ニート「親の面倒みるとか当たり前だろ!生活保護とかふざけんな!」(35)

母「他人のことはどうでも良いから働きなさい」

ニート「えっ?」

母「えっ?じゃないでしょ。いい歳して部屋に引き籠ってるとか
  みっともないと思わないの?」

ニート「……」

母「さあ、分かったらハロワ行ってきなさい!」

ニート「ちょ……待っ」

母「待たない」

母「ちゃんと行って仕事紹介してもらうまでは家に入れないからね!」バタン

ニート「お、おい……」

ニート「おーい!」ドンドン ガチャガチャ

ニート「……くそっ、鍵掛けやがった」

ニート「けどまあ、しばらくしたら親父も帰って来るし、そしたら入れるだろ」

ニート「それまでどっかで時間でも潰すとするか…」

ニート「そう言えば、外に出たの久し振りだな。太陽がまぶしいぜ!」



女子高生1「ねえ、あの人さっきからぶつぶつ言ってんだけど不審者かな?」ヒソヒソ

女子高生2「通報する?」ヒソヒソ

女子高生1「どうしよっか」



ニート「…………」

ニート「ふん、小娘どもが。これだから3次は嫌いなんだ」←とりあえず家から離れた

ニート「いいさいいさ、漫喫でも行って漫画読んでれば良いんだ」

ニート「それくらいの金なら俺だって…」スッ

ニート「あ……財布、部屋ん中だ」

ニート「…………」

ニート「ふ、ふん!大丈夫さ!こんな時は公園のベンチでボーっ
    としてたらすぐに日も暮れる!」

ニート「そうと決まれば公園だ!」ダッ


そして。。。


ニート「あれ、おかしいな。昔ここらに公園あった筈なのに」キョロキョロ

ニート「代わりにでっかいマンションが建ってやがる」

ニート「どうする、俺?さすがにマンションの周りウロウロしてたら
    怪しいよな?」キョロキョロ

ニート「けど街中に出る勇気は…」


?「あれ。おい、お前たかしじゃねーか?」

ニート「え?」バッ

?「あっ、やっぱりたかしだ!オレだよオレ!ひろしだよ!うっわー
  なっつかしいなぁ」

ニート「ひろし?…………ひろしってあのひろしか!?」

ひろし「そうそう、久し振り!元気してたか?」

ニート「お、おう」

ひろし「ところでこんなトコでお前何してんだよ」

ニート「なにって……そ、それよりお前こそこんなトコで何やってんだよ!」

ひろし「オレか?オレは仕事だよ。ほら、化粧品関係の営業やってんだ」パカッ

ニート「ふ、ふーん」

ひろし「ほらオレ、たかしと違って頭悪かったしさ。大学も行ってないから
    こんな職しかつけなかったんだよ」

ニート「……」

ひろし「でも、別に良いんだ。こんな仕事でも毎日楽しくやってるし」

ニート「そ、そうか…」

ひろし「おう!」

ひろし「それに、なんだ。もうすぐ子供も生まれるしな!」

ニート「なるほどなぁ。だからそんなに……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「子供ぉぉ!?」

ひろし「おう!」

ニート「お、お前結婚してたのか?いつ!?」

ひろし「去年」

ニート「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

ひろし「大げさだなぁ。俺らももう27なんだし結婚とか普通じゃん」

ニート「いや、それはそうかもしんないけど……え、でも…えぇ?」

ひろし「ははははは」

ニート「……お、おめでとうございます」

ひろし「ありがとな。……っと、もうそろそろ会社戻らなきゃ。じゃあ
    またな、たかし」

ニート「う、うん…」

        ブロロロロロロロ

ニート「…………リア充滅びろ」ボソッ

ニート「くそがっ、中学んとき下から成績数えた方が早かったような奴が
    調子乗ってんじゃねーよ」ブツブツ

ニート「しかもあいつ、クラスで一番キモいって言われてたのに…」ブツブツ

ニート「なんだよ、髪とかチャラチャラして!」

ニート「雰囲気イケメン気どってんじゃねーよ!」


主婦1「なにあの人…ぶつぶつ独り言言ってキモち悪いわねぇ」ヒソヒソ

主婦2「目を合わせちゃダメよ!あれきっと浮浪者よ」ヒソヒソ

主婦1「こんなマンションの近くで物請いかしら?」ヒソヒソ

主婦2「やーねー」ヒソヒソ


ニート「…………」

ニート「腐れビッチどもが。税金納めてねーのはお前らだって一緒じゃねーか。
    旦那の稼ぎで養われてるだけの寄生虫どもが」←とりあえず離れた

ニート「ふん!」

ニート「にしても……」キョロキョロ

ニート「この街も随分変わったなぁ」

ニート「最後に部屋から出たのは確か3年くらい前だったけど…」

ニート「3年前はこんなでっかい道とかなかったし、まだこの辺
    田んぼがいっぱいあったよなぁ」

ニート「それで昔は田んぼと一日中にらめっこしてカブトエビ捕ったんだよなぁ」

ニート「バケツいっぱい詰め込んでそのまま持って帰ってカーチャンによく怒られたっけ」

ニート「はは…」

ニート「…………ん?」

ニート「なんだ?こっちの方だけえらく細い道があるけど……」

ニート「……どうせアテもないし、行ってみるか」クルッ

そしたらそしたら。。。


ニート「これって……神社か?ちっちぇーなーまるで百葉箱だぞ」

ニート「なんだって街中にこんなもんが…」

ニート「……まぁ、せっかくだしお参りでもしとくか」

ニート「リア充滅びろってお願い聞いてくんないかな」

ニート「はははは……」

ニート「って、そういえば財布なかったっけ」

ニート「ま、いいか」パンパン

ニート「リア充滅びろ!」

ニート「…………」スッ

ニート「さてと、んじゃブラブラして帰るとすっかな」

ニート「はーあ」テクテク


           カッ!!!!


ニート「え?」

          パァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!

ニート「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

ニート「う、うぅ…」

ニート「……あ、あれ?」

ニート「どこだ、ここ?」

ニート「確か俺、さっきまで神社にいたはずじゃ…」キョロキョロ

ニート「……一応、ここも神社みたいだけどさっきのトコじゃないよな?
    無茶苦茶広いし」

ニート「……なんなんだよ、いったい」

?「おーい、たかしー!」

ニート「ん?」

?「探したぞ!どこ行ってたんだよ、お前」

ニート「どこって……つーか誰だよお前?」

?「はあ?ひろしに決まってんじゃん。寝ぼけてんのか?」

ニート「ひろし?バカ言え。あいつはもう良い年した子持ちのおっさん。
    お前みたいなガキじゃ」

ひろし「ガキっていうな!たかしだって子供じゃんか!」

ニート「ふざけんなよ!俺のドコが子供……だ?」

ニート「あれ?」

ニート(なんか俺の手、無茶苦茶小さくないか?)

ひろし「なあ、遅いしもう帰ろうぜ?今日は俺んちカレーなんだ!」

たかし「……」バッバッ キョロキョロ

ひろし「たかし?」

たかし「う、うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!???」

ひろし「ど、どうした、たかし!?」

たかし「子供になってりゅぅぅぅぅぅぅぅ!?」

ひろし「子供って、元々子供じゃん俺ら」

たかし「そ、そうじゃなくて!俺はもう27の良い年したおっさんで…」

ひろし「本当に大丈夫か、たかし?病院行った方がいいぞ」

たかし「だからぁ!」

ひろし「ま、いいや。じゃカレーがオレを呼んでるからまた明日なー!」

たかし「お、おい!」

たかし「はははは…」

たかし「どうなってんだ、いったい?」

たかし「リア充滅びろなんて無茶言ったからこうなったのか?」

たかし「それとも賽銭なしにお参りしたから?」

たかし「……」

たかし「と、とにかく帰るか…」

たかし「カーチャン、家に入れてくれたらいいけど…」

帰宅。


母「あら、おかえり。遅かったじゃない」

たかし「う、うん。ひろしと遊んでたから」

たかし(普通に入れた。つーかカーチャン若い…やっぱここって過去の世界か?)

母「ふーん」

姉「あんた達どーせまたあそこの神社で遊んでたんでしょー?
  あそこは危ないからやめときなさいって言ったのに」

たかし(姉ちゃんもいるし…完璧確定)

たかし「……って、どうしてあそこの神社危ないんだよ?」

姉「あんた知らないの?あの神社で遊んでると神隠しに遭うって専らの
  噂じゃない」

母「へー、そんな噂があるの?」

姉「うん。あの神社で小汚いおっさんが突然消えたとか、ヤンキー
  っぽいいかつい兄ちゃん達が集団で消えたとか結構噂になってる」

たかし(俺もそれに巻き込まれたってのかよ…)

母「へー。でもそれって怪談話でしょ?」

姉「ううん、目撃者いるっぽいからわりとマジだって」

母「うそ?怖いわねぇ」

姉「でもまあ、一応消える人は共通点があるから普通の人は大丈夫
  って言われてるけど」

母「共通点?」

姉「なんか無職の人しか消えないんだって。だから普通の人は大丈夫だろって」

母「なーんだ、そうなの」

姉「けど、近くにいて巻きこまれる可能性があるから近づかないように
  ってさ」

母「なるほどねぇ。じゃ、お姉ちゃんとたかしは大丈夫ね!」

たかし「……」

母「たかし?」

たかし「あっ、うん!なになに?」

姉「あんた聞いてなかったでしょ!無職に巻き込まれたら厄介だから
  あそこは近づいちゃダメって言ってたの」

たかし「あ、あぁそうだったね。うん、気を付けるよ」



母「でも、そんな噂があるんだったら逆に行きそうな人いそうで怖いわねぇ」

姉「あたしも肝試し誘われて困ってるんだー」

母「やめときなさいよ。危ないわよ」

姉「うーん、でもねー…」


たかし「…………」スッ タタタタタ

自室。


たかし「ハッキリしたハッキリしたハッキリした!」

たかし「ハッキリした!」

たかし「俺は過去に飛ばされた…」

たかし「原因はあの光。あの神社で見た光のせいだ!」

たかし「そんで今噂になってる神隠しの奴らも俺と同じだ!過去に
    飛ばされて消えたんだ!」

たかし「……どうする?」

たかし「どうやったら、元の時代に戻れるんだ?」

たかし「もう一度神社に行くか?神社であの光をもう一度浴びれば元の世界に…」

たかし「……でも失敗したらもっと過去に…」

たかし「……」

たかし「……」

たかし「……」

たかし「い、いや……戻る必要なんてないんじゃないか?」

たかし「そ、そうさ!そもそもあの時代に戻ったって俺は27の
    引き籠りで人生詰んでる碌でなし!」

たかし「だったらこの時代でまっとうな青春を味わって、まっとうな
    人生を送り直した方が!」

たかし「うん!きっとこれはそうすべきだと神さまが俺に与えてくれた
    チャンス!」

たかし「そうに違いない!」

たかし「よーし…!」

翌日。


たかし「うーっす!おはよー!」

女子1「おはよー」

女子2「おはよっ」

たかし(くーっ!やっぱりこの年代ならべつにカッコ良くなくても
    挨拶したら女子も挨拶返してくれんだよなぁ!)

たかし(小学生時代、サイコー!)グッ

ひろし「あっ、たかし。頭は大丈夫だった?」

たかし「げっ…」

たかし(あの頃はあんまり気にしてなかったけど、クラス1の不細工と
    仲良さそうに遊んでるのはやっぱり、なんか選択肢的に不味いよな…)

たかし(中学入ったらこいつ色んな奴にスルーされてたし)

たかし(うん、ここは一つ…)

たかし「無礼者ォォ!!!」ビシッ

ひろし「あだっ!?」

たかし「頭がおかしいのはお前の方だぁぁぁ!!!」ギチチチチチ

ひろし「ぎ、ぎぶぎぶぎぶぎぶ!」

たかし「ふん、仕方ないな。今日はこのくらいにしといてやろう」スッ

ひろし「えぇ!?」

たかし「だが次また同じようなことを言えば、お前のどたまをかち割るぞっ!」ビシイィ

ひろし「ひえぇぇぇ…」

たかし(よし、これでもうこいつは俺に近寄らないだろう)

たかし(思えば俺はこいつに優しすぎたんだ…)

たかし(中学でもクラスで浮いてるこいつと一緒だったから俺まで浮く
    ハメに…そしていつの間にやらこいつはその恩も忘れ一人リア充に…)

たかし(くそっ、リア充爆発しろっ)

委員長「ちょっとたかし君!」

たかし「ん?」

委員長「さっきから見てたけど、あれはひろし君に酷いでしょ!謝りなさい!」

たかし(あー、そうだった。小3の頃の委員長って正義感溢れる女の子
    だったっけ)

たかし(学校でひろしと会話してんの俺と委員長が一番多かったもんなぁ)

委員長「ちょっと聞いてるの?」

たかし「あーうん、効いてる効いてるw」

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