提督「急に皆に嫌われた?」 (371)



提督「うーん何かしたかな?俺?覚えがないけど……あれかな?無意識にとかそういう?」カリカリ

提督「あの金剛すら俺を見るなり舌打ちしてどっか行くしなぁ」ポン

提督「……終わんねーな……まぁ誰も秘書艦やってくれないから仕方ないか」カリカリ

提督「俺以外には普通みたいだし……やっぱ何かしたのかな?」カリカリ

提督「……独り言言ってても寂しいな……でも黙ってやってるのも……あー何だろ?何したっけな?」カリカリ

提督「……はぁ……」ポン

提督「ん?そろそろか……建造したばっかりの子なら大丈夫だよな?嫌われてないよな?」スタスタ



提督「よし開けるぞ」ガチャ

朝潮「駆逐艦、朝潮です。勝負ならいつでも受けて立つ覚悟です。」

提督「よろしく俺はここの提督だ」

朝潮「はいよろしくお願いします司令官!」

提督「あぁ……うんありがとう朝潮」グスッ

朝潮「えっ?しっ司令官?どうしたんですか?」

提督「あぁいや何でもないよ、それじゃあ軽く鎮守府を案内するよ」

朝潮「はい!ありがとうございます」

提督(良かった最初から嫌われてなくて)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433559396

