本田未央「プロデューサーとのごはん」 (1000)

P「お疲れ、未央」

未央「やみのまー……ふぅ」

P「……本当に疲れているみたいだな」

未央「うん……ここまで頑張ったんだから、ご褒美がほしいなー……チラッ」

P「チラッ、って自分で言うか?」

未央「だってほしいんだもん」

P「はぁ……何がいい?」

未央「んー……あ、お腹が空いてるから、何か食べに行きたいかも。何でもいいから、さ」

P「……本当に何でもいいのか?」

未央「おおっ、プロデューサー、乗り気? これはもしかして、連れて行ってくれちゃう感じ?」

P「ああ。ちょうど俺も食べに行きたい頃だったんだよ。……女の子を連れて行く、っていうのは我ながらどうかと思うが」

未央「いいよいいよ。私とプロデューサーの仲でしょ? 今更そんなこと気にする必要ないよ。行っちゃお行っちゃおー!」

P「未央がいいなら、行くか」


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――

未央「……で、ここは」

P「ん、ラーメン屋だな」

未央「……本当に女の子を連れて行くのはどうかってところだね」

P「お前がどこでもいいって言ったんだろ?」

未央「確かに言ったけどさー……まあ、私はいいんだけど、他の女の子を連れて行ったりしちゃダメだよ?」

P「……い、行かないに決まってるだろ」

未央「……その反応、もしかして、もう誰かを連れてきちゃったことある?」

P「……ちひろさん」

未央「二人きりで?」

P「うん」

未央「ちひろさんはどんな反応だった?」

P「怒られた」

未央「そりゃそうなるよ……プロデューサー、バカなの?」

P「いや、だって……ちひろさんも『どこでもいい』って言ったんだぞ? それなのに……」

未央「いやいや、『どこでもいい』って言っても限度はあるでしょ……」

P「そういうもんかなぁ」

未央「そういうものだよ」

P「……未央、やっぱり他の店にするか?」

未央「んー……いいよ。プロデューサーはここで食べたいんでしょ? 確かに花も恥じらう女子高生をラーメン屋に連れて行くとかどうかと思うけれど……私もラーメン、好きだしね。むしろこういう機会じゃないと入りにくいし?」

P「あんだけ言っといていいのかよ」

未央「だから、他の女の子とは、だって。私はいいし……他にもいいって子は居ると思うよ? ただ、誰が大丈夫で誰が大丈夫じゃないかは私もわかんないけどね」

P「そうか……まあ、いいなら食べるか」

未央「うん。食べよ。もうお腹、ぺこぺこだし」


――店内

未央「ここ、地元では見たことないけど、東京では割りと見るね。どういう感じのお店なの?」

P「千葉にはないのか?」

未央「んー、どうだろ。私は見たことないけど、どこかにはあるのかも」

P「……っと。ないみたいだな。ちょっと検索してみたが、見当たらない」

未央「えー……それじゃあ、おいしかった時にまた食べに行きにくいじゃん」

P「ここらへんならいくらでもあるから大丈夫だろ」

未央「まあ、そっか。でも、女の子一人じゃあ……」

P「あー……そうだな、ここは京都に本店があるから、紗枝や周子、夏美さんに……雪美、はさすがにダメかな。まあ、そういう京都出身の人を誘ったらきてくれるかもしれないぞ」

未央「へぇ、京都に……なんか、京都って『和』のイメージがあったから意外かも」

P「割りと京都発のラーメン屋ってのは多いけどな」

未央「そうなんだ……実は紗枝はんがラーメン大好きっ子っていう可能性も?」

P「もしかしたら、あるかもな……」

――

未央「それで、ここのラーメンは何を頼めばいいのかな? 『あっさり』と『こってり』があるみたいだけど……どっちが良いの?」

P「有名なのは……というか、普通は『こってり』だな。ここに来たら『こってり』を頼め、ってくらいには『こってり』が有名だ」

未央「へぇー……それじゃあ、私も『こってり』を頼んでおけばいいのかな?」

P「いや、そうとも限らない。ここの『こってり』は好き嫌いがわかれる。だから、とりあえず『あっさり』を頼むというのも手ではあるな」

未央「えー……でも、ここと言えば『こってり』なんでしょ? それじゃあ、『こってり』を頼むべきなんじゃないの?」

P「それはそうなんだが……あ、そうだ」

そんな時こそこっさり

未央「? どうしたの?」

P「俺はどうせ『こってり』を頼むから、それを食べるか? 口に合えば交換するし、な」

未央「えー……そんなこと、私、恥ずかしくてできないっ」

P「で、どうするんだ?」

未央「私が『あっさり』を頼むからプロデューサーは『こってり』を頼んでよ。でも、『こってり』の方がおいしかったからって交換するのはちょっとプロデューサーに悪いかも」

P「なんでだ?」

未央「だって、プロデューサーは『こってり』を食べたいんでしょ? それなのにもらうっていうのは、さすがの未央ちゃんも気が引けちゃうよ」

P「問題ない。たまには『あっさり』も食べてみたくなるんだよ。ただ、一人で来るとなったら『こってり』を頼んでしまうだけでな」

未央「……もしかしてプロデューサー、そのために私と一緒にここに来た?」

P「……想像に任せる」

未央「もー……それじゃ、注文しよっか。すみませーん!」


――

未央「それではきました、『こってり』と『あっさり』。それに餃子が一人前」

P「なんだそれ」

未央「レポーターさんの真似? というか、女の子が一緒に居る時に餃子を頼むとは……プロデューサーはとことんダメだね」

P「なんでだよ……餃子、うまいだろ」

未央「確かにおいしいけどさー……ほら、口、臭っちゃうじゃん?」

P「……だからちひろさんは餃子に手を付けなかったのか」

未央「ちひろさんと一緒に来た時にも餃子頼んじゃったんだ……」

P「ラーメンと餃子、それにビールってのが……いや、なんでもない」

未央「餃子じゃなくてチャーハンだったらまだいいんだけど、餃子はねぇ……」

P「そのラーメン屋は餃子がうまい店だったんだよ……」

未央「あ、ここじゃないんだ」

P「まあな。ここならチャーハンもかなり良いんだが……個人的に、俺はラーメンを食べる時はチャーハンよりも餃子派なんだよ」

未央「そうなんだ。べつにどうでもいいけどね」

P「ひどいな。……じゃあ、食べるか。いただきます」

未央「うん、いただきまーす」


――

未央(んー……ラーメン、か。食べるの、結構久しぶりかも)

未央(わざわざプロデューサーが連れてきてくれた店だけど……どうだろ? おいしいのかな?)

未央(ま、食べてみなくちゃわからないよね。では、まずスープから……)ズズ…

未央「……んー」

未央(おいしいけど、思ったほどじゃない、かも? なんか、『普通においしいラーメン』って感じ……でも、プロデューサーは『こってり』こそがここのラーメンみたいなことも言ってたし、これは当然のことなのかも)

未央(あと、『あっさり』って割りにそこまで『あっさり』してない。味がかなりしっかりしてる。これが『あっさり』……『こってり』って、どんなのなんだろう)

未央(っと、スープだけで決めちゃだめだよね。それでは、麺を……)チュルチュル

未央「……おっ」

未央(おいしい。スープだけではそこまで感じなかったけど……麺を食べるとかなりおいしい。私、これくらいの硬さの麺が好きかも)

P「どうだ? 未央」

未央「おいしいよ。そうだね……ラーメン界の王道、みたいな?」

P「普通の味、ってことか」

未央「えー……それ、さすがに曲解し過ぎじゃない?」

P「かもな。ま、おいしかったならそれでいい。じゃあ、こっちも食べてみるか?」

未央「うん。あー……」

P「……何してる?」

未央「え? あーん、ってしてくれるんじゃないの?」

P「するわけないだろ」

未央「えー、つまんないなぁ」

P「そんなこと言って、本当にしたら恥ずかしがるだろ」

未央「……そんなことないですよ?」

P「絶対嘘だろ」

未央「むー……それじゃ、試してみなよ!?」

P「誰がやるか。ほら、自分のレンゲと箸を使って食べろよ」

未央「なんか釈然としないけど……じゃあ、いただきます」

未央(……ほほう、これはもう、見た目からして違いますなぁ)

未央(『こってり』って話だけど……これ、もう『とろーり』なんて言った方がいいんじゃない? レンゲでちょっとすくっただけで)トローリ

未央(思った通り、この有り様ですよ。……これ、大丈夫なのかなぁ?)

未央(でも、食べてみなくちゃ始まらないよね。……では、一口)ズズ

未央「……んー!」

未央(こっ……これ、すごい! めちゃくちゃ濃いけど……おいしい! こんなラーメン、食べたことないかも……これはプロデューサーがハマるのも、わかるかもしれない)

未央(じゃ、じゃあ次は麺を……)チュルチュル

未央「……おおー」

未央(おいしい……。麺とスープがすっごく絡んでて……クリーム系のパスタみたいな? とにかく、おいしい……)

未央(でも、『好みがわかれる』って気持ちもわかるなぁ……私は大丈夫だったけど、これ、ダメな人はダメなような気がする。勝手なイメージだけど、しまむーとかしぶりんはダメなような気がする。逆にあーちゃんとか茜ちんはなんか大丈夫なような気がする)

未央(んー……あと、は)

未央「プロデューサー」

P「ん?」

未央「ネギ、ちょっともらってもいい?」

P「いいぞ。俺も未央のネギもらってるしな」

未央「あ! いつの間に……人のラーメンの具を食べるなんて、鬼? 悪魔? それともちh」

P「チャーシュー食べてないだけマシだろ」

未央「もー……じゃ、遠慮なくいただくからね」

P「おう」

未央(と、いうことで、結構乗せられているネギを……)パクリ

未央「ほぉ……」

未央(おいしい。なんか特別なネギが使われていたりするのかな? でも、ただ『ネギ』がおいしいわけじゃなくて、このラーメンと一緒だからおいしいのかも……)

未央(うーん……これは、思った以上においしいかも)

P「で、どうだ?」

未央「え?」

P「味。『こってり』、大丈夫だったか? って、その反応を見る限り、大丈夫そうだけどな」

未央「うん……思ったよりおいしいよ。食べたことない感じ。なんか、すごく、くるね」

P「だろ? それが良いんだよなぁ……疲れていて、腹が空いている時に、これを食べる……最高だろ?」

未央「うん、最高かも……プロデューサーの言った通り、好みはわかれるだろうけどね」

P「ああ。凛や卯月は苦手なような気がする。勝手なイメージだけどな」

未央「」プッ

P「? どうした、未央?」

未央「……ううん、なんでもない。ただ、考えることは同じだな、と思ってね」

P「……よくわからんが、そうか」

未央「うん、そうなの。でも、おいしかったから通っちゃうかもなー……」

P「アイドルなんだから通うな。太るぞ」

未央「……そんなところにアイドルを連れて行ったのは誰なんですかね?」

P「……で、感想は上々とのことだが」

未央「あ、流した」

P「……それで、未央。もう一回『あっさり』を食べてみろ」

未央「え……あ、やっぱりプロデューサー、『こってり』の方が良いの?」

P「そういうわけじゃなく……食べてみろ」

未央「……うん、わかった」

未央(うーん……確かに『あっさり』もおいしかったんだけど、『こってり』を食べた後だと、なんか物足りないような気がするなぁ……)

未央(でも、『あっさり』もおいしかったことは確かだし……うん、仕方ないね)

未央(じゃあ……)ズズ…

未央「ん!?」

未央(うわ……なんだろ、これ……さっきと全然印象が違う?)

P「おっ、その顔……未央も、これ、好きか?」

未央「……うん。なんだろ。さっきよりも、ずっとおいしい」

未央(そう……本当に、おいしい……『あっさり』している……)

P「そうだよな。これくらい『こってり』の後だと、この『あっさり』でも本当に『あっさり』に感じる。これを『物足りない』ように感じる人も多いと思うが……俺はこの『こってり』の後の『あっさり』ってのが好きでなぁ……一人ではちょっとキツイが、二人以上で来る時はこれをしたいんだよ」

未央「プロデューサー……やっぱり、自分がしたかっただけなんだね」

P「でも、未央も満足しただろ?」

未央「まあね。プロデューサー、こんなにおいしいお店を教えてくれてありがとね☆」

P「どういたしまして」


――店外

未央「――ごちそうさまでした、っと」

P「結局、未央も餃子を食べてたな」

未央「だって、プロデューサーがすっごくおいしそうに食べるんだもん……」

P「……未央、未央」

未央「ん? 何、プロデュ――」

P「」ハァー……

未央「うわっ! ちょ、プロデューサー、息をにおわせるとかやめてよー……」

P「ふっふっふ……今、未央も同じにおいをさせてるんだぞ?」

未央「それ、言っちゃう? というか、私はプロデューサーと違ってアイドルだもん。息はくさくないよ」

P「いやいや、わからないぞ? 今日帰る途中の電車とか、周りからくさいって思われるかもしれないぞ?」

未央「ちゃんとブレスケアくらいするよ……私、これでも女子高生ですよ? 持ち歩いてないわけないでしょ」

P「? じゃあ、どうしてまだやらないんだ?」

未央「それは……あの、ちょっと恥ずかしいから、耳、寄せてよ」

P「は? ……べつにいいが」

未央「」ハァー…

P「ブッ……未央、お前」

未央「あはは。引っかかったー☆」

P「……お前、アイドルなのに何をしてるんだよ」

未央「えへへー……でも、現役女子高生アイドルの息だよ? 嬉しいでしょ?」

P「餃子食った後じゃなかったらな」

未央「んふふー……先にやったのはプロデューサーだからね。文句を言われる筋合いはないよ」

P「それを言われると返す言葉もないな……」

未央「でも、本当においしかったなー……通うのはなしにしても、また来てみたいな」

P「そうか。気に入ってくれて嬉しいよ。でも、一つだけ注意したいことがある」

未央「なに?」

P「他の店だと『こってり』がこんなもんじゃない可能性がある。割りと店舗によって違うんだよ、ここ。キツイところはスープが本当に『ドロドロ』ってこともあるからな。俺はそういうのも好きだが……ここと同じ感じだと思って頼むと面食らう可能性がある、って覚えておいてくれ」

未央「へぇ……でも、食べてみたいかも」

P「いや、アレは本当に強烈だからなぁ……そもそも狙い撃ちってのはなかなかできないしな。俺が知ってる店は俺の地元だし」

未央「あー、そっかぁ……まあ、そういうのは行ってみて試してみるものだよね」

P「そうだな。また、他の店に行った時に、だな。俺が一緒ならまた今回みたいにするか?」

未央「うん、そうしよっかな。その前に紗枝はんとかと行ってたりするかもだけど」

P「紗枝がここを好きじゃなかったら?」

未央「んー……誰か他の子を誘っていくかも。でも、プロデューサーとっていうのが最有力かな」

P「そうか……まあ、俺はいいが」

未央「おっ、いいの?」

P「複数人で食べに行くってのは一人じゃあできないこともできたりするからな……だが、ここだけでいいのか?」

未央「? どういうこと?」

P「他の店にも行きたくはないか、ってことだ」

未央「……連れて行ってくれるの?」

P「ああ」

未央「……プロデューサー、本当にプロデューサー?」

P「なんだよ、それ……俺が俺以外の誰に見える」

未央「いや、なんか、優し過ぎるような気がして……」

P「失礼な奴だな……さっきも言ったが、俺のためでもあるんだよ」

未央「かわいいアイドルと一緒にごはんを食べれる、とか?」

P「……まあ、それもないとは言わない」

未央「それはそれは……プロデューサーとして、どうなのかなー?」

P「じゃあ連れて行かない」

未央「待って待ってごめんごめん連れて行って下さいお願いします」

P「ああ。じゃ、次どこに行くか考えとくよ」

未央「……なんか、プロデューサー、楽しそうだね」

P「んー? まあな」ウキウキ

未央「私よりも楽しそうなんだけど……べつにいいけど。じゃ、期待してるからね、プロデューサー」

P「おう、期待してくれ」



これにていったん終了です。
>>7で言われているように「こっさり」という選択肢もあったんですが、恥ずかしながら「こっさり」を食べたことがないためにこのSSではないものとして扱ってしまいました。申し訳ありません。

このSSはこのように未央とごはんを食べたい妄想SSとなります。
今回「ラーメン」を選んだのはしばしば「未央はラーメン屋に連れて行っても大丈夫そう」と言われているからです。それを見て未央とラーメン食べに行きたくなったので書きました。
今のところ不定期で続ける予定ですが、ひとまずは、ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係ありませんがデレアニ第三巻のジャケットの未央かわいすぎますね。

改めてありがとうございました。

――事務所

TV「――屋!」

P「……久しぶりに、食べたいなぁ」

ちひろ「? どうしたんですか? プロデューサーさん」

P「いや、何でもありません。……ちひろさんは、この後」

ちひろ「楓さんたちと飲み会ですね♪ プロデューサーさん、やっぱり来ますか?」

P「いえ、俺は明日早いんで」

ちひろ「そうですか……残念です」

P「俺も残念ですよ……」

P(本当に残念だが……仕方ない。今日は独りで――)

未央「たっだいまー!」

P「!」

ちひろ「あ、おかえりなさい、未央ちゃん。……でも、どうして? 今日はもう終わったはずだけど……」

未央「いや、ちょっと事務所に忘れ物をしちゃいまして……誰も居ないなら帰ったんだけどね」

ちひろ「何を忘れたの?」

未央「明日提出の宿題、かな」

ちひろ「……未央ちゃん」ジトー……

未央「だ、だから取りに来たんじゃん。私、これでも成績優秀ですからね?」

ちひろ「でも、こんな時間に女の子が……」

P「ちひろさん、まあ、いいじゃないですか」

ちひろ「プロデューサーさん?」

P「未央は確かに忘れ物をしましたが、しっかり取りに来ました。こんな時間とは言っても、まだ人は大勢出歩いている時間です。そこまで心配することじゃないですよ」

ちひろ「でも……」

P「大丈夫です。帰る時は俺が送りますから。……ってことで、未央、悪いがちょっと待っててくれ」

未央「え、うん、いいけど」

ちひろ「……ハァ。プロデューサーさん、帰って下さい」

P「ちひろさん……?」

ちひろ「アイドルを待たせるわけにはいきませんからね。……残りは私がやっておきます。だから、先に帰って下さい」

P「ちひろさん……ありがとうございます」

ちひろ「どういたしまして。……じゃあ、また明日、よろしくお願いしますね」

P「はい、また明日、よろしくお願いします」


――

未央「ねぇ、プロデューサー、よかったの?」

P「またお礼はするよ。ここはご厚意に甘えてさせてもらおう」

未央「でも、私のせいで……悪いことしちゃったなぁ」

P「そこまで仕事が残っていたわけじゃないから気に病むな。それに、ちひろさんはこの後楽しい楽しい飲み会だからな……」

未央「? プロデューサーは行かないの――って、もしかして、私のせいで……?」

P「違う違う。未央が来なくても俺は行けなかったんだよ。まったく、俺は明日も早いってのに……あの面子じゃあ、いつまでやるかわからないからな」

未央「あの……ご愁傷様?」

P「だから、俺としては未央が来てくれて助かったんだよ」

未央「? どうして?」

P「――っと、その前に聞いておかなくちゃいけないな。未央、夕食は?」

未央「時間がなかったから、まだ、食べてないけど……」

P「で、今日は寮に泊まるつもり……だったよな?」

未央「うん。……まだ電車は残っているけれど、今から帰るとなるとかなり遅くなるからね。今日は泊まらせてもらって、明日の朝、帰るつもり」

P「よし! それじゃあ、行くか!」

未央「どこに?」

P「社会人の味方のところに、だ」


――店の前

未央「で、ここは……」

P「牛丼屋、だな」

未央「……前はラーメンで、今度は牛丼? プロデューサー……」

P「仕方ないだろ。この時間だしな。まだ夕食を食べていないお前が悪い」

未央「仕方ないじゃん。仕事から帰った時点で寮の食堂も閉まってたんだし」

P「お前、それじゃあ今夜はどうするつもりだったんだ?」

未央「……コンビニで何か買おっかなー、と」

P「アイドルがコンビニ飯って……いや、コンビニ飯もそれはそれでいいかもなぁ……」

未央「どっちなの……?」

P「たまになら良いな。未央はできるかぎりやめておけよ?」

未央「さすがにめったにしないよ……」


――店内

未央「でも、牛丼かぁ……」

P「もしかして初めてか?」

未央「女子高生で来たことあるって子の方が少ないんじゃないかな」

P「そうか……でも、初めて、か」

未央「初めてだったらなんなの?」

P「いや、なんでもない。それで、何にする?」

未央「プロデューサーのオススメは?」

P「やっぱり牛丼だな。他のも頼みたくはなるが……やっぱりコレなんだよなぁ」

未央「それ、前のラーメン屋さんでも言ってなかった?」

P「そういうもんってことだな」

未央「そういうもの、なの?」

P「ああ。たまに冒険もしたくなりはするけどな。気分による。今日はいつものって気分だからいつものを頼む……って調子でな」

未央「へぇ……」

P「ま、人によるだろうけどな。で、未央、どうする?」

未央「まあ、私はよくわからないし、プロデューサーのオススメに従っておくよ」

P「そうか。じゃ、すみませーん」


――

未央「そういえば、牛丼屋さんってすごく早く来るって聞いたけど、ホント?」

P「んー……まあ、そうだな」

未央「どれくらい?」

P「たぶんもう来る」

未央「え」

店員「お待たせしましたー。牛丼並盛と特盛です」

P「ありがとうございます……ほらな?」

未央「……ファーストフード?」

P「そうだぞ? 逆に何だと思ってたんだ?」

未央「……牛丼の店」

P「正しいな」


――

未央(で、予想以上の速度で運ばれてきたわけですが……)

未央(……うん、牛丼だ。牛丼以外の何物でもない)

未央(かなり身近だけど、食べたことなかったんだよね。どういうものかは知っているつもりなんだけど……)

未央(でも、プロデューサーが連れてきてくれたわけだし……まずいってことはないよね?)

未央(でも、この値段と、速度……これでおいしいっていうのは……)

未央(……いやいや、プロデューサーを疑うなんてしちゃダメだ。食べる前から決めつけちゃダメだよね)

未央(そもそも、他のファーストフードだっておいしいし……うん、ここもおいしい! そうに違いない!)

未央(……って、考えたいんだけれど、どうだろうなあ)

未央(においも、割りと独特だし……うーん)

未央(……ま、食べなくちゃわからないし、食べよう)パクッ

未央「……え!?」

未央(な……なにこれ!? おいしい!? ……え、こんなに……こんなにおいしいの!? こんなにおいしいものがこの値段と早さで……? 何か間違ってるんじゃない!?)

P「その顔……未央、お前、わかりやすいな」

未央「いや、でも……これ、おかしくない? ちょっと、思ってたのよりもおいしすぎる……」

P「だよなー。初めて食った時はそうなるよなー。俺も初めてここの牛丼を食べた時は『ここまでうまいものがこの世界に存在していいのか』って思ったからなー」

未央「それで、この安さで、この早さで……ぷ、プロデューサー。これ、なにか危ないものとか……」

P「たぶんないよ。俺も初めて食った時はちょっと疑ったけどな……」

未央「でも、これ……これ!」

P「うまいよなぁ……今でもうまいと思うが、初めて食った時は本当に……。未央、早く食べなくていいのか? 冷めるぞ?」

未央「そ、それもそうだね……」

未央(……でも、これ、本当においしい……)

未央(なんだろう……本当に、一口食べた瞬間にガツンときた……)

未央(……はしたないけど、がっついちゃう)

未央(……これは、危ない食べ物かも)


――

未央「……もう、食べ終わっちゃった」

P「ほとんどがっついてたな」

未央「だっておいしいんだもん……というか、プロデューサーだってがっついてたじゃん」

P「やっぱりたまに食べるとうまくてなぁ……それに、俺はアイドルじゃないからがっついてもいい」

未央「それ、ズルいなぁ……」

P「しかし、今回も未央はうまそうに食べてたな……見てるこっちがうれしくなるくらいに」

未央「おいしかったからね。……こここそ、安いし、通っちゃうかも」

P「やめとけ」

未央「やっぱり? 確かに、毎日食べてたら太りそうだしね」

P「そういう意味じゃない。ここは確かにうまいんだが、毎日食べるとさすがに飽きる。ソースは俺だ」

未央「プロデューサー、したんだ……」

P「ああ。だってこんなにうまいんだぞ? そりゃ、毎日食べるだろ」

未央「うわぁ……」

P「その時期には色々と頼んだなぁ……それで『つゆだく』とか『ねぎだく』とか『とろだく』とか色々したんだが……結局、ノーマルに落ち着いたんだよなぁ。なんだかんだでノーマルがいちばんうまいと思うんだよ」

未央「……その『つゆだく』とかって、何?」

P「ああ、わからないか。『だく』っていうのは、まあ、『多め』とかそういう意味……なんじゃないか? 『つゆだく』だったら汁多め。『ねぎだく』だったらねぎ多め。『とろだく』だったら脂身の多い肉多め、ってな感じでな」

未央「へぇ……そういうのもやってみたいかも」

P「まあ、やってみるのもいいかもしれないな。でも、あんまり来るなよ? たまに、だ、たまに」

未央「……そっちの方が、おいしいから?」

P「その通り。よくわかってるな」

未央「あんだけ言われたらさすがにわかるよ」

P「でも、おいしいって言ってくれてよかったよ。なんか、自分の好きなものにこんだけよろこんでくれると『俺も生きていていいんだ』って気持ちになるよ」

未央「……プロデューサーは生きていてもいいよ」

P「おおう、今の破壊力高いな」

未央「そう? ……プロデューサー、生まれてきてくれてありがと♪」

P「ぐっ……未央、お前ってやつは……」

未央「んふふー……嬉しかった?」

P「最高だ」

未央「やったー♪」

P「だから……ちょっと、ご褒美だ」

未央「え?」


――

未央「で、ご褒美っていうのは……それ?」

P「ああ。嬉しいだろ?」

未央「……いや、確かに好きだけど……牛丼のあとにこれ、いいの?」

P「大丈夫だろ」

未央「トレーナーさんに怒られても知らないよ?」

P「じゃあやめとくか?」

未央「食べまーす♪」

P「じゃ、ほら」パキッ

未央「はーい。……でも、これを二人で……なんか、恋人みたいだね」

P「おいアイドル」

未央「えへへ……ごめんなさい☆ でも、男心、くすぐられたでしょ?」

P「……正直、な」

未央「というか、アイドルに対してこういう二人で分けるアイスを買ってくるのが悪いんだよー……確かにおいしいんだけどさぁ」

P「お、未央も好きか? 俺も好きだ。たまに買ってきて食べるんだが、おいしいよなぁ……。最初の方はかたくてなかなか食べれないんだが、手でむりやり溶かして、それで食べていく……『コーヒー』の味をしてるかっていうと微妙だが、このアイスとかの『コーヒー』の味って好きなんだよ。それがこの値段で食べることができる……最高だ」

未央「そこまで……? 前から思ってたけど、プロデューサーって割りと食に熱いよね」

P「アイドルほどじゃないぞ?」

未央「おおぅ、そうきますか……」

P「未央のこととか、本当に熱いからな。いくらでも語れるって感じだ」

未央「……さすがに恥ずかしいから、語らないでよね」

P「俺も恥ずかしいから語らないよ」

未央「……そう言われると、語って欲しくなっちゃいましたねー」

P「そうか? まず未央。お前の最大の魅力は明るさだな。『人を楽しくさせる天才』だ。お前を見てると元気が出てくる。それと――」

未央「……ちょ、ちょっと、プロデューサー。もうやめて」

P「あと数時間は語れるが」

未央「さすがにやめて……」


――女子寮前

未央「……プロデューサー、送ってくれてありがと」

P「寮だからな、そこまで遠くないし気にするな。というか、今日はむしろ俺が付き合ってもらったようなもんだからな」

未央「確かに、ね……でも、私もあんなにおいしいものをごちそうになったんだから、感謝しないわけにはいかないよ」

P「牛丼でそこまで感謝されても困るが……感謝するなら俺よりちひろさんに感謝してやってくれ」

未央「……それもそうだね。天使様女神様ちひろ様。ありがとうございます。この御恩はいつかプロデューサーが必ず返します」

P「俺かよ」

未央「プロデューサーが返すんでしょ?」

P「まあ、そうなんだけどな」

未央「しっかり考えないとダメだよー? 私みたいに、ラーメン屋や牛丼屋に連れて行ったりしちゃダメなんだから」

P「当然、それくらいは考えてるさ。……でも、未央」

未央「え?」

P「未央のことも、考えてないわけじゃあないからな」

未央「……うん。わかってるよ、それくらい」

P「そうか。なら良かった」

未央「うん……プロデューサーの気持ち、ちゃんと伝わってるからね☆」

P「……なんか間違った風に伝わってるような気もするが、ま、明日も早いし、そろそろ、な」

未央「うん……じゃ、またね、プロデューサー。おやすみなさい」

P「ああ。おやすみなさい、未央」



これにて今回は終了です。
ここの牛丼屋に初めて行った時は本当に「ここまでおいしいものがこの値段で……!?」と思いました。
もちろん今でもおいしいとは思っているんですが、初めて食べた時の衝撃が強すぎて……。

あと、B級グルメが多くなるとは思いますが今のところ特に縛りなどは設けていません。とにかく未央と食べに行きたいものを書いていきたいです。
ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSと関係ないですがかな子ガチャやばいですね……かな子Pはおめでとうございます。がんばって下さい。

改めてありがとうございました。

未央「お肉が食べたい」

P「は?」

P「いきなりなんだ? 未央」

未央「なんだか、お肉が食べたくなりまして」

P「連れて行けって?」

未央「お願い……できる?」

P「まあ、俺も行きたい……というか、言われたら食いたくなってきた。行くぞ」

未央「はーい♪ ありがと、プロデューサー」

P「どういたしまして」

P「でも、どうして肉なんだ?」

未央「いや、前にデレラジメンバーがお肉を食べに連れて行ってもらったみたいじゃん?」

P「……すまん」

未央「すまんって何? べつにいいよ。三人はラジオでがんばってるんだし、ご褒美くらいはあっても」

P「……めったに行かないから」

未央「デレパはまったく行かないけどね!?」

P「うっ……い、いつか二人もどこかに連れて行くよ」

未央「デレラジ組は割りと良いところに連れて行ってもらったみたいですけど?」

P「……割りと良いところに連れて行くよ。二人がよろこぶようなところに」

未央「よろしい……って、リーナには悪いけど、私は今日もプロデューサーとごはんだけどね☆」

P「……李衣菜が好きそうなところに連れて行ってやろう」

未央「でも、しまむーたちの話を聞く限り、本当に良いところだったみたいだね」

P「実際、かなり良いところだったからな……今月は節約しなくちゃならん」

未央「そこまで良いところに……羨ましいなあ」

P「さすがにあそこまで良いところってなると、年に数回……いや、一回でも行けたら上々だな」

未央「しぶりんまで『おいしかった……』なんて言ってたからね。しぶりんが食べ物であんな顔するなんて、見たことないよ。……あんな顔されて、その話をされちゃったら、そりゃ、お肉も食べたくなっちゃうよ」

P「だから、今から行くんだろ?」

未央「お高いところに?」

P「……おいしいところに」

未央「うん。それならいいでしょう」

P「何様だ」

未央「未央ちゃんだよ☆」

P「……そうだな」

未央「……あの、スルーされるとキツイんだけど」

P「なら最初からするな」

――店の前

未央「あ、ここかー」

P「お、知って……というか、来たことあるか」

未央「うん。おいしいよね。私も好きだよ」

P「そうか……なんか複雑だな。知らないところに連れて行ってやりたかったような気もするが」

未央「いいよいいよ。私もここを見ちゃったら、一気にここの口になっちゃったしね」

P「……まあ、俺もここの口になってるからな。肉が食いたいってなると、俺はここなんだよなぁ……」

未央「焼肉とかじゃないんだね」

P「焼肉もいいんだが……ここのハンバーグ、好きなんだよ」

未央「私も好きだけどね……プロデューサー、ハンバーグ、好き?」

P「かなり好きだな。なんならステーキとかより好きだ」

未央「へぇ……ハンバーグが好きっていうと、みくにゃんとらんらんが思い浮かぶね」

P「そういえばあの二人も好きだったか……また、あの二人を連れてきてもいいかもな」

未央「だね」

――店内

未央「……何回見てもすごい店だよね。すごい雰囲気」

P「初めて来た時はびっくりしたよな……今ではもう慣れたが、改めて見るとすごい内装だ」

未央「雰囲気あるよね……こういうのって、味にも影響するのかな?」

P「するだろうな。海の家とか出店とかで食う焼きそばがうまいみたいなもんだ」

未央「あー……なんか、わかるかも」

P「で、何にする?」

未央「んー……何にしよっかなー。プロデューサーは?」

P「パインバーグディッシュだな。ここに来たらこれだろ」

未央「……え? マジで?」

P「……どうした、未央。お前もここに来たことあるんだったら頼んだことあるだろ?」

未央「ないよ……逆にどうして私がこれを頼んだことがあるって思ったの?」

P「未央は頼みそうだからな」

未央「それ、褒めてる?」

P「褒めてるかどうかは微妙だが、未央は俺と同じで、変なものがあったら頼みたくなるタイプだろ?」

未央「やっぱり変なものなんだ……まあ、確かに気になってはいたけどね」

P「じゃあ頼むか?」

未央「どうしてそうなるの……変なもの、なんでしょ?」

P「俺も初めはそう思っていた。だが、今はもうここに来るとほとんど確実にこれにするってくらいにはうまいぞ?」

未央「本当においしいの?」

P「俺は好きだ、としか言えないな。……そうだな、無理だったら未央の分も食ってやるよ。それから、未央は他のやつを頼めばいい。それでどうだ?」

未央「……じゃあ、そうしようかな」

P「よし、決まりだな。すみませーん」


――

店員「お待たせしました、イカの箱舟でございます」

P「ありがとうございます……で、来たな」

未央「来たけど……これ、何?」

P「イカの箱舟」

未央「なんで頼んだの……?」

P「いや、一人だと頼むのをためらうんだが、二人なら、と思ってな。というか、未央、これも食べたことないのか」

未央「うん……これ、おいしいの?」

P「おいしくないものを頼むとでも? というか、においからしてうまそうだろ? バターと醤油。このにおいをかいでうまそうと思わない日本人は少ないだろ」

未央「確かにおいしそうなにおいだけど……マヨネーズ、かかり過ぎじゃない?」

P「それがうまいんだよ」

未央「……太りそう」

P「じゃあ食べないのか?」

未央「…………食べないっ」

P「そうか。なら俺がもらおう」パクッ

P「……うん、やっぱりうまいな! イカと和風マヨネーズ、それにこのタレ……口に入れた瞬間に『うまい!』ってわかる。強烈だ。『ヤミツキ』っていうのはこういう料理のことを言うんだろうなぁ……」

未央「……う」

P「箸が止まらん。もう一口……ああっ! うまい! 少しクドいが、それもまた良い! あー……本当に、箸が止まらんな!」

未央「……プロデューサー」

P「ん? なんだ?」

未央「やっぱり食べます……」

P「そうか、なら食え」

未央「……プロデューサーの意地悪」

P「仕方ないだろ。めちゃくちゃうまいが、一人で食うと結構キツいんだよ」

未央「もう……」パクッ

未央「……うわっ!? おいしっ!?」

P「だろー!? うまいだろー!?」

未央「うん……プロデューサーの言う通り、ちょっとクドいような感じはするし、なんというか、味が重いけど、すっごくおいしいよ。確かにこれは量を食べるとキツそうだけど、何人かでわけると最高かなー」

P「うんうん。わかってくれて嬉しいよ。やっぱり、未央と俺の舌は似ているのかもな。そういう人との食事っていうのは楽しいよ」

未央「……」パクッ

未央「んー!」バタバタ

P「……すっかり虜になってるな。俺も食うか」パクッ

P「……うん、うまい!」


――

未央「……で、パインバーグ、来ちゃったね」

P「『来ちゃった』ってなんだよ。うまいんだぞ?」

未央「……本当に?」

P「……人による」

未央「えー……」

P「……仕方ないだろ。パインバーグだぞ? パイナップルとハンバーグだぞ? そんなの、好き嫌いがわかれて当然だろ?」

未央「……なんか未央ちゃん、不安になってきちゃったんだけど」

P「……俺は好きだから、舌が似ている未央も好きだって」

未央「……プロデューサー、酢豚にパイナップルとか入れる派?」

P「入れない」

未央「入れないんだ……私も入れないけど」

P「よし、じゃあいけるな」

未央「むしろダメなんじゃないの……?」

P「俺が好きなんだから大丈夫だって。…………たぶん」

未央「あー! 今、『たぶん』って言ったー!」

P「……この世に絶対なんてないからな」

未央「それ、言っちゃう?」

P「……早く食べるぞ。これは温かい内に食べるのが最高にうまい料理だからな。冷めたら魅力が半減する」

未央「……わかったよ。じゃ、いただきます」


――

未央(とは言ったものの……だ)

未央(……やっぱり、すごい見た目だなぁ)

未央(ハンバーグの上に、パイナップルが乗っている……それに、なんかパイナップルの甘いにおいがするし……ハンバーグのにおいとパイナップルの甘いにおいが混ざって、こう、なんとも言えないにおいに……)

未央(……これがダメだったら何を頼もうかな。やっぱりチーズ? でも、エッグもいいなぁ……)

未央(――って、何を考えてるんだ私は。ダメダメ。まだ食べてもいないのに……)

未央(……でも、これ、食べるのかぁ……)

未央(……いつまでもためらってちゃダメだよね。ええい、ままよ!)パクッ

未央「……ん?」

未央(……あれ? なんというか、思ってたのと、違うような……)

未央(甘い。すごく甘い。それは確かなんだけど……んん?)

未央(……もう一口)パクッ

未央「……うん」

未央(……どうしよう。おいしい)

未央(元々甘いパイナップルだけど、それがハンバーグの熱でさらに甘く感じるようになっていて……でも、その甘さはハンバーグと合わさっておいしくなくなったりしないで、むしろ、おいしくなっている)

未央(肉汁たっぷりのハンバーグと、熱で甘みが増したパイナップル……この二つって、こんなに合うの?)

未央(……なんか、ごはんが欲しくなる)

未央(……次は、ごはんと一緒に)パクッ、パクッ

未央「……くぅーっ!」

未央(これはおいしい! ……なんというか、ついさっきまでめちゃくちゃ警戒していたからか、負けた気分というか、なんか、複雑な気持ちになるけど……これはおいしい!)

未央(普通のハンバーグとごはんでもめちゃくちゃ合っているんだけど、ここにパイナップルが合わさることでさらにおいしく感じる)

未央(プロデューサーの言う通り、誰もがこれをおいしく感じるわけじゃないと思う。嫌いな人は嫌いな味だとさえ思う。でも、私は……)

未央(……あー、もー!)

未央「プロデューサー」

P「ん? なんだ? 口に合わなかったか?」

未央「ううん……すっごくおいしいよ」

P「そうか……それにしては、変な顔してるな」

未央「……さっき、あそこまで疑っちゃってたからね。素直によろこべないというか……」

未央(むしろ、これの代わりに何を頼むかまで考えてたとか言えない……)

P「そうか。でも、おいしいんだろ?」

未央「……うん」

P「勝った」

未央「そんな反応されると思ったから複雑なんだよ……」

P「ふっふっふ。未央がいつまでも俺を疑っていたからだ。……食べなくていいのか? 冷めるとダメ、ってことはもうわかってくれたと思うが」

未央「……食べるよ! もう!」

未央(そんな反応されちゃ、素直に感謝できないじゃん)

未央(……私にこれを教えてくれて、勧めてくれて、ありがとう、プロデューサー)

未央(……心の中で言っても、意味ないか)

未央(さて、食べよう! プロデューサーの言う通り、これは冷める前に食べた方が確実においしいからね)


――

P「……未央」

未央「何? プロデューサー」

P「……お前が頼まないって言ってた時点で少し疑問には思っていたが……アイドルっていう自覚、本当にあるか?」

未央「あるから自分では頼まなかったんじゃーん。おいしいけど、一人で食べると太っちゃうでしょ? だから仕方なくだよ仕方なく」

P「……食べないという選択肢は?」

未央「ないよ。だって、メリーメリーゴーランド、好きだもん。ここに来たらだいたいこれを頼むね、私は」

P「ハァ……だからって、これを二人で分け合うっていうのは、その……」

未央「カップルみたい?」

P「……兄妹みたい」

未央「えー? 兄妹でこんなのするかなー? 少なくとも私は弟とはしないけどなー」

P「未央、お前……」

未央「……プロデューサー、嫌? 本当に嫌なら、べつに、いいけど」

P「……ったく、未央、お前は本当にズルいな。……一緒に食べるか」

未央「うん。プロデューサー、ありがとね♪」

P「……礼はいらん」



これにて今回は終了です。
「パイナップルとハンバーグ……こんなん誰が頼むんだ。これを好きな人も居るんだろうけれど変な人なんだろうなあ……」
と思っていましたが私がその変な人でした。でも、食べたらハマるって人も割りと居ると思うんですよね……同じくらい、苦手な人も居そうですが。

あとSSと関係ありませんが志希にゃんフレデリカのマジアワカオスですね。面白い。志希にゃんPはおめでとうございます。
志希にゃんの声は思っていたのとは違いましたがこれはこれで合っていますね。こうくるか……と驚かされた思いです。いったいどこから見つけてくるのか……。
ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSと関係あるようなないような話ですが今回話に出た「デレラジ組の話」、それと前回に話が出た「ちひろさんへのお礼の話」に需要はあるでしょうか。
未央がプロデューサーとごはんを食べるという趣旨のSSなのでそこから外れることになりますが……。番外的な位置づけで。どうでしょう。意見をもらえると嬉しいです。

改めてありがとうございました。

かつやとかステーキ宮とかに連れていきたい!

番外編 ちひろさんごはん

P「ちひろさん、昼、決まってますか?」

ちひろ「食堂に行こうと思ってたんですが……どうしてですか?」

P「前のお礼をしようと思いまして」

ちひろ「前の?」

P「ほら、未央の……」

ちひろ「ああ……そんな、べつにいいのに」

P「……嫌、ですか?」

ちひろ「いえ、うれしいですよ♪ ただ、前みたいにラーメン屋さんとかだったら複雑ですけど」

P「今日のところは大丈夫なところですよ……たぶん」

ちひろ「本当ですか?」

P「……そう言われると心配になってきました」

ちひろ「……ふふっ。いいですよ。プロデューサーさんがどんなセンスをしているのか、私が確かめてあげちゃいます」

P「それ、どういう意味ですか?」

ちひろ「そういう意味です♪ じゃ、行きましょうか」


――店の前

ちひろ「ここ、ですか……」

P「……どうですか?」

ちひろ「外観を見る限りでは、合格、ですかね」

P「おっ」

ちひろ「パスタの店……ですよね? 割りと入り組んだところにあるからか、お客さんが並んでいるというわけではないですけど、そこそこの入り……店内の雰囲気を見る限りでも良い感じですね。少々狭いようにも思えますが……ああ、つくっている人が一人なんですね。そういう理由で、ですか」

P「……外から見ているだけで、よくそこまでわかりますね……」

ちひろ「プロですから」

P「何のプロですか」

ちひろ「アイドルの……ですかね?」

P「アイドルのプロがどうしてそんなことわかるんですか……」

ちひろ「さて、なぜでしょう? ……と、ここまでは合格ですが、中に入ってみないとわかりませんからね。入りましょうか」

P「はい」


――店内

ちひろ「へぇ……こういう店、ですか」

P「はい。……ちひろさんは何にします?」

ちひろ「何に、って……ああ、ランチはこのコースって決まってるんですね。いや、コースというよりはセット? パスタとサラダとパン、それにドルチェ、ですか。それで千円……なかなかにリーズナブルですね」

P「はい。この五種類のパスタから一つ選ぶ、という形式ですね」

ちひろ「ふんふむ……季節で変わるタイプですね。何回でも来たくなるような工夫、ですかね?」

P「まあ、そうでしょうね。……決まりましたか?」

ちひろ「はい」

P「では、頼みましょうか。すみませーん」


――

ちひろ「……どうしてプロデューサーさんがこんな隠れ家的な店を知っているのか疑問だったんですが、店主さんとお知り合いだったんですね」

P「ええ。というか、そうでもないと俺がこんなところを知っているわけがないじゃないですか」

ちひろ「自慢することですか? ……あそこに書いてあるメニューは、夜のですか?」

P「そうですね。夜のです」

ちひろ「……なかなかに良さそうですね。それに、並んでいるお酒も珍しいものや、おいしそうなものが……どうして夜に誘ってくれなかったんですか?」

P「ちひろさんのお眼鏡に適うかわからなかったので」

ちひろ「もう……でも、あそこにパスタは書いてませんね。それはどこに?」

P「パスタのメニューはパスタのメニューでべつに用意してあるんですよ。確か二十種類、ですね。これもたまに変わりますが」

ちひろ「へぇ……って、プロデューサーさん、相当このお店に来てますね?」

P「こういう店はここ以外にあまり知らないので」

ちひろ「なら、前回もここに連れてきてくれたら良かったのに……」

P「前はラーメンが食べたかったんですよ。……確かに、女性と一緒だという考えに欠けていましたが」

ちひろ「……まあ、今回連れてきてくれたから許してあげます」

P「ありがとうございます」


――

ちひろ「最初はパンとサラダ、ですか」

P「はい」

ちひろ「フランスパン……と、このサラダ。……この混ざっているものは、ベーコン?」

P「そうですね」

ちひろ「へぇ……じゃあ、いただきます」

P「じゃあ俺も……いただきます」

ちひろ(……まずは、サラダを)パクッ

ちひろ(……あ、これ、おいしい。『おいしいサラダ』が出るお店っていうのは良いところなことが多いから、これは期待できるかも)

ちひろ(……でも、本当においしいわね、このサラダ。この味……このドレッシングは、りんご、かしら? 爽やかで、フルーティで……とても、おいしい。それだけでも十分過ぎるほどにおいしいのだけれど、このカリカリに焼きあげられたベーコンがとても良いアクセントになっている。小さく刻まれているから主張は控えめなものになっているけれど、それがちょうどいい。食感と風味だけを残して、バランスを崩さないように細心の注意が払われている、といった感じかしら)

ちひろ(うん、これは期待できるかも……次は、パンを)パクッ

ちひろ「ん……」

ちひろ(このパンもおいしい。小麦本来の……なんていう形容詞は、今じゃどこでも使われているけれど、本当はこういうパンにこそ使われるべきよね)

ちひろ(それにしても、ただのフランスパンのはずなのにここまでおいしいとは……なかなかないわよね。サラダだけじゃなく、パンまでおいしいものを出す……これはますます期待できそう)

ちひろ(こんな店をプロデューサーさんが知っていたなんて……なんだか、複雑な気分ね)

P「……どうですか?」

ちひろ「とってもおいしいですね。正直、びっくりしてます。まさかプロデューサーさんが……」

P「褒められているように感じないんですが……そこまで意外ですか?」

ちひろ「ラーメン屋さんに女性を連れて行く人がこんな店を知っていることが意外でないとでも?」

P「……それを言われると弱りますね」

ちひろ「ふふっ。でも、ここは本当に良いお店ですね……私、一人でも来ちゃいそうです」

P「まあ、一人でも入りやすい店ですしね。俺もよく一人で来ますし」

ちひろ「こういうお店で男性が、っていうのはなかなかに珍しいですよね。かと言って、女性が入りにくいわけでもない……本当、よくこんなお店を、という感じですね」

P「この店以外には知らないんですけどね」

ちひろ「こういうお店は一つ知っているだけでいいと思いますよ? 色んなお店を知っている必要なんてないんです。良いお店を一つ知っている。それだけで人生は豊かになるんだと思いますよ?」

P「そういうものですか」

ちひろ「そういうものです」


――

ちひろ「……きましたね」

P「はい、きましたね」

ちひろ「……では、いただきます」

P「はい。……では俺も」

ちひろ(さすがに見ただけじゃ普通においしそうなパスタとしか思えないけれど……どうかしら)

ちひろ(今までが今までだからハードルも高くなってしまっているけれど……食べてみなくちゃわからないわよね)

ちひろ(じゃ、改めて……いただきます)パクッ

ちひろ「……へぇ」

ちひろ(おいしい。今回はペペロンチーノを頼んだけれど……ペペロンチーノがおいしいお店っていうのは信頼できるわよね)

ちひろ(シンプルにおいしい。それ以上の言葉なんてない。ペペロンチーノはペペロンチーノだし、何か特別なことがあるわけでもない。……もしも特別なことがあるとすれば、それは『おいしい』ということかしら)

ちひろ「プロデューサーさん」

P「なんですか?」

ちひろ「おいしいですね」

P「はい……俺のも食べます?」

ちひろ「えっ」

ちひろ(そ、それはどういう意味なんですかプロデューサーさん? いや、その、確かに私ももう女の子っていう年齢ではないですしこんなことで動揺するほど初心でもないつもりですけど心の準備ができてない状態で不意にこういうことをされるとさすがにびっくりするというか困るというかいやたぶんきっとプロデューサーさんにはそんな気持ちはないと思うんですけどそんな気持ちがなくても女性に対してそんなことを言うのかどうかと思うというか――ハッ! も、もしかしてアイドルたちにもこういうことをやっていたりするんですかそうなんですかもしそうだとしたら問題ですよ大問題ですよアイドルたちからいや親御さんからもしも何か言われたら不祥事で事務所が大変なことになっちゃいますよ私ももうこれ以上プロデューサーさんと仕事ができなくなっちゃいますよそれは嫌ですしだからもうこんなことはさせてはいけませんねプロデューサーさんはダメな人ですねもう!)

ちひろ「まったく! プロデューサーさんったら!」

P「えっ……な、なんですか?」

ちひろ「ハッ……い、いえ、なんでもありません。……プロデューサーさん? 相手が私だから良かったものを、女性に対して自分の口をしたものを分けたりしようとしたらいけませんよ?」

P「……あ、た、確かにそうですね」

ちひろ「もう……他の子たちにもしてないか心配になりますよ」

P「……」

ちひろ「……もしかして」

P「……だ、誰にでもやってるわけじゃないですよ?」

ちひろ「なら、いいですけど……気を付けて下さいね?」

P「……善処します」

ちひろ「お願いしますよ。……あ、あと」

P「? なんですか?」

ちひろ「……パスタ、もらってもいいですか?」

P「……」

ちひろ「……」

P「」プッ

ちひろ「! な、なんですか、プロデューサーさん!」

P「いや……結局、食べるのかと思いまして」

ちひろ「……だって、おいしいんですもん。プロデューサーさんも、おいしそうに食べてましたし……」

P「……ちひろさんって、やっぱりかわいい人ですね」

ちひろ「な……! ぷ、プロデューサーさん! からかわないで下さい!」

P「いえ、本心ですよ。……ちひろさん、やっぱりアイドルになりません?」

ちひろ「なりません! ……まったく、プロデューサーさんったら」

P「俺は真面目ですよ? ちひろさんなら確実に成功すると思います……まあ、俺としてもちひろさんには色々と助けられているんで、本当にアイドルになられたら困ってしまうとは思いますが」

ちひろ「なら最初から言わないで下さい……」

P「俺もプロデューサーですからね、アイドルの原石を見付ければスカウトしたくなってしまうんですよ」

ちひろ「……プロデューサーさんが色んな人をスカウトできた理由がわかったような気がします」

P「お褒めいただき光栄です」

ちひろ「褒めて……ますけど、皮肉です」

P「わかってます。では、どうぞ」

ちひろ「もう……」パクッ

P「お味は?」

ちひろ「……おいしいです。とても」

P「それは良かった」

ちひろ「……プロデューサーさん、そんな性格でしたっけ」

P「そうですよ。嫌いになりましたか?」

ちひろ「……黙秘します」

P「それは残念」


――

ちひろ「ドルチェは……チョコのジェラート、ですか」

P「そうですね。割りと毎回味は違いますが」

ちひろ「……そんなことを言われるとまた来たくなっちゃうじゃないですか」

P「あ、ちひろさん、やっぱり甘いものはお好きですか?」

ちひろ「好きですね……だから、こういうのにはちょっとうるさいですよ?」

P「そうですか。では、どうぞ」

ちひろ「……まあ、いいですけど」

ちひろ(……こういう店のジェラートは確かにおいしいことも多いけれど、どうなのかしら。チョコのジェラート……珍しいものではないけれど、『チョコ味のアイス』とは明確に違うはず)

ちひろ(これで平凡な『チョコ味のアイス』だと期待はずれだけれど……さてさて、どうかしら)

ちひろ(では……)パクッ

ちひろ「……んー!」バタバタ

ちひろ(甘い! でも、シャリシャリとしていて……シャーベットというわけではなくて、なんというか、薄い薄い氷の層が何層にも積み重なっているような……舌に触れただけでとけるような、でも、食感がまったくないわけでもなくて、気持ちの良い、舌触りの良い食感……)

ちひろ(そして、このチョコ味……これも良い。甘くて、でも、くどいというほどではなくて……じんわりと、舌にとけこむような、濃いチョコの味。これだけでも、専門店に負けてないような……)

P「おいしいでしょう?」

ちひろ「……はい。本当に、本当においしいです。これだけの店でも、私、通っちゃうかもしれません」

P「そこまでですか……まあ、確かに俺もかなりおいしいと思いますが」

ちひろ「……プロデューサーさん、ありがとうございます。こんな店に連れてきて下さって」

P「どういたしまして。俺も、仕事をやって下さって……いえ、いつも助けて下さってありがとうございます」

ちひろ「どういたしまして♪」

――店外

P「それで、今回は合格ですか?」

ちひろ「そうですね……プロデューサーさん自身に減点ポイントはありましたけど、このお店だけなら大合格ですね」

P「俺自身に、ですか」

ちひろ「はい。……まあ、ある意味では加点ポイントですけど」ボソッ

P「加点ポイント?」

ちひろ「なんでもないです」

P「そうですか」

ちひろ「はい。……じゃあ、仕事に戻りましょうか」

P「そうですね。……杏じゃないですが、働きたくないですね」

ちひろ「乃々ちゃんじゃありませんけど、もう帰りたいですね」

P「でもまあ、アイドルたちの笑顔のためなら頑張れるってもんですね」

ちひろ「はい♪ では、帰ってからも頑張っていきましょう!」

P「もちろん。頑張っていきましょう!」

ちひろ「じゃあ、やりますか?」

P「何をですか?」

ちひろ「アイドルたちがいつもやってるアレですよ」

P「……そうですね、じゃあ、午後もプロデユース活動、頑張りましょう!」

ちひろ「ファイトー!」

P・ちひろ「「オー!」」

ちひろ「……ふふっ」

P「……ははっ」

ちひろ「なんだか変な感じですね。……でも、なんか、元気が出てきました」

P「俺もです」

ちひろ「……これからも、よろしくお願いしますね、プロデューサーさん♪」

P「こちらこそ、これからもよろしくお願いします、ちひろさん」


>>121訂正

P「……そうですね、じゃあ、午後もプロデユース活動、頑張りましょう!」

P「……そうですね、じゃあ、午後もプロデュース活動、頑張りましょう!」

これにて今回は終了です眼鏡ちひろさんかわいすぎですね正直眼鏡ちひろさんが衝撃的過ぎてシルエットをきちんと見ることができませんでした。
当初は予定を変更して李衣菜の誕生日ということで予定より早く未央李衣菜の話を書こうと思ったんですが間に合いませんでした。申し訳ありません。李衣菜、誕生日おめでとう。

今回のお店は珍しくチェーン店ではなく割りと良い感じのお店……まあ、どうして『ランチ』にしたのかは察してもらえれば。
こういうお店はなかなかに入りにくいかもしれませんが当たりの店は本当に良いですよね。量が割りと多い店もありますし、今回のSSの店ではパスタが大盛りなんかにもできてポイント高かったですね。あと単純に味が良い。こういう店を探してみるのも一興だと思います。
ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係ありませんがG4U未央かわいすぎですよ! デレソニ会場で叫んでしまいましたよ! 未央かわいいかよ! 最高かよ! ありがとうシンデレラガールズ! 天使! 女神! ちひろさん! あとなんなんですかあの衣装! えっちかよ! かわいいかよ! 最高かよ! 本田未央かよ! めちゃくちゃ楽しみです!!!

あ、たぶん次は未央ごはんです。デレラジ組はまた三回くらい未央ごはん挟んでからの予定です。

改めてありがとうございました。

未央「大阪、かぁ……」

P「? どうした、未央」

未央「いや、前にみくにゃんとさ、話してたんだよね」

P「何を」

未央「大阪について? ほら、私、前に大阪に行ったじゃん?」

P「行ったな。結構前だが」

未央「でも、忙しくてあんまり大阪を楽しめなかったじゃん?」

P「まあ、イベントのために行ったわけだからな。俺も忙しくてどこにも行けなかったしな」

未央「それで、『あんまり観光とかできなかったんだー』って言ったら、みくにゃん、大阪に思いを馳せちゃって」

P「そういえば、みく、まあまあ長いこと大阪に帰ってなかったな」

未央「らしいね。『ソースの味が恋しいにゃあ』とか言ってたよ」

P「そっちかよ……というか、ソースの味がしたもんくらいここでも食べられるだろ」

未央「大阪の、がいいらしいよ? 私にはよくわかんないけど」

P「……俺は少しわかるな」

未央「そうなの?」

P「なんか違うってことは確かだな……なあ、未央」

未央「うん?」

P「腹、減ってないか?」

未央「え? いや、まあ、減ってるけど」

P「なら、行くか」

未央「どこに?」

P「ソースの味がしたもんを出す店に、だな」

――店の前

未央「……お好み焼き屋さん?」

P「ああ。大阪に本店がある店だな。他の店でも良いんだが、今日はここの気分でな……大阪のお好み焼き屋で初めて食べたのがこの店だからかもしれん」

未央「……みくにゃんが恋しいって言ってたのに、みくにゃんは連れてこないんだ」

P「あいつは今頃仕事だ。まあ、ここじゃなくてもまたどこかに連れて行くさ。もしくは大阪の仕事でも取ってくるよ」

未央「お願いね? みくにゃん、本当に恋しそうだから……」

P「そんなにか……じゃあ、今度ちひろさんに頼んで事務所で何か作るかな。大阪のソースくらい入手できんこともないからな」

未央「おっ、それ、いいね。楽しみかも」

P「それでも今回はここにするんだがな」

未央「いいよいいよ。明日やるってわけでもないでしょ? それに、お店のと自分たちで作るのとは違うからね」

P「まあな。じゃ、入るか」

未央「うん」


――店内

未央「んー……すごいソースのにおいだね。お腹減っちゃう」

P「やっぱりこのにおいは腹が減るよなぁ……早く食いたくなってきた」

未央「で、プロデューサー。ここのオススメはなんなの?」

P「ん、そうだな……未央、お好み焼きでは何が好きだ?」

未央「何が、って……何か違うの?」

P「大きく分けるなら、大阪のとか広島のとか、あとはモダン焼きとかねぎ焼きとかな。それ以外もあるかもしれんが、まあ、それくらいか。あと、具の種類もあるな。肉や海鮮モノってのが普通だろうが、他にも色々入れるところはあるな。チーズやらもちやらすじコンやら。生地に山芋が入ってるやつなんかもあるな。あと……」

未央「ちょ、ちょっと待ってプロデューサー」

P「ん?」

未央「そんなに言われてもわかんないよ……というか、そんなにあるの?」

P「ああ。この店にはないが……ここの系列で、もうちょっとお高いところだと、創作料理めいたお好み焼きを出したりもするな。メレンゲを使っている、一見お好み焼きとは思えないようなやつも……」

未央「そんなのまであるんだ……でも、何が好きだって言われても、私はよくわからないよ。今プロデューサーが言ってたのもほとんどわかんなかったし」

P「ってことは、なんでもいいってことか?」

未央「うん」

P「じゃ、今回は俺が選んでいいか? 俺の好きなもんになるが……」

未央「それでいい……というか、それがいいかな。今までの感じだと、プロデューサーと私の好みは近いみたいだし」

P「じゃ、決定だな。すみません」


――

未央「……で、まず来たこれは」

P「とん平焼き、だな。本当なら他にも頼みたいもんはあったんだが、さすがに二人じゃあ、な」

未央「これ、おいしいの?」

P「うまいぞ。ここに来たらこれを頼め、っていうくらいには」

未央「お好み焼きじゃないんだ……」

P「お好み焼きは言われなくても頼むだろ?」

未央「まあ、そうかもしれないけど……」

P「まあ、食べてみろ。うまいから」

未央「うん……じゃ、いただきます」

未央(って、今回のは本当に見るからにおいしそうなんだけどね)

未央(玉子で何かを……豚肉? まあ、何かを包んであって、それにソースとマヨネーズがたっぷりかけられてる)

未央(正直、ソースとマヨネーズってだけでもうおいしそうなんだよね。だから、ある意味で『ソース』の味に期待、かな)

未央(じゃ、早速一口……)パクッ

未央「熱っ……ん!」

未央(熱いけど……おいしい! ソースは甘口で、玉子はとろとろで、そこにみじん切りされた豚肉が……本当に、おいしい)

未央(甘口のソースとマヨネーズがとろとろの玉子と一緒に舌の上でとろけてる……とろけそうな味、っていうのはこういうのなのかも)

未央(……おいしいだろうとは思ってたけど、まさか、ここまでとは……)

P「うまいか?」

未央「……うん。とってもおいしい――って、ん?」

未央(……なんか、さっきよりも明らかに量が……)

未央「……プロデューサー、なんか、さっきより量が明らかに少ないんだけど」

P「そりゃ、俺が食ってるからだな。一瞬で口の中でとろけるからバクバク食えちまう。罪な料理だよ」

未央「罪なのはプロデューサーだよ!? 私も食べたいのに……あー! もう、プロデューサー! これ以上食べないで!」

P「ちんたら食ってるのが悪い」

未央「もー! プロデューサーのバカ!」

P「文句言ってる暇あるのか? まあ、食わないなら俺がもらうけど」

未央「食べる! 食べるから、プロデューサーはもう止めて~!」


――

未央「……プロデューサーの意地悪」

P「なんでだよ。結局、未央も半分食っただろ」

未央「もっとゆっくり食べたかったんだもん……」

P「俺もゆっくり食べたくなかったわけじゃない。ただ、これがうますぎるのが問題なんだよ」

未央「絶対プロデューサーの問題だよ……」

P「かもな……っと、そろそろ来るな」

未央「……もう」


――

未央「……すごかったね」

P「ああ、マヨネーズか? こういう店のマヨネーズのかけ方は何度見ても感動するよな。まあまあな距離からものすごい速度でかけられるマヨネーズ……一種のエンターテイメントだ」

未央「私、初めて見たかも」

P「おっ、そうか」

未央「うん。すごいね、アレ。私にもできるかな……」

P「普通に売られているマヨネーズのチューブだったら無理だな。経験上」

未央「やろうとしたことあるんだ……」

P「あんなの見たらやってみたくなるだろ。……で、きたわけだが」

未央「お好み焼きと焼きそば……焼きそばを頼んだのは」

P「ここは焼きそばもおいしいから、だな。二人ならまあこれだろ」

未央「そうなんだ……まあ、私もどっちも食べれるならどっちも食べたいけど」

P「だろ? じゃ、いただきます、っと」

未央「いただきまーす」

未央(さて、いざ実食、ってなわけだけど……うん)

未央(さすがに普通のお好み焼きと焼きそばだよね。焼きそばはよく食べるけれど、そういえば、お好み焼きって食べるの結構久しぶりだなー……普通に生きていてお好み焼きを食べる機会ってあんまりないもんね)

未央(大阪の人はどれくらいの頻度で食べているんだろう……毎日、なわけないし……月に一回くらい? 私は一年に一回あるかないか……というか、本当に長いこと食べてないような気がするな。この一年間に食べたことあったっけ……?)

未央(思えばかなり久しぶりかも。うん、なんか楽しみになってきた)

未央(さてさて……これはこのヘラ? を使って食べればいいのかな? プロデューサーは……ヘラで切ってから取り皿に分けて、それをお箸で食べている……そういう食べ方もあるのか)

未央(……というか、プロデューサーならなんかヘラだけで食べそうな気がしたけれど、そんなことないんだね。いや、べつにいいんだけど……まあ、人による、ってことなのかな?)

未央(とりあえず、プロデューサーと同じようにして食べよう。まずヘラで切って……ん?)

未央(……微妙に切れない。プロデューサーは……ああ、そうするのか。えっと、ザクっと突き刺して、こするようにして切る。のこぎりみたいな……ってほどじゃないけれど、こうすれば切れるのか)

未央(……こんな状態で、前の私はいったいどうやって食べたんだろう。誰かに取り分けてもらってでもしたのかな? もう前に来た時のことを覚えてないから一概には言えないけれど……)

未央(まあそれはおいといて、とりあえず、取り分けることはできた。じゃ、これをお箸で挟んで……いただきまーす)パクッ

未央「……あふっ……んっ、んんっ!」

未央(うん、おいしい! 正直わかっていたけれど、やっぱりおいしい。ふわふわの生地に色々入っている具材、ソースの味とマヨネーズの味、かつお節やらが一つになった味)

未央(『お好み焼き』っていう名前はその通りで、色んな物が入っていて、その味がごちゃ混ぜになっているんだけれど、それで味が損なわれるなんてことはなくて、むしろおいしくなっている。この強烈なソースの味がすべてをまとめているって感じだね)

未央(うーん、おいしい。なんでこんなにおいしいのかって説明を求められると困るけど、なんかおいしい。おいしいものはおいしいんだから、って感じだ)

未央(……じゃ、次は焼きそばをもらおうかな。焼きそばは……うん、普通にお箸でとるよね)

未央(焼きそばは……まあ、さすがに普通、ってわけでもないかな。おいしいんだろうけれど……どれくらいおいしいんだろう)

未央(……とりあえず、一口)パクッ

未央「……んっ」

未央(おいしい! うわっ何これ。焼きそば……だよね? いや、焼きそばだ。味も焼きそばの味だ。いつも食べてる焼きそばとそこまで離れている味じゃない。ただ『とてつもなくおいしい焼きそば』だ)

未央(基本的な味に大きな違いがあるわけじゃないけれど……本当においしい。正直、思ってた以上においしい)

未央(……ちょっと、お箸が止まらないかも)

P「おお、未央。気に入ったみたいだな」

未央「うん……おいしいね、プロデューサー」

P「焼きそば頼んでよかっただろ?」

未央「うん。お好み焼きもおいしいけど、焼きそばも本当においしいね」

P「それは良かった。いやぁ、やっぱりソースの味がしたもんってのはたまにめちゃくちゃ食べたくなるよな。みくの気持ちももっともだ。焼きそばなら自分でも手軽に作れるんだが、お好み焼きとなるとそうはいかない。そこまで難しいもんでもないが、手軽にってわけにはいかないからな。このソースとマヨネーズのどっちもがかかったお好み焼き。色んな具材がいっしょくたになっているコレはやっぱりうまいんだよなぁ。ふわとろって感じのお好み焼きもあるんだが、あれもまたうまい。でも俺はここみたいなやつの方が慣れ親しんでいるんだよなあ。だからここのを食べると『うまい!』と同時に懐かしさも感じる。良いよなぁ……」

未央「……熱いね、プロデューサー」

P「まあ、鉄板の近くだからな」

未央「そういう意味じゃないよ……」

未央(でも、本当にどっちもおいしい。プロデューサーの言う『ふわとろ』っていうのも気になったけれど……私にとっては、ここのお好み焼きで十分過ぎるほどにおいしい)

未央(焼きそばにもいっぱい具材があるけれど……お好み焼きは『具材あってこそ!』って感じがするから、そういう点ではこっちの方が上かも)

未央(んー……甲乙つけがたいですなぁ。まあ、甲乙つける必要なんてないんだけど)

未央(……なんか、食べてる途中なのにお腹空いてきた。食べよ)パクッ


――店外

未央「ごちそうさまでしたー」

P「結構食べたな、未央」

未央「だっておいしかったんだもん。というか、プロデューサーに言われたくないんですけど?」

P「そうか? 俺はいつも通りだと思うが……むしろいつもより少なめじゃないか?」

未央「男の人だからって食べてたら太るよ? プロデューサー、ただでさえ外食多そうだし……」

P「運動はそこそこにしてるから大丈夫だ。忙しいしな」

未央「運動って言っても私たちほどはやってないじゃーん」

P「そもそも俺は太っても問題ない。アイドルじゃないからな」

未央「……アイドルたちから嫌われちゃうかもよ?」

P「うっ……い、いや、でも、みんなは太ったくらいで俺のことを嫌いになったりしないから」

未央「そうだろうけど……ね?」

P「なんだよその『ね?』って……765の徳川さんかよ……こわいからやめろよ……」

未央「ほ? なんのことなのです?」

P「お前765さんネタやめろよ……テレビなんかでは絶対にやるなよ? 怒られるぞ?」

未央「わかってますって。さすがの未央ちゃんもそのあたりはわきまえてますから。たまにしかやりませんよ」

P「たまにならやるのかよ……」

未央「そこまでひどいのはやらないよ? でも、一緒の現場とかになったら流れですることもあるかなー」

P「まあ、それくらいならいいか。765さんは優しいしな」

未央「おっ、誰も見ていないところで媚売りとは……プロデューサーも染み付いてますなあ」

P「まあ、俺くらいのプロデューサーともなると自然と媚を売っちゃうからな」

未央「うおぅ、自分から振っといてなんだけど、全然自慢できることじゃないね……」

P「まあな。だが、媚を売るのは何も悪いことだけじゃあない。円滑なコミュニケーションのためには結構役に立つ」

未央「うわ、なんか大人の世界の闇を聞かされたような……」

P「いや、そこまで闇ってほどじゃあないぞ? 媚って言ったらそう聞こえるかもしれないが、実際のところは『気遣い』だ。気遣いあってオトナの社会は成立している、って言ったら良さそうに聞こえるだろ?」

未央「まあ、確かに」

P「結局は言い方の問題でしかないんだよ。それで、言い方だけで気分が良くなるんだったら、それは良い方にするべきだろう?」

未央「うん……ああ、なんか、プロデューサーが有能なように思えてきちゃった」

P「実際俺は有能だけどな」

未央「自分で言う? まあ、これだけの数のアイドルをプロデュースしていて有能じゃないわけないけどさぁ」

P「おっ、なんだ? いきなり褒めて……アイスでも欲しいのか? ハーゲンダ○ツでも食べるか?」

未央「ちょろっ! プロデューサー、ちょろすぎない!?」

P「褒められたら嬉しいからな!」

未央「それにしてもそれだけでハーゲンダ○ツは……」

P「食べないのか? じゃあ俺が一人で買って食べるけど」

未央「食べる!」

P「素直でよろしい。じゃ、買いに行くか。そこのコンビニでいいよな?」

未央「はーい。あ、そうだ、コンビニなら他にもちょっと買いたいものがあるんだよねー。もちろんそっちは自分で払うけど」

P「俺もコーヒーでも買うかな。コンビニのコーヒーはあの値段にしてはうまいからなぁ……」

未央「そうなの?」

P「ああ。割りとオススメだぞ」

未央「へぇ……」

P「ちょっと飲んでみるか?」

未央「そうしよっかなー……まあ、苦くてダメな可能性の方が高いけど。プロデューサー、砂糖とか牛乳は?」

P「入れないな。でもたまに甘ったるいコーヒーとかも飲みたくなるからそこは気分だが」

未央「そうなんだ。ま、私はよくわからないけど」

P「大人になったら……わかるもんでもないな。人にもよるしな」

未央「えー? じゃあどうやったらわかるの?」

P「コーヒーを飲んでいればわかる可能性がある」

未央「そこがまずハードル高いね」

P「ま、俺と行動していると割りと飲むことになるだろうから心配するな」

未央「むしろ心配なんだけど……」

P「ふっふっふ……お前を俺と同じコーヒー党にしてやるからな。ウチの事務所は割りと紅茶党が多いから寂しいんだよなあ……」

未央「女子高生にそれ、求める?」

P「今からやってると将来的に好きになってくれるかもしれないだろ」

未央「まあ、そうかもしれないけどさぁ……」

P「じゃ、買いに行くか。さて、ハーゲンダ○ツ、何味にするかなぁ……」

未央「私も、何にしようかなー……なかなか食べられないから、迷うかも。オススメとかある?」

P「オススメ? 俺もそこまで食べたことはないが、そうだな――」



これにて今回は終了です。
こんなの書いてたら食べたくなってきました。ソース味のものはたまに食べたくなりますがいちばん食べたくなるのはあのにおいを嗅いだ時ですよね。お腹が空くにおいです。
今回はお好み焼きと焼きそばでしたがたこ焼きも良いなぁ……この店、たこ焼きめいたものも出すんですよね。あれもまたおいしかったなぁ……。
……こうやって書いているとどんどんお腹が空いてくるのでそろそろやめます。
ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係ないですが今回のガチャ……ミリオンとも被ってますし……とりあえず、担当Pの方々はおめでとうございます、頑張って下さい。
あとありすPは本当におめでとうございます。ありす……ありすぅ……ってなりました。ハロまゆはなぜこのタイミングで……と思いましたがあれはあれで「やっとか~」っていう感じです。まゆPもおめでとうございます。

改めてありがとうございました。

はじめに。

今日はいつもより長いです。あと、未央以外のアイドルが出ます。一緒に食べます。具体的に言うと今回はNG編です。

では、始めさせていただきます。

美嘉「……カレー、おいしかったなぁ」

未央「? いきなりどうしたの、美嘉ねー」

美嘉「あ、声に出てた? いや、前に莉嘉と一緒にカレー屋さんに連れて行ってもらって、ね」

未央「城ヶ崎姉妹でカレー……? なんか、意外だね。その連れて行った人も勇気がありますなぁ」

美嘉「まあ、プロデューサーだけど」

未央「あー……そういうことか」

美嘉「納得するんだ……」

未央「いや、まあ、プロデューサーだしね」

美嘉「まあ、そうだけど……アタシも逆の立場だったらそうなると思うし」

未央「そうかなー? 私の場合、そもそもカレー屋さんに連れて行ってもらっても違和感ないんじゃない?」

美嘉「そんなことないよ。未央も女の子なんだしね」

未央「……」

美嘉「? どうしたの?」

未央「……美嘉ねー。やっぱりカリスマだね」

美嘉「いきなり何言ってるの……?」

未央「美嘉ねー、女の子に人気あるでしょ」

美嘉「それはまあ、カリスマだし? 女の子に人気ないとやってられないでしょ」

未央「そういう意味じゃなくて……いや、そういう意味なのかな?」

美嘉「全然意味がわからないんだけど……」

未央「そういう意味だよ」

美嘉「だから、どういう意味?」

未央「未央ちゃんが美嘉ねーを改めてカリスマだって理解したってことですよ」

美嘉「……なんか釈然としないけど、ま、それならいいかな」

未央「うんうん。それならいいのです」

美嘉「ふふっ……でも、本当においしかったなぁ。莉嘉は辛そうだったけど」

未央「辛かったの?」

美嘉「うん、結構ね。アタシもかなり汗かいちゃったなー……」

未央「そこまでかー……甘口とかなかったの?」

美嘉「あったよ。でも、プロデューサーが辛口を頼んじゃったから、莉嘉も辛口を食べるって言って聞かなくなっちゃって。プロデューサーは『本当に辛いからやめろ』って言ってくれたんだけどね……」

未央「あー……それで、結局どうしたの?」

美嘉「アタシが甘口を頼んだよ。それで、案の定、莉嘉が辛くて食べれないってなっちゃって、それでアタシと交換した、ってところかな」

未央「美嘉ねーは食べれたの?」

美嘉「辛かったけどねー……ま、おいしかったからいいんだけど」

未央「へぇ……私も食べてみたいかも」

美嘉「プロデューサーに頼んでみたら?」

未央「そうしよっかなー」


――

未央「ということで、カレーが食べたいです!」

P「と、未央は言ってるが……凛と卯月は?」

卯月「……その話を聞いていたら、食べたくなってきました」

凛「私も食べに行きたいかも」

P「なら、行くか」

未央「おっ、いいの? 美嘉ねーの話だと、割りと最近行ったみたいな感じだったけど」

P「俺はカレーが好きだからな」

凛「……プロデューサー、子どもみたい」

P「凛は嫌いなのか?」

凛「……好きだけど」

P「子どもかよ」

凛「……ごめん。でも、ムカつく」

P「俺は興奮したよ、ありがとう」

凛「……」

P「スルーはやめてくれ。傷付く」

凛「だって、気持ち悪かったし……」

P「……そこまでか?」

未央「正直、かなり……」

P「未央まで……う、卯月は?」

卯月「……ごめんなさい」

P「……俺の方こそごめんな。卯月、お前にそんなに気を遣わせるなんて……俺は、ダメな奴だな」

未央「なんか私たちと反応違くない!?」

P「正直お前らに言われるのは普通に悲しいくらいで済むが、卯月に言われると泣きそうになるからな……いや、本当、泣きそう……」

凛「……わからなくもないけど」

未央「しぶりんまで……いや、私もわかっちゃうんですけどね?」

卯月「えっ……ど、どうしてですか?」

P「卯月は天使だからな……」

未央「うわぁ……すごいこと言ってるね、プロデューサー」

P「否定するのか?」

未央「いや、しまむーは確かに天使だけどね! ね! しぶりん!」

凛「……そうだね。卯月は天使みたいにかわいいよ」

卯月「そ、そんな……もう! 凛ちゃん! 未央ちゃん! プロデューサーさん! からかわないで下さい!」

P「ははは。すまんな。でも、天使みたいにかわいいって思ってるのは嘘じゃないぞ?」

凛「私もごめんね、卯月。でも、私もプロデューサーと同じで嘘じゃないよ」

卯月「うぅ……そんなこと言われたら、どう返していいかわからなくなっちゃうじゃないですかー……」

未央「つまり、しまむーは天使みたいにかわいいってことですよ! もちろん、しぶりんや私も、ね!」

凛「自分で言う?」

未央「しぶりんは私をかわいいって思ってくれてないの……?」

凛「……思ってるけど」

未央「……えへへっ、しぶりんしぶりん、」

凛「……何」

未央「大好きだよ☆」

凛「なっ……もう、からかわないでよ」

未央「だってしぶりんが嬉しいことを言ってくれるんだもーん」

凛「だからって……そんな、恥ずかしいじゃん」

卯月「私も凛ちゃんのことが大好きですよ」

凛「……卯月まで」

卯月「もちろん、未央ちゃんのことも大好きです!」

未央「お、おおぅ……しまむー、やっぱり君は天使だったのか……私も大好きだよ、しまむー!」

卯月「未央ちゃん!」

未央「しまむー!」

卯月「未央ちゃん!」

未央「しまむー!」

卯月「未央ちゃん!」

凛「……それ、いつまで続くの?」

未央「おっ、しぶりーん。もしかして嫉妬? 嫉妬かなー?」

凛「違うけど」

卯月「そうなんですか? 凛ちゃん」

凛「だから違うって……もう」

P「……お前ら、いちゃいちゃし過ぎだろ」

未央「プロデューサーも混ざりたいのー?」

P「もちろん。だが、そうやって仲良くしてるのを見ているだけっていうのもそれはそれで良いものなんだよ。むしろ俺が混ざったらダメだな」

凛「どういうこだわり……?」

P「これがわからん内はまだまだだな……勉強しとけよ?」

卯月「そうなんですか……はい! 島村卯月、頑張ります!」

P「いや卯月は勉強しなくてもいい頼むから勉強しないで下さいお願いします」

未央「どっちなの……?」

P「天使にあんな世界を見せられるわけないだろ!?」

凛「そんな世界なんだ……」

卯月「え、えっと……私は結局、どうしたら……」

P「卯月はそのままでいてくれ」

卯月「は、はい……わかりました」

P「で、カレー、食べに行くんだよな? じゃあ準備しろ。行くぞ」

未央「はーい」

凛「うん、じゃあ、行こうか」

卯月「はいっ。楽しみです!」


――店の前

未央「……ここ?」

P「ああ」

凛「……なんか、雰囲気あるね」

卯月「はい……」

P「ん? 思ったよりボロいって?」

未央「そんなこと言ってないけど!?」

P「思ってないのか?」

凛「……正直、少しは」

P「マジかよ……凛、それはちょっと失礼じゃないか?」

凛「……プロデューサー? さすがに怒るよ?」

P「すまん」

凛「……ハァ。べつにいいけど、さ」

未央「でも、本当に、ちょっと、思った以上なんだけど……大丈夫なの? ここ」

P「こういう店こそうまいもんだ……とは、思わないのか?」

未央「いや、確かにそういう考えもわかるけどさぁ……というか、美嘉ねーをここに連れてきたんだよね」

凛「……そう考えると、プロデューサー、度胸あるね」

P「それはちょっと色々あってな……でも、美嘉の感想は聞いただろ?」

卯月「そういえば……そう考えると、このお店はとても良いお店、なんですか?」

P「それは人によるとしか言えないな」

凛「人によるんだ……」

P「カレーはほとんど間違いなくうまいと思うだろうが……まあ、入ってみればわかる」

未央「まあそっか。じゃあ、入るぞー、おー!」

卯月「おー!」

凛「お、おー……」


――店内

未央「……店の中も雰囲気あるね」

凛「うん……なんか、思ったよりも……」

P「あー……これは本当に好みがわかれるだろうな。こういう店で唯一の欠点と言ってもいいかもしれないが、雰囲気作りのためってところもあるだろうから欠点ってほどでもない」

卯月「雰囲気作り、ですか……」

凛「……それはわからないでもないけど」

未央(……正直、このよくわからない音楽は……なんか、変な感じがする。あと、すっごく『インド!』って感じの内装……)

P「初めて来たらまあ面食らうよなぁ……こういう店の内装は割りとこんな感じのところが多いんだが、確かに俺も最初に来た時は面食らったし、この音楽もなかなかなぁ……でも、今となってはこの内装とこの音楽こそが『インドカレー屋!』って感じがする」

卯月「そうなんですか……」

P「まあ、食べてみなくちゃわからないよな。さて、メニューだが……何を頼む?」

凛「プロデューサーのオススメは?」

P「無難にコレでいいんじゃないか? ナンにカレー、あとはサラダとタンドリーチキンが一つ、ってな」

未央「ナン……ナンかぁ」

P「どうした?」

未央「そういえば、ナンって食べたことないかも……って思ってさ」

P「そうか? 凛と卯月は?」

凛「ない……かな。確か」

卯月「私も食べた記憶はないですね……」

P「へぇ……まあ、そうか。家で作るわけもないし、こういう店に来ないと食べないもんな」

未央「うん。……で、カレーは?」

P「本日のカレーってやつがあるから……うん、あの味ならあのままでいいな。割りとスタンダードなカレーだ。マトンカレー」

凛「マトンカレーとだけ言われてもわからないんだけど……美嘉たちと来た時は何だったの?」

P「マトンカレーはその名前の通りマトン、つまり仔羊の肉を使ったカレーだな。美嘉たちと来た時はチキンマサラ……まあ、チキンカレーみたいなもんだな。正確には違うような気もするが、それくらいの理解で問題ないだろ」

未央「ふぅん……インドカレーって、マトン? とかチキンが普通なの?」

P「知らん。だが、牛肉と豚肉は宗教の関係もあるからな。となればマトンとチキンが普通なんじゃないか?」

卯月「あー……そういうことですか」

P「まあ、マトン……というか、羊の肉ならマトン以外にも種類はあるらしいが、よくわからん。俺がよく見るのはマトンだ。で、カレーは本日のカレー……で、いいんだよな?」

未央「うん。ま、私たちはこの店のことよくわかってないしねー」

P「辛さはどうする?」

凛「プロデューサーは?」

P「ここでいちばん辛いのを」

卯月「それってどれくらい辛いんですか?」

P「ここのはそこまで辛いってわけじゃないな。店主さんがそこまで辛いのが好きじゃない……というか、『ワタシたちそこまで辛いカレー食べないヨ。これ以上辛くするとワタシたち味見できない。どうしてそんなに辛いの食べれるの? もう自分でこれを入れればいいヨ』みたいなこと言われて唐辛子のパウダーみたいなのを渡されたし、そういうもんなのかもしれない。だが他の店では俺でも泣きそうなくらい辛いカレーを出されたこともあるし、実際のところはわからんな……」

未央「ということは、私たちが辛いカレーを頼んでも問題ないと?」

P「問題ない……と思うんだが、どうだろうな。莉嘉も美嘉も涙目になってたからな……」

凛「美嘉が涙目……?」

卯月「それって、どれだけ……」

P「でも、うまいって言ってただろ? ラッシーを飲めば辛さも中和されるしな」

未央「ラッシー? 何それ。緑色の恐竜? ラス湖にでも住んでるの?」

P「ヨーグルトベースの飲み物だよ。インドカレー屋にきたらまあこれだな」

卯月「おいしいんですか?」

P「うまい。というか、激辛のカレーを頼んだ時は砂漠のオアシスみたいに感じるな……」

凛「砂漠のオアシスって……そこまで言うなら激辛カレーなんて頼まなきゃいいのに……」

P「仕方ないだろ? うまいんだから。汗をだらだら垂らして涙目になって、傍から見れば気持ち悪いって思われるような状態で、辛い辛いと言いながらもカレーを食べる。それでラッシーを口に含み、ほっとして、しかしまだ舌の痛みは完全に消えることはなく、また辛い辛いカレーを欲する……それが本当に良いんだよ!」

凛「……プロデューサー、熱いね。でも、そこまで熱弁するなら、私も食べてみたいかも……」

卯月「えぇっ!? わ、私は逆にちょっとこわくなっちゃいました……」

未央「あれ? ってことは、しまむーは甘口を頼むの?」

卯月「そ、そのつもりですけど……未央ちゃんは?」

未央「私はもちろん激辛に挑戦しますよ? しまむーはこの中でひとりぼっちになっちゃうのカナー?」

卯月「う、うぅ……じゃ、じゃあ私も」

P「やめとけ、卯月。未央も、悪ノリが過ぎるぞ」

未央「確かにねー……ごめんね、しまむー」

卯月「い、いえ……でも、未央ちゃんの言う通り私だけというのも……」

P「そんなもんを気にする必要はない。甘いのを頼んでいる奴が一人くらい居た方が比較できていいかもしれないしな」

卯月「そうでしょうか……」

P「卯月が辛いのを食べてみたいってことなら、俺らが分ける。問題ないよ。その代わり、俺らも卯月のをちょっともらうことになるかもしれないけどな」

卯月「……じゃあ、私、甘口を頼むことにします」

P「ああ。そうしとけ。甘口だからって味が落ちるってことはないし、むしろ純粋に味だけを楽しむならそっちの方が良いかもしれないってくらいだ。俺が激辛を頼むのは単に好みの問題、だな。あと、『甘口』だからって甘いわけじゃない。唐辛子があんまり入ってないってだけで、普通にスパイスの味はする。『辛い』とはあまり感じないだろうが、カレーの種類によっては感じるものもあるだろう。今回のマトンカレーは……どうだったか忘れた。すまんな」

卯月「いえ、ありがとうございます、プロデューサーさん!」

P「じゃ、卯月以外は激辛で卯月が甘口……で、いいか?」

未央「うん、それでいいよ」

凛「私も」

卯月「私もです!」

P「わかった。すみませーん!」


――

P「で、来たな……」

未央「こ、これが……って、そこまでびっくりするようなものじゃないけどねー」

凛「これがナン……だよね? なんか……」

P「てかてか光ってるって? たぶんバター、だな。熱々のナンだ。うまいぞ? あと、ナンは一応おかわりできる。もちろんタダとはいかんが、好きに頼め。カレーの量は気にせずに食った方がいいからな」

卯月「……すごく、いいにおいですね」

未央「バターと、なんだろう。なんか甘い感じのにおいがする……でも、砂糖とかのにおいじゃなくて……」

凛「……おいしそう、だね」

P「じゃあ、食べるか」

未央「食べる順番とかはあるの?」

P「特にない。好きに食べろ」

未央「そっか。じゃあ、いただきまーす」

未央(と、いうことで……うーん、どうしよっかなー)

未央(ナンのこのにおい……本当にいいにおい。もうこれだけでもおいしそう。カレーもカレーでおいしそうだなー……スプーンとフォークがあるけれど、これはどう使うんだろう? ……あ、スプーンでカレーをすくったりするのか。フォークはサラダ、かな?)

未央(ちぎったナンでカレーをすくったりしてもいいっぽいけど、それじゃあこのマトン? まですくうのは難しいから……なのかな?)

未央(インドでもそうなのかは知らないけれど……とりあえず、まずはナンだけで食べてみよっかなー)

未央(では、まず一口……)パクッ

未央「……んんー!」

未央(おいしい! バターがたっぷり塗られてあって、手がべとべとしちゃうくらいだけど……本当においしい! なんだろう、このナン……焼きたてで、なんだか甘くて……とても、おいしい)」

未央(もうこれだけでおいしいなぁ……では、カレーを……まずは、スプーンだけで)ズズ…

未央「……んんっ!?!?」バタバタ

未央(辛い辛い辛い辛い! というか痛っ! 痛い! ダメダメダメダメ! 早く飲み物!)

P「あ、未央。ラッシーはストロー越しに飲めよ。ストロー越しにちびちびと、だ。一気に飲むな。ちびちび飲まないと意味がない」

未央(えっ? でも、いや、そうか。プロデューサーの言う通りに。飲もう)チュー……

未央「……ふぅ」

未央(んー……癒やされた。すごい。甘いんだけれど、ヨーグルトの酸味もあって……カレーの辛さが中和されてる。でも完全に消えるってわけでもなくて、余韻みたいなものは残ってる。それで、その余韻がカレーをまた食べたくしてる……)

P「どうだった? 未央」

未央「……辛いね。すごく辛い。でも、これなら……」

P「そうか。なら良かった」

未央(……もう一口)ズズ……

未央「っ!」

未央(辛い! ……でも、おいしい。いつも食べてるカレーとはまったく違う。いや、カレーはカレーなんだけど……すごい。おいしい)

未央(じゃあ、次はナンにカレーを付けて、一口……)

未央「……うん!」

未央(おいしい! 辛いけど……辛いけど、おいしい! なんだろう。カレーの辛さとナンの甘み? バター? 何かはわからないけれど、それが一緒になって……めちゃくちゃおいしい!)

未央(でも、すっごく辛い……涙目になってることがわかる。なんだか汗をかいてきたような気がする……ということで、ラッシーを)チュー…

未央「……はぁ」

未央(幸せ……本当、このラッシーが良い仕事をしてる……これがなかったらどうなっていたことか……。飲む度に辛さが中和されて、それでさらにカレーが食べたくなってしまう……ん? もしかして、このラッシー……女神みたいなものだと思っていたけれど、実は悪魔なんじゃ……。辛さを癒やすと見せかけて、いや実際癒しているんだけど、その代償にさらにカレーを求めさせている……。うん、ラッシーくん、君には『ちひろさん』の名前を授けよう)

凛「……そこまで辛いの?」

未央「え? ……あ、しぶりん、まだ食べてなかったの?」

凛「プロデューサーがどんな順番でもいいって言うから、とりあえず、タンドリーチキンをね。これもちょっと辛い……かな」

未央「へぇ……じゃあ、次は私も食べてみよっかなー」

凛「それで、辛いの?」

未央「正直、めちゃくちゃ辛いよ? でも、すっごくおいしい」

凛「へぇ……」

未央「ほらほら、食べてみなよー」

凛「……うん。じゃ、もらおうかな」

凛「……」パクッ

凛「……っ!? んっ、んー!」バッ

凛「……ふぅ」

未央「おお……しぶりんのそんな反応、初めて見たかも」

凛「だって……プロデューサー? どこが『そんなに辛くない』の?」

P「食べた瞬間に汗が噴き出て泣くほどじゃないだろ? なら、『そこまで』だろ」

凛「プロデューサーの『辛い』のハードル高過ぎるよ……」

未央「そういえば、しまむーは?」

卯月「……んー!」

未央「……幸せそうだね」

卯月「はい! とってもおいしいです!」

未央(……私も甘口を頼むべきだったかもしれないなぁ)

卯月「でも、辛いのもちょっと気になりますね……一口、もらってもいいですか?」

凛「うん。はい、卯月」

卯月「ありがとうございます! じゃ、いただきまーす」パクッ

卯月「……!? んー!?」ナミダメ

P「卯月っ!」バッ

卯月「あ、ありがとうございまひゅっ」チュー……

未央「プロデューサー、私たちの時と反応違い過ぎない……?」

P「卯月が苦しんでいる姿なんて見たら心が痛むだろ」

凛「私たちが苦しんでいる姿は心が痛まないように聞こえるけど」

P「こういうので苦しんでいる姿に限ってはむしろ……あっごめんごめんこういうの以外では絶対に苦しむようなことさせないからそんなにこわい顔するな凛未央二人とも俺の大切なアイドルだから愛してるからだから許して下さいお願いします」

卯月「……ふぅ」

卯月「……か、辛い、ですね。でも、なんだか、もう一口食べたくなるような……中毒性がありますね」

P「辛いのは中毒性があるからなぁ……辛くてたまらないんだが、それがまた良い、って言葉の意味、わかってくれたか?」

卯月「はい……これはさすがにちょっと辛すぎますけど、辛いのも辛いので良い、ですね」

P「もちろん、甘口も良いんだけどな」

卯月「正直、甘口を食べた時はこれが甘口だと思ってませんでしたが……これを食べた後だと、やっぱり甘口だなぁ、って思います。いや、『甘い』ってわけじゃないんですけど」

未央「へぇ……しまむー、一口もらってもいい?」

凛「私も、いい? 卯月」

卯月「はいっ、もちろんです!」

未央(ということで、早速一口……)パクッ

未央「……んんっ!」

未央(おいしい……なんか、激辛よりもしっかりと味がわかるっていうか……激辛から『辛さ』だけを抜いたって感じ?)

未央(でも……なんか、物足りないかも)

P「未央、凛……物足りない、って顔、してるぞ?」

未央「えっ」

凛「……うん」

P「ふっふっふ……お前らはやっぱりこちら側だということだよ……ようこそ、『辛党の世界』へ……」

凛「……辛党ってお酒が好きな人って意味じゃなかったっけ?」

P「細かいことは気にするな! 実際、お前ら、激辛にハマってるだろ」

凛「……まあ、否定はできないかな」

未央「私も、かなり……」

P「だろ? ふっふっふ……美嘉もそうだったが、やっぱりな。さて、食うか。冷めるぞ?」

凛「それもそうだね。じゃあ、食べよっか」

未央「改めて、いただきまーす、っと」

未央(っと、その前に、タンドリーチキンを……)パクッ

未央「……おおぅ」

未央(おいしい。外はパリパリで、中はジューシーな……うん! とってもおいしい。ちょっと食べにくいけど、フライドチキンが好物な未央ちゃんはこういうものを食べるのもお手の物、ですよ、っと)

未央(この味……スパイスがちょうど良い具合に効いていて、ふわっ、と口の中で広がって、鼻から抜ける。うーん、おいしい!)

未央(――っと、もう食べちゃった。これはおかわりしてもいいかもしれませんなぁ……と思いながらも、カレーを食べましょう!)

未央(ナンをちぎって、カレーを……そうだ、今度はスプーンを使ってみよう。大きめにちぎったナンにカレーとマトンを乗せて、それをナンでくるむようにして……)バクッ

未央「……んー!」

未央(辛い! おいしい! それと、マトン、だったっけ? これがまた良い! ナンとカレー、それにマトン……これ、すっごく合う! もちもちしたナンにジューシーなマトン……それと辛くてスパイシーなカレー……最高!)

未央(次はマトンはなしに、ナンにカレーを多めに乗せて、それを包んで……)パクッ

未央「ん~!」

未央(辛い辛い辛い! でも、おいしい! そこにラッシーを……)チュー……

未央「ふぅ……」

未央(ああ……ダメ……もう、これ……ハマっちゃった……)


――

P「ん、そろそろナン、頼んどくか?」

未央「え? ……あ」

未央(確かに、もうナンが少なくなってきてるかも……)

未央「じゃ、じゃあ、お願いします……」

凛「私も、お願い」

卯月「私もお願いします……」

P「よし。すみませーん、ナン四枚、追加でー!」

店員「四枚? わかったヨー! ありがとネー!」

卯月「うう……ちょっと、食べ過ぎているような気がします」

凛「うん……でも、なんだか、まだまだ食べれるような気がする」

P「辛いもんは食欲を促進するからなぁ……体温が上がって、汗もかくだろ? それと一緒で消化器官が活発に動くようになるから、食欲も促進しちまうんだよな」

未央「でも、それだとどうしてしまむーは?」

P「む……それもそうだな。どうしてだ、卯月?」

卯月「どうしてでしょう……」

凛「おいしいからじゃない? というか、同じカレーなんだし、スパイスが含まれてるのは一緒でしょ? 私たちほどじゃないけど、卯月も汗、かいてるしね」

P「おお、それっぽい解説だな、凛」

未央「さすがは我らがしぶりん、だね」

凛「どういうこと……?」

P「頼りになる、ってことじゃないか? そういえば、未央、まだサラダ食べてないんだな。食べればどうだ?」

未央「お、それもそうだね。では一口……」パクッ

未央「……うん。サラダだ!」

P「まあな」

未央(サラダ……サラダだ! はっきり言ってそこまでおいしくない! でもまずいってわけでもない! コメントに困る!)

P「これでサラダもうまい……とはさすがにいかないんだよなぁ。まあ、辛さを和らげるって意味で考えるとこれで十分なんだけどな」

未央「まあ、そうだよね。これでサラダまでおいしかったらちょっとこの店完璧過ぎるよ……」

P「そこまで言ってる時点で未央のこの店に対する評価の高さがわかるな……」

凛「でも、本当に良い店だね、プロデューサー。こういう店って入ったことなかったけど……」

卯月「はい。本当においしいお店ですね」

P「よろこんでくれて何よりだ……さて、終わりみたいな感じだが、まだ折り返し地点だ。どんどん食べるぞ」


――

未央「あちち」

未央(もう一枚のナンがきて、焼きたてのそのナンはとっても熱い。ちょっと触るのもためらわれるほどに)

未央(でも、これをなんとかちぎって、カレーを付けて、食べる……)パクッ

未央「ん……!」

未央(辛さとうまみが爆発して、舌が痛くなる。水が欲しくなる。でも、水を飲んだら舌がさらに痛くなることはわかってるから、ラッシーをちびちびと流しこむ)チュー……

未央「……ふぅ」

未央(暑い。体温が上がってる。汗だくだ。おでこや鼻、あごのあたりから汗がどんどん噴き出てる)

未央(しぶりんも汗だくだし、プロデューサーも汗だくだ。しまむーはそれほどでもないけれど、ちょっと汗をかいている)

未央(……今なら、プロデューサーが言っていたことの意味がわかる。汗だくになって、涙目になって、他の人から見れば見苦しいかもしれないような状態だけど、それでも、辛い辛いカレーを食べる。それでまた舌が痛くなって、汗が出て、ラッシーを飲んで癒される。この繰り返し……癖になる)

未央(なんだろう……おいしいし、なんだか、楽しい……?)

未央(……みんなと食べているからっていうのもあるだろうけれど、こうやって、汗をかいて、人の目を気にしないで食べるっていうのは、ちょっと、気持ち良いかも……)

未央(……なんか、今の私、変態っぽいかも。……食べよ)パクッ

未央「……んー!」


――店の外

未央「ふー……ちょっと、食べ過ぎちゃったかも」

卯月「私もです……」

凛「私も……でも、おいしかったよ。美嘉がべた褒めしてたっていう理由もわかる、かな」

P「やっぱりこういうカレー屋は良いよなぁ……とにかくうまい。べつに洋食屋とかのカレー、インドカレーじゃないのがダメだって言ってるわけじゃないが、インドカレー屋とはもう別の種類の店だよな。こういうのを食べたくなる時っていうのはやっぱり一定の周期であるんだよなぁ。こういうの……特にナンだな。あれを食べれる店は少ない。カレーはもちろんだが、ひょっとすると俺はナンを食べにここに来ているのかもしれない……」

未央「えぇー……いや、わからなくもないけど」

P「あとは、汗をかきにきているのかもな。辛い辛いと言いながら、暑い暑いと言いながら、それでもその原因であるカレーをバクバク食って汗をかく。俺みたいな男がそんなことをやっているのは傍から見れば見苦しいんだろうが、やってる本人としては気持ちいいんだよなぁ……」

凛「……それも、わからなくはないかも」

P「おおっ、わかってくれるか! でも、お前らは良いよなぁ……汗だくになってもアイドルだ。汗だくになってるその姿も魅力的に見えるんだもんなぁ……美嘉なんかには『見ないで!』って言われたが、もっと見たかったところだ。あいつ、すぐにメイクを直すんだもんなぁ……」

未央「美嘉ねーは、まあ……ね」

未央(メイクを落としてもかわいいんだけど……プロデューサーに見られるのはさすがに嫌なんだろうなぁ)

未央(最初から予想できていたらべつだけど、汗をかいても大丈夫なメイク、なんて、都合良くはしてないだろうし)

卯月「でも、本当においしかったです……」

凛「うん。辛かったけど、本当においしかった……」

P「それは良かったよ」

未央「あのさ、プロデューサー」

P「なんだ?」

未央「辛いものを食べた後ってさー……甘いもの、欲しくならない?」

P「……ハァ。わかった。どこか行くか」

未央「おおっ、プロデューサー、気がきくぅー!」

凛「……本当にいいの?」

P「お前らも食いたいだろ……そうだな、凛が居るってことは……アレだな」

凛「あれ?」

P「行くぞ。ちょうどいいから、お前らには『体験したことがないほどうまいもの』をもう一回食べてもらう――いや、飲んでもらう、かな」

卯月「どういうことですか……?」

P「来ればわかる。とりあえず、凛は絶対に好きだな」

凛「私が……ってことは、チョコレート?」

P「ああ。……行ったことあったら正直恥ずかしいが、絶対に聞いたことがあるところだ。期待してろ。行くぞ」

凛「……うん。わかった。行こうか」


――店の前

凛「ここ、って……」

未央「……私でも知ってるんだけど」

卯月「……見たことはありましたけど、入ったことはないですね……」

P「まあ、高いイメージがあるからな。実際そこそこの値段はするがそこまでじゃあない。でも、その反応を見る限り、入ったことはないみたいだな」

未央「いや、だってここ、めちゃくちゃ高いイメージがあるんだけど……」

P「確かに普通のなら高いだろうが、俺らが今から飲もうと思ってるのならワンコイン……では無理だが、600円くらいだ。そこまでじゃあない」

凛「それでも十分高いと思うんだけど……」

P「そう思うか? ……いや、そう思っても無理はないか。だが、一度飲んだらそうとは思えなくなるぞ」

未央「そんなに?」

P「ああ、じゃ、入るぞ」

――店内

P「お前らは何にする?」

未央「プロデューサーのオススメは?」

P「普通にこれだな。ミルクチョコレートデカダンス。とりあえずこれを頼んでおけばいいと俺は思うぞ」

凛「じゃあそれで」

卯月「私もそれでお願いします」

未央「私もー」

P「そうか。じゃ、ミルクチョコレートデカダンスを4つ、お願いします」


――

P「で、きたな。飲んでみろ」

凛「うん……じゃあ、もらうね」

凛「……」チュー……

凛「……!!!!!」

凛「ぷ、プロデューサー!」

P「なんだ?」

凛「すっごくおいしい! 何、これ……甘くて、冷たくて、濃厚で……辛いものを食べた後だから? すっごく甘く感じるけれど、甘ったるいわけじゃなくて、本当に、なんというか、幸せな……『幸せ』をそのまま飲んでいるような感じがするよ」

P「……いや、凛は好きだろうと思っていたが、まさかそこまでの反応だとは思わなかったぞ」

凛「え? ……!」ハッ

凛「ち、違うから! 今のは、その、違うから!」

未央「でも、しぶりんのその反応もわかるよ……本当においしいね、これ」


P「だろ? 正直、初めてこれを飲んだ時はあまりのうまさに夢でも見てるのかと思ったからな……甘ったるいと思う人は甘ったるいと思いそうだが」

凛「うん……本当にそんな感じだよ。なんだろうね、これ。他のも頼みたくなるよ。でも、これはこれでシンプルで良いね。ダークチョコレートデカダンスっていうのはちょっと苦い……というか、その名前の通りミルクチョコレートじゃなくてダークチョコレートの味なんだろうね。つまり、カカオ含有量が高いのかな。それはそれでおいしそうだけれど、今の舌だとこのミルクチョコレートデカダンスが最適だろうね。とってもおいしいよ。抹茶やキャラメル、なんてものもあるんだ……それもそれでおいしそうだけれど、私はたぶんどっちかが好きだね。今度はダークチョコレートデカダンスっていうのも頼んでみようかな。いや、期間限定のものは今のうちに頼んでおいた方がいいのかな……どうだと思う? プロデューサー」

P「いや……凛のチョコレートに対する思いは本物だな、って思うが」

凛「? そんな話をしているんじゃないんだけど……」

P「あー……そうだな、また俺と来るか? その時は他のを頼み合うことにするとか」

凛「それ、良いね。というか、プロデューサーはここに何度か来たことがあるような口ぶりだったよね? 他のはどうだったの?」

P「え? いや……まあ、俺はミルクチョコレートデカダンスがいちばん好きだな。カカオの香りがするってのも良いんだが、やっぱり甘いのが好きというか……」

凛「ふぅん……で、他のは? というか、期間限定ってことは今あるメニュー以外でもあるってことだよね? それに関しても話を聞きたいんだけど……」

P「そ、それは、だな……」チラッ

未央「……しまむーしまむー、なんか、長くなりそうだから二人で飲んでおこうか」

卯月「えっ? でも、その……」

未央「いいよいいよ。あんなしぶりんが見れるのも貴重だし、プロデューサーには犠牲になってもらおう……もちろん、こんなにおいしいものを教えてくれたことには感謝してるけどね」

卯月「……確かに、凛ちゃん、とっても楽しそうですね。まるで歌の話をしている時みたい……」

未央「うん……たぶん、プロデューサーもよろこんでるよ」

卯月「そう……ですかね」

未央「しぶりんがあんなに楽しそうなんだから、プロデューサーがよろこばないわけないじゃん」

卯月「それもそうですね……じゃあ、邪魔しないようにしておきましょうか」

未央「うん」

P「ちょ、未央、卯月……!

凛「? プロデューサー、どうしたの? まだ聞きたいことはいっぱいあるんだけど」

P「え、いや、その……そうだな。俺としては……」


未央「……はぁ。おいしいね、しまむー♪」

卯月「はいっ。とってもおいしいです♪」




これにて今回は終了です非常に長くなってしまい申し訳ありませんでした!
長くなるとは思っていましたがまさかここまで長くなるとは思っておりませんでした。あと、ここまでかかるとも思っていませんでした。すみません。完全にAO進化論を見てリアル野球盤を見てデスノートを見てました。面白かったです。

今回の店はインドカレー屋と某チョコレート屋ですね。
インドカレー屋っていうのはどうしてあんなに魅力的なんでしょうか……ナンがおいしいインドカレー屋は貴重ですよね。あと、私の運が良かっただけかもしれませんが店員さんが良い感じの人のことも多いような気がします。あれが苦手って人も居るのだと思いますが私は好きです。
インドカレー屋の内装とあの独特の音楽は好き嫌いがわかれるんだろうなあ、と思います。カレーとナンが嫌いって人はあまり居ないと思うんですが……。
でも、「あの内装と音楽は正直苦手だけれどおいしいから入っちゃう……!」って人も割りと居るんじゃないかなー、と。あのナンとカレーが嫌いって人も居るのかもしれませんが、私は好きです。とても好きです。でも最近食べれてません。食べたいです。書いててお腹がすきました。

某チョコレート屋のアレは本当においしいですよねぇ……。甘ったるくて嫌いって人も居るのかもしれませんが、私はそこまで感じませんね。確かにめちゃくちゃ甘いんですが、くどくなく、上品な甘さとでも言うのでしょうか。初めて口にした時に「この世界にこんなものが存在していいのか……? これだけで戦争がなくなるんじゃないか……?」と思ったものはいくつかあると思いますが、私にとってこれはその一つですね。おいしいです。飲みたいです。でもちょっとお高い……。でも「味にしては高い!」とかは言えないんですよね。好きなので。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSと関係あるようなないような話ですが今回の美嘉莉嘉ポジションは当初、楓さんと美波でした。楓さんと美波が一緒にカレーを食べに行った、という話を聞いた未央が……という流れでした。その場合はPと未央が二人きりで、というルートもありましたがちょっと色々考えた結果こうなりました。今になって考えるとそういうルートでも良かったのかな、と思います。少なくともここまで長くはならなかったと思いますし出す予定がなかった某チョコレート屋を出すこともなかったかと。
でも個人的なことになりますがNGを書けて良かったです。何ならP抜きでNGだけで食べに行く話とかも書きたいかもしれません。逆にPだけで食べに行く話……はさすがにダメですね。

今回は過剰なまでに長くなってしまい申し訳ありませんでした。次回からはもう少し短くまとめられるようにしたいですが、また他のアイドルと食べに行くことがあれば今回ほどではないにしても長くなってしまうと思います。基本は未央とPの、なので本当にたまにしかないとは思いますが……。(そもそも、現時点では李衣菜とのデレパでのものしか考えていないので、それ以外にあるかどうかもわからないのですが)。

改めてありがとうございました。

仔羊の肉はマトンではなくラムだよ
マトンは成長した羊の肉

>>218
あああああすみませんすみません完全に勘違いしてました

ごめんなさいちょっと後日談を入れます。

>>207後日談

未央「あのさ、プロデューサー」

P「なんだ?」

未央「ちょっと聞きたいことがあるんだけど……マトン、って、なんだったっけ?」

P「羊の肉、だろ?」

未央「もうちょっと詳しく」

P「はぁ? ……ああ、そういう意味か。仔羊の肉、だろ?」

未央「……あのね、プロデューサー。プロデューサーが他にも羊のお肉の種類はあるって言ってたでしょ? それで、調べてみたんだけど……仔羊のお肉は、ラムだよ」

P「……え?」

未央「マトンは成長した羊のお肉で……ラムが、仔羊のお肉」

P「……ちょ、ちょっと待ってくれ」

P「……」ポチポチ

P「……マジか。マジかぁ……」

未央「あー……その、そこまで気にすることじゃないと思うよ? 間違いくらい誰にでもあるって」

P「でも……あああああ恥ずかしい。偉そうに言ってごめんな、未央。……ああ、凛と卯月にも言わなきゃ……あああああ、やっちまったぁ……」

未央「そこまで気にすること……?」

P「いや、だって、もしもお前らが他の人に、そう、テレビとかでこんなこと言ったら全国で恥をかくことになるんだぞ? それはさすがに申し訳無さすぎる……」

未央「……確かに。まあ、しまむーもしぶりんもそういう知識をひけらかすタイプじゃないから問題ないと思うけど」

P「知識をひけらかすタイプでごめんな……」

未央「あっ。そ、そういう意味じゃないよ? プロデューサーは気にしないでよ」

P「というか未央もなんでそんなに優しいんだよぉ……いつもならからかうだろ? 『ふっふっふ、これは何かお礼をしてもらわないといけませんなぁ』とかそういうこと言うだろ?」

未央「プロデューサーにとって私ってどういう人間なの……? いや、否定できないんだけどね。からかわなかった理由は、その……ちょっと、これはからかったらダメなやつかなー、って思って」

P「そこで空気読むなよぉ……」

カレー食いたくなるな
インドカレー屋ってやっぱ独特の雰囲気があって入り辛いけど今度行ってみようかな
一緒に行ってくれる女の子いないけど

未央「じゃ、じゃあ、プロデューサー。また何か食べに連れて行ってよ。NGのみんなで、さ」

P「……ありがとう、未央。でも……はぁ。やっちまったなぁ……卯月と凛にも言わないといけないし……ああ、憂鬱だ……」

未央「私が言おっか?」

P「いや、それはやめてくれ。もっとキツい。早く言わなきゃなぁ……はあぁ……」

未央「……えーと、何と言うか、ご愁傷様?」

P「……でも、未央、本当にありがとうな。お前に教えてもらわなかったらまた恥をかいていた可能性がある……今すぐマッ缶でもおごるよ」

未央「千葉県民だからってマッ缶好きだって発想はどうなの……?」

P「好きじゃないのか?」

未央「……好きだけど」

P「俺も飲む……マッ缶でも飲んでないとやってられない……はぁ、本当、どうして……」

未央「いつまで引っ張るの……? ……もう、仕方ないなぁ。プロデューサー、ちょっと、こっち見て」

P「ん……?」

未央「てい」デコピンッ

P「痛っ」

未央「ていっ、ていっ」ツンッ、ツンッ

P「痛っ、痛っ……ちょ、未央、なんだよ」

未央「プロデューサーが陰気臭い顔してるからだよ、もう。そんな顔をしているくらいなら自信満々に『マトンは仔羊の肉だー!』って言ってる方がいいよ。考えてもみなよ。明日からいきなりリーナが『私、今までロックについてすっごく勘違いしてた……ごめんなさい、Pさん……私、本当、最悪ですね……ロックじゃないですね……』なんて言ったら嫌でしょ? 必要以上に自分の失敗を後悔するのは周りの人にとっても嫌なの。だから、元気出してよ。ね? プロデューサー」

P「……ああ、そうだな。お前の言う通りだ、未央。……ありがとう」

未央「えへへ、どういたしまして。じゃ、行こう、プロデューサー。マッ缶、おごってくれるんでしょ?」

P「……ああ」

未央「じゃ、先に行ってるよ? 早く来てよね?」

P「ああ」

未央「じゃ、お先―」タッタッタ……

P「……ったく」

P「……本当にありがとうな、未央」

未央「プロデューサー? 早く早くー!」

P「お前が早すぎなんだよ! 待ってろ! すぐに行くー!」タッタッタ……



これにて後日談は終わりです今回は本当に申し訳ありませんでした! 何か失敗をしてしまった時は未央にこうやって元気付けてもらいたいです。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

>>223
確かに外から見ると独特の雰囲気があるかもしれませんね。中も独特で音楽も独特でむしろ中に入った方が独特の雰囲気がするような気もしますが、一度行ってみると案外大丈夫だと思います! でも苦手な人も居ると思うのでそこは断言できません。すみません。
店員さんは店によるとしか言えませんが、個人的な経験では陽気な方が多い印象です。ですから、そういう点では良い雰囲気でもあると思います。
カレーに関しては癖の強いものもあるのでそのあたりは注意した方がいいのでしょうが、口に合えば本当においしいと思うので、一度行ってみてもらいたいです。

ここまで言っておいて口に合わなかったらすみませんとしか言えないのですが……それでも、日本人の口に合うようにされているところも多いので、普通にカレーが好きなら大丈夫だと思います。たぶん。

未央「プロデューサー、お腹空いたー」

P「俺もだよ。……だが、あそこまでかかるとはな。仕事としては本当に良かったから文句も言えないが」

未央「私はお腹ぺこぺこだよ……もうどこかテキトーなところに入ろーよー」

P「テキトーなとこ、って言ってもなあ……ん、じゃ、あそこにするか」

未央「あそこ?」

P「ラーメンでいいか?」

未央「いいけど」

P「なら決定だ。行くぞ」

未央「あ、うん」


――店の前

未央「ほほう、結構大きな駐車場……それが割りと埋まっているということは、おいしいお店?」

P「チェーン店だからわからん。ラーメン屋のチェーン店ってのは割りとその店によって味が違ったりするからな……俺のよく行っていた店はうまかった」

未央「チェーン店で味が違う……っていうのは、前に連れて行ってくれたこってりのところとか?」

P「ああ。だから口の合わないところに最初に入って悪印象、って人も割りと居るような気がするな。とは言っても、チェーン店なんだからそこまで大きな味の違いがあるってわけでもないし、本当にその店の味が口に合わなかったって人も多いんだろうけどな」

未央「前のお店だと『こってり』の程度に差はあれど……みたいなこと?」

P「ま、そういうことだな。たぶん。……じゃ、入るか」

未央「おー」


――店内

未央「……なんか、『ラーメン屋さん!』って感じのお店だね」

P「あいさつが元気だったりそこらに『ラーメン格言』的なものが貼ってあるところとかか?」

未央「そういう意味じゃないけど」

P「色々書いてあるよなぁ……これは店舗によって変わらないんだな。ま、気にしなくてもいい。ただの雰囲気作りだって考えとけ。気になる人も居そうだけどな」

未央「確かに気になる人は気になるかもね……」

P「で、何にする?」

未央「んー……そうだなあ。今の未央ちゃんはお腹が空いていますからね、結構食べられますよ?」

P「そうか……じゃ、これで決定かな」

未央「うん。何かはわからないけど、それでいいよ」

P「よし。すみませーん!」


――

店員「大変熱いのでお気をつけ下さい」

P「はい、ありがとうございます。……で、来たな」

未央「うん、でもこれ……」

P「未央、早く混ぜた方がいいぞ。そっちのがうまい」マゼマゼ

未央「えっ、あ、うん」マゼマゼ

未央「……まさか、ラーメン屋さんでこういうのが出てくるとはね」

P「最近のラーメン屋ならそこまで珍しくも……あるか。でも、これがうまいんだよなあ。鉄板玉子チャーハン。中央のチャーハンと周りの溶き卵、それに肉とねぎ。早く混ぜろとばかりにジュージューと鳴り響く鉄板。ぜんぶを一気にかき混ぜて、それを口に運ぶと……うん、うまい!」

未央「熱そうだけど……大丈夫なの?」

P「ラーメンのが熱い。大丈夫だろ」

未央「そっか。……なら、いただきます」

未央(でも、これ、もうこの時点でおいしそうだよね。ジュージューと鳴ってるこの音とまぜた時のにおいが、なのかな? もうお腹が空いてたのに、さらにお腹が空いてくるような……)

未央(……いただきます!)パクッ

未央「熱っ……うん。……うん!」

未央(思っていた通り、ううん、思ってたよりもおいしい! このそぼろのお肉? が良い仕事してる。甘い……のかな? というより『うまい』? このお肉にうまみがたっぷりとつまっている感じがする)

未央(チャーハン自体もおいしい。熱々の鉄板の上だからかな。熱々で、そして、パラパラで……そこに溶き卵が絡んで、さっき混ぜたねぎの食感が楽しくて……とにかくおいしい! うーん、未央ちゃんはもうこの料理だけで満足できるかもしれませんよー)


――

P「よし、肉そばと餃子もきたな」

未央「はやいね。……まだチャーハン、全然食べれてないよ」

P「まあ、そこまで時間をあけてもな……ぜんぶを一緒に食べてからこそ、ってのもあるしな」

未央「そういうもの、かな」

P「そういうもんだろ。チャーハンも鉄板で熱せられてるからそこまで早くは冷めないし、時間が経ってからこその楽しみ方もこの店ではあるしな……じゃ、食べるか」

未央「うん。……これは、最初にこのもみじおろし? を混ぜた方がいいの?」

P「俺はよけてる」

未央「え」

P「あと、俺は個人的にここの食い方はぜんぶ無視してる」

未央「食べ方?」

P「そこに貼ってあるだろ」

未央「あ、ほんとだ。……『極めの五ヶ条』? って書いてあるけど。……この通りに食べないんだ」

P「スープは最初に飲むしその次に麺を食うのくらいはやるが、それ以降は無理だな。個人的に柚子胡椒おろしとか苦手なんだよ。まあ、混ぜたら味がすっきり? あっさり? まあとにかくそういう感じになるんだが、俺はあまり好きじゃない。半分くらい食べてから混ぜるってのが普通なんじゃないか? あと、ラー油。これはまあ入れてもいいだろうが、俺はべつのもんを入れる。酢もまああっさりになるんだろうな。入れたことがないからわからん」

未央「ごはんは?」

P「ここに来たらだいたいチャーハンを頼むからやったことがないな」

未央「へぇ……まあ、とりあえず今は、この、柚子胡椒おろし? は、よけておけばいいのかな?」

P「最初は、な」

未央「まあ、とりあえず、いただくね」

P「ああ」


未央(……っと、それではまずはスープを……)ズズ……

未央「熱っ! ……うん」

未央(醤油味? ……だけじゃないかな。お肉の脂みたいなのも味、というか、感じもするかな。前の店と比べるとさすがにあっさりしてるけど、それでも、こういう味のラーメンにしてはこってりしてる? いや、そこまでラーメンに詳しいわけじゃないからわかんないんだけど)

未央(前の『こってり』のお店ほどガツン! とはこないけど、おいしい。これこれの味が~みたいな食レポみたいなことはできないけど、うん、おいしい)

未央(じゃ、お次は麺を……)チュルチュル

未央「……うん!」

未央(おいしい。特に何か言うことはできないんだけど……おいしいからいいかな)

未央(さてさて、それではこのラーメンの主役っぽいお肉も一緒に食べてみましょうか)

未央(でも、これはまたけっこうな……たっぷりのお肉と、玉ねぎ? これは……豚バラ肉かな? えーっと、確か、これを絡ませながらズルズルと……っと。よし、いただこう)ズルズル

未央「……おお!」

未央(お肉と玉ねぎが一緒になって、さっきよりもおいしく感じる! かむごとに脂が染み出してくるお肉と、シャキシャキした玉ねぎ。それと一緒に啜る麺……これは、おいしい!)

未央「おいしいね、プロデュー……それ、何?」

P「ん? 野沢菜醤だ」

未央「……入れすぎじゃない?」

P「これがうまいんだよ。バカみたいに野沢菜をいれる…そこそこ辛くなるが、まあ、前に行ったカレー屋の激辛ほどじゃあない。個人的には確実にうまくなると思う。ラー油よりも俺はこっちをドバドバ入れたいんだよなぁ……」

未央「……そんなにおいしいの?」

P「俺は好きだな。俺がここに来るのは鉄板チャーハンと野沢菜のためだ」

未央「断言しちゃうんだ……」

P「それくらいだってことだよ。だが、自分のに入れると味が変わるか……俺の、ちょっと食うか?」

未央「いいの?」

P「よくなかったら提案しない」

未央「それもそうだね。じゃ、お言葉に甘えて……これは、どう食べるの?」

P「レンゲですくって食っても、麺と一緒に食ってもどっちでもいいと思うぞ。どっちでもうまい」


未央「ほうほう。それでは、一口……」ズズ……

未央「……ん!? おいしい!」

P「だろ!?」

未央「うん、本当に……本当においしいよ、プロデューサー。麺と一緒にもらってもいい?」

P「ああ、食え」

未央「じゃあ……」ズルズル

未央「……んー!」

未央「なんだろう……あの、この、野沢菜? 割りと辛いんだけど……このスープを混ざって、辛さがちょっと抜けてて、でもその代わりに肉そばの肉の脂? そのうまみみたいなのが加えられてて……ううん、そんなことはどうでもいいや。食感! この食感がいいね! 玉ねぎもシャキシャキしてたんだけど、この野沢菜はもう、ジャキジャキ? そんな感じがする。この食感が本当に良いね!」

P「だろ!? だろー!? うまいよな、これ。ドバドバ入れちゃうよなー!? 正直そこまで辛くなるかって言ってそこまで辛くならないからな。ラー油ならドバドバ入れちまうと辛すぎるってなるのかもしれないが、これはそれ単体で食べても割りと辛いって程度だ。ドバドバ入れてもその辛さに近づくってくらいで、超えはしない。だから俺はこれを入れてる。食感も楽しいし、未央が今言った通り、これ自体の味も良いんだ。この辛さと、味……本当、俺はこれを食うためにここに来てると言っても過言ではないな!」

未央「いつも通り熱いね、プロデューサー……でも、本当においしいよ、これ」

P「未央もさっき割りと熱かったがな」

未央「えっ……えぇー……」

P「なんでそんなにショックを受けたような表情してんだよ」

未央「……プロデューサーが感染った……プロデューサー菌が……」

P「おいそれやめろ」

未央(……でも、本当においしかった。うーん、未央ちゃんもこれを入れようかな、どうしようかなー……迷っちゃうかも)

未央(うーん……よし、決めた。せっかく初めて来たんだし、ここは先に柚子胡椒おろし? を入れてみよう。そこから野沢菜醤? を入れてもいいよね)

P「あ、そうだ、野沢菜醤だが」

未央「? なに? プロデューサー」

P「ここに鉄板玉子チャーハンがある」

未央「うん、あるね。割りと残ってる」

P「ここに……野沢菜をドーン!」ドサッドサッ

未央「え!?」

P「そして混ぜる!」カッチャカッチャ

P「そして食う!」パクッ

P「……うまい!」

P「……って食い方もある」

未央「……プロデューサー」

P「ん?」

未央「私もやる。貸して」

P「おお、いいぞ」ヒョイ

未央(……さて、プロデューサーほどじゃないにしても、最初はちょこっと……あ、割りと入れちゃった。まあいっか)

未央(それで、混ぜる)マゼマゼ

未央(そして、食べる!)パクッ

未央「……んー!」

未央(おいしい。これはおいしい。というか、チャーハン自体がさっきと違ってるような気がする。あ、鉄板で熱せられて、おこげみたいなのがちょっとできてるんだ。これチャーハン自体も食感が変わって楽しいかも)

未央(でもそんなことは割りとどうでもいい。野沢菜。これが良い。味が変わってるし食感も変わってる。でもチャーハン自体の味を殺してるわけじゃなくて……相乗効果? みたいなのが生まれてる。……これは、おいしい)

未央「プロデューサー、これ、おいしいよ」

P「そうか……じゃあ、これもやるか」

未央「え?」

P「ここにラー油がある」

未央「うん」

P「固形のどろどろしたラー油。これをチャーハンに入れる」ドサドサ

未央「うわっ……それ、さすがに入れすぎじゃ」

P「かもな。で、混ぜる」マゼマゼ

P「そして、食う」パクッ

P「……うん、やっぱりこれも良いな!」

未央「……一口くれない?」

P「自分ではやらないのか?」

未央「さすがに……」

P「じゃあ、食え」

未央「うん。あー……」

P「自分でとって、な」

未央「えー……」

P「えー、じゃないぞ、アイドル。ほら」

未央「はーい。……では」パクッ

未央「……うん、おいし辛っ! ちょ、やっぱり入れすぎだよプロデューサー!」

P「そうか? ……そんなことはないと思うが」

未央「味覚おかしいんじゃない!?」

P「……で、まだ手を付けていない餃子だが」

未央「スルー!?」

P「これは小皿にタレを入れて、そこにラー油をぶっこむ」

未央「またバカみたいに入れてるし……」

P「待て。これはこれでいいんだ。……で、このもうタレだかラー油だかわからなくなったドロドロの何かを餃子に付けて、食べる」パクッ

P「……ああ、うまい!」

未央「……ほんとに?」

P「食ってみろって」

未央「……」パクッ

未央「……辛っ! やっぱり辛いじゃんっておいしい!?」

P「ふっ……わかったようだな、俺の『バカみたいにタレにラー油をぶっこむことによってもうほとんどラー油をそのまま餃子に塗りたくって食べてるのと変わらないだろお前バカかよ食ってみろってお前そんなの絶対辛いってうまい!?』とまで言われた餃子の食い方の良さを……」

未央「いや、本当に『プロデューサーってバカなんじゃ……』って思ったけど、おいしいよ。辛い……辛いんだけど、おいしい。このラー油、おいしいラー油?」

P「なんだよその質問……まあ、うまいんじゃないか? ラーメンに入れてもうまくなるからな。俺が野沢菜醤を入れるのが好きってだけで」

未央「へぇ……まあ、とりあえず私はこのまま食べていくよ」

P「おう、俺ももう言うことはないな。あとは食事を楽しめ」

未央「うん」

未央(さて、最初は餃子を普通に食べてみよー、っと)パクッ

未央「……うん」

未央(おいしい。おいしいんだけど……あー! もう! プロデューサーのを先に食べちゃったから物足りなく感じちゃうじゃん! ……ラー油入れよ)

未央(……さて)

未央(次はまたまたラーメンを、っと)ズルズル

未央(うーん、やっぱりおいしい……けど、進めるにつれて、なんか……脂っこくなってきたような?)

未央(……あ、もしかして)

未央(……うん、やっぱりそうだ。柚子胡椒おろし? を入れると、さっぱりする。脂っこいのが好きな人とかはそのままでもいいのかもしれないけど、これ、食べていくごとに脂っこさが増してるような気がする。それがこの柚子胡椒おろしを混ぜると少なくなって、さっぱりとしたものになる)

未央(プロデューサーは野沢菜醤? をドバドバ入れてるから気付いてないのかもしれないけど……うん。これは良いね。私は好き)

未央(えーと、極めの五ヶ条? ではここにラー油を入れるんだっけ。……よし!)

未央(野沢菜醤を入れよう!)ドバババ

未央(食べよう)ズルルル

未央(うん! おいしい!)


――

未央「……で、なんでソフトクリームを頼んだの?」

P「うまいからだな」

未央「……そう」

P「お前、信じてないな?」

未央「だって、ラーメン屋さんのソフトクリームって……まったくどういうのかわからないんだけど」

P「割りとうまい」

未央「本当に? ……それじゃあ、いただきます」パクッ

未央「……おいしいじゃん!?」

P「なんで怒ってるんだよ……」

未央「……ラーメンを食べた後だから? あと、ちょっと辛いものも食べたし。熱々で辛いものを食べた後……それに、肉の脂でこってりしたものを食べた後。……そりゃあ、アイスもおいしく感じるか」

P「いきなり冷静になるのやめてくれないか?」

未央「うーん……でも、本当においしいね。プロデューサー、ありがとね☆」

P「……どういたしまして」


――店の外

P「じゃあ、帰るか」

未央「うん。予定より遅くなってるけど……大丈夫?」

P「問題ない。あの人のだし、遅くなるのも予想できないわけじゃなかった。さすがにあそこまでかかるとは思ってなかったが、どれだけ遅れても大丈夫なようにはしてあるさ」

未央「へぇ……ちゃんと考えてるんだね」

P「お前らのことだからな、当然だろ」

未央「……うん」

P「さて、ここからもまたちょっとかかるぞ。疲れただろ? 飯も食ったし……疲れてるんなら寝とけ」

未央「食べた後にすぐ寝ちゃダメなんだよ? 寝ませんよ、私は」

P「あんだけ食ってた奴が何言ってんだ」

未央「そこに連れてきたのはプロデューサーでしょ? ……それとは関係なしに、寝ないよ。プロデューサーと、話してる。話すのが運転の邪魔だっていうなら、やめとくけど」

P「……いや、それは俺としてもありがたい。人と話していると寝ないからな」

未央「うん。じゃ、話そー! 未央ちゃんは話そうと思えばいくらでも話せますからねー……」

P「俺もお前らのおかげで話すネタには困らんな」

未央「おっ、じゃあやっちゃいます? トークバトル、やっちゃいます?」

P「いいぞ。勝負の判定を誰が下すのかは知らんがな」

未央「それは自己判断ですよー」

P「そうか……で、どっちから話す?」

未央「私はどっちでもいいですよー?」

P「そうだな、じゃあ俺から。この前、凛と夕美が一緒に仕事した時の話なんだが――」

未央「ふんふむ?」


これにて今回は終了です。
ラーメン屋は二回目ですね。でも割りと違う感じの店?
私はこの店も好きですね。たまに食べたくなります。最近行ってないので行きたいです。
何回か行ってるのに肉そばとチャーハンと餃子以外を頼んだことがなかったりします。他のもおいしいのかな、と思いながらも肉そばを頼んでしまいます。からあげとかもおいしそう……あっダメだこれお腹空くやつ。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係ないですが今回のガチャは美嘉ガチャでしたね。かわいい。美嘉も担当なので回しました。はい。

改めてありがとうございました。

>>259
で、出たの?

>>264
出たら 嬉しくて報告する

>>264>>265
出ました。出ましたが、10thが……

P(ウチの事務所のキッチンの設備は割りと充実している)

P(お菓子作りを趣味にしているアイドルが所属しているから、というだけではなく、社長の意向あってのこと、らしい)

P(さすがに普段は忙しいから外食で済ませたりコンビニ弁当で済ませたりすることも多く、あのキッチンを使うのはほとんどがアイドルである)

P(しかし、家に帰るというほどの時間はないがそれでもある程度の時間が余っている時)

P(そして、『何かをガッツリと、店では難しいくらいの量を食べたくなる』という時)

P(俺は、料理がしたくなる)


――

P「……ふぅ」

P(予想以上の速度で仕事が進み、一段落ついた。時計を見ると次の予定までまだまだ時間がある)

P(……今、事務所に居るのは)

P「未央」

未央「んー?」

P「腹、減ってないか?

未央「え? つまり……どこかに食べに行くのカナ?」

ちひろ「えっ」

P「違う。……ちひろさんも『どうして私に声をかけてくれないんですか』みたいな顔しないで下さい」

ちひろ「そ、そんな顔してません」

未央「でも、それじゃあどうしてお腹が減ってるかなんて聞いたの?」

P「もし減ってるんなら、付き合ってもらおうと思ってな」

未央「何に?」

P「買い物に」

ちひろ「……まさか」

P「そういうことです。ちひろさんは米を炊いといて下さい。……あとは、俺がやるので」

ちひろ「……はい」

未央「なんか二人で通じあってるけど……どういうこと?」

P「まあ、付いて来ればわかる……未央、お前、料理はどれくらいできる?」

未央「え? 家庭科の授業で作ったことくらいならあるけど……そこそこ、かな?」

P「それくらいか。ま、問題ないな。……それで、付いて来るか?」

未央「うん。よくわからないけど、わからないままだともやもやするしね」

P「よし。じゃ、行くか」


――店内

未央「スーパー、だね」

P「まあ買い物しに来たからな」

未央「で、話の流れ的にプロデューサーが料理をするんだろうけど……何を作るの?」

P「食材から判断してみろ」

未央「えー……」

P「とは言っても、だ。……事務所の冷蔵庫、何入ってたっけなぁ」

未央「確認せずに来ちゃったんだ……」

P「んー……まあ、余ってもどうにかなるだろ。響子とかまゆとかが使うような気もする。葵も居るしな。他にも料理をするアイドルは割りと居るから大丈夫だろ」

未央「大丈夫、なのかなぁ……」

P「玉子が大量にあったりしたらまずいが……玉子なら菓子にも使えるし、問題ないか」

未央「玉子……ということは、玉子を使う料理、なのかな?」

P「ま、そうだな。……えーっと、まあ、玉子とマヨネーズ、ピクルスに玉ねぎ、あとは鶏むね肉があればそれでまあ問題ないだろ」

未央「……タルタルソース? あと、鶏むね肉……あ、わかったかも」

P「わかったか。じゃ、買って、帰るぞ」

未央「はーい」


――事務所

P「ただいま帰りましたー」

未央「ただいまー」

ちひろ「あ、おかえりなさい。ありがとうございます」

P「いえいえ。ちひろさんに作ってもらう時もありますしね……じゃ、キッチンに行くか、未央」

未央「うん……というか、あの感じだと、今までにも割りと事務所のキッチンで料理とかしてたの?」

P「俺とちひろさんがだいたい交互に、月に数回、ってくらいだけどな。そういや、他のアイドルが居る時にすることはあんまりなかったな……」

未央「私も初めてだしね……そもそも、プロデューサーが料理できたってことから知らなかったし」

P「俺も料理ができるわけじゃあない。できるのは簡単なもんだけだ」

未央「今回作ろうとしてるのって簡単なの……? もしかして、私、何か勘違いしてる?」

P「いや、たぶん合ってる。ただ、タルタルソースに手間がかかるってだけでそこまで難しくはないと思うぞ?」

未央「そうなんだ……なんか、意外かも」

P「未央なら難なく作れても違和感ないが」

未央「さすがの未央ちゃんも料理まではそこまでできませんよ。他に上手い子はたくさん居るしね。趣味にしてる子とかにはさすがに負けるよ」

P「ま、さすがにな。……さて、冷蔵庫の中身は、っと……うん、ま、大丈夫だな」

未央「というか、結構買ったよね……食べ切れるの?」

P「腹いっぱい食べたいんだよ。『食べ切れるのか?』ってくらいの量でちょうどいい」

未央「へぇ……」

P「余ったら仕事終わりのみんなに食わせる」

未央「まあ、そうなりますよねー」

P「じゃ、そろそろ調理開始といくか。チキン南蛮、適当クッキングの時間、ってな」


――

未央「どういう順番?」

P「まずはタルタルソースかな。俺の場合は」

未央「みじん切り……だっけ?」

P「ああ。玉ねぎとピクルスをみじん切り……と言うにはちょっと大きいくらいに刻む。まあ俺が面倒くさがりで不器用なだけなんだが、個人的にはこれくらい適当なみじん切りがちょうどいい。食感的にもな」

未央「ってことは、未央ちゃんは手伝わない方がいいのかな?」

P「手伝ってくれ」

未央「はーい。……でも、玉ねぎのみじん切りかぁ」

P「なんかゴーグルとか付けるといいんだったか? 面倒だから俺はいっつもそのままで切ってる。確かにちょっとキツイがそこまで気にならん」

未央「私は割りと気になっちゃうかも……」

P「人によるんだろうな……っと、そういやその前にゆで玉子を作っとかなきゃならんな。それで、そのゆで玉子も適当に刻む……まあ、ピクルスと玉ねぎを刻んでいる内にできるだろ。それじゃ、始めるとするか」

未央「おー」


――

P「さて、この刻んだゆで玉子、ピクルス、玉ねぎとマヨネーズを混ぜて塩コショウで味を整えてタルタルソースは完成、っと。次は南蛮酢……醤油、酢、砂糖を適当に鍋に入れて温める。んで、鶏むね肉を適当な大きさに切って塩コショウをふっとく。それから油を熱してこれくらいだろって感じになったら鶏むね肉に片栗粉、溶き卵をつけて油で揚げる。で、揚がったこれを南蛮酢にくぐらす……というにはちょっと長い時間くらい漬けておいて、適当に一口大に切って、そこにたっぷりのタルタルソースをかける。これで完成、だな」

未央「なんか、『適当』っていうのが多過ぎたような」

P「適当にやってうまくなるからいいんだよ」

未央「いや、おいしくなったらそれでいいんだけどさぁ……」

ちひろ「できたんですか?」ヒョコッ

P「はい、できました」

ちひろ「じゃあ、食べましょうか。ごはん、よそいますね」

P「ありがとうございます。……未央、持って行くぞ」

未央「はーい。……でも、すごい量だよね。食べ切れるの?」

P「……誰か帰ってくるだろ」

未央「……まあ、そうだね」


――

ちひろ「チキン南蛮、ですか。……プロデューサーさん、好きですね。今日はどうして?」

P「単に食べたくなった、っていうのもありますが、前、ある定食屋で食べたチキン南蛮がなんか違うやつでして……。おいしかったんですが、俺はあれをチキン南蛮とは認めたくないんですよね」

未央「チキン南蛮にもなんか派閥みたいなのがあるんだ……」

P「俺のも邪道って言ったら邪道なのかもしれないけどな。本場では玉ねぎとかピクルスとかもざっくりではなくもっとみじん切りにするところも多いような気がするな。けど、俺はタルタルソース自体も結構な質量を持っていてほしいんだよな。具がわかるくらいのタルタルソース。もうタルタルソースだけでずっしりとしているくらいのがいい」

ちひろ「確かに、プロデューサーさんのチキン南蛮はタルタルソースはお店で食べるものよりも少し玉ねぎやピクルスなんかが大きいような気がしますね。でも、そこまで大きいわけではないですし……私は好きですよ」

未央「へぇ……というか、そもそも私、チキン南蛮をそこまで食べたことはないかも。さすがに一回も食べたことないってことはないけどね。だから、プロデューサーの作ったこれが私のチキン南蛮の基準みたいになっちゃうかもね」

P「……未央、やっぱり食べないでおくか?」

未央「え!? ここで食べさせないって、プロデューサー、ちょっと残酷過ぎるよー!」

P「だってそんな責任重大な……」

未央「そこまで気にしなくてもいいよ……」

ちひろ「大丈夫ですよ、プロデューサーさん。プロデューサーさんのチキン南蛮はおいしいですし、私もお店で食べるよりもプロデューサーさんが作るものの方が食べる機会が多いので、もうすっかりプロデューサーさんの作ったチキン南蛮が普通になっちゃいましたし」

P「そうですか……それじゃあ、食べますか」

ちひろ「はい♪」

未央「うん、食べよう食べよう。……で、食べ方は?」

P「タルタルソースはもうかけてあるし、好きに食えばいいんじゃないか」

未央「そっか……じゃ、いただきまーす」

未央(……っと、しかし、これはなかなか……)

未央(南蛮酢? に漬けられたお肉にたっぷりの……というか『どっさり』としたタルタルソースがかけられている、というか、乗せられている?)

未央(うーん……これはなかなかにボリューミーな……それが大皿いっぱいにあるもん。もう、見ているだけで『おおっ』ってなっちゃう)

未央(……でも、まあ、いただきますか。まずは一切れ、っと)パクッ

未央「……んー!?」

未央(え!? 何これ!? おいしっ! タルタルソースの玉ねぎとかピクルスとか、プロデューサーは割りと粗めに刻んでいたけど、それが良い! なんかざくざくしてる。ざくざくした食感が気持ち良い! それがお肉と一緒になって……とってもおいしい! このお肉もまた良い! 南蛮酢? が効いてて、甘くて……タルタルソースに入ってるピクルスの酸味も効いて……もう! おいしい!)

未央(……なんか、ごはんが欲しくなってきたかも。次は、ごはんと一緒に……)パクッ

未央「……くぅー!」

未央(おいしい! ごはんに合う! というか、ごはん自体もちょうどいい炊き加減で……やっぱり天使女神ちひろさんだ……)

未央(あーもう! 幸せ! もうもうもうもう! 本当においしい!)

P「……どうだ? 未央」

未央「おいしいよ! とってもおいしい! プロデューサー、ありがとね!」

P「おおう……そこまでよろこばれるか」

ちひろ「だって、本当においしいですからね、このチキン南蛮」

P「たぶん誰が作ってもこういう味になると思いますよ? チキン南蛮っていう料理がすごいんです。ありがとう宮崎。サンキュー○ぐら」

ちひろ「でも、この『カリッ』っていう食感はなかなかに難しいような気がしますけど……カリカリってわけでもないんですけど、良い具合に衣がカリッとしているんですよね。カリッとはしているけれど、なんだかジューシーというか……いったい、どうしているんですか?」

P「適当に」

未央「適当に、って、それ、普通、料理がうまい人の言葉じゃない?」

P「実際適当にやってるからな……まあ、レパートリーが少ない分、作ってる回数も多いからそれで、じゃないか?」

ちひろ「確かにそうかもしれませんね……料理は結局『慣れ』ですから」

未央「慣れ、ねぇ……じゃあ私も何回か作ってたら同じのを作れるようになるのかな?」

P「未央なら三回くらいやったら覚えそうだな」

ちひろ「確かに、未央ちゃんならそれくらいで覚えられるような気がしますね」

未央「ちょっと、二人にとって私は何なのさ。いくら未央ちゃんが完璧超人とは言っても、できないことはあるんですよ?」

P「お前が自分のことを『完璧超人』とか言ってると嫌味に聞こえるな。実際、かなり完璧超人に近いから」

ちひろ「でも、嫌味に聞こえないし、嫌味に見えないんだからすごいですよね……だからこその『完璧超人』なのかもしれませんが」

未央「な、なんかそこまで言われるとさすがの未央ちゃんも恥ずかしいんだけど……」

P「それが狙いだからな」

ちひろ「はい♪」

未央「うー……もう! ほら、二人とも! 早く食べないと冷めちゃうよ!」

P「わかってる」

ちひろ「はいはい」クスクス

未央「……もー」


――

未央「ふぅー……もう、お腹いっぱいかも」

ちひろ「私もです……」

P「俺もさすがに……」

未央「……なんだかんだで、なくなったね」

P「ああ……さすがに食い過ぎたかもしれんな。未央、ちゃんとレッスンしろよ?」

未央「しーまーすーよー……でも、今は無理。お腹いっぱい。動きたくなーいー」

ちひろ「ああ……私もダイエットしなきゃ……トレーナーさんに頼んでちょっとレッスンでもしようかしら? というか、私はまだ仕事が……ああ、動きたくない。もう寝ちゃいたい……」

P「同感ですけど、ちひろさん。ちょっとゆっくりしたらちゃんとしなきゃいけませんよ……」

ちひろ「わかってますけど……もう。こんなおいしいチキン南蛮を作っちゃうプロデューサーさんが悪いんです」

P「俺ですか……」

ちひろ「……文句を言っていても仕事がなくなるわけじゃありませんね。そろそろ、再開しましょうか」

P「お、もういいんですか?」

ちひろ「これ以上だらだらしてると本当に寝ちゃいたくなるので……」

P「ああ……」

未央「ん、二人とも、仕事―?」

P「おう。未央は……」

未央「んー……レッスンー」

P「行けよ?」

未央「行くけどさー……お腹、いっぱいなんだもん。おいしかったし……余韻にひたってたいんだよー」

P「また作ってやるから行け」

未央「ほんとにー? ……あ、次は違うものが食べたいかも。チキン南蛮もおいしかったけど、それ以外にも作れるんでしょ?」

P「まあ、レパートリーは少ないが、な」

未央「じゃあそれでー……っと、じゃあ未央ちゃんも頑張っていきましょうかね!」

P「いきなり立ち上がったな……お前、今までのは演技か?」

未央「演技じゃありませんよ? ただ、プロデューサーが約束してくれたんだから、頑張らないと、と思いまして。うん、私ってば良い子だね!」

P「自分で言うか? ……ま、頑張ってこい」

未央「はーい! プロデューサーも、お仕事、頑張ってね?」

P「言われなくても……レッスンの後はそのまま帰るか?」

未央「たぶん戻ってくると思うけど?」

P「そうか……じゃ、また後で」

未央「また後でー」



これにて今回は終了です。
チキン南蛮編……初めての店屋物以外のものですね。実際の未央はチキン南蛮くらいなら作れてもおかしくなさそう……。
チキン南蛮、おいしいですよね。好きです。というか鶏肉が好きです。鶏肉とかいうどんな調理をしてもだいたいおいしくなる食材は「鶏さん生まれてくれてありがとう」ってなりますね。
しかし今更ですがこのプロデューサーはアイドルにどれだけ食わせているのか……トレーナーさんに怒られていそうです。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係ないですがマジアワNGsヤッター! お耳の恋人本田未央かわいい! 凛かわいい! 卯月かわいい! ヤッター!

改めてありがとうございました。

あ、そういえばなにか未央と一緒に食べたいものがあれば言って下されば書く可能性が高くなります。「あっ確かに食べたい……」ってなれば書く優先順位が変わります。でも行ったことない店だとなかなかに難しいです。次回は自分の中ではもう確定していますが……。

あとチキン南蛮関連で鶏肉に関する話が。今、ローソンでからあげクン餃子味って売っていますよね。最近あれにハマっています。ちょっと前? にあった鶏皮餃子を思わせる味というか? 何ならこれだけで書く構想すらありましたがさすがに……。

何度も申し訳ありません。ありがとうございました。

乙でーす
ざる蕎麦かな、ドロッとした蕎麦湯も込みで

ちゃんみおが食べたことなさそうなものって以外と難しいね
陳麻飯とか小倉トーストとか?
ハンバーガー食いに行くぞっつってクアアイナ連れてくとかな

マウンテン

美味しいトンカツのお店とか
インドじゃないカレーのお店とか

とりあえずここのPがオススメするところだったら何でも当たりなんで期待して待ってる

沖縄そばかタコライス!

花椒の効いた麻婆豆腐と担々麺

鳥南蛮出たし鳥天でも面白そう
>>1とは食い物の嗜好がかなり違うがだからこそ読んでて楽しい
できれば(知ってれば)ベトコンラーメンもやってほしい。あの揚げニンニクがゴロゴロ入ったやつが好きなんだよ

安価な焼き立てピザ

もうファミレス行こうぜ

色々な意見ありがとうございます。「あ、そういえば……」というものもあって未央と食べに行きたいものが増えました。
次の更新はサマフェス東京前あたりになると思います。それくらいまでには書きたいなあ……と。

ちょっと間隔が空きすぎたので報告だけ……。

未央「プロデューサー」

P「ん?」

未央「ちょっと、寄らない?」

P「べつにいいが……ここでいいのか?」

未央「いーの♪ たまには未央ちゃんに任せなさい、って☆」


――店内

P「未央はここ、よく来るのか?」

未央「まあね。私の好物、フライドチキンだし?」

P「そういやそうだったな……」

未央「だから、未央ちゃんはここに関してはなかなか詳しいですよー?」

P「詳しいも何もないだろ……そこまでメニュー数があるわけでもないしな。何なら俺だって詳しい」

未央「えへへ……そうかも。でも、たまには私に良い顔させてほしいなー」

P「じゃあ聞くか。未央、ここのオススメはなんだ?」

未央「オリジナルチキンは鉄板かなー……でも、クリスピーもクリスピーでおいしいんだよねー。実はサンドもおいしいしツイスターもおいしい……あと、個人的にビスケットは外せないかなー」

P「結局オススメは何なんだよ……」

未央「んー……今のクーポンはこれとこれだから……よし、決めた!」

P「で、何なんだ?」

未央「ふっふっふ……それは後のお楽しみ、ってことで、プロデューサーは席を取っておいてくれない? ここは私の奢りにしてあげるから」

P「アイドルに奢られるわけにいくか」

未央「……でも」

P「……わかったよ。ありがとう、未央。でも、さすがに奢られたら男として立つ瀬がない。割り勘だ。あとでレシートを見せろ。半分払う。わかったか?」

未央「……うん。ありがと、プロデューサー」

P「なんで未央が礼を言うんだよ」

未央「なんでだろうね。でも、ありがと☆」

P「……どういたしまして」


――

未央「お待たせー」

P「ん、来たか……」

未央「何やってたの?」

P「スケジュールの確認。未央の次のレッスンはいつだったか、とかな」

未央「げ……それ、今言う?」

P「食べ終わった後よりはマシだろ?」

未央「それはそうだけど……そうだけどさー。プロデューサーだって、自分の好きなものを食べる前に『今日の仕事はいつまでかかりそう?』とか聞かれたら嫌でしょ?」

P「それは確かに嫌だな……ごめんな、未央」

未央「素直に謝るとは好感が持てるね。よろしい、許してあげましょう」

P「ありがとうございます、未央サマ」

未央「うむ、よきにはからえ」

P「……それ、意味、違わないか?」

未央「そうなの? 未央ちゃん、わかんなーい」

P「まあ俺もよくわからないんだけどな」

未央「なら言わないでよー」

P「すまんすまん。……で、それは」

未央「オリジナルチキン2ピースにクリスピーが2個、和風チキンカツサンド、それとてりやきツイスター、あとはビスケットが二つ、だね!」

P「……絶対足りないんだが」

未央「そう? まあ、私もこういう頼み方をするのは初めてだからなー」

P「初めてなのかよ……で、これにした理由は?」

未央「オリジナルチキンは外せないしクリスピーも食べたいし……サンドとツイスターは迷ったんだけど、こっちの口だったから、かな。ビスケットは好きだから!」

P「そうか……だが、サンドとツイスターは一つずつなんだな」

未央「プロデューサーと半分こするつもりだからねー」

P「……そうか」

未央「あれ? 文句、言わないんだ?」

P「言っても無駄だろ」

未央「ほほう……プロデューサーくんも未央ちゃんへの理解が深くなりましたねぇ……」

P「そりゃこんだけ付き合ってたらな」

未央「じゃあ、食べましょ食べましょー」

P「ん、じゃあ、まずはこれからかな」

未央「私もかなー」

未央(というわけでオリジナルチキンから、いただきまーす)パクッ

未央「……うん、やっぱりおいしいね、プロデューサー♪」

P「ああ……たまに食うとやっぱり良いな。ファストフードっていうのはどれも無性に食べたくなる時があるんだよなぁ……特にここのオリジナルチキンとクリスピー。俺は子どもの頃、これだけで腹いっぱいになるまで食べることが夢だったんだよ……どちらかと言うと、小さい頃ほどクリスピーの方が好きだったっけな。骨がなくてサクサク食える。子どもの頃はこれならいくらでも食べれると思ってたなぁ……」

未央「その気持ち、わかるかも。私も子どもの頃はそれが夢だったなぁ……」

P「未央はまだ子どもだろ」

未央「高校生になった未央ちゃんはもう実践してみたことがあるのですよ。夢を叶えようとしたわけですね。すると思った以上に食べられなくて……」

P「あー……」

未央「食べる毎になんか口が油でいっぱいになるんだよねー……舌が重くなるっていうか、喉が重くなるっていうか? 正直、バカなことをやったなぁ、って思うよ」

P「……まあ、誰でも一度は考えることだからな」

未央「プロデューサーはやったこと」

P「ない」

未央「そっかー……くっ! さすがのプロデューサーもこの気持ちを共有することはできなかったか……!」

P「まあな……で、サンドとツイスターだが」

未央「プロデューサーはどっちから食べたい?」

P「どっちでも」

未央「なら、私はサンドからもらおうかな」

P「そうか。なら俺はツイスターをもらうよ」

未央「……ぜんぶ食べないでよ?」

P「食べないよ。心配するな」

未央「だって、おいしいから一気に食べちゃうかもしれないじゃん……私、一気に食べちゃいそうだし」

P「お前かよ……俺もここは好きだが、お前ほどじゃないから大丈夫だ。安心しろ」

未央「……わかった。じゃあ、もらうね?」

P「ああ。俺ももらう」

未央(じゃあ、和風チキンカツサンドを一口……)パクッ

未央「……うん! やっぱりおいしい!」

P「こっちもうまい。……しかし、たまに知らない人も居るんだが、和風チキンカツサンドとかてりやきツイスターってのは実はかなりうまいんだよな」

未央「プロデューサーは知ってたみたいだけどねー。正直、未央ちゃん的にはオリジナルチキンだけでここを知ったつもりにならないでほしいよ。もちろんオリジナルチキンは基本中の基本なんだけれど、こういうメニューもあるんだぞーって教えてあげたいよね。個人的には和風チキンカツサンドはハンバーガー屋さんのハンバーガーよりもおいしいんじゃないかとすら思うよ」

P「ハンバーガー屋にも色々あるが、な。未央……お前は本当のハンバーガーというものをまだ知らない……」

未央「何、いきなり? 本当のハンバーガーって……どういうこと?」

P「軽く1000円近くするハンバーガーだな」

未央「えっ!? 高っ!?」

P「ふっ……やはり知らなかったか。またいつか連れて行くよ」

未央「おいしいの?」

P「『ハンバーガー』の定義がひっくり返るくらいには」

未央「そこまで……なんか、すごそうだね」

P「まあ、今話してるところとは別のところに李衣菜も連れて行く予定が既にあるんだがな……前に話してた、デレパので、な」

未央「ほほぅ……それはそれで気になるかも」

P「まあ、あれはもう別の料理みたいなもんだからここのサンドと比べるべきではないんだがな……」

未央「あ、プロデューサー。半分食べ終わったのならツイスターちょうだーい」

P「ん、じゃあサンドも……」

未央「ツイスターもおいしいよねー。なんだろうね、この食べやすくておいしい感じ。手軽においしい……これって最高だと思うんだ。手も汚れないしね」

P「結局オリジナルチキンを頼むんなら汚れるがな」

未央「それを抜きにしてもおいしいからいいの♪」

P「それに関しては同感だな」

未央「ツイスターもおいしいよねー……どっちも好きだけど、個人的にはてりやきの方が好きかも。甘辛いてりやきソースが絡んで、本当においしいんだよねー……日本人だからこっちの方が好きなのかな?」

P「日本人でも普通のツイスターのが好きな人も多いだろ……」

未央「そうだね。まあ、おいしいからいいってことで」

P「結局そうなるのか……べつにいいが」


――

未央「それではビスケットですが……プロデューサーはどうやって食べる派?」

P「普通にこのハニーメイプルをかけて食べる」

未央「そうじゃなくて……割るとか色々あるじゃん?」

P「そういうことか。俺は割るぞ?」

未央「いくつに?」

P「は? ……半分に、だが」

未央「そっち派かー……未央ちゃんは3つに割る派なんだよねー。時には2つにもするけれど、基本は3つかなー」

P「そんな派閥があるのか……」

未央「あるよあるよー。ビスケットの厚さとハニーメイプルの濃さ……色んな要素がいくつに割るかによって変わるからね。私は厚いのが一つとすっごく薄いの、それと中くらいのが一つ……みたいな割り方がベストだと思ってる。ハニーメイプルの量は厚いのに気持ち多めで……でも、そこまで区別はつけない感じかなー」

P「そんなこだわりがあったのか……」

未央「食感とか色々変わるでしょー? 個人的には半分に割ってからハニーメイプルをかけてそれをサンドするみたいな、『ビスケットのハニーメイプルサンド』みたいな食べ方もなかなか良いと思うよ」

P「知るかよ……」

未央「でも、それだとうまく食べないとめちゃくちゃ落ちるし……運が悪かったらうまく食べても落ちちゃうんだよねー。だから私は今のこの食べ方に落ち着いた、ってわけだね」

P「……未央、お前もやっぱり結構こだわり強いよな」

未央「これくらい女の子なら普通だって」

P「絶対違うと思うが……」

未央「んー、やっぱりおいしいね。ここに来たらこれもやっぱり鉄板だね。Krushersもあるけど……個人的にはここにきたらこれってイメージがあるんだよねー」

P「それはわかるな……未央、口」

未央「ん? 口が何?」

P「付いてる」

未央「……んー」

P「……なんだ、その顔」

未央「拭きとってよ、プロデューサー♪」

P「……ったく」グイッ

未央「んっ……とれた?」

P「ああ」

未央「ありがと、プロデューサー☆」

P「どういたしまして」


――店の外

未央「はー、おいしかった」

P「満足したか?」

未央「うん。付き合ってくれてありがと」

P「いつも付き合わせてるのは俺の方だからな、気にするな。それに、久しぶりに来たから、俺も良かったよ」

未央「そう? それは良かった」

P「それじゃ、帰るか」

未央「うん」

未央「プロデューサー」

P「なんだ?」

未央「えへへ……なんでもない」

P「……そうか」

未央「うん。……あ、やっぱり嘘かも。あのね、前にあった話なんだけど、ニュージェネとトラプリでしぶりん争奪戦をした時の話なんだけど」

P「何やってんだよ……」

未央「もちろん遊びだけどね? それで――」


報告だけと思いましたがちょっと即興で。次のは決まっているつもりですが書いている途中だったのをなくしたのでどうなるか……。
書いている途中に思いましたが連続で鶏肉でしたね。しまった。次は鶏肉以外にしようと思っていたのに完全に忘れていました。

フライドチキンは未央の好物、ということで書くのは決まっていましたが、まさかこんなタイミングで書くことになるとは思いませんでした。しかし即興で書けそうだったので書いてしまいました。久しぶりに行きたいです。
カーネリングポテトとやらはおいしいのかどうなのか……気になってます。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係ありませんが……ちょっとこの二週間色々ありすぎて話すことがいっぱいですね。とりあえずデレアニの未央もかわいいですね。今回は加連と奈緒にいきなり距離を詰めていってさすがコミュ力の怪物、と思いました。そんなところも好きです。というか、今回のデレアニ、未央がすっごくかわいかったと思うんですよ。楓さんは言うまでもなく素晴らしかったんですが、未央が本当……「本田未央、レッスン頑張ります!」のところの未央とかもう最高にかわいくないですか? 他にも色々かわいかったと思います。未央、かわいい……。

あと本当に私事となりますがスペシャルスカウトキャンペーンがありましたね。恥ずかしながらNG未央をまだ持っていなかったのでNG未央にしました。最高にかわいいです。幸せです。NG未央は思い入れが深いのでずっとお迎えしたかったんですよね……NG未央が出る前からモバをやっているすべてのプロデューサーにとって、NG未央は特別だと思います。あれを見た瞬間は泣きそうになったなぁ……まあ、今までお迎えできなかったんですが。でも、マイアイドルとしてお迎えできて本当に良かったと思います。

改めてありがとうございました。

おつ
この間初めてデカダンス売ってるところ行ったから思いきって買ってみたらホントに幸せを飲んでる感じだった
あまりのおいしさに買い物した袋そのまま忘れて帰りそうになったくらい

アニメは未央の女っぽさをもっと出して欲しいんじゃ〜

>>318
未央「うん。……あ、やっぱり嘘かも。あのね、前にあった話なんだけど、ニュージェネとトラプリでしぶりん争奪戦をした時の話なんだけど」

未央「うん。……あ、やっぱり嘘かも。あのね、前にニュージェネとトライアドでしぶりん争奪戦をした時の話なんだけど」

に変更でお願いします。未央だと呼び方はどっちでもおかしくないような気がしなくもないですが……

>>322
おいしいですよね……口に合ったようで嬉しいです。

>>323
未央の真の魅力はそこでもありますよね……でも個人的に未央が武内Pにあの感じで接すると嫉妬心が爆発してしまいそうです。

サマフェス東京前ではなく大阪前になってしまいました


――店内

静香「――天かすやねぎの量はお好みで。入れる人はかなり入れますが……」

未来「そう言えば、星梨花はねぎをめちゃくちゃ入れていたような気がするなー」

静香「そうね。アイドルになる前はあまりこういう店に来たことがなかったみたいだけれど、最近はよく来て、ねぎを丼いっぱいに入れて食べているらしいわね」

未来「『らしい』って言ってるけど、だいたい連れて来てるのは静香ちゃんだよね」

静香「そうね。でも、星梨花もよろこんでくれているわよ?」

未来「うんうん。私も静香ちゃんのおかげでおいしいうどんがいっぱい食べれて幸せだよー。いつもありがと、静香ちゃん♪」

静香「なっ……い、いきなり何言ってるの。そんなことより、座りましょう、未来。早く食べなくちゃ、せっかくのうどんがダメになってしまうわ」

未来「あ、それもそうだね。座ろ座ろー」


――

静香「さて、それでは――いただきます」

未来「いただきまーす♪」

静香「」ズズズ……

静香「……うん。やっぱりおいしいですね。チェーン店で、それもここまでの安価でこんなにおいしいうどんが食べられる。こんなに素晴らしいことが他にどれだけあるでしょうか。どこでもここまで本格的な讃岐うどんが食べられるというのは本当にありがたいことです。もちろんうどんは讃岐うどんだけではないのですが、今、一般的に『うどん』と言えば讃岐うどんが連想されるのはこの店の影響もあるのかもしれませんね。と言っても、この店は香川県で始められたわけではなく、兵庫県で始められたわけなのですが、だからと言って本場の味と大きく違うわけではなく――」

未来「うん! 本当においしいね、静香ちゃん! でも、そろそろ時間みたいだよ?」

静香「えっ? いや、話したいことはまだまだ――」

未来「ということで、今回の『最上静香のうどん探訪』はここまで! スタジオにお返ししまーす♪」

静香「ちょっと、未来―!」


――スタジオ

春香「はい、お返しされました♪ ……あはは。静香ちゃん、本当にうどんが好きだね。深い愛が伝わってくる映像でした」

志保「深いというより重かったような……さすがに話し過ぎだったと思います」

桃子「でも、魅力は伝わってきたよね。桃子、明日のお昼はうどんにしようかな……」

春香「それじゃ、三人で食べに行こっか♪ 何ならこの後でも、ね」

桃子「いいの? それなら、桃子は行きたいな。志保さんは?」

志保「私は……そうですね。確かに今の映像を見ていると私もうどんが食べたくなってきました。私もご一緒させて下さい」

春香「じゃあ、決まりね♪ ということで、『最上静香のうどん探訪』でした! ではでは、次のコーナーは――」


――事務所

ちひろ「――プロデューサーさん、そろそろ時間ですよ。テレビを見てないで、準備して下さい」

P「あ、ちひろさん……いや、これは765さんのところの番組を見ることで勉強しているだけでサボっているわけでは」

ちひろ「……そういうことでいいですから、早く準備して下さい。どうせ録画してるんでしょう? 後で見ればいいじゃないですか」

P「それはそうなんですけど、リアルタイムで見るということに意味が」

ちひろ「いいですから、早く」

P「……はい」


――車内

P(はぁ……見たかったなあ。ちひろさんの言葉は正論なんだが、生っすかは本当に面白いからなぁ……)

P(毎週毎週あのクオリティのものを出せるってのは凄い……今週のメインパーソナリティの三人も良かった。最初にメインパーソナリティ入れ替え企画をするって聞いた時は『大丈夫か?』とも思ったが、毎回毎回変わるってのもなかなかいい。天海さんは固定だからそこは安定してるしな。まあ、いつもの三人が恋しくもなるんだが……)

P(しかし、うどん探訪はズルいよなぁ……ラーメン探訪もそうだが、腹が減る。四条さんも最上さんも本当に好きだってわかるもんなぁ……やっぱりああいうコーナーは良い。ウチもそういう企画、出してもいいかもしれないな。料理コーナーは既にあるが、食べ歩きみたいなのも……)

P(……なんか、考えてたら腹が減ってきたな)

P(……よし)


――テレビ局

未央「あ、プロデューサー!」

P「ん、来たか」

加蓮「あ、Pさんだ。やっほー。元気?」

みく「Pチャン、わざわざ迎えに来てくれたの? べつに良かったのに……」

P「申し訳ないが、仕事のついでだ」

未央「ついでって……それは言う必要なかったんじゃない?」

加蓮「そうだよ、Pさん。ここは『それでもお前たちを迎えに来たかったんだ』みたいなことを言う場面だよ」

P「そうか? じゃあ仕事のついでっていうのは嘘だ。お前たちを迎えに来たかったんだよ」

みく「今更言っても遅いにゃ……」

P「それもそうだな。それで、話は変わるが、お前ら、昼、もう食べたか?」

未央「食べてないよ。お腹ぺこぺこだよー」

加蓮「え? Pさん、連れて行ってくれるの?」

P「まあ、そういうことだな」

みく「……お魚じゃないよね?」

P「さすがに仕事終わりのアイドルにそんなことしない。俺をなんだと思っているんだ」

みく「『仕事終わり』じゃなかったらやるみたいな台詞を言ってる時点で察してほしいにゃ……」

P「まあ、少なくとも今日は違う。安心しろ」

みく「それならいいけど……」

未央「で、どこに行くの? プロデューサー」

P「ん? ああ、ちょっと、生っすかの『うどん探訪』を見てな……」

未央「最上静香のうどん探訪?」

加蓮「ってことは、うどん屋さん?」

P「まあ、そうだな。あれを見てたらうどんが食べたくなってきてな……」

みく「静香チャンのうどん好きは七海チャンのお魚好きや法子チャンのドーナツ好きと同じくらいすごいもんね……やっぱり好きなものを楽しんでいるところを見ると、見ているこっちも気になっちゃうにゃ」

P「それじゃあ七海の魚好きでみくも魚に」

みく「それはないけど」

未央「んー……本当にお腹が空いてきた。プロデューサー、早く行こ?」

P「そうだな。じゃ、行くか」

加蓮「おー♪」

未央「おー!」

みく「えっ、何この流れ……お、おー」


――車内

加蓮「うどん屋さんっていうのはわかったんだけど、どこなの? Pさん」

P「今日のうどん探訪で行ってたところだな」

加蓮「えっ……それじゃあ、すっごく混んでるんじゃないの? テレビで紹介されたりしたお店って、放送後はいっぱいになるじゃん」

P「大丈夫だ。今日行ったところはチェーン店だったから」

未央「チェーン店……ってことは、あのお店かあのお店かあのお店だね!」

みく「どのお店かまったくわからないにゃ……」

P「正解だ、未央」

みく「えっ」

未央「おおっ、ってことは、あのお店?」

P「そう、あの店だ」

未央「ほほぅ……これはこれは楽しみですなぁ」

みく「えぇー……加蓮チャン、わかった?」

加蓮「ん? 全然?」

みく「だよね。というか、未央チャンも絶対わかってないでしょ」

未央「いやいや、私は本当にわかってますよ?」

P「どっちにしろすぐにわかる。ま、楽しみにしとけ」


――店の前

未央「あ、ここかー」

みく「やっぱりわかってなかったんだ……」

加蓮「ここは私も来たことあるなー。好きだよ、結構」

未央「安いし早いしおいしいし、割りと学生の味方な感じあるよね」

P「社会人の味方でもあるがな。むしろ社会人の味方だと思うが。学生はもっとファストフードとかじゃないのか? 加蓮とか、な」

加蓮「このお店もファストフードといえばファストフードじゃない?」

P「……言われてみればそうだな」

みく「そんなことはどうでもいいから早く入ろうよ。結構並んでるし……ずっとここに居ても邪魔だよ?」

P「……はい。ごめんなさい」

加蓮「ごめんなさーい」

未央「ごめんちゃい♪」

みく「……いいから、入るにゃ」


――店内

P「何を頼むかはもう決めてるか?」

未央「んー……プロデューサーのオススメは?」

P「お前、来たことあるんだろ?」

未央「あるけど、どういうのが好きなのかなーって」

加蓮「あ、それ、私も気になる。Pさん、Pさんは何が好きなの?」

P「何がって……割りと毎回の気分で食ってるから、何とも言い難いんだが」

未央「今食べたいものでいいから、ね?」

加蓮「ほらほら、早く決めないと順番、来ちゃうよ?」

P「どうしてお前らはそんなに気になるんだよ……みく、何か言ってやってくれ」

みく「Pチャンがさっさと言えばいいと思うよ」

P「なっ……みく、お前、裏切るのか?」

みく「裏切るも何も、Pチャンが言えばそれで終わるでしょ? だからさっさと言えばいいと思うにゃ」

P「……まあ、それもそうか。でも、今日食いたいもの、か……そうだな、じゃあ、とろ玉うどんで」

未央「へぇ……ってことは、もがみんもそれを頼んだの?」

P「いや、釜揚げうどんだったな」

加蓮「そうなの? すっかり同じものを頼むのかと思ってた」

P「迷ったんだが、夏だしな。ざるでも良かったんだが……ちょっとやりたいことがあってな」

みく「やりたいこと?」

P「ま、それに関してはお楽しみってことで」

みく「なんで焦らすの……?」

P「説明するのが面倒くさいからだ。で、お前らは何を頼むんだ?」

未央「私はプロデューサーと同じのにする!」

加蓮「じゃあ私もー」

みく「それならみくも」

P「は? なんでみんな同じにするんだよ。気持ち悪いな……」

未央「気持ち悪いってさすがにひどくない? 未央ちゃん傷付くなー」

加蓮「加蓮ちゃんも傷付くなー♪」

みく「全然傷付いてそうにないにゃ……」

P「いや、べつにいいんだが……お前ら、食レポとかでこういうのするなよ? 看板メニューならべつにいいが、それ以外のメニューで合わせるってのは……な」

未央「え、何? プロデューサー、釜玉うどんをバカにしてるの? 釜玉うどんはこのお店のれっきとした看板メニューだよ!」

加蓮「そうだよ、Pさん。いつか私たちもここのお仕事をするかもしれないんだから、私たちのプロデューサーであるPさんがそんなことを言っちゃダメだと思うよ?」

P「……」

みく「Pチャン、めちゃくちゃ面倒くさそうな顔してるにゃ……少なくともアイドルに向ける顔はしてないにゃ……」

P「……はぁ。もう何でもいいからちょっと静かにしてろ。そろそろ順番だしな」

加蓮・未央「「はーい♪」」


――

P「天ぷらとかは――もう好き勝手取ってるな」

未央「ん? 天ぷらも同じにした方が良かった?」

P「いや、天ぷらまで同じにされたらさすがに引いた」

加蓮「まあ、これは好みだよね。Pさんは……へぇ。そうするんだ」

みく「Pチャンは結構無難だにゃ」

P「無難って……何が無難なんだよ。そもそも無難じゃないのってなんだよ」

みく「でも、みく的には無難なの。みくもよくそうするしね」

P「それみくの好みと俺の好みが近いだけじゃないか?」

みく「……そうかも」

加蓮「……あ、Pさん、おいなりさん、食べるんだ」

P「食べないか? 俺はうどんとかを食べる時はいなりが欲しくなるんだよ。正直わさびいなりの方が好きだったんだが……あれはいつ頃からなくなったんだっけな」

加蓮「ここで食べたことはないからわからないかな」

未央「私もわかんない」

みく「みくはおいなりさんの方なら食べることもあるけど、わさびの方は食べたことがないんだよね。気付いたらなくなってたって感じにゃ」

P「うーん……店舗によっては実は残ってたりするのか? また食べたいんだが……」

みく「そんなこと言ってもないものはないよ。今は我慢するにゃ」

P「我慢するけどさぁ……」

未央「でも、おいなりさんかー……私もちょっと食べてみようかなー」

加蓮「私も、Pさんがそこまで言うなら気になってきたかも」

みく「みくも久しぶりに食べよっかなー」

P「ふっふっふ……これでお前らはいなりの魔力から逃れられなくなる。一度食べれば最後、二度といなり無しではうどんが食べれなくなるだろうよ……」

みく「みくはそんなことなかったけどね」

P「それは言うな」


――

P「んで、会計を済ませて……さて、これだ」

加蓮「ん? ねぎと、天かす?」

未央「あー……これ、結構入れる量、人によってわかれるよね。加蓮は天かすをいっぱい入れそう」

加蓮「未央にとって私はどういう好みを持っている人なのかな?」

P「それで、入れるのか?」

加蓮「え、Pさん、ちょっと、なんでそんなにマジメな顔……入れるけど」

P「あんまり入れ過ぎると身体に」

加蓮「そう言うと思ったけどさー……正直、フライドポテトとかポテチとかを食べてる方がよっぽど健康に悪いと思うよ? だからここで天かすをいっぱい入れるくらい許してよ」

P「お前、フライドポテトとかポテチも食うだろ」

加蓮「うん、食べる♪ Pさんたちは心配し過ぎなんだよ。心配してくれるのは嬉しいけど、私、もう大丈夫だよ?」

P「……まあ、本当に辛くなったらすぐに言えよ。もし何も言わずに無理なんかしたら、俺は怒るぞ」

加蓮「怒るって?」

P「責任とってプロデューサーを辞めるかもな」

加蓮「……それは嫌だなぁ。わかった。無理はしないよ。約束する。だから、辞めるなんて二度と言わないでよ?」

P「お前がバカなことを言わない限りはな」

加蓮「うん。出来る限り、言わないようにするよ」

P「そうしてくれ」

みく「それで、Pチャンはどれくらい入れるの?」

P「そうだな……んー、まずは天かすをこれくらい入れて」

未央「ほうほう」

P「それで、ねぎをこう」ドサッ

加蓮「……ん?」

P「さらに、こうだ」ドサッドサッ

みく「ちょっ! さすがに入れ過ぎじゃない!?」

P「……うん。入れ過ぎだよな。実際見るとヤバいな、これ……」

未央「じゃあなんでやったの……?」

P「それに関してはあとで説明する。とりあえず、席に着こう」

加蓮「う、うん……大丈夫?」

P「……たぶんおいしいから大丈夫だ」

未央(ホントかな……)


――

P「そういや、未央はやっぱりかしわ天を取ったんだな。予想通りだ」

未央「まあね。ここのかしわ天、割りとフライドチキンっぽいんだよね。某フライドチキン屋さんのクリスピー的な感じ」

加蓮「私もそう思ってるからかしわ天―」

P「加蓮……お前、本当にそういうの好きだよな……」

加蓮「まあね。やっぱり身体に悪そうなものっていうのはおいしいんだよ。ここのかしわ天はそこまで身体に悪そうじゃないけどね。個人的にはもっと身体に悪そうだともっと良いかな」

P「それ身体に悪いものが好きなだけじゃねえか」

加蓮「あはは。そうかも」

P「はぁ……本当、やめろよ?」

加蓮「前にも言ったけど、私なりに気を遣ってるから大丈夫だよ。たぶんね」

P「……トレーナーさんにちゃんと聞いて、な」

加蓮「うん。そうする。……いつもありがとね、Pさん♪」

P「どういたしまして」

みく「……Pチャン、加蓮チャンといちゃいちゃし過ぎじゃない? みくも構ってくれないと拗ねちゃうよ?」

P「……べつにいちゃいちゃしてたつもりはないが」

みく「してたよ」

未央「してたね」

加蓮「えー? してなかったのー?」

P「……なんで加蓮がそっち側に回るんだよ」

加蓮「えへへ。そっちの方が面白そうだったから?」

P「なんだよ、それ……」

未央「いやいや、大事なことですよ? 面白そうな方に付く。アイドルとしてはすっごく大事なことと言えると未央ちゃんは思いますよ?」

P「アイドルというか芸人じゃないか?」

未央「あ……そうかも」


P「そうかもって……はぁ。それで、みくはちくわ天といか天、か」

みく「うん。どっちもおいしいでしょー?」

P「そうだな……実はいか天の方はあんまり食ったことはないんだが、ちくわ天はうどんと相性良いよな」

みく「うんうん。Pチャンならわかってくれると思ってたよ」

未央「……あれ? でも、みくにゃん、魚介類ダメなんじゃなかったっけ? いか、大丈夫なの?」

みく「大丈夫だよ。というか、その理屈だと、みく、たこ焼きも食べれなくなっちゃうでしょ?」

未央「あ、確かに」

加蓮「たこ焼きかー……最近、食べてないかも。久しぶりに食べたいなー」

P「俺も食べたいな……事務所でたこ焼きパーティー的なのをやっても、っていうのをそういえば計画してたような気もするな」

みく「そうなの!? みく、聞いてないんだけど!」

加蓮「私も初耳だなー」

未央「ふっふっふ……しかしこの未央ちゃんは知っていたのでした! まあ、たこ焼きだっていう話ではなかったような気もするけどねー」

加蓮「ふぅん……ねぇ、未央、それ、どこで知ったの?」

未央「え?」

P「知ったというか俺と未央が話してただけの話だからな。みくが前にソースが恋しいとか言ってたって話から、な」

みく「ということは、みくのため? Pチャン、未央チャン、ありがとにゃ♪」

P「気にするな。俺も食いたいからな。大阪だからって押し付けるようで悪いが、大阪組には頑張ってもらうつもりだから覚悟して、な」

みく「それに関しては問題ないよ。むしろみくが取り仕切りたいくらいにゃ」

P「まあこれ話したら絶対瑞樹さんが名乗りを上げると思うけどな」

みく「……さすがに勝てる気がしないにゃ」

加蓮「……」

P「ん? どうした、加蓮」

加蓮「Pさんと未央って、よくご飯とか一緒に食べに行く?」

未央「」ブッ

みく「えっ」

P「食べに行くよ。割りとな」

みく「えっ!?」

加蓮「へぇ……それなら私も連れて行ってほしいなー」

P「今日、こうして連れて来てるだろ」

加蓮「二人きりでも、ね」

P「……まあ、また、な」

みく「あっ、その、Pチャン! みくも! みくも二人きりでご飯、行きたいにゃ!」

P「連れて行く連れて行く。だから、そろそろ食べよう。最上さんも言ってたが、せっかくのうどんだ。味が損なわれたらもったいないだろ?」

加蓮「ん、そうだね。デートの約束もしてもらったし、そろそろ食べようか」

みく「うん。天ぷらも、せっかく揚げたてだったんだから、出来るだけ早く食べたいしねー」

P「じゃ、食べるか――って、未央? どうかしたか?」

未央「えっ……いや、なんでもないですよ? ただ、プロデューサーとのデートがバレちゃって恥ずかしかっただけで」

P「デートというか二人で食事しただけだがな」

加蓮「それをデートというんじゃないの?」

P「ラーメンとか牛丼とかでもか?」

加蓮「気持ちがあればデートだよ。Pさんならそれくらいわかってるでしょ」

P「……ま、まあな。俺も恋愛経験は豊富だからな!」

みく「あれ? Pチャン、彼女居たことなかったんじゃなかったっけ?」

P「……そんなこと話したことないはずだが?」

みく「ちひろさんから聞いたにゃ」

P「何言ってくれてんだちひろさん!」

みく「その時のちひろさんは酔っていたから仕方ないと思うよ」

P「酔って……って、お前、なんでちひろさんが酔ってる現場に居るんだよ」

みく「それは割りと色々あったから思い出したくないにゃ……」

P「……その時に居た面子は?」

みく「のあにゃんと楓さんと」

P「わかったもういい喋るな。辛かったな、みく……というか、食べる食べるって言っていつまで話してるんだ、俺らは。もうこれ以上は話は終わりだ。食べるぞ」

加蓮「はーい」

みく「うん」

未央「う、うん」


――

未央(……なんだろ、なんか、変な気持ちかも。もやもや、ってわけでもないんだけど……プロデューサーと二人きりで食べているのがバレて嫌だった? でも、べつにバレても……)

未央(二人で同じ秘密を共有してるみたいで、それが心地よかったのかな。……プロデューサーはあっさりバラしてたから、そういう思いはなかったみたいだけど)

未央(まあ、私もこうやって意識するまではそんなこと思ってなかったし、当然かも。でも……あー、もう! 今はそんなことどうでもいいや! 後で考えよう! うん!)

未央(さてさて。私が頼んだのはとろ玉うどんとかしわ天、それと半熟玉子天においなりさんが一つ……我ながら思ったんだけど、とろ玉うどんだったら半熟玉子天はなくてよかったんじゃ……)

未央(まあこの組み合わせで食べるのは初めてだから……ものは試し、だよね)

未央(えーっと、まずは混ぜよう。とろろと温泉卵、ねぎと天かす、それとうどん。ぜんぶをざっくりと混ぜる)マゼマゼ

未央(温泉卵は……もう割っちゃおう。誰だったか忘れたけど、最後までこの温泉卵を残しておいて、最後の最後に一口で、って食べ方をする子も居たなー……誰だったっけ? あの食べ方も気になるといえば気になるけど……今日は割っちゃう。また次の機会に、ね)

未央(うーん……とろろが入っているからか、結構ずっしりとしてるなぁ。重い。でも、これは混ぜるべきだよねー……うん、これくらいでいいかな)

未央(さて、それじゃあ……いただきまーす)ズル……

未央「……ん!」

未央(おいしい! 実はとろ玉うどんって初めて食べたんだよね。なんというか……まろやか? ふんわり? とろとろ? なんて言ったらいいのかわからないけど、おいしいや)

未央(キュッとなってるうどんととろろが絡んで、とってもおいしい。そこに温泉卵も絡んでるから、さらにまろやかになってる? あと、ねぎと天かすもやっぱり良いアクセントになってるなぁ……)

未央(それじゃあ、次は天ぷらを。かしわ天を、まずはおつゆなんかに付けずに、そのままで)カリッ

未央「……んっ」

未央(うん! やっぱりこれだよね! 本当にクリスピーと似てるし、おいしい。まあちょっと違うけど、かなり似てる。フライドチキン愛好家の未央ちゃんは満足ですよ。それに)パクッ

未央「んんー……!」

未央(この、おつゆに付けるとまたおいし……おいしい! いつもと違う……って、そりゃそうか。とろ玉だもんね。うーむ……これは他の天ぷらでも試したくなってくるかも……あ)

未央「ねぇねぇ、プロデューサー!」

P「ん?」

未央「かしわ天、一口あげるから、ちくわ天、一口くれない?」

P「ん、べつにいいぞ」ヒョイ

未央「ありがと、プロデューサー♪ じゃ、一口もらうね……」パクッ

未央(……んー! やっぱりおいしい! そもそもちくわ天がおいしいんだけど、とろ玉うどんの……つゆ? というか、とろろ? なんて呼べばいいのかわからないけど、とにかく、それに付けるとまた違う味になる。さらにおいしくなるとかじゃなくて、違う味。これはこれでおいしいなぁ……)

P「もういいか?」

未央「うん。……そういえば、プロデューサー、ねぎはどんな感じ?」

加蓮「あ、ねぎと言えば、結局、そんなにねぎを入れたのはどうしてだったの?」

P「ん? それは……まあ、一言で言えば『うどん探訪』の影響だが」

みく「やっぱりそうだったんだ。でも、静香チャンはそういうのしなさそうだけど」

P「どうやら箱崎さんがやっているらしい。ねぎをどんぶりいっぱいに、うどんが見えなくなるくらいに、っていうのをな。それで、一回やってみようと思って、やってみた」

みく「どうしてそこで『やる』って発想になるの……?」

P「いや、だって箱崎さんだぞ? 舌は相当肥えてるはずだろう? なら……な?」

みく「な? って言われても……そうなのかな?」

P「俺はそう思ったんだよ」

未央「で、肝心のお味は?」

P「うまい! ……でも、次からはしないな」

未央「あっ……」

P「そもそも箱崎さんがこれをやってるのは他のうどん屋さんかもしれないからな……そこらへんを忘れていた。まあ、うまいからべつに後悔とかはないんだがな。一度は食べてもいいが、何度も食べる感じではないみたいな味だな」

みく「まあ、何度も食べるような感じでは確かになさそうだけどね」

加蓮「好きなものは人それぞれ、ってことかなー……ねぇ、Pさん」

P「ん?」

加蓮「あーん」

P「……何してる」

加蓮「ん? ちょっと一口食べたくなって」

P「自分で取って食え」

加蓮「えー……病気で倒れた時とかはやってくれるのに」

P「そういう時でもないのにやるわけないだろ。我がまま言うな」

加蓮「はーい。じゃ、いただきまーす。……ん。ん? ……あ、おいしい」

P「うん、だろ?」

みく「それじゃあ、みくはかき揚げをちょっともらってもいい? いか天、一口あげるからにゃあ」

P「ん、わかった。じゃあ交換、っと」

みく「ありがと、Pチャン♪ ……んっ! やっぱりおいしいにゃあ……おいしいんだけど、ちょっと量が多いから、頼むんは気が引けるんだよねー」

P「俺としてはむしろ量がある方が嬉しいんだが……そういう意見もあるか」

みく「みくはアイドルだし、その前に女の子でもあるんだよ? そういうのも気にするよ」

P「そうか……あ、そういえば、未央」

未央「ん?」

P「調子、戻ったんだな」

未央「調子?」

P「さっき、恥ずかしいって言ってただろ? いつもの調子に戻ってたみたいで安心した、って思ってな」

未央「恥ずかしい……あ」

未央(思い出した。……いや、なんでもないことのはずなんだけど……思い出すと、その)

未央「……じゃ、じゃあ、私、おいなりさん、もらうね?」

P「ん? ……そうだな。食ってみろ。あ、いなりを食べる前にうどんを食べておくのをオススメしとく」

未央「うん、ありがと」

未央(……うー。なんか逃げるみたいになっちゃった。とにかく、食べよう。えっと、まずはうどんを食べて……それから、いなり)パクッ

未央「……あ、おいしい」

P「だろ!?」

未央「うん……なんか、思った以上に相性いいね。なんというか……なんて言えばいいんだろう。とにかく、おいしいよ。うどんのこの味とおいなりさん。この相性、本当に良いね。どっちかを食べるとどっちかを食べたくなる感じというか……プロデューサー、ちょっと、うどん、食べるね?」

P「うん、食べろ食べろ。……やっぱり、うまいよな。そもそもうどんからしておいしいわけだが、これに色んなものを組み合わせることによってさらにおいしくなる。ツルッと喉越しがよく、コシのあるうどん。それだけでも最高なんだが、天ぷらやこういったものを合わせるとさらにおいしくなるよな……その中でも俺は」

みく「Pチャン」

P「ん?」

みく「そろそろ黙って食べない?」

P「……はい」


――店の外

未央(んー……おいしかったなー。おいなりさんもそうだけど、半熟玉子天も良かった。温泉卵とはやっぱり違うなー……)

P「さて、それじゃあ帰るか」

加蓮「うん。まあ、そこまで時間はかかってないけどねー」

みく「このお店で食べるとそうなるよね。さすがに牛丼屋さんなんかには敵わないと思うけど、さっと食べたいって時はこのお店、かも?」

加蓮「私だったらポテトとか食べたり、なんなら抜いちゃうかもしれないけど……って、Pさん、心配そうな顔しないで。できるだけ抜かないようにしてるから」

P「それならいいが」

未央「でも、おいしかったよ。ごちそうさまでした、ありがとね、プロデューサー」

加蓮「ホントホント。おいなりさんがあんなにおいしいとは思ってなかったしねー。私、今度から頼んじゃうかも」

みく「みくも久しぶりに食べたらおいしかったよ。まあ、個人的には事務所でするっていうたこ焼きの話が気になるけど……」

P「それに関してはまた詳細が決まってから、な」

みく「はーい」

P「……それじゃ、車に乗れ。帰るぞ――あー、そうだな、ちょっと先に行っててくれ」

加蓮「? どうかした?」

P「ちょっと、な。……これ、車のキーだ。先に乗っててくれ」

加蓮「よくわからないけど……うん、わかった。先に乗っておくね」

みく「……うん、そうだね。先に乗っておくにゃ」

P「ああ、助かる。……未央」

未央「え?」

P「ちょっとだけ、話がある。いいか?」

未央「……いいけど、何?」

P「それは……」

未央「?」

未央(……あ、二人とも車に乗るのを、確認してるんだ――って、え? ちょ、今から何を話されるの? ちょっとこわいんだけど……)

P「……あのさ、未央」

未央「え?」

P「……さっきは、ごめんな」

未央「……? ごめん、って?」

P「さっきのことだよ。……加蓮にバレただろ?」

未央「あ……」

未央(あのこと……でも、プロデューサーは、そんなに考えてなかったんじゃ)

P「弁解するとしたら、未央、お前、わかりやすすぎる。『何かある』ってまるわかりの顔しやがって……あれでもフォローしたつもりなんだぞ? って、伝わってなかったら世話ないんだが……」

未央「……え? ちょ、ちょっと待って? どういうこと? 私、よく意味が……」

P「……まあ、わからないでいてもいい。俺が言いたいことは二つだ。すまん、また埋め合わせはする。それと……」

未央「……それと?」

P「……俺は、未央と一緒に食事をするのを、とても楽しいと思ってる」

未央「……え」

P「それだけだ。……加蓮とみくが待ってる。車に行くぞ」

未央「……プロデューサー!」

P「なん――うおっ」ギュッ

未央「えへへ……プロデューサー、ありがと!」

P「未央、お前……どういたしまして」

未央「車まで、ずっとこうしていていい?」

P「……まあ、車までなら、な」

未央「……ありがと、プロデューサー☆」


――車内

加蓮「……すっごくいちゃいちゃしてるね、Pさんと未央」

みく「……これは何があったのか、詳しく聞かなくちゃいけないにゃ」

加蓮「はぁ……確かに、未央、調子悪そうだったけど……嫉妬しちゃうな」

みく「まあ、今日くらいはいいかもしれないけど、ね」

加蓮「……うん。まあね。でも、問い詰めることには変わりないけど♪」

みく「それは同感にゃ」



これにて今回は終了です。
えっ、何これは……当初のプロットとはまったく違う話になってびっくりです。
この店というのは決まってたんですが複数人になることからして考えていませんでしたし、こういう話になるとも思ってませんでした。たぶん加蓮のせいです。

今回は加蓮とみくが出ましたがこの二人だった理由はなんとなく以上のものはありません。書いている途中でみくは他で書こうと思っていたことを思い出しました。しかし、途中までは「あれ? これ加蓮の話だったっけ?」ってなりました。未央SSのつもりです。

今回のお店は好きです。割りと行きます。このお店に関することではまだ話せたんですがやめておきました。さすがにあれ以上静香の台詞が増えると本当に喋り過ぎですし……その割にうどん自体の味については言及していなかったようにも思えますが。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSで出てきた「ねぎをどんぶりいっぱいに」っていうのはおそらくは讃岐うどんではなく福岡のうどんだと思います。
いえ、福岡でもああいったことをする人がそれほど多いのかは知りませんが……。
そもそも彼女なら福岡とか関係なくそういうことやっていてもおかしくないような気も……。

改めてありがとうございました。

重ね重ね申し訳ありません。一つ聞きたいことがあったのを忘れていました。

もし「鍋」をするとなったら、未央とPの二人きりか、複数人か、どちらの方がいいでしょうか。個人的には複数人で騒いで、というイメージがあるのですが……。

また、複数人であればこういったアイドルと……みたいなことも言ってもらえれば嬉しいです。ごめんなさい。完全に自分のためです。なんならまったく意見を反映させない可能性もあります。でも今のところPと未央が確定で他は……といった状況なので今のところはそうならないと思います。正直未央なら誰とでも仲良くできるようにも思えますし……。

あと、「鍋」をするとして、どういう鍋がいいか。まあこれは割りと大雑把な感じですが……闇鍋とか言われない限りはそこまで変わらないようにも思いますが、適当に。

意見をもらえれば幸いです。久しぶりだったのにNG編に次ぐ長さになってしまって申し訳ありませんでした。それなのに読んで下さってありがとうございました。

あ、「鍋」をするにしても店に行くか自分たちで作るか……という問題もありましたね。そのあたりも意見があればお願いします。

ごめんなさい今日は鍋じゃないです


――ホテル

蘭子「ふわ……」

美穂「あれ? 蘭子ちゃん、眠い?」

蘭子「ん……闇が私の頭を……その……アレ……」

凛「眠そうだね……」

アナスタシア「んー……ランコ、おやすみ、します?」

蘭子「皆の者は……」

美穂「明日も早いし、そろそろ寝るんじゃないかな」

蘭子「じゃあ寝る……」

楓「美波ちゃーん。……ふふふふふ」

美波「か、楓さん……酔ってるんですか?」

楓「酔ってなんかないですよー♪」

美波「絶対酔ってますよね……大人組は他の部屋だったんじゃ……」

楓「美波ちゃんに会いたくて来ちゃいました――あ、菜々ちゃーん。一緒にお酒を飲みましょうよー」

菜々「え゛っ! ……い、いや、菜々は17歳なので、お酒なんて……」

楓「えー? ウサミン星では17歳からお酒が飲めるんじゃないんですかー?」

菜々「……で、でも、菜々は17歳なので……!」

楓「頑固なんだからー、もう……行きましょう、美波ちゃん。もう、ばんばん飲んじゃいましょう!」

美波「私も未成年ですからね?」


ガヤガヤ

未央「思った以上に騒がしいね……」

藍子「なんだか、修学旅行みたいですね」

未央「うん。……茜ちんたちも枕投げしてるしね」

李衣菜「あんまり騒ぎ過ぎると迷惑だと思うけど……」

未央「確かにね――って、ああ、やっぱりきよみんが注意してる……」

李衣菜「でも全然聞いてない……さすがに止めなきゃいけないような」

夏樹「ははっ、あいつら、ロックだな」

李衣菜「!?」

みく「李衣菜チャン、ロックって言葉に弱すぎでしょ……夏樹チャンもそこでそれ言う?」

夏樹「いや、ごめんごめん。でも、だりーもさすがにあそこに混ざったりはしないだろ?」

李衣菜「え? ……そ、そりゃあそうだよ! 確かにロックかもしれないけど、あんまりうるさくして迷惑になるのはロックじゃないし!」

夏樹「確かにな。まあ、今日は割りと騒いでもいいらしいけど」

藍子「そうなんですか?」

李衣菜「でも、Pさんは『あんまり騒ぐな』って言ってなかったっけ?」

夏樹「騒いでもいいって言われたらもっとうるさいだろ? さすがに限度ってもんはあるからな。これくらいで、ってことだよ」

みく「今でも十分騒いでるような気がするけどにゃあ……」

未央「確かにね。――あ」

藍子「? どうしたんですか、未央ちゃん」

未央「そう言えばおみやげ何も見てないなー、と思って。ホテルにあったっけ?」

李衣菜「んー……どうだったっけ? あったような、なかったような……」

夏樹「というか、駅の方があるんじゃないか? なあ、みく」

みく「どうしてみくに聞くの……?」

夏樹「みくはここの出身だろ?」

みく「そうだけど、そんなに駅に行ってるわけでもないからにゃあ……みんなだって、東京駅のこととかそこまで覚えてないっしょー?」

李衣菜「それは確かにそうかも……でも、それでもここのことはみくちゃんの方が知ってると思うんだけど」

みく「それは確かにそうだけど……んー、まあ、おみやげと言ったら駅ってイメージはあるかも。正直わざわざおみやげにするようなものがあるようには思えないけどね」

藍子「地元民がそれを言うんですか……?」

みく「地元民だからだよ。実際、ここのおみやげって言われてもあんまり思いつかないもん。そりゃ、ないわけじゃないけど、食べ物とかならここで食べた方が絶対においしいしね」

未央「それは確かにそうかもしれないけど……でも、こういうところに来たら見たくなるのが未央ちゃんの性分なんですよ」

みく「……まあ、気持ちはわからなくもないけどね。みくも東京からの帰りはだいたいおみやげ買って帰るし」

未央「でしょ? ってことで、私、ちょっと見てくるね」

李衣菜「一緒に行こうか?」

未央「んー……べつにいいかな。付き合わせるのも悪いし、一人でじっくり見るっていうのもいいものですし」

藍子「確かに一人でじっくり見るのも大切ですよね」

夏樹「藍子は確かにそういうタイプっぽいよな」

みく「一人だとめちゃくちゃ時間をかけそうだにゃあ……なんか色々と他のものも見て時間がすぐに流れていっちゃいそう」

藍子「……」

李衣菜「図星なんだ……」

未央「あはは。……じゃ、行ってくるね。割りと遅くなるかもしれないから先に寝ておいてくれてもいいから、ね」

みく「うん。わかったにゃ。じゃあ、いってらっしゃい」

未央「いってきまーす」


――ロビー

未央「……ん?」

P「……げ」

未央「『げ』って、何? というか、プロデューサー、こんな時間にどうしたの?」

P「こんな時間って……まだ九時だろ。全然問題ない」

未央「そう言えばまだそんな時間かー……何人か寝ちゃってたから、そんな感覚なかったよ」

P「明日は早いから寝るのは問題ないだろ。今日も疲れただろうしな」

未央「まあ、私もまあまあ疲れてるかも」

P「そうか。じゃあ早く寝とけ。俺はちょっと出て行くから何かあったらちひろさんに――」

未央「ちょっと待って、プロデューサー。……どこに行くつもり?」

P「……こ、コンビニに」

未央「……本当に?」

P「本当に」

未央「ふぅん……なかなか口を割りませんなあ」

P「だから本当にコンビニだって」

未央「何を買いに行くの?」

P「え? ……き、決めてないな。コンビニで見て回ろうと思ってたからな、うん」

未央「怪しい……あ、もしかして、その……そ、そういうお店に行くんじゃ」

P「それはない!」

未央「じゃあどこに行くのさー」

P「……はぁ。誰にも言うなよ?」

未央「うん。言わない」

P「……早めの夜食に、な」

未央「……プロデューサー、晩ごはん、食べてたよね?」

P「……行きたいところがあるんだよ」

未央「それならべつに今日じゃなくてもいいんじゃ……」

P「俺一人で行けそうなのが今日くらいだったからだ。大勢で行くようなところじゃないからな」

未央「それで、みんなに内緒で?」

P「まあ、そういうことだな」

未央「……ねぇねぇプロデューサー、口止めしたいなら、さ」

P「……未央も夕食食べただろ」

未央「そんなにいっぱいは食べてないからねー。みんな居たし、食べるのよりもお話メインだったし?」

P「まああの人数で未央ならそうするか」

未央「未央なら、って?」

P「おしゃべり大好き、だろ?」

未央「まあ、そうだけどね」

P「……じゃあ、行くか」

未央「うん。行こっか」


――

未央「でも、プロデューサーも抜け目ないですなぁ……まさか私たちの目を盗んでおいしいものを食べに行こうとするとはねぇ。ちひろさんによくバレなかったね」

P「ちひろさんは今頃大人組に捕まってるよ。ま、お楽しみ中ってことだな」

未央「……かえ姉さまは酔ってたけど、明日も仕事じゃないの? 大丈夫なの?」

P「あの人たちもそこのところはわかってるから大丈夫だろ。ちひろさんも居るし、な」

未央「プロデューサーがそう言うなら、大丈夫なのかな」

P「ああ。問題ない。……で、そろそろ着くが」

未央「地下にあるお店なの?」

P「地下だけにあるわけじゃないけどな」

未央「チェーン店?」

P「一応、な。東京にはなかったと思うが」

未央「まあ、東京にあるならわざわざ隠れて行かないよね」

P「そうだな……っと、着いた。ここだ」

未央「ここ……って、えっと、カレーの店? あと、思ったよりも小さい……?」

P「これでも昔よりは大きくなった……らしいがな。俺はその昔をよく知らないから聞いただけの話だが」

未央「ってことは、ここが本店、的な?」

P「たぶん、そうなんじゃないか?」

未央「たぶんなんだ……」

P「俺もそこまで知らないからな。わかるのはここの味くらいだ」

未央「おいしいの?」

P「食えばわかる」

未央「まあ、そっか」

――店内

未央「メニューはカレーとハヤシライス……ハヤシライスもおいしいの?」

P「知らん」

未央「知らないんだ」

P「あんまり来たこともないからな……というか、カレーでも味を知ってるメニューなんて一つしかない」

未央「それがオススメ?」

P「それ以外の味を知らないからな……でも、他のも頼んでみたいんだよなぁ」

未央「でも、結局いつものを頼んじゃうって?」

P「ああ。わかってるな、未央」

未央「プロデューサーと何回お食事したかわかりませんからねー。――で、えっと、レギュラーサイズとミニサイズっていうのがあるみたいだけど……」

P「お前はミニサイズにした方がいいだろうな」

未央「それでも結構多そうなんだけど……食べ切れなかったらプロデューサーが食べてくれる?」

P「そんな心配は要らないような気もするけどな」

未央「へぇ……理由はおいしいから?」

P「その通り。それじゃあ、スペシャルビーフカリーでいいんだよな?」

未央「うん」

P「じゃあ――あ、はい。それでお願いします」


――

未央「……来たね」

P「来たな」

未央「じゃあ、いただきます?」

P「ああ。いただきます」

未央(まあ、カレーだし特に変な食べ方とかはないよね。……でも、なんだかすごいかも)

未央(カレーはカレーなんだけど……ごはんが見えなくて、ルーの中には大きな牛肉の塊が二つほど。たっぷりのルーに牛肉がゴロゴロ入ってる感じ?)

未央(お値段もそこそこしましたし……これは結構な高級カレーだったりするのでは? いや、高級カレーとか食べたことないからわからないんだけど)

未央(……まあ、食べてみなくちゃわからないし、とにかく、食べてみよう、っと)パクッ

未央(……うん。カレーだ、って――んんっ!?)

未央「……うっ、わぁ……!」

未央(これ……え? すごい……なんか、すごいかも! 口を付けた瞬間はドロっとしているカレーだなあ、としか思わなかったんだけど……なんか、なんか、なんか!)

未央(口にして、ちょっと経って、味……というか香りが爆発してる感じ? 『ふわぁ』って! 『ふわぁ』ってなった!)

未央(辛いわけじゃなくて……いや、ちょっと辛いんだけど、甘みとかそういうのの方が感じる。あと、ドロっとしていて、すごい濃いルーなんだけど、くどくない。ドロドロと言うよりはまろやかって言葉の方が似合うかも。似たのだと……ビーフシチューみたいな? いや、違うんだけど、舌触りとかそういうのはかなり似てるかも)

未央(これはなんて説明したらいいのかわからないんだけど……コク? 深み? そういう言葉ってどこで使うのか今までよくわかってなかったけど、こういう味のことを言うんだ……)

未央(あと、旨味みたいなものが凝縮されている感じがする。これは牛肉の旨味、なのかな? ……本当、すごい。すごく、おいしい)

未央(メニューには確か生クリームでなんとか書いてあったっけ? いや、でもそんな複雑な味とか私にはわからないし……でも、このまろやかな感じは生クリームのおかげなのかな? とにかく、すっごく濃厚で、複雑な味なんだけど……でも、それが悪く感じることはなくて、ただただ、おいしい)

未央(……はっきり言って、そこまで変な味とかじゃなくて、食べたことがまったくないって味でもない。うん、そうだ……前に連れて行ってもらったインドカレーのところとは違って、これは似たような味を食べたこともあるんだ。ただ、そのおいしさのレベルが違うだけで)

未央(いつも食べているようなカレーのおいしさを突き詰めたような……そんな感じ? フルーティー……とかはよくわからないけれど、そういう感じもして、スパイスの辛さ? もきっちりあって……本当に、すごくおいしい)

P「どうだ?」

未央「おいしい!」

P「だろ!?」

未央「うん……本当においしいよ。なんだかすごいね、これ」

P「食べ切れそうか?」

未央「大丈夫! むしろ足りないかも? おいしいからね」

P「もし腹がいっぱいになったらすぐに言えよ? 無理はするな。俺が食う」

未央「それプロデューサーが食べたいだけじゃ……」

P「それも半分あるな」

未央「あるんだ……」

P「だってうまいからな……冷めたらもったいないし、食べるか」

未央「うん、食べる」

未央(……さて、それじゃあ次はお肉を――って、さっきもお肉は混ざってたんだけどね。大きな塊が目立つけれど、実は全体的にお肉が散らばってるもん……そう考えると、このカレー、めちゃくちゃお肉が入ってるかも)

未央(ではでは、お肉を味わうとしましょうか、っと)パクッ

未央「……んー……!」

未央(うん! すっごく柔らかい! ほぐれたお肉で、繊維状になってるのかな? まあそんなことはどうでもよくて、おいしい。もうルーからして牛肉牛肉……『牛々しい』? みたいな感じだったんだけど、やっぱりお肉を一緒に食べるともっとすごいね)

未央(すっごく煮込まれてるんだろうなあ、って私でもわかるような感じ。でも、それが悪く働いてるなんてことはまったくなくて……なんて言ったらいいんだろう。ものすごくおいしいビーフシチューのお肉……とも違うんだよね。これ。ちょっと言葉にできないかも……むぅ。プロデューサーならうまく説明できるのかなぁ。べつに説明できなくても、おいしいからいいんだけど)

未央(……さて。もう半分くらいは食べた……かな? では、そろそろ、この大きなお肉を食べるとしましょうか)

未央(でも、本当に大きいなあ……本当に『ゴロッ』としてる。ここまでゴロッとしたお肉の入ったカレーはあんまり食べたことがないかも)

未央(さすがに一口じゃ大きい? 切った方がいいのかな。でも、どうやって切るんだろう。柔らかいからスプーンだけで切れるとか? 実際、ゴロゴロ入ってるお肉はめちゃくちゃ柔らかかったし……うーん)

未央(……よし、もう、一口でいっちゃおう!)パクッ

未央(……んっ、やっぱりちょっと大き……!?)

未央「んっ……んぅ!?」

未央(ちょっ、これ……これ!?)

未央(いやもう……もう! お肉というか『お肉!』っていうか、もう、えぇ……)

未央(牛すじ肉の塊、なのかな……すっごく柔らかいんだけど、すっごくジューシーで……口がいっぱいになるくらいの大きさなんだけど、えっと、めちゃくちゃおいしい!)

未央(本当にもうそれしか言えない……カレーの時点で割りとそんな感じだったけど、もう、なんか『メイン』って感じ? ……なんというか、すっごくごはんをかきこみたいんだけど、かきこんじゃったらもったいないんじゃないかっていう葛藤が……!)

未央(……んー、もう! やっぱりごはんも食べる!)パクッパクッ

未央「……~!」

未央(おいしい! なんかもったいない感じもしたけど、ううん、もうこれでいいや! もう一つあるし! ……あーもう! なんか、すっごく幸せ!)


――店の外

未央「ごちそうさま! プロデューサー!」

P「うまかったか?」

未央「いやぁ、正直思った以上でしたよ。さすがはプロデューサーが隠れてまで来る場所……すごかったよ」

P「だよなぁ……味としては馴染みがない味ってわけでもなくて、むしろ馴染み深いと言ってもいいくらいの味なんだが、めちゃくちゃうまい。もう別の料理なんじゃないかって思えるくらいですらある。なかなか説明し難いよな」

未央「うん……前に連れて行ってもらったインドカレーのお店とも、普段食べているカレーとも違う感じだった。どちらかと言えば普段食べているカレーに近いんだけど、絶対に違うっていう?」

P「うんうん……というか、未央。今日は割りと語るな」

未央「え? ……おいしかったんだから仕方ないじゃん。おいしいものを食べると、やっぱり話したくなるもん。おいしかったよね、って。面白い映画を一緒に見た時と同じだよ」

P「まあ、俺もかなり語りたい方だから万々歳なんだがな」

未央「ならいいよね――っと、ん?」

未央(……あれ? なんだろ、ちょっと、調子が)

P「……未央、お前、もしかして」

未央「……な、何かな、プロデューサーくん」

P「腹いっぱいで動けないんじゃないか?」

未央「……はい」

P「だから腹いっぱいになったら言えって……」

未央「だって、おいしかったんだもん。……食べてる途中は気付かなかったし」

P「ハァ……未央、結構、辛いか?」

未央「……そこそこに」

P「それじゃあ……そうだな、未央」

未央「なに? プロデューサー」

P「背負ってやる。乗れ」

未央「え? ……えっ!?」

P「アイドルに無理をさせるわけには……って、もう既に無理をさせてしまってるんだが、これ以上無理をさせるわけにはいかないからな。ホテルまではそこまで遠くないし、背負っていくよ」

未央「いや、その……それはちょっと、恥ずかしいというか、申し訳ないというか」

P「そこまで俺に背負われるのが嫌か?」

未央「そっ……そんなことは、ないけど、さ」

P「ならいいだろ。乗れ」

未央「……じゃ、じゃあ、失礼するよ? 重いとか言ったら、未央ちゃんも傷付いちゃいますよ?」

P「食べたばっかりだから、って? もし重くても言わないから心配するな」

未央「それを言われるともっと心配になってきたんだけど」

P「いいから、乗れよ」

未央「……それじゃあ、失礼して、っと」ダキッ

P「……ん!?」

未央「えっ、な、なにその声! 重かった? 重かったの!?」

P「……い、いや、違う。そうじゃなくて、その……」

未央「え?」

P「……怒るなよ?」

未央「怒るな、って……なんのこと?」

P「……あのな、その、背中に思いっきり胸がだな」

未央「あっ……ふっふっふ、プロデューサー」

P「なんだよ」

未央「えっち」

P「……うるさい」

未央「えへへ。プロデューサーがそういうことを言うのが悪いんじゃないかなー? 仮にも自分の担当しているアイドルにそういう気持ちを抱くのはいけないんじゃないですかねー?」

P「お前、状況が変わった途端に攻めてきやがって……というか、俺はお前が魅力的だと思っているからプロデュースしてるんだ。そういう気持ちを抱いて何が悪いんだよ」

未央「うわ、開き直った。美嘉ねー風に言うと、エロい視線でアイドルを見ているなんて、ダメだよ? プロデューサーくん」

P「お前がエロい身体してるのが悪い」

未央「うわっ! それ、すごいセクハラ発言じゃない? しぶりんとかに言ったらヤバそう」

P「お前くらいにしか言わないから問題ない」

未央「お? それは未央ちゃんがプロデューサーにとって特別な存在ということですかな?」

P「それは……もう、あんまりしゃべるな。耳元でくすぐったい」

未央「んー? 耳元で囁かれるとなんだかいけない気持ちになっちゃうって?」

P「……未央、お前、いい加減にしろよ」

未央「えへへ、ごめんなさい。……ありがとね、プロデューサー。おんぶしてくれて、おいしいお店に連れて行ってくれて」

P「……気にするな。秘密を共有するっていうのはいくつになっても心が躍るものだし、おんぶの方は役得だしな」

未央「……プロデューサーのえっち」

P「あんまり大声で言うなよ」

未央「耳元でささやかれたいって?」

P「……それも破壊力がヤバそうだからやめてくれ」

未央「……Pさんのえっち」ボソッ

P「!? 未央! おまっ……!」

未央「えへへ……その、今のはちょっと、さすがの未央ちゃんも自分で言って恥ずかしかったかも」

P「……ならもう言うな。心臓に悪い」

未央「……うん。そうする」


未央(――こうして、私はプロデューサーにおんぶされたままホテルに帰って、そこで私の帰りが遅くて心配してくれたあーちゃんやみくにゃんたちに見付かってしまったんだけど、それはまあ、別の話ということで)



これにて今回は終了です。
サマフェス大阪もあったし……と思って大阪でしたがよく考えなくてもこれはサマフェス大阪の日よりも前に書いた方がよかったのでは? と自分で思いました。
あと、今回鍋じゃなかったのは割りとシチュエーションに困ってるというか、シチュエーションなんてどうでもいいって言われたらそれまでなんですけど、いったいどこでするのか迷っているというか……やっぱり事務所ですかね。誰かの家……というのはなかなかに難しそうですが、できなくもないような? また考えておきます。「夏」にやるということに意味があると思っているので8月中には書きたいです。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係ないですがサマフェス大阪めっちゃ楽しかったです。はい。

そう言えば、いつの間にかこんなに書いているんですね……今までに書いたこれ以外のSSすべて合わせてもこのSSよりも短いような気がします。というか最近他のSS全然書いてないですね。はい。

あ、鍋はたぶんポジパで書きます。NGもいいんですが新しい藍子ちゃんかわいすぎ記念というか放課後記念で。(でもポジパで書いたことないので無理だったら違うメンバーになる可能性もありますごめんなさい)

改めてありがとうございました。

遅くなってしまいました! すみません!
完全に9月になってしまいましたがまだ暑……暑いところは暑いので夏ですよね! 違いますね! すみません! 放課後藍子ちゃん記念とか言っていられるような時間は過ぎてしまったような気がしますがアニメポジパ記念ということでどうか!

未央「……あーつーいー」

P「俺に言われても困る」

未央「えー? プロデューサーは私たちを輝かせてくれる魔法使いでしょ? じゃあ魔法でパパッとなんとかしてよー」

P「申し訳ないが、俺はお前たちを輝かせる魔法しか習得していないんだ。他の魔法に関してはそこの魔女さんに頼んでくれ」

未央「あ、それもそうだね。あーちゃんあーちゃん、どうにかしてくれる?」

藍子「えっ……わ、私のことですか」

未央「深緑の魔女でしょ?」

藍子「いつの話ですか……暑さをどうにかすることなんてできません」

茜「でも、藍子ちゃんと話していると暑さを忘れる時があるのは確かですね!」

P「藍子と話していると時間も何もかも忘れるからなぁ……そういう意味では、藍子はやっぱり魔法を使ってるようなものじゃないか?」

藍子「私は話しているだけなんですけど……」

未央「話しているだけで魔法が使えるとは……さすが深緑の魔女、だねっ」

茜「おお! すごいです! 藍子ちゃん!」

P「すごいぞ、藍子」

藍子「う、うう……みんなでからかわないで下さいよ……」

未央「えへへ、ごめんごめん。でも、暑いのは本当なんだよねー……このままではポジパ存続の危機ですよ」

茜「そうなんですか!?」

P「なんでだよ。茜も乗るな。この暑さとポジパに何の関係があるんだよ」

おー、待ってました。自分もよく未央ss書いてるので参考にしてます。

未央「だって、私たちの売りって『元気』みたいなところあるじゃん? ポジティブでパッションなんだし。それがこの暑さで弱くなっちゃったら……それはもうポジパ存続も危機になろうもんですよ!」

茜「それは大変ですね……」

藍子「大変だね……」

P「そんなことで存続の危機になってたまるか。というか茜だけじゃなく藍子も乗るなよ……」

藍子「いや、その……私も乗った方がいいかな、と思って……えへへ」

P「くそっ、かわいい……」

藍子「かわっ……そ、その……うぅ」

未央「でもでも、実際、この暑さで元気がなくなってるところはあると思うんですよ。ねぇ、茜ちん」

茜「私は元気ですよ? こんな暑い時には、自分が熱くなったら気にならなくなるものです!」

未央「……ま、まあ、茜ちんは別として――って、熱くなったら……」

P「? どうした、未央」

未央「ねぇねぇ、プロデューサー」

P「なんだ?」

未央「あのですね……ちょっと提案したいことがありまして」

P「提案? 何を?」

未央「こんな暑い時にこそ、熱いものを食べたりしてはいかがかな? と思いまして」

P「熱いもの? ……ん、いいかもな」

未央「おおっ! それじゃあそれじゃあ、何を食べる? 茜ちんとあーちゃんは何か食べたいものある?」

茜「食べたいもの、ですか……ごはんですかね!」

藍子「いきなり言われても……というか、Pさん、本当にいいんですか?」

P「ああ。好きなものを……って言っても、そこまで高いものは勘弁してもらいたいが」

藍子「……ありがとうございます。じゃあ、そうですね……みんなでゆっくりお話しながら食べられるような、そんなものがいいかもしれません」

P「ん……『ごはん』があって、『ゆっくり話しながら食べられる』、『熱い』もの、か……未央、未央は何が食べたいんだ?」

未央「未央ちゃんはなんでもいいですよ? 暑い時に熱いものを食べる……お腹いっぱい食べて、元気になれればいいかなー、って」

P「お腹いっぱい食べれるもの、か。……そうだな、うん、ちょっと確認が必要だが……」

未央「? 決まったの?」

P「候補が、な。ちょっと確認する」

藍子「確認……どこにですか?」

P「事務所に、だな。……ああ、ちひろさん。Pです。いや、ちょっと聞きたいことがありまして――」


――

P「――よし。決まり、だな」

未央「今の会話から推測するに……事務所で何か作るの? あっ、またプロデューサーが何か作ってくれるの!?」

茜「プロデューサーのごはんですか!?」

藍子「Pさん、料理できたんですか!?」

P「そこまで驚くようなことか? ……あと、今回は俺の料理ってわけでもない」

未央「そっかー……ちょっと残念かも」

茜「私も、プロデューサーのごはんを食べてみたかったです……」

P「おいおい茜、お前にそんな顔されたら困る。……また作ってやるから、な」

茜「本当ですか!?」

P「本当だ。期待してろ」

茜「ありがとうございます! プロデューサー!」

未央「……どうして未央ちゃんには何も言わないのかなー」

P「お前はもう食ったことあるだろ。というか、また作るって約束もしてるだろうが」

未央「それはそうですけどね? 未央ちゃんも女の子なわけですから、構ってほしいわけですよ」

P「割りと構ってるだろ? というか、女の子関係あるか?」

未央「関係あるよー。……それで、料理ではないって言ってたけど、じゃあ何なの?」

P「……まあ、料理ではないって言うのも正確じゃあないんだけどな。料理……うん、料理ではあるが、『俺の』ってわけじゃない」

藍子「……ということは、みんなで作るもの、なんですか?」

P「おっ、藍子、察しが良いな。正解だ」

茜「みんなで作るもの……つまり、焼き肉や鍋料理などですか!?」

P「それも正解だ、茜。どっちだと思う?」

茜「うーん……焼き肉だとにおいが付いてしまいそうですし、お鍋ですか?」

P「ああ。ってことで、食材を買いに行くためにちょっとスーパーにでも寄るぞ。何の鍋がいいか、とか決めておけよ」

未央「はーい」

茜「はい!」

藍子「はいっ」


――スーパー

P「まずは鍋の味だが……お前ら、ダシとかそういうのから作れるか?」

未央「やってみたらどうかわからないけど、やったことないからわかんないかなー」

藍子「ごめんなさい。私も、あまりやったことは……」

茜「すみません……私は市販品を使ってしまっています」

P「謝るな。俺もできないからな……で、となれば鍋の素みたいなものがあった方がいいと思うんだが……どれがいい?」

未央「どれが、と聞かれましても……正直、割りと何にしてもおいしいような気がするんだよねー」

茜「そうですね……確かに、どんな味でもおいしくなるような気はします!」

P「うーん……暑いから、ってことなら、汗をかくのが目的で辛いもの、つまりキムチ鍋みたいなものでもいいかもしれないが……ちょっと個人的なプランではそうじゃないんだよな。……よし、藍子、お前が決めてくれ」

藍子「えっ! ……わ、私ですか?」

P「この中ならお前が良いと思ってな。変なもんじゃなかったら何でもいい。決めてくれ」

藍子「えぇー……そ、そうですね、それなら、これでいいんじゃないでしょうか」

P「うん、それでいい。普通のよせ鍋の素、だな」

藍子「普通ですみません……」

P「変なもんじゃなかったら、って言ったのは俺だ。普通でいい。というか、普通がいい。未央なんかだったら絶対変なもんに手を出してたからな」

未央「えー? でも、こうやって商品として売っているってことはおいしいんだと思いますよ?」

P「冬ならまだしも、こんなクソ暑い時に鍋で挑戦なんてしたくもないからな」

未央「まあ、確かにねー。私も普通においしいものが食べたいし?」

P「だろ? で、食材だが……なあ、茜」

茜「なんですか?」

P「普通、こういう鍋ってどんな食材を入れる?」

茜「どんな食材を、ですか……野菜とお肉と、きのこ類くらいでしょうか」

P「まあ、そんなもんだよな。じゃあ、とりあえず食材を買っていくか。白菜は必須だよな。あと、豆腐も欲しいなあ……」

未央「その二つは割りと絶対にある、って感じかもね。あと、しらたきとかも?」

茜「お肉は……豚肉を使う鍋もあれば鶏肉を使う鍋もありますよね。どうしましょう」

P「もうどっちも入れたらいいんじゃないか? そういや、海鮮類もいいかもな……魚とか、エビとか。カニはさすがに予算オーバーだが」

藍子「きのこ類は何を入れましょう。椎茸やえのきなんかは定番だと思いますけど……」

P「じゃあその二つでいいか。んー……野菜はもう白菜だけでいいか?」

未央「ねぎとかは?」

藍子「あっ、確かに、お鍋ではよくありますよね。好きですよ」

P「んじゃあ、ねぎも必要、っと。あと、俺が個人的に入れたいものがあるんだが……前に入れようとしたら文句を言われたから先に入れてもいいか聞いておきたいんだよな」

茜「なんですか?」

P「……そう言えば茜は栃木出身だよな。それならわかってくれるかもしれないが、鍋に餃子を入れるのが俺は好きなんだよ」

茜「おお! 餃子ですか! 餃子鍋というものもありますからね!」

未央「餃子? ……ってことは水餃子的な?」

P「まあ、そうなるか。普通に冷凍食品の焼き餃子用っぽいのを使うけどな」

藍子「それは大丈夫なんですか……?」

茜「大丈夫です! 私もやったことはありますが、なかなかにおいしいですよ!」

P「デメリットもあるが、俺は好きだな……ってことで、入れてもいいか?」

未央「うーん……私はいいけど、あーちゃんと茜ちんはいいの?」

藍子「? どうしてですか?」

茜「私はおいしいとわかっていますから、もちろんです!」

未央「いや、だって……餃子ってことは、ちょっと、口のにおいが、さ」

藍子「……」

茜「……」

P「……あー、やっぱり、ダメだったか?」

藍子「い、いえ……大丈夫ですよ?」

茜「は、はい! 大丈夫です!」

P「ならいいんだが……」



藍子(……ブレスケア用品、持っていた、よね?)

茜(す、すぐに歯磨きすれば大丈夫なはずです。……い、一応、ブレスケア用品を買っておかないと)

未央(さすがにこれはプロデューサーがちょっと……そもそも、私も気にならないわけじゃないし。まあ、鍋に入れるんだし、そこまで口のにおいは気にならない……はず? でも、茜ちんもこんな反応だしなぁ……一応、ブレスケアのあるか確かめとこう、っと)

P「? どうした?」

未央「なんでもないよ」

藍子「なんでもないです」

茜「なんでもありません!」

P「そ、そうか……? なら、次の食材だな」

未央「次の食材? まだ何かあったっけ」

P「個人的には、な。茜はやりたいだろうしな」

茜「私ですか?」

P「あるいはみんな、かな。少なくとも俺はやりたい。だから、そのためにちょっと、な。……他にも何か買いたい食材があれば言っていけよ? 遠慮は……まあ、そこまで高いものだと困るが、そうじゃなければ気にしなくてもいい」

藍子「やりたいこと……?」

P「わからないならお楽しみ、ってことで。じゃ、買いに行くか」


――事務所

P「ただいま帰りましたー」

ちひろ「……おかえりなさい」

P「そ、そんな顔しないで下さいよ……。ちひろさんも楽しんでくるんでしょう?」

ちひろ「そうですけど……そんな日に事務所でお鍋、なんて楽しそうな行事を入れてくるプロデューサーさんは意地悪です」

P「意地悪って……女子会とか言いながら大人組で定期的に俺抜きの飲み会をやってる人に言われたくないんですが」

ちひろ「それはプロデューサーさんが断っているからでしょう?」

P「あんな人たちの中で俺一人だけが混ざるっていうのが何とも……あれ、周りの視線がかなりキツいんですよね。綺麗な女の人たちの中に一人だけ俺みたいな冴えない男が、なんて」

ちひろ「確かに、アイドルの皆さんと一緒に居ると視線は集まっちゃいますよね……私もアイドルの皆さんと一緒に居ると、私なんかがここに居ても大丈夫なのかな、って思っちゃいます」

P「ちひろさんはアイドルになってないのが不思議なくらい美人だから問題ないでしょう。まあ、アイドルになられたら困りますけどね。俺にはちひろさんが必要ですから」

ちひろ「……プロデューサーさんのバカ」

P「へ?」

ちひろ「何でもありません。ごはんは炊いておきましたし、お鍋の準備も一応はしておきました。では、私はそろそろ出ますので、あとはよろしくお願いしますね」

P「え? あ、はい。楽しんできて下さい」

ちひろ「プロデューサーさんも……未央ちゃん、藍子ちゃん、茜ちゃん。みんなで楽しんで下さいね。では、また明日」

P「はい、また明日」


――

未央「……いちゃいちゃしやがってー」

P「いちゃいちゃって……べつにしてないだろ。なあ?」

藍子「……ノーコメントで」

茜「わ、私も、ちょっと……」

P「なんでだよ。普通に話してただけだろ……というか、俺、なんでちひろさんに『バカ』って言われたんだ?」

未央「プロデューサーがいきなり美人とか色々言うからだよ……」

P「美人って褒め言葉だろ? というか、実際ちひろさんは美人だしな。他の人にも絶対に色々言われてると思うんだが……もしかして、お世辞だと思われたとかか? そんなつもりはないんだが……」

未央「それは……ううん、ちひろさんの名誉のために言わないでおくよ」

P「どこに名誉がかかってるんだよ」

未央「かかってるの。ね、あーちゃん、茜ちん」

藍子「はい……Pさんが悪いわけではないですけど、もうちょっと、女心をわかった方がいいかな、って」

茜「そ、そうですね……プロデューサーも、もうちょっと、言葉を選んだ方が……い、いえ! このままでも構わないんですが! むしろこのままの方がいいんですが!?」

P「俺にどうしろって言うんだよ……。というか、俺はこれでもプロデューサーだぞ? 女心はわかってるつもりなんだが」

藍子「ある意味、わかっているかもしれませんけど……」

未央「確かに……」

P「どっちだよ」

茜「……どっちも、ですかね」

P「……よくわからんからもうこの話は終わりだ。とりあえず、準備にかかるか」


――

藍子「そう言えば、ちひろさん、ごはん炊いてくれたんですね」

P「炊けるまでにそこそこ時間がかかるからな。『炊いておきましょうか?』と言ってくれたから、頼んでおいた」

未央「ちひろさん、食べないのに……」

P「それを言われると罪悪感が重くなるからやめてくれ……で、まずは食材を切るとするか。この中で包丁を使えるのは……」

茜「大丈夫です!」

藍子「ある程度なら……」

未央「まあ、そもそもそんなに切るものもないしね。大丈夫だよ」

P「それもそうだな。じゃ、さっさとやって、鍋を食べるとするか」


――

P「鍋の素を入れて、火を入れて、っと……ん? 火を入れる前に食材を入れた方が良かったりしたか?」

未央「そこらへんはどうなんだろ。でも、すぐに入れたら関係ないんじゃない?」

P「それもそうだな……じゃあ、適当に入れていくか。まずは野菜、だよな?」

藍子「はい、たぶん……」

P「実際作るとなると割りと迷うよなぁ……お前らとじゃなかったら、絶対にぜんぶ一気に入れるんだが、さすがにそうもいかないだろうし」

茜「私は大丈夫ですよ! どんどん入れてしまいましょう!」

P「いいのか?」

未央「私も大丈夫だよ。お腹も空いてきたしねー」

藍子「私も大丈夫です。お鍋ですし、時間が経てば入れた順番なんかは気にならなくなると思いますから」

P「それもそうだな……よし。じゃあ、適当に入れていくか。白菜、人参、ネギ……しらたきも入れておくか。それから豆腐とか椎茸、えのきも入れよう。あ、エビも入れるか。それから肉とかを……肉はこの段階で入れたら固くなる、か?」

未央「なるかもしれないけど、べつにもういいんじゃない?」

P「もういいか。じゃあ入れるぞ。で、蓋をして、待つ……で、いいんだよな?」

藍子「いい、と思いますけど……」

茜「私も大丈夫だと思います! そもそもお鍋なんですから、そこまで大きな失敗はないかと!」

P「だよな……なんかごめんな。頼りなくて」

藍子「そこまで気にしなくても……」

未央「プロデューサーって割りとメンタル弱いよね……」

茜「大丈夫ですよ、プロデューサー! おいしければいいんです!」

P「まずかったらごめんな……」

未央「メンタル弱っ! 今の茜ちんの励ましで逆にダメージを受けるとは――あっ、そう言えば、ごはん、よそってなくない?」

P「あ、忘れてた。ここらで茶番は終わりにして準備するか。えっと、じゃあごはんは……」

茜「私がよそいます!」

P「ん、頼む。じゃあ俺は皿とか箸とかを持ってくる」

藍子「じゃあ私が飲み物を……えっと、冷蔵庫に麦茶、入ってましたっけ?」

未央「入ってたと思うよー。それじゃあ私とあーちゃんがお茶を取ってくるから、プロデューサーはそれ以外、お願いね」

P「わかった。頼む」


――

P「もういいか?」

未央「いいと思うよ」

藍子「そう言えば灰汁って……」

P「あー……今からとっても遅くないよな?」

茜「灰汁を取るのってお玉でしたっけ? 取ってきます!」

P「いや、俺が……もう行ったか。早いな……」

茜「取ってきました!」

P「早いな!」

茜「ありがとうございます!」

P「褒めてな……褒めてるな!」

茜「はい! ありがとうございます!」

未央「そろそろ漫才はやめて灰汁をとってから食べない?」

P「そうだな。……どういう風に取り分ける?」

未央「勝手に取って行ったらいいんじゃない?」

茜「はい! それでいいと思います!」

藍子「私たちだけですし、それでいいと思います」

P「お前らがいいならそれでいいが……じゃあ、適当に取って食べるか。いただきます、っと」

未央・茜・藍子「「「いただきます」」」


――

未央「そう言えば、プロデューサーは鍋奉行みたいなことはしないんだね。一応、仕切ってはいるけどさ」

P「俺も鍋のことそこまで詳しくないからな……今までも適当に入れて食うくらいしかやってなかった。ウチの事務所に居なくもないんだがな」

藍子「? そうなんですか?」

P「ああ。大人組の何人かと一緒にちょっと行って、な……うるさいってほどじゃあなく、本当に『おいしく』食べれたからいいんだが」

未央「だれだれ? 気になるなー」

P「絶対言わない……あ、そう言えば、お前らは抵抗なかったが、鍋と白ご飯は一緒に食べない人も居るらしいな」

茜「そうなんですか!?」

P「それどころかそっちの方が多数派だという話も聞いたな……すき焼きですらごはんと一緒に食べないって聞いた時は、ちょっとびっくりしたが」

藍子「……そう言えば、そうかもしれませんね。お鍋を食べてから、最後に……ということの方が多いかもしれません」

未央「お、あーちゃんのお家はそうなの?」

藍子「うーん……すき焼きの時はごはんも一緒に食べていたような……。なんだか、改めて考えるとどうだったか忘れてしまいますね」

茜「炭水化物がなくて大丈夫なのでしょうか……」

P「まあ、鍋もすき焼きも炭水化物がないって言うと違うがな。うどんとか、入れないか?」

未央「あ、うどんかー……そう言えば、今回はうどんないね」

P「入れてもうまかっただろうけどな……でも入れたらかなりの量になっていただろうから、結果的にはいいんじゃないか?」

藍子「この時点でなかなかに多いようにも思いますけどね……」

P「まあな。……そう言えば、味はどうだ?」

藍子「おいしいです」

茜「はい! とてもおいしいです!」

未央「おいしいよ♪ プロデューサーは?」

P「もちろんうまい。……鍋はなんでこううまいんだろうな。鍋の素か。あれの力か?」

未央「入れるだけでこんなにおいしいものが食べれるんだもんねー……すごいよね」

藍子「野菜もお肉もお魚も……おいしいです」

茜「はい! ごはんが進みます!」

P「割りと味もしっかり付いてるからな。あっさり目ではあるが……藍子、お前が選んでくれた鍋の素はこんなにもうまい……ありがとな」

未央「ありがと、あーちゃん♪」

茜「ありがとうございます! 藍子ちゃん!」

藍子「えっ……ど、どういたしまして? でも、鍋の素だけじゃなくて、具材からもダシが出ていると思いますよ」

P「それはそうだな……鶏肉と海鮮類の、か? 正直俺はそこまで敏感な味覚を持ち合わせてないからわからんが」

未央「私もよくわかんない」

茜「私もです!」

藍子「……言った私が言うのもなんですけど、私もそこまではわかりません」

P「やっぱり藍子のおかげだな!」

藍子「その……うぅ。Pさんの意地悪」

P「褒められて照れる藍子がかわいいのが悪い」

未央「うんうん、あーちゃんがかわいすぎるのが悪いよ」

茜「藍子ちゃん、大丈夫です! とってもかわいいですよ!」

藍子「う、うぅ……もうっ! 怒りますよ?」

P「許してくれ」

未央「許して」

茜「許して下さい!」

藍子「……許します」

P「やっぱり藍子は天使だな!」

未央「女神だね!」

茜「藍子ちゃん! さすがです!」

藍子「もーっ!」


――

未央「結果的に、お肉がちょっと固くなってるかな? ってだけで、入れる順番が適当でもおいしいね」

P「ん……確かに肉が固くなってるな。ごめんな……」

藍子「どちらにしろ、時間が経てばこうなったんですし……私はこのくらいの食感も好きですよ」

P「そうか!? 俺もこのくらいの食感は好きだ! よし、結果オーライ、だな!」

未央「立ち直るの早すぎでしょ……」

茜「立ち直るのが早いことはいいことです! 反省することは必要ですが、いつまでもくよくよしていては何も始まりませんからね!」

未央「いや、うん、そうだけどさ……」

P「あ、そう言えば海老の尻尾とかはこの皿に入れてくれ。すまん、言うの忘れてた」

茜「まだ食べてなかったので大丈夫です!」

藍子「きのこ類もおいしいですね……椎茸も、噛むだけで味が染み出してきて」

未央「えのきもおいしいよねー……きのこ鍋でも良かったかも?」

P「野菜と肉は要らないのか?」

未央「もちろん要りますよ?」

P「要るのか……まあ、わかるが」

未央「でも、今更だけど豚肉と鶏肉の両方を入れるっていうのは珍しいよね」

P「本当に今更だな……どっちもうまいからいいだろ?」

未央「モチのロン、だよ。どっちもちょっと硬くなっちゃってるけど、しっかり噛めるというか……味が楽しめるというか? そんな感じがするよね」

藍子「白菜も、やわらかくなっていて、でも食感は残っていておいしいです。ネギも、人参も……ぜんぶ食感や味が違うので、楽しいですね」

茜「色んな味や食感が楽しめる、ということですね!」

P「おお、茜、綺麗にまとめたな……そういや、豆腐とか白滝とか入れてないんじゃないか? 嫌いか?」

藍子「あっ、いえ、そういうわけではないんです。ただ、みんなが入れてないから……」

未央「私もみんなが入れてないからまだなのかなー、って」

茜「プロデューサーのタイミングがあるのかと思っていました!」

P「俺はべつに鍋奉行をやってるつもりはないんだから勝手に食ってくれればよかったのに……まあ、お前らの気持ちもわからなくもないけどな。他の人が手を付けてないものに手を付けるってのはどうにも……」

未央「でも、食べていいなら食べるよ。いただくね、プロデューサー」

藍子「それじゃあ、私はお豆腐を……」

茜「では、私は白滝をいただきます!」

P「……うん」

藍子「熱っ……あ、でも、おいしいですね……なんだか、安心する味です」

茜「白滝もおいしいですよ! なんというか……白滝です!」

未央「茜ちん、その感想はどうかと思うよ? ……白滝だ!」

P「白滝が白滝なのは当然だろうが……お前らもうちょっと藍子みたいに頑張れよ。ポジパで食レポの仕事とかあったらどうするんだよ」

未央「うぐぐ……でも、あーちゃんは『ゆるふわお散歩』でたまに食レポみたいなことやってるじゃん! だから私たちが負けるのは仕方ないの!」

P「あれは食レポの番組じゃないし藍子もそこまで食レポめいたことやってないがな……まあ、藍子が立ち寄って『おいしいです』って言った店は放送翌日から売上がとんでもないことになるらしいが」

藍子「えっ……そうなんですか?」

P「藍子は本当にうまそうに……というか、幸せそうに食べるからな。今も幸せそうだし、見てるこっちが幸せになる」

藍子「そ、それは……あの、ありがとうございます」

P「なんで藍子が礼を言うんだよ……」

茜「でも、本当においし――あ! プロデューサー!」

P「なんだ、茜?」

茜「餃子、忘れてませんか!?」

P「あ……そういやそうだな。この量だと……うん、まあいいか。じゃあ、そろそろ入れるか」

未央「時間ってどれくらいかかるの?」

P「……適当じゃダメか?」

未央「だと思った。プロデューサーって割りと適当だよねー」

P「お前らのプロデュースはちゃんとやってるからいいだろ」

未央「うん。そこのところは感謝してるよ、プロデューサーくん♪」

P「何様だよ……」

藍子「私も感謝してますっ!」

茜「私も、感謝してますよ!」

P「お、おう……なんか、気恥ずかしいな。とりあえず、ちょっと蓋をしといて、待つぞ」


――

P「よし、時間だ……」

茜「おお! おいしそうです!」

未央「おいしそ……なんか、ちょっとにおうね……」

藍子「においますね……」

P「餃子を鍋に入れるとおいしいんだが、これが欠点……いや、俺としてはこれもまた楽しみなんだが、好みはわかれるだろうな。つまり、一回餃子を入れたが最後、その鍋の味が『餃子』に染まるということだ……」

未央「……正直、思った以上に染まってるね」

藍子「ここまで変わるものなんですね……」

P「実際食べてないのに言うなよ……というか、もうよそっていいか? 箸で取るのは……できなくもないだろうが、難しいだろうしな。俺が入れるよ」

未央「いいの? じゃあ、お願いね」

藍子「お願いします」

茜「お願いします!」

P「はいはーい……っと。さすがに四人で分けるとこれくらいか」

未央「十分多いと思いますけど?」

P「俺からしたら少ない」

藍子「あの……食べ切れなかったら、私のを」

P「ん、食べるよ」

茜「私は大丈夫です!」

P「だろうな!」

茜「はい!」

P「よし! じゃあ食べるか!」

茜「はい!」

未央「……じゃあ未央ちゃんもいただきまーす」パクッ

未央「……おお! 思ったよりもおいしい!」

P「だろー!?」

茜「でしょう!?」

未央「うわっ、二人になってうるささが2倍に……」

藍子「……でも、本当に思ったよりも合いますね。餃子とお鍋。餃子にもそもそも味が付いていますし、それがお鍋のスープの味ととっても合っています」

未央「割りとにんにく強い感じの餃子っぽい? なんか、思ったよりも『餃子!』って感じなんだけど、思ったよりも『餃子』って感じじゃないよね。矛盾したことを言ってるような気がするけど……」

茜「水餃子とも違いますね! 元は焼き餃子用、だからでしょうか」

P「かもな。でも、これは確か水餃子にしても食べれるタイプだから……よくわからん。水餃子の方ならもっと食感はモチモチしている印象だけどな。本当の水餃子の方が鍋には向いているのかもしれないし、一回試したこともあるんだが……俺はこっちのが好きなんだよな」

未央「水餃子をあんまり食べたことがない未央ちゃんが言うのもなんだけど、水餃子よりも焼き餃子の方が皮って薄いよね? これは薄い……というか、お箸で持つのも割りと難しいし。持ち方間違えるとすぐに破れちゃうし?」

藍子「お鍋の中にも破れているものもありますからね……」

茜「だからより餃子の味や風味がお鍋全体に溶け出すんでしょうね!」

P「……もしかしたら俺は餃子の味がする鍋が好きなのかもしれない」

未央「普通の鍋は?」

P「好きだ」

未央「だろうね」

P「もうなんでもいいのかもしれない……」

藍子「なんでもいいんですか……」

茜「でも、なんでも好きな方が幸せだと思いますよ! きっと!」

P「実際幸せだからな」

未央「こんな美少女たちと一緒にお鍋を囲めて?」

P「幸せだ。今世界で一番幸せなのは俺だな」

未央「えへへっ……素直なプロデューサーは好きだよ♪」

藍子「ふふっ……世界で一番、は言い過ぎかもしれませんけどね。私も、今、幸せですから」

茜「じゃあ、私たちは世界で一番幸せですね!」

P「かもな。……なんか恥ずかしくなってきた。ちょっと黙って食べるぞ」


――

P「……よし、そろそろいいか」

未央「お、するの?」

藍子「するんですか?」

茜「雑炊、ですか!?」

P「ああ。そのつもりだ……ってことで、まずはごはんやら卵やらを持って来て、っと」

未央「手伝うことは?」

P「べつにないな。……ありがとうな」

未央「えっ……うん。えへへ」

P「3人の家のやり方と違ったらごめんな?」

茜「大丈夫です!」

藍子「はい。大丈夫ですっ」

未央「問題ナッシングだよ!」

P「ん……じゃあ、まずはこの鍋の汁を沸騰させて、それから白ご飯を入れて混ぜて、また沸騰させる。それから溶き卵を入れて、すぐに蓋をする。で、ちょっと待って……蓋を開けて刻んだ青ネギを入れて火を止めて、混ぜる。で、もみのりを適当に散らして、完成だ」

未央「……やっぱりプロデューサーってなんか手際良いよね」

P「割りと作ってるもんは、な……あと、これは本当に簡単だからそこまで驚くようなことじゃないだろ?」

未央「そうかもしれないけどさあ……」

P「とりあえず、よそうぞ」

茜「はい! お願いします!」

藍子「お願いします」

未央「お願い、ね」

P「……よし、食べるか」

未央「じゃあいただきまーす……ん! おいしい!」

茜「やっぱりおいしいですね! 雑炊は雑炊でおいしいです!」

藍子「お鍋の味がしっかりと付いていて……たまに、お鍋の底に残っていたりした具材が混ざっていたりして。それがまた良いですね……」

P「やっぱり雑炊はうまいよなぁ……一つ難点を挙げるとすれば、かなり腹が膨れることだが」

未央「それは確かに……でも、おいしいよ。一口入れてすぐに『おいしい!』ってわかるくらいにしっかりした味なんだけれど、濃いわけじゃなくて、でも薄いわけじゃなくて……あっさりとしながらもしっかり? とかそんな感じ?」

P「……なんか食レポっぽいがめちゃくちゃ適当だな」

未央「文句言われた!?」

藍子「でも、『おいしい』ってことはわかりますよね。……飾った言葉じゃないからかな。本当にそう思っている感じで、とっても良いって思います」

未央「あーちゃん……うわーん! あーちゃーん! プロデューサーがいじめるよー!」

藍子「Pさん? 未央ちゃんをいじめちゃダメですよ?」

P「今の流れぜんぶ把握していてそれを言うか……藍子、お前もずいぶん染まってきたな……」

藍子「ふふっ……ごめんなさい」

P「かわいいから許す」

藍子「ありがとうございます♪」

茜「プロデューサー! おかわり、お願いしていいですか!?」

P「早いな!」

茜「おいしかったので!」

P「そうか! 茜! お前はやっぱり愛おしいな! もっと食え!」

茜「いとっ……あ、ありがとうございます! 食べます!」

P「ああ! でも、そこそこにな!」

茜「はい!」

未央「……そう言えば、割りと餃子の味は感じないね」

藍子「そう言えば……確かに、そうかもしれません」

P「それに関しては俺も毎回不思議でな……なんでだろうな」

未央「まあ、おいしいからいいんだけどね!」

P「確かにな! よし、まだまだ……はないが、割りとあるぞ! 腹いっぱい食べろ!」

未央「はーい」

茜「はい!」

藍子「……は、はいっ」


――

藍子「……お腹、いっぱいです」

未央「……私も」

P「……俺も割りといっぱいだな」

茜「大丈夫ですか!? 三人とも!」

P「茜は優しいな……俺は大丈夫だ。二人は結構キツそうだが」

未央「私もまあ大丈夫だよー……あーちゃんは……うん……」

藍子「少し……食べ過ぎました……」

P「無理して食べることなかったんだぞ?」

藍子「おいしかったので……」

P「……気持ちがわかるからそこまで強く言えないが、本当に、無理はするなよ?」

未央(私も気持ちがわかる……というかつい最近そうなったばかりだからあんまり言えない)

P「うーん……三人とも、送ろうか? ちょっと時間はかかるかもしれないが……」

未央「あ、それは大丈夫。私たち、今日は三人でお泊り会なので」

P「……初耳だが」

未央「言ってないからねー……プロデューサーも来る?」

P「冗談はやめろ。……でも、そこまでは送っていくよ」

未央「……優しいね、プロデューサー」

P「プロデューサーだからな、当然だ。……じゃあ、片付けたら行くから、準備しとけよ」

未央「はーい」

藍子「はい……」

茜「あ、プロデューサー! 後片付けなら私も手伝います!」

P「……ああ、ありがとう。じゃあ、さっさと片付けて、帰るか」

茜「はい!」


未央「……ねぇ、あーちゃん」

藍子「なんですか?」

未央「本当にプロデューサーも一緒にお泊り会してもいいんじゃない?」

藍子「うーん……いいかもしれませんが、Pさんは言っても来てくれないと思いますよ?

未央「それは未央ちゃんにも策がありまして……」コソコソ

藍子「……それなら、来てくれるかもしれませんね。いいと思います」

未央「よし! それじゃあ、『プロデューサーお泊り会お誘い作戦』……略して『POOO』、始動!」

藍子「おー♪」



>>439
むしろこちらが参考させてもらったかもしれません……

これにて今回は終了です。
思った以上に遅くなりました。すみません。
鍋は家によって作り方が違うと思いますが、割りとどんな作り方でもおいしくなると思うのでやっぱり鍋料理は偉大ですね。
今回は今までとは大きく違った作りになったように思います。思った以上に鍋は難しかったですね……楽しかったですが。

茜ちゃんのパッションでありながらもかわいいところや藍子ちゃんのかわいいながらもパッションなところを書けたどうか心配です。そもそも未央の魅力すらという話は置いて下さい。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

乙でした
おらポジパとお泊まりからの朝食編まで早く書くんだよ

あとSSとは関係……あるようなないような話ですが来週くらいに東京に行く予定があるのでちょっとおいしい店とかあったら教えてほしいなー、なんて……一人で調べて適当に、というのも良いんですがオススメがあれば教えてもらえれば幸いです。

あとメイド卯月かわいすぎますし月末爆死しましたし未だにデレステでSSR未央を引くこともできてきません。でもデレステ面白い……すき……音ゲーは苦手なのですが上達できればなあ、と思います。アニメは未央に演技の仕事を持って来てくれて本当にありがとうって感じです。

改めてありがとうございました。

おい、お泊まり会見せろよ(迫真)

乙乙。POOO…語呂悪!ww

こっちも有名だけど、蒲田の丸一っていうとんかつ屋も美味しいよ
ザクっとあらく揚げた衣に分厚く柔らかいお肉がとってもジューシー
あと蒲田は餃子でも有名です。香楽園の餃子は安くてビールのお供に最適なのでオススメ

乙。ポジパと鍋してえなあ…
市ヶ谷のハンバーグ屋、らいむらいとを勧める
ここはハンバーグというよりも、それに絡めるガーリックバターソースが最高に美味い
お箸で食べる白ご飯がマジで進む。機会があったら是非に

ssr未央のスキルは長押しノーツに対応してないのだろうか

ムーチョってメキシコ料理屋。一人じゃ入りにくいけどワカモレとかトルティーヤとかうまいですぞ

ネタ枠として東陽町のビリーを推す
ナンジョルノ大喜び

友達らとワイワイ食べるなら、バルバッコアはどうでしょうか
シュラスコという、肉の塊を串に刺して丸ごと焼き上げる豪快な肉料理で有名です
店員さんが目の前で分厚い肉をゴリゴリに削いで提供してくれる様は圧巻です。盛り上がります

遅ればせながら乙!
鍋に餃子美味しいよね・・・大好物ですわ

東京の美味しい店とか随分広い指定だな!
一人飯が多い自分としては神田らーめんわいず(家系ラーメン)とか二代目つじ田(魚介系つけ麺)とか神田まつや(蕎麦)とかの
ひとりかふたりで食べる麺系の店くらいしか挙げられない・・・

ちゃんみおとかつやに行きたい

未央がおいしそうに飯頬張ってる所眺めてそんなに見ないでよぉって言われたい人生だった

一ヶ月以上経ってしまいました! すみません! お久しぶりです! 書きます!


――撮影所

未央「ねぇねぇプロデューサー、今日の撮影、どうだった?」

P「ん? 良かったよ」

未央「む……なんか適当じゃない?」

P「適当じゃない」

未央「それならもっとこう……具体的にどこが良かったとか、ないの?」

P「聞きたいのか?」

未央「聞きたい!」

P「今回は秋服の撮影だったが、いつもとは違う感じで良かったよ。未央は明るさだけじゃないってことがアピールできた。これは大きいが……誰かに教えてもらったのか? 美嘉……いや、違うな。美嘉もできるだろうが、教えるとなったら……楓さんか泰葉あたりか? どう教えてもらったのかは知らないが、確実に被写体としての意識が変わっていたな。専門外の俺が口出しすることはもうほとんどなくなったってくらい良かったよ。いつもの明るい笑顔もかわいいが、今回見せてくれた控えめな感じの微笑みには惚れそうになった。確実にファンが増える出来だし、仕事も増える出来だろう。……これくらいでいいか?」

未央「……思った以上にベタ褒めだね」

P「それくらい良かったからな。文句あるか?」

未央「いや、ちょっと恥ずかしくて……。それでも、嬉しいの方が上なんだけどね。えへへ」

P「……その笑顔も良いな。女の子が恥じらっている姿っていうのはやっぱり良い」

未央「……これも撮影で見せた方が良かった?」

P「場合によっては、な」

未央「他の人に見せたくない?」

P「……ノーコメント」

未央「プロデューサーくん、素直じゃないのは感心しませんよ? えへへ☆」

P「……あー、そうだな、未央、何か食べたくないか?」

未央「ちょっと話の変え方強引じゃない? でも、何か食べたいっていうのは確かにあるかも。割りと疲れましたし?」

P「で、何が食べたい?」

未央「いつも通りプロデューサーに任せるよっ」

P「んー……あ、そうだ、ラーメンはどうだ?」

未央「おいしいところ?」

P「たぶん」

未央「たぶんなの?」

P「実は俺も行ったことがないんだが……前に教えてもらったんだよ。『おいしい』って」

未央「へぇー……誰に教えてもらったの?」

P「別のプロダクションのプロデューサー、だな」

未央「そうなんだ。信頼できる?」

P「ああ。未央が好きな人間に悪い奴は居ないからな」

未央「そういう繋がりなんだ……」

P「で、行くか?」

未央「うん。プロデューサーも初めての店、っていうのは初めてだしね」

P「よし。それじゃあ、行くか」


――電車

未央「プロデューサーって、ひとりだと色んなお店に行ったりするの? えっと、初めての店。行ったことのない店に」

P「んー……最近はそこまででもないが、ある程度はな。行ったことのない店にふらっと行く、みたいなことにハマっていた時期もあった。ある漫画の影響が大きいと思うが……今はドラマの方が有名かもしれないな」

未央「漫画の影響なんだ……プロデューサーって割りと漫画とか好きだよね」

P「未央も読んでるだろ?」

未央「プロデューサーの影響もあるかもだけどねー……まさかアイドルになって兄弟よりも少年漫画に詳しくなるとは思わなかったよ」

P「置いている漫画の数だけならそんじょそこらのプロダクションには負けない自信がある」

未央「自慢できるかどうかは別だけどねー」

P「まあな」

未央「そう言えば、電車に乗ったけど……今から行く店って、どこにあるの?」

P「確か新宿だな」

未央「新宿……夜の街だね」

P「一人ではあんまり行くなよ? いや、夜ならどこにも一人ではできるだけ行ってほしくないんだが……」

未央「わかってるよ。行かないって」

P「本当に行くなよ?」

未央「行かないって。未央ちゃんを信頼できないのかなー?」

P「……そうだな。悪かった。担当アイドルを信頼できないプロデューサーなんて……な」

未央「あっ……ううん、私こそ、ごめんね。今のは卑怯だった。プロデューサーは、私を心配してくれただけなんだよね。……ありがとね、プロデューサー」

P「いや、未央が謝ることじゃ……なあ、未央」

未央「なに?」

P「ラーメンを食いに行くだけなのに俺たちはどうしてこんな良い雰囲気になってるんだ?」

未央「……それ、今言う? せっかく良い雰囲気だったのにー」

P「いや、冷静に考えるとおかしくなってな……未央も思わないか? 俺たち、ラーメンを食いに行こうとしてるだけなんだぞ?」

未央「……確かに、私たち、これからラーメン食べるんだよね。むしろ良い雰囲気のままだったら変な感じだったかもしれない……?」

P「別れ際とかならまだしも、ラーメンを食いに行くわけだからな。良い雰囲気って言ったら聞こえはいいが、バカ話なんかは絶対できない雰囲気っていうのは確かだろ? それはちょっと、な」

未央「そうだね。うん、それを考えるといい雰囲気になっちゃダメだね。プロデューサー、何いい雰囲気にしてるのさー」

P「俺か? ……いや、確かに俺かもな。でも未央にも原因があるだろ?」

未央「えー? 私は――あー、もうちょっとぐだぐだ続けたかったけど、そろそろ新宿だね」

P「ん……そうだな。じゃ、この話はいったん切り上げるか」

未央「そうしよそうしよー」


――駅

未央「道はわかってるの?」

P「ん、一応……えーと、この出口から出てすぐ……らしい」

未央「らしい、って……もっと詳しくわからないの?」

P「いや、このサイトには『出てすぐ』としか書いてなくてな……」

未央「……下調べは大事だよ? プロデューサー」

P「うっ……ごめんなさい」

未央「うんうん、素直に謝る子は未央ちゃん好きですよ? じゃあ、適当に探そっか」

P「適当に?」

未央「すぐそこにあるんでしょ? どこにあるかはわからなくても、適当に探しておけばいつか見付かるって。時間もないわけじゃないんだし」

P「未央、お前……いや、そうかもな。じゃ、ちょっと歩くか」

未央「うん。……ねぇ、プロデューサー」

P「ん?」

未央「夜道をこうして歩いていると、私たち、どう見えるかな?」

P「兄妹じゃないか?」

未央「恋人? もう、そんなことをアイドルに言っちゃダメだぞ、プロデューサーくん?」

P「言ってないぞ」

未央「もー、ノリが悪いなぁ、プロデューサー。せっかくこんな美少女と夜の街を二人で歩けるんだから、もっと嬉しそうにしてもいいじゃん」

P「嬉しい嬉しい」

未央「うわ、すっごく適当だ。そんなに適当に扱われると、未央ちゃん、拗ねちゃいますよ?」

P「じゃあどうしろって言うんだよ……」

未央「え? ……えー、と」

P「考えてなかったのかよ……」

未央「……あ! そうだ。手。手、繋ご?」

P「何がどうなってその発想になったんだよ」

未央「手を繋ぐのって適当な扱いじゃないでしょ? それに、手を繋いでくれないと、私、どこかに行っちゃうかもよ?」

P「……それは困るな。かなり困る」

未央「でしょ? だから、さ」

P「ああ。つな――あ」

未央「? どうかした? プロデューサー」

P「いや、見付けた」

未央「……え」

P「……あー、手、繋ぐか?」

未央「……もういいや」


――店の前

未央「でも、本当に近いね。『すぐ』って言っても、ここまで近いとは思わなかったよ」

P「まあ、『すぐ』って言ったら本当にすぐってことも多いからな……『すぐ』って書いてあるくせに結構歩かされるようなところもあるが」

未央「あはは、確かに。で、この店は……あら炊きらーめん? の、店、なの? ……あら炊きらーめんって、何?」

P「その名前の通り『あら』で炊いてるんじゃないのか? いや、そういうことを聞きたいか。要するに塩ラーメンだな」

未央「塩ラーメンなんだ」

P「ああ。……ま、とりあえず中に入ってみよう」

未央「ん、そだね。えっと、この階段の上、かな?」

P「だろうな。じゃ、上がるか」

未央「うん」


――

未央「ちょっと並んでるね」

P「むしろ『ちょっと』で幸運だったかもしれないがな」

未央「確かにね。正直、めちゃくちゃ並んでたら他の店に行ってたかもしれないもんね」

P「未央は店に並ぶのとかは苦痛なタイプか?」

未央「んー……友達とかが居たらそこまで苦痛じゃないかな。ただ、今日は疲れてるからさー」

P「確かに疲れている時に行列に並びたくはないな……ん、割りと出て行くっぽいぞ」

未央「ということは、そろそろ順番?」

P「たぶんな」

未央「……どういう店なんだろ」

P「……俺もわからん」


――店内

未央「……割りと小さい?」

P「外観からしてこれくらいだとは思っていたけどな」

未央「ん、まあそうだよね。で、何を頼む?」

P「この『あら炊き塩ラーメン』でいいんじゃないか?」

未央「この『へしこ焼きおにぎり』っていうのは?」

P「もちろん付ける」

未央「じゃ、私もそれで」

P「じゃあ……ん、大盛り無料って書いてあるが、どうする?」

未央「大盛り……んー……ん。する!」

P「大丈夫か?」

未央「……たぶん」

P「……まあ、もし無理だったら俺が食うから問題ないか。じゃ、注文するぞ」

未央「うん」

P「よし……すみませーん」


――

P「……本日のアラ、真鯛・鮭・平政・鰈・間八、か」

未央「わかるの?」

P「たぶんわからん」

未央「わからないんだ……」

P「未央もわからないだろ?」

未央「わからないけどさー」

P「本来は繊細な味の違いがわかるような人が来るべき店なのかもな……でもなー、繊細な味の違いがわかりすぎると今のように何でもおいしいって楽しめなくなるような気もするんだよなー」

未央「あ、わかるかも。繊細な味の違いがわかるようになったらその分おいしいものを食べる時は楽しめそうだけれど、おいしいと感じていたものも変なところが気になっておいしく感じないようになるかもしれないのがこわいんだよね」

P「まあ、今のところは今の舌で満足してるからそれでいい、か」

未央「結局はそういうことかもねー」


――

P「ん、来たな」

未央「ほうほう……スープが綺麗な色ですなぁ。具材は……えっと、つみれとつくね、あと、薬味が白髪ねぎとみょうが、針しょうが、大葉、糸唐辛子……」

P「よくわかったな。俺は全然わからなかったぞ」

未央「いや、ここに書いてるからさー。あと、正直どれがどれかってわかってなかったり」

P「わかってないのかよ……あー、何が入ってるのかわかればまあどれがどれなのかは説明できるぞ。ねぎはわかるだろうし、まあ糸唐辛子と大葉もわかるだろ。で、こっちがみょうがでこっちが針しょうが……って、名前さえわかればわからないか?」

未央「……わかったね!」

P「わかったのかよ……」

未央「ま、まあ、早く食べないと麺が伸びちゃうし、早く食べようよ、ねっ」

P「……まあ、そうだな」

未央「うんうん素直な人は未央ちゃん好きですよ? じゃあ、いただきまーす」


未央(ふむふむ……改めて見たらなんかすっごくおいしそうなんだよねー)

未央(細めの麺に黄金のスープ。上に乗っている薬味とつみれとつくね。それにへしこ焼きおにぎり? っていうものが別のお皿に付いている)

未央(おにぎりの方は最後に入れるっぽいけど……うーん、なんだか今から楽しみかも)

未央(まあ、とりあえず、スープから……)ズズ……

未央「熱っ……んん!?」

未央(え? 何、これ……すっごいおいしい! いや、本当に……なんか、『おいしい』って言葉を気軽に使えないくらいおいしい)

未央(塩ラーメンを食べたことはそこそこにあるけど……少なくとも、今までに食べた塩ラーメンのスープとは全然違う)

未央(何と言うか、めちゃくちゃ上品というか……でも、だからと言って物足りないわけじゃなくて、あっさりとはしているんだけれど、ちゃんと旨味はあるっていうか? ちょっと塩辛い感じなんだけど、口に入れただけでじわーって魚の旨味とかそういうのが広がっていくというか……うん、説明しにくいけど、そんな感じ)

未央(というか、旨味がすごい……この味のどれがどの魚の味か、なんてことはわからないし、そもそも『どの味』なんて味を分けて考えることもできないけど、ただ『おいしい』ってことだけがわかる。魚だと生臭さみたいなものが出てもおかしくないような気がするけど、少なくとも私の舌だとそういうのはまったく感じない。本当に上品な、でもしっかりと味がある、そんなスープ)

未央(……改めて見ると、本当に綺麗なスープだ。透き通っていて、澄んでいる。私は食べたことないけど、日本料理のお高いお店はこんな感じのものを……まあ、ラーメンではないだろうけど、こういう味のものが出されるんじゃないかなーって感じ?)

未央(この時点でもうおいしいことはわかっているけど、次は麺……っと)ズルル……

未央「うん……うん!」

未央(やっぱりおいしい! わかってたけど、やっぱりスープと麺があってこそのラーメンだよね! ちょっとお行儀は悪いかもしれないけど、ズルズルと音を立てて麺を啜る。これはとっても気持ち良い。この麺は……単純な『味』というよりは、喉越し? いや、それもちょっと違うかもしれないけど……とにかく! 麺を啜ると気持ち良いしめちゃくちゃおいしい!)

未央(スープも麺もおいしいっていうのは最高だよねー……っと。シコシコした麺は喉越しだけじゃなくて食感も良い……はっきり言って、麺自体がすごい特徴的ってわけじゃないんだけど、スープにすごく合ってるっていうか? いやでも、少なくとも私が今までに食べてきた麺の中ではめちゃくちゃおいしくはあるんだよね……)

未央(そう言えば、プロデューサーは、っと)チラッ

P「……」ズルルルル

未央(……いつもなら話しかけられたり、話しかけたりするところだけれど、今日はプロデューサーも初めてのお店だからか、一心不乱って感じ?)

未央(まあ、おいしいもんね……プロデューサーに感想を聞きたいところではあるけど、それよりも先にまず食べたいっていうのも確かにあるし。よし、食べよう)

未央(この薬味も一緒に食べたらたぶんおいしいんだろうなぁ……ってことで、ちょっと一緒に食べてみる)ズルズル

未央「……ほほーう!」

未央(こうきましたかー! うん! いいアクセント! 食感のアクセントでもあるし、味のアクセントでもある! うん? なんか『アクセント』しか言ってないような気がするけど、いい仕事してる!)

未央(飽きがこないというか……ちょっと舌がリセットされるというか? うん、大好き!)

未央(……さて、そろそろこのつみれさんとつくねさんに手を付けるとしましょうか)

未央(なになに……『鱈のすり身に海老を練り込んだつみれ』。それと『細かく叩いた軟骨を散りばめた鶏つくね』……と。ふむふむ、この時点でおいしそうじゃないですかー。もー)

未央(というか、チャーシューじゃないのって最初は意外だったけど、改めて考えると、チャーシューよりもこっちの方が合ってるような気がする)

未央(この魚の感じにチャーシューっていうよりはこっちの方が良さそう……って、まだ食べてないんですけどねー)

未央(よし、とりあえず……えっと、ピンクっぽいからこっちが海老の方かな。よし、じゃあこっちから……)パクッ

未央「……んぅ!?」

未央(えっちょっなにこれ『ぶわっ』って『ぶわっ』って……! 一気に旨味というか香りというか、一気においしさが広がったというか。一口かじっただけでここまで……って、えぇー……)

未央(いや……あの……正直、信じられないくらいおいしいんだけど……もう、何て言ったらいいかわかんない。食べなくても味は想像できるし、実際、想像していたのからそこまで離れた味じゃなかった。ただ、そのレベルが本当に異次元レベルというか)

未央(ここまでおいしいってちょっと信じられないというか……『絶品』っていう言葉はこういう料理のためにあるんだと思う)

未央(高級な日本料理で出そうな味……めちゃくちゃ高そうな味なんだけど、実際はこの値段なんだよね……)

未央(……すっごく上品な味で、すっごく旨味があって、風味とかそういうのが一口かじっただけでぶわっと広がるというか……本当に、『絶品』)

未央(……ヤバい、これ……この値段でこんなにおいしいものが食べられるなら、一人でも来れる時に来ちゃうかも)


――

未央「……ふぅ」

未央(おいしかった……でも、ちょっとお腹いっぱいかも? まあ、そんなの気にならないくらいおいしいんだけど)

P「お、一段落したか?」

未央「プロデューサー……うん。あとはこの、へしこ焼きおにぎり? だけだねー。というか、プロデューサーはもう食べ終わったんだね」

P「まあな。……そこまで急いで食べなくてもいいが、冷める前に食べといた方がいいぞ」

未央「うん。わかってるよ。ありがと、プロデューサー……で、これってこのまま入れちゃったらいいのかな?」

P「ああ。というか、それ以外にどうするんだ?」

未央「まあ、そうだよねー。……じゃあ、っと」ドボッ

未央(んー……『へしこ』っていうのが何なのかはわからないけど、こんなスープにごはんを入れたらおいしいって決まってるんだよねー)

未央(さて……えっと、とりあえずほぐして、崩しちゃって……いただきます)パクッ

未央「……うん!」

未央(知ってた! おいしい! うーん、最高! これは『へしこ』ってやつの味なのかな。というか、香ばしさ? 何と言うか、ちょっと癖のある味かも。ほぐしたその時点でスープの色がちょっと変わったけど……ほうほう、これはガラッと味が変わった、ってほどじゃないけど、やっぱりおいしいなー)

未央(ふんふむ……お焦げっぽいところの食感もあっておいしい……うーん、満足!)


――店の外

未央「はー、お腹いっぱい! おいしかったね、プロデューサー!」

P「ああ! ずっとずっと話したかったんだがもうこの店最高じゃないか? 正直今まで知らなかったことが恥ずかしいレベルだ。スープはあっさり系ではあるんだがそれでもしっかりと味が付いていたよな。塩味がちょっと強めだったが、啜るごとに塩辛さなんてものは感じなくなっていった。というかそもそも魚の旨味が尋常じゃない。あと、雑味がまったくと言ってなかったんだがあれはどういうことなんだろうな。魚介系のスープだとほとんどが雑味や生臭さみたいなものが含まれるはずなんだが、俺の舌では感じ取れないくらいにはなかった。麺も良かった。このラーメンに絶妙に合ってるって感じだ。もしかしたら時間をかければ麺が伸びるかもしれないが、伸びてなければ最高だ。コシがあって、喉越しが良い。薬味も良い仕事してたよな~! あれで味の変化を楽しめるってのはやっぱり良い。あと、あのつみれとつくね。あれはまさしく『絶品』だな。そもそもからしてこのラーメンの味自体が仕事で連れて行ってもらった料亭とかで食べた味に近いんだが、このつみれとつくねに関しては特別そう思ったな。つくねのあの軟骨の食感もまた言い様がないほどで……つみれのあの海老と鱈の、口を入れた瞬間にぶわっと広がる風味! あれは最高だった……! 最後のへしこ焼きおにぎりってのもうまかったよな。へしこって言うのが何なのかはよくわかってないんだが、あの独特の風味、良いよなー。飲んだ後に食べたら最高な気がする……とにかく! この値段でこんな味が食べられるとは信じられないくらいのところだったな! 未央!」

未央「……あ、うん。そうだね」

P「なっ……!? どうした、未央! うまかっただろ!?」

未央「いや、めちゃくちゃおいしかったんだけどね……プロデューサー、熱すぎだよ……」

P「いや、だって……おいしかったし……」

未央「正直それくらい興奮してもおかしくないくらいおいしかったのは確かだけどさー」

P「だろ!?」

未央「でもちょっとうざい」

P「……ごめん」

未央「いや、そこまで落ち込まなくてもいいんですけどね? ……ただ、未央ちゃんとしては、もっと一緒に、一つずつ、ゆっくり話したいかなーって」

P「……そうだな。すまん。熱くなりすぎた。ゆっくり、話そうか」

未央「うん。まあ、プロデューサーにぜんぶ言われちゃった感じはあるけどねー」

P「……すまん」

未央「いや、そういう意味じゃなくてね? ……プロデューサー、やっぱり食に関しては熱くなりやすいし、落ち込みやすいよねー」

P「食にだけじゃないが」

未央「私たちのことでも、かな?」

P「……そうだが、先に言われると複雑だな」

未央「えへへー。まあ、結構こういうパターンがありましたからねー。未央ちゃんも学ぶのです」

P「……じゃあ、未央のことに関しては、食よりも、特に、って言ったら?」

未央「えっ……そ、それは、ちょっとずるくない?」

P「……そうだな。うん、すまん、卑怯だった」

未央「そうだよー……嬉しいけど、ね」

P「そうか」

未央「うん」

P「……」

未央「……」

P「……そういや、『へしこ』ってなんなんだろうな!」

未央「なんなんだろうね! うん! 気になるかも!」

P「よし、じゃあ調べよう! 今の時代、検索すればすぐにわかるはず……!」

未央「よし! じゃあ、未央ちゃんも調べちゃうぞー!」

P「そうか! どっちが先に検索できるか勝負だ!」

未央「ふっふっふ……現役女子高生の速度を舐めてもらっちゃ困るよ!」

P「くっ……俺だって、仕事でどんだけ使ってると思ってるんだ!」

未央「よし、わかった!」

未央・P「「鯖に塩を振って塩漬けにし、さらに糠漬けにした郷土料理!」」

未央「なっ……!?」

P「ふぅ……どうやら、互角だったようだな」

未央「引き分け……だと……? ま、まさか未央ちゃんが引き分けになるとは……しかし、私はニュージェネの中でも最強! しぶりんやしまむーがプロデューサーにけちょんけちょんにされることだろう……!」

P「実際、凛と卯月はそこまで早くなさそうだよな……卯月はすぐに電話しそうだし、凛は未央ほどは携帯を触ってないような気がする」

未央「まあ、実はめちゃくちゃ早かったりするかもしれないけどねー。……でも、引き分けかー。どうしよ? 罰ゲーム」

P「罰ゲームなんてするつもりだったのかよ……」

未央「うん。絶対私が勝つつもりだったから、何でも一つ命令できる権みたいなのを強引に使おうと思ってた」

P「強引にかよ……」

未央「うーん、引き分けになっちゃったし……もういっか。普通にさっきのお店の話をしよー」

P「……まあ、そうだな。ラーメンに関しては俺が話しまくったから……あ、思ったんだが、そもそも、あの味ならあれだけしか並んでなかったってのも変な感じだよな」

未央「あ、確かに! それ思ったかも。あの値段であの味で、あれだけしか並んでなかったっていうのは意外だよねー」

P「まあ、たまたまこの時間は、ってだけだったような気もするが……それとも、新宿ってところはこういう店がゴロゴロしてたりするのか……?」

未央「もしそうだったら新宿すごすぎない……?」

P「うーむ……これはまた、開拓していかなくちゃいけないかもな」

未央「それなら、私も付いて行きたいなー」

P「……そうだな。うん。初めての店は一人よりも何人かで行った方が色々と頼めるしな。また行く時は言うよ」

未央「約束だよ?」

P「ああ」

未央「えへへ……あ、また店の話に戻るんだけどね――」



これにて今回は終了です。
……まさかここまで遅くなるとは思いませんでした。遅くなっても9月中だと思ってたんですがなぜか……。

今回は前回教えてもらった店ですね。おいしかったです。いや、あの値段であの味は衝撃的でしたね……東京に住んでたらあんなものをすぐに食べられるなんて羨ましい限りですね。

デレアニが終わってしまったり孤独のグルメが始まったり孤独のグルメの2巻が出たりと色々とありましたね……いや、本当に色々あり過ぎましたね。とりあえず最終回の未央もめちゃくちゃかわいかったです。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係ないと思いますがG4Uの5巻最高でしたね!!!!!!!
未央の情報もたっぷり! 最高! かわいい! というか未央お前やっぱりパーフェクトスターだな!
未央が料理そこそこできるってわかってしまったせいでちょっとこのSSの設定と齟齬が発生したような気もしますが得意料理とか言われちゃったら作って欲しくなっちゃいますね! まあ次回はそれじゃないと思いますがいつか書きたいです! カレー何回書くんだよ! ラーメンも何回書いてるんだよ!

改めてありがとうございました。

未央がPにチキンカレー作ってあげる話が読みたいです!!

今回はデレパ編です。

あ、付けるの忘れてました。

――スタジオ

未央「――でさ、さっき話してたことだけどね。実は後日談がありまして……」

李衣菜「後日談? そんなのあったんだ……それじゃあ、どうしておまけ放送でも話さなかったの?」

未央「いやー、これ話したのバレたら絶対しぶりんに怒られるからさー……」

李衣菜「割りといつものことじゃない?」

未央「まあ、そうなんですけどね――って、プロデューサー?」

李衣菜「え? あっ、ホントだ。Pさーん」

P「未央、李衣菜。お疲れ様」

李衣菜「ありがとうございます! Pさん」

未央「ありがと、プロデューサー♪ でも、珍しいね。デレパを収録する時って、最近は私たち二人に任せてたような気がするけど……どうしたの?」

P「前に……って言ってもかなり前だが、未央、お前、『デレラジ組だけごはんに連れて行ってもらってずるい』みたいなこと言ってただろ? デレパも一周年を迎えたわけだし、ちょっと遅いが、そのお祝い、ってことでな」

李衣菜「え? なんですか、その話……私、初耳なんですけど」

P「まあ、言ってなかったからな」

未央「言ってなかったしね」

李衣菜「えぇー……なんか、私だけ仲間外れみたいなんですけどー」

P「たまたまその話をしている時にお前が居なかっただけだ。で、お前ら、どうだ? この後、暇か?」

未央「私は暇だよー。お腹もぺこぺこ」

李衣菜「私も大丈夫です。お腹も空いてますし……今日の収録はちょっと遅めでしたしね」

P「それも俺が来た理由の一つだしな……って言っても、まだ空が暗くなり始めたくらいだが」

未央「Twilight Sky?」

P「って言うには暗いがな……ん? どうした、李衣菜」

李衣菜「……私が言おうと思ったことを未央ちゃんに言われたので」

P「マジかよ……お前、あんなつまらないこと言おうとしてたのかよ」

未央「んん!? ちょっと聞き捨てならない言葉が聞こえたんですけど!?」

李衣菜「でも、『Twilight Sky』は私の曲ですし……未央ちゃんが言うよりは面白くなったと思うんです」

未央「りーなまで!?」

P「んー……いや、面白くないと思うぞ、李衣菜。デレパの影響か……未央に毒されてるんじゃないか?」

李衣菜「そうなんですかね……」

未央「二人ともひどくない? 未央ちゃん、泣いちゃいますよ? というか、無視しないでよー」

P「悪い悪い。許してくれ」

李衣菜「ごめんね、未央ちゃん。許して?」

未央「仕方ないなあ。優しい優しい未央ちゃんに感謝してよね」

P「ああ、ありがとう、未央」

李衣菜「ありがと、未央ちゃん」

未央「どういたしまして……っと、こんなことはこれくらいにして、そろそろ行かない? さっきも言ったけど、私、お腹空いちゃって……」

李衣菜「私もですね……そろそろ行きましょう」

P「そうだな。じゃあ、行くか」


――電車

未央「今日はどういうところなの?」

P「ん? そうだな……李衣菜が好きそうなところだな」

李衣菜「私ですか? 私が好きそうなところ……つまり、ロックなところですか?」

P「そうだな」

李衣菜「えっ……ほ、本当ですか!?」

未央「……なんでりーなが驚いてるの? 自分で言ったんじゃん」

李衣菜「い、いや、冗談のつもりだったから……まさか本当にロックなところだとは思わなくて……」

未央「まあ、食べるところの話だもんねー。それでロックなところって……確かにどういうところかわからないかも。どういうところなの? プロデューサー」

P「見れば確実にわかる」

未央「見てわかるロック……?」

李衣菜「うーん……あ、わかりました! 店の前にギターが置いてるんですね!」

P「近いな」

未央「近いの!?」

李衣菜「近いんですか!?」

P「いや、これくらいで驚くなよ……店の前にギターを置いてるところなんていくらでもあるだろ。今から行くところはそういうわけじゃないが……いや、ある意味そうとも言えるか」

未央「どういうこと……?」

李衣菜「私、Pさんが言ってることがよくわからないんですけど……」

P「んー……まあ、行ったらわかる。たぶん、すぐにな」


――店の前

李衣菜「……」

未央「……」

P「な? わかっただろ? 明らかに『ロック』だ」

未央「確かにね!? というか、さすがにこれは予想してなかったんだけど! ギター……確かにギターだけど! めちゃくちゃ大きいギターなんだけど!」

P「やっぱりこのド派手なギターネオンが良いよなぁ……あれを見ると『ここ』って感じがする。わかりやすい」

未央「確かにわかりやすい……というか、わかりやすすぎるけどね? ……りーなは、どう思――」

李衣菜「うわぁ……すごいですね! Pさん! ギター! ギターです! 何と言うか……『ロック』です!」

P「だろ? うん、絶対李衣菜ならここを気に入ると思ったんだよ……先に夏樹に連れて来られたりしてないかちょっと気になってたが、そんなことはなかったみたいだな」

李衣菜「はい! 私、知りませんでした……こんな店があるんですね!」

P「ああ。……思った以上に気に入ってくれたみたいで嬉しいよ、李衣菜」

李衣菜「はい! 私、もう見ただけでこのお店のことが好きになりました!」

P「あ、一人では来るなよ? 夏樹と、ってのも心配だな……来る時は誰か大人と、だ」

李衣菜「はい! わかりました! ……Pさんは、来てくれますか?」

P「都合が合えば、な……色々な都合が、だが」

李衣菜「……ありがとうございます、Pさん!」

未央「……興奮しているところに口を挟むのは悪いんだけどさ、お二人さん? まだ入ってないんだよ? 外から見ただけだよ? それなのに、どうしてそこまで興奮してるの……?」

P・李衣菜「「ロックだから!」」

未央「うわ、ハモった……いや、うん。興奮してるのはいいけどさ。そろそろ入らない? なんか嫌な予感するけど……」

P「嫌な予感って……未央は気に入らないのか?」

李衣菜「未央ちゃんは感じないの? この、外から見てるだけでもガンガン響いてくる、ロックなビートをさ……」

未央「いや、気に入らないわけじゃないし、ロックなビート的なものを感じるから言ってるんだけど……もう、とにかく入ろうよ」

P「……まあ、そうだな。入るか」

李衣菜「はい! ……楽しみだなぁ」

未央(心配だなぁ……)


――店内

李衣菜「Pさん! すごい! すごいですね! ロックです!」

P「だよなぁ……展示されているあのギターとか、色々あるだろ? あれも結構有名な人たちのもんだったりするんだよ。興奮するよな……」

李衣菜「はい! 私はあんまり知りませんが……それでも、興奮しますね!」

P「俺だってこの飾ってあるのが誰のか、ってまではわからないからなぁ……それでも、感じるものがある。見てるだけで血が滾る。良いよなぁ」

未央(やっぱりこうなった……)

李衣菜「このかかってる音楽もいいですね! ロックです!」

P「実際ロックがかかってるからなぁ……うるさいって思えるくらいなんだけど、それもまたここらしいって感じがするよ」

李衣菜「はぁ……本当、ここ、いい店ですね。なつきちも好きそうだなぁ……」

P「夏樹は来たことが……いや、どうかわからんが、まあ、また聞いてみるか。知ってはいると思うがな」

未央「……お二人さーん、そろそろ、メニューを見ませんかー? 私たち、ごはんを食べに来たんだよね……?」

P「ん、そうだな。見るか」

李衣菜「はい。……で、何を頼めばいいんですかね」

P「何を、って……あー、そうだな、とりあえずバーガーとサラダ……くらいか? フィッシュアンドチップスなんかもいいが……あ、チキンなんかもあるな……うーん……」

未央「お、珍しく迷ってるね、プロデューサー」

P「……いや、正直、最後に来たのがかなり前だったからな、迷ってる。確か、結構な量があるんだよなぁ……頼み過ぎたら俺でも食い切れないからな……」

未央「プロデューサーが食べ切れないんだ……」

李衣菜「プロデューサー、そんなに大食いでしたっけ?」

P「大食いってほどじゃないが、まあ、そこそこに食べる方ではあるかもしれないな」

未央「そこそこ……?」

P「なんだよ、何か文句あるのか?」

未央「いや、ないですよ? ……というか、最初にぜんぶ頼まなくても、一回頼んで、それを食べてから考えたらいいんじゃない?」

P「……それもそうだな」


――

P「ってことで、来たな。コブサラダだ」

未央「おおう、ボリューミー……いや、本当に量あるね、これ」

李衣菜「ここまで量があるサラダっていうのは初めてかも……」

P「で、ドレッシングだな。とりあえずシーザードレッシングにしたが、よかったのか?」

未央「うん。あれだけ種類があると迷うしねー。他のも気になったと言えば気になったけど……」

李衣菜「店員さんも『何種類か持ってきますよ?』って言ってくれましたけどね。まあ、結局一つにしましたけど」

P「だって、何種類か頼んでも混ざったら嫌じゃないか? せっかくだから、まだ知ってる味にしたんだよ……」

未央「まあ、それが懸命な判断かもしれませんねー。……でも、本当に、こんなサラダは初めてかも。アメリカンサイズ?」

李衣菜「豪快だよねー。レタスの上に、チキンと、アボカド? それと、トマトに……玉ねぎ? これは……チーズかな。あと……えーっと、ベーコンに、ゆで卵?」

P「の、細かく切ったやつがたっぷり乗せられてるな。……いや、改めて見るとすごいな。これだけで十分『一食』にできそうなくらいだ」

未央「まあ、三人で分けますし? とりあえず、ドレッシングをかけて、混ぜて、食べる……でいい?」

P「ああ。俺はそれでいいぞ」

李衣菜「うん。私もそれで」

未央「よし。じゃ、まぜまぜ……っと」

P「ありがとな、未央」

李衣菜「ありがと、未央ちゃん」

未央「どういたしまして♪ じゃあ、食べよう食べようー」


――

未央(さて、食べよう……って言っても、どうしよ。まあ、とりあえず食べるしかないんだけど……どこから手を付けたものか)

未央(……うん、もうどこでもいいや。とりあえず、食べよう)パクッ

未央「……おお!」

未央(おいしい! 見るだけで楽しいサラダだったけど、食感も楽しいかも。彩りもあって、味もおいしくて、って結構理想的なサラダだなー……量はちょっと多過ぎかもしれないけど)

未央(まあ、何人かで分けるってなったらこれくらいがいいのかも? プロデューサーなら一人で食べてもおかしくなさそう……というか、これを食べても足りない、とか言いそうだけど)

未央(さて、二口目……っと、お、鶏肉が付いてきた。さてさて、鶏肉大好き未央ちゃんのお眼鏡に敵うかどうか……)パクッ

未央「んっ……おっ!」

未央(思ってたのと違ってちょっと熱い。でも、この熱々な感じがまたいいかも。香ばしくて、柔らかくて、ジューシーで……うん! 良いね! 未央ちゃんも認めちゃう!)

未央(チキン以外もおいしいけど、このチキンは未央ちゃんお気に入りですよー。他のトッピング……なのか本体なのかわからないものもおいしいし……混ざってるのがおいしいのかな。わからないけど、とにかく、おいしい)

未央(口いっぱいにほおばって、口の中で卵やらアボカドやらチーズやらが一緒になってて……もぐもぐ、というか、もっさもっさと? そうやって食べるのは、傍から見るとちょっと不格好かもしれないけど、でも、気持ち良いなー)

未央(めちゃくちゃ豪快なんだけど、それなのにすっごくバランスも良いかも。……うん、一通り食べたけど、やっぱりおいしい! 私の知ってる『サラダ』っぽくはないんだけど、野菜もたっぷり入ってることは確かだし……うん、こんなサラダだったら、私、いくらでも食べれるかも! ……いや、まあ、本当にいくらでもって言うと嘘だけど、この一皿くらいなら一人で食べ切れるね)

未央(……でも、ちょっとここまでおいしいのは意外かも。店員さんの接客も良かったし……正直、『ロック!』ってだけで、そこまで味は良くないのまで想像してたからなー。さすがプロデューサー、ってことなのかな?)

未央(これはハンバーガーも期待できますなぁ……ハンバーガーもアメリカンサイズなのかな。どれくらいの大きさなのかわからないけど、まあ、さすがにそこまで大きくはないでしょ)

P「……うん、うまいな。食べたことはある……と思うんだが、改めて、うまい」

未央「うん、おいしいよ、プロデューサー。私としてはこのチキンがたまりませんなあ」

李衣菜「本当に、おいしいですね、Pさん。このお店、ロックだとは思ってましたけど、料理もロックですね!」

P「そのロックの使い方は……いや、合ってる、のか? まあ、ちょっと値段は張るがな。その分味はうまい。……正直、こういうところは料理の味なんてどうでもいいって人も居るだろうが、俺としては料理がまずかったらそれだけで台無しになる可能性もあるから、やっぱりうまいに越したことはないよな」

未央「こういうのを食べれるところってそんなに多くはないもんねー。いや、私が知らないだけでいっぱいあるのかもしれないけどさ」

P「まあ、あるだろうな。俺もそこまで知ってるわけじゃないが……思い当たるところはいくつかある」

李衣菜「うーん……でも、本当においしいですね、このサラダ。未央ちゃんはチキンって言ってましたし、私もチキンはおいしかったと思いますけど、全体的に?」

P「ああ。……正直、他のドレッシングももらっとけばよかったって思うくらいには、な。他の味ってどうなんだろうな……気になるところだ」

未央「わかることがあるとすれば、たぶんおいしい、ってことかな」

P「違いないな――っと、そんなことを言ってたら、あれ、たぶん俺らだな」

未央「お、ハンバーガー? ようやく……ん?」

李衣菜「? 未央ちゃん、どうしたの? えっと……え?」

店員「お待たせしましたー、レジェンダリーバーガーが三つです」

P「ありがとうございます。……さて、これがレジェンダリーバーガー、だ」

李衣菜「……」

未央「……ねぇ、プロデューサー」

P「ん? なんだ、未央」

未央「……このハンバーガー、めちゃくちゃ大きくない?」

P「ん? ……まあ、そうだな。ファストフード店のと比べたらそりゃあでかいだろうな」

李衣菜「いや、それにしても大きすぎじゃ……私、こんなの初めて見たんですけど」

P「これが本物のハンバーガー、ってな。ファストフード店のハンバーガーが偽物って言うわけじゃないが……俺としてはこっちこそが『ハンバーガー!』って感じなんだよなあ」

未央「……確かに、どれもこれもこれくらいのサイズなんだったら、迷うよね。正直、私はこれだけでお腹いっぱいになりそうだもん」

李衣菜「私も、かな……さすがに大きいですし」

P「まあ、そうかもな」

未央「あと、ポテトも割りとあるよね……これ、食べ切れるかな……」

P「無理だったら俺が食べるから問題ない」

李衣菜「……食べ切れるんですか?」

P「たぶんな」

李衣菜「……じゃあ、その時はお願いしますよ?」

P「任せとけ。……とりあえず、いただくとするか」

未央「うん、そうだね。いただきまーす、っと」

李衣菜「い、いただきます」

未央(……とは言ったものの、これはさっきよりもどうやって食べたらいいのかわからないなー)

未央(ハンバーガーなんだけど、えっと、下からレタスとトマトと、パティとチーズと……ベーコン? とオニオンリング……? 持てるかどうかわからないくらいに大きいし、かぶりついても食べられるかわかんないくらい分厚い)

未央(でも、ハンバーガーだし、ナイフとかフォークを使うっていうのはなぁ……うーん、とりあえず、ポテトでも食べとこ)パクッ

未央「……おおー」

未央(おいしい。なんか、『ポテト』って感じ。いや、ポテトなんだから当然なんだけど……大ぶりだから? でもそこまで衝撃的ってわけじゃないかも?)

P「あ、未央」

未央「ん、何? プロデューサー」

P「ポテトなら……というか、バーガーにもかもしれんが、ケチャップとマスタードがあるからそれを皿に出して付けて食ったらいいぞ」

未央「ケチャップ……あ、これか。……どう使うの?」

P「いや、そのままだが……とりあえず開けて、出すだけだ」

未央「……じゃ、じゃあ、やってみるよ」

未央(えっと、開けて……出す、だけ)

未央「わっ」

未央(ぶりゅって出た。結構勢いあるなあ……この調子でマスタードも、っと)

未央(……それで、これに付けて、食べる)パクッ

未央「……うん!」

未央(やっぱりケチャップなんかに付けるとおいしいなー。『めちゃくちゃおいしい!』ってわけじゃなくて、普通においしい。でも、なんか安心する味……ほくほくしたフライドポテトに、たっぷりのケチャップやマスタードを付けて食べる。うん、こうしているだけで、なんか『アメリカ』って感じ。こういう雰囲気を楽しむべきなのかも)

未央(……さて、ポテトばっかり食べていても、だから、次はハンバーガーだなー)

未央(プロデューサーやりーなはどう食べてるんだろ……お、プロデューサーはかぶりついてるけど、りーなは切り分けてる。まあ、最初はそうしないと口の大きさを考えても無理かなー……)

未央(えっと……む、切るのも結構難しいかも。……あっ! オニオンリングが抜けた! んぐぐ……ん? お、もしかして、これ、オニオンリングが抜けたら……)ヒョイ

未央(あ、思った通り、安定した。……オニオンリングは後でいいや。これなら、かぶりつけるかも)

未央(えっと……プロデューサーが言うには、これにケチャップとかマスタードを付けるんだっけ? ……でも、プロデューサーは付けてないし、りーなも付けてないっぽい? ……というか、おいしそうだなー……食べよう)ガブッ

未央「んっ……んぅ!?」

未央(うっわすごい! これすごい! 『肉』だ! 本当、すっごく『肉』って感じ! こんなの初めてかも! ジューシーというか、うん、本当にジューシー。噛んだだけで口いっぱいにお肉の味が広がって……本当に『肉』って感じ!)

未央(おお……これ、すごいかも。ケチャップとかマスタードは……どうしよう。確かにこれだけだとそこまで味が付いてるわけじゃないんだけど……この、ものすごい『肉』感でそんなことが気にならなくなるというか。この肉々しさを味わうためにはむしろこっちの方がいいのでは? って感じもあるというか?)

未央(でも、ちょっとくらい付けてもいいかなー……あ、でも、どうやって付けようかな。直接出すっていうのは、さっきのを考えるといっぱいになっちゃう気がするし、ハンバーガーを持ってさっき出したケチャップとかに付けるのはなかなかに難しいし……)

未央(……あ、そうだ。ポテトですくって、それで付けよう。おお、未央ちゃん頭良い。冴えてるね。ってことで、ポテトにたっぷりのケチャップを付けて、それをハンバーガーに付けて、それで、食べる)ガブッ

未央「……うん!」

未央(何と言うか、思った通りの味、って感じ! 思った通り、おいしい。でも、個人的にはケチャップがなくてもいいかも? あってもいいけど……これは好みかも)

未央(あと、そう言えばベーコンとチーズはそこまで強さを感じないかも? 『ベーコン!』って感じや『チーズ!』って感じはなくて、あくまでアクセントって感じ? でも、これがまた良い感じかも……っと、そう言えば、挟んであるものと言えば、オニオンリングを忘れてた。……もうそこそこ食べ進めたし、今なら、入れられる!)

未央(……よし、バランスも崩れてない。これなら……いける!)ガブッ

未央「……ほうほう」

未央(オニオンリングの食感が加わって、それが快感かも! カリッとしたオニオンリングはやっぱりおいしいよねー。まあそれでも、このお肉の強さには勝てないんですけど? ……うん、やっぱりこのハンバーガー、『お肉』がいちばん大きいや。今までに食べたことがないくらい『肉!』って感じのするハンバーガー)

未央(お肉が好きな人はたまらないだろうし、未央ちゃんもたまらない! うん、満足!)


――

未央「……ふぅ。おいしかったけど、結構食べたねー」

李衣菜「うん……なんか、すっごく『お肉』って感じだったね。というか、『アメリカ』って感じ?」

P「でも、それがいいんだよなぁ……店の雰囲気といい、料理といい、本当にロックで、アメリカって感じがする。……いや、本当にこれが『アメリカ』なのかどうかは知らないが」

未央「でも、量は間違いなくアメリカンだったと思うなー……私、お腹いっぱいだもん」

李衣菜「私もですね……もう、何も入らないって感じです」

P「ん? そうか……いや、でもなー……」

未央「? どうしたの? プロデューサー」

P「いや、俺一人で食べるのはちょっとキツイが、食ってみたいもんがあってな……どうしようか迷ってるんだが」

李衣菜「まだ食べるんですか……ちなみに、何を?」

P「いや、この、『ホームメイドブラウニー』っていうのを」

未央「食べよう」

P「え?」

李衣菜「食べましょう、Pさん」

P「は? いや、でもお腹いっぱいって……」

未央「それとこれとは別なの! 甘いものは別腹なの!」

李衣菜「そうです! 甘いものは別腹なんです! どうせ量はめちゃくちゃ多いんでしょうけど、三人なら大丈夫です! 食べましょう!」

P「……まあ、俺としては願ったり叶ったりだからいいんだが」


――

P「……これが、そうか」

未央「おおー……これはなかなか」

李衣菜「ブラウニー……があるはずなんですけど、ブラウニーが見えないくらいのホイップクリームとアイス、それにチョコソースがかかってますね。あと、ナッツと、チェリー?」

P「……まあ、とりあえず食べるか」

李衣菜「はい!」

未央「うん、食べよー!」

未央(ってことで、食べる……って、どう食べよう? まあ、最初はブラウニーを発掘するところから、っと……見付けた見付けた。そんなところに隠れてましたか、ブラウニーちゃん)

未央(で、たっぷりのチョコソースがかかったブラウニーとホイップクリームを一緒に、口の中へ、っと)パクッ

未央「あまっ……うん!」

未央(おいしい! めちゃくちゃ甘いんだけど、それでも、おいしい。噛んだ時に『サクッ』ってなる食感はポイント高いし、それなのに中がしっとりしているのもポイント高い。あと、あったかいのもいいなー……あと、ホイップクリームがまた良い。結構軽いホイップクリームなんだけど、やっぱり甘い。本当に甘い。もう『甘ったるい』ってくらいに甘い)

未央(んー……やっぱりアメリカとかの外国の甘いものってものは甘ったるいものなのかな? でも、この意味わからないくらいの甘ったるさがまた良いんだよねー)

未央(ブラウニーとホイップクリームの相性がまた良いなー……どうして一緒に食べるとここまでおいしくなるんだろ)

未央(よし、じゃあ次は、アイスと一緒に……って、こんなの絶対おいしいじゃーん)

未央(あったかいブラウニーと冷たいアイス……もうそれだけでおいしいっていうのがわかるけど……よし、いただきます!)パクッ

未央「んっ……ん~!」

未央(おいっっしい! あったかいブラウニーに、冷たいアイス。それもまた甘いんだけど、不快じゃない。もう最高。口の中であたたかいのと冷たいのが一緒になって……どうしてあたたかいものと冷たいものを一緒に食べるとこんなにおいしいんだろう。最初にあたたかいブラウニーとアイスを一緒に食べた人はこの世界で最大級の幸せを発明した人として表彰されるべきだよ……)

未央(いや、でも、本当においしい! このブラウニーがいいのかな? あんまり『詰まって』ない。ぎゅうぎゅうに詰まった、かたい感じのブラウニーっていうのもそれはそれで好きなんだけれど、このブラウニーはそこそこに軽いブラウニーで、いやまあ味とか食感なんかは重いんだけれど、かたくはないというか。だから、アイスとの相性が本当に良い)

未央(だから……なんていったらいいのかな。口の中でアイスとブラウニーが溶け合うというか? チョコの熱を持った甘みとバニラアイスの冷たい甘みが口の中で溶け合って……とにかく、本当においしい!)

未央(あー……やっぱり、甘いものは女の子の元気の源、だね!)


――店の外

未央「……お腹いっぱいだよー」

李衣菜「私も……ちょっと、食べ過ぎたかもしれません」

未央「最後のブラウニーが重かったなー……あのホイップクリームの量はちょっと凶悪だよね」

李衣菜「甘さもね……すっごく甘かったから、結構、重い……」

P「……そうは言うが、お前ら、俺よりも食べてただろ」

未央「だって、おいしかったんだもん!」

李衣菜「おいしかったんだから仕方ないじゃないですか!」

P「なんで俺が怒られてるんだ……?」

未央「うぅ……今更だけど、あれ、めちゃくちゃカロリーあったよね……いつもそうだけど、今回はさすがに心配かも……」

李衣菜「未央ちゃん、それ、思い出させないでよー……うぅ、レッスン頑張らなきゃ……」

P「いや、食べたのはお前ら……」

未央「プロデューサーは黙ってて!」

李衣菜「私たちだってわかってますよ! でも……でもっ、あんなにおいしいものを前にして、我慢できるわけがないんですよ!」

未央「そうだよ! プロデューサーも想像してみてよ! 自分の大好物を前にして我慢できる!?」

P「……場合によるが、難しいな」

未央「でしょ!? それと同じだよ!」

李衣菜「そうですよ! 自分の好きなものを前にして我慢するなんて……そんなの、ロックじゃないですし!」

P「そこでロックって使ってもいいのか……?」

未央「いいよ! ロックだよ!」

李衣菜「うん! だよね、未央ちゃん!」

未央「やっぱり!」

李衣菜「私たち!」

未央・李衣菜「「ズッ友~!」」

P「……終わったか?」

未央「……うん。なんか、ちょっと気持ち悪くなってきた」

李衣菜「うぅ……お腹いっぱいなのにテンション上げすぎた……」

P「あー……とりあえず、帰るか」

未央「うん……」

李衣菜「はーい……」

P「あと、未央、李衣菜。お前らに言っておくことがある」

未央「? なに? プロデューサー」

李衣菜「なんですか? Pさん」

P「デレパ一周年、おめでとう。そして、ありがとう。ここまであの番組を続けられたのは応援してくれたファンと、番組を支えてくれたスタッフさん……そして、ここまで頑張ってくれた二人のおかげだ。プロデューサーとして感謝する。本当に、ありがとう」

未央「プロデューサー……」

李衣菜「Pさん……」

未央「……えへへ。何を言ってるんだい、プロデューサーくん? これくらいで満足されちゃ困りますよ?」

李衣菜「未央ちゃん……うん。そうですよ、Pさん。それに、あの番組が続けられたのは、ファンのみんなと私たち、それに、スタッフさん……それだけじゃなくて、Pさんのおかげでもあるんです。そもそも、Pさんが仕事を取ってきてくれたから、私たちは今もあの番組を続けられているんです」

P「……未央、李衣菜」

未央「そう考えると、むしろ私たちが感謝する方かもねー。プロデューサーのおかげで、今の私たちがあるわけだし? アイドルとしてもそうだし……あの番組がなければ、りーなともここまで仲良くならなかったかもしれないしねー」

李衣菜「……うん。そう……そうなんです。Pさんのおかげで、今の私たちがあるんです。……ありがとうございます、Pさん」

未央「ありがとね、プロデューサー」

P「……俺がお前らに感謝しなきゃいけないのに、どうして感謝されてるんだよ」

未央「ダメ?」

李衣菜「べつに、感謝し合ってもいいじゃないですか。だって、どっちの気持ちも本物なんですから」

P「……そう、だな。……すまん。少し、先に行っていてくれ。電話だ」

未央「……うん。ちょっとだけ、ね」

李衣菜「……はい。少しだけ、ですよ」

P「ああ。……すぐに、行くよ」



これにて今回は終了です。
デレパ編。李衣菜の誕生日くらいにまで書こうと思っていたのにここまで遅くなってしまいました。

今回の場所は行ったのがだいぶ前だったのでちょっと忘れていますね。でも、おいしかった記憶があります。また行きたいですし、他のメニューも食べたいなあ、と。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係ないですがデレアニ最終回の流れ星キセキのシーン何回も見ちゃうんですよね……本当に好きです、あの曲。
でもまだNGの三人のSSRを持っていないのであのシーンを見ると同時に「まだ持ってないんだ……」って思ってしまいます。悲しい。
月末未央に備えなければ……。

改めてありがとうございました。

ちょっと今回は試験的なものを。


――事務所

未央「プロデューサー、冷蔵庫の前でどうしたの?」

P「……なんだ、未央か」

未央「なんだ、って何? ひどくない?」

P「いや、安心したんだよ。ちひろさんかと思ってな……」

ちひろ「私がどうかしましたか?」

P「っ! ……ち、ちひろさん、居たんですか」

ちひろ「もう……べつに隠れなくてもいいのに、どうして隠れるんですか」

P「……だって、バレたらちひろさんも欲しいって言うじゃないですか」

ちひろ「言いますけど……」

P「だから嫌なんですよ」

未央「……? 何? どういうこと?」

P「あー……べつに大したことじゃない」

未央「絶対嘘だよね?」

ちひろ「まあ、確かに大したことではないですけど……隠すようなことですか?」

P「いや……だって、未央も知ったら、食べたくなるかもしれないじゃないですか」

ちひろ「そうかもしれませんが……。そもそも、未央ちゃんは知ってるんじゃないですか?」

P「知ってても同じじゃないですか……?」

ちひろ「それは、確かに」

未央「あの、私、まだ何のことかよくわかってないんだけど……」

P「ん、ああ、そうだな。俺が食べようとしてたのは、これだ」

未央「……Raps?」

P「ああ。ブリトーみたいなもんだな。というかほとんどブリトーだと俺は思っているが」

未央「……ブリトー?」

P「あ、知らないのか? 女子高生なのに……」

ちひろ「女子高生はあまり関係ないと思うんですが……」

未央「知らないものは知らないもん。で、何なの? それ」

P「んー……トルティーヤで具材を巻いた料理? 本場のは知らんが……」

未央「トルティーヤ……っていうと、なんだか聞いたことあるような……」

ちひろ「メキシコ料理などでよく使われていますね。使われている料理ではタコスがいちばん有名でしょうか……って、タコスもそれほど有名かどうかはわかりませんが」

未央「あ、タコスならわかるよ。そんなに食べたことはないけど、事務所に置いてある漫画で見たよ。食べると麻雀が強くなるんでしょ?」

P「ならない」

ちひろ「あはは……まあ、とにかく、そのトルティーヤ……トウモロコシや小麦粉で作られた薄焼きのパンに具材を乗せて巻いた料理がブリトーですね」

未央「あれ? でも、タコスっていうのもトルティーヤっていうのに具材を包むんじゃ……」

ちひろ「……あれ? 確かにそうですね。違うんですが、言われてみれば似ているかも……」

P「俺の認識ではブリトーは完全に包み込む、って感じですが、詳しくないので合っているかわかりませんね。まあ、そんなことはどうでもいい。このRapsってのはブリトーと同じような感じで、トルティーヤで色んな具材を包んだシリーズ、ってところだな」

未央「ふーん……でも、どうして『Raps』って名前なの?」

P「たぶん他のコンビニで『ブリトー』って名前を使ってるからだが、べつに使わなくちゃいけないってわけじゃないだろうから俺も理由はわからん。いや、実際に食べ比べる……というか、見比べると違うってわかるから、単にここのは『ブリトー』ではないってことなのかもしれないが」

未央「……つまり、そういうことは気にしなくてもいいってこと?」

P「そういうことだな」

未央「へぇ……それで、おいしいの?」

P「俺は好きだ。色んなコンビニにこういう『ブリトー』系の商品はあるし、どれもなかなかにおいしい。俺はここの『厚切りハム&チーズソース』ってのが好きだが……そこらへんは好みだろうな」

ちひろ「私は他のコンビニの『ハム&チーズ』の方が好きですしね、って、どっちもハム&チーズですけど」

P「こっちのは『チーズソース』だから違いますね……というか、そっちのが好きなんだったらべつに俺のを食べなくても」

ちひろ「そっちも好きなんです♪」

P「……まあ、いいんですけどね。俺ももらうことありますし」

ちひろ「そうそう。Win-Winですよ、Win-Win」

未央「ハム&チーズ……ん? どういう風に包んでるの? なんか、ちょっと今まで想像してたのから外れたような」

P「あー……タコスみたいなのを想像してるとそうなるか。こっちはもっと薄い、板状の……って、もう実物を見せた方がいいな。こういうのだ」

未央「あ、こういうのなんだ。だったら納得かも……うん、おいしそうだね。温めるんだ」

P「ああ。電子レンジで書いてある時間温めたら完成だな。これはチーズソースだが、温めるとチーズがとろける。めちゃくちゃ熱いんだが、うまいんだよな、これが」

未央「……なんだか、食べたくなってきちゃった。私、ちょっと買ってこようかな……」

ちひろ「あ、それなら問題ないですよ」

未央「え、でも、今二個しかないんじゃないの? プロデューサーとちひろさんで、二個じゃ……」

P「いや、今だと五個くらいあるな」

未央「なんで!?」

P「だっておいしいし……小腹が空いた時にちょうどいいんだよ、これ」

ちひろ「他の種類を入れたらもっとありますけどね……まあ、アイドルの皆さんが食べることもありますし、今までに賞味期限が過ぎちゃったことはありませんけど」

未央「つまり、それだけおいしいと?」

P「俺やちひろさんはそう思っている、ってのが正確だな。レンジで温めるだけで、ってのが良い」

未央「そうなんだ……ということは、その、もらってもいいの?」

P「ああ。いいぞ」

ちひろ「私ももらっていいですか?」

P「……いいですよ。ただ、俺もまたもらいますからね」

ちひろ「はい♪ じゃあ、ハサミで切って、レンジに入れて、温めて……っと。はい、完成です」

P「未央から食べたらどうだ?」

未央「えっ……いいの? 元々、プロデューサーが食べるためだったんじゃ……」

P「そんなに急いでないから気を遣うな」

ちひろ「私はもちろん、後でいいですからね。食べたことない未央ちゃんの反応も見たいですし、どうぞどうぞ」

未央「じゃあ、お言葉に甘えて……」

未央(ブリトー……いや、Rapsだったっけ? どうなんだろう、これ……えっと、まずは袋から出さなきゃ――)

未央「熱っ」

P「あ、結構熱いから気を付けろよ」

未央「遅いよー……」

P「すまん、忘れてた」

未央「未央ちゃんは優しいから許してあげましょう」

P「ありがとな、未央」

未央「えへへ……かわいいかわいいアイドルが火傷したら危ないんだから、今度からはちゃんと言ってよね?」

P「自分で言うか? まあ、お前がかわいいアイドルだってのは事実だが……あ、食べる時も注意しろよ。熱い」

未央「触った時点でそれはわかってるけどねー……でも、冷めたらダメなんでしょ?」

P「まあな」

未央「ですよね。ってことで、いただきまーす」

未央「熱っ! ……んぅ、んー!」

未央(ハムが思ったよりも分厚い! あと、チーズソースが結構出てくる! 熱い! でもおいしい!)

