八幡「寂しさを感じた俺がいる」 (132)

*マラソン大会前の1月頃からの分岐


奉仕部

いろは「雪ノ下先輩の誕生日祝いも終わったことですし~」

八幡「なんだよ、なんかあんのか?」

いろは「先輩は、わたしの誕生日を覚えていてくださいね」

いろは「その時、わたしプレゼント催促しますから!」

八幡「やだよ、面倒だし…」

結衣「ヒッキーそういうこと言わないの」

八幡「でもな…」

いろは「それはともかく、雪ノ下先輩に聞きたいことがあったんですよ~」

雪乃「私に?なにかしら?」

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いろは「雪ノ下先輩って~葉山先輩と付き合ってるんですか?」

八幡「…」

結衣「…」

雪乃「…誰に聞いたの?」

いろは「なんか~噂になってますよ~」

結衣「ほら、この前見られたのが尾ひれとかついたみたいで…」

雪乃「ああ、そういうこと」

八幡(噂ってのは恐ろしいな…雪ノ下が葉山と付き合うというのは想像できんが)

雪乃「下衆の勘ぐりというやつね」

雪乃「でもあながち、間違ってはいないかもしれないわね」

八幡「は?」

結衣「え~~!?」

いろは「ホントなんですか~?」

八幡「おいおい、なんの冗談だよ…」

雪乃「いえ、そういう話はあったのよ、まだ付き合っているわけではないと思うけど」

八幡「…!」

結衣「え…そんな素振りなかったけど…」

雪乃「年が明けてからだし」

八幡「どういう風の吹き回しだよ…葉山ととか」

いろは「まあ先輩、お二人共美男美女なんですから、ありえなくないというかむしろ自然というか」

バシバシ

八幡「痛いっての、肩たたくな」

結衣「…な、なんか変な感じ…」

雪乃「ごめんなさい、空気が変わってしまったかしら」

雪乃「でも、私が葉山君とそういう仲になったとしても、奉仕部を疎かにしたりは…」

ガラ

三浦「ねえ、今ちょっといい?」


八幡(ややこしい奴が来たな…)

………


三浦「じゃあ…隼人と付き合ってるという噂は…ホントなんだ」

雪乃「そういうことになるわね」

三浦「そう……なんだ」

結衣「優美子…」

八幡「…」

いろは「なんだか、空気が重いですね、先輩」

八幡「そりゃな、ていうかお前もショックだろ」

いろは「先輩もじゃないですか?」

八幡「なんでだよ…」

いろは「なんででしょうね」

三浦「……よくわかった」

結衣「優美子、大丈夫?」

三浦「うん、平気。隼人がその気なら仕方ないし」

雪乃「ごめんなさい」

三浦「うわ、謝られた…やめてよ、悲しくなるし」

八幡「でも、なんで急に葉山と?」

雪乃「急にというのは違うかもしれないわね、色々あったのよ」

八幡「色々ね」

いろは「どっちから告白したんですか?」

雪乃「向こう…葉山君からね」

優美子「隼人から…」

結衣「ああ…優美子…ごめん!ちょっと向こうにいくね、ほら優美子」

優美子「あ、結衣…」

スタスタスタスタ


八幡「しまった、三浦の前で聞くことでもなかったな」

雪乃「そうね…」

いろは「でも、意外です。わたしは雪ノ下先輩は……」

雪乃「私が、なにかしら?」

いろは「いえ、なんでもないです」

雪乃「でも…正直不安も大きいの…これから彼とどう向き合えばいいのか」

八幡「向き合う…か」

雪乃「ええ」

いろは「簡単だと思いますよ」

雪乃「え?」

いろは「とりあえず、デートしちゃえばいいんですよ、葉山先輩その辺りうまいと思いますし」

八幡(葉山と雪ノ下とのデート…なんか想像できないんだが…)

雪乃「デート…そうデートよね…葉山君と…」

いろは「それがいいと思いますよ、誘ってみたらどうですか?」

雪乃「そうね、考えてみるわ」

八幡「……」

いろは「せんぱ~い、さっきから上の空ですよ?こんな可愛い後輩と帰ってるのに」

八幡「可愛いとか自分で言うなよ、あと勝手についてきてるだけじゃん」

いろは「先輩、ノリ悪すぎです~いくら雪ノ下先輩とられたからって」

八幡「は?…なに言ってんだよ…別に」

いろは「ほんとですか~がっかりしたんじゃないんですか?」

いろは「二人が付き合うわけないって安心してたんじゃないんですか?」

八幡「……」

八幡「お前も…そうだろう、葉山と」

いろは「わたし、この前振られたじゃないですか~」

いろは「だから仕方ないと思ってますよ?先輩とは違います」

いろは「でも、先輩は割り切れないんじゃないですか?」

八幡「そ、そんなことねぇし…」

いろは「あの、今度のデート、こっそり見に行きませんか?」

八幡「な…それは…」

いろは「先輩も気になるでしょ?」

八幡「お前は楽しんでるだけだろ…」

いろは「ね?決まりですね」

八幡「聞いてないし」

休みの日

雪乃「お待たせしてごめんなさい」

葉山「いや、大丈夫さ。それより…」

雪乃「なにかしら?」

葉山「よかったの?いきなりその…デート?とかさ」

雪乃「そうね、構わないわ。あなたが嫌でなければ」

葉山「そんなことないさ、じゃあ行こうか…ゆ、雪乃ちゃん…?」

雪乃「ええ」


いろは「おお、なんか初々しいですね」

八幡「葉山の方が初々しいというか、挙動がおかしいな」

いろは「先輩みたいになってますね」

八幡「一色、それひどいからね?」

いろは「きっと葉山先輩、雪ノ下先輩が相手だから緊張してるんですよ」

八幡「なるほどな…」

いろは「どこに行くんですかね~」

スタスタ



いろは「あれここって」

八幡「水族館だよな…」

いろは「とりあえず、追いかけましょう」

八幡「中入るのか?」

いろは「そうですよ、はい帽子」

八幡「これで変装か…」

いろは「まあ、気休めですけどね」

水族館

雪乃「ごめんなさい、こういった場所はあなたの趣味には合わないかしら?」

葉山「いや、そんなことないよ」

雪乃「そう、よかったわ。あ、サメね…」

葉山「大きなサメだね、前にサメの映画を見たよそういえば」

雪乃「サメと言えば、ずいぶんと古い映画が出て来るわ、まだ私が生まれる前の」

葉山「最近はサメの映画はないような気がするしね、10年くらい前にはあったかな?」



八幡「サメのところで止まってるな」

いろは「サメ談義に花を咲かせてるんですかね」

八幡「サメか…少しテンションが上がるな、写真とりたい」

いろは「意外と好きなんですね、先輩」

葉山「次、違うところも見て回ろうか」

雪乃「そうね、そうしましょう」


八幡「よし行ったな。じゃあ早速、写真をとるか」

いろは「先輩、目的変わってますよ」


雪乃「あれは、エイかしら?」

葉山「特徴的な形だな、乗れそうだ」

雪乃「葉山君もそういうこと言うのね」

葉山「意外かな?」

雪乃「意外かもしれないわね、あなたとは交流もほとんどなかったし」

葉山「うん…でも」

葉山「少しずつ、交流していこうか」

雪乃「ええ…そうね」

いろは「なんだかいい感じというか」

八幡「自然に付き合ってるな…」

いろは「う~ん、これってわたし達、単なるお邪魔虫ですかね」

八幡「…かもな」

いろは「あんまり入り込む余地とかなさそうですよ、先輩」

八幡「入り込むも何もな…」

いろは「素直じゃないんだから、先輩は」

八幡「…」


葉山「…」

雪乃「…?葉山君?どうかしたの?」

葉山「雪乃ちゃん」グイ

雪乃「えっ?」

ギュウ

雪乃「葉山君…これは…」

葉山「黙ってて…」


いろは「あ~抱きついちゃいましたね」

八幡「あいつってあんな大胆なのか?ここ水族館だぞ」

いろは「シチュエーションとしてはいい感じですね~」

八幡「ちっ…」


葉山「嫌だったかな…」

雪乃「そんなことは…ないけれど」

葉山「よかったよ…」


八幡「なんか葉山は雰囲気が違う気がするんだが…」

いろは「どういうことですか?」

八幡「ま、いいや。もう帰るか」

八幡(なんでこんなモヤモヤしてんの?どのみち、ここは俺の場所じゃないな)

