八幡「沙希が妊娠した」 (221)




沙希「3ヶ月目だってさ」

八幡「そ、そうですか」

沙希「なにかしこまってんの、らしくもない」

八幡「いや、そりゃ……」

沙希「ま、良いけど……ふふっ」

八幡「………」



沙希「と言う訳で、これから宜しく。ぱ、パパ……///」

八幡「………」




八幡(どうしてこうなった……)






SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433861226


突発的に思いついたネタをやってみる

展開もオチも考えてないからゆっくり、一応シリアスは無しで




八幡(いや、どうしてこうなったのかは俺が一番良くわかってるんだが……)

八幡「………」チラッ



沙希「パパ……いや、やっぱりお父さんの方が……」



八幡「………」

八幡(よし落ち着こう。落ち着いてこうなった経緯を思い返してみよう)

八幡(人間、たまに人生振り返るのが大事ってばっちゃんが言ってた)


八幡「確か……」






~3ヶ月前~

川崎家



「「「いただきまーす」」」


京華「はい!はーちゃん、あーん」

八幡「あーん」パクッ

京華「美味しい?」

八幡「うん、美味しいよ」

京華「ほんと?じゃあじゃあ、あーん!」

八幡「そんなにくれたら、けーちゃんの分無くなっちゃうだろ?」

京華「そーかな?」

八幡「そら、けーちゃんもあーん」

京華「あーん!」パクッ

八幡「美味しいか?」

京華「うん!」







沙希「ほら、けーちゃん口の周りにケチャップ付いてる」

京華「うぇ?」

沙希「いま拭くからね、じっとしてて」

京華「はーい」


八幡「まるで母親だな」

沙希「なんか言った?」

八幡「このオムライス美味いな、さすが」

沙希「そ、そう?」

八幡「おう。なぁ、けーちゃん」

京華「うん。さーちゃんのオムライスおいしいよ!」

沙希「…良かった、ふふ」

八幡「………」







八幡(けーちゃんこと、川崎京華と知り合ってからと言うもの、俺は妙に川崎家に入り浸るようになった)

八幡(沙……川崎の買い物に付き合って、そのまま夕飯までご馳走になったり)

八幡(けーちゃんのお迎えを俺が代行してそのまま夕飯をご馳走になったり)

八幡(大志の勉強を見てやってくれと言われ、そのまま夕飯までご馳走になったり)

八幡(……これじゃ何だか、飯をたかりに来ているヒモ男みたいな……)



京華「はーちゃんどうしたの?おなかいっぱい?」

八幡「え?……あ、違う違う。ちょっと考え事してたんだよ」

京華「むずかしい?」

八幡「難しくはないかな」



八幡(そして今日は土曜日……休日にも関わらず、こうして昼から川崎家にお邪魔している)

八幡(「はーちゃんあそぼ!」とラブコールされては断れない、心の兄として)







「「「ごちそうさまでした」」」


京華「ん~!」

八幡「どうした、眠い?」

京華「眠くないよ、けーか眠くない…」うとうと

八幡「はは……」

沙希「けーちゃん?お昼寝する?」

京華「やぁ……はーちゃんとあそぶの」

沙希「でも、もうおめめ閉じちゃいそうだよ?」

京華「うぅ」

八幡「……大丈夫だよ。けーちゃんが起きるまでちゃんと待っててあげるから」

京華「…ほんと?」

八幡「ほんと、ほんと。だから、少しおねんねしておいで」

京華「……うん、やくそくね?」

八幡「あぁ、約束」







―――――

―――


バタン


沙希「ふぅ…」

八幡「お疲れさん」

沙希「比企谷も……ごめんね」

八幡「何が?」

沙希「けーちゃ……京華が朝から呼び出しちゃってさ」

八幡「気にすんなよ。年下の女の子に呼び出されるのは慣れてる」

沙希「なにそのパシり体質」

八幡「ほら、小町とか小町とか……小町とか」

沙希「相変わらずのシスコンだこと」

八幡「そっくりそのまま返しますが?」







沙希「………」

八幡「………」



八幡(川崎家にいる時間が増えて必然的に川崎と二人きりになる事も増えた)

八幡(そうした時、初めの方はなんとなく世間話だの家族の話題だので時間を潰していたんだが……)



沙希「………」

八幡「………」

沙希「…の、のど渇いてない?」

八幡「あ……あぁ、まぁ」

沙希「じゃあ、何か持ってくる。待ってて」

八幡「おう」



八幡(最近、沈黙をもて余す)







八幡(まぁ、ぼっちエリートの俺に、女子を楽しませるトーク技術など当然無く、ただじっと耐えるしかない)

八幡(……正直、その時間も悪くないと思っているのは秘密だ)



沙希「お待たせ」

八幡「ん、ご苦労」

沙希「何様だこら」ビシッ

八幡「ありがとうございます沙希様」

沙希「急に卑屈になったね」

八幡「小市民は力業に弱いんだよ」


沙希「はい」

八幡「サンクス」

沙希「この前親が貰ってきた高級なジュース。美味しいか分からないけど」

八幡「良いのか、それ」

沙希「あんただから大丈夫だよ」

八幡「……さいですか」

八幡(俺に対してガード緩すぎだろ川崎家)







沙希「………」ゴクッ

八幡「………」チビッ…



八幡(案の定、お互い無言だ)

八幡(……おまけに)



沙希「………」

ぐっ

八幡「………」



八幡(心なしか……体が密着している。ものすごく)

八幡(はっきり言って、少し重たい位なのだが……口にするのは自殺行為だという事は既に学習済みだ。主に真っ赤に燃えた拳で)



沙希「………///」


八幡(そんでもって、ちらりと見える横顔が真っ赤なのは気のせいに違いない。目の錯覚に違いない!)







八幡「……け、結構美味いな。これ」

沙希「そうだね。おかわりいる?」

八幡「んじゃ、ちょっとだけ」

沙希「はい……どうぞ」

八幡「サンキュー」


沙希「………///」

八幡「………」



八幡(けーちゃん起きてくるまでこのまんまか)

八幡(この前買った読みかけのラノベでも持って来るんだったな)グビッ

八幡「……ん?」

八幡(このジュース……少し苦いな。グレープフルーツ?)







八幡「あの、川崎さん?」

沙希「……さき」

八幡「は?先?」

沙希「違う!名前!」

八幡「……え?」

沙希「だから――」


ぎゅっ


八幡「!?」

沙希「あたしの事……川崎じゃなくて……」


沙希「『沙希』って……呼んで!」


八幡「………」

八幡(な、なん……ですと?)







八幡「いきなり何言い出すんだお前……」

沙希「『お前』も違う!」ガシッ

八幡「怖っ!分かった、分かったから手離せよ!」

沙希「………」すっ

八幡「いてて……」

沙希「……手」

八幡「……今度はなんだ」



沙希「は、はちまんと手……手を握っちゃった……///」



八幡「………」

八幡(誰だコイツ)







沙希「………///」モジモジ



八幡(いや、マジで誰この人)

八幡(いつもと雰囲気違いすぎだろ……)

八幡「!!」



――このジュース苦くね?



八幡「ちょっ、まさか……」

沙希「きゃっ」

八幡「あ、わ、悪い……」

沙希「は、はちまんってば……だ、だいたん……///」

八幡「………」



八幡「――はっ!いかん、一瞬意識が飛んでた」







八幡「おい、川崎!このジューs」

沙希「あ?」ギリッ

八幡「さ、沙希」

沙希「なに?」ニッコリ

八幡「……このジュースが入ってた瓶、見せろ」

沙希「瓶……これ?」

八幡「っ」バッ



《リキュール》



八幡「……おい」

沙希「?」

八幡「これジュースじゃなくて酒なんですが……」

沙希「へぇ」

八幡「……え、聞いてる?これ酒なんですけど」

沙希「ふぅん」

八幡「なんでそんな他人事なんだよ…」







八幡(……なるほど、これで納得がいく)

八幡(あのおかしな態度も、異常に赤かった顔も……)

八幡(嬉し恥ずかしなラブコメ展開でもなんでもなく、ただ酔っぱらってたってだけだ)

八幡(うん、大丈夫。八幡最初から分かってた、だからショックなんて受けてないよ?ホンt)



沙希「はちまん!」

ギュッ

八幡「は?」

沙希「………///」

ギュ~~ッ

八幡「………」


八幡「!?」







八幡「か、川……」

沙希「ふんッ」ギュッ

八幡「ぐふっ……さ、沙希」

沙希「………///」

八幡「取り敢えず、離れてくれませんかね」

沙希「いや」

八幡「こんな所誰かに見られたら、俺の未来が光の早さで吹っ飛ぶ」

沙希「別に良いでしょ。はちまんはあたしとけ、け…結婚するんだから///」

八幡「は?結婚!?」

沙希「あぁぁ……どうしよ、言っちゃった言っちゃった……///」

八幡「」ぼーん







八幡(うん。落ち着こう、一旦落ち着こう)

八幡(今、こいつは酒を飲んで酔っぱらってる=頭がちゃんと回っていない)

八幡(よって、まだ結婚はしない)


八幡(……まだって何だよ。ヤバい、俺も酔いが回ってきた……)


八幡「………」

沙希「どうしよ……///」チラッ

八幡「………」



八幡「なぁ、沙希」







沙希「………///」ジ~

八幡「お前さ……」




八幡「俺の事好きなの?」








八幡(……っておい!俺は一体何を訊いてるの!?)

八幡(あああああああああヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい)

八幡(『俺の事好きなの?』とか自意識過剰過ぎるだろ!恥ずかしい!俺恥ずかしい!)

八幡(穴があったら今すぐ埋まって真っ赤な空を見ていたい……一千年くらい)

八幡(もうダメだ……終わった。比企谷八幡の終了――)




沙希「……うん。好き」

八幡「だよな。気持ち悪いこと聞いて本当にすいませんでした。僕はゴミ虫でs……は?」

沙希「………///」

八幡「今……なんつった?」

沙希「だから……あたしは、はちまんの事好きなの」

八幡「な、なるほど……」



八幡「!!??」







八幡(……とうとう本格的に酔いが回ったらしい)

八幡(幻聴が……)



沙希「……良いよね」

八幡「ん?」

沙希「もう、良いよね」

八幡「……だから、お前さっきから主語が……」

沙希「………」



沙希「はっ!」シュバッ







八幡「………」

沙希「………///」

八幡「なぁ、沙希さんや」

沙希「………///」



八幡「なぜ上着を脱いだ」

沙希「……恥ずかしい///」

八幡「だろうな、下着丸見えだもんな」

沙希「この……エロはちまん///」

八幡「うわぁ、120%冤罪」







八幡(人と云うのは、あまりにショッキングな出来事に会うと逆に冷静になるものらしい)

八幡(酔いも覚めそうなくらいに)


八幡「あの沙希さん、急にストリップを始めた理由を聞いても?」

沙希「はちまん、こういうの好きって言ってた」

八幡「俺、お前にマニアックな性癖の話なんてしたこと無いじゃん。っつーかストリップなんて別に好きじゃ――」

沙希「大志が」

八幡「ちょっと待っててくれ。始末しないといけない奴がいる」ガタッ

沙希「だめ!」グイッ

八幡「おぶっ」

沙希「………///」



八幡(………)

八幡(……これが、伝説のパフパフか……)







沙希「……やっと来たチャンスだから」

八幡「……?」


八幡(チャンス?……一体何の……)ぱふぱふ

八幡(……煩悩が邪魔して思考がまとまらなn)ぱふぱふぱふぱふ



沙希「は、はちまん!」グイッ

八幡「お、おぅ……どうし――っ!?」



チュッ☆







沙希「………////」

八幡「………」


八幡(……え)


八幡「ちょ」

沙希「んっ」チュッ

八幡「んぶっ!」


沙希「んむっ……ちゅっ……はぁ////」

沙希「ちゅるっ……んっ……むちゅっ////」

沙希「はち…まん……ちゅっ……////」


八幡「んむっ……」

沙希「ちゅ……っはぁ、はぁ……////」

八幡「………」

沙希「はぁ……////」

八幡「………」



八幡(ここで、俺はあれこれ考えることを止めた)







八幡「……沙希」ガシッ

沙希「あ……////」

八幡「どういうつもりか知らねぇけど……」


八幡「今更言い訳しても遅いからな」ギュッ


沙希「………」

沙希「言い訳なんてしない」

沙希「言ったでしょ……八幡、あんたが好き」

八幡「……俺も……」

沙希「……俺も?」



八幡「……沙希の事が好きだ」







八幡(かくして、俺と沙希は勢いそのまま……いたしてしまった。川崎家のソファーで)

八幡(言わずもがな、童貞×処女のタイトルマッチがスムーズにいくわけがなく……)




八幡「いくぞ……」

沙希「うん……あっ」

八幡「ど、どうした?」

沙希「な、なんでもない、大丈夫……」

八幡「……やっぱ痛いのか」

沙希「うっ……少しだけ」

八幡「ほう……」

沙希「……なにその顔」

八幡「いや、お前ホントに処女だったんだなーって……」

沙希「せいやッ!」ガスッ

八幡「ぐぼぉ!」







八幡「……冗談、だって……」

沙希「………」つーん

八幡「………」


ギュッ


沙希「ん……」

八幡「ごめんな……沙希」ナデナデ

沙希「っ……」

八幡「許してくれ」ナデナデ

沙希「……反省してる?」

八幡「あぁ、もちろん」

沙希「………」



沙希「じゃあ、許す」

八幡「ありがとな」チュッ

沙希「ん……ふふ////」








沙希「うっ……ああっ!」

八幡「大丈夫か、沙希……」

沙希「くっ……はぁ、はぁ……」

八幡「なぁ、やっぱ」

沙希「っ」


キュッ


沙希「こうやって……手握ってて……」

沙希「そしたら……大丈夫だから……」


八幡「………」

八幡「……分かった」キュッ


ぐっ








沙希「うっ……あぁっ!」

八幡「くっ……大丈夫か、沙希」

沙希「ふっ……はぁ、はぁ……」

八幡「……なぁ、やっぱ」


キュッ


沙希「こうやって……手握ってて……」

沙希「そしたら……大丈夫、だから……」


八幡「………」

八幡「分かった」キュッ


ぐっ






sorry……

大事な事なので二回書いてしまった。ごめんなさい





沙希「ぅんんっ…!」

八幡「沙希……ちゅっ」

沙希「んむっ……ちゅ……んんっ!」


ズンッ


八幡「うっ……!」

沙希「んんーー!」

八幡「ぷはぁっ……はぁ……」

沙希「ぅ……はぁぁ……」



八幡・沙希「「入ったー……」」







八幡「……くっ」

沙希「……ふふっ」

八幡「二人揃って何言ってんだろうな……」

沙希「そう、だね……」

八幡「痛み……どうだ?」

沙希「思ったより……かな」

八幡「さすがアスリートタイプ」

沙希「なにそれ……ぁんっ」

ギュッ

八幡「……すまん、正直もう我慢できそうにないわ」

沙希「はぁっ………い、良いよ」



沙希「……来て?」







八幡(こうして俺の童貞は散っていった)

八幡(今思い返せば、『いやいや、避妊具は?』とか)

八幡(『けーちゃん起きたらどうすんの?』とか、色々とツッコミ所が有ると思うが……)

八幡(もちろん、火の付いた酔っぱらい二人の頭に、そんな事を憂慮する余裕など無く……)




沙希「んっ、やぁっ…あっ」

八幡「くっ……沙希…沙希……」

沙希「はち、まん……んぁんっ!」

沙希「い、イク……はぁぁん、あぁっ!」

八幡「俺も、そろそろ……うっ」



沙希「あぁぁああんっ!!」ビクッ

八幡「くっ、あぁ!」ブルッ


フィニッシュ☆







八幡(かくして、俺と沙希は飲酒した上にはじめてチュウ所か、はじめての淫行に走ったあげく)

八幡(そこで中出しフィニッシュを迎えましたとさ……え、これ何てエロゲ?)

八幡(……まぁ、幸いな事に家族の誰にも見られていなかった)

八幡(いや、見られたらヤバかっただろうが……)




八幡「……はぁ」

沙希「……どうしたの?」

八幡「いや、疲れたなーと」

沙希「だらしないな……」

八幡「明日、変なとこ筋肉痛になってそうだ」

沙希「それは……あたしもそうかな」

八幡「……ま、いいか。明日は日曜だし」

沙希「……うん」







沙希「……ねぇ」

八幡「んー?」

沙希「ちゅっ…ん…」

八幡「ん……」

沙希「……好きだよ、八幡」

八幡「……みーとぅー」



<さーちゃーん……はーちゃーん……



八幡・沙希「「!?」」

八幡「やべっ!?ふ、服を……!」バサッ

沙希「あ、あたしもっ……そこのブラ取って!」


ガチャッ


京華「どこー?」


八幡・沙希「「ちょっと待ったーー!!」」






~回想終わり~



八幡「………」

八幡「どうしたもこうしたも……原因は明白だろと」

八幡「怖い。お酒怖い……(;゜ω゜)」



沙希「……や、やっぱりまだ暫くは名前で良いか……///」







八幡「にしても……」

八幡(これからどうすりゃ良いんだ……)

八幡(比喩でも何でも無く、終わったわ俺の人生)

八幡(親……学校……)

八幡(………)



八幡「え、マジでどうしよ」

沙希「何が?」

八幡「何がって……お前妊娠してるんだよな?」

沙希「うん」

八幡「……だからだよ」

沙希「?」

八幡「キョトンとするな。温度差違い過ぎだろ……」







沙希「言いたいことが分からないんだけど」

八幡「だから!」


八幡「俺らまだ高校生だろ!なのに妊娠て……」

八幡「親やら学校やらになんて説明すりゃいいんだよ!」


沙希「そんなの『子供が出来ました』でいいでしょ」

八幡「軽すぎだろ!」

沙希「落ち着きなって八幡。もう親は知ってるし、学校は……まぁ、追々考えるよ」

八幡「いや、親は知ってるったって……」



八幡「ん?」







八幡「親は、知ってる……だと?」

沙希「うん。報告したからね」

八幡「いやいやいやいや」

沙希「?」

八幡「え、もうこの事全部バレてんの!?川崎家に!?」

沙希「うちだけじゃないよ」

八幡「は?」



沙希「八幡の家にも連絡行ってるはずだから」



八幡「………」

沙希「小町ちゃんから『おめでとー!』ってメール来たし」

八幡「………」

沙希「多分、そっちも……八幡?」

八幡「………」

沙希「おーい」

八幡「………」



八幡「うそん」







八幡(彼女を孕ませた事が両家に筒抜けていた件について)

八幡(そら、隠しておけるもんじゃねぇし、いずれは話さなくちゃいけないんだろうが……)

八幡(当人より先に知られてるって……心の準備が……)ブツブツブツブツ



医者「川崎さーん」

沙希「あ、はい」

医者「先程の書類をね……おや?そちらが父親かい」

沙希「そうです///」

医者「はは。それじゃあ、これを」

沙希「ありがとうございます」



八幡(こういうときは、何から話せば……いや、先ずはスライディング土下座から……)ブツブツブツブツ







~帰り道~


八幡「………」

沙希「~~♪」



八幡「手繋ぐの止めね?すげー恥ずかしいんだけど…」

沙希「セックスまでしといて、何を今さら」

八幡「お前そういうの躊躇無く言うのな」

沙希「……そんなに繋ぐの嫌?」

八幡「別に、嫌じゃ……」

沙希「………」

八幡「……確かに、今更だよな」キュッ

沙希「……ふふ」







八幡「……まったりしてる場合じゃない」

沙希「?」

八幡「皆にどう説明すれば……」

沙希「だから、あたしがもうしたってば」

八幡「だとしても、俺が黙ってる訳にはいかないだろ」

沙希「『俺が孕ませました、どうも』って?」

八幡「DQNじゃん」

沙希「じゃあ、お得意の屁理屈か……なら黙ってた方が良いよ」

八幡「泣いてもいい?」







沙希「とにかく、そんなに悩むこと無いよ」

八幡「無理言うな」

沙希「母さんも喜んでたし、『初孫だ』って」

八幡「……反応が予想外すぎる」

沙希「父さんは……」

八幡「親父さんは流石に怒っt」

沙希「『名前は決めたのか』って」

八幡「こんなの絶対おかしいよ」

沙希「?」

八幡「なんか悩んでる俺が馬鹿みたいだけど、おかしいのそっちだからな?」







八幡(……まぁ、問題は……)


八幡「うちの親だな」

沙希「そっちにも連絡したよ。話聞いてた?」

八幡「それがヤバいんだって。いきなり息子の彼女から『子供出来ました』って連絡来たら……」

沙希「来たら?」

八幡「……俺、殺されるかもな」

沙希「それはないよ。『うちの愚息を宜しくお願いします』って言われたから」

八幡「………」


八幡(母さんよ、お前もか)







~~♪


八幡「おっと……電話か」ピッ

八幡「もしもし」


小町『あー、やっと出たー!遅ーい!』


八幡「……声がでかい」

沙希「小町ちゃん?」

八幡「そう……どうした?」


小町『どうした?じゃないよ!何回も連絡したのに繋がんないんだもん』


八幡「しょうがないだろ。病院にいたから電源切ってたんだよ」


小町『も~…可愛い妹からの連絡はいつでも受けられるようにしとかないと。小町的にポイント低いなぁ』


八幡「はいはい、悪ぅございました」


小町『それより!お兄ちゃん沙希さんと一緒だよね?』


八幡「おう。横にいる」


沙希『良かった!そしたらさ、沙希さんと一緒に家まで連れてきてくれる?』


八幡「は?」







八幡「なんでだよ」


小町『なんでかは帰ってきてからのお楽しみだよ!』


八幡「……はぁ」


小町『とにかく、ちゃんと連れてきてね?ばいちゃー☆』


八幡「あ、おい!」


ブツッ


八幡「ばいちゃーて……」

沙希「小町ちゃん、なんだって?」

八幡「『沙希さんを家まで連れてきて』だとさ」

沙希「え、あたし?」

八幡「俺、お前以外の沙希さん知らないわ」

沙希「………///」

八幡「うん、変な意味じゃないから照れないで」







~比企谷宅~


ガチャ


八幡「……ただいま帰りましたー……」そろーり


パンッ!


八幡「うぉわっ!?」

小町「おっ帰りー!」

八幡「……マジでビビったぞ。なんだよそのクラッカー」

小町「もちろん、お祝いに決まってるじゃん」

八幡「……お祝い……」

小町ちゃん「あれ、沙希さんは?」

八幡「いるぞ、後ろに」

沙希「ど、どうも…」







小町「わー、いらっしゃい!どうぞどうぞ」

沙希「お邪魔します」

小町「ほら、お兄ちゃんボサッと突っ立ってないでおもてなしして!」

八幡「あ、あぁ……」

八幡「………」



八幡(妹の態度がいつもと変わらないのが逆に恐ろしい)

八幡(しかもまさかの『お祝い』て……)

八幡(いいの?お前のお兄ちゃん、同級生孕ませたクズ野郎だよ?)



沙希「どうしたの?ボーッとして」

八幡「………」

沙希「?」







八幡(そのあと、何故か両家の人間が集まって来て、宴会が始まった)

八幡(当然、抹殺ルートまっしぐらだと思っていたのに……)



川崎母「男の子かしら、女の子かしら?」

沙希「もう少ししたら分かるって」

川崎父「遂におじいちゃんになるのか……八幡くん。沙希を頼んだよ」

八幡「は、はい……」

比企谷母「これで将来安泰ね。良かったじゃない」

八幡「いや、安泰どころかお先真っ暗……」

小町「お兄ちゃん、沙希さんのこと幸せにしてあげてね」パクパク

大志「おめでとう、姉ちゃん。お兄さん、姉ちゃんを宜しくお願いします」ペコッ

沙希「ちょっと二人とも……///」

京華「さーちゃん顔まっか?

八幡「………」



八幡「はは、なんだこれ」







八幡(そんな感じで和やかに宴会は進んだ)

八幡(……だが、やがて酒を飲んだ大人達が、酔って口を滑らせ始めた)

八幡(そこで俺は、この奇妙な対応の真相を知ることになる)







川崎父「きみ……ここに来て一緒に飲まないか…」

八幡「俺未成年ですよ」

川崎母「大丈夫よ、あなたも晴れてお父さんになったんだから」

八幡「話が別ですし、その件に関しては……」

八幡「ってか飲み過ぎですよ……」

川崎父「当たり前だろう、今日飲まずしていつ飲むんだ」

川崎母「初孫記念日ですもの」

八幡「………」



八幡「助けてくれ沙希」ガシッ

沙希「えっ……ちょっと、皆いる前でそんな……///」

八幡「……まさかお前も飲んでんじゃないだろうな」

沙希「飲むわけないでしょ。あたし妊婦だよ?」

八幡「そ、そうでした……」







八幡母「お父さん仕事で帰り遅くなるって」

小町「えー。せっかくのパーティーなのに」

大志「仕事ならしょうがないよ……」



川崎父「そうか。だと酒が余ってしまう……そうだ」

川崎父「きみ、こっちに来て一緒に……」

八幡「え、何これ。無限ループ?」

沙希「ちょっと、八幡巻き込まないでよ」

川崎母「そうよね、旦那さま取られちゃわないか心配よね」

沙希「そ、そんなんじゃない!///」

八幡「ホモォ……」







小町「ねぇ、小町と大志くんお酒飲めないし、ご飯も終わったからさ。上で遊んでるね」

大志「え、こ、小町ちゃ……」

八幡母「冷凍庫にアイス入ってるわ」

小町「わーい!」

八幡「おい。ちょっと待て大志。小町と二人で…」

八幡母「あんたはこっち」グイッ

八幡「ぐえっ」



沙希「けーちゃん?」

京華「……すぅ……」

沙希「どうしよ、寝ちゃった…」







八幡母「はいお待たせ、おつまみ」

川崎父「すみませんね」

川崎母「ごめんなさい。家族でお邪魔してしまった上に……」

八幡母「良いんですよ。こんな日ですから」

八幡「………」



沙希「っ、しょっと……」だっこ

京華「んぅ……」

沙希「ねぇ八幡、けーちゃ……京華寝ちゃったから……」

キュッ

沙希「え?」

八幡「………」

沙希「な、なに?」

八幡「……俺の傍にいてくれ。頼む」

沙希「!!」

沙希「……わ、分かった////」


八幡(このままだと俺の心が折れる)

沙希「………////」ギュッ







京華「Zzz……」



川崎父「それにしても……あの沙希がな」

川崎母「だから言ったじゃない。八幡君がいるから問題ないわって」

八幡母「そんなに大したもんじゃありませんよ、うちの子は」


八幡「本人目の前にいるんですけど」

沙希「あんたの良さは、あたしが一番よく知ってるから……///」

八幡「気持ちは有り難いんだけど、腕離してくんない?」

八幡(胸が押し付けられてヤバい)

沙希「あ、当ててんの……///」

八幡「確信犯かよ」







川崎母「あら、見せつけてくれるわね」


八幡「いや、これは」

沙希「八幡が、『俺から離れるな、ずっと傍にいろ』って言うから///」

八幡「大袈裟じゃないかな沙希さん?」


八幡母「生意気ね、一丁前にプロポーズのつもり?」


沙希「えっ///」

八幡「違うわ!」

沙希「………」シュン…

八幡「あ……いや、そういうことはもっとちゃんとした場で……」

八幡(ってまた俺は何を!?)

沙希「……八幡///」


川崎母「いやだ、なんかここ暑いわ」

八幡母「わたしも、あっついわ…」

川崎父「……立派になりやがって……」



八幡「もうやだこの家族」

沙希「ん…ふふ///」ギュッ







川崎父「……それにしても、こんなに上手くいくとはな……」

川崎母「そうね」

八幡「言ったでしょう?高校生の男なんてきっかけがあれば……」


八幡「?」

八幡(上手くいく……何のことだ?)

八幡「……なぁ、何だと思う?けーちゃん」ナデナデ


京華「んぅ……」スヤスヤ


八幡「………」ナデナデ




>>120
三行目のセリフは父?




川崎父「たしかに比企谷さんの言う通りだ……高い酒を買ったかいがあったよ」

八幡母「まさか一発でここまで関係が進むとは思ってなかったけど」

川崎母「あら、わたしは予感してましたよ?」



八幡「」ピクッ

八幡(酒……)

八幡「いや、まさかな……」

沙希「ん?」

八幡「なんでもない」



川崎母「でも、勢いのままソファーでなんて沙希も中々…」



八幡「はいダウトォーーー!!!」

沙希「っ!?」ビクッ





>>121
申し訳ない、三行目は八幡母です






沙希「ちょっと八幡……そんなに大きな声出したら京華が……」

八幡「そ、そうか……じゃない!」

八幡「今の話について聞きたいことがある」


八幡母「何よあんた急に」

川崎父「まぁ、落ち着いて一杯……」

八幡「それだよそれ!」

川崎母「どういうこと?」


八幡「……あの日」


八幡「ジュースだつって沙希に酒渡したの……あんたらか」


大人達「「「………」」」

八幡「………」ゴゴゴゴゴ……

沙希「………」オロオロ



八幡母「そうだけど…?」

八幡「……おい」







八幡「『当然だろ?』じゃないから。ダメだろ!」

八幡「それだけじゃない」



八幡「覗いてたな、全部」



川崎母「……てへ」

八幡「てへ☆じゃねーだろ!可愛く言っても許されんわ!」

川崎母「あ、あなたっ」

川崎父「おい、八幡君。いくら君でも妻に……」

八幡「黙れ実行犯」

川崎父「……はい」



京華「……ぁぃ?」

沙希「あ……ごめんね、起きちゃった?」ナデナデ

京華「んー…起きたー」




?「比企谷くん・・・それがあなたの望んだ本物なの?・・・わたしが
あなたの・・・本物になってあげるわ!」グサッ!
?「・・・比企谷くん・・・直ぐにわたしもそこに逝くから・・・」シュパッ!
~かなし~みの~む~こうへと~




八幡「こっちはなぁ……こっちはあんたらのせいでっ」


京華「はーちゃん…?」


八幡「あ……」

沙希「けーちゃん、今向こうで話してるから…」

京華「……はーちゃん怒ってる?」

八幡「………」

京華「けーかねちゃったから……」ウルッ


八幡「……そんな訳無いだろ?怒ってないよ」

京華「ほんと?」

八幡「ほんとほんと」ナデナデ

京華「…えへへ」

沙希「……ふふ」







京華「…ふあぁ」

八幡「まだ眠いよね、ちゃんとベッドでおねんねしよう」

京華「うん…」

八幡「いいよな?」

沙希「そっちが良いなら、お願いする」

八幡「ん……おいバカども」


川崎父「っ」ぴくっ


八幡「大声出すなよ」

八幡母「お風呂は?」

八幡「明日の朝でいい、じゃ」

沙希「あ、あたしも行く」


バタンッ







川崎母「……すごい迫力ね、八幡くん」

川崎父「あぁ……しかし、大丈夫だろうか」

川崎母「?」

川崎父「かなり怒っているようだったよ……」

八幡母「大丈夫よ」


八幡母「頑固で捻くれた子だけど、やるときはそれなりにやる子よ」

八幡母「それに沙希ちゃんがいるんだから」


川崎父「…そうかもしれないね」

川崎母「もう既に夫婦みたいだものね」

八幡母「これでバカな将来設計とやらも考え直すでしょ」







ガチャッ


八幡「……取り敢えず、俺の部屋で寝かせるか」

沙希「ごめん、迷惑かけちゃって」

八幡「迷惑なんて思ってねーよ」


京華「ん~…はーちゃんのお部屋?」

八幡「そうだよ。けーちゃん来るの久しぶりだね」

京華「うん……ん……」

八幡「もう限界っぽいな……おやすみ」

京華「おやすみ…はーちゃん、さーちゃん…」

沙希「うん。おやすみ」







京華「すぅ~……」



八幡「さて、どうする?俺達も寝るか?」

沙希「え、あたしも?だ、だけど…」

八幡「良いだろ。どうせ下の酔っ払いも泊まってくんだろうし」

沙希「うん……いや、そうじゃなくて」

八幡「あ?」



沙希「ここで……?」



八幡「……あ」

沙希「京華も寝てるし、三人で寝るには狭いんじゃない?」

八幡「確かに……お前色々と発育良いもんな……」

沙希「なっ!?///」







沙希「……変態///」

八幡「自分の彼女褒めただけで、なんで変態呼ばわりされるんだ」

沙希「だとしたら下手すぎだよ…」

八幡「でも実際そうだろ」

沙希「…まぁね。おまけにお腹の中に赤ちゃんいるし」

八幡「……せ、せやな」

沙希「分かりやすく狼狽するな」


八幡「…………」

沙希「…………」







八幡「……なぁ」

沙希「……なに」

八幡「ごめんな」

沙希「え?」


八幡「本当に、ごめん」ギュッ

沙希「ぁ……な、何のこと」

八幡「……妊娠だよ」

沙希「……またその話?だから気にしないでって」

八幡「するだろ」


八幡「沙希のこと……大事なんだよ」

八幡「しないなんて無理だ」

沙希「う………///」







八幡「体の負担は、全部お前にかかる」

八幡「誰が何と言おうと俺は無責任で……最低な事をした」

八幡「だから―――」


ギュッ


沙希「八幡」

八幡「………」

沙希「…後悔してる?」

八幡「……正直、してないと言ったら嘘になる」

沙希「そう」

八幡「………」

沙希「あたしは……」


沙希「あたしは……後悔してない」







沙希「だって、この子は……あたしが愛してる男との子なんだ」

八幡「………」


沙希「もちろん、不安とか全くない訳じゃないけど」

沙希「あんたが…八幡がいてくれるから」

沙希「八幡と一緒なら、むしろこれから先の未来が楽しみで仕方がないの」

八幡「……沙希……」

沙希「だから、そんな風に思われると…逆に辛い」

八幡「……そうか」

沙希「そうだよ」

八幡「……ありがとな」ギュッ

沙希「ふふ……うん」ギュッ







八幡「……とまぁ、お互いの意思は確かめあえたが」

沙希「うん」

八幡「問題は、学校の方だよな」

沙希「そうだね」



沙希「平塚先生に話したら……あの人ショック死するかも」

八幡「いや、確かにそうかもしれないけども……違うだろ」

沙希「?」

八幡「先生もそうだが……」

沙希「あぁ、奉仕部か」

八幡「ちょっとは話聞こうよ沙希さん」







沙希「由比ヶ浜と……雪ノ下」ニヤリ

八幡「なにその悪い笑顔……」

沙希「なんでもない」

沙希「きっとビックリするよ、あたし達結婚するって言ったら」

八幡「そりゃそ……え?そっち?」


沙希「なんだよ」

八幡「あー、そっちってのもおかしな話だな……ってか結婚すんの俺ら?」

沙希「……え?……しないの?」ウルッ

八幡「いや、待て!違うから泣くな!」

沙希「……うっ……」グスッ

八幡「……だから違うって」ギュッ

沙希「………」ギュッ







八幡「そりゃ将来的には……するんだろうけど」

八幡「学生結婚は……」

沙希「……この子が生まれる前にする」

八幡「……絶対?」

沙希「絶対」

八幡「………」

沙希「………」



沙希「……嫌、なの?」グスッ

八幡「嫌じゃ…ないっす」

沙希「……ほんとに?」

八幡「ほんとっす」







沙希「本当に嫌じゃないのなら……証明して」

八幡「証明?」

沙希「………」こくり


沙希「ん」


八幡「……ほう?」

沙希「早くしろ」

八幡「随分と偉そうなこって」

沙希「もうすぐあたしも母親だから、強くならないと」

八幡「末恐ろしいな……んっ」

沙希「ちゅっ…んんっ…」







京華「んみぅ……」



八幡「おっと……」

沙希「……ふふっ、そろそろあたし達も寝ようか」

八幡「だな」

沙希「おやすみ、八幡」ギュッ

八幡「おう、おやすみ……沙希」ギュッ



京華「えへへ……はーちゃん…さーちゃん……むにゃ」







翌日



八幡「……ん」

八幡(朝か……)