未央(この分厚いハムが良いね。ジューシーな感じ。チーズソースもとろけていていい感じかも。あと、『チーズ』じゃなくて『チーズソース』っていうのが結構気になっていたけど、これは確かに『チーズソース』だね。『チーズ』じゃない。でも、これが合ってる!)

未央(『チーズ』でもおいしいんだろうけど、このままでもいいかも。このチーズソース、なかなかのなかなかですよ)

未央(コショウも結構効いてるかも。ブラックペッパー? 食べる前はそこまでしっかりとした味じゃなくて、あっさりした味を想像してたんだけれど、このブラックペッパーが一気に味を強くしてる。これがポイントなのかなー)

P「どうだ?」

未央「おいしい! 今までコンビニにこれが置いてあったことに気付かなかった自分が恥ずかしいくらいかも!」

ちひろ「実際、あんまり気付かないんですよね。ちょっとわかりにくいところにあるというか。一度知ったらもう忘れないんですが……」

P「目当てのものじゃなかったら、というか、知らなかったらたとえ目に付いていても認識できないものですしね」

未央「でも、本当においしいよ、プロデューサー。ありがとね!」

P「どういたしまして、っと、ちひろさん、できましたよ」

ちひろ「次はプロデューサーさんが食べて下さいよ。私は後でもいいですから」

P「女性を待たせたくはないんですよ。あと、どうせ俺は食べるのが早いんで後からでも食べ終わるのは先だと思いますし」

ちひろ「……ありがとうございます」

P「いえ、お気になさらず」

未央「でも、本当においし……っとと」パクッ

未央(チーズソースが垂れちゃうところだった……これ、気を付けないとダメだね)

P「そうなんだよなあ……結構、チーズソースが垂れるんだよな。あと、ハムが抜けることとか、厚紙にトルティーヤがくっつくこととかがある。厚紙にトルティーヤがくっついて、それを剥がそうとしたらトルティーヤが破けてチーズソースが垂れてきた時とかは焦ったよな……」

未央「そういうこともあるんだ……」

P「ああ。そういう欠点はあるが、うまいだろ? だからやめられないんだよなぁ……」

未央「うん。おいしい。……他のも食べたくなったかも」

P「……今は食べるなよ?」

未央「さすがに食べないよ。でも、レッスン後とかには良さそうだなー、って」

P「まあ、レッスン後には確かに良さそうだな……結構腹も膨れるしな」

未央「……私はそうだけど、プロデューサーは本当に?」

P「いや、ちょっとだけだ」

未央「やっぱり」

P「でも、未央は膨れるんだろ? なら、それでいいんだよ」

未央「そうなのかなあ……」

P「そうだ。……そう言えば、ちひろさん、それ、成功でしたか?」

ちひろ「ふぁい? ……だ、大丈夫です!」

P「そうですか。良かったです……って、なんで顔を赤らめてるんですか?」

未央「いや、『ふぁい?』なんて言っちゃったからでしょ……」

ちひろ「み、未央ちゃん、言わないで……」

P「あー……かわいかったですよ」

ちひろ「……プロデューサーさん、意地悪です」

P「実際、かわいかったですからね。なあ未央」

未央「うんうん。ちひろさん、かわいかったよー? これはもうCuteアイドルだね!」

ちひろ「うぅ……ぷ、プロデューサーさんと未央ちゃんのばかー!」



これにて今回は終了です。
バトルシップは面白いと思います。
あと、コンビニでこれならちゃんとした店のブリトーはどれだけおいしいのかとコンビニのを食べる度に思っています。いつか食べたいです。

今回『試験的』と言ったのは、いつものような導入部を省いたというところにあります。本編に組み込むほどではないけれど未央と食べたいなーと思ったちょっとしたものを書きたいという思いから今回のようなものを書きました。
(続きます)

※このレスは長くなりますが、個人的な思い……と言うよりは『言い訳』となりますので、読む必要はありません。重複も多々あるかと思われます。本題は次のレスにまとめるので読み飛ばして下さい。

このSSを書く際の裏話のようになりますが、私が書く場合、『食事描写』、正確には『店に入ってから出るまで』の場面を書く際にはそこまでの時間を要することはありません。いつも時間がかかるのはほとんどが導入部、というよりは『シチュエーションの設定』の部分です。
『どういう過程で未央と一緒にごはんを食べるようになったか』という部分ですね。仕事終わり、というのがほとんどでワンパターンのようですが、ワンパターンなそれを考えるのに私はいつも時間をかけています。
『シチュエーションなんてどうでもいい』と思われる方も居るとは思うのですが、私にとってこの『シチュエーション設定』は非常に重要なのです。このSSは最初に書いた通り基本的には私が未央と食べたい妄想SSですが、その『妄想』を楽しむためにはそれなりの『シチュエーション設定』があった方が楽しめると思うのです。
要するに私がそうしたいからそうしているだけなのですが、この考えはこれからも変わることはないと思われます。

そう言っているくせに今回のSSには大した『シチュエーション設定』がないというのはまったく矛盾していることだとはわかっているのですが、今回のものは『大したシチュエーション設定もなく書く』という試験的なものでした。これでも思っていたよりは書いてしまったので、より短くなるという可能性も十分に考えられます。
より正確に言うと、今回のSSは『シチュエーションをわざわざ設定するほどではないけれど書きたいもの』がなかなかにあるということに気付いたので、ならば一度『シチュエーション設定をほとんどなしで書いてみよう』という試験的なSSだったのです。

あと、今回『シチュエーション設定をほとんどなし』にしたのはもう一つ理由がありまして、このSSもいつの間にか結構な長さになっているので、それで十分『このSS内における未央とプロデューサーの関係』などのシチュエーション設定は出来上がっているのではないか、という思いがあったからこそでもあります。これもまた個人的な思いではありますが……。

長々と書いてしまいましたが、言いたいことだけを言うならば、『このような形式で短い話を書いてもいいか』ということです。

コンビニのフライヤー商品やちょっとしたお菓子、店先で売っているようなもの、間食、夜食など……これからも本編で絡ませることもあるかとは思いますが、それ『単体』で書きたいと思ったので、このような文を書くこととなりました。

今回で思ったよりも長いという印象なので、他のものを書く際にはもっと短いものになると思われます。1レスでまとまるようなものもあるかもしれません。そのようなものを書いてもいいか……と言うよりは、ここに書き込んでもいいか、と言った方が正確ですね。そうしてもいいのであれば、そうしたいと思っております。


以上、長々と失礼しました。

あとSSと関係……内容とは関係ない話ですが、前回は割りと浅い時間だったので今回は深い時間……という意図はありませんがなんだか深い時間になってしまいました。更新期間も更新時間も不定期で申し訳ありません。

また、このような妄想SSを読んでもらって、さらには反応までしていただいて非常に嬉しく思っております。反応を下さるから自分の中で妄想するだけでなくここに書いているのだと思います。いつもいつも、ありがとうございます。

改めて、ありがとうございました。

あ、今回のような短編を書いたからと言って本編の更新期間が変わることはないと思います。先程のレスの後にこれを付け足すとなんだか締まりませんが、念のため。


――店の前

P「お、こんなところに駄菓子屋、か」

未央「え? ……あ、ほんとだ。初めて見たかも」

P「初めて? ……いや、そうか。初めてでもおかしくはないのかもしれないな」

未央「なんだか、雰囲気あるね。懐かしい……って、私が言うのは違うと思うけど」

P「わかるよ。実際に体験したことがなくても、こういう雰囲気を懐かしいと感じることはある。生まれる前に発売したようなレトロゲーとか、生まれる前に連載していた漫画に対して『懐かしい』って思うようなものだろうな」

未央「あー……確かに。結構昔の少女漫画とかを読んだりすると、読んだこともないのに『懐かしい』って感じるもんね。それと同じかー……」

P「入るか?」

未央「いいの?」

P「むしろ俺が入りたい」

未央「駄菓子屋の懐かしさに涙する、って?」

P「それに近いな。俺の場合、涙するってほど幼少時代を駄菓子屋とともに過ごしてはいないが、それでも思うところはある」

未央「泣いちゃいそう?」

P「そこまでじゃないな」

未央「そっか。とりあえず、入ろっか」

P「ああ」


――店の中

未央(おお……中に入ると、ますます雰囲気が出てますなあ)

未央(棚に並んだいっぱいのお菓子と、おもちゃ? あと、何に使うかわからないものとかが、いっぱい……)

未央(むきだしの蛍光灯が、切れかけなのかどうかわからないけど、たまにジジッて音と一緒に点滅してる。ほこり……はさすがに舞ってないけど、何と言うか、うん、やっぱり『雰囲気ある』)

未央(どうして、こういうところに来たことがないはずなのに、懐かしく感じるんだろう。さっきプロデューサーが言ってたことが答えなのかもしれないけど……私も覚えてないくらいの昔に、来たことがあったりするのかもしれない。物心がつくより前に、どこかで、こういったところに来ていたのかもしれない)

未央(まあ、覚えてないんですけどねー……というか、見たことのないお菓子がいっぱいあるなー……この、きなこ? にむき出しで置いてある爪楊枝みたいなのとか、なんなんだろう)

P「お、きなこ棒か」

未央「きなこ棒?」

P「ああ。包装されてないきなこ棒を見ると、何と言うか、『駄菓子屋』って感じがするな。その場で買って、食べるんだよ」

未央「おいしいの?」

P「おいしい、って言うと、ちょっと言葉にし難いが、まあ、駄菓子屋に来たらとりあえず食べてはいたな」

未央「そうなんだ……じゃあ、一つ、もらおうかな」

P「じゃあ俺ももらおうかな。すみませーん!」


――

未央(きなこが付いてる……何と言うか、棒? 本当に、きなこが付いてる棒だ……うん、見た感じ、それ以上のことは言えない)

未央(とりあえず、食べてみよう)パクッ

未央「……うん」

未央(甘い。おいしい……のかな? わからないかも。でも、なんか、こういうのもいいな。懐かしい、って、食べたこともないようなものに言うのもなんだけど、素朴な味? 甘い……水飴かな。ちょっとだけ、ねちょってするかも。それに、きなこがまぶしてあるから……きなこ餅、とは違うだろうけど、ちょっとだけ、、似た感じかも)

未央「……あれ?」

未央(なんか、爪楊枝に印が付いてる。これって……)

P「お、当たりだな」

未央「当たり?」

P「爪楊枝に印が入ってると当たりでもう一本食べられるんだよ。店員さんに見せると、な」

未央「へぇ……」

未央(それは、なんか、楽しいかも。当たり付き、って、そりゃ、漫画とかでなら見たことがあるけど、初めてやったかも)

未央「というか、もしかして、これ、当て続ければ食べ続けることができたりするの?」

P「ん……まあ、そうだな。理論上は」

未央「ほほーう……それじゃあ、見せてあげましょう。未央ちゃんの、運命力というものを!」パクッ

未央「……はずれだ」

P「だろうな」

未央「うー……こんなことなら、当たりの時に、先に、知っておきたかったよ。そっちの方が楽しかったし、嬉しかったのにー」

P「まあ、物欲センサー、ってやつかもな」

未央「物欲センサーかー……じゃあ、プロデューサーが何も言わなかったらまた当たったのかな」

P「その時はまず二本目がないだろ」

未央「あ、そっか。確かに、そうだね」

P「しかし、懐かしい味だな……おいしいか、ってなると、今はもうもっとおいしいものも知ってしまってるんだが、そういうことじゃなく、な」

未央「おいしいかどうか、っていうのは、こういうところではそんなに重要じゃないのかもね。まあ、おいしいと言えばおいしいんだけど?」

P「そうなんだよなあ……もっとおいしいものを知ってるはずなのに、おいしいと感じるというか」

未央「甘いものはなんでもおいしいってことなのかも?」

P「かもな……次、未央は何を食べるんだ?」

未央「プロデューサーのおすすめとか、ある?」

P「おすすめ? ……いや、難しいな。きなこ棒と同じ、当たり付き、みたいなもんならあるが」

未央「おっ! それは気になるかも。どれどれ?」

P「色々あるが……この『ヤッターメン』とか、どうだ? 当たればお金がもらえる」

未央「お金がもらえちゃうの!? それは、何と言うか、すごいね」

P「確か、10円、20円、50円、100円、だったか。100円を当てた奴はヒーローだったな……」

未央「ほうほう……で、そのヤッターメンっていうのは何円なの?」

P「10円だな」

未央「えっ……それって、元、取れてるの?」

P「元が取れなきゃそんな商売なんてしないさ。入っている量自体は少ないし、そこまで当たるわけでもない」

未央「ほうほう……それじゃ、買っちゃおうかなー」

P「買うのか」

未央「うん。100円、見せてあげるよ。すみませーん!」


――

未央「……はずれだった」

P「あ、当たった」

未央「え!? 何円? 何円当たったの!?」

P「おおう……お前、本当に高校生か? 最高で100円だってのに、そこまで興奮することじゃないだろ……」

未央「それはそうだけどさー、こういうのって、どんどん盛り上がった方が楽しくない?」

P「あー、確かにな。少年時代に戻る、ってのも、確かに必要かもしれない」

未央「うんうん、そうですよ、プロデューサーくん? で、何円当たったの?」

P「100円」

未央「……え? いや、ちょっと待ってよ。100円、当てたの!?」

P「ああ。……しかし、昔は『いつか絶対100円を当てて豪遊してやるんだー』なんて思ってたが、今当たっても、そこそこしか嬉しくはないな」

未央「うわぁ……それ、子供の前とかで言ったら怒られるよ?」

P「昔の俺なら殺意を抱くレベルだろうな」

未央「そんなに……?」

P「というか、未央。食べないのか?」

未央「食べるけど……量、少ないね」

P「駄菓子だからな。まあ、量を求めるならそこの『らあめんババア』とかがいいんじゃないか? 『ヤッターメン』じゃあ物足りなくてあれを買った記憶があるな」

未央「あ、これなら見たことあるかも。昔、食べたことがあるような」

P「そうか? スーパーとかにも置いてたっけな。さすがに覚えてないが」

未央「まあ、とりあえず先にこっちを食べるよ、ヤッターメン」

P「ん、そうだな。俺も食うか」

未央(ってことで……これ、一口でいけそうだなー。よし、一口で食べちゃおう)パクッ

未央「……ふんふむ」

未央(うん。よくある感じの味だ。でも、ちゃんと味わう前に口から消えちゃった。……やっぱり、量、少ないなあ。これのすぐ近くに『らあめんババア』とか『ベビースター』とかを置いてるのは、そういうことなのかも)

未央(うーん、でも、他にも食べたいしなぁ……うん、ここは、他のを食べよう。ここでしか食べられないやつ、とか!)

P「お、うまい棒」

未央「んっ……うまい棒、ですか」

P「ですか、って……どうしたんだよ、未央。うまい棒なら、知ってるだろ?」

未央「知ってるけど……」

未央(ここでしか食べられないもの、って話をしてる時に言われると、ちょっと困ると言いますか。出鼻を挫かれた? 使い方を間違ってるかもしれないけど、そんな気持ちかも)

P「うまい棒はその名前の通りうまいよなあ……個人的には、うまい棒こそ駄菓子の王道、って感じだ。10円で、色んな味があって、しかも、うまい。外せないよな……未央は、何味がいちばん好きだ?」

未央「え? えっと……そうだね、コーンポタージュ味、かな」

P「コンポタか……わかるぞ。あれはうまい。誰に聞いても五指に入るんじゃないか、って味だ」

未央「プロデューサーは?」

P「俺は……そうだな、めんたい味とか、なっとう味とかか」

未央「……なっとう味?」

P「ん? なんだ、知らないか? って、確かに、スーパーとかではあんまり並んでないかもな。正確には、取り扱っているところもあるが、そんなに多くはない、か」

未央「……本当においしいの?」

P「俺は好きだな。割りと本当に『納豆』っぽい」

未央「それ、今食べても大丈夫なの? においとか」

P「そこまでにおいは強くなかった気がするが……」

未央「……とりあえず、食べてみようかな。何事も挑戦ってことで」

P「挑戦って……まあ、食べてみろ」

未央「うん!」

未央(でも、なっとう……なっとうかあ。うまい棒、色んな味があるってことは知ってたし、私の知らない味もいっぱいあるとは思ってたけど、なっとう味なんてものがあるとは)

未央(でも、よく考えてみると、聞いたことはあったような……なかったような。うん、よく覚えてない。とりあえず、食べたことはないってことだけははっきりしてるし、食べてみよう)パクッ

未央「んっ……おおっ!」

未央(本当に『納豆』だ! 何と言うか、ねばりもあるし、納豆の風味もしっかりしてる。このピリッとちょっとだけ辛いのは……からし? あ、そうか。納豆のからしだ! そこまでこだわってるんだ。思った以上にすごいかも!)

P「どうだ?」

未央「思った以上に納豆だったよ! うん……おいしかったよ、プロデューサー」

P「だろ? 俺も最初はネタで食べたんだが、これが案外うまいんだよな。納豆が苦手な人はダメかもしれないし、好きでも苦手な人は居るかもしれないが、俺は好きだ」

未央「うん。なんか、ちょっとねばっとしてたし……って、それを気にしちゃうと、ちょっと、口の中が気持ち悪いかも」

P「ん? それなら、なんか、飲むか?」

未央「飲み物、って……自動販売機? そう言えば、そこのところにあったような……」

P「じゃなくて、ラムネだ。今は冬だからあるかわからないが……あったら、な」

未央「ラムネかー……飲むの、かなり久しぶりかも」

P「お、そうか。じゃあ、俺も飲むかな」


――

P「ラムネとサイダーの違いって、入ってる容器だけなんだよな。初めて知った時はびっくりしたよ」

未央「え? そうなの? 知らなかったかも」

P「ん、知らなかったか。ってことは、まあ、今までの反応からしてもそうなんだが、あの漫画、読んでないんだな」

未央「漫画……?」

P「駄菓子の漫画、だな。事務所に置いてるから読んでみるといい。面白いし、懐かしい。確かアニメ化も決まってたっけな。それから見てもいいかもしれない」

未央「アニメかー……そう言えば、プロデューサーの影響かもしれないけど、アニメも見るようになったなー」

P「ウチの事務所には声優の仕事をしてるアイドルも居るし、俺だけの影響じゃないと思うが。最近あんまり追っかけてないが、今言ってた漫画のやつは、たぶん、見る。期待してるしな」

未央「ふーん……それって、漫画から読んでも大丈夫な感じ?」

P「一話完結ものだし、大丈夫じゃないか? 先に漫画を読んでると、『あのキャラクターが動いてる!』って感動もあるしな。アニメの途中から原作を、ってなるとまた別だが」

未央「そっか。じゃあ、読んでみようかな」

P「ああ、そうしろ……って、なんで漫画の話になったんだ」

未央「プロデューサーが話し始めたんでしょ? 確か……ラムネとサイダーは一緒って話だったっけ」

P「あ、そうそう。でも、実際のところ、飲んだ感じは違うと思うんだよなあ……」

未央「うん、違うよね。味もなんか違う気がするんだけど……中身は一緒なんでしょ?」

P「らしい。まあ、容器によって口当たりとかも変わるから、それで、なのか?」

未央「ま、そんなこと気にしなくてもいいんじゃない? おいしいことは確かなんだし」

P「……それもそうだな。じゃあ、開けるか。未央は開け方、わかるか?」

未央「うん。キャップを外して、あの、突起の付いたやつをラムネの口に当てて、押しこめばいいんでしょ?」

P「ああ。しばらく押し込めたままにしなくちゃならんが、な」

未央「あー……子供の頃、よく失敗したよ。どうすればいいのかわかんなくなっちゃったり、床にこぼして、お母さんに怒られたり」

P「それは俺も経験があるな……いつの世代も、これは変わらないんだな」

未央「だね。じゃ、開けよっか」

P「ああ」

未央「よい、しょ、っと」

P「『よいしょ』って……女子高生の言葉かよ」

未央「女子高生の言葉ですよ? 未央ちゃん、キャピキャピでナウいヤングですから」

P「絶対違うな……そろそろいいんじゃないか?」

未央「かな? じゃ、そーっと……お、いいみたい」

P「それじゃ、飲むか」

未央「うん」

未央(ラムネ、かぁ……飲むの、久しぶりかも。昔はこのビー玉が邪魔だったなー……どうすればいいのか、わからなかったり。こんなわかりやすいくぼみがあるのに、どうしてわからなかったんだろ)

未央(とりあえず、いただきます……っと)ゴクッ

未央「……ん~!」

未央(シュワシュワだ。炭酸が弾けて、ちょっと痛くて、でも、気持よくて。爽やかな感じ。もう冬って言ってもいい季節だけど、こんな季節に飲むラムネも、いい感じかも)

未央(……うん、やっぱり、サイダーとは、ちょっと違うような気がする。『気がする』だけ、なのかな。あと、銘柄とか? 会社によって味は違うだろうし……それが原因なのかも)

未央(でも、サイダーって言うと、やっぱり、あれだよね。美嘉ねー。『サイダーみたいに弾ける恋モード♪』って。サイダーを見かけると、いつもあれを思い出しちゃう。美嘉ねー大好き未央ちゃんとしては、あれのせいでサイダーの購入量が増えちゃいましたよ)

未央(でも、これからはラムネもオッケーだね。ラムネとサイダーが同じなら、って。まあ、ラムネは夏以外には置いてないような気がするけれど……いや、なぜかここには置いてたけど。駄菓子屋って、ラムネを年中置いてるものなのかな? それとも、この店がたまたま? よくわからないや)

P「ふぅ……ラムネも飲んだところで、そろそろ、帰るか?」

未央「えっ? ちょっと、早くない? 未央ちゃん、まだお腹いっぱいではないですよ?」

P「なんで駄菓子屋で腹を膨らませようとしてるんだよ……というか、それを聞いたらもっと帰らせたくなったんだが」

未央「えー……まだまだ楽しめそうなのにー……」

P「また連れて来てやるから今日はここらで我慢しろ」

未央「うー……でも、最後にちょっと甘いものが食べたいなー。……チラッ」

P「口で言いやがった……まあ、うん、そうだな。確かに、塩辛いものばっかり……ってほどじゃないが、そういうものを食べた後は甘いものが欲しくなるよな」

未央「そして甘いものの後にはしょっぱいものが欲しくなるという……」

P「さすがにこれ以上はダメだけどな」

未央「ちぇー」

P「で、何にする? 5円チョコとか? チョコバットもあるな。いや、それ以外にも色々……って、未央、どこに行こうとしてるんだ?」

未央「え? 確か、外にアイス、なかったっけ?」

P「アイス? ……お前、この季節にアイスを食べるつもりかよ」

未央「冬だからこそのアイスですよ。冬に暖房の効いた部屋で食べるアイス……最高でしょ?」

P「わかるが、ここは特別暖房が効いてるとは思えないんだが」

未央「とにかく! 駄菓子屋さんのアイスが私は気になってるから、ちょっと、見てみたいのですよ」

P「ああ、そういう……まあ、うん。それもいいかもな」

未央「よし、それじゃあ、見に行くね!」


――

未央(……ほうほう、見覚えのないアイスがいっぱい……ん? これは……)

P「お、おっぱいアイスか。懐かしいな」

未央「ん!? ぷ、プロデューサー……お、おっぱいって、いきなり、何を」

P「ん? ……あ、いや、違うぞ? べつにセクハラとかじゃなくて、実際、そのアイスはそう呼ばれているんだよ。色んな呼び方があってだな……」

未央「……プロデューサー、アイドルにセクハラをやっちゃダメだと思うよ?」

P「だから、セクハラじゃないってのに……」

未央「だって、色んな呼び方があるってことは、他にも呼び方があるってことじゃん。それなのに『おっぱいアイス』って名前を選んだのはプロデューサーだと思うけど?」

P「いや、それは俺が昔そう呼んでいたからで……ああ、もう、すまん。すみませんでした。俺が悪かったよ。これでいいか?」

未央「うん、よろしい。……で、これ、おいしいの?」

P「あー……まあ、おいしいな。俺は好きだった。ただ、食べにくい。注意しないと、爆発する」

未央「爆発?」

P「そうだな……これはゴム状の容器に入っているアイスで、先っぽを切って、そこから吸っていくタイプのアイスなんだが、最後の方に溶けていた部分がゴムの圧力やら何やらで一気に飛び出すことがあるんだよ。それから『ばくだんアイス』とも呼ばれているな」

未央「あー……どっちの名前もなんか理解できたよ。そういう意味なんだね」

P「ああ。……で、食べるのか?」

未央「うん! 何事も挑戦、だしね」

P「じゃ、買って、ハサミを借りて、切って、食べるか」


――

未央「冷たっ」

未央(やっぱり、この季節にアイスはダメだったかな。冷たいし……吸うタイプのアイスだったら、手の体温で溶かしていかないと食べていけないし)

未央(……なかなか出てこない。これは持久戦になるかも)

P「んー……なかなか出てこないな。というか、冷たい。手で触ってられん」

未央「あ、プロデューサーも? まあ、これがこういうアイスを食べる時の宿命? なのかもねー」

P「宿命ってのはなんか違うような気もするが……まあ、駄菓子ってのは長く楽しむのも重要だからな。これもまた、正しい駄菓子の楽しみ方なのかもしれない」

未央「へぇ……長く楽しむのが重要、か。それは、やっぱり、少ないお金でどれだけ楽しめるか、っていう?」

P「たぶんな。って、これはさっき言ってた漫画に書いてあったことなんだが」

未央「漫画なんだ……」

P「でも、事実だとも思うよ。面倒くさかったりするからこその駄菓子だってな。大人になった今だと、煩わしくも思ってしまうが、あの頃はこんな面倒くささも楽しんでたような気がしないでもない」

未央「面倒くさいものは面倒くさいだけかもしれないけどね」

P「まあ、そうかもな。思い出が美化されているだけかもしれない」

未央「昔は良かった、ってやつ?」

P「そこまでじゃないが、子供の頃に戻りたいと思うことはあるな。実際に戻れるってなっても戻りたくはないがな」

未央「それはまた、どうして?」

P「未央が子供の頃に戻りたいかどうか、ってのと、たぶん、同じだな」

未央「……そっか。うん。そうだね」

P「ああ……っと、ちょっと、溶けてきたな。食べるか」

未央「うん」

未央(えーっと、力を入れて、手をむぎゅむぎゅ……っと、お、出てきた出てきた)チュー……

未央「……ん」

未央(おいしい。普通においしい。さっぱりしてる? 素朴な味って感じで、うん、おいしい)

未央(なかなか出てこなくて、でも、おいしい。うん、結構、いい感じかも)

未央(……でも、手が冷たいのはそうなんだけど、口も冷たくなってきたかも。ちょっとだけ離そうかな。でも、爆発するとか何とか言ってたしなー……)

未央(……いや、うん、もうちょっと無理。一瞬だけなら、大丈夫、だよね?)

未央(……よし、一瞬だけ、一瞬だけ――)パッ

未央「あ」

P「……何やってんだ、未央」

未央「……いや、その、冷たくて」

P「……気持ちはわからんでもないが、ハンカチ、貸してやるから、拭いとけ。少しべとつくかもしれんが……それは、まあ、事務所まで我慢しろ」

未央「うん……」

未央(……なんか、テンション、下がるかも。顔にちょっとかかったし……うー、プロデューサーの言うこと、ちゃんと聞いておけばよかったかも)

P「……しかし、もっとちゃんと注意しておくべきだったな。こうなることは予測できたのに……ごめんな、未央」

未央「え? ……ううん、私が不注意だっただけだし、これもまた経験ですよ、経験」

P「……ありがとな、未央」

未央「なんのことかわかりませんなあ」

P「……そうか」

未央「うん、そうなのです。だから――クシュッ」

未央(ん……アイスを食べたからかな。ちょっと、寒くなってきたかも。ぶるっとしてきた)

P「アイスなんか食べるからだ……って、俺も食べたんだが」

未央「だって、食べたかったんだもん」

P「『もん』って、子供か」

未央「女子高生はまだまだ子供だよ。未成年ですし?」

P「開き直るなよ……」

未央「でも、本当に寒いなー……あ、ねぇねぇプロデューサー」

P「ん?」

未央「私の身体、あたためてくれない?」

P「なっ……未央、お前、大人をからかうなよ」

未央「あはは。からかってないですよ? ただ、寒いから、あたためてくれないかなーと思いまして――んっ」ブルッ

P「……本当に寒いんだな。そうか、スカートだし、な」

未央「えへへ……まあ、美嘉ねーリスペクトと言いますか、ファッションのためなら多少の我慢は必要と言いますか? だから、寒いから、あたためてくれないかなーって」

P「……そうだな」

未央「……え?」

P「未央、ちょっと、目、つぶっとけ」

未央「え? ……いや、その……は、はい」ギュッ

未央(え? え? どういうこと? 確かに私から言ったけど、プロデューサーが応えるなんて思ってなかったし、というか、いつもならさっきみたいに言ったはずだし……え? なんで? どうして? どうして、いきなり、こんなことになってるんだろ。嫌というわけじゃないけど……で、でも、その、時と場所がちょっと理想と違うと言いますか……こ、こんなところで、私――)バサッ

未央「……へ?」パチッ

P「俺のコートだ。それでも羽織って、あたたまっとけ」

未央(……え? っていうことは、つまり……)

未央「……プロデューサー!」

P「先にやったのはお前だし、勘違いしたのもお前だ」

未央「目をつぶらせる必要はなかったと思うんだけど」

P「ん……確かにそうだな。じゃあ、ただのやり返しだ」

未央「開き直った……」

未央(……もー、プロデューサーってばー……)

未央(……でも、あたたかい、な。これが、プロデューサーのあたたかさ、なのかな――って、何思ってるんだ、私。ちょっと、変態みたいじゃん)

P「じゃあ、さっさと帰るぞ。着替えも早くした方がいいだろうし、な」

未央「えっ、あ、うん」

未央(……私はあったかいけど、そう言えば、プロデューサーもアイス、食べてたんだよね……)

未央(……よし)

未央「プロデューサー!」ギュッ

P「んっ!? ……いきなりなんだ、未央」

未央「えへへ……くっついてたら、あたたかいでしょ? コートを貸してもらったお礼だよ」

P「くっついてたら、って……お前、何度も言ってるが、アイドルなんだから……」

未央「大丈夫だって。こうしていると、顔は見えないし。……それに、私のせいで、プロデューサーが寒がってるとか、嫌だもん」

P「……とりあえず、離れろ。そのままじゃ、前が見えなくて危ないだろうし……」

未央「でも、それじゃあ、プロデューサーが……」

P「あー……そうだな、手を繋ぐくらいなら、変装もしてるから、大丈夫かも、しれないな」

未央「……それはつまり、手を繋いで欲しい、ということかな?」

P「そういうわけじゃ……ああ、そうだな。手を繋いでくれませんか、本田未央さん」

未央「いいよ、プロデューサー。……これくらいで、身体があったまるかは、わからないけど、ね」

P「……確かに、身体は、わからないな。でも、ちゃんと、あったかいよ」

未央「……そっか」

P「ああ」

未央「……このまま帰ったら、何か、言われるかな」

P「かもな」

未央「……でも、寒いから、仕方ないよね」

P「……そうだな」

未央「……えへへ」

P「どうした?」

未央「ううん、なんでもない。……ただ、あったかいな、って、思って」

P「……そうだな。うん。とても、あたたかい」



これにて今回は終了です。
まだまだ駄菓子はいっぱいありますがそれは『だがしかし』でも読んで楽しんで欲しいと思います。だがしかし、アニメ化おめでとうございます。楽しみです。

ギリギリではありますが、原紗友里さん、誕生日おめでとうございます。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係ないですが月末未央でしたね。かわいいです。引けませんでした。
デレステにも限定SSRが来ましたね。引けませんでした。ミリオンもガシャ更新ありましたね。引けませんでした。
『担当多過ぎだろ』と言われるほどに担当が居るとこんなことが起こるんですね。幸せなような悲しいような気持ちです。でも担当アイドルの新たな活躍が見れたので幸せです。

今回は『最近なんか甘い感じのちゃいちゃ話をしてないのでは……?』と思ってちょっと甘くいちゃいちゃな感じで終わらせました。甘い? いちゃいちゃ? でしたかね? たぶんそうだったと思います。書いているとあんまりわからないです。そういう風に感じてもらっていれば幸いです。

改めてありがとうございました。


――事務所

未央「ポッキーの日だよ、プロデューサー!」

P「え? ……ああ、そうだな。凛がそれで仕事だったからな」

未央「えっ……未央ちゃん、知らないんですけど」

P「いや、お前は呼ばれてないからな……」

未央「えー。どうして私じゃなくてしぶりんなのー? ぶーぶー」

P「そりゃ、凛がチョコレート好きだからだろ。仕事が決まった時、あいつ、目をキラキラさせてたからな……」

未央「しぶりん、そんなにポッキー好きだったっけ?」

P「凛が言うには、『ポッキーはすごいよ、プロデューサー。元々ポッキーは「プリッツ」にチョコレートをコーティングさせるという発想から作られたお菓子だったんだけれど、最初は全体にチョコをコーティングさせる、って考えられていたんだよね。でも、コンセプトとして「手を汚さないこと」っていうのがあったから、そこで色んな議論があったみたい。銀紙で包むとか、色々な方法が考えられた結果、今のチョコがコーティングされていない部分を作って、そこを持たせるというスタイルになったんだよ。この「手を汚さずに食べられる」っていうのはすごいよね。手を汚さずに食べられるから、いつでもどこでも食べることができる。手を汚さずにチョコレートを食べられるなんて……ポッキーは、人類の至宝だよ』らしい」

未央「愛が深すぎでしょしぶりん……そこまで深いと逆に心配だよ……」

P「実際はこの後に種類毎の良さを語られたりしたからな……あと、どうしてポッキーっていう名前になったか、なんて豆知識をつらつらと……」

未央「そこまでいくともうこわいんだけど……プロデューサー、その仕事、どうだったの?」

P「完璧だったよ。いつも通りでいて、チョコレート愛が深いことはわかるような、絶妙な感じだった」

未央「あ、ちゃんとできたんだ……」

P「ああ。凛にも『仕事なんだから私情を出したりなんてしないよ』なんて言われたからな」

未央「……しぶりん、あれで結構プロ意識高いよね。プロ意識というか、アイドル意識?」

P「そうだな。最初はもうちょっと不真面目な、今時の女子高生って感じの子だと思っていたんだが、実際は事務所でも上位に入るくらい真面目だからな」

未央「ま、未央ちゃんほどは真面目じゃないですけどね?」

P「……あ、うん。そうだな」

未央「ちょ! 何その反応! 突っ込んでくれないと未央ちゃんが可哀想な人みたいになっちゃうじゃん!」

P「いや、さすがに白々過ぎてな……」

未央「むー……そんな意地悪なプロデューサーにはもうポッキーあげないもん」

P「ん? あ、買ってきたのか」

未央「そうだよ。せっかく未央ちゃんとポッキーゲームをさせてあげようとしたのになー。残念だなー」

P「いや、アイドルとプロデューサーがポッキーゲームとかするわけないだろ……あと、ポッキーなら凛の仕事で山程もらってきたからべつにいらん」

未央「えー!? じゃあ、この未央ちゃんが買ってきたポッキーはどうすればいいのさー!」

P「食べればいいだろ」

未央「そうだけどさー……なんか、買わなくてもよかったってなると、後悔しない?」

P「……まあ、するな」

未央「だから、プロデューサーがそれを言わなかったら未央ちゃんは幸せなままだったんですよ。プロデューサー、責任、とってよね!」

P「嫌だ」

未央「冷たっ! プロデューサー、冷たくない!? 大事な大事なアイドルが傷付いてるっていうのにー」

P「……はぁ。それで、何をしろって言うんだ」

未央「おっ、乗ってくれるの? プロデューサー」

P「しつこいからな……」

未央「ふっふっふ、さすがのプロデューサーくんも未央ちゃんの美貌には逆らえなかったみたいですなぁ」

P「違うが」

未央「照れない照れない♪ それで、お願いだけど……ポッキーゲーム、しよっ」

P「それはしない」

未央「えー……何でもするって言ったのにー」

P「言ってないだろ……あー、もう、ポッキーでも食っとけ。凛が結構な量を持って帰ったが、それでも残ってるからな」

未央「しぶりん、持って帰ったんだ……」

P「まあ、好きらしいからな。さすがに常識的な量だったが」

未央「あ、常識的な量だったんだ。てっきり100箱以上持って帰ったのかと思ったよ」

P「はっはっは。……それで、ポッキーだが」

未央「ん!? 今、なんで笑ったの? なんで否定しなかったの!? というか、100箱もくれたの? 太っ腹過ぎない?」

P「いや、凛の仕事の出来が本当に完璧だったからな……凛のポッキー愛にえらく感動されたようで、一年分、くれたんだよ」

未央「一年分……って、つまり」

P「……まあ、そういうことだな」

未央「えぇー……しぶりん、どんな仕事やったの。かなり気になるんだけど……」

P「どうせまたニュースか何かでやると思うぞ。あと、CMの起用も決まったからな」

未央「しぶりん本当にどんな仕事やったの!?」

P「また見ればわかるさ。……それで、ポッキーだが、未央は何が好きなんだ? ポッキーにも色々あるが」

未央「んー……プロデューサーのおすすめは?」

P「またそれかよ……こういう菓子に関しては、未央の方が詳しそうなんだが」

未央「でも、プロデューサーも結構お菓子好きでしょ? ポッキーは昔からあるし、プロデューサーの方が詳しいんじゃないかなーって」

P「それはどうだろうな……あー、そうだな。俺は結構『極細』とか、好きだぞ」

未央「おっ、極細ですか。それはまた良いところを……何本かを一気に食べると爽快だよね」

P「ああ。冷蔵庫で冷やしておいたのを食べると、『ポキッ』と良い音が鳴るんだよな。『ポッキー』って名前になった理由を強く実感するよ」

未央「……冷蔵庫で冷やすんだ。夏じゃなくても」

P「いや、だって、冷蔵庫で冷やしておいた方が食感がいいだろ? しないか?」

未央「あんまりしないかな。だって、ポッキーって他のチョコレートのお菓子と違って、あんまり冷やさなくてもいいイメージない?」

P「んー……確かにあるかもな。人による、ってことなんだろうが……あ、そうだ、じゃあ食べてみるか? 冷やしておいてるんだよ」

未央「用意周到だね」

P「自分のためでもあるからな……っと、これだこれ、食べてみろよ」

未央「ん。それじゃあ、失礼して……」ポキッ

未央「あ、本当に『ポキッ』ってなった。一本なのに」

P「そうなんだよな。極細は何本か一気に食べてこそ、って感じがするが、あらかじめ冷蔵庫で冷やしておいたりすると一本でも十分『ポキッ』となる食感が味わえるんだよ」

未央「あと、口当たりがちょっと違うね。何と言うか、表面がやわらかくなくて、かたいというか」

P「凛が言うには、『それがあるからどっちにするか迷うんだよね』って要素らしいがな。どっちも好きだけれど、チョコレートのじんわりと溶けていくような感触を味わうためには冷蔵庫で冷やさない方がいいとか。でも、それは極細じゃなくても味わえるから……ってなんだか悩んでいたよ」

未央「……やっぱり、しぶりん、チョコレートのことに関してはちょっとおかしくない?」

P「それ、凛の前で言うなよ?」

未央「言わないけどさー……」

P「それで、未央はどうだ? どっちが好きだ?」

未央「どっちが、って……うーん、私はそこまでこだわりないかな……」

P「なっ……お前、まさか、きのこの山とたけのこの里のどっちが好きかもこだわりがないタイプか……?」

未央「それは……って、これ言ったら戦争が始まるような気がするからやめておくよ」

P「……確かにな。戦争が始まるとダメだからな」

未央「うん……でも、しぶりんってどうなんだろ」

P「どっちのことも絶賛してた」

未央「あ、だと思った」

P「本当、『何言ってるの?』って感じだったからな……どうでもいいと思っているわけじゃなくて、どっちのことも俺よりずっと思い入れが深そうだったから何も言えなかったよ……何か言ったら逆に論破されそうだったからな……」

未央「……プロデューサー、そういうこと、気にするタイプ?」

P「んー……いや、まあ、本当に気にしてるかってなるとそこまで気にしてるわけじゃないが……何と言ったらいいんだろうな、こういうことでの争いを戦争って言うことで、ストレスとかを解消しているというか……擬似的な戦争を行うことによって闘争本能を満足させているのか?」

未央「聞かれてもわからないけど……人は、戦争を求めてしまう、ってことだね……それは、悲しいことだね……ううっ、未央ちゃん、涙が出ちゃうよ」

P「白々しいにも程があるぞ……」

未央「えー……未央ちゃん、一世一代の大芝居だったのにー」

P「あれで一世一代の大芝居だったら演技に興味を持ってるとか口が裂けても言えないレベルなんだが……泰葉とかに師事した方がいいんじゃないのか?」

未央「そこまで言われるほど……? というか、冗談だってわかってるのにそこまで言われると傷付くんだけど」

P「じゃあ、泰葉に師事する話はなしってことでいいか」

未央「いやいや! それはかなり興味があるから! お願いします!」

P「ん? そうか。じゃあ、トレーナーさんなんかにも話して色々と都合を合わせておくよ。ちゃんと泰葉に聞いてから、だが……というか、未央の性格なら、もう何か聞いていてもおかしくなさそうだが」

未央「えー……モデルとか、そっちではちょっと聞いたことあるんだけど、さすがに演技指導まで、っていうのは気が引けて」

P「さすがの未央も、か。まあ、泰葉も泰葉で忙しいからな……泰葉も未央に聞きたいことは多そうだが」

未央「そうかな……正直、教わることしかなさそうだけど」

P「芸歴は長くてもアイドル歴はお前より短いだろ。それに、だからこそ、ってこともあるしな」

未央「……うん。それなら、この才色兼備な未央ちゃんが教えられることなら何でも教えて上げちゃいますよ。任せて、プロデューサー」

P「ああ。……っと、そろそろ出る時間だな。未央、ずっと話してたが、準備できてるか?」

未央「大丈夫。ポッキーゲームの準備ならいつでもできてるよ!」

P「それはしないが」

未央「こんなかわいいアイドルが言ってるのに、したくないの?」

P「したくてもしないに決まってんだろ」

未央「んん? それはつまり、したいということかな? かな?」

P「……行くぞ、未央。遅刻するわけにはいかないからな」

未央「えっ!? いや、まだまだ時間は余裕が……って、プロデューサー! 早い! 早いって! 待ってよー! 謝るから~!」



これにて今回は終了です。
ポッキーの日ということで特別編……と最後まで書いて思ったんですが前の駄菓子編と被っていますし食事描写がほとんどないですね。と、特別編だから……。
ポッキーは好きです。おいしいです。あと未央が買ってきたポッキーをすっかり忘れているようですがたぶん現場先かどこかで食べるんでしょう。いえ、私が忘れていたと言われれば否定できないのですが未央とプロデューサーも話の流れですっかり忘れていたということで……いえ、すみません。私のミスです。忘れてました。

本来なら今日はまた別のものを書こうと思っていたのですが、ポッキーの日だと気付いてしまってからはポッキーを書くしかないと思いました。でも駄菓子からのお菓子っていうのはなんだかなーと思うところもあるので次は早めにまた何か食べたいです。何にするかはちょっと迷ってます。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSと関係しかない話ですが、本SSの凛は実際の凛とは大きく異なることを明記しておきます。
いえ、本日私が別SSで書いた凛も実際の凛とは異なるのですが、本SSの凛は「チョコレート好き」という設定を誇張に誇張しているのでさすがに明記しておいた方がいいかと思いまして……。

あと月末未央は無事フリトレでお迎えできました。かわいいです。いや本当マジかわいいですねこの未央。心配になるくらいかわいいですね。いえ、いつもかわいいんですけど……数ヶ月後に見られるであろうエピソードが楽しみで楽しみでたまりません。

改めてありがとうございました。


――外

未央「ずいぶん寒くなってきたね、プロデューサー」

P「ん? 確かにそうだが……どうした、いきなり」

未央「どうした、って、私が寒くなってきたって言うことが何かおかしい?」

P「ついさっきまで卯月や凛の話をしていたのに話題が変わるのがいきなり過ぎる、ってことだな」

未央「だって、唐突にそう思ったんだもん。仕方ないでしょ?」

P「コンビニが見えるようになって、唐突に?」

未央「……バレてた?」

P「もう付き合いも長いしな。まあ、何か買って温まるとするか」

未央「やったっ。プロデューサー、ありがとね♪」


P「……ほんと、調子良いよな、お前は」

未央「お褒めいただき光栄です」

P「褒めてない」

未央「わかってる♪」

P「……ったく、本当にお前はずるいよ。むかつくが、かわいいから許せてしまう」

未央「まあ、未央ちゃんは美少女ですからねー。まさに『美しさは罪』、だねっ!」

P「うわっ、うざい」

未央「でも、許せるんでしょ?」

P「それなんだよな。本当、チョロ過ぎて自分で自分が嫌になるよ」

未央「私は好きだから大丈夫だよ」

P「……未央。やっぱり、お前はずるいよ」

未央「えへへ……」

P「とりあえず、入るか」

未央「うん」


――コンビニ

未央「コンビニも色々あるよねー……温まるって言ったら、なんだろ。おでんとか? 実は私、コンビニのおでんって食べたことないんだよねー」

P「そうなのか。じゃあ、おでんにするか?」

未央「そうしよっかなー……あ、やっぱりこれにする! 肉まん!」

P「ん、肉まんか……確かに、寒くなってくると食べたくなるよな」

未央「未央ちゃんと言えばフライドチキンだからフライドチキンを頼むのもいいんだけど、うん、今日は肉まんの気分かなー……それで、どれがオススメ?」

P「オススメって言ってもな……好みによる、としか言えない。俺も好みで買ってるからな」

未央「そっかー……じゃあ、今日は普通のにしよっかな」

P「そうか。じゃあ、買うか」

未央「うん」


――外

P「でも、未央はピザまんを頼むのかと思ってたよ」

未央「え? どうして?」

P「だって、女の子ってチーズとか好きだろ? だから、ピザまんが好きなのかな、って思ってたんだよ」

未央「いや、まあ、好きだけど……今は普通の肉まんが食べたかったんだもん」

P「その時の気分による、って?」

未央「そういうことです。わかっているじゃないですか、プロデューサーくん」

P「とりあえず、食べるか」

未央「うんうん。食べよー食べよー」


未央「あったかい……というか、ちょっと熱いね、プロデューサー」

P「冷たいよりはいいだろ?」

未央「まあ、そうだけどね」

P「これくらいなら、口の中に入れたらちょうどいいくらいだろ」

未央「……だね。それじゃあ、いただきます」パクッ

未央「あふっ……うん」

未央(うん、おいしい。この寒空の下で食べる肉まんは、どうしてこんなにおいしいんだろう。皮がふっくらもちもちとしていて、餡もしっかり味が付いている。そりゃ、コンビニとかじゃない、ちゃんとした肉まんとは全然違うんだろうけれど、コンビニの肉まんはもう『コンビニの肉まん』というジャンルだと思う)

未央(この……何て言ったら良いんだろう。『ジャンク感』とでも言ったらいいのかな。この、チープさというか、何と言うか。この感じが良いんだよね)

未央(コンビニのフライヤー商品といえばチキンもあるけど、あれもチープさが良いんだし。フライドチキン専門店のちゃんとした、って言い方はさすがにダメなような気がするけど、しっかりしたのじゃなくて、薄い鶏肉を使っていたりする、成型肉なんじゃないか、って思えるような、食感からして違うような、そんなチープさ。たまにそれがたまらなく恋しくなる。だから、コンビニのフライヤー商品はコンビニのフライヤー商品で好きなんだよね)

未央(この肉まんもそう。いや、まあ、チキンに比べるとこっちのチープさはそこまでだけど、うん、しっかりしてると思うけど、それでも、餡のあたりはやっぱりジャンクな感じがする。味が濃くて、お肉の量はそこそこで、他の具材も入っていて。たけのこの食感が特徴的かも。ザクザクとしていて、でも、そこまで多いわけじゃないから、アクセント程度かな。うん、やっぱり、おいしい。この肉まんだけで、十分、おいしい)

未央(でも、こんなにおいしいと思うのは、きっと、寒い空の下で、この熱々なものを食べているから。それから――)

P「ん? なんだ、未央。こっちを見て。あ、口に付いてるか?」

未央「……えへへ」

P「おい、なんだよ。付いてるなら付いてるって言ってくれよ」

未央「べつに、付いてないよ、プロデューサー」

P「……じゃあ、どうして笑ってるんだよ」

未央「んー……ナイショ、かな」

P「はぁ?」

未央「未央ちゃんも乙女ですからねー、隠しておきたいことはあるのですよ」

P「隠しておきたいこと、って……俺の方を見て笑っていてそれは、何と言うか、めちゃくちゃ気になるんだが」

未央「んー……それじゃあ、今から事務所まで鬼ごっこね。私を捕まえられたら、教えてあげる」

P「は?」

未央「じゃあ、いくよ。プロデューサーはちゃんと10秒数えてから、だからね」

P「いや、お前、いきなり」

未央「じゃあ……スタート!」タッタッタッ

P「だから……くそっ、10、9……」


未央(――それから、大切な人と一緒に、食べているから)




これにて今回は終了です。
早め(3時間半後)。もともと昨日書くつもりだったやつですね。今まで「いついつまでに」っていうのを破りまくってきたので今回は守りました。いや、書きたくなったので……。

この季節になるとコンビニの肉まんなんかを食べたくなりますよね。好きです。というか、コンビニのこういう商品って魅力的なんですよね。食べたことがないのがあるとつい手を出してしまいます。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとまったく関係ありませんが、城ヶ崎美嘉さん、誕生日おめでとうございます。
もしかしたら今日中に未央と美嘉と一緒に何か食べに行く、なんて話を書くかもしれません。
でもさすがにそれは無理かもしれないのであまり期待せずにいてくれたら……本当、無理かもしれないので!(強調)

改めてありがとうございました。

そろそろ寒くなってきたなー
未央とPがすき焼きでも食ってるSS読んだら心と懐があったかくなりそうだなー(チラッ
関西風は未央も食ったことないんじゃないかなー(チラッチラッ

温泉ロケでご馳走を食べる話が見たいぞ

東北の芋煮食べ比べとかして欲しいです
まあ戦争の火種になる可能性はあるけど

未央の可愛らしさが伝わる素晴らしいSSだなぁ
寒くなったので、未央+みなみんで広島の お好み焼きを紹介してほしいです 広島県民


――事務所

未央「おつかれー」

P「ああ、お疲れ――って、未央、お前、まだ居たのか」

未央「まだ居たのか、ってどういうことかな? 未央ちゃんはマジメに頑張ってたんですよ?」

P「しかし、こんな時間……終電、間に合うのか?」

未央「今日は寮に泊まるから大丈夫。……しかし、やすやす、思ったよりスパルタだね」

P「やすやす? ……もしかして、泰葉か?」

未央「そうそう。例の演技のレッスンに付き合ってもらっていたんだー。それが、なかなか厳しくてですね……」

P「まあ、あいつはな……というか、泰葉は? 一緒じゃないのか?」

未央「先に帰ったよ。あ、それと『Pさんに「お疲れ様です。夜遅くまで根を詰めて体調を崩してはいけませんよ」と伝えて下さい』って言われたから、伝えとくね。あと、これは私の言葉でもあるからね?」

P「……肝に銘じておく」

未央「そう言えば、ちひろさんは?」

P「さすがにもう帰ってる……というか、帰ってもらった。こんな時間まで付き合わせるのも悪いからな」

未央「……プロデューサーは、何、してるの?」

P「何って……仕事だが」

未央「こんな時間まで? ……さすがに、心配になるんだけど」

P「俺よりひどい人はいっぱい居るさ。それに、今日みたいなことはそんなにないよ。いつもはもっと早く帰ってるさ」

未央「そういうことを聞きたいんじゃないんだけど……まあいいや。こんな時間まで頑張っているプロデューサーくんには、ご褒美をあげましょう」

P「ご褒美? ……何をしようとしているのかは知らんが、早く帰れよ。さすがにこれ以上遅くなったら危ないだろうし」

未央「こんな時間に女の子一人で帰らせる方が危ないのでは?」

P「一人で帰らせるつもりはないし、泰葉は一人で帰ったんだろ? ――って、こんな時間に一人で帰ったのか。あいつのことだから大丈夫だろうが、少し心配だな……」

未央「あ、やすやすなら『こんなこともあろうかと、迎えを頼んでいますから』と言ってたよ。これも伝えておいて下さい、って言われたんだった。ごめんね、忘れてた」

P「いったい誰に……いや、そうか。それなら良かったよ」

未央「うんうん。でも、未央ちゃんにはお迎えなんてないのですよ。つまり、プロデューサーに送ってもらうしかないわけで」

P「ちょっと申し訳ないが、警備員さんに頼むよ。それか、俺が今すぐに送る。寮までならそこまで時間はかからないからな」

未央「……そんなに忙しいの?」

P「忙しいと言うよりは……ちょっと、今日中にまとめておきたかっただけだ。無理はしてない」

未央「本当に?」

P「本当だよ。だから、俺の心配なんてせずに帰ってくれ」

未央「……うん。でも、レッスン後で疲れているから、ちょっとだけ、居させてよ」

P「それは……ああ。だが、すぐに帰れよ」

未央「うん。……あ、ちょっとキッチン借りてもいい?」

P「キッチン?」

未央「お腹、空いたからさ。コンビニはダメ、なんでしょ?」

P「ダメってわけでもないが……料理した方がいいだろうな」

未央「ここなら食材もあるだろうから、ちょちょっと作って食べてから帰ろうかなー、と思いまして。……プロデューサーは」

P「食べたよ。一応」

未央「……そっか。わかった。じゃあ、キッチン、使うね」

P「ああ」


――キッチン

未央(一応、か……うーん、あの言い方、気になるなあ)

未央(まあ、どっちにしろ作ることは決まってるんですけどねー。と言っても、一応でも食べたのならちゃんとした料理を作っても迷惑かもしれないし……この時間だし、夜食、かな?)

未央(えーっと、ごはんは……お、まだ残ってる。というか、残ってるんだ……なんでだろ。まあ、残っているなら好都合、かな。ここは簡単に、おにぎりといきましょう)

未央(しかし、おにぎり……実は作る機会ってあんまりないよね。というか、具は何が残っているのかなー、っと)

未央(ふむふむ……あ、鮭がある。って、え、これ、切り身? なんであるの……? でも、これは確定かなー……あとは……ふむふむ。適当に入れていこー)


――

未央(お米よし、具よし……準備完了。さて、作りますか)

未央(えーと……水で手を濡らして、塩を付けて……っと。よし、握っていきますよー)

未央(ほっ、ほっ、ほっ……っと。あんまり力を入れずに、形を整える感じ……だったよね? って、おにぎりでそこまで考えることはないかな。でも、プロデューサーにはおいしいおにぎりを食べてほしいからなー……)

未央(……うん! 気合入れて、握ろう! ……あ、力は入れないけど)


――

未央「プロデューサー」

P「ん? 何……って、それは」

未央「えへへ……夜遅くまで頑張っているプロデューサーくんに差し入れですよー、っと。私も食べるけど、ね」

P「……」

未央「ん? どうして反応がないのかなー? 嬉しくない?」

P「いや、そんなことはないぞ! ただ……その、嬉しすぎて、な」

未央「……そ、そう?」

P「……ああ」

未央「……そんなによろこばれると、こっちも嬉しいよ。でも、できれば食べてから言ってほしいかも。あ、私も食べるけどね?」

P「ん、ああ。じゃあ、いただくよ」

未央「どうぞ召し上がれ♪」

P「いただきます……っと、そう言えば海苔は?」

未央「あ、それなら……なんか、二種類あったから、どっちも持ってきたよ。でも、どうして二種類……」

P「ああ、それは普通の焼き海苔を味付け海苔の違いだな」

未央「味付け海苔? っていうと……味付きの海苔?」

P「それ以外なんなんだよ……って、まあ、こっちじゃ、そこまで馴染み深くはないな。東日本では普通の焼き海苔、西日本では味付け海苔がよく使われている、って話を聞く」

未央「へぇ……確かに、味付け海苔はあんまり見たことないなぁ。どんな感じなの?」

P「どんな、って……甘辛い感じ?」

未央「それ、おにぎりで食べてもおいしいの? というか、触ったらべたべたしたりしない?」

P「べたべたは……そこまではしないが、ちょっとはするな。だが、おいしいぞ。少なくとも俺はおいしいと思ったな。普通の焼き海苔でのおにぎりも当然うまいんだが、味付け海苔は味付け海苔で良いというか……甘辛い味が邪魔をするかと思いきやあんまり邪魔をすることもないんだよな。一度食べてみてもいいと思うぞ?」

未央「そうなんだ……プロデューサーが言うなら、そうしてみようかな」

P「そうしろそうしろ。……で、具はなんだ? って、具があるのかどうかすら知らないが……まあ、入ってなくてもいいんだがな」

未央「入ってるよ。えっと……どれがどれなのか忘れたけど」

P「……そんなに種類あったか?」

未央「割りとあったよ。でも、使っちゃってよかった……んだよね? ここで料理したりすることってあんまりないから、ちょっと心配かも」

P「大丈夫だよ。使ってほしくなかったら名前を書いておけ、って言ってあるからな」

未央「よかった。そうだったはず……とは思っていたんだけれど、ちょっと心配だったからさー」

P「心配だったなら聞けばよかっただろ」

未央「だって、聞いちゃったらサプライズにならないでしょ?」

P「料理をするってことはわかってるんだから聞いてもサプライズは成立すると思うが」

未央「あー……確かに。聞けばよかったね」

P「気付いてなかったのかよ……」

未央「だって、プロデューサーのことしか考えてなかったからさー」

P「ん……そ、そうか」

未央「そうだ、よ……あの、プロデューサー。私、ちょっと、すごいこと言ったね」

P「……言ったな」

未央「……さ、さあ! 早く食べないと冷めちゃうから、食べようよ、プロデューサー!」

P「あ、ああ、そうだな! いただくよ!」

未央「どうぞ召し上がれ!」


――

P「じゃあ、まずは焼き海苔で……こいつをもらおうかな」ヒョイッ

P「とりあえず、巻いて……っと。いただきます」パクッ

P「……ん! うまい! まだ具にまで達してないから何の具かはわからないが……普通のおにぎりだけで十分うまいよ、未央」

未央「そ、そう? まあ、未央ちゃんですからねー」

未央(……良かった。というか、なんだろ、この気持ち……思ったよりも、嬉しい)

未央(安心もあるけど、それよりも嬉しい。プロデューサーだから、っていうのもあるんだろうけど……おいしいって言ってもらうのって、こんなに嬉しいことだったんだ……)

P「確かに、未央だからな。じゃあ、もう一口……」パクッ

P「……ん、鮭か。しかも、鮭フレークじゃなくて、切り身……? うん! 鮭フレークも鮭フレークでいいんだが、やっぱりこっちだよな。うまいよ、未央」

未央「そ、そう? えへへ……でも、どうして鮭なんてあったんだろ。誰か使ったのかな……?」

P「確かに、なんでだろうな。……まあ、今うまいものを食べることができているからいいってことで」

未央「確かにねー。……それじゃあ、私ももらおうかな」

P「ああ……って、俺が言うことでもないが」

未央「いやいや、べつにいいんですよ? とにかく、いただきます」

未央(えーっと……いきなり味付け海苔はさすがにこわいから、普通の海苔で、っと)

未央(うーん……自分で作ったのに、どれがどれなのかあんまりわかんない。ちょっと色が付いているやつもあるけど……正直、色々な具があったから、色が付いていてもどれがどれかまではわからないんだよね)

未央(……よし、とりあえず、食べよう)パクッ

未央「……あ、明太子だ」

P「明太子も入ってるのか……」

未央「うん。あったから……というか、この明太子おいしいね!?」

P「まあ、確か地元から送ってきてもらったのを、って話だったからな……そりゃ、うまいだろ」

未央「……そんなの使ってもよかったのかな?」

P「問題ないだろ。余ってるから持ってきたんだろうしな」

未央「そうかな? ……でも、もういただいちゃったからね。感謝しなきゃ」

P「誰が持ってきたのかは俺も知らないんだがな」

未央「……福岡出身の人って」

P「んー……鈴帆、アヤ、洋子、そら、千鶴、亜季、だな」

未央「……その誰か、ということですか。また聞いておかなくちゃいけないなー」

P「そこまで気にするんだったらホワイトボードに『ごちそうさまでした 未央』とでも書いておけばいいだろ」

未央「おっ、それもそうだね。じゃあ、後で『明太子、ごちそうさまでした☆ 未央&P』って書いておくね」

P「俺も……だな」

未央「うんうん、明太子はまだあるからねー」

P「……まあ、嬉しいんだが、っと」パクッ

P「ん……これは、ん? いや、なんだ、これ。うまいが……マヨネーズと、かつお節? それと醤油の味がするな……」

未央「あ、それはちょっと調べたら『これがおいしい』ってあったから作ってみたんだー。どう? おいしい?」

P「ああ。……ってことは、定番だけじゃなくてちょっとした変わり種もある、ってことか」

未央「具はいっぱいあったからねー。えっと……わさび菜と何かの魚の醤油漬けみたいなのがあったから、それを刻んでちょこっとごまを和えたもの……とかもあるよ」

P「は? なんだその凝った感じの料理。もうそれで白飯を食べたいんだが」

未央「いやー、なんだか色々あったから適当に作りたくなってきちゃいまして……でも、なんかおいしそうでしょ?」

P「おいしそう、って、食べてないのかよ」

未央「いや、そんな調子で食べていったらお腹いっぱいになっちゃうかなー、って……」

P「どんだけ作ったんだよ……じゃあ、とりあえず、もう一個」パクッ

P「……ん! 酸っぱ……! ……梅干しか」

未央「うん、梅干しですよ。やっぱり定番どころは必要かな、と思って」

P「まあな……しかし、酸っぱいがうまいな、この梅干し。楓さんのか?」

未央「かえ姉さまのだったの?」

P「わから……ないか。あの時にお前は居なかったしな。でも、凛や李衣菜から聞いてないか?」

未央「え? ……あ、聞いたかも。ああ、あの梅干しだったのかー……」

P「現物を見たわけじゃないからわからないが、たぶんな。しかし、うまいな、これ……未央のおにぎりがうまいってのもそうだが、かなり合ってる。もちろんそれだけで食べてもうまいんだろうが……」

未央「まあ、かえ姉さまの持ってくるようなものならなんでもおいしそうではあるけどねー」

P「あー……確かに。というか、ウチの大人組は割りとうまいものを知ってそうなんだよなあ。あるいは、俺よりも。のあとか絶対俺より知ってるぞ……」

未央「そうなの? あんまりイメージないけど……」

P「ああいう奴が意外と食に精通していたりするんだよ……っと、未央、俺ばっかりもらってるけど、食べないのか?」

未央「あ、そうだね。食べる食べる」

未央(っと、それじゃあ、次は……うん、味付け海苔に挑戦しよう)

未央(おにぎりは……っと、やっぱりどれがどれかわからないけど、味が付いているならあんまり味の濃さそうなのじゃなくて……よし、これにしよう)

未央(海苔を巻いて……っと、じゃあ、いただきます)パクッ

未央「……ん」

未央(おっ……ほうほう、こうきますか。確かにちょっと甘辛くて、この海苔単体でもおいしく食べられそうな感じ。普通の焼き海苔でも十分味はしっかりしてるんだから、こんな味付け海苔だと変な感じになっちゃいそうだけど……うん、合う。おいしい!)

未央(これは新たな発見かも! こういう味も良いなー。おいしいなー。というか、もうこの海苔が一つの具って感じ?)

未央(……っと、具といえば、まだ具を食べてなかった。えーっと、これの具は……っと。昆布だ。昆布の佃煮? ……濃いじゃん! 絶対濃いじゃん! 何が『濃そうなのじゃない』なの私!)

未央(……というか、この昆布の佃煮もあんまり見ない感じかも。細切りで、おにぎりに入れやすい感じだった)

未央(……とりあえず、食べよう)パクッ

未央「……あれ?」

未央(……なんでだろ。おいしい。プロデューサーの言った通り、邪魔してない。味付け海苔の甘辛い味が邪魔するかと思ったけど……おいしいや)

未央(うーむ……ただの塩むすびにだけかと思いきや、意外と万能なのかな、君は。味付け海苔くん、未央ちゃんは君のことを覚えましたよ)

P「ん、それ、味付け海苔か。どうだった?」

未央「おいしかったよ。というか、本当に合うんだね。今の具は昆布の佃煮だったんだけど、思ったよりもおいしかったよ」

P「そうだよな。俺も最初は合わないんじゃないかと思ってたんだが……というか、合わないと思う人も居るだろうが、俺はこれも良いと思ったな。どっちかしか受け付けないって人もそりゃ居るとは思うが……俺はどっちもおいしいと思う」

未央「私もそうかな。……うん、それじゃあ、まだまだはないけど、食べていこうか」

P「夜食にしては多いけど、な」

未央「私にとっては晩ごはんみたいなものだから大丈夫」

P「俺は夜食なんだが……」

未央「どうせプロデューサーはいっぱい食べるでしょ? さあ、食べよー食べよー」

P「……まあ、いっぱい食べるけどな。もらうよ、未央」

未央「うん、どうぞ♪」


――

P「ふぅ……割りと食べたな」

未央「うん、食べたね。まさかぜんぶなくなるとは……」

P「そんな量……だったな。でも、未央のおにぎりがうますぎたのが悪い。というか、具がずるいんだよ……お前、料理うまいだろ」

未央「そこそこだよ、そこそこ。適当にあったのを入れただけですし?」

P「それ、うまい奴の台詞だろ……」

未央「いやいや、プロデューサーもこういう感じのこと言ったことあるじゃん? それと同じですよ」

P「……そんなの言ったか?」

未央「言ったよー」

P「……そうか。でも、本当においしかった。それだけは本当だよ」

未央「……えへへ。褒められると悪い気分ではありませんなあ」

P「それじゃあ、未央。さすがにそろそろ帰れ。何だったら送るから、さ」

未央「……プロデューサーは」

P「まだ仕事、だな。……お前のおにぎりのおかげで、元気が出た。まだまだ頑張れるよ」

未央「そこまで頑張られると困るんだけど……でも、言っても、今日はやるんだよね」

P「ああ。今日は、どうしても譲れない」

未央「そっか。……じゃあ、帰るよ。一人で……でもいいんだけど、それはプロデューサーが許してくれないよね」

P「ああ。心配で心配でたまらないからな。今、ちょっと警備員さんに連絡してくるよ」

未央「警備員さん……そう言えば、警備員さんって言ってるけど、警備員さんって、そういうこともするの?」

P「ん? ……あー、ちょっと説明が難しいな。便宜上『警備員さん』って呼んでるだけで、正確には違う名前だったような……とりあえず、アイドルの送り迎えは業務内容に入っているから大丈夫だとは思うが」

未央「ふぅん……なんだか、ややこしいんだね」

P「ああ。ややこしい。……あ、もしもし、アイドルプロデュース部のPですが――」

未央(……プロデューサーが電話している内に何のお仕事か、って、ちょっと気になるけど、さすがに見ちゃダメだよね)

P「――はい、ではお願いします。……未央、ここまで来てくれるってさ。ちょっと時間はかかるらしいが……準備しておけよ」

未央「え? ……うん。わかった。待ってる」

P「ああ。……なあ、未央」

未央「なに?」

P「なんでずっと俺の方を見ているんだ?」

未央「んー……ダメ?」

P「いや、べつにダメじゃないが……何か用があるのかと思ってな」

未央「ううん、ないよ。ただ、プロデューサーの背中って、こんなのなんだなー、って」

P「……なんだか気恥ずかしいんだが」

未央「アイドルはいつもその視線に耐えてるんですよ? 我慢ですよ、我慢」

P「俺はアイドルじゃないんだが……」

未央「……少しだけ、だからさ。見せてよ、背中くらい」

P「……まあ、それで楽しいのなら、べつにいいんだが」

未央「楽しいかって言えば、べつに楽しくはないけどね」

P「楽しくないのかよ……じゃあ、どうしてやってるんだよ」

未央「んー……なんでだろ。でも、見てたいの」

P「はあ? ……いや、そうか。よくわからんが……」

未央「うん。よくわからないけど、ね」

P「……そうか」

未央「うん」

未央(……プロデューサーの背中を、どうして見ていたいのか、か)

未央(その理由はよくわからない。でも、見ていたら、胸の奥が温かくなってくる。おいしいものをお腹いっぱい食べた時みたいに、幸せな気持ちになってくる)

未央(……それが理由、なのかな。よくわからないけど……ううん、わかってる。きっと、私はわかってる)

未央(……でも、それがなんなのかは考えずに、今はただ、この幸せに浸っていてもいいよね)



これにて今回は終了です。
おにぎり編。夜食編? 実は軽食編のつもりだったんですがなんか長くなってしまいました。というか具の話だけで伸ばそうと思えばもっと伸ばせたんですが正直現時点で伸ばし過ぎだと思うので伸ばさなくて正解だったと思います。いえ、正解はもう具なんてないおにぎりだけにするべきだったのかもしれませんが。

結局美嘉と未央の話は書いていませんね。ネタはあったんですが間に合わなかったんでやめておきました。美嘉が出てくる話はいつか書くとは思いますが……いつになるかはわかりません。まあNG編で出てきていると言えば出てきていますし……?

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係云々、あと泰葉ガチャがありましたね。しかし泰葉ガチャがあったことと今回の話に泰葉が関わってきたことには関係がなかったりします。泰葉ガチャが発表される前から今回の話の導入部は半分くらい決まっていたので……。

あと、以前も書きましたが「何々をやってほしい」というのは歓迎しています。ただ、それに応じるかどうかの基準が私が「それは未央と食べに行きたい!」と思ったかどうかというだけの話で、さらに言えば食べに行きたいと思っても書くのがいつになるのかわからないというだけの話で……。自分勝手で申し訳ない話なのですが、このSSからして自己満足SSなのでそこはどうしようもないですね。まあ書かれているものはだいたい「あっ、それ良いですね……」と思っているのも事実なんですが。

ここまで読んで下さってありがとうございました。……いや、改めて見ると本当に長いですねこのSS。ここまで読んで下さって本当にありがとうございます。自分のために書いてるSS……とは言っても、やっぱり読んでもらうというのはモチベーションが上がります。毎度毎度、本当にありがとうございます。

あ、『こんな時間』と作中で言っておりますが実際に今のこの時間というわけではないので……実際はもっと浅い時間という設定なので。というか、もっと浅い時間に投稿するつもりだったんですがなんだかんだで遅くなってしまいました。いつもいつも時間も不定期で申し訳ありません。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

P「お、復活したのか……」

未央「ん? どうしたのかな、プロデューサーくん?」

P「いや、ちょっと嬉しいニュースを知ってな……コンビニに寄りたいんだが、いいか?」

未央「コンビニ? いいけど……何か買いたいものがあるの?」

P「ああ。前に食べてうまかったものを、ちょっと、な」

未央「ほうほう……それ、未央ちゃんもちょっと気になるかも」

P「未央も知ってるかもしれないが……あ、でも……」

未央「? どうかしたの?」

P「餃子だからな……におうかもしれん」

未央「餃子? それって、いつも売ってるやつ……じゃ、ないよね?」

P「ああ。正確には『鶏皮餃子』だな。皮が鶏の皮なんだが……うまいんだよ、あれが」

未央「へぇ……うーん、においは気になるけど、ブレスケア用品は持ってるし……うん、未央ちゃんも食べようかな」

P「そうか? ……とりあえず、まずはコンビニを、だな。確か、ここからいちばん近いのは――」


――コンビニ

P「これだ、これ」

未央「あ、フライヤー商品……一個六十円? 安いね。……安いよね?」

P「少なくとも俺の感覚では安いな。うまいし。未央は他に買うものとかあるか?」

未央「うーん……べつにないかな」

P「そうか。じゃあ、これだけでいいか。何個頼む?」

未央「何個……?」

P「いや、一個じゃ……って、そうか。今すぐ食べるんだもんな。何個も買っても、か……一人一個でいいか。いや、でもなぁ……」

未央「……それじゃあ何個か買っちゃえば? 私は……おいしかったら二個目もあり、ってことで」

P「なんだよそれ……べつにいいが」

未央「いいんだ……プロデューサー、これ、かなり好きだったりする?」

P「好きだな……とりあえず、買おう」

未央「ん、そうだね」


――外

P「じゃあ、ほら」

未央「ありがと、プロデューサー。……で、どうやって食べるの?」

P「いや、普通に食べるとしか言えないが……」

未央「まあ、そっか。じゃあ、いただきます」

P「いただきます、っと」

未央(ふんふむ……しかし、これは何と言うか、餃子っぽくないですなあ)

未央(餃子と言うよりはからあげっぽいビジュアル? いや、からあげではないんだけど……揚げ餃子みたいな? でもそういうのじゃなくて……うーん、なかなか説明しづらいかも)

未央(……まあ、鶏皮だよね。うん。鶏皮を餃子の形にしたみたいな。そういうビジュアル……って、そのまんま過ぎるけど、そのまんまとしか言えないかも。プロデューサーならもっといい言い方も思いつくのかもしれないけど……とりあえず、食べよう)パクッ

未央「んっ……お!」

未央(ほうほう、こんな感じですか……うん、おいしい! 鶏皮の餃子……うん、そのまんまだね。でも、おいしい)

未央(何って言ったらいいだろう。餡がぎっしり詰まってて……ソーセージっぽい? でも、味はしっかり餃子で……これは確かに口がにおっちゃうかも)

未央(皮がぱりぱり? ぷりぷり? どっちもっていうのは変な感じだけど、どっちも感じる。揚げた鶏皮って感じ? もうこの皮の時点で結構ジューシーだよね。おいしい)

未央(まあ、食感もそうなんだけど……うん、これはもう味がおいしいね。おいしい餃子みたいな……でも、普通の餃子と同じかって言うと違うんだけど……言葉にしにくいな)

未央(結構においがするんだけど、その旨味がしっかり感じられるというか。つまりにんにくとかが結構効いているわけだけど……やっぱりおいしいんだよね)

未央(うん! これ、おいしい! 結構においがするからいつでも買えるというわけではないけれど……未央ちゃんのコンビニ行ったら買いたいランキング上位にランクインかな!)

P「どうだ? 未央」

未央「ん、おいしいよ。思ったより。においは結構しそうだけどねー」

P「まあ、この時点でにおってるからな……しかし、未央がよろこんでくれて良かったよ。これが六十円って考えたら安くないか?」

未央「安いね。この味で、しかも、思ったよりもボリューミーだし? まさかあそこまでぎっしり餡が詰まっているとは思わなかったもん」

P「まあな。しかし、これを食うとごはんやらビールやらが欲しくなるよなぁ……あと、これにたれを付けてもうまいんだよな、これが」

未央「ビールはよくわからないけど……確かに、ごはんに合うような気がするね。あと、たれとかを付けてもいいかも。この時点でしっかり味は付いてるけどね」

P「うん、本当にな……あ、未央」

未央「ん? 何かね、プロデューサーくん?」

P「二個目、食べるか?」

未央「んー……うん。プロデューサーがいいなら、欲しいな」

P「それじゃ、ほら」

未央「ありがと。……でも、私はブレスケア用品を持っているとして、プロデューサーはこの後の仕事、大丈夫なの?」

P「あ」

未央「……考えてなかったの?」

P「……その、未央。悪いんだが」

未央「……うん、いいよ。というか、プロデューサーたるもの、そういうものは持ち歩いていてもいいと思うんだけど?」

P「確かにな……このまま帰ったらちひろさんに怒られるところだった……」

未央「あはは。確かに、そんなにおいを口から漂わせられたら仕事が捗らないもんねー。あと、しぶりんとかも何か言いそうではあるよね」

P「確かにな……美嘉も言いそうだし、みくなんかにも。というか、言わないアイドルの方が少ないような気がしないでもないな……」

未央「まあ、私もそんなにおいを口から出されると文句を言っちゃうかもしれないしね」

P「未央までか……それだと、ほとんどのアイドルに言われそうな気がするな」

未央「む、何その基準。あ、しまむーとかは言わないような気がするよ。においがするとは思ってもプロデューサーが傷付いたらと思って言わないタイプじゃない?」

P「卯月にそんな気を遣わせるとか絶対嫌だな……未央、ブレスケア、させてくれ」

未央「うん。はい」

P「ありがとう。……ん、それじゃあ、帰るか、未央」

未央「はーい」



これにて今回は終了です。
軽食編。おそらくは今まででいちばん雑な導入と終わり方ですね。でも軽食編はこういうのを想定していました。我ながらそれにしても雑なような気はしますが。
鶏皮餃子。半年に一回くらいのペースで売ってるんですかね? おいしいです。私は好きですね。フライヤー商品で「おお、こんなにおいしいのか……」と衝撃を受けたものの一つではあります。60円でこれなら小腹が減ったりした時には最適では? とか思っています。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あと今回のSSとは関係ないですが、前回のおにぎり編の話を今更。

いつものような書き方でいくとおにぎりを食べた時に未央はもっといい感じの感想をすると思うんですけれど、それをしなかったのは「さすがに自分の作ったおにぎりでそれはなぁ……」と思ったからだったりします。ちゃんと書いた方が「おいしさ」は伝わったように思えたんですが、未央はそれをしないだろうってことを優先した結果でもありますね。……なんだか創作裏話みたいになっちゃいましたね。どうでもいいですね。

あと前回は二種類しか海苔を出しませんでしたが、本当ならわさび海苔やら牡蠣海苔やら、色んな種類の海苔も出したかったんですよね。たぶんこの事務所なら置いてあると思います。出さなかったのはそこまですると長くなりすぎるからという前回書いたことと同じ理由ですね。

と、長々と読んで下さっている皆さんにはどうでもいいだろう話をしてしまいました。私が個人的にそういう創作秘話……いや、秘話ってほどじゃないですけど、そんな感じの話を読んだりするのが好きなので書きましたが、「べつにどうでもいい」と思われたなら申し訳ありません。読み飛ばして下さい。って、今更書いても遅いですね。

改めてありがとうございました。

P「からあげ、か……」

ちひろ「? いきなりどうしたんですか、プロデューサーさん」

P「え? ああ、聞こえちゃってましたか……その、いきなりなんですが、なんだかからあげが食べたいな、と思いまして」

ちひろ「本当にいきなりですね……でも、からあげ、ですか。それなら、ちょうどこんなものが……」

P「……からあげバーガー? へぇ、そんなものが……うん、食べたくなってきましたね」

ちひろ「でしょう? そして、プロデューサーさんは今から未央ちゃんを迎えに行くんでしたよね?」

P「……そういうことですか」

ちひろ「はい♪ 帰りに買ってきてもらえると嬉しいです」

P「わかりました。……でも、俺と未央はたぶんあっちで食べてきますよ? そりゃ、出来立ての方がおいしいでしょうし」

ちひろ「そうして下さい。じゃあ、楽しみに待ってますね」

P「じゃあ……っと、それで、二種類あるみたいですけど、どっちを……」

ちひろ「うーん……プロデューサーさんのオススメでお願いします」

P「……それ、俺がどっちも食べるって想定ですか?」

ちひろ「食べないんですか?」

P「いえ、食べるとは思いますけど……」

ちひろ「プロデューサーさんならそうだと思ってました。それじゃ、よろしくお願いしますね」

P「なんだか釈然としませんが……はい。それじゃあ、まあ、行ってきます」

ちひろ「行ってらっしゃい。お気をつけて」


――

未央「あ、プロデューサー!」

P「ああ、未央。お疲れ」

未央「お疲れお疲れー。いやぁ、今日のお仕事も未央ちゃんは完璧にこなしましたよ? まさに、パーフェクトスター! ってね」

P「らしいな。俺も鼻が高いよ」

未央「……あの、プロデューサー? ツッコミがないと恥ずかしいんだけど……」

P「実際、話を聞いた限りではそうだったからな。スタッフさんにあいさつしたらべた褒めされていたからな」

未央「そ、そうだったんだ? まあ、未央ちゃんですし? これも当然というか?」

P「……そこまで突っ込まれてほしいんか、お前は」

未央「いやー、だってスルーほど悲しいものはないですよ? よく言うじゃん。好きの反対は嫌いじゃなくて無関心、って」

P「それとこれは関係ないと思うが……」

未央「スルーは嫌われることより悲しいってことだよ! ……いや、嫌われることの方が悲しいけど!」

P「どっちだよ……」

未央「いやぁ……もし『それじゃあ嫌ってやる』とか言われたら未央ちゃん泣いちゃうかもなー、と思いまして……」

P「俺が未央を嫌うわけないだろ……と言うか、いつまでもこんなところで話しているのもなんだし、そろそろ帰るぞ」

未央「ん、そだね。帰りましょー。……っと、その前に、プロデューサー。私、ちょっとお腹が空いたなー?」

P「言われなくてもそのつもりだ」

未央「本当? えへへ、やったー」

P「それじゃ、行くか」

未央「うんっ」


――道中

未央「それで、今日行くところはどんなところなの?」

P「未央も知っている……というか、行ったことがあるだろうところだな。今、からあげバーガーとかやってる……」

未央「あ、あそこかー。ちょっと気になってたんだよねー」

P「ん、知ってたか……でも、その反応では食べてないんだな。未央ならもう食べていてもおかしくないかもしれないと思っていたが……」

未央「行きたかったんですけどねー。なかなか行く機会がなくて……」

P「まあ、そういうこともあるか。でも、それじゃあ未央を誘ってよかったよ。運が良いな」

未央「それはつまり、場合によっては連れて行ってもらえなかったということかな?」

P「今日ちひろさんに言われなかったら行かなかったかもしれないし、未央を迎えに来なければ未央を連れては行かなかったからな」

未央「ん? ちひろさん? どうしてちひろさんが関係あるの?」

P「あ、それを言ってなかった。そもそも、からあげバーガーはちひろさんから聞いたんだよ。俺は知らなかったからな」

未央「え、知らなかったんだ。プロデューサーが? 珍しいね。そういうのには詳しそうなのに」

P「それは褒めてるのか? ……まあ、アンテナは張ってるつもりだが、ひっかからないこともあるからな」

未央「そっか。まあ、そうだよね。でも、ちひろさんから聞いたってことは、ちひろさんにも買っていくの? 持ち帰り?」

P「俺たちが店で食べて、ちひろさんの分だけ持ち帰り、だな」

未央「いいの?」

P「いい……というか、結果的にそうするしかなくなったな。あれ、二種類あっただろ? それで、どっちなんですか、って聞いたらオススメを、って返されたからな」

未央「それって……ああ、プロデューサーはどうせ両方食べるもんねー」

P「お前からもその認識なのか……」

未央「合ってるでしょ? でも、未央ちゃんも両方気になってるんだよねー」

P「そうか。それじゃあ、二人で分けるか?」

未央「えっ……いいの? というか、足りるの?」

P「他のも頼むから問題ない」

未央「頼むんだ……」

P「せっかくだしな。行くのも結構久しぶりだし……未央は食べないのか?」

未央「さすがにねー。あ、でも、チキンは食べようかな。あそこのはあそこのでおいしいから」

P「からあげバーガーを食べるのに、か?」

未央「好きだから大丈夫だよ。……あ、おいしいから大丈夫だよ~」

P「わざわざ言い直す意味あるか? ……ん、見えてきたな」

未央「お、到着到着。事務所にいちばん近い店舗―」

P「って言っても、そこそこはかかるがな……それでも、これくらいの距離だったらちひろさんに渡すまでにそこまで冷めたりはしないだろう」

未央「だね。それにしても、プロデューサー、優しいね。わざわざ事務所の近くに……なんて」

P「お前でもそうしただろ? というか、仕事で疲れているのはお前の方だし、付き合ってくれてる未央の方が優しいくらいだ」

未央「まあ、未央ちゃんが優しいことは当然ですし? それはともかく、お腹も空いたし、入っちゃおー」


――店内

未央「で、注文したわけだけど……ここは来るまでにちょっと時間がかかるよね。ファストフードかって言うと違う感じ?」

P「まあ、ハンバーガーを扱っているからファストフードみたいに言われていることはあるが、実際ファストフード店かって言うと……そこまで時間がかかるってわけでもないから微妙なところだが、かかる時はかかるのも確かだからな」

未央「べつに文句はないんだけどねー。そういう店だっていうのは知ってるし」

P「そうだな……っと、言っている間に、来たな」

未央「ん? あ、ぽいね」


店員「お待たせしました」

P「はい、ありがとうございます。……ほうほう、こんな感じか」

未央「どれどれ? 見せて見せて」

P「こんな感じだな。……しかし、こっちの中津からあげバーガーとやらは、結構レモンの存在感があるな。バーガーに挟まってるのを見ると、なかなかに変な感じだ」

未央「実際見ると確かにね。でも、思ったよりも『からあげ』だね。それで、こっちが釧路ザンタレバーガー……ふむふむ、こっちはなんだか『からあげ』っぽくはないかも」

P「一応、からあげとザンギは別物だから……と言いたいところだが、からあげのザンギの違いってこういうものじゃなかったような気もするが」

未央「形だけじゃなくて味も違うっぽいから、べつにいいんじゃない? こっちは見た感じ一枚肉を使っているのかな。うん、こっちはこっちでおいしそうだね」

P「それで、未央。お前はどっちから食べる?」

未央「んー、どうしよっかなー……あ、決めた。こっちの『中津からあげバーガー』の方からで!」

P「なんで……って、もしかして」

未央「たぶんプロデューサーの思ってる通りだね。こっちの方が味が薄そうだから!」

P「確かに濃いのから食べたら味がよくわからなくなる可能性があるからな……あ、でも未央、先にレモン絞るなよ? レモンなしの味も気になってるんだからな」

未央「わかってるわかってる。それじゃ、いただきまーす」

P「じゃあ、俺も……いただきます」

未央(まずはレモンを取り除いて……っと)

未央(ふんふむ……しかし、思ったよりも『からあげ』って感じだなぁ。これはいったいどんなものなんだろう。とりあえず、いただきます)パクッ

未央「……うん!」

未央(からあげだこれ! 思った以上に見た目通りの味だね。でも、おいしい! 何と言うか、普通にすっごくおいしいからあげ。このからあげは醤油味? 他にも感じるけど、何の味だろ。未央ちゃんも合格点ですよ!)

未央(衣がサクサクしてて、でも、そこまで油っこくはないかも。思ったよりは、ってだけでそりゃあ油っこくはあるんだけど、それは一緒に挟まってる大量のキャベツで緩和されるというか?)

未央(ふんふむ……予想していたよりもおいしいなあ、これ。『からあげ!』って感じが強くて……このからあげでごはんとかを食べてもおいしいんじゃないかな。でも、『バーガー』だからこそのおいしさなのかも? どうなんだろ。ちょっと気になるかも……このからあげだけで販売してくれないかなぁ)

未央(下味がしっかりしていて、衣がサクサクしてて、カリッとしていて、肉厚でジューシーで……まさかハンバーガー屋さんでからあげのおいしさに感動することになるとは思わなかったって感じ)

未央(レモンを絞るとこれがどう変わるのか……予想はできているけれど、やっぱり気になる。……これは早くプロデューサーに食べてもらわないと!)

P「未央、そっちはどうだった?」

未央「おいしかったよ。何と言うか、見た目通りの味? 未央ちゃん的には高得点ですよー。それで、そっちはどうだったの?」

P「こっちもうまかったぞ。思ったよりも濃い味じゃあなかったし……それでも、そっちのよりは濃いだろうけどな。テリヤキほどではないが、ってところだな」

未央「ほうほう……それじゃ、交換といきますか。あ、でもプロデューサー、ぜんぶ食べ切らないでよ? レモンは絞ってもいいけど、私もレモンを絞った後のを食べたいんだし」

P「わかってるよ。それじゃ、交換だな」

未央「うん。はい、どうぞ」

P「ああ、ありがとう。こっちも、ほら」

未央「うん、ありがと。ではでは、いただきまーす」

未央(ほうほう……こっちは一枚肉なわけだけれど、『バーガー』にするならこっちの方が想像しやすいって感じではあるよね。あっちは思ったよりは食べやすかったけど……それでも、こっちの方が食べやすいとは思うな)

未央(プロデューサーの言葉では思ったよりは濃くないらしいけど……まあ、食べてみないとわからないよね。いただきます)パクッ

未央「ん……おおー」

未央(確かに、思ったよりは濃くないなー。でも、おいしい! テリヤキほどは濃くないこのタレが良いね。この濃さ、とってもうまいと思う。そこまで濃くないからこそ、このからあげ……というか、ザンギ? の味もわかるようになってる。これは一本取られましたなぁ)

未央(あと、さっきのと違ってサクサクしてなくて……衣はしっとり、って感じ。タレが絡むように、ってことなのかな。うんうん、これも良いね。じんわりと……いや、そこまで『じんわり』ってわけじゃないんだけど、味が広がっていく感じがする)

未央(テリヤキほど濃くはないと言っても薄いわけじゃないこのタレもいいなー。おいしい。というか、甘じょっぱいタレがおいしくないわけがないんだよね。甘じょっぱいというか甘酸っぱいというか? 酸味もちょっと感じるし……つまり、これは甘酢タレ、なのかな。でもただの甘酢タレかと言うと違う感じも……とにかく、日本人が好きな味って感じ? 少なくとも私は好きだなー)

未央(一枚肉だから食べやすくて、あと、ボリューミーな感じ? ザンタレは甘じょっぱくて、ジューシーで柔らかい鶏肉ともよく合っていて……うん、これはもうおいしいに決まってますよ!)

未央(ということでどっちも食べたわけですが……うーん、これはどっちの方が、っていうのは難しいなあ)

未央(何と言うか、本当に『好み』でしかどっちが上かって分けられない感じ? いや、まだからあげバーガーのレモンを絞った方は食べてないからわからないんだけど……うーん、とりあえず、レモンを絞った方を食べてから、かな)

未央「プロデューサー、食べた?」

P「ん、食べたぞ。確かに『見た目通り』だ。レモンを絞ったのも予想通りと言えば予想通りだったが……まあ、これは食べた方が早いな」

未央「つまり、それだけではないと? それは気になってきましたなあ」

P「それじゃ、また交換するか。ほら」

未央「ん、ありがと」

未央(もうレモンは絞ってくれてる……んだよね? でも、一応もうちょっと絞っておこうかなー、っと)

未央(んー……もしかして、絞り過ぎた? かも? 失敗しちゃった? ……まあ、食べてみないとわからないかな。いざ!)パクッ

未央「……お!」

未央(これ、いい! 酸味でサッパリしたって感じ! 絞ったのと絞らないのとではどっちが好きかわかれそうだけれど、私はどっちも好きかも)

未央(あと、思ったよりもからあげの味が消えないというか? 酸味で味が引き締まっているというか? うーん、これはこれで良いですなぁ……)

未央(今までで油っこくなっていた口の中もさっぱりするし……って、そうだそうだ、それじゃあこれはちょっと置いておこう、っと)

未央(実はそこそこお腹いっぱいになってるんだけど……頼んだし、これを食べなきゃモスチキン)

未央(何と言うか、『からあげ』『ザンギ』『フライドチキン』って、私、一食でどれだけ鶏肉食べてるんだーって感じだけど……いや、これは最初からわかっていたことだし、今更気にしちゃいけないよね)

未央(それじゃあ、食べよう)パクッ

未央「……ん」

未央(やっぱりおいしいなぁ、これ。表面はカリカリとしていて、中はジューシー。今のバーガーでも思ったけど、ここって割りとこういう揚げ物のクオリティ高いのかな? うん、おいしい)

未央(この味、この食感……定期的に食べたくなるなー)

未央(んー……油に油に油って感じで、身体には悪かった気はするけど、ちょっと、今、幸せかも!)


――

P「うまかったな、未央」

未央「うん、おいしかった……アイドルとしてどうなのか、っていうのはちょっとあるけどね」

P「今更だがな。で、どっちを買って帰ったらいいと思う?」

未央「どっち、って……ちひろさんの? プロデューサーのオススメでしょ? プロデューサーが決めたら?」

P「決められるなら決める……が、どっちもうまかっただろ? 決めかねていてな……」

未央「確かにね。私もどっちの方がオススメか、って聞かれたら困るもん。好みによる、としか答えられないかなー」

P「だよなぁ……よし、この際、どっちも買って帰ろう」

未央「えっ……いや、さすがにちひろさん一人で二つは食べないでしょ……」

P「でも、どっちかを選ぶのは結構キツいだろ? それならとりあえず両方買って帰ればいい。残った分は食べればいいしな」

未央「……プロデューサー、まだ食べるの?」

P「もう満足しているがまだ入る、って感じだな」

未央「プロデューサー、やっぱりいっぱい食べるよね」

P「そうか? 普通……かどうかはわからないな。そこそこ食べる方ではあるかもしれない」

未央「そこそこって、それで? ……でも、うん。なんか、男の人って感じだね」

P「いっぱい食べるのが男の人っていう基準はどうなんだ」

未央「でも、女の子よりは男の人の方がいっぱい食べるんじゃない? 傾向として」

P「まあ、確かに傾向としては、な……」

未央「だから、そういうことなのですよ」

P「どういうことだよ……とりあえず、両方頼むぞ。あと……ちひろさん、ポテトはいるかな?」

未央「どうだろ。気になるなら買っておいたら? 食べなかったら私が食べるし」

P「お前が食べるのかよ……それでよく俺に『まだ食べるの?』とか言ったな」

未央「いやいや、ポテトとバーガーは別でしょ?」

P「それはそうだが……それでも、未央もそこそこ食べてただろ?」

未央「む、それは確かに……プロデューサーの影響で、私も前よりも食べるようになったのかも?」

P「あー……かも、な。……なんかごめんな、未央」

未央「どうして謝るの? いっぱい食べる女の子、って、魅力的でしょ?」

P「それはそうなんだが……いや、そうだな。未央がそう言ってくれるなら、嬉しいよ」

未央「うんうん、いいってことですよ。……これ以上ちひろさんを待たせるのもなんだし、そろそろ注文しよっか」

P「そうだな……あ、すみません。この『中津からあげバーガー』と『釧路ザンタレバーガー』。それから――」



これにて今回は終了です。
ちょっとあるメニューのせいで店名をほとんど言っているみたいになってますね……もともと「どの店か」は特定できるように書いていますが、(できない店もあるかとは思いますが)、ここまで直接的だとちょっと……。
からあげバーガー、おいしかったです。思った以上でしたね。どっちの方が、っていうのは本当に人によると思います。そろそろ終わるみたいなので「終わる前に書かなきゃ」と思って書きました。未央は好きだと思うんですよね、たぶん。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係ないのですが今回投稿時間がこんなことになったのはちょっと途中デレステを触っていたからというか何と言うか。あそこまで走っていれば問題ないとは思うのですが……。

改めてありがとうございました。


――レッスン場

未央「――だって、そこに星は輝いているのだから……!」

泰葉「……はい。これで終わりです」

P「……うん」

泰葉「どうですか? Pさん」

P「お前が俺に聞くか? ……でも、そうだな。良かったよ」

未央「本当!?」

P「んっ……未央、いつの間に」

未央「えへへ……気になったからさー。でも、良かったよ。プロデューサーにそう言ってもらって」

P「俺に、って……泰葉に比べれば、俺の目なんて何の信用もないぞ?」

未央「それは確かにそうかもしれないけど……でも、嬉しいの」

P「……そうか」

未央「うん! ……あ、やすやす、ありがとね! ずっと付き合ってもらっちゃったから、ちょっと悪いなー、とは思うけど……」

泰葉「いえ、人に教えることが最良の勉強法と言いますし、実際、私にとっても良い勉強になりましたから。未央ちゃんの方も、飲み込みは早く、意欲的で……とっても良い生徒でしたよ」

未央「生徒ということはやすやすは先生ということかな? 泰葉先生だ」

泰葉「ふふっ、そうですね。先生です。今日は卒業式、ですけどね」

未央「卒業するにはまだ早いような気もするけどね……やすやすに比べたら、私なんてまだまだだし」

泰葉「さすがにこんな短期間で追いつかれるわけにはいきませんよ。と言っても、これからどうなるかはわかりませんが」

未央「おっ? そんなこと言っていいのかな、泰葉先生? 私、やすやすを追い抜いちゃいますよ? 師匠を超えちゃいますよ?」

泰葉「そう簡単にはさせません。私だって、努力を怠るつもりはありませんから」

未央「おお、譲らないね、やすやす。負けず嫌いだ」

泰葉「もちろんです。知りませんでしたか? 私、負けず嫌いなんです」

P「……おーい」

泰葉「あっ……すみません、Pさん。無視していたわけではないのですが……」

P「いや、べつにいいんだがな。俺としても泰葉と未央が仲良くしているのは嬉しいし……」

未央「ほうほう。女の子同士がいちゃいちゃしているのを眺めるのが好き、と……」

P「そういう意味じゃないが」

泰葉「えっ、Pさん、そういう趣味があったんですか? 私も理解がないわけではありませんが……」

P「違うって言ってるだろ!? 泰葉まで何を言ってるんだよ……お前もずいぶん言うようになったよなぁ」

泰葉「かもしれませんね。Pさんはこんな私は嫌いですか?」

P「いや……お前、それはずるいぞ」

泰葉「そうですね。すみません」

未央「でも、確かにやすやすは最初の印象からはかなり変わったような気がするなー……思ったよりも親しみやすいというか? テレビで見てた頃は別世界の住人だって思ってたけど……」

P「最初の印象ってその頃かよ……」

未央「いや、今のは冗談として、事務所で最初に見た時ともね? 最初はもうちょっと……何と言うか、もっとピシッとしていたというか? ちょっと近寄りがたかったかも……」

P「未央が『近寄りがたい』って……泰葉、お前、俺には割りと早くから打ち解けてたよな? 俺が居ないところでどういう風にしていたんだよ……」

泰葉「そ、そんな雰囲気を出していたつもりはないですよ? 未央ちゃんが言い過ぎなんです」

未央「えー? でも、初期のやすやすって『子どもの頃からずっと芸能界で生きてきたんです。だから、華やかなだけの世界じゃないってわかってる……』みたいな感じじゃなかった?」

泰葉「なんでそれ知ってるんですか!?」

P「一応言っておくが、俺は知らんぞ」

未央「ちょっと聞く機会があってねー。他にもあるよ? 『パレードなんて全部造り物……』とか!」

泰葉「そ、それは……! ……もう! 未央ちゃん!」

未央「えへへ、ごめんなさーい」

泰葉「……次に言ったら、私が持っている未央ちゃんの弱みをぜんぶ言いますからね」

未央「ひぃっ! やすやすが言うとなんか本気っぽくてこわいんだけど!? ごめんなさい! もうしませんから許して下さい、泰葉先生!」

泰葉「約束ですよ? もう、未央ちゃんったら……」

P「……そう言えば、泰葉。お前、未央は『ちゃん』付けで呼ぶんだな。珍しい」

泰葉「珍しいというほどではないと思いますが……いえ、確かに最初は『未央さん』と呼んでいたんですが」

未央「私が『さん』付けはやめてって言ったんだよ。距離を縮めるためというか?」

P「あー……確かに、未央ならそうか。泰葉は大丈夫か? うざいとか思ってないか?」

未央「うざっ……!? ねぇ、プロデューサー。それはさすがにひどくない?」

P「そうか? 当然の扱いだと思うが」

未央「ぐぬぬ……違うよね、やすやす!? 私、うざくなかったよね!?」

泰葉「えっ……は、はい、そうですね。うざくなかった……うざくなかったと思いますが」

未央「えっ、何その言い方……もしかして、うざかった? も、もしそうなら、ごめんね」

泰葉「……ふふっ。ごめんなさい。冗談です。本当に、うざいなんて思ってはいませんよ。そもそも、Pさんなら未央さんがこの程度の距離感をわかっていないなんてことはないとわかっているでしょうに……意地悪なのはPさんです」

P「乗っかった泰葉も大概だろ」

未央「私からすればどっちもひどいよ……未央ちゃん、本当にショックだったんだからね? もしうざいと思われていたら……って。しくしく」

P「それ絶対思ってないだろ……」

泰葉「思ってないですね……」

未央「え? バレた? むぅ、おかしいなあ。私、演技力向上したと思うんだけど……」

P「あれが本気の演技だったらレッスンも一からやり直しだな」

泰葉「そうですね。一から前よりも厳しくしなければなりません」

未央「ストップストップストップ! さすがにそれは無理だから!」

P「冗談だ」

泰葉「冗談です」

未央「もう……心臓に悪いんだけど。本当にやめてよね……」

P「……なあ、泰葉。未央がこの反応って、お前、どれだけ厳しくしたんだよ」

泰葉「? 普通だと思いますが」

未央「えっ」

P「……今の未央の顔、本当に絶望したみたいな表情だったんだが」

泰葉「おかしいですね……私としては、本当に平均的なレッスンしかしていないつもりなんですが……」

未央「あ、あれが、平均……?」

P「……なあ、泰葉。お前、今までに人に教えたことは?」

泰葉「そうですね……演技に関しては、ここまで本格的に教えたのは初めてかもしれません。確かに未央ちゃんは飲み込みも早くて少々熱が入ってしまったとは思いますが……」

P「絶対それだろ……」

泰葉「そうですかね? では、今後は気を付けようと思います」

P「そうしてくれ……」

未央「……プロデューサー! やすやす!」

P「ん? なんだ、いきなり」

泰葉「なんですか、未央ちゃん」

未央「お腹すいた! ごはん食べに行こ、ごはん!」

P「あー……まあ、そうか。未央も頑張ってたしな。そりゃ、腹も減るか」

泰葉「どこかに行くんですか?」

P「そのつもりだが……ん、そうだな。泰葉が居るなら……うん、決めた。とりあえず、二人は着替えてこい。俺も準備をしてくる」

未央「はーい」

泰葉「わかりました。ありがとうございます」

P「じゃ、また後で、な」


――

未央「それで、結局どこに行くの?」

P「泰葉の出身地が関係している、って言えばわかるか?」

泰葉「私の……? あ、もしかして」

P「たぶんそこだな。長崎ちゃんぽんの店、とでも言ったらいいのか?」

泰葉「『長崎ちゃんぽん』も店名に含まれていますけどね。実は私もそこまで行ったことはないのですが……」

P「そうなのか? 意外だな。……でも、そうか。そう言えば、長崎の人は『ちゃんぽん』と言えば自分の家で作るもの、なんだったか」

泰葉「そうらしいですね。でも、それとはまた別の理由です」

P「それは……いや、すまん。配慮が足りなかったな」

泰葉「いえ、気にするほどのことではありませんよ。あまり行ったことがないからこそ、楽しみでもありますし」

P「そうか? なら良かった。で、未央はどうだ?」

未央「えーっと、ですね……実は、私は行ったことなくて……聞いたことはあるんだけどね」

P「ん、そうか。『ちゃんぽん』は食べたことあるか?」

未央「それも、実は……」

P「そうなのか。って、まあ、そうか。関東とかだとあそこくらいしか食べる場所もないだろうからな。長崎だともっと食べるところもあるんだろうが……」

泰葉「と言っても、長崎の人に『長崎でおいしいちゃんぽんの店は』と聞いても今から行くところを挙げる方も多いみたいですからね。真奈美さんや柑奈さんもそう言っていましたから」

P「そうなのか? 長崎にはもっとうまいところがあるのか、って思ってたんだが……」

泰葉「正確には「あそこがいちばん無難』ということみたいですけどね。他にもおいしい店はありますが、価格や誰の舌にも合うなどといった要素を組み合わせて、ということみたいです。そもそも、先程Pさんが言った通り本来は家庭料理ですからね。あまりオススメの店、というのもないのかもしれません」

P「ああ、そうも考えられるな。大阪に住んでいたからと言って誰でもオススメのたこ焼き屋を答えられるわけではない、みたいなもんか」

泰葉「大阪の事情は知りませんし、長崎の事情もあまり詳しいとは言えませんが、そういうことかもしれませんね」

P「俺も大阪の事情も長崎の事情もよくは知らんがな。前にみくに『オススメのたこ焼き屋は』って聞いても『……実はよく知らないにゃ。ナイショだよ』って言われたから言ってみただけで」

未央「んん? プロデューサー? 今、ナイショって言われたのにバラしてるよね?」

P「あ。……ナイショだぞ?」

泰葉「わざとじゃなかったんですか……」

P「わざとそんなことをするわけないだろ?」

未央「いや、プロデューサーならやりそうだけど……相手、みくにゃんだし」

P「みくだからってからかってばかりはいないさ。俺は割りとみくに対して愛を持って接していると思うんだが」

未央「その愛、歪んでない? ……でも、さっきの話って、『地元民は意外とその土地の特産物に詳しくない』っていうよくある話だよね。長崎とか大阪だけじゃなくて」

P「お、確かにそうだな。そう考えると当然と言えば当然か」

泰葉「言われてみればその通りですね。……あ、見えてきましたが、あそこ、ですよね?」

P「そうだ。さて、何を頼むかな……」


――店の中

P「さて、何を頼む?」

泰葉「いきなりですね……うーん、どうしましょうか」

未央「プロデューサーはどうするの? というか、あんまり種類はないけどね」

P「まあな。大きく分けて『ちゃんぽん』か『皿うどん』か、ってところで、あとは野菜たっぷりにするかどうかとか、か……個人的にここの餃子は好きだから頼みたいんだが」

未央「……プロデューサー? やすやすも居るのに、餃子は……」

泰葉「ここの餃子は確かにんにくを使っていないのでにおいに関しては気にする必要がありませんよ。ですよね? Pさん」

P「その通りだ。にんにくは使ってないんだが、うまいんだよな。にんにくのにおいを気にせず食べれてうまいってのは俺よりもお前らの方が嬉しいんじゃないか?」

未央「確かに……うん、嬉しいね」

泰葉「それじゃあ、餃子は頼むとして……他のメニューはどうしましょうか」

P「それが悩みどころなんだよなぁ……普通のちゃんぽんなら大盛りにできるんだが、野菜たっぷりも良いんだよなぁ。皿うどんも皿うどんでうまいし……」

泰葉「Pさんがどれくらい食べるのか私は知りませんが、確かに食べる方なら大盛りにしたくはありますよね……私としては、普通のものを食べるだけで十分満足なんですが」

未央「ほうほう……正直私はここに来るのが初めてだからよくわからないけど、話の流れで何を頼めばいいのかはわかりましたよ?」

P「本当か? 未央」

未央「本当ですとも。ふっふっふ、教えて欲しければ――」

泰葉「Pさんが大盛りにして私が皿うどんか野菜たっぷりの皿うどん、そしてここに来るのが初めてである未央ちゃんが普通のちゃんぽんか野菜たっぷりちゃんぽんを頼む、というのがいいのではないでしょうか。私はそこまで食べる方ではありませんし、Pさんにも未央ちゃんにも分けることができると思います」

P「おお、確かにそうだな。それだとうまくいく。ありがとう、泰葉」

泰葉「どういたしまして」

P「それで、未央。未央は普通のちゃんぽんか野菜たっぷりちゃんぽんのどっちにするんだ?」

未央「……未央ちゃんが言いたかったのに」

P「お前が面倒なことをするからだ。で、どうする?」

未央「むぅ……野菜たっぷりっていうのは、そのまま野菜たっぷりってことだよね? つまり、ここは野菜が有名なの?」

P「野菜がおいしいことで有名ではあるな。あー……もし野菜たっぷりにして食べ切れなくなっても俺が食べるから、野菜たっぷりの方にしておくか?」

未央「んー……そだね。じゃあ、それで」

P「よし。で、泰葉はどうする? どっちにする?」

泰葉「そうですね……未央ちゃんがそっちを選ぶなら、私は普通の皿うどんを」

P「わかった。じゃ、決まりだな。あと、みんな餃子も付ける、でいいか?」

未央「うん。私はいいよ」

泰葉「私もです」

P「よし。じゃ、注文して待つとするか」


――

P「で、来たわけだが……うん、久しぶりに見るとやっぱりうまそうだな」

未央「……ねぇ、プロデューサー」

P「ん? なんだ? 未央」

未央「……これ、野菜、思ったより多いんだけど……」

P「うまいから問題ない。余ったら俺も食べるしな」

泰葉「そこは『おいしいから大丈夫だよ~』じゃないんですか?」

P「泰葉……お前、そんなこと言うキャラだったか?」

泰葉「未央ちゃんに毒されましたね」

未央「ちょっとやすやす? どうして勝手に私のせいにしているのかな?」

泰葉「実際、これに関しては未央ちゃんの影響もあるかと思いますが……未央ちゃん、たまに言っていたじゃないですか」

未央「う……ま、まあ、言ってたけど」

泰葉「なので、未央ちゃんのせいです。責任取って下さいね」

未央「せ、責任って……そ、それはつまり、私と結婚したい、ってこと……?」

泰葉「そういう意味ではありませんが……確かに未央ちゃんと結婚したら楽しそう……一考の価値はありますね」

P「……お前ら、茶番もそこそこにして、食べろよ。冷めるし、伸びるぞ」

未央「はーい。じゃ、いただきまーす」

泰葉「はい。いただきます」

P「……いただきます」

未央(さてさて……って、いや、でもやっぱり野菜の量がめちゃくちゃ多いよね)

未央(うーん、これ、どこから手を付ければいいのか……とりあえず、混ぜとく?)

未央(まぜまぜ……っと、そうしたら、とりあえず野菜を……)パクッ

未央「……えっ」

未央(おいしい……思った以上に、おいしい。ここ、チェーン店だったよね? それなのに野菜がこんなにおいしいって……そんなおいしい野菜がこんなに? ちょっと、思った以上にすごいかも)

未央(このスープは……なんか、スープと麺を見ていると、ちょっとラーメンっぽいなー。似た感じなのかな? 見た感じ……豚骨味のスープ? まあとにかく、一口……)ズズ……

未央「ん」

未央(豚骨。たぶん豚骨味だ。でも、それだけじゃないような気もする。ラーメンとかの豚骨味とは違う……なんて言ったらいいんだろ。とにかく、違う。違うんだけど、おいしいな。なんだかやわらかくて、優しい味、って感じ?)

未央(今のところはとっても良い感じ。それじゃあ、麺は……っと)ズズ……

未央「……うん!」

未央(おいしい! ラーメンとはまた違う感じで、これが『ちゃんぽん』かぁ……うん、うん! おいしい! これはなかなかにポイント高いかも!)

未央(野菜以外の具材もあって……うん、これもおいしい。でも、長崎県では家庭料理、っていうのもちょっとわかるかも。この優しい感じの味は、なんだか家庭料理っぽい。でも、おいしい)

未央(野菜たっぷりにしているからかな。野菜の味もスープに溶け出しているみたいに感じる。このスープが良いんだよね。何と言うか、安心する味といいますか? ほっとするといいますか? 心も体も温まる、って言う感じ?)

未央(うーん……これは良いですなあ。思った以上に野菜がおいしいし……この量でも食べ切れるかも?)

P「口には合ったか? 未央」

未央「うん。思ったよりもおいしいよ。最初この野菜の量を見た時にはびっくりしたけど……これだけおいしいなら、食べられるかもね」

P「余りそうだったら遠慮なく言えよ? 俺が食べるからな」

未央「うん。それは、言うよ。ありがとね」

泰葉「未央ちゃん、未央ちゃん」

未央「ん? なにかな、やすやす」

泰葉「この皿うどん、一口、どうですか? できれば私もちゃんぽんを一口いただきたいんですが……」

未央「いいの? じゃあ、お言葉に甘えよっかな―。交換しよっか」

泰葉「はい」

未央「あ、やすやす。野菜なら遠慮なく食べてね? いっぱいあるから、さ」

泰葉「そうですか? わかりました。ありがとうございます」

未央「どういたしまして」

未央(それで、こっちが皿うどん……うん、揚げられた麺の上でちょっととろっとしたあんに具材が……って、この具材ってちゃんぽんのと同じ? 実はちゃんぽんと何か関係あるのかな……)

未央(ちょっと触ってみると……おお、パリパリしてそう。あんでちょっとしっとりはしてるけど、それでもパリパリしてそうだなー。これはなんだかおいしそうかも!)

未央(ということで、一口、いただきます……っと)パクッ

未央「……おお!」

未央(これはおいしい! ちゃんぽんとはかなり違うね。こっちの方が濃いというか、直接的というか? じんわりとかじゃなくて、ダイレクトに味を感じるといいますか。このとろっとしたあんがそうさせているのかな。この濃くて、甘い感じの味……好きだなー、これ)

未央(パリパリした麺もいいね。ちゃんぽんよりも細くてパリパリとして、でもちょっとしっとりとしていて……正直、この麺だけでもいい感じ! でも、具材も一緒に食べてもおいしいっていう? ……まあ、それはちゃんぽんでも一緒か)

未央(でも、これは思った以上のお店ですなぁ……ちゃんぽんも皿うどんもおいしいし、でも味は全然違っていて……うん! これはかなりの高得点だね!)

未央(ふんふむ……これでまだ食べてないのは餃子だけ、っと。どうなんだろ、この餃子。まあ今までどっちもおいしかったんだから、これもおいしいような気がするけど……いざ)パクッ

未央「……ん!」

未央(やっぱりね! おいしい……これはおいしいですよ!)

未央(ちょっと小ぶりで、一口サイズ? でも……うん、これ、いいね。パリパリなところとちょっとふにゃふにゃしてるところがある? 具はしっかりは詰まってないけど……でも、うん、いいね)

未央(タレを多めに付けて、それで、食べる……んー! おいしい! しかも、これでにんにく使ってないんだよね。これは良いね! まさかこんなお店でこんなおいしい餃子が食べられるとは思っていませんでしたよ!)

未央(うん、未央ちゃん、大満足! って、まだまだ残っているんだけど、それがちょっと楽しみなくらいは満足だなー)

未央(さて、食べるぞー!)


――店の外

未央「……さすがに、ちょっと多かったね」

P「キツかったんだったら言えよ……俺が食べる、って言ってただろ」

未央「いや、だって、おいしかったから……うー、野菜をいっぱい食べてなんだか健康的な気分だけど、お腹がいっぱいで不健康な気分……」

泰葉「見事に相殺してますね……」

未央「うー……でも、おいしかったからいいもん! お腹いっぱいってことは満腹ってことですし! 満腹ってことはすなわち満足ってこと。満足ってことはつまり幸せってことだもん!」

P「どういう論法だよ……でも、そうだな、そこまでキツいなら――」

泰葉「? どうかしましたか? Pさん」

P「いや、何でもない……そうか、泰葉が居るんだよな……」

泰葉「聞こえてますよ? Pさん」

P「んっ!? い、いや、泰葉、勘違いするなよ? べつに泰葉の存在を忘れていたとか、そういうことじゃなくてだな……」

泰葉「わかってますよ。Pさんがそんな人じゃないってことはわかってますから。でも、それならさっきの反応は……あ、Pさん」

P「な、なんだ?」

泰葉「未央ちゃんと二人きりでしかやらないこと、ありますか?」

P「なっ……い、いきなり何を言うんだ、泰葉」

泰葉「Pさん、やっぱり嘘は下手ですね。……でも、この状況で、二人きりでしかやらないこと……そういうことですか」

P「……何が『そういうこと』なんだ?」

泰葉「いえ、前に大阪に行った時のことを思い出しただけですよ。私はその現場を見たわけじゃありませんが、話には聞きましたので。あの時と同じことをしようとしていたんでしょう?」

P「……お前は探偵か」

泰葉「アイドルです。あなたがプロデュースした、アイドルです。そんなことも忘れたんですか?」

P「いや……忘れるわけないだろ。お前は俺の大切なアイドルだよ、泰葉」

泰葉「ふふっ、ありがとうございます、Pさん。……でも、そう思っているのなら、私のことも信頼して下さい。大丈夫です、少し妬けちゃいますけど、自分のアイドルが困っているところを放っておくような人は、私のプロデューサーではありませんから」

P「……そうか。そう言ってくれるなら、ありがたいよ」

泰葉「どういたしまして」

未央「……ねぇ、二人ともー? 未央ちゃんを放って何を喋っているのかなー? 未央ちゃん、ちょっと悲しくなってきたんだけど……」

P「いや、なんでもないよ。な、泰葉」

泰葉「なんでもはありますけど、未央ちゃんは知らなくてもいいことですよ」

未央「そんなこと言われたら気になるんだけど! どういうこと? 何を話してたの?」

P「だから、未央が知らなくてもいいことだ。……なあ、未央。お前、腹がいっぱいで苦しいんだよな」

未央「え? ……いや、苦しいってほどじゃないけどね。お腹はいっぱいだけど……」

P「あー……それでも、まあ、あのレッスンの後だからな。その、なんだ……背負ってやるから、乗れ」

未央「……」

P「……は、早く乗れよ。この体勢でいるの、恥ずかしいんだか――」

未央「プロデューサー」ギュッ

P「んぅ!?」

未央「えへへ……ありがとね、プロデューサー。そういう優しいところ、好きだよ」

P「……その、未央? ちょっと、勢い、良すぎ……」

未央「……痛かった?」

P「……割りと」

未央「……ごめんなさい」

P「いや、まあ、いいんだが……未央の方こそ、大丈夫だったか?」

未央「え? まあ、私は大丈夫だったけど……」

P「それならいい。……じゃあ、帰るか」

未央「うん」

泰葉「……お二人さん、私を忘れていませんか?」

P「……忘れてないぞ」

未央「忘れてないよっ」

泰葉「そうですか。なんだか……いえ、言わないでおきます」

P「ん、なんだ? 気になるだろ」

未央「そうそう。気になるから言ってよー」

泰葉「たぶん、私が言うべきことではないので……そうですね、もし知りたいのなら、私を捕まえてみて下さい。では、よーい、どん」タッタッタッ……

P「はぁ!? おい、俺は未央を背負ってるんだぞ?」

未央「プロデューサー! 早く早く! やすやす、逃げちゃうよ!」

P「未央、お前、乗せてもらっておいて……!」

未央「いいから! プロデューサー!」

P「ああ、もう! わかったよ! 追いかければいいんだろ!」ダッ

未央「そうそ――ひゃっ!」

P「ん? どうし……あ」

未央「……うぅ、じゃあ、こうすれば!」ムギュッ

P「んなっ……! 未央、お前、それ……」

未央「いいから! ほら、早く行かなきゃやすやすがどんどん先に行っちゃ……って、こっちを振り向いた……?」

P「……すごくわかりやすく煽ってるな」

未央「……プロデューサー! 行こう! これは負けてられないよ!」

P「……わかった。じゃあ、行くぞ!」

未央「おー!」



これにて今回は終了です。
この店は好きですね。ちゃんぽんも皿うどんもどっちも好きです。餃子も好きです。ひょっとしたらこの店のものは全部好きなのかもしれません。最近あまり行けていないので行きたいです。

未央と泰葉は相性が良いと個人的に思っています。いつか女優になりたい少女と元子役の少女。演技に興味を持っている子と演技を既に身に付けている子。これに未央の性格を合わせると、きっと仲良くなっていると思います。いえ、泰葉も担当だからこういう風に思っているだけなのかもしれませんが……。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あとSSとは関係ないですが明日からライブですね。楽しみです。
あとちひろさんの誕生日だからちひろさんのを……とはさすがに無理ですが。ちょっと余裕がないというか、時間がないです。

改めてありがとうございました。

未央(この気持ちに気付いたのはいつのことだっただろう)

未央(この気持ちが芽生えたのはいつのことだっただろう)

未央(プロデューサーに出会ってから、色んなことがあった。しまむーやしぶりん、他にもたくさんの人たちと仲良くなることができた)

未央(私の笑顔でみんなが笑顔になってくれる。それは本当に楽しくて……幸せで)

未央(アイドルって、やっぱり私の天職だな、と思う。アイドルになって本当に良かった、って)

未央(だから、なのかな。……ううん、きっと、それだけじゃない)

未央(ただ、『アイドルにしてくれた』ってだけじゃない。そんなことはわかってる)

未央(でも、それ以外の何が理由なのか、なんて聞かれると困っちゃう。いくつも思いつくけれど、そのどれもがそれだけでは理由にはならないと思うから)

未央(CDデビューの日。ライブの日。そういったイベントだけじゃなくて、もっとたくさんの思い出がある)

未央(数え切れないほどの思い出。きっと、そのすべてがあるから、なんだと思う。そのすべてが、私の今の気持ちをつくっているんだと思う)

未央(この気持ちに名前を付けるとしたら……って、そんなの、わかりきっているよね)

未央(私は恋をしている)

未央(……アイドルなのに、こんな気持ちを抱いてはいけないってことはわかってる)

未央(でも、それでも、ダメだとわかっていて消すことができるようなものなら、誰も苦労はしないだろうし、誰も過ちを犯すことなんてないと思う)

未央(なんて、これはちょっと都合が良すぎるかな。自己正当化してるだけ、って感じ)

未央(……正当化とか、そんなことじゃなくて、単なる事実として、私は恋をしている。恋をしてしまっている)

未央(もちろん、ファンのみんなも、事務所のみんなも大切だから、今すぐにどうかしたいなんて思ってない)

未央(私にとっては、アイドルも同じくらい大切で……アイドルの方が、今は、大切だから)

未央(……普段プロデューサーにあんなことをしている私がこんなことを言っても説得力はないかもしれないけど、ね)

未央(と言っても、プロデューサーが私の気持ちに気付いているかって言うと……どうだろ。あそこまでアプローチしていて何も手を出されないってことは……でも、手を出されたら出されたで……)

未央(……私、面倒くさいかも。でも、恋って、こういうものなのかな)

未央(甘くて、苦い。心が浮き立つような幸せで、息が詰まるように苦しい)

未央(……恋って、こういうものだったんだ)


――事務所

未央「みんな、ありがとー! 私、今日は最高の誕生日だよ! 一生忘れないからねー!」

美嘉「なんかそれ、ライブでファンのみんなに言うみたいな言葉だね」

未央「いやいや美嘉ねー。みんなも未央ちゃんのファンでしょ? 私が美嘉ねーやみんなのファンなのと同じでさっ!」

美嘉「それとこれとは別だと思うけど……ま、未央がいいならいいんだけどね★」

未央「おー! 美嘉ねーわかってるぅ! そうそう、未央ちゃんがいいならいいんですよ! みんな、今日はたくさん楽しんで、たくさん未央ちゃんを祝ってねー!」

李衣菜「それ、自分で言う? 未央ちゃんらしいと言えばらしいけど……」

未央「えへへ、褒めてくれてありがと、りーな!」

李衣菜「いや、褒めてないけど……」

未央「えー? でも、私らしいんでしょ? 自分らしくいられるのって、最高じゃない?」

李衣菜「……確かに、そういう考え方もできるかも……?」

美嘉「ちょちょ、李衣菜ちゃん。流されないで。さっきの李衣菜ちゃん、明らかに褒めてなかったから……」


――

P「……」

凛「プロデューサー、どうしたの? 一人だけ離れた場所に居て」

P「ん、凛か……お前もどうした。あの中に入らなくてもいいのか?」

凛「うん。私たちはニュージェネでもう祝ったから……それに、今日は未央が主役なんだからさ。みんなも未央と話したいだろうしね」

P「なんだその言い方。暗に『未央は自分のもの』って言っているように聞こえるぞ」

凛「……そんなつもりはないけど」

P「そうか?」

凛「そうだよ。と言うか、私がそうなら、プロデューサーもそうならない?」

P「は? どういうことだ?」

凛「だって、プロデューサーが離れているのも私と同じ理由でしょ? ……それはつまり、『未央は自分のもの』って言っているようなものなのかな、って」

P「そんなことはないが……いや、ごめんな。さっきの俺は意地悪だった」

凛「いいよ、べつに。……未央、楽しそうだね」

P「……そうだな。本当に、未央はいつも楽しそうだ。そんな姿を見ていると、元気をもらえる。凛もそうだろ?」

凛「それは……うん、そうだね。未央はすごいよ。卯月もそうだけど……いつも笑顔で、楽しそうで、そんな姿がみんなを笑顔にする……やっぱり、『アイドル』だな、って思う」

P「おいおい、自分もアイドルのくせに何言ってるんだよ」

凛「……そうだね。今のは確かに、ちょっと、変だったかも」

P「そうだな、変だった」

凛「そこまで言う? ……もう」

P「すまんすまん、悪かったよ。許してくれ」

凛「……ふふっ、べつにいいよ。そこまで気にしてないから」

P「気にしてないのか……ならもっと言っても」

凛「それはダメ。私もちょっと怒るよ?」

P「それは嫌だな。やめるよ」

凛「うん。そうして」

P「ああ。そうする」

凛「……」

P「……」

凛「……ねぇ、プロデューサー」

P「ん?」

凛「この後、未央と二人でごはんを食べに行くんだよね」

P「まあ、そうだな」

凛「デート?」

P「……違う」

凛「違うんだ? ……ふふっ、ごめんね。今のは意地悪だったかも。でも、さっきのやり返しだから」

P「……そう言われると返しにくいな」

凛「そう? そうかな。そうかも」

P「そうだ」

凛「そっか。……ねぇ、プロデューサー」

P「ん?」

凛「二人きりだからって、未央に変なことはしないでね」

P「しないに決まってるだろ……俺を何だと思ってるんだよ」

凛「うん。プロデューサーなら絶対にしないと思ってる。……でも、何もしない、っていうのも、なしね」

P「どっちだよ」

凛「何もしないつもりだったの?」

P「……」

凛「……やっぱり、プロデューサー、わかりやすいね」

P「……くそっ。お前、未央や加蓮に影響されてるだろ。あと、奏なんかにも影響されてそうだな」

凛「影響は……うん、されてる、のかな。されてると思うよ。でも、もし私が変わったんだとしたら、それはプロデューサーのせいだと思うよ」

P「それは……いや、そうか。そうか?」

凛「そうだよ。プロデューサーのせいで、プロデューサーのおかげ。卯月や未央と会えたのも、プロデューサーのおかげだしね」

P「……まあ、俺はきっかけでしかないけどな。その後のことは、ぜんぶお前らが勝手にやったことだ」

凛「でも、プロデューサーが居たからだよ」

P「……それは、そうだが」

凛「……プロデューサー」

P「なんだ?」

凛「私たちをプロデュースしてくれてありがとうね」

P「……なんで今のタイミングで言ったんだよ」

凛「……確かに、未央の誕生日パーティーだって言うのに、ね」

P「本当にな」

凛「でも……そうだね。私が今言ったのは『わかってる』ってこと。少しは……うん。少し寂しいような気持ちにはなるけれど、それよりも、幸せだから」

P「……ちょっと、話が飛びすぎじゃないか?」

凛「でも、伝わってるでしょ?」

P「……まあ、な」

凛「じゃあ、いいでしょ? ……だから、プロデューサー」

P「……ああ」

凛「未央を、よろしくね」

P「……任せとけ。なんたって、俺はお前たちをプロデュースしてきたプロデューサーなんだからな」

凛「……プロデューサーがしていいことかは、わからないけどね」

P「それ言うか? 今の台詞で締めとけば格好も付いたのに……」

凛「それはプロデューサーらしくないから」

P「どういう意味だよ」

凛「そういう意味。……それじゃあ、そろそろ私もあそこに混ざってくるよ」

P「……ああ。楽しめよ」

凛「うん、楽しんでくるよ」


――

未央「茜ちん! あーちゃん! やっぱり私は、二人のことが大好きだー!」ギュッ

藍子「きゃっ……もう、未央ちゃんったら。……ふふっ」

茜「私もです! 未央ちゃん! 藍子ちゃん! 私も、二人のことが大好きです!」ギュゥゥゥ!!!

藍子「んっ!? ……あ、茜ちゃん、ちょっと、力、強すぎ……」ガクッ

未央「あ、あーちゃん!? あーちゃーん!」

茜「あ、藍子ちゃーん! ……ど、どうして、どうしてこんなことに……!」

未央「あーちゃん……君のことは、絶対に忘れないからね……!」

みく「……どうして今日の主役がコントをやってるの?」

未央「おっ、みくにゃーん。コントとは心外な。私たちは大真面目ですよ?」

みく「いや藍子チャン、ピンピンしてるし……何なら恥ずかしそうに笑ってるし……」

未央「ふっふっふ……あーちゃんも最近はノリが良くなってきましたからなあ。ゆるふわでちょっとマイペースだったりするところはそのままに、コントまでできるようになった……今のあーちゃんに隙はないよ!」

みく「さっきは否定したのに一瞬で認めたにゃ」

未央「だって事実ですし? 認めるしかないじゃないですか?」

みく「ちょっとうざいにゃ……」

未央「う、うざい!? 今日誕生日を迎える相手に、なんて言葉を……」ガクッ

みく「えー……何その反応」

泰葉「そうですよ、みくさん。いったい何をやってるんですか」

加蓮「そうそう。今日の主役に何をやってるのー」

みく「え、泰葉チャンに加蓮チャンまで乗……泰葉チャンまで乗るの!? ちょっとびっくりなんだけど!?」

泰葉「せっかく居るんですし、乗っておくべきかと思いまして」

加蓮「……なんだか私が無視されているみたいで癪だなあ。もっと衝撃的ないじりをした方がいいのか……」

みく「いや、加蓮チャンはこれ以上そっち方向に成長しないでほしいんだけど……」

加蓮「そう?」

未央「確かに! これ以上かれんが成長したらしぶりんとかみやんの精神がゴリゴリ削れていっちゃうからね!」

加蓮「Pさんは?」

未央「プロデューサーは……まあ、いいんじゃない?」

みく「いいんだ……」

泰葉「Pさん……ご愁傷様です」

未央「あはは。まあ、プロデューサーだし、大丈夫でしょ。……ん?」

未央(あれは……プロデューサーとしぶりん? 二人で部屋の隅に行って、何、話してるんだろ)

未央(なんだか……うーん)

未央「みんな、ちょっとごめん。少しだけ席を外すね。その間もどうぞ楽しんでいてくれたまえ」

みく「何そのノリ……でも、うん、わかったにゃ」

藍子「待ってますね、未央ちゃん」

未央「いやいや、だから待たなくてもいいんだけど……」

茜「いえ、今日の主役は未央ちゃんですから!」

未央「茜ちん……うぅ、やっぱりあーちゃんと茜ちんは最高だよー!」

加蓮「いいから早く行ったら?」

未央「あ、はい。すみません」


――

未央(……んー、でも、なんか良い感じっぽいし、話しかけるのもなぁ……)

未央(『未央ちゃんの誕生日なんだからもっと祝えー』みたいに突撃してもよかったんだけど……さすがに空気は読みますよ、っと)

未央(でも、せっかくだし、ちょっとお花を摘みにでも行ってこようかな――)

卯月「未央ちゃん?」

未央「ひゃっ!」

卯月「? どうかしましたか?」

未央「え? いや、なんでもないですよ? ただ、いきなりしまむーから話しかけられてびっくりしただけで……」

卯月「そんなに驚くようなところから声をかけたつもりはないですけど……」

未央「んー……確かにそうだけど、タイミング的に?」

卯月「タイミングですか……」

未央「そうそう。だから、しまむーが悪いんだよ」

卯月「私ですか!?」

未央「そうだよ? ……いや、冗談だけどね」

卯月「……未央ちゃん」

未央「あはは、ごめんごめん。しまむー、かわいいからさー」

卯月「かわ……か、かわいいって言われたからって、許してあげません!」

未央「……そっか。ごめんね。私、調子に乗り過ぎちゃったね……」

卯月「えっ……そ、その、ごめんなさい! 私、怒ってなんかいません! 許してます!」

未央「そう? やったー! しまむー、愛してるよー!」

卯月「本当ですか!? 私も未央ちゃんのことが大好きです!」

未央「ふっふっふ……チョロい」

卯月「あっ……未央ちゃん!」

未央「きゃー! しまむーが怒ったー! ……えへへ、さすがにちょっとくどい? そろそろ終わろっか」

卯月「続けたのは未央ちゃんじゃないですか……」

未央「まあ、そうなんですけどねー。あ、そうそう、しまむーは楽しんでるかい?」

卯月「はい! ……って、未央ちゃんが主役なのに私が楽しむというのもおかしいかもしれませんけど」

未央「いいのいいの! みんなが楽しんでいることが私の幸せだからさ!」

卯月「……未央ちゃんらしいですね。ありがとうございます」

未央「お礼を言うことではないよ? でも、どういたしまして」

卯月「はい。……未央ちゃんはこの後、プロデューサーさんとごはんを食べに行くんでしたっけ?」

未央「そうだね。羨ましい?」

卯月「……そうですね。少し」

未央「おっ、しまむーがそんなことを言うなんて……ちょっと意外かも」

卯月「そうですか?」

未央「うん。しまむーだったら『いえ、そんなことはないですよ。楽しんできて下さいね!』みたいに言うかと」

卯月「それも思ってはいますけど……でも、やっぱり、少し羨ましいです。未央ちゃんも、プロデューサーさんも」

未央「んん? プロデューサーも?」

卯月「はい。だって、未央ちゃんの誕生日に未央ちゃんを独占できるんですよ? 羨ましいじゃないですか」

未央「おおぅ、そんな考え方もあったか……ちょっと考えてなかったかも」

卯月「だから、今の内にいっぱい未央ちゃんとお話したいです!」

未央「しまむー……うん、そうだね! いっぱいいっぱい話しちゃおー!」

卯月「おー♪」


――外

未央「みんな、今日はありがとね。楽しかったよ!」

凛「未央はこれからお楽しみだけどね」

加蓮「そうそう。Pさんとお楽しみだなんて……不健全だね」

P「……お前ら、俺をなんだと思ってるんだよ」

美嘉「しょっちゅうアタシたちのことをエロい視線で見るプロデューサー?」

P「それはマジで誤解を招くからやめような美嘉」

美嘉「え? でも事実じゃん?」

P「だから誤解を招くんだよ……」

李衣菜「でも、二人きりで食事かぁ……なんか、ロックかも」

みく「どこが……?」

茜「いえ! 私はわかりますよ、李衣菜ちゃん! ロックです!」

藍子「茜ちゃんが乗るんですね……」

未央「うんうん、それもまたロックだよね」

P「未央も乗るのかよ……」

未央「えへへ。だって、こういうのは乗っておかないと損ですし?」

P「そうか……?」

泰葉「……みなさん、ずっと事務所の前でこうしているのも何ですし、そろそろ解散としませんか?」

P「ん? ……ああ、確かにな。邪魔になるか」

泰葉「はい。それに、予約の時間もあるでしょう?」

P「いや、それに関しては一応まだ大丈夫だが……」

泰葉「Pさんは今日誕生日の女性を急がせる気ですか? ……積もる話は、ないんですか?」

P「……まあ、そうだな」

凛「そうだよ。早く行きなよ、二人とも」

P「いや、元はと言えばお前からじゃなかったか?」

凛「そうかもね。でも、私は振り返ったりしないから」

P「なんだよそのかっこいい台詞……絶対ここで使う台詞じゃないだろ」

未央「さすがしぶりん……かっこいいですなぁ」

卯月「さすが凛ちゃんです!」

P「お前ら……いや、まあ、いいんだが」

卯月「……それじゃあ、そろそろ失礼しますね。二人とも、ゆっくり楽しんできて下さい!」

P「ん。ああ。楽しんでくるよ」

未央「楽しんできまーす!」

卯月「では、また明日!」

P「ああ。また明日」

未央「また明日―♪」


――道中

P「……未央、寒いか?」

未央「え? ……大丈夫だよ。ありがと、プロデューサー」

P「そうか」

未央「そうそう。でも、確かに寒くなってきたよね。いきなり寒くなってきちゃって、本当、12月だなー、って感じだよ」

P「誕生日が来ると冬を感じる、ってことか」

未央「そうかも。まあ、未央ちゃんは冬と言うよりは夏なイメージあるけれど?」

P「自分で言うか」

未央「違う?」

P「んー……俺はお前のプロデューサーだからな、どの季節でもイメージできる。夏と言われたら夏だが、春や秋、冬と言われたらそう思うよ」

未央「……それ、プロデューサー的には逆にダメじゃない?」

P「そうかもな。だけど、これが本心だよ」

未央「そんなので仕事は大丈夫なのかなー?」

P「仕事の時は仕事の時で言うことが違うから問題ない」

未央「うわ、悪い大人だ」

P「賢い大人と言ってくれ。実際、それで仕事は取れているからな」

未央「へぇ……この世界はやっぱり悪が栄えるということなのか……」

P「どんな解釈だよ、それ。と言うか、それならウチの事務所のアイドルたちが仕事をもらえてることに説明が付かないだろ」

未央「つまり、私たちはみんな悪ではなくて正義だと?」

P「正義なんて言うつもりはないが、少なくとも悪ではないだろ」

未央「まあ、確かにねー。悪役の演技が上手そうな人は居るけど……私とか?」

P「未央は下手そうじゃないか?」

未央「お、言ったなー? やすやすとのレッスンで身に付けた演技力、今こそ発揮する時か……」

P「べつにいい」

未央「ちぇー、つれないんだからー」

P「まあ、またいつか見る機会があれば、な」

未央「……そうだね。そのためにも、まだまだ頑張らなくちゃ!」

P「……そうだな」

未央「そう言えば、今日連れて行ってくれるところってどういうところなの?」

P「フレンチ……いや、イタリアンの店、か?」

未央「『か?』って聞かれてもわからないんだけど……でも、プロデューサーとそういう店、ってそう言えば行ったことないかも。プロデューサーはあんまり行かないのかな、って思ってたよ」

P「確かにそこまでは行かないが……俺もいくつか知ってるんだぞ?」

未央「本当にー? これはまた連れて行ってもらわなくてはいけませんなぁ」

P「……まあ、そのつもりだがな」

未央「やったー! ふっふっふ、いったいどんな高級店なのか……」

P「いや、高級店じゃないぞ? そこまで期待されると困るんだが……」

未央「えへへ、冗談冗談! プロデューサーと一緒なら、未央ちゃんはどんなところでも構いませんよー♪」

P「……」

未央「? プロデューサー、どうかした?」

P「いや……何でもないよ」

未央「ほんとにー? そういう時ってだいたい『何かある』って時じゃん?」

P「何かあっても言いたくない時、でもあるがな。……まあ、本当に大したことじゃあないからスルーしてくれ」

未央「……それなら、わかったけど」

P「ありがとな、未央」

未央「どういたしまして。……それに、こちらこそ、だよ」

P「は? なんでだよ」

未央「最高の誕生日をありがとう、ってことかな。……学校で祝われて、事務所で祝われて……本当に、最高の誕生日だな、って」

P「まだ終わってないけどな」

未央「それはわかってるよ? でも、今のうちに言っておこうかな、って思って」

P「……これくらいで満足してくれちゃ困るな」

未央「え?」

P「来年はもっと良い誕生日にしてやる、ってことだよ。今年は無理だったが、バースデーライブを開くことを目標に、な」

未央「……それ、すっごく良いね! 来年かぁ……できるように、頑張らなくちゃね!」

P「ああ。これからも一年……って、まだ店にも入っていないのに、何言ってるんだ、俺ら」

未央「確かに。……ねぇ、プロデューサー」

P「なんだ?」

未央「私たち、デートしてるみたいに見えるかな?」

P「見えたら問題だな」

未央「むぅ……誕生日なんだから、『そうかもしれない』くらいの返しはできないの?」

P「なら、兄妹くらいには見えるかも、でどうだ」

未央「全然よくないよ……」

P「よくないかもしれないが、見えたらダメってことも事実だろ? 俺たちはアイドルとプロデューサーなんだから」

未央「それはそうだけどさぁ……まったく、乙女心ってものを考えて欲しいんだけど?」

P「考えてもわからないんだよ。……ん、見えてきたな」

未央「え? 本当? ……え?」

P「あそこだ。高級店ではないが、良い感じだろ?」

未央「う、うん……思ったより良い感じで、びっくりしてる」

P「そうか。なら良かった。じゃあ、入るぞ」

未央「えっ……は、はい」


――店の中

未央「……プロデューサー、こういう店、知ってたんだね」

P「だから言っただろ? 俺も来ないわけじゃない、って」

未央「でも、こんな隠れ家的な店……本当に、意外かも」

P「それ、ちひろさんにも言われたな……そんなに意外なのか?」

未央「ちひろさん? ……ちひろさん、連れて来たことあるんだ」

P「ん? まあな」

未央「……誕生日の女性を連れて行って、他の女性と行ったことがある、って言うのはどうなの?」

P「ダメだったか?」

未央「ダメダメだよ。……ちょっと、ショックだもん」

P「いや、だって、せっかくの誕生日に俺のセンスだけで決めるってのはなぁ……ちひろさんが太鼓判を押した店なら、未央も絶対によろこんでくれるだろ? それに、ちひろさんを連れて来たのはランチだしな。って、これは言い訳にならないか」

未央「……ううん、ごめんなさい。その……嬉しいよ。ありがとう」

P「そうか? どういたしまして」

未央(……そっか。そうだったんだ。勝手に傷付いてた私がバカみたい)

未央(って、こんなことで傷付くのがもうダメなような気もするけれど……でも、そんな気持ちよりも今は嬉しいの方が強いんだから、私って都合が良いな、と思う)

未央(プロデューサーがきちんと考えてくれた。その結果なんだ。私のために、きちんと考えてくれた……それが、とても嬉しい)

P「? 未央? どうした、そんな顔をして」

未央「えっ!? ……わ、私、そんな変な顔してた?」

P「ああ。なんだか嬉しそうな……あ、そこまでこの店を気に入ってくれたのか? ふふん、そうだろ? 我ながら、この店は良い店だと思うんだよなぁ……」

未央「……ふふっ」

P「ん? なんで今笑ったんだ?」

未央「ううん、なんでもなーい。ただ、プロデューサーはプロデューサーだなー、って思って」

P「なんだよ、それ……まあ、未央が楽しんでいるならいいんだが」

未央「そうそう。未央ちゃんの誕生日なんだから、未央ちゃんを祝っておけばいいのです」

P「はいはい、そうですね、お姫様」

未央「それで、ここは……どういうシステムなの?」

P「システム?」

未央「いや、コースとかなのか、それとも……」

P「いや、コースではないな。コースもあるが、今日は違う」

未央「ってことは、このメニューを見て決めていく感じ? あと、あそこに貼ってあるメニュー……あれって、このメニューと同じなの?」

P「いや、違うな。そっちの、今未央が持っている方がパスタの種類だけが書いてある……はずだ。あそこに貼ってあるものはそれ以外、だな」

未央「パスタ……ってことは、ここはパスタが有名なお店?」

P「有名かどうかはわからんが、まあ、パスタが中心みたいなところはあるな」

未央「そうなんだ……これはどれにするか迷うね。プロデューサーのオススメは?」

P「オススメって言ってもなぁ……まあ、パスタ以外なら決められるが、パスタはお前が決めたらいいんじゃないか?」

未央「ふーん……じゃあ、そうしよっかな」

P「まあ、そうすればいいんじゃないか?」

未央「……でも、多いね。どれにしようか迷っちゃう」

P「迷えるだけあると嬉しいだろ?」

未央「それはそうなんだけど……うん、決めた、これにする」

P「そうか。じゃあ、頼んでもいいか?」

未央「うん、お願い」

P「わかった」


――

P「まずは前菜、ってことで、ブルスケッタだ」

未央「ブルスケッタ……? ブルスケッタ、って、何?」

P「そう聞かれると困るが、見ての通り、焼いたパンに具材が乗ってる、って感じだな」

未央「……でも、おいしそうだね。具材は海老とアボカド、なんだ」

P「他にもあるが、俺も海老は好きだしな。海老とアボカドって組み合わせは女性が好きそうだしな」

未央「女性が好きそうって……いや、私は好きだけどね?」

P「ならいいだろ?」

未央「いいけどさー……じゃあ、いただきます」

P「ああ。俺ももらうか」

未央(……でも、これ、どうやって食べようかな。って、プロデューサーは手で持って食べてる。こういう店でも、そういうのをやってもいいんだ)

未央(じゃあ、私も失礼して……具材が落ちないように気を付けて、手で持って、っと)

未央(……いただきます)パクッ

未央「……んん!」

未央(おいしい! うわっ、すっごくおいしい! あんまりこういう店に来たことないからかもしれないけど……これがブルスケッタ、良いね)

未央(軽く焼かれたフランスパンがカリカリと香ばしくて、でも海老の食感とアボカドの食感は全然違ってて。海老は結構ぷりっとしていて、アボカドは……アボカドの食感ってちょっと言葉にしにくいかも。ねっちょりって言うと悪く聞こえるけど……ねっとり? しっとり? とにかく、そんな感じ?)

未央(そのバランスがとっても良いんだよねー……あと、味もそれだけじゃないかも。これは……ガーリック? ……にんにくじゃん!)

未央(うぅ……でも、でもおいしい! パクパク食べれる!)

未央(噛むとまず海老のぷりっとした弾力を感じて、すぐにアボカドのねっとりとした食感。そしてフランスパンの香ばしさとガーリックの香りがふわっと抜けるというか……あ! 今のなんか食レポっぽい!)

未央(でも、食レポみたいなことを言っちゃいますよこれは! これが前菜……ふんふむ、これは楽しみになってきましたよー!)

店員「こちら、若鶏とソーセージの包み焼きでございます」

P「ありがとうございます……これも前菜だな」

未央「え? 今のブルスケッタ、っていうのも前菜じゃなかったっけ?」

P「いや、せっかく二人で来たんだし……二つ、頼みたくならないか?」

未央「……なるね!」

P「だろ!? じゃあ、食べるか」

未央「うん!」

未央(でも、これが前菜……確かにあんまり量はないけど、名前だけ聞くと絶対肉料理だよね)

未央(若鶏とソーセージの包み焼き……って、どういうのだろうって思ったら、ソーセージを鶏肉で包んでいるのかな? ほうほう、こんな料理が……)

未央(うーん……なんだかおいしそう。とりあえず、食べてみよっ)パクッ

未央「……ん!」

未央(おお……おいしい! なんだろ、どうしてソーセージを包むって発想になったんだろ……よくわかんないけど、おいしいよ!)

未央(鶏肉とソーセージで食感が全然違うからかな? 鶏肉はパリッとしていて、でも、鶏肉の弾力があって……ソーセージはソーセージなんだけど、とってもおいしいソーセージというか?)

未央(でも、前菜と言われれば前菜っぽいかも。いや、肉料理と言われれば完全に肉料理なんだけど……なんだか、『四天王の中でも最弱』どころか『四天王ですらない』って言われた気分)

未央(これは本当の肉料理はどんなものなのか……ちょっと、気になってきたかも!)


――

P「で、サラダだな」

未央「ふんふむ……なんだかおいしそうなサラダだね!」

P「ホタテとイカのサラダだな。普通のサラダでもいいんだが、俺はこれが好きなんだよなあ」

未央「ほうほう……ホタテとイカがおいしいの?」

P「ホタテとイカもおいしい、だな。……まあ、食べてみろ」

未央「……うん、そうだね。それじゃあ……っと」

未央(うーん……いきなりホタテとかイカとかと一緒に食べるのはちょっとなー)

未央(ってことで、まずはサラダだけを……)パクッ

未央「……ん?」

未央(あれ? もしかして……おいしい?)

未央(……おいしいじゃん! このサラダ! ほほーぅ、サラダでこんなにおいしいと来ましたかー!)

未央(ドレッシングがいいのかな? なんだろ、これ。オリーブオイル? わかんないや。でも、とにかくおいしい!)

未央(野菜がおいしいのかな? なんだろ。食感としてはそこまで主張していない感じなんだけど……だからかな? あんまりもっさもっさって感じにならなくて、軽く口の中を通り抜ける感じ?)

未央(……これでホタテとかイカを一緒に食べたら、どうなるんだろ)

未央(……いざ!)パクッ

未央「……うん!」

未央(ですよねー! わかってた! わかってましたよ未央ちゃんはー!)

未央(このちょっと酸味のあるドレッシング……これ、野菜だけじゃなくてホタテとかイカとも合うように調整されているんだね! そういうことかー、そういうことかー!)

未央(爽やかで、口の中がさっぱりする……さっきの鶏肉とソーセージの包み焼き? でちょっと油っこくなってた口の中が今ではもうさっぱり爽やかだもん。うーん、うまいなぁ。これで次の料理に備えるわけですかー……)

未央(……さてさて、次はなんだろう。パスタ? 肉料理? 魚料理? わからないけど……どれが来ても、楽しみかも!)


――

P「パスタだな」

未央「パスタだね」

P「とりあえず、自分のを食べてから交換するか」

未央「うん。……プロデューサーの、おいしそうだね」

P「お前のも、な」

未央「えへへ、そうでした。じゃあ、いただきまーす」

P「いただきます」

未央(これは確かアマトリチャーナ? だったっけ? トマトソースのパスタ、だよね?)

未央(厚切りのベーコンとか、じゃがいもとかが入ってる。……うんうん、それじゃ、いただきますか!)パクッ

未央「……~!」

未央(おいしい! そりゃあおいしいよね、うん! なんだろ、この甘み。玉ねぎ? 玉ねぎだ! 玉ねぎの甘さを感じる。トマトの旨味も感じるし……)

未央(パスタにソースが絡んでくる。パスタ自体もおいしい。ちょっともちもちとした食感? 弾力? うーん、これだけでもうとってもおいしいんだけど……)

未央(それでは、具材を一緒に絡ませて……)パクッ

未央「……はぁ」

未央(おいしい……。このベーコンの食感というか、ジューシーさというか……パスタだけで食べてもおいしいんだけど、一緒に食べると、もう……もう……!)

未央(……うーん、幸せ!)

P「そっちはどうだ? 未央」

未央「すっごくおいしい……プロデューサーのは?」

P「うまいぞ。そろそろ交換するか?」

未央「ん、そうだね……えっと、プロデューサーのは」

P「かぼちゃのクリームソース、だな。具材はひき肉とかが入ってる」

未央「ほうほう……それじゃあ、いただいちゃうよ?」

P「じゃあ、俺も未央のを……」

未央(……見た感じ、結構な『かぼちゃ』感……どうなんだろ、これ。よくわからないけど……)

未央(とりあえず、食べよう!)パクッ

未央「……!?」

未央(……え? ちょっと……ん?)

未央(どうしよう……すっごくおいしい……)

未央(かぼちゃって、パスタとこんなに合うんだ……。ソースがパスタにねっとりと絡みついてくる。甘みのようなうまみが舌に運ばれて、それがパスタに絡みついているのと同じように、舌にねっとりと絡みついてくるというか……)

未央(本当に、『味が絡みついてくる』って感じ。おいしさが口いっぱいに広がって……ずっと、残ってる)

未央(幸せがずっと続いているような感じ……ちょっと、ひき肉も一緒に口に……)パクッ

未央「……ふぅ」

未央(かぼちゃの甘みにひき肉が合ってる。ひき肉がかぼちゃの甘みを引き立てているのかかぼちゃがひき肉のうまみを引き立てているかもうわからない。でも、どっちも強く強く感じる)

未央(……これ、すごいなぁ。どっちもとってもおいしい。これが、そういう店のパスタ、なんだ)

未央(……なんだか、もう、すっかり魅了されちゃった……)


――

P「次は肉料理……と、魚料理だな」

未央「……そう言えば、こういうところでどっちも頼むのって、どうなの?」

P「二人だからいいんじゃないか?」

未央「んー……そうだね!」

P「だろ? で、どっちから食べるか……普通は魚から、か?」

未央「どうなんだろ。でも、まあ、そうなんじゃない?」

P「じゃあ、魚から……って、これは魚じゃないけどな」

未央「えーと……天使の海老とホタテのナージュ、だったっけ? 天使の海老って?」

P「よくわからんが、おいしい海老だな」

未央「すっごい適当なんだけど……じゃあ、ナージュは?」

P「んー……確か、野菜なんかのブイヨンと魚介類とか甲殻類とかの煮汁を生クリームなんかでつないだソースとした調理法、だった……はずだ」

未央「はず、って言う割にはなんか詳しいね」

P「気になったから調べた経験がある。忘れたが」

未央「忘れたんだ……でも、なんだかおいしそうだね。これは……なんか、薄く切られたフランスパンがあるけど、これに乗っけて食べるの?」

P「ああ。俺はいつもそうしてる。パンにソースをたっぷり付けて、上に食べやすく切った海老とかホタテを乗せて食べてる」

未央「ほうほう……じゃ、そうしてみるよ」

P「ああ、そうしろ」

未央(えーっと……まずはパンをソースにひたして、そこに具材を……まずは、そうだね、ホタテから、で)

未央(それで、これをなんとか持って……食べる)パクッ

未央「……んっ」

未央(……?! ん? え? おいしっ……おいしい!)

未央(何このソース……何このソース! ナージュ、すごいね! 何これ……本当、何これ!)

未央(もうちょっと未央ちゃんの言葉では表せないくらいおいしいんだけど……プロデューサーの言った通り、すっごく色んなうまみを感じるんだけど、どれがどれなのかわからない。ただただ、おいしい)

未央(生クリームでつないでいるからかな。その味がまた絡みついてきて……さっきのパスタとはまた違うんだけど、何と言うか、もう最高においしい!)

未央(ホタテもホタテでおいしいし……このパンはソースをより多く楽しむためのものかもしれないけど、このパンもやっぱり良い。おいしい)

未央(これで天使の海老なんてものを食べたらどうなるんだろう……いざ!)パクッ

未央「……ぅわ……」

未央(……もう、幸せ。それしか言えない。この海老、もしかしてかなりすごい海老なんじゃない?)

未央(旨みも香りも今までに感じたことがないくらい……食感も良いし、もう、本当に……これをこの意味わかんないくらいおいしいソースと一緒に食べる……なんて贅沢なんだろう)

未央(最高の素材に最高のソース、って……そう考えると、これはおいしくて当然だね)

未央(……はぁ。幸せ)

P「どうやら気に入ったみたいだな」

未央「うん……ちょっと、本当に、意味わからないくらいおいしいね、これ……びっくりした」

P「それは良かった。俺も嬉しいよ」

未央「うん……本当に、おいしかった……」

P「さて、まだ肉料理が残ってるぞ」

未央「うん……」

P「……食べるぞ? 食べるからな? ……いただきます」


――

未央「お肉もおいしかったね、プロデューサー……」

P「ああ……未央、お前、大丈夫か?」

未央「大丈夫だよ……それで、次はドルチェ、だったっけ?」

P「お前は桃のコンポート、だったか」

未央「プロデューサーは……キャラメルのジェラート、だったっけ?」

P「ああ。一口やるから一口くれ」

未央「うわぁ、直球……でも、うん。そうしよっか」

P「頼む。……じゃあ、食べるか」

未央「うん」

未央(桃のコンポート……うん、もう、こんなの絶対おいしいよね!)

未央(ということで……まずは一口!)パクッ

未央「……おぉ!」

未央(桃……桃だ! すっごく桃だし、すっごく甘いし、なのにどこか爽やかだし……すっごくおいしい!)

未央(え? 何、これ……コンポートってコンポート……コンポートだったんだ! 何言ってるんだ私! わかんない! とにかくおいしい!)

未央(なんか、今、脳内で幸福物質的なものがバンバン出ているような気がする。甘いものって……甘いものってやっぱりすごいね! もう、ダイレクトに『幸せ』って感じだもん!)

未央(だいぶ前にしぶりんがチョコレートのを飲んでた時に『幸せをそのまま飲んでるような』みたいなことを言ってたような気がするけど、それに近いかも。食べただけで幸せになる。幸せを食べている、っていうのとはちょっと違うかもしれないけど、そんな感じ。うわあ……こういう店って、ドルチェまでおいしいんだ……)

P「ん、未央。食べたんなら、一口、交換するか?」

未央「え? ……うん、する!」

未央(プロデューサーのはキャラメルのジェラート、だったよね。キャラメルのジェラート……いったいどういうものなのか、って、予想はできるけど、よし!)パクッ

未央「……えっ」

未央(……予想と違った、というか、おいし! 何これ……おいしい! すっごくおいしい! キャラメルの味がとっても甘くて、ジェラートはなんだかいくつもの氷の層が重なった感じ? 舌に乗せるだけで一層ずつ溶けていって、一層が溶ける度に甘みがじんわりと広がっていくというか? 一口食べるだけで何回も味が広がっていって……)

未央(ちょっとしゃりしゃりとした、シャーベット状みたいな感じ? でもシャーベットじゃなくて……何、これ。私の知ってるジェラートと違う! おいしい! 好き!)

未央(あー、もう! 最高!)


――店の外

未央「はぁ……おいしかったー!」

P「そうか……それは良かったよ」

未央「うんうん、まさかプロデューサーがこんな店を知ってるなんてね……ちひろさんもビックリだったんじゃない?」

P「あー……まあな。かなりビックリしてた」

未央「やっぱりー」

P「……その反応、失礼じゃないか?」

未央「失礼? いやいや、当然だと思いますけど?」

P「当然……当然か?」

未央「いやー、女の子をラーメン屋に連れて行く人に言われたくはないんですけど?」

P「……それを言われると反論できないからやめてくれ」

未央「でも、事実だし?」

P「……それはそうなんだけど、な」

未央「えへへ……でも、本当に良い店だったよ、プロデューサー。ありがとね、本当に」

P「ん……まあ、誕生日だからな。そりゃ、特別な店にも連れてくるさ」

未央「そっか……誕生日だから、か……」

未央(誕生日だから……それだけ、なのかな)

未央(誕生日に、二人きりで、こんな店に……ううん。そうだね。プロデューサーだもん。そりゃ、そうだよね)

未央(……でも、ちょっとむかつくから、からかってやろう)

未央「でもさ、プロデューサー? こんな店に誕生日の女の子を連れて行くなんて、他の子にはやっちゃいけませんよ?」

P「は? ……何か悪いところでもあったか?」

未央「ううん。完璧だったよ♪ 完璧だったからこそ……こんなことされたら、勘違い、しちゃうじゃん」

未央(……あれ?)

未央(なんでだろう……なんで、明るく言えなかったんだろう)

未央(……こんなつもりじゃなかったのに、私、どうして――)




P「――勘違いじゃないって言ったら、どうする?」


未央「……え?」

未央(プロデューサー、今、なんて……)

P「……勘違いじゃないよ、未央。俺も、さすがにそこまで鈍感じゃないからな……お前がどう思ってくれているかは、なんとなく、わかってた」

未央「……それ、って」

P「それも俺の勘違いだったら……なんて思おうともしたけどな。でも、それは逃げてるだけだ。だから、俺は俺なりに答えを出した」

未央「……」

P「……まだ、俺とお前がプロデューサーとアイドルである限りは、直接言葉にすることはできないけど、こんな遠回りな方法でしか、答えることはできないが……これが、俺の答えのつもりだ」

未央「……プロデューサー」

P「……我ながら、卑怯だとは思うけど、な。……もしも、お前がトップアイドルになって、その先の夢も叶えて……その時にもまだ同じ気持ちなら、その時こそ、直接言葉にして伝えるよ」

未央(……どうしよう)

P「だから、未央。……これからも、よろしくな」

未央(どうしよう)

未央「プロデューサー!」ギュッ

未央(――幸せ過ぎて、おかしくなりそう!)

P「なっ……!? おま、未央! 俺の言ってる意味、わかってるか!?」

未央「わかってる……わかってるけど、わかってるから……」

未央(わかってる。プロデューサーが言っていることがどういう意味か。『今はまだこういうことはできない』ということ。それはわかってる。でも……でも、それ以上に、今は……)

未央「今は……今だけは、こうさせてよ、プロデューサー」

P「……あー、その前に、だな。ちょっと、誕生日のイベントを忘れてないか?」

未央「……誕生日の、イベント?」

P「ほら……その、プレゼント」

未央「プレゼント……プレゼントなら、もう、もらったよ」

未央(これ以上ない……素敵な、素敵なプレゼントを……)

P「いや、そういう良い話じゃなくてな。……せっかく用意したんだから、もらってくれなきゃ困るんだよ」

未央「……そんなに?」

P「ああ」

未央「もしかして、高いものだったりする? それは嬉しいけど……でも」

P「いや、違う。そういうものじゃなくてだな……ああ、もう! 渡した方が早いな」

未央「? それ……紙? じゃなくて……台本? ――もしかして!」

P「ああ。……未央。舞台の仕事だ。正確には、そのオーディションだが、な」

未央「……」

P「……どうだ? 俺としては、とっておきのプレゼント、なんだが……」

未央「……えへへ。誕生日プレゼントに仕事、って、本当に、プロデューサーらしいね」

P「それ、どういう意味だ? ……いや、確かに俺も迷ったんだが……」

未央「わからない? 私の気持ちがわかってるなら、わかると思うけど?」

P「未央の気持ち……?」

未央(……本当にわかってないんだ。なら――)ギュッ

P「未央……?」

未央「私が大好きな人らしい、ってことだよ、プロデューサー! ……本当に、ありがとね。最高の……最高の、プレゼントだよ」

P「……そうか。それなら、良かったよ」

未央「……うん」

P「でも、そろそろ離れてくれ」

未央「……離れたいの?」

P「……答える必要、あるか?」

未央「……えへへ。ないね。もう」

P「そうだ。でも、俺は我慢してるんだから、お前も……」

未央「でも、さ」ギュッ

未央「……今日だけは、お願いだから、こうさせて」

P「……今日だけ、だからな」

未央「……ありがと、プロデューサー」

P「……礼を言われることじゃない」

未央「えへへ……でも、ありがと」

P「……どういたしまして」


――

未央(アイドルになって、色んなことがあった)

未央(アイドルになってからの日々は、とても、とっても楽しくて……幸せで)

未央(それはたぶん、『アイドルとしての幸せ』。普通の女の子には、たぶん、なかなか体験できないような、すごい幸せだと思う)

未央(でも、私が今感じている幸せは、きっと、違う)

未央(これは、たぶん、普通の女の子が感じる幸せだ)

未央(大好きな人と一緒においしいものを食べる)

未央(大好きな人と、一緒に居られる)

未央(きっと、それは、普通の幸せ)

未央(でも、だからこそ……とっても大切で、貴重な、かけがえのない、幸せだ)

未央(……今日だけは、アイドルじゃなくて、普通の女の子としてこの幸せを満喫しても……いい、よね)



これにて今回は終了です。今回? 今回……?
今回の店はちひろさんと一緒に行った店ですね。今日までここにするかどうかは迷っていたのですが、ちひろさんの時にフラグも立てていたし、ということでここにしました。

本田未央さん、誕生日おめでとうございます。生まれてきてくれてありがとうございます。これからもあなたのプロデューサーで居させて下さい。

とりあえず、キリもいいのでこのスレッドは今回で終わりとなります。HTML化依頼してきます。もうちょっと残っていたらやりたいことはあったんですが……まあ近々次スレも建てると思うのでその時にでも。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

あと今回のSSに関することを。
今回は非常に迷いました。こういう話にするのかどうか、とても迷いました。「本田未央というアイドル」を書くというのにこんな話でいいのか、と思ったんです。本当に「そういう関係」の話をしてもいいのか、と。
こんなSSを書いているくせに私は「アイドルとプロデューサーの恋愛はダメ」と思っています。それもあって、色々なことを考えて、その考えにもあまり反しないような話に……と考えて、その結果が今回の話です。しかし、それでも……という思いはありました。

でもよく考えなくてもそういう感じの描写は既にしてしまっているのでもう遅い、ということでこんな話になってしまいました。まあ、テーマとしても添っているのでいいかな、と……自己正当化のような気がしてなりませんが、許していただければ。

何と言うか、半年も続けてたんですね。長いですね。この終わり方だと「実はこれは半年前から綿密に計画された本田未央誕生日SSだったのさ!」と言っても許されそうです。ごめんなさい。嘘です。

改めてありがとうございました。……なんか一週間後くらいにはもう次スレを建ててるような気がしないでもないですけどね! スレタイ何がいいですかね? 気が早いですね! 正直いい感じで終わったんだから次の話なんてしない方がいいかもしれませんがね! 次スレ立てたらたぶんこっちにも報告すると思います!

今まで本当にありがとうございました! また読む機会があれば読んでいただければ幸いです。

それでは。

あ、大事なことを書くのを忘れていました。プロデューサーなんですから、これを書くのを忘れてはいけませんね。

このSSを読んで未央のことが好きになった、魅力がわかった、という人が居ればそれが何よりの幸せです。
そう言えばアニバアイプロで2ndのもできるそうですね……あのアイプロを触っていない人が居れば触ってみることをオススメします。過去・現在・未来のすべての話が詰まっている本当に素晴らしいイベントだったと思います。ぜひ。

これからも本田未央をよろしくお願いします!

もう使わないと思いますしHTML化されるか1000にいくまで備忘録的な意味もこめてSSではない駄文を。本編とは何の関わりもないのであげないので本当に自分しか読まないことになるような気もしますが自分のためなのでまあ……。
あ、次スレは何の準備もできてません。

>>101
実はあんまり行った経験がないのですが書きたいです。

>>288
おそらく来月くらいになるかな、と。

>>290
おそらく書きます。ハンバーガーは「あ、言われた……」となりましたが書くつもりです。

>>291
行ったことないんですが行ったら書くと思います。近くに行く機会があれば行きたいです。

>>292
そう言えばトンカツって書いていませんでしたっけ。書くと思います。

>>293
実は食べた経験がないのですが調べてから食べたいなーと思っています。もう五ヶ月近く経ってるのに機会がなくて未だに食べてませんが。

>>294
近々書くかと。

>>295
「ベトコンラーメン」の説明だけでおいしそうって思ったので食べに行きたいと思っているのですが近場になくて未だに行けていません。行きたいです。

>>297
ご想像しているものとは大きく離れたものになるかと思いますが書くかと。

>>303
プロデューサーと二人きりって言うのは……と思って未だに書いていませんね。アイドルたちだけで書こうかな、と思ったりもしたのですがこのSSの主旨から離れるような気がしたので。でも改めて考えるとラーメン屋行ってる時点で行ってもいいのではと思うので書くかもしれません。

>>478>>481
見た時に「あ、書けるなー」と思ったんですが個人的に書くべきではないと思ったので書きませんでした。自分勝手ですが私の個人的な感覚ではそうなんです。すみません。

>>483
行きたかったんですが行けなかったんですよね。悔しいです。

>>484
行きました。書きます。

>>485
一人じゃ入りにくいのはなかなかに辛いですがいつか行きたいです……。

>>486
かなり興味深いですがそっち関係の知識に欠けているので面白く書けなさそうなので行ったとしても書かないような気がします。でも行ってみたら書くような気もしますね。

>>488
非常に楽しそうですし複数人で書きたいですけど複数人で行く機会があまり……。複数人で行ける時間がある場合は行きたいですね。

>>489
行きたいです。東京でゆっくりできる機会が早く来ないかなー、と思います。

>>490
あんまり行ったことないのでまた行きたいです。

>>493
それを書く場合は未央視点ではなくP視点である必要がありますね。P「未央とのごはん」みたいな感じで番外編を書く場合はそういった流れも書けるような気がします。でもP視点だと書き方が大きく変わるような気もします。たぶん一人称で地の文アリみたいな感じになりますね。以前他で書いた「城ヶ崎美嘉「乙女心とラーメン屋」」みたいな。でも文体は大きく変わるでしょうし……このスレが残っていれば自己満足で書くかもしれません。

>>536
書きます。

>>700
「鍋はもうやったからなー」と思いながら「鍋とはまた別だ」と思っているので書くと思います。今度の面子は誰がいいですかね。冬の内に書きたいです。

>>702
これを見た瞬間に「あー! それいいなー!」ってなりました。完全に失念していましたね。冬の内に書きたいです……が、秋に書いた方が良かったような気もしますね。どうしましょう。

>>704
実は芋煮を食べたことがないような気がします。食べたことがあったような気もするんですがここまで不明瞭だと書けないですし……少なくとも食べ比べできるほどは食べてませんね。どこで食べることができるでしょう。

>>711
非常に書きたいです。いずれ書くかと思います。

読み落としているものがあれば申し訳ありません。あればまた書いていただければ……って、そもそも私しか読んでいないような気もするのでここで言っても意味がないですかね。


あと需要も何もないでしょうが自分のためにこのSSのフォーマット的なものを書き留めておきます。一応こういう道筋に沿ったなー、というのを。

基本的に本SSでは「導入部→食事→締め」のような構成がなされています。より詳しく書けば以下のようになりますね。


・導入部
Pや未央が「何か食べに行きたい」と思う。店に行くための理由付け。仕事終わりやレッスン終わりが多いがその限りではなくいい感じに導入できればなんでもいい

・食事
Pや未央が「店に行く」と意思表示をしてから店を出るまでのパート。ここが本SSの肝のように思えるが書くのはいちばん楽。おそらく「何を書けばいいのか」が決まっているためだと思われる。
「店に行くまでの道→店の外観→店内の様子→メニュー決め(主にPが決める)・注文→料理が運ばれてくる→未央の料理に対する見た目の反応→食事(食べ方がわからない場合はPに聞くかPの食べ方を見てどう食べればいいのかを知る)→味の感想(基本的に自分が食べた時に思ったことをもとにして、「未央ならどういう風な感想を持つだろうか」というのをあまり難しい言葉を使わず、あまり食レポのようなものにならないようにして書く。その時に本当に思うように書くよう意識する)→プロデューサーとの会話(主に味の感想などを伝える)」というのが主な流れ。

・締め
店に出てからのパート。店の感想を言うこともあればあまり言わないこともある。流れでいい感じに締める。その時の自分に任せる。

あと気をつけていることに「Pを絶対的な正義であるかのように書かない」……って、こう書くと伝わりにくいですかね。
何と言うか、「ミスもするし落ち込むし」と「滑稽であるように」というのを意識しているというか。「食に熱すぎでしょ」などと他人からは引かれたりきちんと「欠点ある人間として書く」ことを意識しています。正確には「周りからも欠点のある人間と認識されている」ように書く、ですかね。
「Pの意見こそが正義」ではなく「人それぞれの考え方があってPはその一例でしかない」みたいな。
未央もPのことなら何でもその通りにするわけではなく、Pとは異なる感想を持つこともあるということを書くようにしています。書けているかはわかりませんが……。

これは個人的な好みですね。「鼻につく言動」ならば「鼻につくと周りからも思われている」ことを明示する、みたいな? 要するに「ツッコミ」を大事にする、ということかもしれません。「Happy×2 Days」のソロVersionでツッコミがないのに「やっぱりツッコミは大事だ……」と思ったみたいな感じですね。個人的な好みです。

そういや店の名前を書いていないのは個人的な感覚の問題で、ですね。わかるように書いていると言っている癖に書かないのはおかしいかもしれませんが、個人的に店名を明示することはなー、と思っています。いやまあ、SS内で書かないようにすればいいだけでSS外のここではべつに書いてもいいような気はしますが……。個人的にやっぱりダメですね。

すみません間違いました

あと……そうですね。自分勝手に書いていいのならちょっと自己分析みたいなことを。

>>337>>339の765パートを例にちょっと書いてる時にこんなこと考えていたはずみたいなことを。

まず未来静香パート。ここでは「静香はうどんに対しては熱くなる」という前提で書いています。うどんに対する強いこだわりがあるということですね。星梨花の食べ方(実際はその限りではない)をここで書くことで後のPの食べ方が決まっています。また、静香がうどんに対する思いが大きいあまり感想が長くなってしまう……のをフォローするようにして未来が居ます。熱くなりすぎる静香を和らげる役割、と言ったらいいのでしょうか。そして静香は未来に怒る……まあこの「ちょっと、未来ー!」は書きたかっただけということもあります。でも静香はこの後「熱くなりすぎた」ということを教えられるか自覚するかして、未来に感謝するのだと思います。そして未来がそんなフォローするようなつもりはまったくなかったりすればなぁ……と、おそらくは自分の好みの関係になるように、自分が思う二人の関係を表せるように、と書いているのだと思います。「自分の認識」以上のものではありませんが。

そしてスタジオパート。生っすかが大好きなので生っすかなのでしょう。ここで志保が静香に対してツッコミを入れるのはさっき書いた「問題ある言動は周囲からも問題があると思われている」ということの明示の一つですね。しかし実際放送されている番組中にそんなことを言うのも問題がある、ということで桃子がフォローに回っています。放送中でなければ志保ではなくむしろ桃子が静香に対してツッコミを入れると思うのですが、ここで桃子が志保の言葉を「でも」と断り、「魅力は伝わってきたよね」と肯定的に変えることは桃子ならそうした方がいいと知っているからだという思いから。「明日のお昼はうどんにしようかな」という言葉から一連の流れでの志保への「志保さんは?」で志保にバトンを渡す。バトンを渡された志保は最初「私は……」と言葉につまりますが、この「……」で春香と桃子の意図を理解し、「ご一緒させて下さい」と話をつなぎます。そして春香が綺麗に締めて、次のコーナーへ、といった流れですね。
この後に志保が「すみません」と謝って春香が「いいよ」みたいなことを言って桃子が「本当、しっかりしてよね」みたいなことを言っていたらいいな、と思います。志保はプロ意識が高い故に静香に対して思わず言葉をこぼしてしまうがプロ意識・経験ともにある桃子は「そうするべきではない」と知っていると差別化したつもりです。志保もそこまでかたい状態ではなく、もっとやわらかくなった状態を意識しているのですぐに意図を理解する、といったことを想定しているのだと思います。春香は春香です。さすが、という風に見せたかったのだと思います。


こう考えると「書いている間めちゃくちゃ考えている」という風に思われるかもしれませんが実際はそこまでではないですね。改めて考えるとこういう効果があるな、と考えられるだけです。でもなんとなくこういう風なことを考えながら書いているのだと思います……って、765パートで書いても意味がないですかね。

その次の大阪編の導入部、ホテルの話も分析したことがあったのでちょっと書こうと思います。

>>401>>402ですね。>>403からは未央視点になるのであまり書くことはないですが。

まず>>401で「蘭子が眠くなるような時間帯である」ということを明示しています。蘭子だった理由は趣味です。そして美穂の「明日も早いし」で「明日は早い」ということの明示。また、「みんなもう寝る」ということも書いていますね。
>>402では「楓さんが酔っている」ということで「大人組の部屋の状況」を書いているつもりです。そのような状況だから、Pが抜け出しても気付かなかった……ということの理由付けですかね。

これくらいですかね。もっと書こうと思えば書けると思いますが、この回にこの二つのレスが果たした効果はそんなところだと思います。導入部で情報を明示してあとの流れに生じるかもしれない矛盾や疑問点を先につぶそうとしているんですかね。本当にその時の私がそこまで考えていたのかどうかはわかりませんが、考えていなかったのであればその時の流れでそうしたのだと思います。

あと、この後のレス(>>404>>405)では「出身地だからと言ってみくはあまりおみやげなどを知らない」ということが書かれていますが、これが後の>>797>>798などに関わってきているのだと思います。

とりあえずはこれくらいで。HTML化されるか1000にいくまではこんな風に自己満足なことを書こうと思います。需要も何もない自分用ですね。まあ自由なので何かあれば聞いていただければ答えることもあるかと。そもそもあまり多くの人には読まれないという想定なのですが。(そもそもこんなのを読むような人間が自分くらいしか居ない)。
次スレはそろそろ立てたいです。スレタイは「2」が付くだけじゃないですかね。「2食目」みたいな感じでもいいのかもしれませんが絶対違いますし。というかそもそも一回ずつスレ立て直した方がいいですかね。このスレは「毎回スレ立て直すのもな……」と思ったのでこういう形式にしましたが、正直個人的にはどっちでもいいです。このスレは結果的に綺麗に終わったので一つのSSっぽくなりましたけど、正直たまたまと言えばたまたまですからね。って、そもそもこれを読んでいる人なんてあまり居ないんでしたね。気付いた数奇な方が居れば何か言って下されば幸いです。いえ、その意見を反映するかはいつも通りわからないんですが。

そう言えば書いてなかったので過去作をとりあえず晒しておきます。需要はないかと思いますが読む人もあまり居ないはずなので……。

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ですね。今年の4月に書き始めたにしては割りと書いたなーと思います。我ながら。自画自賛。

でも初期に書いた【岡崎泰葉編】は未央のSS以外はダメですね。みく編と美嘉編は本当にダメです。我ながらこんなのを書いたことが恥ずかしいくらいですね。しかし初期に書いたこのシリーズでなんとなく「SSの書き方」を理解したような気がします。「何をしてはいけないか」ということが少しは理解できたような気がします。「それでこれかよ」と言われたら「はい……」と答えることしかできませんが。(凛とまゆのも『ダメ』な部類に入ると思いますし)。正直黒歴史級のものなのであまり晒すようなものではないのですがまああんまり読んでいる人も居ないだろうということで晒しておきます。
他にも気になるところがあるものは多いのですが、あまり触れるのもなんですから触れないことにします。このスレとは関係ないですし。ならそもそも書くなと言われると返す言葉もないですが。

確か今までに書いたのはこれくらいだったと思います。他にもあったかもしれませんがたぶんこれくらいです。「過去作は?」と聞かれてもいないのに晒すのはなかなかに図々しい気もしますが、自分用なので……って、自分用は何にでも使える言い訳ではないですが。

とりあえずは今書くことはこれくらいですかね。なんて言ってまた何か書くかもしれませんが。

それでは。

あ、何が『ダメ』かを明示しておいた方がいいですね。アイドルに対する愛を感じないことです。これを自分が書いたと考えるとそれだけで吐き気を催しますね。申し訳無さと自己嫌悪で。私にそれほどの愛があるのかと言ったら初期に書いたあの作品だけで少なくとも「ある」と自分で言うことはできません。
面倒くさい思いを抱えているとは思いますが、その思いを安易にぶつけることも『ダメ』ですよね。誰のために、何のために書いているのかを忘れているみたいで。
これは私が勝手に考えていることですが、少なくとも私はそう思っています。

……なんだかクサい文章になってしまいましたね。でも、自分しか読まないのであれば、自分がこれを忘れないために、これは書いておくべきだと思ったので書きました。

それでは。

本田未央「プロデューサーとのごはん」 その2
本田未央「プロデューサーとのごはん」 その2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449925100/)

立てました。

クリスマス編と年越し編まったく間に合わなかったのでこっちに書く可能性があります


【12月25日】

未央「メリクリメリクリー。待った? えへへ、ちょっと準備に手間取っちゃって……」

凛「べつに、そこまで待ってないよ」

卯月「はい! 大丈夫です!」

未央「ホントに? いやー、それならもう少し時間をかけてもよかったかもしれませんなあ」

P「ふざけたこと言ってないで、行くぞ」

未央「はーい♪」

卯月「はい!」

凛「うん。……でも、今日はどこも人がいっぱいな気もするけれど。その、カップル、とか」

P「それは昨日のイメージだけどな。今日は家族連れの方が多いんじゃないか?」

未央「つまり、私たちは家族のような関係、ということですかな?」

卯月「家族……はい、そうかもしれませんね」

未央「んっ……そこで突っ込まずに乗ってくるとは……やっぱりしまむーはしまむーだね!」

卯月「えぇっ、それ、どういうことですかー!?」

凛「……でも、うん、未央の言う通りかもね」

未央「? しぶりん? 私の言う通り、って?」

凛「家族のこと。……もちろん本物の家族、ってわけじゃないけどさ。でも、家族のような関係……では、あるんじゃない?」

未央「しぶりん……しぶりん!」ギュッ

凛「わ。ちょ、未央……」

卯月「凛ちゃん!」ギュッ

凛「んっ、卯月まで……もう」フフッ

P「……楽しそうだな」

未央「ん? 羨ましい? だったら、プロデューサーもしぶりんに抱きついちゃったらー?」

P「はぁ?」

凛「ちょっ!」

卯月「……そうですね。プロデューサーさん、抱きついたらどうですか?」

未央「……え?」

凛「……! そうだね。うん、プロデューサー。抱きついてきたら?」

未央「ちょっ……!」

凛「どうしたの? 未央。最初に言ったのは未央でしょ?」

卯月「そうですよ。未央ちゃんが言ったんじゃないですか」

未央「う……で、でも、それは、その、だって、しぶりん……ぷ、プロデューサー! だ、抱きつく? 抱きつくの?」

P「……卯月、凛。勘弁してくれ」

卯月「はいっ♪」

凛「ん。……でも、今のは未央が悪いと思うけど」

未央「……え? つまり、えっと、プロデューサーは……」

P「抱きつくわけないだろ。卯月と凛の……と言うより、元はと言えば、未央。お前が悪い。俺と凛をからかうつもりだったんだろうが……まあ、自業自得だな」

未央「自業自得って……うう、でも、反論できない……」

卯月「……未央ちゃん未央ちゃん」

未央「……なに? しまむー。慰めてくれるの? うう、やっぱりしまむーだけが味方――」

卯月「今の未央ちゃん、かわいいです!」

未央「しまむー!?」

凛「いや、さっきのも卯月から反撃し始めてたし……そうなるでしょ」

P「でも、卯月がってのはなかなかに珍しいな。まあ、そんな卯月もかわいいからいいんだが」

未央「しまむーにそんなの求めてないよー!」

卯月「……」

凛「……ん? 卯月? どうかした?」

卯月「えっ……い、いえ、なんでもありません!」

未央「……! しまむーしまむー!」

卯月「な、なんですか?」

未央「もしかして、急に恥ずかしくなってきちゃった? 『私、なんてことを……』みたいなこと、思っちゃった?」

卯月「えっ?! ……そ、それは、その……うぅ」

未央「ふぅー! かわいい! かわいいよしまむー! やっぱり天使だね! 悪いことできない! 大天使ウヅキエル! 最高ー!」

凛「……回復早すぎでしょ」

P「まあ、それはそれで未央らしいがな。そしてあんな風に振舞っていても内心まだ完全に回復してないのが未央だ」

未央「ちょっ、プロデューサー!?」

凛「うん。知ってる。だからと言ってべつに突っ込まないけどね。面倒だし」

未央「め、面倒って……しぶりん、冷たくない?」

凛「いつも通りでしょ?」

未央「しぶりんはいつも冷たい……」

凛「そういう意味じゃないけど」

卯月「凛ちゃんは優しいですよ?」

凛「卯月? そういう話じゃないからね?」

未央「でもでもしまむー、しぶりんっていつもクールでしょ?」

卯月「それは……そうですね」

未央「それはつまり、いつも冷たいということではないでしょうか?」

卯月「……そう言われてみると、そうかもしれません」

凛「違うと思うけど……なんか、自分のことだから口を出しづらい」

P「クールだけど優しいのが凛だから、まあ、間違ってはいないのかもしれないけどな――っと。見えてきたな。そろそろ着くぞ」

未央「はーい。……しかし、クリスマスに、っていうのもなかなかですなぁ」

凛「確かにね。ちょっと、変な感じかも」

卯月「……でも、こういうクリスマスもいいですよね」

P「そう言ってくれると助かるよ。……それじゃ、入るか」

とりあえずここまで。続きは……たぶん書くと思います。いつかはまだ未定ですが。

(もうちょっとかかりそうです)

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このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年02月06日 (土) 17:32:17   ID: zWH0ZNGe

お腹すくなこれ
チェーン店も多かったから行きたくなってきた

2 :  SS好きの774さん   2017年04月28日 (金) 23:25:51   ID: nuQYRKaK

いろいろとひどかった

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