健夜「まだ終わらないインターハイ」咲「Bブロック、ですね」 (770)

健夜「いよいよ開戦インターハイ」咲「私は観戦」
健夜「いよいよ開戦インターハイ」咲「私は観戦」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1472318624/)の続きになります。

・咲さんのコーチに健夜、後輩にマホが居ます。
・前回は阿知賀編(Aブロック編)、今回はBブロック編です。
・咲ちゃんではなく、咲さんです。キャラ改変注意
・Bブロック編と言っても、Aブロックのキャラも普通に出てくると思われます。


今回は、前回のスレも見て頂いてからの方がより楽しんで頂けると思います。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1473073727

一先ず建てましたが、書き溜めが皆無な為、更新激遅かと思います。
今回も、まったりお付き合いくださいっ




【始まり】




~咲・宿泊ホテル~



咲「……」パチ



咲「…ん……朝……?」ムク


咲「ふぁ……」ネムネム


咲「…よく寝たな…」ゴシゴシ



咲「……」イワカン


咲「……?」チラ




マホ「ん……」スヤスヤ


健夜「…」スースー



咲「……」スッ



マホ「んへへ……」ギュー


健夜「んぅ…」ギュッ


咲「……」グイグイ


咲「…はぁ」




咲(2人の腕が絡まってて起き上がれない……)


咲(何で二人とも私のベットで寝てるの…?)ハァ


咲「……」



咲「健夜さん、邪魔です……どいてください」グイグイ


健夜「んぅ……」ギュー



咲「もう……私は抱き枕じゃないんですよ」グイグイ


健夜「んー……お母さん…後5分だけ……」スースー


咲(お母さんって……)


咲「お母さんになる様な年齢なのは、健夜さんですよー」ホッペムニムニ


健夜「…んっ……」スヤスヤ



咲(起きないな……)


咲「……」



咲「マホちゃん、起きて?朝だよ」サスサス


マホ「ふふ…みやながせんぱい……まほと楽しみましょう…んぅ…」スースー


咲「……マホちゃーん?」ユサユサ


マホ「……」スヤスヤ


咲「……2人とも起きないし」


咲(どうしよう……もう8時だけど…)


咲「……仕方ないよね」



咲「……」スッ



咲「……」ヌクヌク


咲「……」チラ


健夜「ん……」スースー


咲「……」ジーッ


健夜「……」スヤスヤ


咲「……」フフッ


咲「ふあぁ……」アクビ



咲「……」ウト



咲「…」ウトウト






咲「」スースー








_______________
_______________




健夜「んっ……朝…」パチ



健夜「っつー…頭痛いぃ…」ズキ




マホ「おはようございます、健夜さん」コソコソ


健夜「あ、マホちゃん…おはよう」ニコ


マホ「頭痛いって…二日酔いって奴ですかー?」コソコソ


健夜「うん…昨日、良子ちゃんに強いお酒飲まされ過ぎたよ…」ウゥ


マホ「それはご愁傷様ですね……」



健夜「それより、どうしてそんなに小声なの?」



マホ「ふふっ……見てください、先輩」クスクス


健夜「え…?」


健夜「……ふふ、咲ちゃん…」クス


咲「……」スヤスヤ


マホ「1度起きた形跡がありますし、二度寝しちゃったんですね」


健夜「珍しいね、咲ちゃんが二度寝なんて」


マホ「ですねー」



咲「…んぅ……ふふ……くすぐったい…です…」スヤスヤ




健夜「……」ジーッ


マホ「……」ジーッ



咲「んん…」スヤスヤ


健夜「可愛い……」


マホ「……マホも同じ事思ってました」


健夜「……」ジーッ


マホ「……」ジー





健夜「……」ウト


マホ「……」ウト



健夜「…」ウトウト


マホ「…」ウトウト





健夜「」スースー

マホ「」スースー










咲「んぅ……朝……?」パチ


咲「って……2人ともまだ寝てるし……」





【始まり・ある日の朝、カン】

建てておいて何も投下しないのはアレかと思い、平和な朝でした。
今回は、咲すこを多めに書きたいですっ


―――――――――――――――――――――――



咲「全く……一度起きたなら起こしてくださいよ…」


健夜「咲ちゃんこそ、もう少し強引に起こしてくれたら良かったんだよ?」


咲「そ、それは……その…」モジ

咲「……」


咲「健夜さんが……気持ちよさそうに寝てましたし…」ボソッ


健夜「え?私が、なに?」


咲「な、何でもありません!!」




咲「健夜さんはどうして私を起こさなかったんですか?」


健夜「んー……」カンガエ



健夜「咲ちゃん、可愛い寝顔で寝てたし……起こしたら悪いかなって」ニコッ



咲「……」



咲「……?」



咲「~~~~~ッッッ/////」ボッ




咲「な、何見てるんですか!!」


健夜「あはは、早起きしたら良いことあったなぁ」


咲「別に早起きではありませんし!……ていうか、その年になって」


咲「お母さん……あと5分だなんて言うの、止めた方が良いかと思いますが」



健夜「……へっ!?」



健夜「わ、私そんな事言ってた……?」


咲「はい」ニッコリ


健夜「恥ずかしい……/////」


健夜「べ、別に、お母さんに毎日そんな事言ってる訳じゃないからね!!////」



咲「どうだか。私のベットにまで潜り込んできて……」


咲「まさか、今でもお母さんと一緒に寝てるとか」


健夜「違うよ!?」


咲「ならどーして私のベットに?」ジト


健夜「うっ……それは…」オロ



健夜「せ、生徒とコーチの仲を深めるため……とか?」


咲「変態」ジト


健夜「なんで!?」





マホ「先輩と健夜さんは朝から仲良しですねー」ネムネム


咲「あ、マホちゃん」


マホ「お待たせしましたー!身支度完了ですっ」


マホ「私服だと浮いてしまった昨日の反省を活かして、制服にしてみましたー!」クルッ


咲「うん、マホちゃんは制服も似合うね。可愛いよ」


マホ「えへへ/////ありがとうございます///」テレテレ



マホ「宮永先輩も、制服がお似合いです!」


咲「そ、そうかな…ただのブレザーだけど」


マホ「とっても可愛いですよ!それに、半袖だと観戦室少し寒いので、丁度良いと思います!」


咲「昨日ワンピースで行って凍えそうだったからね……」




健夜「そ、そうだ!」


健夜「咲ちゃん、マホちゃんも咲ちゃんのベットに入ってたよ?」


マホ「??入ってましたよー?」


咲「マホちゃんはマホちゃんです。健夜さんは健夜さんです」


咲「分かりましたか?」



健夜「何一つ分からなかったけど、私が酷い事言われたのは分かったよ!?」ガーン


咲「全て分かってるじゃないですか」


健夜「分かりたく無かったよ!!」ガーン




マホ「もー、健夜さんは鈍いですねー」


マホ「先輩は、こう言ってるんです!……こほん」




マホ『……健夜さんのバカ…一緒のベットで寝るなんて…少し、期待しちゃいました…』(上目遣い)





咲「こ、渾身の声マネなんだろうけど……絶望的に似てないよマホちゃん」


マホ「声マネの評価は要らないんですー!」


健夜「ていうか、流石の私でも咲ちゃんがそんな事思ってないくらい分かるよっ」


健夜「ね、咲ちゃん?」



咲「……」ムッ



咲「…マホちゃん、健夜さんが美味しい高級レストラン連れて行ってくれるって」





健夜「えっ」



マホ「本当ですか!?やった!」キャー


健夜「えっ、どうして急に!?」


咲「……」プイッ



マホ「いつですか健夜さん!」キラキラ


健夜「今のは咲ちゃんの嘘だよ!?」


マホ「えっ……」シュン


健夜「……っていうのも嘘!」


マホ「!!」パァッ


咲「それも嘘なんだって」


マホ「健夜さん……」ズーン


健夜「う、嘘じゃないよ!」


マホ「健夜さん!」ヤター!





健夜「さ、咲ちゃん助けて……」ウルウル


咲「嫌です。ほら、朝ご飯食べに行きますよ」プイッ


健夜「咲ちゃんー!!」


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レスありがとうございます。とても嬉しいです
投下数が少なくてすみません。


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咲「ふぅ…お腹いっぱいです」


マホ「起きた時間が微妙だったせいか、兼お昼ご飯みたいになっちゃいましたねー」


咲「そうだね」


健夜「今日はどうしよっか?私は一先ず解説のお仕事も一息ついたし、一緒にいられるけど」


咲「レストランの予約は良いんですか?」


健夜「その話はさっき麻雀で片付いたでしょ!?」


マホ「健夜さん、大人げなかったですー」


咲「ねー。本気の本気で来るんだもん」



マホ「まあでも、高級じゃなくても連れて行ってくれる約束はしてくれるんですから、人の良さが出てますよねー」


咲「詐欺に会うタイプだよね」


健夜「酷い言われようだ…」



咲「冗談です。楽しみにしていますね、ありがとうございます」


マホ「楽しみです!」


健夜「そ、そんなに喜ばれちゃうと……」


健夜「えへへ、うん、どういたしまして」ニコニコ


咲(何だか本当に詐欺とかに合いそうで心配だな……)



健夜「それで、今日はどうしよっか?」



マホ「うーん……東京の観光はもう済ませちゃいましたしねー」


咲「私は、特に何もせずホテルで過ごすのが良いと思いますけど」


健夜「相変わらずのインドア……でも、私もそれが良いかな」


マホ「マホは、この前の観光で満足なので、2人に合わせます!」


咲「それじゃあ、決まりだね」


健夜「折角だし、何か映画でも借りてこっか」


マホ「あ、賛成です!」


咲「良いですけど、怖いのはやめt」




プルルルルルル プルルルルル




健夜「電話?」



マホ「マホじゃないですー」


咲「あ、私だ……」


健夜「誰からだろうね?」


マホ「さすがに阿知賀の誰かが、昨日の今日で掛けてくるとは思えませんけどー」


咲「私もそれはないと思うけと……一体誰が」チラ


咲「……」


健夜「咲ちゃん?」


マホ「先輩?」



咲「……」スッ








咲「……お姉ちゃんから、です」つ ケータイ




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【宮永咲と宮永照】




【喫茶店】




店員「いらっしゃいませ、1名様ですか?」


咲「いえ、待ち合わせで……」


「咲、こっち」


店員「これは失礼致しました、ごゆっくり」ニコッ


咲「ありがとうございます」ペコ


咲「……」テクテク


咲「……ふぅ」スワリ





咲「ごめんねお姉ちゃん、遅れちゃって」



照「いや…こっちこそ、急に呼び出したりしてごめん」


咲「良いって良いって。どの道、用事とかは無かったから」


照「そっか、良かった」


咲「うん」


照「……何か頼む?」


咲「んー……昔と一緒で」


照「分かった」




照「すみません、オレンジジュース2つと、ジャンボパフェ1つください」


店員「かしこまりました」



咲「驚いたな……」


照「何が?」


咲「よく覚えてたなって。昔と一緒って言葉だけで」クスクス



照「……まあ。忘れないよ、咲との思い出だから」


咲「……ありがと」



照「……」


咲「……」




照「この前は……淡が失礼した」


咲「えっ?」


照「阿知賀、咲のお友達か何かだったんでしょ」


咲「友達って程じゃないよ」



照「……協力とか、してた?」


咲「どうしてそう思うの?」



照「松美玄さんの打ち筋、少しだけ咲の影がチラついてた」


照「……って言っても、私は昔の咲の打ち筋しか、知らないんだけどね」


咲「……当たりだよ。少しだけ、色々あって協力をね」


咲「さすがは、インターハイチャンピオンだね……普通、そんな事気付かないよ?」



照「私だって、小さい頃から成長してる」



照「昔の私に、今と同じ力があれば…」


照「咲のプラマイゼロだって、もっと早く」


咲「こら、お姉ちゃん」ピト


咲「それは言わないって約束……忘れた?」


照「……ごめん」


咲「お姉ちゃんは、たくさん私の為に頑張ってくれた」


咲「それで充分なの。とっても嬉しかったんだよ?」


照「……うん」


咲「…もう……お姉ちゃんってば、対局の時はあんな大魔王!って感じなのに」クスクス



照「不本意……私は普通に打ってるのに…」



咲「でも、そんなお姉ちゃんもカッコよくて好きだよ?」


照「……っ」


照「……咲がそう言うなら、まあ、うん…」


咲「照れた?」


照「照れてない」


咲「またまたぁ、耳まで赤いよ?」クスクス


照「照れてないから」プイッ


咲「ふふっ、頑固なんだかr」



咲(何かこの会話デジャブだな…)


照「咲?」


咲「あ、ううん。なんでもっ」



店員「お待たせ致しました、オレンジジュースとジャンボパフェになります」スッ


照「ありがとうございます」


咲「どうもです」ニコッ


店員「ごゆっくり」ペコ



咲「なんだか懐かしいね」


照「うん……昔は、2人で…いや、3人でこうやって一つのパフェを食べてた」


咲「……ね。皆の少ないお小遣いを出し合って」クスクス



咲「今のお姉ちゃんだったら、1人で全部食べれちゃうんじゃない?」


照「否定はできないね」パクパク


咲「ふふっ、それじゃあやっぱり1個ずつ頼もっか?」


照「……いや、一つで良いよ」モグモグ


咲「その割にはお姉ちゃん、もう半分食べてるけど」


照「……てへ」


咲「もう……お姉ちゃんってば」クスクス



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咲「やっぱり、落ち込んでるんだ」


照「うん…あの子、負けず嫌いだから」


咲「……それなら、決勝戦ではもっと強くなってるね」


照「そうだね。やっと負けを知ってくれた」


照「こんな事言うのも違うけど、淡を負かしてくれた高鴨さんには少し感謝かな」


咲「感謝はしなくていいと思うけど…」


咲「……お姉ちゃんが本気で打ってれば、もう少し楽に勝てたんじゃない?」




照「私は本気で打ったよ?」



照「……なんて言っても、咲にはバレちゃうかな」


咲「うん。私を誰だと思ってるの?」


咲「宮永照の妹なんだから」


照「ふふ、そうだね」ニコ


照「確かに、アレは出さなかったけど……決勝戦までは隠しておきたかったから」


咲「そうなんだ」


照「咲こそ、もっと私の情報を阿知賀に教えて上げてたら、ヒヤヒヤせずに済んだんじゃない?」


咲「まさか。お姉ちゃん対策は協力したけど、そこまでは言う訳ないよ」


照「私は、楽しくなるなら構わないけど」



咲「……きっと永水女子がBブロックに上がってくるだろうから、楽しめると思うよ」


照「神代さん?」


咲「うん。私も、楽しみにしてるね」


照「……」


照「……久々に、咲とも打ちたいな」チラ


咲「……」


咲「今は時間がないから……また今度ね」ニコッ


照「……ん」コク



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咲「へぇ、それじゃあ、お母さん元気なんだね」


照「うん。お父さんに会えなくて寂しがってる」


咲「……そこは嘘でも私って言っておこうよ」


照「咲にも会いたがってると思うけど」


咲「お母さん、お父さんの事大好きたからね……」


咲「知ってる?引っ越す前に、私がお母さんに言われた最後の言葉」


照「お父さんが浮気しそうになったら、代わりに刺していいわよ。いえ、刺しなさい!」


照「……でしょ?」


咲「ふふっ、そうそう!私まだ中学上がりたてだったのに」



照「しかも、お父さんの目の前であえて咲に言うっていうね」クス


咲「お母さんに、お父さんは今でもお母さん一筋みたいですって伝えておいてね」


照「了解」


照「……っと、そろそろ時間…」


咲「あ、本当だ……1時間なんてあっという間だね」


咲「っていうか、わざわざミーティングの前の空いた時間に会わなくても……」


照「折角咲が東京に来てるんだし、会える時には会っておきたいから」


咲「……私は嬉しいけど、お姉ちゃんが大変じゃない?」


照「妹がお姉ちゃんの心配をする必要は無いの」クス


咲「……はぁい」



咲「もう、昔からそうやって言うんだから」


照「今は只でさえ離れて暮らしてて、姉らしい事出来てないから」


咲「こうやって、空いた時間に会ってくれるだけでも、嬉しいよ」


咲「お姉ちゃんこそ、私に心配掛けさせないように、ちゃんと身体に気を付けるんだよ?」


照「うん。大丈夫」


咲「それじゃあね、お姉ちゃん」


照「うん、またね」フリフリ


咲「また」フリフリ





咲「……ふぅ…」


咲「お姉ちゃん、頑張って」グッ



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【数分後】



照「……もしもし、菫?」


菫『……』


照「……迎えを頼みたい」


菫『だと思ったよ……だから私も付いていくと言ったのに』


照「咲とは……2人きりで会いたかったから」


菫『それは分かってる。それじゃ、今から行くから少し待ってろ』


照「ん、ありがと」





照「……咲は大丈夫かな」


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咲「……もしもし、健夜さんですか」


健夜『……やっぱり?』


咲「はい……迎えをよろしくお願いします」


健夜『最早定番だね…私とマホちゃんのどっちかだけでも連れていけば…』


咲「お姉ちゃんとは、2人で会いたかったので」


健夜『……分かってるよ。それじゃあ、今から迎えに行くから』


健夜『絶対、絶対に動いたらダメだからね』


咲「釘刺しすぎでしょう……すみません、ありがとうございます」




咲「……お姉ちゃん、大丈夫かな…」




【宮永咲と宮永照、カン】

Bブロック偏なのに、初登場キャラが照になってしまいましたね……


レスありがとうございます。嬉しいです

ミス発見……松美玄→松実玄

>>50
きっと永水女子がBブロックに上がってくる

きっと永水女子がBブロックから決勝に上がってくる

結構気付かず投下してる率が高いです…気をつけます。


【小話・2人の帰路】




咲「……」テクテク


健夜「……」テクテク


咲「……」チラ



咲「……」フゥ





咲「……すみません、迷惑掛けて」


健夜「……え?」



咲「毎回、ありがとうございます」


咲「その……迎えに、来てくれて」


健夜「……」





健夜「えっ!?」


健夜「ど、どうしたの……?いきなり改まって」



咲「…思い返せば、健夜さんにはたくさん迷惑を掛けているなと思いまして」


健夜「め、迷惑って……そんな事思ってないよ?」


咲「……」



健夜「えっと…?」


咲「……」


健夜「咲ちゃん…?」





咲「……偶には、怒ってください」


健夜「えっ……」




咲「……怒ってくれないと、不安…です」


健夜「……」




咲「……!!」ハッ


咲「す、すみません、少しボーッとしてて…」アセアセ



咲「今のは忘れてください。多分、お姉ちゃんと久々に対面して……ちょっと疲れてるだけですから」


咲「あはは……私、何言ってるんでしょう」



健夜「……」カンガエ



咲「ほ、ほら健夜さん、行きましょう?」


咲「マホちゃん待ってるんですから」スタスタ


健夜「……」



健夜「こ……」



咲「はい……?」




健夜「こ、こらーっ!」プンスコ




咲「……」ピクッ


咲「えっと…?」



健夜「怒ってみたんだけど……ダメ、だったかな……?」


咲「……」



健夜「ご、ごめんね!?怒れてないよね!」


健夜「うーん……怒る…怒る……」


健夜「別に迷惑だなんて思ってないし……難しいなぁ…」ブツブツ


咲「……」






咲「……ぷっ…」


咲「ふふっ…ありがとうございます」



咲「すみません、もう大丈夫ですからっ」ニコリ




健夜「えぇ…?」


健夜「な、何が何だかわからない……」


健夜「でも、本当に迷惑だなんて思ってないからね?」


咲「……はい」ニコッ


咲「さっきのはすみません。私、変なこと言いました」


健夜「ううん。ちょっとビックリして、熱でもあるのかと思っちゃったけど」


咲「それは酷いですよ……」




健夜「ふふっ…その、私はね?咲ちゃんを迎えに行くの、好きなんだ」


咲「えっ」



健夜「駆け付けた時の、少し嬉しそうな咲ちゃんの顔が可愛いし」


健夜「ツンツンしてるけど、ちゃんとお礼言ってくれる所も、可愛いなって思うよ?」


咲「……」



咲「……?」




咲「ッッッ!?/////」ボッ



健夜「だから、むしろ役得なの」クスクス


咲「す、健夜さん……」テレ













健夜「っていう話を、さっきもマホちゃんとしててね?」


咲「……」




咲「えっ」


健夜「マホちゃんも、同じ事思うって言って……咲ちゃん!?」


咲「……!!……!!」ベシベシ


健夜「ちょ、べしべし叩くのやめて!?」


健夜「地味に痛い!!地味に痛いよ!」アウアウ



咲「~~~っっ/////!!!」ポカポカ


健夜「ポカポカもやめて!?」




咲「もう、健夜さんの言う事は何も信じませんからね!!!」スタスタ




健夜「ちょっ、待って!?一人で行くと迷子になる!迷子になっちゃうから!」アセアセ



咲「知りません!その時は健夜さんが30秒以内に見つけてください!」ベーッ


咲「見つけてくれなかったら怒りますからっ」



健夜「私、怒れって言われてた筈なのに何で怒られる側になってるの!?」


咲「ほら、早く帰りますよ!」スタスタ









咲「……」


咲「……健夜さんの、バカ」ニコリ








【小話・2人の帰路、カン】




レス感謝です。ありがとうございます
照は恰好いいので、自分も好きですね。原作でも早く仲直りして欲しいです。

もう少し咲健夜マホを挟んで、Bブロックに入ります。投下数、頻度共に少なくて申し訳ないですっ



【咲・宿泊ホテル】





咲「へえ、それじゃあBブロックの試合の録画を見直してたんだ」


マホ「はい!第一ブロックと、第二ブロックの1.2回戦だけですけどね」


咲「第一ブロック……って事は、臨海が入ってる方だね」


マホ「外国の方が沢山いて、日本の人は先鋒だけでした」


咲「あれ?去年は先鋒も外国の人でしたよね、健夜さん」


健夜「今年からルールが変わってね、先鋒は必ず日本人って言う決まりに変わったの」


咲「へぇ、何でですか?」


マホ「去年は白糸台が優勝だった訳ですし、全員留学生で困る事とかないですよねー?」


マホ「全員留学生で出て負けてる訳ですし、戦力の調整とは思えませんよー」



健夜「うーん、詳しくは知らないなぁ……そういえば何でなんだろ?」


咲「今年の先鋒の人って、去年の個人戦3位の人でしたよね確か」


健夜「うん、辻垣内智葉さんだね」


咲「つじがい、とさとは?」


マホ「ふふっ…先輩!性と名がごっちゃごちゃになってますよー」


咲「つじ…つじがいとさ……?」ウーン


健夜「辻垣内智葉さん、だよ」クスクス


咲「辻垣内智葉さん、ですか」


咲「物凄く呼びにくい名前ですね」


マホ「珍しい苗字ですよねー」



咲「そんな、個人戦3位になれる実力を秘めた人を、昨年団体戦で先発として出場させなかった理由も想像できないです」


健夜「去年出てた先鋒の留学生選手と辻垣内智葉さんの実力は、そんなに差が無かったと思うんだけどね」


マホ「何だか怪しい匂いがしますね!」


咲「まあ、日本でやってる大会に全員留学生の高校とか出てたら、色々と不味いと思ったのかもですね」


健夜「運営にも色々考えがあるんだよ、多分」


マホ「そうそう、マホと健夜さんは、一周分見終わりましたけど、宮永先輩も見ますか?」


マホ「第一ブロックから第四ブロックまで、一応1,2回戦の映像はあるので、どれでも見れますよ!」


咲「んー……」



咲「私は見なくても良いかな」


咲「姫松、永水辺りの結果とか選手の情報とかは、昨日の喫茶店で確認したし」


咲「明日には準決勝が始まるんだから、お楽しみにしておくよ」


マホ「あー、マホが目隠しされた時ですね!」


健夜「め、目隠し?」


咲「知ってますか健夜さん」


健夜「何を?」


咲「……BブロックのBは、BIGのBなんですよ」


健夜「ど、どういう事…?」



マホ「健夜さんは、明日はまたAブロックの会場から解説ですか?」



健夜「あ、うん。こればっかりはお仕事だから、仕方ないね」


健夜「だから、マホちゃんは咲ちゃんと一緒にBブロックの会場に行ってくれる?」


マホ「元よりそのつもりですよ!」


咲「休憩中に電話、くださいね」


健夜「咲ちゃんの方に掛ければいいかな?」



咲「……それはお好きな方へどうぞ」


マホ「マホ、電話に気付かない事が多々あるので、宮永先輩の方にかけて下さいです!」


健夜「ん、分かったよ」



咲「え、でもマホちゃんに電話掛けると、ほとんど1コール内に出る気がするんだけど」


マホ「それは宮永先輩からの電話だからです!」


健夜「あれ、何か私が傷付くな……」ズーン


咲「元気出してください」


咲「私達の方でなにかあったら、メールしておきますね」


健夜「了解したよ」



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マホ「んー」


マホ「今はまだ2時ですかー」


咲「麻雀でも打つ?」


マホ「さっき健夜さんと対局したので、マホは暫くコピーが使えませんけど、良いですか?」


咲「あ、そうだったね。……それじゃあ、やめとこっか」


マホ「マホの事は気にしなくても良いですよ?」


咲「ううん。と言うよりも、私も少し疲れちゃったから」


健夜「2人とも大丈夫?」


マホ「健夜さんは、流石にまだまだピンピンしてますねー」



咲「この人、よっぽどの事が無いと麻雀で疲れないからね」


健夜「そんな事ないよ?2人と打つ時は、結構消耗するし」


咲「普通は麻雀で体力なんて消耗しないんですけど」


マホ「宮永先輩が普通を語ってはいけないとマホ思うです」


咲「えっ、それどういう意味……」


健夜「まあまあ。それなら、映画でも見よっか?」


咲「あぁ、借りようとか何とか言ってましたね」


咲「どんなの借りてきたんです?」



マホ「……それなんですけどぉ」ニコッ


健夜「咲ちゃん、AかBどっちがいいかな?」ニコリ


咲「は?意味が分かりません」


マホ「2つ借りてきたので、先輩が選んだ方を見ましょう!」


咲「何でそんな面倒な事を?」


咲「まあ、良いですけど」



健夜「咲ちゃんがA、B決めてから私達がどちらか選ぶイカサマが出来ないように、事前に紙を貼り付けておいたから、安心してね」


咲「わざわざそんな事までしたんですか……」


マホ「ささっ、先輩選んでくださいです!」



咲「んー……なら、Bブロックと掛けてBで……」


咲「って行くと、少しベタですね」


咲「Aにしましょう」


健夜「」ニヤリ


マホ「おお、健夜さんの読み当たりです!」


健夜「えへへ、でしょ?」


咲「読み……?」


健夜「咲ちゃんがどっちを選ぶか、予想してたんだー」


マホ「ちなみに、どちらかはホラー!どちらかはファンタジーですよ!」


咲「へぇ………………」



咲「……え、マホちゃん今なんて?」


咲「ホラーとか何とか聞こえたんだけど」


咲「健夜さん、どういう事ですか」




マホ「宮永先輩、自問自答から質問まで立て続けにやってます」


健夜「…ふふっ……」クスクス


健夜「その問いに答えるのは、とりあえず映画を見てからね!」つ カセットオン


咲「ちょ、待って」


マホ「カーテン閉めて暗くしますねー!」


咲「な、何で暗くするのかな?」ピクッ


マホ「雰囲気を出すためです!」


咲「何の雰囲気かな!!?」




健夜「それじゃあ、再生っと」ポチ



咲「私、少しおトイレn」


TV『バリーン!!!!(窓が割れる音)』



咲「ひゃっ!!!」ビクッ



咲「な、何で急に始まって……!」


健夜「マホちゃん、これ何ていうタイトルだっけ?」


マホ「えっとぉ……」


マホ「呪牌、ですね」





咲「ゆ、許しません……許しませんよ、健夜さん……」プルプル




TV『イーシャンテン!!!!!』ドーン


咲「ひっ……!!」ブルブル



咲「ふ、2人とも……もう少しこっちに近付いて良いんだよ…?」チラ



TV『お前のチートイをトイトイにしてやろうかぁぁぁぁ!!!!!』


咲「きゃぁぁぁぁっっ!?」ダキッ


健夜「咲ちゃん?」



咲「聞こえない聞こえない……聞こえない……何も聞こえない…!!」ギュー


健夜「……」


マホ(宮永先輩可愛い……)キュン


健夜(……咲ちゃん可愛い)ニコー



咲「お、終わったら覚えていてくださいよ……っっ!!」



健夜(あ、終わった後の事考えるの忘れてたや……)


TV『タンヤオ!!!!!』バーン!


咲「ひゃぁぁぁぁっっっ!!!」ギュゥ


健夜(……まあ、可愛いからいっか)ニヘラー



マホ(宮永先輩の可愛い所が見られて嬉しいですけど……)








マホ(ま、マホもちょっと怖いんですけど……!!)プルプル



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中々書き溜める時間が無い……っ!
土日にはBブロック編入ります。



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【二本視聴後】




咲「さ、映画も終わったしマホちゃんお風呂入ろっか?」


マホ「入ります!」


咲「……健夜さんはそこで少し反省しててくださいね」ジロ


健夜「ま、マホちゃんも共犯なのにこの差は一体……?」正座


咲「マホちゃんも怖がってたみたいですし、一人でお風呂に入らせたら可哀想じゃないですか」


マホ「先輩……優しいですっ」ウルウル


マホ「悪ノリしちゃってごめんなさいです……」(上目遣い)


咲「ううん、良いんだよ」ニコッ





健夜(小悪魔めー!!)



