男 「俺は臆病者ものです」 (349)
すいません。初投稿です。
あんまりためてないのでゆっくりいきたいかなと。
初心者なので色々アドバイスください。よろしくお願いします。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1360340699
キーンコーンカーンコーン
男 「ハァ・・・今日もこれで授業終わりか・・・」
友 「よう、男」
男 「あ、友」
友 「今日もこの後道場いくだろ?」
男 「ああ、そのつもりだけど・・・」
友 「なんだよ、つれない顔してさ」
男 「え・・・いや、そんなことないけど・・・」
友 「まーたいつものビョーキか?」
男 「ビョーキって・・・」
友 「お前さー、せっかく有段者になれたんだからさ。もっと胸はって堂々としろよな」
男 「うん・・・でもやっぱりね・・・」
友 「まぁいいや。とにかく先に道場行ってるからお前も早くこいよ」
男 「わかった。今日は掃除当番だから終わり次第向かうよ」
友 「OK。師範にはそういっとくよ。んじゃな」
放課後 教室
男 「さてと、まずは机移動しないと」
女 「男君」
男 「あ、女さん」
女 「男君も今日当番だったんだ」
男 「うん、そうだよ。あれ?今日女さんも当番の日だっけ?」
女 「本当は明日なんだけど、ほら今日女友欠席してるじゃん。それで繰り上がって私になったんだ」
男 「あ、そうなんだ。そういえば今日は女友さんの当番だよね。ごめん、気が付かなかったよ」
女 「まぁ、二年生に進級してまだ日が浅いしシフトに慣れてないよねお互いにさ。とにかく今日はよろしくね男君(ニコッ)」
男 「う、うん。よろしくね女さん」
女 「さ、ちゃちゃっとやっちゃいますか!」
女 「ねぇ男君。男君は部活とかしてないの?」
男 「え?あ、あぁ学校の部活はしてないかな」
女 「そうなんだ。ということは外で何かやってるの?」
男 「うん。道場に通ってるんだ」
女 「え!?マジで?何々?何の道場通っているの?柔道?空手?もしかして剣道?」
男 「あ、いやー俺のやってるのはそのどれでもなくて・・・」
女 「じゃあ何かな?おしえておしえて!」
男 「えーと、ジャンルでいうなら柔術になるのかな」
女 「ジュウジュツ・・・?」
男 「うん、そう柔術。聞いたことないかな?」
女 「名前だけは聞いたことあるけどあんまりピンとこないかも」
男 「ははは、まぁそうだね。俺自身かなりマイナーだと思うし」
女 「ふーん、そうなんだ。ねぇそれって強いの?」
男 「え!?ど、どうなんだろ強いのかな・・・」
女 「例えば、今わたしがここで君に正拳突きを放ったら簡単に反せる感じぐらいは強いのかな?」
男 「ええ!?そ、そんなのわかんないよ。というか正拳突きって女さん・・・」
女 「うんそうだよ。わたしはフルコンタクト空手の経験者だよ。ていうかぶっちゃけ有段者」
男 「そ、そうなんだ・・・」
女 「そっちは?失礼な質問かもしれないけど段位とかあるの?」
男 「い、一応初段。なったばかりだけど」
女 「へー!いいじゃんいいじゃん!ね、試しに手合わせしてみようよ!」
男 「は?い、いや何で?」
女 「何でって、お互い武の道を行くものだし・・・ほら、互いの交流のためというか今後の発展のためというか」
男 「いやいや!道場でならともかくここ学校だしそれってただの私闘だよね女さん!?」
女 「イヤだなぁ、そんなおおげさなものじゃないよ。単なるちょっとした遊びじゃないい。何もド突き合いしようってわけじゃないんだからさ」
男 「で、でもやっぱりマズイよ・・・師範にも私闘は厳禁って言われているし・・・」
女 「ああもう!!じれったいなあ!男が何ウジウジ言ってるの!?こんなか弱い女の子がお願いしてるんだよ?少しぐらいいいじゃん!」
男 「自分で言っちゃう!?それにか弱い女の子はそんなお願いしないよ!・・・ハッ!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
女 「・・・ねえ男君」
男 「ハ、ハイ」
女 「今この教室にはわたしと男君二人きりだよね?」
男 「う、うん」
女 「そしてその両者は互いに武道家」
男 「・・・・・」
女 「放課後の教室に武道家が二人・・・・・・勝負だよね」
男 「格闘漫画の読みすぎだよ女さん・・・・」
ズズ・・
男 (右半身の構え・・・マジですか。マジなんですか女さん・・・)
女 「心配しないで男君。右の正拳突き一発だけだからさ。水月(みぞおち)狙うから見事にかわしてみてよ」
男 (構えと力の入れ具合だけでわかる・・・女さんは多分、いや確実に強い!!)
女 「あ、ちなみにわたしの正拳突きはコンクリートブロック二枚・・・てのは嘘だけど12ミリのコンパネ板二枚ぐらいは楽勝だからそのつもりでいてね♪」
男 「」
女 「じゃあいくよ!イチ,ニのサンで打つからね!」
女 「イチ!」
男 (女さん・・・君は知らない・・・)
女 「ニの!」
男 (確かに俺は武道家だけど・・・)
女 「サン!!!」
男 (その実、自他ともに認める最低な臆病者だと)
シュバッ!!
女 「・・・・・・」
男 「・・・・・・」
女 「・・・何で避けなかったの?」
男 「・・・・・・」
女 「さ、流石だね。寸止めってばれちゃったか」
男 「・・・・・・」
女 「あーあ、わたしもまだまだ修行がたりないなぁ。もし反されたら二の手があったんだけど初撃が空と見透かされたら打つ手ないよなぁ」
男 「グ・・・・」
女 「もしお父さんに知られたら絶対怒られるだろうなぁ。はぁ、帰ったらまた訓練しないと」
女 「とにかくありがとう男君!すごく勉強になったよ!・・・・て男君?」
男 「グエ・・・・」
女 「え」
男 「グゥエロオロロロロオオオロロオオォォォォォ・・・・・・・」
女 「ギャアアアァァァァァァ!!!!」
帰り道
女 「本っ当にごめんなさい!」
男 「い、いやもういいよ。大分よくなったし」
女 「寸止めのはずだったんだけどまさか当たっちゃうだなんてわたしのバカバカ筋肉バカ!」
男 「えぇ・・・女さんは十分華奢だと思うけど・・・じゃなくて、えとなんというか・・・」
女 「ふふ、ありがとう男君。まあ一応これでも今どきの女の子らしい体形を維持できるように頑張ってはいるけどね」
男 「そうなんだ」
女 「うんそうだよ。目指すは最強空手美少女JKだからね!」
男 「・・・・もう十分に美少女だと思うけど」(ボソッ)
女 「ん?何か言った?」
男 「何でもない」
女 「それにしても本当に修行がたりないなぁ。寸止めのつもりで打って当たっちゃうなんて馬鹿丸出しだよう・・・」
男 「・・・・・そのことなんだけどさ」
女 「え?」
男 「当たってなかったよ。女さんの正拳突き」
女 「そ、そうなの!?」
すいません。タイトル普通にミスってますね。
男 「俺は臆病者です」 が正解です。
これだから初心者は・・・
お恥ずかしいです><
男 「当てた感触なかったでしょ」
女 「う、うん。でもそれならどうして男君はゲ・・・吐いちゃったの?」
男 「・・・・・・俺が臆病者だからさ」
女 「?よくわかんないんだけど・・・」
男 「つまり俺が君の気迫にビビリまくちゃって緊張のあまり吐いちゃったってことだね」
女 「・・・マジで?」
男 「マジで」
女 「・・・・・・ねぇ、怒ったらごめんね。最初に謝っとく」
男 「・・・うん」
女 「君って弱いの?」
男 「・・・・・・恐らくは君より遥かに弱いと思う」
女 「そ、そっか」
男 「ごめんね。もしかして期待はずれだったかな?」
女 「え!!いやいやそんなことないよ!それよりも本当にごめんなさい!わたし何だか最低なことしたかもしれない」
男 「ハハハ。大丈夫だよ。それに女さんの武道にかける想いというのもわかったしね。僕も勉強になったよ」
女 「そっか。ならいいよね」
男 「え?」
女 「弱い男君に少しでも参考になれたのなら結果オーライだし。わたしも今ちゃんとあやまったし」
男 「・・・ハハハ」
女 「ねぇ男君。もっと強くなってよ!そしたらもう一回わたしと手合わせしようよ!」
男 「・・・多分俺には無理だよ」
女 「何で?男君も武道家だし仮にも有段者なんでしょ、だったらもっと強くなれるよね?」
男 「例えこの先段位が上がっとしても俺が君と対等になれることはまずないよ」
女 「どうしてそんなこと言えるの?」
男 「・・・俺が臆病者だから」
女 「何それ・・・ウザ・・・」
女 「ねぇ男君。男君は何で武道をしているの?」
男 「え・・・何でって」
女 「男君、わたしこう思うの。どんな武道でも自分自身をのり越えるために修行や鍛錬があるんじゃないかって」
男 「・・・うん。その通りだね」
女 「でも今の男君はハッキリ言ってそういう気迫が全く感じられない。本当に武道家なのかって疑ってしまうほどにね」
男 「・・・・・」
女 「ねぇ・・・何も感じないの?わたし今凄く生意気なこと言ってるんだよ?ほとんど初対面に近い相手なのにさ」
男 「う・・・」
女 「『ふざけんじゃねぇ!お前に何がわかる!』みたいなことぐらい言えないの?」
男 「あ・・・えと・・・ぅあ」
女 「・・・・・・もういいや。男君、君、武道に向いてないかもしれないよ」
男 「・・・・・・」
女 「ごめんね。色々言っちゃって。じゃあわたしこっちだから。さようなら」
男 「あ・・・・さ、さようなら」
一応今夜はここまでです。稚拙な文章ですがなんとか最後まで書きたいと思います。
ありがとうございました。
>>1です。皆さんレスありがとうございます。
今日の分投下しますね。少し短いかもしれません。
道場
友 「セイ!ハッ!」
男 「クッ!?」
友 「トオオリャッ!」
ズダン!!
男 「カハァッ!?」
女師範 「そこまで!」
男 「ハァハァハァ・・・」
友 「ハァハァ。どうしたんだ男、何かいつもより訓練に身が入ってないじゃないか」
男 「そ、そんなことないよ。友が強いだけさ」
友 「下手な嘘はよせ。とにかくもう一本しようぜ」
女師範 「待て友。男、どうだ久しぶりに私と一本とらないか」
男 「し、師範とですか」
女師範 「そうだ。たまには私も体を動かさないとなまってしまうからな」
男 「・・・わかりました。一本お願いします」
女師範 「よし。では友よ。審判を頼む」
友 「はい。それでは互いに礼!・・・始め!!」
男 「セイ!!」
女師範 「セヤァ!!」
友 (師範の乱取りなんて久しぶりにみるぜ。なんせ門下生は今では俺と男のたったの二人しかいないのに師範は滅多に俺たちと乱取りなんかしないもんな)
男 「・・・・・・」
女師範 「・・・・・・」
友 (しかし、道場中に静電気を張り巡らせているようなこの雰囲気・・・師範が相手ということもあるが男のやつ、さっきとは全然気合が違うじゃないか)
友 (いつも感じてはいたが男、お前は何で俺にはいつも本気で向かってこない?)
友 (・・・・・・いやよそう。今は二人の組み手に集中せねば)
男 「・・・!」
友 (男が動いた!)
男 「でやぁ!」
女師範 「!!」
友 (うまい!師範の左手をとった!左は師範の利き手だ!)
グル!パシッ!
友 (利き手を固め逆襟をとった!そのまま投げつけるのか!?だがこの技は!?)
男 「師範、このままいきます!」
女師範 「うむ」
男 「デヤァッ!」
女師範 「!!」
グワァルン!シュタ!
友 (な!?)
男 「え!?」
女師範 「男。頭からいく。受身は取れんが衝撃にそなえよ」
男 「うわぁ!」
ダァーン!!
友 (投げられる瞬間その力を利用して間接に逆らわずに回転を増して逆に極め反すとは・・・。しかもそのまま後頭部からモロかよ・・・。えげつねえ・・・)
女師範 「友」
友 「あ、はい!一本!それまで!」
男 「あ・・ああ・・・・」
友 「お、男!大丈夫か!?」
女師範 「脳震盪だろう。友、氷嚢を」
友 「はい!今すぐ!」
男 「うぅ・・・」
男 「ハッ」
友 「あ、師範!目が覚めました!」
女師範 「そうか。男、気分はどうだ」
男 「大丈夫です、少しズキズキしますが問題ありません」
女師範 「よし。まあそれぐらいで大事になるほど軟弱には育ててないからな」
男 (死ぬかと思ったんですけど・・・)
友 (相変わらず手厳しいな師範は。・・・でもそこが魅力の一つでもあるんだけどな)
女師範 「ではこの後男に話があるから、友、お前は先にあがれ」
友 「・・・・・はい、わかりました。じゃあな男、また明日な」
男 「うん、また明日」
友 「師範。次は自分も乱取りお願いしますね」
女師範 「うむ。またの機会にな」
友 「では失礼します」
とりあえずここまでです。確実に短いですね><
少しでかけてきますので帰ったらもう少しあげるかもしれません。
では失礼します。ありがとうございました。
昨日はスミマセンでした。
とりあえずあげます。何とか毎日一回は投下したいです。
男 「それで師範。話というのは」
女師範 「男。なぜ稽古中、友に本気を出して挑まない?」
男 「・・・いえ、そんなつもりはありません。自分はいつも必死です」
女師範 「嘘をつくな。今日の乱取り、友と行ったときと私のときとは気迫が全く違ってたぞ」
男 「い、いえ・・・あの・・・」
女師範 「私の目を欺けるとおもうか。師範であるこの私に」
男 「師範!自分は別に欺こうだなんて・・・!」
女師範 「では何か思うところがあるのだな。言ってみろ」
男 「・・・・・・」
女師範 「どうした?言えといっている」
男 「う・・・・。ほ、本当に何でもないです・・・」
女師範 「・・・今は言えぬということか」
男 「い・・・いえ・・・すみません」
女師範 「男、お前は私がみるところ素質はある。今日の乱取りのあの投げ技、反されはしたが踏み込みは見事だった。後すこしタイミングが早ければ私から一本とれていただろう」
男 「・・・ありがとうございます」
女師範 「だがお前はいつも何かに怯えている。私が見た感じ稽古中以外ほぼ全てにおいてだ。否違うな、例え稽古中でも何か雑念に囚われている時がある。今日の友との乱取りのようにな」
男 「すみません・・・」
女師範 「師範として問うぞ。一体何がお前をそう怯えさせる?」
男 「・・・怖いんです」
女師範 「怖い?何が怖いというのだ?」
男 「全てです。日常生活において全てです」
女師範 「・・・私や友も怖いというのか」
男 「いえ、師範や友も人としては怖くありません。ただ・・・自分は・・・」
男 「どうしようもなく最低な臆病者なんです」
女師範 「男・・・」
男 「すみません師範。今はそれしか言えません」
女師範 「お前に何があったのかは問うつもりはない。ただ一つ教えてくれ」
男 「はい」
女師範 「なぜそのようになっても今でも『武』を続けるのだ?」
男 「・・・わかりません。三年前に自分は友と一緒に師範の門下生となりました」
女師範 「そうだな。あのときはびっくりしたぞ。いきなり道場にやってきて弟子にしてくれだなんて頼まれたんだからな」
男 「友のあのときの土下座を今でも覚えてますよ。とにかくそのときついでに友に連れられた自分も一緒に門下生になりました」
男 「そのとき思ったんです。もしかしたら武道を始めたらこんな自分でも何か掴めるものがあるんじゃないかと。人間として成長できるんじゃないかと」
男 「・・・でもどうやら見当違いだったようです。自分はやはり何をやっても駄目な人間ということに気付きました」
女師範 「見当違いだと?男、たった三年で何がわかる。武をなめるのは許さんぞ」
男 「すみません。そういうことじゃなく・・・・やはり自分には無理ということです」
女師範 「・・・・・・わかった。なら男よ、お前は明日から一週間出入り禁止だ」
男 「・・・え」
女師範 「今の状態で稽古をしても大きな怪我をしかねん。お前自身や友、そしてこの私も含めてな」
男 「・・・はい」
女師範 「とにかく一週間よく考えろ。そして結論を出せ。もし考えた上でも武に意味がないと思うのなら、悪いがそのまま身を引いてもらう。意味はわかるな。そのときお前は破門となる」
男 「・・・わかりました」
女師範 「よし。ならばもうあがれ。気をつけて帰れよ」
男 「はい・・・失礼いたします」
女師範 「・・・・・男!」
男 「はい?」
女師範 「私はお前には期待してる・・・だからよく考えてくれ・・・頼む」
男 「はい、ありがとうございます。では」
女師範 (男・・・すまない。だがもしこのまま続けても確実に負の感情に飲み込まれてしまう。そのとき武はお前を守るかどうかはわからない。武は諸刃なんだよ男。私は男を失いたくない。・・・男、必ず戻ってきてくれ)
とりあえず今はここまでです。
ssって思った以上に難しいですね。
でも書いてたらやっぱ楽しいです。
ここまでありがとうございました。
今日の分投下します!
「お願いします・・・どうか、もう許してください・・・」
「・・・テメー、誰が口開いて良いって言った?」
「ヒッ!」
「なんていうかさぁ、お前ってハッキリ言って何も役にたたねぇクソじゃん?何で生きてんの?」
「すすす、すみません!すみません!」
「だから誰が口開いていいって言ったオラァ!」
「ガハッ!」
「・・・もういいや。お前ここから飛び降りろ」
「ゲホッゲホッ!・・・ハァハァ・・・・・・・え?」
「なんかお前痛ぶるのも正味飽きた。ちょっと面白いかもしれんから飛んでみろよ」
「ここ三階だよ・・・死んじゃうよ・・・」
「は?だったらなに?[ピーーー]よ」
「い、いい、いやです。死ぬのだけは・・・」
「案外大丈夫なんじゃね?よくテレビとかでやってんじゃん。危機一髪で命だけは助かったとかさ。まぁ俺はどっちでもかまわねぇけど」
「た、助けてお願いします!何でもしますから!」
「・・・だってさ。どうする?こいつの元『友達』?」
「え・・・・・あ・・・あの・・・その・・」
「はい審理終了。やっぱりお前はここから飛び降りるの刑な」
「そんな!それだけは絶対イヤだ!」
「・・・うるせえな。喚きやがって。先公どもがきたら面倒だろうが・・・。あーもうメンドクセェ。おい、お前ら」
「ヤレ」
「い、イヤだ!!やめて!お願い助けて!!」
「あ・・あぁ・・・」
「やめてええぇ!た、助けて!!助けてよう!!男君!!!」
「男君ーーーーーー!!!」
男 「うわああああああああああああ!!!!!」
男 「ハァ・・・・ハァ・・・・」
男 「ゆ、夢か・・・」
男 「う、ううぅ・・・」
男 「俺は・・・なんて最低な・・・」
男 「許して・・・どうか許して・・・」
キンコーンカーンコーン
担任 「では朝のホームルームを始める」
担任 「えー、あんまり言いにくいことだが報告するぞ。知ってるやつもいるだろうが一週間ほど前からこの近辺の高校の生徒が暴行をうける事件が多発している」
「えー、何それー」
「俺知ってるぞ、あそこの女子高の生徒だろ」
「他の学校もやられてるみたいだぜ。あそこの川沿いの工業高校なんか2,3人やられてるみたいだぜ」
「え、何それwwちょww普通に怖いんですけどww」
ザワザワザワザワ
男 (暴行事件?そんなの知らなかったぞ)
女 「・・・・・」
担任 「しーずーかーに。まだ犯人は見つかっていない。それと被害者はかなり手ひどくやられてるみたいだからとにかくお前らも気をつけろよ。なるべく集団で下校するように。それと警察もパトロールを強化しているからお前ら変なことするなよー」
昼休み
友 「おーい男、飯食おうぜ」
男 「あ、友。うん、じゃあ屋上いくか」
屋上
友 「んで、昨日の師範の話って何なんだったのよ?」
男 「あー、えーと・・・実は・・・俺、破門されるかも・・・」
友 「ブハァ!は・・・・・・・・はぁ!?な、なんで?」
男 「・・・多分俺は師範に愛想を付かされたんだ」
友 「いや、全く話がみえん・・・」
男 「友は知っているよな。俺のこのどうしようもない性格をさ」
友 「イヤというほど知ってるわ。お前のビビリ癖は」
男 「ですよね・・・。それで師範に言われたのさ。今のまま続けたら大きな怪我につながるからってね」
友 「お前、体は結構丈夫だからそんなのいけるだろ?」
男 「自分だけならまだしも、友や師範まで危険な目にあわせるかもしれないって言われたよ。まったくその通りだと思う」
友 「ちょっと待て。師範はそんなことでお前を破門なんかにするか?お前師範に何言ったんだよ?」
男 「・・・自分は最低の人間って言ったかな」
友 「はぁ・・・。そりゃ師範怒るわ。師範は自分にも他人にも厳しいからな。そのての自己嫌悪が一番嫌いなタイプだろうしな。んで、今はどうなってんの、まだ本当に破門って訳じゃないんだろ」
男 「うん、一週間の猶予をもらった。良く考えて結論を出せってさ」
友 「・・・何だよ。それじゃ休みもらったようなもんじゃん。破門だなんて大げさなこと言いやがって」
男 「ハハハ・・・。ごめんごめん」
友 「・・・おいまさか、お前このまま自分から身を引くつもりじゃねえだろうな」
男 「いや・・・」
友 「そんなの俺が承知しねえぞ。絶対にな」
男 「ごめん、本気まだどうするか決めてない。なにせ昨日いわれたことだし」
友 「・・・・・・」
男 「・・・そんな顔するなよ友」
友 「お前が俺には本気で乱取りしないのもそこらへんに理由があるのか?」
男 「・・・俺はいつも本気だよ」
友 「嘘だな」
男 「嘘じゃない」
友 「てめ・・・」
グイッ
男 「ちょ、ちょっと待って友!ご、ごめん!気を悪くさせたのなら謝るから!」
友 「チッ。・・・おい男、俺たちはダチだよな」
男 「うん、少なくとも俺はそう思っている」
友 「少なくともじゃねぇよ。俺だってお前のことは本当のダチだって思ってるんだぜ?だからお前とはいつもつるんでる。そんなダチのお前が何か大きな悩みをかかえてるなんてイヤでもわかる。でも無理に聞き出そうなんて思ってねえよ。だけどさ・・・もう少し、何と言うか、こう・・・頼って欲しいってのもお前のダチの気持ちなんだよ」
男 「ありがとう友。俺には十分すぎるダチだよ友は・・・」
友 「・・・・・・・うがああああ!!!」
男 「と、友?」
友 「ちっくしょう!あんま恥ずかしいこと言わせんなよなお前!ベッタベタな青春ドラマみたいなこと言わせやがって!俺はあんま好きじゃねえんだよこいうのは!」
男 「ハハハ、いつもなんか斜にかまえてるもんな友は。そのくせ本当は結構熱いやつなのに」
友 「はぁ?別にそんなことねえよ」
男 (昨日師範と友の話をしたことは黙っておこう)
男 「でもさ、俺が一週間いなくて友チャンスなんじゃないの?」
友 「ナナナナナニイッテンノオマエ」
男 「わかり易すぎだろ友・・・」
友 「えーいやかましい!とにかくだ!お前!絶対一週間後は戻ってこいよ!俺は待ってるからな!」
男 「・・・ありがとうな、友」
放課後
男 (あっという間に放課後だ。道場にはいけないし今日はまっすぐ帰ろうかな)
男 (ん?あれは・・・)
女友 「んーしょ、んーしょ・・・キャア!」
ドテッ!
女友 「イタタ・・・もうワックスかけすぎだよこの廊下!」
男 「女友」
女友 「あ、男君!」
男 「大丈夫?」
女友 「うん、大丈夫。恥ずかしいとこ見られちゃったね」
男 「いやいや、ここ結構みんな滑るしね」
女友 「何で廊下って一部こんな滑るのかなぁ。絶対誰かワックスかけすぎだよね!」
男 「ハハハ、気をつけないとね。それよりもその荷物。もしかして図書室に運ぶの?」
女友 「うん、私二年から図書委員会だからね。今日は新刊を図書室まで運ばなくっちゃいけないんだけど、辞書と図鑑のセットだから重くてね」
男 「・・・良かったら手伝うよ」
女友 「え!そんな悪いよぅ!これは私の仕事だし・・・」
男 「いや、普通ここは手伝うのが当たり前でしょ。そんな話聞いたらさ」
女友 「ご、ごめん。私そんなつもりじゃ・・・」
男 「あ、違う違う!俺の方こそごめん!えーと・・・ぜひ手伝わせてよ!今日俺暇だしさ!」
女友 「ほ、本当に?」
男 「うん、本当。ごめん、変な勘違いさせちゃって」
女友 「ううん、そ、それじゃお願いしようかな?」
男 「うん、よろこんで」
男 (よかった・・・。ビビリなんだから言葉を慎重に選べよ俺・・・)
今日はここまでです!
自分の中で結構楽しくなってきました!
ここまでありがとうございます!
投下いたします!
男 「・・・これで終わりかな?」
女友 「ホント助かったよ〜!まさか本を直すのも手伝ってくれるなんて思わなかったし、ありがとね男君!」
男 「どういたしまして。それよりさ、もう大丈夫なの?」
女友 「え?大丈夫って、何が?」
男 「いや、昨日休んでたから風邪でも引いたのかなって」
女友 「ああ、うん!もう大丈夫だよ、急に熱が出たんだけど一晩寝たら治っちゃった」
男 「そうなんだ、良かったね」
女友 「ありがとう」
男 「・・・・ねぇ女友。女友って女さんと仲良いよね」
女友 「うん、女ちゃんとはすっごく仲良いよ。よく一緒に遊んだりするし。女ちゃんがどうかしたの?」
男 「いや、えーと、あのさ、決して変な意味じゃないからね?女さんってどういう人なのかなって思ってさ」
女友 「へ?・・・ははーん。さては男君、女ちゃんに惚の字なのかなぁ?」
男 「絶対そういう反応すると思ってたけど、違うからね」
女友 「え?違うの?本当に?」
男 「うん」
女友 「女ちゃん、あんなに可愛いのに?」
男 「確かに可愛いと思うけど・・・」
女友 「やっぱ好きじゃん」
男 「違うって!そうじゃなくてさ!その、単純に女さんがどういう人なのか知りたくてさ」
女友 「うーんそうなんだ。残念」
男 「なんで残念・・・?」
女友 「まぁいいや、とにかく女ちゃんのこと知りたいんだよね?そうだねぇ、まずは女ちゃんは超可愛い!」
男 「超かどうかはわかんないけど、確かに可愛い・・・・いや、さっきやったよなこのくだり」
女友 「んーとそれじゃあ・・・女ちゃんはめっちゃ強い!」
男 「そうだね、女さんはかなり強いよね」
女友 「あれ?なんで知ってるの?」
男 「昨日・・・ちょっとね。それで女さんは空手をやっているんだよね」
女友 「うん、幼稚園のころから通っているんだって。確か女ちゃんのお父さんがかなりの実力者で、その影響があるみたい」
男 「幼稚園からフルコンタクト空手か・・・。通りで・・・」
女友 「女ちゃんとは中学からの友達だけど、口癖のように言ってたよ『あたしは将来自分の空手が最強ってことを証明してみせる!』ってさ」
男 「そ、そうなんだ。凄いね」
女友 「そうだよー。何回か稽古見せてもらったけど、大人の黒帯の人でも女ちゃん相手には全然敵わなかったよ。タアーッ!って一発で倒しちゃうんだ!あのときの女ちゃんはすっごいかっこよかったな〜!」
男 (一見すると普通の女子高生なのにホントに凄いな女さんは。俺なんかとは正反対だな)
男 (もっと知りたいな・・・女さんのこと)
男 「それで女さんは」
女 「それぐらいにしてくれない。人がいないときにあれこれ詮索するのは」
女友 「あ!女ちゃん!」
男 「あ・・・」
女 「もう!女友、今日は稽古休みだから一緒に新刊のマンガ買って帰るっていったじゃん!」
女友 「あ!そうだった!ごめーん、委員の仕事急いでたの忘れてたよ!」
女 「まぁいいけどね。図書委員なら仕方ないし。・・・まぁそんなことより」
ギロッ
男 「う・・・」
女 「なんで男君がここにいるの?なんか随分女友と親しげだったしさぁ」
男 「え、えと・・・それは・・・」
女友 「えっと、男君は図書委員の仕事を手伝ってくれたんだよ」
女 「はぁ?なんで?」
女友 「重たい荷物もって困ってたときに助けてくれたんだ」
女 「ふーん。本当に?」
男 「う、うん。一応本当です」
女 「そっか。まぁ別にどうでもいいけど」
女 「ところでさ」
女 「なんでヒソヒソあたしの話してたの」
女友 「え、えっとそれはね」
女 「あたしは男君に聞いてるの。女友はちょっと黙ってて」
女友 「は、はい」
女友 (うわー、女ちゃん機嫌悪そーだなー。これはちょっとまずいかも)
女 「ねえ、なんで黙ってんの?男君に聞いているんだよ」
男 「いや・・・それは・・・なんというか・・・」
女 「声が小さい!もっとはっきり喋ってよ!」
男 「は、はい!」
女 「・・・もう一回聞くよ?なんであたしのこと女友に聞いてたの?」
男 「女さんがかっこいいから・・・」
女 「はぁ?」
男 「女さんが強くてかっこいいから!」
女 「だからなに?」
男 「だ、だからどんな人なのか女さんと仲の良い女友に聞こうかと思って・・・」
女 「ハァ・・・。そんなことあたしに直接聞けばいいじゃん。聞かないまでもあたしとある程度会話したら、大体あたしがどういう人物なのかわかるんじゃないの?」
男 「おっしゃるとおりです・・・」
女 「今日さ。視線一回も合わせてくれなかったよね。あれ絶対ワザとだよね男君!?」
男 「はい・・・」
女 「あれは何でよ?」
男 「と、特に理由は・・・」
女 「嘘ばっか。あたしのこと女友に聞いといて白々しすぎるよ」
男 「うう・・・」
女 「あたしのことには興味あるのにそれを本人に聞く勇気はないんだね。そういうことだよね男君」
男 「多分そうだと思う」
女 「・・・あたしさぁ。昨日ちょっと言い過ぎたかなって思って謝ろうと思ってたんだけど、言い過ぎでもなかったみたい」
男 「・・・・・・」
女 「やっぱり男君は自分でいったとおり『臆病者』だよ」
男 「!」
女友 「お、女ちゃん!」
女 「やっぱ何も言い返さないんだ・・・。もういい、帰るよ女友」
女友 「え、あ、でも・・・」
女 「いいから、早く!」
女友 「うん・・・。男君、また明日ね」
男 「ああ、また明日」
男 (自分では何回も言ってるのに、人に言われるとやっぱり結構こたえるな・・・)
男 (俺は・・・一体何やってるんだろ・・・)
今夜は以上です。
ちょっと男君をいじめすぎな気もしますが
何とか立ち直ってほしいなぁ男君!!
ということでお休みなさいませ(・ω・)ノシ
帰り道
女友 「ねぇ、女ちゃん」
女 「わーかってる!言い過ぎって言いたいんでしょ」
女友 「男君がかわいそうだよ。本当に私は手伝ってもらっただけなのに・・・女ちゃんはどうして男君にあんなこと言ったの?」
女 「・・・なんかムカムカすんのよ。ああいうの見るの」
女友 「もしかして昨日私が休んでる間になんかあったの?女ちゃんって男君とそんなに面識なかったよね」
女 「昨日あんた本当は掃除当番だったでしょ?それで出席番号があんたの次の私にまわってきたの。そのときにちょっと色々話したわけ」
女友 「あ、そっか!そういやそうだった。そっか、私いつも男君と当番だったからそのときに一緒になったってことだね」
女 「うん、そう」
女友 「でもなんか変じゃない?なんていうか・・・男君も女ちゃんによそよそしかったし。女ちゃんも自分のこと勘ぐられたとはいえかなり不機嫌だったよね。それはなんで?」
女 「なんでって・・・男君が臆病だからかな」
女友 「ちょっと待って。それさっきも言ってたけどどういう意味なの?私は男君が特別に臆病だとは思わないけど」
女 「自分で言ってたの!俺は臆病者だって」
女友 「・・・え?」
女 「昨日ね、色々話してたら男君が武道やってることがわかってね」
女友 「男君が武道!?」
女 「な、なによ?いきなり大きな声出して」
女友 「え、ううん。なんでもないよ。それよりも男君が武道・・・それって女ちゃんと同じで空手なのかな?」
女 「いや、柔術って言ってた」
女友 「柔術ってなに?」
女 「あたしも柔道の原型ってぐらいしか知らない。色んな流派があるみたいだけど、本格的にやってる人なんて見たことなかったし」
女友 「そうなんだ」
女 「それであたしもどういう武道なのか知りたくて、ちょっと手合わせしようってお願いしたの」
女友 「えええ!?そ、それで男君をボコボコにやっつけちゃったの!?」
女 「んなわけあるか!どんな通り魔だあたしは!」
女友 「だ、だって〜女ちゃんのことだしつい襲いかかっちゃったのかなって思ってさ」
女 「そんなことしないよ・・・寸止めだったし」
女友 「・・・寸止めって」
女 「まぁとにかくそれでわかったの。男君はあんまり強くないって」
女友 「女ちゃん相手ならみんなそうなるよー!」
女 「・・・まぁそれはそうかもしれないけどさ。あたしはそこらへんのやつなら絶対負ける気がしないし、いつだって稽古は怠ってないし」
女友 「年々ハードになってるもんねトレーニング」
女 「あたしの話は今はおいといてさ。それで男君にもっと強くなってもらって、もう一度手合わせしようって言ってみたんだけど・・・」
女友 「断られたの?」
女 「うん・・・対外試合したら破門になるっていうならまだわかるけどその理由が、俺は臆病者だから、って言われてね。・・・ちょっとカチンとした」
女友 「は、はぁ」
女 「まだ知らない柔術の技を見てみたいってのはあたしのワガママだけどさ。でも男君が言った理由がそんなんじゃ全然納得できなくて。同じ武道家としてさ」
女友 「女ちゃんって本当ストイックだよね」
女 「そうかなぁ?自分ではいたって普通の女子高生なんだけどなぁ」
女友 「普通の女子高生は同級生の男の子に勝負挑んだりしないよ」
女 「むぐぐ・・・」
女友 「・・・でも男君がねぇ。まさかあの男君が武道なんかをねぇ。意外だなぁ」
女 「・・・ねぇ女友。ちょっと聞きたかったんだけどさ。なんで女友は男君とそんなに親しげなの?女友だけ呼び捨てだし」
女友 「そんなに親しげってわけじゃないけど。・・・えっとね、男君とは小学生のときに同じクラスだったんだ」
女 「え、そうなの?」
女友 「うん。6年生のときにね。別に友達っていうほどの仲でもなかったんだけど、顔見知りってやつかな。それで高2になって同じクラスになって再開したって感じかな」
女 「ふーん。でもまだ2年になってまだ2ヶ月だよ?それにしてはなんか仲良い感じだったよね」
女友 「そうかなぁ?あんまり意識してなかったけど。でも携帯のアドレス教えたしもしかしたら仲良いのかもね男君と」
女 「あ、そう。なんかそれこそ意外だよ」
女友 「もしかして男君にはそういう魅力があるのかもしれないね」
女 「何それ。どういう意味?」
女友 「人をよせつけるっていうか。なんかほっとけないっていうか。女ちゃんだってそうでしょ、男君のこと気にならない?」
女 「は、はぁ?なんでそうなるのよ」
女友 「だって女ちゃんは男君とは昨日話したばかりなのに、喧嘩しかけたり、謝ろうとしたり、またまたイライラしたり、それって気になるってことじゃないの?」
女 「うーん、確かにそうかもしれないけど・・・ってか喧嘩売ったわけじゃないからねあたしは!?」
女友 「どっちでもいいけど、とにかく男君は人気者の素質があると私はみた!」
女 「・・・・・・どうだか。あんなヘタレのどこにそんな素質があるのやら」
女友 「それは・・・」
女 「ねぇ女友。さっき本人に言った手前かっこ悪いのは承知で聞くけどさ、男君って昔からあんな性格なの?」
女友 「・・・・・・」
女 「女友?」
女友 「多分・・・違うと思う」
女 「多分?」
女友 「男君は多分・・・あのときから今みたいな感じになったと思う」
女 「あのときって?」
女友 「それは・・・・・・ごめん、これ以上は私の口から言えないよ。それに私のは単なる憶測でしかないし」
女 「なんかあったんだね。小学生のときに」
女友 「・・・・・・」
女 「はぁ、そっから先は本人に直接聞けってことか。あたしが男君に言ったみたいに」
女友 「ごめんね・・・」
女 「ううん、あたしの方こそ変なこと聞いちゃったね。よし!ここはいっちょあたしが肌を脱いでやるか!」
女友 「え?ど、どうするの女ちゃん!ま、まさかまたフルボッコにするつもりじゃ!?」
女 「ちっがーーーう!!なんなの!?あたしは女友のなかじゃ常にバーサク状態なわけ!?」
女友 「ああ違うんだ。よ、よかった」
女 「そうじゃなくてさ!なんていうか・・・男君と仲良くなってみるっていってんの!そしたら色々聞けるかもしれないじゃん!なんでそんな性格になったとかさ」
女友 「女ちゃん!」 パァッ!
女 「んで色々悩みを聞いてあのヘタレ根性を叩きなおすのよ!そしたら男君とまた手合わせができる!」
女友 「あ、あれ?やっぱりそっちなの?」
女 「ん?それ以外なにがあんの?」
女友 「ええぇ」
女 「なんてね。まぁあんなにウジウジしてるやつでも女友に優しくて仲良くしてるなら悪いやつじゃなさそうだし。それにやっぱ女友も気になるんでしょ、男君のこと」
女友 「お、女ちゃん!女ちゃんはやっぱりすごくカッコいいよぅ!」
ギュー!
女 「うわ!こんなとこで抱きつかないでよ女友!」
女友 「だってカッコいいんだもん女ちゃん!さっすが私のヒーロー!」
女 「・・・もう、女友は」 テレテレ
女友 「フフフ、女ちゃん可愛いねぇ」
シュバッ!
女 「はい!抱っこタイムおしまい!」
女友 「う、動きはやっ!」
女 「ウーン!なんか明日からやることができたから体動かしてきたくなっちゃったなぁ。よし!女友、あたしやっぱり家に帰って稽古してくる!」
女友 「え?マンガ買っていくんじゃないの?それに今日は稽古お休みじゃ」
女 「マンガはまた今度でいいや。それに稽古は一人でもできるからね」
女友 「そっか!じゃあここでバイバイだね。先生も言ってたけど最近ここらへん物騒だから気をつけてね女ちゃん!」
女 「それ、本気で言ってんの?」
女友 「違うよ!もし変な人に襲われてもやりすぎないでねって意味!」
女 「あ〜なるほど!うん!なるべく手加減するから大丈夫!」
女友 「あはは!何の心配してんだろ私たち。それじゃ女ちゃんまた明日ね!」
女 「バイバイ!女友!」
女友 (なんだかんだ言って本当に優しいな女ちゃんは。これで少しでも男君が元気になったらいいなぁ・・・・・・。ううん、大丈夫だよね女ちゃんならきっと。あ、そうだ!)
男 「・・・・・・あれ?メール?誰かな・・・女友?」
件名 今日のこと
今日は手伝ってくれてありがとうm(_ _)m
ちゃんとお礼言ってなかったからさ。
(^_^;)それといきなり帰っちゃてごめんね!
女ちゃん、ああなるとちょっと止められないからさ
あ!でも女ちゃんは本当はとっても良い子だから勘違いしないであげてね!
多分女ちゃんは男君のこと少なからず気になっていると思うの
だからあんな態度とった後でも男君のこと気にかけてたよ!
o(^o^)o明日二人で色々話してみたらいいと思うよ!
私にも何かできることあったらいってね!
(^−^)ノシ それじゃまた明日ね!
男 (そうだな・・・。明日今日のことちゃんと女さんと会って謝ろう。女友、本当にありがとう。こんな俺のこと気にかけてくれて・・・)
女友 「よし!メール送ったしこれでOKだね。フフフ、明日が楽しみ!」
女友 (あ、もうこんな時間。もうあたりも暗いし早く帰ろう)
?? 「女友」
女友 「え?」
?? 「やっぱ女友じゃん。久しぶりだな」
女友 「あ、あの。ど、どちら様ですか・・・?」
?? 「おいおい、俺のこと思い出せねえってか?ひでーなぁ・・・なぁお前ら、俺ってそんなに影薄いかぁ?」
DQN1 「ウワー、この女勇気あるー」
DQN2 「これあれっしょ。絶対ヤバイっしょ」
DQN3 「ニヒヒヒヒヒ!」
女友 「え・・・・一体なんなんですかこれ・・・・」
?? 「俺のこと本気でわかんねぇ?俺のこの顔見てもまだわかんねぇのかよ」
女友 「え・・・・・ああ!・・・・あ、ああ、あぁぁ・・・・」
?? 「その様子じゃあ思い出したようだな」
「そうだ。俺だよ」
「『外道』だよ」
大体今ぐらいが半分ぐらいです。
よろしかったら明日もお付き合いください。
ありがとうございました。
昨日鯖落ちしてたので今からあげます。
ここからリョナありますので苦手な方は注意してください!
夜 川沿い
友 「ハァ、ハァ・・・」
女師範 「どうした友。もうバテたのか。まだ十キロも走ってないぞ」
友 「ま、まだまだいけます・・・」
女師範 「その活きだ。ではもう少しペースをあげるぞ」
友 「ちょ!し、師範!?」
女師範 「モタモタしてたら置いていくぞ」
友 「ああもう!わかりましたよ!」
友 (なんで今日に限って稽古がランニングなんだよ!?・・・せっかくマンツーマンで相手してもらえるとおもったのになぁ・・・。いや、何考えてんだ俺。男が謹慎中だってのに)
女師範 「ハァ!ハァ!」
友 (ヤベ!師範本気でペースあげやがった!てかこんなの陸上部顔負けだぜ!これじゃマジで置いてかれちまう!)
友 (・・・・・ハッ!)
女師範 「ハァ!ハァ!ハァ!」 プルッ プルッ
友 (ここまで師範についていくのに必死で気付かなかったけど・・・し、師範の結構大きい、む、むむ胸が揺れて・・・・それにシャツが汗で濡れてブ、ブラが!!!!)
友 「ぐぐぐ!!」
女師範 「ん?どうかしたのか友?」
友 「ウオオオオォォォーーー!!!」
女師範 「!?」
友 「師範!俺は死んでもついていきますからね!!絶対置いてかせませんよ!!」
女師範 「あ、ああ!よしいいぞ友!ではさらにペースをあげる!」
友 「なんでもどんでもきやがれええぇぇ!!」
女師範 「フフフ、面白いやつだ・・・・・ん?ちょっと待て友!」
友 「えええ!?急に止まらないでくださいよ!おわ!?」
ズデン!
友 「痛てて・・・なんかあったんですか師範?」
女師範 「反対の岸の橋のふもとを見てみろ」
友 「え?どうかしたんですか?」
女師範 「大分暗くなってきたからかなり判りにくいが、車が止まっている」
友 「え?あ、ホントだ。あんなとこ車入れたんだな、知らなかった。てかそれがどうかしたんですか?」
女師範 「・・・何かおかしいと思わないか?」
友 「へ?なんか変ですかね?俺には特に異常があるようには思えないけど」
女師範 「こんな時間にあんなところに車だ。工事車両や川の清掃車ならまだそんなにおかしくはないが黒の、しかもあれは多分高級車だぞ」
友 「休憩でもしてるんじゃ」
女師範 「少し走ったらコンビニ等がいくらでもあるのにこんなところで休憩などするものか。それにあの場所、向こうの岸からは全く死角になっている。しかもカーブ地点の場所だから離れても確認しづらい。何かあるかも知れない」
友 「・・・何かとは?」
女師範 「わからん。だから確認してくる」
友 「えぇ!?や、やめましょうよ!カップルがイチャついてるだけかもしれないじゃないですか!」
女師範 「・・・それならそれでけしからんと言ってくる」
友 「ええええ・・・・」
女師範 「仮にカップルだったとしてだ。イチャつくのなら互いの家でもホテルでも行けば良い。こんなとこでそんな行為するのはトラブルの元になる」
友 「そうかも知れないですけど」
女師範 「それに最近このあたりは物騒だからな。注意しすぎるに越したことあるまい」
友 「師範が言う『注意』ってなんか普通の意味じゃないような気がしますね・・・」
女師範 「そんなたいした者じゃないさ私は」
友 「いえ、師範は凄いですよ誰から見ても。でもこの場合警察に言ってお巡りさんに見てもらった方がいいんじゃないですか?」
女師範 「そうか・・・・・・それもそうかも知れないな。そうだな、お前のやり方が一番妥当か・・・。すまないな、『昔』の癖がまだなおってないようだ」
友 「い、いえ!俺の方こそすいません。なんか偉そうでしたね俺」
女師範 「そんなことはない。お前は私が思ってる以上に大人なのかもしれないな」
友 「え」 ドキッ
女師範 「それではとりあえず110番・・・・・・いや・・・・ちょっと待て・・・・」
友 「師範?」
女師範 「シッ!・・・あれは・・・・・・・・・・・・・ハッ!行くぞ!!友!!!」
友 「え!?し、師範!!」
女師範 「車の陰で気付かなかった!迂闊だった!!」
友 「い、一体何が」
女師範 「女の子が囲まれている!!!」
友 「!!!」
女友 「・・・お・・・・お願い・・・し・・ます。も・・・もう・・・や・・めて」
DQN1 「へへへ、いーや今からが本番だからね女友ちゃん?」
DQN2 「今日から大人の女性だよ、良かったねぇー」
DQN3 「外道さん、そろそろキメてもイイッすかね?オレもう我慢できないっすよ」
外道 「そうだな・・・。おい、女友。おまえ死にたい?」
女友 「ヒッ!イ、イヤ!し・・・死ぬのはイヤ!」
外道 「じゃあ股広げろ。自分から誘え。発情期の豚みたいにな」
女友 「イ、イヤアアアァァァ!!お、お願い!それだけは許してぇ!!お願いします!!」
外道 「あ、そう。じゃあ[ピーーー]や」
ゴスッ!!
女友 「オ・・・・オエェ・・・!」
ビシャッ!
DQN1 「うわ!汚ねぇ!こいつ胃液吐きやがった!」
DQN2 「フヒヒwwwwさっき散々ゲロッたけど結構色々出るんだんな人間の体ってwwwwww」
DQN3 「えええー!まだヤレないんすか!外道さんひどいっすよ!」
外道 「やりたかったらこいつからお願いするようにしてみろよ」
DQN3 「へーい。ったくよう・・・オラァ!!さっさと股開きやがれこのアマ!!」
ガスッ!
女友 「ガ!・・・カハッ・・・・」
DQN1 「おいおい、顔はやめとけよ。後での楽しみが減るだろが」
DQN2 「・・・・・・ねぇ女友ちゃん。オレたちにやられるのとさぁ、それともー、手と足の爪全部剥ぐのとどっちがいい?」
DQN3 「おおお!?そりゃいいな!さっさとやっちまおうぜ!三枚目ぐらいで音を上げるだろうぜ!」
DQN1 「お前やることしか考えてないのな」
DQN3 「当たり前だろうが!!オレはいつだってビンビンだっての!」
DQN 「「「ギャハハハハハハ!!!」」」
女友 「ウウウ・・・・・・」
すみません。外道のピーは「死ね」です。sagaするの忘れていました。
女友 (もうダメなのかな私・・・・女ちゃん・・・男君・・・・・・誰か・・・助けて)
DQN3 「じゃあまずは右手から」
ダダダダッ!!
女師範 「!!!?」
友 「な!?」
DQN3 「あああ!?なんだてめえら!!」
女友 「あ・・ああ・・・た・・・たす・・・・けて・・・」
友 「君は!!隣のクラスの女友さん!?」
女師範 「・・・・スゥ」
女師範 「貴様ら誰一人動くな!!!!!!」
DQN 「「「!!!!」」」
DQN1 「な、なんだこの女・・・」
DQN2 「外道さん!どうします!?」
外道 「チッ・・・」
DQN3 「オイ!てめえらもやっちまうぞコラァ!!」
外道 「待て!!・・・お前らズラかるぞ」
DQN3 「ええ!?でも外道さんオレまだ!?」
外道 「行くぞ?いいな?」
友 ゾクッ!
友 (な、なんだあいつの目・・・あれが人間の目なのかよ・・・)
女師範 「貴様ら逃げれると思っているのか!!」
友 「師範!?」
外道 「お前ら車に乗れ!!」
DQN 「「「は、はい!!」」」
女師範 「逃がすか!」
外道 「ケッ!」
ブン!
女友 「あ・・・」
友 「何!?」
友 (野郎!鉄パイプを俺たちじゃなく女友さんに投げやがった!?)
女師範 「ク!?」
バシィ!!
友 「し、師範!!」
外道 「庇った上に受け止めただと?へー、おもしれえ。おい、行くぞ車を出せ」
DQN1 「OKっす」
ブロロロロロロ!!
女師範 「クソ!!」
女師範 「君!大丈夫か!?」
女友 「ウゥゥゥゥ・・・・」
友 「ひ、ひでぇ。傷が・・・ここまでやるかよ普通・・・・・」
女師範 「何をしている友!私は救急車を呼ぶ!お前は警察を呼べ!!今すぐだ!!」
友 「は、はい!!」
友 (ちくしょう!!一体何がどうなってんだよ!!)
今日はここまでです。
こっからリョナや軽い性描写が出てきます。
苦手なひとはすいません。。。
自分初心者なので前回もあったsaga忘れなど、変なところありましたら
ご指摘お願いします。
それとまだ途中ですが感想やキャラ質問とかもあったら是非レスください。
よろしくお願いしますm(_ _)m
>>67 早速レスありがとうございます。
外道は・・・・・・・自分も書いてて一番ムカつくやつです、やっぱり。
彼は・・・・今はまだ詳しく書けませんが、このSSはムナクソ誰得だけは避けようと思っております。
支援ありがとうございます。
それではまた明日、お休みなさいませ(^^)ノシ
病院
友 「・・・・・・・・あ、師範」
女師範 「・・・今事情聴取を終えてきた。やつらの車のナンバープレートは偽装だそうだ。車の特徴は伝えたから直に捕まるとは思うが・・・」
友 「そうですか。そうだといいですね」
女師範 「それで・・・そちらの具合はどうなんだ」
友 「つい十分程前に女友さんのご両親が到着しました。今医者の先生と話をしてます。女友さんの担任と俺たちの学年の生活指導の先生ももうすぐ到着するみたいです」
女師範 「女友さんの容態はどうなんだ」
友 「命に別状はありません。・・・・・・だけど全身至る所に傷や打撲、先生の話だと内臓も少し痛めたみたいです・・・」
女師範 「そうか・・・しかし、アレは・・・大丈夫なのか?」
友 「アレ・・・・?ああ、はい。多分・・・大丈夫でしょう。ギリギリ間に合ったってところですかね」
女師範 「そうだな・・・・。友、気にするなよ」
友 「・・・急に何ですか?」
女師範 「お前のことだ。『俺が四の五の言わず、すぐに駆けつけていれば女友さんのこともっと早く助けられたんじゃないか』と考えているのではとな」
友 「それは・・・・・・」
女師範 「いいか友、よく聞け。私達は最後の最後で女友さんを助けることができたんだ。女としての威厳を守れたんだ。だからお前が恥じることは何もない。胸を張って己を誇れ、友」
友 「・・・・・・・・は・・・・はい、ありがとうございます・・・」
女師範 「そうだそれでいい。では私は女友さんのご両親に状況を説明してくる。お前はもう帰れ。後から来る先生方にも私が説明しておく」
友 「いえ。俺も待ちますよ。どうせ先生には明日色々聞かれるだろうし」
女師範 「そうか。なら少し待っててくれ、行ってくる」
友 「はい」
友 (師範はこんな状況でも毅然としている。それに比べて俺は・・・。あんな人の血が出てるのはじめてみた・・・。女友さんのあの顔・・・・クソ!何ビビッテんだ俺は!)
友 (こんなとこでブルってたまるか!
俺もなるんだ!師範みたいに!師範に並べて立てるような男に!!)
男 「ふぅー」
男 (しかし・・・女さんに会ったらまず何を言えばいい?おはようか?こんにちは、今日も良い天気ですね、か?・・・・・・あほか俺は・・・そんなんだから俺は・・・)
男 (ああもう!明日は至極真っ当にどストレートに謝ろう!もうそれしかないだろ!)
プルルルルルルル
男 「ん?電話?・・・・・・友からか、何だこんな時間に」
男 「はい、もしもし。男だけど」
友 『よう、悪いな。こんな時間に』
男 「ううん、大丈夫。それより何かあったのか?」
友 『いやな・・・・・・あんまり言いたくないけど、どうせ明日嫌でも知るからお前には早く伝えておこうと思ってな』
男 「ん?ああ、それで?」
友 『今日師範と河川敷をランニングしてたんだけどよ、そのときに例の現場に出くわしてな』
男 「例の現場?」
友 『あれだよ、今ここらへん騒がしてる連続暴行事件だ』
男 「なんだって!?」
友 『奴ら四人で女の子をリンチしてやがった。当然俺と師範はすぐ駆けつけてやめさせたがそいつらは車に乗って逃げちまってな』
男 「友や師範は無事なのか?」
友 『俺達は全然大丈夫だ。むしろ一発も殴り合いはしてないからな』
男 「そうなんだ・・・それは良かった」
友 『ああ・・・。だけど女の子がかなり酷い目にあって今病院で治療をしている。俺達はそれに付き添ってるんだけどよ・・・』
男 「そうなんだ。女の子は気の毒だな・・・」
友 『それがよ・・・その女の子なんだけどさ。お前のクラスの女友さんなんだ』
男 「・・・・・と・・・も・・・・・いま・・・・な・・んて・・・」
友 『女友さんだよ。知ってるだろ?お前のクラスの。ほら、図書委員のさ』
男 「あ・・・ああ・・うああ・・・」
友 『ん?男?』
男 「う・・・嘘だ・・・!友!!嘘なんだよな!!女友が襲われたってのは!」
友 『おい落ち着け!・・・いいかよく聞け。被害者は確かに女友さんだ』
男 「そんな・・・・・一体どうして・・・・」
友 『悲しいが現実だ・・・。間違いなく女友さんは暴漢達に襲われた』
男 「なんで・・・・なんで女友が・・・」
友 『幸いにも最後の一線だけは守れたみたいだけどな』
男 「え・・・・!?」
友 『奴らが女友さんを犯そうとしてた、まさにその時に俺達が間に合ったんだ』
男 「!!あ、ありがとう!ありがとう友!」
友 『いや・・・。それはいいんだが、お前、結構女友さんと仲良かったのか?』
男 「あ、ああ。特別仲が良かったって訳じゃないけど小学校のころの同級生だったんだ」
友 『そうか・・・。それは何と言うか・・・余計辛いな。すまん、やっぱり今言うべきじゃなかった』
男 「そんなことない。ありがとう友、明日俺も学校終わったら病院行くよ」
友 『ああ、そんときゃ俺も付き合うわ。ちょっと女友さんに聞きたいことこあるしな。話ができる状態ならばいいんだが』
男 (・・・・・・それよりもこのことを先に女さんに言うべきだろうか。女さんは女友さんの親友でもあるんだろうし。でも俺は彼女の連絡先を知らない。どうするべきか)
友 『・・・なぁ男』
男 「ん?」
友 『おまえ・・・外道ってやつ知ってるか』
男 「え」
友 『彼女を助けた後に、俺が彼女の付き添いで救急車に同伴したんだけどよ。その時に気を失っていた彼女が一瞬喋ったんだよ。外道君・・・・・・やめて、ってな。その後またすぐ意識を失ったんだけど・・・お前何か知ってるか?』
男 「ど、どうして俺が何か知ってると思うんだよ」
友 『これは俺の単なる推測だが、彼女を襲った奴らにもしかしたら彼女が知ってる奴がいるかもしれないと思ってな。まぁお前が知るはずもないか』
男 「女友の・・・傷の具合は?」
友 『命に別状はないが・・・やられ方が酷すぎる。俺が見た感じ痛ぶるのが目的みたいだがどの傷もまるで遠慮が見られない。言い方は悪いが、まるで死ななきゃいい、みたいな感じでな。・・・・・・特に腹のあざが酷かった。何の罪もない女の子にこんなことするのは、はっきり言って人間じゃないぜ』
男 「わかった・・・。ごめん、もう寝る。電話、ありがとう友」
友 『あ、ああ。お前も気をつけろよ。それじゃまた明日学校でな』
プツッ ツー ツー ツー
男 「・・・・・・・・・・ハァハァハァ!!オ、オエエエェェェ・・・ゲホッゲホッゲホッ!!」
男 (一連の暴力事件、遠慮のない無慈悲な攻撃性、女友さんへの暴行・・・間違いない、彼が帰ってきたんだこの町に!)
男 「イ、イヤダアアアァァァ!!」
男 「怖い!こ、怖いいいい!」 ガタガタガタガタガタガタガタ
男 (でもどうする!?もし本当に『彼』の仕業なら早く女さんに伝えないと!大変なことになりかねない!!)
男 (警察に事情を話して連絡先を聞くしかない!)
『・・・だってさ。どうする?こいつの元『友達』?』
男 「う!?」
『い、イヤだ!!やめて!お願い助けて!!』
男 「ううう・・・・!」
『やめてええぇ!た、助けて!!助けてよう!!男君!!!』
男 「うわあああああああああああ!!」
男 「無理だあぁ!!俺には何もできない!」
男 「何もできはしない!!」
男 「おれには・・・・・・ムリなんだよぉ・・・・・・・・・・」
翌日 学校
女 「おはよう男君!」
男 「!?」
女 「なんでそんなビックリしてんの!?何?あたしのことそんなに怖い?」
男 「ううう・・・」
女 「そりゃそうかぁ。昨日、いーや、昨日『も』か。あんなにあたしに酷いこと言われちゃったから超ビビッテんのかな」
男 「そ、そんなことないよ・・・・」
女 「そうかなぁ?ね、男君、昨日女友と話してたんだけどさ。今日からあたしと女友で君のビビリ性格を治しましょう計画はじめるからよろしく!」
男 「え・・・」
女 「君のその臆病癖を治して次こそはあたしと本気で立ち会ってもらうという、おおいなる計画よ!ね、凄いっしょ!」
男 「え、え、ああ、うん。す、凄いね」
女 「それにしても女友知らない?」
男 「!」
女 「いつも登校一緒にするのに、あの子いつまで経っても来ないんだ。携帯にも出ないし。また熱でも出たのかな?」
男 「わ、わからない」
女 「もしかしたら先に行ってるとか・・・・・・あたし先に教室行ってみるね!男君ももうすぐチャイムがなるから急いだほうがいいよ!」
男 「う、うん・・・」
女 「それじゃまた後でね!」
男 「・・・・・・」
男 「誰か・・・・・・俺を・・・・殺してくれ・・・・」
今日はこの程度で。
明日も書きまーす!
いつも少ない投稿ですけど何か感想あれば教えてください
m(_ _)m
投下しますね。
教室
担任 「—————というわけだ。大変遺憾なことだが、どうかお前らはあまり動揺しないで欲しい」
「マジかよ・・・」
「何で女友ちゃんが・・・・」
「どうしよ・・・外歩くの怖いよ・・・」
ザワザワザワザワ
男 「・・・・・・」
女 「・・・・・・なんで・・・どうして・・・」
担任 「犯人はまだ見つかってない。お前らもくれぐれも気をつけろ。外に出るときはなるべく多人数、そして暗い道はくれぐれも避けろよ。とにかく今から俺は緊急の全校集会の会議にいってくるからお前らはそれまで待機だ。以上」
女 「うう・・・・どうして・・・・・どうしてよ・・・・。女友ぉ・・・・!」
男 「・・・・・・」
「そういや昨日やけにパトカーがうるさかったよな」
「女友さん、大丈夫かな?」
「いつからこんなに物騒になったんだよこの辺」
「マジでヤバくない!?超怖いんですけど!?」
ガヤガヤガヤガヤザワザワザワザワ
友 「男」
男 「と、友・・・どうしたんだよ。お前のクラスは隣だろ・・・」
友 「おいおい、つれねぇな。そんなこといいじゃねぇか。この騒ぎなんだし」
男 「・・・・・・」
友 「そんなことより、お前今日は行くだろ?」
男 「な、何が・・・」
友 「何がってこと無いだろうが?見舞いだよ、女友さんの見舞い」
男 「俺は・・・行かない・・・」
友 「はぁ!?」
男 「俺は・・・行けないんだ・・・」
友 「何言ってやがる!昨日の夜言ってただろうが、一緒に見舞いにいくって!女友さんはお前の幼馴染なんじゃねぇの!?」
男 「でも・・・・俺は・・・」
女 「それってどういうこと」
友 「え?」
男 「!?」
女 「ねぇ、それってどういうことなの?」
友 「君は・・・確か女さんだっけ。俺達に何か用?」
女 「男君答えてよ。どういうことなの、ねぇ」
友 「女さん?一体どうかしたのk」
女 「うるさい!!!!」
バン!!
「え!?」
「な、なんだ!?」
「女さんだ・・・」
女 「あたしは男君に聞いてるんだ!!外野は黙ってろ!!!」
友 「な!?」
女 「ねぇ男君。君知ってたんだよね。女友が襲われたってこと」
男 「・・・・・・う、うん」
女 「今朝あたし君に聞いたよね?女友どうしたんだろうってさ。君その時わからないって言ったよね」
男 「うん・・・・・・」
女 「どうして嘘をついたの」
男 「それは・・・」
女 「答えてよ。何で嘘ついたのさ」
男 「うぅ・・・・・・」
女 「答えろって言ってんだろ!!!」
グイッ!!
友 「お、おい!」
女 「あんた・・・さっきの話から察するに昨日の時点で女友のこと知ってたんだよね?」
男 「は、はい」
女 「何で真っ先にあたしに教えてくれなかったのさ・・・!あんたあたしと女友がどういう関係か知ってたんでしょ!!」
男 「俺は君の連絡先を知らない・・・だから」
女 「そんなこと関係ない!!もしあたしがあんただったら学校でも警察でも聞いて調べてる!!」
男 「昨日はもう夜遅かったし・・・それに俺が何かしても事態が好転するとも思えなかったし・・・」
女 「な!?」
女 「・・・・この臆病者!!!」
バシィ!!
男 「ウグ!」
友 「や、やめろ!落ち着け女さん!」
「えぇ!?」
「あの女さんがブチ切れてる・・・」
「なんか男が事情を知ってるっぽいぞ」
「は?あのヘタレの男が?」
女 「あんたは本当の・・・真正の臆病者だ」
男 「・・・・・・」
女 「もういい、あんたは一生そうやって自分のことだけ考えてウジウジと生きてろ。もう二度とあたしや女友にかかわらないで」
男 「・・・そうするつもりだよ。俺なんか・・・生きてる価値もない・・・」
女 「・・・ウザ」
ガララ
友 「どこいくつもりだよ」
女 「決まってるでしょ、女友のところ」
バタン!
友 「・・・・・・お前と女さんに何があったか知らないけどよ。お前、このままでいいのかよ男」
男 「・・・・・・」
友 「俺はもう行くぜ。そろそろ全校集会も始まるだろうしな」
男 「・・・うん」
友 「一言だけ言っておく。今のお前、ダセェよ。じゃあな」
ガララ
「女さんからまさかのマジビンタwwwwww」
「あいつどうする?」
「ほっとけよ、なんかあいつ最低のことしたみたいだし」
「男君って・・・なんか見ててムカつかない?」
ヒソヒソヒソヒソ
男 「・・・・・・・・」
病院
女 「ハァハァ・・・・・・!!女友!?」
女友 「お・・・・女ちゃん?」
女 「ああ・・・女友!女友ぉ!」
女友 「女ちゃん学校はどうしたの?」
女 「そんなのどうでもいい!!ごめん、ごめんね女友・・・」
女友 「え?どうして女ちゃんが謝るの?」
女 「あた・・・あたしがあの時女友と一緒に本屋に行ってれば・・・・・!ごめん・・・本当にごめんね女友・・・!ううぅ・・・」
女友 「ううん、そんなことないよ。謝らないで女ちゃん、泣かないで、ね?」
女 「女友ぉ・・・うう・・」
女友 「・・・・・・あのね女ちゃん・・・お願いがあるの」
女 「なに?何でも言って」
女友 「私をね・・・優しく抱きしめてほしいんだ・・・」
女 「・・・え?」
女友 「・・・本当は私が女ちゃんに抱きつきたいんだけど・・・今両手が包帯とギプスで上がらなくてね」
女 「!!」
女友 「ダメ・・・かな?」
女 「・・・ダメなわけないじゃん!女友!!」
ギュッ
女友 「イテテ・・・ちょっと強いかな、女ちゃん」
女 「ああ、ごめん!?・・・これでいい?」
キュ・・・・・
女友 「うん・・・ありがとう・・・。すっごい落ち着く・・・」
女 「・・・うん、私も」
女友 「先に断っておくね、女ちゃんは全然悪くない。だから絶対に自分を責めないで。お願いだからね、約束だよ?」
女 「・・・うん、約束する」
女友 「よかった・・・。それを踏まえた上で聞いてね」
女 「いいよ」
女友 「私・・・本当に怖かったの・・・。痛くて痛くて・・・本当に死ぬかと思った・・・・・」
女 「女友・・・」
女友 「怖かったよぅ・・・女ちゃん・・・・ううう・・・うわあああん・・・!」
女 「女友・・・!」
女友 「女ちゃん・・・女ちゃん・・・・・・・女ちゃん!」
ギュウウッ
女 「ううう・・・!」
女友 「グスッヒグッ!・・・私・・・死にたくなかった・・・ウグッ・・・生きててよかった・・・」
女 「うん・・・!うん!」
女友 「女ちゃん・・・女ちゃん・・・」
・
・
・
・
・
・
女 「どう?少しは落ち着いた?」
女友 「うん、ありがとう。エヘヘ、実はお母さんの前でも泣かなかったのに女ちゃんの顔見たら急に泣きたくなっちゃって・・・ごめんね女ちゃん」
女 「何言ってるのよ。あたし嬉しいよ。女友の力になれて」
女友 「フフ、さすが女ちゃんだね。あたしの一番の友達」
女 「うん、女友もあたしの一番の友達だよ」
女友 「嬉しいなぁ。ずっとあたしたち友達でいようね」
女 「そんなの当たり前じゃん。あたしたちはずっとずっと親友だよ!」
女友 「ありがとう女ちゃん。・・・私、安心したらなんだか眠くなってきちゃった。少し寝るね」
女 「そっか。じゃあ、あたしはあんたが寝たら静かに帰るね」
女友 「うん、寝るまで一緒にいてね」
女 「うん・・・・・・・」
女友 「・・・・・・女ちゃん」
女 「なに?」
女友 「もう一つ、お願いだから約束して。私の敵をとろうだなんて絶対やめてね」
女 「・・・・・・」
女友 「女ちゃん・・・お願いだから・・・。私、女ちゃんに危険な目にあってほしくないし、事件にも巻き込まれてほしくない」
女 「・・・・・・」
女友 「女ちゃん・・・」
女 「やだなぁ!そんなことするわけ無いじゃん!」
女友 「本当に?」
女 「本当だよ。・・・そりゃ確かに大好きな女友をこんな目に遭わした連中をこの手でシバいてやりたいけど、あたしは奴らがどんな連中かもわからないしね。後は警察のお仕事だよ」
女友 「う・・・・・・・うん」
女 「大丈夫だよ!心配しないで、約束するから」
女友 「うん。約束・・・」
女 「じゃあ女友、安心してゆっくりお休みしてね。あたし、側にいるからね」
女友 「・・・ありがとう女ちゃん」
・
・
・
・
・
・
女友 「スー、スー、スー」
女 (寝たか・・・)
女 「じゃあね女友。また来るからね」
ガララ
パタン
女 「・・・・・・」
女 (ごめんね・・・女友。あたし、あんたに嘘ついた)
女 (あんなに無垢で純粋な女友を・・・・・・あたしの親友をよくも・・・・!)
女 (絶対許さない・・・・・・絶対に許せるわけが無い!!)
ガン!!!
・・・・・メキメキメキッ!!
女 「絶対に見つけ出して・・・・・あたしのこの手で必ず八つ裂きにしてやる・・・・!!」
今日はこれまでです。
なんか思った以上に展開が遅くて読んでる方イライラさせてるかもしれません。スミマセン。
また明日もお付き合いしてください(^^)
スイマセン遅くなりました!今日の分投下します!
翌日 病院
コンコン
女友 「どうぞ。・・・・・・来てくれてたんだ男君」
男 「女友・・・具合はどう」
女友 「うん、今はもうそんなに痛みはないかな。トイレ行くのがちょっと大変だけどね」
男 「そうなんだ・・・」
女友 「昨日の夜に友君から事情を聞いたよ。私を助けてくれたのは友君と女師範さんだったんだね」
男 「俺もそう聞いてるよ」
女友 「男君も女師範さんの道場通ってるんだってね」
男 「うん、俺も一応師範の門下生。・・・今はね」
女友 「今は?」
男 「いや、こっちのことだから気にしないで。それよりも・・・話っていうのは・・・友から君が俺に話があるって・・・」
女友 「うん・・・・・・私を襲った人達のことなんだけど・・・」
男 「・・・・・・」
女友 「外道君・・・覚えてるかな・・・小学生六年のときの私達の同級生・・・」
男 「・・・やっぱりそうだったんだ」
女友 「・・・知ってたの?」
男 「友から聞いたんだけど君が救急車に運ばれてる時に、彼の名を言ってたって聞いてもしかしたらと思ってたんだ」
女友 「うん・・・そう、彼が帰ってきたみたい」
男 「・・・・・・」
女友 「男君お願いがあるの」
男 「え?」
女友 「お願い!女ちゃんを守ってあげて!」
男 「それは・・・一体なんで」
女友 「妙な胸騒ぎがするの・・・もしかしたら次に襲われるのは女ちゃんかもしれない!?」
男 「ちょ、ちょっと落ち着いて。傷に障るよ。それにその根拠は?」
女友 「私今、とっても恐ろしい想像してる・・・。ううん、多分彼のことだから絶対にそうするに決まっている!ああ、どうしよう!」
男 「大丈夫!?一体どうしたの女友!?」
女友 「・・・・・・ないの。私の携帯がないの!」
男 「え・・・」
女友 「多分彼に取られたんだ、あのときに。どうしよう・・・どうしよう男君!?」
男 「携帯を取られたってことは・・・」
女友 「絶対中身を見られてるに決まっている・・・。私のメールや履歴はほとんどが女ちゃんでうまってるし、写メも女ちゃんでいっぱい・・・・だから」
男 「次に狙われるのは彼女というわけか・・・・・・」
DQN1 「外道さん、さっきから何見てんすか?」
外道 「クククククク・・・」
DQN2 「げ、外道さんが笑ってる・・・」
DQN3 「これはヤベェな・・・・」
外道 「お前ら、次のターゲットが決まったぞ。これを見てみろ」
ブン
パシ
DQN1 「ん?・・・・・・誰っすかこれ!?」
DQN2 「めっちゃ可愛いじゃん!」
外道 「『女』、というらしい。どうやら前に襲った女友の親友らしい」
DQN2 「へー、女友ちゃんもなかなか可愛かったけどこの娘はさらに可愛いなぁ・・・ヘヘヘ」
外道 「それに、そいつどうやらかなりの空手の実力者らしい。メールのやり取りでわかった」
DQN1 「マジっすか!?こんな可愛いのに。スゲー!これがギャップ萌えってやつですね!」
DQN3 「オレはヤレれば誰でもいいけどな」
DQN2 「お前・・・ちょっとは選り好みしろよ。そればっかりかよ」
DQN3 「ボコッちまえば誰でも一緒じゃん」
DQN2 「・・・それもそうか」
DQN1 「よし!じゃあ次は顔を絶対狙うなよお前ら!」
「「「ギャハハハハハ!!!」」」
外道 「久しぶりの上玉だ・・・気抜くなよテメーら」
DQN1 「は、はい。それよりいついきますか?」
外道 「決まってんだろ。もう場は煮詰まってるんだぜ」
外道 「明日だ。明日ヤる」
外道 「ククククククク!!」
女友 「お願い!男君!女ちゃんを守ってあげて!!でないと・・・!」
男 「落ち着いて女友。彼女なら大丈夫だよ。彼女には空手がある。彼女の強さは女友が一番知ってるんじゃないか?」
女友 「違う・・・!確かに女ちゃんは凄く強いけど・・・外道君はそういうことじゃない!男君も知ってるでしょ!?彼の残酷さを!」
男 「う・・・・・・」
女友 「女ちゃんだって女の子なんだよ・・・。もし捕まったりしたら・・・・!お願い!お願いだよぅ!!男君!」
男 「でも・・・俺には・・・・・」
女友 「君が無理なら友君でもいい!女師範さんでもだれでもいい!!誰か女ちゃんを守ってよう!!お願い・・・・!」
男 「女友・・・・・・」
女友 「ハァハァハァ・・・ごめんね、取り乱しちゃって・・・。私・・・むちゃくちゃ言ってる・・・。友君や女師範さんにだってこれ以上迷惑かけられないのに・・・私・・・・」
女友 「男君だって辛いのはわかっている・・・・・詳しいことは知らないけど・・・『あの事件』で男君が凄い傷ついているんだってことも・・・私、最低だね」
男 「・・・・・・そんなことない」
女友 「でも・・・でもね・・・・・・こんなこと頼めるの・・・・男君しかいないの・・・」
男 「う・・・・」
女友 「お願い・・・します・・・・・どうか女ちゃんを・・・守って・・・・」
男 (どうする・・・・・どうすればいい・・・・・俺は・・・・)
女友 「男君・・・!」
男 (な、涙!)
男 「・・・・・・・わ・・・わかった。約束する・・・」
男 「俺が、女さんを守る」
男 「・・・だからもう泣かないで女友」
女友 「男君!ありがとう、ありがとう男君!」
男 (もう・・・後には引けない)
次の日 昼休み 屋上
女 「・・・・・・」
「あ、あの。女さん、ですよね」
女 「・・・何か用」
「これ、今朝君に渡してほしいって言われて」
女 「何これ・・・?」
「ごめん、よくわからない。それじゃ確かに渡したから」
女 「封筒?」
ビリリ
女 「!!」
女 (これは女友の写真!怪我で制服もボロボロの・・・!)
女 (もう一枚何か入ってる・・・)
『明日の早朝これを町中にばら撒く。嫌なら誰にも言わず夜一人で町外れの廃神社まで来い』
女 「上等・・・!!」
男 「ここにいたんだ、女さん」
女 「・・・・・・もうあたしにかかわるなって言ったはずだけど」
男 「う・・・・・うん、ごめん。でも少し話したくて・・・」
女 「何?」
男 「女さん、いきなりこんなこと言うのは失礼だけど・・・今日から例の事件の犯人が捕まるまでしばらく大人しくしてて欲しいんだ」
女 「はぁ?・・・あんた喧嘩売ってんの?大人しくってどういう意味よ」
男 「ご、ごめん。気を悪くさせたのなら謝るから。具体的に言うと基本的には学校以外の外出は避けて欲しいんだ」
女 「・・・意味わかんない。なんであんたにそんなこと言われないといけない訳?」
男 「今回の事件の犯人の一人は『外道』ってやつなんだけど、そいつが君を狙ってる可能性が高い・・・」
女 「な!?あんた犯人のこと知ってたの!?知ってんならなんでこんなとこでノコノコしてんのよ!」
男 「・・・警察にはもう知らせている、女友がね。外道は俺達の小学校のころの同級生だから。やつは最近まである事情で町を離れていたんだけど最近帰ってきたみたいだ」
女 「帰ってきた途端こんな騒ぎ起こしてるって・・・一体どんなやつなのよ」
男 「やつは昔から残酷で無慈悲なやつだった。自分の思うこと全てをやっていたよ。小学生のころから暴力や恐喝、遠慮も何もなかった・・・」
女 「生まれ付いての最低のクズ野郎ってことね・・・。で、なんでそいつがあたしを狙ってるってあんたにわかるのよ」
男 「女友の携帯をそいつらが奪ったらしい。それでね・・・」
女 「なるほど・・・それで次はあたしってわけか」
男 「うん、外道がなんで女友を襲ったのかはわからないけど・・・次はもしかしたらと思ったんだ」
女 「ふーん、教えてくれてありがとう。ますます殺意が湧いてきたわ」
男 「さ、殺意って・・・まさか女さん!?」
グイッ!
男 「!?」
女 「いい?今夜あたしはあんたの元同級生をメチャクチャにぶちのめすから。生きてるのを後悔させてやるほどにね」
男 「こ、今夜!?」
女 「そう、今夜、必ずね」
男 「そ、そんな!危険すぎる・・・!」
女 「あんた・・・あたしがやられると思ってんの?」
男 「君は奴の怖さをしらない!奴は残酷で狡猾だ!いくら君でも一人じゃ・・・!」
女 「そんなの関係ない!あたしが女友が感じた恐怖や痛みを何倍にもして奴らに味合わせてやる!!」
男 「君は女友と約束したはずだ!復讐なんかしないって!」
女 「な!?」
ギリリリリッ!
男 「う、うううう!い、息が・・・・・・!」
女 「なんであんたがそのこと知ってんのよ・・・!」
男 「き、昨日女友に聞いた・・・。そしてお願いされたんだ・・・。君を外道から守って欲しいって・・・・!」
女 「クッ!」
ブン!ズダン!
男 「ガハ!・・・・ゲホッゲホ!!」
女 「ハァ、ハァ、ハァ・・・・いい?もしこのこと警察や女友に言ったら・・・・あんた殺すから」
男 「女さん・・・!」
女 「女友がこんなこと望んじゃいないなんて痛いほどわかってる!でもあたしは絶対に許せない!どうしようもないこの怒りはこの手で奴らをぶちのめさないと収まらない!!誰にも邪魔なんてさせるものか!!!」
男 (無理だ・・・今の彼女を止めることなんてできない・・・)
女 「だから・・・男君・・・何もしないで・・・お願い」
男 「女さん・・・」
女 「ごめん、あたし性根はこんなのだから。・・・・・・それと忠告ありがとう」
男 「え・・・」
女 「こうやってあたしに忠告するの、君の事だからきっと随分悩んだんでしょ。ありがとう。格好よかったよ」
男 「俺は・・・そんなこと・・・」
女 「でも女友の頼みじゃ断れないよね。昔からの同級生だもん」
男 (違う・・・俺は・・・君だから、君のことが心配だから・・・)
男 「あ、う・・・・・」
女 「もし・・・万が一あたしに何かあったら君が女友の側にいてあげて。これはあたしからの勝手なお願いだけど・・・・・よろしくね」
男 「お、女さん!」
女 「じゃあね、男君」
タタタタッ!
男 「俺は・・・君が・・・・・!」
今日でちょっと話進めたかなって思ってます。
ではまた明日よろしくです。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
投下します!!!
女さんの怒りは俺の想像なんかを遥かに超えていた。
彼女は今夜、修羅のごとく怒り外道たちを血祭りにするつもりだろう。
何故彼女がそこまで怒りに狂ってるのか、正直俺には理解できなかった。
確かに女友さんはあいつらに地獄の苦しみを与えられた。
それこそ俺なんかが想像もできない恐怖と苦痛だったことだろう。
親友がそんなことをされたら怒るのは当然だと思うし、至極自然だと思う。
だけど女さんのあの怒り方は異常だ。
普通ならば報復など考えずに傷ついた親友の側にいることを選択するのではない
だろうか。
日本は法治国家だ。
いまこの瞬間にも警察が奴らを探しているに決まっている。
証拠も挙がってるし、犯人の正体も割れている。
もうすぐ奴らは捕まるだろう。
女さんだってこのことはわかっているはずだ。
一体何が彼女をそこまで突き動かしているんだろうか。
わからない・・・今の俺には彼女の考えはわからない。
だけど胸倉を掴まれて彼女の瞳を見つめたとき、俺は畏怖すると同時に彼女に妙
な親近感を感じた。
自分と彼女にはどこか似ている部分があるんじゃないかという変な錯覚を覚えたん
だ。
何故だろう。
ただ一つ言えるのは、俺は彼女に惹かれてるということだ。
あの、まっすぐ強さに憧れる彼女の心意気に関心してしまったんだ。
多分彼女は俺のもう一つの可能性だったんだろうと思う。
俺がこんな臆病者にならなければ、もしかしたら彼女のように素直で快活な人間に
なれたのかもしれない。
・・・・・・そんな彼女を汚すわけにはいかない。
俺にはまだできることがあるはずだ。
夕方 道場
女師範 「事情はわかった。それでお前はどうしたいんだ」
男 「自分は・・・女さんを助けたいです」
女師範 「しかしその女というやつはお前の忠告も無視して復讐に走ったんだ。どんな結果になったとしても自分の責任だと思うが」
友 「師範、それはちょっと冷たくないですか。女さんはただ自分の親友が傷つけられてぶち切れているだけですよ。それに女さんは自分たちの同級生です、傷つけられたら後味が悪くなるのは目に見えてます」
女師範 「女は空手の有段者と聞いている。しかもかなりの実力者らしいじゃないか。そんなやつが自分の怒りに任せて復讐するなど武道家として言語道断だ。言い方は厳しいかもしれないが私欲の為に武を使うなど、そんなの女友さんを襲ったやつらと大して変わらない」
友 「し、」
男 「師範!」
女師範 「なんだ・・・男」
男 「女さんは奴らとは違います!あんな・・・外道みたいなやつと女さんを一緒にしないで下さい!」
女師範 「外道・・・誰だそいつは」
男 「今回の事件の一人、いや首謀者といってもいいかもしれません」
女師範 「何故お前がそんなことを知っている。今回の事件は、お前に何か関係しているというのか」
男 「・・・・・・今は詳しく言えません。それにまだ彼の動機が全くわからないのも事実です」
女師範 「そうか」
男 「自分は女さんを助けたい。自分の願いはただそれだけです」
友 「師範、自分もこいつと同感です。女さんをこのまま見捨てておけるなんてできません。手分けして女さんを探すべきです!」
男 「友・・・ありがとう」
友 「へ、礼を言われることなんかじゃねえよ。それにビビリのお前がここまで必死なんだ。手を貸さずにいられるかよ」
男 「友・・・!」
女師範 「仮に見つけたところでどうするというのだ?力ずくで押さえ込むというのか?お前達にそれができるのか?あの女相手に」
友 「そ、それは・・・話せばなんとかなるんじゃ!」
女師範 「・・・無理だな。私はその女に会ったことはないが、話を聞いただけである程度どういうやつなのかはわかる。今の女に話が通じるとも思えん。やつは今怒りにに心を支配されてるだろう。例え邪魔されたら警察にさえ向かっていくかもしれない」
友 「マジっすか・・・。そうなの男?」
男 「うん、多分・・・。邪魔したら殺すって言われたしね」
友 「ハ・・ハハハ・・・さいですか」
男 「・・・・・・」
女師範 「はぁ、私が警察に連絡しておく。お前達は女を見つけたらすぐに私に連絡しろ。警察と連携をとる」
友 「師範!」
女師範 「今の女は危険だ。町を歩く『虎』だと思え。いいか、やつを見かけたら必ず私に連絡するんだぞ。決して対峙するなよ」
男 「ありがとうございます・・・師範」
女師範 「男・・・いや、それよりもお前らその女の写真はあるか」
男 「いや、持ってません」
友 「右に同じく」
女師範 「そうか、私は女の顔を知らない。捜索はお前らに任せた方が良さそうだな。ただしお前らは未成年だ。時間制限を設ける。午後九時までだ。九時になったら私に連絡して帰宅しろ。いいか、必ずだ。約束しろ」
男 友 「はい!」
女師範 「よし、それでは一度解散する。お前達気をつけろよ」
友 「それじゃ行くか、男、俺は学校周りを探してみる。何かあったら連絡してくれ」
男 「ああ、友、気をつけて」
友 「お前もな」
男 「では師範。自分も行って来ます」
女師範 「・・・男!」
男 「は、はい」
女師範 「・・・い、いや何でもない。お前も十分気をつけるんだぞ」
男 「はい・・・ありがとうございます師範、では」
女師範 (なんだ・・・この胸騒ぎは・・・・・・皆に何事もなければよいのだが・・・)
夜 町外れ 廃神社
女 「・・・・・・来たわよ!出て来い!」
外道 「・・・・・・」
DQN1 「こりゃまた・・・」
DQN2 「ヒヒヒ・・・実物でみたらかなりの上物だぜこいつは」
ゾロゾロ
女 (三人か・・・)
女 「確認しとくけどあたしを誘ったのもあんたたちで、女友を襲ったのもあんたたちってことで間違いない?」
外道 「それであってるぜ女さん」
女 「そう・・・。一応聞いておく。あたしをここに誘い込んだ理由って何よ?」
DQN1 「ナニってそりゃなぁ?」
DQN2 「クヒヒヒヒヒ!」
外道 「なーに、ちょっとした思い付きさ。女さん、君の悲鳴が聞きたくてね」
「「キャハハハハ!」」
女 「そう・・・。じゃあ今からあたしがすることは正当防衛ってことになるね」
外道 「抵抗するならどーぞお好きに。彼女も一応抵抗したからね、実に儚い抵抗だったけど」
女 「彼女・・・?」
外道 「女友って君の親友だったんだろ。あいつ結構いい声で鳴いたぜ。腹を殴ったときが一番だったな。ゲロ吐きまくってたけど」
女 「・・・・・・・・」
外道 「それから色々してやったぜ。腕を鉄パイプで殴ったり、タバコの火を首筋におしあてたりな」
女 「・・・・・・・こ・・・・」
外道 「さて女さんここで問題だ。君は一体・・・・どんな風に鳴くのかな?」
女 「このゲス野郎!!!!!」
DQN1 2 「!?」
女 「うあああ!!」
DQN1 「え?」
DQN2 「はや!?」
ガス!!
DQN1 「ぐ・・・ああぁぁ!」
DQN2 「て、てめぇ!」
女 「てええええい!!」
ブン!!
バシイィ!!!
DQN2 「グフゥ・・・・!」
外道 (一呼吸のうちにみぞおちに正拳突き、間髪いれずに回し蹴りか。やっぱり強いな・・・)
女 ギロッ!!
外道 「ケッ!」
女 「死ねえええ!!」
外道 (まっすぐこちらに向かってくるか。だがな!)
ガサッ!!
DQN3 「お前が死ねやあああ!!!」
ブン!!
スカッ!
DQN3 「な・・・!?」
女 「気付かないと思ってたの!!」
女 「舐めるなあああ!!!」
ゲシィ!!!
DQN3 「ガハッ!!」
女 「後一人!!」
女 「!?」
女 「ど、どこ!?どこにいる!!」
外道 「ここだよ」
女 「ハッ!?」 (後ろ!?)
バチバチバチバチバチバチバチバチバチ!!!!
女 「キャアアアアアアアアアーーーーー!!!」
外道 「ハハハハハ!いい声で鳴くじゃねぇか!!」
女 「ガ!・・・・・・アガ!・・・・・・」
バタン・・・・
外道 「スゲェ動きだったぜ。まるでアクション映画みてえだった。だけどてめえの空手は真っ直ぐすぎる。そんなもんこの外道様には通じねぇんだよ」
女 「あ・・・あんたが・・・外道・・・」
外道 「あん?なんだよ、俺のこと知ってんのか?」
女 「あんたが・・・・男・・・君の言ってた・・・外道・・・」
外道 「ん?ちょっと待て。・・・・・・お前今、男って言ったな?」
女 「ちくしょう!・・・もう少しだったのに・・・・・・もう少しで・・・・女友の敵が取れたのに・・・女友・・・・男君・・・ごめんね・・・」
外道 「ちょっと待てよ・・・」
パカ
カチカチカチカチ
外道 「クククククク!やっぱりそうか!!あの男か!!」
外道 「クハハハハ!!!」
外道 「おいテメーらいつまで寝てやがる!!一発ぐらいじゃ大したダメージじゃねえだろが!!」
DQN1 「うぐぐぐ・・・」
DQN2 「首超イテー!」
DQN3 「・・・・・なにしやがるこのアマがぁ!!」
女 「ウ・・・ウウ・・・・」
外道 「さて女さん」
女 「ヒッ!」
外道 「今身体動かないでしょ。でも意識はあるよね。そういう風に出力改造してるからこのスタンガン」
女 「・・・・・このクソ野朗」
外道 「さて、今どんな気分?怖い?泣きそう?」
女 「だ・・・・誰が・・・・あんたなんかに・・・!」
外道 「まぁどっちでもいい。とにかく今からパーティーの始まりだ。君には今からそこの倉庫の中でたっぷりと鳴いてもらうから」
女 「ク・・・!」
外道 「ここはだーれも来ないから好きなだけ鳴いてくれていいよ。それと小便したかったら今のうちにしといてね。中でやられると以外と臭うからさ」
DQN 「「「ギャハハハハハ!!!」」」
外道 「さて・・・じゃあ始めようか・・・・・」
女 「イ・・・イヤアアアアアァァァァーーーー!!!」
今夜はここまでです。
素直な感想レスありがとうございます(^−^)
自分も書いてて『女、自己中すぎじゃね!?』って思ってたところでした。
一応ヒロインなのにね・・・・・・。
というわけでこれから女さんお仕置きタイムですwww
ではまた明日よろしかったらお付き合いください。
初心者なので少し勉強しました。
三点リーダとか!や?の後は空白入れるとか。
では投下します。
男 「ハァハァ!」
男 (一向に見つからない。女さんは一体どこにいったんだ……)
piririririririri
男 (電話?友からか……女友の携帯の着信!?)
男 「…もしもし」
外道 『よう、俺が誰だかわかるか?』
男 「外道…だな」
外道 『正解だ。久しぶりだな男。相変わらずヘタレやってんのか?』
男 「…何のようだ」
外道 『おいおいシカトかよ。電話じゃ随分強気じゃねえか』
男 「何のようだと聞いている」
外道 『クククク、いやなに、今パーティーの真っ最中でな。よかったらお前も参加しないかと思ってな』
男 「…パーティーだと……!?」
DQN3 『オラァ!!』
バシィ!!
女 『グフッ!?』
DQN2 『だから顔は止めろっての…血だらけじゃんかよ』
DQN1 『いーや、逆に血のおかげで妙に艶かしいぜ。DQN3、もう一発喰らわせてやれよ』
DQN3 『当たり前だ。このクソアマが…調子に乗りやがって!!』
バキィ!!
女 『キャウ!!』
DQN2 『ったく、この変態共が』
DQN1 『お互い様だろ?』
DQN2 『ちげぇねぇ』
DQN1 2 『ギャハハハ!!』
外道 『聞こえたか?な、楽しそうなパーティーだろ?』
男 「あ……あああ…!!」
外道 『だけどよ、本日のメインイベントはまだ行っちゃいねぇ』
男 「…メインイベント?」
外道 『この空手美少女に種を送り込んで一体誰が父親になるのかっていう壮大なクイズだ。男にはその回答者になってほしくてね』
男 「外道…!!」
外道 『町外れの山の廃神社まで来い。今から十五分後に始める。警察には言うなよ。サイレンが聞こえたら女の心臓にナイフを突き立てるからな』
男 「ううう……!!」
外道 『おい、でろ、何か話せ』
女 『男君……?』
男 『お、女さん!?』
女 『だ、ダメ…! 絶対来ちゃダメ!! こいつらは男君を……!』
外道 『喋りすぎだ』
グリリリリリッ!
女 『い、痛い!? 痛い痛い痛い痛い痛いいいぃぃー!!』
男 『女さん!? 女さん!!!』
外道 『必ず来い。じゃあな』
プツ!
男 「………ク、クソォ…!!」
友 「おう、男!見つかったか!こっちは全然だめだ、もうすぐ九時になっちまう!」
男 『友…師範に知らせてくれ。奴らを見つけたって』
友 「な、なにぃ!? 一体何処だそれは!」
男 『町外れの廃神社。山の登山口から脇道に入ったところだ』
友 「なるほど…奴ら考えたな。あそこなら車が入っていけないし原付も通れない。だがとにかく今すぐ師範に知らせて警察を呼んでもらおうぜ!」
男 『それはダメだ!!』
友 「はぁ!?」
男 『女さんが奴らに捕まってる! もし警察が来たと感づかれたら女さんの命はない! 奴にさっきそう言われたんだ!』
友 「待て! 話が読めない! 一体どうなってんだ!」
男 『…もう時間がない。友、頼みがある』
友 「…何だよ?」
男 『もし今から三十分たっても俺から連絡がなかったら師範に言って警察を呼んでほしい』
友 「ちょっと待て! お前今から一体何をするつもりだ!」
男 『友…じゃあお願いしたからな!』
プツ!
友 「ああ! おい!? あいつ切りやがった! クソ! そんなの待てるわけねえだろうが!」
廃神社 倉庫
ガラララ!
男 「ハァハァハァハァ……!」
外道 「お?回答者様がご到着だ」
DQN1 「ヘヘへへ」
DQN2 「ヒヒヒヒ」
DQN3 「フン」
男 「外道…!」
外道 「久しぶりだな男。小学校以来だな」
女 「バカ…!何で来たのよ…!」
男 「お、女さん…その格好!」
外道 「おっと動くなよ。怒りに任せてこの女みたいに暴れるのはいいが、その前にこいつが死ぬぜ?」
女 「ヒッ!」
男 「う…ナ、ナイフ!」
外道 「そうだ。お前はそこでじっとしてろ。一歩でも近づいたらこいつを刺す」
男 「…何で、何でこんなことを…!」
外道 「何で?そんなこと決まってるじゃねえか」
外道 「楽しいからだよ」
男 「楽…しい?」
外道 「そうだ。…少し昔話をするか。覚えてるか?確か『旧友』だったっけか、お前の元友達」
男 「!?」
外道 「ククク、いい面しやがる。そうだよな。忘れるわけねえよな。お前が裏切った旧友だよ」
男 「ううう…!」
女 「旧友…?」
外道 「そうだ。いいか女さん、こいつはな、その旧友を裏切った臆病者なんだよ」
男 「…やめてくれ」
外道 「いいや、やめないね。俺はな、その旧友ってやつが何故か無性に気に入らなくてな。徹底的に虐め抜いてやったのさ」
外道 「笑顔が綺麗なやつだったよ。誰にでも優しく、それでもって何でもできたやつだった。この俺でさえやつは友達って言ったのさ。そうだよな男?」
男 「そうだ…旧友君は皆の憧れの的だったんだ…誰にでも優しく微笑んでくれた」
外道 「俺はそれが気に喰わなかった。そいつの笑顔、優しい言葉、そのどれもがな」
外道 「だから俺はそいつを壊そうと決めた。そいつの絶望が見たかったんだ」
女 「……」
外道 「あらゆることをしてやった。周りのやつを脅して全員で無視はもちろん、なんくせつけてはすぐ暴力を振るった。ニ、三人で囲って小便をかけてやったこともあったなぁ」
外道 「だけどな、色々なことをしてやったがやつは学校を休む日は一度もなかった。次の日の朝になると何事もなかったように皆に教室で声をかけた。『おはよう』ってな!」
外道 「旧友には親友がいてな、どうやらそいつが旧友の心の支えだったらしい。俺はそいつが誰かすぐにわかった。なぁ? おんなじクラスの『男君』?」
男 「ううう……やめてくれ! やめてくれぇ!」
外道 「俺はその親友君に言った。『やつと仲良くするな。お前もやっちまうぞ』ってな。次の日からそいつは旧友を無視し始めた。だがその旧友はそれでも絶望しなかった。親友が脅されて自分を無視してるんだと感づいていたみたいでな。おかげで俺のイライラは頂点に達していた」
外道 「そしてあるとき面倒くさくなってこう思った。もういい、こいつを殺そうってな」
女 「な…!?」
外道 「その日、俺は数十人でそいつをリンチした。男の見てる前でな。さすがに怖くなったのか旧友は泣きじゃくりながら俺に懇願したよ、許してくださいってな。俺は心底楽しかった。そして泣きじゃくる旧友を見て、逆に俺の中の殺意はどんどん増していくのを感じたよ」
外道 「三階の窓から落ちるときの旧友の顔……あれは…最高だったぜ」
男 「うわああああああ!!! やめろ!! やめろおおおおお!!!」
外道 「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!! あいつは何度も言ってたぜ!? 男君助けて、男君助けてってな!!」
男 「ごめんんん! ごめんよ旧友君!! 俺が、俺があのとき助けていれば……!!」
女 「男君…」
外道 「まぁ死にはしなかったんだけど、なんだっけ?下半身麻痺だっけ?んで旧友君は結局大怪我こいて引越していきましたとさ。クカカカカカ!!」
女 「あ、あんた…!!」
外道 「おっと、俺はその件についてはもう罪は償ったぜ?何せ少年院で四年間も過ごしたんだからよ! いやー日本てのはいい国だ。小学生が例え殺人未遂を起こしてもたった数年で出れるんだからな!」
DQN1 「いつ聞いてもスゲーぜ。外道さんのこの話は」
DQN2 「その少年院で知り合ったのがオレらだけどな。あの人には誰にも敵わないぜ」
外道 「とまぁこれが俺が今やっていることの理由だ。ようは見たいんだよ。何度でもあの旧友が落ちたときにみせたあの表情をな!」
男 「旧友君……旧友君!」
外道 「おい、聞いてんのか!? この臆病者が!!」
女 「聞いて男君!!」
男 「…女さん?」
女 「確かに男君はその旧友君を裏切った臆病者かもしれない。だけどそれは言ってみれば仕方のなかったことで本当に悪いのは男君じゃない!」
男 「え…?」
女 「ごめんなさい! あたし勘違いしてた! 男君は本当にどうしようもない臆病者だって。でもそんなことない! 男君は四年たった今でも旧友君のことを気にして自分を追い詰めている。それは裏を返せば優しいってことだと私は思う!」
男 「そんなことない! 俺は彼を裏切った! どうしようもないやつだ!」
女 「旧友君はまだ生きてるんでしょ!? なら謝りにいけばいいじゃない! ほんのちょっとの勇気があれば大丈夫だよ!」
男 「女さん…」
女 「忘れないで! 本当に悪いのはこの外道ってやつなんだから! 男君は悪くない!!」
外道 「うるせええ!!」
ドスッ!!
女 「カ………カハッ…!!」
DQN2 「うーわ、腹にトゥーキックってエゲつなー」
男 「女さん!!」
外道 「黙ってたら勝手に盛り上がりやがって……誰が喋って良いって言った? もういい、お前ら始めるぞ」
DQN1 「ういーす!」
DQN2 「やっとメインイベントっすね!」
DQN3 「やっとかよ」
男 「ま、待ってくれ!!」
外道 「……何だよ、テメェはそこで突っ立ってろって言っただろ。それとも何か、お前も輪してえってか?」
男 「お、俺はどうなってもいい。だから女さんには手を出すな…!」
外道 「へー、お前本当にあの男かよ。スゲーかっこいいじゃん。おい、お前ら」
DQN1 「はー、もうマジいい加減にしてくんね?俺らも結構溜まってんのよ」
DQN2 「てかオレこういうやつ無理だわー。ちょっと死んでくれや」
DQN3 「邪魔しやがって…」
男 「う…」
女 「お……男君…に、逃げて…」
男 「だ……大丈夫だよ。君は俺が守るから」
DQN1 「オラァ!!」
バキィ!
DQN2 「このタコが!!」
ゲシィ!
DQN3 「ナイト気取りかよ!このクソがぁ!!」
ガン!!
外道 「あーあ、あいつらキレちまった。ああなると止めれねぇからなあいつら」
女 「男君……!男君!」
バキッ!ゴスッ!メキッ!グシャッ!
男 「ガハ! ウグ! ゲホッ! アウッ!」
DQN1 「オラ!立てよコラァ!」
DQN2 「いい気になってんじゃねーぞ!」
DQN3 「死ねや!!」
・
・
・
・
・
・
DQN1 「ハァハァハァ! …こんぐらいでいいだろう」
DQN2 「終わりましたよ外道さん」
外道 「よし、それじゃ」
男 「…ま……まて!……女さんには…手を…出すなぁ…!」
DQN3 「テメー!!」
外道 「待て。お前ら、そいつの服を全部引ん剥け」
DQN2 「…外道さん」
外道 「いいからやれ。下着もだぞ」
DQN3 「チッ!」
DQN1 「……これでいいっすか」
男 「うう……」
女 「男君…ごめんなさい……! あたしのせいでこんな目に…!」
外道 「よし。おい、男。お前にチャンスをやる。それができたら愛しの女さんを解放してやるよ」
男 「え…?」
外道 「男、お前オナニーしろ。んで三十秒以内に射精しろ。それが条件だ」
男 「は……」
女 「!? あんたいい加減にしなさいよ! 男君が一体何したって言うのよ! 男君もういい! 今すぐ逃げて!!」
外道 「じゃあ今からカウントするぜ、よーいどん」
男 「ううう!!」
DQN1 「ギャハハハ!こいつ本当におっぱじめやがった!」
DQN2 「しかも結構イイモノ持ってるってとこが最高にウケルぜ!」
DQN3 「まるで猿だな!ギャハハハハ!」
女 「ごめんさい…!! あたしが悪かったです! だからお願い! もうやめさせてあげて!! 男君を離してあげてよぅ…!!」
外道 「泣いてねえでしっかり見てやれよ。あいつはお前のためにああやって千擦りこいてんだぜ。しっかり見ねえとバチがあたるってもんだ。ククククク!」
女 「ごめんね…。ごめんね男君…。あたしがバカだった…。あたしがこんなことしなければ…。男君…!」
外道 「さてと…。頑張ってるとこ悪いが男。もう時間切れだ」
男 「もう少し…もう少しだから!」
外道 「いーや、もうダメだね」
バチバチバチバチバチバチ!!!
男 「グアアアアアアアアアアアア!!」
外道 「勃起してねえんだよお前。まあこの状況で勃つ方が無理ってもんだけどな」
男 「あ…ああ……」
女 「男君!!男君!!!」
外道 「そこでよく見てろよ。俺たちがこの女をたっぷりと犯すのをな。そうしたら勃起するかもな」
外道 「さあお前ら。メインイベントの始まりだ」
・
・
・
・
・
・
・
男 (妙な気分だ…。頭の中が火花で散ってるような感覚がする。それでいて身体は全く動かない)
(というか俺何してんだ。思い出せないぞ。視界もやけにぼんやりしてるし。とてつもなく眠い)
(なんか遠くの方で女の人の声がする)
(だけどそれが何なのかすらわからない)
(俺は誰だ? 一体何をしている?)
(…もういい。このまま眠ってしまおう)
(なに。朝起きたら全てわかるさ)
『男君はさ。ヒーローって憧れる?』
『ヒーロー?』
『うん、ヒーロー。僕はね、誰かのヒーローになりたいんだ』
『うーん、オレには良くわからないかも。それにもうそういうの見てないし』
男 (なんだこれ?小さいときの俺?)
『でも君はオレにとってヒーローかもしれないな。優しいし人気者だし』
『そう?じゃ僕は男君のヒーローだね』
『オレもヒーローになれるかな?』
『なれるよ!男君だって優しいしそれに男君は負けず嫌いだからね!』
『…それっていいことなの?』
『もちろん!諦めないことはヒーローになる一番の資格だよ!だから男君は絶対誰かのヒーローになってね!』
男 (そうだ…。旧友君は俺にとってヒーローだったんだ。彼は俺の憧れだった。だけど俺は彼を裏切った。彼は俺に助けを求めていたのに)
『でもオレには無理だよ。オレは君みたいに人気者じゃないし』
『ううん! 人気者とか関係ないよ。ヒーローになるには、ほんのちょっとの勇気があれば大丈夫だよ!』
男 (旧友君が言ってくれた言葉。それと女さんが言ってくれた言葉)
(本当にちょっとの勇気があれば俺なんかでもヒーローになれるんだろうか。旧友君、君に謝りに行くことができるのだろうか)
(女さん、もし俺がヒーローならば君にしてあげられることはなんだろう?)
(今思い出したんだけど君は今四人の男に犯されそうになっている)
(にもかかわらずなぜ君はそんな目で俺を見る?)
(助けを求めるのでもなく、ただ少し不安そうに見つめてくれるのは何故?)
(ああ、そうか。心配してるんだ俺のこと)
(俺は大丈夫だよ。でもごめんね。多分俺は君のヒーローにはなれそうにない)
(元々がヘタレの人間にいきなり勇気を出せって言われてもそんなのできるわけ無い)
(こんな俺がヒーローになるなんて…ごめん旧友君、やっぱり無理みたいだ)
(だから俺は違うものになると今決めたよ)
(多分、そうしないと女さんを救えないからさ)
(さっき眠たいって言ったけどそんなこと言ってる場合じゃないんだ)
(女さん、君は命に代えても俺が守るよ)
(だから俺はヒーローじゃなくて)
(『狼』になるんだ)
すみません。本当は一気に書きたかったんだけど今日はこれが限界でした。
終わりが近いですがよろしかったらもう少しお付き合いください。
乙乙
元からだと言えば今更だけど、外道から急にアイタタタな雰囲気が…w
自分の汚点をさも武勇伝のように語っちゃってる時点で…。そこにシビレて憧れちゃってるDQN共も大概だしw
ふと思ったことを1つ
>警察には言うなよ。サイレンが聞こえたら女の心臓にナイフを突き立てるからな
警察に頼んでサイレン鳴らさずにコッソリ来てもらえるようにしてもらうってできないんだっけ?
まぁ、そう頼んでみても警察が素直に従ってくれるとも思えないけど。
すみません、遅くなりました。
投下します。
男と外道、決着です。
DQN1 「オラ! さっさと股開け!!」
ビリビリッ!
女 (良かった…男君気を失ったけど息してるみたい)
DQN2 「さんざん待たされたからな! たっぷり楽しんでやるぜ!」
女 (そのままゆっくり休んでてね。男君、本当にありがとう)
DQN3 「おい!! 一番最初は俺だっての! 約束しただろうが!」
女 (あたしは…今から汚される、あたしの自業自得だけど…)
外道 「いや、俺からだ。久しぶりの上物だからな」
DQN3 「………早く変わってくださいよ!」
女 (でもこれでいい、男君が助かれば。男君の異変に気付いて誰かが来るまであたしは時間稼ぎしなくちゃ…)
外道 「さてと…」
女 (でもお願い男君! どうかそのまま全てが終わるまで目を覚まさないで! 君だけには…君だけには見られたくないよぅ……!)
外道 「じゃ、いくぜ…」
女 (男君…! 男君!!)
男 「アアアアアアアアアアアアアアアア—————!!!!!!!」
DQN1 2 3 「!?」
外道 「な…!?」
男 「ウ……ウウウ!!!」
女 「お…男……君?」
男 ギリリ…
外道 「何で立ちあがってんだよお前…」
DQN3 「テメー…! しつこすぎるんだよ!! もう殺す!!」
カラン
女 「金属バット!? 男君! 逃げ」
ブンッ!!
DQN3 「死にさらせや!!」
男 ニヤ
ガシイッ!
DQN3 「なに!?」
男 「!!」
DQN3 「え」
ブワアン!
DQN3 (あれ、景色が一回転してる)
DQN3 (あ、床)
グシャアッ!!!
DQN3 ピクピク…ピクピク…
女 (何……今の投げ。一回転させて顔面を床に叩き付けた。あんなの見たこと無い)
外道 「な…んだと…!」
DQN2 「DQN3!! テ、テメー!」
DQN1 「DQN2! 俺のナイフを出せ!」
DQN2 「チッ! ほらよ!」
男 「フゥー!! …ウウウ!!!ウガアアアアアア!!!!!!」
DQN1 「クゥ…!? DQN2! 俺は右からいく! お前は左から刺せ!!」
DQN2 「オ、オウ!!」
DQN1 「殺すぞ! キチガイ野郎が!!」
DQN2 「死ねええええ!!」
男 「ガアアア!!」
ガチイッ!
DQN1 「ウッ!?」
DQN1 (しまった!? 右腕を捕られた!)
DQN2 「後ろがガラ空きだぜ!!」
男 「ウラアア!」
DQN1 「うわっ!?」
ブスッ!
DQN1 「!?」
DQN2 「え」
DQN2 (なんでDQN1のナイフが俺の右足に刺さってんの?)
DQN2 「い…てぇ…! 痛ぇよ…」 ドクドク
DQN2 「何だよこれ!? 何でオレが刺されてんだよ!?」
男 「ヒュッ!」
ビシャアアッ!! グチャ
DQN2 (え……金…た…潰れ…)
DQN2 「ガ………!」
ズ……ン
男 「ウグググ…!」
ギリギリッ
DQN1 「や、やめろ! それ以上は曲がんねえって!!」
ギリギリギリッ!
DQN1 「ギブギブギブギブ! お、オレが悪かった! もうこんなことしねぇ! だから離してくれぇ!!」
ギリギリギリギリギリギリギリッ!!
DQN1 「痛い痛い痛い痛い!! 外道さん助けてぇーーーー!!!」
外道 「グ…」
男 「ククク…」
女 (お、男君…笑ってる)
DQN1 「や、やめ!!」
ボキッ!!
DQN1 「ヒッ!!!」
男 「ウガアアア!!」
メキメキメキメキメキャアッ!!
DQN1 「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
DQN1 「ウデが!? オレのウデガァ!!」
女 (あれじゃあもう…何も持つことはできない)
男 「……ウウ」
外道 「動くんじゃねえ男!!」
グイッ!
女 「キャアッ!」
男 「…」
外道 「まさか状況がわからん程ぶっ壊れてはねえだろ!いいか、こっちに来てみろ。女を殺すぞ、このナイフでなぁ!」
男 「……グ」
外道 「傷だらけの真っ裸で良く頑張ったぜ男。だがやはり俺の方が上手だな。俺はこのまま車で逃げる。その後でたっぷり女を犯してやるからな!」
女 「お…男君…! あたしは大丈夫……。大丈夫だから!」
外道 「ここまできてまだ男の心配とは泣かせるじゃねえか。やっぱりテメーは良い女だぜ。その強がりを後でまた悲鳴に変えてやるからな」
ベロォー
女 「ううう……!」
外道 「ククク…!しかし恐れ入ったぜ。まさかあの男が俺と同類の人間だったとはな」
女 「な、何言ってんのよ! 男君はあんたなんかとは違う!」
外道 「いーや一緒だね! お前も見てただろ! DQNたちをブチのめしたあの男の表情を! DQN1にトドメをさしたときのあの笑みをな!」
女 「く…!」
外道 「そうだよな男。楽しかっただろ? 人を無慈悲に破壊するのはよ」
男 「…」
外道 「一緒なんだよ、俺たちはな」
外道 「狂気の世界へようこそ、男!」
男 「……違うな」
外道 「なんだと?」
男 「俺とお前は決定的に違うところがある」
外道 「何が違うってんだこの野」
男 「黙れ」
外道 「ググ…!?」
外道 (こ、この俺が気圧されているだと? いくらキレてるからってここまでの気迫を出せるものなのか! 相手はあの男だぞ!?)
男 「女さん……」
女 「男君…」
男 「俺は君を絶対守るって決めたんだ。だから心配しないでほしい」
女 「うん、心配なんかしないよ。だってどうしてだかわかんないけど、今何だかとっても興奮してるんだあたし」
男 「俺もそうだよ」
外道 「テメーら何勝手にくっちゃべってやがる!」
女 「男君、君が一緒にいてくれたらあたし何でもできそうな気がする」
男 「君は何だってできるよ。だって君は…俺の憧れだから」
外道 「黙れクソどもぉ!! おい、女! 次喋ったら殺すからな!」
女 (右足に全てを集中させて……)
女 (!!)
女 「テリャア!!!」
ベキッ!!
外道 「ガアッ!?」
女 「男君!!」
男 「シュッ!」
ゲシィ!
外道 「ウグ!?」 ズダン!!
男 「女さん、大丈夫?」
女 「…男君……男君!!」
ダキィ!
男 「……女さん、君は少し下がってて」
女 「で、でも…!」
男 「下がっててくれ」
女 ドキンッ!?
女 「う、うん……気をつけてね、男君……」
男 「ああ」
男 「外道、立て。本気では蹴ってない」
外道 「お、男ぉ!!ブッ殺してやる!!」
男 「騒ぐな。もう俺にそんな脅しは効かない」
外道 「随分上から目線じゃねえか! 旧友や女友の敵をとるとか抜かすのかよこの偽善者が!! 裏切り者の臆病者があぁ!!」
男 「どうでもいいそんなことは」
外道 「な…んだと!?」
男 「構えろ外道。そのチンケなナイフで自分を守れ」
外道 「クソが…! コケにしやがって!!!」
チャキ!
外道 「殺す…殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!! 男おおおお!!!!」
男 「こい外道。お前と俺との違い、教えてやるよ」
外道 「ウガアアアアア!!!!」
ダダダダ!
ザシュ!!
男 「ク!!」
外道 「!」 (わざと腕で受けやがった!?)
男 「ハアアアアアアア!!!」
外道 「ヒッ!?」
グワルン!!
ボキボキメキ!!
外道 「ギャアアアアア!!!!」
男 「フン!!」
バアアン!!
外道 「ガハッ!」
男 「ウラアアア!!」
バキイッ!! ボキイッ!!
外道 「ウギャアアアアアアアアアア!?!!?!?!」
ガシイッ!!
男 「………」
外道 「ウウウグッググウウググ…!」
外道 (く、首が…! 片手だけで俺を持ち上げてやがる! 何て握力だ…!?)
男 「苦しいか、外道?」
外道 「た…たすけて……」
男 「助けてほしいか?」
外道 「お願い…しま……しゅ……し…死んじゃう…」
男 「駄目だな」
外道 「ヒイイイイッ!!?」
ググググ……
外道 「…が……がは……」
男 「こっちを見ろよ外道。まだ落ちるな」
外道 「………!?」
外道 (ヒイヤアアアア!!!) ガタガタガタガタガタガタ
外道 (やめろ! 何だその目は!? その目で俺を見るなああ!)
バタバタ!
男 「暴れるんじゃねえ!!!」
外道 「ヒグッ!」
男 「コロスゾ?」
外道 「………ううう…」 ジワ………
男 「俺とお前の違い…何だかわかったか?」
外道 「ユ…ルシテ……ユルシテ…クダサイ…」
男 「俺は狩るモノで…お前は狩られる者だ」
外道 「アアア」
男 「じゃあな」
男 「ガアアアアアアア!!!!!」
外道 「ヒイイイイイイ!!」
ドシャアアアッ!!!
外道 「グ…グフ……」 ピク……ピク…
女 「男君…」
男 「ウウウウウウ………!!」
男 「ウアアアアアアアアアア!!!!!!」
男と外道決着しましたがまだこの話は終わりません。
まだ少しダラダラ続きますのでよろしければお付き合いしてください。
>>131
感想レスどうもです。確かにイタイ雰囲気のSSですが、よかったら最後まで見てやってくださいね。
警察ですが確かにサイレン消してとお願いしたらできそうな気がしますね。
>>1の知識不足と登場人物が知らなかったことにしておいてくださいwww
それではまた明日よろしくお願いします m(_ _)m
今日の分投下します。
男君は町中に響きそうな叫び声をあげると事切れるように意識を失った。
あたしは急いで倒れた彼の元に近寄り、裸の彼を抱きしめた。
男君が静かに呼吸しているのを確認して思わず安堵のため息をついた。
制服のスカートと下着を引き裂かれた下半身に何か暖かいものを感じる。
見るとナイフを突き刺された男君の左腕から血が流れて
あたしの下半身を静かに濡らしていた。
「男君…」
そう呟いて強く男君を抱きしめる。
彼は一体何になってしまったんだろうか?
そう思って周りをあらためて見回すと、彼がもたらした凄惨な光景が視界を覆った。
腕を半分ぐらいもがれた男や、顔面を床に打ち付けられて動かない男。
もう一人の彼にいたっては男の弱点の痛みを知らない
あたしでさえ、直視できない程重傷を負っているのがわかる。
外道については四肢を砕かれて泡を吹いて悶絶している。
どれもこれもまるで遠慮の無い攻撃だったが、これが武の技だというのは
あたしには理解できた。
男君は恐らく『禁じ手』を使ったのだ。
視線を男君に戻す。
彼は静かに呼吸だけをしていた。
その様子はさっきの獣のような厳しい表情は消え
いつものどこか不安そうで、それでいて男君らしい優しい顔に戻っていた。
「嘘つき…やっぱり強いじゃん男君…」
「でも…格好良かったよ…」
「ありがとう、男君」
「ん…」
ごく自然に。ゆっくりとあたしは男君にキスをした。
生まれて初めてのキスは、甘くも無く、かといって苦くもなく
ただ血の味がした。
下半身に男君の血以外で、何かが濡れる感じがする。
もう、あたしは男君無しでは生きていけないのかもしれない。
わりと本気でそう思った。
ガララララ!!
友 「な!?」
女師範 「う…!?」
女 「あ…」
友 「な…なんだよこれ…。お…男!! どうしちまったんだよ!?」
女師範 「これは一体!?」
女 「救急車を呼んでください! お願いします!」
友 「あ、ああ! 師範、俺が呼んできます!」
女師範 「頼む!」
友 「はい!!」
女師範 「君が女さんだな! 大丈夫か!」
女 「あたしは大丈夫です…それより男君の左腕が」
女師範 「これは…刺傷だな。大丈夫、そんなに深くはないみたいだ。筋肉が守ってくれてる」
ビリビリ
女師範 「これで一応止血をしておこう」
女 「…ありがとうございます」
女師範 「それで…これは一体どういうことなんだ?」
女 「男君があたしのことをそこの四人から助けてくれたんです」
女師範 「これを男一人でやったというのか!?」
女 「…はい」
女師範 「一体…何があったというのだ…」
女 「それは……ううぅ!!」 ズキン!
女師範 「大丈夫か!?」
女 「は…はい、急に痛みが…」
女師範 「よく見ると君もボロボロじゃないか…。もういい、事情は後で聞く。
警察ももうすぐ来るだろうしな。とにかく男を預かろう。その体勢じゃ君も辛いだろう」
女 「い、嫌です!」
女師範 「な…」
女 「ご、ごめんなさい。だけど…お願いします。救急車が来るまでどうかまだこのままで居させてください!」
女師範 「女さん…」
女 「男君…男君…!」
それからしばらくして救急隊の人が到着して
男君を先頭に次々とタンカーで運ばれていった。
車が近くまで入れないせいで救急隊の人も大変そうだったのを覚えている。
あたしも奴らにやられて怪我をしていたが
皆に比べると比較的に軽症だったので毛布を巻かれて
パトカーで病院に運ばれることになった。
行きしなに警察官に色々聞かれてたが、あたしは正直に全てを答えた。
自分を見失って暴走し奴らに報復しようとしたが
返り討ちにあったこと。
その後に男君が現れて、奴らに襲われたこと。
そしてあたしを守るために男君がやつらに制裁を与えたこと。
あたしは、あたしの持てる言葉全てを使って警察官に説明した。
男君がもしあのままやられていたら
確実に死んでいただろうということも殊更強く訴えかけた。
警察官は淡々とメモを取るだけだったが
その表情には一連の事件が終わったことに対する安堵の表情が見て取れた。
一通り話し終えると、いつのまにか救急病院の入り口が見え始め
先に到着していた三台の救急車の赤いランプがあたしの顔を交互に照らし
そして静かに消えた。
「しかし凄いんだな君の彼氏は」
メモ帳を閉じた警察官がそう言った。
「彼氏じゃ……はい、凄いです」
あたしはそう言って、救急隊員に促され病院へと入っていった。
三日後 病院
女友 「女ちゃん、何か言いたいことある?」
女 「いえ……何もございません」
女友 「フーン、言い訳しないんだ」
女 「言い訳しようがないよ…あたしは約束を破ったんだし…」
女友 「だよね。じゃあ今私がハラワタ煮え繰りかえってるのわかるよね?」
女 「うん…」
女友 「女ちゃん、歯喰いしばって」
女 「え?」
パアアン!
女 「…っ!」
女友 「悪いけど本気でいかせてもらったよ」
女 「…うん」
女友 「わ、わたしが…ヒグッ…どれだけ……ヒグッ……心配したか!」
女 「ごめん…女友」
女友 「ううん! 私だけじゃない! 女ちゃんのご両親や女ちゃんの道場の人たち、友君や女師範さんだって凄く心配したと思う!」
女 「そうだね…」
女友 「男君だって…!!」
女 「……」
女友 「…ごめん、言い過ぎた」
女 「女友…?」
女友 「私にとって女ちゃんはヒーローだよ…。
だからどんな人にも負けないって思ってた」
女 「うん…でもあたしは自分が思うほど強くなかったみたい」
女友 「違う!! 女ちゃんはメチャクチャ強い! 強いの!」
女 「お、女友?」
女友 「女ちゃんは強いよ! 凄く強いけど、
それでもやっぱり女ちゃんも一人の女の子なんだよ!!」
女 「!!」
女友 「私…女ちゃんが私と同じ目に遭うかもって思ったら凄く怖くなったの…。
それは女ちゃんが強いとか関係なくただ一人の友人としてね」
女 「うん…」
女友 「だからもう絶対一人で無茶はしないで。お願いだから」
女 「そうだね…約束する」
女友 「本当だよ? つぎ約束破ったら私暴れちゃうから」
女 「そ、それだけは…。わかった、約束する。絶対『一人』では無茶しない」
女友 「じゃあ約束。指切りね」
女 「ん」
ギュッギュッ
女友 「はい指切った」
女 「フフ」
女友 「さっきは偉そうなこと言ったけど、
でも、さ…それを言うなら私も最低だよね…。結局男君をけしかけたのは私だし」
女 「そんなことない。結局男君は外道に呼び出されたし、
あの二人は対決をする運命だったんだよきっと」
女友 「……そうなのかな」
女 「女友はもう知ってるよねことの顛末を」
女友 「うん…、警察の人から全部聞いたよ。一応男君の過去のことも」
女 「それを踏まえて聞いてほしいことがあるの女友」
道場
友 「セイッ! ハッ!」
女師範 「ただいま帰った」
友 「あ、師範、お帰りなさい。で…どうでした?」
女師範 「うむ。一応今回の件に関して
男が書類送検等されるということはなさそうだ」
友 「そうですか! いやー良かった。めっちゃ心配してました俺」
女師範 「男がどうこうというよりも奴らがやったことの後始末が大変みたいだ。
奴ら、この町以外でも相当酷いことをやってたみたいだからな」
友 「そうなんですか…。あいつら本当に人間のクズだったんですね」
女師範 「その言い方は適当ではないと思うが、
だが奴らには今後一生男にやられた怪我の
後遺症とトラウマに苛まされることになるだろう。
重すぎる代償だったな。まさしく因果応報だ」
友 「しかし…今でも信じられません。ダチの俺が言うのも変ですが、
あいつまずそんなことするようなやつには見えませんし」
女師範 「そうだな……確かにそうだ」
友 「師範。あいつの使った技は一体どんな…」
女師範 「禁じ手だ」
友 「禁…じ手」
女師範 「私たちがやっているのは柔術だ。
その中には現代の日本では使用される筈がない技がある。
おそらくそれを使ったんだよ男は」
友 「そ、そんな馬鹿な! 俺そんな技知りませんよ!?」
女師範 「当たり前だ。教えてないのだからな。お前はもちろん男にもな」
友 「え…それっておかしくないですか? じゃあ男はどうして…」
女師範 「わからん…。危機的状況になって自分で無意識に閃いたのか…」
友 「…そんなことできるんですか?」
女師範 「できるはずも無い。『普通』の人間ならば」
友 「普通…男が特別ってことですか」
女師範 「特別ならまだ良い方かもしれん」
友 「……なんですかそれ」
女師範 「友、…私達は何か大きな勘違いをしていたのかも知れない」
友 「……」
女師範 「男は今日はくるのか? 昨日退院したと聞いてるが」
友 「今日あいつは来ません。男は今隣の県に赴いてます…」
今日はここまでです。
いつの間にか男がスーパーサイヤ人みたいになってますが、自分でもこんなことになるとは予定してませんでした。
自分結局大好きなんですね 中二病全快の俺TUEE系www
明日もどうかお付き合いしてください。
乙。
ちょっと駆け足気味な気がするけど
まだスレの残りもたっぷりあるんだし、あまり慌てずに書いて欲しいな
男は重油かなんかで出来てんのか
それともとてつもなくバカでかいのか
隣県 とある高校 放課後の校庭
男 「あれは…」
旧友 「フゥ……! フゥ……!」 ヨロ……ヨロ…
「おい旧友。あんまり無理すんなよ」
旧友 「うん、大丈夫! まだいける」
「そうか、なら後一週だ。気を抜かず頑張れよ!」
旧友 「ああ。頑張るよ!」
旧友 「ハァ!……ハァ!」
男 「旧友君……。歩いて、いや、あれは走ってる……」
?? 「あのぅ……」
男 「え!?」
?? 「すみません。どちら……様でしょうか?」
男 「あ……。俺は男っていいます」
?? 「私は旧友後輩といいます。
一年で陸上部のマネージャーです」
旧友後輩 「あの、何か御用でしょうか。
見た感じ男さんはこの学校の生徒ではないですよね?」
旧友後輩 (この人、顔に凄い痣がある。左目にはガーゼ貼ってるし。
一体何しに来たんだろう)
男 「ちょっと用事に」
旧友後輩 「は、はぁ」
男 「一つ聞いてもいいですか?」
旧友後輩 「どうぞ」
男 「今頑張って走ってる彼。旧友君も陸上部なんですか?」
旧友後輩 「はい、そうです。先輩はあれでも歴とした陸上部員です」
男 「そうなんだ。あの旧友君が陸上部。
あんなに息を切らして…それでも一生懸命走っている。凄いな」
旧友後輩 「はい、先輩は凄いです。詳しくは知りませんが小学生の時に事故に
遭ってあの身体になってしまったそうです。
一年の時はまだ車椅子だったんですよ」
男 「一年の時? 君はその時まだ中学生じゃ」
旧友後輩 「先輩とは中学からの知り合いですから何でも知ってます。
先輩の過去以外は……」
男 「そうか。そうだったんだね」
旧友後輩 「あの、先輩に何かご用なんですか?」
男 「うん……俺はね、旧友君とは小学生の頃の同級生なんだ」
旧友後輩 「そうなんですか」
男 「俺は今日、彼に会いに来たんだ」
旧友 「フゥ……。お、終わった」
旧友後輩 「お疲れ様でした先輩! はい、タオルです」
旧友 「ああ、ありがとう。あ〜冷たくて気持ちいい! 生き返るよ」
旧友後輩 「フフフ、今日も頑張ってましたもんね」
旧友 「ううん、まだまだだよ。まだ俺は走れるようになるさ」
旧友後輩 「……はい、きっとそうですね!」
旧友 「タオルありがとう。返すね」
男 「……」
旧友 「え……」
旧友後輩 「あ、先輩こちら男さんです。今日先輩に会いに来られたそうですよ」
男 「久しぶり旧友君」
旧友 「久しぶりだね男君」
旧友後輩 「!」
旧友後輩 「……じゃ、じゃあ私他の皆を見てきますので。
何かあったら呼んでください先輩」
旧友 「ああ、ごめんな後輩」
旧友後輩 「いえ、では」
旧友後輩 (びっくりした…。先輩の目があんなに冷たかったの初めてみた。
何事も起こらなければいいけど……)
男 「旧友君……歩けるようになったんだね」
旧友 「うん。中学の時にずっとリハビリしててね。
それでも歩けるようになったのは高校一年の冬からだけど」
男 「そうか……それは良かった」
旧友 「それより……どうしたのその顔。ひどく痛んでるように見えるけど」
男 「罰だよ」
旧友 「罰?」
男 「君を裏切った俺に対しての罰さ」
旧友 「裏切った……」
男 「そう、俺は君を裏切った。親友の君をね。
今日はその話をしようと思って君に会いに来たんだ」
旧友 「ハハハ。五年ぶりに会ったってのにいきなりそんな話を切り出すなんてね。
男君、君変わったね」
男 「そうかな」
旧友 「しばらく会ってない間に随分と様子が変わってるよ。
背も大分大きくなったね。
小学生の頃は俺の方が大きかったのに今じゃ君のほうが全然高いね」
男 「昔はよくチビチビってイジめられたもんな」
旧友 「ハハハ、そうだね。
その度に君は泣いてたの思い出すよ。ああ、なんだか懐かしいなぁ!」
男 (旧友君が笑ってる。屈託のないあの無邪気な笑顔だ。
俺は小学生の時この笑顔にどれだけ救われてきたか!
