提督「胸部装甲の謎が知りたい」 (22)


提督(深海棲艦との戦争が始まり四年が経った。最近は敵が日本近海まで進行してきて非常に危うい事もある)



提督(だがそれに関してはうちの艦娘が何とかしてくれたからしばらくは平気だ。それより最近はとある事が気になって仕方ない)





提督(それは……一部艦娘の"胸部装甲"だ)



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提督(一部艦娘と言うと具体的には潮、長波、夕雲とかだ)



提督(彼女達の胸部装甲は普段こそそこまで目立たない。しかし、中破した時にはあの大きな双丘が露わになる)



提督(一体何故なのだ。陽炎型の一部なんてあんなでっかいのが服越しでも分かるというのに)



提督(私はそんな疑問を三年近く抱えながらこれまでの戦いを乗り越えてきた。これまでは気にしてはダメだと言い聞かせながら)



提督(しかし、もうこれ以上抑え込まずにはいられない。気になりすぎて私の頭の中はその疑問でいっぱいになってしまったのだ)



提督(かと言って、夕雲に聞いても間違いなくうふふと笑ってごまかされるに違いない)

提督(潮ならもしかしたら教えてくれるかもしれない。しかし、彼女に聞くと間違いなく罪悪感で後悔することになるだろう)



提督(長波は……なんとなくいけそうな気がする。流石に動揺はするだろうけど頼み込めば仕方なく教えてくれ可能性が高い)



提督(幸いにも長波はもう少しで遠征から帰投してくる。その時が最大のチャンスだ!)

――――――
――――
――

執務室

長波「艦隊、帰投したぞ! 」

提督「ご苦労。報告書は?」

長波「ちゃんと書いてあるよ。はい」

提督「ありがとう」

提督(よし、今こそチャンスだ! まずやるべき事は……)


提督「大淀、今から長波と大事な話をするから席を外してくれないか?」

長波「へ?」

大淀「まだ未消化の書類がたくさんあるのですが……」

提督「この話は二人だけでしたいんだ。それに長時間働いているのだから少し息抜きも必要だ」

大淀「そうですね、分かりました。話が終わるまで間宮に行ってますね」

提督「ああ。話が終わったら長波に呼んでもらうからのんびりしてくれ」

大淀「はい。では長波さん、また後で」ガチャ バタン

提督(よし、秘書艦を自然な流れで追い出せた。とりあえず鍵を閉めておこう)ガチャ


長波「鍵まで掛けるほど大事な話なのか?」

提督「そうだ」

提督(……ここまで来たら後には引けない。いくぞ!)

提督「長波。前々から気になっていたことがあるんだ」

長波「あたしの事で?」

提督「ああ」

提督「その……お前の胸部装甲ってどうして普段と中な破時でそんな違うんだ?」

提督(い、言ったぞ! さあどうくる?)


長波「……」

提督(無表情でこっちを見つめてきて凄く怖い!)

長波「……なーんだ、そんな事か」

提督(あれ、怒ってるわけじゃない?)

長波「仕方ないから教えてあげるよ。それは――」

提督「……ゴクリンコ」

長波「――艤装によってサイズを調整できるからだ」

提督「なん…だと…」


長波「考えても見ろ、戦艦とか空母とかの大型艦は基本的に遠距離から砲撃なり艦載機飛ばしたりするから別に気にならない。けど駆逐艦はどうだ?」

提督「近距離戦闘が多いな……はっ!?」

長波「気づいたか」

提督「ああ。駆逐艦は接近するためによく動くから、胸部装甲がデカイと少し動きにくくなるから……か?」

長波「正解」


提督「でもそれなら浜風とかは?」

長波「艦娘によって違うみたいだからあたしもそこまでは分からないな」

提督「個人差があるってことだな」

長波「そう思っとけばいいと思うぞ」

提督(普段戦闘で着ている服もやっぱり艤装の一部なんだな……艦娘の謎がまたひとつ解明されたわけだ)

提督(ついでにもうひとつ気になってることを聞いてみるか)


提督「もう一つ聞きたい。普段着てる制服以外の服を着たらどうなるんだ?」

提督「例としては他の艦娘の制服や私服だな」

長波「他の艦娘の服も私服も無理だな。寝間着くらいしか試してないけどさ」

提督「なるほど」

提督(つまり寝間着だと他の艦娘でも元々のサイズのままか……これは興味深いな)

長波「あのさ、提督」

提督「なんだ?」

長波「……興味あるんだよな? あたしの胸部装甲に」

提督「ま、まああるぞ」

長波「……そっか」

提督(つい答えてしまったが大丈夫か? 憲兵来ないよな?)

長波「ならさ、実際に見てみるか?」

提督「へ?」


長波「実際に変化するところ見た方が納得いくだろ? だから今ここで服を脱いで見せようかって」

提督「(な、なんてこった! でもここで断るなんて出来るか!)」

提督「あ、ああ……是非見せてもらいたい」

長波「分かった。少しだけだぞ」

提督「(ああ、目の前で少し照れながら長波が服を……)」

提督「(こんなことになるなんて思わなかった。でもそれ以上に長波が俺のことを……)」

提督「(あと少し、あと少しで――)」


――――――
――――
――

提督の部屋

提督「見えたあああ!」

提督「……あれ」

提督「夢かよちくしょおおおおお!」


提督(まさかの夢オチに絶望しながら私はいつも通り書類を片付けていた)

提督(しかしここでチャンスが訪れた)

提督(長波が長期遠征から帰投し、夢と同じ展開になったのだ)

提督(私は同じ方法で大淀を追い出し、鍵を掛けて長波と二人きりになった)

長波「で、重要な話ってなんだ?」

提督(夢では何とかなったんだ。きっと平気なはず)


提督「長波。前々から気になっていたことがあるんだ……お前の胸部装甲ってどうして普段と中破時でそんな違うんだ?」

長波「な、なな……」

提督(あ、あれ? この反応はまずくないか? それになんかこっちに近づいてくるし)

長波「……提督」

提督「は、はい」

長波「いくらあたしでも……そんな質問答えられるかっ!」ドゴッ

提督「グワー!」


提督(見事な腹パンを食らわされた私はその後謝罪し、間宮券数枚でなんとか怒りを鎮めた)

提督(結局のところ、胸部装甲の謎は分からずじまいだった。しかし、分かったことはひとつある)

提督(普段は見れないであろう長波の恥ずかしがる表情はとても可愛かったと)


終わり

胸部装甲のあの変わり様は気になって仕方がない

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