幼「私が男君を守るからね?」
男「何から?もしくは誰から?」
幼「…世間の荒波とか?」
男「ははは。是非守ってくれよ」
幼「…うん。大丈夫だからね」
幼「私が…守るから…」
幼「ところで男君」
男「ん?何だ、幼」
幼「さっきの人、誰?」
男「ん?さっきの人?」
幼「帰る前に、教室で話してた人」
男「女さんの事か?」
幼「…どういった関係?」
男「どういったって言われてもなぁ」
男「ちょっと前に、ウチのクラスに転校してきたんだよ」
幼「何であんな子と楽しそうにおしゃべりするの?」
男「ん?楽しそうだったか?」
幼「ニヤニヤして、何の話しをしていたの?」
男「ニヤニヤなんてしてないよ」
幼「してたよ!」
男「幼、声大きいよ。皆見てるよ」
幼「別に見られてもいいもん!男君、あの子と何の話ししてたの?」
男「話すから、話すから落ち着けよ、幼」
幼「…声荒げてごめんね、男君」
男「いいけどさ」
幼「で?何を話していたの?」
男「今度の中間テストの範囲の話しをちょっとしてただけだよ」
幼「テストの話しを笑いながらするの?」
男「俺、頭悪いから、赤点取らないようにしないとなーって」
男「そしたら女さんが『私も頭悪いから、お互い頑張ろうね』って」
男「で、ちょっと笑っただけだよ」
幼「男君、赤点取った事無いよね?」
男「ん?あぁ、テスト前いつも幼が勉強見てくれるからな」
男「おかげさまで、一度も赤点はないです」
男「いつも幼に助けられてます」
幼「…いいよ、別に。私が好きでやってる事だし」
男「でもさ、いつも色々してもらって感謝してるんだ」
幼「えへへ。そう言われると、照れちゃうよ」
男「本当に、いつもありがとうな、幼」
幼「えへへ…」
幼「…」
・
・
・
女「男君、おはよう!」
男「おー、おはよう、女さん」
幼「!」
女「えっと…そっちは幼さん…だっけ?おはよう!」
幼「…おはようございます、女さん」
女「二人、仲良さそうだねー。夫婦みたい」
女「付き合ってるの?」
男「そう言う訳じゃないよ」
女「じゃ、何で一緒に登校?」
男「俺と幼は幼馴染なんだ」
男「家も隣りだしな。幼が毎朝起こしに来てくれるんだ」
女「へー。絵に書いたような幼馴染だねー」
男「まあね」
幼「…」
女「幼さん、どうしたの?顔色悪いよ?」
幼「な、何でもないよっ。大丈夫だから!」
幼「…」
・
・
・
女「男君、お昼一緒にどうかな?」
男「あー、いいけど…」
幼「男君、お昼行こっ」
男「幼、今日は女さんも一緒で良いか?」
幼「えっ?」
女「2人はいつも一緒に食べてるの?」
男「うん。幼が毎日お弁当作ってきてくれるからね」
男「幼、料理超上手なんだぜ?」
女「へー。私にも一口ちょうだい!」
男「ダメだな!この美味は俺だけの物だ!」
男「他人にはやれん!」
幼「…男君、とりあえずいつもの場所に行こうよ」
男「そうだな。腹減ったしな!」
幼「…」
・
・
・
女「男君、放課後ちょこっとだけ、テスト範囲の事教えてくれない?」
男「んー。俺は良いけど、先生に直接聞いた方が良くないか?」
女「そうなんだけどさー。今日、職員会議が5時くらいまであるって」
男「まぁ、数学以外なら、何とか教えられるよ」
女「じゃあ、hr終わったら、すぐ教えてね!」
男「はいはい」
女「お礼、ちゃんとするからさ」
男「ハハハ。いらんいらん」
・
・
幼「男君、帰ろ…」
女「ふんふん…ここからここまでね。範囲広いね」
男「歴史の先生は問題範囲を凄く広く取るタイプだから…」
男「でも、ポイントは絞りやすいよ」
女「どんな?」
男「有名な出来事に絞って、その出来事に関連する事を」
男「こっちの参考書から抜き出せばいいよ」
女「ふむふむ。有名な…出来事っとね」
男「あと、問題が三択な事が多いよ」
女「三択ってクイズみたいね」
男「そ、歴史の先生はクイズみたいな感じで問題作るんだ」
男「だからぶっちゃけ、運次第では勉強してなくても百点取れるよ」
女「あはは。またまたー、そんな訳ないじゃん」
