足柄「よう……5年ぶりだな……」 (14)


コンコン ガチャリ


足柄「失礼しまーす」


提督「よお……」


提督「……5年ぶりだな……」


足柄「は、はあ。お久しぶりです」


提督「ん?どうした、変な顔して」


足柄「いや、あの。スレタイのセリフ完全に言われたなと思って。確実に私が言ってるセリフですよねそれ」


提督「まあ、いいじゃないか。細かいことは」


足柄「はあ」


提督「時に足柄。どうだ、艦娘をやめ人間として生活してもう5年。そろそろお前自身、結婚とか考えないのか?」


足柄「……」


提督「姉さんや妹もそれなりに上手くいってるようじゃないか。お前に関してはその、そういう噂を聞かないからさ」


足柄「んー、まあ、それそうと簡単に決められるものじゃないですし……」


提督「そりゃあそうだが。聞いたぞ?お前だけ、人間に戻ってから彼氏もできたことないらしいな」


足柄「……元提督とはいえ、怒りますよ。デリカシーのない発言は控えてください」


提督「いや、まあ、ごめん」


提督「でもさ、そろそろ適齢期も過ぎてる頃だし、結婚も本気で考えてほしくて、今日ここへお前を呼んだ訳だ」


足柄「そんなお節介頂かなくても、本気で考えてますよ。毎日。ほんと、比叡さんが毎日気合い入れてるくらい」


提督「アッハイ」




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足柄「大体、提督は私がモテないと思ってません?そんなことないんだから!足柄は料理もできるし、カツカレーは上手いし、みじん切りだってできるのよ!?」


提督「料理だけじゃねえか」


足柄「違います!それに砲雷撃戦も得意だし、戦場によく呼ばれることもあるし!」


提督「戦場は普通あなたを呼びませんよ」


足柄「それにそれに!コンパだって……コンパでだってウケがいいんだから!足柄さんは本当、飢えた狼みたいだねーって!よく言われるんだから!」


提督「いやそれ絶対バカにされてるだろ」


足柄「そんなことないんだからあああああ!!!」


提督「……ま、まあまあ、お前の叫びは分かったよ。いや、今日呼んだのはな、そういう可愛くて魅力ある足柄さんを、もっとパワーアップさせるためなんだ」


足柄「もっと……パワー、アップ……ですって?」


提督「うむ!名付けて!」


提督「元艦娘、女子力アップ大作戦!! だ!!」


足柄「……はあ……」


提督「もちろん、呼んだのはお前だけじゃない。オレが独断と偏見で選んだ【女子力の低く、婚期が遅れそうな】彼女達も呼んである」


足柄「え……」


コンコン ガチャ


夕張「こんちわー。お久しぶりです、提督」


磯風「久しぶりだな。司令」


提督「おお、いらっしゃい」



足柄「ゆ、夕張? 磯風ちゃん?」


夕張「おー、お久しぶりです足柄さん!」


磯風「ふっ。足柄もいたのか。どうだ、元気でやっているか」


提督「やー、足労かけてすまなかったね。じゃあ3人とも、かけてかけて」


足柄「て、提督。どういうこと?何故この二人が?」


提督「え?さっき言ったじゃないか」


提督「【女子力の低く、婚期が遅れそうな】元艦娘だよ」


夕張「ん?なんのことですか?」


磯風「何やら足柄が不穏そうな顔をしているな」


足柄「貴方たち……今すっごい馬鹿にされてたわよ」


夕張「へっ?」



~提督説明中~



夕張「ひ、ひっどーい提督!婚期が遅いって!?しょうがないじゃない!装備が重いんだから!」


提督「いやお前もう艦娘じゃねえし。装備ねえし」


磯風「言ってくれるな提督。この磯風の女子力がだんちとは。なあ、浜風。……浜風?」


提督「段違いとは言っているが逆の意味だ。それに浜風はこないだ結婚しただろ」


足柄「……あー……」


提督「ほら。なんとなく分かったろ?女子力低いって意味」


足柄「確かに……」



提督「かたや飢えた狼、かたや兵器マニア、かたや可愛げなしのコミュ障中二病」


提督「こんな肩書じゃ、普通の男性から見て二次元のキャラでもない限り、お嫁さんにもらってもらえんぞ」


足柄「……」


足柄「た、確かに。一理あるわね」


提督「そこでだッ!!」


提督「貴様らがいくら女子力が低かろうと、出会いの場で確実に男を落とせる技術を思いついたッ!!」ドン


夕張「え、ええ?」


磯風「突然どうした、司令」


提督「ふふふ……青ざめたな。勘のいい貴様らは悟ったようだな……目の前に置かれたこのありったけの酒類を見て、これから起こるべきであろうことがなんなのか、悟ったようだな!」


