天津風「さようなら、あなた」 (35)
ザザァーーーーーーー・・・・・・ パシャ チャプ
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
天津風「・・・良い風ね」
提督「あぁ・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
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提督「・・・・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・この海の向こうには」
天津風「・・・?」
提督「一体、何があるんだろうな」
天津風「・・・陸があると思うわ」
提督「はは・・・まぁ、そうなんだけどな」
提督「俺はもっと、何か別のものがあるような気がするんだ」
天津風「なにそれ」
提督「俺達が知らない、何かがな・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
提督「・・・こうやって風に当たっていると」
提督「頭の中に、真っ先に天津風が思い浮かんでくるんだ」
天津風「・・・えぇ」
提督「お前がここに来て、少し経ってから」
提督「俺に一緒に風に当たらないか? なんて誘われたときは」
提督「本当にびっくりしたよ」
天津風「そう・・・」
提督「あぁ、まさかそんなことを言われるとは思っていなかったからさ」
提督「でも、嬉しかったよ」
天津風「・・・・・・」
提督「今まで風を楽しむことなんてなかったからね」
提督「実際に風に当たってみたら、随分と良いものだった」
提督「この綺麗な海から漂う、潮の香りが心地良かった」
提督「あぁ・・・なんか、昔を思い出すな・・・」
天津風「そうね・・・」
提督「あぁ・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
前天津風で似たようなの書いてた人?
ザザァーーーーーーー・・・・・・
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
提督「・・・昔のことと言えば」
提督「やっぱり天津風との思い出が一番、心に残っているな」
天津風「・・・・・・」
提督「長い付き合いだったからな、俺達」
天津風「そう・・・ね・・・」
提督「最初は何処かツンツンしている印象だった」
提督「だが、面倒見が良くてお姉さん気質な娘だとわかった」
提督「それから姉妹艦も徐々に集まってきて」
提督「姉妹みんな揃ったときは、本当に嬉しそうだったな」
天津風「・・・そうね、うん十年ぶりの再会だったもの」
天津風「とても・・・とても嬉しかったわ」
提督「ふふ・・・良かったな」
提督「・・・・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・島風とは最近、どうなんだ?」
天津風「特に変わりないわ」
天津風「いつもと同じように、あの娘はあたしにかけっこを誘ってくるわ」
提督「そうか・・・島風は元気だな」
天津風「えぇ・・・とても元気な、あたしの親友よ・・・」
提督「親友・・・そうか・・・」
提督「良いことだ、大切な仲間ができるというのは」
天津風「島風だけではなくて、みんな仲間よ」
天津風「もちろん、あなたもね・・・」
提督「・・・・・・」
提督「・・・そう言ってもらえると、嬉しいよ」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
提督「・・・お前はさ」
天津風「?」
提督「俺の・・・秘書艦になって、随分経つよな」
天津風「えぇ・・・」
提督「お前が俺に初めて料理を作ってくれたあの日のこと」
提督「今でも鮮明に覚えているよ」
天津風「・・・・・・」
提督「少し照れくさそうに、目線をそらしながら」
提督「美味しいか? と聞いてきたな」
天津風「て、照れてなんていなかったわ」
提督「そうか? でもまぁ・・・」
提督「とても美味しかったよ、そして何よりも」
提督「温かかった・・・」
提督「天津風の・・・俺に対する気持ちがな・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「それから俺は、すっかりお前に夢中になってしまってな」
提督「あんな・・・恥ずかしいプロポーズをしてしまったが」
提督「お前はそんな俺も受け入れてくれたな・・・」
天津風「そう・・・だったわね・・・」
天津風「あなたはあなたのままで良いの」
天津風「何も変える必要なんてないの」
天津風「そんなあなたが好きだったから・・・」
提督「ありがとう・・・」
提督「・・・・・・」
天津風「・・・・・・」
>>5
よくご存知ですね、やはり天津風ちゃんは私にとって一番可愛い艦娘です
ザザァーーーーーーー・・・・・・
提督「・・・・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・なぁ、天津風」
天津風「・・・なに?」
提督「お前は・・・俺とケッコンしてさ」
提督「その・・・幸せだったか?」
提督「何か・・・不自由はなかったか?」
天津風「・・・・・・」
天津風「・・・あたしは」
天津風「幸せだったわ」
天津風「あなたは、あたしの全てを受け入れてくれたわ」
天津風「良いところも、悪いところも」
天津風「あなたと会えて、ケッコンして」
天津風「本当に良かったと思っているわ」
提督「そ、そう言われるとなんか・・・恥ずかしいな・・・」
天津風「恥ずかしがる必要はないわ」
天津風「そう・・・何も・・・」
提督「・・・あぁ」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
天津風「・・・・・・」
天津風「」チラ
提督「・・・・・・」
天津風「(・・・・・・)」
天津風「(この広い海の向こうに、あなたは行ってしまうのね)」
天津風「(もう・・・忘れ物はないわよね?)」
天津風「(穏やかに続いていく日々には、限りがあるものね・・・)」
天津風「・・・・・・」
ザザァーーーーーーーー・・・・・・ パシャ
天津風「(夕焼け空が海を紅く染めている)」
天津風「(夕陽が遠くで絶え間なく佇んでいる)」
天津風「(海の底は、暗くて見えなかった)」
天津風「(波止場の硬いアスファルトには、あたしとあなたの2つの影が)」
天津風「(寂しそうに映っている)」
天津風「(今こうしているうちにも、時間は着々と進んでいる)」
天津風「(不思議と時計の音が聞こえてくるような気がする)」
天津風「(あたしとあなたの別れの時間が近づいている)」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
天津風「(・・・ふと、あなたの横顔を見つめたけれど)」
天津風「(あなたは今、何を思い、何を見つめて、そして何を感じているのかしら?)」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
天津風「(・・・あたし達は、明日になったらどうなるのかしら?)」
天津風「(あなたは別の世界に戻って、あたしは・・・)」
天津風「(・・・?)」
天津風「(あたしは・・・)」
天津風「(あたしは・・・どうなるのかしら・・・?)」
天津風「(・・・・・・)」
天津風「(・・・もしあたしに、この先が)」
天津風「(明日がないのなら)」
天津風「(あなたとともに、どこまでも一緒についていきたい)」
天津風「(そう・・・どこまでも・・・)」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
ザザァーーーーーーーー・・・・・・
天津風「(・・・あなたの言う通り)」
天津風「(どうしても、今までのことを思い出してしまうわ)」
天津風「(あなたと出会ってからの喜び、愛する心、そしてあなたの笑顔・・・)」
天津風「(全て大切な思い出)」
天津風「(以前からあなたは、この場所が好きだと言っていたわね)」
天津風「(天津風と一緒に、この綺麗な光景と風を楽しむのが好きって)」
天津風「(そう言いながら、静かに眺めていたわ)」
天津風「(そう・・・あたしもこの場所は好き)」
天津風「(でも・・・・・・)」
天津風「(もう・・・これが最期なのね・・・)」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
提督「・・・なぁ、天津k」
提督「!」
提督「天津風・・・・・・」
天津風「・・・?」
天津風「どうしたの? あなた・・・・・・」
天津風「!」
天津風「え・・・どうして・・・?」
天津風「ゴ、ゴメンなさい・・・気にしないで・・・」
天津風「ちょっと目にゴミが入っただけだから・・・」グシグシ
提督「・・・・・・」
天津風「(どうして・・・?)」
天津風「(あたし・・・どうして泣いてなんか・・・)」
天津風「(イヤ・・・止まってよ・・・)」
天津風「(こんなの・・・涙なんか流したら・・・)」
天津風「(もう・・・あなたと二度と会えないみたいじゃない・・・!)」
天津風「(う・・・うぅ・・・!)」
天津風「」ポロポロ
提督「・・・・・・」
提督「天津風・・・」ギュ
天津風「!」
提督「俺だって・・・本当はお前と別れたくない」
提督「いつまでもここにいて、ずっと一緒に過ごしたい」
天津風「うぅ・・・!」ポロポロ
提督「でもな、もう・・・来てしまったんだ・・・」
提督「明日で・・・・・・」
提督「 サ ー ビ ス が ・ ・ ・ 終 了 す る 日 な ん だ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
提督「いつかはこの日が来る」
提督「そう・・・わかってはいたんだ・・・」
提督「でも、まだまだ先のことだろうと思っていて・・・」
提督「・・・・・・」
天津風「イヤ・・・イヤ・・・!」ポロポロ
提督「天津風・・・」
提督「この先、俺は別の世界・・・現世に帰ることになる」
提督「お前達艦娘や妖精さんは・・・」
提督「・・・すまん、俺にはわからない・・・」
提督「最期に、俺にとって誇らしいと思うのは」
提督「お前達のような、気持ちの優しい、芯の強い艦娘達と出会えたこと」
提督「そして、この世界を深海棲艦の手から救えたこと・・・」
提督「思い残すことはあるけれど、仕方がないんだ・・・」
天津風「あなた・・・あなた・・・!」ポロポロ
提督「天津風、泣くんじゃない」ナデナデ
提督「その涙も、この悲しみも」
提督「全て、俺とお前がここにいた証になるんだ」
提督「お前と過ごした時間は、決して無駄ではなかったんだ・・・」
天津風「うぅ・・・っ!」グス
提督「天津風・・・愛している・・・」
天津風「あなた・・・」
天津風「・・・あたしもよ」
天津風「あたし達の愛は、永遠のものよ・・・」
提督「あぁ・・・」
天津風「またいつか・・・」
天津風「またいつか、会いましょう・・・」ニコ
提督「・・・・・・」
提督「・・・あぁ」
提督「また・・・いつか・・・な・・・」スッ
天津風「ん・・・・・・」
終わり
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