男「オレはそれに近い事をやりとげた奴を知っている」
女「え?」
男「b組に友ってやつがいるんだが」
男「あいつが、前回のテスト、歴史97点だったんだ」
女「頭良いんだね!」
男「あいつは頭悪い。他の今日はは赤点もあったくらいだ」
女「え?じゃあ本当に運だけでそんな点数取ったの?」
男「本人いわく『ストライカーシグマvのおかげだ!』って言ってたけどな」
女「ストライカー?何?」
男「鉛筆なんだけど、後ろの方に数字が彫ってあってな」
男「それを転がして、答え書いたんだってさ」
男「その鉛筆の名前が『ストライカーシグマv』だって」
男「いかにも小学生が考えそうな事だろ?」
女「ふふ。楽しそうな人だね」
男「オレの親友なんだ。今度紹介するよ」
男「バカだけど、良い奴だよ」
女「あ、話が横道にそれちゃったね」
女「これで一応、数学以外の教科は範囲わかったよ」
女「どうもありがとう、男君」
男「気にするなよ。教えててオレ自身の復習にもなったし」
女「お礼、しなきゃね」
男「さっきも言ったけど、いらないよ別に」
女「それっ」
ギュッ
男「なっ?」
女「こんな美人に抱きつかれて、うれしいでしょ?」
男「あー。いやごめん。ちょっと…これは困る」
女「…嬉しくないの?」
男「いや、ちょっと…」
女「…朝の幼って子の事?」
男「あ!しまった!幼!」
男「女さん、俺もう行くね!また明日!」
バタバタ
女「…負けないんだから」
・
・
・
男「教室には居なかったな…」
男「取り敢えず下駄箱確認してみるか」
男「…靴がないって事は先に帰っちゃったのか」
男「はぁ、仕方ない。一人で帰るか」
男「今日は呼びに来なかったなー、幼のやつ」
男「まぁ、そんな日もあるか…」
男「…いや、今までそんな事なかったから、何か変な感覚だなー」
幼「…」
男「おわっ!幼!居たのか!」
幼「…居たよ。ずっと、ここに」
男「居残りさせられてたのか?」
幼「…男君を待ってたんだよ」
男「えっ!悪い悪い。ホントごめん!」
幼「…教室で、女さんと話してたね」
男「やっぱり呼びに来てくれてたんだな」
男「ごめんな。呼びに来てくれたのに、気づかなかくて」
幼「そんな事はどうでもいいよっ」
幼「あの人と何話してたの?」
男「あぁ、テスト範囲を聞かれてな」
幼「何で男君に聞くの?先生に聞けばいいじゃない!」
男「あぁ、何か職員会議らしくてさ」
幼「…職員会議は昨日だよ」
男「え?そうなんか?」
幼「さっき職員室に聞きに行った」
男「マジ?女さん、勘違いしてたんだなー」
男「ま、俺も復習になったから、良かったけど」
幼「…」
男「ホント、待たせて悪かったな、幼」
幼「いいよ、そんなの」
男「さ、帰ろうぜ」
幼「…うん」
・
・
・
女「…で?」
幼「…」
女「アナタが手紙で呼び出したんでしょう?」
女「黙ってても何もならないんだけど?」
幼「…これ以上、男君に近付かないで!」
女「やっぱりね。そんな事だろうと思った」
女「でもそれは聞けないね!」
幼「っ!」
女「私だって、男君の事を好きになったんだから!」
女「私の行動をとやかく言う権利は、アナタには無いはずよ!」
女「それとも、2人は正式にお付き合いしてるの?」
幼「それは…」
女「違うんでしょう?」
女「どうせアナタが一方的に付き纏ってるだけなんでしょう?」
幼「違う!私達は…」
女「ずっと一緒に居たから、勘違いしてるだけなんじゃないの?」
幼「わ、私は…」
女「とにかく、私は男君の事が好きよ」
女「直接彼に振られるまで、絶対諦めないから!」
バタバタ
幼「…もう、行動するしか、ない…」
幼「フフフ。待っててね、男君」
幼「私が守るから…」
・
・
・
女「男君、今日も勉強教えて?」
男「あぁ、悪い。今日はちょっと用があるんだ」
女「幼さんが関係してる事?」
男「ん。まぁ。勉強教えてもらう事になってるんだ」
女「…」
男「そんな訳で、ごめんね女さん」
女「突然だけど、男君、聞いて欲しい事があるの」
男「ん?何?」
女「私とお付き合いして欲しいの」
男「えっ?」
女「本当に突然で申し訳ないと思うけど…」
女「幼さんに負けたくない」
男「何故そこで幼の名前が出てくるの?」
女「…わかるでしょ?」
女「私は男君と知り合って、まだそんなに経ってないけど」
女「男君の事が本当に好きなの!」
男「…あ、あのさ」
女「即答しないで!ちゃんと考えてから答えを聞かせて欲しい!」
男「…わかったよ」
女「考えてね?」
男「…うん」
・
・
・
男「ん…寝ちゃってたか…」
男「すまん、幼。せっかく勉強教えて貰って…た、の…」
ギシッ
男「痛っ…なんだ、これ」
幼「…おはよう、男君」
男「…幼、状況を説明しろ」
幼「男君は今、私のベッドに」
幼「両手両足を荒縄で縛られています」
幼「そして、私に抱きつかれています」
男「何故こんな事を…?」
幼「大丈夫だからね」
男「何がだ」
幼「男君は、ずっと、一生、ここで私と暮らすの」
男「全然大丈夫じゃないだろう」
幼「大丈夫だよっ!私、頑張るから!」
男「とりあえずこの荒縄を解け」
幼「イ、イヤだ!それとっちゃったら、男君…」
幼「またあの女狐の所に行っちゃうんでしょ…」
幼「今日、教室で告白されてるところ見てたよ…」
幼「そんなの嫌だ!許せない!」
男「女狐って…いいか、幼。俺と女さんとは別に何でもない」
幼「嘘だっ!」
男「俺がお前に嘘ついた事あるか?」
幼「…今回が初めての嘘なのかもしれないじゃない!」
男「…それもそうか」
幼「絶対、男君は私と一緒にここで暮らすんだもんっ!」
男「幼…」
幼「絶対、解かない!」
男「まず話しを聞け」
幼「必要ない。大丈夫だから」
幼「私、高校辞めて働くから」
幼「働いてる間は、男君に寂しい思いさせちゃうけど」
幼「その代わり、一緒に居る時は思いっきり甘えてね?」
幼「食事も、お風呂も…その…アレの処理も…」
幼「全部全部、私がやってあげるからねっ」
幼「男君は、何も考えなくていいからねっ」
男「…」
幼「あぁ、男君の匂い」
幼「男君の感触…」
幼「もう誰にも渡さない…渡さないんだから」
幼「…他の女の子なんて見ないで、私だけを見てね…」
男「ちょっと待て、幼」
幼「なあに?男君」
男「トイレに行きたい時はどうすればいいんだ?」
幼「もらしちゃっていいよ。私、片付けるから」
男「片付ける時は、このジーンズを脱がせるのか?」
幼「ハサミで切るよ」
男「デニム生地を切れるのか?」
幼「…それは…頑張るよ」
男「風呂はどうするんだ?」
男「服着たまま入るのか?」
男「それともこのシャツもハサミで切るのか?」
幼「…頑張るよ」
男「幼、どう考えても無理があるだろ?」
幼「無理なんてない!」
男「おじさんとおばさんには何て言うんだ?」
男「バレない訳ないだろ?」
男「俺の両親にもだ」
幼「学校辞めて、働いて、アパート借りるよ」
男「引っ越す時、俺は荷物扱いで運ぶのか?」
幼「…」
男「あとな。荒縄が食い込んで、痛いんだ」
幼「い、いや…いやだ…いやだよ…」
男「幼、泣かないでくれ」
幼「男君の隣りは私の物なんだからぁ…」
幼「誰かの物になっちゃうくらいなら…」
幼「私と一緒に…」
男「…幼、お前は昔、俺とした約束を覚えてないか?」
幼「えっ?約束?」
幼「私が男君との約束を忘れるわけがないよ…」
幼「…全部覚えてるよ」
男「小学1年の夏休みの事、覚えてるか?」
幼「夏休み、男君が塀の上から落ちて、骨折した時の事?」
男「そうだ。あの時、どんな会話したか覚えてるか?」
幼「塀の上から落ちた男君が気絶しちゃて」
幼「私、不安で、不安で…」
幼「どこにもいかないでって号泣して…」
幼「そしたら、目を覚ました男君が」
幼「ずっと傍に居るから、泣かないでって…」
男「そうだ。俺はずっと幼の傍にいる」
男「だからもう泣かないでくれ」
幼「男君…」
男「こんな物騒な事しなくても、俺は幼の傍にいるからさ」
幼「…」
男「俺の事が信じられないか?」
