいかもね』
咲「ええ……わ、私携帯なんて使いこなす自信ないよ……」
照『ふふ、私が色々教えてあげるから大丈夫だよ』
咲「すごいなぁお姉ちゃん……あんな小さな機械を使いこなせるなんて」
照『すごく便利だよ。電話の中に電話帳っていうのがあって、そこから人を選ぶだけで電話がかけられるんだ。私も最近すみ……友達に教わったんだけどね』
咲「え!? あの中に電話帳が入ってるの!?」
照『うん。多分だけど、あの機械の中にすごく小さい電話帳が入っていて、それを虫眼鏡で拡大して画面に映してるんだと思う』
咲「へえ……」
照『と、そろそろ切るね。お休み、咲。風邪を引かないようにね』
咲「うん、お休みなさいお姉ちゃん。全国大会、頑張ってね」
照『ありがとう。……それじゃあ、また』
咲「うん……ばいばい」
咲「ふう……」ピッ
界「やっぱり、照からか?」
咲「お父さん……うん、お姉ちゃん、麻雀部で全国出場が決定したって」
界「そうか。相変わらず強いんだな」
咲「そうだね」
界「……なあ咲。俺に気なんて使わないでお前も向こうに行っていいんだぞ?」
咲「え?」
界「お母さんも照もいるし、それにお前だって麻雀は……」
咲「……」
界「……いや、それにお前くらいの子は都会に憧れるもんだろ?」
咲「そんなことないよ。私、ここも好きだし」
界「ま、俺に気を使わなくってもいいってことだ。飯ぐらい何とかなるしな」
咲「うん……」
結局父親を一人残していくことができなかった咲は東京へは行かず、地元の清澄高校へと進学。
なんやかんやがあって麻雀部へと入部したのだった。
久「へえ。それじゃあやっぱり咲のお姉さんは去年一昨年のインハイチャンピオンの宮永照なのね」
咲「はい。家庭の事情で別居していますけど、お姉ちゃんやお母さんには時々会いに行っています」
まこ「あのインハイチャンプの妹とはのぉ……道理でやたらと強いわけじゃ」
京太郎「咲に姉貴がいるってのは中学の時に聞いてたけど、まさかそんな有名人だったとはなぁ」
優希「んー? でも一体なんでわざわざ離れて暮らしてるんだじぇ? お姉さんがこっちにいれば最強姉妹として注目が集まって……」
和「こら優希。人の家には色々事情があるんですから」ポカッ
優希「あだっ」
咲「…………」
久(そういえば咲は父親と二人暮らしだったわね。そして去年、宮永照がインハイ予選で優勝した時のインタビュー……『私に父親なんていません』だったかしら。中々深い事情がありそうね)
咲「あの、すいません……実はそれに関して、みんなに相談したいことがあるんです」
咲「……ということなんです」
和「なるほど。理由は不明ですが咲さんのお姉さん……宮永照さんは咲さんのお父さんに対してとても怒っていて、それで別居している、というわけですね」
咲「うん。私も何回かお姉ちゃんとかお母さんに理由を聞いてみたんだけど、いつも有耶無耶にされちゃって……」
京太郎「それで別居までするっていうんだから相当だよな」
優希「反抗期ってレベルじゃないじぇ」
久「まこ、どう思う? お姉さんや母親が咲には言いづらい、となるとセクシャルなことくらいしか思いつかないんだけど」ボソボソ
まこ「どうかのう……あんまりひどければ無理やりにでも咲を連れて行くじゃろうし」ボソボソ
久「お姉さんがお父さんの浮気現場を見ちゃった、とか?」ボソボソ
まこ「あー……まあ、ありえん話ではないのう」ボソボソ
咲「私は出来ればお姉ちゃんとお父さんに仲直りして欲しいんです。また一緒に暮らすのは難しくても、せめて会話をしてくれるくらいには……」
久「もちろん、私たちだって協力するわ。けどやっぱり喧嘩の理由がわからないとね……」
和「そうですね。逆に言うと、喧嘩の理由さえわかれば仲直りさせる方法も見えてくるような気がします」
まこ「咲は何か憶えとらんのか? チャンプが怒り始めたきっかけとか」
咲「きっかけ……そういえば」
優希「何か思い出したか?」
咲「その頃私はお母さんと一緒にお風呂に入っていたんですけど……お姉ちゃんはお父さんと一緒に入っていたんです。よく憶えていないんですけど、確かそのことに関してお姉ちゃんがすごく怒っていたのを聞いたような……」
久「お、お風呂かぁ……」
京太郎(あれ、これもしかしてやばい話なんじゃ……)
咲「うーん……他に何かあったかなぁ」
久「ちょ、ちょっと待って咲、無理に思い出そうとしなくていいわ」
咲「え? でも……」
久「それよりも、お姉さんの携帯電話の番号を聞いてもいいかしら。もし咲が良かったら、私の方からそれとなく尋ねてみるから……」
京太郎「あ、ああ! それがいいかもしんないっすね!」
和「そうですか? いくら咲さんの部活仲間とはいえ、会ったこともない他人に聞かれても教えてくれないんじゃ」
まこ「いやいや! むしろ他人だからこそ話せることもあるじゃろ!? 久は頼りになるし、もしかしたら話してくれるかもしれん!」
優希(なんか先輩二人と犬の様子がおかしいじぇ)
咲「うーん……分かりました。それじゃあ部長にお任せしてみます」
久「ええ、任せて頂戴。それじゃあさっそくお姉さんの電話番号を聞いてもいいかしら」
咲「はい、電話帳を持ってきてるのでちょっと待ってください」ゴソゴソ
まこ「アナログじゃのう……」
和「咲さんは携帯電話を持っていませんから……」
咲「あ、ありました。それじゃあ言いますよ?」
久「ええ、いいわよ」
咲「…………」
久「どうしたの?」
咲「ペンとかで書かなくていいんですか?」
久「ペン? いえ、普通に直接電話帳に登録するから大丈夫よ?」
咲「? 携帯電話の中に小さなペンが入っているんですか?」
久「へ? 小さなペン?」
ブー ブー
菫「照、携帯なってるぞ」
照「うん……あれ?」
菫「どうした?」
照「外国の人から電話が来た」
菫「は?」
照「名前が090-xxxx-ooooっていう人」
菫「それは電話番号だ……というかそんな名前の人外国でもいないだろ……多分」
照「出ていいの?」
菫「そういえばお前、妹さんが近々携帯電話を買うかもって言ってたよな。その妹さんからじゃないか?」
照「咲!?」ピッ
『あ、もしもしお姉ちゃん?』
照「咲! 携帯電話買ったの?」
咲『ううん、それはまだ……私も携帯電話ってよくわかんないから、今度東京に行ったときにお姉ちゃんとおんなじやつ買ってもらうよ』
照「うん。それなら私も色々教えてあげられるから、それがいいね」
菫(変なこと教えなきゃいいが……)
咲『ええと、これは部活の先輩の携帯で……その、ちょっとお姉ちゃんに聞きたいことがあるんだ』
照「聞きたいこと?」
咲『うん。ちょっと今その先輩に代わるから……』
久『もしもし、宮永照さんですか? 私、宮永咲さんの所属する麻雀部の部長の竹井久といいます』
照「あ、どうもご丁寧に。咲の姉の宮永照です」
久『ええと……少し周りに聞かれたくないような話をしたいので、場所を移しますね。少し待っててください』
久「……というわけでね。もし咲に聞かせられないようなことなら私の方から上手く言っておくから、教えてくれないかしら」
照『……』
久「勿論言いたくないなら言わなくてもいいわ。けどせめて、あなたがお父さんと仲直りできる見込みがあるかだけでも教えて欲しいの」
照『……見込み?』
久「そう。咲は今でもあなたたちに仲直りして欲しいと思っている」
照『咲には、悪いと思ってる』
久「でしょうね。咲を見ていればあなた達姉妹がどれだけ仲がいいか分かるわ。だからこそあなたにもよっぽどの事情があるんだと思うし、咲も今まで我慢してきたんだと思う」
照『うん……』
久「もしどうしても仲直り出来ないなら仕方ないわ。咲だって最後には分かってくれるはず。けれど、少しでも見込みがあるなら……」
照『仲直り、か。正直分からないんだ』
久「分からない?」
照『咲から聞いたかもしれないけど、私はお父さんっ子だった。だからお父さんを嫌いになるより、いなかったことにするのが一番楽だった』
久「……」
照『本当は私もお母さんも、お父さんを信じているのかもしれない。だけどネッシーが……』
久「ネッシー?」
照『あ……いや、これ以上は言えない。それじゃあ』
久「あっ、ちょっと……切れちゃった」
咲「ネッシー、ですか?」
京太郎「…………」
久「ええ、そう聞こえたんだけど……」
和「ネッシーと言えば、一枚の写真をきっかけに一時期話題になったUMAですね。ネス湖に潜んでいる巨大生物のことで、結局作り物か勘違いであるという結論が有力でしたが……」
まこ「そのネッシーが、咲の家族とどう関係しとるんじゃ?」
久「突拍子もなさ過ぎて分からないわね」
優希「わかったじぇ! 実は咲ちゃんの一家はネス湖のネッシーを守る雀士の一族で、ネッシーを狙う組織に対抗するために……」
まこ「真面目にやりんさい」
咲「ネッシー、ネッシー……うーん、テレビとかで聞いたことはあるんですけど……」