懐かしい……俺も本当に懐かしいよ旧友君)
旧友 「それにしてもよくここがわかったね。どうやって調べたの?」
男 「本当のこと言うと君がこの学校に入学したというのは
随分前から知っていたよ。家族に教えてもらってたしね」
旧友 「そうなんだ。家族の皆さんは元気?」
男 「皆元気だよ。……ほんの少し前に色々あってさ。俺家族に凄い迷惑かけた。
親父や母さんにこっぴどく怒られたけど
その時家族の大切さを改めて感じたよ」
旧友 「それは良いことだね。家族は大切だからな。
俺だってあの時のことからよく知ってるよ」
男 「君は……そこまで歩けるようになるまで相当大変な思いをしたんだろ」
旧友 「はっきり言って中学時代は地獄だったよ。
それこそ医者からは一生車椅子と宣言された後だったからね。
今こうしてゆっくりでも歩けるようになったのは奇跡って言われたよ」
男 「そうか。君は凄い頑張ったんだ」
旧友 「世の中にはもっと大変な人だっているんだろうけど胸を張って言えるよ。
俺は頑張ったんだってね。それにこれからも俺は頑張る。
高校在学中までに100メートルを全力で走れるようになってやるんだ」
男 「強いな君は」
旧友 「負けてられないんだよ。これからはね」
男 (旧友君も中学時代に本当に何か色々あったんだなきっと。
小学生の時の彼そのままに輪をかけて頼もしさ、力強さが増してる。
さっきの部員のやり取りを見ただけでも彼が親しまれてるのが
はっきりとわかった。
やはり彼は色んな意味でヒーローなんだな。
だからこそ俺は彼の為にも過去のことに決着をつけなくてはいけないんだ)
男 「なぁ旧友君」
旧友 「なんだい」
男 「俺を恨んでいるかい?」
旧友 「……そうだね、君の事メチャクチャ恨んでたよ男君」
男 「そうだよな。ありがとう、本当のこと言ってくれて。そして」
男 「本当に……ごめんなさい!」
旧友 「……頭をあげてよ男君」
男 「うん……」
旧友 「三回の教室から落とされた後、目を覚ますと身体中が痛くてね。
ギブスやら包帯やらで全然身体が言うことをきかなかった。
でもその時変な違和感に気付いた。
上半身は焼けるように痛いのに下半身は何も感じなかったんだ」
男 「……」
旧友 「小学生ながらまさかと思ったよ。
その内上半身の痛みも忘れて足のことだけが気になるようになった。
どれくらいたったかもう覚えてないけど
しばらくすると父さんと母さんが神妙な面持ちでやってきて
医者の先生も後に続けて入ってきた。
その時に告げられたよ。君はもう歩けないんだってね」
男 「旧友君……」
旧友 「大抵の人はそこで自我を失って呆然とするんだろうけど
俺は前もって悪い予感がしてたから呆気にとられることはなかったよ。
その代わり気が狂ったように泣き叫んだ。
嘘だろとか、僕が何したんだとかね。
全身に繋げられた機器の類を全て振り払うがごとき暴れだした俺を
父さんと母さんが泣きながら押さえつけてたのを今でも思い出せるよ」
旧友 「鎮静剤を打たれて眠気に襲われていく中で
頭に浮かんだのは外道じゃなく君の顔だった、男君」
男 「……」
旧友 「それからの数日は自問自答の繰り返しだった。
男君は何で助けてくれなかったんだろう。親友だったのに。
でも仮に男君が助けてくれたら今度は男君が外道の目標にになってしまう。
これで良かったんだ……。男君が傷つけられないならそれでいい……」
『そんな訳あるか! やっぱり親友ならば助けるべきだったんだ!!
俺の足はもう動かない……!
絶対に……絶対に許さないぞ男!!』
旧友 「結局俺は君を恨むことに決めたんだ」
男 「俺は……君には本当に悪いことをしてしまった。
本当にごめん。許してくれとは言わない。だけどせめて謝らせてくれ。
旧友君、本当にすまなかった! ごめんなさい!」
旧友 「だからもうよしてよ。それに許すも許さないも無いんだよ、男君」
男 「え……?」
旧友 「本当に悪いのは君じゃない、外道だ。俺はそこを履き違えて君を恨んだ。
だから君のせいとかじゃないんだ」
男 「……でも……俺は!!」
旧友 「それに君は今こうして謝りに来てくれている。それだけで俺はもう十分だよ」
男 「旧友君……」
旧友 「それにね。俺が今こうして立ち直れたのは、
中学三年の時にいつまでもクヨクヨしちゃいけないと思ったからで……
ごめん、今から酷い事言うからな。
君のことなんか立ち直ったその日からこれっぽっちも考えたことなかったぜ」
男 「え……」
旧友 「正直今日君がここにくるまでは、俺は君という存在を忘れてた」
旧友 「俺にとって君はもう過去の存在なんだよ男君」
男 「そうなんだ……俺は過去の人か」
旧友 「気を悪くしないでね。だけどこれが俺の今の本当の気持ちなんだ。
『元』親友ならばわかってくれるよな男君」
男 「……痛いほど良くわかるぜ旧友君」
旧友 「ありがとう……。君のことだからこの五年間、
ずっとこのことで悩んできたんだろう。
俺も君の元親友だからわかる。こっちこそごめんな。辛かっただろう」
男 「そんな……ことない……君が謝る必要なんてない」
旧友 「あるんだよ男君。君のこと恨んでごめん。本当にごめんなさい」
男 「う…!? ……ううぅ……旧友君……!!」
旧友 「君も俺ももう大丈夫だ。
だから君は君のしたいことを思いっきりやればいい。俺みたいにね」
男 「……俺にできるだろうか? 俺にそんな資格あるのだろうか?」
旧友 「男君ならできるさ。ほんのちょっとの勇気があれば大丈夫だよ」
男 「!?」
男 「う……ううううぅ……!!」
ポン
旧友 「いつか俺達が大人になって、それでまたどこかの町で再開したときは……
そのときはまた一から友達になろう男君」
男 「もちろん……!」
ゴシゴシ
男 「もちろんだよ旧友君!!」
本日はここまでです。
>>161 感想どうもです。駆け足な感じがしましたか。
自分では結構ダラダラ書きがちなので、展開早くしないとと思ったのが逆に違和感があったのかもしれませんね。以降気をつけます。
男の容姿に関しては皆様のご想像にお任せしますwww
でも身体は小さい方では無いでしょうね。
明日も頑張りたいと思います。ここまでよんで下さってありがとうございました。
投下します。
すみません、今日はちょっと少ないです。
旧友君はただ真直ぐ生きていた。
何者をも恐れずただひたすらに前を見ていた。
彼は俺のヒーローだった。
けど彼から見ての俺はもうすでに決別した過去そのものだったのだ。
俺と彼が意図的に会うことはもうこの先ないだろう。
もしかしたらこれが今生の別れになるかもしれない。
それでも俺たちは前に向かって歩くことしかできないんだ。
お互い違う道をただひたすら真直ぐに。
彼はもう随分と先の所にいるようだ。
俺も負けずに自分の道を突き進むことにしよう。
夕方 地元の駅前 裏通り
「………!……!!」
不良1 「いいから早く出せよ。ちったぁ持ってるんだろ?」
不良2 「あんまり待たせない方がいいよー。こいつ気短いからさ」
中学生 「あ……あの……その」
不良1 「ああん!? 黙ってさっさと財布出しゃあいいんだよ!! このクソが!」
ボコッ!
中学生 「う!?」
不良2 「あーあ、だから言ったのに。さっさと言うこと聞きゃあ良かったのにな」
中学生 「ゲホッ! ゲホッ!」
不良1 「ちょっとカバン借りるぜー」
ガサガサゴソゴソ
不良1 「お? 見つけたぜ」
中学生 「そ、それは……!」
不良2 「どれどれぇ……ワオ! 結構持ってんじゃんお前」
中学生 「そ、それは僕の今日の病院代です! お願いだから返してください!」
不良2 「うるせぇんだよ!」
ゲシッ
中学生 「あう!」
不良1 「おいおい、気短いのはどっちだよ。俺はもう財布頂いたから気分は爽快だぜ」
不良2 「いや、なんかウジウジしてキメーじゃんこいつ」
不良1 「ちげーねえ。じゃあもういっちょシめとくか」
不良2 「ギャハハハ! やっぱ鬼畜じゃんお前!」
不良1 「おら、立ちな」
グイ
中学生 「うぅ……誰か……助けて」
不良1 「テメーほんとにイラつくやつだな。誰も助けになんか」
男 「すいません」
不良1 「うわっ!?」
不良2 「んん?」
男 「彼嫌がってるから離してあげてくれませんか?」
不良1 「ああ!?」
男 「それとそこの人。彼は今から病院行くらしいです。お金も返してやってくれませんか?」
不良2 「……なんだよテメー」
男 「お願いします。この通りです。彼に財布を返してやってください」
不良1 「ふざけんなよテメー」
グイ
男 「……」
グルッ
不良1 「い!? 痛ぇ!」 (て、手首が!?)
男 「お願いします」
不良1 「わ、わかった……おい」
不良2 「……チッ、ほらよ」
男 「ありがとうございます」
不良1 「テメー、顔覚えたからな」
男 「気を悪くさせたらすみませんでした」
不良1 「チッ! 行くぞ」
不良2 「ケケケ……」
中学生 「あ、ありがとうございました!」
男 「ううん、どういたしまして。気をつけてね。この辺結構治安悪いからさ」
中学生 「はい、僕も知ってはいたんですが迂闊でした。今度からは表の方を歩きますね」
男 「うん。その方がいいよ。じゃあ俺はこのへんで」
中学生 「あ、あの!」
男 「ん?」
中学生 「凄い勇気あるんですね! 本当にありがとうございました!」
男 「勇気? ハハハ、『勇気』なんかじゃないよ」
中学生 「え?」
男 「だってほら、俺の身体。今こんなに震えてるだろう?」
今日はこれまでです。
短すぎんだろこれ…… orz
いつも見てくれてる方本当にありがとうございます。
明日は頑張りたいと思います。
>>156
なんで陸地にある神社に救急車の代わりにタンカーがくるんだよ
翌日 学校 放課後
友 「女さん」
女 「あ、友君」
友 「今日から登校するって聞いてさ。怪我の具合はどうなの?」
女 「うん、あたしはもう大丈夫。元々そんなに大した怪我してなかったし」
友 「そ、そうなんだ。それは良かった。さすが鍛えてるだけあるな」
友 (師範が警察から聞いた話では、強力な改造スタンガンを首筋に喰らったって聞いたんだけど……)
女 「ううん、全然鍛え足りないよ。結局返り討ちに遭っちゃったし」
友 「それはあいつらが卑怯な真似したからじゃ……」
女 「実戦では卑怯とか関係ないよ。あたしもそれはわかってるつもりだったんだけど……ね」
友 「あ……そう。君は何か色々な意味で凄いな」
女 「え?」
友 「というか良い意味でも悪い意味でも女子高生っぽくない。まるで現在に生きる侍だな」
女 「ハハ、何それ。そんなカッコいいものじゃないよ? あたしは」
友 「いーや、教室で怒鳴っていた時の君は、まるで吉良邸に討ち入る前の赤穂浪士みたいだったぜ」
女 「……忠臣蔵知ってんの?」
友 「全然シラネー。適当に言ってみた」
女 「プ! アハハ何それ! ホント、適当だなぁ。例えも全然上手くないし。
でも友君って結構おもしろいこと言う人なんだね」
友 「そんなことねーよ。タマに間が抜けるだけだっての」
女 「自分で言う? 変な人」
友 「でもさっき俺が言ったことは撤回しておくよ。君はやっぱり女子高生っぽいわ」
女 「んん?」
友 「笑い方とかさ。すごく無邪気で良かったぜ。おっと勘違いするなよ。
別に口説いてる訳じゃないからな」
女 「それはどうもありがとう」
友 「いえいえ。男や女友さんが帰ってくるまで君もモヤモヤするだろうし、
話相手ならいくらでも付き合うよ」
女 「……あたしは他にも友達いるけど」
友 「『あたしは』って何だよ!? 俺にだって男以外にも友達いるわ! ぼっちか俺は!」
女 「冗談冗談。友君の言いたいことわかるよ。あたしも女友がいないとやっぱり……ね」
友 「まぁそれは俺も一緒だよ。確かに他にツレはいるけど正直男がいないとなんか調子狂うんだよな。
でも男は今一週間謹慎中だし……。
ったく先公共め。俺や女さんの話を聞かずに勝手に男に謹慎出しやがってよ……」
女 「でもあたしは逆に一週間の謹慎ぐらいで済んでよかったかなって思ってるんだ。
もし退学とかになるんだったらあたしも学校辞めようって思ってたし」
友 「……何で女さんまで辞めるつもりだったんだよ」
女 「それは……だって」
女 「……」
友 「……」
友 (この話題にはあまり触れない方がよさそうだ……。男、色々な意味で頑張れ)
友 「まぁ別にいいや。それより女友さんはどれぐらいで退院できそうなんだ?」
女 「明日退院だよ。それで明後日から登校するって」
友 「え、そうなの。大丈夫なのか? 女友さん」
女 「他の怪我はもう大丈夫みたいだけど、右腕はまだ折れてるからギプスを付けての登校になるね。
でも女友は左利きだから授業は問題ないはずだよ。あたしも全力でサポートするしね」
友 「いや、身体的には大丈夫かもしれないけど精神的にはどうなのかな……ってさ。
ほら、俺が見た時はかなりやられてたから」
女 「女友なら……多分大丈夫だと思う」
友 「それは何で?」
女 「昨日お見舞いに行ってきたんだけど女友結構元気だったから」
友 「それは君に気を使ったんじゃないか?」
女 「見くびらないでね。あたしと女友は本音や悩みを言い合うことで
ちょっとずつ近づいていって親友になったんだよ。
今更そんなことなんかで気を使わないよ。
怖かったりトラウマになってたらあたしにいってくれると思うし」
友 「そうか。女友さんは強いんだな」
女 「女友は強いよ。それにあたしなんかよりよっぽど人間ができている」
友 「そうかな? 今回の件はちょっと無謀だったと思うけど君は君で立派なんじゃないかな。友達想いだし」
女 「どうかな……あたしは…………だって……」
友 「だって?」
女 「ううん、いい。忘れて」
友 「は、はあ」
女 「そういえば友君も女友助けてくれたんだよね。お礼言わなきゃ。女友を助けてくれてありがとう。
それとこの間は怒鳴ったりしてごめんなさい」
友 「怒鳴ったのは女友さんが傷つけられたのが理由だし、
それにあの時は俺はただ駆けつけただけで何もしてないよ。あいつらを追い払ったのは実質、師範だし」
女 「ううん、気が短いのはあたしの短所だし、それにあの時は友君もいたから女友は助かったんだと思う。だから本当にありがとう」
ペコ
友 「ああ、まぁそれなら……一応どういたしまして」
友 (女さん、普段は本当に礼儀正くて良い人なんだな。あの時の女さんが嘘みたいだ)
女 「そういえばあたし女師範さんにもまだちゃんとお礼言ってないや。
近々お礼言いに向かわなきゃいけないね」
友 「あ、そのことなんだけどさ。うちの師範が今日女さんの都合がよかったら
道場に連れて来てほしいって言われてるんだよ。女さん、今日何か予定ある?」
女 「え? 師範ってあの時、友君と一緒にいた女師範さんのことだよね。その女師範さんがあたしに?」
友 「そうなんだよ。多分、今回の事件のあらましとか現状の説明とかするんじゃないの」
女 「そうなんだ。女師範さんがあたしにか。
ねぇ、女師範さんって友君と男君のお師匠様なんだよね?」
友 「ん? そうだよ。女師範さんは俺達の流派の先生だよ」
女 (だとしたら男君が奴らに遣ったあれらの技を教えた人ってことになる……)
女 「うん、わかった。今日は何もないから今から伺わせて頂いて構わないかな?」
友 「今日師範は一日道場にいるらしいから大丈夫だと思うぜ」
女 「よし、それじゃ行こうか友君」
何故タンカーと打った俺 恥ずかしくて死にたい…orz
とにかくこれにめげずに最後まで書きたいです。
ではでは!
タンカーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
水に流してってか海に流してwwwwwwwwお願いしますwwwwwwwwwwwwwwww ハズカシクテシニテーwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
昨日はいきなり休んですみませんでした。
ちょっとこれから仕事が忙しくなってくるので毎日投下できるかわかりませんがなるべくがんばって書きますのでよろしくお願いします。
では投下します。
道場
ガララ
友 「失礼します!」
女 「失礼します」
女師範 「……」
女 (女師範さん。道場の中心で黙想してる)
女 「タイミング悪かったかな?」
友 「いーや大丈夫。師範はいつもこの時間はああやって黙想してるのさ」
女 「そうなんだ」
女 (凄いな……。黙想してるだけなのに女師範の武に対する覚悟がハッキリと見える。女師範さんもまぎれもなく武道家なのね……)
友 「でも……あれ……?」
女 「どうしたの?」
友 「師範の胴着がいつもと違う」
女 「え?」
友 「いつもは濃紺の胴着なのに今日は白い胴着だ。あんなの初めて見た」
友 (てかいつもより綺麗でドキドキするぜ)
女 「あ……そうなんだ」
友 「師範……一体……」
女師範 「来たか」
友 「あ、師範。お疲れ様です」
女 「こんにちは、女師範さん」
女師範 「ああ、今日は急に呼びたてて悪かったね女さん」
女 「いえ、あたしの方こそ改めてお礼言わなきゃいけなかったのに遅くなってすみませんでした」
女師範 「まぁそんな玄関先で話すのも野暮だし君も道場にあがるといい」
女 「あ、はい。それでは失礼します」
女師範 「そこら辺にかけてくれ」
女 「はい」
友 「あの、俺ははずした方がいいですかね?」
女師範 「いや……友もあがれ」
友 「はい。それでは失礼します」
女師範 「そこら辺にかけてくれ」
女 「わかりました」
スタ
女師範 「ほう……」
女 「え?」
女師範 「いや、君の正座してる姿があまりにも様になってるからな。思わず感心してしまったよ。流石は空手家だな」
女 「いえ……あたしなんて女師範さんに比べたらまだまだ子供みたいなものです」
女師範 「おいおい、私だってまだまだ若輩者だぞ。うちの先代が早く隠居したから
一応道場主をやってはいるが私はまだ28歳だしな。
武を語るにはまだ若すぎると自分では思ってる」
女 「そ、そうなんですか」
女 (あたし達より10歳ぐらいしか違わないんだ……。
意外ね、物腰が凄い落ち着いているように見えるからもっと年上かと思った)
女師範 「私はそんなに老けて見えるかい?」 クスッ
女 「え!? そ、そんなことは無い……と思います」
女師範 「フフフ。男が言った通りの典型的な直情型だな女さんは」
女 「そうですかね……うん、多分そうです。あたし、バカみたいに見えるでしょ?」
女師範 「否、君は確かに周りが見えなくなる時があると女友さんから聞いているが
本当の馬鹿ではなさそうだ。目を見たらそれぐらいわかる」
女 「……ありがとうございます。女師範さんだって全然老けてなんかいませんよ」
女師範 「そうかい?」
女 「はい、そうです。その後ろで束ねてる長くて綺麗な黒い髪、凄く素敵ですよ」
女 (それだけじゃない。顔だって間違いなく美人だっていえる。色んな意味で凄いな女師範さんは)
女師範 「ありがとう。君の言葉、素直に受け取っておくよ。私たちは何だか気が合いそうだな」
女 「あ、はい! そうですね、あたしもそう思います!」
女師範 「フフフ」
友 (何だか楽しそうだな師範。
おそらく同性の武道家ってあんまりいなかったから女さんと話すのが嬉しいん
だろう。
でも良かった。この間から何か様子が変だったからな師範。
女さんとの出会いが良い刺激になってるみたいだ)
女師範 「女さん、身体の方はもう大丈夫なのか?」
女 「あ、はい。もう大丈夫です。所々アザが残っていますけど大したことはありません」
女師範 「……そうか。それは良かった、本当に」
女 「はい……そのことなんですが、女師範さん、友君。
改めてお礼を言います。
女友とあたしを助けて頂き、本当にありがとうございました」
友 「お、女さん」
女師範 「……頭を上げてくれ女さん」
女 「はい」
女師範 「君は自分のやったことに後悔してるか?」
女 「はい……。後悔してます」
女師範 「それは一体どんな後悔なのだ?」
女 「どんな……後悔?」
女師範 「難しく考えてくれなくてもいいよ。そうだな、言い方を変えよう。
君は今回の事件に自ら身を投じた。
その動機と結果に対する今の君の気持ちを率直に教えてくれないだろうか」
女 「動機と結果ですか」
女師範 「そうだ。変なことを聞いているのは承知している。
だが是非君の口から君の気持ちを聞いておきたい。同じ武道家として、ね」
女 「武道家として……」
女師範 「聞かせてくれるかい?」
女 「……はい。わかりました」
友 「女さん、大丈夫?」
女 「うん、大丈夫だよ。ありがとう友君」
友 「ああ……」
友 (なんだこの雰囲気……)
女 「あたしが最初に女友のことを聞いたのは朝の朝礼でした。
あたしにとってはあまりにも突然のことで……何も考えられませんでした。
その後すぐ男君と友君の話が聞こえてきてあたしは男君に問い詰めました。
何で自分にすぐ教えてくれなかったのかって。
今冷静に考えればおかしいですよね。
あたしと男君はまだ知り合って間もなかったし男君があたしの連絡先なんて知る由も無いのに。
とにかくあたしはその後学校なんかほったらかしにしてすぐに女友の病院に向かいました」
友 (あの時は凄かったよな……。男がぶっ殺されるかと思ったぜ。
まぁあいつも何か煮え切らない態度だったし女さんが怒るのも少しはわかるけど)
女 「病室で女友に会ったとき愕然としたのを覚えてます。
昨日まで一緒にいた女友が全身痛々しい格好でベッドに横になってましたから」
女師範 「そうだな。私も初めて彼女を見た時は言葉を失ったよ。
親友の君なら尚更のことだったろう」
女 「はい……。女友はあたしに抱きしめてくれと言いました。あたしは言われたとおりに女友を抱きしめました。そして女友は……あたしの腕の中で泣きました……。本当に怖かったって」
友 「女さん……」
女 「あたしはまず自分自身に怒りました。何であの時女友と一緒に本屋へ行かなかったのか……行けば女友は襲われることは無かったかもしれないのに」
女 「女友はいつも言ってくれてたんです。女ちゃんはあたしのヒーローだって……」
女 「女友を……あたしの親友を傷つけた奴らを心底憎みました……」
ゾワ…
女 「絶対に……あたしのこの手で……奴らに地獄を見せてやる……そう心に誓いました」
女 「これがあたしの動機です」
女師範 「そうか……わかった」
女 「あたしのしたことで男君をはじめたくさんの人に迷惑をかけました。
それについては何も言い訳できません。
馬鹿と言われても狂人と言われても受け入れます」
女師範 「それが君の後悔なのか?」
女 「……いえ。訂正します。あたしは後悔なんかしていません」
友 「え、それは……」
女師範 「……」
女 「あたしは自分のやろうとしたことについては後悔なんかしてません。
結果的に返り討ちにあって皆さんに迷惑をかけました。馬鹿なことで謝罪すべきことです。
……ですがあたしとってそれは後悔の原因にはなりません」
女 「ただ一つ後悔するのは女友を守れなかったこと……ただそれだけです」
女師範 「……例えばもしまた同じ状況になったとしたら君はどうする?
同じように復讐の為ならば後先考えず一人で突っ込んでいくのか」
女 「いえ、それはできません。女友ともうそんなことはしないって約束しましたから」
友 「復讐はしないってこと?」
女 「しないわけないよ」
友 「え?」
女 「あたしは自分の大切な人が傷つけられたらこれからも復讐します。
今回とは違うやり方で。
ただ単身で突っ込むような馬鹿な真似はもうしないってことです」
友 「お、女さん……それは」
女 「わかってるよ。馬鹿だって言いたいんでしょ。自分でも馬鹿だってわかってる。
ううん、もしかしたらあたしは気が違ってるかもしれない。
でもね、これがあたしなんだ。
怒りを抑えるくらいなら復讐をした方がマシ、そう考えてしまう人間なの」
女師範 「なるほど。理解した。もう一つ聞かせてくれ」
女 「はい」
女師範 「もし、今度復讐するとしたら次も君は空手を使うのか」
女 「必要ならば戸惑うことなく使います。あの時の男君みたいに」
友 「な!?」
女師範 「……」
女 「友君ごめんなさい。幻滅したでしょ? でもこれが本当のあたしなんだ」
友 「い……いや」
友 (何だ……? 男の名前を言ってる時のあの女さんの表情。
一瞬目の色を失ったような……)
女師範 「ククク……」
友 「し、師範?」
女 「……」
女師範 「アハハハハ!」
女 「……女師範さん?」
女師範 「いや、すまない。君があまりにも自分に正直な人間だからつい、な。
いや、いきなり笑って申し訳ない」
友 (師範のあんな笑い方はじめて見た……何かさっきからこの雰囲気色々ヤバくないか?)
女師範 「でも私は君見たいな人間は嫌いじゃない。むしろ人間として好きなタイプだ」
女 「あ、はい。そうですか」
女師範 「そうだとも。君は愚直だ。それはひとえに言うと短所であるかもしれない、
だけどここまで自分の意思を貫けるのは並大抵のことじゃない。
君の良い所はその意思の強さだ。
やはり君も武士(もののふ)なんだな」
女 「ありがとうございます。本当にあたしはどうしようもない人間ですが、
女師範さんにそんなこと言われると……凄く嬉しくなってきちゃいます」
女師範 「私も何だか君と話してると楽しくてね。
ハハハ、私たちは案外似た者同士かもしれないな」
女 (女師範さん。なんて凛々しい女性なんだろ。
厳しさの中にも気品が溢れてそれでいて優しい。
もしかしたら女師範さんはあたしの理想の人なのかもしれない。
できればもっと仲良くなりたいな)
女師範 「ところで女さん。最後に聞いてもいいかな」
女 「あ、はい! 何でも聞いてください!」
女師範 「男のことをどう思ってる?」
友 「ぅい!?」
女 「え……男君……ですか」
女師範 「ああ、そうだ」
女 「そ、それは……」
女師範 「わかりやすく言おうか。恋愛感情として好きなのか、それとも嫌いなのか。
さぁどっちだ」
女 「い、いきなりそんなこと言われても……」
女師範 「じゃあもっと噛み砕いて質問しよう。好きになる可能性があるかないか。
それで答えてくれ」
友 (い、いきなり何聞いてんの師範!?)
女 「それは……その……」 モジモジ
友 (何この人もいきなりモジモジしてんの!? え、もしかしてそういうことなの!?
判り安すぎるだろ!)
女師範 「どうなんだ」
女 「正直に言ってまだわかりません。
でも男君に物凄く惹かれてるのは確かです。
これが恋愛感情なのかはどうかは今はわかりません」
女師範 「では好きになる可能性があるということでいいかな」
女 「は、はい。それで合ってると思います。多分あたしは男君のこと大好きになると思うし」
友 (それ男のこと好きって言ってるのと同じじゃん。
ハー、羨ましいぜ男……。
ちょっとキレ方が尋常じゃないけどこんな可愛い子に好かれてよ……)
友 (まぁ俺は師範一筋だがな!
前言撤回! 羨ましくなんかねぇよバァーロー!!)
女師範 「そうか……女さんの今の男に対する気持ちが中途半端で良かったよ。
早ければ早いほど男も君も傷つかないで済むからな」
女 「え……?」
女師範 「単刀直入に言おう」
女師範 「女さん、君はもう男には近づかないでくれ」
今日はここまでです。なんか思ったより全然長くなってきました・・・。
どうしたものか・・・。
とにかくやるしかないですね。
ではまた失礼します!!
>>1です。
二日ぶりに投下します。
友 「え……し、師範?」
女 「あ、あの……」
女師範 「面食らうのも無理ないだろう。だがもう一度言わせて頂く」
女師範 「もうこの先できるだけ男には近づかないでくれ、頼む、女さん」
女 「それは……あたしがさっき言った様な人間だからですか?」
女師範 「端的に言うとそういうことだ。君は男にとって危険な存在なんだよ」
女 「……そうですか」
友 「あ、あの、それは一体どういうことなんですか師範?
女さんが男にとって危険っていうのは」
女師範 「言葉通りの意味だ。身体的にも精神的にも、な。そうだろう女さん」
女 「あたしは……別にそんな……」
女師範 「君は先刻、男に惹かれてると言ったな」
女 「はい……」
女師範 「それが単なる純粋な恋愛感情ならば、男に近づくななどと無粋なことは言わない。
もしお互いに好き同士なら大いに恋愛をすればいいさ。
だが……君の男に対する感情はそれだけではないのではないか?」
友 「え……?」
女師範 「君は男と闘いたくて仕方が無い、違うかな」
女 「そ、そんなこと……」
女師範 「そうかな。私には君が男に自分の空手がどこまで通じるか試したくて仕方が無いように見える」
女 「そ、それは……」
女師範 「女さん、君らしく正直に言ってくれ」
女 「……」
友 「女さん」
ゾワッ……
女 「……はい、女師範さんの言うとおりです。あたしは男君と闘ってみたいです」
友 「ま、マジかよ」
女師範 「やはりな……」
女 「あれ以来、寝ても覚めても男君のことが頭から離れないんです。
何でこんなに男君に惹かれるのか、自問自答の繰り返しでした。
確かにこの気持ちは恋と言われればそうかもしれません。
現にあたしは彼に……」
友 「?」
女 「いえ……。でも恋というだけでは何かが違うような気がしてならないんです。
まるでそれは気持ちからよりも先に身体全体が彼を求めているような……。
とにかくそんな不思議な気持ちであたしはこの四日間苛まされてきました。
……でも女師範さんの言葉で、今この気持ちの正体に気がつきました」
女 「あたしは男君と交わりたい。女として、そして武道家として」
回想 病院にて
女友 『聞いて欲しい事って何?』
女 『女友はさ。男君のことどう思っているの?』
女友 『……どうって?』
女 『いや、ほら、何と言うか』
女友 『好きか、てこと?』
女 『う……うん、そう』
女友 『そうだねぇ……まぁ好きだよ』
女 『え……やっぱり?』
女友 『だって男君、昔から優しかったし親切だし。
それに何か儚げなところがちょっとほっとけない感じがするし』
女 『うん、そうだよね……』
女友 『でも女ちゃんが男君のこと想ってるぐらいまでは好きじゃないかも』
女 『え?』
女友 『女ちゃん、男君のこと好きになっちゃったんでしょー』 ニヤニヤ
女 『え! い、いや、これはその!』 アセアセ
女友 『フフフ、女ちゃんは可愛いなぁもう!』
ギュウーッ
女 『ああ! そんなことしたら傷に障るよ女友!』
女友 『大丈夫! 女ちゃんだから問題ないのー!』
女 『どんな基準よ……でも何だか落ち着くな』
女友 『エヘヘ』
女 『……』
女友 『……』
女 『あたしね……本当のこと言うと、
今何をするのが良くて何をするのが悪いのか全然わかんないの』
女友 『そうなんだ』
女 『今度男君に会った時、一体あたしは何をするのか。変な話だけど想像できないんだ』
女友 『男君のこと好きなんでしょ?』
女 『わかんない、わかんないよう女友。
これが恋なの? これが恋焦がれる気持ち?
何か違うと思う。何かが違うの女友!』
女友 『女ちゃん……』
女 『あたしの心は男君でいっぱい……。男君に会いたくて仕方ないの……。
でもその時、もしかしたらあたしは……!』
女友 『女ちゃん、落ち着いて』
女 『あたし自分が恐い! こんなの普通の人間じゃない!』
女友 『落ち着いて女ちゃん!』
ガシッ!
女 『あ……』
女友 『女ちゃん』
女 『な、何?』
女友 『あたしは女ちゃんのこと大好きだよ』
女 『うん』
女友 『だから例え女ちゃんがこれからどんなことをしても、
どんな人を好きになってもあたしは女ちゃんの友達だよ』
女 『え……』
女友 『だから女ちゃんは自分のしたいこと、正しいと思ったことをやればいいと私は思う』
女 『でも……あたしは』
女友 『今は自分の気持ちを整理することだけ考えて。結論を急いじゃだめだよ』
女 『うん……』
女 (女友の顔が近い……女友の瞳、透き通ってて綺麗だな)
女友 『もう一度言うよ。あたしは女ちゃんのこと大好きだよ、何があっても友達だよ』
女 『女友……。あたしも女友大好き。絶対、絶対ずっと友達』
女友 『よし! ならもう大丈夫!』
女 (女友。あたしの本当の気持ち、今やっと気付いたよ。
もう迷ったりなんかしない。
あたしは男君が好き、死ぬほど好き。
だから自分の思ったこと、したいことを正直に男君に言うよ。
もしかしたら男君に嫌われるかもしれないし、他の人には軽蔑されるかもしれない。
でもあたしはやっぱり自分らしく正直に生きたいんだ。
ありがとう女友。あたしの、一生の友達)
本日はここまでです。また明日書けて投下できたら投下します!
ではでは!!
>>1です。
投下しまーす。
女師範 「それが君の本当の気持ちなんだな」
女 「はい。混じりけの無いあたしの本当の気持ちです。
この気持ちに確信が持てたのは女師範さんのおかげです。
ありがとうございました……てのは変ですよね」
女師範 「はぁ……まさか私が君の心の導火線に火をつけることになるとはな。
それで、私の頼みは聞いてくれるのだろうか」
女 「……ごめんなさい、それは無理です。あたしは男君に会います。そしてあたしのこの気持ちを正直に伝えます」
女師範 「そうか……なら私はそれを全力で止めるだけだ」
女 「それは……あたしと今ここで立ち合っても止める……ということですか」
女師範 「そうだ。できればこれだけは避けたかったのだがな」
ゾワゾワゾワ……
友 「ちょ、ちょっと待ってください師範!」
女師範 「……」
友 「女さんの気持ちはわかりましたが、何故それで師範と女さんが立ち合わなければいけないんですか!?」
女 「……」
女師範 「それは先刻言ったとおり、この女が男にとって危険すぎるからだ」
友 「それだけではわかりません!
確かに女さんは男と手合わせしてみたいと考えているようですが、
それはあくまでも手合わせで殺し合いを望んでるわけじゃありません!
何故それが危険な行為になるのですか!?」
女師範 「それはそこの女さんに聞いてみろ。彼女が望んでるのが本当にただの手合わせなのか」
友 「え……」
女 「……」
友 「なぁ女さん。女さんはただ男が強いからちょっと手合わせしてみたいだけだよな?
武道家として少し実力を見てみたいだけなんだろ?」
女 「……友君。あたしは男君と本気の闘いを望んでるよ。
それこそルール無用の果し合い、をね」
友 「な、何だって……」
女 「もちろんこれは男君が承知の上での話だけどね。でもきっと男君は承知してくれると思う」
友 「男が大怪我をしても良いというのか!? 君は男の事が好きなんだろ!?
好きな相手を君は本気で殴れるというのか!?
わかっていると思うけど女さんの拳は下手したら凶器と一緒ぐらい危険なんだぞ!」
女 「男君のことは……大好きになるかもとは言ったけど……。
いや、前言撤回するね。
あたしは男君のことを愛してる。心から愛してる」
友 「だったら!」
女 「だからこそ男君もあたしに本気で向かってきて欲しい。
もっと言ったら男君の武であたしを傷つけて欲しいの。
あたしは男君の全てを受け止めたい」
友 「ふざけんなよ!! 君は男と知り合ってまだ一ヶ月も経ってないんだぞ!!
君に男の何がわかるって言うんだ!!」
女 「わかるよ。だって男君はあたしと同じタイプの人間だから」
友 「何だと……?」
女 「あいつらを攻撃してるときの男君を見て感じたの。
男君は心に獣を飼っていて、そしてその獣はついに解き放たれたんだって。
そして、それはあたしも同じ。
男君の獣を感じて、あたしの心の獣も解き放たれた」
友 「男はそんな狂人なんかじゃない。狂ってるのは君だけだ!」
女 「そうだね……あたしは狂ってる。でもあたしのこの気持ちは誰にも止められない。
友君や女友、例え柔術の達人の女師範さんでもね……」
友 「て、てめぇ……!」
女師範 「友、もういい」
友 「しかし師範!」
女師範 「この女がどういう人間かこれでわかっただろう友」
友 「ええ……。まさかここまで凶暴な人だったとは」
女 「……」
女師範 「女さん、確かに男は君の言ってるような人間で間違いないだろう」
友 「師範まで何言ってるんですか! 男はそんな人間じゃ!」
女師範 「認めろ友。男は自らに獣を飼っている。
それは日々男と鍛錬している私たちが良く知ってるはずだ」
友 「え……」
女師範 「心当たりがあるんじゃないか。
何故男がお前に本気を出さずに私には出すのか。
それは親友のお前に怪我をさせてしまう恐れがあるからだ。
そして師範の私には本気でぶつかることができたからだろう」
友 「そ、そんなことあいつは一言も……!」
女師範 「言うはずがない。本人だって気付いてなかったのだからな」
友 「……師範は気付いていたというのですか?」
女師範 「前に男と私が乱取りを行った時に、男がかけた技を覚えているか友」
友 「え、は、はい。覚えていますよ。師範が返したやつでしょ」
女師範 「あれは基本の投げ技を応用した禁じ手の一つだ」
友 「そ、そんな……」
女師範 「奴ら、外道の仲間の一人にその技を受けたと思われる奴がいた。
顔面を床に叩きつけられて悶絶してた奴だ」
女 (あの時のあれがそうだったんだ)
女師範 「乱取りの時は偶然その形になったと思ったのだが、そうでは無かった。
男は、その気になれば相手の今後の人生など気にも介せず禁じ手を使う人間だということだ」
友 「でも……でも何で急に男がそんな人間に!?
あいつはビビリだけど本当は優しいやつなんですよ!? それが一体どうして!」
女 (うん……。男君は優しい。あたしが男君を好きになった理由の一つ)
女師範 「男の過去に何があったかは知らないが、私にはその優しさが男の持つ凶暴性と表裏一体のように思える。
そして男のその気持ちが裏返ったきっかけが、女さん、君だ」
女 「……」
友 「女さんが……」
女師範 「さっき君本人が言っていたことだが、男は男で女さんが持ってるその内なる獣に無意識に惹かれたんだろう。
そして互いに惹かれ合い始めたときに、今回の事件がこの二人の獣性を呼び起こしてしまった」
女 「……さすが女師範さん。冷静な分析ありがとうございます」
女師範 「冷静だと……! この今の私を見て冷静だというのか……」 ギリリッ
ゾワゾワゾワゾワッ……!!
友 「し、師範!?」
女 「……」
女師範 「……だが一つだけ君の言ったことを訂正させてもらうぞ女さん」
女 「……何ですか」
女師範 「私が思うところまだ男は完全には獣性を解き放ってないはずだ。
男は心優しい人間であることは親友の友と同じぐらい私も知っている。
だからそんな男が一度ぐらいで完全な狂人になるはずがない」
女 「そうですかね」
女師範 「そうだとも! まだ男は修正可能だ。私が男に正しい道を教える。
男に修羅の道を歩ませる訳にはいかない」
女 「男君が本当にそう望んでるとお思いなんですか?」
女師範 「そうに決まっている! だから男はいつもあんなに臆病なのだ。
本当は誰かを傷つけるのを恐がっているんだ男は!」
女 「……確かにそうかもしれません。でも男君は……」
女師範 「……もう一度言う。女さん、男にはもうこれ以上近づくないでくれ。
これでわかったろう。君は男には危険過ぎて相応しくない。
黙って男から離れてくれ」
女 「……嫌だ、といったら?」
女師範 「先刻言ったとおり今ここで私と立ち合ってもらう。これは警告だ女さん。
無事には済まない」
女 「じゃあ、あたしの答えは初めから決まってます。
答えはノーです!
あたしは男君と会います! それからのことは男君の答えを聞いた後で決めます!!」
女師範 「……駄目だ。男の元には行かせない」
ゴゴゴゴゴゴゴ…………
女 「……本気なんですね、女師範さん」
女師範 「本気だとも。私は今この場で立ち合いを所望だ、女さん」
女 「わかりました……ではあたしに一つ胸をかして下さい、女師範さん」
女師範 「上等だ」
友 「ちょっと待ってって言ってるでしょ二人とも!! 師範! おかしいですよこんなの!!」
女師範 「おかしいことは百も承知だ。
他流試合を禁止している私が、自ら立ち合いを所望しているのだからな」
友 「それなら!!」
女師範 「だがこの女に男を渡すわけにはいかない! 絶対にだ!!」
友 「な……!! ど……どうして師範はそこまで男のことを!? 一体どうしてですか!!」
女師範 「……それは」
女 「女師範さんも惹かれているんですね、男君に」
女師範 「……」
友 「ク……クソ……!?」
女師範 「……友」
友 「……何ですか」
女師範 「只今をもって私は自らを破門にする」
友 「な……!?」
女 「……」
女師範 「今悟った。私は指導者失格だ。だから今日限り私の札を外すことに決めた」
友 「な、なんで!?」
女師範 「今の私の気持ちの中に私欲が混じってしまっていることに気付いてしまった。私は武道家としても三流だったみたいだ……。
こんな半端者が偉そうに指導をしていたのだ。破門にするのは至極当然だろう……」
友 「……ざけんなよチクショウ……!! 俺は……一体どうしたらいいっていうんだよ!? 答えてくれよ師範!!」
女師範 「友……お前には本当にすまないと思っている。だがこれは私個人の問題だ。
お前には関係ない。
だが今までこんなくだらない師範の元で良く頑張ってくれた。
お前は私の自慢の弟子だ」
友 「師範!!」
女師範 「……本当に下らない私の、師範としての最後の頼みだ。
友、この仕合の立会人となってくれないか。変わりにこの道場をくれてやる」
友 「ク……!!
……見損ないましたよ師範。結局、師範もやろうとしてることは女さんと同じだ」
女師範 「そうかも……しれん。否、そうなのだろうな」
友 「最低ですよあなたは。武道家の風上にも置けない」
女師範 「……」
友 「でも……でも……! あなたの頼みなら聞けないはずないじゃないですか!!」
女師範 「友……」
友 「わかりましたよ! この仕合、この俺が見届けさせて頂きます!
二人で思う存分闘りあったらいいじゃないですか!!」
女師範 「ありがとう、友」
女 「ごめんね……友君」
友 「くだらねぇ……本当にくだらねぇよ……こんなの」
女師範 「さて……待たせたな女さん」
女 「いえ……。でもさすが女師範さんですね。その自分への厳しさ、凄いと思います」
女師範 「よしてくれ。こうなった以上私はただの女だ。武道家でもなんでもない」
女 「でも女師範さん、あなたはあたしにとってはやっぱり尊敬に値する人です」
女師範 「ならば私も先刻言った言葉に嘘偽りは無い。女さん、君は私にとっても魅力的だ」
女 「……ありがとうございます」
女師範 「それだけに残念だ。共感の持てる君をこの手で破壊しなければならないとは」
女 「あたしはそう簡単には倒せませんよ?」
女師範 「そうかな、素人四人程度にやられた空手などたかが知れている」
女 「……!」 ギリリリッ!
女師範 「そうだ……。それぐらいの殺気で向かって来い。悔いが残らないようにな」
女 「もう……これ以上あたし達に言葉は要らないでしょう」
女師範 「そうだな……。
では始めよう、下らない女同士の意地の張り合いを」
女 「いざ……」
女師範 「尋常に……」
女 女師範 「「勝負!!!」」
ダンッ!!
本日は以上です。
女さんと女師範さんは闘って見せたかったのですが
何か前置き長かったな……。
では失礼します! また次回よろしくお願いします!
投下いたします。
ダダダ!
女師範 (真直ぐ向かって来るか。君らしいな)
女 「……」
女師範 (右半身の構え。
そこから出るのは右の正拳突きか、もしくは右の回し蹴りか。
いずれにせよ受け流してみせる。そして一撃で決める……!)
女 「!!」
女師範 「来い!」
バッ!!
女師範 「な!?」
友 (と、飛んだ!?)
女 「ハアアア!!」
女師範 (跳び蹴り!? しかし何という跳躍力!)
女 「セイヤッ!!」
ガキッ!!
女師範 「ク!?」
女 「チッ」 スタ
女師範 (何とか防御が間に合ったが、もしまともに喰らってたらそれで終わってたな……)
女 「凄い反応ですね……。決めるつもりだったのに」
女師範 「あまり舐めてくれるな。そんな奇襲でやられる程私は柔ではない。
君とは違う」
女 「……どういう意味ですか?」
女師範 「怒りで周りが見えず罠を喰らう君とは違う、と言っているんだ」
女 「……いちいちイラつくこと言うんですね」
女師範 「それがどうした、私はもっとイラついている……。
今度はこちらからいくぞ」
タン!
ガシ
女 「え!」
女 (は、早い! いつの間に左手を掴まれたの!?)
女 「く!? セイ!!」
女 (右手の正拳突き! 顔面を狙う!)
女師範 「シィッ!!」
ベキッ!
女 「!??」
友 「顔面への頭突きっ!?」
女 (しまった……!)
女師範 ニヤァ
グワルン!
女 (これは男君のあの時の投げ!? 受身が間に合わない……!)
ドシャア!
女師範 「フフフフフ……」
女 「カ……カハッ!」
女師範 「勝負あったな。
一瞬体勢をひねって顔面への直撃は避けたのは見事だが、
変わりに後頭部を強打した」
女 「う……うう……」
女師範 「今君は酷い脳震盪に襲われているだろう。立ち上がることもできまい」
女 「……」
女師範 「わかったか? これが柔術だ。
君の空手など長年培ってきた私の柔術に敵うはずがない。
この勝負、私の勝ち」
女 「セエエエエイイイ!!」
グワキイッ!!
女師範 「グハッ!?」 ズシャアッ!
友 「師範!?」
女師範 「ガ、ガハッ! ゲホッゲホッ!!」
女 「フシュウ……」
女師範 (い、一瞬にして立ち上がりながらの足刀!?
まずい、喉にもろに喰らってしまった!)
女 「何闘いの最中にベラベラ言ってるんですか?
勝負はまだ付いてないですよ。
あなたほどの人がそんなこともわかんないんですか?」
女師範 「ク……!?」
女 「仕合続行……です」
女師範 (ク、クソ! ま、まだ呼吸が!?)
女 「セイヤ!!」
女師範 (右回し蹴り!)
ブン!
女 (かわされた! だけど!)
女 「まだまだあっ!!」
友 (右の回し蹴りの遠心力を活かした左の回転中段蹴り!)
ドスッ!
女 (水月に入った!)
女師範 「……グボァ!」
女 ニヤッ
ガシイッ!
女 「な!?」
女師範 「……デヤアアア!!」
ブワン!
バアアァン!!
女 「グハッ!?」
友 「足を腕に見立てた体落し……。なんだよ……なんなんだよこの闘い!?」
女師範 「ゼェー! ハァ!! ゼェー! ハァ!!」
女 (女師範さん……わざと中段蹴りを水月に喰らったんだ……。
さっきの足刀で麻痺してた呼吸を無理やり呼び戻すために)
女 「ア……アア……」 グラ……
女 (視界がぼんやりして気持ち悪い……吐き気がする。
そりゃそうか……あんな投げ二回も喰らったんだもん。でも……)
女師範 「ゲボッ!」 ビチャビチャ
女 (ダメージは五分五分といったところ。だから……)
グググ……
女 「まだ……いけますよね……」
女師範 「ハァ……ハァ……。当たり前だ、こんなもので倒れるわけにはいかない」
女 「さすがです、女師範さん」
女師範 「……君もな」
女 (次で……!)
女師範 (決める……!)
友 「師範!! 女さん!!」
女 「ハアアアアアアア!!」
女師範 「来い!!!」
女 (女師範さんにもう小細工なんか通用しない! ただ真直ぐに!)
女師範 (筋肉の動き、視線、構え、これらから出す女の最後の攻撃は!)
女師範 「これだぁ!!」
ガシイィ!!
女師範 (右の正拳突き! これを完璧に受け流す!!)
女 (よ、読まれた!?)
女師範 (そしてこのまま叩きつける!!)
女師範 「テリャアア!!」
グワルン!!
女 (動け!! まだ反応しろあたしの身体!!)
女 「!!」
女 「セイイイ!!!」
バシイィッ!!
女師範 「クァ……」
女 「……」
友 (師範が投げに移行した瞬間に合わせての頭部への回し蹴り。
投げの回転もかかってたから威力も倍増してる……)
友 「師範……!」 グググ……
女師範 「ウ……」
ズ……サ……
友 「師範ーーー!!!」
女 「ハァ……ハァ……ハァ」
今日はこれで終わりです。
戦闘シーンは箇条書きにしようかこのまま台詞だけでいこうか非常に迷ったんですが今回は後者にしました。
効果音ばかりで非常に幼稚に見えますがすみません。
友が不憫設定なのは仕様ですが、多分一番まともですね彼は。活躍させてみたいです。
セリフが寒い……はい、それも仕様です。すみません。でも書いて見たかったんです (;ω;)
次回はまた明後日ぐらいになるかと、では失礼します!
ここまで読んでくださいましてありがとうございました。
三日ぶりの>>1です。
昨日は投下できずすみませんでした。
では投下します!
友 「師範! 師範!! しっかりしてください!」
女師範 「……」
友 (気を失ってはいるが呼吸はしっかりしてる……)
友 「ク……! 師範……!」
女 (強かった……本当に強かった。少し前のあたしなら確実に負けていた。
間違いなく女師範さんのおかげであたしは成長できたんだ)
女 「女師範さん……ありがとうございました」
友 「ううう……」
女 「友君。こんなことになってしまって本当にゴメンね。
女師範さんは何も悪くないのに……。全部あたしのせいだから」
友 「……」
女 「責任は全部あたしがとるよ。学校も空手もやめる。警察にだって行ってもいい。
でも、今だけは……このまま男君のもとに行かせて。お願いします」
友 「……」
女 「じゃあ……あたし、行くね」
ガラララ
友 「待ちやがれ!! 女、貴様ああ!!!」
女 「友君……」
友 「何勝手なこと言ってやがる……!」
女 「え……」
友 「責任はあたしが全部もつだと……? フザけんじゃねえ!!
学校や空手をやめるだぁ? そんなことどうだっていいんだよ!!」
女 「……」
友 「勘違いすんなよ! やめたきゃ勝手にやめればいい!
……でもな、そんなことで責任なんか果たせねぇんだよ」
女 「……どういう意味?」
友 「いいか、これは仕合だ。
仕合の理由は俺から言わせればクソ以下のしょうもねぇモンだが、これは歴とした仕合なんだ。
師範だってそれは承知の上だったはずだ」
女 「そうだね、あたしと女師範さんは確かに仕合をした」
友 「だからどっちが勝ったって互いに相手を痛めつけた責任なんてあるわけないんだ……。
けどな……!」
女 「けど……?」
友 「あんたは俺のこの気持ち……師範を想うこの俺の気持ちをないがしろにしやがった……!」
女 「そう……そうなんだ。ゴメン、知らなくて」
友 「謝罪なんていらねえし関係ないだろとも言わせねえぞ……。
師範を倒したあんたはもうすでに俺の敵なんだからな」
女 「……それで友君はどうしたいの」
友 「決まってらぁ! ここで俺と今すぐ立ち合え女ぁ!!」
女 「……それはできないよ」
友 「てめえ!! この期に及んで!!」
グイッ!
女 「グ……! お願い! 友君聞いて!」
友 「どうした……。
さっき師範にやったみたいに俺もその自慢の空手でぶちのめしてみろよ!」
女 「あたしは友君に何をされても文句は言えない!
だけどあたしは君とは闘えない! 闘えないの!」
友 「……」
女 「うう……」
友 「……理由を言ってみろよ。
くだらねえ理由ならこのまま頭から床に叩きつけてやるからな……!」
女 「うん……それでいい。だから聞いて。
友君、君と闘えない理由は女師範さんの為なの……!」
友 「……何だと!」
女 「あたし、女師範さんと拳を交えたからわかる。
やっぱりこの人は凄い人、尊敬できる人だよ。あたしなんか到底及ばない」
友 「……白々しい。そんな師範をてめえはぶちのめしたんだぞ。
てめえは絶対許さねえ」
女 「友君は女師範さんのこと本当に大好きなんだね」
友 「そんな簡単なもんじゃねえよ。師範は俺の憧れであり目標だ。
今の俺があるのはこの人のおかげだ」
女 「だからだよ友君。そんな君だからこそ、女師範さんには君が必要なんだよ」
友 「……」
女 「女師範さんはこの後目覚めたら、さっき自ら言ったとおり必ずこの道場からいなくなると思うの。
ううん、もしかしたらこの町からもいなくなるかもしれない」
友 「ク……!」
女 「でもそんなことあっていいはずがない。
だって女師範さんはあたしが思っても素晴らしい人だってわかるから。
それを止めれるのは友君だけなんだよ」
友 「……てめえに何でそんなことがわかる」
女 「友君は女師範さんのこと凄い想ってるんだもん。あたしが男君を想うみたいに。
だからお願い! 友君はこのまま女師範さんの側にいてあげて!」
友 「偉そうに言ってんじゃねえ!!
てめえはそこまでわかっていながら師範と立ち合ってぶちのめしたんだ!!
そんな奴が何ペラペラわかったこと言ってやがる!!
うぜえんだよ!!」
女 「ぶちのめすよ!! だって恋敵だもん!!」
友 「な……!?」
女 「あたしだって立ち合う少し前に憧れたよ女師範さんに!
だって凄く毅然としてるし、見ず知らずの女友だって助けてもらったし、
なによりあたしたちと大して年変わらないのに武道家の鑑みたいだし!
あたしなんてまだこんなに見かけも頭も全然青二才だし!!」
友 「お、おい……」
女 「でもそんな女師範さんでも男君のことだけは絶対譲れない!!
ううん! 例え女友でも絶対譲らない!!
あたしは男君のことが好きで好きで好きで好きで好きでたまらないのーーーー!!」
友 「……」
女 「だからあたしは女師範さんと勝負した! 近づくなって言われたから!!
でもそんなの無理に決まってんじゃん! だから女同士で白黒つけたの!!
わかった!?」
友 「……わかんねえよ。そんな下らねえ理由は……」
女 「そうだよ! 下らないよこんなの!
だから女師範さんがこんなことで自分を破門にするなんて絶対おかしいの!
だから友君は女師範さんのこと説得してあげて!
お願いします!」
友 「……」
友 「……チッ」
パッ
女 「と、友君」
友 「勘違いするな。俺はまだあんたを許した訳じゃないからな。
それにその理屈じゃ、師範の弟子としての敵討ちを止める理由にはならない」
女 「うん……そうだね。敵討ちということだったらあたしはもう何も言えないよ。
でもそれでもあたしは友君と闘えない」
友 「何故だ」
女 「だって友君は凄く良い人だから……。男君の親友ていうのも頷けるし」
友 「じゃあ……俺がもしそっちの気があって、男を狙ってるから女さんは手を出すなって言ったら?」
女 「立ち合うよ。いくらでも」
友 「どんだけ極端なんだよこの女……」
女 「まさか……冗談だよね……?」
友 「冗談に決まってるだろ」
女 「ホッ……良かった」
友 「……もう行けよ。俺の気が変わらない内に」
女 「うん……。あ、あのさ友君」
友 「何だよ」
女 「もし……許されるのなら……あたし、最後にもう一度またここに来させてもらってもいいかな……?」
友 「好きにしろよ……」
女 「うん……。 ありがとう友君」
友 「だけど一つだけ条件がある」
女 「え?」
友 「女さんが考えている責任というやつ……。もう一度ここに来てから考えろ。
勝手な真似していなくなったら俺は今度こそ絶対許さないからな」
女 「! ……うん、わかった。やっぱりとっても優しいんだね、友君は」
友 「うるせー。早く言っちまえよ」
女 「うん。じゃあ……失礼します。女師範さん、友君、本当にありがとうございました」
ガラララ
・
・
・
・
・
女師範 「……行ったか」
友 「……いつから起きてたんですか師範」
女師範 「お前が女さんの胸倉を掴んでた時ぐらいからだな」
友 「そうですか……。今氷嚢を持ってきます」
女師範 「すまない」
タッタッタッ
友 「はい、どうぞ」
女師範 「ありがとう」
友 「身体はどうですか?」
女師範 「問題ない。首が多少痛むがニ、三日すれば治るだろう」
友 「そうですか、良かったです」
女師範 「ああ……」
友 「……」
女師範 「……何も聞かないのか?」
友 「何をです?」
女師範 「私がどうしてこんな仕合を望んだのか……とか」
友 「もうどうでもいいです、そんなことは」
女師範 「そうか……」
友 「ただ一つだけ言わせて頂くなら、もし師範がこのまま道場を去るなら俺も一緒に去るということです」
女師範 「それは……」
友 「俺はあなたに着いていきますよ、どこだろうとね」
女師範 「ハハ、学生のお前が一体何を」
友 「俺は本気ですよ師範」
女師範 「う……」
女師範 (友の目が……こいつ、本気だ)
友 「だから……お願いですから俺の前からいなくなることだけはやめてください」
女師範 「……女さんから言われたとおりに私を説得するつもりか?」
友 「……」
女師範 「私には……もう、無理だ。
私は自分を抑えることができなかった。私欲のまま武を振るってしまった。
自分を戒めることができず何が武道家だ。
私は自分に愛想が尽きてしまったよ」
友 「……そうやってカッコつけたら満足なんですか?」
女師範 「なんだと……?」
友 「師範、確かにあなたは俺と男の師範ですが年は十も違わないんですよ。
そんなので武を極めたつもりだったんですか?」
女師範 「そんな気など毛頭ない! 私はただ……!」
友 「ただ……何ですか? どうせ指導者として恥ずかしくなったとか言うんでしょ。
そんなの独り善がりですよ!」
女師範 「う……」
友 「あなたはまだ未熟なんでしょ? 自分でよく言ってたじゃないですか」
女師範 「そうだ……私はまだまだ未熟者だ……」
友 「だったらもう一度、一からやり直しましょう。師範の思う武に近づく為に」
女師範 「……私にできるのだろうか? こんな汚い心を持った私に……」
友 「師範になら絶対にできますよ。
一人でしんどいのならば俺も手伝います。
いえ、是非手伝わせて下さい、お願いします」
女師範 「友……お前はどうしてそこまで……」
友 「……正直に言います。
俺はあなたの側にいれればそれでいい。だけど師範は今の俺になんか興味ないでしょう」
女師範 「そんなことはない。お前は私の自慢の弟子だ」
友 「ありがとうございます。
でも俺はそれだけじゃ嫌なんです! ただの弟子なんかで終わりたくない!
俺はもっと強くなりたいんです! 女さんより男より、そして師範、あなたより!」
女師範 「友……」
友 「強くなって……いつか俺はあなたが夢中になれるような人間になりたいんです。男なんかよりずっと」
女師範 「……」
友 「師範、お願いします。俺にまだ武道を教えて下さい。俺には師範が必要です」
女師範 「……」
女師範 「……わかった。恥ずかしいことだが、もう一度お前の言うとおりやり直してみることにするよ……」
友 「師範……!」
女師範 「でもその前に……一つだけお前に頼みがある……」
友 「何でも言ってください。俺ができることならば」
女師範 「さっき、お前は私のことを未熟と言ったよな」
友 「はい、言いました」
女師範 「なら私は……今まだ未熟だから……我慢をしなくてもいいよな……」
友 「師範……?」
女師範 「すまん……ヒック……もうこれ以上……抑えるのは無理みたいだ……ヒック」
友 「! ……わかりました。俺の胸なんていつでもいくらでも貸しますよ」
女師範 「友……!! すまない!!」
ガシッ!
女師範 「ううう……!! あああああ!!!」
ギュッ
友 「師範……」
女師範 「わ……たし!! 負けたぁ!! ううううう!!」
友 「そうですね……」
女師範 「ぐやじい……!! ううあああ!! くやしいよぅ友ぉ…!!」
友 「悔しい……ですよね……」
女師範 「男を……男をとられちゃうよぅ……! うううう!!」
友 「!!」
ギュウッ!
女師範 「えっ!?」
友 「師範……男のことなんて俺が忘れさせて見せますよ、必ずね」
女師範 「ううう……友ぉ……友ぉ!!」
友 (男……お前だけには絶対負けるわけにはいかない……)
>>1です。
すみません色々あって投下が大分遅れました!
今から投下します!
夜 河川敷公園
男 「……」
男 (もうすぐ七月だってのに今日は冷えるな……)
ザッ……
女 「男君」
男 「あ、女さん」
女 「良かった、来てくれたんだ」
男 「ああ、突然メールがきてびっくりしたよ。
どうして俺のアドレス知ってたの?」
女 「昨日女友のお見舞いに行った時に聞いたんだ。嫌だったかな?」
男 「まさか、突然だったからびっくりしただけさ。
それより女友の見舞いに行ってきたんだよね。どうだった女友は?」
女 「うん、まだ怪我は完治してないけど学校は明後日から登校するんだって」
男 「そうか。それは良かった」
女 「そうだね。また女友に連絡してあげて。あの子喜ぶと思うし」
男 「ああ、必ず連絡しておくよ。
それで女さんの話っていうのは?」
女 「……ちょっとそこら辺歩きながら話さない?」
男 「う、うん。構わないけど」
・
・
・
・
・
・
女 「ごめんね……男君」
男 「何が?」
女 「謝りたいことは色々あるっていうか……ありすぎるんだけど……まずは謹慎中に呼び出したりしてごめんね」
男 「それは……まぁ大丈夫でしょ。それに俺自身昨日ちょっと遠出してたしね」
女 「何処か行ってたの?」
男 「……ちょっと過去を清算しにね」
女 「えっと……もしかしてそれって前に外道が言ってたやつ……なのかな?」
男 「うん……そうだよ。結果的には俺の独り善がりみたいだったけど、
それでも俺は自分の過去に決着をつけることができたよ」
女 「そう……なんだ」
男 「古い親友に会って俺は決めたよ。もう前だけを見て進もうって。
いつまでも昔の事を後悔してウジウジするのは止めようってね」
ドキッ
女 (男君の横顔、すごく清清しい……。本当に過去を吹っ切れたんだ……。
会った時とはまるで別人のような表情。
ヤバイ、あたし今すごいトキめいてる) ドキドキドキドキ
女 「お、男君……」
男 「ん?」
女 「あの……あ、あのね……。その……あの時助けてくれて……ありがとね」
男 「あ、ああ。いいよ、そんなこと。感謝されるようなことでもないし」
女 「そんなことないよ……。あたしのせいであんなに痛い思いして……身体の方はもう大丈夫なの?」
男 「俺はもう大丈夫だよ。女さんの方こそ大丈夫?」
女 「え! あ、あたし!? あたしはもう全然。 ほら、身体が丈夫なだけが取得だしね!」
男 「……そんなことないよ」
女 「え? あたしってそんなに貧弱? そりゃ男君から言わせればそうかもしれないけど……」
男 「そうじゃないって。取得の話だよ。女さんは強くて、それでいて可愛い女の子だからさ。
可愛いのも取得だと思うよ、俺」
女 「あ、はい、そうですか」
……カアアッ!
女 「ってなんあななんああ何いいいいってんの!?
あああああああたしが……その、かかか、可愛いだなんて……」
男 「あ、いや……。
ほらさ、前に女友が何回もそう言ってたし……それに俺自身も女さんは凄い可愛いと思ってるし……」
男 (何だ? 俺は今一体何を言っている? こんなこと前の俺だったら絶対言えるわけなかったのに……)
女 「あうううう……//////////」
女 (ど、どどどどどうしよう! 男君があたしを可愛いって言ってくれてる……!
あああ、何かもう無理!!!)
女 「お、男君……!!」
男 「は、はい」
女 (もう言っちゃおう! 男君を見てたらこの気持ちを抑えることなんて絶対無理!!)
女 「あ、あの、ね!
あ、あたしまだ男君と出会って全然日にちが浅いのはわかってるんだけど、それでも聞いて欲しいことがあるの!」
男 「……うん、わかった。聞くよ」
女 「あ、ありがとう! で、でね、それで! あのあのあのあのね!」
男 「女さん落着いて。ゆっくりでいいから」
女 「う、うん……ご、ごめんね」
男 「いっぺん深呼吸しようよ、一緒にね」
女 「そ、そうだね!」
男 「じゃあいくよ」
スウゥゥゥゥゥッ
ハアァァァァァァーー
男 「どう、落着いた?」
女 「うん、落着いた。ありがとう男君」
男 「どういたしまして」
女 「……じゃあ話すね」
男 「うん……お願いします」
女 「あたし、外道達に捕まったときに自分が情けなくて仕方なかった。
何でこんな奴らに遅れをとったんだって悔しくて仕方なかった。
でもね、そんなのは本当に下らないことだってすぐ気付かされた。
男君が来てくれた瞬間に」
男 「……」
女 「男君が来てくれた時、嬉しさ反面正直ゾッとしちゃったんだ。
この後男君は一体どうされちゃうんだろって。
あたしがされたこと以上のことをもしかしたらされるかもって思ったらすごく恐かった。
……こうなったのは完全にあたしのせいだったから」
男 「女さん……」
女 「あの時は本当にごめんなさい! あたし本当に馬鹿だった!
自分の強さに過信して返り討ちにあってあろうことか男君を巻き込んであんなことに……
ごめんね……! 本当にごめんね男君!」
男 「もういいよ。女さんの気持ちは十分過ぎるほどわかったから。
頭を上げてくれよ女さん」
女 「ありがとう……。
それでね、男君があの時逆上して外道達を倒してるとこを見てね。
あたし、何だか変な気分になったんだ」
男 「変な気分……?」
女 「あの時も言ったけど、興奮したんだ……あたし」
男 「そうなんだ」
女 「うん……やっぱり変だよね、こんなあたし」
男 「少なくとも普通の女子高生じゃないと思うけど、
女さんは空手家だから闘ってる光景を見たら多少なりとも興奮するんじゃないかな?
俺は別に特別女さんが変だとは思わないけどな」
女 「……男君はやっぱり優しいね。ありがとう」 クスッ
男 「そ、そうかな」
男 (女さん……君のその笑顔を守ることができて本当に良かった。
君の笑顔は俺のしたことはやはり間違いじゃなかったと証明できるよ)
女 「じゃあそんな優しい男君には正直に言っちゃおうかな」
男 「え?」
女 「あたしが興奮したのは空手家としてだけじゃないよ。
ううん、むしろそんなことはどうでもいいぐらいの些細な理由。
あたしが興奮したのは……女として、なんだよ男君」
男 「女として? それはどういう……」
女 「わかんない? あたしは性的に興奮したんだよ、男君に」
男 「……は?」
女 「フフフ。鳩が豆鉄砲くらった顔っていうのは正にそんな感じだね、男君」
男 「え……いや……そ、その」
女 「あたし、興奮したんだ。
奴らに地獄の苦しみを与えている時の男君に」
男 「あ……」
女 「男君の顔……凄く楽しそうだった。
まるで飢えた狼が獲物を仕留めているみたいに。
あたしはそんな男君を見て、裸の傷だらけで修羅の如く立ち振るまう男君を見て、性的に興奮しちゃったの……」
ワナワナワナワナワナ……
男 「お……女さん……?」
女 「言わないで……! 自分でもこんなのおかしいってわかってる……!
でもしょうがないんだもん!
だって、あ……あたしは……ク、ウウゥ!」 ギリリリッ!
男 「……大丈夫だよ。続けて、女さん」
女 「……いいの? もう後には戻れないかもしれないよ?」
男 「俺は知りたいんだ。女さんの何もかも。だから続けてよ」
女 「お、男君……!」
男 「大丈夫。俺はもう逃げたりしない」
女 「あ、あたし! とてつもない変態かもしれない! 変態かもしれないの男君!」
男 「どうしてそう思うんだ?」
女 「あの日、病院に運ばれた夜……病室のベッドの上で、誰もいなくなった後にあたし……し、しちゃったの……」
男 「……お、女さん」
女 「お、オナニーしたの!! あの時の男君を想って……四回も!」
男 「!!」
女 「あたし……最低の変態。男君が気を失ってる間にこんなことしてたの……。
あたしのこと、軽蔑した……?」
男 「……」
女 「そうだよね……。こんな変態女、軽蔑されて当然だよね。
でもこの際だから最後まで言わせてもらうね。
それ以来男君のこと考えただけで心が熱くなってしまうの!
いてもたってもいられなくなっちゃってもうダメなのあたし!」
女 (心臓が張り裂けそう……! 喉もカラカラに渇いてる……!
でも後もうちょっと! もうちょっとだけ勇気を出せ、あたし!!)
女 「……あたし。……あたし男君が好き!! 大好き!!
出会ったのはつい最近だけど、そんなの関係ないほど男君が大好き!!
ずっとずっと一緒にいたいの!
男君! 男君男君男君男君男君!!!
大好きぃーーー!!!」
男 「……」
男 「……それが女さんの気持ちなんだ」
女 「ハァ……ハァ……ハァ……。
うん、一人で勝手に絶叫しちゃったけど……紛れもないあたしの本当の気持ち。
大好きだよ、男君……」
男 「そっか……そうなんだ」
女 「……だけどね……。
ううん! 何でもない!! 今日は来てくれてありがとう、また学校でね!」
ダッ!
男 「ちょ! 女さん!?」
ガシッ
女 「は、離して!」
男 「ちょっと待って! まだ話は終わってないよ女さん! 俺は女さんのこと」
女 「ヤダ! 聞きたくない!!」
男 「え!?」
女 「だって男君は嫌いでしょ! こんな変態女!」
男 「何でそう決め付けるんだ!」
女 「だって……! だってあたし……!」
男 「俺も君と一緒だよ!」
女 「え……?」
男 「俺も君と一緒なんだ。君の事を想うと……興奮するんだよ。
これって俺も君の事好きってことじゃないかな?」
女 「でも……あたしこんな変態なんだよ。
助けてくれた人が気を失ってる間に一人で慰めちゃうような女なんだよ……!
同情なんかいらないよ!」
男 「それを言うなら俺も一緒だ。君の前で全裸で……その、しただろう?」
女 「それはあいつらが無理やりやれって!」
男 「違う。確かに行為自体は無理やりだったかもしれないけど、
あの時俺は君の目の前で全裸になったとき密かに興奮してたんだ……」
女 「え……」
男 「だからさ、女さんが自分の事変態だと言うなら俺だって変態なんだよ。
それに……そういった行為だって俺だってしたよ、あの時の半裸になった君の事想って。
昨日の夜に……ね」
女 「う……うううぅぅ……////// この変態……!」
男 「だろ。だから俺も好きなんだよ、女さんのことがさ」
女 「男君……男君!」
ダキッ!
男 「……女さん」
女 「あ、あたし! 好き! 男君のことが大好きだよぅ!」
男 「俺もだよ……俺も女さんのことが大好きなんだ」
女 「うう……/////」
男 「何だか不思議だな」
女 「え?」
男 「ちょっと前まではこんなことできるわけなかったのに。俺は凄く臆病者のはずだったのに。
君に出会って俺は変わったみたいだ。まるで生まれ変わったみたいだよ」
女 「あ……」
女 『あいつらを攻撃してるときの男君を見て感じたの。
男君は心に獣を飼っていて、そしてその獣はついに解き放たれたんだって。
そして、それはあたしも同じ。
男君の獣を感じて、あたしの心の獣も解き放たれた』
男 「……いや、もしかしたらこれが本来の俺なのかもしれないな」
女師範 『さっき君本人が言っていたことだが、男は男で女さんが持ってるその内なる獣に無意識に惹かれたんだろう。
そして互いに惹かれ合い始めたときに、今回の事件がこの二人の獣性を呼び起こしてしまった』
男 「俺、今とても興奮してるよ女さん……」
ギュッ……
女 「!?」 ゾク……!
バッ!
男 「?」
女 「ハァ……ハァ……ハァ!」
男 「女……さん?」
女 (もうダメ……もう抑えられない……!)
女 「男君……あたし、男君のこと大好きだよ……」
男 「俺も女さんのこと大好きだよ」
女 (でも待って! このまま男君のこと傷つけていいの!? こんなに大好きな人なんだよ!?)
女 「だからね……だからね」
女 (言うな! 言わないであたし!!)
女 「グ……!」
男 「……女さん?」
女 「!!」
女 「あたしと立ち合え! 男!!!」
男 「……え?」
女 (言っちゃった。本当に言っちゃったよ、あたし。
でももう後には戻れない)
女 「……聞こえなかった? あたしと立ち合ってほしいって言ったんだよ男君」
男 「……どうして俺と女さんが立ち合わなければいけないんだ?」
女 「大好きだからっていうのは理由にならないかな?」
男 「普通、それは理由にはならないと思うけど」
女 「だよね……。そんなのわかってるよ。でもあたし達には普通なんて言葉は当てはまらない。
違うかな、男君」
男 「大好きな人と闘え、と君は言うんだね」
女 「大好きだからこそ、だよ男君」
男 「俺が……女さんと」
女 「理由が薄いかな? ならこういうのはどう? ……女師範さんの敵討ちっていうのは、さ」
男 「な、何……だって?」
女 「あたし……女師範さんとさっき立ち合ってきたんだよ。手合わせなんてもんじゃない。
歴とした仕合をね」
男 「何で……何で君と師範が……」
女 「細かいことまで言うと長くなるから言わないけど、用は男君、君の取り合いをしたんだ、あたしと女師範さんで」
男 「そんなことが……それで君は……まさか!」
女 「うん、あたし、女師範さんを倒してきちゃったんだ」
男 「!!?」
女 「フフフ。さっきよりもさらにビックリしてるね男君」
男 「お、女……さん。君は……」
女 「ね……。最低な女でしょあたし。一発で嫌いになっちゃったかな?
でもこれが本当のあたし……どうしようもないイカれた空手娘……」
ポタ……ポタ……
男 (女さん……泣いてる)
女 「でもね……もうダメみたい……。男君を前にもうこれ以上抑えられないよ。
あたしは男君が……大好き……だから男君と……闘いたいの……」
男 「女さん……」
女 「男君……嫌なら……嫌いになったなら……今すぐあたしから逃げて……。
あと少しで……あたしは……男君を……!」
男 「女さん……!」
女 『まぁ、二年生に進級してまだ日が浅いしシフトに慣れてないよねお互いにさ。とにかく今日はよろしくね男君(ニコッ)』
女 『へー!いいじゃんいいじゃん!ね、試しに手合わせしてみようよ!』
女 『ああもう!!じれったいなあ!男が何ウジウジ言ってるの!?
こんなか弱い女の子がお願いしてるんだよ?少しぐらいいいじゃん!』
男 (あの時、俺は君と出会った。
初めて喋った君は……どこまでも明るくて……笑顔が可愛くて)
女 『ねぇ男君。君知ってたんだよね。女友が襲われたってこと……』
女 『……この臆病者!!!』
女 『もういい、あんたは一生そうやって自分のことだけ考えてウジウジと生きてろ。
もう二度とあたしや女友にかかわらないで』
男 (それでいてどこまでも真直ぐで、向こう見ずで)
女 『ごめんなさい! あたし勘違いしてた! 男君は本当にどうしようもない臆病者だって。でもそんなことない! 男君は四年たった今でも旧友君のことを気にして自分を追い詰めている。それは裏を返せば優しいってことだと私は思う!』
女 『旧友君はまだ生きてるんでしょ!? なら謝りにいけばいいじゃない! ほんのちょっとの勇気があれば大丈夫だよ!』
女 『忘れないで! 本当に悪いのはこの外道ってやつなんだから! 男君は悪くない!!』
男 (俺は……君に憧れた)
女 『あ、あたし! 好き! 男君のことが大好きだよぅ!』
女 『ね……。最低な女でしょあたし。一発で嫌いになっちゃったかな?
でもこれが本当のあたし……どうしようもないイカれた空手娘……』
女 『でもね……もうダメみたい……。男君を前にもうこれ以上抑えられないよ。
あたしは男君が……大好き……だから男君と……闘いたいの……』
男 (そうか……女さんもあれから苦しんでいたんだな。『俺』のように)
男 (大好きな人が苦しんでる。ならやることは一つだろ?)
男 「ククククク……」
女 「男……君?」
男 「アハハハハハ!!」
女 「男君!?」
男 「……旧友君、俺の道は今ここで確実に決まったみたいだ」
女 「え……?」
男 「女さん、君はなんて良い女なんだろう」
女 「あ、あの……」
男 「何で俺は君にここまで惹かれてたのかようやくわかったよ。
君は俺と同じだ」
女 「男君……」
ザ……
男 「いいよ。やろう女さん。お互い納得のいくまでね」
女 「い……いいの……? ほ、本当にいいの?」
男 「大好きな人が俺を頼ってくれてる。こんなに嬉しいことはないよ。
それに俺自身も……もう我慢できそうにない……」
女 「男君……! 男君!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ………!
男 「夜の誰もいない河川敷公園に愛し合う武道家が二人……勝負だよね、女さん」
女 「う……うん!! 勝負! 勝負だよ!!」
女 (あああ!! 男君!! 男君男君男君男君男君男君男君!!!)
ゾワゾワゾワゾワ……!
女 「全力で受け止めて……あたしの想い!!」
男 「来なよ。君の想いを受ける代わりに、俺の想いも全身で受け取ってもらうよ」
女 「キテ……。あたしに男君のを全部……!」
ザッ……ザッ……ザッ……ザッ……
男 「女さん……」
ザッ……ザッ……ザッ……ザッ……
女 「男くん……」
ピタッ
女 「……」
男 「……」
女 「ハアアアアアッ!!!!!」
男 「ハアアアアアッ!!!!!」
グワキィッ!!!
今日の分は終了です。
皆さんマジレス本当にどうもありがとうございました。
様々な意見が聞けてめちゃ嬉しいです。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。
次回はなるべく早くあげようと思ってます。
それではまた!
投下いたします!!
男 「グッ!?」
男 (俺の拳が弾き反された!)
女 「居付いたね……男君!!」
男 (速い! もう次が来る!!)
女 「シィッ!!」
男 (だけど!) グッ……
男 「セヤァッ!!」
ズドンッ!!
女 「ガハッ!?」
女 (吹っ飛ば……された……?) ズサァッ!!
男 「……良し」
女 (あんな短い間合いからのぶちかまし……それにこの威力……!)
女 「クッ……!?」 グラグラ……
女 (まるで全身が痺れてるみたい……足に力が入らない)
男 (だが危なかった。偶然あの体勢になったから良かったけど
もし違ってたら確実に次の攻撃はまともに喰らってたな……)
ズキッ!
男 「ウッ!?」
男 (初めに弾かれた左腕が……。
女さんの本気の正拳突き……尋常じゃない攻撃力だ)
男 「……クソ。早くも形勢不利じゃないか……」 ボソッ
女 (ヘヘ……一日に何回も決闘なんてするものじゃないね。
女師範さんに投げられた時のダメージがやっぱり残ってる……)
ジワ……
男 (左腕の包帯から血が……。外道にやられた傷が開いたか。
また父さんと母さんや妹にこっぴどく怒られるかもな……)
女 (だけど……!)
男 (だけど……!)
ゾワゾワゾワゾワ!!
男 女 (この闘い! なんて楽しいんだ!!!)
女 「いいよ……いいよぅ男君! あたしこんな技喰らったことない!
見て! まだこんなに足がガクガクしてる! 男君、やっぱりスゴイよ!!」
男 「女さんだって凄いよ。見てよこれ。
最初の女さんの正拳突きでもう左は使い物にならないかも」
女 「あ……ああぁ……。男君の……血……。あ、あたしが流させた男君の血……」
男 「女さん……俺、君の血も……見たいな」
女 「いいよ! 男君の手であたしを傷付けて!」
男 「言われなくてもそうするつもりだよ……!」
女 「アハッ!」
ダッ!
ガシッ!
女 「速ッ!」
男 (奥襟を掴んだ! このまま投げ落とす!)
男 「セイッ!」
グッ!!
男 「!?」
女 「どうしたの男君?」
男 「ク!? ウリャアッ!!」
グッ!!!
男 「な!?」
女 「フフフ。投げられないねぇ男君」 クスクス
男 「な、何で……!?」
女 ニタァ!
女 「正中線がガラ空きだよ男君!」
男 「ウ……!?」 ゾクゥ!
バシィ!!
男 「ウグッ!!」
女 「破アアアア!!!」
ガッ!!
ガッ!!
ガッ!!
ガッ!!
女 「ラスト!!」 グルッ!
女 「テリャアアア!!!」
ドオンッ!!
男 「グハアッ!!!」 ドシャア!!
女 「さっきとは逆だね。今度は男君が吹っ飛んでる」
男 「グア……ア……アガ……」
女 「正中線に正拳突きを五発、決めに水月への中段回転蹴り。
どう? あたしの空手。綺麗決まったでしょ?」 ニコッ
男 「な……なんで……」
女 「どうして男君の投げが決まらなかったって? 答えは簡単。
投げられる瞬間、反対側に体重移動するだけだよ」
男 「な……」
女 「だって男君の投げ、女師範さんと全くおんなじなんだもん!
呼吸、仕掛けのタイミング、重心の移動。まるでそっくりそのままコピーしたみたい。
あたし女師範さんに二回もブン投げられてるんだよ。嫌でも覚えちゃうよ」
男 (そんな馬鹿な……。
いくら師範の投げを経験してるからといってそんな簡単に見切れたりするものか……)
女 「弟子として優秀すぎるのも考えものだね男君」
男 (天才だ……紛れもなく女さんは武道の天才……)
女 「さてと……」
ザッ……ザッ……ザ……
ガシ
男 「ウグ……!?」
女 「苦しんでるところ悪いんだけど……続きしてもいいかな男君?」
男 「ウ……ア……アア……!」
男 (く……首が……!)
女 「ああ……男君。なんていい表情……もっと……もっと見せて男君」
ギュウッ……
男 (い……息が……!)
女 「安心して男君、殺しはしないからね。だけどもうちょっと……もうちょっとだけ、ね?」
男 (い……意識が……)
女 「男君……男君男君男君男君男君!!
好き! 大好きだよ! 殺したいほど大好き!!!」
男 (女さん……俺も君の事殺したいほど大好きだ……。
だけどまだ足りない……。もっと君と……闘いたい。
だから、まだ負けるわけにはいかない……!)
ガシッ!
女 「!!」
ゾワゾワゾワゾワゾワゾワゾワゾワゾワッ!!!!
男 (きた……これだ……この感覚……!!)
男 「ウグググ……!」
ググググ!!
女 「ハハハ! 首絞められてるのにスゴイ力だね男君!」
男 「ガアアア!!!」
ブンッ!!
女 「ク……!」 バッ!
女 「アハ……! あの時の、あの時の男君だ!!」
男 「……このイカレ女が……。調子に乗りやがって……!」
女 「フフフフフ! あたし、生きて帰れないかも……!」
男 「ククク……。さぁ続けようぜ、まだお互い満足してないだろう?」
女 「うん……! いくよ男君!!」
男 「来いよ!」
ダンッ!
女 (狙いはもう一度正中線! これで終わらせる!!)
女 「セイッ!!」
ガキッ!!
男 「狙ってるとこ判り易すぎだ、女さん。そんなんじゃ易々と防御できる」
女 「ならこういうのは……どう!!」
女 「セヤアアア!!!」
男 「ン!?」
ガガガガッガ!!!
男 「チッ!!」
女 「ハアアアア!!」
ガッガガガガガッガ!!!!
男 「シュッ!」
ガシイッ!!
女 「ウッ!?」
男 「へへへ……。見事な連撃だったけど俺には通用しない」
女 「ク……クソ!」
男 「セイヤ!!」
女 (もう投げは通用しないって!!) グッ!!
男 「クク!!」 シュルッ!
女 (組み手を解いた!? 何故!?)
男 「打アアッ!!」
ガアァン!!
女 「え……」 グラ……
女 (こめかみへの打撃。……手刀? 掌底? 何……この感覚?)
男 「不思議な感覚だろ? 女さん」
女 「ア……アア……」
男 「掌波っていってね。うちの流派独特の当身技なんだけど、どうだい、よく聞くだろう?」
女 「ウウ……!」 ゾクゥッ!!
女 (何これ、意識はあるのに体が全く言うこときかない……!)
男 「掌の中心で急所の中心を打つ。本当の中心だ。少しのズレも許されない。そこを重く、そして柔らかく、思いっきり打つ。
すると衝撃は体の表面を通り抜け臓器へと直接伝わる。
女さん、君が今動けないのは脳震盪のせいじゃない。脳が衝撃で混乱しているからだよ」
女 「ウ……ア……」
男 「勝負……ありだね、女さん」
女 「グ……!」
男 「後数十秒もすれば君の体は元通りになるだろうけど、それまで俺は無防備な君を攻撃し放題だ。
だから……これで勝負は……ウッ!?」
女 「ハァッ…! ハァッ…! ハァッ……!!」 ギロッ!
男 (……そんなこと許さない、ってことか。ブレないな……君は)
男 「わかった……。今から君にトドメを刺す。それでいいね、女さん」
女 「……」 ニヤッ……
女 (……いいよ、キテ……男君!)
男 「愛してるよ、女さん」
女 「あ……たし……も……!」
男 「コオオオオオ……!」
男 「打アアッ!!」
ドオオンッ!!
女 「……!!」
男 「……」
女 「男……君」
女 「あり……がと……ね」 ニコッ
ガク……
男 「女さん……」
ギュ……
男 「俺にも言わせてくれ。ありがとう、女さん」
本日はここまでです!
最近忙しくて書くペース落ちてます、すいません!
終わりまで近いですが、またよろしくお願いします。
読んでくださって本当にありがとうございました!
投下いたします。
・
・
・
・
・
・
女 (何だろう……すごく安心する……それに暖かい……)
女 「……ハッ」
男 「あ、気付いた女さん?」
女 「あれ……男君?」
男 「うん、そう俺」
女 「何で……こんなに顔が近いの?」
男 「座りながら君を抱きかかえてるからかな」
女 「あ……そう」
女 「ええ!?」
女 (こ、これ俗に言うお姫様抱っこってやつじゃ……!!)
女 「アワアワ!」 ジタバタジタバタ!
男 「ああ、ごめん!」 バッ!
女 「え……えと。あ、あれ?」
男 「?」
女 「あ、あたし何で生きてる……の?」
男 「そりゃ生きてるよ」
女 「だってあの時……あたしは確かに男君にトドメをさされたんじゃ……」
男 「いや、俺この歳で殺人犯になりたくないし」
女 「そ、それって!」
男 「手を抜いたわけじゃない。俺は確かに思いっきり打ち込んだよ。
ただこれは仕合だ。決して『死合』ではないんだ女さん」
女 「……」
男 「納得いかないって感じだね」
女 「そんなこと……ないもん……」 プイッ
男 「あ……」
女 「……最後に手を抜かれた。男君に手を抜かれた。
あたしはこんなに必死になって最後の最後でバカみたいじゃん。実際バカだけどさ」 ブツブツブツブツ
男 「お、俺も本気の本気だったよ!」
女 「フーン! 男君の意気地無し!」
男 「ああもう! どれだけ頑固なんだよ! 好きな女の子を殺せるわけないだろ!」
女 「う……/////」
男 「俺達は確かに普通の人から見たら異常かもしれないけど、それでも俺は君のことが……好きなんだからさ」
女 「あ、あたしだって男君のことが……! その、す、好き……だもん!」
男 「じゃ、じゃあ……さ。俺の言いたい事わかるだろ?」
女 「……わかったわよ……もう!」
男 「フー……」
ズキズキッ!!
男 「ウグッ!?」
女 「ウギッ!?」
男 「イ……」
女 「ッタアア……!」
男 「か、身体が……」
女 「バラバラになりそう……」
男 「落ち着いてきたら急に痛みが……」
女 「あ、あたしも……」
男 「大丈夫……女さん?」
女 「大丈夫じゃないよう……! 男君やり過ぎ!!」
男 「エエエェェェェ……」
女 「こんなか弱い女の子に必殺技使うなんてどうかしてるよ!」
男 「お、俺だって君の馬鹿みたいに強力な正拳突きをモロ正中線に喰らってるんですけど」
女 「何よ馬鹿みたいって!」
男 「え、さっき自分で言ってたじゃん……それに意味が違うし」
女 「自分で言うのはいいの! 人に言われるのはイヤ!」
男 「メチャクチャだ……。それに俺の首あんなに楽しそうに絞めてたくせに」
女 「う……!」
男 「俺の首を絞めてる時の女さんの顔……凄い活き活きしてたなぁ……ああ怖!」
女 「もう、男君のイジワル! ムー!!」
男 「……プッ! 女さん、頬が膨れてるよ」
女 「ウッ!? も、もももう! 何笑ってんのよ!」
男 「だ、だって……! プクク!」
女 「もう! フフフ……ハハハ!」
男 「ッハハッハハハハ!!」
女 「アハハッハッハハ!」
ズキズキズキズキッ!!!
男 「イツツツツツウッッッ!!」
女 「イタイイタイイタイイタッ!!」
男 「イテテ……。ハハ、何やってんだろ俺達」
女 「ねー、ほんとバカみたい。でも冗談抜きで怪我の方は大丈夫、男君?」
男 「うん、左腕の血は止まったみたいだし胸の辺りの骨には異常無いみたい。筋肉はズタボロだけど」
女 「あたしの正拳突きをあんなに喰らって骨には異常無しか……。
よっぽど鍛えてる証拠だね男君」
男 「ハハ、師範の指導の賜物かな。いつもあの板張りの道場の上に投げ飛ばされていたからね」
女 「そうだよね……男君はあの女師範さんの弟子だもんね……」
男 「……」
女 「女師範さん……」
男 「女さん」
女 「……え? な、何?」
男 「俺としては複雑な気分だけど……師範とはちゃんとした仕合を行ったんだろ?」
女 「う、うん。一応……」
男 「なら誰にも文句を言う権利は無い。女さんは女さんらしくいればいいと俺は思う」
女 「男君……! うん、ありがとう……よし!」
バッ!
男 「ど、どうしたの。急に立ち上がって」
女 「あたし明日もう一回男君の道場に行って女師範さんと会ってくる!
それでちゃんと……もう一回話してくる!」
男 「そっか……。じゃあ俺も明日道場に行こうかな。またもや謹慎中に不謹慎だけど」
女 「え……男君も?」
男 「俺も師範に用があってね。約束したことがあるんだ」
女 「そうなんだ……。ねぇ男君、一緒に行ってもいい?」
男 「もちろん。そうするつもりだったよ。一緒に行こう女さん」
女 「男君……」
女 (ああもう、何だかキュンキュンしちゃうよう!)
ボタ
女 「え?」
男 「ん?」
ボタボタボタボタッ!
女 「あ……」
男 「!!!??」
女 「アハハ……そうか、昨日からあの日だった」
男 「ああああああああの……おおおおお女さんんん!!
ままままま股から……血が!!!」
女 「ああ……まぁ……何て言うか……その……」
男 「だだだだ大丈夫、女さん!!」
女 「何が?」
男 「何がってその血、尋常じゃないって!」
女 「多分今日色々身体に衝撃喰らいすぎたせいだと思う。気にしないで男君。今はその痛みは全然無いから」
男 「そ、そうなの?」
女 「うん、あたし今回はそんなに重くないみたい。でもナプキンはもちろんパンツは大変なことになってるけどね」
男 「あ……そう」
男 (本当に大丈夫なのかな……。でも女さんが大丈夫っていうんだし……) ジー
女 「も、もう! そんなにジロジロ見ないでよ! これでも恥ずかしいんだからね!
あっち向いて!!」
男 「あああああ!! ゴメンゴメンゴメンナサイ!!」 クルッ!
女 「もう……そのままいいって言うまで向こう向いててよね!」
男 「ハ、ハイ!!」
女 「換えのパンツあったかなぁ……」 ガサガサゴソゴソ
男 ドキドキドキドキ
・
・
・
・
・
・
・
・
女 「あ、ここまででいいよ。家、そこ曲がったとこだから」
男 「あ、ああ」
女 「送ってくれてありがとね」
男 「ううん、どういたしまして」
女 「ハー、……帰ったらまたお父さんにスゴイ怒られるんだろうな……憂鬱」
男 「ハハハ……頑張ってね。俺も頑張るからさ……」
男 (父さんや母さんはともかく、妹は……)
男 (ヤバイな……。何とか言い訳考えないと)
女 「ねえ男君」
男 「あ、何?」
女 「さっきはあんな生意気なこと言ったけどね。あたし、やっぱり生きてて良かった。
だって……こんなにも男君のこと大好きなんだもん……」
男 「女さん……身体の方は本当に大丈夫?」
女 「うん、大丈夫。安心して」
男 「……うん、わかった」
女 「ねえ男君。あたし達、相思相愛ってことで考えていいのかな……?」
男 「……」
ギュッ……
女 「あ……」
男 「女さん……。俺もう女さん無しでは無理だと思うんだ……」
女 「男君……」
男 「俺は間違いなく異常者だ。多分この先も闘いを求めて彷徨うことになると思う」
女 「うん……そうだね。男君もあたしもそういう人間……」
男 「でも……でも君が俺の側にいてくれたら……俺は自分を抑えることができると思うんだ」
女 「それはあたしも一緒だよ。男君さえいればあたしはもう何もいらない。
だから……また一緒に闘ってね、男君」
男 「うん、こちらこそ。
俺達は互いに求め合い高め合っていけば、大丈夫だ」
女 「男君! ああ男君! 好き! 大好きだよ!!」
男 「俺も好きだ、女さん」
ギュウッ!
男 (今はこの傷の痛みも心地いい……)
女 「男君……お願い……キス……して?」
男 「え……!」 ドキンッ!
女 「あたし……男君と……キス……したい。キスしたいの!」
男 「女さん……」
女 「男君はイヤ? こんなあたしなんかとキスするの……」
男 「ま、まさか! ちょっとビックリしただけだって!」
女 「じゃあ……キス……して、男君」
男 ゴクンッ!
男 「そ、それじゃあ……い、いくよ……」
女 (あ、男君……)
男 (女さん……)
ン……
女 「……」
男 「……」
女 「初めての時とおんなじ味がした……血の味」
男 「え!? は、初めて!? お、女さんはこれが初めてじゃないの!?」
女 「フフフ、違うよ。なんでこれがあたしのファーストキスだって決め付けるの?」
男 「あ、そ、そうなんだ……。そうだよね、女さんぐらい可愛いとキスなんて普通だよな……」
女 「ショック?」
男 「え……だ……大丈夫だよ」
女 「アハハ、判り易すぎだよ男君! でも安心して、あたしの初めては全部男君だよ」
男 「え!?」
女 「実はあの時、男君が気絶してるときに……しちゃったんだ、あたし」
男 「え……ということは……!! そ、そんなぁ……。俺のファーストキスの思い出が気絶してる時だなんて……」
女 「意外と細かいこと気にするんだね」
男 「気にするっての……。でも何で俺が気絶してるときに?」
女 「理由は色々あるけど細かいことは聞かないの! それにこれからは……いっぱいするんだし/////」
男 「あ……まぁそれは……そうかもしれないけど……」
女 「ねえ……もう一回……しよ!」 ニコッ
男 「う、うん!!」
ン……!
女 「ハァ……ハァ……」
男 「ハァ……ハァ……!」
女 「じゃあ……そろそろ帰るね……」
男 「あ……うん」
女 「次は……もっと激しいのしようね……男君!」
男 「え!?」
女 「じゃあまた明日! バイバイ!」
男 「あ、バイ……バイ」
タタタッ!
男 「!?」 ドクンッ!
男 (全身が震えてる? 俺は一体何をこんなに期待してるんだ?)
男 (……何にだって? そんなの分かりきってる。俺は女さんに……、女さんのことを……)
ワナワナワナワナ……
男 「フフフ……ヤバイな……これは……」
本日は以上です。
何か……自分でも思ってたのと全然違う感じで進んでます。。。
ちょっとは手加減しろよ男。女が死んだと思われたじゃないかw
どうやって完結させようか悩みつつ今夜は失礼いたします。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。
お久しぶりです>>1です。
一週間ほどブッチしてすみませんでした!
では投下します!
翌日 夕方 道場
男 「……」
女 「……」
女師範 「……」
友 「……」
友 「いや、誰かなんか話せよ」
男 「あ、ああ……」
女 「えっと……」
女師範 「フフフ」
友 「師範?」
女師範 「いやすまない。この状況に急に可笑しくなってな。女さんとは昨日仕合ったばかりだというのにもうこうして顔を合わせている」
女 「……すみません」
女師範 「気を悪くしないでくれ。君を攻めるつもりなど毛頭ない。それに昨日の仕合は私から仕掛けたものだ。
君が畏まることなど何も無い。頭を上げてくれ女さん」
女 「……はい。ありがとうございます」
女師範 「それで、二人で来たということは……そういうことなんだな」
男 「はい。俺達は昨日立ち合いました。それで決着をつけました」
女師範 「そうか」
友 「あれから結局本当に男のもとへ行ったんだな女さん」
女 「うん……あたしが男くんを呼び出してね」
友 「二人ともひでぇ面だぜ。何だよその頭の包帯」
女 「だって女師範さんにあれだけ投げられたし、男君には必殺技もらって負けちゃったし……。今でもかなりズキズキするんだ」
友 「そうか,男が勝ったのか。でもその傷は完全に自業自得だな」
女 「……返す言葉もありません」
女師範 「ちょっと待て。今必殺技と言ったか?」
女 「あ、はい」
女師範 「男」
男 「はい」
女師範 「一体女さんに何を使ったのだ」
男 「……掌波です」
女師範 「何だと!?」
友 「お前……マジかよ」
男 「ああ」
女師範 「女さん、君はそれを頭部に喰らったというのか!?」
女 「は、はい。正確には左のコメカミですけど」
女師範 「男……!!」
男 「……」
女 「え、え?」
友 「……何て奴」
女 「え……えと」
女師範 「女さん、本当に今身体は大丈夫なのか?」
女 「は、はい。頭痛はしますけど吐き気とかフラフラするとかはありません。
さっき病院に行ってきましたけど特に脳内に異常はないみたいです」
女師範 「そうか……それは良かった」
女 「あの……そんなにヤバかったんですか、その技」
女師範 「私の先代が編み出した技の一つだ。
掌底打ちの一種だが完全に決まれば人体内部に極めて重大な破壊を生じるので禁じ技にしているのだが……男」
男 「何故それを使ったのか、ですか」
女師範 「そうだ。以前お前と友に演武として見せたことはあったが、まさかそれを使うとはな」
男 「俺にとってはそれを使わざるを得ないほどの立ち合いでした。
反省はしてますが後悔はしてません」
女 「男君……」
友 「お、お前」
女師範 「……ほんのちょっと見ない間に随分ふてぶてしくなったじゃないか。
いや、ぞれがお前本来の姿なのだな」
男 「もう止めたんですよ。人の目や自分の情けない所を気にしたりするのは。
ある人が教えてくれたんです。俺達は前に進むしかないって」
女師範 「お前にとって前に進むとは何なのだ?」
男 「自らの武を磨き、そしてそれを実戦として試していく。それが俺の道です」
女師範 「実戦だと……自ら修羅の道を歩むというのかお前は……!」
男 「いえ、所構わず人を襲うような狂人にはなりませんよ俺は」
女師範 「どうしてそう言い切れる」
男 「俺には女さんがいるからです」
友 「……」
女 「お、男君!」
女師範 「女さんがお前の獣性の抑止力になるというのか」
男 「はい。何故なら俺は女さんを愛してますから。女性として、そして武道家として」
女師範 「……」
女 「ちょ! ちょちょちょちょっと男君!?」
男 「いいんだ。今日俺は師範と友に俺の気持ちを全部さらけ出すって決めてきたから」
女 「そう……か。うん、そうだね」
女師範 「改めて聞く。女さん、君も男と同じ気持ちなのだな?」
女 「はい。あたしも男君が大好きです。そしてもっともっと男君と闘いたいです」
女師範 「そうか……。敵わないな、君には」
女 「女師範さん……」
男 「師範、俺は女さんが共に居続けていてくれる限り大丈夫です。
ただ女さんを始め、師範や友に女友、俺の大切な人がまた再び誰かに傷付けられ時、俺は一体どうなるか正直わかりませんけどね。
だから俺はこれからも師範の、ここの武道を続けていきたいです。自分の心の成長も兼ねて」
女師範 「それが……お前の答えなのだな」
男 「ええ、そうです。師範と約束した一週間の期限は過ぎてしまったけど、これが俺の正直な気持ちです」
女師範 「自らの獣性を認めつつもそれを抑えつけるのではなく開放し、
しかしそれとは相反するが人として成長するために武を続けたいというのだな」
男 「それが俺の理想です」
女師範 「女さんはどうなんだ。男と同じく矛盾した気持ちを持ちながらも自分の空手を続けていくのか?」
女 「はい。あたしも男君と気持ちは全く一緒です」
女師範 「やれやれ、お前達の願いは随分自分勝手だな」
男 「承知の上です」
女 「右に同じく」
女師範 「ハハハ……。まあそれを言うなら私も同じだな。私欲の為に武を振るった私も上から言える立場でもない。
わかった、男の言い分を認めよう」
男 「師範……!」
女師範 「お前の破門は取り消しだ。またここで精進するといい。お互いにな」
男 「……ありがとうございます師範!」
女 「ええ!? 男君破門されていたの!?」
男 「正確には破門になるには猶予が与えられていたんだけどね。
あ、でもこの件は女さんとは何も関係ないから気にしないでね」
女 「う、うん。でも良かったね男君!」
男 「ああ。まだまだ師範からは教わりたいことがいっぱいあるしね」
女師範 「ここでお前を破門したらまたどこかで馬鹿をやりかねないからな」
男 「はい。俺頑張ります」
女 「よし! これで一件落着だね男君!」
男 「ああ!」
友 「気に喰わねえな」
女 「え?」
男 「友……?」
友 「さっきから黙って聞いてたらさ。お前ら気持ち悪いわ」
女 「な……」
女師範 「お、おい友」
友 「師範、少しだけ俺にこの場を仕切らせてください。俺はどうしてもこの馬鹿に言って置きたいことがあるんです」
女師範 「……」
友 「おい、男」
男 「何だ友」
友 「お前が誰と付き合おうがお前の勝手だけどよ。はっきり言ってまともじゃねえよお前ら」
男 「そんなことは百も承知だよ」
友 「スカしてんじゃねえよ。俺から見ればお前らのやってることは気持ち悪くて仕方ないんだよ」
女 「う……」
女 (あたしには何も言えない……言えるわけない)
男 「俺は俺の正直な気持ちを話したんだけど」
友 「そのお前らの勝手な恋愛ごっこのせいでこちとらとんだ迷惑してんだよ」
男 「友……!」
友 「大体どこがそんなにいいんだ? そこの空手馬鹿女がよ」
女 「うう……!」
男 「友……そろそろ止めてくれないか。俺を悪く言うのは一向に構わないが女さんは俺の好きな人なんだ。
あまり侮蔑されるのは正直お前でも気に悪い」
友 「ふーん。そこまで言うなら怒ってみろよ。俺も外道達みたいにブチのめして見ろ」
男 「そんなこと……できるわけないだろ」
友 「何で? 臆病者だから?」
男 「友!!」
友 「プッツンくるかい。なら今俺と乱取りしたら本気出すのかよ?」
男 「……言ってるだろ。俺はいつも本気だって。だけど前よりかは幾分力出せると思うけど」
友 「じゃあ立て。今から俺と乱取りだ」
女師範 「!!」
女 「ちょ、ちょっと友君!」
友 「ちょっと黙ってろよ、すぐに終わるからさ。どうした立てよ男」
男 「……上等!」
女 「男君まで!?」
男 「女さん、友は本気だ。少し下がっててくれ」
女 「だ、だって……女師範さん!」
女師範 「友……何故今乱取りなど」
友 「やらせて下さい。お願いします師範」
女師範 「……わかった」
女 「あうう……」
友 「心配しなくてもこれはいつもの真摯な稽古の乱取りですよ。
昨日師範や女さん、男がしたような下らねえ立ち合いなんかじゃない」
男 「下らないだと?」
友 「ああ、そうさ下らねえ。今の時代どこに喧嘩なんかで決着つける馬鹿がいるんだよ。
昨日師範にも女さんにも言ったが男、お前にもはっきり言っといてやる。
下らねえよ、お前らは」
女 「う……」
女師範 「……」
男 「友……何をそんなにイラついてるんだ?」
友 「わかんねえのか? なら身体でわからしてやるよ!!」
ダッ!!
ガシッ
男 「クッ……」
友 「どうした男。組み手じゃお前が上手(うわて)だぜ」
男 「友!」
友 「こないのならこっちから行くぜ!」
女 「え! 下手から強引に!?」
友 「セイッ!!」
グイッ!
男 「それじゃダメだ!」
友 「な!?」
ブンッ!
ダアアンッ!!
友 「グアッ!?」
女 「だ……だよね。あの体勢からじゃ」
女師範 「いや、いつもの乱取りでは友は多少強引でもあの体制からよく男を投げていた」
女 「そうなんですか?」
女師範 「一瞬の瞬発力にかけては友は目を見張るものがあるからな。だがやはり気持ちのたがが外れた今の男には通じないか……」
友 「へ、へへ……。見事に反してくれちゃってまぁ……」
男 「まだ続けるのか?」
友 「当たり前だろこの馬鹿!!!」
バンッ!!
ガシイッ!
女 「こ、これは!」
女師範 「捨て身小内刈り!!」
男 (瞬発力のある友の得意技!!)
男 「ウグ!?」
男 (左足を取られた!)
女師範 (後は体重を一気に相手に押し付ける技だが!?)
友 「ウオオオオ!!!」
男 ニヤッ
男 「セイヤッ!!」
グルンッ!!
友 「な、何いっ!?」
ズダアアンッ!!
友 「ウ……!!」
男 「フー……」
女 「え……今の」
女師範 「……友が左足を取り全体重を男に傾けた瞬間に、その力を利用しての内股か」
女 「そ、そんなことできるんですか普通」
女師範 「私でも五回に一回できるかどうか……だな」
女 「つくづく実戦向きなんですね男君は……」
友 「ウグ……」 フラ……フラ……
女 「友君!?」
女師範 「後頭部を強打したか!」 ダッ!
友 「来ないで下さいよ師範!!」
女師範 「と、友! しかし!」
友 「まだ……やれますよ俺は」
女師範 「もういい! もう十分だ友!」
友 「へへ、俺はまだ何も満たされてねえっての」
女師範 「友……」
女 「女師範さん。もうあたし達には見守ることしかできないみたいですね」
女師範 「……」
女師範 (友の気持ちはわかっている。だが私はまだ……)
友 「さあ続けようぜ」
男 「ああ、そうだな」
友 「男……」
男 「何だ友」
友 「楽しいな……男!!」
男 「ああ!!」
ガシイッ!!
友 「ググググウグ!!」
男 「ウググググッグ!!」
友 「どうした、いつもよりすごい力入ってるじゃねえか!」
男 「友こそ後頭部強打してるくせに何故こんなに力入れれるんだよ!」
ガガガガッガッガガ!!!!
女 「スゴイ組み手争い……! いつもこんな訓練してるんですか?」
女師範 「いや……あれほど凄まじいのは見たことが無い」
女 「でしょうね。だって二人ともあんなに楽しそうだし……」
友 (本当のこと言うとな。男、俺はお前のことが羨ましくて仕方なかったんだ。
そりゃそうだろ。素質はお前の方が断然あるし、
師範がそんなお前に惹かれてるのに俺が気付くのに稽古を始めて半年かからなかったよ。
それで今回の事件でお前の本当の実力を知ったとき心底ムカついたぜ。
今まで俺との稽古で投げ飛ばされていたお前は一体何だったんだってな。
お前を投げ飛ばして師範に良いとこ見せようと思った俺がアホみたいじゃねえか)
男 「ハアアアアア!!」
友 (でもな、そんなお前を決して嫌いじゃなかったのも事実だ……)
友 「何でかはわからねえけどなあ!!!」
バッ!! ガシッ!
男 「クッ!」
女 「友君が上手を取った!!」
友 「いくぜ男!!」
男 「来いよ友!!」
友 「どりゃあああ!!」
ブワッ!!
男 「セイッ!!」
友 「クッ!?」
女師範 「あの体勢から反し技!?」
女 「あんなに綺麗に友君が上手を取ったのに!?」
友 (やっぱすげえなこいつ! だけどなぁ!!!) ゾワゾワゾワッ!!!
友 「そう来ることはわかってたぜ男お!!」
パシッ!
男 「なっ!?」
女師範 「反される瞬間に男の利き足を払った! しかしそれでは!」
ダアアアンッ!!
男 「ウグアッ!!」
友 「ガハッ!!」
女 「だ、だよね……。まさしく投げの相打ち」
女師範 「そ、そこまでだ!!」
友 「へ、へへへ……」
男 「フフ……」
女 「でもいいなぁ……男の闘いって」
本日はこれで終わりです。
本当にいきなり投下遅らせてしまってすみませんでした。今度はもっと早く投下します。
長々と続けてきましたが次は最終回にしようと思ってますです。どうか最後までお付き合いよろしくお願いいたします。
本日はありがとうございました。
またまた遅くなりましたが投下します。
これで一応終わりです。
女師範 「まったく、無茶をするやつらだ」
友 「すみません」
女師範 「だがいい乱取りだった」
友 「ありがとうございます」
男 「最後のやつ、俺から先に地に付いたから友の一本だな」
友 「一本とったぐらいで嬉しくなんかねーよ。その前に二回やられてるから二対一じゃねえか」
男 「乱取りなんだから仕合ってわけじゃないだろ?」
友 「バーカ。師範にはああ言ったけど俺は仕合のつもりだったんだよ。空気読めよ」
男 「あ、そう。実は俺もそうだったけど」
友 「この野郎! 急にキャラ変わりやがって!」
グリグリ!
男 「い、痛いって! そこは昨日女さんに散々突かれたんだからさ!」
友 「へーそうかい。んで女さんの正拳突きはどうだったんだよ?」
男 「そりゃもう鬼のような威力で……」
友 「その時の顔も鬼のようだっただろ?」
男 「失禁するかと思いました」
友 「違いねえ」
女 「ちょ、ちょっと男君!!! それに友君も!!」
男 友 「アハハハハハハ!」
女 「も、もう! 後で覚えときなさいよね!」
男 「ハハハ……」
友 「男、さっきはすまなかったな」
男 「え?」
友 「色々変なこと言っちまってよ。女さん、それに師範も。生意気言ってすみませんでした」
女 「あ、えと、その」
女師範 「友……私達は下らないか?」
友 「はい、下らないです。そして俺もどうやらその下らない側の人間みたいです」
女 「え?」
友 「さっきの乱取り、男とあんなにムキになって危険な投げ合いぶちかましあったてのにやっぱ楽しくて仕方なかった。
互いが本気を出してぶつかるってのは楽しくて、そしてこんなに気持ちいいんだな。
何だか妙に胸がスーッとしたぜ」
女 「友君……」
男 「俺もだ。友と立ち合えて凄い楽しかったよ」
友 「ああでも勘違いすんなよ。俺は別にお前らみたいになりたいわけじゃねえんだぜ。お前らみたいな異常者にはな」
男 「やっぱ……そうだよな」
友 「そうだ」
女 「あうぅ……」
女師範 「友の言うとおりだな。私もこの二人にはついて行きそうにもない」
友 「いや、お言葉ですけど師範だってそこの女さんと男を取り合って仕合しちまうような人だって忘れてません?」
女師範 「そ、そんなこと私だってまだまだ未熟者だということぐらいわかってる! あの時にだって……!」
女 「あの時?」
女師範 「い、いや何でもない」
友 「ハァー……おい男」
男 「な、何だ?」
友 「師範な、昨日女さんがお前の所へ行った後ワンワン泣いたんだぜ。男を女さんに取られちゃうってな」
男 女 「!!?」
女師範 「と、友!!」
友 「師範。この際だから今の状況をはっきりしておきましょう」
女師範 「じょ、状況だと?」
友 「いつからかは知りませんけど男のこと、好きなんでしょ?」
男 「え!?」
女 「……」
女師範 「う……友……なんで今ここで……」
友 「どうなんですか。はっきりしてください」
女師範 「そ、そんなこと言えるわけ……」
友 「俺は師範のことが大好きだ!!!!」
男 女 女師範 「!!?」
友 「俺はいつどこでだって何回だって言えますよ! 弟子の俺に言えてあなたは言えないんですか!?」
女師範 「ク……」
男 「し、師範」
女 「女師範さん……」
友 「師範!」
女師範 「……男」
男 「……はい」
女師範 「今だけは私がお前の師であることを忘れてくれ。その上で聞いてくれないか?」
男 「わかりました」
女師範 「いつごろかは本当にわからないのだが、いつの間にか私はお前のことを異性として認識していたみたいだ」
男 「異性として?」
女 「女師範さん。そんな言い方じゃ男君に伝わりませんよ」
女師範 「そうだな……。すまない、私らしくもなかった。訂正する。
男、私はお前のことが好きになってしまっていたんだ」
男 「し、師範……」
友 「……」
女師範 「理由は、と言われても正直わからない。お前の武の資質に惹かれたかもしれないし、
容姿ももしかしたら私のタイプなのかもしれない。全てという可能性もある。
とにかく私はお前のことが好きになってた。
だがこの気持ちに決定的に気付いたのは昨日なのだ」
男 「昨日……ですか」
女 「あのときですね」
女師範 「お前も知っての通り、私と女さんは昨日ここで仕合を行った。
お前を修羅道に行かせないためにと思っていたからだ。
だが本当はそんなことはどうでもよかった。
私はただ単に女さんにお前を取られてしまうのが悔しかったんだ」
男 「師範……」
女師範 「女さんに負けた後初めて自分の気持ちに気付かされたよ。
私は男のことを好き、なんだとな。
男は私のことをどう思っているんだ……?」
男 「俺は……師範のこと好きですよ」
女師範 「その好きは人間として、という意味なんだな」
男 「はい……そうですね。俺が女性として好きなのは女さんだけです」
女師範 「そうか……。うん、了解した」
男 「すみません師範、そしてありがとうございました。これからもよろしくお願いします」
女師範 「ああ。こちらこそな」
友 「……今ここで言わせてもらうが、男、俺は絶対お前には負けないからな」
男 「何だって?」
友 「師範はまだお前のことを好きみたいだが絶対に俺に振り向かせてみせる。
そしてお前にも負けねえ。まだ俺達は二年だが卒業までにお前に仕合で完全に勝ってやる。覚えておけよ男」
男 「わかった。俺も友に負けないように精進するよ」
友 「ああ、お前はもっと強くなれ。俺はそれ以上にもっともっと強くなるからよ」
男 「ハハ、楽しみだな」
友 「だけどよ、俺達はダチだ。それだけは忘れるなよ男」
男 「こんな俺でもまだ友達って言ってくれるのかよ」
友 「当たり前だろ。これまでもこれからもずっとだ。例えお前がどんな奴になってもな」
男 「友……ありがとう」
友 「これから何か大変なことがあったら俺を頼れ。一人で無茶すんな」
男 「ああ、頼りにしてるよ友」
友 「……フン」
女 「クフフ、友君ツンデレってやつだね」
友 「うるせー」
女師範 「友」
友 「ああー今は師範から何も聞きたくないですよ俺」
女師範 「し、しかし……」
友 「今俺は目標を掲げただけです。結果なんてそれこそ何年先でもかまわない。
だから師範はそのままでいてください。
師範が男をいつの間にか好きになったように、俺だっていつか師範が俺のことを好きだって言わせてみせますよ」
女師範 「友……」
女師範 (師範の私を差し置いて格好つけてくれて。
だがそんなお前だからこんなに安心感があるんだろうな。いつかお前の気持ちに答えられたらいいな……)
友 「師範?」
女師範 「あ、いや、そのあれだ。……そうだな、これだけは言わせてくれ」
友 「はい、何ですか」
女師範 「こんな私を好きになってくれてありがとう」 ニコッ
友 「い……/////」 カアアアッ
女 「これは脈ありそうだね」 ヒソヒソ
男 「実際時間の問題だと思うよ。だって友ずっとばればれな態度を師範にとってたし」 ヒソヒソ
友 「おいそこ何ヒソヒソ話してやがる! 師範もいきなり何言ってんですか!」
女師範 「ハハハ、たまにはこういうのも悪くないだろう? ご褒美だ友」
友 「……趣味悪いですよ」
女師範 「さてと、女さん!」
女 「は、はい!」
女師範 「友は男に勝つためにこれから鍛錬に励むそうだ。だから私も君に再び挑むために鍛錬に勤しむとしよう」
女 「え」
女師範 「言っておくがあの時の仕合が私の本気だと思わないでほしい。君にはまだまだお見せしたい技があるからな」
女 「え、でも私なんか……あの時だってまぐれで勝った様なものだし」
女師範 「ボヤボヤしてると男を奪い返すぞ?」
ゾワゾワゾワゾワッ!!!
女 「いつでもどんなときでもかかってきていいですよ。返り討ちにしてやりますから」
女師範 「フフフ……実に楽しみだ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ!
友 「ヘッ、懲りないよな師範も女さんも」
男 「ハハハ……。でも正直楽しみだなこれから」
友 「お前らはいいよな。これから毎日イチャコラできるんだからよ」
男 「稽古には毎日通うさ。そんなこと毎日できないよ」
友 「ふーん。おい女さん!」
女 「何?」 ギロッ
友 「おお恐。
いやさ、師範もそう言ってるしこれからはちょくちょくこっちでも稽古したらいいんじゃないかと思ってさ。
どうです師範?」
女師範 「ほう、それはいい考えだな。私は一向に構わないが」
友 「だってさ。俺達も君の空手から何か学べるかもしれないし、その逆もあるだろ。
まぁ、女さんにも空手の稽古があるし無理にとは言わないけど」
女 「本当にいいんですか?」
女師範 「構わない。でもうちの稽古に付いてこれるかな? 前以上に頭を打つかもしれないぞ?」
女 「本当はちょっと性格も悪いんじゃないですか、泣き虫女師範さん」
女師範 「フフフ……君との乱取りが楽しみだ!」
女 「ではまた一つ胸を貸してください」
友 「決まりだな。これで女さんとイチャイチャできるじゃねえか」
男 「いや、いいのかこれで!? 師範と女さんすごい険悪な雰囲気なんですけど!?」
友 「あの二人なら大丈夫だろ。
空気ぐらいは読めそうだし二人とも女とは思えないほど身体丈夫だし。
だがお前が心配するのはそこじゃない」
男 「え?」
友 「女さんと乱取りになったら寝技かけるぜ俺」
男 「な、なんだと!!?」
友 「楽しみだなおい。女さんみたいな美人に寝技かけられるなんてよ」
男 「と、友!! お前!!!」
友 「ククク、冗談だよ男。だがいい顔だ。決着をつける時はその顔で来い」
男 「……本気出せってことだな」
友 「いつでも『本気』だろ、俺達はな」
男 「そうだな……!」
二週間後 駅前
男 「……昨日は色々ありがとうな女友。本当に助かったよ」
女友 『ううん、私こそ昨日は本当に楽しかったよ』
男 「まぁそう言ってもらえるのは嬉しいけどさ。でもまだその身体で動き回るのは辛かっただろ? ゴメンな女友」
女友 『まぁまぁ、私にとっては楽しい一日だったんだからいいのー。
で、昨日買った服、今着てるの?』
男 「ちゃんと着てるよ。でもやっぱ女友に相談して正解だったな。自分で言うのも何だけどこの服センスいいと思うよ」
女友 『へへーン、男君には暗めより明るい系の服が似合うって直感、やっぱOKだったみたいだね。
でも男君の新しい服きた姿私も見たいなー。いいなー女ちゃん男君の彼女でさ』
男 「あ、あの女友さん……そういう発言は控えた方がいいかと……」
女友 『えー何でー?』
男 「ほら、俺だって年頃の男だし、色々勘違いしちゃうといけないからさ」
女友 『あー! 男君浮気だ! 女ちゃんに言いつけてやるからね!』
男 「何でそうなるんだよ! ていうかそれだけはやめてって!! 命がいくつあっても足りないから!!」
女友 『ウフフ、冗談だよー。でも男君の新しい私服姿が見たいのは本当だよ。
あ、そうだ!』
男 「ど、どうしたの?」
女友 『男君、昨日私が今日の女ちゃんとの初デートのための服の見繕い手伝ってあげたお礼に何でもするって言ったよね?』
男 「う、うん。確かに言ったけど」
女友 『じゃあ来週その服着て私とデートしよ!』
男 「え!? で、デート!? 流石にその名目で会うのはまずいよ……」
女友 『大丈夫! 女ちゃんにはちゃんと私から言っとくからさ。それだったらいいでしょ?』
男 「……でも俺は女さんが好きだからやっぱりそれは」
女友 『ハハハ、男君も女ちゃんに負けないぐらいの硬派だね。うん、わかった。それならデートじゃなくて遊びに行こう男君』
男 「うーん、まぁ遊びに行くだけなら……」
女友 『やった! それじゃ約束だよ男君!』
男 「あ、でも女さんが良いっていったらだよ! ちょっとでもダメなら行かないからね俺!」
女友 『わかってるよー。ちゃんと女ちゃんの許可取ってからにするからさ。それじゃ詳しいことはまた後日連絡するから』
男 「うん、わかった。それじゃまた」
女友 『うん。今日はゆっくり楽しんでいっぱいラブラブしてね! じゃあねー!』
男 「ハァー」
男 (女友も実際よくわからない子なんだよな。凄く優しいのは間違いないんだけど掴み所がないんだよな)
女友 「……」
女友 「何か変だな私」
女友 「フフ、きっと大好きな女ちゃんの影響だね」
女友 「男君……」
女友 「いいよね女ちゃん。ちょっとぐらいちょっかい出してもさ」
女友 「だって私、あんな怖い目に遭ったんだもん」
女友 「……忘れられるわけないよ、あんなこと。この先ずっとね」
女友 「……」
女友 「これぐらい楽しんでもバチはあたらないよね」
女友 「フフフ、来週が楽しみだなぁ」
女 「おはよう男君!」
男 「あ、女さん、おはよう!」
女 「ごめんね待たせちゃって! 怒ってる?」
男 「まさか! 俺も今来たところだよ。気にしないでね女さん」
女 「ホントに? ありがとう男君。やっぱ優しいね」
男 「あ、ああ……」
女 「ん? どうしたの?」
男 「い、いや……私服の女さんを見るの初めてだったからさ。凄く、その、可愛いと思うよ」
女 「え! えと、そ、そんな可愛いだなんて/////」
男 「本当に良く似合ってるよ。そういう可愛い系が女さんにピッタリだね」
女 「もう、やめてよぅ! しょっぱなから男君の顔まともに見れなくなるじゃない//////」
男 (照れてる女さん、マジで可愛すぎる! こんな可愛い彼女いるなんて俺って異常者だけど勝ち組!!)
女 「お、男君もその服装。か、カッコいいと思う……よ」
男 「ほ、本当に?」
女 「うん……だって今日の男君見るといつもよりドキドキしちゃうし/////」
男 「あ、ありがとう……。そ、それじゃ行こうか」
女 「うん、不束者ですが今日はよろしくお願いします!」
男 「こ、こちらこそ!」
不良1 「おい」
男 「え?」
不良2 「ククク」
女 「な、何……?」
不良1 「誰かと思ったらあの時のヒーローさんじゃねえか。あれから探してたんだぜ。ちょっと面かせや」
男 「あの……今俺取り込んでるんだけど、また今度って訳にはいかないかな? 連絡先渡しとくし」
不良2 「君こいつの彼女? スゲー可愛いじゃん! ケケケケケ!」
女 「あ、あの……」
不良1 「おーい、不良2。こいつが見逃してほしい代わりにその彼女置いていくってよ」
男 「ちょ、ちょっと待ってくれ! わかった、いくから! だけど彼女は離してやってくれ!」
不良1 「なぁどうする彼女?
俺達間違いなく今からこいつをボコボコにするんだけどよ。
君が来てくれたら多分あまり酷いことにはならないと思うんだけどな」
女 「わかりました……私も行きます。彼が心配ですから」 ブルブルブルブル
不良2 「震えちゃって可愛いねえ!!」
男 「女さん!!」
女 「わ、私なら大丈夫だよ男君!」
不良1 「いいねえ健気で。じゃあ行くぞ」
廃ビル 地下駐車場
不良1 「おい、不良2。あいつら呼んだんだろうな」
不良2 「もういるんじゃねえか。ほら」
ゾロゾロゾロゾロ
男 「な……」
女 「これって……」
不良1 「六人呼んだ。どうしようもねえだろこれじゃ」
不良2 「彼女さあ、八人も相手して大丈夫かよ?」
不良1 「まあ死にさえしなけりゃ大丈夫だろ」
不良2 「まあ、それもそうか。おいお前ら遠慮しなくてもいいぞー」
「「「「「「オッケー!!!」」」」」」
不良2 「という訳だからそこのお前、今から死んでもら」
ザクッ
不良2 「カハ……」
バタッ
不良1 「な……!?」
男 「人を倒そうとするなら簡単に間合いに入るなよ。そんなんじゃそんな風にすぐやられるぜ」
女 「ハァー、何で男君の周りにはこんなバカが良く集まるの?」
男 「そんなこと俺が知りたいよ」
不良1 「て、てめえ!! 不良2に何しやがった!?」
男 「気管をちょっと、ね。死んではいないよ」
不良1 「お、お前ら得物を準備しやがれ!」
「「「「「「お、オーケイ!!」」」」」」
女 「本当に男君の側にいると危険がいっぱいだなぁ」
男 「その割には凄く楽しそうだけどな、女さん」
女 「褒め言葉で言ったつもりだけどね」
不良3か4あたり 「てめえら何余裕こいていやが」
ガキッ!!
不良3か4あたり 「グフアッ!!?」
ドスン!!
不良1 「」
男 「惚れ惚れするほど見事な足刀だなぁ」
女 「ありがと。ねえ男君勝負しようよ」
男 「この状況で一体何を勝負するんだよ」
女 「お互い新しい服みたいだし、こいつらの返り血なんかで汚したくなんか無いじゃん。
だから今の状態からできるだけ衣服を乱さない方が勝ちってのはどう?」
男 「へー、それはおもしろそうだ」
女 「も、もしあたしに勝てたら今日は男君の言うこと何でも聞いちゃおうかなぁ」
男 「え!? そ、それって……」
女 「い、一応今日はちゃんと……色々準備してるから……さ///////」
男 「わ、わかった! 是が非でもこの勝負勝たせてもらうよ!!」
女 「フフ、頑張ってね男君!」
不良1 「お、お前ら一体!?」
男 「俺? 俺は単なる臆病者でこの人は俺の彼女だよ」
女 「謝ってももう遅いからね。そっちはまだ六人いるし得物も持ってるし、あんたらなんか色々前科有りそうだし。申し分ないよね。」
男 「女さん、後で面倒起こるのは御免だからやりすぎないようにね」
女 「わかってるよ。それに早く男君とデートに戻りたいし。速攻で終わらせようよ」
男 「同感だ」
不良1 「お、お前ら! 一斉にかかるぞ!!」
「「「「「お、おkー!!!」」」」」
ダダダダダッ!!
男 女 ニヤアッ
男 女 「来いっ!!!」
ガキイッ!!!
同刻 町のとある屋敷
「なぁ、姉貴。おもしろいモンが手に入ったんだよ」
「あなたね、もう年頃の女の子なんだからいい加減言葉使いに直しなさい」
「まぁまぁ、お節介ならまた今度聞くからさ。とにかくこれ見てみ?」
「何なの? 携帯の動画?」
「二週間ほど前にアタシの舎弟が夜のランニング中に撮ったものらしいぜ」
「こ、これは……」
「な、スゲエだろ? 男と女がマジで闘りあってやがる。こんなのどこの動画サイトでも見たことねえ」
「この女の子の制服……うちの学校の……」
「ああ、それにも驚いたぜ。まさかうちみたいなどこにでもある公立にまさかこんな猛者がいるとはな。
男の方は私服みたいだがこいつももしかしたらうちの学校かもな」
「ねえ……。これ二週間ぐらい前に撮ったのよね?」
「ああ、そうだ。間違いない」
「と、すると……」
「お、心当たりあるのかよ?」
「そうね、ほんの少しだけど」
「あのさ姉貴、頼みがあるんだけど」
「ダメよ」
「まだ何にも言ってねえじゃんか! てかどうせまた独り占めする気だろ!」
「あら悪い? それが姉の特権よ」
「ホント性格悪いよなぁ姉貴は」
「フフフ、褒め言葉ありがとう。大丈夫よ、今回は二人いるもの。あなたにも分けてあげる」
「へへへ、あんがとなネーちゃん」
「それじゃ明日から忙しくなるわね」
「明日からかよ。さすがやること早いよな」
「当たり前じゃない。私を誰だと思っているの?」
「成績優秀、スポーツ万能、そんでもって容姿端麗の誰もが認める完璧超人。うちの高校の生徒会委員長様だろ」
委員長 「フフフ、よろしい。あなただって成績さえよかったらあなたの言う完璧超人になれるのにね」
「アタシはいいっての。今の生活が気に入ってんだから。今はまだ不良娘でいさせてくれ」
委員長 「そうね。その方があなたらしくていいかもね」
不良娘 「なんだよ。さっきは言葉使い直せとかいったくせに」
委員長 「そうね。だけど私今はそんなことどうでもいいほど昂ぶってるの。わかるでしょ?」
不良娘 「あ……姉貴。久しぶりに見たぜ、その顔」
委員長 「フフフ……。さあ、動画の中のあなた達は一体私にどんな声や表情を見せてくれるの?
今から楽しみで仕方ないわ……!」
俺は臆病者です 終
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません