提督「艦娘にドッキリを?」青葉「はい」(【艦これ】提督「艦娘にドッキリを?」青葉「はい」【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432210921/))のIF、「最後に青葉にドッキリを仕掛けた場合」です
あくまでIFルートということで、青葉好きの方もどうかお目こぼしお願いします
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433084046
提督「――青葉に、ドッキリを仕掛ける」
大淀「……分かりました。それでは、この提督人形を配置してきます」
これは、青葉に隠しておいた最後の一体だ。やはり精巧で、仮死薬を俺が飲んでいるという先入観のある青葉には見抜けまい。
提督「……青葉。少しばかり、痛い目を見てもらおうか」
・
・
・
衣笠へのドッキリは問題なく成功した。青葉は会心の笑みを浮かべる。……あとは司令官を蘇生し、ネタばらしをするだけだ。
青葉「な~んちゃって!問題無いですよ衣笠!」
青葉はそう言い提督を蘇生させようとする。衣笠は困惑したような目で青葉を見つめる。
衣笠「青葉……どうしちゃったの?」
提督はもう死んでいるのに、何故?と言った顔で言う衣笠に、青葉は笑みが深くなるのを感じる。
青葉「まあ見ててくださいよ。ここのツボをこう押すと……ほらっ!」グッ
青葉はツボを押す。……しかし、提督はぴくりとも動かない。
青葉「あれぇ?おっかしいなぁ……よっ!……よっ!」グッグッ
何度も蘇生を試みるが、提督は全く反応しない。
青葉「司令官……?」
青葉は困惑する。……何故、司令官は目を覚まさない?
衣笠「……青葉」
憐れむような目で衣笠は青葉を見る。提督の死によって姉が狂ってしまったように、衣笠には思えたのだろう。
その目を見て、青葉は更に困惑する。まるで自分が狂人になってしまったかのように感じた。
青葉「こんなはずは……!司令官!起きてくださいよ!ドッキリは終わったんですよ!?」グッグッ
青葉の目に、焦りの色が浮かぶ。今までのドッキリの時のような演技ではない。本心だ。
青葉(仮死薬の覚醒ツボは、ここでいいはず……)
背後で執務室のドアが開く。
青葉「……司令官!?」
一縷の望みをかけて青葉は振り向く。しかし、入ってきたのは提督ではなかった。
青葉「明石さん、大淀さん……」
青葉は、二人の様子がおかしいことに気付いた。二人共、目に涙をためている。そして、青葉を睨みつけていた。
明石「その薬。服用には制限があるんですよ。私達もついさっき気付いたんですが」
青葉「制限……?」
制限などあっただろうか。せいぜい一度に飲ませる分量くらい……青葉は考える。
大淀「……説明書。読んでいないのですか?」
青葉「読みましたよ!ちゃーんと隅から隅まで目を通しました!」
そう。読んだはずだ。そして、それを守って青葉は提督に薬を与えていた。
大淀「……裏面は?」
青葉「うら、めん?」
オウムのように繰り返す青葉。裏面……?
いや。あの説明書の裏には何も書いていなかった。……そのはずだ。
青葉「そんなものなかった……!なかったはず、です……!」
青葉は、自分自身に言いきかせるように言葉を出す。だが、自信はない。
大淀は裏面を青葉に見せた。そこには、恐怖を煽る字体で注意が書かれている。……青葉の記憶に無い一文だ。
『注意:一人一日六回まで。破ると確実に死にます』
青葉は、信じられないものを見るようにその文章を見つめる。
青葉「そんな……!嘘、ですよね……!?」
青葉の様子に、衣笠もようやく事態を理解したようだ。睨むように青葉を見つめる。
衣笠「青葉。……あなたが、提督を……薬で?」
青葉「違う……違います。違います……!私、そんな……!」
青葉は突然何かに気付いたように立ち上がる。……ドッキリだ!
青葉「あっ、わかりましたよぉ!ドッキリですね、これは!」
衣笠「……青葉」
憐れむように衣笠が言う。……姉は、信じがたい現実に耐え切れず幻想の世界に逃げ込もうとしているのか?
明石「はあ……何言ってるんですかあなた?」
心底呆れたように明石は言う。開発失敗時の生成物を見るときの目で。
青葉「なんですか!ドッキリですよね、これ!私は詳しいんです!仕掛け人ですから!」
青葉は言い続ける……現実から逃れるように。これはドッキリのはずだ。そう。提督はそのうち起き上がる。
青葉「あっ!司令官ったら、やせ我慢してるんでしょう?本当は心臓が動いているはずです!」
引きつった笑顔を作りながら青葉は言い、提督の心臓に胸を近づける。
青葉(司令官はもう蘇生してて、ばれないように息をしているんだ。間違いないよ)
だが。現実と、青葉の中の真実は違う。
提督は心音はなく、呼吸もしていない。呼吸はともかく、根性で心臓を止められるものではないのだ。
既に、仮死状態となって一時間は経っている。……仮死薬の効能があったとしても、いくらなんでも長すぎる。
大淀「現実を受け入れましょうよ、青葉さん。……あなたが、殺したんですよ」ギロ
明石「……」ギロ
衣笠「……!」キッ
明石、大淀、そして衣笠が青葉を見る。
青葉「嫌だ、見ないで……そんな目で、見ないでください……!」
三人からの視線に耐え切れず、頭を抱えてうずくまる青葉。
青葉「嘘です、嘘……!こんなの、全部……!」フルフル
現実を受け入れられない艦娘と、詰問する艦娘たち。
奇しくもこれは長門の時の再現である。だが、決定的に違う点がひとつあった。
あの時、提督は仮死状態であり、後に生き返った。だが今回、提督は生き返らない。死んだからだ。
青葉「……ごめん、なさい……」
青葉は懺悔の言葉を口にする。
青葉「司令官、ごめんなさい……」
ぽろぽろと、涙をこぼしながら青葉は言う。動かない提督に向かって。
青葉「もう、ドッキリなんてしようとしません。迷惑をかけた艦娘の皆さんにもちゃんと謝ります……!」
青葉「だから、だから……!起きてください、司令官……!お願い、しますから……」
衣笠「だってさ、提督」
大淀「本気で反省しているようですし、そろそろ許してあげたらいかがです?」
誰かに呼びかけるような衣笠と大淀の声。
「――――おう、許す」
青葉「……えっ?」
背後から声。青葉は振り向いた。そこには。
青葉「……しれいかん」
提督が立っていた。呟く青葉。夢遊病患者のようにふらふらと提督に近づいていく。
提督の胸に倒れこむようになる青葉を、提督は受け止めた。
青葉「司令官……司令官、司令官、司令官!」ポロポロ
小さな子供のように、思い切り泣きながら青葉は提督に抱きつく。
妹である衣笠にさえ見せない無防備さ。それを見て、衣笠は気付いた。
衣笠(青葉も……提督のこと、大好きなのね。素直じゃないんだから)
普段の飄々とした仕草も、余裕を持った言動も。提督に弱みを見せたくなかったからだろう。
だが……そんな体面も捨てた素の青葉が提督の胸で泣き続ける。
その顔は泣いてはいたが、ずっと肩にのしかかっていた重りが取り払われたようで……どこか幸せそうだった。
・
・
・
~~後日談~~
ドッキリの様子は、叢雲や初春のような致命的にマズイものをカットした形で放送された。
俺としては、それでも不安で仕方なかったのだが……予想していた以上に、映像は大きな反響を呼んだ。
大切な人間の死に触れた艦娘の見せた感情と行動は、人々の心を動かしたのだ。
艦娘は、ただの兵器ではない。笑ったり泣いたりするのである。民衆からの心象は比べ物にならないほど良くなった。
反艦娘団体も立ち消え、艦娘たちのファンクラブとかになった。
そして、この鎮守府にもいくつか変化があった。
……あれ以来、艦娘たちは自然体になれている気がする。叢雲なども素直な笑顔を見せてくれることが増えた。
ただ、艦娘たちが俺に対して過保護になってしまった。ドッキリの内容が現実になってしまわないか心配のようだ。
定期的に執務室にやってきては、あれやこれや世話をしてくる。……そんな中でも特に酷い一人がいた。
長門……彼女は今や雷を超えるほどの過保護戦艦となってしまっていて、何度も俺の元を訪れてさんざっぱら甘やかしてくる。陸奥も閉口するほどだ。
そして、また違った意味で一番変化した艦娘が……ここに。
青葉「あ……あの、司令官!青葉、お弁当作ってきたんですけど……もし、良かったら……」
モジモジとしながら青葉が言う。
提督「……」
青葉「……駄目、ですか……?」シュン
俺が答えないでいると、青葉はまるで捨てられた子犬のようにこちらを見つめる。放っておけず、俺は答えた。
提督「いや……ありがとう。いただくよ」
青葉「司令官……!」パァァ
途端に、花が咲くような笑顔。……あの件以来、青葉はすっかり殊勝になってしまった。
今までのどこか一歩引いたような態度はどこへやら、金剛もかくやとばかりにアピールをしてくる。
彼女曰く、自分を騙す事はもうやめにしたのだそうだ。
・
・
・
提督「……」モグモグ
青葉「……ふふっ」ニコニコ
弁当を食べる俺を見つめる青葉。その笑顔を見て改めて実感する。
提督(泣き顔はたくさん見たが、やっぱり艦娘に一番似合うのは……笑顔、だな!)
怒ったり泣いたり、いろいろある艦娘たちだが――――
この子たちの笑顔を、ずっと守っていけるような存在でありたい。俺は、そう思った。
提督「艦娘にドッキリを?」青葉「はい」 if 終わり
乙です
良かったですが、やはりあの青葉のあれ最初からなかったほうが良かったきがします
>>16
はい、分岐とは言いましたが最初から両方やることを明言しておけば良かったですね
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません