朝潮「サンタさんは来てくれるでしょうか」 提督「ん?来ないよ?」 (61)

朝潮「あ、あのっ……ですが良い子にしていればサンタさんは来てくれると」

提督「確かに朝潮は良い子だ。そりゃもうとても良い子だ。でもな……それだけじゃサンタさんは来てくれないんだ」

朝潮「では何が足りないのでしょうか?」

提督「サンタさんはな……裕福な家庭にしかこないんだ」

朝潮「うちは裕福な家庭ではないのでしょうか?」

提督「そうだな。裕福な家庭はクリスマスイブにパンのミミは食べないな」

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提督「ところで急にサンタさんの話をするなんてどうしたんだ?」

朝潮「他で暮している妹達が学校で言っていました。良い子にしていればサンタさんが来てくれると」

提督「あの子達の家は裕福だから……うちはな?ちょっと違うんだ」

朝潮「…………」

提督「そんな顔するな。きっといつか朝潮にもサンタさんが来てくれるさ」

提督「プハァー!風呂上がりはやっぱビールと刺身に限る!……まぁ水と野草なんだが」

朝潮「…………」イソイソ

提督「ん?何してるんだ?」

朝潮「はい。もしかしたらサンタさんが来てくれるかもしれないので靴下とお手紙を用意していました」

提督「そんな事して……来なかった時に悲しくなるだけだぞ?」

朝潮「平気です。期待はしていませんから。ただ、みんなと同じようにしたくて……」

提督「はぁ……」

25日早朝

朝潮「司令官!大変です!!」

提督「んー……、どうした?」

朝潮「サンタさんがうちにも来てくれました!」

提督「おーそりゃすごい。こんな貧乏な家に何のようだったんだろうな」

朝潮「朝起きたら靴下の中におまんじゅうが!」ぴょんぴょん

提督「サンタさんからのプレゼントだ。大事に食べるんだぞ」

朝潮「はい!授業が終わってからみんなでいただきます!」

提督「そうか。まぁ朝潮がもらったんだから好きにしなさい」

朝潮「はい!ちなみに中身はこしあんでした!」


提督「中身?そう言えば手紙の中身見てなかったな」

手紙「はやく司令官の働き口が見つかりますように!」

提督「……」

登校

朝潮「荒潮達にはいつも貰ってばかりだからたまには恩返ししないと!ですね」

荒潮「おはよー♪」

朝潮「みなさんおはようございます!」

満潮「なによ朝潮、今日はやけに元気良いじゃない」

大潮「元気なら負けませんよー!!」

満潮「大潮うるさい」

朝潮「実は今朝」

大潮「あっ!今日はクリスマスだからですね!!大潮もアゲアゲです!」

満潮「クリスマスねぇ……」

荒潮「満潮はサンタさんから何かもらったのー?」

満潮「はぁ?サンタなんて……」

大潮「サンタさんに何を貰ったんですか!?」キラキラ

朝潮「私も興味あります!」キラキラ

満潮「サンタ……そうね、サンタさんにね……」

荒潮「フフフ」ニコニコ

満潮「別にそんな良いものじゃ無いわ。ゲーム機よゲーム機」

荒潮「あら、もしかしてアレかしら?前から欲しがってた……やっぱりサンタさんはなんでもお見通しなのねー♪」

満潮「うるさいわねぇ、そういうあんたはどうなのよ?」

荒潮「私はこれー♪」

大潮「あーっ!それってあの遊園地のチケットじゃ無いですか!いいなー!」

荒潮「ふふっ、ホテルの宿泊チケット付きなのよ♪大潮は何をもらったの?」

大潮「大潮は自転車です!」

満潮「なによ、自転車ならあんたまだ綺麗なのがあったでしょ?」

大潮「今回はタイヤの大きなのをお願いしたんです!流行に敏感なんですよ!」

満潮「あっそ。で?朝潮はなんだったの?」

朝潮「私は……」チラッ

饅頭「俺に気遣いは無用だ。気にすんな」

朝潮「すみません……あ、あの、私も……大潮と同じで」

大潮「ええー!もしかして大潮とお揃いですか!?」

朝潮「えっと……」

満潮「へー、良かったじゃない。朝潮は自転車持ってなかったもんね」

荒潮「じゃあまずは自転車に乗る練習からねぇ♪」

朝潮「あの……

満潮「仕方ないわね。練習付き合ってあげるわよ」

大潮「乗れるようになったらみんなで遠くにお出かけしましょう!」

満潮「朝潮なら乗れるまで早いんじゃない?来週くらいにはいけるかもね」

朝潮(ど、どうしよう……)

満潮「そう言えばなんでクリスマスって鶏肉を食べるのかしら?私あんまり好きじゃないんだけど」

大潮「そうですか?大潮は大好きですよ!かぶりついて食べます!!」

満潮「それが嫌だって言ってるのよ。ソースはいっぱいつくし」

荒潮「私は昨日レストランで食事したわよ?ちゃーんとナイフとフォークを使ってね♪」

満潮「いいわねー、ブルジョワは。朝潮はどうだったの?まさか私達を裏切ってブルジョワってたんじゃないでしょうねー」

朝潮「えっ……あ、うちも鶏肉でしたよ……」

大潮「わーい、朝潮ちゃんはこっちの仲間ですー」

朝潮「なか……ま……」

朝潮ちゃん!

満潮「ねぇ、今日放課後にみんなでうちに来なさいよ」

朝潮「今日ですか?」

満潮「せっかくゲーム機貰っても一緒にやる相手が居なくて暇なのよ」

大潮「うわー!良いんですかー!?」

荒潮「でもコントローラーはどうするの?」

満潮「ちゃんとあるわよ。ゲーム機とコントローラー4つ頼んどいたから」

荒潮「さすが満潮ちゃーん♪やさしいわねぇ♪」

朝潮「あ、あの、私は今日ちょっと……」

満潮「あら、なにか用事でもあった?」

朝潮「その、今日は留守番を頼まれていて」

満潮「そっか……じゃあ朝潮の家にゲーム機持ってこっか?」

大潮「あー、それ良いですねー!朝潮ちゃんの家って行ったことありませんから!」

荒潮「そう言えばそうねぇ」

満潮「決まりね。帰りにうちへ寄ってから朝潮の」

朝潮「待ってください!あ、あの、今日は司令官が家にいるので……」

満潮「え?留守番頼まれてたんじゃなかったの?」

大潮「司令官さんと一緒にお留守番ですか?」

荒潮「?」

朝潮「とにかく今日はダメなんです!すみません!」

満潮「あっ!朝潮!?……行っちゃった」

河川敷 橋の下

朝潮「はぁ……ただい」

取立「良い加減返してくれませんかねぇ」

朝潮「……?」

提督「その、返そうにもお金が……」

取立「あのねぇ、そんな事は知らないの。わかる?お金が無いから返せないが通ったらこっちは丸損な訳ですよ」

提督「…………」

取立「なにもね、130万いっぺんに返せなんて言ってないでしょ?毎月利息分だけ払ってくれてればね?」

提督「でもそんなに借りた覚えが無い……」

取立「そりゃ提督さんが利息分も払ってくれないからでしょ?こんな小屋に住んで電話も無い。毎回ここまで足運ぶこっちの身にもなってよ」

提督「……すみません」

取立「……で?払える見込みはあるの?」

提督「ね、年末に有馬記念が!」

取立「はぁ……提督さん、その競馬に使うお金が少しだとしてもうちに渡すって考えは無いの?馬鹿なの?」

提督「絶対勝てますから!自信があるんです!」

取立「毎回毎回同じこと言うよね?この前はなんだった?何とかってレースがあるとかさ」

提督「あの時はあれでしたけど……でも今回は!」

取立「だいたいそのお金はどこから出てきたの?またヤバい所から借りたりしてんじゃないの?」

提督「いや、これは生活保護をコツコツ貯めて……」

取立「そういうのはコツコツって言わないの。ったく、どうやってこんなクズが受給出来るのか知らないけどさ。税金納めてる方の身にもなってよ」

取立「とりあえず年内に30万。これだけ返せなかったら分かってるよね、約束」

提督「……」

取立「うちもね、こんなに優しく取り立てるのは提督さんとの約束があるからなんだからね?」

提督「…………」

取立「もし年内に借金が100万以下になってなかったら、おたくの艦娘ちゃん貰うから」

朝潮「!!」

取立「その約束まで反故にしたら……もうさ、自分の体売るしかないよね?親父の相手するのも良いし、文字通りバラして売るのも良いし」

提督「わかってます、約束は守りますから」

取立「なら安心だ。艦娘でも駆逐艦は高く売れるからさ。特に朝潮型って変な輩に人気あんのよ」

提督「あの……高く売れるなら少しこっちにも回し」

取立「じゃあまた来年。良いお年を♪」

朝潮「ただいま戻りました……」

提督「おう、おかえり」

朝潮「…………」

提督「どうした?元気ないな」

朝潮「いえ、その……今日は誰かお客さんが来ていたんでしょうか……?」

提督「客?」

朝潮「家の中からタバコの匂いがするので……」

提督「あー、ああ、そうだな。そう言えばさっき来てたな」

朝潮「お友達ですか?」

提督「まあそんな感じだな」

朝潮「そうですか……」

提督「さてと、じゃあ数えてみるか」ゴソゴソ

朝潮「?」

提督「よっと」

朝潮「!! どうしたんですかそんな大金!」

提督「コツコツ貯金してたんだよ。今月はパチンコも我慢したからな」

朝潮「おいくらくらいあるんでしょうか……」

提督「んー、30万くらいだな」

朝潮「30万!?」

提督「ハッハッハッ、びっくりしただろ」

朝潮「それをそのままお返ししてれば朝潮は売られずに……」ボソッ

提督「ん?何か言ったか?」

朝潮「いえ……」

朝潮「そのお金をどうするんですか?」

提督「馬だよ馬!これだけあれば万馬券なんていらない。10倍でも300万だからな!!」

朝潮「でも外れたら0になるんですよね……」

提督「やる前から外れる事考えてちゃダメだろ?朝潮達だって深海棲艦と戦う前から負ける事考えてたのか?」

朝潮「いえ……」

提督「10倍で300万か……まてよ、万馬券なら3000万……」

朝潮「……あ、あの、司令官。朝潮、自転車が欲しいんです」

提督「おう、当たったら買ってやるさ」

朝潮「そうじゃなくて今欲しいんです!」

提督「今って……そりゃ無理だ。うちにはそんな余裕ないからな」

朝潮「そう……ですか……」

朝潮「司令官、本当にそのお金を使っても良いのでしょうか……」

提督「むしろこの時のために色々我慢してきたわけだからな」

朝潮「そのお金が無くなったら私達はどうなるんでしょうか……」

提督「んー……まぁ何とかなるさ。って言うか当てるから大丈夫だよ」

朝潮「でも!賭け事に絶対なんて」

提督「朝潮、ちょっと静かにしてくれ。気が散るから」

朝潮「……はい。申し訳ありませんでした」


12月27日、提督は全財産を失った。

朝潮ちゃん!

朝潮「…………」トボトボ

大潮「あっ、朝潮ちゃーん!」

朝潮「どうも……」

大潮「なんだか元気がないけど大丈夫ですか?そうだ!自転車に乗る練習しましょう!アゲアゲで!」

朝潮「……ごめんなさい」

大潮「朝潮ちゃん?」

朝潮「ごめんなさい!私、私は……みんなに嘘を……」ぼろぼろ

大潮「わわわっ!大丈夫ですか!?とにかくうちに入ってください!」

満潮「……で?なんで私が呼ばれたのよ?来たけど」

大潮「姉妹艦の悩みを聞いてあげるのは当然です!荒潮ちゃんは旅行中でいませんでしたけど!」

満潮「はぁ……。朝潮、何があったか説明してちょうだい」

朝潮「実は……」


満潮「はあ!?なによそのクズ!!」

大潮「それはひどい話ですね……」

朝潮「すみません。大潮までこんなに元気なくなるような話をして……」

満潮「だいたいねぇ、朝潮も朝潮なのよ。なんでもっと早く相談しないのよ!」

朝潮「そうね……でも話したら少し楽になりました。ちょっと顔を洗ってきますね!」

満潮「信じらんない。そんなクズが世の中にいたなんて」

大潮「ギャンブルばかりにお金を使って家ではそんな生活をしていたなんて……そんなお金があるならお饅頭じゃなくちゃんとクリスマスプレゼントを買ってあげるべきなんです!」

満潮「私、何度か朝潮の司令官がレストランから出てくるの見た事あるわ。あの時ってパチンコでお金が増えたから1人だけ贅沢……え?」

大潮「?」

満潮「えっと……お饅頭は司令官じゃなくてサンタさんに貰ったんでしょ?」

大潮「何言ってるんですか?サンタさんなんていませんよ?プレゼントは夜にこっそり司令官が入れるものなんですから」ひそひそ

満潮「えっ……でもあんた信じてたんじゃ」

大潮「朝潮ちゃんが信じてるのに言えるわけないじゃないですか!」

満潮「大潮……あんた、意外と大人なのね」

朝潮「はぁ……顔を洗ったらスッキリしました」

大潮「朝潮ちゃん!うちの子になりませんか!?」

朝潮「な、何の話?」

満潮「このままじゃ訳わからない人に売られちゃうんでしょ?だったら逃げるしかないじゃない」

朝潮「でもそんな急に……」

満潮「な、なんならうちに来ても良いのよ!あのバカに絶対ok出させてやるから!」

朝潮「ありがとう……でも私は……」

ピンポーン

司令官「朝潮ちゃーん。提督さんがお迎えにきてるよー」

朝潮「じゃあ迎えが来たから……」

大潮「もう!なんでいるって言っちゃうんですか!」

司令官「え?なに?お父さん何かまずいことしちゃった?」

満潮「とにかく逃げるわよ!」

朝潮「そんな、もう十分だから」

満潮「私は十分じゃないのよ!!大潮も!」

大潮「ガッテン承知の助です!!」

朝潮「……っ!」

提督「朝潮、どうして逃げるんだ?満潮ちゃんと大潮ちゃんも」

満潮「チッ……我ながらあっさり追いつかれ過ぎでしょ」

大潮「ど、どうしましょう!?なんだか他にも人がいますよ!」

取立「さぁ、朝潮ちゃんを渡して貰いましょうか?提督さん」

提督「朝潮……この人が今日からお前の新しい司令官だ。わかったね?」

朝潮「……嫌」

提督「嫌じゃない。気持ちは分かる。俺も別れるのは寂しいんだから」

満潮「どの口が言うのよ……!」

提督「さあ観念して」

荒潮「あらぁー?何してるのかしらー?」

朝潮「荒潮?」

司令「おや、なんだか穏やかじゃないね」

満潮「このクズが借金の代わりに朝潮を売ろうとしてんのよ!」

提督「チッ……知られてたか」

荒潮「借金?それっていくらなのかしら?」

取立「130万ですが?」

荒潮「ふぅ~ん。……ねぇパパ、お友達が大変なんだけどー」

司令「分かってるよ。130万、私が肩代わりします。それで構いませんか?」

取立「まぁ……こっちとしては貰えるもん貰えれば構わないですが」

司令「では決まりですね」

取立「じゃあこれはその艦娘の権利書です。さあ帰るぞ」

提督「あ、あの!借金がチャラになったならまた貸していただけますよね!」


満潮「はぁー、さっすがブルジョワねー」

荒潮「うふふっ、じゃあ行きましょうか♪」

朝潮「行く?」

満潮「は?ちょっと、なんであんたが朝潮を連れてくのよ!」

荒潮「あら、お金を立て替えたのはうちなんだから当然でしょー?」

満潮「でも最初に助けたのは私たちなんだから!そうでしょ、大潮!……あれ?大潮は?」

河川敷

提督「やれやれ、朝潮は失ったが借金はチャラ、また金を借りる事ができたぞ」

提督「今度こそ勝って勝ってかちまくってやる!」

コンコン

提督「ん?誰だ?」

がちゃっ

大潮「こんにちわ!」

提督「大潮ちゃん?どうしたんだい?朝潮ならもういな」

バフッ

提督「もごっ!?な、なに?クッション!?なんで顔に?」

大潮「メリークリスマス♪すこし遅れましたけどサンタさんにからのプレゼントですよー」

提督「プレゼントって、クッションが?いたたっ、あれ?クッションごしにゴリゴリして、頭に何か硬いものが?」

大潮「アゲアゲで行きましょう♪それ、どーん♪」

ズドンッ!!


翌日、河川敷で住所不定無職の男性死体が発見された。

クリスマス中にやりたかった。依頼出してきます!

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