足柄「悟ってはいないけど、とりあえず提督がDIOさんリスペクトっていうことは分かりました」


提督「いいよねーDIO。かっこいいわあ。一度言ってみたかったんだよねーこのセリフ」


夕張「……いいから、早く何するのか教えてください」


提督「まーあれだ。簡単に言うと」


提督「コンパを想定して飲み会するから、オレを萌えさせてみろッ!! ってやつだ」


磯風「司令……笑っている内にやめような」


提督「いや本気だぞオレは。お前らに早く幸せになってほしいからな。だからあれだ、ここで女子力高めろ」



足柄「うーん。まあ、提督がやりたいことは分かりましたけど、どこにいるんですか?」


提督「えっ。なにが」


足柄「いや、他の男性とか」


提督「いるわけないだろそんなもん。相手はオレ1人だ。1対3のコンパってやつだ」


足柄「ええー……本当のコンパじゃないんだあ」


提督「他の男子を連れてきてもいいが、引かれる男性は少ないほうがいいだろう」


足柄「なんですかその、私達は男性に引かれる前提」


提督「自覚しろ。女子力アップにはまず自分自身をどんな女性かと知ることから始まる」


足柄「むー。でも確かに、提督が言うことは理にかなっていらっしゃる」


提督「だろだろ? だからさ、ここいらで恥を見せて、本番で恥を見せないようにすればいいんだよ。練習で失敗して、本番で成功ってやつだ」




夕張「あのー。提督」


提督「ん?なんだ夕張」


夕張「必死になってくれるのは嬉しいんだけど……私、まだ20代前半だからさぁ。今はそんな危機感持ってないかなーって」


提督「バカものおおお!!!」


夕張「ひっ」


提督「20代前半だから大丈夫? 他に結婚してない子もいるからいいや? それが慢心だと言うんだ!!」


提督「そのままダラダラして結局女子力を磨かずいつの間にか30を迎え、若い頃の肌の張りはなくなり、いつでも落とせると思っていた男はどんどん落とせなくなるんだ!!」


夕張「う……」


提督「そして40代、同じ未婚仲間とわいわいして時間はいつの間にか過ぎ、その後独りになって寂しすぎる老後生活が待っているんだぞ!!」


提督「そうなりたいのかお前コラぁ!!!」


夕張「うう、た、確かに……!」


提督「大方お前、休みの日も男そっちのけで、兵器いじりしたりしてるんだろ!」


夕張「し、失礼な!!」


夕張「平日も、仕事から帰ったらいじってますよ!!」


提督「もっとダメなこと平気で自慢すんじゃねえ!!」




磯風「いや、大体だな。司令」


提督「ん?」


磯風「この磯風に、女子力など必要なのだろうか」


提督「必要だろ。何言ってんだ。とりあえずお前には料理を教えないといかん」


磯風「ふっ。おもしろいことを言うな司令。これでも艦娘を引退して5年。磯風も料理の腕は上がったのだぞ」


提督「あれ、そうなの?」


磯風「こないだ卵焼きを初めて作れるようになった。まあ、試食した浜風はあまりの上手さに失神してしまったがな」


提督「それ不味すぎてだろ。いい加減気付け」


磯風「いいだろう……この磯風が相手になってやろう。たとえ司令が相手でも容赦なぞしない」


提督「それと今みたいな空気読まん発言は控えろ。それが女子力が低いと言うんだ」


足柄「ま、まあ。せっかく提督と久しぶりに会えたのだし、ものは試しでやってみようかしら」


夕張「んー。そうですねえ。ていうか私コンパとか行ったことないですし、いい経験かも」


提督「そうだろそうだろ。もうちょっとありがため。お前らのためにオレも貴重な時間を割いてるんだ」


磯風「というか、そういう司令はどうなんだ?結婚とか考えないのか」


提督「……そこはまあ、聞くな」




①【とりあえずやってみた】



提督「どーも皆さん。今日の合同コンパ、よろしくでーす。いい出会いにしたいですね~」


足柄「はい!!よろしくお願いします!!」


夕張「よ、よろしく~、あはは」


磯風「……」


提督「……はいダメ」


足柄「ふぁっ!?」


夕張「へ? な、なにがダメなんですか!?」


提督「お前らなあ。ここは合同コンパだぞ。第一印象は大事だ!まず挨拶からダメ!」


磯風「なん……だと……!」


提督「まず足柄!!」


足柄「は、はいっ」


提督「必死過ぎ!!挨拶からいきなり勢いよくがっつくな!」


足柄「う、嘘ぉ……元気良くちゃいけないのお……?」


提督「元気良すぎても逆に引く!あえてここは大人しく、清楚に挨拶しろ。軽くだ軽く!【私ここで絶対彼氏作るんだから!】的な雰囲気を出すんじゃない!」


足柄「は、はあ」



提督「ほんで次!夕張!」


夕張「は、はい」


提督「まあ、お前はギリ許せる。控えめな挨拶だったしな。合格ラインとしてやろう」


夕張「よ、よかった~」


提督「しかし!まだまだアピールが足りん!さっきの挨拶で苦笑いしてただろう!【緊張してるのかな?かわいいな】と思う男もいるかもしれんが、【挨拶もまともにできんのかこの子】と思わせてしまう可能性もあるぞ!」


夕張「な、なるほど」


提督「んで磯風!!」


磯風「なんだ、司令」


提督「せめて挨拶返せやあああああ!!!」


提督「シカトってなんだよ!シカトって!」


磯風「シカト? 磯風はシカトなぞしていないぞ。提督が喋っていたのを冷静に見ていただけだ」


提督「そこ冷静に見るメリットない!!【愛想悪いなこの子】とか【え、挨拶もできないのこの子】と思われてしまうだけだぞ!」


磯風「そ、そうだったのか。知っていたか浜風、冷静に相手を見るのはあまりよくないそうだ あれ……浜風?」


提督「だからここに浜風いねーよ!何回この下りやるんだよ!絶対それコンパでやるなよ引かれるぞ!?」

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