帰り道 サイゼ

いろは「う~ん、完全なデートでしたね」

八幡「ああ…」

いろは「元気ないですね先輩」

八幡「別に…」

いろは「しょうがないですよ、二人付き合ってしまったんですから」

八幡「そうだな…」

八幡「俺と雪ノ下の関係は何だったんだろうな」

いろは「え…友達じゃないんですか?」

八幡「いや、友達じゃねぇよ…あいつとは」

いろは「そうなんですか」

八幡「結局、俺は代用品だったのかな…」

いろは「先輩…」

今日はここまで 次はちょっと日があきそうです

いろは「代用品っていう話でいうなら…代用品になれただけでも凄いじゃないですか」

八幡「はあ?慰めか、それ…」

いろは「だって先輩、学年一の才女で美人と評判の雪ノ下先輩に頼られてたんですよ?」

いろは「目つきが悪くて、理数系の学業最悪で、自虐体質のある先輩が」

八幡「滅茶苦茶言ってくれるな、へこむ…」

いろは「先輩はこの前、本物がどうたらって言ってましたよね?」

八幡「なんだよ、そのどうたらって」

いろは「本物の関係が相手のこと分かり合うものだとするなら…」

いろは「今のわたし達って偽物ですか?」

八幡「偽物…、本物じゃねぇのは確かだろ」

いろは「じゃあ、今日一緒に水族館行ったことや葉山先輩たち尾行したのは、偽物なんですか?」

八幡「それは…偽物じゃないけどな」

いろは「本物って必要ですかね?わたし今日楽しかったですよ?」

八幡「一色…」

いろは「楽しかったし、葉山先輩たちを尾行したのもスリリングでしたし」

いろは「今度、話のネタとかにも使えそうじゃないですか」

八幡「お前は何が言いたいんだよ?」

いろは「先輩はそういう関係じゃ駄目なのかなって思いまして」

八幡「代用品の話から、ずいぶんズレてきてるな」

いろは「雪ノ下先輩が、先輩を代用品として見てたならどうしようもないじゃないですか」

八幡「痛いところつくな…」

いろは「でも、雪ノ下先輩が最終的に頼れたのは先輩の能力があったからですよ」

八幡「一色…励ましてくれんのか?」

いろは「事実ですし、先輩が何もできない人なら雪ノ下先輩は歯牙にもかけないと思いますよ」

八幡「……」


八幡(雪ノ下は完璧超人だと思ってたが…去年辺りからそうでもない雰囲気があったな)

八幡(意外とハプニングに弱い感じか)

八幡(あいつ、俺と会ってなかったら、今でも完璧超人だったのかな)


いろは「わたし、葉山先輩に振られてから考えたんですけど」

八幡「ん?」

いろは「運よく付き合えたとして、どうなるのかなって」

八幡「葉山と一色ね…うまくいくんじゃねぇか?」

いろは「いえ…葉山先輩に対して、理想と現実のギャップとか出てこないかなって」

八幡「そういうことか」

いろは「はい、あと他の女子にも目つけられますし、それって楽しいのかなって」

いろは「そう考えると、本物って必ずしも良いとはいえないですよね?」

いろは「世の中、多少嘘も入ってないと」

八幡「お前は何歳の人間だ、早すぎるわ…」

いろは「というわけで、少し元気出ましたか?」




八幡「元気出してたのかよ…まあ、その…ありがとな」

いろは「先輩がお礼言うとか、気持ち悪い…」

八幡「俺って一体なんなの」

奉仕部 部室

雪乃「ねえ、一色さん」

いろは「はい、なんですか?」

雪乃「アドバイス、ありがとう」

いろは「え、アドバイス?ああ、デートのやつですか」

雪乃「ええ、昨日行ってきたのだけど」

八幡「…うまく行ったのか?」

雪乃「そうね、うまく行ったと言えなくもないわ」

八幡「そうか、よかったな…」

いろは「葉山先輩ですからね、うまくしてくれるでしょう」

結衣「そっか~もうデートにも行ったんだ」

八幡(なんだ?この微妙な気持ち?)

八幡(俺と雪ノ下は通じ合ってる…どこかでそう感じてたか?)

