雪乃「……」

雪乃「………」

雪乃「………おかしい」

雪乃（いつもなら、これで彼との幸せな夢を見て素敵な朝を迎えられる筈……なのに、どうして）

雪乃「……眠れないわ」

雪乃（何故かしら、ちゃんと準備は整っている筈……写真の位置もズレはないわ）

雪乃「……何か、足りない」

雪乃「これだけじゃ、物足りないわ」

翌日

雪乃（結局、昨日はあまり眠れなかったわ……）

ｶﾞﾁｬ

八幡「うっす」

雪乃「こんにちは、比企谷くん。由比ヶ浜さんは一緒じゃないの？」

八幡「ああ、由比ヶ浜なら今日は三浦たちと急な予定が入ったとかで来れないそうだ」

雪乃「そう……」ｳﾄｳﾄ

雪乃（くっ、せっかく比企谷くんと二人なのに、眠気が……）

八幡「……その、なんだ、どうかしたのか？」

雪乃「えっ？」

八幡「お前にしては珍しく毒舌吐いて来ねえし」

雪乃「あら、やっぱりあなたってドMの変態だったのね」

八幡「ちげえよ、アホか」

雪乃「……別に、大した事じゃないわ。少し寝不足なだけよ」

八幡「寝不足？　珍しいな」

雪乃「いつも通りに眠ろうしたら、何故か昨日は寝付けなかったのよ」

八幡「ああ、たまにあるなそういうの。俺なんて寝る前に戸塚の事考えてたら気付いたら朝だった事もある」

雪乃「あなたの気持ち悪い妄想と一緒にしないでくれないかしら」

雪乃（私は夢の中で実際に比企谷くんと話し触れあい愛しあっているのよ、妄想と一緒にされたら困るわ）

八幡「しかしまあ、あれだ……部長が寝不足なら別に今日は休みでもいいんじゃねえの」

雪乃「そういう訳にはいかないわ。依頼はいつくるかも分からないのに……気を使わせて悪いわね」

八幡「……別にそんなんじゃねえよ」

雪乃（まさか二人きりの状態で比企谷くんのひねデレが見れるなんて……寝不足も悪くないわね）

ーーー
ーー

八幡「結局、今日も依頼はなかったな」

雪乃「そのようね。私は部室の鍵を返さないといけないから、先に帰って」

八幡「んじゃ、またな、雪ノ下」

雪乃「ええ、また明日」

ﾊﾞﾀﾝ

雪乃「……」

雪乃（久しぶりの比企谷くんとの二人きりの有意義な時間だったわ）

雪乃（今晩は寝る前に今日の二人きりの時間を思い浮かべながら比企谷くんが私に襲い掛かる場面をシミュレーションして……）

雪乃「……あら？　これは」

つMAXコーヒー

雪乃「比企谷くんの飲みかけの缶……捨て忘れたのかしら。仕方ない男ね」

雪乃「……」

雪乃「比企谷くんの、飲みかけの、缶……」

雪乃「……」ｽﾘｽﾘ

雪乃「まだ、暖かい……」

雪乃「……これだわ」