どうも。魔王の側近です。
我々魔族の歴史が開始してから1500年。
数々の魔王様に仕えてきた私ですが、どうやらこの度就任された魔王様は、これまでの魔王様とはちょっと違います。
魔王「はっ! 側近ちゃん! 今何時!?」
側近「えーっと。5時30分です」
魔王「違う違う~! 魔界の時間じゃなくて人間界の時間だよお!」
側近「……深夜0時45分ですが」
魔王「うわっ! やばっ! もうすぐ始まるじゃん!」
魔王「『アイドルマスタリンコ・ツンデレラガールズ』見なきゃ!!」
側近「……一応、ハードディスクへの予約はしておりますが……」
魔王「何言ってるの! 私とあろう者が、リアルタイム放送を見逃す訳にいかないでしょ!!」
側近「……」
魔王「あー! 楽しみだなぁ~! 今日はぁ、クリクリとミオンちゃんが初のユニットライブする回だよ~。萌え死んだらどうしよ~」
側近「……」
この通り魔王様は、人間界で放送している「アニメ」とやらに出てくる「アイドル」にとてもお熱なのです。
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◇
魔王「いよっし! ペンライト、はちまき、メガホン、うちわ、オッケーね!」
側近「……」
魔王「ちょっと! 側近ちゃんは応援するつもりないの!? クリクリにとっては初デビューの舞台なんだよ!?」
側近「いや、誰ですかクリクリって……」
魔王「はああ!? これだけ一緒に見てきて、なんで知らないの!?」
魔王「クリクリはねえ人間界での超大人気アニメ『アイドルマスタリンコ・ツンデレラガールズ』に出てくる4番目のツンデレラよ!身長は148センチと小さくて胸も他の先輩に比べたらちっさいけどそれでも健気に毎日レッスンを頑張ってようやくリーダーのホノーチカに認められてこの度ユニットとしてだけどアイドルの舞台に立つことができるの!もちろんこれは知っていると思うけどツンデレラの中でデビューして舞台に立つということはそれはもう光栄なことで並大抵の努力じゃなることはできないわそれにクリクリは本当は性格がとっても優しい子なのだけどツンデレラの名のとおりツンデレ性質を身に着けていないといけないそれこそ歌の一つも歌わせてくれない厳しい世界よ。それにクリクリが何故アイドルでデビューしたいかというとそれは亡くなったお母さんの意思を受け継いで……etc」
側近「……」
魔王「……であって、クリクリは絶対にこのライブを成功させないといけないの!!」
側近「あ、はい」
魔王「もー!! そんなんじゃ魔王の側近なんて勤まらないよ!? ちゃんとしてくれるかなあ、もうー」
側近「……す、すみません」
パパーーーン
魔王「はああっ! 始まったよ! 側近ちゃん! ほらうちわ! 今回だけ貸してあげるから!」
側近「……ウイッス……」
側近「……」
魔王「貴方の~♪ 笑顔が~♪ 元気の~、ミナモト♪」
側近「……」
魔王「不・思・議だね★ この気持~ち~♪ HEY!」
側近「……」
魔王「うわわあ~! クリクリ出たよ~! ほら応援応援!!」
側近「……ガ、ガンバレー……」
魔王「ダメエエーーーッ!! なんでそこで邪魔するかな~! ほんっとこのPムカツク~!」
側近「……」
魔王「うぐっ……ライブ前にお母さんのお墓に来るなんて……グスッ……クリクリ良い子すぎ……」
側近「……」
魔王「ハイ! ハイ! ハイ! エルオーブイイー!!」
魔王「ああっ! クリクリこけちゃった! 頑張れっ……頑張れーーーっ!!」
側近「……」
魔王「ホノーチカが……あのホノーチカがエールを送ってる!! 凄い!! クリクリはホノーチカの心を動かしたんだ!!」
側近「……」
魔王「うわあああーーーーーん!! よがっだ!! よがっだよおおお! グリグリィィーーー……!!」
ババーン
キョウモミテクレテ アリガトネッ
魔王「サイコー……。もう、サイコー……ほんと……」
側近「……」
側近「……グー……」
魔王「ねえ側近ちゃん、見た見たあ? クリクリのあの笑顔!! すっごい感動したね!」
側近「……スピー……」
魔王「……」
側近「……クー……」
魔王「……御布団、かけてあげよ」
側近「……ムニャ……」
魔王「さって」
魔王「エネルギー分もたくさん補充したし! 仕事しますかー!」
側近「……カー……」
このとおり、魔王様はアニメのアイドルにお熱な魔王様なのですが。
基本的に、お優しいです。
それに。
側近「ま、魔王様すみません! 私、いつの間にか眠りこけていたようで……!」
魔王「あー、いーよいーよ。側近ちゃん疲れてるもんねー」
魔王「仕事終わらせといたよ~。ご飯にしよ~」
側近「お、終わらせた!!? あの……1週間はかかる作戦指揮を!?」
魔王「……? うん」
この通り、仕事はできまくるのです。
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