八幡「うっ……首いてぇ……」

八幡(寝違えたなコレ)

八幡「くっそ………ん?」



沙希「すぅ~………」

京華「んにゃ………」



八幡「……あー」

八幡(そういや、一緒に寝たんだったな……)







八幡「時間は……8時か」

八幡(今日は休みだ、学校も無い。まだ寝かせておいても)ガタッ

八幡「あ」



沙希「……ん……?」

京華「Zzz……」すぴー



八幡「……悪い。起こしちゃったか」

沙希「八幡?……そっか。昨日……」

八幡「まだ寝てていいぞ」

沙希「ううん、起きるよ……はぁぁ」

八幡「でっけー欠伸だな」

沙希「失礼しました」







八幡「どうする?朝飯食べるか」

沙希「……ううん。昨日の夜からずっとお世話になりっぱなしだから…」

八幡「今さら気にすんなって、泊めたのはうちなんだ。飯くらい用意する」

八幡「遠慮するなよ」ナデナデ

沙希「……あ、ありがとう///」

八幡「おう」



沙希「そうだ……ねぇ、八幡」

八幡「ん?」

沙希「朝御飯の前に、して欲しいこと有るんだけど」

八幡「して欲しいこと?」







沙希「うん。あのさ……」

八幡「………」

沙希「その……さ」

八幡「お、おう」


八幡(なんだこの間は……一体どれだけヤバい事を……)



沙希「おはようの……キス」



八幡「は?」







八幡「な、なんつった?」


沙希「だ、だから……おはようのキスを、して欲しい」


八幡「………」

沙希「……ダメ?」ウルッ

八幡「……ダメじゃないです」

沙希「良かった……じゃあ」

八幡「おう……ん」

沙希「んっ……ちゅ」



八幡「おはよう沙希」ナデナデ

沙希「おはよう……八幡」ギュッ



八幡(あの涙目は反則ですわ)

八幡(……ってか完璧に尻に敷かれてるな……先が思いやられる)







八幡「んじゃ、ご依頼の件も済みましたので、朝食いきます?」

沙希「……もう少しだけ待って。このままで」ギュッ


八幡「……お前、身内と外と態度違いすぎるよな」

沙希「そう?でもそれって普通でしょ」

八幡「そりゃ、まぁ」

沙希「ふふっ」

八幡(……こんな風に甘えてくる沙希がメチャクチャ可愛い……と思っている辺り、俺も相当末期だけどな)







ガチャッ


八幡「思ったより時間食ったな」

沙希「ごめん……もうすぐ9時だね」

八幡「けーちゃんも起きなかったしなー」

沙希「重ね重ね……ごめん」

八幡「こら、気にするなって何回言わせんだよ」

沙希「うっ……」

八幡「どうせ俺達はその内……か、家族になる訳だ。俺は身内泊めただけだよ」

沙希「……八幡///」

八幡「……は、早く行くぞ//」

沙希「うん////」







ガチャッ


八幡「おはようございま…」


小町「あー!おはようって、お兄ちゃん起きてくんのおそーい」

八幡「今日、日曜だぞ。どっちかつーと早い方だろ」

小町「はいはい、言い訳はけっこーでーす」

八幡「………」

沙希「お、おはようございます」

小町「あ!おはようございます!どうぞこちらへ」

沙希「あ、ありがとう」

八幡「……お兄ちゃん哀しい」







小町「じゃ沙希さん、座って待っててくださいな♪」

沙希「うん、ありがとう」

小町「お兄ちゃんも、沙希さんの隣で待っててねー」

八幡「……はいよ」



八幡「とは返事したものの」


川崎父「うぅ……俺は、俺はもう……」

川崎母「しっかりしてよあなた……」


八幡「あそこに混じって座りたくないんですけど」

沙希「はぁ……」







川崎父「……あぁ。沙希と、八幡君……」

川崎母「二人とも、おはよう」


八幡「……おはようございます」

沙希「もう……恥ずかしい事しないでよ」


川崎父「……すまない……やはり俺なんて…」

川崎母「ちょっと!この子達の前で……」

八幡「…………」

八幡(何このあからさまな『問題あり』の空気)







小町「はーいお待たせー!小町スペシャル二丁!」

小町「って言っても、ママンが作ったの温めただけですけど」


沙希「ごめんね、手伝いもしないで…」

小町「良いんですってば、沙希さんはお客さんなんですから」

小町「それよりも!小町これから大志くんと遊びに行くので、お兄ちゃんのこと宜しくです」

小町「あ、大志くんのことはナイショで☆」

沙希「う、うん。分かった」

小町「それでは~」


沙希(……大志、いつの間に小町ちゃんと仲良く……)







八幡「…………」



川崎父「……もうダメだ……」

川崎母「あなた……」



八幡「…………」

沙希「はい、八幡。朝ごはん小町ちゃんが……どうしたの?」

八幡「……いや、この場の空気が居たたまれなすぎて」

沙希「もう………」







沙希「ちょっと、いい加減にしてよ!人の家で恥ずかしい事しないで!」



川崎父「沙希……すまない、本当にすまないぃぃ!」

川崎母「お、落ち着いて!」



沙希「いい年した大人がそんなみっともな……」

八幡「沙希」

沙希「っ……離してよ、八幡」

八幡「お前も落ち着いたらな」

沙希「……ふんっ」

八幡「ったく……ほら」ギュッ

沙希「あっ」

八幡「……落ち着いたか」

沙希「……うん///」







八幡「……さて」

八幡「そこの二人」



川崎父「」ビクッ

川崎母「………」



八幡「…………」

八幡「今度こそ、話してもらおうか」


八幡「本当の訳を」







数時間後



京華「……んぅ」


沙希「あ……おはよう、けーちゃん」

京華「おはよー……さーちゃん?」

沙希「うん?」

京華「お顔まっかだね」

沙希「!?……ま、まぁ。そうかな」


八幡「おー、やっと起きたな。お寝坊さん」

京華「はーちゃん!」ダッシュ







京華「あい!!」ぼすん

八幡「ぐほっ!」

京華「おはよ!」ぎゅっ

八幡「あぁ……」ナデナデ



沙希「………」じー

八幡「ん?なんだよ」

沙希「っ!べ、別に何でもない」

八幡「………」

沙希「………」






八幡「ったく……」ナデナデ

沙希「ち、ちょっと!///」

八幡「さーちゃんは甘えん坊さんだなぁ」ナデナデ

京華「ねー」ニコニコ

沙希「う……///」

京華「ねぇねぇはーちゃん、けーかも!!」

八幡「はいはい」ナデナデナデナデ

京華「えへへぇ♪」

沙希「……////」


八幡「困った姉妹だぜ」







京華「そうだー、パパとママは?」

沙希「え?あ……えっとね……」

八幡「用事があるからって、さっきお出かけしたんだよ」

京華「おでかけ?」

八幡「そう。だから帰ってくるまで、一緒に大人しく待ってようか」

京華「うん!」



沙希「……ごめんね」

八幡「いや、謝るのはこっちだ。お前は悪くない」

八幡「……だから、そんな顔すんな。けーちゃんも気にするだろ?」

沙希「うん…ありがとう」ギュッ

八幡「お、おぅ」

沙希「ふふっ」







沙希「じゃあ、けーちゃん。朝……お昼ごはん食べようか」

京華「うん!」



八幡「………」

八幡(どうやら、沙希の様子も大丈夫そうだ)

八幡(さっきの話を聞いて、ショックを受けていないか心配だったが……)

八幡(俺の杞憂だったらしい)



京華「はーちゃん!」

八幡「ん、いま行くよ」



八幡(まさか、あんな話を聞かされる事になるとは―――)







――数時間前



沙希「本当の話……?」

八幡「昨日の夜の話だ」


川崎父「」ビクッ


沙希「それって、お酒のこと?」

八幡「そうだ……おかしいと思わないか?」

八幡「俺と沙希を……その、付き合わせようとして、酒を置いて二人きりにしたと」

沙希「う、うん……///」

八幡「やりすぎだろ」

沙希「え?」


川崎父「………」







八幡「たかが、高校生のガキ二人をくっ付けようとしてそこまでするか?」

八幡「普通に法律違反だぞ」

沙希「……言われてみれば、そうだけど」

八幡「だから考えた……もしかしたら」



八幡「……もしかしたら、ここまでなる事を見越してやったんじゃないか」



沙希「!」

川崎父「………」

八幡「………」

沙希「で、でも、そこまでは考えすぎじゃ……」


川崎母「……あなた」

川崎父「………」







川崎父「……八幡くん」

八幡「……なんですか」


川崎父「君の言っていることは……半分当たっている」


八幡「!」

沙希「!」


川崎父「……ただ、信じてくれ。決して君達を苦しませようとしてやった訳じゃないんだ」

川崎母「私たちはね、あなた達に……早く付き合って欲しかったのよ」


八幡「……だからって、あんなことを」


川崎父「……単にそう考えていた訳じゃない……」

川崎父「実は……」







八幡・沙希「「……倒産?」」



川崎父「………」コクリ


沙希「え……本当に?」

川崎母「本当よ」

八幡「………」


八幡(最近、妙に家にいることが多くなってたからおかしいとは思っていたが)

八幡(まさか会社が倒産していたとは……)


川崎父「すまない……もっと早く話すべきだった」







沙希「……それで、どうしてあたしと八幡を……」

八幡「……結婚、ですか」

沙希「!」


川崎父「………」

川崎母「そうよ」

川崎父「少しでも早い内から、関係を進めてくれれば……そう思っていた」

川崎父「そしたら……」



沙希「……そう、なんだ」

八幡「………」



八幡「……川崎さ……」

八幡「……お義父さん」



川崎父・母・沙希「「「!?」」」





――――――――――――
――――――――
―――――


八幡(……はぁ)

八幡(クソッ、ふざけた大人どものせいで俺の完璧な人生設計が音を立てて崩れていく……)



京華「……はーちゃん?」

八幡「んぉ?」

京華「こわい顔……」

八幡「あぁ、ごめんごめん。ちょっと考え事してたんだよ」ナデナデ

京華「ん…♪」


沙希「はい、八幡」

八幡「ありがとな、沙希」ギュッ

沙希「っ、うん……///」




このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月11日 (木) 21:41:21   ID: c43Bu88I

楽しみにしています

2 :  SS好きの774さん   2015年06月29日 (月) 23:08:49   ID: pGRB1BkE

おもしろい

3 :  SS好きの774さん   2015年06月30日 (火) 18:41:15   ID: HgJUJ-kK

期待してる

4 :  フルーツちんぽ侍   2015年07月01日 (水) 00:59:44   ID: SFZHAxPb

出産後のイチャコラみたいです

5 :  SS好きの774さん   2015年08月14日 (金) 10:32:41   ID: NHWg05rr

八幡にしては目上の人に対する言葉遣い荒いきがする

6 :  SS好きの774さん   2015年10月10日 (土) 07:22:52   ID: zyzdy55g

>>5もうお父さんだからね、仕方ないね

7 :  SS好きの774さん   2015年11月12日 (木) 12:40:08   ID: tK-T-1e8

失踪したか。それとも社会的に消されたのかな(ニッコリ

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom