刑事「死体が発見されたのは今日、7日の午後四時でした――――
刑事「今日は初めて事件の捜査に参加できる日です!喜んじゃいけないけど嬉し」
刑事「おろろろろろろ」ビチャビチャ
刑事「うえっ血が・・・いっぱい出て、臭いも・・・うっぷ」
刑事「もう無理っ!」ダッ
刑事「気を取り直して捜査開始です!」ウルウル
刑事「酷いですね・・・胸のあたりを何度も何度も包丁で刺されてます」
刑事「でも抵抗した跡があまりありませんね・・・顔見知りの犯行でしょうか」
刑事「顔見知りでなくとも、睡眠薬とかで意識を奪った可能性もあります!そこは鑑識さんに後で尋ねましょう」
刑事「見た感じ死後かなり時間が経っています。発見したのは無断欠席を心配した友人とのことですから話を聞いてみましょう」
刑事「こんにちは」
友人「こんにちは」
刑事「発見したときの様子を詳しく教えてください」
友人「はい、JKちゃんが学校に来ないから電話したんですけど電話にも出なくて心配して家を訪ねてみたんですけど鍵が閉まってたしチャイムを鳴らしても出ないから帰ろうとしたんです」
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刑事「どうしてですか?」
友人「えっと、どこかに出かけちゃったのかなあと思って」
刑事「ほうほうそれで」
友人「でもよく見たら部屋の明かりが点いてるし、おかしいと思って大家さんを呼んだんです」
友人「そしたら中でJKちゃんがっ・・・」
刑事「本当に鍵はかかっていたんですね?」
友人「はい間違いありません」
刑事「つまり現場は密室だったということです」
刑事「出入りできるのはベランダへと出る窓と玄関ぐらいでしょう」
刑事「あれ、ベランダの窓は鍵がかかってませんでした」
刑事「ここから外に出るのはまあ可能ですね。二階ですけどそれほど高さもない」
刑事「全然密室じゃなかった・・・」
刑事「そういえば犯人が外に逃げたとばかり思っていましたがよく考えればベランダ伝いに隣の部屋にも逃げられますね・・・」
探偵「なるほど、それで僕のことを訪ねたというわけね」
探偵(暇だから、探偵にでもなろうと思ってHP立ち上げたけどまさかいきなり警察から仕事の依頼が来るとは・・・)
刑事「そうなんです。それで事件当時はどこにおられましたか?」
探偵「どこって・・・普通に家だけど」
刑事「なるほど・・・つまりアリバイはないと」
探偵(あれ?なんかおかしくね)
探偵「で、殺されたJKというのはどんな人なの?」
刑事「なんでそんなことあなたに教えなきゃいけないんですか」
刑事「というかもうご存知でしょ?」
探偵(なるほど、それほどの情報収集は既に済ませておかなきゃならなかったのか)
探偵「なるほど・・・・そうだな、彼女のことはよく知っています。凶器、殺害方法や死亡推定時刻に至るまでね」
刑事「えっ自白ということですか?」
探偵「えっ」
刑事「逮捕します」ガチャ
探偵「えっいやだ」
刑事「抵抗すると撃ちます」
探偵「何で、僕、探偵じゃないの?」
刑事「何言ってるんですかニートでしょ」
今日はここまでです
寝れないしアドバイスもあるのでやっぱ今からやろうと思います
――「はぁ、そういうことだったんですか」
探偵「そうだよ」
刑事「普通分かりませんか?あの話の流れだったらあなたに話を聞きに来たと思うのが普通じゃありませんか?」
探偵「いや、調子に乗ってたっていうか。探偵デビューだとか思って・・・」
刑事「日本の警察が探偵に頼ることなんてありませんよ。そもそも本当の探偵って浮気調査とかがメインですよ」
探偵「でも、コ◯ンとか金◯一とか・・・」
刑事「そんな漫画ばっかり読んでるからニートなんですよ」
ニート「ニートじゃないっ!」
ニート「って表記までニートになってる!?」
刑事「何言ってるんですか」
ニート「とにかく、この手錠外して」
刑事「ダメです。一応容疑者なんですから」
ニート「なんでだよ、俺がやったっていう証拠あるのかよっ!」
刑事「そのセリフ完全に犯人がいうやつですよ」
ニート「だから犯人じゃないって!」
刑事「まあいいです。説明しましょう。あなたの隣の部屋に住む女子高生が何者かに殺されました」
ニート(えっこのアパートにJK住んでたのかよ)
刑事「出入りできるのは玄関かベランダだけ、玄関には鍵がかかっていたのでベランダから脱出したと推測できます。ベランダから外に出た可能性もあれば、ベランダを伝って隣の部屋に行くことも可能です」
ニート「僕がベランダからJKの部屋に侵入したと?」
刑事「いえ、入ったのは普通に玄関からだと思います。開けてさえもらえば無理やり押し入ることも可能でしょうし」
ニート「なるほど・・・でもね、その推理には矛盾がある!」
刑事「なんですか」
ニート「まず窓には鍵がかかっていなかった。しかし玄関のドアには鍵がかかっていた。警察は密室殺人を犯人が演出したのだと考えている」
刑事「はい」
ニート「じゃあおかしいでしょ!なんとかトリックを使ってベランダの鍵も閉めないと」
刑事「なんでですか」
ニート(あれ、こいつ意外とポンコツかな?)
ニート「ベランダの鍵を閉めていないということは密室は成立しませんよ」
刑事「そうですね」
ニート「じゃあわざわざ玄関の鍵を閉める必要もない。危険を冒してベランダから出なくてもいい」
刑事「そうなんですか?」
ニート(こいつ全然わかってねえな)
ニート「まず、ベランダの鍵が開いていたから警察はそこから逃げたと考えた。じゃあ、なんで犯人はそこから逃げる必要があるの?」
刑事「えっと・・・あれ、なんででしょう。密室に思わせたいのならベランダの鍵も閉める必要がありますね!」
ニート「うん」
ニート(さっき言ったけどね)
刑事「密室と思わせる必要がないのなら、玄関から出ない意味も分かりません!」
刑事「あれ、だったらなぜベランダから出たのでしょうか?」
ニート「だから、ベランダからは出てないんだよ」
刑事「へ?」
ニート「警察にそう思い込ませるための罠だったということだよ」
刑事「じゃあ犯人はどこから逃げたっていうんですか」
ニート「鍵を持ってたから普通に玄関から出たんじゃない?」
刑事「鍵を持っていた・・・」
刑事「はっはーん、なるほどつまり犯人は大家さんですね!」
ニート「そういうこと・・・じゃねえよ!なんて短絡的なんだ」
刑事「他に鍵を持っている人となると・・・親ですか・・・若しくは恋人?」
ニート「うぐっ」
刑事「どうしました?」
ニート(JKに部屋の鍵を渡されてる恋人とか羨ましすぎる)
刑事「なかなか進んでますね。最近の子は」
刑事「じゃあ恋人という線で捜査を進めていきましょう!」
ニート「えっ」
刑事「ご協力ありがとうございました!」ガチャ キイイイ バタン
ニート「手錠・・・」
―――翌日
刑事「ニートさん、しっかりしてください!」
ニート「はっ!」
刑事「びっくりしましたよ。部屋に鍵もかけてないし、倒れてるし」
ニート「誰のせいだと思ってるんだよ!」
刑事「ひいっ」
刑事「すいませんでした・・・まさか手錠をかけたまま帰るなんて」
ニート「それは分かったけど、なんで手錠をかけられたまま俺はパトカーで連行されようとしてるの?」
刑事「鍵を忘れちゃいまして、でも、大丈夫です。署には同じものがあるはずですから」
―――警察署
刑事「ちょっと待っておいてくださいね。刑事部屋に一般市民を入れるわけにはいきませんから」
ニート「それよりここ捜査本部が置かれてる署だよな?刑事さん、ここの署員なの?」
刑事「いいえ、違いますよ。本庁の捜査一課からこの事件の為に派遣されました」
ニート(こんなポンコツが警視庁の捜査一課かよ・・・)
刑事「じゃあ、行ってきますね。そこで大人しくしてるんですよ」
ニート「はあ、しかし警察署に入るのは初めてだ」
ニート「やっぱ勾留中の容疑者とかいるのかな」
「おい、お前」
ニート「へ?」
強面ベテラン刑事「こんなところで何をしている!逃げ出そうとしていたな!」
ニート「ええ!違いますよ!」
強面「じゃあその手錠は何だ!」
ニート「げっ」
強面「問答無用!」
―――勾留所
ニート「なんでこうなるんだ・・・」
ヤンキー「くっそ!俺がJKを殺すわけねえだろ」ガシャン
ニート「なんだ・・・JK?もしかしてあいつ」
ヤンキー「あ?何見てんだよおっさん!」
ニート「おっさんじゃねえよ、まだ26だ!」
ヤンキー「おっさんじゃねえか、俺より10も上かよ。だっせー捕まってやんの」
ニート「捕まってねえよ!」
ヤンキー「何やったんだ?どうせ痴漢だろうけど」
ニート「だから俺は何もやってないって」
ヤンキー「おれもだよ!ったくふざけたこと言いやがって、俺がなんでJKを殺さなきゃいけねえんだよ!」
ニート「お前、あのJK殺人事件の容疑者なの?」
ヤンキー「まあそうらしいな」
ニート「爆発しろ!!」
ヤンキー「なんだよ、うるせえな」
ニート「JKから部屋の鍵を貰ってたんだろ!それだけで極刑だ!」
ヤンキー「貰ってねえよ!まず付き合ってすらねえ!」
ニート「なんだ・・・見た目は派手だが、仲間か」
ヤンキー「一緒にすんなよ!俺はなあ、あいつのこと・・・・うっ・・・うっ」グスグス
ニート「じゃあなんで捕まってんだよ」
ヤンキー「まあ仲は良かったからな・・・周りの証言とかいうやつじゃねえの?」
ヤンキー「どうせ、あいつら俺を学校から追い出したかったんだ。JKが死んだら俺の事庇ってくれるやつなんざいねえからな」
ヤンキー「あんなにいいやつ他にいねえのに・・・俺があいつのことを殺すわけねえだろうがっ」
刑事「ニートさーん、どこですかー」
ニート「あ!刑事さん!ここ、早く出して」
刑事「もう、なんで捕まってるんですか」
ニート「誰のせいだと思ってるんだよっ!」クワッ
刑事「ひえっ!」
ニート「それより、あのヤンキーが事件の容疑者なのか?」
刑事「そうみたいですね。昨日のことを上に話したら、一気に彼までたどり着きました」
刑事「合鍵はまだ見つかってませんが、どうやら彼以外に親しい男子はいないようです」
ヤンキー「だから俺じゃねえって!出せよ!」
刑事「そういうのは私の担当じゃないので・・・」
ヤンキー「やんわりと断んじゃねえよ!」
「久々のシャバだぜえっ!ヒャッハーッ」
刑事「とか言わないんですか?ニートさん」
ニート「まあ、時間にして一時間くらいだったからね」
刑事「それより、これからJKちゃんとヤンキー君の二人の担任の先生に話を聞きに行くんですけど行きますか?」
―――学校
ニート「思わず来ちゃったけど・・・刑事さんって二人一組で行動するんじゃないの?」
刑事「何故かわたしだけ一人なんですよね・・・」
ニート(捨て駒だろうな・・・ポンコツだし)
教師「こんにちは、私はJKとヤンキーの担任です」
刑事(優しそうですけど・・・なんだか痩せていてやつれている感じがします)
刑事「早速ですけど、あの二人はどういった関係なのですか?」
教師「まあこちらから見ても仲は良さそうでしたね・・・二人とも別々の場所ですけど遠い所から入学してきたので、最初の方は地元の人間が集まったクラスに打ち解けられずに二人でいることが多かったですね」
刑事「なるほど・・・」
教師「まあJKさんの方は見た目は派手ですけど明るく優しい性格ですからしばらくするとみんなとも仲良くなってましたね。しかし、ヤンキー君のほうは・・・」
刑事「打ち解けられなかったということですか」
教師「でも彼がJKさんを恨んでいるとは思えないんです!」
刑事「先生?」
教師「JKさんの死亡推定時刻というのはいつ頃なんですか?」
刑事「えっと、死体が発見される前の日の午後四時から五時くらいの間です」
教師「やっぱりそうです!その時間、彼にはアリバイがあります」
刑事「ええええ!」
教師「実は私は数学の教師をやっておりまして、その時間はある生徒の補修授業を行っておりました」
刑事「まさかその生徒って・・・」
教師「ヤンキー君ですよ」
刑事「えええええ!」
ニート(・・・)
ニート「補習授業とはどんな感じですか?」
教師「えっと、四時頃には彼はきちんと教室にいました。そこでプリントを配り、それを解いておくようにと命じ、私は別の仕事があったので一度、職員室に戻りました」
教師「それから四時半ごろに一度様子を見に行きましたが、彼は念入りに問題を解いていました。そして五時になるほんの少し前ですね。彼が職員室に解き終わったプリントを持ってきました」
刑事「じゃあ三十分ほどの空白の時間が二回あったということですね。時間の間隔は間違いありませんね?」
教師「はい、さすがに秒単位までは分かりませんが、誤差は二分もないはずです。腕時計は電波時計を使っています」
刑事「しかし、三十分ですか・・・微妙な時間ですね。ここから被害者宅までは三キロもないですし、ヤンキー君は原付の免許を持っていますから、往復でも十分はかからないでしょう。二十分で犯行を終わらせるのは少し厳しいですが、ナイフで刺すだけならそう時間はかかりません」
教師「いいえ、そういう問題ではないでしょう」
刑事「どういうことですか?」
教師「私が見に行ったのはたまたま四時三十分でしたが、彼には私がいつ来るかなんて分かりっこないはずです」
刑事「確かに・・・」
教師「アリバイとしては不確かなのかもしれませんが、心理的な面で見れば彼はシロのはずです!」
刑事「どうしましょうううう!せっかく犯人を見つけたのにアリバイが証明されてしまいそうです!」
ニート「まあ、落ち着いてよ刑事さん」
刑事「これが落ち着いてられますか!もう今夜は飲みます!ニートさんにも付き合ってもらいますよ!!」
刑事「すいません!生二つお願いします!」
オマッシヤシター
刑事「ああ!なんとかあのアリバイを崩さないと」
ニート「いや、その必要はないと思うよ」
刑事「なんで?」
ニート「あの教師は嘘をついてるのかもしれない」
刑事「ああ!その手がありましたか!嘘だと思ってアリバイのことは聞き流してしまえばいいんですね!」
ニート「いや、そうじゃなくて・・・本当に彼は嘘をついてるかもしれないんだよ」
刑事「なんですか、はっきりしませんね。男なんだからハッキリ言ってくださいよ!」
ニート「僕が途中で質問したでしょ。補習授業とはどんな感じですかってね。でもなんだかおかしくない?この訊き方だと補習授業がどういうものなのか尋ねているように聞こえる」
刑事「それがなんですか」
ニート「それなのにあの教師は疑問も持った様子もなくすらすらとあの日の補習授業がどう行われたのかを答えた。まるで前々から準備していたかのように・・・きっとあのアリバイを話したくてしょうがなかったんだよ」
刑事「なるほど・・・教師さんとヤンキー君が共犯関係にあるかもしれないということですね」
ニート「その可能性もあるけど・・・」
ニート(ただアリバイを証明したいのならば、曖昧な感じにはせずにもっと完璧にするんじゃないだろうか・・・)
翌日
ニート「ふわあああ、おとといも昨日も大変だったけど、今日は何もなさそうだな・・・」
ニート「やっぱり、HPだけじゃ依頼は来ないな」
ニート「結局、俺が事件に貢献してんのにお金も貰えなかった」
ピンポーン
ニート「おっ誰か来たぞ」
刑事「こんにちはー」
ニート「刑事さん、どうしたの?」
刑事「実は・・・昨日の居酒屋でニートさんが言われたこと」
ニート「うん」
刑事「忘れちゃいました」
ニート(大丈夫かなこの子)
ニート「だからまた説明しろと?」
刑事「そうですね。また新たな証拠も出て来たのでそれも踏まえていただけると」
ニート「へえ、なに?」
刑事「今日は午前中、詳しい鑑識の結果が出たのでそれを聞いてきたんですが」
ニート「うん」
刑事「被害者のJKさんの死因は窒息死であることが分かりました。彼女は刺される前に首を強く圧迫されていました。そして血液中からは睡眠薬の類は検出されませんでした」
ニート「絞殺・・・」
刑事「さらに彼女の携帯電話の履歴を見たのですが、頻繁に連絡をとっているのは、死体を発見した友人さん、容疑者のヤンキー君、九州にいる母親だけでした」
ニート「そういえば前から気になってたんだけどなんで一人暮らしなの?」
刑事「両親が共に転勤族だったらしいですね・・・今年の四月にはこっちにいたらしいんですが、すぐに転勤する羽目になったので、JKさんだけこっちに残ったそうです」
刑事「一人暮らしとはいえ、親からの仕送りはしっかりあったので生活には困っていないはずです。部屋を見る限り裕福とは言えませんけど、特にアルバイトが必要な状況でもなかったようです」
ニート「だから、援交とかヤクザがらみじゃないってことね」
刑事「まあ、だからと言ってお金がいらなかったとは限りませんが、可能性は低いと言えるでしょう」
刑事「こんな感じですね」
ニート「やっぱり絞殺の件が気になるね。どうして殺した後に何回も刺す必要があったのか」
刑事「まあ殺人犯の心理だと、生き返りそうで怖かったとか相当な恨みがあったとかそういうことでしょうね」
ニート「内臓が抉られたりしてなかった?」
刑事「なんてこと訊くんですか・・・ところどころ穴が開いたりとかはあったらしいですけどある程度の原型はとどまっていたようです」
ニート「違うかあ」
刑事「何を考えていたんですか?」
ニート「いや、もしかしたらJKは妊娠してたのかと思ってね。もし交際相手が犯人ならその痕跡を取り除こうとするだろうし」
刑事「うわあ・・・えげつないこと考えますね」
ニート「まあ高校生とかならそういう風に考えるんじゃないかなと思って」
刑事「ちなみに妊娠はしてなかったそうです」
ニート「そうか、良かった」
刑事「それで他には何かありませんか?」
ニート「連絡を頻繁にとっていたのが母親と友人とヤンキーだけってことだけど、それ以外にはないの?」
刑事「近日中に電話をしていたと思われるのはその三人だけです。メールやLINEも全て消されていませんでした。その中にも怪しいやり取りはなかったのでその他の人は排除してもいいでしょう」
ニート「三人のうちで死亡推定時刻に近い時間で電話したのは誰?いつ?」
刑事「えーと、死亡する前の日の晩に母親、ヤンキー君とは電話しています。友人さんは死亡した後の日に電話しています。これについてはおそらく無断欠席を心配してかけた物でしょう」
ニート「母親のアリバイは?」
刑事「母親には犯行は不可能です。その日は会社に出勤して定時まで働いた記録が残っています。会社は九州です」
ニート「やっぱり、知り合いの犯行と考えたらヤンキーが犯人としか思えないよな」
刑事「しかし昨日教師さんに聞いたアリバイだと、犯行はほぼ不可能です。女性と言っても絞め殺すには五分以上時間がかかります。犯行時刻はおそらく十分じゃ足りない。ナイフで刺す時間も含めると二十分ほどは必要になってきます。となると三十分で往復と殺害を行うのは絶望的です」
刑事「彼には犯行が不可能です!」
ニート「それじゃ昨日僕が話したことをもう一度話すよ―――
刑事「彼が犯人で間違いありません!!」
刑事「アリバイが嘘なら、時間に制約は全くありませんから!」
ニート「だけど、教師が何故嘘をつくのか気になるよね」
刑事「確かに・・・ヤンキー君に弱みでも掴まれてしまったんでしょうか」
ニート「それはどうだろうね・・・」
―――翌日
ニート「暇だあああああ」
ニート「外に出るか・・・ああでも暑いなあ止めよう」ゴロゴロ
刑事「よし、今日も張り切って捜査開始です!」
刑事「今日は学校の人からとにかく話を聞くことにしましょう!」
刑事「ヤンキー君やJKさんについてはもちろん、教師さんについても聞き込みをしなければなりません」
刑事「といってもまだ朝の八時ですから生徒はしばらく授業があるようですね」
刑事「先生や事務員さんに話を聞きましょう。ヤンキー君のアリバイがなかったという証言が必要です!」
―――事務員「ヤンキー君ですか?よくわかりませんねえ」
―――熱血「私はその時間は部活に参加していましたからねえ!いやあ、今年こそは甲子園を狙えるんじゃないでしょうかねえ!」
―――女教師「わたしは知らないわ。違うところで補習をやってあげてたから」
刑事「うーん、なかなかヤンキー君を見たという証言はありませんねえ。順調に進んでるんですが、もっと決定的な証拠が欲しいです!」
親父「ああ、ヤンキー君なら見たかもしれないよ」
刑事「え!本当ですか?いつ?どこで?」
親父「ううん、確か四時半くらいだったと思うけど」
刑事「四時半?どこでですか?」
親父「教室でテストを受けてましたよ。まあ割と真面目にやってるみたいでしたね」
刑事「ええ・・・本当ですかぁ」
親父「うん、間違いないよ」
刑事(四時半ということは教師さんの証言と被りますね・・・)
刑事「そのとき廊下で誰かとすれ違いましたか?教師さんとか」
親父「いや、誰とも会わなかった気がするなあ。ガランとしてたもん」
刑事「そうですか・・・ご協力ありがとうございます」
刑事「最後に、それは本当にヤンキー君だったと言えますか?」
親父「うん、顔までは見てないけどあんなに特徴的な髪型の子はいないからね」
新人「ヤンキー君ですか、僕も見ましたよ!四時十分くらいに」
刑事「ええ!四時十分ですか!?」
新人「ええそうです。五十分くらいにも見ましたね。ちょうど彼が職員室にプリントを持って来たときに会ったんですよ」
刑事「それって本当ですか?間違いありませんか?ヤンキー君で」
新人「そうですね・・・どっちともヤンキー君でしたよ。ちょっと話したんですが、おかしい様子もありませんでしたし」
刑事「大変です・・・目撃証言が二つも出てしまいました。このままじゃアリバイが成立してしまいます!」
刑事「どういうことでしょうか・・・目撃されてないのは最大で二十分間・・・これじゃあ犯行は無理です!」
刑事「よく考えたら教師さんは嘘をついていないかもしれません・・・三十分ごろにもう一人目撃者がいましたから。親父さんは誰ともすれちがわなかったと言いましたが偶然入れ違いになっただけかもしれませんし」
刑事「まだ学校が終わるまでは時間ありますね・・・署に戻ってヤンキー君の言い分と一致するか聞きに行ってみましょう」
刑事「こんにちは」
刑事(やはり、特徴的な髪型ですね・・・リーゼントは重くないのでしょうか)
ヤンキー「んだよババア」
刑事「失礼な!私、まだ26歳ですよ!!」
ヤンキー「もうそろそろ、ババアだぜ。四捨五入すれば30だしな」
刑事(ムカつきます!撃ち殺したいです!!やっぱりこいつが犯人です!!!)
ヤンキー「で、何の用だ?やっと出られんの?」
刑事「あなたは事件当日の午後4時から5時までの間、何をしていましたか?」
ヤンキー「またそれかよ、数学の補修だよ。何回、言やいいんだ」
刑事「そのとき誰かと会いましたか?」
ヤンキー「おう、新人の奴とは話したぜ・・・あとは、親父が廊下を通ってたかな」
刑事「その二人だけですか?見逃していませんか?」
ヤンキー「そんなのいちいち覚えてねえよ。廊下通る奴なんていちいち気にしねえだろ」
刑事「それもそうですね」
ヤンキー「つーか出してくんねーんなら帰れよ」
刑事「最後に一つだけ、あなたはJKさんのことをどう思っていましたか?」
ヤンキー「あいつは・・・ダチだよ。それ以外のなんでもねえ」
刑事「うーん、不可能なのか可能なのかよくわからないところです・・・結局、ヤンキー君を見た人はあの3人以外いなさそうですし」
刑事「二十分の空白の時間でなんとか殺人をやり遂げる方法もあったかもしれません」
刑事「そろそろ授業は全部終わったころですかね・・・もう一度学校に行って今度は生徒達から話を聞くことにしましょう」
刑事「こんにちは」
ぼっち「こ、こんちは・・・」
刑事「ぼっち君はヤンキー君とかJKさんについて何か知りませんか?」
ぼっち「や、ヤンキー・・・」
刑事「ん?何?」
ぼっち「い、いいえ!やっぱり何も知りません」ダッ
刑事「ああ、ちょっと待ってくださぁい」
?「ぼっち君はヤンキー君にいじめられていたんです」
刑事「あ、あなたは死体を発見した友人さん!」
友人「こんにちは」
刑事「こんにちは、それで、ぼっち君がどうしたんですか?」
友人「まあいじめられていたと言ってもそこまでひどいものじゃなくパシリくらいです。お金も取られてるわけじゃないので、ヤンキー君にとっては使い勝手のいい子分みたいな存在だったと思います」
刑事「なるほど・・・」
友人「まあそれはクラスのみんな知ってることなんで大したことじゃないんですけど」
刑事「その言い方だと誰も知らない重要な情報を知っているみたいですね
友人「重要かどうかは知らないけど・・・ヤンキー君とJKちゃんのことで・・・」
刑事「な、なんですか?」
友人「実はJKちゃんとヤンキー君は仲が良くて付き合ってるのかなあと思ってたんですけど、付き合ってなかったんです!」
刑事「はい」
友人「それで、なんでか聞くと、実はJKちゃんには付き合ってる相手がいたらしくて」
刑事「え!?」
友人「それでヤンキー君とは仲の良い友達止まりなんです。まあ彼氏がいると分かってからも、ヤンキー君は告白したりしてたらしいんですけど」
刑事「なるほど・・・それならヤンキー君にもJKさんを殺害する動機がありますね」
刑事(あれ?となると・・・その付き合ってた相手って誰なんでしょうか)
友人「それで、私、見ちゃったんです」
刑事「え、何をですか?」
友人「教師の車にJKちゃんが乗っているところです!」
刑事「えええええ!」
刑事「今の話は衝撃的でした・・・JKちゃんと教師がねえ」
刑事「しかし、一人の話だけを鵜呑みにしてはいけませんね!裏を取りましょう」
ビッチ「ちょりーす」
刑事「あなたはJKさんとも仲の良かったビッチさんですね」
ビッチ「うん。まぢやばい」
刑事「あなたはJKさんに付き合ってる相手がいたことをご存知ですか?」
ビッチ「ああ~それはね。見てたらなんとなくわかんよ~、ヤンキーの奴、チョーアピってたのにJK、見向きもしてなかったかんね」
刑事「ではその相手はご存知ですか?」
ビッチ「相手?知んない」
―――刑事「やはりJKさんと教師さんが交際していたと知る人は友人さんしかいませんでしたね。それ以前にJKさんとヤンキー君が付き合ってると多くの人が思っていました」
刑事「これじゃあヤンキー君が疑われても仕方がないですね」
刑事「しかし、実際には付き合っている相手が他にいた・・・そのことを知る人は数人いましたが、教師さんが相手だと知る人は友人さんただ一人・・・なにか引っかかりますね」
刑事「それにしても教師さんはよりによって出張らしいですね」
刑事「事件のせいで教育委員会に呼び出されてるらしいですが、話を聞くのはまた明日ということにしましょう」
―――翌日
刑事「よし、今日も張り切って捜査です!今日は教師さんのご自宅前に来ています!!」
刑事「今は九時ですが、今日は土曜日ですので教師さんもご在宅でしょう」ピンポーーン
教師「はい」
刑事「ああ、教師さん、おはようございます」
教師「なんですか、今日はちょっと用事があるんですが」
刑事「ちょっとした確認だけですので手間はとらせません、なんなら玄関でもいいですよ」
教師「それはちょっとやめてください、人目につきますので・・・お茶を用意させますから、どうぞ」
刑事「失礼します」
教師「母さーん、お茶」
教師「こちらです」
刑事「結婚されてるんですね」
教師「はあ一応・・・」
刑事「失礼ですが、お子さんは?」
教師「は?」
刑事「お子さん、おられるんでしょ?奥さんのことを母さんと呼ぶのは、お子さんがそう呼ぶからではないんですか?」
教師「ええ息子が・・・正確には、いましたですがね」
刑事「というと・・・お亡くなりになられたということですか」
教師「はいそうです。一年前に事故で・・・」
刑事「おいくつだったんですか」
教師「ちょうどあの子たちと同じ年頃ですよ、十五・六でしたね、私に似つかずやんちゃな子でした・・・」
刑事「失礼ですが・・・今教師さんは四十一歳でしたよね。ご結婚されたのは割と早かったんですね」
教師「ええ、お恥ずかしい話ですが、妻は新任教師時代の生徒でしてね・・・周りの先生からは結構白い目で見られましたよ」
刑事「生徒と教師の中だったんですね。そして今も」
教師「・・・どういうことですか?」
刑事「ある生徒からリークがありました。あなたがJKさんを自分の車に乗せていたところを見たと。単刀直入に聞きます。JKさんの恋人はあなたですか?」
教師「な、なに言ってるんですか、とんでもない、私は四十過ぎの親父ですよ。最近の若い子は私に見向きもしませんよ」
刑事「では、なぜ彼女を車に乗せたんですか?」
教師「さあ?それは本当に誰かが言ったんですか?確かにJKさんの担任教師でしたが言ってしまえばそれまでです。車に乗せたような覚えは一度もありませんが」
教師「彼女も大して私に相談をしにくるような生徒じゃありませんでしたし、一応クラス全員に携帯番号やメールアドレスは教えていましたが彼女から着信があったことは一度もありませんし、こちらからかけたこともありません」
刑事「仲を周りに隠して付き合っていたのではないですか。普通、教師と生徒ならそうなりますよね」
教師「・・・ある生徒とは誰ですか?」
刑事「言えません」
教師「一人の生徒だけですよね?ならば、そちらの証言の方を疑う必要があるんじゃないでしょうか」
刑事「では質問を変えます。JKさんが誰かと交際していたという事実まではご存知でしたか」
教師「もちろん分かってますよ、ヤンキー君でしょう」
刑事「ヤンキー君とは付き合っておらず、別の交際相手がいたということは複数の生徒が証言しています」
教師「さあ、そこまでは分かりませんね。生徒のプライベートまで踏み込むほど教師は暇じゃありませんから」
教師「お茶のおかわりをとってきます」
刑事「おかまいなく」
教師「」ス―ッ
刑事(あれ、携帯電話が落ちています。教師さんのでしょうか?)
刑事(いや、見た目も中身も派手ですし、亡くなった息子さんのでしょう。よく見たら傷が付いています。事故のときに付いたものでしょうか)
刑事(しかしなんでこんなところに・・・解約もまだしてないみたいです)
通話履歴
教師 6日
教師 5日
教師 5日
教師 4日
教師 4日
教師 3日
教師 2日
教師 1日
教師 1日
教師 31日
教師 30日
教師 30日
教師 29日
教師 28日
教師 27日
教師 26日
刑事「いやあああ!」
教師「何してるんですか!?」
刑事「これは何ですか・・・死んだ息子さんの携帯に・・・なんであなたが」
教師「・・・」
刑事「なんとか言ったらどうなんですか!」
教師「ふふふ・・・」
刑事(教師さんは不気味に笑い始め、自分の携帯を操作し始めました・・・すると息子さんの携帯が鳴り始めました)
教師「こうするとね・・・死んだ息子とつながっているような気がするんですよ」
刑事「ひいっ」
教師「通話ボタンを押してやると息子は話しかけてくるんです・・・今日は何をしたとかこれをしたとか、私に話しかけてくるんです・・・いつしかそれが毎日の楽しみになりました」
刑事「な・・・」
刑事(教師さんは、息子さんの携帯を手に取ると通話ボタンを押しました。いつもは軽快なピッという音が歪んだ不協和音のように低くくぐもって聞こえます)
教師「ああ、息子か。元気だったか?最近忙しくて電話をかけられなくてごめんなあ・・・」
刑事「ひいいいっしっ失礼しますううう」ダアアアアアアアアッ
教師「・・・」ピッ
刑事「はあ、はあ、怖かった・・・」ドキドキ
刑事「あの人、おかしいです!きっと精神科医にかかった方がいいです!!」
刑事「絶対に犯人に決まってます!犯人じゃなくても近いうちになにかしら事件を起こしそうです!!」
刑事「よくあんな状態で一年間も持ちましたね・・・いえ、もうダメなのかもしれません」
刑事「あれ、待ってください?彼が犯人なら証明する方法があります!」
刑事「おそらく、現場に指紋はともかく髪の毛くらいなら見つかっているはずですから、何かしらDNAの検出できるものをとってくれば良かったんですよ」
刑事「で、でももう無理です・・・あんなところ一人じゃいけそうもありません」
刑事「誰か応援を頼みましょう」プルルル
同僚「今忙しい」ガチャ
『ただいま電波の届かないところに・・・』
『電話に出られません。ご用のある方はピーという・・・』
刑事「だれも出てくれません!誰か暇な人はいないんですか!」
刑事「ん?暇な人・・・そうです!!」
ニート「なに?刑事さん、こんな朝早くから」
刑事「いいから来てください!」
ニート「まだ朝飯食ってないから」
刑事「ああもう!おごりますから!来てください」
―――近所のファミレス
刑事「教師さんが、死んだ息子に毎日、電話をかけて話をしてるんです」
ニート「ええ・・・完全なキチガイだあ」
刑事「完全に怪しいでしょ?だからDNAが取れそうなものを入手したいんです」
ニート「うん、でもそれだけじゃ犯人とは言えないんじゃ」
刑事「確かにそうですけど!あんな人を世に放り出して置いたら絶対に何かしでかします!そうなる前にDNAをこっちで取っといて犯罪をでっちあげて世間から隔離しておくべきです!!」
ニート「なかなかえぐいこと考えるね」
ニート「そもそも、なんで教師を疑うようになったの?」
刑事「ああ、それは・・・友人さんという人が、教師さんの車にJKさんが乗っているところを見たっていうんですよ」
ニート「な、なんだって!?」
刑事「どうしました?何か分かったんですか?」
ニート(クソッ!JKに手を出すクズがなんで教師のような神聖な職につけるんだよ)
ニート「いや、なんでもない」
刑事「でも現実的に考えてありえないですよね。JKさんの携帯からは教師と連絡をとった記録は見つかりませんでしたし、その証言をしたのも友人さんただ一人だったんですよ。でも、実は今の奥さんとは生徒と教師という関係だったそうで・・・」
ニート「え?今なんて」
刑事「教師さんは元生徒と結婚したらしいんですよ」
ニート「その前!」
刑事「えっと・・・」
・
・
・
ニート「分かったよ、犯人が」
刑事「ええっ!分かっちゃったんですかぁ?」
ニート「今から、犯人のところへ行こう」
刑事「はい!」
―――「それで、私のところに何の用ですか?」
教師「刑事さん、ニートさん」
刑事「教師さん、あなたがJKさんの交際相手であり、その彼女を殺害した真犯人ですね!」
教師「はぁ?何言ってるんですか?」
ニート「この事件はなんにも複雑なことはありません。容疑者であるヤンキー君のアリバイ以外はね」
教師「そうですか・・・彼が容疑者だというのに何故、私のところへ?」
刑事「その前に教師さん、自首する気はありませんか?一応、刑が軽くなることもありますよ」
教師「けっこうです。犯人ではありませんから」
ニート「じゃあ話を進めます・・・まずヤンキーが疑われた理由、それは彼がJKの恋人と思われていたからでしょう。恋人が疑われたのは、犯人が合鍵を持っていたとしか思えないから・・・合鍵なら親や大家さんも持っているでしょうが彼女らには完璧なアリバイがありました」
教師「つまり、僕が彼女の恋人だったと疑っているわけですね?」
ニート「そうなりますね」
教師「だったらおかしいでしょう?彼女とはろくに連絡も取っていなかったし、僕とJKさんの関係を証言する人は一人もいません!」
刑事「いいえ、友人さんがいます」
教師「ああ、そうでしたね」ニヤリ
教師「だったらこうは考えられませんか?真犯人は友人さんで、ヤンキー君が逮捕されJKさんの恋人が疑われているということを知った」
教師「しかし、ヤンキー君は本当の恋人ではない・・・その正体を知るのはただ一人・・・」
教師「そう彼女自身です!だから、彼女はそれを偽り、僕がJKさんの恋人であるように証言した」
ニート「なるほど・・・(百合か)それもアリだね」
刑事「えっ」
教師「とにかく、証言者がいない以上、どちらも証明することは出来ませんよね?実際に連絡を多くとっているのは彼女の方です!」
ニート「いや、できる」
教師「・・・なにかいいましたか?」
ニート「簡単なことだ。あなたとJKは親密な仲だった。互いに毎日のように連絡を取り合う仲だったのです!」
教師「だから、どうやってですか」
ニート「息子さんの携帯電話ですよ」
教師「なっ」
ニート「刑事さんに携帯を見られてあなたは心底焦ったはずだ。死んだ息子の携帯電話はJKに渡しており、それでお互いに連絡を取り合っていたのだからね!!」
教師「・・・」
ニート「あなたは恋人だと思われているヤンキーを警察に疑わせ、犯行が可能とも不可能ともとれるようなアリバイをわざと証言し、警察の疑いが彼からつかず離れずの状態にした。まあ、そのアリバイの証言は自分のアリバイをアピールすることにも繋がるし、一石二鳥ですね」
ニート「警察はまんまとその罠に引っかかったわけだ。ずっと、ヤンキーのアリバイを崩そうと血眼になっていたはずです」
刑事「確かにみんな忙しそうでした」
ニート「警察はある程度、正体不明の髪の毛や指紋があろうと気にしなかったはずだ。最有力容疑者のヤンキーがすでに捕まっているのだから」
刑事「警察が容疑者をこれと決めてかかれば逮捕はほぼ確実です。しかし、ヤンキー君は犯人ではなく、真犯人のあなたは容疑者候補にすら入っていません。これでは捜査が難航するのも当然です」
ニート「しかし、予想外の出来事が起きた。これまで完璧だったはずの計画が一瞬にして覆るほどの」
教師「何のことでしょうか?」
刑事「私に息子さんの携帯の通話履歴を見られたことです!」
教師「確かに予想外でしたが、別に犯罪でもなんでもないはずですよ、死んだ息子に電話をかけていたとしても」
ニート「でもあなたは冷静でしたね。咄嗟に対策を思いついた。狂っているふりをすればインパクトがありますし、何より自然だ」
ニート「息子さんの携帯の通話履歴を見せてください」
教師「なぜ、見せる必要があるんですか」
ニート「隠す必要もないはずです」
教師「・・・」スッ
通話履歴
教師 11日
教師 6日
教師 5日
教師 5日
教師 4日
教師 4日
教師 3日
教師 2日
教師 1日
教師 1日
教師 31日
教師 30日
教師 30日
教師 29日
教師 28日
教師 27日
教師 26日
ニート「見事にあなたの名前が並んでいますね。JKはあなた以外の連絡にはこのケータイを使用しなかったはずだから当然ですね」
ニート「だからでしょうか、毎日あるはずの電話が6日で途切れている。これも当然です。JKは6日に殺されていますから」
教師「いいかげんにしてくださいよ!さっきから聞いてりゃあなんにも証拠なんてないじゃないですか!6日で途切れてるのは事件が起きたせいで7日からいろいろあって電話をする暇もなかったからです」
ニート「いろいろ?」
教師「分かっていますよ・・・息子が帰ってこないことくらい・・・でもねえ!そうでもしなきゃやってられないんですよ!!心に開いた大きな穴が埋められないんですよ!」
ニート「それでなんで電話をしなかったんですか?」
教師「する気になれなかったんです。電話をするだけの時間はさすがにありました。でも、自分の担任の生徒が亡くなった手前、教師である自分が自分を慰める為とはいえ、こういうことをするのは不謹慎で抵抗感がありました」
ニート「そうですか、でも証拠はおそらくあります」
教師「は?」
ニート「あなたはさっさとこの携帯を解約して処分するべきだった。そうすればあなたとJKさんが繋がっていたという証拠は何一つ出てこない、完全犯罪になっていたかもしれません」
ニート「しかし、それをしようとはしなかった。また、同じ手口で犯行を行おうとしていたのでしょう」
刑事「えっどういうことですか?」
ニート「この事件の一番恐ろしい部分はそこです。この事件は恋愛のもつれなどから来たものではなく・・・」
ニート「最初からJKさんを殺害するためだけに仕組まれたものだった」
ニート「息子さんを失ったことからなのか元々なのか分かりませんがあなたは精神を患っている。それを癒すことができるのがおそらく殺人だった」
ニート「だから決して容疑者に浮上しないように、注意を払った。教師と生徒という禁断の関係なら相手側にも秘密にしておくことを迫ることができるし、何より、自分の息子の携帯を渡しておけば、殺害後にそれを回収するだけで関係をシャットアウトすることができる」
ニート「もし捕まらなければ、この方法を使って、これからも殺人を繰り返していたのかもしれません」
教師「ふふふ」
刑事「な、なんですか?」
教師「いやあ、面白い。携帯電話一つでここまでのストーリーを展開されるなんてすばらしい想像力をお持ちですね。お仕事は何をされてるんですか?小説家に転向した方がよさそうだ」
ニート「くっ・・・一番嫌な質問をっ」
刑事「負けないでください!」
教師「でもねえ、結局、僕とJKさんが繋がっていたという証拠は何もないでしょう。私が携帯を解約できないのは息子のことを忘れられないから!情けない理由ですがこれが真実なんですよ」
ニート「いいや、きっとあります」
ニート(JKだ!記念のプリクラ一つくらいとりたかっただろう!!しかし、堂々と見えるところに張るわけにはいかない!!だとしたら・・・電池パックのケースの・・・裏だ!)
瞬間、ニートの脳髄に強烈な電気が走った。
眼球から入った光景が、脳でその実像を結ぶまでに1秒とかからなかった。
その衝撃は彼のやる気を削ぎ落とすのには十分すぎる威力を誇った。
ニート「じ、JKと・・・キスプリ・・・だと?」バタン
刑事「ニ、ニートさあああああん」
刑事「いったい何が・・・ハッ!」
刑事「これは、あなたとJKさんが映っているプリクラですね!」バーン
教師「そんなところに・・・」
刑事「紛れもない証拠になります!」
教師「・・・残念です」
刑事「なにがですか?」
教師「あなたたちにはここで死んでもらうしかなくなりました」
刑事「へ?」
教師「死ねええええええっ」ガバッ
そのとき、薄れゆく意識の中でニートが見た物は
身体を捻じりながら後方に倒れてゆく教師の姿と
その頭上に伸びる細くも引き締まった白い足
その根元に見える純白のパンティだった―――
ウウウウウウウウウウ
刑事「はあこれで一件落着ですね」
ニート「うん・・・」
刑事「いやあ、教師さんが襲い掛かって来たときはどうしようかと焦りましたけど」
ニート「刑事さんって意外と強いんだね・・・」
刑事「はい、空手四段合気道三段柔道二段剣道初段です!!」
ニート(化け物かよ・・・頭は空っぽだけど強いから単独行動なのか)
刑事「いやあ本当に助かりました!ニートさんのおかげで解決できたようなものですよ!」
ニート「うん、ありがとう・・・」
刑事「いいえ、お礼を言うのはこっちの方ですって!なにかおごりましょうか?」
ニート「いや、大丈夫」
ニート(かえって抜くか・・・)
お わ り
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