注意事項

本来の艦娘のイメージにそぐわない多少の暴力的な言動や若干のグロ系表現が一部含まれます

グロ系表現の前に一応注意は書きますが、お気をつけ下さい

では続けます



提督「それでここが食堂だよ、ん?」

朝潮「誰か居るみたいですね、挨拶しても?」

提督「あーうん、いっておいで」

朝潮「?紹介はして頂けないのですか?」

提督「あーほら、自己紹介だけだしさ、艦娘同士の方が良くないかと思ってね」

朝潮「はぁ……司令官がそうおっしゃるなら、では一旦失礼します」

提督「うん……皆と仲良くね」

朝潮「はい!」スタスタ

提督「……隅の方に行くか」クルッ

球磨「あっ……はぁ……食欲が失せたクマ」スタスタ

提督「……すまん球磨……この辺なら大丈夫かな?」コソコソ

提督「……何が原因なんだろ?覚えが本当にないんだよなぁ……何もなしにあんな態度とるような子達じゃないはずだし……朝潮もあんな風になるのかな?」

提督「……はぁ……何だかなぁ……」

朝潮「司令官?どこですか?」

提督「おっともういいの?」

朝潮「あっはい、あの……司令官?どうしてそんな隅に隠れてるんですか?」

提督「いやちょっとね……次に行こうか」

朝潮「?……はい」



提督「それで最後にここが執務室だ、まぁ報告や秘書艦の時以外はそんなに来ないかもしれないね」

朝潮「……あの司令官?」

提督「ん?どうした?」

朝潮「その……気のせいでしたら謝りますが、先程から艦娘の皆さんを避けていませんか?」

提督「……それは……」

長門「おい!」

提督「あっ長門」

長門「出撃の報告書だ勝手に読め」バサッ

朝潮「!?」

提督「おっと」ヒロイ

長門「ん?新入りか?私は戦艦長門だよろしくな」

朝潮「えっ?今」

提督「じゃあ俺はこれで」スタスタガチャパタン

長門「ふん!何を出歩いていたんだか」

朝潮「なっ長門さん!司令官に対してそんな態度は!」

長門「どうかしたのか?普通だろう?アイツには皆こんなものだぞ?」

朝潮「えっ?」

長門「それよりもまだ名前を聞いていないな」

朝潮「えっ……駆逐艦朝潮です」

長門「そうか、ではこれからよろしく頼むぞ朝潮、私は艤装の整備があるのでこれで失礼する」スタスタ

朝潮「……どうなってるの?」



提督「……はぁ……まだこんなにあるのか……こりゃ今日も日付変わるかな?」カリカリ

コンコン

提督「ん?誰だい?開いてるよ」

朝潮「失礼します司令官」ガチャ

提督「あぁ朝潮か、何か用かい?」

朝潮「はいお聞きしたい……」

提督「?」

朝潮「……司令官、これをお一人で?秘書艦の方は?」

提督「あーまぁ隠すような事じゃないか……どうせ分かる事だし」

朝潮「……先程の長門さんの態度と何か関係が?」

提督「……数日前くらいからね、急に皆に嫌われちゃってさ」

朝潮「え?」

提督「皆一斉に態度が変わっちゃって、誰も秘書艦をやりたがらなくてね、無理やりやらせるのは悪いだろ?」

朝潮「ですがこれだけの書類をお一人では」

提督「いや俺が悪いんだし……多分」

朝潮「多分?」

提督「覚えがなくってね、でも皆素直ないい子で……まぁ中には刺々しい子もいるけど、根はいい子なんだよ、理由もなしにそんな事をするような子達じゃないから」

朝潮「ですが、一斉にというのは少々変では?」

提督「まぁ俺も思ったけど、でも他に理由なんて思いつかないし、俺が無意識に何かしたんだと思うよ」

朝潮「司令官……」

提督「えっとそれで?何か用があって来たんじゃないのかな?」

朝潮「いえ……丁度今の事をお聞きしたくて来たんです、あの後何人かの艦娘の皆さんと話をしたんですが、皆さん司令官の名前を出すと急に不機嫌になって」

提督「よほど怒らせたんだろうね……本当に何をしたんだか俺は」

朝潮「……あのっ司令官」

提督「ん?」

朝潮「私を秘書艦にして頂けませんか?」

提督「え?でも」

朝潮「こんな量を毎日一人で片付けていたら、司令官が倒れてしまいます!初めてですがお手伝いくらいは出来ると思いますので」

提督「いいの?」

朝潮「はい!是非ともよろしくお願いします」

提督「……うん、ありがとう朝潮……じゃあこの書類を頼めるかな?分からない所は聞いてくれ」

朝潮「朝潮了解しました!」



  数日後

朝潮「司令官こっちは終わりました」

提督「うんありがと……そろそろ遠征から帰ってくるね」カリカリ

朝潮「出迎えに行ってきます」

提督「悪いね……俺がこんななばっかりに」ポン

朝潮「いえ大丈夫です、では行ってきますね」ガチャパタン

提督「……朝潮は特に態度が変わる気配はない……となるとやっぱり何かとんでもない事をしたのかな?」カリカリ

提督「……ダメだな……よくイジメる側はイジメになってるのに気付かないって言うけど、俺もそんな感じなのかな?普通にしてたつもりで何か……はぁ」カリカリパサッ

提督「あっ書類が」スッ

パリンドゴン

提督「えっ?」

朝潮「司令官!今の音は!えっ?」

提督「机に弾?」

朝潮「誰ですか!こんな所で!バッ」

天龍「あれ?朝潮?何でそこにいるんだ?」

朝潮「秘書艦だから当然です!それよりも何でそんな所で砲撃してるんですか!」

天龍「いやーちょっとした演習だよ演習、な?」

青葉「そうですよ演習ですよ演習、そしたらちょーっと天龍さんの狙いが外れちゃいまして」

天龍「そうそう、で?提督の奴は?当たっちまったかい?」

朝潮「!アナタ達は!」

提督「落ち着いて朝潮、俺なら無事だよ」

天龍「チッ、そりゃ良かった良かった、んじゃ俺達はもう少し向こうでやってるわ」スタスタ

青葉「とびきりの見出しになるかと思いましたが、仕方ないですね」スタスタ

朝潮「ちょっと!そもそも鎮守府内での演習の許可なんて!」

提督「いいって朝潮、俺は無事だったんだし」

朝潮「ですが司令官!」

提督「それに良かったよ、危うく天龍に上官殺しなんて不名誉な名が付く所だったし、そんな事になったら天龍が可哀想だよ」

朝潮「そんな……司令官!今アナタは」

提督「無事だったんだしいいんだよ朝潮、それに前に言っただろ?皆根はいい子なんだよ、今は分からないけど原因さえ分かればきっと皆元に戻ってくれるさ」

朝潮「……司令官……」

提督「さて、書類がダメになっちゃったね……机も……これはダメかな?仕方ない古い机出すよ、手伝ってもらえるかな?」

朝潮「……はい」

提督「じゃあちょっと片付けてから」

朝潮(……優しいですね司令官は、優しすぎます……こんな人が一体何をしたらあんな事に……やっぱり何か変です)



