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ムスビ「ただいまー」


ムスビ（パーフェクトガール、漫画みたいな子。かぁ……）


ムスビ（完璧な子なんて、いるわけないじゃない……私なんてやきそばパン好きだし、歌はドヘタだし、名前だって……ムスビだし……なによりも！その……毛深い……し……）


♪～


ムスビ（勉強だって、スポーツだって。みんなが喜んでくれるから、嫌われたくないから。必死にしがみつきながら頑張ってるだけなのに……）


ムスビ（完璧、完璧ってまるで呪文みたい。イラつく……）

♪～♪～


コニー『へいへ～い、ムスビちゃん！！ナナスタでアイドルになろうず！』


ムスビ（私の知らない世界……新しい光……）ｷﾞｭｯ


お母さん『ムスビはいつも頑張っててすごいわね、お母さん嬉しいわ』


ムスビ（お母さん……いつも頑張り続けてきたけど、今此処はどこなの……？）


♪～♪～♪～


ムスビ「……ってあぁ！もうテレビの音うるさい！！」ｶﾞﾁｬ


ムスビ「ん……何これ、昔の映画……？」

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ムスビ「結局見入っちゃった……」


『繰り返す自己嫌悪とか　そんなのは自己満足
　踏み出せない自分を　許すためのものなんです』


ムスビ「うるさいうるさいっ！！自己満足なんかじゃないっ！！！！」


ムスビ（あのフレーズが頭に残って消えない。決して自分を許してるわけじゃないのに……）


ハル『えへへ、イメージ通りのかっこいい生徒会長さんだね』

支配人『へぇ、お嬢さま学校に通うわりには、意外と庶民的なんだね！』

コニー『天堂寺ムスビ！何をそんなに恐れているのかなぁ？？』


ムスビ（うるさいうるさいうるさいうるさい！あの映画の歌も！ナナスタってところの人たちも！）

ムスビ「はっ……もうこんな時間だ……寝ないと……」


ﾎﾟﾂ...ﾎﾟﾂ... ｻﾞｰｰｰｰ


ムスビ（雨……かぁ。憂鬱だなあ……）


ムスビ（雨でここ数日間の事をすべて洗い流してしまいたい……でも……）


ムスビ（やきそばパン１年分かぁ……）


ムスビ（って、そ、そうじゃなくて……！！）


ムスビ（歌を教えてもらいに、くらいならいいよね……）

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ムスビ（ついに言っちゃった……）ｶｧｧ///


ムスビ『……本当は、歌うのも好きだし……友達とカラオケにも行ってみたい』


ムスビ（春日部さんといると調子が狂う。本当の私なんて見せない方がいいに決まってるじゃない）


ムスビ「本当に歌わないといけないのかな……」


ムスビ（みんなが喜んでくれるから、嫌われたくないからって築いてきた壁はすごく高い所にまでできていて）


ムスビ（春日部さんや支配人さんが扉を作ってくれたのに、錆び付いてまるで動かない）

ムスビ（そうこうしている内に歌すら完璧にできないまま時間が過ぎてて。明日、ステージに立つ日が来てしまった）


ムスビ（高い壁に囲まれてひとり、今さら何を悔やんで、何を責めればいいのかもわからない）


ムスビ「もう少し、早く歌が上手くなるとおもったんだけどなあ……」


ムスビ（現実はそう甘くない、少しだけ怖くなった……でも……）


ムスビ（壁を壊して踏み出そうとしてる自分が、ちょっとだけ誇らしい……）


ムスビ（こうなったらやるしかないんだから！！もう何でもやってやるわよ！）


ムスビ「バッチコーイ！！」



天堂寺ムスビが毛深いのがバレるのはこの次の日
そしてハレンチなコスプレ衣装を着せられるのはそれから３日後のことだった

おわり