さやか「恭介を決闘で叩きのめす…」(183)
前作的な何か↓
恭介「理想の女性? うーん、決闘者かな」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1339175779/l50)
の、番外編的な何かです。
見滝原市内のカードショップ、『宝嶋(たからしま)』にて行われたあの戦いから10年。
巴マミ25歳、プロ決闘者(デュエリスト)。
日夜トレーニングを重ね、試合を勝ち続け、その合間には握手会やサイン会などもこなす、
売れっ子決闘者である。
そんな彼女が一日を終え、自宅のマンションに帰宅するところから、この話は始まる。
――自宅のマンションへ続く大通り。
マミ「はあ、今日も疲れた…」
マミ「早く帰って、お風呂入ってビール飲みましょ」
マミ「明日からは久しぶりのお休みだし、」
マミ「思いっきり羽を伸ばしちゃいましょう!」
マミ「それにしても凄い雨だわ」
マミ「早く家に着きたい…」
マミ「…」
マミ「あら…?」
マミ(マンションの前にいるのって…)
タッタッタッタッ。
マミ「美樹さん、どうしたの!?」
マミ「ずぶ濡れじゃないの!!」
マミ(それに、なんだか凄く元気が無いわ…)
さやか「マミさん…」
さやか「すみません、マミさん…」
さやか「いきなりでご迷惑かも知れないんですけど…」
さやか「今夜マミさんのところに、泊めて貰えませんか…?」
マミ「!?」
マミ「その為にここで待っていたの!?」
マミ「何時から!?」
さやか「…2時間くらい前からです」
マミ「傘は!?」
マミ「いえ、傘がなくても!」
マミ「何かあったのなら、携帯に電話してくれれば良かったのに!!」
さやか「すみません…」
さやか「マミさん忙しいから…こっちから連絡するのはちょっと躊躇っちゃって…」
マミ「迷惑だなんて思うはず無いでしょう!?」
マミ「とにかく、早く上がって!」
マミ「早く身体を温めてあげないと!」
マミ「話は落ち着いてから聞くわ!!」
マミ「さあ!!」
さやか「はい…」
――巴マミ宅、風呂場前。
マミ「着替え、ここに置いておくわね」
さやか「すみません…。じゃあ、シャワー借ります」
バタン。
マミ(いったい、どうしたのかしら…)
マミ(美樹さんは今、主婦として幸せな毎日を送っていたはず…)
マミ(泊めてくれと言う話だけど、)
マミ(家の鍵をなくしたとかそういう顔じゃ全然無い)
マミ(旦那さん…上条君と何かあった…?)
マミ(上条君が何かのトラブルに巻き込まれたという可能性もあるけど、)
マミ(それならこういう態度にはならないはずよね)
マミ(やっぱり、美樹さんと上条君の間に何かがあって…)
マミ(いったい、何が………)
※
――巴マミ宅、居間。
さやかに続いてマミもシャワーを浴び終え、小ざっぱりした状態で本題へ。
さやか「マミさん、私…」
さやか「恭介と、別れます」
マミ「!!??」
さやか「それで家を出てきたんですけど…」
さやか「両親は別の街に引っ越してるし、」
さやか「今日泊めてくれるところがなくて…」
マミ「えええええええええ!!??」
マミ「ちょ、ちょっと待って美樹さん!!」
マミ「上条君と何があったの!?」
マミ「貴方達は、あんなに仲が良くて、幸せそうだったのに!?」
さやか「確かに幸せでした…」
さやか「中学2年の頃からずっと付き合って…」
さやか「この10年の間、ううん、正式に付き合う前から、」
さやか「それこそ物心付いた頃から既に、」
さやか「私は恭介にはたくさんのものを貰ってきました」
さやか「恭介には今でも感謝してます、それは本当です…」
マミ(でも、そこで”今でも愛している”、とは言わない…)
マミ(いえ、言えないのね、)
マミ(美樹さん…)
さやか「でも、もう恭介と二人で歩んでいくことは出来ません…!!」
さやか「恭介があんな奴だったなんて!!」
さやか「信じられない!!」
さやか「絶対に許さないんだから!! 恭介…!!」 バンッ!
マミ(あれほど深く上条君を愛していた美樹さんが、)
マミ(こんなに激しく怒り狂うなんて…)
マミ(上条君、一体何をしたの…!?)
マミ「お、落ち着いて美樹さん」
さやか「すみません…、興奮しちゃって…」
マミ「それで…、二人の間で何が起こったから、今話せる?」
さやか「…………」
マミ「そう…」
マミ「無理に話してくれなくてもいいわ」
マミ「デリケートな問題ですものね」
マミ「聞こうとしたこちらが悪かったわ」
マミ「私は事情を知らないし、これは家庭内の問題だから、」
マミ「私からは寄りを戻せとも別れろとも言えないけど…」
マミ「でも…美樹さんは本当に、このまま彼と別れてしまう事に未練は無いの?」
さやか「ありません!!」
マミ「上条君も、そういう気持ちなのかしら?」
さやか「当たり前ですよ!!」
さやか「あいつは私に、気に食わないなら出て行けって言った!!」
さやか「だから私は、あいつの望み通りに出てきてやったんです!!」
さやか「頼まれたって、二度と戻ってやるもんか!!!」
マミ「そう…」
マミ「美樹さんの気持ちがそうと決まっているというのなら、」
マミ「私には何も言えることは無いわ」
マミ「それで…」
マミ「とりあえず、引っ越したご両親の所へ行くの?」
さやか「そう考えてます」
さやか「明日、見滝原を発ちます」
マミ「そっか…」
マミ「寂しくなってしまうわね」
さやか「はい…」
さやか「見滝原での決闘も、明日が最後です…」
マミ「………」
マミ「えっ?」
マミ「決闘、するの…? 明日!?」
さやか「はい。この街を出ていく前に」
マミ「誰と!?」
さやか「そりゃあ恭介の奴ですよ」
マミ「はあ!?」
マミ「…」
マミ「ごめん、訳分からないわ」
さやか「まあ、恭介の奴に誠実さや理解が少しでもあれば、」
さやか「こんな事しなくて良かったんですけどね…」
※
――数時間前、上条邸。
朝から続いた上条家の夫婦喧嘩はピークを迎えていた。
恭介「文句があるならさっさと出て行け!!」
さやか「おう、出ていってやるさ!!」
さやか「二度と戻ってきてなんかやるもんか!!」
さやか「離婚だよ、離婚!!」
さやか「こんな旦那と一緒にいるなんて馬鹿馬鹿しいこと、他に無いよ!!」
恭介「いいね、離婚! 望むところだよ!!」
さやか「よし、じゃあ慰謝料は恭介の財産の半分ね!!」
恭介「はあ!?」
恭介「今回、悪いのはさやかじゃないか!!」
恭介「さやかにやる慰謝料なんかあるはず無いだろ!?」
さやか「何言ってんのさ!!」
さやか「悪いのは恭介なんだから、慰謝料くれるのは当たり前じゃん!!」
恭介「ぐぬぬぬぬぬぬぬ…」
さやか「うぬぬぬぬぬぬぬぬ…」
恭介「仕方がない…」
恭介「僕らは、決闘者だ」
さやか「仕方がないね…」
さやか「互いに譲らないとなれば」
さやか「カードで語るしかない…」
恭介「さやか!!」
さやか「恭介!!」
恭・さや「「決闘だッッ!!!」」
―――回想終了。
※
――巴家、居間。
さやか「と言う訳なんですよ…」
さやか「まあけどぶっちゃけ、慰謝料のお金そのものにはあんま興味無いんです」
マミ「そうなの?」
さやか「恭介から財産を分捕る、という行為自体が目的なのと、」
さやか「本気の決闘で恭介の奴をぎったんぎったんに叩きのめしたい!!」
さやか「…それが今の私の意思です」
マミ「そ、そう…」
さやか「今回恭介は、テーマを指定して来ました」
マミ「テーマ?」
さやか「互いに使うデッキのテーマを、あらかじめ決めておくんですよ」
さやか「恭介も私を本気で叩きのめしたいと言っているし、」
さやか「私も恭介を真正面から叩き潰したい」
さやか「そういう決闘で、」
さやか「【カウントダウン】や【図書館エグゾ】なんて興醒めじゃないですか」
さやか「そういうのを防止する為というのと、」
さやか「単純に互いの構築力比べが出来るという意味で、」
さやか「共通のテーマデッキを戦わせる訳です」
さやか「今回のテーマは、」
さやか「ずばり【hero】です…!!」
マミ「【hero】ね…」
マミ「美樹さんはもう、デッキは作ってあるの?」
さやか「はい」
さやか「家を出てくる時、怒りに任せて身の回りにあるものはたいだい置いてきたんですけど」
さやか「デッキだけは作って持って来ました!!」
さやか「後はこれで明日、あいつを倒すだけ…!!」
さやか「後、は………」がくっ
マミ「美樹さん!?」
さやか「すぅ、すぅ…」
杏子「疲れて寝ちまっただけだな、こりゃ」
マミ「!?」
マミ「い、いつからそこにいたの、佐倉さん」
杏子「ゆまの奴が友達と旅行に行ってて一人だから」
杏子「たまにはここに寄ってみようかと思ったらマミが留守でさ、」
杏子「けどせっかくだから寝て待ってようかと思って、」
杏子「今までそこで寝てた」
杏子「ああ、鍵は植木鉢の下に置いてあったの使ったからな」
マミ「そ、そう…」
杏子「とりあえず、さやかの奴をどっかに寝かせてやろうぜ」
マミ「そうね…。じゃ、お母さんのベッドに…」
※
故マミの母のベッドに、さやかを寝かせ終える。
――再度、巴マミ宅、居間。
杏子「けど、さやかと恭介が離婚かぁ…」
杏子「理由は聞いてねーんだよな?」
マミ「ええ」
マミ「でも、美樹さんとても怒っていたから…」
マミ「よっぽどの何かがあったのかしらね…」
杏子「マミは、さやかがこのまま恭介の奴と別れてもいいと思ってんのか?」
マミ「美樹さんにも言ったけど、」
マミ「美樹さんと上条君が選んだ事なら、止める権利なんか私には無いもの」
マミ「でも出来れば…」
マミ「二人でもっと話し合いをして欲しかった、というのが本音」
マミ「夫婦って、身内ではあっても元は他人でしょう?」
マミ「まったく違う環境で育った二人が、初めて同じ環境を共有して生活する訳じゃない」
マミ「当然、普通に恋人やってた時期には見えてなかったものが見えて来ると思うのよ」
マミ「他人同士としてなら我慢出来ていたことが、出来なくなることもあるだろうし」
マミ「”お前がこんな奴だとは思わなかった”…って感情は、」
マミ「幼馴染だった二人だからこそ、普通よりも強いものだったんじゃないかしらね」
マミ「けど、」
マミ「幾つもそういうトラブルは起こるんだけれども、」
マミ「一緒に協力し合いながらそれらを乗り切っていく内に、」
マミ「夫婦としての絆は一段と深まっていく…」
マミ「私はそう思っているから」
マミ「………」
マミ「結婚もしてない人間が偉そうに語る訳にもいかないから、言えないんだけどね…」
マミ「はあ…」
杏子「だよなぁ…」
杏子「あたしもさ、本当ならさ、」
杏子「今すぐに恭介のとこに飛んでってあいつを締め上げてやりたい」
杏子「”さやかに何をしやがったんだ””謝れ”ってな」
杏子「けどそれはやっちゃいけないことなんだって分かってるから、」
杏子「やらないけどさ…!!」
マミ「…美樹さん、あんなに幸せそうだったのに」
マミ「春夏秋冬、二人で何処かへ行く度に、何があったか楽しそうに話してくれたわ」
マミ「美樹さんだって、心の底では彼と別れたくないと思ってると、思うんだけど…」
マミ「それに、慰謝料を巡って決闘をするって話だけれど、」
マミ「それについても私はあまり賛成出来ない…」
マミ「万事をカードで語るのが決闘者と言っても、」
マミ「決闘って本来は、」
マミ「もっと爽やかなものであるべきだと、私は思ってるから」
杏子「あたしも信者にはそう教えてるなあ」
杏子「…けど、決闘者同士が決めた正式な決闘であることは確かなんだろ、今回のは」
マミ「そうなのよね」
マミ「私達に出来ることは、明日の戦いの成り行きを見届けて…」
杏子「その後さやかを街から送り出してやることだけ、か…」
杏子(後は一応、明日のジャッジくらいはあたしがやってやるかな)
※
――同時刻、鹿目家、居間。
タツヤ「わざわざご飯なんか作りに来てくれなくても良かったのに」
ほむら「おじ様とおば様に、旅行に行ってる間タツヤの事は宜しくと言われているんだから、」
ほむら「このくらいはするわよ」
ほむら「放っておくと、貴方はカップ麺やコンビニ弁当ばかり食べるでしょ」
タツヤ(たまにはそういうものが食べたいんだけどな…)
タツヤ(ほむ姉の手料理も美味しいんだけど)
タツヤ「じゃあ頂きます」パクパク。
ほむら「頂きます」パクパク。
タツヤ「そういえばほむ姉、知ってる? 近所で噂になってんだけど」
ほむら「上条家の夫婦喧嘩?」
タツヤ「やっぱ知ってたんだ」
ほむら「上条君はこの街きっての有名人だもの」
ほむら「その彼が、珍しく大声張り上げて奥さん追い出したなんてなると、」
ほむら「一気に話が広がって当たり前」
ほむら「でも興味無いわ。他人様の家の痴話喧嘩なんて」
タツヤ「心配とか無いの?」
タツヤ「さやかさんは、ほむ姉の友達じゃないか」
タツヤ「離婚まで行くんじゃないかとか、近所の奥さん達の間じゃもちきりだよ」
タツヤ「明日『宝嶋』で、慰謝料をかけた決闘をするなんて話も出てるし」
ほむら「どうでもいいわ」
タツヤ「そっか…」
ほむら(まどかの力を借りてまで結ばれておいて、)
ほむら(今更別れるということについては少し腹立たしいけど…)
ほむら(まあ、しょうがないわね)
ほむら(それが二人で決めたことなら私にどうこう言う筋合いは無いし、)
ほむら(それに放っておいてもどうせ…)
タツヤ「二人とも、使うのは【hero】らしいんだよ」
ほむら「へぇ、【hero】のミラーマッチ…」
ほむら「そっちは割と興味あるわね」
ほむら「何しろ、無限の可能性があるカテゴリー」
ほむら「その真剣勝負となると、見る価値はあるかも」
ほむら「『宝嶋』でやるというのなら、観戦くらいは行きましょうか」
タツヤ「分かった」
※
そして翌日夕方。
――見滝原市内カードショップ、『宝嶋(たからしま)』。
杏子「えー、店の人の許可は取ったからな」
杏子「じゃあこれから、」
杏子「『遊戯王デュエルモンスターズ非公認大会 上条家、夫婦喧嘩杯』を始めんぞ」
杏子「今回は選手の希望で、サイチェン無しの一発勝負だ」
杏子「各選手、準備はいいか?」
恭介「一番、上条恭介。準備は出来てる…!!」
さやか「二番、美樹(旧姓)さやか、準備オッケー…!!」
ピリピリピリ。
ギスギスギスギス。
杏子(分かっちゃいたけど、すげえ殺伐とした雰囲気だなあ、おい)
杏子(…周囲のギャラリーも生唾飲んでるじゃねぇか)
”……………” シーン…
杏子(つーか、こんな場所に大挙してくるなんざ、)
杏子(物好きな連中多いな…)
ほむら「街の人達は皆、それほどこの勝負の顛末が気になるのかしらね」
マミ「暁美さんに、鹿目君」
タツヤ「どうも。こんにちは、マミさん」
マミ「暁美さんは美樹さん達のことが心配で来た訳じゃないの?」
ほむら「別に」
ほむら「私はタツヤに勉強させるために来ただけよ」
マミ「そ、そう…」
杏子(ほむらまで顔出しに来たか…)
杏子「…まあいいか。とりあえず、決闘開始」
杏子「互いのプレイヤーは、互いにデッキを」
恭介「カット、アンド、」
さやか「シャッフル!!」
シャッシャッ、トン☆
杏子「んじゃ、先攻後攻決めな」
恭介「ジャン、ケン、」
さやか「ポンッ!!」
恭介:チョキ
さやか:グー
さやか「さーて、ジャンケンには勝ったか」
さやか「私は後攻を貰おうかな」
恭介「!!」
恭介「…じゃあ、僕が先攻だ」
恭介「5枚になるようドローして、」
恭介「ドローフェイズ、ドローッ!!」
1ターン目
恭介ライフ8000/さやかライフ8000
恭介フィールド:カード無し
さやかフィールド:カード無し
恭介手札6/さやか手札5
恭介「スタンバイ、メインまで」
さやか「何も無い」
恭介「じゃあ、僕は魔法カード、『トレード・イン』を発動する!!」
――『トレード・イン』
通常魔法
手札からレベル8のモンスターカードを1枚捨てる。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
さやか(【hero】に『トレード・イン』…?)
さやか「捨てるカードは?」
恭介「僕は手札の『地球巨人ガイア・プレート』を墓地に捨てる」
――『地球巨人ガイア・プレート』
効果モンスター
星8/地属性/岩石族/攻2800/守1000
このカードは自分の墓地の岩石族モンスター2体を
ゲームから除外し、手札から特殊召喚できる。
このカードと戦闘を行う相手モンスターの攻撃力・守備力は
ダメージ計算時のみ半分になる。
このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に
自分の墓地の岩石族モンスター1体を
ゲームから除外する。または、除外せずにこのカードを墓地へ送る
恭介「そして、2枚ドローする」
さやか「…」
ほむら「上条君のネタは割れたわね」
ほむら「分かった? タツヤ」
タツヤ「いや、全然…」
タツヤ「【hero】だよな?」
タツヤ「あの岩石族モンスターと何の関係が…」
ほむら「帰ったら勉強会よ」
ほむら「そんな事ではあの女達とのタッグマッチに勝てないわ」
タツヤ「げぇっ」
恭介「僕は『レスキューラビット』を通常召喚!!」
――『レスキューラビット』
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻 300/守 100
このカードはデッキから特殊召喚する事はできない。
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
自分のデッキからレベル4以下の同名通常モンスター2体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。
「レスキューラビット」の効果は1ターンに1度しか使用できない
さやか「召喚成功時、何も無いよ」
恭介「効果を使いたいんだが?」
さやか「どうぞ」
恭介「なら『レスキューラビット』を除外し、」
恭介「デッキから『ヴェルズ・ヘリオロープ』を2体特殊召喚!!」
――『ヴェルズ・ヘリオロープ』
通常モンスター
星4/闇属性/岩石族/攻1950/守 650
ルメトモ ヲンエウユシ ツメハ イカハ ンネヤジルナウコウス
ノズルエヴンイ イシマタノラレワ ルナクアヤジ テシニイスンユジ
恭介「特殊召喚成功時に何も無ければ、そのままオーバーレイ!」
恭介「二体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!!」
恭介「エクシーズ召喚!!」
恭介「現れろ!! 『ヴェルズ・オピオン』!!」
――『ヴェルズ・オピオン』
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2550/守1650
「ヴェルズ」と名のついたレベル4モンスター×2
エクシーズ素材を持っているこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
お互いにレベル5以上のモンスターを特殊召喚できない。
また、1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
デッキから「侵略の」と名のついた魔法・罠カード1枚を手札に加える。
恭介「更にオピオン効果!」
恭介「オーバーレイ・ユニットを1つ使うことで、」
恭介「デッキから、『侵略の』と名の付いた魔法・罠カードを一枚サーチ出来る!」
恭介「僕は『侵略の汎発感染』をサーチ」
――『侵略の汎発感染』
速攻魔法
自分フィールド上の全ての「ヴェルズ」と名のついたモンスターは、
このターンこのカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない
恭介「僕はカードを一枚伏せ、ターンエンド」
恭介(さやかの奴、後攻を選んだか…)
恭介(さやかは高攻撃力モンスターによるビートダウンを最も好む)
恭介(このオピオンをどう処理するかで、)
恭介(さやかのデッキの傾向、手札の内容を測らせて貰う)
恭介(…まあ、実際のとこ、)
恭介(あらかた予想はついてるんだけどな)
恭介(”このカード”も無事手札に来たことだし…)
恭介(さあ、思い切り来るがいい、さやか)
恭介(全力で返り討ちにしてやる)
ほむら「上条君のは、十中八九、【ダークガイア】よ」
タツヤ「ガイアって…『e・hero ガイア』…?」
――『e・hero ガイア』(エレメンタル・ヒーロー ガイア)
融合・効果モンスター
星6/地属性/戦士族/攻2200/守2600
「e・hero」と名のついたモンスター+地属性モンスター
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが融合召喚に成功した時、
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
このターンのエンドフェイズ時まで、選択したモンスター1体の攻撃力を半分にし、
このカードの攻撃力はその数値分アップする。
ほむら「違う。こっち」
――『e‐hero ダーク・ガイア』(イービル・ヒーロー ダークガイア)
融合・効果モンスター
星8/地属性/悪魔族/攻 ?/守 0
悪魔族モンスター+岩石族モンスター
このカードは「ダーク・フュージョン」の効果でのみ特殊召喚できる。
このカードの元々の攻撃力は、
このカードの融合素材としたモンスターの元々の攻撃力を合計した数値になる。
このカードの攻撃宣言時、相手フィールド上に
守備表示で存在する全てのモンスターを表側攻撃表示にできる。
この時、リバース効果モンスターの効果は発動しない。
タツヤ「あ、【e・hero】と【e‐hero】って違うんだ?」
ほむら「【e・hero】が戦士族統一のエレメンタルヒーロー」
ほむら「【e‐hero】が悪魔族統一のイービルヒーロー」
ほむら「アルファベット表記だと間違いやすいから注意するようにね」
ほむら「で、上条君が使ってるのはイービルヒーロー、」
ほむら「その中でも特に火力の高さに定評のあるダークガイア」
タツヤ「『ダーク・フュージョン』でしか出ないとか書いてるけど、これは何さ」
ほむら「【e‐hero】の融合モンスターには、特殊な専用融合カードがあるのよ」
――『ダーク・フュージョン』
通常魔法
手札・自分フィールド上から、融合モンスターカードによって決められた
融合素材モンスターを墓地へ送り、
悪魔族のその融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、このターン相手のカードの効果の対象にならない。
――『ダーク・コーリング』
通常魔法
自分の手札・墓地から、融合モンスターカードによって決められた
融合素材モンスターをゲームから除外し、
「ダーク・フュージョン」の効果でのみ特殊召喚できる
その融合モンスター1体を「ダーク・フュージョン」による融合召喚扱いとして
エクストラデッキから特殊召喚する。
ほむら「肝になるのは『ダーク・コーリング』の方」
タツヤ「手札と墓地からモンスターを除外、か…」
タツヤ「あっ」
ほむら「分かった?」
ほむら「上条君が『トレード・イン』で捨てたガイアプレートは岩石族でしょ?」
ほむら「他にも『手札断殺』や『手札抹殺』を使ってじゃんじゃん手札を入れ替え、」
ほむら「手札に『ダーク・コーリング』を集めながら墓地に素材モンスターを集めて、」
ほむら「主力モンスターの『e‐hero ダークガイア』を出して殴るデッキよ」
ほむら「よく使われるモンスターは、悪魔族は『終焉の王デミス』や『幻魔皇ラビエル』」
ほむら「岩石族側はさっきのガイアプレートや、『磁石の戦士マグネット・バルキリオン』」
【参考:主な『e‐hero ダークガイア』の融合素材の皆さん】
悪魔族
『終焉の王 デミス』 :攻撃力2400
『闇の支配者 ゾーク』 :攻撃力2700
『幻魔皇ラビエル』 :攻撃力4000
『邪神ドレッド・ルート』 :攻撃力4000
岩石族
『地球巨人 ガイアプレート』:攻撃力2800
『磁石の戦士マグネット・バルキリオン』;攻撃力3500
『地帝グランマーグ』 :攻撃力2400
ほむら「まあ、該当モンスターは他にも色々いるんだけど、」
ほむら「出てくるダークガイアの攻撃力はだいたい5000~6000くらい…」
ほむら「まあ、4000を下回ることは滅多に無いわ」
タツヤ「すご」
ほむら「…と思うでしょ?」
タツヤ「えっ? 凄くないの?」
ほむら「凄くはあるわよ」
ほむら「これに『巨大化』をつければ軽く攻撃力は8000を超える」
ほむら「『終焉の王デミス』を最初に特殊召喚し、効果を使って、」
――『終焉の王デミス』
儀式・効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻2400/守2000
「エンド・オブ・ザ・ワールド」により降臨。
フィールドか手札から、レベルの合計が8になるよう
カードを生け贄に捧げなければならない。
2000ライフポイントを払う事で、
このカードを除くフィールド上のカードを全て破壊する。
ほむら「相手のフィールドが空っぽになった後で、」
ほむら「『e‐hero ダークガイア』を出して『巨大化』つけて殴れば、」
ほむら「総合ダメージが軽く万を越えて、」
ほむら「文句無しのワンターン・キル」
ほむら「実際にかつてはこの【デミスガイア】が大暴れした時期もあった」
ほむら「オンラインなんかじゃあまりの使用率の高さに、デミスが禁止になったくらい」
タツヤ「けど…? 今じゃ微妙なのか?」
ほむら「優先権のルール改訂でデミスが不利になったってこともあるし、」
ほむら「要の『高等儀式術』が制限になってしまったこともあるし、」
ほむら「ヴェーラーガン積みのせいでダークガイアの攻撃力が0になりやすいのもあるし、」
ほむら「【ダークガイア】デッキ自身の不安定さがあんまり改善されてないってのもあるけど、」
ほむら「何より問題なのは、」
ほむら「これよりも安定性のあるワンキルデッキが身内の【hero】から輩出されたことにある!!」
ほむら「ワンキルしたいならこっち使えとまで言われる始末」
タツヤ「【hero】には、他にもワンキルデッキが!?」
ほむら「美樹さやかが使ってるのが、多分それよ」
ほむら「【hero】であえて後攻取るなんて真似、【ダークガイア】か、”それ”くらい」
ほむら「よく見ていなさいタツヤ」
ほむら「それが、現環境を代表する馬火力(バカりょく)だわ!!」
さやか(オピオンかぁ…)
さやか(まあ、確かに厄介なモンスターではあるよね)
エクシーズ素材を持っているこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
お互いにレベル5以上のモンスターを特殊召喚できない。 ←
さやか(つまりアイツが突っ立ってるだけで、大方の融合、儀式、シンクロデッキは、)
さやか(主力モンスターを特殊召喚して攻めていけない)
さやか(『侵略の汎発感染』でオピオンを魔法、罠から完全ガード出来るし、)
さやか(打点2550ってのがまた強い)
さやか(1ターンでアイツを処理する道筋ってのはあらかた限定される)
さやか(恭介の奴も、今回私が融合メインで行くと考えてたのかな…?)
さやか(フッ)
さやか(大甘だよ、恭介)
さやか(あんたに見せてやる、)
さやか(あんたの思惑を打ち砕く、私の【hero】を!!)
さやか「私のターン、ドローッ!!」
2ターン目
恭介ライフ8000/さやかライフ8000
恭介フィールド:モンスター:『ヴェルズ・オピオン』
魔罠:伏せカード1枚
さやかフィールド:カード無し
恭介手札5/さやか手札6
さやか(…来たか!)
さやか「私は、手札から魔法カード、『ヒーローアライブ』を発動!!」
――『ヒーローアライブ』
通常魔法
自分フィールド上にモンスターが表側表示で存在しない場合、
ライフポイントを半分払って発動する事ができる。
自分のデッキからレベル4以下の
「e・hero」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
さやか(恭介)
さやか(そんなオピオン一枚に立ち塞がられたところで、)
さやか(何の抵抗にもならないって事を教えてやる!!)
恭介(やはりこの型か…!!)
さやか「私のライフポイントは半分に…」
さやかのライフ:8000→4000 ピピピッ
さやか「そして私はデッキから、」
さやか「『e・hero エアーマン』を特殊召喚!!」
――『e・hero エアーマン』
効果モンスター(制限カード)
星4/風属性/戦士族/攻1800/守 300
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●自分フィールド上に存在するこのカード以外の
「hero」と名のついたモンスターの数まで、
フィールド上に存在する魔法または罠カードを破壊する事ができる。
●自分のデッキから「hero」と名のついた
モンスター1体を手札に加える。
さやか「…特殊召喚成功時、何も無いよね?」
恭介「ああ。何も無い」
さやか「なら、効果起動したいんだけど?」
恭介「好きにすればいい」
さやか「オーケー」
さやか「私は手札に、『e・hero アナザー・ネオス』を加える!!」
――『e・hero アナザー・ネオス』
デュアルモンスター
星4/光属性/戦士族/攻1900/守1300
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、
通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、
このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードのカード名は、フィールド上に表側表示で存在する限り、
「e・hero ネオス」として扱う。
ほむら「よく覚えておきなさい、タツヤ」
ほむら「この動きの強さは、はっきり言って異常」
タツヤ「そうなのか…?」
タツヤ「確かに特殊召喚とサーチを一度に出来るのは強いと思うけど、」
タツヤ「何も自分のライフを半分も支払うことは…」
ほむら「目を凝らしてよく見ていなさい」
ほむら「ここからが、本当に異常だから」
さやか「そのまま、アナザー・ネオスを通常召喚!!」
さやか「その後で手札のカード5枚を伏せるよ」
恭介「ああ。こちらにそれらの行為を妨害する用意は無い」
2ターン目 メインフェイズ1
恭介ライフ8000/さやかライフ4000
恭介フィールド:モンスター:『ヴェルズ・オピオン』
魔罠:伏せカード1枚
さやかフィールド:モンスター:『e・hero エアーマン』『e・hero アナザー・ネオス』
魔罠:伏せ5枚
恭介手札5/さやか手札0
さやか「私は、場の2体のモンスターを、オーバーレイ!!」
さやか「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!!」
さやか「エクシーズ召喚!!」
さやか「現れろ、私の聖剣!!」
さやか「『h‐c エクスカリバー』!!」
――『h‐c エクスカリバー』(ヒロイック‐チャンピオン エクスカリバー)
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守2000
戦士族レベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除いて発動できる。
このカードの攻撃力は、次の相手のエンドフェイズ時まで元々の攻撃力の倍になる
恭介「エクスカリバーか…」
さやか「コイツが、あんたの息の根を止めてやる! 恭介!!」
タツヤ「や、”約束された……”?」
ほむら「元ネタは同じよね」
ほむら「まあ、それは置いといて」
ほむら「せっかくだから、ここでプロ決闘者の意見を聞こうかしら」
ほむら「どう? 巴マミ」
ほむら「美樹さやかはどう動くと思う?」
マミ(美樹さん…)おろおろ
マミ(上条君…)おろおろ
ほむら「…」
ほむら「…プロは場の空気に呑まれてしまっているようね」
タツヤ「仕方がないんじゃないかなぁ…」
タツヤ「そもそも今日は解説する為に来た訳じゃないだろ、マミさんて」
さやか「私は、エクスカリバーのオーバーレイ・ユニットを2つ使い、効果発動!!」
さやか「エクスカリバーの攻撃力を4000に上げる!!」
さやか「けど、それだけじゃ私のターンは終わらない!!」
さやか「私は伏せカード、『死者蘇生』を発動!!」
――『死者蘇生』
通常魔法(制限カード)
自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。
さやか「今、オーバーレイ・ユニットとして消費した、」
さやか「『e・hero エアーマン』を特殊召喚する!!」
さやか「エアーマンが特殊召喚された訳だから、勿論効果発動!!」
さやか「私のデッキの中から、heroと名の付くモンスター1体をサーチする!!」
さやか「私は、『e・hero バブルマン』をサーチ!!」
さやか「私の手札は、このサーチしたバブルマン1枚だけ」
さやか「効果により、そのままバブルマンを特殊召喚!!」
――『e・hero バブルマン』
効果モンスター
星4/水属性/戦士族/攻 800/守1200
手札がこのカード1枚だけの場合、
このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に
自分のフィールド上と手札に他のカードが無い場合、
デッキからカードを2枚ドローする事ができる。
タツヤ「…また、戦士族が新しく2体増えた」
タツヤ「もう1体エクスカリバーを出せば、それだけで攻撃力合計8000じゃないか!!」
タツヤ「しかもさやかさんの伏せカードは4枚も残ってる…」
タツヤ「恐ろしい…」
ほむら「そう、これが現環境【hero】デッキ最強構築とすら言われる、」
ほむら「【アライブhero】の真骨頂」
ほむら「このデッキの肝は、『e・hero エアーマン』のサーチ効果が、」
ほむら「特殊召喚成功時にも対応している点にある」
ほむら「そこから『e・hero アナザー・ネオス』『e・hero バブルマン』をサーチして、」
ほむら「強力なランク4の戦士族エクシーズモンスターを展開する」
ほむら「『e・hero エアーマン』は、確かに初登場時からウザがられたカードだった」
ほむら「それまでのheroには似つかわしくない高い打点」
ほむら「エアーマンからエアーマンをサーチし、死んでも死んでも出てくるエアーマン」
ほむら「『貪欲な壺』『転生の予言』『戦士の生還』で、」
ほむら「どんだけ倒されてもしつこくいつまでも出てくるエアーマン」
ほむら「heroデッキであろうとなかろうと、ビートダウン系のデッキには必ず投入された」
ほむら「この【ガジェット】の上位互換としか思えない酷い性能の前に、」
ほむら「『エアーマンが倒せない!』と嘆いて散った決闘者は多かったわ」
ほむら「ついには『空気男の癖に空気が読めない』なんて罵倒を浴びせられもしたエアーマン」
ほむら「でも制限になって、エアーマンはheroデッキくらいにしか投入されなくなって、」
ほむら「ある程度落ち着いたと思われたなのに、」
ほむら「『h‐c エクスカリバー』と『ヒーローアライブ』の登場で更にぶっ壊れた」
ほむら「3積み時代よりも、明らかにエグいのが今の『e・hero エアーマン』よ」
ほむら「当時はアドを稼ぐ打点持ちってだけだけど、」
ほむら「今はアドを稼ぐついでにワンターン・キルの要になってるからね」
タツヤ「凄いんだなぁ、エアーマンって…」
タツヤ「…で、まだ、さやかさんは展開出来るのか?」
ほむら「ええ」
ほむら「でも上条君は運が良かった」
ほむら「美樹さやかの高レベルモンスターは、このターン内なら恐らく、出せてあと1体」
ほむら「エクスカリバーかブレード・ハートのどっちかを1体出せるかどうかでしょうね」
タツヤ「…充分じゃないか」
タツヤ「エクスカリバーがもう1体出れば、総合ダメージは12000だ…」
ほむら「本来なら、ここから『ミラクル・フュージョン』も絡ませて融合モンスターを出すのよ」
ほむら「これは、エクスカリバーのコストがオーバーレイ・ユニットを2体落とせる所と、」
ほむら「めちゃくちゃシナジーがある訳だけど、」
――『ミラクル・フュージョン』
通常魔法
自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって
決められたモンスターをゲームから除外し、「e・hero」という
名のついた融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。
(この特殊召喚は融合召喚扱いとする
ほむら「本当はエクスカリバー2体に加えて、『e・hero アブソルートzero』 やら、」
ほむら「『e・hero the シャイニング』がずらっと並ぶ訳」
――『e・hero アブソルートzero』
融合・効果モンスター
星8/水属性/戦士族/攻2500/守2000
「hero」と名のついたモンスター+水属性モンスター
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードの攻撃力は、フィールド上に表側表示で存在する
「e・hero アブソルートzero」以外の
水属性モンスターの数×500ポイントアップする。
このカードがフィールド上から離れた時、
相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。
――『e・hero the シャイニング』
融合・効果モンスター
星8/光属性/戦士族/攻2600/守2100
「e・hero」と名のついたモンスター+光属性モンスター
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードの攻撃力は、ゲームから除外されている
自分の「e・hero」と名のついたモンスターの数×300ポイントアップする。
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、
ゲームから除外されている自分の「e・hero」と名のついた
モンスターを2体まで選択し、手札に加える事ができる。
ほむら「今それを防いでくれているのは他ならぬオピオン」
ほむら「オピオンは打点2600以上のエクシーズモンスターの前には軽く散ることも多いけど、」
ほむら「その制圧力はやはり凄いわね」
ほむら「さやかの伏せカードの中身に、」
ほむら「『戦士の生還』か『e‐エマージェンシーコール』が合わせて2枚以上無ければ…」
ほむら「…つまりバブルマンを2回手札に加えることが出来なければ、」
ほむら「さやかはこれ以上主力モンスターを展開出来ない」
ほむら「上条君はこのターンを生きながらえる事が出来るわ」
さやか(…まあ、ちゃんとあるんだけどね。”e‐エマー”と『戦士の生還』)
――『e‐エマージェンシーコール』
通常魔法
自分のデッキから「e・hero」と名のついたモンスター1体を手札に加える。』」
――『戦士の生還』
通常魔法
自分の墓地に存在する戦士族モンスター1体を選択して手札に加える。
さやか(オピオンがあるから1ターンは耐えられると思った?)
さやか(甘いよ、恭介!!)
さやか「まずは、場の『e・hero エアーマン』と『e・hero バブルマン』をオーバーレイ!」
さやか「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!!」
さやか「エクシーズ召喚!!」
さやか「現れろ!! 私の聖剣!!」
さやか「『h‐c エクスカリバー』!!」
さやか「オーバーレイ・ユニットを2つ取り除き、攻撃力を4000に上げる!!」
さやか「更に私は、伏せてある魔法カード、『e‐エマージェンシーコール』を発動!!」
さやか「デッキから『e・hero バブルマン』をサーチ!!」
さやか「手札はバブルマン1枚だけだから、そのまま特殊召喚!!」
さやか「更に、『戦士の生還』を発動!!」
さやか「墓地から『e・hero バブルマン』を手札に加える!!」
さやか「手札はバブルマン1枚だけだから、そのまま特殊召喚!!」
さやか「私は2体のバブルマンでオーバーレイ!!」
さやか「2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!!」
さやか「現れろ!! 私の聖剣!!」
さやか「『h‐c エクスカリバー』!!」
ほむら「ッ!?」
タツヤ「ほ、ほむ姉?」
ほむら「何故そっちを…!?」
タツヤ「どういう事? 何を言ってるんだ?」
ほむら「さっき言ったでしょう、」
ほむら「あの状況から美樹さやかが出し得るランク4戦士族の切り札は二種類だって!」
ほむら「エクスカリバーと、」
ほむら「もう1種は『機甲忍者ブレード・ハート』」
――『機甲忍者ブレード・ハート』
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/風属性/戦士族/攻2200/守1000
戦士族レベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、
自分フィールド上の「忍者」と名のついた
モンスター1体を選択して発動できる。
このターン、選択したモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
ほむら「言ってみれば、『ダイガスタ・フェニクス』の戦士族レベル4バージョンよ」
ほむら「攻撃力2200の二回攻撃によるダメージは4400」
ほむら「ダイレクトアタックをする時なんかはエクスカリバーより優先される事が多いわ」
ほむら「エクスカリバーの打点4000よりもダメージ自体は多いし、」
ほむら「エクスカリバーと違って相手のターンを越しても攻撃力が下がらず、」
ほむら「二回目の効果起動が出来るからね」
ほむら「ここの使い分けは大切だから覚えておきなさい」
タツヤ「分かったよ」
タツヤ「それで、今の謎は何でブレード・ハートを出さなかったのかって事?」
ほむら「そうよ」
ほむら「彼女なりの特別な作戦があるのか…」
ほむら(…もしくは)
ほむら(ただエクスカリバーを3体並べたかっただけなのか)
さやか(フフフ…)
さやかのモンスター:『h‐c エクスカリバー』攻撃力4000
『h‐c エクスカリバー』攻撃力4000
『h‐c エクスカリバー』攻撃力4000
恭介のモンスター :『ヴェルズ・オピオン』攻撃力2550
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
さやか(なんて威圧感!)
さやか(なんて戦力差!)
さやか(我ながら恐ろしいわ!!)
さやか(たかだか攻撃力2200のブレード・ハートじゃ、ここまでの貫禄は出ないよね)
さやか(私のエクスカリバーは、恭介を怯えさせ、叩き潰すための、)
さやか(最強の聖剣なのだああ!!)
”ざわ、ざわ、ざわ、ざわ……”
杏子(さやかの奴、1ターン内に『h‐c エクスカリバー』を3体かよ…)
『h‐c エクスカリバー』「………」
『h‐c エクスカリバー』「………」
『h‐c エクスカリバー』「………」
スゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
杏子(こいつら、すげぇオーラ出してんな…)
杏子(いまにも、凄まじい勢いで恭介に襲い掛かりそうだ)
杏子(ギャラリーもビビってやがる)
杏子(これがお前の、恭介を叩き潰したいって意思の表れか…)
杏子(どうせ恭介の伏せカードは『侵略の汎発感染』であって、罠カードじゃないだろ)
杏子(流石に恭介も諦めたか…?)チラッ
恭介「………」
杏子(な、何だ…、あの顔は…!?)
マミ(上条君、さっきまでの、悪い熱さが引いてる…?)
さやか(…恭介?)
恭介(なんだろう、この感じは)
恭介(不思議だ)
恭介(先ほどまで煮えくり返っていたさやかへの憎しみが嘘のようだ)
恭介(かっこいい…というのかな)
恭介(後攻1ターンで聖剣を3体並べるさやかが、眩しく見える)
恭介(幾らランク4エクシーズに繋ぐギミックが満載されているからと言って、)
恭介(そう毎回毎回、都合良くデッキは回らないものだ)
恭介(この局面、僕の場にはオピオンが立っている)
恭介(汎発感染もセットしてある)
恭介(例えばさやかが手札に『ミラクル・フュージョン』や、)
恭介(『デュアル・スパーク』なんかを引いていたら、)
恭介(完全に死に札になっていたはずなんだ)
恭介(そんな、エクシーズでしか切り抜けるしかない状況で、)
恭介(さやかはよりにもよってエクスカリバーを3体並べてきた)
恭介(そう言えば、昔志筑さんとの決闘でも、君は『究極竜騎士』を3体並べていたね)
恭介(ここぞという時に、君のデッキはいつでも君の声に応えている)
恭介(まったく、君の決闘にはいつも驚かされるよ…)
恭介(そして僕の中に込み上げる、この熱いものは何だ)
恭介(僕は高揚しているのか…?)
恭介(さやかとの慰謝料の是非を決める為だけに行なっているはずのこの決闘で、)
恭介(さやかと、さやかの率いる戦士達と、戦えていることを悦んでいる…?)
恭介(…そうか)
恭介(結局僕は………)
恭介(……)
恭介「ふっ」
さやか(恭介の奴、笑った!?)
さやか(恭介をビビらせる為に敷いた布陣だってのに!?)
恭介「来いよ、さやか」
恭介「君の全力を、僕も全力で受け止める」
恭介「そして、僕が必ず勝つ」
恭介(そうだ、勝ちたいんだ!!)
恭介(あの、さやかの軍勢と真正面から戦って!!)
恭介(今の僕には、その一念しか無い…!!)
さやか「…!!」
さやか(ず、ずるい!!)
さやか(恭介の奴!)
さやか(なんて、良い顔すんのよ!?)
さやか(あ、あんな激しく喧嘩した後で!)
さやか(離婚までするって言い合ってる時に!!)
さやか(なんでそんな……)
さやか(そんな、ちょっと、こっちがドキッとするような、顔を、顔……!!)
さやか(ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ…………!!)
ほむら「…」
ほむら「こうなる事は最初から分かってはいたけどね」
ほむら「本当に茶番なんだから」
ほむら「赤面してる暇あったらターン進めなさいっての」
マミ「暁美さん、そういうこと言わないの」
マミ「いがみあっていた二人が、互いを称えているのよ?」
マミ「この分だと破局は無さそうね」
マミ「本当に良かった…!」
杏子(やっぱ、決闘は人を幸せにするんだよな!)
恭介「どうした? さやか」
さやか「言…」
さやか「言ったな恭介!!」
さやか「だったら、防いでみろ!!」
さやか(それでかっこ悪い所なんか見せたら、それこそ承知しないんだから!!)
さやか「バトルフェイズ!!」
さやか「まずはエクスカリバーの攻撃!! 攻撃対象は『ヴェルズ・オピオン』!!」
さやか「”さやカリバアアアアアアアアアッ”!!」
恭介「攻撃宣言時に伏せカードをオープン!!」
恭介「速攻魔法『侵略の汎発感染』を発動!!」
恭介「このターン、ヴェルズと名の付くモンスターは、魔法・罠の影響を受けない!!」
さやか「!?」
『ヴェルズ・オピオン』撃破
恭介のライフ:8000→6650 ピピピッ
さやか(意味の無い魔法カード消費…?)
恭介「どうした? まだ僕のライフは6000以上残っているよ」
さやか(まぁ、しょうがない)
さやか(何か企んでいたとしても、切り伏せるのみ!!)
さやか「ダイレクト・アタック!!」
さやか「”さやカリバアアアアアアアアッ”!!」
恭介「受ける…。が、」
さやか「えっ?」
恭介「ダメージステップだな」
さやか「………あっ」
ほむら「あっ、じゃないわよ」
タツヤ「えっ?」
ほむら「これが、さっきの局面で、3体目のエクスカリバーではなく、」
ほむら「『機甲忍者ブレード・ハート』を使うべきだった2つ目の理由」
ほむら「さやかは今気付いたようだけど、もう遅かった」
タツヤ「…?」
恭介「僕のライフが削られた瞬間、」
恭介のライフ: 6650→2650 ピピピッ
恭介「僕は手札から、『冥府の使者ゴーズ』を守備表示で特殊召喚する!!」
――『冥府の使者ゴーズ』
効果モンスター(制限カード)
星7/闇属性/悪魔族/攻2700/守2500
自分フィールド上にカードが存在しない場合、
相手がコントロールするカードによってダメージを受けた時、
このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
この方法で特殊召喚に成功した時、受けたダメージの種類により以下の効果を発動する。
●戦闘ダメージの場合、自分フィールド上に「冥府の使者カイエントークン」
(天使族・光・星7・攻/守?)を1体特殊召喚する。
このトークンの攻撃力・守備力は、この時受けた戦闘ダメージと同じ数値になる。
●カードの効果によるダメージの場合、
受けたダメージと同じダメージを相手ライフに与える。
恭介「さらに、ゴーズの効果により、『冥府の使者カイエントークン』を、」
恭介「攻・守4000で特殊召喚する!! こちらも守備表示だ!!」
さやか(しまったあああああああああ!!)
タツヤ「攻撃力2700のモンスターと、攻守4000のモンスターが出てきた!?」
ほむら「ここ重要だから覚えておきなさいね」
ほむら「カイエントークンの攻撃力と守備力は、攻撃をしたモンスターの攻撃力と同じになる」
ほむら「つまり、攻撃力4000のエクスカリバーでダイレクトアタックをした時に、」
ほむら「まだ上条君のライフが残っていた為、そのタイミングでゴーズが特殊召喚され、」
ほむら「更に攻撃力と守備力が4000のカイエントークンが特殊召喚されてしまった!」
タツヤ「怖っ…!!」
ほむら「『冥府の使者ゴーズ』は、守る側にとっては云わば最後の砦」
ほむら「それを警戒して、」
ほむら「ダイレクト・アタックを行う攻め手は、攻撃力の低いモンスターから行うのが、」
ほむら「現在ではセオリーとされてるわ」
ほむら「仮にさやかがブレード・ハートを出してダイレクト・アタックしていれば、」
ほむら「現れるカイエントークンの攻撃力と守備力は2200で止まっていたものを…」
タツヤ「あ、そういえば、上条さんが意味無く汎発感染を使ったのは…」
ほむら「そう、自分の場のカードがあると、『冥府の使者ゴーズ』は特殊召喚できないからよ」
ほむら「これはゴーズを使う側は、常に気を付けておくべきことね」
ほむら「ゴーズは優秀なモンスターではあるけど、」
ほむら「特に永続魔法や永続罠を多用するデッキだと、相性が悪いわ」
さやか(まずい! 恭介の場に攻・守4000のモンスター呼んじゃったよ…!!)
恭介(少し気付くのが遅かったようだね、さやか)
恭介(僕の『冥府の使者カイエントークン』の攻撃力と守備力は、)
恭介(攻撃を受けた時のダメージ分4000のまま不動だが、)
恭介(君のエクスカリバーは次の君のターンに入ると攻撃力が2000に戻る)
恭介(状況はこちらに傾いた!!)
さやか(まずいじゃん!!)
さやか(どうする、私!?)
さやか(『冥府の使者カイエントークン』は守備表示で、守備力4000…)
さやか(残ったエクスカリバーで攻撃しても、相打ちに出来ない!!)
さやか(しゃーない…)
さやか「なら、最後のエクスカリバーで、守備表示のゴーズを攻撃!!」
さやか「”さやカリバアアアアアアアアアアッ!!”」
恭介「分かった」
『冥府の使者ゴーズ』撃破。
さやか「ターン・エンドッ!!」
恭介「なら、僕のターンだ」
恭介「ドローフェイズ、ドローッ!!」
3ターン目
恭介ライフ2250/さやかライフ4000
恭介フィールド:モンスター:『冥府の使者カイエントークン』
魔罠:カードなし
さやかフィールド:モンスター:『h‐c エクスカリバー』
『h‐c エクスカリバー』
『h‐c エクスカリバー』
魔罠:伏せカード2枚
恭介手札5/さやか手札0
恭介(ふむ…)
恭介の手札:『地球巨人ガイア・プレート』『終焉の王デミス』←ドロー
『ダーク・フュージョン』『ダーク・コーリング』『サイクロン』
恭介(『終焉の王デミス』を引いたか)
恭介(先に『マンジュ・ゴッド』か儀式魔法さえ引けていれば、このターンで決着だったが…)
恭介(この手札では、このターンで勝負をつけるのは無理だな)
恭介(この手札から動けるパターンはとりあえず2つ)
恭介(『ダーク・フュージョン』からガイア・プレートとデミスを切り、)
恭介(攻撃力5200の『e‐hero ダークガイア』を出した後、)
恭介(『ダーク・コーリング』で墓地のガイア・プレートとゴーズを除外し、)
恭介(更に攻撃力5500のダーク・ガイアを出すパターンと…)
恭介(墓地のガイア・プレートと手札のデミスを使いダーク・ガイアを1体出しつつ、)
恭介(墓地のヘリオロープ2体を除外し、手札のガイア・プレートを特殊召喚するパターン)
恭介(…手札にもう1枚岩石族モンスターが来てくれていれば良かったんだが、)
恭介(そこは言っても仕方がないか)
恭介(…本当は、実はもう1つパターンは存在する)
恭介(それはまず手札のガイア・プレートを特殊召喚し、)
恭介(ダーク・ガイアはこのターン出さず、)
恭介(さやかのエクスカリバーを1体だけ倒してターン・エンドする手だ)
恭介(エクスカリバーは次のさやかのターンには攻撃力2000に戻る)
恭介(手札の尽きたさやかに攻め筋はほとんど残されていないだろうから、)
恭介(守備力4000のカイエントークンを盾に1ターン凌ぎ、)
恭介(その次の僕のターンにダーク・ガイアを2体出して攻撃すれば勝つ)
恭介(これは最もギャンブル性の低い冷静な手だし、)
恭介(勝負を決めきるまでは軽く動かないという、)
恭介(ワンショット型デッキの基本を踏襲した動きだ)
恭介(…しかし、この手は今の状況下ではある危険が伴う)
恭介(何故なら、さやかのデッキには恐らく、)
恭介(まだ1枚も使われていない『ミラクル・フュージョン』がごっそり眠っているからだ)
恭介(『e・hero アブソルートzero』の攻撃力は2500)
恭介(攻撃力2800のガイア・プレートと戦闘を行うと、)
恭介(ガイア・プレートの効果を含めた戦闘メージは1550)
恭介(その前のターンにガイア・プレートでエクスカリバーを倒していたとしても、)
恭介(合計ダメージは2350、さやかのライフは1650残る)
恭介(そして戦闘終了時、zeroの効果で僕のモンスターは全滅する)
恭介(さやかの伏せカードは2枚)
恭介(一応、『サイクロン』で片方を割れるとは言え、)
恭介(次のドローと合せてさやかに2枚以上の『ミラクル・フュージョン』を持たれると、)
恭介(一体の自爆特攻でこちらのモンスターを一掃された後、)
恭介(もう1体のzeroのダイレクト・アタックを受けて僕のライフは消える計算だ)
恭介(まずは、さやかのライフを削れるだけ削る)
恭介(zeroの自爆特攻でさやかのライフがゼロになるようにしなければ、)
恭介(さやかには何処からでも逆転されてしまうからな)
恭介(それに………)
恭介(それに、さやかがせっかく僕を倒す為に出してくれた、エクスカリバーだ)
恭介(攻撃力が下がった後にこちらが切り札を切るなんて、嫌だ)
恭介(さやか渾身のエクスカリバーは、)
恭介(その攻撃力がピークの時に、僕のエースで全力で相手をしたい!!!)
恭介「スタンバイ、メインフェイズまで!」
さやか「いいよ!」
恭介「まずは手札の『サイクロン』を発動」
――『サイクロン』
速攻魔法
フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。
恭介「さやかから見て、右側のカードを破壊して欲しい」
さやか「分かった」
さやかの破壊された伏せ:『大嵐』
――『大嵐』
通常魔法(制限カード)
フィールド上に存在する魔法・罠カードを全て破壊する
恭介(『大嵐』だったか…)
恭介(バブルマンを出す為だけに伏せたカードだな)
恭介「じゃあ僕は手札から、悪魔族専用融合カード、『ダーク・フュージョン』を発動!!」
恭介「手札もしくは場から、決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、」
恭介「エクストラデッキから、対象となる悪魔族融合モンスターを特殊召喚する!!」
恭介「僕は手札から『終焉の王デミス』と『地球巨人ガイア・プレート』を墓地へ送り、」
恭介「エクストラデッキから、『e‐hero ダーク・ガイア』を特殊召喚する!!」
恭介「『e‐hero ダーク・ガイア』の攻撃力は、融合素材のモンスターの攻撃力の合計!」
恭介「このダーク・ガイアの攻撃力は、5200だ!!」
さやか(5200!? エクスカリバーよりも1200も高い!?)
恭介「更に手札から、魔法カード『ダーク・コーリング』を発動!!」
恭介「手札もしくは墓地から、決められた融合素材を除外することで、」
恭介「エクストラデッキから、対象となる悪魔族融合モンスターを特殊召喚する!!」
恭介「僕は今墓地へ送ったガイア・プレートと、墓地のゴーズを除外!!」
恭介「エクストラデッキから、『e‐hero ダーク・ガイア』を特殊召喚する!!」
恭介「こっちのダーク・ガイアは、攻撃力は5500だ!!」
さやか(げぇっ!!)
恭介「『冥府の使者カイエントークン』を攻撃表示に変更後、」
恭介「そのままバトルフェイズへ!!」
恭介「まずは。カイエントークンと、エクスカリバーを相打ちにさせる!!」
さやか「攻撃宣言時、ダメージステップ、何も無い…」
『冥府の使者カイエントークン』『h‐c エクスカリバー』、共に撃破。
恭介「更に攻撃力5200のダーク・ガイアで、エクスカリバーを攻撃!!」
恭介「”闇の大地の鎮魂歌(ダーク・ガイア・レクイエム)”!!」
さやか「ぐっ!!」
『h‐c エクスカリバー』(二体目)撃破。
さやかのライフ:4000→2800 ピピピッ
マミ「!!」
ほむら「どうしたの、巴マミ」
マミ「いいわ」
ほむら「は?」
マミ「”闇の大地の鎮魂歌”!!」
マミ「素晴らしい技名よ!!」
マミ「原作の十代君の”ダーク・カタストロフ”もかっこよかったけど、」
マミ「上条君のも音楽家決闘者らしいセンスが光ってて良いわ!!」
マミ「美樹さんももう少し凝った名前にしてくれれば良いのだけど……」
マミ「そう、」
マミ「例えば、原典のエクスカリバーの属性である絶対勝利をキーワードにして、」
マミ「”万軍を葬り去りし無敵の聖剣(セイグリッドソード・ザ・グレーテスト)”とか…」
ほむら「…」
ほむら「タツヤはこういう女に影響を受けてはダメよ」
タツヤ(流石、プロの人のネーミング・センスはかっこいいなあ)
ほむら「聞いてる?」ぷに~
タツヤ「いひゃい! いひゃいよ、ほむにぇえ!!」
恭介「もう1体の5500のダーク・ガイアで、最後のエクスカリバーを攻撃!!」
さやか「…通す」
恭介「”闇の大地の鎮魂歌”!!」
『h‐c エクスカリバー』(三体目)撃破。
さやかのライフ:2800→1300 ピピピッ
恭介「僕のターンは終了だ」
恭介「君のターンだ、さやか」
さやか「………」
恭介「…さやか?」
杏子(さやかの奴、俯いたまま動かない…?)
杏子(エクスカリバー3体を1ターンで処理されたことが、ショックだったのか?
恭介(…手加減、するべきだったのだろうか)
恭介(いや、これで良かったはずだ)
恭介(変に手加減されることなど、さやかは望まない)
恭介(違うのか…? さやか)
恭介(この程度の反撃で、君の心は折れてしまうのか?)
さやか「…ふっ」
恭介「?」
さやか「ふふふふふふふふふふ!!」
恭介(笑ってる!?)
さやか「あはは、流石だよ、恭介!!」
さやか「まっさか5000代の大物モンスターを2体も出して来るとはね!!」
さやか「でもまだ決着はついてない!!」
さやか「私のターン、ドローッ!!」
4ターン目
恭介ライフ2250/さやかライフ1300
恭介フィールド:モンスター:『e‐hero ダーク・ガイア』
『e‐hero ダーク・ガイア』
魔罠:カードなし
さやかフィールド:モンスター:なし
魔罠:伏せカード1枚
恭介手札0/さやか手札1
さやか「おやおや…。こいつを引きましたかぁ」
恭介「…」
恭介(自信の源は、あの伏せカードか?)
恭介(それとも、今のドローカードか…)
恭介(何を引いたんだ? さやか)
さやか(恭介の奴、不思議がってるな)
さやか(切り札を失った私が、なんでこんな活き活きしてるのかって)
さやか(伏せカードが強いから?)
さやか(ドローしたカードが良かったから?)
さやか(ううん、)
さやか(どっちでもない)
さやか(私はむしろ、エクスカリバー3体を乗り越えてきた恭介が格好良くて、)
さやか(そんな恭介を目の前で独占出来てることが、嬉しいんだ!)
さやか(今の恭介は、全身全霊、全ての意識を私に向けてくれてる!)
さやか(そして全力を出してきてくれてる!)
さやか(それに対して私が今度はどれだけやり返せるのか、)
さやか(それを考えただけでワクワクする!!)
さやか(私の伏せカードはね、)
さやか(勝利を呼ぶカードじゃない)
さやか(私の伏せカードが呼ぶのは、勝利への…)
さやか(真っ直ぐ私に向かって来てくれる恭介にどれくらい応えられるかっていう、)
さやか(その可能性なんだ!!)
さやか「私は伏せカードをオープン!」
さやか「魔法カード、『e‐エマージェンシーコール』!!」
恭介「エマージェンシーコール!?」
恭介「何をサーチする気だ!?」
さやか「おっと、そしてその発動に対して、」
さやか「手札から速攻魔法『サイクロン』を発動!!」
さやか「私の場の『e‐エマージェンシーコール』を破壊する!!」
さやか「尤も、既に発動し終えている『e‐エマージェンシーコール』の効果は発動するよ」
恭介「ドローで引いたカードは『サイクロン』だったのか…」
恭介「…!!」
恭介「それをわざわざ消費したと、いうことは!?」
恭介「そうなのか!?」
さやか「…」にやり
さやか「その通り!」
さやか「今の私には、絶対の勝算なんて無い!!」
さやか「ただ、恭介に勝つ、その意思をカードに込める!!」
さやか「可能性を繋ぐ!!」
さやか「私はデッキから、最後の『e・hero バブルマン』をサーチする!!」
ここで流れ始めるbgm。
http://www.youtube.com/watch?v=c1bvpeax98a&feature=related
さやか「手札がバブルマン一枚だけの時、私はバブルマンを特殊召喚出来る!!」
さやか「更に、フィールドと手札に他のカードが無ければ、私はカードを2枚ドロー!!」
さやか「…」
さやか「…ふうん、」
さやか「まだ行けるって?」
さやか「じゃあ私は更に通常魔法、『貪欲な壺』を発動!!」
――『貪欲な壺』
通常魔法(制限カード)
自分の墓地のモンスター5体を選択して発動できる。
選択したモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。
その後、デッキからカードを2枚ドローする。
さやか「私は墓地のエクスカリバー3体をエクストラデッキへ、」
さやか「そして2体のバブルマンをデッキに戻し、」
さやか「デッキから新しくカードを2枚ドローする!!」
タツヤ「さやかさんすげぇ…」
タツヤ「あの状況から手札を3枚に増やしたぞ」
ほむら(遊城十代かオマエは)
マミ(やるわね、美樹さん)
マミ(ここぞという所で、最善手を選択出来る余地を作る)
マミ(アマチュアでここまでの運命力を持ってる決闘者はそうはいないわ)
マミ(プロになる素質すらあるかも知れない)
さやか「…」
さやか「よし!!」
さやか「私は手札を1枚捨てることで、」
さやか「手札から速攻魔法カード、『超融合』を発動する!!」
――『超融合』
速攻魔法
手札を1枚捨てて発動できる。
自分・相手フィールド上から融合モンスターカードによって決められた
融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体を
融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
このカードの発動に対して、魔法・罠・効果モンスターの効果を発動できない。
恭介「!!」
恭介(それだけのドロー、可能性を繋いで、)
恭介(更に君はここで……)
恭介(ここで、そのカードが引けるのかッッ!!??)
さやか「私はフィールド上から、決められた融合素材を墓地へ送り、」
さやか「決められた融合モンスターをエクストラデッキから特殊召喚する!!」
さやか「私は、私の場のバブルマンと、」
さやか「恭介の場の、攻撃力5500の『e‐hero ダーク・ガイア』1体を墓地へ送る!!」
さやか「そして、エクストラデッキから、」
さやか「『e・hero アブソルートzero』を特殊召喚!!」
タツヤ「そっか!」
タツヤ「『超融合』は相手の場のモンスターも吸収出来るカードなんだ!!」
タツヤ「『e・hero アブソルートzero』の素材は、heroと水属性モンスターだ」
タツヤ「上条さんのダーク・ガイアは、さやかさんにとっては格好の融合素材なんだ!!」
ほむら「これは【hero】のお家芸的な戦術よ」
ほむら「自身の場にheroがいさえすれば、相手がどんな厄介なモンスターを出して来ても、」
ほむら「【超融合】で吸収してしまう」
ほむら「漫画版gxで大量に出た属性融合heroのお陰で、」
ほむら「heroに吸収出来ないモンスターは、」
ほむら「魔法の効果を受けない一部の例外を除き神属性モンスターくらいになったわ」
ほむら「でも、逆にheroをメタる際にも『超融合』は使われる」
ほむら「例えば『e・hero アナザー・ネオス』が2体並んでるとこに『超融合』を打たれたら、」
ほむら「その人はアナザー・ネオス2体を失った上に相手にシャイニングを立てられるからね」
ほむら「あと『超融合』の特異性は、チェーンが不可というところ」
ほむら「発動さえしてしまえば、『超融合』を止められるカードは存在しない」
ほむら「『シューティング・クェーサー・ドラゴン』さえ無条件で吸収する恐るべき存在よ」
ほむら「それにしても…」
ほむら「ocg『e‐hero ダーク・ガイア』は『超融合』で出せない上に、」
ほむら「逆にこうして『超融合』に食われてしまう立場とは、」
ほむら「なかなか皮肉が効いているわよね」
タツヤ「?」
タツヤ「どういう事?」
ほむら「覇王とジムの戦いを見れば分かるわよ」
恭介(まさかここで、僕のダーク・ガイアを素材にして、)
恭介(『e・hero アブソルートzero』を出して来るとは…!!)
恭介(なんて運命力なんだ、さやか!!)
恭介(しかし、まだ僕の勝利は揺らいでいないぞ)
恭介(さやかのライフは残り1300)
恭介(もう1体のダーク・ガイアに自爆特攻すればさやかのライフが尽きる)
恭介(かと言って、『マンジュ・ゴッド』を殴っただけでは僕のライフは削りきれない)
恭介(結局今は、『e・hero アブソルートzero』を守備表示で出して壁にするしか無い!!)
恭介(だが僕のダーク・ガイアは攻撃する際、相手を強制的に攻撃表示にする!!)
恭介(どの道僕にターンを回せば、僕の勝利だ!!)
さやか(ふっ)
さやか(その顔は、まだ自分の勝利が頭の中でひっくり返って無い顔だね)
さやか(まあこの時点でも恭介の優位が変わってないからね…当たり前か)
さやか(でも、私はこのカードを引いた)
さやか(残った最後の手札で、)
さやか(この決闘を制する!!)
さやか「私は手札から『ミラクル・フュージョン』を発動!!」
恭介「!!」
さやか「私はフィールド上の『e・hero アブソルートzero』と、」
さやか「墓地の『e・hero アナザー・ネオス』を除外!!」
さやか「エクストラデッキから、『e・hero the シャイニング』を特殊召喚!!」
さやか「シャイニングの攻撃力は除外されている自分のe・hero1体につき300アップ!」
さやか「つまり、このシャイニングの攻撃力は3200!!」
さやか「ついでに…」
恭介「ああ…、分かっている」
恭介「『e・hero アブソルートzero』の強制効果だな…」
恭介「『e・hero アブソルートzero』がフィールドから離れた時」
恭介「相手のフィールドのモンスターカードを全て破壊する」
恭介「つまり、僕のモンスター達は全滅だ」
『e‐hero ダークガイア』撃破。
さやか「…」
恭介「さやか…?」
さやか(勝った)
さやか(いや、まだ勝ってないけど、)
さやか(このままシャイニングでダイレクト・アタックをすれば私が勝つ)
さやか(恭介に勝って、)
さやか(私は慰謝料を手に入れる)
さやか(その後街を出る)
さやか(そういう取り決めで、私は恭介に決闘を申し込んだ)
さやか(…恭介と、別れるの?)
さやか(………)
さやか(嫌だよ、そんなの)
さやか(だって恭介と一緒にいるとこんなにドキドキワクワクするのに…)
さやか(この決闘が終わったら、一緒にいられる時間が終わっちゃうよ…)
さやか(あんなに恭介に勝ちたいと思っていたのに…)
さやか(今は、決着が着かずにずっとこの時間が続けばいいと思い始めてる…)
さやか(こんな事なら、最初から喧嘩なんかしなきゃ良かった…)
さやか(私って、ほんとバカ…)
恭介「さやか」
さやか「恭介…」
恭介「君が何を想ってくれているのかは、今は訊かない」
恭介「でもまずは、ここを締めよう」
恭介「せっかくここまで、二人で作り上げてきた決闘なんだ」
恭介「僕たちが全力をぶつけ合ってね」
恭介「そうだろう?」
さやか「…うん」
さやか「分かったよ…」
さやか「恭介」
さやか「受け取ってね、私の、」
さやか(ごめんなさいとか、)
さやか(恭介と離れ離れになるのは寂しいとか、)
さやか(別れたくないとか、)
さやか(本当はやっぱり大好きなんだとか、)
さやか(色々な私の想いが詰まった、)
さやか「ダイレクトアタックを…!!!」
さやか「行け、『e・hero the シャイニング』…!!」
さやか「恭介にダイレクト・アタック!!」
さやか「”大いなる愛の輝き!!ラブラブストォォォォォォムッッッ”!!」
恭介「見事だ、さやか」
恭介のライフ:2250→0 ピーッ!!
勝者:さやか
杏子「勝者、さやか」
杏子「よく戦ったな」
杏子「良い、決闘だった」
さやか「ありがとう、杏子」
恭介「…さやか」
さやか「恭介…」
恭介「…」
さやか「…」
恭介(今更、ムシが良すぎるか…)
恭介(”悪かった、”)
恭介(”惚れ直したから帰ってきてくれ”、だなんて)
恭介(やっぱり君は…)
恭介(僕には過ぎた存在だったの、かもな…)
恭介「約束は守るよ、さやか」
恭介「慰謝料の話だけど、」
恭介「僕にあげられる物なら、お金でも車でも何でも持っていってくれていい」
さやか「何でも…?」
恭介「ああ、なんでも、だ」
さやか「分かった」
杏子(えっ…? ウソだろ?)
マミ(ウソでしょ…?)
杏子(二人は決闘の中で仲直りしたんじゃないのかよ!?)
マミ(どうして慰謝料の話が生きてるの!?)
杏子(おいおいおいおい、マジでこのまま別れちまうのか!?)
マミ(私達のあの安息は、糠喜び!?)
杏子(さやかも恭介もなんか言えよ!!)
マミ(美樹さんも上条君も何か言ってよ!!)
――ちゅっ。
杏子「あっ」
マミ「あっ」
ギャラリーの皆さん”あっ”
恭介「さ、さやか?」
さやか「まずはチューが欲しかったかなって」
さやか「次は、ほら」
さやか「ぎゅーってして欲しい、ぎゅーって」
恭介「いや、こんな人前で」
さやか「何でもくれるんじゃないの?」
恭介「…やらせて頂きます」
さやか「優しくだよ、でも思いっきり抱き締めてね」
恭介「はい」
――ぎゅっ。
さやか「恭介の腕の中、あったかい」
恭介「そうかい」
さやか「このまま一緒にご飯食べに行って、」
さやか「帰ったらバイオリン聞かせて欲しいし、」
さやか「夜はベッドの上で、リアルファイトしよっ」
さやか「なんでもくれるって言うならね、」
さやか「恭介とずっと一緒に過ごす人生が欲しいかなって!!」
恭介「さやか…」
さやか「…嫌?」
恭介「嫌なもんか…」
恭介「本当に君は、僕には出来すぎた嫁さんだよ…」
恭介「さやかっ!!」
さやか「恭介っ!!」
恭介「さやかっ!!」
さやか「恭介っ!!」
恭介「さやかっ!!」
さやか「恭介っ!!」
杏子「よ、良かったなぁ、さやかぁ!!」
杏子「どうなるかと思ったけど…」
杏子「幸せに暮らせよ、」
杏子「もう軽々しく離婚だなんて言い出したらダメだぞ…」
マミ「本当…」
マミ「丸く収まって本当によかったわ!!」
ギャラリーの皆さん”ひゅーひゅー、パチパチパチパチ!!!”
マミ「…あら?」
杏子「どした」
マミ「そういえば、暁美さんは?」
杏子「あれ? さっきまでいたはずなのにな…」
※
――帰路。
タツヤ「まだ決着着くとこ見てないのに」
ほむら「試合は終わりみたいなもんだったでしょ」
ほむら「もうあの戦いに見るべき物は何も無かった」
ほむら「あのままあそこに居たって、」
ほむら「見せられるのは、イラっと来るような甘ったるいノロケだけよ、どうせ」
タツヤ「今頃二人は仲直りしてるってか……」
タツヤ「ほむ姉は、最初から上条さんとさやかさんの仲を信頼してたって事?」
ほむら「別にあの二人を直接的にそう見てた訳じゃないけど」
ほむら「結果的にはそういう事にはなるのかしらね」
タツヤ「なんか変な言い回しだな」
ほむら(まどかが太鼓判を押したであろう二人の絆が簡単に切れるはず無いってのが、)
ほむら(私の根拠だったんだけど…)
ほむら(これはこの子に言ってもしょうがないわ)
タツヤ「そう言えば、上条さんとさやかさんの喧嘩の理由って何だったのかな」
ほむら「さあ」
ほむら「けど、割とどうでもいい事だったんじゃないの」
ほむら「今頃、二人ともすっかり忘れてるくらいの」
タツヤ「それは言い過ぎなんじゃ」
ほむら「ふぅ」
ほむら「それこそ私にはどうでもいい事なんだけどね」
ほむら「それより私が気にしているのは、」
ほむら「今日嫌と言う程分かった、貴方の勉強不足」
タツヤ「!?」
ほむら「いえ、私の教育の甘さを実感してしまったと言うべきね…」
ほむら「さっさと帰って、今日の試合を一から検討し直すわよ」
ほむら「おじ様とおば様がいなくて、」
ほむら「その上明日は学校休みでしょ」
ほむら「時間はたっぷりあるわ」
ほむら「その後は夜中まで特訓決闘よ」
タツヤ「マジですか……」
ほむら(まどかの席を貰ってこの世界に存在している者として、)
ほむら(この子を半人前の決闘者にしてしまってはまどかに申し訳が立たない)
ほむら(まどか、見ていて)
ほむら(実姉の貴方に代わって、私がこの子を一人前の決闘者にしてみせる!)
※
――そして後日。
元チームメイトで食事をする機会にて。
マミ「そういえば、美樹さんは上条君とすっかり元の鞘に収まってるんでしょう」
さやか「いやあ、先だってはご心配をおかけしました」
さやか「私達、以前にも増して鴛鴦夫婦ぶりを発揮してますよ」
杏子「そりゃあ良かったな」
杏子「なら、もうあれは過去の事っつーことで、」
杏子「聞きたいんだけどいいか?」
さやか「えっ?」
マミ「これは皆ずっと気になってたんだけど…」
さやか「はあ」
杏子「二人が喧嘩するに至った原因って、何だよ?」
さやか「ああ、それかぁ」
マミ「そうよ。無事解決したの?」
さやか「それはですねぇ」
さやか「なんだったのか覚えてないんですよねぇ」
杏・マミ「「!?」」
さやか「壁紙だかカーテンの色で揉めたんだったか、」
さやか「テーブルフラワーの花種で揉めたんだったか、」
さやか「その日のご飯のおかずで揉めたんだったか…」
さやか「恭介に聞いても恭介も覚えてないし、」
さやか「”細かい事はまあいいか”って、なっちゃいました」
さやか「とりあえず今後それっぽいことがあれば、」
さやか「相手の趣味を尊ぼうという方向で一致はしたんですけどね――」
さやか「あははははは」
マミ「美樹さん!!」
杏子「さやか!!」
杏子「あたしらの心労を返せ!!」
さやか「ひぃっ! ごめんなさい!!」
ほむら(こんな事だろうと思った)
ほむら(ふぅ…)
ほむら(まどか、見てる?)
ほむら(とりあえず、今日も見滝原は平和です)
完
まず前作を読んでくださった方にありがとう。
そしてここまで読んで下さった方がいたら、ありがとう。
またなんか思いついたら書くかも。
ではこれで。
乙!面白かった!
ガッチャ!が欲しかった
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