  更に数日後

朝潮「私が遠征の旗艦ですか?」

提督「うん、他にやってくれる子がいなくて、頼めないかな?」

朝潮「でも!私がいないと司令官が!」

提督「大丈夫だよ、明日からほんの二日間だし、書類なら何とかなるさ」

朝潮「そうじゃなくて!今司令官を一人にしたら!」

提督「大丈夫だよ朝潮、何度も言ってるだろ?皆根はいい子なんだ、そんな何度も危ない事は起きないよ」

朝潮「ですが!現にこの数日で何度も!」

提督「全部偶然だよ、皆本気でそこまでするつもりはないよ」

朝潮「……司令官は……司令官は優しすぎます、皆を無条件に信じすぎですよ!」

提督「俺が悪いんだよ……だから皆を信じないと」

朝潮「司令官!」

提督「大丈夫だから、そうだ帰ってきたら一緒にどっかいかないか?丁度休みが取れそうなんだよ」

朝潮「……本当に大丈夫なんですね?信じていいんですね?司令官……絶対に無事でいてくれますか?」

提督「ああ約束するよ朝潮」

朝潮「……朝潮了解しました、明日ヒトフタマルマルより遠征に出発します」

提督「ああよろしく頼むよ」

朝潮「……はい」

一旦離れます

なんか伸びてる……まぁこんな反応が多少あるかとは思ってましたが、普段は全く方向性の違うSS書いてます少なくともこの手のは初めて書いてます

えっと出掛けると言われ準備してかれこれ三時間待ちぼうけ……これだけあれば書ききれたのに……

何かまだかかりそうなので少し書きます



提督「それじゃあ気をつけて」

朝潮「司令官も気をつけて下さい、約束守ってくださいね?」

提督「ああ楽しみにしてるよ」

朝潮「……では出発します」

提督「行ってらっしゃい」

朝潮「さぁ行きましょう」

球磨「クマー」



朝潮「いい天気ですね」

球磨「絶好の遠征日和クマ」

朝潮「あの……」

球磨「何だクマー?」

朝潮「司令官の事で聞きたい事が」

球磨「……何も話す事はないクマ」

朝潮「前は皆さん司令官と仲が良かったんですよね?」

球磨「知らんクマそんなの覚えてないクマよ、あんな奴の話なんてするんじゃないクマ」

朝潮(……やっぱり球磨さんも……司令官と仲が良かった事を聞くと皆知らない覚えてないそんな事ないばかり……おかしいですやっぱり……)

球磨「それにしてもこんなに長い遠征は久しぶりクマ、のんびりするクマ」

朝潮「のんびりなんてしてられませんよ、さぁ急ぎましょう」

球磨「真面目クマー」

朝潮(さっさと終わらせて、司令官とお出かけ……どこに行きましょうか?)

球磨「クマークマー」

朝潮「……動物園とか近くに……」

球磨「クマ?」



 二日後

朝潮「今日の昼には鎮守府に着きますね」

球磨「そうクマーそろそろ鎮守府のご飯が恋しいクマ」

朝潮「司令官にも報告しないと」

球磨「クマーあんな奴……ん?何であんな奴クマ?」

朝潮「球磨さん?」

球磨「……あ……あれ?」

朝潮「どうしたんですか球磨さん!顔が!真っ青ですよ!」

球磨「あ……あぁ……提督……何で?何でクマ?何で球磨はあんな事を?」

朝潮「球磨さん!誰か!球磨さんが!」

艦娘達「「「「あっああっ」」」」

朝潮「皆同じ?……!もしかしてやっぱり何かの影響で?それが解けたから?」

球磨「あ……謝るクマ……提督に謝るクマ!」

朝潮「……鎮守府の皆さんもきっと元に……急ぎましょう」

朝潮(よかったこれで司令官の言ってた元の鎮守府に!……何だろう?何か胸騒ぎがする……何か取り返しがつかない事が……)

朝潮「……いえ……単なる気のせいですよね?司令官……」



朝潮「執務室に!急いで!」

球磨「提督……」

長門「待て!そこで止まれ!」

朝潮「長門さん?」

長門「……遠征から帰ったのか……そうか……」

朝潮「はい、ですから司令官に報告を」

長門「ダメだ……今はダメだ……」

朝潮「何でですか?ちょっと報告するだけですよ?」

長門「提督は……今はここにはいない……」

球磨「……何だクマ?この臭い……執務室からクマ」

朝潮「司令官?……司令官!」ダッ

長門「あっこらっ」

球磨「どくクマ!」ガシッ

長門「あっよせ!」

朝潮「司令官!」ガチャッ

朝潮「……えっ?」


私はその時の光景を忘れられません……忘れるなんて出来ません……あの部屋の光景を……

  閲覧注意

ここより軽いグロ表現が入ります

またそのために地の文が入ります

比較的軽めではありますがとりあえず苦手な方は飛ばすか気をつけながらお読み下さい



執務室の中には数名の艦娘が居ました、皆床に這いつくばって何かを必死に探していました

そう……執務室の床……青い絨毯が敷いてあったはずですが、机のあった辺りを中心にどす黒い色に染まっていました

壁も青い壁紙を貼り落ち着いた雰囲気にしていたはずですが、やはり一部が赤黒くなっていました

そして部屋の中心に何か赤黒いものが積み上げてありました

……提督も机も……本来そこにあるはずのモノが何もない執務室で、何かを探す皆……

朝潮「……何ですかこれ?」

思わず口に出していたのかは部屋にいた皆がこっちを振り返ります、そして私を見るなり目を背け、一人は床に頭をこすりつけて謝り続けていました

朝潮「……何なの?これ?司令官は?……」

私は目の前の光景にただただ呆然としていました

このタイミングで出かけるんかい!

一旦離れます。

やっと一人になれた……とりあえずID変わってるかもですが>>1です

続き書きます



球磨「……何だこれ?この臭い……まさかクマ?……冗談クマ?」

臭い……球磨さんは部屋の外でも気付いていましたが、ドアを開ければ嫌でも分かる、分かってしまうこの臭い……血の臭い。

朝潮「……司令官は?司令官はどこですか?」

私のその問いに部屋にいた皆は部屋の中央を指差しました……おかしいですね?だってそこには原型を留めていない何かの破片が積み上げてあるだけですよ?

朝潮「……司令官は?……司令官は……司令官……」

分からない……分かりたくない……頭では分かっていても心が否定する……その答えを分かりたくないと目を背けてしまう……どうして?

朝潮「どうして……ソレを指さすんですか?……ねえ?嘘ですよね?」

そうだ嘘だ……これは夢か何かだ……皆目を合わせて下さいよ……どうしてそんなにこっちを見ないんですか?そして……。

朝潮「どうして……そんなにいつまでも謝ってるんですか?明石さん?」

明石「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

金剛「……っ……明石」

明石「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

金剛「明石!」

明石「はひっ」

金剛「……朝潮にも……遠征から帰って来た皆にも説明してあげてクダサイ」

明石「はっはい」

朝潮「……」

嫌だ……聞きたくない……知らない訳にはいかないけれど、それでも聞きたくない……。

明石「提督は……」

嫌だ……嫌だ……嫌だ……。

明石「昨日亡くなりました」

嘘だ……嘘だ……そんなの……だって……。

明石「この部屋で……魚雷の爆発と思われるモノで……そしてご覧の状態です」

……私が帰って来るまで、無事でいるって……司令官……。



明石さんの説明をまとめるとこうだ、まず二週間程前にとある装置が完成したらしい、艦娘のデータを入力すると装置から出る電波で戦意の高揚などを促す事が出来るそうだ。

そして実験として鎮守府の全ての艦娘のデータを入力して起動した……ここまでは特に問題はなかったらしい。

だが実際に起きたのは、司令官への感情の変化だった……それも好意を正反対のモノへと変えてしまうものだった。

明石さんはすぐに異変に気付いたものの、時既に遅く司令官への嫌悪から装置を止める気も起きなかったらしい。

後は私も知ってる通りだ、私が建造され、秘書艦として過ごした。

そして昨日……私達が出発してから約一日……。

明石「突然執務室から爆音がして……覗いたらこうなってて……提督は……それでそのままにしてて、先程装置の効果が切れてそれで……それで……」

……司令官が……どうすればいいのだろうか?私はどうすればいいのか……。

昨日は寝落ちしてすみません、とりあえず続き書きます

多分最後まで行けるはず。



何をすればいいんだろう?司令官がいない今私は……どうして……どうして司令官が……誰が……誰を……誰のせいで……。

明石「ひっ」

不意に明石さんが怯えた様子で後ずさった……どうしたんだろう?私の右手を見てそんなに……右手?

朝潮「あっ……」

私の右手は主砲を構えていた、明石さんの頭に向けて……無意識に明石さんを……。

朝潮(……引き金を引けば明石さんは……司令官の仇が……仇?明石さんが?本当に?)

明石さんは確かにこの状況を作り上げた張本人だ……でも本当に彼女が仇何だろうか?

執務室に魚雷を仕掛けたのが直接的な犯人だ、ならその人が?それとも辛く当たった皆が?

朝潮「……」スッ

明石「あっ朝潮さん?」

朝潮「……司令官の仇……」

明石「え?」

金剛「朝潮?」

この状況を作り出した明石さんか……魚雷を仕掛けた直接の犯人か……感情を操作されたとはいえ司令官に辛く当たった全員か……。


いや……違う……仇は……司令官の仇が存在するならそれは……。




朝潮「……私だ……」チャキ



金剛「朝潮!何を!?」

私のせいだ……私が居たからいけないんだ。

最初は態度に示すだけだった……それが途中から段々エスカレートして司令官を傷つけようとしてきた、そして……。

それは何故か……私が司令官と仲良くしていたからだ、嫌いな相手と自分の友達が仲良くしてて気分がいい人はあまりいないだろう。

司令官に対して嫌悪していた所に私が建造されて、優しく接しているのを見て司令官に対して更に嫌悪を募らせたんだ……だから段々エスカレートしていったんだ……。

朝潮「私が居なければ司令官は……」グッ

球磨「よすクマ!」

朝潮「ゴメンナサイ司令官」



長門「止めろ!お前が死んで提督が喜ぶか!」

朝潮「……喜びませんよ……あの人は、でも……それでもこれくらいしか私に出来ることは……」

球磨「そんな事ないクマ!」

金剛「早まってはいけマセン!」

明石「朝潮さんお願いですから……アナタまでいなくならないで下さい……お願いですから」

朝潮「……っ……分かってます……こんな事しても司令官は帰って来ない、喜びもしない……それでもこのまま何もしないなんて……何の責任も取らないなんて!……そんなの……そんなの……ダメなんですよ……」ガクッ

長門「……コイツは預からせてもらうぞ」ヒョイ

球磨「とりあえず今日はもう部屋に行くクマ、それでもう寝るクマ、そうしたら少しは落ち着くはずクマよ」

朝潮「……はい、失礼します」フラフラ

金剛「朝潮……」

明石「朝潮さん……」

……私は……弱い……自分を罰する事も、司令官の後を追う事も出来ない……私は……ワタシハ……司令官……アイタイ。



朝潮「ん……朝?……そうだあのまま部屋に着いてすぐに寝たんだ……」ムクリ

朝潮「……執務室……行かないと……秘書艦なんだから」フラフラ



朝潮「……?開いてる?まだ誰か?」ギィ

金剛「……」

朝潮「金剛さん?」

金剛「朝潮デスカ?もう大丈夫デスカ?」

朝潮「……分かりません……でも、少なくとももう昨日みたいな事はしないと思います」

金剛「そうデスか、ならオッケーデース」

朝潮「……大分綺麗になりましたね……」

金剛「あのままにしてたら提督も浮かばれマセン」

朝潮「……そうですね、書類とかは?」

金剛「それもほとんど作り直しデスね」

朝潮「そうですか……」

金剛「朝潮……コレを」

朝潮「?日記……ですか?」

金剛「提督の物デス」

朝潮「司令官の日記?」

金剛「多分デスケド、コレを読む資格はもうあなたにしかないと思いマス」

朝潮「……私に……」

金剛「提督が何を思っていたのか、あなただけでも知ってあげてクダサイ」

朝潮「……はい」

金剛「では私はこれで失礼シマス」スタスタガチャパタン

朝潮「……司令官……」ペラッ



『今日から提督となったので日記を付けようと思う、まぁ誰に見せるでもないがどう書くか悩むな』

朝潮(いくつも書き直した跡がある、こういうの初めてだったのかな?)ペラッ

『難関海域を攻略したので今日は皆で焼き肉を食べた……赤城……』

朝潮(赤城さん?そう言えば沢山食べてましたね)ペラッ

『明石が何か変な物を造ったらしい、何をしたかったのか分からないが髪がアフロになった……似合わねえ……』

朝潮(明石さん……)ペラッ

『今日は皆でお花見をした……赤城……』

朝潮(また赤城さん……司令官の言ってた通りですね……皆仲良くしてて……ん?)ペラッ

『今日急に皆の態度が変わった、俺何かしたかな?』

朝潮(……)ペラッ

『明らかにおかしい……また明石が何かしたのだろうか?でも話を聞いてももらえないし確認すら出来ない……それともやっぱり俺が何かしたのかな?』

朝潮(司令官……ああは言ってたけど気付いてたんだ、でも私には一言も……)ペラッ

『……キツいな……こんな所に弱音を吐いても仕方ないが、やっぱりキツい……何か原因は……俺はどうしたらいいんだ?……明日久しぶりに建造してみるか、誰でもいいから新しい艦娘がきてほしい……』

朝潮「司令官……」ペラッ

『今日朝潮が来た、新しい艦娘だからか俺を嫌ってはいないみたいだ……良かった本当に……これでまだ頑張れる……きっと明石の発明が理由だろうし、そのうち皆元に戻るはずだ……それまで俺が我慢すればいい、朝潮に余計な心配や手間をかける必要はないだろう』

朝潮「……司令官のバカ……何で頼ってくれなかったんですか……そうしたらこんな結末には……」ペラッ



『朝潮のおかげで大分楽になった、仕事も早く終わるし精神的にも助かっている、本当に彼女が来てくれて良かった……彼女が来なかったら俺は……』

朝潮(……)ペラッ

『今日天龍に狙われた……朝潮の手前笑っては見せたが、これは俺に対する嫌悪が増しているのだろうか?だとしたら朝潮も?いやその様子はない、恐らく対象が限られているのだろう……もし朝潮に嫌われたら俺は……』

朝潮「司令官……どうして……」ペラッ

『俺に対する行為が段々エスカレートしていく……なんだか嫌な予感もする、このままだと朝潮にも及ぶかもしれない……だから俺は賭けに出る事にした……朝潮を守るために』

朝潮「私を……まさかそれで……」ペラッ

『今日朝潮を見送ったこれで少なくとも朝潮は無事だろう、後は俺が死ななければいい……朝潮が帰って来たら話をしよう……大切な話を……』

朝潮「……これが一昨日の日記……これで終わり……司令官……あなたを守るのが私の役目なんですよ……なのに……こんな……司令官……」ドサッ



朝潮「……?日記の最後の方、この辺りだけ角が折られて」ペラッ

『コレを読んでいる誰かへ、もし朝潮以外ならここで読むのを止めてほしい、もし朝潮なら君に伝えたい事がある』

朝潮「私に伝えたい事?」

『朝潮……君がコレを読んでいる時には俺はもうこの世にいないだろう、あんな風に振る舞っていたけど、本当の俺はここまで読んだ通りだ、もし俺を見限ってしまうならここで読むのを止めてくれ』

朝潮「見限るなんてあり得ませんよ司令官」

『読んでいるということは見限っていないんだねありがとう、俺は朝潮、君の事が好きだ、こんな形で伝えるのは間違っているのは分かっている、それでも俺にはこの気持ちをそのままにしておくのは、伝えないままなのは嫌なんだ』

朝潮「私の事が好き……司令官が……」

『俺は朝潮の事が好きだ、一人の女の子として好きなんだ、この気持ちに嘘も何も無い、例え普段の鎮守府で君と出会っていても、きっと君を好きになったから』

朝潮「司令官……私もですよ……私も司令官の事……」

『最後に君に渡したい物がある、俺の寝室の机の右下の引き出しは二重底になっている、そこに君へのプレゼントを入れてある、受け取ってくれると嬉しい』

朝潮「……右下の引き出し?」スタスタガチャ

朝潮「右下の引き出し……あっ本当に二重底に……これは……箱?中身は……司令官……」

『その指輪を受け取ってくれると嬉しい……死んだ人間からのプレゼントは重すぎるかもしれないけど、俺からの最初で最後のプレゼントになってしまうから……』

朝潮「司令官……司令官!……私……」

『朝潮……俺は死んでしまったけど、そんな俺が言える事じゃないかもしれないけど、どうか生きて下さい、最後まで生き抜いて下さい、それが俺の最後の望みです……それではさようなら』

朝潮「……司令官……了解しました……朝潮!この戦争の最後まで決して諦めず生き抜きます!……そして……全てが終わったらその時は……あなたに会いに逝かせて下さい……それが私の、最初で最後のワガママです司令官」ギュッ



朝潮「よし!そうと決まればまずは鎮守府をなんとかしないと……そう言えばやけに静かですね……司令官が死んだからでしょうか?」スタスタ

青葉「あっ朝潮さん、もう大丈夫なんですか?」

朝潮「はい、あのままだと司令官が悲しみますから、それで青葉さん、ちょっと聞きたいんですけど、他の艦娘の皆さんはどうしてますか?」

青葉「……艦娘は……今この鎮守府の艦娘は、朝潮さん達を含めて十数名です」

朝潮「えっ?」

青葉「装置の効果が切れた時にほとんどの艦娘が司令官の後を……」

朝潮「あっそれじゃあ明石さんのあれは、司令官の後を追わないで下さいって意味じゃなくて」

青葉「言葉通りです、朝潮さんまで皆のように後を追わないで下さいと、そういう意味ですね」

朝潮「そうだったんですか……」

青葉「ほとんどの艦娘は首を吊るか、自分から解体するか、昨日の朝潮さんのように……」

朝潮(さっきまで動転していて気付かなかったけど……それでこんなに……)

青葉「……本当は青葉達も後を追うつもりだったんです」

朝潮「え?なら何で?」

青葉「でもこのまま全員後を追ったら、帰ってきた朝潮さん達も間違いなく後を追ってしまいますから、せめてそれを止めないとって、それで青葉達は残ったんです、出来れば帰ってくる前に部屋も綺麗にしておきたかったんですけど」

朝潮「それで皆さん……今思えばやけに冷静だったのはそれでですか」

青葉「明石さんは昨日からずっと皆さんのお墓
を作ってます、解体した方は遺体はありませんけど……」

朝潮「……」

青葉「それでどうしますか?朝潮さん」

朝潮「え?」

青葉「現在この鎮守府に司令官はいらっしゃいません、よって秘書艦である朝潮さんに全権限があります、ご命令を」

朝潮「……皆さんに通達して下さい、これより司令官と艦娘の皆さんの葬儀を行います、それと今回の事を本営に報告しますから、新しい提督が来られるか、もしくは私達の異動があると思われます、そのための最低限の準備をするようにと」

青葉「……青葉了解しました!それでは失礼します!」スタスタガチャパタン

朝潮「……これで良かったですか?司令官?正直自身はありませんけど、私達は生きていきます、司令官の為にも、だから見守っていてください」ギュッ



新提督「ここが今日から俺の仕事場か……何か怖いことがあったと聞いてるけど」

朝潮「あっあなたが新しい提督の方ですか?」

新提督「あっどうも、今日からよろしくお願いします」

朝潮「はいっ、私は駆逐艦朝潮です、今日から戦争の終わりまでよろしくお願いします!」

新提督「はい」

朝潮「では他の艦娘の皆さんを紹介しますね、こちらです」

新提督「はい……あの、所でその首から下げてるのは?それ指輪ですよね?」

朝潮「これですか?これは私の宝物です、一番大切な人から貰った大切な物なんです」

新提督「そうなんですか」

朝潮「はい……そして約束なんです」

新提督「約束……ですか?」

朝潮「ええ、これ以上は話せませんけど」

新提督「ありゃ残念」

朝潮「あっ青葉さんこちら新しい提督です」

  艦

ここまでです

様々な批判もありましたが色々受け止めさせて頂きます

一応最初の構想段階では、執務室で提督の死を聞かされた朝潮がタイムリープ、あるいは予知夢のような形で遠征出発の朝に戻り、提督の死を阻止する、という話でしたが、それだと少々破綻してるような気がしたのでこういう形にしました

他にも最初は曙か球磨主人公で考えていたのですが、色々あって朝潮になったり、出番のなくなった榛名が柱の影からこちらを見つめてたりしてますが、まぁそれはそれで

ではこれで失礼します、質問などありましたらどうぞ

ども、色々指摘ありがとうございます

とりあえず書いた理由は普段とは違うタイプの話を書きたかったからです、普段はギャグやほのぼの系に分類されるスレなので、まぁどうやらこの手の話は向いてないと分かりましたからそっち方面だけ書いておいた方が良さそうですね

一応犯人はいの一番に溶鉱炉に飛び込みました、軽巡の誰かですがそこは出さないでおきます、朝潮は約束通りちゃんと戦争を生き残りました、その後で司令官に会いに逝きましたが

提督の最後は机に仕掛けてあった魚雷が爆発しての事です、直接撃ち込んだ訳じゃありませんので綺麗にと言うとあれですが、机のあった場所を中心に跡が広がってました

とりあえずこんな所でしょうか?他にもありましたらまた後で答えます、このスレはとりあえず明日の昼か夜にでもHTML依頼しておきますので、ではこれで

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月09日 (火) 04:50:31   ID: imDB8L0k

なんでや...なんでハッピーな終わりも作らんかったんや...俺だけか?腑に落ちていないのは

2 :  SS好きの774さん   2015年06月09日 (火) 17:43:16   ID: 40MlL2RZ

わざわざハッピーエンドを作る必要はないんじゃないか

3 :  SS好きの774さん   2015年06月12日 (金) 06:17:51   ID: DBAu8lJB

お、おう

4 :  SS好きの774さん   2015年06月12日 (金) 22:13:12   ID: 06KUvXfD

軽巡で魚雷を用いた爆殺とか下手人は一人しか思い浮かばないんだよなぁ

5 :  SS好きの774さん   2015年06月12日 (金) 23:12:54   ID: X8QcOgth

バッドエンド注意とか書いて欲しかったわ

6 :  SS好きの774さん   2015年06月19日 (金) 18:24:08   ID: XGeBLjCk

わざわざバッドエンドを作る必要はないんじゃないか

7 :  SS好きの774さん   2015年12月26日 (土) 21:16:57   ID: Yp1IN_7a

こう言う話もたまにはいいかなって思った
でもバッドエンドの注意書きは書いておいて欲しかった...

8 :  SS好きの774さん   2017年03月13日 (月) 22:47:45   ID: IGSOAemN

タイトルの時点で不安なんだからバッドエンド警戒しとけよ

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