幼「…信じたいけど…」
ギュッ
男「あー、幼。俺は今、猛烈に我慢している事がある」
幼「えっ?」
男「足はそのままで良いから、手だけでも解いてくれ」
幼「手解いたら、そのまま足も自分で解いちゃうでしょ!」
男「それなら、左手だけでも解いてくれ」
男「それなら、足には届かないだろ?」
幼「…わ、わかったよ」
チャキッ
男「…何故ナイフ?」
幼「きつく縛りすぎて、私じゃ解けないから…」
男「じゃ、左手の縄の部分だけ、切ってくれ」
幼「…うん」
・
・
・
男「…」
幼「ふぅ、やっと切れた」
男「幼」
幼「なぁに?」
ガシッ
ギュッ
幼「えっ?えっ?」
男「こうしたかった。幼を抱きしめたかった」
幼「えっ?」
男「幼は俺の事が好きだと思ってた」
幼「…うん。好きだよ。好きじゃなきゃ、こんな事しないよ」
男「俺がはっきり言葉にしなかったせいで、こんな事しちゃたんだな」
幼「…」
男「だからはっきり言うぞ、幼」
男「俺はお前の事が好きだ。大好きだ」
男「ずっと俺の傍に居てくれ」
男「こんな縄で縛らなくても、俺はお前の傍から離れない」
男「約束するよ、幼」
ナデナデ
幼「うぅ…うわぁぁぁぁん」
男「…あの時、病室でした、誓いも覚えてるよな?」
幼「…もちろん、覚えてるよぉ」
男「もう一度、今ここで誓おう」
幼「…うん。うん!」
男「大きくなったら、僕と結婚してくださいって誓い」
男「あと少しで、結婚出来る年になる」
男「そしたら、ちゃんとしよう」
幼「うん!うん!」
男「幼さん、俺と結婚してください」
男「…返事は?」
幼「返事なんて、あの時からずっと決まっているよ!」
幼「私を男君のお嫁さんにしてください」
・
・
・
男「そんな訳でさ」
男「俺は女さんとはお付き合いできません」
男「ごめんなさい」
女「…」
幼「…」
女「一目惚れだったのになぁ」
女「仕方ないか。一緒の時間が長かったんだもんね」
女「お互いの事、分かった上での結論だもんね」
男「あぁ、幼は俺の事になると、ちょっと暴走する事もあるけど」
男「そんな所もあわせて全部、幼の事が好きなんだ」
女「そんなにはっきり言われちゃったらなぁ…」
女「結局2人の間には割り込めなかったって事かぁ」
女「ごめん、先に教室に戻ってて」
男「うん」
幼「…」
女「…はぁ…失恋か…」
女「行けると思ったんだけどなぁ…」
女「あんなライバルが居たとはなぁ…」
女「ぅ…うぐっ…ぐすっ…き、きついなぁ…」
・
・
・
男「これでわかっただろ?」
幼「うん」
男「俺は幼だけ見てる」
幼「…うん」
男「だから、あんな過激な事はもう勘弁な?」
幼「う、うん」
男「…愛してるぞ、幼」
幼「私も…私も、愛してます。男君」
10年後
男「ただいまー」
幼「おかえりなさい、あなた」
娘「パーパ、おかえりいー」
男「おう、娘。パパが帰ったぞ?」
娘「パーパ、だっこー!」
男「そらっ!高いぞー!ぎゅいーん!」
娘「きゃー!たかいー!あははは」
幼「…あなた。私には?」
男「ん?」
幼「…ただいまのちゅーは?」
男「ん。ただいま、幼」
チュ
幼「…私より娘ちゃんを優先した…」
男「おい、幼」
幼「…なぁに?」
男「俺が世界で一番愛しているのは、幼だ」
男「今、一番守りたいのは、幼と俺と、娘」
男「3人で過ごす、家族としての時間だ」
男「だから娘に嫉妬なんてするな」
幼「…うん、わかった。ごめんなさい」
幼「これからも、ずっとあなたの左隣りは私の物だからね?」
幼「愛してるよ、男」
おわり
乙!コテハン希望!
これで終わりです
読んでくれた人、ありがとうございます
次スレは
男「今夜、星を見に行こう!」幼馴染「断る!」
ってタイトルで立てたいと思います
では。
読んでくれた人、ありがとうございます
>>65
コテハンとか酉とか、叩かれるイメージしかなくて…
ちょっと考えてみます
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません