泥棒「離して下さい」
男「いやです」
泥棒「人の庭に入ったのは謝りますから」
男「家の中に入ったのは謝らないんですね」
泥棒「私にとっては家の中も庭みたいなものです」
男「靴脱がせろ」
泥棒「靴を脱がせるなんて変態ですね」
男「別に靴を脱がせることには興奮しないんですが」
泥棒「泥棒にとっては靴は大事なものなんです」
男「うん…?ああ、なる程。こんなところにヘアピンやら糸のこが」
泥棒「これで捕まっても簡単脱出できるんです」
男「刑務所ではこの靴はけませんよ?」
泥棒「あ」
男「縛り上げました」
泥棒「縛り上げられました」
男「さて…どうしましょうか」
泥棒「膝枕してください眠いんです」
男「この状況でよく寝ようとしますね」
泥棒「成長期ですから」
男「成長期なら泥棒になったりしません」
泥棒「しないと靴に仕込んだもので縄を解いて襲いますよ?」
男「その靴俺が持ってるんだが」
泥棒「zzz」
男「本当に寝たよ…」
泥棒「ふふふ…おまえのたからはいただいたぞー」
男「夢の中では大泥棒か?…現実では俺のおやつ食べてて捕まった間抜けだけどな」
泥棒「よし…40秒でしたくしろー」
男「ちがった、空賊だこれ」
泥棒「起きました」
男「起きたな」
泥棒「…よく寝たんでそろそろ警察にでも通報してください」
男「せめて寝る前にそう言ってくれないか?重かったんだが」
泥棒「寝る前に言ったら親子と間違われて捕まらないじゃないですか」
男「お前的には捕まらない方がいいんじゃないのか?」
泥棒「私は子供扱いが嫌いなんです」
男「さっき自分で成長期とかいっただろ」
泥棒「あれはあれ、これはこれ、です」
男「ああ、そうですか」
男「…ほら、出て行けよ。通報しないから」
泥棒「縄を解くなんてなにを…まさか拷問を」
男「人の話を聞けよ。通報しないから帰れよ」
泥棒「…また盗みに来るかもしれませんよ?」
男「お前が盗めるものなんて無料雑誌ぐらいだろ?」
泥棒「…私を解放した事を後悔しないでくだいよ?」
男「俺的にはお前の将来が不安だ」
<数日後>
男「休みは暇でしょうがない…プリンでも食べるか」
男「ん、卓上電話がなってるだれだろうか?」
男「…なんだただの間違い電話か。さて、プリンでも食べ」
泥棒「うまうま」
男「おい」
泥棒「んぐ…ぷはぁ。盗みにきました」
男「ここまで堂々とした泥棒は初めてだ」
泥棒「また捕まりました」
男「捕まりに行っただろ」
泥棒「違います。あなたが食べ物に睡眠薬を仕込んだという罠で私を捕まえたのです」
男「ただお腹一杯で眠ったんだろ」
男「で、なんで2度も俺の家にはいったんだ?」
泥棒「2度ではありません。今日で5度目です。」
男「えっ」
泥棒「昨日のシュークリームはとても美味しかったです」
男「最近冷蔵庫の中身がよく減ると思ったら…」
泥棒「今度はカステラを入れてください」
男「やかましい」
泥棒「眠いです。布団を貸してください」
男「膝枕の次は布団か、いい気なもんだな」
泥棒「うるさいです。早くしないと靴の中にある」
男「その靴ご丁寧に玄関前に並べてたじゃないか」
泥棒「…じゃなくて服の中にあるものでにゃ、縄を解いて」
男「焦って噛んでいるじゃないか」
泥棒「焦っていません。むしろ大泥棒らしいふいんきをみせてるんです」
男「ふんいきな」
泥棒「zzz」
男「はあ…お人好しすぎだな。子供とはいえ泥棒に布団を渡すなんてな」
泥棒「…ん」ハラッ
男「寝相悪いなこいつ」
泥棒「たからはいただいたぞ、るぱーん」
男「そこはとっつあんだろ」
泥棒「んー」
泥棒「起こされました」
男「起こしました」
泥棒「さて警察を呼んでください」
男「嫌です。このままでは娘を寝かせる父親みたいじゃないか。…要するに布団から出ろ」
泥棒「いやです。私はここが気に入ったのでここに泊まります」
男「ついに泊まるとか言っちゃったよ。泥棒ってなんだっけ?」
泥棒「ふ。もし夜が寂しかったなら私が慰めてあげますよ」
男「未成年とやっちゃったら捕まるだろうが」
泥棒「あれ、慰めるって絵本を読むことじゃないんですか?」
男「…よく知らないのに使うんじゃねぇよびっくりしたわ」
男「…というわけだったのさ。おしまい」
泥棒「zzz」
男「なんでわざわざガキの頃読んだ絵本持ってきて読まなくちゃならなんだ。…まあいいや、俺も自分の部屋で寝るか」
泥棒「んー」
男「おい、服掴むな、動けんだろ」
泥棒「んーん」
男「…こいつ本当は起きているんじゃないか?」
泥棒「人の布団に入ってくるなんで…酷い」
男「絵本読んでとごねて服ずっと握ってた奴は誰だよ」
泥棒「うるさいです。もう2度と来ませんよ?」
男「有り難すぎて涙がでる。大体俺じゃなきゃとっくに警察にいって2度と帰ってこれないだろ」
泥棒「ふん、また来るわ!」
男「おい」
泥棒「なんですか」
男「懐にある饅頭返せ」
<数日後>
男「カステラが半分なくなってやがる…また来やがったな」
\ガタン/
男「あの野郎ワザと音立てたな。みつけてとっちめてやる」
男「音がしたのはここだな…。おい!何度も入って来やがって…」
爺「誰じゃ!?」
男「…本当誰?」
爺「う、動くな!お前の娘がどうなってもいいのか!?」
泥棒「あう」
男「娘じゃねえ。というかこんなドッキリ仕掛けてどんな…」
泥棒「ドッキリじゃないんです」
男「…マジで?」
泥棒「ふん。私はこのお爺さんが哀れだったからワザと捕まったんですよ」
男「頼むから涙溜めながら言わないでくれ」
爺「動くな!」
泥棒「ひぃい!ふ、ふぁい!」
男「しかしよく動く爺さんだな…要求はなんだ?」
爺「こ、こいつをかしてくれ…」
男「…なんで?」
爺「隣の爺さんに孫娘みせてやると言ったからじゃ」
男「…爺さん病院行け」
爺「やかましい!わしゃ正気じゃ!」
泥棒「うぇぇん」
男「とりあえず獲物しまえ。ただの棒でもビビって泣いてるだろ」
泥棒「ふえっ!?」
男「解放された気分はどうだ?」
泥棒「ふん。私は大泥棒ですから嘘泣きで脱出する機会をうかがってただけです」
男「ボロ泣きだったろ。あ、後爺さん」
爺「何じゃ?」
男「警察呼ばれたくなければ出ていけ」
娘「そ、そうだー!でてけー!」
爺「……」
男「ただの爺さんに侵入されるとか俺の家はどうなっているんだ」
泥棒「あ、それは私が毎晩窓から入っているから」
男「お前のせいか。で、なんで捕まってたんだ?」
泥棒「アイスあげるっていわれて…」
男「今の小学生でも引っかからんぞ」
泥棒「だって13のアイスあげるっていったんだよ!」
男「だからどうした」
泥棒「ごはーん」
男「ついに夕方にも現れたよこの子」
泥棒「かといってしっかり夕食準備してくれるんですね」
男「うるせえ、本当は朝とっとくやつだったんだぞ」
泥棒「もぐもぐ」
男「おい野菜食え」
泥棒「zzz」
男「…俺の布団とりやがって。どかそうか」
泥棒「んんー!」
男「こいつ吸盤みたいに布団にくっついてやがる…おい、起きてるだろ」
泥棒「オキテナイデス」
男「起きてないやつは寝言でそんなこといわねえよ」
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