久「やっぱり聞き間違いだったのかしらね……」
京太郎(ネッシー……風呂場……いやまさか)
久「須賀君? さっきから黙ってるけど、何か思いついたの?」
京太郎「え!? い、いやちょっとわかんないっすね!」
久「そう……あ、そういえば喉渇いたわね」
まこ「ああ、何だかんだ話し込んでたしのう。よし、わしがお茶でも……」
久「あーいや、頭を使ったことだし糖分……何かジュースが欲しいわね」
咲「あ、それなら私が買ってきます。私の家のお話に付き合ってもらっているわけですし」
久「あらそう? 悪いわね、それじゃあ咲と和と優希の三人で全員分買って来てちょうだい。お金は私が出すから」
和「わかりました」
優希「おお、奢りとは太っ腹だじぇ!」
久「私はドク○ーペッパーでお願いね。少し遠いけど校門前の自販機にあったはずよ」
咲「はい。それじゃあ行ってきます」
久「急がなくていいからねー…………と、さて須賀君。これで咲たちもいなくなったし、話してくれるかしら」
京太郎「え……な、何のことですか?」
まこ「なんじゃ、京太郎はネッシーが何のことか分かったんか?」
久「須賀君にだけ分かったってことは、同級生の女の子の前では話しづらいようなことじゃないかと思ったんだけど……私とまこだけなら、少しは話しやすいんじゃない?」
京太郎「いや……でも俺の思い違いかもしれないですし」
久「須賀君。事情が事情だけにあなたにとってはすごく話しづらいかもしれない……けど、それが咲の家族の問題なら咲のお父さんとお姉さんが仲直り出来るきっかけになるかもしれないわ。私もまこもからかったり他の人に広めたりは絶対にしない。咲のためと思って、何とか話してくれないかしら」
京太郎「う……わ、分かりました。それじゃあ、あくまで俺の想像ですけど、お話します」
まこ「おう」
久「ありがとね、須賀君」
京太郎「ええとですね……お二人は、ネッシーっていうのがどういう形をしているか憶えていますか?」
まこ「形?」
久「確か想像ではフタバスズキリュウみたいな恐竜と似た感じだって聞いた憶えがあるけど」
京太郎「あ、ネッシーの体全体ではなくて……ネッシーが広まるきっかけになったあの写真のことです」
まこ「ああ、確か湖から首だけ出しているような写真じゃったな」
京太郎「そうです、それです」
久「その写真がどうかしたの?」
京太郎「(ある意味拷問だこんなの)つまりですね……その、ネス湖の水面を風呂の浴槽の水面に見立てて、そこから……つまりその、あれを出せば……そのネッシーの写真っぽくなるんじゃないかなー、なんて……」
まこ「ああ……」
久「なるほど……『あれ』をね」
京太郎「そうです……あれです……」
久「分かったわ。言いにくいことだろうに、良く頑張ってくれたわね須賀君」
京太郎「…………」
まこ「しかし、本当に『ネッシー』とやらがそれだとして……まあ娘が父親を嫌うには十分すぎるきっかけだとは思うが、それで母親まで別居に踏み切るかのう?」
久「さあ……まあ受け取り方は人それぞれだしね。他にネッシーが当てはまりそうなこともないし……」
京太郎「あの、ちょっと待ってください」
久まこ「?」
京太郎(咲のため咲のため咲のため……)
京太郎「その、もう一つもしかしたら、ってことがあるんですけど……」
和「ええと……あ、ありましたよ。部長が飲みたがってたドク○ーペッパー」
咲「よかった、これで全員分だよね? それじゃ部室に戻ろうか」
優希「うーん……こうやって缶を抱えて歩いていると、親父に缶ビールのお使いに行かされてたことを思い出すじぇ」
咲「缶ビール?」
優希「そうそう、当時はお小遣いも少なかったから、お使いのお駄賃代わりに」
和「タコスでも買ってもらってたんですか」
優希「流石のどちゃん! 大正解だじょ!」
咲「ビールかぁ。そういえばお父さんはお酒飲まないなー……」
咲(あれ? でも確か、私が小さい頃はお父さんよくお酒飲んでたような……記憶違いかな? ううん、確かに昔は飲んでた……)
京太郎「その、もう一つもしかしたら、ってことがあるんですけど……」
久「もしかしたら?」
京太郎「その、咲の姉さんがどうしても仲直りしたくない理由です」
まこ「ん? さっきのネッシーとは違う話なんか?」
京太郎「いえ、その話です。ええと、先輩たちも保健の授業とかで男のあれの仕組みは勉強しましたよね?」
久「仕組み? まあ一応ね」
京太郎「……あの、本当セクハラとかで訴えないでほしいんですけど」
まこ「訴えん訴えん」
久「約束するから話してちょうだい」
京太郎「……じゃあもうやけくそで言っちまいますけど、あれって勃○してないとふにゃふにゃで、中々ネッシーみたいに真っ直ぐは勃たないと思うんっすよ。だからもしかしたら……」
まこ「ぬ……それは」
久「あー、そういう話になっちゃうのか」
京太郎「まあ、それを見たんだったら咲の姉さんがそういう風になるのも分かるっていうか」
久「そうね。けどそれなら母親にしろ姉にしろ無理やりにでも咲を連れて行くんじゃないかしら?」
京太郎「いや、何も咲の親父さんが咲の姉さんに興奮したってわけでもないかもしれないです。男なんて何もエロいこと考えていなくても意味もなく勃っちまうこともありますから」
まこ「うーむ……そんなもんなんか?」
京太郎「そんなもんです」
久「まあ、そこら辺の理由とかは結局当人たちにしか分からない問題よね。咲たちもそろそろ戻ってくるかもしれないし、ここまでにしておきましょう」
まこ「久、どうするんじゃ? 京太郎のおかげで大方の想像はついたが……」
京太郎「咲にこの予想を話すかってことですか?」
久「んー、どうしようかしらね」
その日の夜
咲「じゃあ、やっぱりお父さんがお姉ちゃんに……その、セクハラしたんだね」
界「……すまん」
咲「ええ……正直ドン引きだよ」
界「ああ、返す言葉もない」
咲「どうしてそんなことしたの?」
界「いや、酔っ払っていたから……としか言えん。本当に照にもお前にも申し訳ないことをした」
咲「うん……これだけは確認したいんだけど、お姉ちゃんでエッチなことを考えたわけではないんだね?」
界「それは絶対違う……と言っても信じてもらえないかもしれないが」
咲「じゃあどうして、その……おっきくなってたの?」
界「ああ、自分でしごいて勃たせたんだ」
咲「」
これは友達の家(淫ピが居なければこの時期の候補は原村、須賀、片岡の順)に宿泊されても文句が出せない。
咲(私にお父さんなんていなかったのかもしれない……)
界「待て待て咲、お前は誤解している。だからその時は酔っ払ってたんだって」
咲「酔っ払ってるからって流石にそれは……」
界「わかった、最初から話そう。まあ結局俺が悪いことに変わりはないんだが……」
照(ロリ)『ねーねーお父さん』
界(酔っ払い)『んー?』
照(ロリ)『テレビでやってたネッシーってほんとにいるのかな?』
界(酔っ払い)『あー、ネッシーかぁ……どうだろうなあ』
照(ロリ)『私と咲は絶対いるって思うんだけど、お母さんはいるわけないって……ねえ、ネッシーは本当にいるよね?』グスッ
界(酔っ払い)『照……よし、お父さんがネッシーを見せてやるからな!』
界「まあそんなわけで……酔っ払ってた俺は全く見当違いの方向に頑張ったんだ」
咲「うわ……」
界「分かってる、我に返った後で後悔したよ……あの日以来酒は一滴も飲んでいない。それでも照の心を深く傷つけたことに変わりはないし、そのせいで咲や母さんにも寂しい思いをさせてしまった……」
咲「うん、それは本当に反省してね」
界「ああ……まあ、これが俺がずっと隠してきた照との仲違いの原因だ」
咲「……」
界「分かっただろう? 照は何も悪くない、完全な俺の自業自得なんだ。だから咲も俺に遠慮なんかしないで母さんの所に行っていいんだ」
咲「うん……」
界「咲が学校を転校したくないっていうなら一人暮らししてもいいし、何だったら俺が出て行って照と母さんがこっちに戻ってくるんでもいい。それに……」
咲「…………いいよ。私は、今のままお父さんと暮らすよ」
界「咲……しかし」
咲「うん。お姉ちゃんの気持ちを考えるともう無邪気に仲直りして欲しいなんて言えない。だからお姉ちゃんと一緒に暮らすことは出来ないかもしれないけど……やっぱりお父さんも、一緒に暮らしてきた家族だし」
界「咲……すまない、本当に……」
咲「まあ、お酒さえ飲まなければお父さんも変なことはしないみたいだし……けど、ちゃんとお姉ちゃんにも謝ってね。許してくれるかは分からないけど」
界「そうだな……あいつにこそ謝らないとな」
照「……お母さん、ちょっと相談があるんだけど」
宮永母「相談? どうしたの改まって」
咲ちゃん、マジ天使(卓上では寿命を迎えた魂を冥府に導く方)
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