八幡(勝手にそんな期待して、馬鹿じゃないのか俺は)



雪乃「今日はこのくらいで終わりましょうか」

結衣「うん、そうしよ」


校門

八幡「…」

いろは「先輩、雪ノ下先輩待つんですか?」

八幡「待つっていうか、部室のカギ返したら、普通に来るだろ」

いろは「わかってないですね先輩」

八幡「ん?」


結衣「あれ、ヒッキー」

八幡「雪ノ下は?」

結衣「ゆきのんなら、サッカー部の方に」

八幡「…」

いろは「そうなりますよね」

結衣「隼人くんと帰ると思うから、あたし達は先に帰ろっか」

八幡「そうだな」

サイゼ

いろは「それで、またサイゼに来るあたり先輩のレパートリーの狭さというか」

八幡「ほっとけ」

いろは「しょうがないんで、わたしが色々な場所教えてあげます」

八幡「なに、その改造計画」

結衣「でもさ、驚いたよ~ゆきのんが隼人くんと付き合うなんて」

八幡「お前もそう思うか」

結衣「付き合うこと自体はいいんだけどさ、隼人くん周りのことに気を配ると思ってたけど」

いろは「付き合うにしても、もう少し他の女の子のこと考えますよね」

八幡(葉山らしくない、か)

八幡(葉山らしくないのは俺も思ってたな)

八幡(でも、なんとなく告白したあいつの気持ちがわかる気がする…)

八幡(『俺はそんなにいい奴じゃない』こんな言葉を前も言ってたしな)

八幡(あいつは、争わずに平穏を保つように行動できる奴だ)

八幡(雪ノ下に告白したということは…自分に正直になったと言えるかもな)


結衣「でさ、ヒッキーが元気ないのって、ゆきのんのこと?」

八幡「え?なんでそれ」

いろは「わかるみたいですね」

結衣「ゆきのんが隼人くんと付き合うのが気になってたんだ?」

八幡「気になってたというか…同じ奉仕部だしな。一応」

いろは「うわ~先輩。すごく無理がある言い訳ですよ?」

八幡「うるせぇ…」


結衣「…そんなに嫌なんだ」

八幡「え、なんて?」

結衣「あ、ううん。なんでもないよ」

いろは「でも、いいじゃないですか、先輩」

八幡「は?なにが?」

いろは「雪ノ下先輩のことは残念ですけど、幸い先輩には他にもいるわけで」

八幡「なにがいるんだよ」

いろは「彼女候補といいますか~☆」

八幡「久しぶりに見たよそのあざとい表情…」


八幡「第一、そんな候補いないだろ」

結衣「ヒッキー…」

いろは「サイゼにまず、女子二人つれて来てる時点でなんか変ですよ、そこから気づいてください」

八幡「言いたいことは分かったけどな…これは偶然というか」

カラン

雪乃「ごめんなさい、葉山くん。ここでよかったかしら?」

葉山「全然かまわないよ」

雪乃「なら、いいけど」


結衣「あ、ゆきのん…」

いろは「葉山先輩も」


葉山「あ、めずらしい組み合わせだな…それに、比企谷もいたか」

八幡「おう」

雪乃「あ、こんにちは」

葉山「お邪魔だったかな?」

八幡「それはこっちの台詞だ」

葉山「そんなことはないが…」

八幡「邪魔するのもあれだからな、俺はもう行くわ」


結衣「あ、じゃああたしも」

いろは「わたしも行きますね~それじゃあ葉山先輩、ごゆっくり」

葉山「ああ、それじゃあね、いろは」

雪乃「…」

スタスタ

いろは「先輩、いくらなんでもあれはないんじゃないですか?」

結衣「いろはちゃん…」

八幡「……」

いろは「先輩らしくないです~」

八幡「俺らしくないってなんだよ」

八幡(あいつらのツーショット見るのが辛いな…)

八幡(水族館で尾行してから…)


いろは「先輩、聞いてます~?」

八幡「聞いてるっての」

いろは「あからさまに態度に出すなんて、いつもはやる気のない先輩からは考えられないです」

八幡「まあ、俺らしくなかったな…」

いろは「いくら悔しいからって」

八幡「…」

結衣「やっぱり悔しいんだ、ヒッキー」

八幡(悔しいのか?俺…)

八幡「そんなんじゃねぇよ…ただ…」

八幡(俺じゃなかったのが、悔しいんだろうな…)

ではまた明日

数日経過

学校

八幡(教室での葉山は…いつも通りか)

戸部「隼人く~ん、部活終ったらさ、どっか寄って行かない?」

葉山「いや、予定があるからな」

戸部「ああ、そっか~わかった」


三浦「……」

結衣「あ、あははは」

八幡(あのグループも気まずい感じだな…戸部も知ってるんだろうけど)

八幡(三浦と由比ヶ浜も顔が笑ってないし)

海老名「…う~ん、この感じは」

八幡(海老名さんも難しい顔してるな)

八幡(しかし、葉山の奴どういうつもりなんだ?)

八幡(今日あたりでも聞いてみるか?)

八幡(…俺って女々しいかな…小町的にはポイント低そうだ)


放課後


八幡「葉山」

葉山「比企谷か、なにかな?」

八幡「この後、少し話せるか?」

葉山「君からそんなこと言うなんてめずらしいな」

-------------------------

葉山「それで、話ってなんだい?」

八幡「この後は雪ノ下と約束か?」

葉山「まあね」

八幡「そうか、毎日帰ってるよな」

葉山「俺達は歪だから…これでも悪戦苦闘してるさ、ちょっとの綻びで瓦解しかねない」

葉山「今は必死な時期なんだよ」

八幡「必死な時期ね…」

葉山「話はそのことかな?」

葉山「いや…最近お前のグループ、雰囲気悪くないか?」

葉山「…それは」

八幡「依頼じゃねぇよ」

葉山「そうか…」

八幡「…」

葉山「確かに、雰囲気は良くないな、おそらく俺が雪乃ちゃんと付き合ったからだろう」

八幡「お前らしくないな」

葉山「そんなことないさ、俺はこういうところもある。それを見せてなかっただけだ」

八幡「雪ノ下と付き合ったのも、そういうことなのか?」

葉山「そうだね。彼女に告白する時に言ったんだ」

葉山「『俺と純粋に付き合ってくれないか?』って、過去のことや、家のことは抜きにしてって意味でね」

八幡「…それって都合いい話だな、過去のこと水に流してってことだろ?」

葉山「ああ、だから俺はその代償に今までの自分を捨てることにしたんだ」

八幡「それが、本性見せるってことなのか?」

葉山「そうだ。こんなこと雪乃ちゃんからしたら、何にもならないけどね」

葉山「俺なりの覚悟というか、本性を彼女に見てもらいたいから。自己満足にすぎないが」

八幡「三浦は?あいつのこと利用してただろ、お前」

葉山「…すごい君は…」

葉山「正直、優美子を女の子避けとして利用してた面もあるしね…それに関しては悪いと思ってる」

八幡「俺に言うなよ…」

葉山「わかってる、優美子には正直に話すし、謝るよ」

八幡「雪ノ下は、その本性見せるって話で納得したのかよ?」

葉山「俺の覚悟が本物なら、付き合うのも考えると言ってくれたよ、向き合ってもいいと」

八幡「…じゃあ、お前はグループより、雪ノ下を優先するんだな?」

葉山「あれくらいのことで瓦解するグループなら必要なんかないよ」

八幡「本性見せたな、お前…」

葉山「でも事実だろ?」

八幡「まあ確かにな」

葉山「元々歪なグループだって君も以前、言ってたじゃないか」



八幡「ま、言ってたけどよ…」

葉山「これで、俺も君と同じ土俵に立てたのかな」

八幡「は?」

葉山「雪乃ちゃんに認められれば、君と同じ土俵に立てたことになるかもしれないってことさ」

八幡「…」

葉山「何を言ってるんだって顔してるな」

葉山「君は早く気付くべきだったな、自分の魅力というものに」

八幡「なに言ってんだよ…」

葉山「でも少し遅かったね、雪乃ちゃんは俺がもらう」

八幡「……!」

葉山「去年から君には劣等感を持ってたよ」

葉山「君の持つ魅力は俺にはないものだ、そして簡単に手に入るものじゃない」

八幡「お前の外見とかも同じじゃねぇか…」

葉山「これは芸能人の髪型、服装を真似すればできるさ」

葉山「身体づくりも鍛えれば可能だ、でも君の能力は違う」

葉山「それは才能というか、非常に鍛えにくい類のものだ」

八幡「なんだよそれ…意味わかんねぇ」

葉山「実際、いろはや結衣も君に惹かれてるしね」

八幡「あれは…」

八幡「たまたまとでも言いたいのか?そんなわけないだろう」

最後は八幡→葉山で

葉山「そして、雪乃ちゃんも君に惹かれてた」

八幡「……」

葉山「俺は嫉妬してたよ…だから、自分を捨てる覚悟で彼女に告白したんだ」

八幡「そういうことかよ…」

葉山「ああ、これからも君に負けるつもりはないし、他のことに関しても同じだけどね」

葉山「しかし、もう本性で生きて、平穏の中で生きることはやめることにするさ」

八幡「平穏が悪いみたいになってないか?極端だな」

葉山「無理につくるのはやめるって意味さ」

八幡「…」



葉山「俺が言うことはこれくらいだけど…なにか他にあるかい?」

八幡「今のところはねぇよ…なにもな」

八幡「お前の覚悟は…わかった…気がする」

葉山「そうか、よかったよ」

校門

いろは「せんぱ~い、どこ行ってたんですか~?」

八幡「なんでお前帰ってないの?」

いろは「先輩を待っててあげたんですよ、感謝してほしいです」

八幡「いや、別に頼んでないだろ」


雪乃「比企谷くん、そういうことは言うべきではないわ」

八幡「あれ、なんで雪ノ下がいるんだ?」

いろは「葉山先輩が見つからないんですって」

八幡「あ…」

雪乃「でも、今は見つかる気がするわね、行ってくるわ」

八幡「お、おう」

雪乃「比企谷くん」

八幡「なんだ?」

雪乃「私に言うこととかは、ない?」

八幡「…葉山とうまくやれよ」

雪乃「ありがとう、でもそれだけ?」



八幡「少しだけ、ほんの少しだけ…悔しかった…かも、な」

雪乃「そう…わかったわ」

スタスタ



いろは「先輩…あれだけでよかったんですか?引き止めないんですか?」

八幡「そんなこと俺がするわけないだろ、彼氏でもないのに」

いろは「う~ん、そうですけど…」

八幡「葉山と付き合って、雪ノ下もいい方向に変わればそれがいいんじゃないか」

いろは「先輩がそんなこと言うなんて…」

八幡「うるせぇ…」

八幡(葉山も雪ノ下と付き合う為に、今までの自分を変えようとしてるからな)

八幡(俺にそんなことできるか?)

八幡「由比ヶ浜は?」

いろは「結衣先輩なら、部室のカギ返してます」

いろは「というわけで、先に帰っちゃいましょうか!」

八幡「は?いや、その前になんでお前と抜け駆けしてるみたいになってんの?」

いろは「抜け駆けですよ、これは!」

八幡「いやいやいや…」

いろは「ほら、行きますよ先輩っ!しょうがないので、元気づけてあげますっ!」

八幡「いや、別に落ち込んでねぇし…」

いろは「強がりはいいです」

八幡「なんなの、これ…」

八幡「…」

八幡(一色が慕ってくれるか…いや、俺も考えてなかったわけじゃねぇけど…)

八幡(それに由比ヶ浜も…考えてみたら、それらしき場面もあったか…)

八幡(まさか、葉山にそれを言われるとは思わなかったけど)

八幡(なんか、すげぇ悔しい…)

いろは「ほらほら、こっちですよ先輩っ!」

八幡「引っ張るなよ…!」

八幡(もしかしたら、俺も変わる必要があるのかな…ちゃんと向き合っていく必要が…)

八幡(そうじゃないと、また後悔することになりそうだ…)


八幡「一色」

いろは「なんですか?」

八幡「「俺も少し考えて行くわ」

いろは「何をですか?」




八幡「色々だ」

八幡(別に焦る必要はないだろうが…考えて、向き合っていくか)

八幡(俺も葉山には負けたくないしな…)


八幡(俺ってこんな熱いこと考える奴だったか…?もうようわからん)


おわり

ありがとうございました、終わりです^^

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年07月06日 (月) 18:34:26   ID: NxzueGnc

このあとゆきのんとヒッキーくっつくんじゃないのかよ葉山とゆきのんくっつけんなクソ野郎

2 :  SS好きの774さん   2015年08月18日 (火) 00:07:45   ID: iE0t2aMr

ここで終わんなハゲ。
ゆきのんはヒッキーとくっつかなきゃ面白くねぇだろ。絶対続編書けよな

3 :  SS好きの774さん   2016年06月14日 (火) 10:50:29   ID: GaoH6_3C

消化不良感半端無いな
いろはとくっ付けさせるか葉山から雪ノ下をntrくらいやれよ

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