健夜「わ、私も一人で入るの怖いなー?」チラチラ


咲「大丈夫ですよ」


咲「健夜さんに近付く幽霊なんていませんから。むしろ、あっちが怖がって逃げますよ」


健夜「酷い!?」


マホ「あ、あのぉ……健夜さんも、悪気があった訳ではないと思うので……」


健夜「マホちゃん!!」パァッ



咲「マホちゃんは知らないかもしれないけど、この人同じ事やって私を怖がらせた事あるんだから」


咲「私は仏じゃないので、顔は3度も無いですよ」



マホ「そうなんですね。なら仕方ないです」


健夜「お、覚えてたの……?」


咲「忘れるはずありませんよ」ハァ


咲「……まあ」


咲「どうせ怖いなんて嘘でしょうけど、入って来たければどうぞ」


咲「健夜さんが無駄に張り切ったこの部屋、お風呂凄く大きいですし」


マホ「そうですね!マホあれやりたいです!」


マホ「泡がブクブクって出るやつ!」



咲「そんなのがあるの?」



健夜「ジャグジーだね」


咲「じゃぐじー……?」


マホ「それですっ。ほら先輩!早く入りましょう!」グイグイ


咲「ふふっ、引っ張ったら危ないよー」クスクス








健夜「……」


健夜「これは、入るべきか入らざるべきか……」ウーン





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



【おふろたいむ!】




マホ「ふふっ、先輩くすぐったいですよぉ」


咲「こら、動いたら洗いにくいでしょー」ワシャワシャ


マホ「あははっ、だってぇ!」キャー


咲「はい、目瞑っててね?」


マホ「はーいっ」


咲「んしよっと…」バシャー


咲「はい、お終いっ」ナデナデ


マホ「ありがとうございますっ!」



咲「私は身体洗ったら入るから、先に入ってていいよ?」


マホ「あ、それなら!」


咲「マホが宮永先輩の身体洗いますよ!」


咲「えっ?」


マホ「いえ、洗わせてくださいですっ」


咲「そう?……それじゃあ、お願いしよっかな」クスクス


マホ「任せてくださいです!」


マホ「~~♪」ゴシゴシ


咲「んっ…ふふっ、ちょっとくすぐったいね」


マホ「少し我慢しててくださいですーっ」ムニ


キャッ マホチャンソコハイイヨー!
イイカライイカラ? マカセテクダサイッ

ンッ…マホチャ…





?「カットじゃけえ!」



_______________
_______________




マホ「ふわぁぁ……凄いです!ブクブクしてます!」キャー


咲「ふふっ、良かったねマホちゃん」ニコッ


マホ「真上に居ると気持ちいいですぅ……」ハフゥ


咲「……」クスクス


咲「……で、本当に入ってくるなんて思ってませんでしたよ」チラ


健夜「ふぅぅ…疲れが吹っ飛ぶねー…」ポカポカ


咲(聞いてないし……)


咲「確かに、気持ちいいかも…」フゥ



健夜「……」ジーッ


咲「…何ですか、人の身体をジロジロと……」


咲「変態ですか」


健夜「違うよ!?……咲ちゃん、細いなって思ってね」


咲「はぁ、そうですかね?」


健夜「ちゃんとお家でご飯食べてる?ダメだよ、しっかり食べないと」


咲「誰目線ですか……」


咲「食べてますよ。と言うか、ご飯作ってるのも私ですし」



マホ「そーいえば、宮永先輩が居ないでお父さんは生活出来てるんでしょうかー?」


咲「外食と出前で何とかしてるって、昨日電話した時に言ってたかな」


マホ「へぇ……あ、健夜さんはお料理とかするんですか?」


咲「しないよ」


健夜「え、何で咲ちゃんが答えたの!?」


咲「するんですか?なら今度手料理でも食べに行きますね」


健夜「……作れないけどさ」ショボン



マホ「えっと……じゃあ、お洗濯とかお掃除とかは……」


咲「洗濯は、入れる洗剤の量絶対間違えるし、掃除も一つ片付いたら一つ散らかってるよ」


マホ「か、壊滅的」


健夜「私も、今言われてて改めてヤバイなって思ったよ…」ズーン


マホ「花嫁しゅぎょーとかしないと、ダメなんじゃ無いですか?」


健夜「ぐっ…お母さんと同じ事を」グサッ


マホ「宮永先輩は、家事全般完璧ですから心配ありませんよねー!」


マホ「マホも覚えたいです」


咲「あはは…完璧って程じゃないけどね」


咲「お料理くらいなら、今度教えてあげるね?」


マホ「やりましたぁ!」ヤター



健夜「で、でも、私は咲ちゃんが苦手な電子機器系は使えるし、迷子にもならないもん!」


咲「何を張り合ってるんですか」


マホ「マホは家事がそんなに出来ない訳ではありませんし、機械も迷子も大丈夫なので」


マホ「先輩、マホ、健夜さんの順番ですね!」


健夜「何の順位かな!?」


咲「生活力の有無のですよ。分かるでしょう」


健夜「うぅっ…………はっ!」ヒラメキ




健夜「私は収入があるよっ!」フンス



咲「……まあ、確かに」


マホ「うわっ、そこを持ち出してくるなんて大人気ないです」


健夜「そんなことないもーん」


咲「ふっ…健夜さん、子供ですか」クスクス


咲「まあ、家事完璧で麻雀最強な……パーフェクト健夜さんなんて見たくないので」


咲「健夜さんは今のままで、大丈夫ですよきっと」


マホ「婚期は知りませんけどね!」


健夜「咲ちゃんが優しい言葉を掛けてくれたと思ったら、マホちゃんがトゲのある言葉を!?」



咲「プラマイゼロですね、なんちゃって」


健夜「傷付き度的には、少しマイナスだよ……」


咲「おお、よくぞプラマイゼロを止めました」


健夜「そのプラマイゼロは、出来ればプラスで止めたかったかな」


咲「なら料理を頑張ることですね」


健夜「ラーメンならなんとか!」


咲「それを料理と呼ぶなら、全世界の人が料理上手になりますよ」


健夜「ぐぬぬぬぬ……!」


咲「ふふっ」クス







マホ(仲いいですねー)ポカポカ


次回から、Bブロックに入ります。
まったり続けますっ



【Bブロック会場・観戦室】





恒子『さあさあ!!昨日、Aブロックの準決勝を終えたと思ったら今日!!』


恒子『今度はBブロックの準決勝開始だぁぁぁぁ!!』


恒子『という訳で!!このチャンネルで実況を務めますのは、昨日と同じ!ミラクルアナウンサー、福与恒子です!!』


恒子『そしてそして、実況をしてくれるのは皆さんお馴染み!!』


健夜『小鍛冶健夜です。本日もよろしくお願いします』


恒子『という訳で、今回も小鍛冶プロと一緒に実況を盛り上げて行こうと思います!』


恒子『宜しくお願いします!!』



健夜『よろしくお願いします』


恒子『さてさて、Bブロックの準決勝ですが…』


恒子『まずは恒例の高校紹介ですっっ!!』



健夜『Aブロックも強豪揃いで、とても見応えのある準決勝でしたが、Bブロックの高校もかなり強豪が集まっていますからね』


健夜『楽しみです』



恒子『そんな小鍛冶プロも楽しみなBブロック準決勝!!!始めに紹介しますのは、南大阪代表・姫松高校!』


恒子『昨年まではシード常連と言われていた姫松ですが、今年はなんとノーシード!!』


恒子『しかし、その実力はなおも顕在!!シード校にも劣りません!!』


恒子『小鍛冶プロはどう見られますか?』


健夜『そうですね……』


健夜『北大阪代表のシード校、千里山女子と共に、大阪の2大名門と呼ばれている姫松高校ですが、その呼び名に恥じない実力を兼ね備えていますね』


健夜『特に注目したいのは、中堅でエースの愛宕洋榎選手です』


恒子『ふむふむ、その心は!』


健夜『予選から2回戦までの全ての試合を、+3万点以上で終わっていますからね』


健夜『運の要素が絡む麻雀と言う競技で、この成績を叩き出すという事は、並み大抵な事ではありません』


健夜『間違いなく、この大会で最上位に踏み込む実力の持ち主でしょう』





マホ「健夜さん、ベタ褒めですねぇ……珍しいです」


咲「そうだね」



マホ「でもでも、強豪のエースなんですから、それくらい稼げる選手なのは当然なんじゃないですか?」


咲「んー、逆かな」


マホ「逆??」


咲「強豪のエースだからじゃなくて、愛宕洋榎がエースだから、姫松は強豪なんだと思うよ」


マホ「それはつまり、ワンマンチームですか?」


咲「簡単に言っちゃえばそうだね」


咲「でも、他の選手も実力が並よりは上なの」


マホ「典型的な強豪校って感じですねー」


咲「それとね、これは私も驚いたんだけど、能力者がほぼ居ないみたい」


マホ「……成程、それは確かに凄いですね」


咲「うん。凄いし、強いよ。姫松高校は」



マホ「能力者は、愛宕洋榎さんですか?」


咲「それも、私が知って驚いた点」


マホ「えっ…?」


咲「……」コクリ


マホ「……マホ、驚きました」


咲「中堅っていうポジションは、一番不安定な所」


咲「試合の中間で、点が少なければ稼がなくちゃいけないし、多ければ守り切らなきゃいけない」


咲「だから、中堅に弱い選手を置く高校なんて無い」


マホ「そんなポジションで、全試合を+3万点」


マホ「しかも、無能力者ときたもんですかぁ……」



咲「系統的には、白水哩だね」


咲「けど、初戦の戦いを見た感じでは……この人は、相手の心理の裏をかくのが異常に上手いね」


マホ「あ、それはマホも知ってます!清老頭ですよね!」


咲「うん。もし、私が槓材の察知を出来なかったとしたら、あの清老頭には振り込んでたと思う」


マホ「嶺上ならずって言ってツモ切りしておいて、一萬はカンして無かったんでしたか」


咲「そうそう。佐々野いちごの読みは完璧だったけど、あくまでも基本を完璧に読んだだけだったんだね」


マホ「だから、基本の裏をかいてきた愛宕洋榎さんに振り込んでしまった、ですかー」


咲「うん。……全く関係ないんだけどさ」



咲「チャンタ系って、形作るのが難しいのに翻数低いから、大阪の人は作るのに抵抗持ってそうだよね」


咲「めちゃくちゃ偏見だけど」


マホ「あー!何となくわかる気がするです!」


マホ「勿体ない精神が強そうですからね」


咲「まあ……」


咲『あれっ?安くてもチャンタ…?いや、この人は大阪人だし、チャンタなハズない!清老頭かもしれない、だからオリ!』


咲「……ってなる人は少ないだろうけど」


マホ「心理バトルみたいですねー」








隣客(…この子たちさっきから何言ってるの……!?)




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恒子『続きまして!!!南北海道代表、有珠山高校!!!なんとなんと、初出場で準決勝進出という快挙を成し遂げました!!!』


健夜『このチームは、新道寺女子の様なWエースチームですね』


健夜『副将の真屋選手、大将の獅子原選手はとても強いです』


恒子『私情報によりますと、副将の真屋選手は牌のお姉さんを目指しているそうです!』


恒子『これには、現牌のお姉さんである瑞原プロは危機感を覚えているのではないでしょうか!』


健夜『どうして選手の打ち方とかの情報はあんまり覚えてないのに、そんな事は覚えてるの!?』


恒子『若いし可愛い!これは、牌のお姉さんの座の行方にも期待が高まります!』


健夜『怒られても知らないからね!?』






咲「獅子原爽……」


マホ「先輩?どうかしましたか?」


咲「マホちゃん、有珠山の映像は見たんだよね?」


マホ「はい、見ましたよ!」


マホ「健夜さんの言ってた通り、最後2人以外の方は、正直全国クラスではなかった様に感じました」


マホ「と言うか、大将の方も……言ったら何ですが、ギリギリの戦いしてましたよ?」


咲「多分、1,2回戦で全力は出してないと思う」



マホ「そうなんですか?うーん、確かに何か微妙に打ち方がおかしかった気も……」


咲「……」


咲「もしも、獅子原爽と卓に着くことがあっても照魔鏡は使わないようにね…」


マホ「へ?」


咲「……見えちゃいけないものが…見える気がするから…」プルプル


マホ「な、何ですか…?それは……?」ビクッ


咲「獅子原爽……絶対に対局したくないよ…」コワイ


マホ(意味深に話を終わられると怖いんですけどー!)プルプル








隣客(な、何が見えるのー!?)ビクビク




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恒子『続いて紹介しますのは、Bブロックシード校の内の一校!!!鹿児島県代表、永水女子高校ですっっ!』


恒子『2回戦では、まさにシード校といった圧倒的な戦いを見せました!!』


健夜『このチームはとても強い。姫松高校を差し置き、シード校になった実力は本物です』


恒子『このチームには、天照大神の内の一人の選手がいますね!』



健夜『先鋒の神代選手ですね』


健夜『神代選手は、白糸台高校の宮永選手にも劣らない実力を秘めている選手ですが、如何せんブレ幅がある様に思います』


健夜『まさしく、調子の良い時は神が降りている様な闘牌を見せる』


健夜『間違いなく、準決勝の鍵の一人になってくるでしょう』


恒子『巫女服も可愛いです!』


健夜『そうですね……って、それは関係ないでしょ!?』




マホ「5人とも巫女服を着てるなんて、面白いですねー」


咲「そうだね」


咲「巫女服が制服って言われても納得しちゃいそう」


マホ「えっ、違うんですか!?」


咲「当たり前だよ……いや、そんな光景も見てみたいけどさ」


咲「この5人は、皆が神代さんの実家?の神社でお手伝いとかしてるらしいよ」


マホ「だからって、インハイに巫女服で出場する必要があるんですかね?」


咲「せ、正論だけど……」


咲「きっと、巫女服を着てないと神様が降りてきてくれないとか、そんな感じなんだよ!」


マホ「ふむふむ……なるほど」


マホ「神様は巫女服萌えなんですね!」


咲(違うと思うけど……)


マホ「宮永先輩も巫女服似合いそうです!」


マホ「マホ、見てみたいです」ジーッ


咲「そ、そうかな」


マホ「メイド服とか、スクール水着とかも見てみたいです!!」キラキラ


咲「ま、マホちゃん落ち着いて……」


マホ「チャイナドレスとか、ちょっと趣向を凝らして、モコモコぱじゃまとかも可愛いです!!」ハァハァ



咲(ダメだこりゃー)


咲「……」チラ


小蒔『……』テクテク


咲(神代さん、見せてもらうね)


咲(あなたの実力を)


マホ「他にも他にも(ry」


咲「マホちゃん帰ってきて」










隣客(巫女服が制服じゃなかったんだ……)

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恒子『そしてそして!!最後に紹介しますのは、予選からこの準決勝まで、全ての試合をトップ通過』


恒子『しかも、選手全員が全ての試合をプラス収支で終えるという、圧倒的な実力で準決勝までやってきました!!』


恒子『東東京代表、臨海女子高校!!!』


恒子『15年連続地区代表という偉業を成し遂げていますっっ!!』


健夜『この学校の方針として、留学生を多く採用している点が特徴的ですね』


健夜『しかも、ただの留学生ではありません。全員が全員、世界の名だたる大会で成果を残しています』


恒子『高校生で世界大会とか、カッコいい!』



健夜『中でも注目したいのが、中堅の明華ちゃ……コホン、失礼』


健夜『中堅の雀明華選手と、大将のネリー・ヴィルサラーゼ選手です』


恒子『すこやん、今何言い直したのー?』


健夜『か、噛みそうになっただけ!』


健夜『 コホン、まず中堅の雀明華選手は、フランスからの特待生で、欧州選手権での活躍から風神【ヴァントール】と呼ばれている』


健夜『世界ランカーです』


恒子『世界ランカーとか、何それ凄い!』


恒子『でもでも、元世界2位の小鍛冶プロからしたら』


恒子『へっ、雑魚めっ!……って感じなんですか?やっぱり』


健夜『そんな事思うはずないでしょ!?』



健夜『高校生…いや、中学生でも、想像を遥かに越える能力を持つ人は存在します』


健夜『それこそ、プロでも軽く捻ってしまえる様な』


健夜『年齢と実力は、必ずしも比例しない。それが、麻雀という競技ですからね』


恒子『さすがっ!年齢の分だけ実力がある小鍛冶プロの有難いお言葉!』


健夜『年齢の分だけとか言わないで!?』ガーン




恒子『それでそれで、ネリー選手は?』


健夜『ヴィルサラーゼ選手は、サカルトヴェロからの留学生で、世界ジュニアで活躍している選手ですね』


健夜『先ほど言った、年齢と実力は必ずしも比例しない、という言葉が最も相応しいインハイ出場選手です』


健夜『恐らく、高校一年生で彼女より強い日本人は、数える程でしょうね』


恒子『これは、珍しく若い子を褒めていると思わせておいて、日本の若い子を落とすという、高等手段です!!』




健夜『だから違うからね!?私のイメージ落とすような事言わないで!?』






マホ「ネリー・ヴィルサラーゼ選手、ですかぁ……」


咲「……」


マホ「……?先輩?」


咲「あっ、ううん」


咲「ごめんね、何?」


マホ「いえ、ネリーさんって方、強そうですね」


咲「あぁ……間違いなく、牌に愛された子クラスだね」


咲「……一度対局してみたいかも」


マホ「やっぱり世界は広いですねー」



咲「そうだね。ちょっと興味が出てきたかも」


マホ「日本は、高校生では世界大会に出られませんからねー」


咲「うん。…まあ、大会とかには興味が沸かないから、見るだけで我慢するかな」


マホ「宮永先輩はどうして、大会とかには出ないんですかー?」


マホ「インハイだって、個人戦とかありますよね?」


咲「……それは、秘密かな」


咲「ただ、昔に約束……っていうか、戒めたの」


咲「二度と、大会には出ないって」


マホ「……そう、ですかー」


マホ「マホ、先輩と一緒に大会とか出たかったです」


咲「……」


咲「マホちゃんのお願いなら……考えておくね」


マホ「ふふっ、先輩はマホには敵わないんですもんね♪」ニコッ


咲「本当にね」クスクス


咲(……大会、か)






隣客「大会、かぁ……」ハァ


咲「ん……?」チラ


真佑子「あ……」メガアウ


咲「……」ペコリ


真佑子「と、どうも~……」ニ、ニコリ


咲(この人は確か…大星淡と予選で対局した…)




恒子『さあさあ!!注目のBブロック、準決勝大将戦は、午前11時より開戦です!!』


恒子『お前らぁぁぁ!!飲み物とお菓子の準備を忘れるなぁぁぁぁ!!』



健夜『映画館じゃないんだよ!?』




恒子『Bブロック準決勝、一体どんな戦いが見られるのか!!』


恒子『こうご期待ですっっっっ!!!!』


「一旦休憩でーす」


恒子「はふう…」


健夜「お疲れ様、こーこちゃん」


恒子「どったの、すこやんが労いの言葉なんて」


健夜「私だって労いの……って、この会話2回目!!」


恒子「あれ、そだっけー?」アハハ


健夜「もう…」





健夜(……咲ちゃん、何やってるかな)



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Bブロックの試合が始まるみたいな感じになっていますが、始まるのは咲さんのお話です。

前回は阿知賀も絡んだので少し描写がありましたが、今回は対局の様子などはほぼ無いかと思われますっ(あるかもしれません)


【Bブロック会場・ある時、ある場所】





咲「もぅ…自販機くらい一人でも行けるのに、マホちゃんは心配症すぎだよねっ」プンスカ


咲「ちゃんと早く戻って、一人でも大丈夫って所を見せつけなくちゃ」グッ


咲「自販機は確か……こっち?」テクテク



咲「……」テクテク


咲「……」キョロキョロ


咲「……」テクテク


咲「……」キョロ



咲「……」タチドマリ


咲「……」ミワタス


咲「……」


咲「あ、あれ…?」


咲「……」





咲「ここ、どこだろう…」アセアセ


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咲「……ヤバい、迷った…」


咲「しかも、ケータイの充電切れてる」


咲「……どうしよう…」ズーン


咲「何でいっつも知らない内に知らない場所に来ちゃうんだろう……」


咲「……」


咲「……」グスッ


「おいそこの、こんな所で何をしている?」


咲「えっ」チラ



「あら……?もしかして、貴女は…」


「咲さんではないですか?」


「なんだ、知り合いか?」


「サキサンって何?サキイカみたいな?」


咲「辻垣内智葉……さんに、ネリーさん……それと…」


智葉「なんだ、知っていたのか」


ネリー「このカイジョーに居るんだから、知ってるでしょ!」


明華「やっぱり!咲さんですね!?その角みたいな髪…!J’ai rencontr? l’?me s?ur?!」スッ



咲「明ちゃ…………むぐっ!!」



「あら……?もしかして、貴女は…」


「咲さんではないですか?」


「なんだ、知り合いか?」


「サキサンって何?サキイカみたいな?」


咲「辻垣内智葉……さんに、ネリーさん……それと…」


智葉「なんだ、知っていたのか」


ネリー「このカイジョーに居るんだから、知ってるでしょ!」


明華「やっぱり!咲さんですね!?その角みたいな髪…!J’ai rencontre l’ame soeur!」スッ




咲「明ちゃ…………むぐっ!!」



明華「あぁ、お久しぶりです咲さん!中学2年の頃以来ですので、3年振り程ですね」ムギュー


明華「~~~~~♪」rararara-



咲「みょ、明ちゃん落ち着いて……」


智葉「なあネリー、一体どういう状況だ?これは?」


ネリー「さぁ…キューユーってヤツなんじゃない?」


智葉「旧友…まあ、様子を見るにそうみたいだが」


明華「小鍛冶さんはお元気ですか?あぁ、本当に運命の様ですね」ギューッ


咲「明ちゃん、ちょっとストップストップ!」


智葉「そうだ。明華、一旦落ち着け」


ネリー「ネリー達完全に蚊帳の外だよ」



明華「はっ……どうもすみませんサトハ」


咲「ふぅ……死ぬかと思ったよ」


智葉「一応自己紹介が必要か…?私は辻垣内智葉、臨海女子の3年だ」


ネリー「ネリーはネリーだよ。臨海の一年生」


明華「雀明華です、今は臨海女子二年です」


咲「宮永咲です。高校一年生、インターハイには観戦に来ています」


ネリー「……」ジーッ


咲「……」


ネリー「……」ジーッ



智葉「それで、聞いても良いか?」



明華「気になるのですか?」


智葉「まあ、な。雇われの傭兵だなんて言われていても、私にとっては信頼できる仲間だ」


智葉「只でさえ自分の事を話しては貰えないからな。良い機会だから聞きたい」


咲(え、こんな所で?私迷子なんだけど……)


ネリー「ネリーも、そこのミヤナガについては少し興味があるかな」


咲(言える雰囲気じゃないや)


明華「分かりました!コホン」



明華「あれは、私が中学2年の頃……お母さんの仕事で茨城県に少しだけ滞在していた時の話です」


智葉(楽しそうに話すな)クス




咲(あの頃は確か………)



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待って頂いている方が居るとは、とても嬉しいです。同時に、更新遅くてすみませんっ

書き切るつもりではいるので、気長にお付き合いお願いしますっ




【咲・中学1年生、冬休み】






咲「うぅ…寒い…」ブルブル


咲「果たして、こんなに寒い思いをしてまで健夜さんしか居ない部室に向かう必要があるのか……いや、ない…」プルプル


咲「……帰ろうかな…」


咲「……」


咲「……健夜さん、待ってるかな…」


咲「……」カンガエ



咲「……はぁ、行こ…」テクテク


咲「……」テクテク



咲「ん……?」チラ


「うぅ…」グスッ


咲(こんな寒い日に、一人で座り込んで何してるんだろ)


咲(雪だるまでも作ってるのかな)


咲(髪の色からして外国の人だよね…?)


咲「……」カンガエ


咲「もう……仕方ないな」


「……」シクシク


咲「あの、こんな所に一人で座って、何かお困りですか?」


「!!」ピクッ



咲(下向いてたから分からなかったけど、私と同じくらいの歳か少し下……かな?)


「え、えっと…」


「っくしゅっ」クシャミ


咲「マフラーも巻かないで……」スッ


咲「はい、私の貸して上げますから、取り敢えず立ってください」つ マフラー巻く


「そ、そんな……悪いです」


咲「日本ではですね、親切を無駄にする方が失礼なんですよ」


「でも……」


咲「うるさいですね、私が良いって言ってるんですから良いんですよ」


咲「……ね?」


「……ありがとう、ございます」ニコ


咲「いえ……」



咲「……」ジーッ


咲「……もしかして、迷子か何かですか?」


「え……」


咲「私もよく迷子になるので、何となくですが分かるんです」


咲「……出来れば分かりたく無かったんですけどね」アハハ


(不思議な方……)


咲「こんな寒い所に居たら風邪引いちゃいます、話聞かせてもらえますか?」


「……実は…」


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咲「なるほど……お母さんのお仕事でフランスからここへ昨日来て、周辺をお散歩してる内に知らない所に迷い込んでしまった、と」


「はい……」コクリ



咲「何だか親近感を覚えますね」


「え?」


咲「あ、いえ。なんでも」


咲「一先ず、お名前を伺っても?」


「そうでした……」


明華「私は雀 明華と申します」


咲「みょ、みょーは……?」



明華「明華、です」


咲「みょん……みょんふぁ…」


咲(言いづらい)


咲「それじゃあ、明ちゃんで良いですか?」


明華「明ちゃん……」


咲「……ダメでした?」


明華「い、いえ!!是非、明ちゃんでお願いします!」パアッ


咲「は、はい……」


咲(急に元気になった)


明華「それで……その、貴方のお名前は…」



咲「あ、私は宮永咲って言います。すぐそこに見える中学の一年生です」


明華「い、一年生ですか!」


咲「あはは……やっぱり見えないですかね…」


明華「いえ逆です。こんなにもしっかりした方が、私より年下だなんて、少し驚いてしまって」


咲「!!!」


咲「えへへ……そうですかね////」


咲「どこぞのアラサーと違って、明ちゃんは優しいね」


明華「あらさー、ですか?」


咲「あ、ううん気にしないで…………って」


咲「私が明ちゃんより年下……という事は、中学二年生以上って事ですか?」



明華「はい。日本で言うと、中学二年生の年ですね」


咲(蹲って泣いてたのと、外国人さんで顔が人形みたいなのが相まって、同い年か小学生かと思った……)


明華「咲さん?」


咲「あ、すみません。何度も黙りこくって」


咲「……一先ず、私と一緒に来ますか?」


明華「一緒に……?」



咲「はい。私、そこの中学の麻雀部に入っていて、今から向かう所だったんです」


明華「まーじゃんぶ……何かのクラブの事ですね」


咲「家への帰り方が分からないのなら、ここでずっと座っていても仕方ありませんから」


明華「で、でも……ご迷惑じゃ?」


咲「他の部員を気にしているなら大丈夫ですよ」


明華「え?」


咲「麻雀部の部員、私1人だけだけで後はコーチが一人居るだけですから」




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【旧校舎・麻雀部部室前】




咲「明ちゃん、こっちだよ」


明華「は、はいっ!」タッタ


明華「あちらの大きな建物の中ではないんですね…」


咲「うん。どういう訳か、こっちの旧校舎にあるの」


咲「ちょっとだけ近いから、お得感あるよね」クスクス


明華「本校舎からは遠いので、頻度的には損では……?」


咲「あ、確かに」


咲「ふふっ、明ちゃん頭良いね」


明華「そ、そんな事は…」テレテレ



咲「日本語も上手だし、来る前に勉強とかしたの?」


明華「はい。元々日本が好きでしたし、お母さんも教えてくれたので」


咲「……へぇ…」


明華「……?」


咲「っと、着いたね」


明華「ここが…」


咲「じゃ、入ろっか」スッ



ガチャ





咲「おはようございます」


健夜「あ、咲ちゃん!おはよ……う?」



健夜「えっ……」


明華「…っっ…」アセアセ



健夜「さ、さささささ……」




健夜「さささささささ咲ちゃんがと、とととととお友達を!??!!」


咲「うるさいですよ」ハァ


健夜「だ、だって!!」


咲「明ちゃんごめんね、うるさくて」


明華「い、いえ……」後ろに隠れてる


健夜「みょ、明ちゃ……っっ!!?」



健夜「…あぁ…咲ちゃんにも、やっと友達が出来たんだね……」シクシク


健夜「きっとこれからは、ここに来る頻度も減って……減って……」


健夜「はぁ……」ズーン


咲「……」ハァ



咲「健夜さん、来る時にプリン買ってきましたけど食べます?」


健夜「食べる!!」パァッ


咲「……」呆れ


咲「…明ちゃん、紹介するね」


咲「この人が、ここの麻雀部のコーチの小鍛冶健夜さん」


明華「雀明華、です……」ペコリ


咲「あぁ…ほらもう、健夜さんのせいで困ってますよ?」


健夜「ご、ごめんね?」ハンセイ


健夜「それで、明華さんはどうして咲ちゃんと?」


咲「それがですね……」



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健夜「迷子……」チラ


咲「なんですか」


健夜「なんでもっ!」アセアセ


健夜「そういう事なら、大丈夫だよ。外、寒いしね」


明華「あ、ありがとうございます」


咲「そうだ、明ちゃんって麻雀やる?」


明華「まーじゃん……?いえ、知らないです」


咲「折角だし、ちょっとだけやってみない?」



明華「咲さんは出来るんですか?」


咲「うん。私、麻雀部だからね」アハハ


明華「……なら、ご一緒したいです!」


咲「よし、じゃあそこに座って?」


健夜「ルール教えてる間に、私は少し明華さんの家に電話掛けてくるね」


咲「え、電話番号分かるんですか?」


健夜「うん。もしもの時用に持たせてたのかな、住所と番号の書いてあるカードがあったから」


健夜(咲ちゃんにも持たせておいた方が良いかな)


咲「そうですか。……今、何か変なこと考えましたね」ジトー


健夜「そ、そんなこと無いよ!!」



健夜「……じゃあ、少し待っててね」


咲「りょーかいです」


咲「……ふう、それじゃあやってみよっか」


明華「とても仲が良いんですね」クスクス


咲「えぇ…」


咲「今の見てそう感じたの?」


明華「はいっ。咲さんの小鍛冶さんを見る目、とても素敵でしたから」


明華「逆に、小鍛冶さんが咲ちゃんを見る目も」ニコッ


咲「そ、そんな事無いよ……」テレ


明華「ふふっ、そうですか?」


咲「そーなの!」


咲(さすがフランスから来た子だなぁ……情熱的)


咲「よし、それじゃあまずは簡単なルールを……」



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明華「ツモです、3000.6000」


咲「明ちゃん凄い……ちょっと教えただけで、点数計算まで完璧だよ」


明華「いえそんな……咲さんの教え方が上手いんですよ」


明華「~~~♪」rararara-


咲「歌、好きなの?」


明華「はい。お母さんに教わった曲で……お父さんが好きだった曲らしいです」


咲(好きだった……らしい…)


咲「……そっか…」


咲「……ん?」ジーッ


明華「咲さん?」コォォォ


咲(歌った後で、急にオーラが……)



咲「ねえ明ちゃん、今度は対局中ずっと歌いながら打ってみて?」


明華「そ、それは……流石に恥ずかしいのですが///」


咲「良いから良いから」


咲「私、もっと明ちゃんの歌声聴きたいな」ニコッ


明華「そ、そうですか…?///」


咲「うんっ」


明華「それなら、分かりましたっ」


健夜「二人ともお待たせ」ガチャ


咲「あ、健夜さんどうでした?」



健夜「お母さん、心配してたよ?連絡入れても返事帰ってこないーって」


健夜「ケータイ見てみて?」


明華「ケータイ……」スッ


咲「けーたいって何です?」


健夜「咲ちゃんにはまだ早い物だよ」


咲「むっ……嫌な言い方ですね」ムスッ


健夜「……お家の固定電話使える?」


咲「いえ、一度触ったら警察に掛けてしまって大事になったので、それ以来使わせて貰えません」


健夜「やっぱりあと3年は早いかな……」


咲「3年後には、健夜さん名実ともにアラサーですね」


健夜「嫌なこと言わないで!?」ガーン



明華「本当です。マナーモードになっていて気付きませんでした……」


健夜「場所を伝えたら、迎えに来てくれるって言ったから、後30分位待っててって」


明華「すみません、ありがとうございます」


健夜「ううん、良いの良いの。咲ちゃんの友達なんだし!」


咲「別に友達って訳じゃ……」


咲「良いですから、取り敢えず打ちましょう」プイッ


健夜(意識させすぎちゃったかな?)


咲「折角ですし健夜さんも入ってください」


咲「明ちゃんは対局中歌うので、よろしくお願いします」


健夜「う、歌う?」


健夜(そういえば、何やら雰囲気が……)



咲「では、始めましょうか」




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明華「~~~♪~~~♪」rararara-


明華「ロン、18000です」


咲「はい。……終局ですね」



健夜(咲ちゃんが振り込んだ……?プラマイゼロ…はやる訳ないか)


明華「何でしょうか、歌ったらとても良い牌ばかりツモれる様になりました」


咲「はい、とても強かったです」


明華「まーじゃん、とても面白い競技ですね」


咲「ホントに?」


明華「はいっ!」



咲「……良かった」ニコ


明華「……/////」カァ


健夜「明華ちゃん、お母さん来たって」


明華「あ、分かりましたっ」


明華「……」チラ


咲「??」


明華「えっと……」


明華「日本は、今は冬休み何ですよね……?」


健夜(お……これは…?)


咲「うん、そうだね。もうすぐクリスマスだし」



明華「その……私は、あと数週間ほどここに居るんです」チラチラ


咲「うん?そうなんだね」


咲「……?」


健夜(鈍い!!咲ちゃん鈍いよ!!)


健夜(その、何を言いたいのかさっぱり分かりませんって顔やめようよ!)


咲「あっ、迷ったらまたここに来ても良い?っていう事?」



健夜「違うよ!?そんな事の許可を取る必要性を感じないよ!!」


咲「うわっ……びっくりした……」ビク


咲「何ですか健夜さん、急に大声出して」ジトー


健夜「はっ……咲ちゃんの鈍さに、思わず声に出しちやったよ」


咲「鈍さって……健夜さんには言われたくないです」


健夜「えっ、どういう意味?」


咲「知りません」プイッ


明華「その!……もし、宜しければ…えっと」


明華「家に居ても…お母さんがお仕事の時は一人なので、その……」


明華「ここに、来てもいいですか……?」


咲「え?良いけど」


健夜(返答早いよ咲ちゃん!?)



明華「!!」パアッ


明華「ありがとうございます!」ニコリ


咲「ううん、私も健夜さんだけとしか打てないのは飽きてきてたし」


健夜「私飽きられてたの!?」ガーン


咲「嘘ですから、そんな本気で落ち込まないでくださいよ」


咲「少し前の、あの滾ってた健夜さんはどこへ行ってしまったんですか」


健夜「素の私はこっちだよ!!滾ってないよ!」


明華「ふふっ…」クスクス


明華「ありがとうございます、咲さん小鍛冶さん」ペコリ


健夜「ううん、気にしないで。一応、お正月以外はここ開いてるからね」



咲「クリスマスも開いてるのは、健夜さんに予定が入っていないからですよね」


健夜「よ、余計なお世話だもん!!」


健夜「ていうか、咲ちゃんだって予定無いくせに!」


咲「私はありますもん、予定」


健夜「えっ………………!?」唖然


咲「嘘ですって、健夜さんは何度私の嘘に騙されるんですか」


健夜「さ、咲ちゃん!!」プンスカ


咲「取り敢えず、私も暇ですしここに来ると思いますので、安心して来ると良いですよ」


明華「はいっ!……では、また」フリフリ


咲「……うん、またね」フリフリ


健夜「またね!」


バタン




咲「ふぅ……」



健夜「久々に知らない子と打って、緊張した?」


咲「それは、まあありますけど……」


咲「それ以前に、危うく負けちゃう所でしたから」


健夜「確かに、私も少しビックリしたな」


咲「歌うと強くなる……」


健夜「日本の大会ではあんまり奮わないかもしれないけど、海外の大会は容認してる所もあるし、化けるかもしれないね」


咲「明日からも来たいって言ってましたけど、本当に来るんでしょうか?」


健夜「うーん……来ると思うよ?」


咲「……そうですか」


健夜「ふふっ、友達できたね?」


咲「だから友達じゃ無いですし……それに、数週間後にはフランスに帰るんです」


咲「そうなれば、もう会うことも無いでしょう」


健夜「素直じゃないなぁ…」クスクス


咲「……うるさいです」




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【明華・宅】




明華「……ふふっ」


明華「歌……お母さん以外に初めて褒めて貰った…」


明華「まーじゃん……咲さん、強かったな」


明華「続けていれば、もっと咲さんを楽しませられるでしょうか…」ウーン


明華「……」


明華「……よしっ!」


明華「お母さん、まーじゃんって知っていますか?」




明華「ほうほう……フランスでも流行っていたんですか…」


明華「欧州選手権?高校生から……」


明華「分かりましたっ!」


明華(フランスに戻ったら、まずはそこを目指しましょう)


明華(でも、それまでは……)


明華「咲さん、あなたの近くで楽しませてくださいね」


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【回想終わり】




明華「……という事があったんですよ」


咲「明ちゃん……」


ネリー「明華……」


智葉「明華」





3人「「「話長い」」」





明華「そうでしたか……?これでも凝縮して……」


明華「それこそ、これから親しくなってクリスマスを共に過ごしたり、初日の出を共に見たりしたんですよ?」


智葉「しかし、驚いたな……」


智葉「明華が対局中に歌うキッカケ…それ以前に、麻雀を始めたキッカケが宮永とは」


明華「無視は辛いですサトハ」





智葉(それにしても宮永、か……偶然か?)



ネリー「2人のカンケーは分かったけどさ、ミヤナガはどうしてこんな所にいるの?」


咲「……それがですね…」


マホ「あー!!宮永先輩、こんな所にいました!!」


咲「マホちゃん!!」


マホ「もう、心配で後を付けてたら急に居なくなるんですもん!マホ、ビックリしました!」


咲「ご、ごめんね?私でも、どうしてこんな所に居るのか分からなくて」


マホ「まあ、自販機行くって言いながら全く別の方向に向かった時点で、声を掛けておくべきでした」


マホ「マホの失態です……」


咲「私の迷子でそこまでマホちゃんに凹まれると、こっちが申し訳なくなるよ……」



智葉「なんだ、迷子だったのか?」


明華「咲さん……変わっていませんね」クスクス


ネリー「へぇ……」ジーッ


マホ「って、臨海女子の皆さんじゃないですか」


マホ「宮永先輩を保護してくださって、ありがとうございます」ペコリ


咲「保護って……」


智葉「いや、こちらこそ。チームメイトの面白い話を聞けて、良かったよ」


マホ「宮永先輩、戻りますよ?」


咲「あ、うん」


明華「咲さん、待ってください!」



明華「……これを、よければ」つ 紙切れ


咲「これは……メールアドレスと番号?」


明華「はい。よければ、ですけど」チラチラ


咲「……うん、ありがとう」ニコッ


明華「~~~/////」ドキッ


咲「また連絡するね」クス


明華「はい!待ってます!」


智葉「ふっ……それじゃあ、戻るぞ。ネリー、明華」


ネリー「はーい。ミヤナガとそこの紫の人、いつか打とうね」


咲「あはは…機会があれば是非」


マホ「さよならですー」




明華「……それじゃあ、咲さん、また」フリフリ


咲「うん、明ちゃん。……またね」フリフリ





宮永咲と雀明華、カン




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他校の人と絡む様な状況になるには、咲さんに迷子になって貰うしかないなこれ……
迷子多発してもツッコミNGでお願いしますっ

前回は阿知賀編もあって、試合を軸に話を進めていけましたが、今回はそれが無いのでどうにも書き方に困りますね……



【Bブロック・観戦室】



マホ「……」ウトウト


咲「マホちゃん、大丈夫?」


マホ「!!は、はい、なんですか?」ピクッ


咲「何か、凄く眠そうだけど……」


マホ「実は……昨日見た映画が怖かったせいか、夜全然眠れなくて……」ネムネム


マホ「マホ、瞼と瞼が今にもごっつんこしそうです……」ファ


咲「そんなに……?」


咲「ここで寝ても大丈夫だよ?」



マホ「いえ……宮永先輩にご迷惑を掛ける訳にはいかないので…」


マホ「幸い、ホテルもここから数分の所にありますし……一度戻って寝てきますです…」


マホ「ぁ……でも、それだと宮永先輩の迷子を監視できませんね…」


咲「大丈夫だよ。私、自分で何度も迷子になって、ある法則性に気付いたの」


マホ「法則性、ですか……?」


咲「うん。ずばり、建物の中に居るときは迷子になっても外へは出ない事と、迷子に一度なったら、その後8時間は迷子にならない事」


マホ「そ、そんな法則性があったんですか」


咲「だから、安心してホテルに居ても良いよ?」


マホ「それは世紀の大発見ですね……!」



マホ「では、お言葉に甘えさせて貰うです」


咲「うん、それじゃあホテルまでは送るから」


マホ「そ、そんな悪いですよ……」


咲「良いから、ね?」ニコッ


マホ「は、はい……っ///じゃあ、お願いします……」テレテレ


咲「じゃ、行こっか」つ 手


マホ「あれ、宮永先輩手繋ぐの恥ずかしいんじゃ?」


咲「あっ……」



咲「さ、最近はずっとマホちゃんと手繋いでたから……いつの間にか慣れてたよ…///」


マホ「ふふっ、嬉しいです」ギュッ


咲「ま、迷子対策……だからね?」



マホ「あれれ?8時間は迷子にならないんじゃなかったですかー?」ニコニコ


咲「うっ……//」


咲「い、行くよ!」テクテク


マホ「はーい♪」フフッ



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【マホ送り後・ホテル前】




咲「ふぅ……さて…」


咲「果たして、私はここから会場まで迷わずに行けるのか……」ウーン


咲「さっきは、私に気使って貰うのが悪くて嘘吐いちゃったけど……」


咲「ふふふ、甘いねマホちゃん。私の迷子癖は、プラマイゼロよりも悪質なんだよ」フンス


咲「そう簡単に謎が解けるわけが……」


咲「……」


咲「……はぁ…どうしよ、迷わない確率は50%くらいかな…」



咲「ま、まあ平気だよね?さすがに、徒歩5,6分だし……迷う訳」ピクッ


咲「……?」フリカエリ


洋榎「あ、バレてもうた」


咲「……」スタスタ


洋榎「ちょっ、待ってーな!」タッタッタ


洋榎「アンタさん、どっかで見た顔やなー思っとったんやけど、思い出せんのや!」


咲「へー」テクテク


洋榎「な?分かるやろ?あの、思い出せそうで思い出せん、気になる事の答えが分からん、気色悪い感覚!」


咲「へー」テクテク



洋榎「……ん?この淡白なリアクション……」


洋榎「思い出したで!一昨日、Aブロックの会場でたこ焼き食っとった子や!」ヒラメキ


咲「へー…………は?」




咲「いや……おかしいでしょう…」ハァ


咲「何でこんな暑い中、暑い物を好んで食べなきゃいけないんですか」


洋榎「ん?ほんなら何やっけ……」ウーン


洋榎「あぁ!思い出したで!たこ焼きアイス食べとったやんな?」ヒラメキ


咲「なんでやねん」


洋榎「おおぅ……なんや、鋭いけどやる気の感じられんツッコミやな」


咲(しまった……園城寺さんの影響で…)



洋榎「ほんで、自分こんな所で何しとるん?」テクテク


咲(何で並んで歩いてくるの……)


咲「いや、それは私が聞きたい所……いや、別に会話したくないので聞きたくないんですけど」


咲「私が聞くべき質問だと思うんですけど」


洋榎「ん、ウチ?ウチは串カツ食べたなったから、買ってきたんや」つ 串カツ


咲「大丈夫なんですか、試合前に……」


咲「ミーティングとか無いんです?この間も、アナタが居なくてミーティング出来ないって、探しに来てたじゃないですか」


洋榎「誰が相手でも勝つだけやからな!」ドヤッ


咲「……」


咲「……ふぅん、そうですか」



洋榎「なんや、突っ込まんかい」


咲「いえ……アナタなら、永水と有珠山の中堅さんになら勝てるでしょうから」


咲「言葉とは裏腹に、油断を感じませんし」


洋榎「えらい評価高いやん?」


咲「逆に、明ちゃ……臨海女子の中堅には勝てませんよ」


咲「少なくとも、串カツなんて食べてる暇は無いと思いますが」


洋榎「串カツ舐めとるん?アンタが好きなタコ焼きアイスよりは美味いで?」


咲「だからタコ焼きアイスってなんですか……大阪の方って、タコ焼きが好きなあまりそんな物に走ってるんですか?」


洋榎「今のは突っ込む所やで」


咲「……うざ」



洋榎「おおぅ……えらいストレートにジャブ打ってくんなぁ」ケラケラ


咲(ストレートなのかジャブなのかどっちなの)


咲「……」


咲「あの、それで何か用ですか?」


洋榎「ん?いや、別に用なんて無いで?」


咲「ならどうして話し掛けて来たんですか……」ハァ


洋榎「そら、あれやん?知った顔見かけたら取り敢えず声掛けるやろ?」


咲「私はアナタのこと忘れかけてましたけどね」


洋榎「そうなん?ミーティングの事とか覚えとったやん」


咲「……」


洋榎「ははっ、一本取ったで」クスクス


咲「鬱陶しい……」



咲「……あぁ」


咲「そう言えば、貴方に一つだけ聞きたい事があるんです」


洋榎「この髪は地毛やで!」ドヤッ


咲「初戦の清老頭、壱萬をカンしなかったのは何故ですか?」


洋榎「無視かいな!」


咲「何故ですか?」


洋榎「それは、あれや。1回カン見せたんやから、普通は2回目カンできるならするって、思わせられるやん?」


咲「……ダウト、ですね」


洋榎「ダウトちゃうわ!」











咲「2番目の嶺上牌が、リーチへの当たり牌だって分かっていたんじゃないですか?」


洋榎「……」


咲「……もっと詳しく言いましょうか」


咲「あなたは、他家がリーチを掛けた時、その人の当たり牌が分かっていますね」


咲「その牌の種類、どこに埋まっているか、誰が持っているか……全てを」


洋榎「……」


咲「異常な防御力の高さは、その所以」


洋榎「……くく…」





洋榎「あっはっはっはっ!!オモロイ!オモロイで、あんた!」


咲「……」


洋榎「うちの部員ですら気付かん事に、何で気付けたん?」


咲「やっぱり……」



咲「普通に気付くでしょう……アナタの牌譜を見ましたが、他家のリーチ時の振込み率0%」


咲「しかも、平気で超危険牌を切っていても全て当たっていません」


咲「まあ当たり前ですかね」


咲「……貴方にとっては、当たり牌以外は全て完全安牌なんですから」


洋榎「そんだけで見抜けるもんなん?」


咲「最初は半信半疑ですよ。……決め手になったのは、あの清老頭の時」


咲「あの局面、確かにアナタはカンをしないというブラフは打ったでしょう」


咲「けど、見ていたのは違う所。それが、当たり牌の埋まっていた嶺上牌です」



咲「察しが良いですね。……健夜さんにも見習って欲しい」


洋榎「うん?」


咲「あ、いえ、なんでも」


咲「……言われた通り、私は嶺上牌が見えます」


咲「だから、二枚目の嶺上牌がリーチへの当たり牌だと言うことに気付きました」


洋榎「なるほどなぁ……」


洋榎「こら一本取られたわ」アハハ


洋榎「てか、ウチの能力を知ってどないするつもりなん?」



咲「いや、別に……」


咲「……あぁ」


咲「ほら、あるじゃないですか?」チラ


洋榎「ん?」


咲「気になって仕方の無いことの答えが分からないと、気持ち悪いって事」クスクス


洋榎「!!」


洋榎「……ふふっ、せやな」


洋榎「こら二本目、取られたなぁ」フフッ



_______________
_______________



【Bブロック・会場前】




咲(話してたら迷わず会場に着いてた……)


洋榎「良かったやん?迷子にならんで」


咲「……」


咲「……は?」


洋榎「はっはっは!」


咲「貴方……愛宕さん、まさか、それで?」


洋榎「さぁ、どうやろ?」クスクス


咲「……うざ」


洋榎「おおぅ、今度のその言葉は感謝の言葉に聞こえる不思議やな」ケラケラ


咲(この人……)



由子「あ、洋榎おったのよー」


洋榎「おう、由子やん。出迎えご苦労!なんちって」


由子「なんちって、ってそんなくだらないボケ垂れ流してる暇じゃないのよー」


咲(凄い辛辣だな……)


由子「洋榎が帰ってこんからミーティング出来へんって、恭子と代行までカンカンよー?」


由子「富士山も噴火する勢いなのよー」


洋榎「えっ」


由子「あーあ、今度は私も味方できへんよー」





洋榎「そ、速攻で土下座してきますー!!」タッタッタ


咲(忙しないなぁ……)


由子「……相変わらず忙しないのよー」



由子「……ん?」チラ


咲「その節は、どうもです」ペコリ


由子「あぁ、あん時も洋榎と一緒におった女の子やねー」


由子「制服やと雰囲気変わるもんやなー」


咲「そうですかね?」


由子「うんうん、可愛いのよー」


由子「それはそうと、洋榎を捕獲して貰って感謝感激よー」


咲「ミーティングも忘れて串カツ食べてましたよ、叱ってあげてください」



由子「今頃、雷が落ちてるのよー」クスクス


由子「ほんなら、さよならねー」フリフリ


咲「はい。試合、見てますね」


由子「……」ジーッ


咲「?」


由子「……前回も思ったんやけど、中々不思議な雰囲気の子なのよー」


咲「それを言うなら貴方こそ……不思議ちゃんっぽいと思いますよ……語尾的に」


由子「あはは、これは癖なのよー」



咲「良いと思いますよ、優しい感じがして」


咲「可愛いです」ニコリ


由子「……えっ、そ、そんな事は無いと思うのよー」テレ


咲「そうですかね?……まあ良いですけど……」


咲「行かなくて良いんですか?」


由子「あ、忘れてたのよー!ほな、またねー」フリフリ


咲「はい、さようなら」フリフリ


咲「……関西には色んな人がいるんだなぁ…」シミジミ




咲「おっと…試合始まっちゃう……急ご」タッタッタ







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由子「……」


由子「始めて、言われたのよー……」


由子「……」


由子「……////」タッタッタ






宮永咲と、愛宕洋榎・カン


咲さんと誰かを絡ませる時、マホも同時に書ける自身が無かったので一時離脱させてしまいました

咲すこマホは、閑話で日常を書ければなと思いますですっ

すみません、指摘ありがとうございます。

>>234

洋榎「…もしかして、自分……嶺上牌が見えたりするんか?」

咲「察しが良いですね。……健夜さんにも見習って欲しい」


です、一行抜けていました。すみませんっ


洋榎については、能力であって能力で無い物と認識して頂けたら……っ

無能力者最強っていう言葉が、最早麻雀アニメではありませんよね……個人的にはセーラとかも好きですっ


【観戦室】



咲「はぁ……思いもよらぬ再会だったな…」スワリ


咲「……」ポツーン


咲「……マホちゃん居ないと少し寂しいけど…我慢するしかないね」


真佑子(あ、帰ってきた……)チラ


咲「ん?」メガアウ


真佑子「!!」メソラシ


真佑子(め、目合っちゃった……!)


真佑子(ど、どうしよう…不快にさせたりしてないかな……)


真佑子(謝った方が良い!?いや……でも、目が合ってごめんなさいって、おかしいよね!?)アウアウ



咲(……この人、さっきも目が合ったけど、何か用なのかな?)


咲(多治比真佑子さん……確か、東京の松庵女学院の大将……)


咲(大星淡に、公式戦初めて能力を使わせた人……つまり、それだけの実力者っていうことかな…?)


咲(映像を見るに、あれが能力だって気付いた表情はしてたけど……)


咲「……」


咲(何だか、玄さんがツインテールにしたらこんな感じになりそうだな)


咲(……そこはかとなく、頼れない系年上オーラを感じる)


真佑子(うぅ…なんか気まずい……)チラ


咲「……」ジーッ


真佑子(凄い見られてる!!)ビクッ


真佑子(やっぱり、私が見てたから怒ったのかな!?)


咲「あの」


真佑子「ひゃい!?」ビクッ


咲「うわっ…ビックリした…」ピク


真佑子「あ……ご、ごめんなさい」ペコリ


咲(……やっぱり玄さんっぽいなぁ…)


咲「いえ。………多治比真佑子さんですよね、予選で大星淡と対局していた」


真佑子「し、知ってるんですか……?」


咲「ええ、まあ。あの試合は何度も見ましたし、雑誌とかでも拝見した事あります」



真佑子「雑誌……麻雀TODAYですか…?」


咲「多分それですかね。宮永照とか、牌のお姉さんとかが載ってるやつです」


真佑子「そ、そんな有名な人達と並べられると、少し恥ずかしいんですけどね…」




真佑子「あの……それで、あなたは…?」


咲「あ、すみません。名前も言わずに」


咲「私は宮永って言います」


真佑子「宮永さん……」


真佑子(……宮永…?)


咲「先程から見られてた気がするんですけど、何か用でしたか?」


真佑子(やっぱりバレてた……!)



真佑子「い、いえ!ジロジロ見てしまってすみません…」


咲「別に良いんですけど……」


多治比「……」


咲「……」


多治比(き、気まずい……!)


咲「そういえば、多治比さんはお一人ですか?」


真佑子「あ……はい…」


真佑子「その、最後のインターハイなので……見に来ようかなって。麻雀は、好きですから」


真佑子「……でも、私が大将で負けちゃって……皆を自分から誘うなんて出来なかったので…」


真佑子「一人で、来たんです」


咲「……へぇ…」



真佑子「!!ご、ごめんなさい……要らないことまで話しちゃって」


真佑子(なんだろう、宮永さんと話してると……不思議な感じ……)


咲「……」


咲「……私は、良いと思いますよ」


真佑子「へ……?」


咲「白糸台高校と同じ地区で3年間戦って、負け続けてきて……それでも、麻雀を嫌いにならずに、ここに足を運んだ」


咲「そういう、多治比さんの麻雀に対する姿勢は……結構好きです」ニコッ


真佑子「えっ……!?///」



咲「…ただ、自分が大将で負けたからどうたらって言う所は、かなり嫌いですね」


真佑子「で、でも……大将の私が勝ててたら…」


咲「でもじゃありません。でもって言わないでください。玄さんって呼びますよ」


真佑子(だ、誰!?)


咲「はぁ……じゃあ、一つ言いますけど」


咲「多治比さんの理論がまかり通るならば、一番の戦犯は、先鋒の選手ではありませんか?」


真佑子「!!」


咲「だって、宮永照を抑えられなかったんでしょう」


咲「エースである松庵の先鋒の方が、宮永照を抑えられていれば、結果は違ったかもしれませんよね」



真佑子「そ、それは違うと思います!だって、宮永照さんは」


咲「……宮永照は、なんですか?」


咲「まさか、宮永照は格が違うから、勝ち目が元より無い」


咲「だから、勝てなくても仕方が無い……よって、大星淡に勝てなかった大将の自分が一番悪いんだー……」


咲「なんて、言いませんよね」


真佑子「……っっ…」


咲「……」ハァ


咲「……良いですか?」


咲「自分があの時勝っていれば、何かをしていれば、なんて意味の無い仮定をするのはアホです」



咲「先鋒が宮永照を止められなかったのが敗因、同時にあなたが負けた事も敗因です」


咲「いえ、もっと言ってしまえば、次鋒から副将でトップになって、どこかを飛ばせなかった事も敗因ですかね」


咲「あなたは大将、そして最後の大会という事もあって、尚更悔やむ気持ち、自分を責める気持ちが大きいのかもしれません」


咲「……ですが、そんな物は馬鹿馬鹿しいです」


咲「あれは団体戦。負けた場合は全員が敗因であり、勝った場合は全員が勝因なんです」


咲「もしも多治比さんが大星淡に勝利して、インターハイに出ていたら」


咲「多治比さんは、私が勝ったから皆をインターハイに出場させれた、私のおかげだって言うんですか?」


真佑子「!!……言わない…」


真佑子「そんな事、言えない……です」


咲「……では、多治比さんが負けてしまった後、チームメイトの方はあなたを責めましたか?」


真佑子「……」フリフリ


咲「……なら、多治比さんが悩んでいる事は、悩み損なんですよ」


真佑子「……そうなの…かな…」


咲「まあ、私が多治比さんに代わって松庵の大将を務めていれば、優勝出来たと思いますので、やっぱり多治比さんが敗因かもですね」


真佑子「えっ!?……やっぱり…」


咲「いや、冗談ですって。間に受けないでください」


真佑子「も、もう!!宮永さんっ!!」プンスカ


咲「あはは、すみませんすみません」クスクス


咲「少し、知り合いに似ていたので、つい」



真佑子「……宮永さんは、不思議な人ですね」


咲「えっ……それ、最近凄く言われるんですけど、どういう意味なんですか?」


真佑子「あっ、いや……嫌な意味ではなくて」


真佑子「何ていうか…すんなり心を開ける……って言うか」


咲「告白ですか、照れます」


真佑子「えっ、ち、違います!!/////」


咲「知ってます。……まあ、悪い意味で無いなら気にしないでおきます」


真佑子(な、何なの!?////)


咲(しまった……玄さんに似てるなーって思ってたらいつの間にか説教みたいな事してたよ……)




恒子『さあさあお前らぁぁぁぁ!!いよいよ準決勝、先鋒戦の始まりだぁぁぁ!!』


健夜『またスポンサーからクレームくるよ!?』



咲「あ、始まる……」


咲(そういえば、健夜さん……電話くれなかったな)ムスッ


咲(休憩って、昼休みだけだと思ってるのかな……)


真佑子「あの、宮永さん……?」


咲「はい?」


真佑子「その……良かったら、一緒に試合を見れたら…って」


咲「え?」


真佑子「あ、すみません!ダメなら良いんですっ」


咲「……」


咲「いや、隣の席で、しかも結構会話をしてしまった多治比さんを無視して、1人観戦するほど、私も嫌な人ではありませんよ」



多治比「……へ?」


真佑子(えっ、つ、つまりどういう事?)


咲「ほら、始まりますよ」


真佑子(……良いって事かな…?)


真佑子「……」


真佑子「よろしくお願いします…」フカブカ


咲「……」ジーッ


真佑子「な、何…?」


咲「……多治比さん、やっぱり似てますね…玄さんに」クスクス


真佑子「だから誰ですか…!?」





~試合開始~




宮永咲と多治比真佑子・続く(?)





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前に少し出たので、折角だから本格的に……と思い書きましたが、半オリキャラみたいになってしまいましたね……

構成が思いついてきたので、次回から長野勢・インハイ出場者と絡ませていけたらと思います。
咲すこマホも書きたい……っ

げっ……本当だ。多治比さんは三年生だと、何故か思い込んでました、すみません。

この世界の多治比さんは三年生という事で一つよろしくお願いします……っ

中々更新できず申し訳ないです。
書いて消しての繰り返しで中々進まない……

レス嬉しいです。次回投下から長野編入りますっ


【インハイ期間中・ある時】



~会場外、ベンチ~



咲「……」ペラ


咲「……」ペラペラ


咲「……」


咲「……ふぁ…」アクビ


咲「……」ウトウト


咲「!!」ハッ


咲「……」ゴシゴシ



咲「……眠い…」



咲「……」ペラ


咲「……」ペラペラ




プルルルルル プルルルルル





咲「!!」


咲「電話……」つ ケータイ


咲「……健夜さん、やっとか」つ ケータイ


ピッ



咲「もしもし、咲です」


健夜『あ……もしもし、咲ちゃん…?』


咲「はい」



健夜『ごめんね?遅くなっちゃって』


咲「本当にですよ」


咲「急な打ち合わせが入ったーって言って会場に戻ってから、何分経ちましたっけ?」


健夜『うっ…ごめん…』


咲「……まあ、お仕事ですのでそこまで気にはしていませんけど」


健夜『……』


咲「あの?それで、電話を掛けたという事は、終わったって事です?」


健夜『そ、それがぁ……えっとぉ…』



健夜『あの……その、ね?』


咲「……長引きそうですか」


健夜『ほんっっっとうにゴメン!!』


咲「やっぱり」ハァ


健夜『思ったより大変で……結構手間取ってて…』


健夜『夕方位までかかりそう……かも』


咲「別に、良いですよ。私だってもう子供じゃ無いんですから」


咲「先にホテルに戻ってます」


健夜『うぅ…ごめんね?』


咲「気にしていませんって」


咲「誕生日の日に、どうしても外せない仕事があると、私を一人残してお父さんが仕事へ行ってしまったあの日以来……」


咲「こういう系には慣れましたから」


健夜『いやホントにごめんね!?』



咲「まあ、今の話は嘘なんですけどね」


健夜『なんでそんな暗い嘘吐くの!?凄く申し訳なくなったよ!!』


咲「あはは、健夜さん面白いです」


咲「とにかく、私の事は気にせずお仕事頑張ってください」


健夜『……思ってたんだけど、咲ちゃんってお仕事絡むと妙に心が広くなるね』


咲「それは、まあ」


咲「健夜さんの唯一の取り柄" 収入がある事"を奪ってしまえば、ただの独身アラサー家事ダメダメ麻雀狂になってしまいますからね」


咲「そこはほら、心を広く持つべきかなって」


健夜『後半は言わなくても良かったよ……』ズーン



咲「安心してください。私はそんな健夜さんでも大丈夫ですので」


健夜『……うん?それ、どういう…』


咲「ほら、私と電話をしてる暇があるなら打ち合わせしてきてください」


咲「恒子さん……でしたっけ?が、怒っちゃいますよ」


健夜『そうだった!』


健夜『それじゃあ、本当にごめんね!また掛けるから』


咲「はい。では、また」


健夜『うんっ』



ピッ
ツー ツー ツー





咲「……」


咲「さて……」スッ


咲「私の座っていたベンチは、しっかりとホテルへの道筋を覚えたベンチだったはず……」キョロキョロ


咲「……健夜さんがお仕事だって言うから言い出せたなかったんだけど…」


咲「……」










咲「ここ、どこ?」アセアセ



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



【会場外・どこかのベンチ】




咲「なんで座って、本読んで、電話してただけなのに、見知らぬベンチにテレポーテーションしてるんだろう?」


咲「そんな超能力者になった覚えは無いよ…」


咲「…いや……近くの自販機で飲み物も買いに行ったな…」


咲「……」




咲「それが原因か……」ガクリ


咲「はぁ…どうしてそんな短距離で……」


咲「まあ、嘆いてても仕方ないよね…」


咲「案外、その辺を歩いてれば知った道に出るかもだし」



咲「……よし、物は試しだね」スッ


咲「これで無事ホテルに帰れたら、健夜さんに報告を……」ピクッ


咲「……?」フリカエリ


咲「……」




咲「誰ですか?」


「わ、私の事見えるっすか!?」ビクッ


咲「やっぱり居た……。いえ、見えません」


咲「今のはハッタリ。気配を感じたので、適当に言ったまでです」



「なっ……!まんまと嵌められたっす……」



咲「で、誰ですか?」


「……」ススス


桃子「失礼したっす。私は東横桃子、高校1年っす」


咲「ひうっ……!!」ビクッ


桃子「?どうしたっすか?」


咲「い、いえ……何でもありません」



咲(急に出てくるからちょっと怖かった……)


咲「それで、私に何か用でしょうか?」



桃子「いやぁ…私、長野からインハイを観戦に来てるんすけど、ちょっと散歩してたら迷子になってて」



咲(長野……)


桃子「どうしたもんか!……って思ってた時に、丁度あなたを見つけたんすよ」


咲「はあ……つまり、現在地がどこなのか教えて欲しいと…」


桃子「察しが良いっすね」






咲「私も迷子なんですけど、大丈夫ですか?」


桃子「……え」


咲「私も、迷子ですよ?」


桃子「……それは失礼をしたっす…」


咲「……いえ…」



桃子「……」


咲「……」


桃子(き、ききききき気まずいっす!)


桃子(私服だったから、てっきりこの辺の子かと思ってたら、とんだ大間違いだったっす)


桃子(うぅ……先輩…助けてくださいっす)




咲「それでは、さようなら」テクテク


桃子「へっ!?ま、待ってくださいっす!」ガシッ


咲「なんですか、東横さん」


桃子「展開が早すぎて着いていけないんすけど!」


咲「別に着いて来なくても良いと思うんですけど?」


桃子「ダメっすダメっす!とにかく待ってくださいっす!」ワーワー


咲(何なのこの人……)



咲「良いですか?東横さんは迷子、そして私も迷子」


咲「でも、お互い帰る場所は違うんです」




咲「……ね?」


桃子「ね?……じゃないっす!」


桃子「とりあえず、行くというなら私も着いていくっす」


咲「どうしてですか」


桃子「本能が告げてるっす。この子について行けと!」


咲「意味が分かりませんよ」


桃子「おーねーがーいーっすー!」ギュー


咲「ちょっ……しがみつかないでください」


桃子「むーむーむー!」ギューッ



咲「……はあ」


咲「……まあ良いです。好きにしてください」


桃子「ほんとっすか?」


咲「はい。私も、1人では少し不安かなと思いましたので……」


咲「よろしくお願いします、東横さん」ニコリ


桃子「……ツンデレっすか」


咲「??」キョトン


桃子「~~~~ッッッ!!」




桃子(な、なんすかこの子!!)


桃子(物凄く庇護欲を掻き立てられるっす!)



咲「あ、私は宮永咲です」


桃子「ふむ……咲ちゃんっすね」


咲「咲ちゃ……まあいいか」メンドクサイ


咲(さて、ホテルに戻れるかな……)


桃子(迷子になる様な子っすから、しっかり見ておかないと不安っすね……)


桃子「咲ちゃん、迷子にならない様に手でも繋ぐっすか」


咲「迷子中にそんな事言われても……」


咲「というか、東横さんも迷子になってた癖に」


桃子「あ、そうだったっす」アハハ


咲(大丈夫かなこの人……)





【長野編・開始】






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長野編開始の話が全然思い付かなくて、更新出来ずにいました……
というか、かなり雑で申し訳ないです……

レス嬉しいです。ありがとうございます


【宮永咲と東横桃子】




桃子「そういえば、咲ちゃんはどうして迷子になってたんすか?」


咲「分かりません」


桃子「へぇ~……」


桃子「……ん?」


桃子「分かりませんってどういう事っすか」


咲「そのままの意味ですけど……」



咲「初めはA地点のベンチに座っていたんですけど、自販機に行って戻ってきたら、謎のベンチXに座っていました」


咲「そして迷子です」



桃子「……意味不明っす」


咲「ですから、そう言いました」


桃子「まさか、頻繁にこういう目に遭ってたりするんすか?」


咲「ええ、まあ」


咲「けど、今回みたいに全く知らない場所に居たのは初めてですかね」


桃子「は、波乱万丈な人生っすね……」


咲「幸運な事に、すぐに見つけてくれる人が居るので助かってますけどね」


咲「……というか、東横さんには及ばないと思いますよ」



桃子「……え?」


咲「先程から、少しでも東横さんから意識を逸らすと、姿が確認できなくなります」チラ


桃子「あぁ……」


桃子「やっぱり、咲ちゃんでもそうだったっすかぁ」


桃子「わりと普通に話してくれるから、もう完璧に見えてるかと思ってたんすけどね…」アハハ


咲「……」


咲「……後輩の子と、少し前にこんな話をしました」


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マホ「先輩先輩、聞いてください!」


咲「どうしたのマホちゃん?」


マホ「マホ、色んな県のインターハイ予選決勝を見直してたんですけど、凄く不思議な人がいました!」


咲「神代小蒔とか荒川憩?」


マホ「いえ!そういう有名な方ではなくて、もっとマイナーっぽい方です!」


咲「へー?」


咲「それで、不思議って?」


マホ「えっとですね、神代小蒔さん園城寺怜さんに続いて、マホがコピー出来なさそうな人が居たんです!」


咲「!!」



マホ「あ、興味出てきましたか?」


咲「……マホちゃんがコピー出来ない条件は2つ」


咲「園城寺怜の様なまだ不完全な能力……全てを見せていない能力か、神代小蒔の様に、特別な何かを対価にしている能力」


マホ「はい!その方は、完全に後者でした!」



咲「……名前と、能力は?」


マホ「名前は……フルネームは忘れちゃいましたけど、モモさん?だった気がしますです」


マホ「そして能力は……」






マホ「卓上で消える、です」



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咲「ずっと存在が朧気な東横さんを見ていて、今その話を思い出しました」


桃子「コピーって……後輩さんどんな魔物っすか」


咲「後輩の子から話を聞いた時は半信半疑でしたが……」チラ


咲(卓上の上で消える、そして何かを対価として払っている……まさかとは思ってたけど、本当に見えなくなるのか)


咲(…これは面白いな……この人なら、昔の私の±0でも止められたかもしれない)


桃子「咲ちゃん?見えてるっすか?」


咲「あ、すみません。見えてます」


咲(面白いなんて思ったらいけないね……反省)



咲(けど、後天的な私の±0と違って、東横さんのほぼ元からの体質を改善するのは……)


咲「……」


桃子「咲ちゃん、見えてるなら黙らないで欲しいっす!」


桃子「……見えなくなったんじゃって、ちょっと怖いっすから」ギュゥ


咲「……東横さんは、他人から認識されたいんですよね?」


桃子「それは、まあ、そうっすけど……今は、最悪部活の先輩にだけ見てもらえれば良いかなって思ってるっす!」


咲「……それは、このままでは難しくなるでしょうね」


桃子「……え」


咲「少なくとも、麻雀でその力を使い続けては、いずれ誰からも認識されなくなる……なんて事に繋がる可能性があります」



桃子「これは私の元からの体質っすよ?麻雀は関係ないんじゃ……」


咲「私の想像ですが、麻雀の試合中……自分以外も、対局相手の認識から外していますね?」


桃子「私以外……?」


咲「例えば、そう」


咲「捨牌、とか」


桃子「!!」ピクッ


咲「当たりみたいですね。……そうでないと相手をフリテンにしたり、リーチに無警戒にさせたり出来ないですから」


咲「原村和クラスの超デジタルなら、卓上限定でなら見る事はできるでしょうけど」


桃子「それが、さっきの話とどう繋がるんすか……?」



咲「良いですか?卓上での貴方は、自分だけでなく捨牌など、自分が触れる物までも不可視にしている」


咲「本来なら、他人が可視出来るものを、不可視化しているんです」


咲「それはつまり、その体質を能力へと昇華させて利用しているという事」


桃子「それは……そうっすね」


咲「……結論を言います」


咲「卓上で、ステルスが能力として使われて練度が上がる度に、本来の存在感が薄いという、その体質までもが大きくなっていくんです」


咲「麻雀でステルスを能力として使えば使うほど、日常での存在感の薄さも極まっていく」



桃子「そ、そんな事……」


咲「無い、と言い切れますか?」


咲「有り得ない、そう思って続けていたらある日突然、何をしても誰にも気付いてもらえない……そんな状況に陥る可能性だってあります」


桃子「それなら、兆候が出た時点でやめるっすよ!」


咲「兆候?」


咲「100%のステルスが120%になっていたとして、東横さん自身は果たしてその兆候に気付けますかね?」


咲「……それに、呪われる前に止めれば良いなんて考え、馬鹿です」


桃子「……」


咲「……」



咲「……」ハァ



咲「少し、我慢してくださいね」ギュッ


桃子「え、ちょ、咲ちゃん…?////」タジッ


咲「……」ゴッッッッッッッッッッッッ


桃子「…ぅっっ……!?」ビクッ


桃子(な、なんすかコレ……ッッ!)プルブル


咲「……」スッ


桃子「あ……」ハァハァ


咲「ねえアナタ、ちょっと良い?」


少女「ん、お姉ちゃん、なにー?」



咲「お姉ちゃんの隣で立ってる人、どう思うかな?」


少女「うーん……お姉ちゃんじゃなくて、隣の?」


咲「うん、そうだよ」


少女「隣の~……」


桃子「咲ちゃん…?何もしてない状態の私を、こんな子が見える訳」


少女「とってもかわいい!」







桃子「ない…………えっ?」



咲「そっかそっか。ありがとうね」ナデナデ


少女「えへへ、うんっ!」ニヘラー


少女「じゃあ、ばいばい!」フリフリ


咲「うん、ばいばいっ」フリフリ





咲「……」フゥ


咲「……これは応急処置と言うか、アレです」


咲「私と行動している時に、完璧に消えられてしまっては私も後味最悪なので」


咲「ついでに、ずっと袖を握られているのも落ち着きませんし」



桃子「ど、どどどどどどういう事っすか咲ちゃん!!?」


咲「私が出せるありったけを、東横さんの周りに撒き散らしました」


桃子「ありったけってなんすか!?物凄くおぞましい物が身体に入ってきた気がするんすけど!!」


咲「これで、暫くは少し影が薄い程度になると思います」


咲「……と言っても、東横さんが自ら存在を消そうとしてしまえば、すぐさま雲散霧消して見えなくなってしまいますが」


桃子「無視っすか!なんか、展開速過ぎてまたもや着いていけないっす……」


咲(ありったけの殺気を当てたのに、まだ若干薄いなんて……これ、本当にヤバかったんじゃないの?)


咲「余計なお世話だったかもしれませんが、せめて私といる時は見えるままで居てくださいね」


咲(上手くやれば、自由自在にステルスのON/OFFが出来るようになるかも……)


咲(いや、それは危険かな)



桃子「驚いたっす……というか、何か辛いことを言われてた気がするんすけど、結論は私のことが心配!……って事っすよね?」


桃子「だから、このドス黒いオーラで何とかしてくれようとしてるんすよね?」


咲「いや、別に心配なんて……」


桃子「咲ちゃんは最高っす!!大好きっす!!
」ムギュー


咲「うわわっ!ちょっと、だから急に…」


桃子「ありがとう」


咲「……」


桃子「私は、元から影が薄くて、他人との交流を切り捨てて……気が付いたらこんな風になってたんすよね」ギュゥ


桃子「後戻りなんて、出来ないと思ってたし……誰も、私の体質を解決しようとは言わなかったっす」


桃子「もう諦めてたから、何とも思わなかったけど……こうやって、認識される様になるのも、やっぱり良い物っす!」



咲「……この前、同じような人と出会って、同じような事があっただけなので、気が向いただけです」


咲「……なので、勘違いしないで下さい」フイッ


桃子「同じようなっすか?」


咲「その話はいいです」


咲「……良いですか?これは、私と約束してください」


咲「別に、麻雀で体質を活かそうと、何に使おうと構いません」


咲「……ただ、見えないのが当たり前。だから仕方ない」


咲「そんな考えは、捨ててください。その体質をそれ以上受け入れれば、それはもう受け入れではなく、乗っ取り」


咲「自分の意思とは関係なく……体質が、本質に変わってしまう可能性がありますから」


桃子「……分かったっす」グッ


咲「それでは、行きましょうか」テクテク


桃子「はいっす!!」ギュー



咲「……腕を組まないでください」グググ


桃子「照れてるんすか?」ニヤ


咲「暑いんですよ」


桃子「ふふっ、咲ちゃん可愛いっす」クスクス


咲「……はぁ」タメイキ


桃子「~~♪」


咲「……」


咲(……そう、体質を受け入れて…諦めたら、ダメ)


咲(いつか、そんな物壊して…近くに居てくれる人が現れる)




咲「……そうですよね」クス





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【会場・どこか】



健夜「くしゅんっ!」


健夜「うう…」ズズ


恒子「すこやん風邪ー?大丈夫か!」


健夜「大丈夫だよ。……誰かに噂されてるのかも」


健夜(それか咲ちゃんが悪態ついてるか……)クスクス


恒子「すこやんの悪口なんて、すこやんに聞かれたら命が無いのに良くやるね!」


健夜「悪口確定!?」プンスカ


恒子「なはは、じょーだんじょーだん!」


健夜「ほら、馬鹿なこと言ってないで早く打ち合わせ終わらすよ?」


恒子「へーい」


健夜「まったくもう……」ハァ






健夜(……咲ちゃん、何やってるかな)





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




桃子「へぇ、それじゃあ部活の先生と後輩さんと3人で観戦に来てるんすか」フムフム


咲「はい」


桃子「私の地元の長野にも、めちゃくちゃ強い人が何人かいるんすけど」


桃子「さっきの咲ちゃん並のヤバいオーラは中々いないっすね~」


咲「そういえば、長野から来たと言っていましたね」


桃子「っすよー」


桃子「インハイに出場した清澄高校の応援をしに、予選決勝進出高校がほぼ全員東京に来てるっす」


咲「は?何ですかそれ……敵同士ですよね?」


咲(そういえば、衣ちゃんも清澄と仲良さげだったな)



桃子「敵同士っすけど、4校一緒に合宿したりしてて、結構仲良いんすよねー」


桃子「特に、清澄の部長がそういう事考えるの得意みたいで」


桃子「竹井って人なんすけどね」


咲「いや、聞いてませんし……」


桃子「まあそんな訳で、皆顔見知りなんすよ」


咲「ふーん……そういう物なんですね」


桃子「あ、咲ちゃん!そこでアイス売ってるっすよ!」ワァイ


咲「本当ですね」


咲「私はここで待ってるので、食べたければ買ってきても良いですよ」



桃子「え~、一緒に行かないんすかー?」ムー


咲「丁度ここ日陰なので、待ってますよ」


桃子「ぶーぶー!それじゃあ、一人で行ってくるっすよーだ」ベー


咲「はいはい、行ってらっしゃいです」


桃子「むー……」スタスタ


咲(なんで怒ってるの……)ハァ


咲「……」キョロキョロ


咲(それにしても、結構歩いてるけど……全然知った道に出ないな)



咲(これは、ちょっと恥ずかしいけど健夜さんに電話して何とかしてもらうしか……)


桃子「とう!」ピタッ


咲「ひゃっ!?」ビクッ


桃子「あははっ、大成功っす!」 つアイス


咲「……」


桃子「必殺、ちょいステルス攻撃っす!」ドヤッ


咲「……冷たいですよ?」ゴゴゴゴゴ


桃子「あ、ちょ、ストップ!ストップっす!」


桃子「そのエグいのはもう喰らいたくないっす!」アセアセ


咲「ごめんなさいは?」ゴゴゴゴゴ


桃子「この通りっす!」ペコペコ



咲「……はぁ、全く」


桃子「……中々可愛い声も出せるんすね…」ボソ


咲「はい?何か言いました?」


桃子「何でもないっす!」


桃子「それと、はいこれどうぞっす!」つアイス


咲「??」キョトン


桃子「咲ちゃんに一つあげるっすよ。2つ買うとお得セール中だったっすから!」


咲「いや、悪いですよ」


桃子「受け取らない方が悪いと思うっす!私1人で二つも食べられないっすよ」ホレホレ



咲「……なら、有り難く頂きますね」


桃子「どぞどぞ!」


咲「あ、ミカン味ですね」つ アイス


桃子「ゴーヤ味と迷ったんすけど、夏っすしミカンかなって」


咲「夏だからって理由以前の問題でしょうそれは……なんですか、ゴーヤって」ペロ


咲「あ、美味しい」ペロペロ


桃子「想像が付かないっすね~逆に気になるっす」


咲「ならないよ……」ハァ



桃子「……」ジーッ


咲「……」ペロ


桃子「スキありっす!」パクッ


咲「あ……」



桃子「うんうん、咲ちゃんの方も美味しいっすね!」


咲「……いや、同じ味じゃないですか」


桃子「あははっ、違いないっすけどね~」


咲「……」




咲「……」ゴッッッッッッッッッッッッ


桃子「ひぇっ!?」ビクッ


咲「隙あり、です」パクリ


咲「んー」ペロリ


咲「やっぱり同じ味ですかね」



桃子「ちょっと!今のは隙ありじゃなくて、隙を作らされた形なんすけど!?」


咲「ふふっ、隙は隙です」クスクス


桃子「もう怒ったっすよー!」


咲「あはは……」ドンッ


咲「あぅ……あ、すみません、よそ見をしていて…」





「いや、こちらこそ申し訳ない。不注意だった」


桃子「咲ちゃー…………ん?」




桃子「先輩!!!」


ゆみ「モモ!!やっと見つけた、探したぞ」



桃子「ごめんなさい……散歩してたらいつの間にか迷子状態だったっす」


ゆみ「いや、無事見つかって良かったさ。蒲原達もあちこち探しているだろうから、安心させてやらなきゃな」


桃子「そんな大事だったんすか!?…それは申し訳ない事をしたっす」


ゆみ「いや、大丈夫さ」


咲「東横さんの先輩ですか?」


桃子「あ!そうっす!私の高校の先輩っすよ!」


ゆみ「おっと、すまない。私達だけで話をしてしまった」


ゆみ「私は加治木ゆみ、モモの先輩だ」


咲「……へぇ」ジーッ



ゆみ「な、なんだ?」


咲「いえ、別に……」


咲「加治木さん、ですね。覚えました」ニコリ


桃子「むっ……」


桃子「この子は私の迷子仲間の宮永咲ちゃんっす!ここまで一緒に来てくれたんすよ!」


ゆみ「迷子仲間……?って事は、宮永さんも迷子なのか?」


桃子「そうなんすよ!」


咲「なんで東横さんが答えてるの……」


桃子「えー?良くないっすか?」


咲「別にいいけどさ」


ゆみ「うん……?そういえば、今はモモがよく見えるな」


桃子「そうそう!それも聞いてくださいっす先輩!」


桃子「実はっすね……」





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ゆみ「驚いたな……」


桃子「私も最初はビックリ仰天だったっす」


咲「……」


咲「実際に体験した東横さんは別として、加治木さんは今の話を信じるんですね」


ゆみ「ああ、信じざるを得ないだろう。実際に、私もモモの存在が強くなったと実感しているし、通行人も認識しているようだしな」


咲「そうですか」


ゆみ「それで咲、今の話を含めての提案なんだが聞いてくれるだろうか?」


咲「提案?」


桃子「呼び捨て!!」ガーン


ゆみ「聞いた話では、咲を一人で歩かせるのは危険だと思うんだ」


咲(会って数分でこんな事言われる私って……)


咲「まあはい、そうですね」



咲「ですが、東横さんはもう加治木さんと会えましたので、私に付き合う必要はありませんよ」


ゆみ「それなんだが、咲」


ゆみ「改めてお礼もしたいし、私達が泊まっている宿まで来てはくれないだろうか?」


咲「はい?」


桃子「ナイスアイディアっすよ先輩!!」


咲「いや、おかしいでしょう……」


ゆみ「迎えに来れる部活の先生と言うのも、来られるのは夕方なんだろう?」


ゆみ「それなら、居場所がはっきり分かる所にいた方が良いと思うんだが」


咲「それは、まあそうかもですね」



ゆみ「今は、鶴賀以外の高校の選手も来ている。雀卓も複数台ある事だし、麻雀も打てる」


ゆみ「どうだろうか?」


咲「……」カンガエ


咲「……それなら、お世話になります」


桃子「やったっす!!」ギューッ


咲「暑いから離れて……」グイグイ


桃子「あははっ、ほら早く行くっすよ!」


咲「ちょ、引っ張らないで」ズルズル



ゆみ「ははっ、モモが同年代の友達と仲良くしているのを見ると嬉しくなるな……」


ゆみ「っておい、そっちは逆だぞ!また迷子になる気か」タッタッタ



咲(長野の高校が来てるって事は……)






~宮永咲と東横桃子、カン~

原作では、清澄とキャップ達はホテル、鶴賀は蒲原のばあちゃん家ですが、都合上一つの宿に長野勢が集まってます。

次は多分、過去咲マホ健夜回です

モモ可愛いですよね。

レスありがとうございますっ
優希が人気なんですね。

小鍛冶の冶が間違ってたのか……これは気付きませんでした。書き溜め分のミスは大目に見てください。次回から治します

【閑話・宮永咲と……】



~咲、中学3年生・春~



「起立、さようならー」

「「「さよならー」」」


サヨナラー ウワ、ブカツダル... カエリニドッカイコ-
センセーアシタノホシュウッテ オミセシヨウオウジャノ


ザワザワ ガヤガヤ





咲(ふぅ……今日も終わった…)



生徒A「咲ちゃん、今日こそ一緒に帰らないかい!!」シュバッ


咲「わわっ…」ビク


咲「あ…すみません、今日も部活です……」


生徒A「うわぁぁぁぁん!今日もフラれたぁ!」グスン


生徒A「でも、私は諦めない!諦めたらそこで試合終了だからねっ!」フンス


咲「えっと……」オロ


生徒B「はいはい、宮永さん困ってるから……今日も私で我慢してくださいねー」ズルズル


生徒A「ちょっ、お前はもう飽きたのー!今日は咲ちゃんと帰るー!」ジタバタ


生徒B「飽きたってなんだ飽きたって!!」



生徒B「ごめんね宮永さん。でも、私もたまにでいいから一緒に帰ってみたい……かも」チラ


生徒A「私を無視して咲ちゃんを口説くなー!!」ムカー


生徒B「なーんてね、また明日!」フリフリ


咲「は、はい。その、また明日、です」フリフリ


生徒B「うんっ」ニコ


生徒A「うわぁぁぁ!!咲ちゃん好きだぁぁぁぁ!明日こそ、明日こそぉぉ!」ズルズル


生徒B「うっさい!」ベチン


生徒A「きゅぅ……」バタン


咲(行っちゃった……)



咲「……」フゥ


咲(最近いっつも帰りに誘ってくれてるのに、断って申し訳ないな……)ハァ


咲「……」


咲「さて、と」スッ


咲「……部室向かお」テクテク





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~本校舎内・とある廊下~



キャーキャー ワイワイ
スイエイブドウデスカー テニスブイイデスヨー





咲「なんだか学校が賑やかだと思ったら……もうそんな時期か」チラ


咲「部員勧誘……」


二年生徒「そこのあなた!是非吹奏楽部へ!」つ チラシ


咲「……」キョロ


咲「……え、私?」


二年生徒「うんうん!」


咲「……」


咲「……私、3年生だけど」



二年生徒「へっ……先輩!?ほんとだ…」


二年生徒「ご、ごめんなさいっっ!」ペコペコ


咲「ううん、気にしないで」ニコリ


二年生徒「/////すみませんっ、失礼しますっ!」テレ


咲「……」


咲「……はぁ」


咲(去年も一年生と間違われたんだよね……リボンの色を見て欲しいよ、全く!)プンスカ


咲「……」テクテク




咲「……ん?」チラッ


「あぅぅ……」


「ひうっ……!」ビクビク


咲(新入生かな……)



「ひえぇぇ……」オロオロ


咲「……」


咲「あの、大丈夫?」


「へっ……」


咲「この辺、今の時期は人がいっぱいだから、苦手ならしばらくはあんまり寄らない方が良いよ?」


「え、えっと……その……」オロオロ


咲(……仕方ないか)


咲「……付いてきて?」ギュッ


「ぁ……(手握って…)」ドキッ




咲(あぁ……部室が遠のくよ)ハァ




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~本校舎内・昇降口~




咲「ここまで来たら、もう大丈夫だと思うから」


咲「次からは、西側の階段から降りてくると良いよ?」


咲「ちょっと遠回りになっちゃうけどね」


「あ、ありがとうございました!」


咲「うん。それじゃあ私はこれで」スタスタ


「……」


「あ、あのっ!」


咲「うん?」フリカエリ


「あっ……えっと…」モジモジ


咲「??」



「お、お名前を、教えてくださいっ!」


咲「名前……私の?」


「だ、ダメなら良いんですごめんなさいですっ!」ペコペコ


咲(小動物みたいな子だなぁ……)


咲「……」


「だ、ダメですよねっすみませ」


咲「宮永咲、だよ」


「えっ?」


咲「それじゃ、さよなら」ニコリ


「あっ…」




咲(懐かしいなぁ…1年の時、私もあのバカ先輩にこうやって……)


咲(……いや、あの時は無理やり困ってる事にされて無理やり連れ出されて、無理やり名前を覚えさせられたんだっけ)


咲「……」


咲(あの人、元気かなぁ)














(行っちゃいました……)ボーッ


「宮永咲、先輩……」


「恰好いい人でした……」


「……/////」カァ




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~旧校舎・麻雀部部室~



咲「……」ペラ


健夜「……」ペラ


咲「……」ペラペラ


健夜「……」ペラ




咲「……健夜さん、私そろそろ上巻読み終わります」ペラ


健夜「え、私まだ全然進んでないよ?」


咲「……」ペラ


咲「は?……冗談やめて下さい、こうして読書タイムが始まって、もう1時間ですよ」


健夜「咲ちゃんは読書に慣れてるから早いんだよー」


咲「はぁ……」パタン


健夜「あれ、読んじゃわないの?」


咲「私、上巻が終わったあとはすぐに下巻読みたいタイプなので」


咲「健夜さんが読み終わるまで待ってます」



健夜「えぇ……何だか悪いよ」


咲「別に、何週間掛かっても良いですよ」スッ


健夜「さすがにそんなには掛からないよ!?」


咲「どうだか」


咲「私は暇なので、ねっとまーじゃんでもやってます」


健夜「あ、パソコンの電源の入れ方分かる?」


咲「失礼ですね……もうこの前みたいに、初期化とかはさせませんよ」フンス


健夜「そ、そっか(不安だ)」


健夜「それにしても珍しいね、咲ちゃんがネトマなんて」


健夜「初めてじゃない?実際にやるのは」



咲「そうですね。前々から健夜さんがやってるのを見てて、興味はありましたけど……」タドタド


咲「はい、ここからどうやってやるんです?」つ 画面


健夜「おお…よくそこの画面までいけたね?」


咲「馬鹿にしてます……?ちゃんと、健夜さんがやってる時に見て覚えたんです」


健夜「さすがに適応力は高い……」


咲「ほら、早く次に進めてください」


健夜「えっと、自分のアカウント作る?」


咲「あかうんと?」キョトン


健夜「あ~……」ウーン


健夜「ネトマのパスポート、みたいな!」



咲「ねっとまーじゃんやるのにパスポートが必要なんですか?」


咲「凄く国際的なんですね……」オドロキ


健夜「違うよ咲ちゃん!例えだから!パスポート" みたいな "物だから!」


咲「うーん?」


咲「……よく分からないので健夜さんのでやりたいです」


健夜(健夜さんのでやりたい……)


健夜「……」


健夜(可愛い)


咲「あの、聞こえてます?」オーイ


健夜「あ、うん。分かったよ」カチカチ


健夜「パスワードは……"common sense"っと」カタカタ


咲「……常識、ですか?」


健夜「あっ、そ、そこは気にしなくて良いから!」アセアセ



健夜「三麻、東風、半荘何でも出来るけど、どれやりたい?」つ 画面


咲「改めて、こんな機械でこんなに色々出来るのは凄いですよね……」スゴイ


健夜(可愛いなぁ……)


咲「まあでも、普通に半荘戦で良いですよ」


健夜「ん、分かったよ」カタカタ


健夜(フリー卓で良いかな……色んなレートの人来ちゃうけど、マナーは良いし)クリック


咲「対局相手を探していますって出てますね」


健夜「平日のこの時間だし、人は少ないかもね」


咲「放課後の部活時間、すぐ近くにリアルな雀卓があるのにネット麻雀をやる私達」


咲「よくこの部活潰されませんね……さすが、健夜さんの権力」


健夜「何か嫌な言い方だよそれ……」



健夜「あ、人集まったね。ここからは、分かる?」


咲「はい、大丈夫です。やり方とかは覚えてますので」


健夜「ん、分かったよ」


健夜「それじゃあ、私は続き読んでるから」つ本


咲「はーい」カチカチ


健夜「……頑張って、咲ちゃん」グッ


健夜(咲ちゃん、ネトマは弱いだろうなぁ……)



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~数分後~




咲「あぁぁ……負けたぁ…」カチカチ


咲「何この"のどっち"って人……強すぎるでしょ…」グテー


咲「絶対ズルしてる……こういうの何て言うんだっけ……動物みたいな名前…」


咲「ちーたーだっけ?絶対それだよ、ライオンになれないチーターはズルして悪い事をするもんね…」


咲「……いや、意味が分からないか今のは」


健夜「あ、終わったの?」


咲「はい、取り敢えずは」


健夜「お疲れ様。結果は……」チラ


健夜「惨敗だね」クスクス



咲「だって、ネット麻雀だと何も見えないんですもん」


咲「というか見えない以前に、色々と悪運が続きすぎます」


咲「牌が言うこと聞いてくれないって言うか……分かります?」


健夜「あはは、私も始めはボロボロだったなぁ」


健夜「オカルト持ちがデジタルな事をやると、どうにも合わないみたいだね」


咲「それにしたって、5回くらい連続で同じ人に振込みですよ?」


咲「ネット麻雀って怖い……」トラウマ


健夜「んー相手はどんな人…………」チラ




健夜「……」


健夜「え!?」


咲「なんですか。画面に映った自分の顔にシワが増えてましたか」


咲「大丈夫です、いつもの健夜さんですよ」


健夜「違うよ!?急にどうしたの!?」ガーン


健夜「……ほら、この咲ちゃんが振込みまくった"のどっち"」



咲「あぁ、天使みたいで可愛いキャラクターですね」


健夜「この人、ネトマ界でプログラムなんじゃないかって言われるほどのプレイヤーだよ」


咲「そんなに?……確かに、牌効率とかは気持ち悪いくらいに完璧でしたけど」


咲(チーターじゃなくてライオンさんだったね)


咲「でも、そんな人だったらとっくにリアルで名前が知れてるハズでは?」


健夜「私も、少し興味があって調べてたんだけど、プロの中にはここまでのデジタル打ちは居ないの」


咲「……へぇ?」


咲「なら学生、ですか」


健夜「うーん……どうなんだろう?」


健夜「これほどの打ち手が、大会とかに出てるなら気付かないハズがないんだけど……」


咲「……」



咲「なら、答えは一つでしょう」


健夜「うん?」


咲「リアルを全て切り捨てて対局できるネット麻雀だからこそ、"のどっち"は強い」


咲「逆に、リアルの情報……実際の対局の空気感やらを感じる、リアルの麻雀では、本来の実力を出せない」


咲「更に言えば、ネトマではオカルトを見ないが為に、オカルトの存在を知らずに……もしくは認めずにリアルで打ってて、良いカモにされてる」


咲「……とか」


健夜「なるほどね……ありそうかも」


咲「ね?……もし仮に、この "のどっち" が本来の実力をリアルでも出せるのなら……」


咲「……」ウズッ


健夜「……まだまだ楽しみがいっぱいだね、咲ちゃん」ニコリ


咲「はい」クス



咲「……でも、もうネトマはやめます」ポイ


健夜「あれ、やる気になるかと思ったのに」


咲「だって、無理ですもん。ネトマ無理です。勝てません、絶対」ブーブー


健夜「ぷっ……咲ちゃん可愛い」


咲「うるさいです!!早く読書に勤しんでください!」プンスカ


健夜「ふふっ、はーい」クスクス


咲「はあ…」チラ


咲(それにしても、この"のどっち"……本当に強いな)


咲「……」


咲「確か、ここをこうやって……」カチカチ


咲「……」カチカチ



咲「あった、だいれくとめっせーじ」カチ


咲「えっと……」カタカタ


咲『おつよいですね、としはいくつなんですか』ポチポチ


咲「っと……送信っ」タン


咲「……」ジーッ


ピコーン

咲「あ、返信きた……」カチカチ


のどっち『光栄です。年齢は個人情報なので、すみません』


咲「まあ、そうだよね…」カチカチ


咲『そうですよね。きゅうにごめんなさい』


のどっち『いえ。それはそうと、キーボードの変換の所で、漢字に変換する事ができますよ』


咲「変換……あっ、本当だ」


咲(え、ていうか私さっきので会話終わらそうと思ってたのに…)ポチポチ



咲『本当ですね、すみません。ありがとうございま』


咲「あっ、最後の文字打ち損ねた……」ポチポチ


咲『すみません、最後のす、が抜けていました』


のどっち『ふふっ、もしかしてパソコンに慣れていないんですか?』


咲『恥ずかしながら。ネット麻雀も初めてやりまして、とても強い方がいるんだなと驚きました』


咲『是非、現実でもお相手願いたいです』


咲「……ふぅ」


咲「パソコンは目が疲れるよ……」




健夜「咲ちゃん、頑張って読み終えたよー」テクテク


健夜「って、DM?」チラリ


咲「あ、健夜さん。この短時間で読み終わるなんて中々やりますね」


咲「試しに、のどっちにメール送ってみたら返ってきたんですよ」ドヤッ


咲「上手く行けば、どんな人か分かるかも」



健夜「えっ、のどっちってメールとか一切返さないって聞いてたけど……」


健夜「どれどれ……」


健夜「……」


咲「どうです?」フンス


健夜「咲ちゃん……これは流石に無いかな…」


咲「は?何でですか?」


健夜「これじゃあまるで、現実で会ってあわよくばを狙ってる、男の人みたいだよ?」


咲「あわよくばって何ですか、意味わかりません」


健夜「だから、その……なんて言うのかなぁ」


健夜「ネットで出会いを求める……みたいな?」


咲「いや、私はこの人がどんな人か、一目見てみたい訳ですから間違ってませんよね?」


健夜「咲ちゃんは自分が送ってる側だから良いかもしれないけど、のどっちさんは違うかもしれないでしょ?」



健夜「下心のある、異性だって思われても仕方ないよ?」


咲「……まあ、確かに」


咲「言われてみたら、ちょっとダメだったかもです…」


健夜(歳を聞いて、現実で会おうとするネット上の人物とか、怪しい事この上ないよ!!)


咲「……」シュン


健夜「あっ、ごめんね!?ちょっと言い過ぎたかも!」アセアセ


健夜「けど、流石にリアルで打とうって言われてオッケー出す人は居ないと思うから、これからは気をつけようね?」


健夜「それと、咲ちゃんもほいほい誘いに乗らないようにっ」


咲「はい……じゃあ、謝罪の意を込めて……」ポチポチ


健夜(あ、嫌な予感)



咲『今、こういう事はダメだと教えられました。ごめんなさい』


咲『しかし、のどっちさんにはとても興味があるので、いつか必ず見つけ出して対局を申し込もうと思います』


咲『なので、是非とも麻雀を続けていてくださいね』


咲「っと、これでどうです?」


健夜「いや怖いよ!?さっきのより質悪くなったよ!!」


健夜「いつか必ず見つけ出すってなに!?1歩外れたら脅迫だよこれ!」


咲「もう、うるさいです。送ってしまったものは仕方ないじゃないですか」フイッ


健夜「開き直った!?」


咲「返事も返って来なくなっちゃったので、もうやめます」つ 電源切り


健夜「咲ちゃんが電子機器使う時は隣に付いてなきゃいけないね……」


咲「ボコボコにされて少し後味悪いので、麻雀打ちましょうよ」テクテク


健夜「あ、うん。良いよ」



咲「それじゃあ、いつも通り10万点持ちでツモなしロンのみ責任払いありの、飛ばしたら勝ちルールで」


健夜「今までの勝敗数どんな感じだっけ?」


咲「うーん…途中から数えるのやめちゃいましたし、覚えてません」


咲「けどまあ、今日は私が勝つので健夜さんが少し勝ち越しって事にしてあげますよ」ニコリ


健夜「へー、後で後悔しても知らないよ」ニコッ


咲「……では、始めますk」





「し、失礼しますっっ!!」






咲「んっ……?」


健夜「え、お客さん?」チラ


「あ、あの!こちらに麻雀部の部室があると聞いて来たんですけど!」


咲(ドアの向こうで叫んでる……)


健夜(ドアの向こうで叫んでるからどんな子か分からない……)



咲「健夜さん」


健夜「え、私!?ここは同じ生徒の咲ちゃんの方が良いと思うんだけど……」


健夜「私が出ていったら、誰だってならないかな?」


咲「……それもそうですかね…」スッ


健夜(え、もしかして新入部員?去年は誰も来ない所か、麻雀部の存在すら知れ渡って無かったのに……)


「あ、あのぉ……すみませんっ!」


咲「はい、どちら様ですか」スタスタ


咲「ドアの向こうで叫んでても対応し辛いですよ……」スッ




ガチャッ





咲「何の用ですか?」チラ



マホ「ゆ、夢乃マホですっ!!えとえと、一年生で……えっと、麻雀部に入部希望なんですけど!」ビクビク


マホ「こ、ここに麻雀部の部室があるって聞いて、その……」


咲「……あれ?あなたは」




マホ「……へっ…」チラリ


咲「さっきの子?」



マホ「み……み、みみみみみ!!」










マホ「宮永先輩!!!??」







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入ろうとした部活に助けられた先輩……ベタ過ぎですが、ベタなのを書きたかった……

もうしばらく続きますっ

乙ですよー
この咲さんは麻雀強い人には片っ端から興味持ってるやろ……
マホ入部回期待です

このスレの基礎となるのはあくまでも、咲健です。
のどっちは出てきましたが、あくまでも前スレの伏線を回収しただけです。
>>405さんの仰る通り、この咲さんは麻雀が強い人になら誰でも興味を持ちますので、のどっちが特別という訳ではありません。

レスをしようか迷いましたが、嫌な空気でしたのでスルー出来ずに申し訳ないです。



咲「はい、紅茶で良かったかな?」つ紅茶


マホ「あ、ありがとうございますっ!」


咲「健夜さんは水で良いですよね」


健夜「なんで!?」ガーン


咲「冗談ですよ、はい」つコーヒー


健夜「最近冗談に聞こえなくなってきたよ……」


健夜「ありがとう、咲ちゃん」


マホ「………」ズズ


咲「えっと……健夜さん、どうしたら?」ヒソヒソ


健夜「分からないよ…入部希望の子なんて今年も来ないと思ってたし……」コソコソ


咲「私もですよ……」ヒソヒソ



マホ「あ、あのぉ……?マホ、どうしたら……」


咲「あ、ごめんね?えっと……入部希望、で良いのかな」


マホ「は、はいっ!」


咲「あー……」チラ


健夜「見ての通り、この麻雀部は部員がここの咲ちゃんだけ。後はコーチの私しか居ないけど……」


健夜「それでも大丈夫かな?」


咲「たまに雀荘に打ちに行ったりするけど、基本は2人打ち……夢乃さんを入れたら三麻になっちゃうけど」


マホ「そうなんですか……」


咲「うん。だから、入部はいつでも歓迎するから、他にやりたい部活とかあるならそっちも見てきてから、決めたらどうかな?」


マホ「……」カンガエ


健夜(この子……)ジーッ


マホ「いえ、むしろ宮永先輩と2人きりなら都合バッチリです!!」


咲「え?」


健夜「うん?(私は?)」


マホ「マホ、先ほど宮永先輩に助けて貰って、とってもカッコイイなって思ってて」


マホ「もう一度会いたいなって思ってたです!」


咲(な、なんか急に積極的になったな)


健夜「助けたって?」


咲「あぁ、さっきこの子が勧誘の波に飲まれてたので、少し」


健夜(何その展開!?)


マホ「なので、マホ、部員数が少なくても大丈夫です!」


咲「……」チラリ


健夜「咲ちゃんが決めていいよ?」


咲「……」カンガエ


咲「マホちゃんは、どうして麻雀部に入りたいの?」



マホ「えっとぉ……」


マホ「マホ、結構昔から麻雀をしてるんですけど、小学校の頃にとても強い人と対局したんです」


マホ「どんな方か忘れちゃったんですけど、いつかその人ともう一度対局したいって、ずっと思ってて……」


マホ「そして、その時は負けちゃったので、次こそ勝ちたいって思ってるので、もっと麻雀をやりたいんですっ!」


マホ「だから、その……はい、そんな感じ……なんですけど…」チラ


咲「……」


マホ「ダメ……でしょうか…?」



咲「……うん、分かった」



健夜(憧れ……かぁ)クス






咲「ようこそ、麻雀部へ」ニコッ


マホ「!!」パアッ


マホ「はいっ!よろしくお願いするですっ!」ペコッ





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咲「改めて自己紹介するね、私は宮永咲。3年生です」


健夜「小鍛治健夜、一応この部のコーチって事になってます」


マホ「こ、小鍛治健夜さんって…もしかして……」


咲「うん。掃除洗濯料理ダメダメの、アラサー独身麻雀狂の、あの小鍛冶健夜さんだよ」


咲「元世界2位だけど、その辺りは気にしなくて大丈夫大丈夫。なんたって、生活力が皆無だからね」


マホ「へっ?」


健夜「咲ちゃん!?いきなり私の評価落とすのやめよ!?」ガーン


咲「ぷっ……否定してこない辺り、悲しいですね」クスクス


健夜「ま、まあ…家事ダメダメなのは本当だから……って、咲ちゃん!変なこと言わせないで!?」


咲「まあ、普段はこんな感じだけど、結構頼りにはなる人だから安心してね」


マホ「は、はい……」ウタガイノメ



健夜「その微妙なフォローじゃあ失われた信用は返ってこないよ咲ちゃん……」ニヘラ-


マホ(先輩に頼りになるって言われた途端、顔が綻びました……)


咲(少し褒めたらこれなんだから……)


咲 マホ((この人、ちょろい(です)))


マホ「あっ、マホの自己紹介がまだでした……」


マホ「一年生の夢乃マホですっ。えっと……家事は一応出来なくもないですっ」


咲「ぷっ……」


健夜「マホちゃん!?そこは言わなくても良い所だから!!」


マホ「へっ?あ、ご、ごめんなさいですっ!」ペコペコ


咲「ふふっ……良いんだよマホちゃん…」クスクス


健夜「咲ちゃん笑いすぎだよ……」


マホ(宮永先輩はやっぱり可愛いです……)ドキドキ



咲「えっと、自己紹介も終わったし1局打ってみよっか?」


咲「経験者って事だし、ルールとかは大丈夫?」


マホ「あ、はいっ!大丈夫です!」


咲「健夜さん、さっき言ったルールは変更で、普通のルールに変更で」


健夜「うん、了解だよ」


咲「えっと、3万点持ちでウマオカなし、赤は2枚ね。一応、箱下でも続行にしておこっか」


マホ「分かりましたっ!」


咲「健夜さんは少し手加減してくださいね」


健夜「分かってるよ」コクリ


咲「じゃ、始めようか」



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咲 42000
健夜 25000
マホ 23000



マホ「マホ負けちゃいました……」ショボン


咲(なに、この子……?)


健夜(やっぱり、何か感じると思った)


咲(偶然……?にしては、違和感が…)


マホ「何度もチョンボしそうになってしまってごめんなさいです……」シュン


咲「……」カンガエ


健夜「咲ちゃん」


咲「!!」ハッ


咲「……チョンボの事は気にしなくて大丈夫だよ」


咲「それより、もう一局だけやってみよっか」


マホ「は、はいっ!次はチョンボしないように気をつけます!」


咲「……健夜さん」チラ


健夜「うん、分かったよ」コクリ


咲「じゃあ、よろしくお願いします」


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咲「カン、もう1個、カン」スッ


健夜「ロンだよ。槍槓ドラ8」


咲「はい」チャラ


マホ「……」ジーッ



健夜「ポン」スッ


咲「それカン、ツモ責任払いで24000点です」


健夜「…はい」


マホ「……」ジーッ







マホ「……」ゴゴゴゴゴゴ


咲(これは……)


健夜(ツモ悪いなぁ……)


マホ「リーチ」ゴッッッ


咲(海底前でリーチ?)


健夜(決まり、かな)



マホ「ツモです、リーチ一発海底ツモ三色一盃口ドラドラ」


マホ「8000オールです」ボッッ


咲「!!」ガタッ


咲(この子……)


咲(何も感じなかった訳じゃない……けど、これほどの…?)


健夜「咲ちゃん?」


咲「あ、すみません。急に立っちゃって」スワリ


咲「ねえ、マホちゃん?」


マホ「は、はいっ!マホ、何かダメだったでしょうか……?」オロオロ


咲「ううん、そんな事ないよ」



咲「マホちゃんって……少し言い方は悪いんだけど、人の真似をする事が得意?」


マホ「………」


マホ「えっ……」


咲「もう少し詳しく言うと、テレビとかで見た麻雀選手の能力とかを、コピーしたり……できるよね?」


マホ「ぁ……」


咲「……どう、かな?」


マホ「えっと……あの……」


マホ「……」ガタッ


咲「え、マホちゃん?」



マホ「ご、ごめんなさい……今日は、帰ります…」タッタッタ


咲「えっ……」



ガチャ



マホ「失礼、します……」




バタンッ








咲「マホちゃん……?」


健夜「……急に帰っちゃったね」


咲「私、何か嫌な事言いましたかね……?」


健夜「うーん……聞いてた限りでは、そんな事は無かったと思うけど……」



咲「でも、能力の話をした途端に顔色変えて出ていっちゃいました」


健夜「関係があるとしたら、それかもね…」


健夜「それにしても、正直ビックリしたよ。マホちゃん」


咲「私もですよ……何か、色々な物が混ざりあっている様な違和感は感じていましたが……」


咲「一つ一つが薄いせいで、核に気づけませんでした」


健夜「あのチョンボは、制約の一つだねきっと」


咲「はい。けど、呪いとは違って意識をすれば止められるみたいですし、そこまでのデメリットにはなりませんね」


健夜「能力のコピー……そんな事できる子が、中学生にいるなんて…」



咲「……とりあえず、私も今日は帰ります」


健夜「あ、送っていくよ」


咲「じゃあ、一緒に行きましょうか」


咲「……少し、考えたい事もありますし、付き合ってください」スッ


健夜「うん、そうだね。」


健夜「電気消すよ?」


咲「はい」


咲(……夢乃マホ…か)



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~3日後・始業前、部室~




咲「……マホちゃん、あの日以来来ませんね」


健夜「うん…」


咲「……」


健夜「……大丈夫、その内」


咲「そんな言葉はいりません。分かってるでしょう」


健夜「……そうだね、ごめん」


咲「いえ……こちらこそ、すみません…」



咲「……マホちゃんの能力について触れた事が、この部室に来なくなった……もしくは、来づらくなった理由だとして」


咲「一体、どんな関わりがあるんでしょうか」


健夜「うーん……」


健夜「考えられるのは、能力を見破られたく無かった……とか」


咲「それは私も考えましたけど…もしそうなら、あの時能力を使ったりしますかね?」


咲「しかも、あれだけ強力な場の支配と海底……天江衣のコピーまでしたんですよ?」


健夜「そうなんだよね……」


咲「……」カンガエ


キーンコーンカーンコーン


咲「!!」ピクッ


健夜「続きは、放課後に考えよっか」



咲「……そうですね」スッ


咲「とりあえず、学校行ってきます」


健夜「ん、行ってらっしゃい。頑張ってね」


咲「はい」テクテク


健夜「……」


健夜「…咲ちゃん!」


咲「??」クルッ


健夜「……能力の悩みは、多分咲ちゃんが気付いてあげるのがいいと思うの」


咲「……」


健夜「だから…」


咲「大丈夫です、健夜さん」


健夜「!!」


咲「分かってますよ」ニコッ


健夜「……うんっ」ニコリ


咲「では、また後でです」フリフリ


健夜「また放課後、ね」フリフリ




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~授業後・教室~




咲「……」


生徒A「咲ちゃぁぁぁぁぁ…………ん?」


生徒A「どったの咲ちゃん、いつも可愛い顔が悩ましい表情で更に可愛くなってるよ?」


生徒B「アンタのその一言が、更に困惑の表情まで作らせるんだからやめなさい」ゲシ


生徒A「痛い!?蹴らなくたって良いじゃん!」


生徒B「それで宮永さん、どうかしたの?」


生徒A「無視すんな!この貧乳暴力女!」


生徒B「ふんっ!」ゲシッ


生徒A「きゅぅ……」


咲「二人とも……」



生徒B「あはは…ごめんね、こいついっつもこんな感じで」アハハ


咲「いえ…」


生徒A「んでんで、咲ちゃんは何を悩んでるのかな?」復活


生徒B「復活はやっ……」


咲「……別に、悩んでは……いません…」


生徒A「そんな可愛い声と可愛い顔で言われたって、説得力ないよー」


生徒B「可愛いと可愛いしか無かったんだけど?」


生徒A「咲ちゃんイズ可愛い!おーけー?」


生徒B「アンタが馬鹿って事は分かったわ」


生徒A「何も分かってない!」プンスカ



咲「……ふふっ…」クスクス


生徒A「!!!」


生徒B「可愛い……」


生徒A「お前も可愛いって思ってんじゃん」


生徒B「うそっ、今声に出てた?」


生徒A「いぇす」


生徒B「~~~~っっっ/////」


咲「ふふふっ…おかしいですね二人とも…」クスクス


生徒B「二人とも!?」



生徒A「うんうん!私たちに悩みを打ち明けちゃえば、きっと面白可笑しく解決に導いちゃうよ!」


咲「面白可笑しかったらダメだと思うけど……」


咲「……うん、じゃあ、少し聞いてくれますか?」


生徒A「少しと言わず、何時間でもいいよっ!」


生徒B「うるさい」ベシッ



咲「実は……」




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生徒A「ふむ……つまり、新入部員が1日で部活に来なくなっちゃったと」


生徒B「かいつまみすぎでしょ……」


咲「でもまあ、そんな感じです」


咲「すみません、こんな話聞いてもらっちゃって」


生徒B「ううん、むしろ嬉しいよ」ニコリ


生徒A「うーん、咲ちゃんは、まずはその子が来なくなっちゃった理由を解明しなきゃいけないの?」


咲「えっ?」


生徒A「つまりーえっとー……翻訳頼む!」


生徒B「押し付けないでよ……」



生徒B「まあ、要するに、その子に会って話を聞くのはダメなの?……って、言ってるんだと思うよ」


生徒A「その通り!!」


咲「会うって……部室に来てくれないんですよ?」


生徒A「違うよ咲ちゃん!なにも、部室でしか会えないなんて事はないでしょ?」


咲「えっ……」


生徒B「その子が来ないならさ、宮永さんから行っちゃえば良いんだよ」


咲「!!!」



生徒A「あぁ……今日も咲ちゃんとの下校はお預けか…」ガックシ


生徒B「頑張って、宮永さん」グッ


咲「……ありがとう、二人とも」スッ


咲「ちょっと、行ってくるね!」タッタッタ


生徒A「行ってしまった……」


生徒B「結末は、また明日聞くとしようよ」クス


生徒A「……だね」ニコリ



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~本校舎・一年教室~



咲「はぁ……はぁ…」スッ


ガララ


咲「……」キョロキョロ


咲「ねえ、少し良いかな?」


一年生徒「え?はい、何でしょうか?」


咲「このクラスの、夢乃マホさんってもう帰っちゃった?」


一年生徒「マホちゃんですか?えっと、はい」


一年生徒「最近はいつも早く帰ってますね」


咲「ありがとう!」ダッ


一年生徒「ぁ……行っちゃった…」



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~校舎外・ある場所~



咲「…っっ……」ハァハァ


咲「こんなに走ったの……いつぶりだろ…」ハァハァ


咲「チャイムが鳴ってからまだそんなに時間は経ってない……」キョロキョロ


咲「そんなに遠くには行ってないはず……」ダッ


咲「はぁ…はぁ……」タッタッタ


咲「……!!」ピタッ


マホ「……」


咲(あのベンチ……見つけた……)タッ


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マホ「……はぁ…」


マホ「一体、何がしたいんだろう……」


咲「マホ、ちゃん……」ハァハァ


マホ「!?」バッ


咲「やっと……見つけたよ…」フゥ


マホ「宮永……先輩……?」


マホ「ど、どうしてこんな所に!」


咲「それは、こっちのセリフだよ……」


咲「初日からずっとサボりは、さすがに私も先輩として放っておけない、かな」


マホ「それは……」


咲「とりあえず、隣座っても良いかな……?」


咲「久々に走ったら疲れちゃって」アハハ


マホ「は、はい……すみません、どうぞです」スッ


咲「うん、ありがとう」スワリ


咲「……ふぅ…」


マホ「……」


咲「……」


咲「ごめんね、マホちゃん」


マホ「へっ……?」



咲「あの日以来、ずっと考えてたの」


咲「マホちゃんが帰っちゃった理由とか、部活に来てくれない理由、とか」


マホ「そ、そんな!その……悪いのは、マホですし……」


咲「……本当は、自分で気付いてからマホちゃんの悩みを…あるならだけど、解決してあげたかった」


咲「……けど、思いつかなかったんだ」


マホ「先輩……」


咲「私、誰かの先輩になるなんて初めてで、こういう時、なんて言えば良いのか分からないから……」スッ


マホ「せ、先輩……?」


咲「……」ギュッ


マホ「ぁ……」


咲「……話してくれるまで、離さないよ」ギュゥ


マホ「……先輩…っ…」



咲「辛くても、話して?人に聞かれるのが嫌でも、話して?」ナデナデ


咲「きっとその悩みは……一人で抱えこんだら、ダメなの」ギュ


マホ「そんな事……っ…」ジワッ


咲「これはね、私のワガママ……」


咲「先輩として、最初で最後のワガママにするから……」


咲「マホちゃんの事、教えてくれないかな……?」ギュッ


マホ「…うぅ……」グス


マホ「先輩は……ズルい……です…っ」


咲「うん……ごめんね…」


マホ「でも……マホの尊敬する……先輩です…」ギュッ


咲「……うん、ありがとう」ナデナデ


マホ「……」グス



マホ「……聞いて、くれるんですか…?」


咲「勿論。むしろ、頭を下げてお願いしたいくらいかな」ニコリ


マホ「……」スッ


マホ「……マホは、先輩が指摘した通り…人のマネをするのが、得意…」


マホ「コピーをするのが、能力です……」


咲「……うん」


マホ「……でも、それ以外は…ダメダメ、なんです」


咲「……」ピクッ


マホ「人のマネをしていない時のマホは、凡人以下の力しかありません……」





マホ「人のマネしか、出来ないんです……」


咲「……」



マホ「……昔、言われた事があるんです」


マホ「人マネしかしていないお前は、自分で麻雀をやっている意味があるのか?……って」


咲「……うん…」


マホ「その時、思っちゃったんです……」


マホ「確かに、マネしかできないマホが自分で麻雀を打ってる意味なんて無いんじゃないかって……」


マホ「一緒にやってる人も、楽しく無いんじゃないか……マホを、嫌いになるんじゃないかって…」


マホ「……その時以来、マホは人のコピーをするのはやめました」


マホ「でも……この前、先輩と健夜さんと打った時…」


マホ「何故かは分からないんです……無意識的に、模倣出来る中で一番強いコピーをしてしまっていて……」


マホ「マホ、本当に無意識だったんです……先輩と健夜さんを見ていたら、マホも打ちたいって思って、それで……」


マホ「先輩に指摘されて、初めてマホがコピーを使ってしまった事を知らされました……」



マホ「怖かったんです、先輩の目が……マホは、コピーしか出来ない……凡人だと、言っている様に見えて……」


マホ「逆に、コピーが出来るマホを求めていて、凡人のマホを見たら、見放されるんじゃないかって……」


マホ「先輩に、嫌われちゃったんじゃないかって……!!」グスッ


咲「マホちゃん……」


マホ「幼稚な……理由なんです…」


マホ「部室に行けなかったのも……マホの、自分勝手な…理由です…」


咲「……」


マホ「……あはは…ごめんなさいです、やっぱり呆れちゃいましたよね」


咲「……マホちゃんってさ」


マホ「はい……」






咲「ちょっと、お馬鹿さんだよね」


マホ「……へっ…」



咲「私てっきり、能力を使って人の能力を奪ってしまい、その人の人生を崩壊させちゃったー!」


咲「……とか、そういう理由かと思ってた」


マホ「そ、そんな大事な訳では!」


咲「うん、だからそんな小さな事、気にしなくて良いんだよ」


咲「コピーしか出来ない?コピーしないと只の凡人以下?」


咲「うんうん、結構だと思うよ?」


咲「私に言わせてみれば、コピーが出来るだけで物凄く凄いことだと思うし」


咲「素の状態が凡人以下なら、まだまだ強くなれるって事だよ?」


マホ「そんな簡単には……いかないんです…」


咲「今は、私が居るよ」


マホ「えっ……?」



咲「ううん、私だけじゃない。健夜さんもいる」


咲「……マホちゃん、言ってたよね?昔対局した人ともう一度対局して、勝ちたいから麻雀部に入りたいんだって」


マホ「はい……」


咲「うんうん、なら、やろうよ」


咲「私と、健夜さんと、マホちゃんで一緒に…強く、なろ?」


マホ「で、でも……コピーをしないマホと打ったってお2人の足元に及びません……それなら、マホなんて居ない方が……」


咲「私は、マホちゃんが欲しいよ」


マホ「っっっ……」


咲「コピーが出来るマホちゃんでも、素の下手くそなマホちゃんでもない」


咲「強くなろうって、頑張るマホちゃんが欲しい」



咲「さっき、私がマホちゃんをコピーしか出来ない凡人だと思ってるんじゃないかって、言ったね」


咲「私の気持ちを、勘違いしないで欲しいな」


咲「私は、マホちゃんのその能力、とっても魅力的だと思うし、例えコピーが無くなったら下手くそになっちゃうとしても」


咲「私は、強くなりたいって思うマホちゃんの麻雀を打つ姿勢、大好きだよ?」


マホ「でもっ……っっ!!」


咲「もし!!」


マホ「っっ」ピクッ


咲「マホちゃんが自分の能力が嫌いだーなんて、言ったら、私の能力だって嫌われちゃうね?」


マホ「ど、どうして……」



咲「だって、私の嶺上開花、もうコピーできたんでしょ?」


咲「それはつまり、コピーの能力=私の嶺上開花って解釈もできる訳で」


咲「あぁ……私、マホちゃんに嫌われたくないな」


マホ「き、嫌いませんよ!!嫌うはずありません!!」


咲「うん。私と健夜さんも、マホちゃんに対して、同じ気持ち」


マホ「ぁ……」


咲「良い?私は、マホちゃんのコピーの能力はとっても凄いと思うし、対局しててとっても楽しかった」


咲「強くなるように頑張ろうって、そう思って打ってるマホちゃんを見てて、協力したいって思った」


咲「私はマホちゃんと、何回でも麻雀を打ちたいな」



マホ「先輩……」グスッ


マホ「先輩は……コピーしか出来ないマホを…好きになってくれますか……?」


咲「うん。コピーまでできるマホちゃんを好きになるよ」


マホ「先輩は…弱虫なマホとも……麻雀をしてくれますか...?」


咲「うん。一緒に強くなって、大魔王健夜を倒そっか」ニコリ


マホ「先輩は……マホを…好きになってくれるんですか……?」


咲「……うん、勿論」ニコッ


咲「私が好きなマホちゃんを、マホちゃんは好きになれないかな……?」


マホ「…なれますっ……先輩が好きなものは…好きになりたいですっ……!」






咲「……夢乃マホちゃん、私を…」


咲「マホちゃんの、先輩にしてくれるかな?」


マホ「……」ゴシゴシ








マホ「……はいっ」


マホ「よろしく、お願いしますっ」ニコッ




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~旧校舎・部室~




健夜「……」ソワソワ


健夜「咲ちゃん……大丈夫かな…」


ガチャッ




健夜「!!!」


健夜「咲ちゃん!おかえり、今日もマホちゃんは…………」





健夜「………………えっ?」



咲「あ、あはは……健夜さん、どうもです」


マホ「せ、先輩!少し雨降ってきちゃいましたけど、濡れてませんか!?」ギュ-ッ


マホ「あぁ、少し濡れてます……風邪引いたらいけませんし、すぐに拭きます!」



咲「ま、マホちゃん……ちょっと過保護すぎ……」


マホ「そんな事ありません!マホの先輩が風邪引いたら、大惨事ですよ!」


咲「あ、あはは……」チラ




咲(健夜さん、助けて)


健夜(いやいやいや!?どう言うこと!?)


健夜(私、3日間くらい気絶してたかな!?それくらい状況変わってるよ!!)


咲(馬鹿なこと言わないでください……)




咲「と、とりあえずマホちゃん!一応コーチの健夜さんにも、謝っとこ?」


マホ「あ、そうでした……」



健夜(まだ頭の整理できてないよ!?)


咲(パンクしちゃえ)


健夜(咲ちゃん!?)


マホ「3日間、部活に来なくてすみませんでした」ペコリ


健夜「あっ、うん……えっと、私は全然大丈夫だよ……?」




マホ「これから、宮永先輩の後輩、健夜さんの生徒として、お世話になります」



マホ「夢乃マホですっ!よろしくお願いします!」





~宮永咲と、夢乃マホ・カン~

おつ

雀荘で咲さんすこやん相手に初勝利の時に同じ卓囲んでたのがマホかと思ってたけど違ったか。

更新を待っているという言葉、様々なレスありがとうございます。嬉しいです。

重要な過去回は、予定ではWith清澄大将のみとなりますが、咲健夜マホに関しては、ちょくちょく入れてみようかと思います。

咲さんのコモセン顔可愛いですよね。

>>460
誰も覚えている描写がありませんが、あの時の少女はマホの設定です。
知らぬ間に、憧れの人の後輩になっている、と言うのも良いかなと思いました。

少し書き悩んでいて、続きは今日の夜か明日投下出来たら良いなと思っています。
待ってくれている方、レスをくれる方ありがとうございます。とても嬉しいです。


【長野勢・宿舎前】




ゆみ「着いたな」フゥ


モモ「意外と近くにいたんすね~」


ゆみ「あぁ、二人もこちらに向かって歩いてたんだろう」


モモ「逆方向に進んでなくて良かったっす」


咲「…うーん……」キョロキョロ


咲「やっぱり、私は知らない所ですね」


モモ「まあ大丈夫っすよ!さすがに、宿の名前を言えば分かってくれるはずっすから」


咲「そうだね」




咲「……それにしても、本当に良かったんですか?」


ゆみ「うん?」


咲「他の学校の方々に確認せず、私を連れてきちゃって」


ゆみ「あぁ、それなら問題ないさ」


モモ「っす!誰も気にしたりしないっすよー」


咲「そうですか」


咲(よく分からないけど、良いって言うならいいのかな……?)


ゆみ「よし、じゃあ行こうか」テクテク


モモ「ふあぁ…よく歩いたっすから、少し眠くなったっす…」


咲「まだお昼前だよ……」テクテク



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【邂逅】



~宿舎・大広間~





ゆみ「皆、今戻った」


モモ「ご迷惑をおかけしたっすー」


衣「ん?鶴賀の、戻ったか」


衣(……………!)ピクッ


智美「ワハハ、おかえりゆみちん、モモ。見つかって良かったなー」ワハハ


佳織「おかえりなさい!無事見つかって良かったです」


モモ「先輩達にまで探してもらって申し訳ないっす」ペコリ


智美「ワハハ、気にするなモモー」



池田「やーっと帰ってきたし!清澄2人に続いてお前らまで居なくなって、卓が減って困ってたし!」


美穂子「こら、華奈?そんな事言わないの」


美穂子「おかえりなさい、二人とも」


池田「……キャプテンがそう言うなら許してやるし!」


優希「池田、お前……」ハァ


池田「タコス娘!先輩には敬語使えし!敬称つけろし!」ニャ-




和「部長達はまだ遅くなりそうですね」


透華「全く!清澄はまだ帰ってきませんの!?」


和「帰りは夕方頃になるそうです」


透華「遅いですわ!」





一「……ね、ねえ純君、ともきー?」チラリ


純「…あぁ、分かってる…」


衣「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



純「…衣も気付いてるみたいだしな」タラリ


智紀「…異常……」




ゆみ「モモは無事見つけて帰ってきたから、安心して欲しい」


モモ「生還っすよー!」


智美「ワハハ、それにしてもおかしいなー。なんだか、モモがはっきり見える気がするぞー」


優希「うん?…言われてみればそうだじょ」



モモ「えへへっ、そうっすか?見えるっすか?」


モモ(やっぱり、嬉しいもんっすね)


ゆみ「あぁ、その事も踏まえてなんだが」


ゆみ「皆に紹介したい人がいるんだ」


和「紹介ですか?」


美穂子「誰かしら……?」


池田「どうせ、その辺で藤田プロにでも会ったに違いないし!」


まこ「なんちゅう言い草じゃ……」


モモ「とりあえず、卓から離れて集まって欲しいっす!」


透華「一体何ですの?」



一「……なにか嫌な予感がするよ…」


純「そうか?俺は逆に、楽しみになってきたけどな」


智紀「…衣と、清澄の大将で、少し慣れた感はある……」


純「ははっ、違いないな」


一(そうだけど……これは、満月のあの日初めて衣に会った時の比じゃない…)



衣「……さて、2人目の莫逆の友となるか」


衣「……それとも…」



ゆみ「事情は追って話すが、取り敢えず入ってきて貰おう」


モモ「入ってきて良いっすよー!」




ガララララララ




「はぁ……なんだか、転校してきた初日の挨拶みたいですよ、これ…」テクテク




和「えっ?あなたは……」


優希「んん?…………あーっ!!」



衣「……ふふっ、やはりな」ニヤリ







咲「皆さん初めまして……じゃ、無い方もいますね」ミワタシ


咲「宮永咲と言います。短い間ですが、よろしくお願いします」ペッコリン







~長野宿舎編・開始~




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ゆみ「……という訳で、お礼も兼ねてこの宿舎まで足を運んで貰ったんだ」


和「おかしな縁もあったものですね……」


優希「咲ちゃんも呪われし迷子癖一族の末裔だったか!」


咲(私も……?)


モモ「いやぁ、迷子になった甲斐があったっすね!」


咲「いや、そんな甲斐は無いよ絶対……」


ゆみ「それで、どうだろうか?私としては、咲の迎えが来るまで、ここに居て貰いたいんだが」


衣「無論、衣が誰にも否とは言わせん」


咲「衣ちゃん……まるで暴君だよ…」


衣「ちゃんではないと言っておる!!」プンスカ



咲「あれ、声に出てましたか?」


衣「出てた!」プンプン


咲「それは、先輩に失礼な事を。すみません」ペコリ


衣(先輩!!)ニパ-ッ


衣「……ま、まあ、許すぞ!」


咲「ありがとうございます、衣先輩」


衣「衣先輩!!」パァッ


咲(健夜さんは若く見られると喜ぶ。衣ちゃ……衣さんはその逆だね)フム




咲(それにしても本当に凄いな……)


咲(まだ昼前だって言うのに、昔のお姉ちゃんよりは強そうだよ)


優希「私も良いじょ!いや、むしろ呪われしタコス1族の末裔として、タコス好きにさせてやるチャンスだじぇ!」


優希「この前は一発 K.O.されたけど、今回はそうもいかな」


咲「私、タコスは本当に無理なんですごめんなさい」ペッコリン


優希「がーん!!2度も同じ相手に敗北を喫したじぇ……」ズ-ン


咲(この人は確か、片岡優希さん……だったね)


咲「……」ジ-ッ


優希「そんなに見つめられると照れるじょ/////」


咲(……中々かな)



和「私も、異存はありません。玄さんを通じてですが、一度知り合った仲ですし」


咲(原村和……まさか、この人があの "のどっち" だったとはね)


咲(確かに、改めて見ると……)ジ-ッ


和「?」


咲(っていうか、あのキャラクターにそっくりじゃん……)


和「よろしくお願いします、宮永さん」


咲「はい、よろしくお願いします」


咲(やっぱり、あの時の予想が的中かな。まだ、現実では"のどっち"としての実力を感じない)


咲(……いや、私が感じられないだけかも知れないか…この人に関しては)



智美「ワハハ、私も歓迎するぞー」ワハハ


智美「部長の私からも、モモを保護してくれていて感謝しなきゃなー」


智美「蒲原智美だ、よろしくなー」


モモ「私が咲ちゃんを保護したとも言えるっすけどね!」


咲「よろしくお願しま……」


咲(え、部長?)


智美「どうかしたかー?」



咲「あ、いえ。何でもありません」



佳織「わ、私は皆さんが良いなら、大丈夫です!」


咲「!!」バッ


佳織「ひぅっ」ビクッ



咲「は……?え、何………?」


佳織「え、えっと…?私が何か……?」


咲「……アナタは?」


佳織「せ、妹尾佳織ですっ!」


咲「妹尾さん……」




咲(...この人には何かがある、絶対に)



咲(初めて高鴨さんを見た時に感じた、何かがあるのに何も感じない、あの感覚をこの人にも感じる……)


咲(……でも、この人は高鴨さんの比じゃない)


咲(それこそ、何も無いのならただの落書き……でも、何かがあるのなら間違いなく、宝の地図)


咲(……?)


佳織「あ、あの……宮永さん…?」


咲「……妹尾さんは、麻雀を始めて何年くらいですか?」


佳織「えっ?えっと……今年、ルールを覚えたばかりです……けど」


咲(この人、健夜さんタイプか…牌を初めて握った年に、この異常な力……)


咲「そうなんですね。」


佳織「は、はいっ」


咲(……でも、この様子では開花はしないかもしれない、かな?後で少し見てみよう)



池田「華菜ちゃんは別にどっちでも良いし!」


池田「でも、ここに居るなら、個人戦に出るキャプテンの邪魔にはならないで欲しいし」


美穂子「華菜、そんなイジワル言ったらダメよ?」


華奈「イジワルじゃないし!ひょっとしたら、敵情視察に来た他校のスパイの可能性もあるし」



咲(中々ギャグセンス高いな、この人)


優希「うるさいぞ池田!観戦に来てるって言葉聞いてなかったのか!」


華奈「念には念を入れておく必要があるだろ?あと、敬語使え!」


咲「あの……」



美穂子「ごめんなさい、宮永さん。華菜も悪気がある訳ではないの」


咲「いえいえ、こっちが突然お邪魔したんですし」


美穂子「私は風越女子、福路美穂子です。よろしくお願いします」ニコリ


咲「はい、よろしくお願いします」ペコリ


咲(この人も強い。ついでに、あの池田って人も……)


咲「……?」ジ-ッ


美穂子「どうかしましたか?」


咲「あ、いえ。何でもありません」


咲(片目、ずっと閉じてるな……)



一「あはは…ボク達も挨拶した方が良いかな?」


純「つーか、衣とは知り合いだったみたいだな」


智紀「魔物は引かれ合うもの……」


咲「龍門渕の方ですか?」


一「うん。ボクは国広一、よろしくね」


咲(さっきから目に入る度に気のせいだって思う事にしてたけど、服が凄すぎるよこの人……)


咲(夏だし、良いのかな……?いや、良くないでしょ)



純「俺は井上純だ。出来れば後で対局してえな」


咲(背高いな……この人も何か持ってる)


智紀「沢村智紀、よろしく……」カタカタ


咲(さっきからずっとパソコン見てるな…雰囲気はデジタル、かな?)



咲「はい、皆さんよろしくお願いします」



透華「ちょっと!どうして私が最後ですの!?」


咲「…………」ピクッ


咲(またおかしな……いや、これは…)


透華「龍門渕高校の、龍門渕透華ですわ!」


透華「衣の知り合いは私たちの知り合いでもありますし、問題ナッシングです」


咲「龍門渕、透華さん……ですか」ジ-


咲「……」


咲「とっても面白い物を飼ってらっしゃるんですね」ニコリ


透華「はい?」


咲「……」


咲「……」ゴゴゴゴゴ


透華「!?」ビクッ



衣「やめておけ、咲」


衣「無理に引き摺り出そうとした所で、麻雀を打つ気構えが無ければ出ては来ぬ」


咲「……そうですか」スッ


透華「な、何ですの!?」


咲「いえ。よろしくお願いします」


咲(目覚めさせたいな、この人は)


ゆみ「一先ず挨拶は済んだ事だし、咲も混ぜて特打を再開しようか」


モモ「ごめんなさいっす先輩、私は少しお昼寝してくるっす」ネムネム


咲「え、本当に寝るの?」


モモ「何故か眠気がMAXなんすよ……咲ちゃんが中に入れたアレが、きっと副作用を起こしてるっす!」


咲「そんな、催眠効果まで注入した覚えはないよ」



モモ「って訳で、一時間くらい寝てくるっす」


モモ「あ、咲ちゃんが私が居なきゃ寂しいって言うなら……」


咲「一時間と言わず私が帰るまでどうぞ」


モモ「いけずっすね~このこの!」ウリウリ


ゆみ「よし、分かった。ならモモは少し休んで来るといい」


モモ「はいっす。……ふあぁ…んじゃ、ちょっと失礼するっす~」ネムネム





咲「行っちゃいましたね」


衣「咲!早く打とう!」


ゆみ「私も手合わせ願いたいな」


優希「私も打つじぇ!のどちゃんもやろう!」


和「そうですね……玄さん達の話も聞きたいですし」



美穂子「あらあら…宮永さん大人気だわ」クスクス


咲「私は取り敢えず、福路さんと加治木さん、原村さんと打ちたいです」


ゆみ「嬉しい指名だな」


和「私もですか…よろしくお願いします」



衣「えっ、衣は……?」ショボン


一「まあまあ衣。まだ時間はあるんだからさ」


衣「むぅ……分かった。1番手は我慢するぞ」ム-


純「おっ、よく我慢したな」ワシャワシャ


衣「衣を子供扱いするなぁー!」プンスカ


咲(去年のインターハイとか話に聞く天江衣とは、随分イメージ違うな…)



ゆみ「じゃあ、始めようか」


華奈「宮永はキャプテンと戦う前に華菜ちゃんを倒すべきだし!」


美穂子「華奈、早く卓に着きましょう?」


華奈「にゃぁぁ……」ションボリ





咲(さて、ざっと見た感じでは……一つの県には集まり得無い程の人材が一点に集まってるけど)


咲(私が引っ越して無ければこの人達と、か)




咲「……よろしくお願いします」





【対局、開始】



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所々池田の漢字が間違ってる事に気付きました、すみません。
喋らすキャラの量が多いと難しい……。

次回、キャプテン回を書こうか、そろそろBブロックキャラの回を閑話で挟もうか、咲健を混ぜようか迷っています。

気付けば500レスを超えていました。300位で終わるかと思ってた…
感想など励みになっています、ありがとうございます。




和「ツモ、2000,4000」ボ-


咲(なるほど……分かったよ、そのペンギンの意味が)


咲(誰が入れ知恵したのかは知らないけど、鋭いな)


咲「……」


咲(でも、テレビで放送されてるのに恥ずかしくは無いのかな……?)


咲(まあ、キャラ付けも出来て能力も上げれて 、一石二鳥なのかな。知らないけど)


咲(……"のどっち"状態になるには、自宅でネット麻雀をしている時に近い状態で卓に着いて、集中する事が必要)


咲(だから、普段の原村和からはそれほど力を感じられなかったのか)



咲「……」チラリ


咲(福路さんはまだ動いてないし、加治木さんも様子見って感じ)


咲(……じゃあ、そろそろ)


和「リーチ」スッ


咲「それカンです、ツモ」


ゆみ(ツモ……?)


咲「嶺上開花ドラ4、責任払いアリなら原村さんの8000点です」




ゆみ(嶺上開花……これは、まるで…)


美穂子(新ドラが全部乗ってる…)



和「はい」ジャラ


咲(動揺なし……慣れているのか、それとも発熱中は感情が面に出ないのか…)


咲(……両方有り得そうではあるね)


美穂子(大明槓して嶺上開花…様子見してる場合じゃないわね…)


ゆみ「……」カンガエ




咲(そういえば、阿知賀が大会前に全国の県2位高校と対戦したって言ってたけど)


咲(長野にも行って……いや、行ってたらもう少し鍛えられてたハズかな)


咲(特に、高鴨さんなんかは天江衣との対局で何かを掴んでいてもおかしくは無かったはずだし)


咲(……ていうか、阿知賀が長野県の予選に出てたとしたら、どの辺まで行けるんだろ?)



咲(……こんな無意味な想像するのはやめよう。頑張って勝ち抜いたあの子達に失礼だし)



咲「ポン」スッ つ5m


咲(何にせよ、知らない人と打つ数少ない機会……それも、かなりの実力者との対局なんだ)


咲(集中しよう) つ5m


咲「カn……」ピクッ




咲「……」ピタ


咲「……」チラ


ゆみ「……」


咲「……」モドシ


咲(やっぱり、集中しないと足元を掬ってくるだけの実力はある)




咲「ノーテン」


和「ノーテンです」


ゆみ「聴牌」 役なし、待ち5m


美穂子「聴牌です」 役なし、待ち5m


咲「うわっ、危な……」



咲(確か、私のポンを見てから手を変えてたから、何かしらの役を捨ててまで槍槓狙いに来たのか、この2人……)


咲「普通、そんなの狙います?」


ゆみ「ははは、上手く行けば儲け物くらいの認識だよ」フフッ


美穂子「偶には悪待ちしてみるのも良いものね」クスクス


和「??」ホゥ


咲(健夜さんみたいな事してくるな、この人たち)


咲(しかし、この2人みたいな選手と天江衣、龍門渕透華を相手に勝ち上がった清澄の選手……)


咲(竹井って人と、大将がますます気になるな……特に、健夜さんも話してた大将)


咲(……映像、もう少し見ておけば良かった)



咲「親番です」


ゆみ(咲の親番か)


美穂子「……」スッ


咲「……!」


咲(目の色が違う……なるほど、だから目を瞑って……)


咲「……」


咲「……ふぅん、福路さんは手を抜いてらしたんですね」


美穂子「えっ……?」


咲「だって、両目を開けた途端に雰囲気が一変しましたよ」


美穂子「ち、違うわ?手を抜いてた訳じゃ」


咲「なら、初めから開けていたらどうです?」


咲「折角、とても綺麗な目なんですから」



美穂子「へっ」


咲「??」


ゆみ「……ふふっ、モモが懐くわけだな」


咲「懐くって……東横さんは犬か何かですか」


ゆみ「少し似ていないか?犬」


咲「……確かに」


和「皆さん、対局中ですよ……?」


咲「あ、そうでした」


咲「……続けましょうか」チラリ


美穂子「……」



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咲 34000
美穂子 21500
和 20500
ゆみ 19000




咲「お疲れ様でした」ペコリ


ゆみ「参ったよ、完敗だ」


ゆみ(この闘牌で、宮永。まさかとは思っていたが、咲は宮永照の関係者か……?)


和「ありがとうございました。悔しいです」


和(嶺上開花を何度か和了っていましたが、その他は、まるでお手本の様な打ち筋でしたね……)


美穂子「あ、あの……宮永さん?」


咲「はい?」


美穂子「その……」


咲「……?」キョトン



美穂子「も、もうお昼ですし何か作ってきますねっ」スッ


咲「へっ?」


和「あ、では手伝いますよ」


美穂子「いえ、直ぐに済むし大丈夫。原村さんは個人戦に出るんだし、打っていて?」


ゆみ「いや、美穂子も出るだろう……」


美穂子「じゃあ少し、厨房を借りてくるわ」テクテク


咲「行っちゃった……」


和「他の皆さんはまだ対局中ですし、私たちも行ったほうが良いですよね?」


ゆみ「あぁ、そうしようか」


ゆみ「……全く、風越勢から聞いてはいたが、本当に自分の事は後回しだな」


和「だから信頼も置かれているんでしょうね」


ゆみ「違いない」


咲「……」


咲「原村さんと加治木さんは、ここで皆が終わるのを待っていた方が良いでしょう」


和「え?」


咲「……私が、様子を見てきますよ」



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【宿舎編1・宮永咲と……】



~宿舎・厨房~




美穂子「……ふぅ…」


美穂子「……さて、やりましょう」スッ


咲「これは、サンドイッチですか?」ヒョコッ


美穂子「きゃっ!」ビクッ


咲「うわわっ」ビクッ


美穂子「み、宮永さん……」


咲「すみません、驚かせてしまいましたね」


咲「片目、瞑ってるから死角なんですよ、こっち側」クスクス


美穂子「どうしてここへ……?」


咲「どうしてって、特に理由はありませんけど」


咲「サンドイッチ、久しぶりに作るなあ……」


咲「~~♪」カチャカチャ


咲「あ、マヨネーズ取ってください」


美穂子「マヨネーズ……どこにあったかしら…」


咲「さぁ、冷蔵庫とかじゃないです?」


咲「ついでにチーズもお願いします」


美穂子「マヨネーズとチーズ……」ゴソゴソ


美穂子「……」




美穂子「えっ、何をしているの?」



咲「何って、サンドイッチ作ってるんですよ、サンドイッチ」


美穂子「それは分かるわ?けど……」


咲「私、サンドイッチって好きなんですよね」


美穂子「え、えぇ」コクリ



咲「……さて、ここで問題です」


咲「私がサンドイッチを好きな理由は次のうちどれ?」


咲「1、美味しいから。2、片手間に食べられるから」


咲「さて、どちらでしょう?」


美穂子「随分と急なのね……」


咲「ちくたくちくたく……」ユビフリフリ


美穂子「えっと……」ウ-ン


美穂子「1、かしら?」



咲「ぶーっ、正解はですね、色々な組み合わせがあるから、でした」


美穂子「それは選択肢に入っていなかったわ…?」


咲「そうでしたっけ」


咲「あ、マヨネーズありました?」


美穂子「あ、えぇ。これね」つマヨネーズ


咲「ありがとうございます」


咲「~~♪」カチャ


美穂子「宮永さん……?」


咲「はい、一つ出来ました。たまごサンドです」つ サンドイッチ


美穂子「上手……」カンシン


咲「えっと、何の話でしたか……。そうそう」


咲「サンドイッチには、色々な種類がありますよね」


咲「このたまごサンドとか、カツが挟まってるのとか、野菜が入ってるのとか」


咲「最近では、もっと面白い物が入ってるサンドイッチとか、たくさんあります」


美穂子「そうね…確かに、売っているけど…」


咲「少し前に私の知り合いが、私はカツサンドを頼んだのに何故か、海鮮を取り敢えずたくさん挟みました!」


咲「……みたいなサンドイッチを買ってきたんです」


咲「有り得なくないですか?パンとお刺し身ですよ?」


美穂子「そんな物まで売っているのね…」


咲「私、絶対美味しくないって思ってたんですよ。でも、折角買ってきてくれた物だったので、食べたんです」


咲「意を決して」


美穂子「そ、それで……味はどうだったの…?」



咲「まあ……可もなく不可もなくって感じでしたが……」


美穂子「それは残念ね」


咲「果たしてそうですかね?私は、絶対に美味しくないって思って食べたんです」


咲「ところが、可もなく不可もなくという結果に終わった」


咲「……よくよく考えたら、それは良い結果だったのではないでしょうか?」


美穂子「言われてみれば、そうかもしれないわ……新しい発見ね」


咲「そう、そこです。サンドイッチには色んな楽しみ方があるんです」


咲「組み合わせによって、とっても美味しい食べ物に変わったりする」



咲「それを発見したりすると、今度お父さんに作ってあげようとか、後輩に食べさせてあげようとか」


咲「試作品の試食をさせてやろう!……とか、色々考えれて……」


咲「何故か、私はその事がお気に入りなんですよね」


美穂子「なんだか、分かる気がするわ」フフッ


咲「……」


咲「福路さんの、その両目も同じです」


咲「とても素敵な組み合わせだと、私は思いますよ」



美穂子「……えっ…?」



咲「先程は失礼しました。目を開けていないから手を抜いているだなんて、言ってしまって」ペコリ


咲「でも、思ったんです」


咲「この人は、どうしてせっかく素敵な両目を持っているのに、わざわざ隠しているのかって」


咲「それはまるで、さっきのサンドイッチの話みたいじゃないですか?」


咲「私、福路さんの赤と青の瞳を見て、こんな組み合わせもあるんだなって」


咲「少し、見蕩れちゃいましたよ」クスクス


美穂子「宮永さん……」



咲「そうですね……例えば、私の後輩の子なんかは、マヨネーズが嫌いなんです」


咲「でも、ケチャップは好きなので、そっち方面のサンドイッチを作ってあげると喜ぶんですよね」クスクス


咲「……福路さんがどうして目を瞑っているのか、想像は……つくかも知れません」


咲「しかし、良いですか?」


咲「赤い瞳と青い瞳、2色の瞳があるんです。」


咲「マヨネーズが嫌いでも、ケチャップが好きな人がいるように……いや、少し例えが幼稚ですかね?まあいいです」


咲「赤い瞳、青い瞳、またはその両目の組み合わせ」


咲「いずれかを好きになってくれる人は、必ず存在するはずです」



咲「というか、3倍も可能性が広がるんですよ?」


咲「自分から、目を閉して可能性を潰す必要は無いんです」


美穂子「……」


咲「……ルビーとサファイアは同じ素材の宝石だと、昔誰かが言っていました」


美穂子「!!」


咲「赤でも青でも、同じ瞳です」


咲「……気にする必要なんて、ありませんから」ニコリ


美穂子「…宮永さん……」グスッ



美穂子「……宮永さんは、例え話があまり上手くないのね」クス


咲「う、うるさいですね……何となく伝われば、それでいいんです」プイッ


美穂子「……ふふっ、でも、嬉しかったわ」


美穂子「……」フゥ


美穂子「……」パチ


咲「……やっぱり、素敵ですよ」


美穂子「……ありがとう」ジワッ


咲「あ、ケチャップも取ってくれますか?」


美穂子「……えぇ、たくさん……作って、持っていきましょうか」ニコリ


咲「はいっ」つ ケチャップ



咲「……ん?」クンクン


咲「ちょ、これ、タバスコですよ!」


美穂子「ええっ!?ごめんなさい!赤いからケチャップかと勘違いしてしまったわ…」


咲「あははっ、タバスコサンドイッチは美味しいですかね?」


美穂子「ふふっ、どうかしら」クスクス


咲「タバスコとタコスって、なんか似てるから片岡さんとかに食べさせてあげようかな……」


美穂子「……」チラ


咲「うわぁ……これ、絶対に美味しくないよ……これはさすがに分かる…」ウワァ


咲「ケチャップで上書き出来ないかな……」ブツブツ


美穂子「……ふふっ」



美穂子「ねえ、宮永さん?」


咲「はい?……うわっ、ダメだ!ケチャップで上書きしたら、もっと悲惨になりました」ガクリ


美穂子「宮永さんは、私の瞳……」



咲「……両方、ですよ」


美穂子「っっ……!」ジワッ


美穂子「……」ゴシゴシ




美穂子「……ありがとう、宮永さん」ニコッ


咲「……いえ」クス





【宿舎編1・宮永咲と福路美穂子、カン】

長野勢は竹井さんと大将抜いて、後2人くらい書けたら良いなと思います。

どうしても長野勢の話が思いつかなかったので、強引に次に進めます……っ


咲「皆さん、お待たせしました」


美穂子「お昼に、と思ってサンドイッチとおにぎりを作ってきたんですけど、いかがですか?」


ゆみ「あぁ、ありがとう2人とも」


ゆみ(目を……)クス


華菜「ありがとうございます、キャプテン!宮永も、中々気が利くし?」


衣「サンドイッチ!咲、一緒に食べよう!」ワ-イ


智美「ワハハ、モモを起こしてくるとするかー」


優希「咲ちゃんも一緒に作ったのかー?」


咲「ええ、まあ」



咲「ちなみに、サンドイッチの内一つはタバスコ&ケチャップ味ですので、お楽しみにです」ニコリ


優希「全然楽しみにできないじょ!?」


純「ロシアンルーレット要素取り入れる必要はあったのかよ…」


咲「あはは……まあ、色々ありまして」チラ


美穂子「……/////」カァ


透華「では、一先ずの所は対局をとめて昼食にしましょうか」


和「というか、この量を2人で作ったんですか?」


咲「はい。おにぎりは握るだけですし、サンドイッチは挟むだけですので、そんなに苦労は無かったので気にしなくても大丈夫ですよ」


咲「ね?福路さん」


美穂子「えぇ。むしろ、宮永さんと作れて楽しかったわ」クス



ゆみ「それじゃあ、昼食にしようか」


「「「「はーい」」」」





優希「タコスサンドはないのか!」


和「ある訳ないでしょう……何ですか、タコスサンドって」ハァ


衣「衣はタルタルのサンドイッチが良い!」


一「いや、タルタルのサンドイッチは……」


一「えっ、あったよ!?」


衣「わーい!」ヤタ-


モモ「咲ちゃんの握ったおにぎりが食べれるって聞いて舞い戻ったっす!」


咲「あ、おはようございます、東横さん」


モモ「おはようっす!」



ゆみ「サンドイッチの中には、一つハズレがあるらしいから狙ってみたらどうだ?」


モモ「えっ、なんすかそのロシアンルーレット的なのは……」



キャーキャー ワイワイ
ガヤガヤ




咲「……ふぅ…」



華菜「おい、宮永」トントン


咲「??」


華菜「……ありがとな、感謝するし」


咲「!!」


華菜「……」


咲「……」フフッ


咲「……いえ、優しい方ですね、とても」ニコリ


華菜「……あぁ、当たり前だし」クス


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【対局・2】




咲「今度は衣先輩と池田さんと…妹尾さんですか」


衣「やっと咲と打てる!」


池田「パパッと終らせてやるし!」


佳織「わ、私が入っても良いんでしょうかぁ……?」オドオド


池田「みはるんの仇、今とってやるし!」


衣「早く打とう!」


咲「では、よろしくお願いします」






咲「……」チラ


衣「……」チャッ


咲(天江衣……)


咲(牌に愛された子で、最高状態の神代さんを除けば唯一お姉ちゃんと渡り合える選手……)


咲「……」


咲(日が落ちるにつれて能力も高くなる天江衣と、こんな昼間に打つのも勿体ない気がするな)



華菜「リーチだし!」バッ


咲(早い……)


華菜「ツモだし!3000,6000!」


衣「おおっ……やるようになったな、池田」


華菜「当たり前だし!」


佳織「あぅ……」


咲(風越大将、池田華菜……早い上に火力も高い)


咲(そして、これで天江衣が南家)


衣「ふふ、そろそろ水戸開きと行こうか」ゴゴゴゴゴ


咲(うわっ、凄っ……)


咲(昼だから、とか言ってる暇はないねこれは)




咲「……」カンガエ


咲(マホちゃんのコピーよりも、やっぱり強度が違うな)



衣「リーチ」


咲(海底前にリーチ…)


華菜(相変わらずだし!)


衣「ツモ、海底撈月」


咲「はい」チャラ


咲(長野県、私でもちょっとビックリする位レベルが高いな……)


咲「カン」


咲(どうしよ……もう一回やっとこうかな)


華菜「にゃっ?」


咲「もう1個、カン」


咲「リーチ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ


衣(やはり、海からは抜けられるか)



衣「ポン」スッ


佳織(あっ、白いのなくなっちゃいました…)ショボン


華菜(2回カンしてリーチって、欲張りすぎだし!)


衣(一応ズラしたが……)


咲「ツモ」パラララララララ


咲「リーヅモ、ドラ8」ゴッッッッ


衣(槓裏っ)


華菜「なぁっ!?」


華菜(カンした牌8枚に全部槓裏が乗るとか有り得ないし!?)


佳織(皆さん凄いなぁ……)


衣(面白い……)


衣「ポン!」


華菜(天江が海底……)


咲(鳴けないか……先に仕掛けられると厳しいな)


咲「……」チラ


咲「……」




衣「リーチ!」ゴゴゴゴゴ


華菜(もうこの光景にも慣れてきたし……)



衣「ツm…………なっ…!?」


衣(五萬じゃない……?)


衣(此は如何に……昼間故に、何かが狂ったか…?)


衣「……」タン


華菜(えっ、海底じゃないのか?)


咲「……」クス


衣「!!」





咲「ロン」パラララララララ






咲「河底、断幺九二盃口ドラドラ」


衣「なっ!?」ガタッ


華菜(河底撈魚!?しかも、天江が捨てた2筒単騎!!)


衣「何をした……?」


咲「衣先輩に先手を打たれて、海底ルートに入ってしまうと槓材が来にくくなったので、4枚目の槓材を海底に組み込みました」


衣「組み込んだ……?」


咲「もう気付いているかもしれませんが、私は槓材を操れます」


咲「なので、配牌時に4枚揃わず暗刻になっていた時点で、カンは諦めて衣先輩に四枚目を掴んで貰いました」


衣「咲は、その4枚目の牌で待つだけ……という訳か」


衣「しかし、どうしてカンせずとも聴牌できた?」


咲「それは今がお昼だから、としか」


衣「……ふふ、なるほどな」


華菜「頭がパンクしそうだし……」


佳織(わ、私だけ何もできてない……)



~数局後~



咲(天江さん、本当に強い……それに、池田さんも)


咲「……」チラ


佳織「えっと…1個ずつ……」


咲(1個ずつ……?)


華菜(うぅ、華菜ちゃん今のところあんまり良い所無しだし)


佳織「あ、出来ました!り、リーチします!」スッ


咲 衣「っっっ!?」ゾワッ


咲(妹尾さん、これが……)


衣(なんだこれは…?急に別人だ…)


佳織「あ!来ました!ツモですっ」パラララララ




19s 19m 19p 東 南 西 北 白 發 中 ツモ 東





華菜「な、なぁっ……!?」


佳織「えっと……何でしたっけ、こく…こくし……」


咲「……国士無双…しかも、13面待ち」


佳織「そうでした!えっと、国士無双ですっ」



衣(妹尾佳織と言ったか……衣が気が付けなかったのは、こういう事か)


咲「終局、ですね」ホゥ


華菜「はあぁぁぁ……またボロ負けだし!」


衣「まさか、最後に捲られるとはな」フッ


咲「お疲れさまでした」


咲「私がラス親だったら、私まで捲られていました……」


咲「……」チラリ


佳織「一回だけしか和了れなかったです」


華菜「充分すぎる和了りだったし」


咲(妹尾佳織さん……そういう能力か)




衣「咲!もう一回やろう!」


咲「その前に、少しお手洗いに行ってきますね」スッ


衣「うむ、分かったぞ」


咲「少し失礼します」テクテク


咲(……ちょっと疲れたな…)テクテク



衣「ふぅ…」


衣(宮永咲……か)


衣(……)


衣「なあ、池田」


池田「うん?なんだ天江?」


衣「……」


衣「……いや、何でもない」






衣(咲は、衣と友達になってくれるかな…?)



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【宿舎編終幕・宮永咲と……】






咲「……ふぅ…少しだけ迷ってしまった…」テクテク


咲「次行く時は、一応誰かに付いてきて……いや、恥ずかしすぎるよそれは」ハァ


咲「……」テクテク



咲(それにしても、長野県か)


咲(世間では麻雀で一番強い県は大阪か東京って言われてるけど、長野も入ってくるんじゃないかな……)


咲(…いや、大阪は荒川憩と愛宕洋榎、園城寺さんが居て、東京は臨海勢にお姉ちゃんが居ると考えて……)


咲(長野は、天江衣に龍門渕透華、清澄の大将に原村和、福路さんに加治木さんか…)


咲(うぅん、全然劣ってはない……よね)



咲「そろそろ、龍門渕さんと打ってみたいな……っと」ピタッ


咲「……?」


咲(あれは……)



和『はい……ですが、まだ個人戦があります』


咲(原村さん?誰かと電話中か……)


咲「……」


和『そんな!約束が違って……』


和『団体戦の事を引き摺るつもりはありません、まだ個人戦が残っています』


和『なので、引越しはもう少し考えてください』


咲「!!」


咲(悪いタイミングで聞いちゃったな……)


和『……はい、失礼します…』ピッ


和「……ふぅ」






咲「……」


咲「…原村さん」


和「!!」ビクッ


和「み、宮永さん……!?」


和「……いつから、そこに…?」


咲「うーん……」


咲「聞いちゃいけない所は、聞いちゃったかも……しれませんね」


和「……そうですか…」


咲「……」


和「……」



咲「では、私は戻りますね」スッ


和「あ、あのっ……」


咲「?」クル


和「あの…少しだけ……話を、聞いてもらえませんか…?」


咲「えっ?」


和「……」


咲「……」フゥ



咲「……隣、座っても良いですか?」


和「はい、どうぞ」スッ


咲「……」スワリ


和「……」


和「…先程の内容は、秘密にして頂けると嬉しいです」


咲「それはまあ……うーん…」カンガエ



咲「……どうして、麻雀の大会が引越しに繋がるんですか?」


和「……逆です」


咲「逆?」


和「…引越しの件が最初で、私がインハイで優勝できたら、それの取り止めを考えて貰う……」


和「そういう話なんです」


咲「……なるほど…だから、個人戦ですか」


和「はい…」


咲「……」


和「……」



和「父は、元々麻雀という競技を私がやっている事に、あまり良い感情は抱いていないんです」


和「運で決まる、不毛な競技だと。だから、小さい頃に麻雀を覚えてからも、何度か止めるよう言われてきました」


咲「あはは…原村さんのお父さんらしいと、私は思いますけどね」クス


和「……えっ?」


咲(あ、しまった…思わず口に出ちゃったよ)


咲「いえ。……やめろと言われても、止めなかったんですよね?」


和「……はい」


和「…私は、阿知賀の皆と同じ奈良県に住んでいたと言うのは、知ってますよね」


咲「ええ、まあ。玄さん達が言っていましたので」


和「その頃、穏乃や憧に誘われて初めて、同年代位の友達と、麻雀を打つようになったんです」


和「でも…段々と、皆と打つ機会も減ってしまって、長野県への転校が決まってからは、ネット麻雀しか打っていませんでした」


和「パソコンの画面に向かって、一人で淡々と……」



和「その内、1人で打っているのが虚しくなって……」


咲「……」


和「中学3年生になった辺りで、もう麻雀を辞めてしまおうと思った時期があって、本当に辞めようと思ったんです」


咲「中学3年生……」


和「ですが、最後に1局だけと思って対局をした後……メールが、来たんです」


和「…詳しくは省きますが、とても強くて驚いた。現実でも打ってみたい、みたいなメールでした」


和「正直、そんなメールはそれ以前にも沢山来ていて、返信はしていなかったんですが…」


和「その人は、心の底からそう思っているように見えたんです」


和「……その頃の私が、そう思いたかっただけなのかもしれませんが」


和「その時に、思いました」


和「私と一度対局しただけで…強い人を見ただけで麻雀を楽しめる」


和「この人は本当に麻雀が好きなんだなって…」


咲「……」


和「……私はその人の言葉にすがり付いたんです」


和「私を現実で見つけ出して、対局したいだなんて言う人が居るなら、私が辞める訳にはいかない」


和「……そうやって、無理に理由を付けて…私は麻雀を続けました」



和「その後は、優希と知り合って…沢山の人と出会って」


和「現実で、目の前の相手と対局する楽しさを、思い出させて貰ったんです」


咲「……」


和「ですが……今度、また皆と離れ離れになってしまったら…今度、また麻雀を打つ場所がなくなってしまえば…」


和「きっと、私は今度こそ麻雀を辞めてしまうと思います」


和「居場所を二度も無くして……続けられる自信は、ありません…」


和「……なので、引越したく無いんです。負ける訳には、いかない」グッ


和「私に居場所をくれた優希や、私に麻雀を続けさせてくれた、あの人の言葉を…無駄にしないためにも」


咲「……」


和「!!」ハッ




和「す、すみません…勝手に一人で喋ってしまって」



和「おかしいですね…誰にも話す気なんて無かったのですが……宮永さん相手だと、つい…」


咲「……」フゥ


咲「原村さんは、清澄の人達に今の話をしていないんですよね?」


和「……えぇ。大会前に話すのも、今話すのも…皆の足枷になってしまうと思って…」


和「……話したい内容でも、ありませんでしたから」


咲「聞き苦しいです、原村さん」


和「……?」


咲「話したい内容じゃ無かった?なら、わざわざ他人の私に話した理由が分かりません」


咲「私相手につい話してしまった、とおっしゃいましたが、そんな訳の分からない理由、あなた自身本当に思ってるんですか?」


咲「話したく無い訳が無い。本当は、誰かに聞いて欲しかった、悩みを共有して欲しかった」


咲「でも、そのキッカケもタイミングも無かった。……だから、半端に知ってしまった私を都合良く思って、原村さんは私に話したんです」


和「……」



咲「まあ、理解は出来ます。原村さんは、きっと清澄の人や色々な人間に"芯が通っていて、強い人間"だと思われているんでしょう」


咲「他人の私でさえ、色々な記事やテレビなんかで見かける度に、そんなイメージを持っていましたから」


咲「事実、原村和という人間は、強くて芯が通っている、完璧な女性なんでしょう」


咲「でもそれ故に、原村さんが何かを悩んでいても、きっと他の人は自分で解決できるだろうと、心の何処かで思う」


咲「……いや、他の人はそう思っているだろうと、原村さん自身が勘違いしてしまう」


咲「だから、原村さん自身も自分で解決しなきゃいけない、期待を裏切れない、弱音は吐かない」


咲「……そんな風に思ってしまうんです」


咲「でも、それも限界だった。団体戦で負けてしまって、後が無くなってしまった」


咲「けど、今更誰かに話す訳にはいかない。今話してしまえば、団体戦に出たチームメイトが責任を感じてしまうかもしれないから」



咲「……原村さんは、今まで誰にも話さなかった事が仇となって、結果的に今の様に自分を追い込んでしまったんです」


和「……」


咲「……原村和、貴方は確かに強い人間かもしれない。だけど、弱い部分が無い人間なんて、存在しないんです」


咲「一度広がった黒い部分は、気づいた時には自分一人では止められない程に、大きくなっていた」


咲「でも、今更誰にも話せない。離せないから、自分で抱え込むしかない、でも、それももう限界」


咲「……負の連鎖ですね」


和「……」


咲(……これが、原村和が"のどっち"としての実力を出し切れない理由だったんだ)


咲(いくらペンギンを持って自宅と同じ雰囲気で覚醒した所で、心の何処かで負けたら引越しだという雑念が、頭を過ぎる)


咲(それは、現実の情報に惑わされてはいけない"のどっち"にとっては大きすぎる問題だった)


咲(逆に…この問題さえ解決出来れば)





和「……だったら…」


咲「!!」



和「だったら…どうしたら良かったんですか…」


和「だって、自分一人で抱えるしか無かった……!!大会前に話して、皆の重荷にさせてしまう訳にはいかないじゃないですか!!」


和「こんな悩み…話した方が良いことくらい、私だって分かっていました!!けど、話す訳にはいかなかったんです…」


和「皆の足で纏いには、なりたく無い…」


咲「……」


和「私の中に留めて置く事が、そんなにいけない事ですか?弱い私を見せずに、強い原村和で居ることが、そんなに悪いことですか!!」


和「麻雀を打つ居場所も、麻雀を続けた理由も……全て人から与えて貰った私が、全て受け身だった私が……せめて、それらを自分一人で守ろうとする事が……」


和「いけない……事なんですか……間違って…いますか……?」ポロポロ


咲「……」


咲「はい、全てが間違っています」


和「っっ……」



咲「皆の重荷?足で纏い?それは、貴方が実際に行動してみて、体験した事ですか?」


咲「あなたは、一度でも悩みを打ち明けて、誰かにそう思われたんですか?」


咲「勝手に一人で守ろうとして、守れなかった場合、貴方は無言で居場所を去るつもりですか?」


咲「全てが終わったあとで、もうどうしようも無くなった後で、事実を告げられたチームメイトがどう思うか考えた事がありますか?」


咲「……勝手な想像で、勝手に自分を縛り付けて、勝手に自滅して、今更私に打ち明ける様な状況に陥るまで放置して」


咲「勝手に、チームメイトの心さえ決めつけて」


和「……っっ…」


咲「……」ハァ



咲「……良いかな?原村和」


咲「これは、貴方がどう思おうと、真実だよ」


咲「仲間に悩みを打ち明けられて、迷惑だと重荷だと、足枷だと。そう思う人は、居ない」


咲「分かってるよね?貴方自身だって、チームメイトの人がそんな事を思う訳がないって」


咲「でもそう思っていないと、皆が迷惑がると思っていないと、自分一人で抱え込む理由が無くなっちゃう」


咲「本当は、全て分かっているはず」


咲「……貴方は、自分に嘘を吐き続けているだけなの」


和「……」



和「…今更……話せません…」


咲「話せるよ。私に話せたんだから」


和「……無理…です……」


咲「無理じゃない」


和「今更話したって……無駄です…」


咲「どこが無駄なの?一人で抱え込む必要が消えるじゃん」


和「私は…1人でも……抱え込めます…」


咲「無理。原村和は、そんなに強い人間じゃないよ」


和「貴方に…私の何が分かるんです…」


咲「何も分からないし、知らなかったかな」


和「なら……っ!!」



咲「でも、何も知らない私に全てを話したのは貴方。たった今私に、原村和の事を教えたのは誰でも無い、貴方」


咲「そして聞くけど、貴方はチームメイトの何を知ってるの?」


咲「……あぁ、悩みを打ち明けられて迷惑に思う程度の人達、って思ってるんだった?」


咲「それで仲間って、笑っちゃうよ」


和「そんな事……!!」


和「っっ……」


咲「……」


和「そんな……事……」



和「……そう、ですか……」



和「そんな、事……を……」


和「私は、思っていたんですか……」


咲「……」


和「……」



和「ねえ、宮永さん…」


咲「……うん?」


和「私は、間違っていましたか……?」


咲「……そうだね。でも、まだ引き返せるんじゃないかな」


和「……」


和「……話したら…確かに、私は少し気が楽になるかもしれません…」


和「ですが、結局は私が自分で個人戦で結果を残さなくては……」


咲「……」フゥ



咲「何か、勘違いをしているみたいですね」


和「えっ……?」


咲「私は別に、清澄高校の人間関係や貴方の引越しの為にこんな話をしていた訳ではありません」


咲「まあ、後者には間接的に関わってしまったかもしれませんが」


和「どういう事ですか……?」



咲「良いですか?」


咲「私は、原村和に"のどっち"として完全に覚醒して貰って、その上で貴方と対局したい」


咲「無駄な雑念なんて何も無い、完璧な貴方と戦いたい」


和「!!」


咲「……だから、その為に必要な話をしたまでです」


和「……宮永さん、貴方は……まさか…」


咲(自分一人で抱え込む必要が無くなれば、それだけで原村和は大きく変われる)


咲「勝負事において、心構えと言うのはとても大切な要素です」


咲「自分が自分で悩みを解決する為に勝つんじゃない、一人で戦うんじゃない」


咲「自分を受け入れてくれて、悩みを共有してくれた仲間の為にも勝つ」


咲「仲間を悲しませない為にも、自分も悲しまない為にも勝つ」


咲「そう思えば、きっと貴方はもっと強くなれる」


咲「……伝説のプレイヤー、"のどっち"の力を、私に見せてください」



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咲「えっ、最低でも3位……ですか?」


和「はい。父には、それが出来れば考えてやると…言われました」


咲(私、てっきり優勝とかしなきゃダメなのかと思ってたよ)


咲(と言うか、その条件で引越しを止めるのまで考えてくれるって、結構お父さん優しいのでは)


和「咲さん……?」


咲「は?咲さん?」


和「あっ…すみません…///」


咲「あー……いや、うん…大丈夫」


咲「では、最低限は3位を目指せば良いんですね」


和「いえ、目指すのは優勝です」


咲(最低限って言ったのに……)


和「3位で妥協などしません」


咲「……ぷっ…」


和「な、何ですか!」



咲「ふふっ…いえ、すみません」クスクス


咲「頑固で可愛いなって、少し思って」ニコッ


和「なっ……!?////」


咲(うん、原村和はやっぱり根は強い人間だ。……少し、羨ましいくらいに)


咲「そういえば、さっき電話をしていた時は左手で持っていましたよね?」


和「へっ?あっ……はい。私、左利きなんです」


咲「!!」


咲「じゃあ、ネット麻雀を打つ時は左手で?」


和「いえ、それは右手です。麻雀を左手で打っていたのは、始めて間も無い頃だけです」


咲「それは、イカサマを疑われたり邪魔になっちゃったりするから?」


和「そうですね。左手を使っていて、その事を注意されてからは、何となく右手をずっと使ってきました」


咲「ふんふむ……」


咲(そういえば、左手を使うと高目を和了れる選手がいたな)


咲(でも、原村さんの場合はあまり関係ないかな……?)



和「あの、咲さん」


咲「はい?」


和「その……」


咲「?」




和「咲さんは、オカルトを信じていますか……?」




咲「!!」


咲「……オカルト、ですか」


和「傾向的に、天江さんは海底撈月をよく和了ったりしますし、うちの部長は悪待ちを得意……に、しているみたいなんです」


和「私は、それらも全て確率の偏りだと、偶然に起こり得る事だと考えてきました」


咲(これは……どうするか……)


和「ですが、団体戦の副将戦を振り返って…映像を見直していて、思いました」


和「世界には、偶然を必然に変える事のできる人も居るのでは無いかって」



咲「副将戦……(喫茶店で見たな)」


咲「確か永水の薄墨初美、でしたか」


和「はい。…あの試合の前、事前に部長から告げられてはいたんです」


和「薄墨さんが北家の時、東と北は極力鳴かせないように。もしも鳴かれたら、小四喜に気をつけろ……って」


和「ですが、私はあの試合、気にする事もなく東と北を何度も捨ててしまったんです」


和「意味が分かりません、そう切り捨てて」


和「……オーラスに小四喜を和了られた後も……偶然だろう、そう思ってしまいました」


咲「……映像を見直した後は?」


和「はっきり言って、自分の柔軟性の無さを恨みました」


和「薄墨さんは北家の時、必ず東と北を鳴ける体制に入っていました」


和「そして2牌を鳴いた後、急に南と西が手に入っていたんです」


和「まるで、東と北を鳴けば小四喜を和了れる事が分かっているような」


咲「……えぇ」


和「それからは、今までの対局、全ての見方が変わりました」


和「天江さんはラスト1巡でツモ切りリーチをして、海底撈月を和了る事が異様に多い」


和「それは、海底撈月で和了る事が分かっているからじゃないか…とか」


咲「……」


咲「……一つ、良いですか?」


和「はい」


咲「原村さんは対局中、局面をネットと重ね合わせて……ネット麻雀と同化させて、打っているんですよね?」


咲「現実の対局さえも、集中すればネトマを打っているのと同じように打てる」


和「えっと……」モジ


和「今までは…その、先程の話の事が頭を掠める事があったので、完全に集中する事が出来ていませんでしたが…」


和「……きっと、そうだと思います」


咲「そうですか……」


咲(あなたもオカルト持ちですよって、言った方が良いかなこれ……)


咲(でも確かに、今の原村和に足りないのは柔軟性)


咲(ネトマにはオカルトが存在していないが為に、現実でオカルト持ちと対局した時、隙が大きすぎる程に生まれる)


咲(ネトマでは起こり得ない故の、奇妙なズレ。これが、現実世界での "のどっち" が弱体化している大きな理由の一つ)


咲(……どうする?確かに、オカルト持ちが異様に多い今年のインターハイで、オカルト否定の選手なんてカモ同然……)


咲(けど、原村和のそのブレの無さも、強みになってるのは確か……いや、今少しブレちゃってるけど…)


咲(タダでさえこの人は、支配系能力無効化の兆しが見えてるのに…素直にオカルトに順応させるのは、かなり失う物が多い気がする)


咲「うぅん……」カンガエ


咲(マホちゃんが居たら…照魔鏡で、その兆しが本物なのか確かめられたのになぁ…)


咲(やっぱり、マホちゃんにはいつも傍に居てもらうべきだね)ウンウン


和「あ、あの……すみません、そんなに悩ませてしまうなんて」


咲「いや……」


咲「……」ウ-ン


咲(はぁ……もういいや、知らない。責任は持たないよ)


咲「……原村さんの言う通り、偶然でしか起こり得ない現象を、故意に出している選手は少なくない数存在しています」


咲「長野県で言えば、天江衣が一番分かりやすい例ですね」


和「……やはり…そうなんですか…」



咲「でも、原村さんはその様な"選手"が存在している事には、疑問を持ったままで構いません」


和「えっ……?」


咲「……」


咲(これは賭け……しかも、かなり分が悪い)


咲「……天江衣は、対局相手の手を一向聴から進み難くして、海底牌で必ず和了る」


咲「しかし海底以外のツモ和了、出和了共にあり、打点が極めて高い」









咲「……そういう、システムを持つCPU」




和「CPU……?」



咲「宮永咲は、配牌時に槓材を必ず一つ持っている事が多く、7巡目までにカンをすると確定で嶺上開花を和了り、高確率でドラも乗る」


咲「加槓、大明槓でも同じ条件を持ち、相手に槓材を掴ませる事もできる」


咲「そんなシステムを持ったCPU」




咲「……そう、置き換えられませんか?」


和「……」



咲("のどっち"にとって一番重要なのは、リアルの情報に惑わされ無いこと)


咲(でもそれを意識しすぎると、オカルト持ちに対応出来なくなってしまう)


咲(逆に、オカルトを完全に認めてしまえば、そこに気を使いすぎてデジタルが崩れてしまう可能性が高い)


咲(だから……)


咲「"のどっち"は、リアルの対局をネット麻雀として打つ事ができる」


咲「……ならば、対局相手を特別なシステムを搭載したCPUに置き換え、それらに応じた打ち方を得意の計算速度で導き出し……」






咲「逆に、叩き潰す」



咲(でも、こんなのは常識的に考えて100%無謀な選択。普通は、置き換えるなんて当然出来ないし、嫌でも意識はしてしまう)


咲(それに、事前情報だけでオカルトに対応し切る…その上、封殺するなんて普通では不可能)


咲(……でも、原村和は"普通"の"デジタル"じゃない)


咲(ネトマに置いて、健夜さんでも実力を認める程の人材)


咲(だから、これは賭けだ。今の言葉によって、無理にそれを意識した上で、置き換えられなかった場合)


咲(原村和は途端に崩れるかもしれない……けど、個人戦で勝ち抜くには、それが出来なければ絶対に勝ち上がれない)


咲(けど、もしもそれが出切るのなら……"のどっち"が、現実の麻雀に降臨できるなら…)


咲(……)


咲(もしかしたら、これ以外に道があるのかもしれない……けど……)


咲「……」チラ


和「……」カンガエ



咲(……私の行動には、全て意味がある…そうだよね、マホちゃん)


咲(…って、ズルイな私。こんな時だけあの言葉に頼って)



咲「……どう、ですか……?」







和「なるほど、それは盲点でした」


和「確かに、昔何度かやった事のあるネット麻雀では、天和やダブリーを当たり前の様に出してくる物もありましたし」


和「ありがとうございます、宮永さん」ペコリ


咲「いえいえ、そんな…とんでもな賭けでした……し……」





咲「……」






咲「……はっ?」


和「えっ?」


咲「えっ、いや……うん…?」



咲(どういう事?もしかして、普通に出来ますよって事?)


咲(昔、設定がおかしいネット麻雀をやった事があるから、出来ますよって事?)


和「どうかしましたか……?」


和「対局相手をCPUとして認識し、各々にシステム設定を書き込んで、それに対応する打ち方をすれば良い……んですよね…?」


咲「そう、だけど……」


咲「……マジですか、貴方…」ハハ


和「???」



咲「……3度目です。麻雀において、呆れてしまったのは」


咲(世界は広い……そういう事かな)



和「それは、褒められているんでしょうか…?」


咲「ふふっ、どうかな」クスクス


咲「……というか、分かっていますか?口に出すだけなら簡単です……でも」


咲「個人戦開始まであと数日。やるべき事は……」


和「大丈夫です、咲さん」ジッ


咲「……」


和「……」


咲「……うん、楽しみにしてるよ」ニコリ


和「はいっ」ニコ


咲「それじゃあ、部屋に戻りましょうか」スッ



和「あっ!ちょっと待ってください」


咲「はい?まだ何か?」


和「…お聞きしようか、迷っていたんですけど……」


咲「……」


和「……」


咲(何?あの時の事がバレた……?いや、まさか)


咲「早く戻らないと、衣先輩が拗ねてしまいますよ」


和「……お聞きします」フゥ


和「初めて会った時には、偶然だと思い気にしなかったのですが……」





和「清澄高校1年大将、宮永みなもの姉妹というのは……」





和「咲さん、貴方ですか……?」




咲「……」


咲「……」










咲「な……に……?」



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【宿内・廊下】





和「はぁ……はぁ…」タッタッ


衣「ん?ののか?」ピタ


和「天江さん!」ハァハァ


衣「どうした、そんなに走って」


和「その……咲さんが……」


衣「……」


衣「大将の事を、話したか?」


和「!!どうしてそれを…」



衣(やはり……咲の気配が消えたと思って出てきてみたが…そういう事か)


衣「して、咲は?」


和「……どこに行っているのかを聞かれて、その後すぐに出て行ってしまって……」


和「迎えが早くに来たから帰った、と伝えてくれ、と頼まれたんですが…」


衣「……そうか」クルッ


和「皆さんで探しに行った方が良いですよね…?」


衣「いや、よしておけ」


衣「遅かれ早かれ、来るべき時でしか無かったのだからな」


和「それは……そうですが…」


衣「透華達には衣が上手く言っておいてやる。ののかは、何も気負う必要はない」



和「……いえ」


衣「ののか?」


和「友達の事です。……私が、説明します」


和「皆さんに、聞いてほしい事もあるので」


衣「……」


衣「……そうか」


和「…はいっ」


衣(友達、か……)


衣(咲。衣の言葉は、次に相見えた時に伝えるとしよう)



衣「……部屋に戻ろう、ののか」テクテク




和(咲さん……このお礼は、また…)


和「そうですね」






和(有難うございました)


和(……私に、麻雀を続ける理由をくれた人)







【長野宿舎編・カン】


かなり迷いましたが、一旦長野編を切り話を進めようと思います。書けなかったキャラは時間があれば閑話でまた……っ

和の引越しの話は、個人的に原作で気になっている点でもありますね。
次回から、半オリキャラ的な子が出てきます。多分シリアス。……咲健マホ書きたいっ

長らく更新出来てなくてすみません。
今週中には投下出来ると思いますので、何卒です…っ

~東京、某所~





咲「はあっ…はあっ…」


咲「……」




『清澄高校1年大将、宮永みなもの姉妹というのは……』


『咲さん、貴方ですか……?』



咲「…っっ……」


咲「……」


咲「……」スッ


ピッ
プルルルルルル プルルルルルル


咲「……」



咲「……もしもし、健夜さ…」




『ただ今電話に出る事が出来ません。ピーっと鳴ったら……』



咲「……」ピッ


咲「……」ジワッ


咲「!!」


咲「……」ゴシゴシ



『み、みなもさんと部長なら、念のため病院へ向かっています。病み上がりですので……』


『でも、既に回復はしていますし……えっ、咲さん!?』






咲「……確か、この辺り…」キョロ


咲「……」ドンツ



「っとと、大丈夫かしら?」



咲「あっ……すみません…少しボーっと……」チラ


咲「……」





咲「……なっ…!?」


「あら?……えっ…」




咲(そんな……まさか……どうして……)




咲「……せん、ぱい…?」


「貴方……っ…」












咲「上埜……先輩……」



久「咲……?」



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咲「上埜…先輩……」


久「咲……?咲、よね……?」


久「……本物よね?」


咲「……ついに、目まで機能しなくなりましたか」


久「その辛辣な言葉…間違いなく咲だわ」クス


咲「……」


久「……」


咲「……お久しぶり、です」


久「そうね…本当に」


久「東京に居るって事は、インターハイを見に来たのかしら?」


咲「いえ、私東京に引っ越したんです」


久「えっ、嘘!?」


咲「嘘ですけど」


久「なっ……!」


久「……咲ぃ?」ジト-




咲「……3年前に嘘を吐かれたので、お返しです」クス


久「あれは……そうね。悪いとは思ったわ」


久「けど、後悔はしてない……かしらね」


咲「……私はまんまと上埜先輩の思惑通りに、動いてしまった訳ですしね」


久「いえ?正直、予想以上ね」


久「インハイを観戦しに来るまで、麻雀を好きになれた……いえ、好きな気持ちを思い出したって事かしら」


咲「……まあ、はい…」


咲「色々な人の…お陰です」


久「……そっか」


咲「……」



久「あ、それと…私、もう上埜久じゃないのよ?」


咲「あぁ、そういえば言葉にしにくい理由で引っ越したんでしたね」


久「普通に親の離婚って言っても良いのよ?」


咲「無神経すぎますよね、それ…」ハァ


咲「で、今は何ていうお名前で?」


久「竹井よ。……竹井久」


咲「へぇ、竹井……」





咲「……は?」


咲「竹井……久…?」


久「ちなみに、インハイにも出場してたわよ?」


久「まあ、負けちゃったんだけどね」アハハ



咲「まさか……竹井って…」


久「うん?」


咲「……清澄高校、中堅の……竹井久…ですか…?」


久「あら?知ってたのね?」


咲「っっ……」


久「……咲?」


咲「……」




咲「……みなもは…どこに、居ますか…」


久「……!!!」


久「……やっぱり」


久「少しだけ、話は聞いていたわ……そして、もしかしてとは思ってた……」


久「あの子が言ってた、妹っていうのは…」



久「咲、あなたの事だったのね…」


咲「……」



久「いやぁ…感動の再開と洒落込みたかった所なんだけど…」


咲「……」


久「……咲、私の目を見なさい?」


咲「……」チラ


久「……」ジ-ッ


咲「……」ジッ


久「……良い目、する様になったじゃないの」


咲「先輩」


久「私は今、迷子になったあの子を迎えに行く途中だったわ」


久「電話によると、~~に居ると言ってたわね」


久「……あっ、いっけない!私、今から少しコンビニに行く用事があるんだったわ…」


久「誰か迎えに行って、そこから動かないように言っておいてくれないかしら?」チラ



咲「……下手くそ、ですよ…先輩……」


久「……うるさいわね」


咲「……ふふっ…」


咲「……先輩にも、後で聞きたい事が山ほどあります…」


咲「勿論、言いたい事も」


咲「今度は、逃げないでくださいね」


久「きゃー、咲ちゃん怖い!」


咲「……先輩」


久「……はぁ、分かったわよ。可愛い後輩さん」クス


久「全く、いつになっても敵わないわ…」


咲「……よろしいです、お馬鹿な先輩さん」ニコ


久「お馬鹿って何よお馬鹿って……」



咲「……あ、そうだ先輩。先に一つ、言っておきます」


久「うん?」




咲「……感謝…してます。色々と」




久「……っ」


咲「…では」タッタッタ











久「……行ったわね…」


久「はぁ…さすがの私も、色々と整理できてないわぁ…」


久「けど……」


久「……」フフッ


久「さてと!」


久「どこで時間潰すかしらねー」テクテク



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【閑話・宮永咲と……】




~某所~




咲「はぁ…はぁ……」ピタ


咲「……見つ、けた…」




「!!」ピクッ



咲「……」



咲「……久し…ぶり、だね…」




「何となく……来るかもって、思ってたよ…」


「咲を……感じてたから」



咲「……私に、会いに来る資格なんて無いと……思ってたけど…」




「ううん、そんな事ない……やっと…会えた…」


「…会いに来て、くれたんだね…」




「ずっと、会いたかった…ずっとずっと、会いたかったよ」







咲「みなも…」




みなも「………咲」



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【過去話・宮永姉妹】





~咲・小学5年生、夏~






咲「ねー、お姉ちゃん~」グデ-


照「……」カキカキ


咲「……むっ…」


咲「おねーちゃーん!」


照「……」カキカキ


咲「おーねーえーちゃーんー!」


照「……ふぅ」ピタ


照「……咲が今から何言うか、当ててあげよっか」


咲「!!」ヤタッ


咲「当ててみて!」



照「プールに遊びに行こう……でしょ?」カキカキ


咲「え!?どうして分かったの!お姉ちゃん凄い!」


咲「っていうか、お勉強するの止めてから話そうよー」


照「どうしてって……さっきから5回くらい同じ事言ってるよ?咲」


咲「ぶーっ、まだ4回目だよ!」


照「……嘘、5回目だよ」


咲「わたしが4回って言ってるんだから4回だよー!」


照「ううん、5回目ったら5回目」


咲「むーっ……譲らない気だね?」


咲「この負けず嫌いお姉ちゃん!」


照「ふふん、負けず嫌いは良いことだからね」


咲「お姉ちゃんめぇ……」



照「ていうか、咲は宿題やらなくていいの?」


咲「プール行ったらやる!」


照「ダメだよ咲。ちゃんと早めに宿題は終わらせないと」メッ


咲「宿題宿題って、お姉ちゃん先生みたいっ」


照「夏休みの最後に、苦労したくないでしょ?」


咲「えー……まだ夏休み1ヵ月もあるよ?」


照「……去年も同じ事言って、泣きながら宿題やってた」


咲「な、泣いてないもん!」


照「そこはどっちでも良いんだけど……来年は早めに終わらすって、お母さん達とも約束したでしょ?」


咲「うっ」ギクッ


照「分からない所あったら私も手伝うから、ね?」


咲「むぅ…分かったよぅ…」


咲「じゃあ、全部終わったらまたプール行こうね!」


照「うん、そうしよっか」クスクス


照(可愛い)



咲「うーん…算数難しいよ…」ウ-ン


照「麻雀の点数計算の方が難しくない?」


咲「麻雀は好きだから良いの!」


咲「算数は嫌いだから無理ぃ…」グテ-


照「あぁ…それは何となく分かるかも…」


照「……一段落着いたら麻雀打とっか」


咲「!!打つ!」バッ


咲「あ……でも、お母さんお仕事で居ないよ?」


照「お父さんは?」


咲「……寝てる…」


照「はぁ……」


照「起こすのも可哀想だし…2人打ちになっちゃうね、少し物足りないけど」


咲「ううん、私お姉ちゃんと打つの好きだから良いよ!」



照「ふふっ、いっつも負けてるのに?」


咲「ふふん、本気を出して負けた敗北には価値があるんだよ!」ドヤッ


照「……誰の言葉?」


咲「おかーさん!」


照「だと思った」


咲「よしっ、今日はお姉ちゃんに勝つ!」


照「その前に算数との戦いが待ってるよ」




咲「……降参します…」ドンヨリ



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咲「ノルマ終わったぁ……!」


照「うん、よく頑張ったね」ナデナデ


咲「えへへ…」ニヘラ-


咲「そうだ!早く打とうよ!」


照「こんなにすぐ打っても大丈夫?疲れてない?」


咲「大丈夫!むしろ元気になったよ!」


照「そう?……なら、やろっか」


咲「やった!」ピョンッ


咲「っとと、その前に~」ヌギヌギ


照「??脱ぐの?」


咲「うんっ、暑くなっちゃったし…」


咲「それに、脱いだ方が調子が出るの!」


照「へー……って、脱ぎっぱなしにしたらダメだよ?」



照「ちゃんと靴下たたんでね」


咲「分かってるよ~」タタミ


咲「これでよしっ!」


照「うん、偉いね咲」


咲「もーっ!子供扱いしてぇ……」プンスカ


照(可愛い)


照「ルールはいつもので良いよね?」


咲「……ん、大丈夫!」


照「じゃあ、よろしくお願いします」


咲「よろしくお願いします!」



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少ないですが、今回はここで。
過去回は、色々な設定回収を含め自分が書きたかった話になります。
特に今回は半オリキャラが出るので、苦手な方は注意が必要かもです……っ

これからはそんなに間を空けず投下したい……っ



咲「カン!」スッ


照「ロンだよ、槍槓12000」


咲「えぇ!またぁ!?」


照「あはは……ちょっとバレバレかな」


咲「むぅ……暗槓すると牌の偏りで見抜かれちゃうのかぁ…」


咲(なら……)


照「……」チャッ


照(……ん…?)チラ


咲「嶺上~嶺上~槍槓しないで~♪」ウタウ


照(ぷっ……変な歌…)クスクス

↑ミス。訂正前の文を投下してしまった…






咲「カン!」スッ


照「ロンだよ、槍槓12000」


咲「えぇ!またぁ!?」


照「あはは……ちょっとバレバレかな」


咲「むぅ……加槓すると見抜かれちゃうかぁ…」


咲(なら……)


照「……」チャッ


照(……ん…?)チラ


咲「嶺上~嶺上~槍槓しないで~♪」ウタウ


照(ぷっ……変な歌…)クスクス


照「咲、その歌なに…」タン


咲「それカン!」


照「えっ?」


咲「ツモ!嶺上開花8000!」


咲「やった!大成功!」ブイッ


照「加槓、暗槓じゃなくて大明槓……」


照(そんな気配、数巡前までは感じなかったのに……)


照「咲、もしかして……?」


咲「ふふん、4枚揃ってるとバレちゃうから、4枚目はお姉ちゃんの手牌から出してもらう事にしたのだ!」


照「掴まされた……」


照(咲の嶺上に関わる牌の支配には抵抗出来ないな……生牌は全部手牌に取り入れないと危ないか)



咲「お姉ちゃんばっかり良い思いはさせないよっ!」タン


照「ロン、3900」


咲「あぁ!しまった!!」


咲「最後の親番で捲ろうと思ってたのにぃ!!」


照「ふふっ、今日は少しヒヤヒヤしたかな」


咲「もう1回!次は負けないよ!」


照「うん、私も負けな」





ピンポーン ピンポーン






咲「ん??」


照「誰か来たのかな?」


咲「宅配でーす、かなあ?」


照「ううん、違うと思うけど……」



咲「お父さん起こしてくる?」


照「いや、私が出てくる」スッ


咲「あ、私も行く!」タッタッタ


照「咲は待ってても良かったのに」


咲「私だってもうすぐ中学生だもん、大人の経験をしておかなきゃ!」


照「大人の経験って……ただ来客の対応するだけだよ咲……」


照(それにまだ5年生だし)チラ


咲「誰かな誰かな~」ソワソワ


照(可愛い)


照「もしかしたら悪い人が襲ってくるかもね」


咲「え゛っ……」



照「ふふっ、なんてね」クス




ガチャ





照「はい、どちら様ですか?」


女性「あら…こんにちは」


照「こんにちは。……えっと?」


女性「先日隣に越してきたので挨拶に来たんだけど……お父さんかお母さんは留守かな?」


照「あぁ、そうでしたか。すみません、両親共に出られませんね」


女性「そっか…なら、ご両親にはまた後ほど挨拶に来ますね」


咲「はっ…ちょっと怖くて固まってたよ…」


咲「こんにちはっ!お姉さんどなたですか?」


女性「あら、元気な子ね。ふふっ、こんにちは」ニコッ



女性「そして自己紹介がまだだったわ……」





女性「隣に引っ越して来ました、宮永って言います。よろしくお願いします」ペコリ



咲「宮永!!」


照「宮永……家と同じですね」


咲「凄いねお姉ちゃん!隣に引っ越して来た人が偶然同じ苗字だなんて、天和くらいの確率だよ!」


照「それは天和の方が高いんじゃないかな……」


少女「……」


照「えっと、そっちの子は……?」


女性「あ、そうねっ。……ほら、挨拶しなさい?」


少女「……」フリフリ


女性「こらっ、後ろに隠れないの」


少女「……」フイッ


女性「はぁ……ごめんなさいね、この子少し恥ずかしがり屋で」アハハ


照「いえ、大丈夫ですよ」



咲「……」ジ-ッ


咲「!!」ヒラメキ




咲「私は宮永咲!よろしくねっ!」バッ


少女「ぅわわっ!?」ビクッ


照「あ、こら咲……」


咲「おぉ…凄い綺麗な髪の色だね!」ナデナデ


少女「あのっ……やめっ……」オド




咲「お名前は何て言うn」


照「こら、咲」ゴツンッ


咲「いたっ!!うぅ…お姉ちゃんが叩いたぁ!」


照「その子困ってるでしょ?麻雀打った後でテンション上がってるのは分かるけど、少し落ち着いて?」


咲「お名前聞こうとしただけじゃん」ムスッ


照「こういうのはほら、しっかり順序を踏んでいかなきゃダメなの」


咲「お名前聞くのが始めの1歩じゃん!」


照「少し強引っていうか……」


咲「ふーんだ。叩くお姉ちゃんなんかとは口聞いてあげないもん」ツ-ン


照(拗ねた……可愛い)



少女「まーじゃん……」


咲「え!あなた麻雀興味やるの!?」バッ


少女「ひっ……!」ビクッ


照「こら、咲」ゴツン


咲「痛い!!また叩いたぁ!!」グスン


女性「ふふっ…仲が良いのね」クスクス


咲「もう怒ったもん。お姉ちゃんが朝寝坊しそうになっても、起こしてあげないからね!」


照「起こしてるのお母さんだし……咲の方が寝ぼすけだよ…」


咲「むっ……なら、夜一緒に寝てあげない!」


照「お布団に潜り込んで来るのは咲だよ?」


咲「むぅぅ……何をやったらお姉ちゃんは困るの!!」


照「咲が居なくなっちゃったら困るかな」


咲「!!」



咲「お姉ちゃん……」ジワッ


照「咲……」



少女「……」




少女「……ふふっ…」クス




咲 照「!!」


少女「ぁ……」


少女「……/////」




女性「ほら、自己紹介して?」


咲「……」ワクワク


照「……」フフッ


少女「…えと……」オソルオソル


女性「……」クス



みなも「宮永……みなも…です…」


みなも「よ、よろしくお願いしましゅ!」カミ




照(あ、噛んだ)


咲「あはは、噛んだっ」


照「……咲、声に出てるから」


咲「ほえ?」


咲「……あっ」チラ





みなも「~~~~~~っっっ/////」プシュ-


照「……咲?」


咲「ご、ごめんね!!本当に!」アセアセ



みなも「うぅ……/////」





女性「……よしっ!」キメタ


女性「ねえ咲ちゃん、照ちゃん。少しお願いがあるんだけど……」




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咲「ささっ、上がって上がって!」


照「遠慮しなくて良いから、適当な場所に座ってて?」


みなも「う、うん……」キョロキョロ


咲「みなものお母さん、仲良くなるためにしばらく遊んでくれるかーだなんて、中々のやり手だね!」


照「数時間で迎えに来るみたいだし、心配しなくても大丈夫だよ」


照「……いや、お家すぐ隣なんだけどね」


みなも「えっと……咲ちゃん…と、照……さん?」


咲「咲でいいよ!」


照「私も、照で構わない」


みなも「……咲…」チラ


咲「はーいっ!」


みなも「……照……お姉ちゃん」


照「えっ、お姉ちゃん?」


みなも「あ…ごめんなさい……何となく…」




照「いや、好きな呼び方で大丈夫だよ」


咲「うんうん!苗字も一緒だし、歳も近いし!」


咲「私達、ほんとの姉妹みたいだねっ!みなも!」ニコッ


みなも「えっ……」


照「ふふっ、だね」ニコリ


みなも「……姉妹…」


照「あ、私ジュース入れてくるね?」


咲「私も手伝うよ!みなもはその辺に座ってて!」


みなも「あ……ありがとう…」


咲「ジュースって何があったかなぁ…」テクテク


照「何も無かったらお茶だね」


咲「えぇ…恰好つかないよぉ…」







みなも(行っちゃった……)


みなも「……」 キョロキョロ


みなも「ここで良いのかな……」スワリ


みなも「……」


みなも「姉妹……かぁ…」


みなも「咲と……照お姉ちゃん……」


みなも「……」




みなも「……えへへ…」ニコッ




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咲「ごめん、お茶しか無かったよ……」ショボン


照「そういえば、この前一気に飲んじゃったの忘れてたね…」


みなも「ううん、気にしないで……?」


咲「気にするよぉ……って、雀卓に座ってる!!麻雀するの!?」ヤッタ-


照「速攻で気にしなくなったね……」


みなも「ぁ……座っちゃダメだった…かな?」オド


照「ううん、ダメじゃないよ。みなもは麻雀できるの?」


みなも「……まーじゃん?」キョトン


みなも「ううん、知らない…かな」


照「その台と、置いてある牌を使う遊びなんだけどね」


みなも「へぇ…まーじゃん……」


みなも「……2人は、上手いの?」


照「うーん……普通くらい…かな?」


みなも「そうなんだ……」


咲「……??」ジ-ッ


咲「!!」




咲「そうだ!みなももやってみない?麻雀!」


みなも「えっ?」


咲「丁度今、2人しか居なくて退屈……はして無いけど、少し物足りないなーって思ってた所なの」


みなも「でも…難しそうじゃない…?」


照「ちょっと難しいけど、私と咲で付き合うから大丈夫だよ」


咲「うんうん、大丈夫大丈夫!」


みなも「……」カンガエ


みなも「なら…やってみたい、かな」


咲「やたっ!!」


照「そうと決まれば早速、だね」


みなも「よ、よろしくねっ…!」


照「まず、基本的なルールは……」



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照「っていう感じ。点数計算の所は少し難しいから、少しずつ覚えていけば大丈夫だよ」


みなも「翻数と符……」


みなも「……」カチャカチャ


みなも「……これだと、1200.2300で合ってる…?」


咲「えっと……えっ、凄い!正解だよみなも!」


みなも「えへへ……」


照「驚いた…今の説明だけで点数計算も覚えられるなんて」


みなも「役とかは、本見ながらじゃないと出来ないけど…」


みなも「算数は得意だからっ」


咲「へっ?」


照「……ほら、咲?算数が出来れば点数計算も出来る…つまり、逆接的に、点数計算が出来れば算数も」


咲「わーわー聞こえない!私は算数嫌いだもん!」


みなも(咲は算数が苦手……っと…)



咲「それよりもみなも!役を覚えるなら、最初に嶺上開花っていう役を覚えると良いよ!」


照(逃げた……可愛い)


みなも「りんしゃんかいほー?」


咲「うんっ!山の上に花が咲くっていう意味の役なんだ!」


みなも「咲く……同じだ…咲の名前と…」


照「私のセリフが……」


みなも「どうやったら、りんしゃんかいほーになるの?」


咲「えっとね……」


咲「カンして、ツモるだけだよ!」


みなも「へぇ……カンしてツモるだけで……って、それ難しいんじゃない…?」


咲「そこはほら!気合いと根性で!」


照「いやいや……無理だよ咲……」ハァ


咲「えー?そうかなぁ…」



みなも(りんしゃんかいほー……咲と……同じ…)チラ


咲「嶺上開花、良いのになぁ…」


照「私も嶺上開花は好きだけど、誰でも咲みたいに出せる訳じゃ無いからね……?」


咲「そっかぁ……」


みなも「……」ジ-ッ


咲「……うん?どうかした?みなも」チラ


みなも「!!」


咲「ん?」ニコッ



みなも「な、何でもっ……/////」カァ


咲「??」キョトン



照「えっと、もうルールは大丈夫そう?」


みなも「あ、うんっ。とにかく、役を作って点数を稼ぐ……んだよね」


照「よしっ、じゃあ早速一緒に打ってみよっか?」


咲「本見ながら、ゆっくりで良いから!楽しもうね!」


みなも「うん…!よろしく…っ!」


みなも(緊張するな……)


照「よろしくお願いします」


咲「よろしくお願いします!」




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東一局




咲(みなもには悪いけど、私が勝つよ!)


咲「……」タン


照(まずは様子見……かな。多分咲が和了ってくるし)タン


みなも「……うん…?」


咲「ん、どうしたの??」


みなも「えっと……これって、配牌で聴牌してたらリーチ掛けてもいいんだよね?」


咲「へっ?」


照「うん。ダブルリーチって言って、2翻の役」


みなも「じゃあ…ダブルリーチっ」スッ


咲「えぇ…運良いなぁ…」タン


照(偶然、かな?)タン



みなも「こいっ…」チャッ


みなも「……違った…」タン


咲「それカン!」スッ


照(2巡目で大明槓って、咲も相当だよ)


咲「嶺上……」




咲「……あれ?」つ 白



咲(何で?確かに嶺上牌は2筒だったはずなのに……)


照「ん?」



咲「……ツモ切り!」タン


照(ツモ切り……?)



みなも「あっ…ろ、ロン!」パララララ


咲「ええっ!?」


みなも「えっと…リーチ、混一、白、ドラ3……16000…かな?」


咲「わっ…槓ドラが白に乗っちゃってる」


照「カンしたのは失敗だったね」


咲「そんなぁ……」ショボン


みなも「あっ…えと……ごめんね…?」


咲「謝る事は無いよ!勝負なんだし、本気でやらなきゃだから!」


照「にしても、初和了りが倍満で、しかも咲からの直取りなんて凄い」


みなも「そ、そうかな?…えへへ…」チラ


咲「よしっ、楽しくなってきたよ!」


みなも「初心者の私と打ってても楽しい……?」


咲「勿論!さっ、次やろっ」


みなも「……うんっ!」ニコッ



照(2人とも可愛い……)



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~オーラス・13巡目~






咲「カン!」


咲「ツモ、嶺上開花!3000.6000!」


みなも「わっ…凄い…」


照「ふぅ、終局だね」


咲「やたっ、逆転トップ!」ワ-イ


みなも「負けちゃった…」シュン


照「いや、落ち込むこと無いよ。初めての対局で、4回も和了れたら充分」


咲「うんうん!しかも、私がカンした後に3回もロンするんだもん、驚いちゃったよ」


みなも「そ、そうかな……?///」


みなも「咲も照お姉ちゃんも、凄く強かった…!」



咲「楽しかった??」


みなも「うんっ!また…やりたいな?」チラ


咲「!!いつでも歓迎だよ!」ニパ-ッ


咲「ねっ、お姉ちゃん!」


照「うん。家も隣なんだし、夏休みも一緒に遊ぼう」


みなも「……ありがとう!」ニコッ


咲「……」フム


咲「……みなもは、誕生日いつ?」


みなも「えっ?……10月28日…だよ?」


咲「よしっ!!私の方が1日早い!」ヤタッ


みなも「ど、どういう事……?」


照「咲……もしかして…」



咲「ふっふっふ、私の方が1日早く産まれたって事は、私の方がお姉ちゃん!」


咲「つまり、みなもは私の妹ね!」


みなも「ええっ…!?」


咲「宮永三姉妹って、なんだか恰好いいねっ!」


照「咲…可愛い」


咲「へっ?きゅ、急にどうしたのお姉ちゃん…?」


照(あ、声に出てた)


みなも「そ……」


咲「うん??」




みなも「それは、違うと思うっ……!!」


咲「ぅわわっ」


みなも「絶対、咲が私の妹だよっ!なんか放っておけないし、背も私の方がすこーし高いし!」


咲「放っておけない!?」



みなも「だから、私がお姉ちゃんねっ!」


咲「むっ…私がお姉ちゃんだよ!」


みなも「私だよっ!」


咲「私!!」


咲 みなも「むーっ……!!」


照「はいはい、ストップ」


照「2人とも、私の妹だから無駄な争いはよそう」ナデナデ


咲「お、お姉ちゃんがそう言うなら……」


照「うん、偉いね」ナデリ


咲「えへへ…」


みなも「むっ……」



みなも「……咲が納得するなら、私がお姉ちゃんって事でいいよねっ」


咲「へっ」


みなも「決まりね?」


咲「いやっ、それh」



みなも「決 ま り 、ね?」ジ-ッ



咲「は……はいぃ…」



照(凄い固執するなぁ…折れちゃう咲可愛い)


咲(ど、どうしてそんなに拘るの!?)


みなも「えへへ……」


みなも(お姉ちゃんとして、咲は私が見てなくちゃっ)






みなも「……照お姉ちゃんには負けないよっ」


照「えっ、何が……?」



みなも(新しい生活……咲と…照お姉ちゃんと……!)


みなも「…2人とも…よろしく…ね?」



照「うん、こちらこそ」ニコ


咲「いつかお姉ちゃんの座を奪ってやるんだから……」


咲「よろしくねっ、みなも!」


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姉妹の様な関係…という事でっ。
原作のみなもちゃんには宮永ホーンらしき物がありますが、どんな関係なのか気になります……

この話は700レス行かない位までに終わる予定で、そこからは咲×大会出場キャラなどに戻る予定ですので、もう暫くお付き合いください……っ

レスにて、出て欲しいキャラとシチュエーションを添えて貰えたら、参考にしたいと思うので、良ければお願いしますっ

すみません、書いて消しての繰り返しで全く投下出来ません……
やっと固まったので、今週中には今の話を終わらせますね。
レス本当に感謝です。とても励みになります(ペッコリン)



【一年後・喫茶店】




咲「ふあぁ…涼しい!」


みなも「涼しい!」


照「2人とも、大きな声出さないの」


みなも「はっ……そ、そうだよ咲!静かにしなくちゃ!」


咲「えー!?みなもに言われたく無いよ…」


店員「いらっしゃいませ、何名様ですか?」


みなも「あぅ……」カクレ


照「3人です」


店員「かしこまりました、こちらへどうぞ」ニコッ


みなも「……」ソロリ


咲「ふふっ、みなもってば相変わらず、人見知りの照れ屋さんだね」クスクス


照「咲の後ろに隠れて……確か、初めてあった日もお母さんの後ろに……」


みなも「う、うるさいよっ!/////」



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_____________________________________________


照「今日もいつもので良い?注文」


みなも「うん、私は良いよー」


咲「私も良いよ」


照「ん、了解」


照「すみません、店員さん」


店員「はい、ご注文ですか?」


照「ジャンボバフェ1つと、オレンジジュース3つください」


店員「はい、かしこまりました。いつも有難うございます、少々お待ちくださいね」ニコリ


照「はい」ニコ


咲「いつも有難うございます、だって」キャ-


みなも「常連さんみたいで、恰好いいね!」


照「まあ、ほとんど常連みたいな物だしね」


咲「ここのパフェはおっきくて美味しいから好きー」


みなも「その代わり、少し高いけどねっ」


咲「えへへ、おこずかい貯めておいて良かったね!」


みなも「うんっ」


照(……可愛い…)



照「……ん?」チラ


照「……」


咲「ん、お姉ちゃんどうしたの?」


みなも「照お姉ちゃん?」


照「2人とも、これみて?」ピラ


咲「……チラシ??」




みなも「…なになに……小学生麻雀大会……?」


咲「開催場所、長野県民ホール……こんなのやってたっけ??」


照「今年からみたいだね」


みなも「へぇ~」


照「……2人とも、出てみたら?」


咲「えっ?」


照「結構大規模にやるみたいだし……来年のインターミドルの練習にもなるかもよ?」


咲「うーん……」


みなも「確かに……面白そう!」



咲「うんうん!色んな人と打てるんだよね!」


みなも「出てみようよ、咲!」


咲「賛成!」


店員「お待たせしました、ジャンボパフェとオレンジジュースになります」ゴト


照「ありがとうございます」


咲「有難うございます!」


店員「いえいえ。……ん?君たち、その大会に出るの?」


咲「はいっ、今出ようかなって決めた所です!」


店員「そっかそっか。テレビ中継もするみたいだし、頑張ってね!」


みなも「お、お姉さんも麻雀するんですか…?」


店員「んー、見る専だけどねっ」


咲「ミルセン?」


照「試合を観戦する事を楽しんでるんだよ」


咲「なるほど……」


「店員さーん、注文お願いしまーす」


店員「あっ、はい!ただいま!」


店員「それじゃっ、頑張ってね」ウインク



咲「はい!」


みなも「頑張ります……っ!」


照「日時は……今週の土曜日だって」



咲「えっ、凄いギリギリだけど大丈夫?」


照「うん。応募は明日水曜日の昼までって書いてあるし、帰ったらお母さんに応募してもらお?」


咲「良かったぁ」


みなも「えへへ…咲と出る初めての大会だね!」


咲「ね!どうせなら、1位と2位は私達で独占しちゃおうよ」


みなも「良いね!そうしよっ、約束ね!」ニヘヘ


咲「でもでも、油断は禁物!凄く強い子が出てくるかもしれないし!」


みなも「その為に、家に帰ったら練習しよっ」


咲「おーっ!」


照「ふふっ、頑張ってね。私も観客席で応援してるから」クス


照(この2人なら多分余裕だけど……)


咲「その前に、パフェを……」チラ


咲「あーっ!お姉ちゃん、もう半分食べてる!」


照「……ん?」パクパク


みなも「この前も1人でいっぱい食べてたのにー!」




照「……これは…そう」


照「全ては早い者勝ちという、世の中の厳しさを教えて」


咲「お姉ちゃん!」


みなも「照お姉ちゃん!」


照「……ごめんなさい…」パク


咲「食べる手を止めてから謝りなさい!!」


照「今のは本当に無意識……」


みなも「もっと悪いでしょ!」


咲「もー!お姉ちゃんってばぁ…」


みなも「……ふふっ…」クスクス






みなも(ずっと…こうやって、3人で遊べたら良いなぁ…)



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【大会当日・会場】



ワイワイ ガヤガヤ






咲「うわっ、凄い人!」


みなも「さすが、世界的に広まってる競技なだけはあるね……」


咲「お姉ちゃん、これからどうするんだっけ??」


照「咲とみなもは、まず自分のグループを確認して来て?」


みなも「はいはい!さっき確認してきたよっ」


咲「私はAグループで、みなもはFグループ!」


照「見事に真逆なグループに入ったね」


照「えっと、とりあえず4回くらいトップを取れば多分決勝に上がれるから頑張って」


咲「4回って、決勝まで全部だね」


みなも「全部勝てば決勝って、当たり前だよね」


照「うん。出来るでしょ?」


咲「……」チラ


みなも「……」コク


咲 みなも「「もちろん!!」」


アナウンス『間もなく、各グループ1回戦が始まります。選手の方は速やかに……』



咲「あ、もう開始だ!」


照「それじゃあ、私は観客席で見てるから」


みなも「うん、また後でね」


咲「みなも、行こっ!」ギュッ


みなも「うんっ!」ギュ





照「ふふっ…頑張って、2人とも」グッ



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【Aグループ3回戦】




咲(うんうん、ここまでは全部トップ取れたし…決勝いける!)


咲「ツモ!1600.3200!」


咲(みなもは大丈夫かなぁ……)


咲(ううん、2人でワンツーフィニッシュするって約束したし…大丈夫!)


咲(今は私が楽しまなきゃねっ。折角、たくさんの人と打てるんだし!)ゴッ



咲「……」タン


選手A「ロン!6400っ」


咲「……えっ?」チラ


咲(単騎待ち……?しかも、地獄単騎……)


咲「はい」チャラ



咲(……偶然…かな…?)



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咲「カン、ツモ嶺上開花!2000.4000!」


咲(これでまたトップ!)


咲(でも、まだまだ攻めるよっ)タン


選手B「ロンです、8000っ」


咲「えーっ!?」ガタッ


選手B「えっ」


咲「あ……ごめんなさい…」ペコ




咲(混全帯幺……?しかも、また地獄単騎…)


咲(捨牌的にも混全帯幺は無いと思ってたのに……)


咲(……気合い入れなきゃ!)


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~終局~



選手A「ありがとうございました!」


選手B「ありがとうございました」


選手C「負けちゃったあ……」


咲「……?」


選手B「……どうかした?」


咲「!!あっ、いえ……ありがとう!楽しかったです!」


選手B「ん、こちらこそ」ニコ


咲「……」チラ


咲 30400



咲(2位になっちゃった……皆強かったなぁ……)




咲「……」


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【予選終了・昼休憩】





みなも「お疲れさま、咲!」


咲「……」ボ-ッ


みなも「……咲?」


咲「ぁ…うん!みなも、全勝だったね!凄いよ!」


みなも「えへへ…ありがと」


みなも「咲は…珍しいね、2回も2位になるなんて?」


咲「う、うん……あはは、強い人がいっぱいいてね」


みなも「へえ!羨ましい!けど、決勝には進んだんでしょ?」


咲「ギリギリ4位通過だったけどね…最初の2勝が無かったら危なかったよ」


みなも「でも、決勝には進めたんだし、2人でトップを独占だよ!咲っ」


咲「……うんっ、そうだね」ニコ



照「……みなも、予選1位通過の選手はインタビューだって」


みなも「ふぇ!?」


咲「あ、本当だ…ふふっ、そこのモニターに映るんだね」クスクス


みなも「む、むむむむむ無理無理無理だよぉ!」アタフタ


照「ほら、早く行かなきゃ」


みなも「うぅ……/////」


咲「みなも、頑張ってっ。お姉ちゃんなんでしょ?」


みなも「!!うん……頑張る…」


みなも「も、モニター見ないでね!?恥ずかしいから!」


咲「あはは、それは無理だよー」クス


照「頑張って、みなも」


みなも「う、うんっ。行ってくるね」テクテク




咲「……」


照「……」


照「咲…最後の2試合は」


咲「あはは、他の人が凄く強くて!和了っても、すぐ振り込まされちゃったよー」


咲「でもでも、決勝では油断しないから!心配しないでっ!」


照「咲……」


咲「ほら、インタビュー始まるよっ」チラ


照「……うん」





『予選1位通過の、宮永みなもさんに来てもらいました!』


みなも『ど、どうも……』


『あはは、緊張してるのかな?まずは、予選の感想をお願いします!』


みなも『か、感想ですか……?えと…知らない人と沢山打てて…とっても楽しかったです』


『普段は誰かと麻雀を打っているんですか?』


みなも『は、はい。咲と……いや、その、姉妹で打ってますっ!』


『おお!微笑ましいですねっ!……ん?宮永さんと言うと、同じく決勝に進出した選手と……』


みなも『えへへ…はいっ。そうですっ』


みなも『……その子と、2人で1位2位を取りますっ』


『これは凄い宣戦布告ですね!お姉さんも応援しています!』


みなも『あ、ありがとうございます…/////』


『それでは、以上!宮永みなもさんでしたっ!』




咲「うわっ…私の事まで!」


照「負けられなくなっちゃったね」


咲「……うん」


咲「……勝たなきゃね」


照「……」ピク


照「咲、やっぱりさっきの」


みなも「ただいまぁ……」ヘトヘト


咲「おかえり、みなも!」


照「…おかえり。凄い緊張してたね」


みなも「当たり前だよぉ…」グテ-




咲「……」


みなも「咲ー?なんか、さっきからボーッとしてない??」


咲「!!」


咲「……集中してるんだよ!みなもを倒すためにね!」


みなも「あーっ、言ったね?負けないよ!」


みなも「でもでも、わざと負けるとかは無しね!お互い全力で!」


咲「うん、当たり前だよ!」


アナウンス『間もなく、決勝戦を開始します。選手の方は……』


みなも「わわっ、もう!?」


咲「みたいだね」


照「……行ってらっしゃい、2人とも。頑張って」


みなも「うん!」


咲「行ってきますっ」


咲(全力で……全力で、打つ……)


咲「……」コォォォォォォ






照(嫌な予感が……する…)


照「咲……」



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【決勝戦、終了後】






選手A「ありがとう…ございました…」グスッ


選手B「うぅ…」


みなも「これ……っ…」


みなも「さ…き……?」


咲「……」スッ


咲「……ありがとう、ございました」テクテク







みなも?34600
咲 ?30500
選手A?28900
選手B?26000



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咲「……」スタスタ


みなも「ま、待って咲……!」


咲「……」スタスタ


みなも「咲ってば……ねえ、待って!!」


咲「……」ピタ


みなも「……」ホッ


みなも「さ、さっきの試合……偶然…だよね……?」


みなも「咲の点数が30500点になってから、全員の点数が動かなくなったの……」


みなも「私には、咲がそうなるように…振り込んだり、安手で和了ったりしてたように見えて……」


咲「……」


みなも「全部……偶然…なんだよね…?わざと低い点数にして和了ってたのも、何か秘策があって、最後に捲ろうとしたんだよね……?」


みなも「最後の局……ロンできたのに私から和了らずに、安手を自分でツモったのも、何か考えが」


咲「………違うよ」


みなも「………………えっ…?」


咲「……」


みなも「ち、違うって……」



みなも「ど、どうしてあんな事したの……?もしかして、ワンツーフィニッシュの約束の為に…」


咲「……違う。2位で妥協なんて……私、しないもん」


みなも「……なら…どうして……?」


咲「……」


みなも「どうして、あんな手を抜くような打ち方……」


咲「……っっ…」


みなも「……」ハッ


みなも「……ねえ…咲……予選の、結果……」


咲「…」ピクッ


みなも「そういえば、最後の2試合……両方とも…今みたいに±0だった」


咲「……そう、だね…」


みなも「……」


みなも「……勝つ気が…最初から無かったの…?」


みなも「点差からして決勝には進めるって思って、適当に打ってたの…?」


咲「…みなもは……そう…思うんだ…」


咲「私が……適当に打ったって……勝つ気が無くて……手を抜いた……って…」


みなも「そうとしか思えないじゃん!!」


咲「っっ」ビクッ



みなも「だって、おかしいよ!3回連続で±0なんて、勝つ気が無いみたい!!」


みなも「普通はそんな事偶然で起こるなんて有り得ないもん!!」


咲「……」


みなも「今日は……私に、優勝を譲る気であんな事したの!?」


咲「!!ちが」


みなも「嶺上開花だって、点数調節の為……?」


咲「……」


みなも「全力でって約束したのに、なんで!?私、ずっと楽しみにしてたのに!」


咲「…」


みなも「姉妹で全力で戦って、皆をあっと言わせるんだって、思ってた……」


みなも「何より、照お姉ちゃんが居ない卓で……2人きりで、全力で打ち合えるって」


みなも「……折角の麻雀なのに……」


みなも「……つまんなかった」


咲「ぁ……」


咲「……」


みなも「ねえ……何か言ってよ……咲…」


咲「……」


みなも「咲!!」


咲「あはは……」



咲「……感謝、してよ」


みなも「…えっ……?」


咲「…いつも…みなもが負けてばっかりだから」


咲「……今日くらい、勝たせてあげたんじゃん」


みなも「……本気で…言ってるの…?」


みなも「ねえ、咲……本当にそんなこと」


咲「だって、普通に打ったら有り得ないでしょ?」


咲「……3連続、±0」


咲「うん、私は勝つ気なんて無かったよ」


咲「インタビューであんなに目立ったみなもが負けたら可哀想だから、わざと負けてあげ」



パシンッ!!



咲「っっ……」ヒリヒリ


みなも「……最低…」


みなも「咲がそんな事するなんて……思ってなかった」ジワッ


咲「あはは……みなもは私の何を知ってるの?」


みなも「だって、私たちはっ」


咲「……本当の姉妹でも、無いのに」


咲「知ったような口、叩かないで」


みなも「!!!!」


咲「……ほら、優勝者はインタビューあるんだから行ってきなよ」スッ


みなも「……」


咲「……」


咲「……麻雀なんて、面白くない」スタスタ



みなも「……」



みなも「……………………」


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【プラマイゼロ】



照「……」


咲「お姉ちゃん……」


照「……お疲れさま、咲」


咲「……見てたでしょ?…疲れてなんて」


照「咲」ジッ


咲「……」


照「私には、隠さなくて良い」


咲「……何も隠してなんてないよ」


照「……全部…分かってる……」ギュッ


咲「!!」ピクッ


照「ごめんね…予選の時点で…異変は感じてたに……何も、してあげられなかった…」


咲「っっ……」


照「……大丈夫だよ、咲…」


照「お姉ちゃんに、話して……?」





咲「……っっ…」


咲「…だって……」



咲「だって……無理だったんだもん……っっ!!」



咲「全部……全部、全部!!配牌も、ツモも、ドラも、相手の手牌も、半数も、符数も…」


咲「流局の点棒移動ですら!!!」


咲「私の意志とは関係なく……勝手に……出来上がってた……点数が…作られてた…」


咲「誰かに操られてるみたいに……勝手に、そうなってた!!」


咲「最後の局だって、私には槓材が見えてた!!嶺上開花で和了るはずだった、捲れるはずだった、なのに!!」


咲「……ねえ……どうして……?」


咲「安牌だと思って捨てた牌が全部当たり牌で……次の局に、その相手が私に同じだけの点数を振り込んで……」


咲「点数が全然動かなかった……動かせなかったよ……」


咲「今日だけ……?ねえ、私、今日だけ変になっちゃったの…?」


咲「明日から…ううん、家に帰ったら……また普通に打てるよね……?」


照「咲……」


咲「私、つい怒っちゃって…みなもに酷い事言っちゃったの……」


咲「早く謝らないと……早く家に帰って本気で麻雀打たないと……」


咲「ねえお姉ちゃん…お姉ちゃんも入ってくれる?」


咲「あ、まずはみなもと仲直りしなくちゃなんだけど…」


咲「でも、みなももひどいの。私が手をぬいたなんていってね?」


咲「私がそんなことするはずないのに…」


咲「……」




咲「…あれ……?そうだっけ……どうなんだっけ…」


咲「私、本気で打ったんだっけ……?私、今麻雀打ってたよね…?」


咲「えへへ…いけないな私ったら、つい数分前の事忘れちゃうなんて」


咲「私って勝ったんだっけ……?負けた……?ううん、みなもが強かった気がするけど…」


咲「でもでも、私も安手だけど一生懸命和了ってたよね?」


照(ダメだ…急な体質の開花で、混乱して……)



咲「あれ……?安手…なんで安手ばっかり和了ったの?」


咲「どうして安手しか作れなかったの……?」


咲「……分かんない」


咲「分かんない、分かんない分かんない……」


咲「…怖い……怖いよ……」


咲「怖い…助けて……お姉ちゃん…」


照「咲」



『優勝おめでとうございます!』


みなも『……ありがとうございます』



咲「ぁ……」


『宣言通り、姉妹でのワンツーフィニッシュとなりましたが、感想は!』


咲「みなも……」


みなも『……』


『宮永さん?』




みなも『……私に、姉妹なんていません』


『へっ?』



みなも『優勝は素直に嬉しいです。ありがとうございました』



『えっ、ちょっ……』


『い、以上!優勝者さんへのインタビューでした!』






咲「……」


照「……咲」


咲「……」


咲「……麻雀なんて…」


照「……」



咲「…………大嫌い」
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【数日後】



咲「……」


コンコン


咲「……」ピク


『咲、入るよ?』

ガチャ


咲「……」


照「……咲…」


咲「……どうしたの、お姉ちゃん?」


照「麻雀、打とう」


咲「あはは…もう良いのお姉ちゃん」


咲「あれから、ずっと打った。たくさん、たくさん打ったよ?」


照「……」


咲「でも……全部±0で終わった」


咲「もうダメだよ。打てば打つほど、点数を意識すればするほど、この力が強まってるのを感じるの」


照「私がもっと照魔鏡の精度を高めるから……!」


咲「……ねえ、お姉ちゃん、最近鏡見た?」


照「鏡……?」


咲「うん」


咲「凄く、辛そうな顔してる」



照「っっ……!!私の事は心配しなくても」


咲「みなもを麻雀で傷つけちゃって、お姉ちゃんまで、私の麻雀で傷つけてる」


咲「……私、もう麻雀は、したくないの」


咲「私の変な麻雀で、人を嫌な気持ちにさせたくない」


照「咲……」


咲「……私のために、ありがとうお姉ちゃん」


照「……」


咲「最後に麻雀をしたのがお姉ちゃんで、良かった」


照「……咲…」


照「……」


照「……これ」 つDVD


咲「これは……?」


照「お母さんに頼んで……色んな選手の対局の映像を集めてもらった」


照「これが最後で良いから……何か、参考になりそうな試合があったらすぐに教えて」


咲(……私は諦めてるのに、お姉ちゃんは……)


咲(でも……ダメなの、お姉ちゃん…あの力は……)


咲「……うん」


咲「見てみるね、お姉ちゃん」


咲「ありがとう」ニコ


照「……」ホッ



咲(あの力を止められるのは、きっと……)


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咲「えっと……」カチャカチャ


咲「……」ピッ


咲(ついた…)


咲「……」


咲「……この映像は…インターハイ?」


咲「インターハイって…高校生の麻雀大会……だったよね」チラ


咲「……」


咲「……っっ…」


咲「……」





咲「…」



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【現代】





咲(あれから…引越しが決まって、先輩に会って……健夜さんに会って)


咲「……」



みなも「あの時から……ずっと、会いたかった」


みなも「会って……謝りたかったの」


咲「……私の方こそ…その…」


咲「引っ越した後に何回も、手紙とか……送ろうと、してたんだけど…」


咲「あの時……あの、大会の日に気まずくなって、遊ばなくなって…」


咲「私が悪いのに……私の方から手紙を出すのもな……って、その…思ってて…」


咲「……うん…」


みなも「……」


咲「……」


みなも「……咲が、何も言わずに、引っ越して……」


みなも「引越しちゃった後で……色々、考え直したの」


咲「……」


みなも「±0なんて、普段の咲なら……絶対、やらない…」


みなも「後になってから、そんな当たり前の事……気付いて…」



みなも「ううん、とっくに、試合の後に話した時にそんな事…気付いてた…」


みなも「でも……混乱してて…酷い事、たくさん言って……」


みなも「どうして、咲の話をもっと聞いてあげなかったんだろうって……後悔して」


みなも「でも……全部、遅くて…」グス


みなも「ずっと辛くて見られなかった、あの時の試合を……何回も見て…」


みなも「咲が、故意に点数調節をしてた訳じゃないって、分かった……」


みなも「咲でも抗えない、何かがあるんだって…気づいたの…」


みなも「誰よりも、麻雀が好きだった咲に……わざと負けたんだ、とか……手を抜いた……とか…」


みなも「…ごめんね……咲……」


みなも「本当に……ごめんね…」ポロポロ


咲「みなも……」


咲「……」


みなも「…うぅ……」グスッ


咲「私……」


咲「……」


咲「……ねえ、みなも」


みなも「…うん…?」グス




咲「……私の事…まだ、姉妹だって…」


みなも「っっ」


咲「言ってくれてるって……聞いた」


みなも「……うん…」


みなも「そんな事、言う資格無いって分かって」




咲「凄く、嬉しかった」


みなも「……え…?」



咲「あの時、私から…その、酷い事言って……みなもも、インタビューで…ああ言って」


咲「そのまま疎遠になっちゃって……」


咲「私の事…嫌いになってると……ずっと、思ってたから」


みなも「そんな事無い!!」


みなも「麻雀を続けてたのも、いつか咲に会えるんじゃないかって、思ったから」


みなも「インターハイを目指したのも、咲が見てくれるんじゃないかって、そう思ったから」


みなも「咲との、たった一つの繋がりを、捨てたく無かったら、頑張ったの!」


みなも「ずっと、ずっと、あの時の後悔から……」


みなも「……咲の事だけ考えて、生きてきた」


みなも「だから……そんな事…」


咲「……うん」スッ


咲「大好きだよ、みなも」ギュッ


みなも「!!」


咲「こうして、直接会って……偶然に偶然が重なった結果だけど、会えて」


咲「ずっと、抱えてきた後悔を……話せて…話して貰って」


咲「その…ごめんね、ちょっと、緊張して……上手く、言葉が出てこないんだけど…」


咲「……ありがとう。大好き、みなも」


みなも「咲……」ジワッ



咲「…あの頃は、お互いに…まだ、小さくて、酷い事…言い合ったり、しちゃった」


咲「けど、あの時から……今まで、1度だって、みなもの事を忘れたこと、無かった」


みなも「……嬉しい…」ギュッ


咲「……ねえ、みなも?」


咲「昔の事、無かったことになんて、出来ないし…しちゃ、いけないと思う」


みなも「…うん……」


咲「だから、さ。改めて……」


咲「私達…姉妹に、戻れる…かな?」


咲「ううん、姉妹に、戻りたい」


みなも「……私、また、咲を…傷つけちゃうかもしれないよ……」


咲「その時は、みなもが責任をもって癒して?」


みなも「……ケンカだって、しちゃうかも…」


咲「姉妹だもん、そんなの、当たり前だよ」


みなも「こんな私で……良いの…?」


みなも「本当に、また姉妹に戻っても」


咲「みなもが良いの。本当に、みなもが良いんだよ」


咲「私が先に、姉妹じゃないなんて言っておいて…我儘なのは、分かってる」


咲「でも……」


みなも「……」




みなも「……妹の我が儘、聞くのがお姉ちゃんの役割だから」


みなも「お姉ちゃんとして…妹の我が儘は、聞いてあげなきゃ…」


咲「!!」


みなも「……ね、咲」ニコ






咲「……私が、お姉ちゃん、だってば…」ニコッ








【姉妹、カン】

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【終幕】






みなも「じゃ、じゃあ、もう±0の呪いは解けたの!?」


咲「うんっ、色々、あってね」


みなも「……嬉しいやら悲しいやらだよぉ…」


みなも「私が咲を助けてあげたかった!」


咲「またみなもはそうやって……お姉ちゃんと同じ事言うんだから」


みなも「そりゃ、照お姉ちゃんだってそう思うよ!」


咲「お姉ちゃんにも言ったけど、そうやって、ずっとみなもが思っててくれただけで、私は嬉しいから」


咲「ありがとう、みなも」ニコ


みなも「べ、別に……」


みなも「咲がそう言うなら……良いんだけど…//」



咲「みなもの方こそ、あの天江衣を倒してインターハイに出てくるなんて、凄いね」


みなも「私は、テレビに映って咲にアピールするって役目は果たしてくれたから、県予選で終わっても…って、思ってたんだけどね」


みなも「……衣が、他校の点数で遊ぶような真似したから……」


咲「他校の点数で遊ぶ?」


みなも「うん。風越って所の点数を、0点にして、遊んだの」


咲「へぇ…あの池田さん相手に……」


咲(ふぅん……)


みなも「そうそう、池田を……って」


みなも「何で咲が池田の事知ってるの!?」


咲「あ、そうそう、それなんだけど…」









久「ねえ、私いつまで無視されてれば良いのかしら?」



咲「……誰です、あなた」


咲「みなも、知ってる?」


みなも「ううん、知らないよこんなチャラそうな人」


久「ちょっ、盗み聞きしてたのは謝ったじゃないの!」


咲「謝れば済むとでも?大体、あの時の事だって、許してませんから」


みなも「そういえば、久と咲は知り合いだったんだっけ?」


みなも「なんか、私を麻雀部に勧誘してきた時もその事をエサにして……」


久「ストップストップ!!その事は私と貴方の秘密でしょう!?」


久「大体、隠れて付いてきてたのも咲の迷子癖を思い出して一人で行かせるのは……っていう、苦渋の決断だったのよ!」


咲「あーはい、そーですねー(棒)」


咲「……はぁ」





咲「……まあ、冗談は置いといて、感謝はしてます」


咲「先輩に会ってなかったら、みなもにも会えてませんでしたから」


久「お、おおう……」


久「急にデレたわね……」


咲「……」ゲシッ


久「ちょっ、痛い痛い!足踏まないで!?」


みなも「……仲が良いんだね」


久「みなも、貴方目が悪かったかしら!?痛っ、ちょ、そろそろ止めてっ」


咲「そうだよみなも、仲なんて良くないから」フンッ


みなも「……むぅ…」



みなも「それで!咲がここに来た経緯を教えて!」


久「そういえば、私もまだ聞いてなかったわね」


みなも「久は邪魔だから帰って良いよ。ていうか、2人きりにしてくれない?」


久「ほんと、咲が絡むと怖いわね貴方……」


咲「まあまあ、後で部長に話し直すのも二度手間だし」


みなも「……まあ、確かにね」


久「それで?」


咲「えっと……実は…」



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【長野勢・宿舎前】




みなも「本当に偶然だったんだね……宿って、ここの事でしょ?」


咲「うん。原村さんからみなもの事聞いて、飛び出してきたの」


久「あっちゃぁ…流石に、咲に会うのは想定外だったし、言うなってのも無理があったかぁ…」


咲「……先輩、先輩は原村さんの事…」


久「知ってるわ。…いや、何に悩んでるかは分からないけど、重たい物一人で背負ってるのは、ね」


咲「……そうですか」


みなも「??」


みなも「あぁ、引越しの事?」


咲「ちょっ、みなも!?」


久「あら、そういう事……想像通りね」


咲(えぇ……)



みなも「あれ、言ったらダメなことだった?」


咲「みなもは、聞いてたんだね?」


みなも「うん。初めて部活に行った時の帰りにね」


久「あぁ、あの時ね……」


咲「……まあ、そういう事なので…」


咲「色々と、よろしくしてあげてください」


みなも「うーん?何で咲が和の事を心配してるの?」


久「あらあら…咲ちゃんも中々やるわねぇ…」クスクス


咲「……」ゲシッ


久「痛っ!?ちょ、また!?」


みなも「むむむむむ……何か嫌な感じっ!」プイッ


咲「えっ、なんで……?」キョトン



久「ま、言いたい事は何となく分かったわ」


久「ありがとね、咲」


咲「……いえ、別に」


久「じゃ、入りますか。皆心配してるかもしれないしね」テクテク


みなも「そだね」テクテク


みなも「咲は何時頃までここに居られるの?」


咲「えっと、夕方くらい……」








健夜「咲ちゃん!!」


咲「……あれ、健夜さん!?」


衣「帰ったか」


咲「衣ちゃんも」


衣「ちゃんではなく!」



久「おろ、小鍛治さん」


みなも(むっ……)


健夜「咲ちゃん、心配したよ!」


咲「な、なんで健夜さんが?お仕事は……」


健夜「早めに終わったの。それで、ケータイ見たら着信着てたから折り返したのに、中々出なくて」


咲「あ、そういえばケータイここに忘れてました…」


健夜「咲ちゃんがケータイ持たずに出歩くなんて自殺行為だよ!?」


咲「そ、それは……まあ、確かに不注意でした……」


健夜「それで、何回か掛けて繋がったと思ったら、天江衣さんが出てね」


健夜「事情を聞いて、すぐにここに来たの」


咲「衣ちゃ……先輩が?」


衣「うむ。勝手に悪いとは思ったが、何度も掛かって来たのでな」


咲「いや、それは大丈夫だけど……」


健夜「もー!心配で寿命が縮んだ思いだったよ!」


咲「……すみません、今回の迷子はちょっと予想外でして…」


咲「いや、迷子を予想できた事なんて無いんですけど……はい」



健夜「でも、良かったよ。偶然とは言え、長野の人達に保護……見つけて貰えて」


咲「保護って言いましたね!?」


みなも「……ねえ、咲。この人は?」


健夜「うん……?」


健夜(この子…)チラ


咲「……」コクリ


健夜(………そっか)クス


咲「えっとね、この人は私の高校の麻雀部でコーチ……みたいな事してる人で、小鍛治健夜って言うの」


健夜「小鍛治健夜です。清澄高校大将、宮永みなもさん、だよね」


みなも「そうだけど……随分と、咲と仲良しなんですね!」


健夜「えっ、そ、そう……?」チラ


咲「いや、こっち見られても知りませんし」


健夜「えっと…まあ、仲良くさせてもらってる……かな?」


みなも「なーっ!!咲、お姉ちゃんは認めないから!こんな、色々とダメそうな人!」


健夜「私たち初対面だよね!?」ガ-ン



咲「えっと……どういう事です?」チラ


久「さあねー?ふふっ、自分で考えなさい」クス


衣「やはり、咲が此処に来たのも偶然ではなく必然だった様だな」クス


咲「???」


みなも「良い!?私は咲に大好きって言われたんだから!/////」


健夜「そ、それは…姉妹として…とかじゃなくて……?」


みなも「……えっ、そうなのかな?」


健夜「さ、さぁ……?」


みなも「ど、どうなの咲!?」バッ


咲「うわわっ!?」ビクッ


みなも「だ、だだだだ大好きって、その…どういう意味だったの!?///」


咲「ど、どういう意味って」




和「賑やかだと思ったら……帰っていたんですね」


和「また戻ってくると思ってたので、帰ったとは言っていませんよ」


咲「……原村さん」


みなも「咲ってばぁ!!」



美穂子「おかえりなさい、皆さん」ニコッ


ゆみ「驚いたぞ咲。まさか小鍛治プロが、咲の言っていた待ち人だったとは」


モモ「急に飛び出したって聞いて、びっくりしたっすよー」


透華「色々とあった様ですけど、一段落着いて良かったですわ」


咲「……はい、皆さんありがとうございました」


健夜「私からも、ありがとうございました」ペコリ


みなも「……咲、帰っちゃうの…?」


咲「うん。これ以上お世話になる訳にもいかないし…」


咲「後輩を、一人で待たせちゃってるから」


みなも「……」ギュゥ


咲「……もう、甘えないの」フフッ


咲「これじゃあ、どっちがお姉ちゃんか分からないよ?」


みなも「…だって……折角会えたのに、これでお別れなんて…」


咲「私たちは姉妹、でしょ?」


咲「……いつでも、会えるよ」ナデナデ


みなも「……本当…?」チラ


咲「うんっ」ニコリ


咲「約束」スッ


みなも「……」グスッ


みなも「……うんっ、約束!」ニコッ


衣「……」クス








久「……小鍛治さん」


健夜「久ちゃん、お久しぶりだね」


久「はい、お久しぶりです」


健夜「……」


久「……ありがとう、ございました」


久「咲のこと、よろしくお願いします」ペコ


健夜「……うん、任されました」










【長野宿舎編・カン】

長い時間掛けた割に雑で申し訳ない……でも、書いておきたかった話だったので、個人的には満足ですっ

咲さんの±0関係は大体書けましたね。解決に至る経緯や諸々は前スレを見ていただけると何となく分かるのではないかな、と思っています。

他の長野勢のキャラは、その内閑話として攻略(?)して行こうと思っています……
一先ず、次回からは時空をインハイ観戦軸に戻して、完結に向かいます…っ

どうやってこのスレ終わらせようか、全然決まってませんが……っ

【2人の帰路】




健夜「……」ジ-ッ


咲「……」テクテク


健夜「……」ジ-ッ


咲「……?」


咲「……あの、私の顔に何かついてますか?」


健夜「へっ!?」ビクッ


咲「さっきから、見てますよね」


健夜「あー…いや、うん、まあ…」


咲「……」


咲「…ふふっ…」クス


健夜「えっ、何!?」


咲「別に、気を使って貰わなくても大丈夫ですよ」


咲「まあ、色々ありすぎて疲れちゃいましたけど…私の中での決着は、つきましたから」


健夜「……そっか」


咲「はい」ニコ


健夜「……」


咲「……?まだ何か?」


健夜「えっと……」



健夜「咲ちゃんはさ、その……」


健夜「いつか、長野に帰っちゃったり……するのかなって」チラ


咲「……はい?」


健夜「だって、一応まだお家は長野にあるんだよね?」


咲「それはまあ、ありますけど…」


健夜「あの子との問題も解決したんだし、仮にご両親のお仕事が一息ついたら……」


咲「それはつまり、私が長野に帰ってほしいと?」


健夜「ち、違うよ!む、むしろ逆って言うか……」


健夜「そう!もし、咲ちゃんが居なくなったら、麻雀打つ相手も少なくなっちゃうし……」


健夜「その…ちょっと、寂しい、し……」ゴニョゴニョ



咲「……まあ、実際にそういう話は出ていましたね」


咲「お姉ちゃんが高校卒業したら、一緒に2人で暮そうって」


健夜「やっぱり……」


咲「……」ハァ


咲「あの、健夜さん……?」チラ


健夜「うん…?」


咲「そのですね……あの…」モジ


咲「私が、麻雀を続けて来られたのも……その、色んな人のお陰ではありますけど、健夜さんの存在が大きかった訳で……」


健夜「あのインハイの時の、赤土さんの映像が1番じゃなくて?」


咲「そ、それもあります!ありますけど……」


咲「その映像には、健夜さんも映ってた訳でして…」


健夜「???」キョトン



咲「あぁぁ、もう!!えっとですね!!」


健夜「はいっ!?」ビクッ


咲「私は、健夜さんには感謝していますし、その、倒すべき相手ですし……」


咲「憧れ…でも、ありますので……」ボソ


咲「できる限りは、健夜さんの近くに居たいなって、思ってます!」


健夜「それって、つまり……?」


咲「健夜さんの心配してるような事には、なりません…って、事です、はい…」


咲「……/////」


健夜「……」





健夜「良かったぁぁぁぁぁぁ!!」ダキッ



咲「ぅわわっ!?ちょ、こんな所でっ……」


健夜「本当に良かったよぉぉぉ!!」ギュゥ


咲「分かりました、分かりましたからっ」


咲「く、苦しいので離れてください……///」


健夜「あ…ご、ごめんねっ!」バッ


咲「い、いえ……」ドキドキ


健夜「ふぅ……」


健夜「その、咲ちゃん……?」


咲「はい?」


健夜「……これからも、よろしくお願いします」ペコリ


咲「何ですか改まって……」


健夜「あはは……何となく、ね」


咲「……」





咲「こちらこそ、よろしくお願いします」チラ






健夜「へっ」



咲「さて、早く戻りましょうか。マホちゃんが拗ねちゃいます」クス


健夜「……」


健夜「……そうだね、行こっか」ニコ


咲「そだ、お詫びに甘い物でも買って行ってあげましょう」


咲「何が喜ぶかなー」ウ-ン


健夜「プリンとか?」


咲「うわ、無難ですね……」


健夜「別に良くない!?」ガ-ン



咲「ふふっ、まあ健夜さんと言ったら、無難を擬人化したような人ですしね」クスクス


健夜「なんかやだ!?」



健夜(…あぁ……)



健夜(こんな日々がずっと、続きますように)






咲「案外オニギリとかでも喜ぶかもですね」


健夜「甘い物ですら無くなってるよ!!」







【2人の帰路、カン】

キリが良い&かなりグダってきたので、このスレはここまでで切ろうかなと思います。
Bブロックと言いつつ、長野編みたいになってしまった……
このスレで、咲さんとマホについての書きたい話はほぼ書けたので、次スレは、選手との絡みを多くして行きたい……っ

1ヵ月とちょっとの間、付き合って頂き有難うございました!レス、本当に励みになっていました。

次スレをいつ頃建てられるかは分かりませんが、その時はよろしくお願いしますっ
では、ありがとうございました(ペッコリン)


【じかいよこく!】



咲「うわっ…神代さん凄……」


真佑子「い、今のは……」


咲「まあ、偶然とかではないですね」


真佑子「辻垣内さんの打ち方は……?」


咲「あれも、神代さんを妨害するための打ち方でしょうね」


真佑子「凄い……」


マホ(むぅ……マホが寝てる間に先輩とお隣さんと仲良くなってる……)



【普通に観戦!】








?「だる……もう動きたくない……」


咲「あの、体調でも悪いんですか?」


?「ん?君は……いや、大丈夫。ダルいけど」


咲「大丈夫なのかダルいのかどっちなんですか……」


?「……ダルいのがデフォルトというか」


咲(意味が分からない……)


【謎の気怠げな人物!】



?「見つけた……」


咲「あれ、貴方は……」


?「……あの時は、悪かったね」


咲「……えっ?」


?「アンタの友達の、悪口みたいな事言って」


?「それだけ!」


咲「ちょっと待ってください」


?「……なに」


咲「…少し、打ちましょうか」




【高校○○年生との再会!】






咲「……健夜さんが行きたいなら、そうしてください」


マホ「先輩!?」


咲「健夜さんは、もっと上を、目指すべきだと思います」


健夜「咲ちゃん……」


咲「安心してください、いつか私が、玉座から蹴落としてあげますから」ニコ


健夜「……」




【決意】



次回、完結編・to be continued

(予告の内容は変更される可能性があります)

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